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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/02 20060101AFI20231226BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20231226BHJP
   F24F 1/16 20110101ALI20231226BHJP
   F24F 13/30 20060101ALI20231226BHJP
   F24F 11/42 20180101ALI20231226BHJP
【FI】
F25B47/02 550K
F24F11/41 250
F25B47/02 550C
F24F1/16
F24F13/30
F24F11/42
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019136992
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021021513
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】出口 巧真
(72)【発明者】
【氏名】緒方 幸治
(72)【発明者】
【氏名】▲瀬▼戸山 卓登
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀太朗
(72)【発明者】
【氏名】廣内 優
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109463(JP,A)
【文献】特開2015-224829(JP,A)
【文献】国際公開第2015/059792(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/121985(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F24F 11/00 ~ 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と第1四方弁と第2四方弁と第1室外熱交換器と第2室外熱交換器と第1室外膨張弁と第2室外膨張弁とを有する室外機に少なくとも1台の室内機が冷媒配管によって接続されて形成される冷媒回路と、前記第1四方弁と前記第2四方弁と前記第1室外膨張弁と前記第2室外膨張弁とをそれぞれ制御する制御手段とを有する空気調和装置であって、
前記第1四方弁は、前記第1室外熱交換器における冷媒の流れる方向を切り替え、
前記第2四方弁は、前記第2室外熱交換器における冷媒の流れる方向を切り替え、
前記第1室外膨張弁は、前記第1室外熱交換器を流れる冷媒量を調整し、
前記第2室外膨張弁は、前記第2室外熱交換器を流れる冷媒量を調整し、
前記制御手段は、
前記第1室外熱交換器および前記第2室外熱交換器に発生した霜を融かす除霜運転を行うとき、
前記第1室外熱交換器が凝縮器として機能するように第1四方弁を切り替えるとともに、前記第2室外熱交換器が凝縮器として機能するように第2四方弁を切り替え、
前記第1室外膨張弁の開度を第1開度とするとともに、前記第2室外膨張弁を前記第1開度よりも大きい開度である第2開度とする第1除霜運転を行い、前記第2室外膨張弁の開度を第1開度以下とするとともに、前記第1室外膨張弁を前記第1開度よりも大きい開度である第2開度とする第2除霜運転を行い、
前記第1除霜運転を行っているときに、前記第2室外熱交換器の除霜が完了したことを示す除霜運転終了条件が成立すれば、前記第1除霜運転を終了して前記第2除霜運転を行い、
前記第1室外熱交換器と前記第2室外熱交換器とが上下に並べて配置されるとともに、前記第2室外熱交換器が前記第1室外熱交換器より下方に配置されている、
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第2除霜運転を行う際に、前記第1除霜運転の実行時に前記第開度としていた第2室外膨張弁の開度を、前記第1開度よりも小さい開度である第3開度とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和装置に関し、より詳細には、暖房運転時に実行される除霜運転に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置では、室外機に搭載される室外熱交換器を2つに分割し、室内機で要求される空調能力に応じていずれか一方の熱交換器のみを使用する、あるいは、両方の熱交換器を使用することがなされている。このように2つに分割される室外熱交換器では、各々の熱交換器が上下に並べて室外機の筐体内部に配置され、下方に配置される熱交換器(以降、第2室外熱交換器と記載する)の上にもう一方の熱交換器(以降、第1室外熱交換器と記載する)が組み付けられる場合がある。
【0003】
空気調和装置が暖房運転を行っているとき、室外熱交換器の温度が0℃以下となれば、室外熱交換器に着霜することがある。室外熱交換器に着霜すると、室外熱交換器における冷媒と外気との熱交換が阻害される。室外熱交換器で発生した霜を融かすための運転として、暖房運転時に蒸発器として機能していた室外熱交換器を凝縮器として機能するように切り替える、つまり、冷凍サイクルを暖房サイクルから冷房サイクルに切り替えて、圧縮機から吐出された高温の冷媒を室外熱交換器に流入させて霜を融かす、所謂逆サイクル除霜運転がある。
【0004】
上述した、室外熱交換器が第1室外熱交換器と第2室外熱交換器とで構成される空気調和装置において暖房運転時に逆サイクル除霜運転を行う場合は、第1室外熱交換器における冷媒の流れる方向を切り替える四方弁(以降、第1四方弁と記載する)と、第2室外熱交換器における冷媒の流れる方向を切り替える四方弁(以降、第2四方弁と記載する)とをそれぞれ切り替えて、冷媒回路を冷房サイクルとする。このように、第1四方弁と第2四方弁とをそれぞれ切り替えて冷媒回路を冷房サイクルとすることにより、第1室外熱交換器と第2室外熱交換器がともに凝縮器として機能することになり、この結果、両方の熱交換器に高温の冷媒が流れることになる。このとき、室内機の室内熱交換器は蒸発器として機能しており、かつ、室内に冷風が吹き出されないように室内機の室内ファンを停止させているため、蒸発器として機能している室内機の室内熱交換器で発揮される蒸発能力が不足する場合がある。蒸発能力が不足すると、圧縮機に吸入される冷媒の温度が低下しこれに起因して圧縮機から吐出される冷媒の温度も低下するので、室外熱交換器に流入する冷媒の温度が低くなって霜の融け残りが発生する恐れがある。
【0005】
