(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】閃光照射装置
(51)【国際特許分類】
H01J 61/90 20060101AFI20231226BHJP
H01J 61/80 20060101ALI20231226BHJP
H01J 61/54 20060101ALI20231226BHJP
H01J 61/56 20060101ALI20231226BHJP
F21L 4/00 20060101ALI20231226BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20231226BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231226BHJP
H05B 45/00 20220101ALI20231226BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20231226BHJP
【FI】
H01J61/90
H01J61/80
H01J61/54 H
H01J61/56 H
F21L4/00 621
F21V19/00 130
F21V23/00 170
F21V23/00 160
H05B45/00
F21Y101:00 300
(21)【出願番号】P 2019186647
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】北川 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】中村 祥章
(72)【発明者】
【氏名】寺口 賢二
【審査官】大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-187758(JP,A)
【文献】特開2009-230828(JP,A)
【文献】特開2006-013124(JP,A)
【文献】特開2002-231488(JP,A)
【文献】特開2005-243797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/90
H01J 61/80
H01J 61/54
H01J 61/56
F21L 4/00
F21V 19/00
F21V 23/00
H05B 45/00
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフラッシュランプを備えた閃光照射装置であって、
偶数本の前記フラッシュランプが直列接続されてなる光源部を複数備える光源ユニットと、
前記光源部の接続端子が着脱可能に接続される端子接続面を有する給電端子台と、を備え、
前記複数のフラッシュランプは、それぞれ互いに平行にかつ平面状に配列されるとともに、隣接する前記フラッシュランプに流れる電流が互いに逆向きになるように配置されており、
前記接続端子は、前記フラッシュランプの長手方向の一端側に集約されて、極性毎に、前記給電端子台における異なる前記端子接続面に接続され
、異なる前記端子接続面の間に段差があることを特徴とする閃光照射装置。
【請求項2】
前記光源部は、
直列接続された前記偶数本のフラッシュランプの両端から引き出され、前記接続端子を有する第1のリード線と、
前記偶数本のフラッシュランプ同士を接続するU字状の第2のリード線と、を備え、
前記第1のリード線が前記一端側から引き出されるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の閃光照射装置。
【請求項3】
前記給電端子台は、前記フラッシュランプの長手方向の前記一端側に配置され、前記端子接続面に、前記接続端子を着脱可能に接続する複数の端子固定部を備え、
前記複数の端子固定部は、前記複数のフラッシュランプが配列する方向において、前記第1のリード線が引き出される前記フラッシュランプに対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の閃光照射装置。
【請求項4】
前記光源ユニットを収容するランプハウスを備え、
前記給電端子台は、前記ランプハウス内において、前記ランプハウスの一側面に前記端子接続面を対向させて配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の閃光照射装置。
【請求項5】
前記ランプハウスの前記一側面は、前記フラッシュランプの長手方向に対して直交する面であり、
前記光源ユニットは、前記ランプハウスの前記一側面側から、前記フラッシュランプの長手方向に抜き差し可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の閃光照射装置。
【請求項6】
前記フラッシュランプに放電を開始させるための始動用補助電極をさらに備え、
前記始動用補助電極の接続端子は、前記給電端子台に着脱可能に接続されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の閃光照射装置。
