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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】動力工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20231226BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20231226BHJP
   B27C 5/10 20060101ALI20231226BHJP
   B27B 9/00 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 G
B27C5/10
B27B9/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019198509
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070105
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 健
(72)【発明者】
【氏名】長田 淑晃
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-073988(JP,A)
【文献】実開昭54-010593(JP,U)
【文献】特開2018-167763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
B27C 5/10
B27B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容され、先端部が前記筒部の軸方向一方側へ突出した出力軸を有し、前記出力軸の先端部において工具が着脱可能に固定されるモータと、
前記筒部に外挿されたベースと、
前記ベースと前記ハウジングとに接続されると共に、作動することで前記ベースを前記筒部の軸方向に昇降させる昇降機構と、
を備え、
前記昇降機構は、前記ハウジング及び前記ベースの一方に形成されて操作部と係合する係合部と、前記ハウジング及び前記ベースの他方において動作可能に支持されて作業者が操作可能な前記操作部と、を含み、
前記係合部は前記筒部の周方向で複数設けられ、
前記操作部は複数の前記係合部のうちいずれか1つと係合可能に構成されると共に、前記ベースは前記操作部と係合する前記係合部の位置に応じて前記ハウジングに対する前記軸方向を軸とした回転位置が変更され、
前記昇降機構は、前記係合部と係合した状態の前記操作部が作業者によって操作されることで、前記操作部が前記ハウジングと前記ベースの他方において作動し、前記ベースを前記筒部に対して前記軸方向に昇降させることが可能なように構成される動力工具。
【請求項2】
筒部を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容され、先端部が前記筒部の軸方向一方側へ突出した出力軸を有し、前記出力軸の先端部において工具が着脱可能に固定されるモータと、
前記筒部に外挿されたベースと、
前記ベースと前記ハウジングとに接続されると共に、作動することで前記ベースを前記筒部の軸方向に昇降させる昇降機構と、
を備え、
前記昇降機構は、
前記筒部及び前記ベースの一方に形成され、前記筒部の軸方向に延在されたラックと、
前記筒部及び前記ベースの他方に設けられ、前記ラックと噛合されたピニオンと、
を含んで構成されており、
前記筒部の周方向に沿った前記ラックの全長が、前記ピニオンの幅長さの2倍以上に設定されている動力工具。
【請求項3】
前記ラックが前記筒部の周方向において複数形成されている請求項2に記載の動力工具。
【請求項4】
前記昇降機構によって、前記筒部の周方向における前記ベースの前記ハウジングに対する相対回転が規制されている請求項1~請求項3の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項5】
前記筒部には、前記モータを駆動又は停止させるための操作部が設けられている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項6】
前記筒部には、表示部が設けられている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の動力工具。
【請求項7】
筒部を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に収容され、先端部が前記筒部の軸方向一方側へ突出した出力軸を有し、前記出力軸の先端部において工具が着脱可能に固定されるモータと、
前記筒部に外挿されたベースと、
前記ベースと前記ハウジングとに接続されると共に、作動することで前記ベースを前記筒部の軸方向に昇降させる昇降機構と、
を備え、
前記昇降機構は、
前記筒部及び前記ベースの一方に形成された係合部と、
前記筒部及び前記ベースの他方に動作可能に設けられると共に作業者によって操作可能であって前記係合部と係合する被係合部と、
を含んで構成されており、
記被係合部が、前記筒部の周方向に複数設けられており、
前記係合部が複数の前記被係合部のうちいずれか1つと係合可能に構成されると共に、前記ベースは前記係合部と係合する前記被係合部の位置に応じて前記ハウジングに対する前記軸方向を軸とした回転位置が変更され、
前記昇降機構は、前記係合部と係合した状態の前記被係合部が作業者によって操作されることで、前記被係合部が前記ハウジングと前記ベースの他方において作動し、前記ベースを前記筒部に対して前記軸方向に昇降させることが可能なように構成される動力工具。
【請求項8】
前記被係合部は、作業者の操作によって回転する回転部材として構成されており、
前記被係合部の回転が前記係合部に伝達されることで、前記ベースが前記ハウジングに対して昇降する請求項7に記載の動力工具。
【請求項9】
前記操作部は、作業者の操作によって回転する回転部材として構成されており、
前記操作部の回転が前記係合部に伝達されることで、前記ベースが前記ハウジングに対して昇降する請求項1に記載の動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の電気ルータ(動力工具)では、切込み深さ調整機構(昇降機構)によって、ハウジングに対するベースの昇降位置を調整できるようになっている。この切込み深さ調整機構は、ハウジングに設けられ且つベースのメネジに螺合されたオネジと、ベースをハウジングに固定するためのボルトと、を含んで構成されている。そして、ボルトを緩めて、オネジを回転させることで、ベースがハウジングに対して昇降するようになっている。これにより、ベースの昇降位置を微調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭56-48604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電気ルータでは、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記電気ルータでは、切込み深さ調整機構によってベースがハウジングに連結された状態では、ハウジングの周方向におけるベース及び切込み深さ調整機構の位置が一定である。このため、例えば、切込み深さ調整機構を作動させるときの作業形態が限定されるという問題がある。
【0005】
