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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】媒体搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20231226BHJP
   B65H 7/20 20060101ALI20231226BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231226BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
B65H7/20
G03G15/00 405
G03G15/00 480
B65H5/06 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019170281
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021046298
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】足立 雄一
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-083837(JP,U)
【文献】特開2004-043158(JP,A)
【文献】特開2008-081254(JP,A)
【文献】特開2001-130762(JP,A)
【文献】特開2008-051890(JP,A)
【文献】特開平11-255351(JP,A)
【文献】特開2017-013966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00- 43/08
G03G 15/00
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12- 29/24
B65H 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の搬送路上に配置され、媒体を送り出す送出し手段と、
前記送出し手段よりも媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記送出し手段から送り出された媒体が到達する到達時期を検知する検知手段と、
予め定められた前記検知手段への基準到達時期と、前記検知手段が検知した到達時期とに基づいて、前記送出し手段が媒体を送り出す送出し時期を制御する制御手段であって、予め定められた送出し時期の調整可能範囲に対して、上限または下限で調整を行っても前記基準到達時期と検知された到達時期との差が解消されない場合は、前記送出し手段が媒体を送り出す速度を調整する前記制御手段と、
を備えたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記送出し時期の調整可能範囲に対して上限または下限で調整を行っても、前記基準到達時期と検知された到達時期との差が解消されない場合は、前記送出し時期を前記調整可能範囲の上限または下限とし、且つ、前記送出し手段が媒体を送り出す速度を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
媒体を送り出す速度を調整しても前記基準到達時期と前記検知された到達時期との差が解消されない場合、媒体の搬送を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記検知手段が検知した到達時期が前記基準到達時期よりも早い場合、前記送出し時期を、基準の送出し時期に比べて遅くする前記制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記送出し手段が媒体を送り出す速度を遅くする前記制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記検知手段が検知した到達時期が前記基準到達時期よりも遅い場合、前記送出し時期を、基準の送出し時期に比べて早くする前記制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記送出し手段が媒体を送り出す速度を速くする前記制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
媒体の搬送路上に配置され、媒体を送り出す送出し手段と、
前記送出し手段よりも媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記送出し手段から送り出された媒体が到達する到達時期を検知する検知手段と、
予め定められた前記検知手段への基準到達時期と、前記検知手段が検知した到達時期と、媒体の種類とに基づいて、前記送出し手段が媒体を送り出す送出し時期を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項9】
媒体の種類が厚紙の場合は、前記送出し時期を、基準の送出し時期よりも早くするように補正を行う前記制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記媒体搬送装置の設置されている温度および湿度の少なくとも1つを検知する環境検知手段と、
前記環境検知手段が検知した温度および湿度の少なくとも1つに基づいて、前記送出し時期の補正を行う前記制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
媒体が収容される収容手段と、
前記収容手段から媒体を送り出す前記送出し手段を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置で搬送された媒体に画像を記録する画像記録手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置において、画像が記録される記録用紙や読み取られる原稿のような媒体を送り出す媒体搬送装置に関して、以下の特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2017-13966号公報には、給紙コロ(14)が給紙した際のスリップ量を、第1の検知部材(203)や第2の検知部材(205)で用紙が検知されるタイミングから算出して、スリップ量が第1の閾値を超えていると、保守が必要である旨を通知すると共に、特殊モードに移行して画像形成を行うことが記載されている。特許文献1では、特殊モードに移行すると、通常モードよりも給紙間隔を長くしたり、給紙開始タイミングを早めたり、給紙コロ(14)のモータ(17)の回転速度を速めることで、スリップに伴う用紙の搬送遅れの影響を抑え、紙詰まりと誤判定することを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-13966号公報(「0045」-「0053」、「0061」-「0063」、「0068」-「0074」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、用紙搬送手段における媒体が滑る程度が閾値を超えると特定の状態に移行する場合に比べて、単位時間当たりに搬送される媒体の量を確保しつつ、搬送不良を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体搬送装置は、
媒体の搬送路上に配置され、媒体を送り出す送出し手段と、