【請求項7】
複数の前記光源部のそれぞれに対応して設けられ、前記光源部を構成する前記偶数本のフラッシュランプにエネルギーを供給するコンデンサと、
前記複数の光源部のそれぞれに対応する複数の前記コンデンサを充電する共通の電源と、を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の閃光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフラッシュランプを有する閃光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面加熱や表面処理、表面殺菌など種々の産業分野において、瞬間的に強い光を発生させることができるフラッシュランプが利用されている。例えば、半導体の製造工程の一つである加熱工程においては、半導体ウェハの表層部分を高い均一性で所定の温度に加熱するために、被処理物の大きさに応じて複数のフラッシュランプを互いに平行に配置した閃光照射装置が用いられる。
このような閃光照射装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、ランプ間に働く電磁力(ローレンツ力)を軽減するために、各フラッシュランプを、隣接するランプ間で電流が逆向きに流れるように配設する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の閃光照射装置に用いられるフラッシュランプは、直管型のフラッシュランプであり、両サイドからリード線が引き出されている。フラッシュランプの長手方向両端部において電気的な接続が必要であるため、装置構造としては、両サイドから端子の結線等の作業アクセスが可能な構造を余儀なくされていた。
つまり、上記従来の閃光照射装置では、装置の両サイドに作業スペースを設ける必要があり、その分、装置の設置スペースが必要であった。
【0005】
そこで、本発明は、フラッシュランプの交換作業を簡便化させるとともに、装置の設置スペースを抑えることができる閃光照射装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る閃光照射装置の一態様は、複数のフラッシュランプを備えた閃光照射装置であって、偶数本の前記フラッシュランプが直列接続されてなる光源部を複数備える光源ユニットと、前記光源部の接続端子が着脱可能に接続される端子接続面を有する給電端子台と、を備え、前記複数のフラッシュランプは、それぞれ互いに平行にかつ平面状に配列されるとともに、隣接する前記フラッシュランプに流れる電流が互いに逆向きになるように配置されており、前記接続端子は、前記フラッシュランプの長手方向の一端側に集約されて、極性毎に、前記給電端子台における異なる前記端子接続面に接続されている。
このように、接続端子をフラッシュランプの長手方向一端側に集約して給電端子台に接続するので、接続端子の結線等の配線作業を装置の片側からのアクセスのみで行うことができる。また、接続端子が、極性毎に異なる端子接続面に接続されているので、極性の異なる端子間で沿面放電しないようにすることができ、短絡しないようにすることができる。
【0007】
さらに、上記の閃光照射装置において、前記光源部は、直列接続された前記偶数本のフラッシュランプの両端から引き出され、前記接続端子を有する第1のリード線と、前記偶数本のフラッシュランプ同士を接続するU字状の第2のリード線と、を備え、前記第1のリード線が前記一端側から引き出されるように配置されていてもよい。
この場合、第1のリード線(ランプリード線)を、フラッシュランプの長手方向の他端側から一端側へ引き回す必要がない。そのため、その分、ランプリード線の長さを短くすることができ、配線抵抗の影響を抑制することができる。
【0008】
また、上記の閃光照射装置において、前記給電端子台は、前記フラッシュランプの長手方向の前記一端側に配置され、前記端子接続面に、前記接続端子を着脱可能に接続する複数の端子固定部を備え、前記複数の端子固定部は、前記複数のフラッシュランプが配列する方向において、前記第1のリード線が引き出される前記フラッシュランプに対応する位置に設けられていてもよい。
例えば、2本のフラッシュランプを直列接続した光源部とした場合には、端子固定部の数とフラッシュランプの数とは等しく、端子固定部のピッチとフラッシュランプのピッチとを等しくすることができる。端子固定部を、第1のリード線が引き出されるフラッシュランプに対応する位置に設けることで、各第1のリード線(ランプリード線)を、それぞれフラッシュランプの長手方向に沿って引き出し、互いに平行なまま給電端子台に接続することができるので、各ランプリード線の長さを極力短くできるとともに、光源部間においてランプリード線の長さを揃えることができる。そのため、配線抵抗の影響をより適切に抑制することができる。
【0009】
