(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】作業手続き支援システムおよび作業手続き支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20231226BHJP
【FI】
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2019190916
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】綿谷 守
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-093933(JP,A)
【文献】特開2006-209605(JP,A)
【文献】特開2009-003771(JP,A)
【文献】特開2008-274668(JP,A)
【文献】特開2011-243174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業の各種項目を入力する所定様式の複数のセルを有する
、編集操作ができないように規制されている作業確認票を新規に作成する際、セル欄が空で前記所定様式の前記作業確認票を複製した補助入力票を作成し、
前記補助入力票の複数の前記セルに対するデータの入力を受け付け、
前記データの入力後の前記補助入力票を、前記作業確認票に貼り付けて当該作業確認票を作成する制御部を有する作業手続き支援装置を含む、
ことを特徴とする作業手続き支援システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記
作業確認票を新規に作成する際、前記作業確認票の複数の前記セルの配置および結合状態の属性を複製した前記補助入力票を作成することを特徴とする請求項1に記載の作業手続き支援システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記作業確認票の複製後の前記補助入力票が有する前記各種項目のうち予め作成された所定の項目の前記データの自動入力を受け付け、残りの前記データのユーザ操作による入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業手続き支援システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記作業確認票の複製後の前記補助入力票が有する図表の貼付欄に、予め作成された所定の図表のイメージを貼り付け可能、
なことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の作業手続き支援システム。
【請求項5】
前記制御部は、作成後の前記作業確認票をデータベースに保持し、
新たな所定の作業時に、前記データベースに保持された前記作業確認票を読み出し、
読み出した前記作業確認票を複製した前記補助入力票に対し、新たな所定の作業に対応する項目の前記セルのデータの編集を行った後、
前記データの入力後の前記補助入力票を、前記作業確認票に貼り付けて、新たな所定の作業に対応する当該作業確認票を作成する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の作業手続き支援システム。
【請求項6】
前記作業手続き支援装置にネットワーク接続された端末を含み、
前記端末は、前記作業手続き支援装置が作成する前記補助入力票に対するデータの入力を行う、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の作業手続き支援システム。
【請求項7】
所定の作業の各種項目を入力する所定様式の複数のセルを有する
、編集操作ができないように規制されている作業確認票を新規に作成する際、セル欄が空で前記所定様式の前記作業確認票を複製した補助入力票を作成し、
前記補助入力票の複数の前記セルに対するデータの入力を受け付け、
前記データの入力後の前記補助入力票を、前記作業確認票に貼り付けて当該作業確認票を作成する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする作業手続き支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業内容等のデータ入力を支援する作業手続き支援システムおよび作業手続き支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の作業時には、作業内容等をユーザがシステムにデータ入力し管理するようになっている。一例として、電力会社および協力会社が用いる作業確認票、例えば送電線の停電作業時には、予め作業確認票に対し、所定区間の送電線に対する停電作業にかかる作業内容をデータ入力するようになっている。作業確認票は、PC上の表計算ソフトウェアを用いて作成され、ユーザ操作により各入力箇所に所定形式で入力を行う必要がある。
【0003】
ここで、テンプレートやマクロ等の表計算ソフトウェアのアドイン機能を用いることで、ユーザ操作時のデータ入力の省力化が図られている。