また、電気ルータを用いて作業する場合には、一般に、作業者が、ハウジングやベースの側部を把持して作業を行う作業形態となる。一方、上記電気ルータでは、上述のように、ハウジングの周方向における切込み深さ調整機構の位置が一定である。このため、作業者がハウジングやベースを把持するときには、切込み深さ調整機構が設けられていない部分を把持することになり、作業者がハウジングやベースを把持するときの把持形態が限定されるという問題がある。以上により、上記電気ルータでは、作業性を向上するという点において改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、作業性を向上することができる動力工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、筒部を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収容され、先端部が前記筒部の軸方向一方側へ突出した出力軸を有し、前記出力軸の先端部において工具が着脱可能に固定されるモータと、前記筒部に外挿されたベースと、前記ベースと前記ハウジングとに接続されると共に、作動することで前記ベースを前記筒部の軸方向に昇降させる昇降機構と、を備え、前記昇降機構は、前記ハウジング及び前記ベースの一方に形成されて操作部と係合する係合部と、前記ハウジング及び前記ベースの他方において動作可能に支持されて作業者が操作可能な前記操作部と、を含み、前記係合部は前記筒部の周方向で複数設けられ、前記操作部は複数の前記係合部のうちいずれか1つと係合可能に構成されると共に、前記ベースは前記操作部と係合する前記係合部の位置に応じて前記ハウジングに対する前記軸方向を軸とした回転位置が変更され、前記昇降機構は、前記係合部と係合した状態の前記操作部が作業者によって操作されることで、前記操作部が前記ハウジングと前記ベースの他方において作動し、前記ベースを前記筒部に対して前記軸方向に昇降させることが可能なように構成される動力工具である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、筒部を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収容され、先端部が前記筒部の軸方向一方側へ突出した出力軸を有し、前記出力軸の先端部において工具が着脱可能に固定されるモータと、前記筒部に外挿されたベースと、前記ベースと前記ハウジングとに接続されると共に、作動することで前記ベースを前記筒部の軸方向に昇降させる昇降機構と、を備え、前記昇降機構は、前記筒部及び前記ベースの一方に形成され、前記筒部の軸方向に延在されたラックと、前記筒部及び前記ベースの他方に設けられ、前記ラックと噛合されたピニオンと、を含んで構成されており、前記筒部の周方向に沿った前記ラックの全長が、前記ピニオンの幅長さの2倍以上に設定されている動力工具である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ラックが前記筒部の周方向において複数形成されている動力工具である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記昇降機構によって、前記筒部の周方向における前記ベースの前記ハウジングに対する相対回転が規制されている動力工具である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記筒部には、前記モータを駆動又は停止させるための操作部が設けられている動力工具である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記筒部には、表示部が設けられている動力工具である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、筒部を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収容され、先端部が前記筒部の軸方向一方側へ突出した出力軸を有し、前記出力軸の先端部において工具が着脱可能に固定されるモータと、前記筒部に外挿されたベースと、前記ベースと前記ハウジングとに接続されると共に、作動することで前記ベースを前記筒部の軸方向に昇降させる昇降機構と、を備え、前記昇降機構は、前記筒部及び前記ベースの一方に形成された係合部と、前記筒部及び前記ベースの他方に動作可能に設けられると共に作業者によって操作可能であって前記係合部と係合する被係合部と、を含んで構成されており、記被係合部が、前記筒部の周方向に複数設けられており、前記係合部が複数の前記被係合部のうちいずれか1つと係合可能に構成されると共に、前記ベースは前記係合部と係合する前記被係合部の位置に応じて前記ハウジングに対する前記軸方向を軸とした回転位置が変更され、前記昇降機構は、前記係合部と係合した状態の前記被係合部が作業者によって操作されることで、前記被係合部が前記ハウジングと前記ベースの他方において作動し、前記ベースを前記筒部に対して前記軸方向に昇降させることが可能なように構成される動力工具である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記被係合部は、作業者の操作によって回転する回転部材として構成されており、前記被係合部の回転が前記係合部に伝達されることで、前記ベースが前記ハウジングに対して昇降する動力工具である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記操作部は、作業者の操作によって回転する回転部材として構成されており、前記操作部の回転が前記係合部に伝達されることで、前記ベースが前記ハウジングに対して昇降する動力工具である。
【発明の効果】
【0015】
上記構成の動力工具によれば、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に係る電動トリマの斜視図である。
図2図1に示されるバッテリー及びベースをトリマ本体から取外した状態の電動トリマを示す分解斜視図である。
図3図1に示される電動トリマを第1方向一方側から見た側面図である。
図4図1に示される電動トリマを第1方向他方側から見た側面図である。
図5図1に示される電動トリマを第2方向一方側から見た側面図である。
図6図3に示される電動トリマを第2方向一方側から見た側断面図(図3の6-6線断面図)である。
図7図5に示される電動トリマを第1方向一方側から見た側断面図(図5の7-7線断面図)である。
図8図2に示される外側ハウジングを内側ハウジングから取外した状態のトリマ本体を示す分解斜視図である。
図9図6に示される制御部の電気的構成を説明するための機能ブロック図である。
図10】本実施の形態に係る電動トリマの動作を説明するためのフローチャートである。
図11図1に示される昇降機構の変形例を示す第1方向一方側から見た側面図である。
図12】変形例である丸鋸を示す斜視図である。
図13図12に示される丸鋸に設けられた制御パネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る動力工具としての電動トリマ10について説明する。図1に示されるように、電動トリマ10は、全体として略円柱状に形成されている。そして、以下の説明では、電動トリマ10の軸方向一方側(図1の矢印A方向側)を電動トリマ10の下側とし、電動トリマ10の軸方向他方側(図1の矢印B方向側)を電動トリマ10の上側としている。また、上側から見た平面視で、上下方向に対して直交する方向を第1方向(図1の矢印C及び矢印Dを参照)とし、第1方向に対して直交する方向を第2方向(図1の矢印E及び矢印Fを参照)としている。
【0018】
電動トリマ10は、電動トリマ10の下側に配置された被切削材に切削加工を施す工具として構成されている。図2にも示されるように、電動トリマ10は、トリマ本体20(広義には、本体部として把握される要素である)と、ベース60と、バッテリー58(広義には、蓄電池として把握される要素である)と、昇降機構70と、制御部90(図6及び図7参照)と、を含んで構成されている。以下、電動トリマ10の各構成について説明する。