さらに、上記の閃光照射装置は、前記光源ユニットを収容するランプハウスを備え、前記給電端子台は、前記ランプハウス内において、前記ランプハウスの一側面に前記端子接続面を対向させて配置されていてもよい。この場合、ランプハウスの一側面側からの配線作業を容易に行うことができる。
また、上記の閃光照射装置において、前記ランプハウスの前記一側面は、前記フラッシュランプの長手方向に対して直交する面であり、前記光源ユニットは、前記ランプハウスの前記一側面側から、前記フラッシュランプの長手方向に抜き差し可能に構成されていてもよい。この場合、ランプハウスの一側面側からのアクセスのみで、光源ユニットの配線作業と交換作業とを適切に行うことができる。
【0010】
さらにまた、上記の閃光照射装置は、前記フラッシュランプに放電を開始させるための始動用補助電極をさらに備え、前記始動用補助電極の接続端子は、前記給電端子台に着脱可能に接続されていてもよい。
この場合、ランプリード線の配線作業と併せて始動用補助電極のリード線(トリガーリード線)の配線作業も行うことができる。例えば、始動用補助電極の一端から引き出されるトリガーリード線を、ランプリード線と同方向から引き出してもよい。
【0011】
また、上記の閃光照射装置は、複数の前記光源部のそれぞれに対応して設けられ、前記光源部を構成する前記偶数本のフラッシュランプにエネルギーを供給するコンデンサと、前記複数の光源部のそれぞれに対応する複数の前記コンデンサを充電する共通の電源と、を備えていてもよい。
この場合、コンデンサは光源部の数に対応させて設ければよく、フラッシュランプの数に対応したコンデンサは不要となる。例えば、2本のフラッシュランプを直列接続した光源部とした場合、直列接続無しの場合と比較して、コンデンサを半数まで削減することができる。また、複数のコンデンサで電源を共通とするので、複数のコンデンサを同時に充電することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置の片側からのアクセスのみでフラッシュランプの配線作業を行えるため、フラッシュランプの交換作業を簡便化させることができるとともに、装置の設置スペースを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態における閃光照射装置の外観図である。
【
図2】光源ユニットの概略構成を示す断面図である。
【
図7】フラッシュランプおよびトリガー電極の固定方法の一例である。
【
図9】光源ユニットの点灯回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における閃光照射装置10の外観図である。
この
図1に示すように、閃光照射装置10は、例えば直方体状のランプハウス11を備える。ランプハウス11内の下側空間である第1の空間12には、複数のフラッシュランプを備える光源ユニット20が収容され、ランプハウス11内の上側空間である第2の空間13には、光源ユニット20へ給電するための後述する給電端子台等が収容される。
【0015】
ランプハウス11からは、一端が光源ユニット20に電気的に接続された給電線14、15が導出されている。これら給電線14、15の他端は、不図示の電源盤に接続されている。ここで、給電線14は、光源ユニット20が備えるフラッシュランプに接続されるランプ用の給電線、給電線15は、フラッシュランプの放電を開始するためのトリガー電極(始動用補助電極)に接続されるトリガー用の給電線である。
また、ランプハウス11には、吸排気口16が設けられている。
図1において、一方の吸排気口16は吸気口、他方の吸排気口16は排気口である。吸排気口16によって、ランプハウス11内部への冷却風の吸気、およびランプハウス11外部への排気風の排気が行われ、ランプハウス11内部に配置される光源ユニット20等が空冷される。
【0016】
ランプハウス11の長手方向(Y方向)に対して垂直に配置された側板11aおよび11bは、それぞれランプハウス11に対して着脱可能に構成されている。側板11aをランプハウス11から取り外すことで、ランプハウス11内部の第1の空間12へのアクセスが可能となる。また、側板11bをランプハウス11から取り外すことで、ランプハウス11内部の第2の空間13へのアクセスが可能となる。
なお、以下の説明においては、
図1のX方向を「幅方向」、
図1のY方向を「長手方向」、
図1のZ方向を「高さ方向」という。
【0017】
図2は、光源ユニット20の概略構成を示す断面図である。
光源ユニット20は、複数のフラッシュランプ21を備える。本実施形態では、光源ユニット20は、10本のフラッシュランプ21を備える場合について説明する。フラッシュランプ21は、管型の発光管内にキセノンガスが封入されたキセノンフラッシュランプとすることができる。
複数のフラッシュランプ21は、互いに管軸が平行となるように平面状に配列されている。これら複数のフラッシュランプ21は、光源ユニット20がランプハウス11内に収容された状態において、それぞれ長手方向(管軸方向)を閃光照射装置10の長手方向(Y方向)に一致させ、閃光照射装置10の幅方向(X方向)に例えば等間隔に配列される。
