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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】血圧測定装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B5/022 400Z
A61B5/022 500Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019196628
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021069509
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 大資
(72)【発明者】
【氏名】奥川 美貴
(72)【発明者】
【氏名】中西 基文
(72)【発明者】
【氏名】三ッ浪 由紀子
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-125729(JP,A)
【文献】特表2008-543389(JP,A)
【文献】特開平11-178798(JP,A)
【文献】特開2016-067407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧測定を行う血圧測定装置であって、
前記血圧測定の実施をユーザに促す報知を行う報知部と、
ユーザからの指示により血圧測定時刻を設定可能な時刻設定部と、
ユーザによる変更が不可である血圧測定の推奨時間帯を記憶する記憶部と、
前記時刻設定部により設定された血圧測定時刻に基づき前記報知部に前記報知を開始させ、前記推奨時間帯を過ぎると前記報知部に前記報知を停止させる制御を行う制御部と、
を備える血圧測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の血圧測定装置であって、
前記時刻設定部は、前記推奨時間帯の範囲内で前記血圧測定時刻を設定する血圧測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の血圧測定装置であって、
前記推奨時間帯は複数設定される血圧測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の血圧測定装置であって、
前記推奨時間帯は朝と晩の時間帯である血圧測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の血圧測定装置であって、
前記報知部は、発光により前記報知を行い、
前記制御部は、前記発光を停止させ、又は前記発光の態様を変化させることにより、前記報知を停止させる血圧測定装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項記載の血圧測定装置であって、
前記報知部は、振動により前記報知を行い、
前記制御部は、前記振動を停止させ、又は前記振動の態様を変化させることにより、前記報知を停止させる血圧測定装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項記載の血圧測定装置であって、
前記報知部は、画面表示により前記報知を行い、
前記制御部は、前記画面表示を停止させ、又は前記画面表示の態様を変化させることにより、前記報知を停止させる血圧測定装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項記載の血圧測定装置であって、
前記報知部は、音声出力により前記報知を行い、
前記制御部は、前記音声出力を停止させ、又は前記音声出力の態様を変化させることにより、前記報知を停止させる血圧測定装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の血圧測定装置であって、
前記制御部は、前記血圧測定の実施履歴に基づいて前記報知の態様を変化させる血圧測定装置。
【請求項10】
請求項9記載の血圧測定装置であって、
前記血圧測定の実施履歴は、前記血圧測定の実施の頻度に関する履歴である血圧測定装置。
【請求項11】
血圧測定の実施をユーザに促す報知を行う血圧測定装置の制御プログラムであって、
ユーザからの指示により設定可能な血圧測定時刻に基づき前記報知を開始するステップと、
ユーザによる変更が不可である血圧測定の推奨時間帯を過ぎると前記報知を停止するステップと、