前記送出し手段よりも媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記送出し手段から送り出された媒体が到達する到達時期を検知する検知手段と、
予め定められた前記検知手段への基準到達時期と、前記検知手段が検知した到達時期とに基づいて、前記送出し手段が媒体を送り出す送出し時期を制御する制御手段であって、予め定められた送出し時期の調整可能範囲に対して、上限または下限で調整を行っても前記基準到達時期と検知された到達時期との差が解消されない場合は、前記送出し手段が媒体を送り出す速度を調整する前記制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記制御手段は、
前記送出し時期の調整可能範囲に対して上限または下限で調整を行っても、前記基準到達時期と検知された到達時期との差が解消されない場合は、前記送出し時期を前記調整可能範囲の上限または下限とし、且つ、前記送出し手段が媒体を送り出す速度を調整する
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記制御手段は、
媒体を送り出す速度を調整しても前記基準到達時期と前記検知された到達時期との差が解消されない場合、媒体の搬送を停止する
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記検知手段が検知した到達時期が前記基準到達時期よりも早い場合、前記送出し時期を、基準の送出し時期に比べて遅くする前記制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の媒体搬送装置において、
前記送出し手段が媒体を送り出す速度を遅くする前記制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記検知手段が検知した到達時期が前記基準到達時期よりも遅い場合、前記送出し時期を、基準の送出し時期に比べて早くする前記制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の媒体搬送装置において、
前記送出し手段が媒体を送り出す速度を速くする前記制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項8に記載の発明の媒体搬送装置は、
媒体の搬送路上に配置され、媒体を送り出す送出し手段と、
前記送出し手段よりも媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記送出し手段から送り出された媒体が到達する到達時期を検知する検知手段と、
予め定められた前記検知手段への基準到達時期と、前記検知手段が検知した到達時期と、媒体の種類に基づいて、前記送出し手段が媒体を送り出す送出し時期を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の媒体搬送装置において、
媒体の種類が厚紙の場合は、前記送出し時期を、基準の送出し時期よりも早くするように補正を行う前記制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の媒体搬送装置において、
前記媒体搬送装置の設置されている温度および湿度の少なくとも1つを検知する環境検知手段と、
前記環境検知手段が検知した温度および湿度の少なくとも1つに基づいて、前記送出し時期の補正を行う前記制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
前記技術的課題を解決するために、請求項11に記載の発明の画像形成装置は、
媒体が収容される収容手段と、
前記収容手段から媒体を送り出す前記送出し手段を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置で搬送された媒体に画像を記録する画像記録手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,11に記載の発明によれば、用紙搬送手段における媒体が滑る程度が閾値を超えると特定の状態に移行する場合に比べて、単位時間当たりに搬送される媒体の量を確保しつつ、送出し時期の調整可能範囲の上限または下限で調整を行っても基準到達時期と検知された到達時期との差が解消されない場合に、送出し手段が媒体を送り出す速度を調整しており、送出し時期と送り出す速度の一方だけで調整する場合に比べて調整可能な範囲を広くして、搬送不良を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、送出し時期の調整可能範囲の上限または下限にし、且つ、送出し速度を調整して、搬送不良を低減できる。
請求項3に記載の発明によれば、媒体を送り出す速度を調整しても前記基準到達時期と前記検知された到達時期との差が解消されない場合に、搬送不良を回避できる。
請求項4に記載の発明によれば、早着の場合に、送出し時期を遅くして到達時期を基準到達時期に近づけることができる。
請求項5に記載の発明によれば、早着の場合に、送出し速度を遅くして到達時期を基準到達時期に近づけることができる。
請求項6に記載の発明によれば、遅着の場合に、送出し時期を早くして到達時期を基準到達時期に近づけることができる。
請求項7に記載の発明によれば、遅着の場合に、送出し速度を速くして到達時期を基準到達時期に近づけることができる。
【0018】
請求項8、11に記載の発明によれば、用紙搬送手段における媒体が滑る程度が閾値を超えると特定の状態に移行する場合に比べて、単位時間当たりに搬送される媒体の量を確保しつつ、搬送不良を低減することができると共に、媒体の種類を考慮しない場合に比べて、到達時期を基準到達時期により近づけることができる。すなわち、到達時期の精度を向上させることができる。
請求項9に記載の発明によれば、普通紙に比べて遅着しやすい厚紙の場合に、送出し時期を早くして、到達時期を基準到達時期に近づけることができる。
請求項10に記載の発明によれば、温度および湿度を考慮しない場合に比べて、到達時期の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2図2は実施例1の画像の記録部の要部説明図である。
図3図3は実施例1の媒体搬送装置の説明図であり、給紙トレイの要部拡大図である。
図4図4は実施例1の画像形成装置の制御部が備えている各機能をブロック図で示した図である。
図5図5は送出し時期と到達時期の説明図である。
図6図6は実施例1の送出し時期や送出し速度の調整の一例の説明図であり、図6Aは早着の状態で送出し時期の調整で対応可能な場合の説明図、図6Bは早着の状態で送出し時期の調整だけでは対応できず搬送速度も調整して対応可能な場合の説明図、図6Cは早着の状態で送出し時期および搬送速度の調整では対応不能な場合の説明図、図6Dは遅着の状態で送出し時期の調整で対応可能な場合の説明図、図6Eは遅着の状態で送出し時期の調整だけでは対応できず搬送速度も調整して対応可能な場合の説明図、図6Fは遅着の状態で送出し時期および搬送速度の調整では対応不能な場合の説明図である。
図7図7は実施例1の記録用紙の搬送制御処理のフローチャートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0021】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、画像記録手段の一例としてのプリンタ部U1を有する。プリンタ部U1の上部には、読取手段の一例であって、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U2が支持されている。スキャナ部U2の上部には、原稿の搬送装置の一例としてのオートフィーダU3が支持されている。