【0018】
図3に示すように、フラッシュランプ21は、陽極21aと、陰極21bと、発光管21cと、を備える。発光管21cの両端は封止され、内部に放電空間が区画されている。陽極21aと陰極21bとは、放電空間内において管軸方向に対向配置されている。
本実施形態では、複数のフラッシュランプ21は、互いに隣接するフラッシュランプ21同士で電流の流れる方向が逆向きとなるように配列されている。また、本実施形態では、フラッシュランプ21が2本ずつ直列接続された構成を有する。つまり、
図3に示す光源ユニット20は、直列接続された2本のフラッシュランプ21を1つの光源単位(光源部)とし、当該光源部が5個併設された構成を有する。
【0019】
図2に戻って、各フラッシュランプ21の外面上には、長手方向にトリガー電極(始動用補助電極)22が配設されている。なお、
図2では、フラッシュランプ21とトリガー電極22とを離間させて示しているが、トリガー電極22は、フラッシュランプ21の外面に接触させることができる。トリガー電極22は、フラッシュランプ21の背面(被照射物への光照射方向とは反対側(
図2の上側))に配設される。
トリガー電極22は、ガラス管内に導電性部材(金属棒)が封入され、金属棒の一端に外部リード線の一端が接続された構成を有する。トリガー電極22は、外部リード線から金属棒にパルス電圧が印加されることで、フラッシュランプ21の発光管内で部分的な絶縁破壊を引き起こし、放電の道筋を作る役割を果たす。
【0020】
さらに、フラッシュランプ21およびトリガー電極22の背面には、例えばアルミニウムからなるリフレクタ23が配置されている。リフレクタ23は、複数のフラッシュランプ21およびトリガー電極22を囲むように配置され、フラッシュランプ21の前面(被照射物への光照射方向)に向けて開口している。このリフレクタ23は、フラッシュランプ21から放射された光を被照射物に向けて反射する。リフレクタ23は、複数のフラッシュランプ21に対して共通の反射鏡として機能する。
【0021】
また、光源ユニット20は、フラッシュランプ21、トリガー電極22およびリフレクタ23を収容する筐体24を備える。リフレクタ23は、例えば筐体24に固定することができる。筐体24は、被照射物に対向する面に開口を有し、当該開口を塞ぐように照射窓25が配置されている。
照射窓25は、フラッシュランプ21からの放射光に対して透明な部材により構成されている。例えば、照射窓25は、石英ガラスにより構成することができる。
【0022】
さらに、光源ユニット20は、閃光照射装置10のランプハウス11に対して着脱可能に構成することができる。本実施形態では、光源ユニット20は、筐体24の上部に、カムフォロア26を保持する保持部26aが固定された構成を有する。保持部26aは、筐体24の上部において長手方向に伸びており、複数のカムフォロア26を長手方向に所定の間隔を設けて保持している。
【0023】
カムフォロア26は、筐体24から幅方向外側に突出しており、ランプハウス11の幅方向に対向配置された一対の側壁の内側面に長手方向に沿って形成されたスライド溝11c内において摺動可能である。
つまり、光源ユニット20は、
図4に示すように、ランプハウス11の一側面側(フラッシュランプ21の長手方向に対して直交する面側)から、長手方向に抜き差し可能に構成されている。
【0024】
図3に示すように、1つの光源部を構成する2本のフラッシュランプ21のうち、一方のフラッシュランプ21の陽極21aは、外部リード線27aの一端に接続され、他方のフラッシュランプ21の陰極21bは、外部リード線27bの一端に接続されている。そして、一方のフラッシュランプ21の陰極21bと、他方のフラッシュランプ21の陽極21aとは、U字状の外部リード線27cによって接続されている。ここで、外部リード線27a~27cは、それぞれ絶縁被覆されている。
また、各光源部は、外部リード線27aおよび27bが、長手方向の一端側から引き出されるように配置されている。
【0025】
なお、以下の説明において、外部リード線27aおよび27bを「ランプリード線」、外部リード線27cを「ランプリード連結線」という。
ランプリード線27aおよび27bは、1つの光源部を構成する直列接続された2本のフラッシュランプ21の両端から引き出される第1のリード線に対応し、ランプリード連結線27cは、1つの光源部を構成する2本のフラッシュランプ21同士を接続する第2のリード線に対応している。
【0026】
ランプリード線27aは、先端部に接続端子27a´を有する。また、ランプリード線27bは、先端部に接続端子27b´を有する。これら接続端子27a´および27b´は、ランプリード線用端子台30に設けられた端子固定部31aおよび32aにそれぞれ着脱可能に接続されている。
ランプリード線用端子台30は、光源ユニット20へ給電するためのランプ用の給電端子台であり、
図5に示すように、ランプハウス11の第2の空間13に設置されている。なお、この