前記血圧測定装置のコンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧測定装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者が健康機器を使用する時間帯を設定しておき、毎日その設定時間がくると報知を行う健康機器の使用誘導装置が知られている(特許文献1)。また、発光体又は表示の点滅で、現在時刻が測定予定時刻を含む所定の時間帯に含まれることが報知される生体情報測定装置が知られている(特許文献2)。また、患者に血圧測定を促す警報を、毎日の朝及び夜に発生させる血圧測定装置が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-178798号公報
【文献】特開2008-125729号公報
【文献】特表2008-543389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの血圧状態を正確に評価するために、朝と晩などの所定の時間帯に血圧測定を実施することが推奨されている。これらの時間帯以外においては、運動等の様々な要素によりユーザの血圧が不安定であり、血圧測定を実施しても、ユーザの血圧状態の正確な評価に対する有用性が低い場合がある。しかしながら、上記の従来技術では、このような有用性を考慮して血圧測定を促す報知を終了させる手段は開示されていない。
【0005】
例えば特許文献1には、設定時間がくると開始される報知を、いつまで継続するかについて開示がない。これに対して、例えば、血圧測定が実施されると報知を停止するようにすることが考えられるが、ユーザがしばらく血圧測定を実施しなかった場合、血圧測定の実施が推奨される時間帯を過ぎても報知を続けてしまい、上記のような有用性が低い血圧測定をユーザに促してしまう。また、特許文献2,3においても、このような課題を解決できる手段は開示されていない。
【0006】
そして、上記のような有用性を考慮しない報知が継続されると、報知の血圧測定を促す訴求力が低下し、継続的な血圧測定に対するユーザのモチベーションが低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、有用性が高い血圧測定の実施を促すことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
すなわち、本発明の一側面に係る血圧測定装置は、血圧測定を行う血圧測定装置であって、前記血圧測定の実施をユーザに促す報知を行う報知部と、ユーザからの指示により血圧測定時刻を設定可能な時刻設定部と、血圧測定の推奨時間帯を記憶する記憶部と、前記時刻設定部により設定された血圧測定時刻に基づき前記報知部に前記報知を開始させ、前記推奨時間帯を過ぎると前記報知部に前記報知を停止させる制御を行う制御部と、を備える。血圧測定の推奨時間帯とは、ユーザの血圧状態を正確に評価するために血圧測定の実施が推奨される時間帯であり、一例としては、朝晩の時間帯である。
【0010】
上記構成では、血圧測定の推奨時間帯が過ぎると、血圧測定が未実施であっても、血圧測定の実施をユーザに促す報知が停止する。これにより、血圧測定の有用性が低い時間帯になっても血圧測定の実施をユーザに促してしまうことを回避し、有用性が高い血圧測定の実施を促すことができる。このため、例えば、継続的な血圧測定に対するユーザのモチベーションの低下を抑制することができる。
【0011】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記時刻設定部は、前記推奨時間帯の範囲内で前記血圧測定時刻を設定してもよい。
【0012】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記推奨時間帯は複数設定されてもよい。当該構成によれば、ユーザの血圧状態を正確に評価するために血圧測定の実施が推奨される日毎の複数の推奨時間帯について、推奨時間帯が過ぎても報知を続けることを回避することができる。
【0013】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記推奨時間帯は朝と晩の時間帯であってもよい。当該構成によれば、例えば、ユーザの血圧状態を正確に評価するために血圧測定の実施が推奨される日毎の朝晩の各推奨時間帯について、推奨時間帯が過ぎても報知を続けることを回避することができる。
【0014】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記報知部は、発光により前記報知を行い、前記制御部は、前記発光を停止させ、又は前記発光の態様を変化させることにより、前記報知を停止させてもよい。
【0015】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記報知部は、振動により前記報知を行い、前記制御部は、前記振動を停止させ、又は前記振動の態様を変化させることにより、前記報知を停止させてもよい。