【0004】
作業手続きの入力支援に関連する技術として、例えば、作業内容に応じた打合せシート、作業確認票にリンクしたチェック項目をデータベース化する技術がある(例えば、下記特許文献1参照。)。これにより、設備の運転者と作業者が事前に打合せする際に、安全上の情報を共有化し、その打合せ内容や実施作業の留意事項を総合的に把握することにより、安全に作業し、事故を未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、データ入力にかかるシステムが旧システムから新システムへの移行時等には、旧システムで用いた入力支援の機能、例えば、上記マクロを新システムでは用いることができない不都合が生じる。この場合、システムが移行する毎に新システムでの入力操作が煩雑になる。また、新たなマクロの作成が必要となる等の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、複数の入力項目を有する作業確認票を簡単に作成できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の作業手続き支援システムは、所定の作業の各種項目を入力する所定様式の複数のセルを有する作業確認票を新規に作成する際、セル欄が空で前記所定様式の前記作業確認票を複製した補助入力票を作成し、前記補助入力票の複数の前記セルに対するデータの入力を受け付け、前記データの入力後の前記補助入力票を、前記作業確認票に貼り付けて当該作業確認票を作成する制御部を有する作業手続き支援装置を含む、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記制御部は、前記複製時に、前記作業確認票の複数の前記セルの配置および結合状態の属性を複製した前記補助入力票を作成することを特徴とする。
【0010】
また、前記制御部は、前記作業確認票の複製後の前記補助入力票が有する前記各種項目のうち予め作成された所定の項目の前記データの自動入力を受け付け、残りの前記データのユーザ操作による入力を受け付ける、ことを特徴とする。
【0011】
また、前記制御部は、前記作業確認票の複製後の前記補助入力票が有する図表の貼付欄に、予め作成された所定の図表のイメージを貼り付け可能、なことを特徴とする。
【0012】
また、前記制御部は、作成後の前記作業確認票をデータベースに保持し、新たな所定の作業時に、前記データベースに保持された前記作業確認票を読み出し、読み出した前記作業確認票を複製した前記補助入力票に対し、新たな所定の作業に対応する項目の前記セルのデータの編集を行った後、前記データの入力後の前記補助入力票を、前記作業確認票に貼り付けて、新たな所定の作業に対応する当該作業確認票を作成する、ことを特徴とする。
【0013】
また、前記作業手続き支援装置にネットワーク接続された端末を含み、前記端末は、前記作業手続き支援装置が作成する前記補助入力票に対するデータの入力を行う、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の作業手続き支援方法は、所定の作業の各種項目を入力する所定様式の複数のセルを有する作業確認票を新規に作成する際、セル欄が空で前記所定様式の前記作業確認票を複製した補助入力票を作成し、前記補助入力票の複数の前記セルに対するデータの入力を受け付け、前記データの入力後の前記補助入力票を、前記作業確認票に貼り付けて当該作業確認票を作成する、処理をコンピュータに実行させる、ことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、作業確認票を複製した補助入力票に対しデータ入力を行うため、複数の入力項目を有する作業確認票を直接編集せずにデータ入力できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の入力項目を有する作業確認票を簡単に作成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、システム移行時のデータ入力の説明図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかる作業手続き支援システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置が作成する作業確認票の例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置による作業確認票の作成手順を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置が作成する作業確認票に対する系統図等の貼り付け作業を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置による作業確認票の作成手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる作業手続き支援システムおよび作業手続き支援方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