上記のような問題を解決するため、逆サイクル除霜運転を行う際に、第1室外熱交換器と第2室外熱交換器のうちのいずれか一方の四方弁を切り替えて、一方の室外熱交換器を凝縮器として機能させ他方の室外熱交換器を蒸発器として機能させることで、凝縮器として機能する熱交換器の数を減少させるとともに、蒸発器として機能する熱交換器の数を増やすことが提案されている(例えば、特許文献1)。このように、逆サイクル除霜運転中に、凝縮器として機能する熱交換器の数と蒸発器として機能する熱交換器の数とをそれぞれ調整することで、蒸発能力の不足に起因する室外熱交換器での霜の融け残りを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-90092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の空気調和装置のように、逆サイクル除霜運転時に第1室外熱交換器と第2室外熱交換器のうちのいずれか一方を凝縮器として機能させ他方を蒸発器として機能させると、以下のような問題点がある。まず、逆サイクル除霜運転時に第1室外熱交換器と第2室外熱交換器のうち最初に凝縮器として機能する室外熱交換器は、次に他方の室外熱交換器を除霜する際には蒸発器として機能することになるが、蒸発器として機能する際に当該熱交換器の温度が低下して再度着霜する恐れがある。
【0008】
次に、蒸発器として機能していた室外熱交換器を凝縮器として機能させる際は、当該室外熱交換器に対応する四方弁を切り替えることになるが、この四方弁の切り替えを圧縮機を運転しながら行うと、四方弁における高圧側の圧力と低圧側の圧力との差に起因して四方弁の作動音が大きくなるという問題がある。この作動音を抑えるためには、圧縮機を停止させてから時間をおいて冷媒回路における高圧側の圧力と低圧側の圧力との差を小さくして(以降、均圧と記載する)から四方弁を切り替えればよいが、この方法では、逆サイクル除霜中に2回(最初に一方の室外熱交換器を凝縮器として機能させる際と、次に他方の室外熱交換器を凝縮器として機能させる際、の2回)圧縮機を停止させなければならず、2つの室外熱交換器をともに凝縮器として機能させて逆サイクル除霜を行う場合と比べて均圧を待つ時間が2倍となり、この結果、逆サイクル除霜運転中の均圧にかかる時間が長くなるという問題がある。
【0009】
そして、逆サイクル除霜運転中に蒸発器における蒸発能力を上げるためには、蒸発器として機能している第1室外熱交換器あるいは第2室外熱交換器には室外ファンを回転させて当該熱交換器に通風するのが望ましい。一方で、逆サイクル除霜運転中は、凝縮器として機能している第1室外熱交換器あるいは第2室外熱交換器に外気を流通させると各熱交換器が外気によって冷却されて霜の融解が阻害されるので、室外ファンを止めて第1室外熱交換器あるいは第2室外熱交換器に通風を行わないのが望ましい。これを実現するために、第1室外熱交換器と第2室外熱交換器とに個別に室外ファンを設けて、蒸発器には通風をし凝縮器には通風をしないようにすることも考えられるが、こうした場合には空気調和装置が高価になるという問題がある。
【0010】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、室外熱交換器への再着霜を防ぎつつ除霜運転時に必要な均圧にかかる時間を短縮できる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、圧縮機と第1四方弁と第2四方弁と第1室外熱交換器と第2室外熱交換器と第1室外膨張弁と第2室外膨張弁とを有する室外機に少なくとも1台の室内機が冷媒配管によって接続されて形成される冷媒回路と、第1四方弁と第2四方弁と第1室外膨張弁と第2室外膨張弁とをそれぞれ制御する制御手段とを有する。第1四方弁は、第1室外熱交換器における冷媒の流れる方向を切り替える。第2四方弁は、第2室外熱交換器における冷媒の流れる方向を切り替える。第1室外膨張弁は、第1室外熱交換器を流れる冷媒量を調整する。第2室外膨張弁は、第2室外熱交換器を流れる冷媒量を調整する。そして、制御手段は、暖房運転を行っているときに第1室外熱交換器および第2室外熱交換器に発生した霜を融かす除霜運転を行うとき、第1室外熱交換器が凝縮器として機能するように第1四方弁を切り替えるとともに、第2室外熱交換器が凝縮器として機能するように第2四方弁を切り替え、第1室外膨張弁あるいは第2室外膨張弁のいずれか一方の開度を第1開度とするとともに他方を第1開度よりも大きい開度である第2開度とする第1除霜運転を行う。また、制御手段は、第1除霜運転に引き続き、第1除霜運転の実行時に第1開度としていた第1室外膨張弁あるいは第2室外膨張弁の開度を第2開度とするとともに第1除霜運転の実行時に第2開度としていた第1室外膨張弁あるいは第2室外膨張弁の開度を第1開度とする第2除霜運転を行う。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明の空気調和装置によれば、室外熱交換器への再着霜を防ぎつつ除霜運転時に必要な均圧にかかる時間を短縮できる空気調和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態における、暖房運転を行うときの空気調和装置の冷媒回路図である。
図2】本発明の実施形態における、第2室外熱交換器を除霜する際の冷媒回路図である。
図3】本発明の実施形態における、第1室外熱交換器を除霜する際の冷媒回路図である。
図4】本発明の実施形態における、除霜運転時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、1台の室外機に3台の室内機が並列に接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例
【0015】
図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、屋外に設置される1台の室外機2と、屋内に設置され、室外機2に液管8およびガス管9で並列に接続された3台の室内機5a~5cとを備えている。詳細には、液管8は、室外機2の閉鎖弁25と室内機5a~5cの各液管接続部53a~53cとを接続している。また、ガス管9は、室外機2の閉鎖弁26と室内機5a~5cの各ガス管接続部54a~54cとを接続している。このように、室外機2と室内機5a~5cとが液管8およびガス管9で接続されて、空気調和装置1の冷媒回路100が形成されている。
【0016】
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、第1四方弁22aと、第2四方弁22bと、第1室外熱交換器23aと、第2室外熱交換器23bと、第1室外膨張弁24aと、第2室外膨張弁24bと、液管8の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管9の一端が接続された閉鎖弁26と、室外ファン27とを備えている。そして、室外ファン27を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室外機冷媒回路20が形成されている。
【0017】
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側には吐出管41の一端が接続されており、吐出管41の他端は第1吐出分管41aと第2吐出分管41bとに分岐している。第1吐出分管41aは後述する第1四方弁22aのポートaに接続されており、第2吐出分管41bは後述する第2四方弁22bのポートeに接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側には吸入管42の一端が接続されており、吸入管42の他端は第1吸入分管42aと第2吸入分管42bとに分岐している。第1吸入分管42aは後述する第1四方弁22aのポートcに接続されており、第2吸入分管42bは後述する第2四方弁22bのポートgに接続されている。
【0018】