【0022】
オートフィーダU3の上部には、媒体の収容手段の一例としての原稿トレイTG1が配置されている。原稿トレイTG1には、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容可能である。原稿トレイTG1の下方には、原稿の排出部の一例としての原稿の排紙トレイTG2が形成されている。原稿トレイTG1と原稿の排紙トレイTG2との間には、原稿の搬送路U3aに沿って、原稿の搬送ローラU3bが配置されている。
【0023】
スキャナ部U2の上面には、透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPGが配置されている。実施例1のスキャナ部U2には、プラテンガラスPGの下方に、読取部の一例としての読取ユニットU2aが配置されている。実施例1の読取ユニットU2aは、プラテンガラスPGの下面に沿って、副走査方向の一例としての左右方向に移動可能に支持されている。なお、読取ユニットU2aは、画像処理部GSに電気的に接続されている。
【0024】
図2は実施例1の画像の記録部の要部説明図である。
画像処理部GSは、プリンタ部U1の書込回路DLに電気的に接続されている。書込回路DLは、潜像の形成手段の一例としての露光装置LHy,LHm,LHc,LHkに電気的に接続されている。
実施例1の露光装置LHy~LHkは、一例として、複数のLEDが主走査方向に並んだLEDヘッドにより構成されている。露光装置LHy~LHkは、書込回路DLから入力された信号に応じて、Y,M,C,Kの各色に対応した書込光を出力可能に構成されている。
前記書込回路DLや電源回路Eは、制御手段の一例としての制御部Cからの制御信号に応じて、書込時期や電源の供給時期が制御される。
図1において、露光装置LHy~LHkの上方には、像保持手段の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkが配置されている。図1図2において、各感光体PRy~PRkに書込光が照射される領域により、書込領域Q1y,Q1m,Q1c,Q1kが構成されている。
【0025】
各感光体PRy,PRm,PRc,PRkの回転方向に対して、書込領域Q1y~Q1kの上流側には、帯電手段の一例としての帯電ローラCRy,CRm,CRc,CRkが配置されている。実施例1の帯電ローラCRy~CRkは、感光体PRy~PRkに接触して従動回転可能に支持されている。
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、書込領域Q1y~Q1kの下流側には、現像手段の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkが配置されている。各感光体PRy~PRkと各現像装置Gy~Gkとが対向する領域により、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kが構成されている。
【0026】
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、現像装置Gy~Gkの下流側には、1次転写手段の一例としての1次転写ローラT1y,T1m,T1c,T1kが配置されている。各感光体PRy~PRkと各1次転写ローラT1y~T1kとが対向する領域により、1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kが構成されている。
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、1次転写ローラT1y~T1kの下流側には、清掃手段の一例としての感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkが配置されている。
【0027】
前記Y色の感光体PRy、帯電ローラCRy、露光装置LHy、現像装置Gy、1次転写ローラT1y、感光体クリーナCLyにより、Y色のトナー像を形成する実施例1のY色の可視像の形成手段の一例としてのY色の作像部Uyが構成されている。同様に、各感光体PRm,PRc,PRk、帯電ローラCRm,CRc,CRk、露光装置LHm,LHc,LHk、現像装置Gm,Gc,Gk、1次転写ローラT1m,T1c,T1k、感光体クリーナCLm,CLc,CLkにより、前記M,C,K色の作像部Um,Uc,Ukが構成されている。
【0028】
前記感光体PRy~PRkの上方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。ベルトモジュールBMは、像保持手段の一例であって、中間転写手段の一例としての中間転写ベルトBを有する。中間転写ベルトBは、無端帯状の部材により構成されている。
実施例1の中間転写ベルトBは、張架手段の一例としてのテンションローラRtと、片寄りの補正手段の一例としてのウォーキングローラRwと、従動手段の一例としてのアイドラローラRfと、2次転写領域の対向手段の一例としてのバックアップローラT2aと、1次転写ローラT1y,T1m,T1c,T1kと、駆動部材の一例としての駆動ローラRdにより回転可能に支持されている。実施例1では、駆動ローラRdに駆動が伝達された場合に、中間転写ベルトBが回転する。
【0029】
前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップローラT2aに対向する位置には、2次転写手段の一例としての2次転写ローラT2bが配置されている。バックアップローラT2aおよび2次転写ローラT2b等により、転写装置の一例としての実施例1の2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ローラT2bと中間転写ベルトBとが接触する領域により2次転写領域Q4が構成されている。
中間転写ベルトBの回転方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、中間転写体の清掃装置の一例として、ベルトクリーナCLbが配置されている。
前記1次転写ローラT1y~T1k、中間転写ベルトBおよび2次転写器T2等により、転写手段の一例としての実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。また、作像部Uy~Ukおよび転写装置T1+T2+Bとにより、実施例1の画像の記録部Uy~Uk+T1+T2+Bが構成されている。
【0030】
図1において、作像部Uy~Ukの下方には、案内手段の一例としての左右一対のガイドレールGRが4段設けられている。各ガイドレールGRには、媒体の収容手段の一例としての給紙トレイTR1~TR4が前後方向に出入可能に支持されている。給紙トレイTR1~TR4には、媒体の一例としての記録用紙Sが収容される。
給紙トレイTR1~TR4の左上方には、取出手段の一例としてのピックアップローラRpが配置されている。記録用紙Sの搬送方向に対して、ピックアップローラRpの下流側には、捌き手段の一例としての捌きローラRsが配置されている。記録用紙Sの搬送方向に対して、捌きローラRsの下流側には、媒体の搬送路の一例として、上方に延びる給紙路SH1が形成されている。給紙路SH1には、搬送手段の一例としての複数の搬送ローラRaが配置されている。
【0031】
複写機Uの左下部には、媒体の収容手段の一例としての手差しトレイTR0が配置されている。手差しトレイTR0の右上部には、ピックアップローラRp0が配置され、手差し給紙路SH0が延びている。手差し給紙路SH0は給紙路SH1に合流している。