【0019】
(トリマ本体20について)
図1図8に示されるように、トリマ本体20は、ハウジング22と、モータ34と、操作部としてのトリガ42と、表示部としての速度設定ダイヤル46と、ロックボタン52と、を含んで構成されている。
【0020】
<ハウジング22について>
ハウジング22は、トリマ本体20の外郭を構成している。ハウジング22は、2重構造を成している。具体的には、ハウジング22は、ハウジング22の内周側部分を構成する内側ハウジング24と、ハウジング22の外周側部分を構成する外側ハウジング30と、を含んで構成されている(図8参照)。
【0021】
内側ハウジング24は、樹脂製とされている。内側ハウジング24は、下側へ開放された略有底円筒状に形成されている。具体的には、内側ハウジング24は、内側ハウジング24の上部を構成するアッパーハウジング部24A(拡径部)と、アッパーハウジング部24Aから下側へ延出された円筒状の内筒24B(把持部)と、を含んで構成されている。アッパーハウジング部24Aは、下側から見て略矩形状に形成されると共に、内筒24Bよりも第1方向一方側(図5及び図6の矢印C方向側)へ突出している。
【0022】
また、内側ハウジング24は、第2方向に2分割されている。詳しくは、内側ハウジング24は、内側ハウジング24の第2方向一方側(図1図4の矢印E方向側)部分を構成する第1分割ハウジング26と、内側ハウジング24の第2方向他方側(図1図4の矢印F方向側)部分を構成する第2分割ハウジング28と、を含んで構成されている。そして、第1分割ハウジング26の開口部と第2分割ハウジング28の開口部とが突き合わされた状態で、両者が固定されている。
【0023】
内筒24Bの上端部には、第1方向一方側の部分において、後述するトリガ42を取付けるためのトリガ取付部24Cが形成されており、トリガ取付部24Cは、内筒24Bに対して第1方向一方側へ突出している。また、内筒24Bの上端部には、第1方向他方側(図5及び図6の矢印D方向側)の部分において、後述する速度設定ダイヤル46を取付けるためのダイヤル取付部24Dが形成されており、ダイヤル取付部24Dは、内筒24Bに対して第1方向他方側へ突出している。
【0024】
アッパーハウジング部24Aには、後述するバッテリー58を取付けるためのバッテリー取付部24E(図2及び図8参照)が形成されており、バッテリー取付部24Eは、上側及び第1方向他方側へ開放された凹状に形成されている。また、アッパーハウジング部24Aには、コネクタ32(図2及び図8参照)が設けられており、コネクタ32の上部が、後述するバッテリー58と接続可能に、バッテリー取付部24Eの内部において露出されている。
【0025】
外側ハウジング30は、金属製とされている。外側ハウジング30は、上下方向を軸方向とした略円筒状の外筒30Aを有しており、内側ハウジング24の内筒24Bが外筒30Aの内部に挿入されている。そして、内側ハウジング24の内筒24B及び外側ハウジング30の外筒30Aを、ハウジング22の筒部22Aとしている。また、外筒30Aの上端部には、径方向外側へ突出したフランジ部30Bが形成されており、フランジ部30Bは、下側から見て、アッパーハウジング部24Aに対応した略矩形状に形成されている。フランジ部30Bの外周縁部は、上側へ屈曲されている。そして、フランジ部30Bが、アッパーハウジング部24Aの下端部を下側から覆うように配置されて、内側ハウジング24に固定されている。
【0026】
外側ハウジング30の上端部には、第1方向一方側部分において、前述したトリガ取付部24Cを露出させるための露出孔30C(図8参照)が貫通形成されている。また、外側ハウジング30の上端部には、第1方向他方側部分において、前述したダイヤル取付部24Dを露出させるための凹部30D(図8参照)が貫通形成されており、凹部30Dは、上側へ開放されている。
【0027】
図7に示されるように、外筒30Aの外周部には、後述する昇降機構70を構成する一対のラック及び係合部としての第1ラック72及び第2ラック74が形成されている。第1ラック72は、外筒30Aの第2方向一方側部分に形成され、第2ラック74は、外筒30Aの第2方向他方側部分に形成されており、第1ラック72及び第2ラック74は、上下方向に延在されている。つまり、第1ラック72及び第2ラック74が、外筒30Aの周方向において、180度離間して配置されている。
【0028】
第1ラック72は、複数のラック溝72Aを有しており、ラック溝72Aは、外筒30Aの周方向に延在され且つ外筒30Aの径方向外側へ開放されている。また、複数のラック溝72Aが上下方向において等間隔に並んで配置されている。そして、上下に隣り合うラック溝72Aの間の部分が、ラック歯72Bとして構成されている。これにより、第1ラック72では、複数のラック歯72Bが、上下方向に等間隔に並んで配置されている。
【0029】
第2ラック74は、第1ラック72と同様に構成されている。すなわち、第2ラック74は、上下方向に並ぶ複数のラック溝74Aを有している。また、第2ラック74において、上下に隣り合うラック溝74Aの間の部分が、ラック歯74Bとして構成されており、複数のラック歯74Bが、上下方向に等間隔に並んで配置されている。
【0030】
<モータ34について>
図6及び図7に示されるように、モータ34は、ブラシレスモータとして構成されている。モータ34は、内側ハウジング24の内筒24B内において内筒24Bと同軸上に配置されて、内筒24Bに固定されている。モータ34の出力軸34Aの上端部は、内筒24Bに設けられた第1軸受36によって回転可能に支持され、出力軸34Aの下端側の部分が、内筒24Bに設けられた第2軸受38によって回転可能に支持されており、出力軸34Aの下端部(先端部)が、ハウジング22の下端部よりも下側へ突出している。また、出力軸34Aの下端部には、コレクトチャック40が設けられており、コレクトチャック40によって工具Tが着脱可能に固定されている。さらに、モータ34は、後述する制御部90に電気的に接続されており、制御部90の制御によってモータ34が駆動する構成になっている。これにより、出力軸34Aと共に回転する工具Tによって被切削材に切削加工を施すようになっている。
【0031】
<トリガ42について>
図1図3図5、及び図6に示されるように、トリガ42は、モータ34を駆動又は停止させるための操作部として構成されている。トリガ42は、内側ハウジング24のトリガ取付部24Cに取付けられて、ハウジング22から第1方向一方側へ操作可能に露出されている。つまり、トリガ42が、内側ハウジング24の第1分割ハウジング26と第2分割ハウジング28との合わせ部に設けられている。また、トリガ42の上端部が、第2方向を軸方向として内側ハウジング24に回転可能に支持されている。これにより、トリガ42が、初期位置(図6において実線にて示される位置)と、第2方向一方側から見て初期位置から反時計回りに回転した操作位置(図6において2点鎖線にて示される位置)と、の間を回転操作可能に構成されている。なお、トリガ42は、図示しない付勢バネによって初期位置側へ付勢されており、トリガ42の非操作状態では、トリガ42が初期位置に保持されている。
【0032】
トリガ42の下端部における第1方向他方側には、マイクロスイッチ44(図6参照)が設けられており、マイクロスイッチ44は、後述する制御部90に電気的に接続されている。そして、トリガ42が初期位置から操作位置へ操作されることで、トリガ42の下端部がマイクロスイッチ44を押圧して、マイクロスイッチ44が制御部90へ検出信号を出力する構成になっている。