図5では、ランプハウス11の第2の空間13を囲む側板を取り外した状態を示している。
【0027】
ランプリード線用端子台30は、陽極用端子台31と、陰極用端子台32とを備える。
陽極用端子台31は、
図3に示すように、端子固定部31a、31bを備える。端子固定部31aにはランプリード線27aが有する接続端子27a´が接続され、端子固定部31bにはランプ給電線35aが有する接続端子35a´が接続される。なお、ランプ給電線35aの接続端子35a´は、端子固定部31bに対して固定されていてもよいし、着脱可能であってもよい。
【0028】
同様に、陰極用端子台32は、端子固定部32a、32bを備える。端子固定部32aにはランプリード線27bが有する接続端子27b´が接続され、端子固定部32bにはランプ給電線35bが有する接続端子35b´が接続される。なお、ランプ給電線35bの接続端子35b´は、端子固定部32bに対して固定されていてもよいし、着脱可能であってもよい。
ランプ給電線35a、35bの他端は、集約されて閃光照射装置10外部に引き出され、
図5に示す給電線14となって装置外部に設置された電源盤に接続される。
【0029】
ランプリード線用端子台30(陽極端子台31および陰極端子台32)は、第2の空間13おいて、第1の空間12に配置された光源ユニット20が備えるフラッシュランプ21の長手方向一端側に設置されている。また、ランプリード線用端子台30(陽極端子台31および陰極端子台32)は、各端子固定部31a、31b、32aおよび32bが設けられた端子接続面を、ランプハウス11の一側面、具体的には、ランプハウス11の側板11bが取り付けられる面に対向させて配置されている。
つまり、
図3において、光源ユニット20はXY平面図、ランプリード線用端子台30はXZ平面図を示している。
【0030】
図6は、給電端子台の構成例を示す図である。
この
図6に示すように、給電端子台であるランプリード線用端子台30は、陰極端子台32の端子接続面上に陽極端子台31を固定した構成を有し、陰極端子台32が陽極端子台31よりも高さ方向に張り出す段差形状となっている。
陽極端子台31の端子接続面(端子固定部31a、31bが設けられた面)と、陰極端子台32の端子接続面(端子固定部32a、32bが設けられた面)とは、ともに側板11bに対向する垂直面となっており、両端子接続面は、陽極端子台31の厚さ分だけ長手方向に離間した平行面となっている。
そのため、接続端子27a´、27b´、35a´および35b´のうち、同一極性の接続端子は、ランプリード線用端子台30における同一の端子接続面に接続される。より具体的には、各接続端子は、極性毎に分けて、ランプリード線用端子台30における高さの異なる端子接続面に接続される。したがって、極性の異なる端子間で沿面放電しないようにすることができ、短絡しないようにすることができる。
【0031】
また、
図3に示すように、端子固定部31aおよび32bは、フラッシュランプ21が配列される方向(幅方向)において、ランプリード線27a、27bが引き出されるフラッシュランプ21に対応する位置に設けることができる。本実施形態のように、1つの光源部を2本のフラッシュランプ21により構成する場合、端子固定部31aと端子固定部32aとの間の幅方向における間隔は、フラッシュランプ21間の幅方向における間隔と等しくすることができる。
これにより、ランプリード線27a、27bを、それぞれフラッシュランプ21の長手方向に沿って引き出し、互いに平行なままランプリード線用端子台30に接続することができる。そのため、各光源部のランプリード線27a、27bの長さを極力短くすることができる。また、光源部間において、ランプリード線27a、27bの長さを同じにすることができる。
【0032】
さらに、閃光照射装置10は、給電端子台として、トリガーリード線用端子台33を備える。トリガーリード線用端子台33は、ランプリード線用端子台30の近傍に配置されている。
トリガーリード線用端子台33は、端子固定部33a、33bを備える。端子固定部33aにはトリガー電極22から引き出された外部リード線22a(以下、「トリガーリード線」という。)が有する接続端子22a´が接続され、端子固定部33bにはトリガー給電線35cが有する接続端子35c´が接続される。なお、トリガー給電線35cの接続端子35c´は、端子固定部33bに対して固定されていてもよいし、着脱可能であってもよい。
【0033】
トリガー給電線35cの他端は、第2の空間13に設置されたトリガーコイル34に接続されている。トリガーコイル34は、不図示のトリガー回路(高圧発生回路)を構成する。トリガーコイル34には、トリガー用の給電線15を介して、装置外部の電源盤から電圧が印加される。
トリガーリード線用端子台33は、ランプリード線用端子台30と同様に、端子固定部33aが設けられた端子接続面を、ランプハウス11の一側面、具体的には、ランプハウス11の側板11bが取り付けられる面に対向させて配置されている。
【0034】