第1四方弁22aは、第1室外熱交換器23aにおける冷媒の流れ方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaには、上述したように第1吐出分管41aが接続されている。ポートbは、第1室外熱交換器23aの一方の冷媒出入口と第1接続配管43aで接続されている。ポートcには、上述したように第1吸入分管42aが接続されている。そして、ポートdには、第1ガス分管45aの一端が接続されている。
【0019】
第2四方弁22bは、第2室外熱交換器23bにおける冷媒の流れ方向を切り換えるための弁であり、e、f、g、hの4つのポートを備えている。ポートeには、上述したように第2吐出分管41bが接続されている。ポートfは、第2室外熱交換器23bの一方の冷媒出入口と第2接続配管43bで接続されている。ポートgには、上述したように第2吸入分管42bが接続されている。そして、ポートhには、第2ガス分管45bの一端が接続されている。
【0020】
なお、第1ガス分管45aの他端および第2ガス分管45bの他端は、各々が室外機ガス管45の一端に接続され、室外機ガス管45の他端は閉鎖弁26に接続されている。
【0021】
第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bは、冷媒と、後述する室外ファン27の回転により室外機2の図示しない筐体内部に取り込まれた外気とを熱交換させるものである。第1室外熱交換器23aの一方の冷媒出入口は、上述したように第1四方弁22aのポートbに第1接続配管43aで接続され、他方の冷媒出入口には第1液分管44aの一端が接続されている。また、第2室外熱交換器23bの一方の冷媒出入口は、上述したように第2四方弁22bのポートfに第2接続配管43bで接続され、他方の冷媒出入口には第2液分管44bの一端が接続されている。なお、第1液分管44aの他端と第2液分管44bの他端とは、各々室外機液管44の一端に接続され、室外機液管44の他端は閉鎖弁25に接続されている。
【0022】
また、本実施形態では、第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bとは同じ熱交換量を発揮するフィンアンドチューブ式の熱交換器であり、より具体的には、各熱交換器に設けられる冷媒流路の本数や断面積が同じであり、また、冷媒流路に組み付けられるフィンの枚数や大きさも同じである。そして、第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bとは、室外機2の筐体内部に上下に並べて配置され、より具体的には、第2室外熱交換器23bの上端部に図示しないスペーサを介して第1室外熱交換器23aが組み付けられる。つまり、第1室外熱交換器23aは第2室外熱交換器23bの上方に配置される。
【0023】
第1室外膨張弁24aおよび第2室外膨張弁24bは、各々が図示しないステッピングモータに加えられるパルス信号によってその開度が調整される電子膨張弁である。第1室外膨張弁24aは、第1液分管44aに設けられており、その開度が調整されることで、第1室外熱交換器23aに流入する冷媒量、あるいは、第1室外熱交換器23aから流出する冷媒量を調整する。第2室外膨張弁24bは、第2液分管44bに設けられており、その開度が調整されることで、第2室外熱交換器23bに流入する冷媒量、あるいは、第2室外熱交換器23bから流出する冷媒量を調整する。
【0024】
また、本実施形態では、第1室外膨張弁24aと第2室外膨張弁24bとは同じものであり、各々のステッピングモータに加えられるパルス信号のパルス数が480パルスのときに開度が最大となり、55パルスのときに開度が最小となる。
【0025】
室外ファン27は樹脂材で形成されたプロペラファンであり、第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bの近傍に配置されている。室外ファン27は、図示しないファンモータによって回転することで図示しない室外機2の筐体に設けられた吸込口から室外機2の筐体内部へ外気を取り込み、第1室外熱交換器23aや第2室外熱交換器23bにおいて冷媒と熱交換した外気を図示しない室外機2の筐体に設けられた吹出口から室外機2の筐体外部へ放出する。
【0026】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管41には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。吸入管42には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ34とが設けられている。
【0027】
第1液分管44aにおける第1室外熱交換器23aと第1室外膨張弁44aとの間には、第1室外熱交換器23aに流入する、または、第1室外熱交換器23aから流出する冷媒の温度を検出する第1熱交温度センサ35aが設けられている。また、第2液分管44bにおける第2室外熱交換器23bと第2室外膨張弁44bとの間には、第2室外熱交換器23bに流入する、または、第2室外熱交換器23bから流出する冷媒の温度を検出する第2熱交温度センサ35bが設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ36が設けられている。
【0028】
また、室外機2には、室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない筐体内部に設置されている電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御手段200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
【0029】
記憶部220は、例えばフラッシュメモリであり、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン27の制御状態などを記憶している。通信部230は、室内機5a~5cとの通信を行うためのインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
【0030】
CPU210は、前述した室外機2の各種センサでの検出結果を、センサ入力部240を介して取り込む。また、CPU210は、室内機5a~5cから送信される制御信号を、通信部230を介して取り込む。CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、圧縮機21や室外ファン27の駆動制御を行う。また、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、第1四方弁22aや第2四方弁22bの切り換えを行う。さらには、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、第1室外膨張弁24aや第2室外膨張弁24bの開度制御を行う。なお、図示は省略するが、CPU210はタイマー計測機能を有している。
【0031】
<室内機の構成>