図1は、システム移行時のデータ入力の説明図である。
図1を用いて、旧システムOLDから新システムNEWに移行した場合におけるデータ入力にかかるユーザ操作を説明する。
【0020】
旧システムOLDの運用中においては、データ入力を行うユーザは、この旧システムのサーバやPC上で動作する表計算ソフトウェアを起動させ、空白の表の入力箇所にデータ入力を行う。また、複数の項目が予め設定された所定様式のテンプレートを用いて項目毎の値(データ)等の入力を支援している。
【0021】
また、表計算ソフトウェアのアドイン機能としてのマクロMを用いることで、項目毎に予め選択可能なドロップダウンや選択操作等により値(データ)を入力することもできる。マクロMを用いることで、データ入力操作を省力化できる。
【0022】
図1の例では、旧システムOLDは、電力会社等で作成する作業確認票A、例えば、停電作業に関する作業確認票Aを作成し、作成した作業確認票AをデータベースDBに格納保持する。
【0023】
そして、旧システムOLDの使用経過により、新システムNEWにシステム移行が生じたとする。この場合、データベースDBに格納されている作業確認票Aは、旧システムOLDが作成したものをそのまま使用する場合、あるいは、所定のデータ変換を行うことで、新システムNEWでも使用することができる。
【0024】
しかしながら、新システムNEWへの移行後において、新たに作成する作業確認票Aについては、新システムNEWの様式に沿ってデータ入力を行わなければならない。この際、新システムNEWは、表計算ソフトウェアや動作OSのバージョンの仕様等により、旧システムOLDで用いたマクロMを使用できない場合が生じる。データ入力は、値の入力に限らず、電力の系統図の入力等もある。このような場合、ユーザは、空白の表に対し、複数セルからなる全体レイアウトや、各セル毎の幅等を設定し、また、入力箇所にデータ入力を行う必要が生じる。
【0025】
このようなデータ入力を省力化するためには、新システムNEW用のマクロMを再度作成しなければならない手間が生じる。そして、仮にマクロMを作成したとしても、さらなる新システムへの移行時には新たに作成したマクロMを使用できなくなる可能性を有する。
【0026】
このため、実施の形態では、ユーザによるデータ入力を支援するために、マクロMを用いず、補助ツールTを用いる。補助ツールTは、新システムNEWの表計算ソフトウェアが作成する表データ(例えば、上記作業確認票A)に対するユーザの入力操作の省力化等を支援する。
【0027】
図2は、実施の形態にかかる作業手続き支援システムの構成例を示す図である。作業手続き支援システム200は、サーバ等の作業手続き支援装置201が作業確認票Aを作成し、作成した作業確認票AをデータベースDBに格納する。
【0028】
作業手続き支援装置201は、ネットワークNWを介して複数の端末220に通信接続されている。作業確認票Aを作成するユーザは、作業手続き支援装置201に通信接続された端末220を操作し、作業手続き支援装置201の制御画面に基づき、作業確認票Aを作成する。例えば、新たな作業確認票Aの作成の要求(例えば停電作業要求)毎に、新規の作業確認票Aを作成する。
【0029】
図2の構成例では、作業手続き支援装置201は、補助ツールT(210)の機能を有し、補助ツール210は、端末220に対し、作業確認票Aの作成時におけるユーザ操作を支援する。詳細は後述するが、補助ツール210は、作業確認票Aが有する表データと同一の様式(例えば、セルサイズやセル間の結合箇所)を有する補助入力票Hを作成し、この補助入力票Hに対する端末220のユーザ操作を受け付ける。
【0030】
例えば、補助ツール210は、端末220に補助入力票Hのデータを送信し、端末220のユーザ操作によりデータ入力後の補助入力票H’を受信し、受信した補助入力票H’に基づき作業確認票Aを作成する。
【0031】
なお、予め端末220が補助入力票Hのデータを有し、データ入力後の補助入力票H’を作業手続き支援装置201に送信する構成としてもよい。
【0032】
作業手続き支援装置201は、作業確認票Aの作成に関わる複数のユーザが操作する端末220に対し、それぞれ同期した補助入力票Hを送信し、補助入力票Hに対するデータの入力状態を各端末220のユーザに通知する。これにより、複数のユーザが連携して作業確認票Aを効率的に作成できるようになる。
【0033】
図3は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置のハードウェア構成例を示す図である。作業手続き支援装置201は、例えば、
図3に示すハードウェアからなる汎用のPCやサーバで構成することができる。
【0034】
作業手続き支援装置201は、CPU(Central Processing Unit)301、メモリ302、ネットワークインタフェース(IF)303、記録媒体IF304、記録媒体305、等を含む。300は各部を接続するバスである。
【0035】