このように、光源ユニット20が備える接続端子27a´、27b´および22a´は、フラッシュランプ21の長手方向における片側に集約されて、給電端子台に着脱可能に接続される。接続端子27a´、27b´および22a´を給電端子台から取り外すことで、光源ユニット20をランプハウス11から取り外すことが可能となる。
なお、本実施形態では、給電端子台である陽極端子台31、陰極端子台32およびトリガーリード線用端子台33がそれぞれ別の部材により構成されている場合について説明したが、これらの端子台は一体的に構成されていてもよい。
【0035】
光源ユニット20は、
図4および
図5に示すように、上面にリード線挿入孔20aを備える。リード線挿入孔20aは、光源ユニット20が第1の空間12に配置された場合に、第2の空間13内の給電端子台の近傍に配置されるように、光源ユニット20の上面に形成されている。トリガーリード線22aは、リード線挿入孔20aを通って光源ユニット20の上面から引き出され、それぞれ給電端子台に着脱可能に接続される。
なお、リード線挿入孔20aの形状や数は、
図4および
図5に示す形状および数に限定されるものではない。
【0036】
図7は、フラッシュランプ21とトリガー電極22との固定方法を示す一例である。
トリガーリード線22aは、トリガー電極22の片側からのみ引き出される。本実施形態では、トリガー電極22は、トリガーリード線22aがランプリード線27a、27bと同方向から引き出されるように配置される。
フラッシュランプ21およびトリガー電極22は、ランプリード線27a、27bおよびトリガーリード線22aが引き出された側の端部を第1固定台28aにより固定され、反対側(ランプリード連結線27cが引き出された側)の端部を第2固定台28bにより固定されている。
【0037】
フラッシュランプ21は、第1固定台28aおよび第2固定台28bにそれぞれ保持されることで位置決めがなされる。
また、トリガー電極22は、先端部(トリガーリード線22aが引き出されていない側の端部)を第2固定台28bに形成された突き当て部28cに突き当てることで、長手方向における位置決めがなされる。
【0038】
なお、特に図示しないが、フラッシュランプ21には、通常、発光管21c内に放電ガスを封入した後、排気管をバーナーで焼き切ったチップ痕が残る。発光管21cの中央部にチップ痕があると、当該チップ痕が放射光を妨げ、照射面での強度や分布に影響を及ぼすことから、チップ痕は発光管21cの端部に設けられるのが一般的である。
しかしながら、このチップ痕と、フラッシュランプ21を保持する固定台とが接触すると、発光管21cが破裂するおそれもあることから、チップ痕のある発光管21c端部と固定台との間にシム(shim)等を挿入して位置決めをした後フラッシュランプ21を保持することが好ましい。
【0039】
また、本実施形態では、上述したように、トリガー電極22に接続されたトリガーリード線22aを、ランプリード線27a、27bと同方向から引き出すようにしている。
そのため、各フラッシュランプ21にそれぞれトリガー電極22を沿わせて配置した場合、フラッシュランプ21の陽極21a側からトリガーリード線22aが引き出されるトリガー電極22と、フラッシュランプ21の陰極21b側からトリガーリード線22aが引き出されるトリガー電極22とが存在することになる。
【0040】
図8(a)は、1つの光源部を構成する2本のフラッシュランプ21とトリガー電極22との概略図である。
図8(a)において、丸印(〇)は、フラッシュランプ21の陽極21a、三角印(△)は、フラッシュランプ21の陰極21bを示している。また、トリガー電極22においてトリガーコイル34が接続されている側は、トリガーリード線22aが引き出されている側(トリガーリード線22aの接続部が存在する側)を示している。
【0041】
この
図8(a)に示すように、トリガーリード線22aの接続部は、フラッシュランプ21の陽極21a側にも陰極21b側にも配置されうる。
しかしながら、フラッシュランプ21の陽極21a側にトリガーリード線22aの接続部が配置される場合、トリガーリード線22aの接続部とランプリード線27aの接続部との間で沿面放電し、フラッシュランプ21の点灯に不具合が生じるおそれがある。そこで、上記不具合の発生を防止するために、フラッシュランプ21の陽極21a側にトリガーリード線22aの接続部が配置される場合には、当該トリガーリード線22aの接続部まで絶縁距離を伸ばしたり、トリガーリード線22aの接続部に絶縁物(熱収縮チューブなど)を設けたりすることで、絶縁性を保つようにすることが好ましい。
【0042】
なお、本実施形態では、各トリガー電極22がそれぞれ1つのトリガーコイル34に接続されてる場合について説明したが、1つの光源部を構成する2本のフラッシュランプ21にそれぞれ対応して設けられる2本のトリガー電極22は、共通のトリガーコイル34に接続されていてもよい。
【0043】
また、例えば