次に、3台の室内機5a~5cについて説明する。3台の室内機5a~5cは、それぞれ室内熱交換器51a~51cと、室内膨張弁52a~52cと、分岐した液管8の他端が接続された液管接続部53a~53cと、分岐したガス管9の他端が接続されたガス管接続部54a~54cと、室内ファン55a~55cとを備えている。そして、室内ファン55a~55cを除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室内機冷媒回路50a~50cが形成されている。
【0032】
なお、室内機5a~5cの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機5aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機5b、5cについては説明を省略する。また、図1では、室内機5aの構成装置に付与した番号の末尾をaからbおよびcにそれぞれ変更したものが、室外機5aの構成装置と対応する室内機5b、5cの構成装置となる。
【0033】
室内熱交換器51aは、冷媒と後述する室内ファン55aの回転により図示しない室内機5aの筐体に設けられた吸込口から室内機5aの筐体内部に取り込まれた室内空気とを熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部53aと室内機液管71aで接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部54aと室内機ガス管72aで接続されている。室内熱交換器51aは、室内機5aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機5aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
【0034】
なお、液管接続部53aやガス管接続部54aには、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
【0035】
室内膨張弁52aは、室内機液管71aに設けられている。室内膨張弁52aは、図示しないステッピングモータに加えられるパルス信号によってその開度が調整される電子膨張弁であり、その開度を調整することによって室内熱交換器51aに流れる冷媒量を調整することができる。室内膨張弁52aは、室内熱交換器51aが蒸発器として機能する場合は、その開度が要求される冷房能力に応じて調整され、室内熱交換器51aが凝縮器として機能する場合は、その開度が要求される暖房能力に応じて調整される。
【0036】
室内ファン55aは樹脂材で形成されたクロスフローファンであり、室内熱交換器51aの近傍に配置されている。室内ファン55aは、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5aの筐体内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51aにおいて冷媒と熱交換した室内空気を図示しない室内機5aの筐体に設けられた吹出口から室内へ供給する。
【0037】
以上説明した構成の他に、室内機5aには各種のセンサが設けられている。室内機液管71aにおける室内熱交換器51aと室内膨張弁52aとの間には、室内熱交換器51aに流入あるいは室内熱交換器51aから流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ61aが設けられている。室内機ガス管72aには、室内熱交換器51aから流出あるいは室内熱交換器51aに流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ62aが設けられている。そして、室内機5aの図示しない吸込口付近には、室内機5aの筐体内部に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室内温度センサ63aが設けられている。
【0038】
なお、図示は省略するが室内機5aの電装品箱に格納された制御基板には、室内機制御手段が搭載されている。室内機制御手段には、液側温度センサ61aやガス側温度センサ62aや室内温度センサ63aで検出した検出値が入力され、また、使用者が図示しないリモコンを操作して設定した運転条件(設定温度や風量等)を含んだ信号が入力される。室内機制御手段は、これら入力された各種情報や後述する室外機制御手段200から送信される制御信号に基づいて、室内膨張弁52aの開度制御や、室内ファン55aの駆動制御を行う。
【0039】
<空調運転時の動作>
次に、本実施形態における空気調和装置1の運転時の冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作について、図1乃至図4を用いて説明する。なお、以下の説明では、まずは図1を用いて各室内機5a~5cが暖房運転を行う場合について説明する。次に、図2乃至図4を用いて、暖房運転時に第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bに発生した霜を融かす除霜運転を行う場合について説明する。なお、空気調和装置1が冷房運転を行うときは、冷媒回路100を除霜運転時と同じ状態とするが、ここでの詳細な説明は省略する。また、図1乃至図3において、矢印は冷媒回路100における冷媒の流れを示している。また、図1乃至図3において、凝縮器として機能する熱交換器にはハッチングを付し、蒸発器として機能する熱交換器は白抜きで図示している。
【0040】
<暖房運転時の動作>
空気調和装置1が暖房運転を行うとき、室外機制御手段200のCPU210は、第1四方弁22aを実線で示す状態、すなわち、ポートaとポートdとが連通するよう、また、ポートbとポートcとが連通するように切り替える。また、CPU210は、第2四方弁22bを実線で示す状態、すなわち、ポートeとポートhとが連通するよう、また、ポートfとポートgとが連通するように切り替える。これにより、冷媒回路100が図1(A)に示す状態、つまり、第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bが蒸発器として機能する状態となるとともに、室内機5a~5cの室内熱交換器51a~51cが凝縮器として機能する状態となる。
【0041】
冷媒回路100が上記の状態となっているとき、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管41を流れて第1吐出分管41aと第2吐出分管41bとに分流する。第1吐出分管41aを流れる冷媒は第1四方弁22aに流入し、第1四方弁22aから第1ガス分管45aを流れて室外機ガス管45に流入する。一方、第2吐出分管41bを流れる冷媒は第2四方弁22bに流入し、第2四方弁22bから第2ガス分管45bを流れて室外機ガス管45に流入する。そして、第1ガス分管45aと第2ガス分管45bとから室外機ガス管45に流入した冷媒は、室外機ガス管45を流れ閉鎖弁26を介してガス管9に流出する。
【0042】
室外機2から流出してガス管9を流れる冷媒は、ガス管接続部54a~54cを介して各室内機5a~5cに分かれて流入する。室内機5a~5cに流入した冷媒は、室内機ガス管72a~72cを流れて室内熱交換器51a~51cに流入し、室内ファン55a~55cの回転により室内機5a~5cの各々の筐体内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器51a~51cが凝縮器として機能し、室内熱交換器51a~51cで冷媒と熱交換を行って加熱された室内空気が、図示しない室内機5a~5cの各々の吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a~5cが設置された室内の暖房が行われる。