給紙路SH1には、2次転写領域Q4の上流側に、搬送時期の調節手段の一例としてのレジローラRrが配置されている。レジローラRrから2次転写領域Q4に向けて搬送路SH2が延びている。
【0032】
記録用紙Sの搬送方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、定着手段の一例としての定着装置Fが配置されている。定着装置Fは、加熱用の定着部材の一例としての加熱ローラFhと、加圧用の定着部材の一例としての加圧ローラFpと、を有する。加熱ローラFhと加圧ローラFpとの接触領域により定着領域Q5が構成されている。
プリンタ部U1の上面には、媒体の排出部の一例としての下段排紙トレイTRhが形成されている。定着装置Fの上方には、搬送路の一例としての排紙路SH3が下段排紙トレイTRhに向けて延びている。排紙路SH3の下流端には、媒体の搬送手段の一例としての排紙ローラRhが配置されている。
【0033】
下段排紙トレイTRhの上方には、媒体の排出部の一例としての上段排紙トレイTRh2が配置されている。定着装置Fの上方には、排紙路SH3から分岐して、上段排紙トレイTRh2に向けて延びる上方搬送路SH4が形成されている。
上方搬送路SH4には、媒体の搬送手段の一例としての正逆回転可能な反転ローラRbが配置されている。排紙路SH3と上方搬送路SH4との分岐位置よりも上方には、媒体の搬送路の一例としての反転路SH6が上方搬送路SH4から左下方に分岐している。
排紙路SH3と上方搬送路SH4との分岐部分と、上方搬送路SH4と反転路SH6との分岐部分とに渡る形で、切替手段の一例としてのゲートGT1が配置されている。ゲートGT1は、定着装置Fからの記録用紙Sを下段排紙トレイTRhに向けて案内すると共に、上方搬送路SH4から反転路SH6に記録用紙Sを案内する第1の案内位置(第2の位置)と、定着装置Fからの記録用紙Sを上方搬送路SH4に案内する第2の案内位置(第1の位置)との間で切替可能に支持されている。
前記反転路SH6には、媒体の搬送手段の一例としての複数の搬送ローラRaが配置されている。反転路SH6の下流端は、レジローラRrの上流側で給紙路SH1に合流している。
【0034】
(画像形成動作の説明)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う場合には、読取ユニットU2aが初期位置から左右方向に移動して、プラテンガラスPG上の原稿Giが、露光されながら走査される。また、前記オートフィーダU3を使用して自動的に原稿Giを搬送して複写を行う場合には、原稿トレイTG1に収容された複数の原稿Giは、プラテンガラスPG上の原稿の読み取り位置に順次搬送されて通過し、原稿の排紙トレイTG2に排出される。プラテンガラスPG上の読み取り位置を順次通過する各原稿Giは、読取ユニットU2aに露光されて走査される。なお、原稿Giからの反射光は、読取ユニットU2aで受光される。前記読取ユニットU2aは、受光された原稿Giの反射光を電気信号に変換する。なお、原稿Giの両面読取りが行われる場合には、読取りセンサでも原稿Giが読み取られる。
【0035】
画像処理部GSは、読取ユニットU2aから出力された電気信号が入力される。画像処理部GSは、読取ユニットU2aが読み取ったR,G,Bの色の画像の電気信号を、潜像形成用のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像情報に変換する。画像処理部GSは、変換後の画像情報をプリンタ部U1の書込回路DLに出力する。なお、画像処理部GSは、画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒Kのみの画像情報を書込回路DLに出力する。
書込回路DLは、入力された画像情報に応じた制御信号を、露光装置LHy~LHkに出力する。露光装置LHy~LHkは、制御信号に応じた書込光を出力する。
【0036】
各感光体PRy~PRkは、画像形成が開始されると回転駆動する。帯電ローラCRy~CRkには、電源回路Eから帯電電圧が印加される。したがって、感光体PRy~PRkの表面は、帯電ローラCRy~CRkにより帯電される。帯電された感光体PRy~PRkは、書込領域Q1y~Q1kにおいて、露光装置LHy~LHkにより、表面に静電潜像が形成される。感光体PRy~PRkの静電潜像は、現像領域Q2y~Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkにより可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0037】
現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて、1次転写ローラT1y~T1kには、電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。したがって、各感光体PRy~PRk上のトナー像は、1次転写ローラT1y~T1kにより、中間転写ベルトBに転写される。なお、多色のトナー像の場合、上流側の1次転写領域で中間転写ベルトBに転写されたトナー像に重ねて、下流側のトナー像が転写される。
1次転写後の感光体PRy~PRkの残留物、付着物は、感光体クリーナCLy~CLkにより清掃される。清掃された感光体PRy~PRk表面は、帯電ローラCRy~CRkにより再帯電される。
1次転写領域Q3y~Q3kで1次転写ローラT1y~T1kにより中間転写ベルトB上に転写された単色または多色のトナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
【0038】
画像が記録される記録用紙Sは、使用される給紙トレイTR1~TR4のピックアップローラRpにより、取り出される。ピックアップローラRpで取り出された記録用紙Sは、複数枚の記録用紙Sが重ねて取り出された場合、捌きローラRsにより1枚ずつに分離される。捌きローラRsで分離された記録用紙Sは、搬送ローラRaにより給紙路SH1を搬送される。給紙路SH1を搬送された記録用紙Sは、レジローラRrに送られる。手差しトレイTR0に積載された記録用紙Sも、ピックアップローラRp0で手差し給紙路SH0を通じて給紙路SH1に送られる。
レジローラRrは、中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期を合わせて、記録用紙Sを2次転写領域Q4に搬送する。2次転写ローラT2bには、電源回路Eによりトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。したがって、中間転写ベルトB上のトナー像は、中間転写ベルトBから記録用紙Sに転写される。
【0039】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、表面に付着した付着物等がベルトクリーナCLbにより清掃される。
前記トナー像が2次転写された記録用紙Sは、定着領域Q5を通過する際に加熱定着される。
画像が定着された記録用紙Sが下段排紙トレイTRhに排出される場合は、ゲートGT1が第1の案内位置に移動する。したがって、定着装置Fから送り出された記録用紙Sは、排紙路SH3を搬送される。排紙路SH3を搬送された記録用紙Sは、排紙ローラRhにより下段排紙トレイTRhに排出される。
【0040】
記録用紙Sが上段排紙トレイTRh2に排出される場合は、ゲートGT1が第2の案内位置に移動して、上段排紙トレイTRh2に排出される。