図8(b)に示すように、トリガー電極22をU字状にして、1つの光源部を構成する2本のフラッシュランプ21に対して1つのトリガー電極22を配置するようにしてもよい。この場合、フラッシュランプ21の陽極21a側にはトリガーリード線22aの接続部を配置しないようにすることができ、上記の不具合を回避することができる。
さらに、
図8(c)に示すように、フラッシュランプ21の陽極21a側にはトリガーリード線22aの接続部を形成しないようにしてもよい。つまり、陽極21aからランプリード線27aが引き出されているフラッシュランプ21に対しては、トリガーコイル34に接続しないトリガー管を沿わせておくだけでもよい。
【0044】
図9は、光源ユニット20の点灯回路の構成例である。
この
図9において、Vは点灯電源、Cはコンデンサ、Lはインダクタンスである。ここで、インダクタンスLは、パルス幅調整用として使用される。コンデンサCは電源Vにより充電され、フラッシュランプ21にエネルギー(電荷)を供給する。なお、
図9において、直列接続された2本のフラッシュランプ21は、1本で示している。
本実施形態では、複数の光源部のそれぞれに対応して1つのコンデンサCが接続されている。また、複数の光源部のそれぞれに対応する複数のコンデンサCを充電する電源Vは共通である。
【0045】
このように、光源ユニット20の点灯回路は、光源部と同数のコンデンサCを備える。コンデンサCをフラッシュランプ21一つ一つに対応させて設ける必要がないため、コンデンサCの数を削減することができる。本実施形態のように2本のフラッシュランプ21を直列接続してなる光源部である場合、フラッシュランプ21とコンデンサCとを一対一で対応させた場合と比較して、コンデンサCを半数まで削減することができる。また、複数のコンデンサCで電源を共通とするので、複数のコンデンサCを同時に充電することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態における閃光照射装置10は、2本のフラッシュランプ21を直列接続してU字状に折り返されてなる光源部が複数併設され、長手方向において同じ側からランプリード線27a、27bを引き出す構成とした光源ユニット20を備える。光源ユニット20を構成する複数のフラッシュランプ21は、それぞれ互いに平行にかつ平面状に配列されるとともに、隣接するフラッシュランプ21に流れる電流が互いに逆向きになるように配置されている。
各光源部の接続端子27a´、27b´は、フラッシュランプ21の長手方向の一端側に集約されて、極性毎に給電端子台であるランプリード線用端子台30の異なる端子接続面に着脱可能に接続されている。
【0047】
フラッシュランプ21は、大電流を一気に流すため、複数のフラッシュランプ21を同方向に電流が流れるように平行に並べた場合、隣接するフラッシュランプ21から発生する磁界と自身に流れる電流とにより電磁力が発生し、フラッシュランプ21同士が反発あるいは吸引される力が働く。
本実施形態では、隣り合うフラッシュランプ21に流れる電流の向きが互いに逆向きになるように複数のフラッシュランプ21を配置するので、上記の電磁力の影響を軽減させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、接続端子27a´、27b´をフラッシュランプ21の長手方向一端側に集約してランプリード線用端子台30に接続するので、接続端子27a´、27b´の結線等の配線作業を閃光照射装置10の片側からのアクセスのみで行うことができる。したがって、フラッシュランプ21の交換作業を簡便化することができる。
さらに、接続端子27a´、27b´を、極性毎に異なる端子接続面に接続するので、極性の異なる端子間で沿面放電しないようにすることができ、短絡しないようにすることができる。
【0049】
ところで、ランプ間でランプリード線の長さが異なると、配線抵抗の違いにより、流れる電流値にも違いが生じる。その結果、発生する電磁力にも差が出て、ランプにかかる力も不均一になるおそれがある。また、配線の引き回し方によっても、配線のインダクタンス成分に違いが生じ電流値が影響を受ける。そのため、ランプリード線の長さは極力短く、かつ、ランプ間で同じであることが望ましい。
【0050】
本実施形態では、1つの光源部を構成する2本のフラッシュランプ21をU字配置とし、各光源部を、ランプリード線27a、27bが長手方向の一端側から引き出されるように配置する。また、ランプリード線用端子台30を、ランプリード線27a、27bが引き出された側に配置する。したがって、ランプリード線27a、27bを、長手方向の他端側から一端側へ引き回す必要がない。そのため、その分、ランプリード線27a、27bの長さを短くすることができる。
【0051】
また、ランプリード線用端子台30の端子接続面に設けられた複数の端子固定部31a、32aは、幅方向(フラッシュランプ21が配列する方向)において、各フラッシュランプ21に対応する位置に設けることができる。これにより、各光源部のランプリード線27a、27bの長さを極力短くすることができる。また、光源部間において、ランプリード線27a、27bの引き回し方を同等にすることができるので、光源部間において、ランプリード線27a、27bの長さを均一に揃えることができる。