【0043】
室内熱交換器51a~51cから室内機液管71a~71cに流出した冷媒は、室内膨張弁52a~52cを通過するときに減圧され、液管接続部53a~53cを介して液管8に流出する。ここで、室内膨張弁52a~52cは、各室内機5a~5cで要求される暖房能力に応じて、その開度が調整される。液管8を流れて閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機液管44を流れて第1液分管44aと第2液分管44bとに分流する。
【0044】
第1液分管44aを流れる冷媒は、第1室外膨張弁24aを通過するときに減圧されて、第1室外熱交換器23aに流入する。ここで、第1室外膨張弁24aは、吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度が、予め定められた目標温度となるように、その開度が調整される。第1室外熱交換器23aに流入した冷媒は、室外ファン27の回転により室外機2の筐体内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。第1室外熱交換器23aから流出した冷媒は、第1接続配管43a、第1四方弁22a、第1吸入分管42aを流れて吸入管42に流入する。
【0045】
第2液分管44bを流れる冷媒は、第2室外膨張弁24bを通過するときに減圧されて、第2室外熱交換器23bに流入する。ここで、第2室外膨張弁24bは、吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度が、予め定められた目標温度となるように、その開度が調整される。第2室外熱交換器23bに流入した冷媒は、室外ファン27の回転により室外機2の筐体内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。第2室外熱交換器23bから流出した冷媒は、第2接続配管43b、第2四方弁22b、第2吸入分管42bを流れて吸入管42に流入する。
【0046】
第1吸入分管42aおよび第2吸入分管42bから吸入管42に流入した冷媒は、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0047】
<除霜運転時の動作>
次に、空気調和装置1が除霜運転を行うときの、冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作、および、室外機制御手段200のCPU210が実行する処理について、図2図4を用いて説明する。本実施形態の空気調和装置1は、暖房運転中に第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bに霜が発生したときに、冷媒回路100を暖房運転時とは逆の状態、つまり、第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bを凝縮器として機能させる逆サイクル除霜運転を行う。そして、逆サイクル除霜運転時は、まずは第2室外熱交換器23bを除霜し、次に第1室外熱交換器23aを除霜する。
【0048】
図4に示すフローチャートは、室外機制御手段200のCPU210が、暖房運転時に逆サイクル除霜運転を行う際に実行する処理の流れを主に示すものであり、STは処理のステップを示しこれに続く数字はステップの番号を示している。なお、図4では、本発明に関わる処理にのみ言及しており、例えば、暖房運転時に室内機5a~5cの各々から要求される暖房能力に基づいた圧縮機21の回転数の決定方法、といった空気調和装置1の一般的な制御については、その説明を省略している。
【0049】
まず、CPU210は、使用者による運転指示が暖房運転指示であるか否かを判断する(ST1)。運転指示が暖房運転指示でなければ(ST1-No)、CPU210は、冷房運転開始処理を実行し(ST13)、冷房運転制御を行って(ST14)、ST10に処理を進める。ここで、冷房運転開始処理では、CPU210は第1四方弁22aおよび第2四方弁22bをそれぞれ切り替えて、第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bが各々凝縮器として機能するように、また、室内熱交換器51a~51cが各々蒸発器として機能するようにする。また、冷房運転制御では、CPU210は、室内機5a~5cのそれぞれで要求される冷房能力に応じて、圧縮機21の回転数および室外ファン27の回転数を制御し、そして、第1室外膨張弁24aと第2室外膨張弁24bのそれぞれが最大開度とされる。また、室内膨張弁52a~52cは、室内機5a~5cのそれぞれで要求される冷房能力に応じて、その開度が調整される。
【0050】
ST1において、運転指示が暖房運転指示であれば(ST1-Yes)、CPU210は、冷媒回路100における暖房運転開始に関わる処理(以降、暖房運転開始処理と記載する)を実行し(ST2)、暖房運転制御を行って(ST3)、ST4に処理を進める。ここで、暖房運転開始処理では、前述したようにCPU210は,第1四方弁22aおよび第2四方弁22bをそれぞれ切り替えて、第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bが各々蒸発器として機能するように、また、室内熱交換器51a~51cが各々凝縮器として機能するようにする。また、暖房運転制御では、CPU210は、室内機5a~5cのそれぞれで要求される暖房能力に応じて圧縮機21の回転数および室外ファン27の回転数を制御し、また、前述したように、第1室外膨張弁24aと第2室外膨張弁24bとは、吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度が、予め定められた目標温度となるように、その開度が調整される。そして、室内膨張弁52a~52cは、室内機5a~5cのそれぞれで要求される暖房能力に応じて、その開度が調整される。
【0051】
次に、CPU210は、除霜運転開始条件が成立したか否かを判断する(ST4)。ここで、除霜運転開始条件は、予め試験などを行って求められて室外機制御手段200の記憶部220に記憶されており、除霜運転開始条件が成立しているということは、第1室外熱交換器23aや第2室外熱交換器23bでの着霜量が、暖房運転に支障をきたすレベルであることを示す。本実施形態では、第1熱交温度センサ35aで検出した第1室外熱交換器23aの温度、第2熱交温度センサ35bで検出した第2室外熱交換器23bの温度のうちの少なくとも一方が0℃以下である状態が10分間継続した場合に、除霜運転開始条件が成立したとし、CPU210が、第1室外熱交換器23aの温度と第2熱交温度センサ35bで検出した第2室外熱交換器23bの温度をそれぞれセンサ入力部240を介して取り込み、取り込んだ各温度を用いて上述した除霜運転開始条件の成立or不成立を判断する。
【0052】
除霜運転開始条件が成立していなければ(ST4-No)、CPU210は、ST10に処理を進める。除霜運転開始条件が成立していれば(ST4-Yes)、CPU210は、ST5に処理を進める。