記録用紙Sが両面印刷される場合、ゲートGT1が第2の案内位置に移動する。そして、記録用紙Sの後端がゲートGT1を通過すると、ゲートGT1が第1の案内位置に移動すると共に、反転ローラRbが逆回転する。したがって、記録用紙Sは、ゲートGT1に案内されて、反転路SH6に送られる。
【0041】
図3は実施例1の媒体搬送装置の説明図であり、給紙トレイの要部拡大図である。
図3において、実施例1の媒体搬送装置1では、送出し手段の一例としての前記ピックアップローラRpや、前記捌きローラRs、搬送手段の一例としての前記搬送ローラRaを有する。媒体の搬送路の一例としての給紙路SH1には、検知手段の一例としての用紙センサSN1,SN2が複数配置されている。第1の用紙センサSN1は、各給紙トレイTR1~TR4の捌きローラRsの下流側に配置されている。第2の用紙センサSN2は、捌きローラRsの下流側の各搬送ローラRaの下流側に配置されている。
【0042】
(実施例1の制御部の説明)
図4は実施例1の画像形成装置の制御部が備えている各機能をブロック図で示した図である。
図4において、複写機Uの制御手段の一例としての制御部(コントローラ)Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0043】
(制御部Cに接続された信号出力要素)
制御部Cは、ユーザインタフェースUI、第1の用紙センサSN1、第2の用紙センサSN2、環境検知手段の一例としての温度センサSN3、環境検知手段の一例としての湿度センサSN4等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
ユーザインタフェースUIは、入力部材の一例として、コピースタートキーやテンキー、矢印等の入力を行う入力ボタンUIaを有する。
第1の用紙センサSN1は、捌きローラRsから送り出された記録用紙Sを検出する。
第2の用紙センサSN2は、搬送ローラRaから送り出された記録用紙Sを検出する。
温度センサSN3は、複写機Uが設置された環境の温度を検出する。
湿度センサSN4は、複写機Uが設置された環境の湿度を検出する。
【0044】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、主駆動源の駆動回路D1や送出し手段の駆動回路D2、電源回路E、その他の図示しない制御要素に接続されている。制御部Cは、各回路D1,D2,E等へ、それらの制御信号を出力している。
D1:主駆動源の駆動回路
主駆動源の駆動回路D1は、主駆動源の一例としてのメインモータM1を介して、感光体PRy~PRkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
【0045】
E:電源回路
電源回路Eは、現像用の電源回路Ea、帯電用の電源回路Eb、転写用の電源回路Ec、定着用の電源回路Ed等を有している。
Ea:現像用の電源回路
現像用の電源回路Eaは、現像装置Gy~Gkの現像ローラに現像電圧を印加する。
Eb:帯電用の電源回路
帯電用の電源回路Ebは、帯電ローラCRy~CRkそれぞれに感光体PRy~PRk表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
【0046】
Ec:転写用の電源回路
転写用の電源回路Ecは、1次転写ローラT1y~T1kや2次転写ローラT2bに転写電圧を印加する。
Ed:定着用の電源回路
定着用の電源回路Edは、定着装置Fの加熱ローラFhのヒータに電力を供給する。
【0047】
D2:送出し手段の駆動回路
送出し手段の駆動回路D2は、駆動源の一例としてのモータM2を介して、ピックアップローラRpを回転させる。
【0048】
(制御部Cの機能)
制御部Cは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能を有している。
C1:画像形成の制御手段
画像形成の制御手段C1は、ユーザインタフェースUIへの入力や外部のパーソナルコンピュータ等からの画像情報の入力に応じて、スキャナ部U2やプリンタ部U1の各部材の駆動や各電圧の印加時期等を制御して、画像形成動作であるジョブを実行する。
【0049】
C2:駆動源の制御手段
駆動源の制御手段C2は、主駆動源の駆動回路D1を介して、メインモータM1の駆動を制御し、感光体PRy~PRk等の駆動を制御する。
C3:電源回路の制御手段
電源回路の制御手段C3は、各電源回路Ea~Edを制御して、各部材へ印加される電圧や、各部材へ供給される電力を制御する。
【0050】
C4:送出し時期の記憶手段
送出し時期の記憶手段C4は、ピックアップローラRpで記録用紙Sを送り出す時期の一例としての給紙タイミングを記憶している。実施例1の送出し時期の記憶手段C4は、初期状態では、複写機Uの単位時間当たりの印刷枚数や記録用紙Sの大きさに基づく給紙間隔に応じた給紙タイミングが、標準の給紙タイミングとして記憶されており、後述する送り出し時期の決定に伴って更新される。
C5:送出し速度の記憶手段
送出し速度の記憶手段C5は、ピックアップローラRpや捌きローラRs、搬送ローラRaで記録用紙Sを送り出す速度を記憶している。実施例1の送出し速度の記憶手段C5は、初期状態では、複写機Uの単位時間当たりの印刷枚数や記録用紙Sの大きさに基づく給紙間隔に応じた搬送速度が、標準の搬送速度として記憶されており、後述する搬送速度の決定に伴って更新される。
【0051】
C6:媒体の通過検知手段
媒体の通過検知手段C6は、用紙センサSN1,SN2の検知結果から、記録用紙Sの通過を検知する。実施例1の媒体の通過検知手段C6は、第1の用紙センサSN1を記録用紙Sの前端が通過したか否かを検知する。
C7:到達時期の算出手段
到達時期の算出手段C7は、予め定められた位置の一例としての第1の用紙センサSN1の位置を記録用紙Sが通過した時期を算出する。実施例1の到達時期の算出手段C7は、ピックアップローラRpで給紙を開始してから、第1の用紙センサSN1が記録用紙Sの前端を検知するまでの時間(通過時間)を算出することで、記録用紙Sが第1の用紙センサSN1に到達した時期を算出する。
【0052】
C8:到達時期の記憶手段
到達時期の記憶手段C8は、記録用紙Sが第1の用紙センサSN1を通過した時期を記憶する。実施例1の到達時期の記憶手段C8は、到達時期の算出手段C7が算出した通過時間を記憶する。実施例1では、過去複数枚分の通過時間を記憶しており、一例として、直近の過去10枚分の通過時間を履歴として記憶している。
C9:補正時期の判別手段
補正時期の判別手段C9は、送り出し時期や送り出し速度の補正をする時期になったか否かを判別する。実施例1では、一例として、10枚給紙するたびに補正をする時期になったと判別する。
【0053】
C10:推定到達時期の算出手段
推定到達時期の算出手段C10は、送出し時期や送出し速度の補正をする時期になった場合に、到達時期の記憶手段C8に記憶された過去の通過時間から、次に実行されるジョブにおいて記録用紙Sが第1の用紙センサSN1に到達する時期を推定する。実施例1の推定到達時期の算出手段C10は、一例として、過去10枚分の通過時間の平均を算出することで、推定到達時期を算出する。
C11:環境情報の取得手段
環境情報の取得手段C11は、環境情報を取得する。実施例1の環境情報の取得手段C11は、温度センサSN3および湿度センサSN4の検知結果から、環境温度と環境湿度を取得する。
【0054】
C12:環境補正手段