CPU301は、作業手続き支援装置201の補助ツールT(210)の機能を含む全体の制御を司る制御部として機能する演算処理装置である。メモリ302は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、CPU301のプログラムを格納するROM(Read Only Memory)である。揮発性メモリは、例えば、CPU301のワークエリアとして使用されるDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等である。
【0036】
ネットワークIF303は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワークNWに対する通信インタフェースである。作業手続き支援装置201は、ネットワークIF303を介してネットワークNWに通信接続し、端末220と通信する。
【0037】
記録媒体IF304は、CPU301が処理した情報を記録媒体305との間で読み書きするためのインタフェースである。記録媒体305は、メモリ302を補助する記録装置であり、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブ等を用いることができる。
【0038】
メモリ302または記録媒体305に記録されたプログラムをCPU301が実行することにより、作業手続き支援装置201による作業確認票Aの作成支援の機能を実現することができる。また、メモリ302や記録媒体305は、作業手続き支援装置201が扱う情報を記録保持する。例えば、記録媒体305は、上記データベースDBとして用いることもできる。
【0039】
また、上述した端末220についても、
図3に示した汎用のハードウェアで構成することができる。
【0040】
図4は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置が作成する作業確認票の例を示す図である。例えば、上述した新システムNEWの作業手続き支援装置201により、送電線の停電作業を行う際に作成する作業確認票Aについて説明する。この
図4には、送電線路用の作業確認票Aの一例を示す。
【0041】
この作業確認票Aは、表計算ソフトウェアで作成される表データであり、複数のセル部分の項目にそれぞれデータ入力される。
図4に示す作業確認票Aは、各項目に対する入力が空白な初期状態を示している。
【0042】
図4の例では、ワークシートとして「作業確認票(A)(送電線路用)」A1をタブで選択表示させた状態であり、他のワークシート「作業確認票(A)(送電線路用)補紙」A2をタブで選択することもできる。なお、マクロ機能により、この「作業確認票(A)(送電線路用)」A1の所定項目に入力した一部のデータは、他のワークシート「作業確認票(A)(送電線路用)補紙」A2の対応項目に対しても反映(自動入力)することができる。
【0043】
作業確認票Aは、送電線に対する停電、活線、活近、その他、の各作業種別の作業毎に作成される。各セルの入力項目としては、作成箇所(発行箇所)401、作成日402、停電作業要求書No.403、配電線(所線名)404、件名405、作業開始/作業完了日時406、作業着手/作業終了日時407、作業編成および作業分担408、前日の打合せ確認事項409、責任者との連絡事項(作業時間)410、作業および連絡の確認事項411、系統図および作業範囲明示図・記事等の貼付欄412、等がある。
【0044】
作業編成および作業分担408は、班、班長(工事側立会人)、作業員、作業内容408a、注意指示事項408b、等の項目を有する。前日の打合せ確認事項409は、縦軸に項目、横軸に連絡先を有し、項目は、作業回線区間、停電・活線(近)作業時間、連携方法、連携場所、通信への疎通障害、乙種アース・危険区画標示、等の項目を有する。
【0045】
責任者との連絡事項(作業時間)410は、縦軸に項目として、1L停電、作業開始、作業着手、作業終了、充電可能範囲連角、作業完了、送電、等の項目を有し、横軸に各項目に対応する実施時刻、発信者、受信者、甲種アースつけ箇所・時刻(箇所、機器番号、時刻)、等の項目を有する。
【0046】
作業および連絡の確認事項411は、縦軸に項目として、開始前打合連絡、確認票の確認、操作要求、操作完了、作業着手許可、乙種アース・危険区画標示つけ要請・承認、タブレット使用、検電、乙種アースつけ、危険区画標示つけ、中間報告、終了予定、等の項目を有する。横軸には、送電課長、送電連絡責任者、直営(作業責任者)、請負(工事立会者、現場代理人)、作業班長確認連絡者、工事副立会者、等の項目を有し、縦軸と横軸の項目の交点のセルには、チェックが必要な箇所に〇印がつけられる。
【0047】
系統図および作業範囲明示図・記事等の貼付欄412には、作業範囲を図示する系統図が貼付される。この系統図は、作業確認票Aに関連する別紙として作成され、この別紙で作成された系統図や、作業範囲を示す図、作業にかかる記事等が、系統図および作業範囲明示図・記事等の貼付欄412に貼付される。
【0048】