【0016】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記報知部は、画面表示により前記報知を行い、前記制御部は、前記画面表示を停止させ、又は前記画面表示の態様を変化させることにより、前記報知を停止させてもよい。
【0017】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記報知部は、音声出力により前記報知を行い、前記制御部は、前記音声出力を停止させ、又は前記音声出力の態様を変化させることにより、前記報知を停止させてもよい。
【0018】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記推奨時間帯は、ユーザによる変更が不可であってもよい。当該構成によれば、ユーザが推奨時間帯の終了時刻を変更してしまい、本来の推奨時間帯が過ぎても報知が続くことを回避することができる。
【0019】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記制御部は、前記血圧測定の実施履歴に基づいて前記報知の態様を変化させてもよい。当該構成によれば、報知の態様によってユーザが血圧測定の実施状況を認識できるため、ユーザによる血圧測定の継続的な実施を支援することができる。
【0020】
上記一側面に係る血圧測定装置において、前記血圧測定の実施履歴は、前記血圧測定の実施の頻度に関する履歴であってもよい。当該構成によれば、血圧測定の実施の頻度が低いほど、血圧測定の実施をユーザに強く促す態様で報知を行うことが可能になるため、ユーザによる血圧測定の継続的な実施を支援することができる。
【0021】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、血圧測定の実施をユーザに促す報知を行う血圧測定装置の制御プログラムであって、ユーザからの指示により設定可能な血圧測定時刻に基づき前記報知を開始するステップと、血圧測定の推奨時間帯を過ぎると前記報知を停止するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、有用性が高い血圧測定の実施を促すことができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を適用した血圧測定装置1の一例を示す図である。
図2】血圧測定装置1における本体部10の内部構成を示す図である。
図3】血圧測定装置1による報知設定処理の一例を示すフローチャートである。
図4】血圧測定装置1による報知処理の一例を示すフローチャートである。
図5】血圧測定装置1により設定される報知時間帯の一例を示す図である。
図6】血圧測定の実施履歴に応じた報知態様の制御の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】
§1 適用例
<本発明を適用した血圧測定装置1>
図1は、本発明を適用した血圧測定装置1の一例を示す図である。血圧測定装置1は、ユーザの血圧を測定し、その測定の結果をユーザに出力するシステムである。例えば、血圧測定装置1は、本体部10と、ユーザの上腕に巻付け可能なカフ30と、本体部10とカフ30を接続するエアチューブ40とを備える。図1の例ではカフ30と本体部10が別体となっているが、カフ30が本体部10と一体化されていてもよい。
【0026】
本体部10は、表示部19と、操作部21と、報知部20とを備える。
【0027】
表示部19は、血圧値及び脈拍数等の各種情報を表示する。例えば、表示部19は、液晶画面等により構成される。操作部21は、ユーザ(被測定者)からの指示を受け付ける操作部である。操作部21の構成については後述する。
【0028】
報知部20は、血圧測定の実施をユーザに促す報知を行う。図1に示す例では、報知部20は、発光により報知を行うLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。報知部20は、点灯することにより、血圧測定の実施をユーザに促している状態となり、消灯(発光を停止)することにより、血圧測定の実施をユーザに促していない状態となる。
【0029】
血圧測定装置1は、血圧測定時刻になると報知部20を点灯(報知を開始)させ、血圧測定の推奨時間帯を過ぎると報知部20に消灯(報知を停止)させる制御を行う。血圧測定時刻は、例えば操作部21を介して、ユーザからの指示により設定可能な時刻である。血圧測定の推奨時間帯は、ユーザの血圧状態を正確に評価するために血圧測定を実施することが推奨されている時間帯である。
【0030】
推奨時間帯は、例えば、朝の時間帯(一例としては4時から11時59分59秒まで)と晩の時間帯(一例としては19時から25時59分59秒まで)である。なお、本明細書において、時刻は24時制で記載される。