環境補正手段C12は、環境情報に基づいて、推定到達時期を補正する。実施例1の環境補正手段C12では、一例として、高温の場合は、低温の場合に比べて、到達時期が早期になる(早着する)ように補正する。高温の場合はピックアップローラRpの表面のゴムの粘性が低温の場合に比べて向上したり、ピックアップローラRpが熱膨張で径が大きくなり、記録用紙SがピックアップローラRpで滑る程度の一例としてのスリップ率が低下して、記録用紙Sが低温の場合よりも早期に到達しやすい。よって、環境温度が実験等で予め定められた温度(閾値)に達する場合には、推定到達時期を予め定められた補正時間だけ早期に補正する。
また、実施例1の環境補正手段C12は、一例として、高湿の場合は低湿の場合に比べて到達時期が早期になるように補正する。すなわち、高湿の場合は低湿の場合に比べて、記録用紙Sの含水率が高くなって滑り難かったり、静電気が低減されて記録用紙Sどうしの分離が円滑に行われたりして、スリップ率が低下する。よって、環境湿度が、実験等で予め定められた湿度(閾値)に達する場合には、推定到達時期を予め定められた補正時間だけ早期に補正する。
【0055】
C13:媒体種類の取得手段
媒体種類の取得手段C13は、ジョブで使用される記録用紙Sの種類を取得する。実施例1の媒体種類の取得手段C13は、各給紙トレイTR1~TR4に収容されている記録用紙Sの種類が予め登録されており、この登録された情報とジョブで使用される給紙トレイTR1~TR4とに基づいて、ジョブで使用される記録用紙Sの種類を取得する。なお、記録用紙Sの種類は、一例として、普通紙、薄紙、厚紙等があげられる。
C14:媒体補正手段
媒体補正手段C14は、ジョブで使用される媒体の種類に基づいて、推定到達時期を補正する。実施例1の媒体補正手段C14は、一例として、ジョブで使用される記録用紙Sが「厚紙」の場合には、厚紙以外の場合に比べて、到達時期が遅くなる(遅着する)ように補正する。厚紙の場合は、普通紙等に比べて、紙の剛性が高い(=柔軟性が低い、撓みにくい)。給紙路SH1を記録用紙Sが搬送される際に、給紙路SH1が湾曲している部分では、紙の剛性が高いと、紙が湾曲しにくく、送り込む際に負荷、搬送抵抗がかかる。したがって、記録用紙Sと搬送手段であるピックアップローラRpや捌きローラRsとの間でスリップが発生しやすい。したがって、実施例1では、媒体の種類が撓みにくい媒体の一例としての厚紙の場合には、推定到達時間を実験等で予め定められた補正時間だけ遅延するように補正する。
【0056】
図5は送出し時期と到達時期の説明図である。
C15:到達時期の判別手段
到達時期の判別手段C15は、記録用紙Sが第1の用紙センサSN1に到達する推定到達時期が、正常範囲であるか否かを判別する。図5において、到達時期の判別手段C15は、設計や仕様等で予め定められた基準の送出し時期T1aから記録用紙Sが基準の搬送速度V1で搬送された場合に、記録用紙Sが第1の用紙センサSN1に到達する基準到達時期t2aが予め定められている。また、基準到達時期t2aに対して許容される到達時期の余裕、マージンが、正常範囲t2として予め定められている。したがって、実施例1の到達時期の判別手段C15は、算出された推定到達時期が正常範囲t2に収まっているか否かを判別する。なお、到達時期の判別手段C15は、環境補正手段C12や媒体補正手段C14での補正がされた場合は、補正後の推定到達時期に基づいて判別を行う。
【0057】
なお、図5において、基準の送出し時期T1aに対して早着時に送出し時期を調整することが可能な範囲が、早着補正可能範囲t1aとして予め定められ、遅着時に送出し時期を調整することが可能な範囲が、遅着補正可能範囲t1bとして予め定められている。よって、早着補正可能範囲t1aと遅着補正可能範囲t1bとで、送出し時期の調整可能範囲の一例としての送出し時期の補正可能範囲t1が構成されている。また、搬送速度の補正が可能な上限および下限が減速限界速度V1aおよび増速限界速度V1bとして、設計や仕様等で予め定められ、搬送速度で到達時期を調整可能な範囲である搬送速度の補正可能範囲t3も予め定められている。これらの各情報T1a,t2a,t1a,t1b,t1,t2,t3,V1,V1a,V1bが、図示しない記憶手段に記憶されている。
【0058】
C16:時期補正内の判別手段
時期補正内の判別手段C16は、到達時期の判別手段C15で推定到達時期が正常範囲t2に収まっていないと判別された場合は、送出し時期の補正可能範囲t1で送出し時期を調整することで、到達時期を正常範囲t2内とすることが可能であるか否かを判別する。時期補正内の判別手段C16は、記録用紙Sの搬送速度を変更せずに、送出し時期を変更することで、到達時期を正常範囲t2にすることができるか否かを判別する。すなわち、図5において、傾斜するグラフの線を平行移動させることに相当する。そして、早着の場合は図5において送出し時期を遅らせる側に移動させ、遅着の場合は送出し時期を早める側に移動させる。そして、実施例1の時期補正内の判別手段C16は、補正可能範囲t1の上限または下限まで移動させると、推定到達時期が正常範囲t2に入る場合は、補正可能範囲t1での送出し時期の調整で、到達時期を正常範囲t2にすることが可能と判別する。一方、補正可能範囲t1の上限または下限まで移動させても推定到達時期が正常範囲t2に入らない場合は、補正可能範囲t1での送出し時期の調整で、到達時期を正常範囲t2にすることは不能と判別する。
【0059】
C17:速度補正内の判別手段
速度補正内の判別手段C17は、推定到達時期が正常範囲t2に収まっていない場合に、搬送速度の補正可能範囲t3で搬送速度を調整することで、到達時期を正常範囲t2内とすることが可能であるか否かを判別する。実施例1の速度補正内の判別手段C17は、時期補正内の判別手段C16で不能と判別された場合に、搬送速度の調整で正常範囲t2内にすることが可能か否かを判別する。具体的には、早着と判別された場合は、早着補正可能範囲t1aの限界の早着限界時期T1bを送り出し時期として、搬送速度を減速限界速度V1aとした場合に、推定到達時期が正常範囲t2内に収まれば、速度補正内の判別手段C17は、搬送速度を調整することで、到達時期を正常範囲t2内とすることが可能であると判別する。なお、遅着の場合は、遅着補正可能範囲t1bの限界の遅着限界時期T1cを送り出し時期として、搬送速度を増速限界速度V1bとした場合に、推定到達時期が正常範囲t2内に収まれば、速度補正内の判別手段C17は、搬送速度を調整することで、到達時期を正常範囲t2内とすることが可能であると判別する。そして、いずれの場合にも該当しなければ、到達時期を正常範囲t2内とすることが不能と判別する。
【0060】
C18:送出し時期の決定手段
送出し時期の決定手段C18は、各判別手段C15~C17の判別結果に基づいて、送出し時期を決定する。実施例1の送出し時期の決定手段C18は、到達時期の判別手段C15で正常範囲t2に収まっていると判別された場合は、基準送出し時期T1aを、ジョブでの送出し時期に決定する。また、時期補正内の判別手段C16において、補正可能範囲t1での送出し時期の調整で、到達時期を正常範囲t2とすることが可能な場合は、補正可能範囲t1での送出し時期の調整で、基準到達時期t2aにすることが可能であれば、そのときの送出し時期をジョブでの送出し時期に決定し、補正可能範囲t1の限界時期T1b,T1cとしても基準到達時期t2aにはできないが正常範囲t2とすることが可能な場合は、限界時期T1b,T1cをジョブでの送り出し時期に決定する。また、速度補正内の判別手段C17で到達時期を正常範囲t2内にすることが可能と判別された場合は、送出し時期の補正可能範囲t1の限界時期T1b,T1cをジョブでの送出し時期に決定する。
【0061】
C19:送出し速度の決定手段