実施の形態における新システムNEWで運用される作業手続き支援装置201は、停電作業要求毎に新規の作業確認票Aを作成する。この際、作業手続き支援装置201は、端末220のユーザ操作により作成される停電作業要求のデータ(停電作業要求書)を受信し、停電作業要求書のデータの一部の項目を作業確認票Aに反映させる。
【0049】
例えば、
図4中の作業確認票Aの各項目のうち、斜線で示した作成箇所(発行箇所)401、作成日402、停電作業要求書No.403、配電線(所線名)404、件名405、作業開始/作業完了日時406、作業着手/作業終了日時407、作業編成および作業分担408内の作業内容408aについては、停電作業要求書のデータを用いて自動入力する。
【0050】
ここで、新システムNEWの作業手続き支援装置201は、表計算ソフトウェアを用いた表データの作成において、異常処理が生じないように、例えば、セルの結合や行・列の追加、削除等の編集操作ができないように規制している。
【0051】
そして、作業手続き支援装置201は、作成した作業確認票AがネットワークNWを介した所定のワークフローにより承認されるようになっている。
【0052】
図4に示す作業確認票Aは、旧システムOLDにおいても同様の様式(セル配置や項目等)を有しているとする。
【0053】
上述した新システムNEWの作業手続き支援装置201は、停電作業要求書から作業確認票Aに反映される項目があるものの、例えば、件名405が反映されるが、代表件名以外の件名もあり、修正が必要な場合が生じた。また、作業内容408aも反映されるが、停電作業要求書の作業内容は、主作業の内容のみであり、その他の項目(例えば、検電、乙アース、危険区画つけはずし、専任監視員名等)の記載がないため、必ず修正が必要となった。
【0054】
このため、新システムNEWを用いた場合、結果として、予め作成しておいた作業停電要求書のデータのうち、作業確認票Aに反映される項目は少なく、反映されても修正が必要なことが多い。また、編集制限(例えば、セルの結合や行・列の追加、削除の編集操作が不可)のため、構内作業時や両端乙アース時には、時間確認票等の編集が必要となった際、作成ができない。
【0055】
このように、旧システムOLDで用いていたデータの自動入力は、新システムNEWで行えず、作業確認票Aに対して直接入力した場合、新規に入力する項目が多大となり、作成に時間がかかった。
【0056】
図5は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置による作業確認票の作成手順を示す説明図である。実施の形態では、新システムNEWを使用して
図5(a)に示す作業確認票Aを作成するにあたり、作業確認票Aの作成に要する時間を短縮するため、補助ツールT(210)を用いる。この補助ツール210は、旧システムOLDから共通して使用されている作業確認票Aの作成時間を短縮するためのものであり、作業確認票Aを作成するユーザ操作を容易化できる支援を行う。
【0057】
図5(b)に示すように、実施の形態の補助ツール210は、作業確認票Aと同じ様式(セル設定および項目)を有する補助入力票Hを作成する。作業手続き支援装置201は、新規の作業確認票Aの作成時、例えば、停電作業の要求(停電作業要求書)の作成毎に補助ツールT(210)を起動させる。補助ツールT(210)は、作業確認票Aと同じ様式の補助入力票Hを作成する。例えば、補助入力票Hは、空の作業確認票A全体を複製(コピー)することで作成する。
【0058】
この後、ユーザが端末220を操作して空の補助入力票Hに対する項目の入力を行う。補助入力票Hは、作業確認票Aをコピーしたものであり、作業確認票Aが有する様式(セルの設定(サイズ)やセルの結合箇所)、各項目のリンク設定などを同様に有する。
【0059】
そして、ユーザは、補助入力票Hに対し、各セルの項目を入力する。この入力時、上述した作成箇所(発行箇所)401、作成日402、停電作業要求書No.403、配電線(所線名)404、件名405、作業開始/作業完了日時406、作業着手/作業終了日時407、作業編成および作業分担408、前日の打合せ確認事項409、責任者との連絡事項(作業時間)410、作業および連絡の確認事項411、系統図および作業範囲明示図・記事等の貼付欄412、等に対する項目を入力する。
【0060】
補助入力票Hが有する各項目のうち、斜線で示した作成箇所(発行箇所)401、作成日402、停電作業要求書No.403、配電線(所線名)404、件名405、作業開始/作業完了日時406、作業着手/作業終了日時407、作業編成および作業分担408内の作業内容408aについては、自動入力できる。
【0061】
この自動入力では、補助ツールT(210)は、例えば、ユーザが端末220を操作した際の、停電作業要求のデータを補助入力票Hの斜線で示した該当箇所に挿入する。また、
図5(c)に示すように、ユーザは、端末220を操作して、自動入力可能な箇所以外の項目を入力する。例えば、作業編成および作業分担408のうち、自動入力されない注意指示事項408bの各項目を入力する。
【0062】