【0033】
<速度設定ダイヤル46について>
図4図6に示されるように、速度設定ダイヤル46は、モータ34の回転速度を変更するためのダイヤルとして構成されている。つまり、速度設定ダイヤル46は、第2の操作部としても構成されている。速度設定ダイヤル46は、上下方向を板厚方向とした略円板状に形成されている。そして、速度設定ダイヤル46が、上下方向を軸方向として内側ハウジング24に回転可能に支持されると共に、内側ハウジング24のダイヤル取付部24Dから第1方向他方側へ操作可能に露出されている。これにより、速度設定ダイヤル46が、トリガ42に対して外筒30Aの周方向に180度離間して配置されて、内側ハウジング24の第1分割ハウジング26と第2分割ハウジング28との合わせ部に設けられている。
【0034】
図6に示されるように、速度設定ダイヤル46の上側には、速度設定ダイヤル46の回転位置を検出するためのエンコーダ48が設けられており、エンコーダ48は、制御部90に電気的に接続されている。そして、速度設定ダイヤル46が回転することで、速度設定ダイヤル46の回転位置に応じた検出信号がエンコーダ48から制御部90へ出力される構成になっている。また、速度設定ダイヤル46の外周部には、目盛り表示が印刷等によって記載されており、作業者が当該目盛り表示を参照して、速度設定ダイヤル46の回転速度を設定するように構成されている。
【0035】
<ロックボタン52について>
図4及び図6に示されるように、ロックボタン52は、速度設定ダイヤル46の上側に配置されて、内側ハウジング24におけるアッパーハウジング部24Aに操作可能に設けられている。すなわち、ロックボタン52は、内側ハウジング24の第1分割ハウジング26と第2分割ハウジング28との合わせ部に設けられている。さらに、前述した第1ラック72及び第2ラック74が、筒部22Aの周方向において、トリガ42と速度設定ダイヤル46及びロックボタン52との間に配置されている。具体的には、トリガ42、第1ラック72、速度設定ダイヤル46及びロックボタン52、第2ラック74が、ハウジング22の筒部22Aの周方向一方(図1の矢印G方向側)へこの順に並んで配置されると共に、90度毎に離間して配置されている。ロックボタン52は、第1方向他方側から見て、略矩形状に形成されると共に、弾性を有する部材によって構成されている。
【0036】
図6に示されるように、ロックボタン52の第1方向一方側には、ボタン基板54が隣接して設けられており、ボタン基板54には、タクトスイッチ56が実装されている。タクトスイッチ56は、後述する制御部90に電気的に接続されている。そして、ロックボタン52が押圧されることで、タクトスイッチ56が検出信号を制御部90へ出力する構成になっている。また、詳細については後述するが、ロックボタン52は、バッテリー58がハウジング22のコネクタ32に接続されたときの、モータ34に対する駆動を禁止又は許可するボタンとして構成されている。また、ロックボタン52は、モータ34の駆動中において、モータ34の駆動を継続又は停止させるボタンとしても構成されている。
【0037】
(ベース60について)
図1図7に示されるように、ベース60は、金属製とされると共に、上側へ開放された略有底筒状に形成されている。具体的には、ベース60は、ベース本体62と、ベース60の下端部を構成するプレート部64と、を含んで構成されている。
【0038】
ベース本体62は、略円筒状に形成されると共に、ベース本体62の周方向の一部が開放されている。すなわち、ベース本体62には、上下方向に延在されたスリット62Aが形成されており、スリット62Aが上下方向及びベース本体62の径方向に貫通している。このスリット62Aの幅寸法は、第1ラック72及び第2ラック74の幅寸法よりも大きく設定されている。そして、ベース本体62(ベース60)が、ハウジング22の筒部22Aに下側から外挿されて、後述する昇降機構70によって上下方向に昇降可能に外筒30Aに連結されている。具体的には、第1ラック72又は第2ラック74がスリット62Aの内部に配置されるように、筒部22Aの周方向におけるベース60のハウジング22に対する相対位置が設定されて、ベース本体62(ベース60)が、外筒30Aに外挿されている(図1図7に示される例では、第1ラック72がスリット62Aの内部に配置されるように、ベース本体62(ベース60)が、外筒30Aに外挿されている)。そして、ハウジング22の筒部22A及びベース本体62が、作業者によって把持される把持部として構成されている。
【0039】
ベース本体62の下端部には、第2方向一方側の部分において、開口部62Bが形成されており、開口部62Bは、第2方向一方側から見て、下側へ開放された凹状に形成されている。そして、スリット62Aの下端部が開口部62Bに連通されている。これにより、ベース60をハウジング22に連結した状態では、出力軸34Aに固定された工具Tを開口部62Bから視認できる構成になっている。
【0040】
ベース本体62の上端部には、後述する昇降機構70の固定部材76を取付けるための一対のベース側取付部62Cが形成されている。一対のベース側取付部62Cは、スリット62Aに対してベース本体62の周方向外側に形成されると共に、ベース本体62から径方向外側へ突出している。
【0041】
プレート部64は、上下方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されて、ベース本体62の下端部に接続されている。プレート部64の略中央部には、出力軸34A及び工具Tを挿通させるための挿通部64A(図6及び図7参照)が貫通形成されている。
【0042】
プレート部64の下側には、ベベルベース66が設けられており、ベベルベース66は、上下方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されている。そして、ベベルベース66が、プレート部64に、ネジ等の固定部材によって固定されている。ベベルベース66には、プレート部64と同様に、工具Tを挿通させるための挿通部66A(図6及び図7参照)が貫通形成されている。
【0043】
(バッテリー58について)
図1及び図2に示されるように、バッテリー58は、略直方体に形成されている。そして、バッテリー58が、ハウジング22のバッテリー取付部24Eに、第1方向他方側から装着されている。バッテリー58は、図示しないコネクタを有しており、バッテリー58のバッテリー取付部24Eへの装着状態では、当該コネクタがコネクタ32に接続されて、バッテリー58から制御部90へ電力が供給される構成になっている。また、バッテリー58は、一対のロック部材58Aを有しており、ロック部材58Aは、バッテリー58の第2方向一方側及び他方側の側部に設けられている。そして、バッテリー58のバッテリー取付部24Eへの装着状態では、ロック部材58Aがハウジング22のアッパーハウジング部24Aに係合して、バッテリー58の第1方向他方側への移動が制限されている。
【0044】
(昇降機構70について)
図1図5、及び図7に示されるように、昇降機構70は、前述したハウジング22に形成された第1ラック72及び第2ラック74と、固定部材76と、を含んで構成されている。
【0045】
固定部材76は、上下方向に対して直交する方向(図1図5、及び図7に示される例では、第1方向)を軸方向としたシャフト状に形成されている。固定部材76の基端部(第1方向一方側の端部)には、固定部材76よりも大径のノブ部76Aが一体に形成されている。そして、固定部材76が、ベース60のベース側取付部62Cに回転可能に支持されている。また、固定部材76には、円筒状のカラー78が外挿されており、カラー78は、ノブ部76Aと第1方向一方側のベース側取付部62Cとの間に配置されている。なお、固定部材76において、カラー78を一体に形成した構成にしてもよい。