【0053】
ST5の処理において、CPU210は冷媒回路100における除霜運転開始のための処理(以降、除霜運転開始処理と記載する)を実行する。除霜運転開始処理では、CPU210は、第1四方弁22aおよび第2四方弁22bをそれぞれ切り替えて、第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bが各々凝縮器として機能するように、また、室内熱交換器51a~51cが各々蒸発器として機能するようにする。これにより、除霜運転時の冷媒回路100は、第1室外膨張弁24aの開度および第2室外膨張弁24bの開度を除いて図2および図3に示す状態となる。そして、CPU210は、圧縮機21の回転数を除霜運転時の回転数(例えば、70rps)として圧縮機21を駆動するとともに、室外ファン27を停止させる。また、CPU210は、通信部230を介して室内機5a~5cのそれぞれに対し、室内ファン55a~55cを停止するように指示するとともに、室内膨張弁52a~52cのそれぞれの開度を最大開度とするように指示する。
【0054】
次に、CPU210は、第1室外膨張弁24aの開度を第1開度とするとともに、第2室外膨張弁24bの開度を第2開度として(ST6)、第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bの除霜を開始する。ここで、第1開度は、第2室外熱交換器23bに流れる冷媒量を第1室外熱交換器23aに流れる冷媒量より多くするために、第2開度より小さい開度とされており、具体的には、第1開度は最小開度より少し大きい開度、例えば、最小開度に対応するパルス数:55パルスより大きい100パルスのパルス信号を第1室外膨張弁24aに加えた際の開度である。また、第2開度は、例えば最大開度(480パルスのパルス信号を加えたときの開度)である。
【0055】
冷媒回路100が、逆サイクル除霜運転を行う状態、つまり、第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bが各々凝縮器として機能するように、また、室内熱交換器51a~51cが各々蒸発器として機能するように、第1四方弁22aおよび第2四方22bがそれぞれ切り替えられて、冷媒回路100が図2(A)および図3(A)に示す状態となっているとき、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管41を流れて第1吐出分管41aと第2吐出分管41bとに分流する。第1吐出分管41aを流れる冷媒は第1四方弁22aに流入し、第1四方弁22aから第1接続配管43aを流れて第1室外熱交換器23aに流入する。一方、第2吐出分管41bを流れる冷媒は第2四方弁22bに流入し、第2四方弁22bから第2接続配管43bを流れて第2室外熱交換器23bに流入する。
【0056】
以上に説明したST6の処理を行うことによって第1室外膨張弁24aおよび第2室外膨張弁24bの各開度が調整されることで、主に第2室外熱交換器23bを除霜する運転が行われる。本実施形態における主に第2室外熱交換器23bを除霜する運転を、本発明の第1除霜運転とする。
【0057】
次に、CPU210は、第2室外熱交換器23bの除霜が完了したか否かを判断する(ST7)。第2室外熱交換器23bの除霜完了の判断に際し、CPU210は、第2室外熱交換器23bの除霜を行っているときに、第2熱交温度センサ35bで検出した第2室外熱交換器23bの温度をセンサ入力部240を介して取り込む度に、取り込んだ第2室外熱交換器23bの温度が例えば10℃以上となっているか否かを判断して第2室外熱交換器23bの除霜が完了したか否かを判断する。ここで、上述した「取り込んだ第2室外熱交換器23bの温度が例えば10℃以上となっているか否か」が、第1除霜運転終了条件である。なお、第1除霜運転終了条件はこれに限らず、第1除霜運転の継続時間が15分となれば第1除霜運転を終了するなど、第2室外熱交換器23bの温度以外のパラメータを用いた、第2室外熱交換器23bの除霜が完了したと推定できる条件であってもよい。
【0058】
第2室外熱交換器23bの除霜が完了していなければ(ST7―No)、CPU210は、ST7に処理を戻して第2室外熱交換器23bの除霜を継続する。なお、第2室外熱交換器23bの温度を定期的(例えば、30秒毎)に取り込み、第2室外熱交換器23bの温度を取り込む度にST7の処理を行うことで、ST7の処理が定期的に(第2室外熱交換器23bの温度を取り込む間隔と同じ間隔で)行われる。第2室外熱交換器23bの除霜が完了していれば(ST7―Yes)、CPU210は、第1室外膨張弁24aの開度を第2開度とするとともに、第1室外熱交換器23aに流れる冷媒量が第2室外熱交換器23bに流れる冷媒量より多くなるように、かつ、第2室外熱交換器23bの除霜時に第1室外熱交換器23aに流れていた冷媒量よりも、第1室外熱交換器23aの除霜時に第2室外熱交換器23bに流れる冷媒量が少なくなるように、第2室外膨張弁24bの開度を第1開度以下の開度である第3開度として(ST8)第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bの除霜を開始する。ここで、第3開度は最小開度(55パルスのパルス信号を加えたときの開度)である。
【0059】
以上に説明したST8の処理を行うことによって第1室外膨張弁24aおよび第2室外膨張弁24bの各開度が調整されることで、主に第1室外熱交換器23aを除霜する運転が行われる。本実施形態における主に第1室外熱交換器23aを除霜する運転を、本発明の第2除霜運転とする。
【0060】
以上に説明した第1除霜運転および第2除霜運転を行っているとき、第1室外熱交換器23aから第1液分管44aに流出した冷媒と、第2室外熱交換器23bから第2液分管44bに流出した冷媒は、室外機液管44で合流し、閉鎖弁25を介して液管8に流出する。液管8に流出した冷媒は液管8を流れ、液管接続部53a~53cを介して室内機5a~5cに分流する。液管接続部53a~53cを介して室内機液管71a~71cを流れる冷媒は室内膨張弁52a~52cを通過し、室内熱交換器51a~51cを流れて室内機ガス管72a~72cへと流出する。
【0061】
室内機ガス管72a~72cを流れる冷媒は、ガス管接続部54a~54cを介してガス管9に流出し、ガス管9を流れて閉鎖弁26を介して室外機2に流入する。そして、室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管45、第1ガス分管45aおよび第2ガス分管45b、第1四方弁22aおよび第2四方弁22b、第1吸入分管42aおよび第2吸入分管42b、吸入管42の順に流れて、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0062】