送出し速度の決定手段C19は、各判別手段C15~C17の判別結果に基づいて、送出し速度の一例としての搬送速度を決定する。実施例1の送出し速度の決定手段C19は、速度補正内の判別手段C17で搬送速度の補正で到達時期を正常範囲t2とすることが可能と判別された場合は、その時の搬送速度をジョブでの搬送速度に決定する。なお、到達時期の判別手段C15や時期補正内の判別手段C16で正常範囲t2とすることが可能と判別された場合は、基準の搬送速度V1をジョブでの搬送速度に決定する。
C20:給紙制御手段
給紙制御手段C20は、モータM2を制御して、ジョブが実行される場合にピックアップローラRpや捌きローラRs等の送出し時期や搬送速度を制御する。実施例1の給紙制御手段C20は、各決定手段C18,C19で決定された送出し時期や搬送速度でピックアップローラRp等を制御する。すなわち、実施例1の給紙制御手段C20は、基準到達時期t2aに対する第1の用紙センサSN1が検知した到達時期に基づいて、ピックアップローラRpが記録用紙Sを送り出す送出時期を制御している。
【0062】
図6は実施例1の送出し時期や送出し速度の調整の一例の説明図であり、図6Aは早着の状態で送出し時期の調整で対応可能な場合の説明図、図6Bは早着の状態で送出し時期の調整だけでは対応できず搬送速度も調整して対応可能な場合の説明図、図6Cは早着の状態で送出し時期および搬送速度の調整では対応不能な場合の説明図、図6Dは遅着の状態で送出し時期の調整で対応可能な場合の説明図、図6Eは遅着の状態で送出し時期の調整だけでは対応できず搬送速度も調整して対応可能な場合の説明図、図6Fは遅着の状態で送出し時期および搬送速度の調整では対応不能な場合の説明図である。
図6Aにおいて、具体的には、実施例1の給紙制御手段C20は、第1の用紙センサSN1が検知した到達時期から算出された推定到達時期が基準到達時期t2aよりも早い場合(早着の場合)、送出し時期を基準の送出し時期T1aに比べて遅くする。また、図6Bにおいて、早着時に、送出し時期の調整だけで正常範囲t2とならない場合は、ピックアップローラRpが記録用紙Sを送り出す速度を遅くするように調整する。なお、図6Cに示すように、送出し時期および搬送速度を調整しても正常範囲t2とならない場合は、調整不能として給紙を停止して、画像形成が停止される。
【0063】
また、図6Dにおいて、実施例1の給紙制御手段C20は、第1の用紙センサSN1が検知した到達時期から算出された推定到達時期が基準到達時期t2aよりも遅い場合(遅着の場合)、送出し時期を基準の送出し時期T1aに比べて早くする。また、図6Eに示すように、遅着時に、送出し時期の調整だけで正常範囲t2とならない場合は、ピックアップローラRpが記録用紙Sを送り出す速度を速くするように調整する。さらに、図6Fに示すように、送出し時期および搬送速度を調整しても正常範囲t2とならない場合は、調整不能として給紙を停止して、画像形成が停止される。
特に、実施例1の給紙制御手段C20では、ピックアップローラRpが送り出す速度の調整は、送出し時期の補正可能範囲t1に対して、上限(早着限界時期T1b)または下限(遅着限界時期T1c)で調整を行っても基準到達時期と検知された到達時期との差が解消されない場合、すなわち、正常範囲t2とならない場合は、ピックアップローラRpが記録用紙Sを送り出す速度を調整している。
【0064】
また、実施例1の給紙制御手段C20では、厚紙の場合は、推定到達時期が遅くなるように補正がされており、結果として、送出し時期が早くなるように調整されやすくなっている。すなわち、記録用紙Sの種類に基づいて送出し時期の補正が行われることになると共に、厚紙の場合は、基準の送出し時期T1aよりも早くなりやすい。
さらに、実施例1の給紙制御手段C20では、環境温度および環境湿度に基づいて、推定到達時期が補正され、結果として、送出し時期も補正されやすくなっている。すなわち、環境温度および環境湿度に基づいて、送出し時期の補正が行われやすい。
【0065】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1の複写機Uにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(搬送制御処理のフローチャートの説明)
図7は実施例1の記録用紙の搬送制御処理のフローチャートの説明図である。
図7のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記複写機Uの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は複写機Uの他の各種処理と並行して実行される。
図7に示すフローチャートは複写機Uの電源投入により開始される。
【0066】
図7のST1において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、次の処理(1)~(3)が実行して、ST3に進む。
(1)到達時期の履歴情報を取得する。
(2)環境情報、すなわち、環境温度および環境湿度の情報を取得する。
(3)記録用紙Sの種類情報を取得する。
ST3において、取得した履歴情報から推定到達時期を算出する。そして、ST4に進む。
ST4において、環境情報から推定到達時期を補正する。そして、ST5に進む。
ST5において、記録用紙Sの種類は厚紙か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST7に進む。
ST6において、推定到達時期を補正する。そして、ST7に進む。
【0067】
ST7において、推定到達時期は正常範囲か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST8に進み、ノー(N)の場合はST13に進む。
ST8において、決定された送出し時期および送出し速度で給紙を実行する。そして、ST9に進む。
ST9において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST10に進む。
(1)給紙開始から第1の用紙センサSN1の通過時間を1枚ごとに計測して保存する。(2)給紙枚数を計数する。
ST10において、給紙枚数が閾値(実施例1では10枚)に達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST11に進み、ノー(N)の場合はST12に進む。
ST11において、給紙枚数を初期化、いわゆるリセットして、ST2に戻る。
ST12において、ジョブが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST1に戻り、ノー(N)の場合はST10に戻る。
【0068】
ST13において、推定到達時期のずれ量(早着または遅着)は送出し時期の補正範囲内であるか否か、すなわち、送出し時期の補正可能範囲t1内での補正で、推定到達時期を正常範囲t2とすることが可能であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST14に進み、ノー(N)の場合はST15に進む。
ST14において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST8に戻る。
(1)推定到達時期のずれ量に応じて、補正可能範囲t1とすることが可能な送出し時期に決定する。
(2)送出し速度は基準の搬送速度V1に決定する。
【0069】
ST15において、送出し時期を補正可能範囲t1の限界値、すなわち、早着の場合は早着限界時期T1bとし、遅着の場合は遅着限界時期T1cとする。そして、ST16に進む。