【0046】
さらに、固定部材76の先端部における外周部には、雌ネジが形成されている。この雌ネジには、ナット80が螺合されており、ナット80は、第1方向他方側のベース側取付部62Cに対して、第1方向他方側に配置されている。つまり、ナット80とカラー78とによって、一対のベース側取付部62Cをベース60の周方向に挟み込んでいる。これにより、ナット80をベース側取付部62Cに締結させて、一対のベース側取付部62Cをベース60の周方向に締め付けることで、ベース60がハウジング22に固定される構成になっている。
【0047】
固定部材76の軸方向中間部には、被係合部及び回転部材としてのピニオン82が一体に形成されている。ピニオン82は、固定部材76よりも大径の円柱状に形成されて、固定部材76と同軸上に配置されている。なお、固定部材76とピニオン82とを別部材に構成して、ピニオン82を固定部材76に一体回転可能に固定してもよい。また、ハウジング22の筒部22Aの周方向に沿った第1ラック72及び第2ラック74のそれぞれの幅長さが、ピニオン82の幅長さ(軸方向の長さ)よりも若干大きく設定されている。
【0048】
ピニオン82の外周部には、複数のピニオン歯82A(図7参照)が形成されており、複数のピニオン歯82Aは、ピニオン82の周方向全周に亘って形成されている。ピニオン歯82Aは、ハウジング22の第1ラック72のラック溝72A内又は第2ラック74のラック溝74A内に配置されて、ラック歯72B又はラック歯74Bに噛合される構成になっている(図1図7に示される例では、ピニオン歯82Aがラック歯72Bに噛合されている)。
【0049】
これにより、ナット80のベース側取付部62Cに対する締結を解除した状態で、固定部材76を自身の軸回りに回転させることで、ピニオン82が第1ラック72(第2ラック74)に対して相対回転して、ベース60がハウジング22に対して上下方向に昇降する構成になっている。また、ピニオン歯82Aは、ラック溝72A(ラック溝74A)内に配置されている。このため、ベース60がハウジング22に対して昇降するときには、ピニオン歯82Aがラック溝72A(ラック溝74A)の長手方向両端部に係合することで、ベース60のハウジング22に対する相対回転が規制される構成になっている。そして、ベース60の昇降位置を調整した後に、ナット80をベース側取付部62Cに締結させることで、ベース60が調整した位置に固定される構成になっている。なお、ベース60の上方には、トリガ取付部24Cが位置しており、ベース60の上方移動を規制している。すわなち、トリガ取付部24Cはベース60の移動を規制するストッパとして機能する。
【0050】
(コントローラ100について)
コントローラ100は、ハウジング22のアッパーハウジング部24Aの内部に収容されて、アッパーハウジング部24Aに固定されている。コントローラ100は、後述するインバータ部110と制御部90を有する。コントローラ100には、前述したコネクタ32、モータ34、マイクロスイッチ44、エンコーダ48、タクトスイッチ56が電気的に接続されている。そして、トリガ42及びロックボタン52の操作に応じて、制御部90が、モータ34に対する作動を制御する構成になっている。また、速度設定ダイヤル46の回転位置に応じて、制御部90が、モータ34の回転速度を制御する構成になっている。
【0051】
<電気的構成>
図9の機能(回路)ブロック図を用いて、電動トリマ10の電気的構成について説明する。
コントローラ100は、図示しない制御回路基板を有し、当該制御回路基板には、インバータ部110と制御部90とが搭載される。制御部90は、演算部91を有し、演算部91は、インバータ部110の駆動制御等の各種制御を行う。演算部91はマイコンである。インバータ部110は、スイッチング素子110a(ここでは6つ)をブリッジ接続した回路である。検出抵抗120は、モータ34としてのブラシレスモータの駆動電流の経路に設けられている。制御回路電圧供給回路130は、バッテリー58の電圧を制御部90の動作に適した電圧に変換して制御部90に供給する。磁気センサ107は、例えばホール素子であり、モータ34としてのブラシレスモータの回転位置に応じた信号を出力する。
【0052】
制御部90において、モータ電流検出回路94は、検出抵抗120の端子電圧によりモータ34としてのブラシレスモータの駆動電流を検出する。スイッチ操作検出回路95は、使用者による操作部としてのトリガ42の操作を検出する。回転子位置検出回路92は、磁気センサ107からの信号に基づいて、モータ34としてのブラシレスモータの回転位置を検出する。モータ回転数検出回路93は、回転子位置検出回路92からの信号に基づいて、モータ34としてのブラシレスモータの回転数を検出する。演算部91は、回転子位置検出回路92の検出結果に基づいてモータ34としてのブラシレスモータの回転数を演算する。
【0053】
制御部90は、モータ34としてのブラシレスモータが非駆動状態であるときに状態切替部としてのタクトスイッチ56(ロックボタン52)が操作された場合と、モータ34としてのブラシレスモータが駆動状態であるときに状態切替部としてのタクトスイッチ56(ロックボタン52)が操作された場合とで、変更する制御状態を異ならせる。例えば、制御部90は、モータ34としてのブラシレスモータが駆動状態であるときにおいて、操作部としてのトリガ42に対する操作が解除されてもモータ34としてのブラシレスモータの駆動を維持するオンロック状態、及び操作部としてのトリガ42に対する操作解除によって、モータ34としてのブラシレスモータの駆動を停止するオンロック解除状態を制御状態として有しており、状態切替部としてのタクトスイッチ56(ロックボタン52)への操作に基づいて、オンロック状態とオンロック解除状態とが切り替えられるよう制御することを例示することができる。また、例えば、制御部90は、オンロック状態時に、操作部としてのトリガ42への操作に基づいて、オンロック状態を解除するよう制御することを例示することができる。
【0054】
(電動トリマ10の動作について)
次に、図10に示されるフローチャートを用いて、電動トリマ10の動作について説明する。
【0055】
電動トリマ10の動作では、ステップ1(S1)において、ハウジング22のバッテリー取付部24Eにバッテリー58を装着し、バッテリー58をコネクタ32に接続する。バッテリー58のコネクタ32への接続後には、ステップ2(S2)に移行する。
【0056】
ステップ2では、制御部90においてモータ34の駆動を禁止した状態(オフロック状態)にする。ステップ2の処理後、ステップ3(S3)に移行する。
【0057】
ステップ3では、制御部90が、タクトスイッチ56の出力信号に基づいて、ロックボタン52が押圧操作されたか否かを判別する。ステップ3において、ロックボタン52が押圧操作されていない場合(ステップ3のNoの場合)には、ステップ2に戻る。すなわち、モータ34のオフロック状態が維持される。一方、ステップ3において、ロックボタン52が押圧操作された場合(ステップ3のYesの場合)には、ステップ4(S4)に移行する。
【0058】
ステップ4では、制御部90においてモータ34の駆動を許可した状態(オフロック解除状態であり、モータ34の駆動待機状態ともいう)にする。そして、ステップ4の処理後、ステップ5(S5)に移行する。
【0059】
ステップ5では、制御部90が、マイクロスイッチ44の出力信号に基づいて、トリガ42が操作位置へ操作されたか否かを判定する。ステップ5において、トリガ42が操作位置へ操作された場合(ステップ5のYesの場合)には、ステップ6に移行する。
【0060】