その結果、上述したような、配線抵抗に違いによる電流値の違いを抑制し、ランプにかかる力を均一化することができる。
【0052】
さらに、本実施形態における閃光照射装置10においては、複数の光源部を収容する光源ユニット20がカセット構造となっており、ランプハウス11の片側から抜き差し可能に構成されている。具体的には、光源ユニット20は、フラッシュランプ21の長手方向に抜き差し可能に構成されている。
したがって、ランプハウス11の片側からのアクセスのみで、光源ユニット20の配線作業と交換作業とを行うことができる。
【0053】
このとき、ランプリード線用端子台30が、ランプハウス11内において、光源ユニット20が抜き差しされる側の側面に端子接続面を対向させて配置されていれば、光源ユニット20の交換作業を行う側から、光源ユニット20の配線作業をより容易に行うことができる。
なお、ランプリード線27a、27bは、極性に応じて色分けされていてもよい。この場合、配線作業を行う作業者は、ランプリード線の極性を容易に見分けることができ、作業効率を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、フラッシュランプ21に放電を開始させるためのトリガー電極22の接続端子22a´は、ランプリード線用端子台30と同様に設置された給電端子台であるトリガーリード線用端子台33に着脱可能に接続されている。
ここで、トリガーリード線22aは、ランプリード線27a、27bと同方向から引き出し、トリガーリード線22aの接続端子22a´を、ランプリード線27a、27bの接続端子27a´、27b´と同じ側に集約することができる。この場合、片側からのアクセスのみで、ランプリード線27a、27bの配線作業と併せてトリガーリード線22aの配線作業も行うことができる。
【0055】
以上のように、本実施形態における閃光照射装置10は、装置の片側からのアクセスのみで、ランプの交換作業、およびランプと装置との配線作業を行うことができるので、ランプ交換の作業を簡便化させることができる。また、装置の両サイドに作業スペースを設ける必要がないため、装置の設置スペースを抑えることが可能である。
【0056】
(変形例)
上記実施形態においては、光源ユニット20が、直列接続した2本のフラッシュランプ21がU字状に配置された光源部を複数備え、すべての光源部を、ランプリード線27a、27bが長手方向の一端側から引き出されるように配置する場合について説明した。しかしながら、接続端子27a´、27b´が長手方向の一端側に集約されていれば、一部の光源部は、ランプリード線27a、27bが長手方向の他端側から引き出されるように配置されていてもよい。
この場合、上記一部の光源部から引き出されたランプリード線27a、27bは、長手方向の他端側から一端側へ引き回されることになるが、装置の片側からのアクセスのみでのランプの配線作業および交換作業は実現することができる。但し、上述したように、ランプリード線27a、27bを引き回す場合には配線抵抗の影響を受けるため、すべての光源部を、ランプリード線27a、27bが長手方向の一端側から引き出されるように配置することが好ましい。
【0057】
さらに、上記実施形態においては、光源部を、2本のフラッシュランプ21を直列接続した構成とする場合について説明したが、直列接続するフラッシュランプ21の本数は、2本に限定されない。直列接続するフラッシュランプ21の本数は、偶数本であればよく、例えば4本であってもよい。この場合、フラッシュランプ21をW字状に配置した光源部とすることができる。なお、直列接続するフラッシュランプ21の本数は、光源部毎に接続されるコンデンサCの容量及び充電電圧に応じて適宜設定することができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、光源ユニット20が、2本のフラッシュランプ21が直列接続されてなる光源部を5つ備え、計10本のフラッシュランプ21を備える場合について説明したが、フラッシュランプ21の総数は上記に限定されない。フラッシュランプ21の総数は、被照射物の大きさ等に応じて、1つの光源部を構成するフラッシュランプ21の本数や光源部の数を設定することができる。
【符号の説明】
【0059】
10…閃光照射装置、11…ランプハウス、20…光源ユニット、21…フラッシュランプ、22…トリガー電極、22a…トリガーリード線、23…リフレクタ、24…筐体、25…照射窓、26…カムフォロア、27a,27b…ランプリード線、27a´,27b´…接続端子、27c…ランプリード連結線、28a…第1固定台、28b…第2固定台、30…ランプリード線用端子台、31…陽極端子台、31a,31b…端子固定部、32…陰極端子台、32a,32b…端子固定部、33…トリガーリード線用端子台、34…トリガーコイル、35a,35b…ランプ給電線、35c…トリガー給電線