【0031】
すなわち、血圧測定装置1が報知を行う報知時間帯の開始時刻は、ユーザにより設定可能である。一方で、血圧測定装置1が報知を行う報知時間帯の終了時刻は、推奨時間帯の終了時刻と一致しており、ユーザによる変更が不可である。
【0032】
このように、血圧測定装置1は、血圧測定の実施をユーザに促す報知を行うとともに、血圧測定の実施の推奨時間帯の終了時刻になると、報知を開始した時刻に関わらずに報知を停止する。これにより、血圧測定の有用性が低い時間帯になっても血圧測定の実施をユーザに促してしまうことを回避し、有用性が低い血圧測定の実施を抑制することができる。このため、例えば、継続的な血圧測定に対するユーザのモチベーションの低下を抑制することができる。
【0033】
なお、報知時間帯の終了時刻が、報知時間帯の開始時刻に関わらずに推奨時間帯の終了時刻に基づいて設定される時刻であることにより、例えば報知を開始してから一定時間後に報知を停止する構成と異なり、血圧測定の有用性が低い時間帯になると報知を停止することが可能になる。
【0034】
また、報知時間帯の終了時刻、すなわち推奨時間帯の終了時刻のユーザによる変更が不可であることにより、報知時間帯の終了時刻(推奨時間帯の終了時ユーザが変更してしまい、本来の推奨時間帯が過ぎても報知が続くことを回避することができる。
【0035】
§2 構成例
[血圧測定装置1の構成]
<操作部21の構成>
操作部21は、測定/停止スイッチ21A、メモリスイッチ21B、及び矢印スイッチ21C,21D等を含む。測定/停止スイッチ21Aは、電源をON又はOFFするための指示の入力と測定開始及び終了の指示を受け付ける。
【0036】
メモリスイッチ21Bは、本体部10に記憶された血圧データ等の情報を読み出し、表示部19に表示する指示を受け付ける。矢印スイッチ21C,21Dは、情報呼び出しの際のメモリ番号の上げ下げの指示を受け付ける。
【0037】
<血圧測定装置1における本体部10の内部構成>
図2は、血圧測定装置1における本体部10の内部構成を示す図である。
【0038】
カフ30は空気袋31を含んでおり、この空気袋31に図1に示したエアチューブ40が接続されている。
【0039】
本体部10は、圧力センサ11と、ポンプ12と、弁13と、発振回路14と、ポンプ駆動回路15と、弁駆動回路16と、電源17と、図1に示した表示部19と図1に示した報知部20と、CPU(Central Processing Unit)18と、図1に示した操作部21と、メモリ22とを備える。CPU18は、本発明の「制御部」の一例である。操作部21は、本発明の「時刻設定部」の一例である。メモリ22は、本発明の「記憶部」の一例である。
【0040】
ポンプ12は、カフ30による被測定部位への圧迫圧力を増加させるために、空気袋31に空気を供給する。
【0041】
弁13は、空気袋31内の空気を排出又は封入するために開閉される。
【0042】
ポンプ駆動回路15は、ポンプ12の駆動を、CPU18から与えられる制御信号に基づいて制御する。
【0043】
弁駆動回路16は、弁13の開閉制御を、CPU18から与えられる制御信号に基づいて行う。
【0044】
ポンプ12、弁13、ポンプ駆動回路15、及び弁駆動回路16により、カフ30による被測定部位への圧迫圧力を変化させることができる。
【0045】
電源17は、本体部10の各部に電力を供給する。
【0046】
CPU18は、本体部10全体を統括制御すると共に各種の演算処理を行う。上記の報知部20による報知は、CPU18により制御される。
【0047】
圧力センサ11は、エアチューブ40と接続される圧力センサであり、一例として静電容量型の圧力センサである。静電容量型の圧力センサは、検出する圧力に応じて容量値が変化するものである。
【0048】
発振回路14は、圧力センサ11の容量値に基づき発振し、当該容量値に応じた信号をCPU18に出力する。CPU18は、発振回路14から出力される信号を圧力値に変換することによって、カフ30の圧力(カフ圧)を検出する。
【0049】
メモリ22は、CPU18に所定の動作をさせるためのプログラムやデータを記憶するROM(Read Only Memory)と、ワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、測定した血圧データ等を格納するフラッシュメモリとを含む。上述の推奨時間帯は、例えばメモリ22のROMやフラッシュメモリ等に記憶されている。
【0050】
[血圧測定装置1の処理]
以下に説明する血圧測定装置1の処理は、例えばCPU18がメモリ22のROMに記憶される制御プログラムを読み出して実行することで主にCPU18により実行される。