ステップ6では、制御部90によってモータ34が駆動する。これにより、モータ34の出力軸34Aが自身の軸回りに回転して、作業者が、工具Tによって被切削材に対して切削加工を施す。なお、このときには、制御部90が、速度設定ダイヤル46の回転位置に応じた回転速度で、出力軸34Aを回転させる。ステップ6の処理後、ステップ7(S7)に移行する。
【0061】
ステップ7では、制御部90が、マイクロスイッチ44の出力信号に基づいて、トリガ42の操作位置への操作が継続されているか否かを判定する。ステップ7において、トリガ42の操作位置への操作が継続されていない場合、すなわち、トリガ42が初期位置へ復帰した場合(ステップ7のNoの場合)には、ステップ8(S8)に移行する。
【0062】
ステップ8では、制御部90がモータ34の駆動を停止させる。すなわち、作業者がトリガ42の操作を解除した場合には、モータ34の駆動を停止させる。そして、ステップ8の処理後、ステップ5に戻る。
【0063】
一方、ステップ7において、トリガ42の操作位置への操作が継続されている場合(ステップ7のYesの場合)には、ステップ9(S9)に移行する。
【0064】
ステップ9では、制御部90が、タクトスイッチ56からの出力信号に基づいて、ロックボタン52が押圧操作されたか否かを判別する。ステップ9において、ロックボタン52が押圧操作されていない場合(ステップ9のNoの場合)には、ステップ7に戻る。一方、ステップ9において、ロックボタン52が押圧操作された場合(ステップ9のYesの場合)には、ステップ10(S10)に移行する。
【0065】
ステップ10では、制御部90が、モータ34の駆動を維持する状態(オンロック状態)にする。すなわち、トリガ42が操作位置に操作された状態で、ロックボタン52が押圧操作されると、モータ34の駆動が維持されたオンロック状態に遷移する。ステップ10の処理後、ステップ11(S11)に移行する。
【0066】
ステップ11では、制御部90が、マイクロスイッチ44の出力信号に基づいて、トリガ42が初期位置へ復帰されたか否かを判別する。ステップ11においてトリガ42が初期位置へ復帰されていない場合(ステップ11のNoの場合)には、ステップ10に戻る。すなわち、作業者によるトリガ42の操作位置への操作が継続されている場合には、ステップ10に戻り、オンロック状態が維持される。
【0067】
一方、ステップ11においてトリガ42が初期位置へ復帰された場合(ステップ11のYesの場合)には、ステップ12(S12)に移行する。すなわち、作業者によるトリガ42に対する操作が解除されても、モータ34のオンロック状態が維持されて、ステップ12に移行する。
【0068】
ステップ12では、制御部90が、タクトスイッチ56の出力信号に基づいて、ロックボタン52が押圧操作されたか否かを判別する。ステップ12においてロックボタン52が押圧操作された場合(ステップ12のYesの場合)には、ステップ13(S13)に移行する。
【0069】
ステップ13では、制御部90によってモータ34の駆動を停止する。すなわち、モータ34のオンロック状態において、ロックボタン52が押圧操作されると、モータ34のオンロック状態が解除されて、モータ34が停止する。そして、ステップ13の処理後、ステップ5に戻る。
【0070】
一方、ステップ12においてロックボタン52が押圧操作されていない場合(ステップ12のNoの場合)には、ステップ14(S14)に移行する。
【0071】
ステップ14では、制御部90が、マイクロスイッチ44の出力信号に基づいて、トリガ42が操作位置へ操作されたか否かを判別する。ステップ14においてトリガ42が操作位置へ操作されていない場合(ステップ14のNoの場合)には、ステップ12へ戻る。すなわち、モータ34のオンロック状態が維持される。一方、ステップ14においてトリガ42が操作位置へ操作された場合(ステップ14のYesの場合)には、ステップ15(S15)に移行する。
【0072】
ステップ15では、制御部90によってモータ34の駆動を停止する。すなわち、モータ34のオンロック状態において、ロックボタン52が押圧操作されず、トリガ42が再び操作位置へ操作されると、モータ34のオンロック状態が解除されて、モータ34が停止する。そして、ステップ15の処理後、ステップ16(S16)へ移行する。
【0073】
ステップ16では、制御部90が、マイクロスイッチ44の出力信号に基づいて、トリガ42が初期位置へ復帰したか否かを判別する。ステップ16においてトリガ42が初期位置へ復帰していない場合(ステップ16のNoの場合)には、ステップ15に戻る。すなわち、モータ34の停止状態が維持される。一方、ステップ16においてトリガ42が初期位置へ復帰した場合(ステップ16のYesの場合)には、ステップ5に戻る。すなわち、作業者のトリガ42に対する操作が解除された場合には、モータ34が停止した状態で、ステップ5に戻る。これにより、トリガ42が再び操作位置へ操作されることで、制御部90によってモータ34が再び駆動する。
【0074】
一方、ステップ5において、トリガ42が操作位置へ操作されていない場合(ステップ5のNoの場合)には、ステップ17(S17)に移行する。
【0075】
ステップ17では、制御部90が、タクトスイッチ56からの出力信号に基づいて、ロックボタン52が押圧操作されたか否かを判別する。ステップ17においてロックボタン52が押圧操作された場合(ステップ17のYesの場合)には、ステップ2に戻る。すなわち、制御部90においてモータ34を駆動待機状態からオフロック状態へ遷移させる。一方、ステップ17においてロックボタン52が押圧操作されていない場合(ステップ17のNoの場合)には、ステップ18(S18)へ移行する。
【0076】
ステップ18では、制御部90が、タクトスイッチ56からの出力信号に基づいて、ロックボタン52が所定時間(本実施の形態では、10秒間)以内に押圧操作されたか否かを判別する。また、ステップ18では、制御部90が、マイクロスイッチ44からの出力信号に基づいて、トリガ42が所定時間以内に操作位置へ操作されたか否かを判別する。すなわち、ステップ18では、ロックボタン52又はトリガ42に対する操作が所定時間以内に操作されたか否かを、制御部90が判別する。
【0077】
ステップ18において、ロックボタン52又はトリガ42に対する操作が、所定時間以内に操作された場合(ステップ18のYesの場合)には、ステップ5に戻る。すなわち、モータ34の駆動待機状態に戻る。一方、ステップ18において、ロックボタン52又はトリガ42に対する操作が、所定時間以内に操作されていない場合(ステップ18のNoの場合)には、ステップ2に戻る。すなわち、モータ34の駆動待機状態において、ロックボタン52又はトリガ42に対する操作が行われない場合には、制御部90においてモータ34を駆動待機状態からオフロック状態へ遷移させる。
【0078】
(作用効果)
次に、ベース60をハウジング22へ組付ける組付手順を説明しつつ、本実施の形態の電動トリマ10の作用効果について説明する。
【0079】
ベース60をハウジング22へ組付けるときには、昇降機構70において、ナット80を緩めて、ベース側取付部62Cに対するナット80の締結を解除した状態にする。これにより、ベース60(ベース本体62)のハウジング22の筒部22Aへの外挿が許可された状態になる。この状態で、ベース60をハウジング22の下側に配置すると共に、筒部22Aの周方向において、ベース60のスリット62Aを第1ラック72又は第2ラック74に合わせる。そして、ベース60のベース本体62を、筒部22Aへ下側から外挿する。このとき、昇降機構70のピニオン82が、第1ラック72のラック歯72B又は第2ラック74のラック歯74Bに噛合される。
【0080】