図6は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置が作成する作業確認票に対する系統図等の貼り付け作業を示す図である。
図5(c)に示す補助入力票Hの系統図および作業範囲明示図・記事等の貼付欄412には、端末220等の操作により予め作成した系統図、作業範囲明示図、記事等600のイメージ601を貼り付け(コピー&ペースト)により挿入可能である。
【0063】
この挿入時、作成済みの系統図、作業範囲明示図、記事等600は、イメージ601の内容を加工することなく、系統図および作業範囲明示図・記事等の貼付欄412に挿入することができる。なお、系統図および作業範囲明示図・記事等の貼付欄412が有する大きさb0に適合するよう、作成した系統図、作業範囲明示図、記事等のイメージb1全体を拡大または縮小して貼り付けることができる。
【0064】
この後、補助ツールT(210)は、
図5(c)に示したデータ入力後の補助入力票H’をコピー&ペーストにより空の作業確認票Aへ貼り付ける。これにより、
図5(a)に示した空の作業確認票Aは、各項目が入力された状態となり、作業確認票Aを完成させることができる。
【0065】
データ入力後の補助入力票H’は票内の全領域(全セル)を選択し、一度のコピー&ペーストで空の作業確認票Aへ貼り付けることもできるが、異なる領域単位を複数回貼り付けて作成することとしてもよい。なお、特定のセル、例えば、作業確認票Aに対するワークフロー承認に関係するセル部分に対する編集制限を設け、コピー&ペーストができないようにしてもよい。例えば、責任者名の入力セル部分等、該当者本人のみ入力できるよう編集制限された箇所に対しては、予め作業確認票A(補助入力票H)上で編集制限箇所である旨の表示を行っておくことで、この編集制限箇所を除く箇所(セル)を選択し、コピー&ペーストできるようになる。
【0066】
作業手続き支援装置201は、補助ツールT(210)を用いて完成した作業確認票AをデータベースDBに格納保持する。この後、作業手続き支援装置201は、完成した作業確認票AをネットワークNWを介して所属長等の端末220に転送し、所定のワークフローにより承認されることで、作業に関連するユーザは、端末220を介してデータベースDBに保持されている承認後の作業確認票Aを閲覧することができる。
【0067】
図7は、実施の形態にかかる作業手続き支援装置による作業確認票の作成手順を示すフローチャートである。作業手続き支援装置201の制御部(CPU301)が主に補助ツールT(210)の機能を用いて作業確認票Aを作成する処理例を示す。例えば、作業手続き支援装置201は、ネットワークNWを介して接続された端末220に対するユーザ操作により、作業確認票Aの作成を行う。
【0068】
はじめに、作業手続き支援装置201の制御部は、ユーザ操作による新規の作業確認票Aの作成を待機する(ステップS701:Noのループ)。新規の作業確認票Aの作成であれば(ステップS701:Yes)、制御部は、補助ツール210を起動させる(ステップS702)。
【0069】
つぎに、制御部(補助ツール210)は、空の作業確認票A全体を複製コピーして補助入力票Hを作成する(ステップS703)。この後、制御部(補助ツール210)は、ユーザ操作による補助入力票Hに対する項目のデータ入力を受ける(ステップS704)。
【0070】
このデータ入力時、ユーザは、端末220を操作して補助入力票Hの各セルの項目をデータ入力する。また、上述したように、補助入力票Hが有する各項目のうち、斜線で示した所定の項目は、予め端末220に入力しておいたデータを自動入力することもできる。また、補助入力票Hの系統図および作業範囲明示図・記事等の貼付欄412には、予め作成した系統図、作業範囲明示図、記事等のイメージを貼り付け(コピー&ペースト)により挿入する。
【0071】
そして、制御部(補助ツール210)は、補助入力票Hに対する全てのデータ入力の完了操作等を受けると、データ入力後の補助入力票H’を空の作業確認票Aへ貼り付ける(ステップS705)。これにより、各項目が入力された作業確認票Aを完成させることができる。
【0072】
作業手続き支援装置201の制御部は、完成した作業確認票AをデータベースDBに格納する。そして、上述したように、新たな作業確認票Aの作成の要求(例えば停電作業要求)毎に、新規の作業確認票AがデータベースDBに格納され、ユーザは端末220等の操作により必要な作業確認票Aを読み出し内容を確認することができる。
【0073】
また、既に格納されている作業確認票Aを用いて新たな作業確認票Aを作成することもできる。例えば、以前に行った作業に類似する作業を行う場合、該当する作業確認票Aを読み出し、今回の作業の変更箇所に対応するセルに対する変更作業を行うこともできる。この場合においても、上述したように、補助ツール210は、読み出した作業確認票Aを複製した補助入力票Hを作成し、この補助入力票Hに対するデータ入力(項目毎の変更操作等)を行えばよい。
【0074】