ST8の処理を終えたCPU210は、第1室外熱交換器23aの除霜が完了したか否かを判断する(ST9)。第1室外熱交換器23aの除霜完了の判断に際し、CPU210は、第1室外熱交換器23aの除霜を行っているときに、第1熱交温度センサ35aで検出した第1室外熱交換器23aの温度を定期的(例えば、30秒毎)にセンサ入力部240を介して取り込む度に、取り込んだ第1室外熱交換器23aの温度が例えば10℃以上となっているか否かを判断して、第1室外熱交換器23aの除霜が完了したか否かを判断する。ここで、上述した「取り込んだ第1室外熱交換器23aの温度が例えば10℃以上となっているか否か」が、第2除霜運転終了条件である。なお、第2除霜運転終了条件はこれに限らず、第2除霜運転の継続時間が15分となれば第2除霜運転を終了するなど、第1室外熱交換器23aの温度以外のパラメータを用いた、第1室外熱交換器23aの除霜が完了したと推定できる条件であってもよい。そして、前述した第1除霜運転終了条件と上述した第2除霜運転終了条件とが、本発明の除霜運転終了条件である。
【0063】
第1室外熱交換器23aの除霜が完了していなければ(ST9―No)、CPU210は、ST9に処理を戻して第1室外熱交換器23aの除霜を継続する。なお、第1室外熱交換器23aの温度を定期的(例えば、30秒毎)に取り込み、第1室外熱交換器23aの温度を取り込む度にST9の処理を行うことで、ST9の処理が定期的に(第1室外熱交換器23aの温度を取り込む間隔と同じ間隔で)行われる。第1室外熱交換器23aの除霜が完了していれば(ST9―Yes)、CPU210は、ST10に処理を進める。
【0064】
ST9あるいはST14の処理を終えたCPU210は、使用者による運転モード切り換え指示があるか否かを判断する(ST10)。ここで、運転モード切り換え指示とは、暖房運転から冷房運転への切り換え、あるいは、冷房運転から暖房運転への切り換えを指示するものである。
【0065】
運転モード切り換え指示がある場合は(ST10-Yes)、CPU210は、ST1に処理を戻す。運転モード切り換え指示がない場合は(ST10-No)、CPU210は、使用者による運転停止指示があるか否かを判断する(ST11)。運転停止指示とは、全ての室内機5a~5cで運転停止の指示が使用者からなされることである。
【0066】
運転停止指示があれば(ST11-Yes)、CPU210は、運転停止処理を実行し(ST12)、処理を終了する。運転停止処理では、CPU210は、圧縮機21や室外ファン27を停止するとともに第1室外膨張弁24aと第2室外膨張弁24bのそれぞれの開度を全閉とする。なお、室内機5a~5cの室内ファン55a~55cは、各室内機5a~5cで使用者によって運転停止が指示された時点でそれぞれ停止する。また、室内機5a~5cの室内膨張弁52a~52cは、各室内機5a~5cで使用者によって運転停止が指示された時点で全閉とされる。
【0067】
ST11において運転停止指示がなければ(ST11-No)、CPU210は、現在の運転が暖房運転であるか否かを判断する(ST15)。現在の運転が暖房運転であれば(ST15-Yes)、CPU210は、ST3に処理を戻す。現在の運転が暖房運転でなければ(ST15-No)、つまり、現在の運転が冷房運転であれば、CPU210は、ST14に処理を戻す。
【0068】
以上、図4に示すフローチャートを用いて説明したように、本実施形態の空気調和装置1で逆サイクル除霜運転を行って第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bを除霜する際は、まず、下方に配置された第2室外熱交換器23bを除霜する第1除霜運転を行い、これに引き続いて、上方に配置された第1室外熱交換器23aを除霜する第2除霜運転を行っている。このように、下方に配置された第2室外熱交換器23bから除霜を行う理由は、以下のとおりである。
【0069】
空気調和装置が暖房運転を行っているときは、室内機の室内熱交換器で凝縮して液状態もしくは気液二相状態となった冷媒が室外機に流入する。このとき、本実施形態の空気調和装置1のように、室外熱交換器が2つに分割され、かつ、2台の室外熱交換器が上下に並べて配置されていると、重力の影響で上方に配置される室外熱交換器と比べて下方に配置されている室外熱交換器に流れる冷媒量が多くなる。このため、上方に配置される室外熱交換器の温度より下方に配置される室外熱交換器の温度が低くなり、上方に配置される室外熱交換器の温度より下方に配置される室外熱交換器の着霜量のほうが多くなる。
【0070】
また、逆サイクル除霜運転を行っている最中は、室内へ冷風が吹き出されることを防ぐために、各室内機の室内ファンは停止させている。従って、逆サイクル除霜運転で蒸発器として機能している室内熱交換器において蒸発能力が不足して気液二相状態の冷媒が各室内機の各々から室外機へと戻ってくる。通常、圧縮機の吸入側には、気液分離器(アキュムレータ)が設けられており、気液二相状態で室外機に流入した冷媒は、気液分離器でガス冷媒と液冷媒とに分離されて、ガス冷媒のみが圧縮機に吸入される。このため、気液分離器に滞留する液冷媒の量は、逆サイクル除霜運転が進むのにつれて多くなるので、逆サイクル除霜運転を行っているときは、逆サイクル除霜運転の開始時点から終了時点へと時間が経過するのにつれて、冷媒回路を循環する冷媒量が減少する。
【0071】
そこで、本実施形態の空気調和装置1では、以上に説明した除霜運転時の問題点、すなわち、下方に配置される室外熱交換器の着霜量が多くなること、および、逆サイクル除霜運転が進むのにつれて冷媒回路100の冷媒循環量が低下していくことを勘案し、冷媒循環量が十分な量確保できる逆サイクル除霜運転の初期に、第1室外膨張弁24aと第2室外膨張弁24bのそれぞれの開度を調整して、下方に配置されている第2室外熱交換器23bの除霜を行う第1除霜運転を実施する。
【0072】
第1除霜運転では、前述したように、第1室外膨張弁24aの開度が第1開度とされ、第2室外膨張弁24bの開度が第2開度とされる。これにより、第1室外熱交換器23aを流れる冷媒量に比べて第2室外熱交換器23bを流れる冷媒量が多くなる。なお、図2(A)では、この第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bのそれぞれに流れる冷媒量の違いを矢印の太さで表現しており、第2室外熱交換器23bに流入し第2室外熱交換器23bから流出する冷媒の流れを示す矢印の太さを、第1室外熱交換器23aに流入し第1室外熱交換器23aから流出する冷媒の流れを示す矢印より太く表示することで表している。
【0073】
このように、冷媒回路100における冷媒循環量が多い逆サイクル除霜運転の初期の段階で第1除霜運転を行って、第2室外熱交換器23bに第1室外熱交換器23aよりも多くの冷媒を流す。これにより、第1室外膨張弁24aの開度と第2室外膨張弁24bの開度を同じとして第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bとに同じ量の冷媒を流す場合と比べて、第2室外熱交換器23bの除霜中に霜の融け残りが発生しづらくなる。また、流入する冷媒量は第2室外熱交換器23bと比べると少ないものの、第1室外熱交換器23aにも冷媒が流れるので、第2室外熱交換器23bの除霜中に第1室外熱交換器23aの除霜も行うことができる。
【0074】
ここで、第1室外膨張弁24aの開度を最小開度より大きい第1開度(100パルス)とするのは、以下の理由による。逆サイクル除霜運転を行うときは、逆サイクル除霜運転を開始した時点から時間が経過するのにつれて、冷媒回路100を循環する冷媒量が少なくなる。これは、逆サイクル除霜運転中に蒸発器として機能する各室内熱交換器51a~51cでは、各室内ファン55a~55cが停止していることに起因して蒸発能力が低下していることが原因である。すなわち、蒸発能力が低下していることによって各室内機5a~5cから流出して室外機2に流入する冷媒が気液二相状態の冷媒となり、図示しないアキュムレータでガス冷媒から分離されてアキュムレータに滞留する液冷媒の量が時間の経過ともに増回するによって、逆サイクル除霜運転中は、冷媒回路100を循環する冷媒量が少なくなる。