そして、被切削材に対する切削加工に対応して、ベース60の昇降位置を昇降機構70によって調整する。具体的には、固定部材76のノブ部76Aを回転させることで、ピニオン82が第1ラック72又は第2ラック74に対して相対回転する。これにより、ベース60がハウジング22に対して上下方向に相対移動して、ベース60の昇降位置が調整される。
【0081】
ベース60の昇降位置を調整した後、ナット80をベース側取付部62Cに締結させる。これにより、固定部材76のカラー78とナット80とによって、ベース60における一対のベース側取付部62Cが締め付けられて、ベース60がハウジング22に固定される。以上により、ベース60のハウジング22への組付作業が完了する。
【0082】
ここで、昇降機構70は、第1ラック72及び第2ラック74を有しており、第1ラック72及び第2ラック74は、ハウジング22の筒部22A(外筒30A)に形成されると共に、上下方向に延在されている。また、第1ラック72及び第2ラック74が、外筒30Aの周方向に離間して配置されている。また、昇降機構70は、ベース60に設けられたピニオン82を有しており、ピニオン82が第1ラック72又は第2ラック74に噛合されている。このため、筒部22Aの周方向における、ピニオン82を第1ラック72に噛合させたときのベース60の位置(以下、この位置を第1位置という)と、ピニオン82を第2ラック74に噛合させたときのベース60の位置(以下、この位置を第2位置という)と、を異なる位置に設定することができる。つまり、昇降機構70は、筒部22Aの周方向におけるベース60の位置を変更可能に、ハウジング22とベース60とを連結している。このため、作業者の作業形態に応じて、ベース60を第1位置又は第2位置に配置することができる。つまり、ベース60に設けられた昇降機構70の固定部材76(ピニオン82)を、作業者の作業形態に応じた位置に設定することができる。したがって、作業者に対する作業性を向上することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、上述のように、ハウジング22の筒部22Aの周方向において、複数のラック(第1ラック72及び第2ラック74)が外筒30Aに形成されている。さらに、筒部22Aの周方向に沿った第1ラック72及び第2ラック74のそれぞれの幅長さが、ピニオン82の幅長さよりも大きく設定されている。このため、筒部22Aの周方向に沿ったラックの全長(第1ラック72及び第2ラック74の幅長さの合計)が、ピニオン82の幅長さの2倍以上に設定されている。すなわち、本発明における「筒部の周方向に沿ったラックの全長」とは、本実施の形態のように、複数のラック(第1ラック72及び第2ラック74)が外筒30Aに形成されている場合には、複数のラック(第1ラック72及び第2ラック74)の幅長さの合計のことをいう。これにより、上述したように、昇降機構70によって、外筒30Aの周方向におけるベース60の位置を変更することができる。
【0084】
また、昇降機構70では、ハウジング22に形成された第1ラック72(第2ラック74)は、上下方向に並ぶ複数のラック溝72A(ラック溝74A)を有しており、ラック溝72A(ラック溝74A)は、外筒30Aの周方向に延在され且つ外筒30Aの径方向外側へ開放されている。そして、上下に隣り合うラック溝72A(ラック溝74A)の間の部分がラック歯72B(ラック歯74B)として構成されている。さらに、昇降機構70では、ベース60に設けられたピニオン82のピニオン歯82Aがラック溝72A(ラック溝74A)内に挿入されて、ラック歯72B(ラック歯74B)と噛合している。このため、昇降機構70の作動時に、ベース60がハウジング22に対して相対回転しようとすると、ピニオン歯82Aがラック溝72A(ラック溝74A)の長手方向両端部に係合して、ベース60のハウジング22に対する相対回転が規制される。これにより、昇降機構70によってベース60の昇降位置を調整するときに、ベース60がハウジング22に対して相対回転することを抑制できる。したがって、作業者に対する作業性を一層向上することができる。
【0085】
また、ハウジング22の筒部22A(内筒24B)には、第1方向一方側において、モータ34を駆動又は停止させるためのトリガ42が設けられている。このため、筒部22Aの周方向における昇降機構70の固定部材76(ピニオン82)とトリガ42との相対位置を、作業者の作業形態に応じて設定することができる。これにより、例えば、作業者が固定部材76(ピニオン82)に干渉しない位置でベース60(ベース本体62)を把持しつつ、トリガ42を操作することができる。したがって、作業者に対する作業性を効果的に向上することができる。
【0086】
しかも、ハウジング22の筒部22Aの周方向において、トリガ42が、第1ラック72と第2ラック74との間に配置されている。より詳しくは、筒部22Aの周方向において、第1ラック72がトリガ42に対して周方向一方側へ90度離間して配置されており、第2ラック74がトリガ42に対して周方向他方側へ90度離間して配置されている。このため、ベース60の第1位置では、固定部材76(ピニオン82)をトリガ42に対して筒部22Aの周方向一方側に90度離間した位置に配置させることができ、ベース60の第2位置では、固定部材76(ピニオン82)をトリガ42に対して筒部22Aの周方向他方側に90度離間した位置に配置させることができる。これにより、例えば、第1位置に配置されたベース60に対して第1方向他方側に作業者が位置することで、作業者が、固定部材76(ピニオン82)との干渉を回避しつつ、右手でベース本体62を把持して、右手の指でトリガ42を操作することができる。また、例えば、第2位置に配置されたベース60に対して第1方向他方側に作業者が位置することで、作業者が、固定部材76(ピニオン82)との干渉を回避しつつ、左手でベース本体62を把持して、左手の指でトリガ42を操作することができる。すなわち、ベース60を第1位置又は第2位置に設定することで、電動トリマ10を右利き用又は左利き用の工具として設定することができる。これにより、作業者に対する作業性を一層効果的に向上することができる。
【0087】
また、ハウジング22の筒部22A(内筒24B)には、第1方向他方側において、速度設定ダイヤル46及びロックボタン52が設けられている。このため、筒部22Aの周方向における、昇降機構70の固定部材76(ピニオン82)と、速度設定ダイヤル46及びロックボタン52と、の相対位置を、作業者の作業形態に応じて設定することができる。これにより、例えば、作業者が固定部材76(ピニオン82)に干渉しない位置でベース60(ベース本体62)を把持しつつ、速度設定ダイヤル46及びロックボタン52を作業者に対して手前側(正面)に配置して作業することができる。したがって、作業者に対する作業性を効果的に向上することができる。
【0088】