【0051】
<血圧測定装置1による報知設定処理>
図3は、血圧測定装置1による報知設定処理の一例を示すフローチャートである。血圧測定装置1は、上記の報知を行う報知時間帯を設定する処理として、例えば図3に示す処理を実行する。
【0052】
まず、血圧測定装置1は、朝の測定時刻の入力をユーザから操作部21により受け付ける(ステップS41)。朝の測定時刻とは、朝の推奨時間帯においてユーザが血圧測定を実施する予定の時刻である。朝の推奨時間帯は、一例としては4時から11時59分59秒までの時間帯である。
【0053】
次に、血圧測定装置1は、上記の報知を行う朝の報知時間帯である第1報知時間帯の開始時刻を、ステップS41により受け付けた朝の測定時刻の5分前の時刻に設定する(ステップS42)。また、血圧測定装置1は、第1報知時間帯の終了時刻を、朝の推奨時間帯の終了時刻である11時59分59秒に設定する(ステップS43)。ステップS41~S43により、第1報知時間帯が設定される。
【0054】
次に、血圧測定装置1は、晩の測定時刻の入力をユーザから操作部21により受け付ける(ステップS44)。晩の測定時刻とは、晩の推奨時間帯においてユーザが血圧測定を実施する予定の時刻である。晩の推奨時間帯は、一例としては19時から25時59分59秒までの時間帯である。
【0055】
次に、血圧測定装置1は、上記の報知を行う晩の報知時間帯である第2報知時間帯の開始時刻を、ステップS44により受け付けた晩の測定時刻の5分前の時刻に設定する(ステップS45)。また、血圧測定装置1は、第2報知時間帯の終了時刻を、晩の報知時間帯の終了時刻である1時59分59秒(25時59分59秒)に設定する(ステップS46)。ステップS44~S46により、第2報知時間帯が設定される。
【0056】
図3に示したように、第1報知時間帯及び第2報知時間帯を含む報知時間帯の開始時刻は、ユーザからの入力によって設定される。一方で、報知時間帯の終了時刻は、推奨時間帯に基づき固定的に設定され、ユーザからは設定不可である。
【0057】
<血圧測定装置1による報知処理>
図4は、血圧測定装置1による報知処理の一例を示すフローチャートである。血圧測定装置1は、上記の報知を行う処理として、例えば図4に示す処理を実行する。
【0058】
まず、血圧測定装置1は、現在時刻を取得する(ステップS51)。例えば、血圧測定装置1は、血圧測定装置1が内蔵する内部時計に基づく現在時刻を取得する。次に、血圧測定装置1は、ステップS51により取得した現在時刻が報知時間帯の時刻か否かを判断する(ステップS52)。例えば、血圧測定装置1は、現在時刻が図3に示した第1報知時間帯及び第2報知時間帯のいずれかの時刻であるか否かを判断する。
【0059】
ステップS52において、現在時刻が報知時間帯の時刻でない場合(ステップS52:No)は、血圧測定装置1は、報知部20を消灯させる制御を行い(ステップS53)、ステップS51へ戻る。ステップS53において、具体的には、血圧測定装置1は、報知部20が点灯していた場合は報知部20を消灯させ、報知部20が消灯していた場合は報知部20の消灯を維持する制御を行う。
【0060】
ステップS52において、現在時刻が報知時間帯の時刻である場合(ステップS52:Yes)は、血圧測定装置1は、当該時間帯にユーザが血圧測定装置1による血圧測定を実施済み(測定済み)であるか否かを判断する(ステップS54)。なお、当該時間帯とは、現在時刻を含む報知時間帯であって、現在時刻を含む報知時間帯より前の、前日等の報知時間帯は含まない。
【0061】
ステップS54において、血圧測定を実施済みである場合(ステップS54:Yes)は、血圧測定装置1は、ステップS53へ移行する。血圧測定を実施済みでない場合(ステップS54:No)は、血圧測定装置1は、報知部20を点灯させる制御を行い(ステップS55)、ステップS51へ戻る。ステップS55において、具体的には、血圧測定装置1は、報知部20が消灯していた場合は報知部20を点灯させ、報知部20が点灯していた場合は報知部20の点灯を維持する制御を行う。
【0062】
[制御プログラム]
血圧測定装置1の制御プログラムは、プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non-transitory)記憶媒体に記憶される。このような「コンピュータ読取可能な記憶媒体」は、例えば、CD-ROM(Compact Disc-ROM)等の光学媒体や、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はメモリカード等の磁気記憶媒体等を含む。また、このようなプログラムを、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0063】