ST16において、送出し速度を変えて推定到達時期を再計算する。そして、ST17に進む。
ST17において、推定到達時期のずれ量は、送出し速度の補正範囲内であるか否か、すなわち、搬送速度の補正可能範囲t3内での補正で、推定到達時期を正常範囲t2とすることが可能であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST18に進み、ノー(N)の場合はST19に進む。
ST18において、推定到達時期のずれ量に応じた送出し速度に決定する。そして、ST8に戻る。
ST19において、送出し時期や送出し速度の調整で正常範囲t2にすることができず、給紙ができないことや、部品の交換等の保守点検を促す旨の表示であるメンテナンス表示をユーザインタフェースUIの表示画面に行う。そして、エラー終了する。
【0070】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、ジョブ開始時や所定枚数(10枚)印刷する度に、送出し時期や送出す際の搬送速度の補正が行われる。補正は、直近の搬送における履歴や環境、用紙の種類に応じて、推定到達時期が正常範囲t2となるように、送出し時期のみの調整や送出し時期および搬送速度の両方の調整を行う。
記録用紙Sが搬送される際に、ピックアップローラRpや捌きローラRsの表面の経時的な摩耗や劣化、紙粉の付着、記録用紙Sの種類等で、摩擦係数が変動し、各ローラRp,Rsと記録用紙Sとが滑る現象、いわゆる、スリップすることがある。特に、スリップは、搬送路SH0~SH6の中でもピックアップローラRpやレジローラRr、反転ローラRbのように、記録用紙Sが停止した状態から所定の搬送速度まで上昇させる箇所、すなわち、速度差が大きな場所で発生しやすい。したがって、捌きローラRsの下流側の搬送ローラRaでは比較的スリップは発生しにくい。
【0071】
そして、スリップが多く、大きくなると遅着しやすくなり、スリップが小さく、少なくなると早着しやすくなる。複写機Uでは、各用紙センサSN1,SN2を記録用紙が通過する時期に基づいて、紙詰まりの判定を行っている。したがって、スリップして正常範囲t2よりも遅く到達しすぎたり、いつまでも到達しない場合は、紙詰まりと判定される。また、早くまたは遅く到達しすぎると、転写時に記録用紙Sの目的の位置に画像が転写されなかったり、画像の間の非画像領域、いわゆるインターイメージ領域に画質調整用の画像、いわゆるパッチ画像等が形成されている場合は、パッチ画像に記録用紙Sが接触して記録用紙Sが汚れる問題もある。
特許文献1記載の従来技術のように、スリップ量が閾値を超えた場合に、特定のモードに移行する構成では、特定のモードではスリップ量に対して余裕、いわゆるマージンを十分に取ることになり、単位時間当たりの印刷枚数(生産性)があげられない問題があると共に、通常のモードではスリップ量に対してマージンが少ないため、閾値の近傍で閾値を超えない状態では、マージンが不足する恐れもある。
なお、材料を厳選する等でスリップを極力抑制しようとすると、製造費用が高くなる問題もある。
【0072】
これに対して、実施例1では、ジョブ開始時や所定枚数印刷する度に、送出し時期や搬送速度の調整が行われる。したがって、ピックアップローラRp等の劣化や摩耗が進むにつれて、遅着する傾向があれば、その傾向に合わせて、その都度送出し時期や搬送速度の調整がされる。すなわち、劣化等が少ないと、調整も小さく、劣化等が大きくなると調整も大きくなる。したがって、スリップ量が閾値を超えると別のモードに移行する場合に比べて、到達時期も安定しやすい。すなわち、特許文献1に比べて、到達時期が不安定な搬送不良が低減され、調整も劣化等の程度に応じたものがその都度されるため、劣化の程度に応じて最適に近い生産性となり、生産性への悪影響も抑制される。
また、実施例1では、送出し時期の調整をまず行ってから、送出し時期の調整だけでは正常範囲t2とならない場合に、搬送速度の調整も行われる。したがって、いずれか一方のみで調整を行う場合に比べて、調整可能な範囲が広くなり、遅着や早着が大きくても対応可能である。
【0073】
さらに、実施例1では、記録用紙Sの種類が、送出し時期等の調整に反映される。したがって、ピックアップローラRpや捌きローラRsのような複写機U側の状況だけでなく、記録用紙Sの種類も考慮されて、送出し時期等が調整される。したがって、種類が考慮されない場合に比べて、到達時期が、より正常範囲t2となりやすい。すなわち、用紙搬送の精度が向上する
また、実施例1では、環境温度や環境湿度が、送出し時期等の調整に反映される。したがって、環境が考慮されない場合に比べて、到達時期がより正常範囲t2となりやすい。
【0074】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機Uを例示したが、これに限定されず、FAXに適用したり、FAXや、プリンタ、複写機などの複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、例示した具体的な数値は、設計や仕様の変更に応じて適宜変更可能である。したがって、10枚ごとに調整を行うのではなく、1枚ごとに行ったり、15枚毎に行うようにすることも可能である。1枚ごとに行った場合は、先行する記録用紙Sについて検知した到達時間から、後続の記録用紙Sの送出し時期等を調整することに相当する。
【0075】
(H03)前記実施例において、ピックアップローラRpや捌きローラRsの送出し時期や送出し速度の調整を行う場合を例示したが、これに限定されない。例えば、レジローラRrや反転路SH6に媒体を引き込む際に、一度停止して逆方向に搬送する動作、スイッチバックを行う反転ローラRb、あるいは、手差しトレイTR0のピックアップローラRp0、オートフィーダU3のピックアップローラや、スキュー補正用のローラ等にも適用することが可能である。
(H04)前記実施例において、送出し時期と送出し速度の両方を調整する場合を例示したが、これに限定されない。いずれか一方のみを調整する構成とすることも可能である。
【0076】
(H05)前記実施例において、記録用紙Sの種類や環境温度、環境湿度を送出し時期等の調整に反映することが望ましいが、これに限定されない。例えば、記録用紙Sの種類は考慮しないとか、環境温度と環境湿度のどちらかしか使用しないとか、両方使用しないとか、の変更も可能である。他にも、例えば、片面に画像が印刷されている媒体、いわゆる裏紙を使用する場合に、画像がスリップしやすいことを送出し時期の調整に反映する等、任意のパラメータを追加することも可能である。
(H06)前記実施例において、第1の用紙センサSN1までの到達時間から送り出し時期等の調整を行う構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第2の用紙センサSN2までの到達時間から調整を行うようにすることも可能であるし、給紙開始から第1の用紙センサSN1までの到達時間と、第1の用紙センサSN1から第2の用紙センサSN2までの到達時間の両方を加算して、送出し時期等の調整に反映させることも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…媒体搬送装置、
C…制御手段、
Rp…送出し手段、
S…媒体、
SH1…搬送路、
SN1…検知手段、
SN3,SN4…環境検知手段、
T2a…基準到達時期、
TR1~TR4…収容手段、
U…画像形成装置、
U1…画像記録手段。
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