【0075】
本実施形態では、上述した、逆サイクル除霜運転を開始した時点から時間が経過するのにつれて、冷媒回路100を循環する冷媒量が少なくなること、つまり、第2除霜運転時と比べて第1除霜運転時の方が冷媒回路100を循環する冷媒量が多いことを考慮し、第1室外膨張弁24aの開度を最小開度より大きい第1開度として第1室外熱交換器23aに流れる冷媒量を増加させても、第2室外熱交換器23bの除霜に十分な量の冷媒を流すことができる。
【0076】
なお、本実施形態では、第2室外熱交換器23bを除霜する際の第1室外膨張弁24aの開度である第1開度より、第1室外熱交換器23aを除霜する際の第2室外膨張弁24bの開度である第3開度のほうが小さいとしているが、冷媒回路100に充填される冷媒量が多く逆サイクル除霜運転の後半つまりは第1室外熱交換器23aの除霜時であっても、第1室外熱交換器23aの除霜に十分な量の冷媒を第1室外熱交換器23aに流せる場合は、第1室外熱交換器23aを除霜する際の第2室外膨張弁24bの開度を第1開度としてもよい。
【0077】
また、第2室外熱交換器23bの除霜時に第1室外膨張弁24aの開度を最小開度より大きい第1開度とすること、および、第1室外熱交換器23aの除霜時に第2室外膨張弁24bの開度を第3開度(最小開度)とすることで、第1室外熱交換器23aの除霜も霜の融け残りが発生することなく行える。すなわち、第1除霜運転時は、前述したように冷媒回路100の冷媒循環量が多いため、第1室外膨張弁24aの開度を最小開度より大きい第1開度として第1室外熱交換器23aに冷媒を流して第1室外熱交換器23aの除霜を行っても、第2室外熱交換器23bの除霜に大きな影響はない。
また、第2除霜運転時では、前述したように、第1室外膨張弁24aの開度が第2開度(最大開度)とされ、第2室外膨張弁24bの開度が第3開度(最小開度)とされる。これにより、第2室外熱交換器23bを流れる冷媒量に比べて第1室外熱交換器23aを流れる冷媒量が多くなる。なお、図3(A)では、この第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bのそれぞれに流れる冷媒量の違いを矢印の太さで表現しており、第1室外熱交換器23aに流入し第1室外熱交換器23aから流出する冷媒の流れを示す矢印の太さを、第2室外熱交換器23bに流入し第2室外熱交換器23bから流出する冷媒の流れを示す矢印より太く表示することで表している。
【0078】
前述したように、第2除霜運転時では、冷媒回路100の冷媒循環量が第1除霜運転時より減少しているので、第2室外膨張弁24bを第3開度として第2室外熱交換器23bに流れる冷媒量を減少させ、その減少分を第1室外熱交換器23aに回す。これにより、第1室外熱交換器23aに第2室外熱交換器23bよりも多くの冷媒が流れるので、第1室外膨張弁24aの開度と第2室外膨張弁24bの開度を同じとして第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bとに同じ量の冷媒を流す場合と比べて、第1室外熱交換器23aの除霜中に霜の融け残りが発生しづらくなる。また、流入する冷媒量は第1室外熱交換器23aと比べると少ないものの、第2室外熱交換器23bにも冷媒が流れるので、第1室外熱交換器23aの除霜中に第2室外熱交換器23bの温度低下が抑制される。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、暖房運転中に第1室外熱交換器23aおよび第2室外熱交換器23bの除霜を逆サイクル除霜運転で行うときに、まずは下方に配置されている第2室外熱交換器23bを除霜する第1除霜運転を行い、その後上方に配置されている第1室外熱交換器23aを除霜する第2除霜運転を行う。そして、第1除霜運転を行う際は、第2室外膨張弁24bを第2開度とするとともに第1室外膨張弁24aを第1開度とし、第2除霜運転を行う際は、第1室外膨張弁24aを第2開度とするとともに第2室外膨張弁24bを第1開度より小さい第3開度とする。このように、第1室外膨張弁24aや第2室外膨張弁24bの各開度を調整し、第1除霜運転では第1室外熱交換器23aよりも第2室外熱交換器23bに多くの冷媒を流し、第2除霜運転では第2室外熱交換器23bよりも第1室外熱交換器23aに多くの冷媒を流すことによって、第1室外熱交換器23aや第2室外熱交換器23bで霜の融け残りや温度低下による再着霜を抑制できる。
【0080】
また、本実施形態の空気調和装置1では、逆サイクル除霜運転の開始時に、圧縮機21を一旦停止させて冷媒回路100の均圧を行った後に第1四方弁22aと第2四方弁22bとを同時に切り替える。一方の室外熱交換器を蒸発器として機能させ他方の室外熱交換器を凝縮器として機能させて除霜運転を行う場合では、最初に一方の室外熱交換器を蒸発器として機能させる際、および、当該室外熱交換器を次に凝縮器として機能させる際にそれぞれ圧縮機21を停止させて冷媒回路100の均圧を待つ必要がある。しかし、本実施形態の空気調和装置1では、上述したように圧縮機21の停止が1度で済むため、逆サイクル除霜運転中の均圧にかかる時間を短くできる。
【0081】
また、本実施形態の空気調和装置1では、逆サイクル除霜運転中に一方の室外熱交換器を蒸発器として機能させることがないため、室外ファン27を熱交換器の個数と同じ台数設けたり、室外ファン27の駆動による風の流れを風向板のような構造物で変化させて各室外熱交換器へ吹き分けるといったことが不要となるので、これら複数台の室外ファンや風向を変更する構造物を設けることによる空気調和装置1のコストアップを防ぐことができる。
【0082】
なお、以上に説明した実施形態では、第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bとは同じ熱交換量を発揮するものであり、両室外熱交換器の配置の違い(第2室外熱交換器23bが第1室外熱交換器23aの下方に配置されている)ことによって、第1室外熱交換器23aと比べて第2室外熱交換器23bの着霜量が多くなることを鑑みて、第1除霜運転で主に第2室外熱交換器23bを除霜することを説明した。しかし、第1室外熱交換器23aと第2室外熱交換器23bとの熱交換量が異なる、例えば、第1室外熱交換器23aにおける熱交換量が第2室外熱交換器23bにおける熱交換量より大きいことに起因して、第2室外熱交換器23bと比べて第1室外熱交換器23aの着霜量が多くなる場合は、第1除霜運転で主に第1室外熱交換器23aを除霜してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 空気調和装置
2 室外機
5a~5c 室内機
21 圧縮機
22a 第1四方弁
22b 第2四方弁
23a 第1室外熱交換器
23b 第2室外熱交換器
24a 第1室外膨張弁
24b 第2室外膨張弁
27 室外ファン
51a~51c 室内熱交換器
100 冷媒回路
200 室外機制御部
210 CPU
図1
図2
図3
図4