上記説明した実施の形態では、作成対象の作業確認票に対するデータ入力を例に説明したが、各種のデータ表に同様に適用できる。例えば、他の種別の作業確認票や、作業確認票の補紙(補足事項の記載書)等についても、同様に対象のデータ表を複製して補助入力票を作成し、この補助入力票に対するデータ入力を行った後、補助入力票を対象のデータ表に貼り付けることで、データ表を簡単に完成させることができる。
【0075】
以上説明した実施の形態の作業手続き支援装置201の制御部(補助ツール210)は、所定の作業の各種項目を入力する所定様式の複数のセルを有する作業確認票Aを新規に作成する際、セル欄が空で所定様式の作業確認票Aを複製した補助入力票Hを作成する。そして、補助ツール210は、補助入力票Aの複数のセルに対するデータの入力を受け付け、データの入力後の補助入力票H’を、作業確認票Aに貼り付けて作業確認票Aを作成する。これにより、作業確認票Aに直接データ入力を行わず、作業確認票Aの様式を複製した仮の補助入力票Hに対してデータ入力を行うため、作業確認票Aを直接変更することなくデータの入力作業を進めることができ、作業確認票Aでのデータの欠損や誤りを生じることなく、データ入力後の補助入力票H’を用いて作業確認票Aを完成することができる。
【0076】
また、制御部は、複製時に、作業確認票Aの複数のセルの配置および結合状態の属性を複製した補助入力票Hを作成してもよい。補助入力票Hは、作業確認票A同様の複数のセルの配置および結合状態の属性を有するため、この補助入力票Hに対し、各セルに適したデータ入力を行うことができ、補助入力票Hに対するデータ入力後は、補助入力票H’を作業確認票Aに貼り付けるだけの簡単な操作で作業確認票Aを完成できるようになる。
【0077】
また、制御部は、作業確認票Aの複製後の補助入力票Hが有する各種項目のうち予め作成された所定の項目のデータの自動入力を受け付け、残りのデータのユーザ操作による入力を受け付けてもよい。これにより、データ入力に必要な操作を省力化でき、簡単に作業確認票Aを作成できるようになる。
【0078】
また、制御部は、作業確認票Aの複製後の補助入力が有する図表の貼付欄412に、予め作成された所定の図表のイメージを貼り付け可能である。これにより、作業確認票Aを開いたままでこの作業確認票A上での編集操作を行うことなく、図表の貼付欄412に必要な図表のイメージを張り付けるだけで作業確認票Aを作成できる。
【0079】
また、制御部は、作成後の作業確認票AをデータベースDBに保持し、新たな所定の作業時に、データベースDBに保持された作業確認票Aを読み出し、読み出した作業確認票Aを複製した補助入力票Hに対し、新たな所定の作業に対応する項目のセルのデータの編集を行った後、データの入力後の補助入力票H’を、作業確認票Aに貼り付けて、新たな所定の作業に対応する作業確認票Aを作成してもよい。これにより、新たな作業確認票Aの作成時、過去の作業内容に類似する作業であれば、データベースに保持された過去の作業確認票Aを用いて簡単に新たな作業確認票Aを作成することができるようになる。この際においても、データベースDBに保持されている作業確認票Aを直接編集することなく、新たな作業確認票Aを作成できる。
【0080】
また、作業手続き支援装置201にネットワーク接続された端末220を含み、端末220は、作業手続き支援装置201が作成する補助入力票Hに対するデータの入力を行う構成としてもよい。これにより、端末220側の操作により、作業手続き支援装置201が管理する補助入力票Hに対するデータ入力を行うことができ、端末220が設置された任意の場所で作業確認票Aを作成できる。また、複数の端末220を介して複数のユーザにより作業確認票Aを作成することができる。
【0081】
これらにより、実施の形態で説明した作業手続き支援システムは、作業確認票を複製した補助入力票に対しデータ入力を行うため、複数の入力項目を有する作業確認票を直接編集せずにデータ入力できる。このような補助入力票を用いたデータ入力によれば、システム変更があった場合でも、作業確認票を複製した補助入力票に対しデータ入力を行うことで、複数回のシステム変更においても同様のデータ入力で作業確認票を作成できるようになり、システム移行を容易に行うことができるようになる。
【0082】
また、実施の形態で説明した作業手続き支援システムは、複数セルに対するデータ入力を行う各種のデータ表にも適用可能である。
【0083】
なお、本発明の実施の形態で説明した作業手続き支援方法は、予め用意されたプログラムをサーバ等のプロセッサに実行させることにより実現することができる。本方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本方法は、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明は、複数の入力項目を有する作業確認票等のデータ表の作成に用いて好適である。
【符号の説明】
【0085】
200 作業手続き支援システム
201 作業手続き支援装置
210(T) 補助ツール
220 端末
301 CPU
302 メモリ
305 記録媒体
A 作業確認票
DB データベース
H 補助入力票
NEW 新システム
NW ネットワーク
OLD 旧システム