§3 動作例
<血圧測定装置1により設定される報知時間帯>
図5は、血圧測定装置1により設定される報知時間帯の一例を示す図である。図5に示す第1報知時間帯61は、図3に示したステップS41~S43により設定される第1報知時間帯の一例である。図5に示す第2報知時間帯62は、図3に示したステップS44~S46により設定される第2報知時間帯の一例である。
【0064】
図5に示す例では、図3に示したステップS41において朝の測定時刻として7時30分が入力され、図3に示したステップS44において晩の測定時刻として0時20分が入力された場合について説明する。
【0065】
この場合に、第1報知時間帯61は、開始時刻が7時30分の5分前の7時25分であり、終了時刻が11時59分59秒である時間帯となる。第2報知時間帯62は、開始時刻が0時20分の5分前の0時15分であり、終了時刻が1時59分59秒である時間帯となる。
【0066】
仮にユーザが血圧測定装置1による血圧測定を実施しない場合、血圧測定装置1は、図5に示すように、第1報知時間帯61及び第2報知時間帯62において、報知部20(LED)を点灯させ、他の時間帯においては報知部20を消灯させる制御を行う。
【0067】
また、図示しないが、第1報知時間帯61においてユーザが血圧測定装置1による血圧測定を実施した場合、血圧測定装置1は、その第1報知時間帯61の残りの期間は報知部20を消灯させる制御を行う。同様に、第2報知時間帯62においてユーザが血圧測定装置1による血圧測定を実施した場合、血圧測定装置1は、その第2報知時間帯62の残りの期間は報知部20を消灯させる制御を行う。
【0068】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上記の説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0069】
[変形例1]
<血圧測定の実施履歴に応じた報知態様の制御>
図6は、血圧測定の実施履歴に応じた報知態様の制御の一例を示す図である。血圧測定装置1は、血圧測定装置1による血圧測定の実施履歴に基づいて上記の報知の態様を変化せてもよい。例えば、血圧測定装置1は、血圧測定装置1による血圧測定の実施履歴をメモリ22等に記憶させる。血圧測定の実施履歴は、例えば血圧測定が実施された日時を示す情報を含む。
【0070】
また、血圧測定装置1のメモリ22には、図6に示す制御テーブル70が予め記憶されている。制御テーブル70は、血圧測定の実施履歴に関する条件毎に、報知部20の報知の態様が対応付けられている。
【0071】
例えば、制御テーブル70は、直近の推奨時間帯で血圧測定装置1による血圧測定が実施済み(測定済み)である場合は、報知部20を緑色で点灯することを示している。なお、直近の推奨時間帯とは、現在時刻より前の推奨時間帯のうち最新の推奨時間帯である。
【0072】
また、制御テーブル70は、直近の1回又は2回の推奨時間帯で血圧測定装置1による血圧測定が実施されていない場合は、報知部20をオレンジ色で点灯することを示している。また、制御テーブル70は、直近の3回以上の推奨時間帯で血圧測定装置1による血圧測定が実施されていない場合は、報知部20を赤色で点灯することを示している。
【0073】
血圧測定装置1は、例えば図4に示したステップS55において、血圧測定の実施履歴と制御テーブル70とに基づいて、報知部20の点灯色を制御する。一例として、ある日を1日目として、1日目の晩の推奨時間帯に血圧測定が実施されると、2日目の朝の推奨時間帯にかかる報知時間帯に報知部20が緑色に点灯する。そして、2日目の朝の推奨時間帯に血圧測定が実施されなかった場合、2日目の晩の推奨時間帯にかかる報知時間帯に報知部20がオレンジ色で点灯する。
【0074】
これにより、ユーザに対して、血圧測定の実施を促すとともに、血圧測定の実施状況をユーザに認識させることができる。したがって、ユーザによる継続的な血圧測定の実施を支援することができる。例えば、図6に示した例のように、推奨時間帯で血圧測定が実施されていない状況が続いているほど、より目立つ色による報知を行うことで、ユーザに対してより強く血圧測定の実施を促すことができる。
【0075】
図6に示した例では、報知部20による報知の態様を変化させる制御として、報知部20の点灯色を変化させる制御について説明したが、報知部20による報知の態様を変化させる制御はこれに限らない。例えば、報知部20による報知の態様を変化させる制御は、報知部20による点灯の明るさを変化させる制御であってもよいし、報知部20の点灯及び点滅などの点灯パターンを変化させる制御であってもよい。
【0076】
また、血圧測定の実施履歴に関する条件は、図6に示した例に限らない。例えば、血圧測定の実施履歴に関する条件は、血圧測定が朝にも晩にも実施されていない日の直近の連続数の条件などであってもよい。このように、血圧測定の実施履歴に関する条件は、血圧測定の実施頻度に関する種々の条件とすることができる。
【0077】
また、血圧測定の実施履歴に関する条件は、血圧測定の実施頻度に関する条件にも限らない。例えば、血圧測定の実施履歴に関する条件は、直近の推奨時間帯に血圧測定が実施されたか否かや、前日の朝晩の少なくともいずれかの推奨時間帯に血圧測定が実施されたか否かの条件などであってもよい。又は、血圧測定の実施履歴に関する条件は、血圧測定装置1においてこれまで実施された血圧測定の累積回数の条件であってもよい。
【0078】
[変形例2]
<報知の停止方法の変形例>
報知部20をLED等により構成し、報知部20による報知を停止する方法として報知部20を消灯させる方法について説明したが、報知部20による報知を停止する方法はこれに限らない。
【0079】
例えば、血圧測定装置1は、報知部20による発光の輝度を低下させたり、報知部20による発光の色を目立たない色に変化させたり、シャッタ等により報知部20の発光部を遮蔽したりする等、報知部20による発光の態様を変化させることにより報知を停止してもよい。又は、血圧測定装置1は、血圧測定の実施をユーザに促す報知として報知部20を点滅させ、報知部20の点滅を点灯に切り替えることにより報知を停止してもよい。
【0080】
[変形例3]
<報知方法の変形例>
報知部20による報知の方法として、LED等により構成される報知部20の発光により報知を行う方法について説明したが、報知部20による報知の方法はこれに限らない。
【0081】
例えば、報知部20は、バイブレータを用いた振動により報知を行うものであってもよい。この場合に、血圧測定装置1は、報知部20の振動を停止させ、又は報知部20の振動の態様を変化させることにより、報知を停止させる。
【0082】
又は、報知部20は、ディスプレイを用いた画面表示により報知を行うものであってもよい。この場合に、血圧測定装置1は、報知部20の画面表示を停止させ、又は報知部20の画面表示の態様を変化させることにより、報知を停止させる。
【0083】
又は、報知部20は、スピーカを用いた音声出力により報知を行うものであってもよい。この場合に、血圧測定装置1は、報知部20の音声出力を停止させ、又は報知部20の音声出力の態様を変化させることにより、報知を停止させる。
【0084】
また、報知部20について、報知部20自体がLED等の出力装置により構成される場合について説明したが、報知部20は外部の出力装置を制御することにより報知を行ってもよい。例えば、報知部20は、ユーザが所有するスマートフォン等の情報端末との間で通信が可能であり、その情報端末の発光、振動、画面表示、又は音声出力等を制御することにより報知を行ってもよい。
【0085】
また、報知部20は、上記の各報知方法のうち複数の報知方法を組み合わせて報知を行うものであってもよい。
【0086】
[変形例4]
<報知時間帯の終了時刻の変形例>
報知時間帯の終了時刻が、報知時間帯の開始時刻に関わらずに設定される時刻である場合について説明したが、報知時間帯の終了時刻は、血圧測定の実施の推奨時間帯に基づく時刻であれば、報知時間帯の開始時刻に連動する時刻であってもよい。例えば、報知時間帯の終了時刻は、デフォルト値が推奨時間帯の終了時刻であり、報知時間帯の開始時刻に応じて、デフォルト値からわずかに(例えば数秒又は数分)シフトする時刻でもよい。
【0087】
また、報知時間帯の終了時刻が、ユーザによる変更が不可である場合について説明したが、報知時間帯の終了時刻は、血圧測定の実施の推奨時間帯に基づく時刻であれば、ユーザによる変更が可能であってもよい。例えば、報知時間帯の終了時刻は、デフォルト値が推奨時間帯の終了時刻であり、ユーザによる設定に応じて、デフォルト値からわずかに(例えば数秒又は数分)シフトする時刻でもよい。又は、報知時間帯の終了時刻は、推奨時間帯の終了時刻に近い複数の時刻の中からユーザが選択した時刻であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 血圧測定装置
10 本体部
11 圧力センサ
12 ポンプ
13 弁
14 発振回路
15 ポンプ駆動回路
16 弁駆動回路
17 電源
18 CPU
19 表示部
20 報知部
21 操作部
21A 測定/停止スイッチ
21B メモリスイッチ
21C,21D 矢印スイッチ
22 メモリ
30 カフ
31 空気袋
40 エアチューブ
61 第1報知時間帯
62 第2報知時間帯
70 制御テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6