しかも、トリガ42、第1ラック72、速度設定ダイヤル46及びロックボタン52、第2ラック74が、ハウジング22の筒部22Aの周方向一方側に、この順に並んで配置されると共に、筒部22Aの周方向に90度毎に配置されている。このため、例えば、第1位置(第2位置)に配置されたベース60に対して第1方向他方側に作業者が位置することで、速度設定ダイヤル46及びロックボタン52を作業者の正面に配置した状態で、作業者が、右手(左手)でベース本体62を把持しつつ、右手(左手)の指でトリガ42を操作することができる。その結果、作業者が、速度設定ダイヤル46の表示目盛りやロックボタン52を視認しつつ、左手(右手)で速度設定ダイヤル46及びロックボタン52を操作することができる。これにより、電動トリマ10を右利き用又は左利き用の工具として設定しつつ、トリガ42、速度設定ダイヤル46、及びロックボタン52を作業者に対して操作し易い位置に配置することができる。したがって、作業者に対する作業性を一層効果的に向上することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、トリガ42を外筒30A(把持部)に設けたので、片手での作業時にモータ34を迅速にオンオフさせることができる。また、トリガ42の操作中に把持状態が解除されたとしてもモータ34が停止するので、加工材を傷つけることを抑制できる。さらに、ロックボタン52への操作によって、モータ34のオン状態を維持可能に構成されているので、トリガ42への操作力を解除しても作業を継続でき、作業時の疲労を軽減することができる。また、ロックボタン52への操作が行われない限りトリガ42の操作が行われてもモータ34が駆動しないよう、オフロック制御を実行可能としたので、非作業時に異物がトリガ42に接触したとしてもモータ34が駆動せず、無駄なエネルギー消費などの悪影響を抑制できる。さらに、オンロック状態への遷移も同様にオフロック状態の解除を行うロックボタン52によって行えるように構成することで、制御スイッチの部品点数を抑えることができるとともに、オフロック解除からオンロック状態への遷移を、同じ把持状態で行うことが可能である。特に本実施の形態では、把持状態で2本の指による操作でオフロック解除からオンロック状態への遷移を行うことができるので、作業性を大きく向上させることができる。
【0090】
なお、本実施の形態では、ハウジング22の外筒30Aに2箇所のラック(第1ラック72及び第2ラック74)が形成されているが、3箇所以上のラックを外筒30Aに形成してもよいし、1箇所のラックを外筒30Aに形成してもよい。また、1箇所のラックを外筒30Aに形成する場合には、筒部22Aの周方向に沿ったラックの幅長さを、ピニオン82の幅長さの2倍以上に設定する。例えば、ラックの幅長さを、外筒30Aの全周の1/2に設定する。これにより、この場合においても、筒部22Aの周方向に沿ったラックの全長が、ピニオン82の幅長さの2倍以上に設定される。このため、外筒30Aに1箇所のラックを形成した場合でも、昇降機構70によって、外筒30Aの周方向におけるベース60の位置を変更することができる。さらに、1箇所のラックを外筒30Aに形成する場合には、ナット80の締結を緩めることで、ベース60をハウジング22から取外ししなくても、筒部22Aの周方向におけるベース60のハウジング22に対する相対位置を変更することができる。
【0091】
また、本実施の形態では、上述のように、ハウジング22の外筒30Aに複数(2箇所)のラック(第1ラック72及び第2ラック74)が形成され、ベース60にピニオン82が設けられている。これに代えて、外筒30Aに、第1ラック72及び第2ラック74の一方を形成し、ベース60に複数のピニオン82を設ける構成にしてもよい。この場合においても、昇降機構70によって、筒部22Aの周方向における、ベース60のハウジング22に対する位置を変更することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、ハウジング22に第1ラック72及び第2ラック74が形成されており、ベース60にピニオン82が設けられているが、ハウジング22にピニオン82を設け、ベース60に第1ラック72及び第2ラック74を形成する構成にしてもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、筒部22Aの周方向において、第1ラック72がトリガ42に対して周方向一方側へ90度離間して配置されており、第2ラック74がトリガ42に対して周方向他方側へ90度離間して配置されているが、筒部22Aの周方向における、第1ラック72及び第2ラック74のトリガ42に対する配置角度は任意に設定することができる。この場合でも、電動トリマ10を右利き用又は左利き用の工具として設定することができる。
【0094】
また、本実施の形態では、昇降機構70が、所謂ラック&ピニオン機構として構成されているが、昇降機構70の構成はこれに限らない。以下、昇降機構70の変形例として、図11を用いて説明する。
【0095】
図11に示されるように、昇降機構70の変形例は、ネジ機構として構成されている。すなわち、昇降機構70の変形例は、被係合部としての回転部材170が、ハウジング22に設けられており、係合部としての複数(本変形例では、2個)のナット172が、ベース60に設けられている。回転部材170は、上下方向に延在された略円柱状に形成されている。具体的には、回転部材170は、回転部材170の上端部を構成する操作ノブ170Aと、操作ノブ170Aから下側へ延出されたネジ軸170Bとを含んで構成されている。ネジ軸170Bは、操作ノブ170Aよりも小径に設定されており、ネジ軸170Bの上端部及び長手方向中間部が、ハウジング22に回転可能に支持されている。また、ネジ軸170Bにおける下部の外周部には、雄ねじが形成されている。
【0096】
一対のナット172は、ベース60の上端部の外周部に固定されており、ベース60の周方向に180度離間して配置されている。そして、ネジ軸170Bが、一方のナット172に螺合されている。これにより、操作ノブ170Aを回転操作することで、回転部材170が上下方向を軸方向として回転して、ベース60がハウジング22に昇降する。また、ネジ軸170Bを、他方のナット172に螺合させることで、筒部22Aの周方向におけるベース60の位置を変更することができる。したがって、昇降機構70の変形例においても、本実施の形態と同様に、作業性を向上することができる。なお、昇降機構70をネジ機構として構成する場合には、ベース60をハウジング22に固定する機構を別途設けてもよい。
【0097】
また、昇降機構70の変形例では、複数のナット172がベース60に設けられているが、複数の回転部材170をハウジング22に設けてもよい。また、ナット172をハウジング22に設けて、回転部材170をベース60に設けるように構成してもよい。
【0098】
また、本実施の形態では、ロックボタン52(制御スイッチ)を用いた制御の実施例として電動トリマ10を説明したが、他の動力工具にも本発明は適用可能である。以下、変形例を図12及び図13を用いて説明する。
【0099】
図12には、動力工具としての変形例である丸鋸11を示す。丸鋸11は不図示のモータを有し、モータによって円形の鋸刃T1が回転駆動する。本体の下部には鋸刃T1の一部を下方に突出させるための開口を有するベース160が設けられる。上部にはハンドル122Aが設けられ、ハンドル122Aにはトリガ142が設けられている。ハンドル122Aの後方下部には、電池158が着脱可能に設けられている。ハンドル122Aを把持してトリガ142を操作すると、電池158からの電力供給を受けてモータが回転し、鋸刃T1が回転する。鋸刃T1が回転している状態でベース160の下面を加工材上で摺動させることで、鋸刃T1による切断作業が行えるように構成されている。また、ハンドル122Aの下方には、制御パネル154が配置されている。
【0100】
図13には、制御パネル154を示す。制御パネル154には、押しボタン式の制御スイッチ152と、回転数表示部154Aと、オンロック表示部154Bが設けられている。丸鋸11では、トリガ142に対する操作が無い状態(モータが非駆動状態)において制御スイッチ152を押圧操作することで、モータの目標回転数を3段階で変更・選択可能となっており、選択された回転数に応じて回転数表示部154Aに設けられた3つのLEDのいずれかが点灯して報知する。また、トリガ142を操作している状態(モータが駆動状態)で制御スイッチ152を押圧操作すると、オンロック状態への遷移が行われ、オンロック表示部の図中右上に示された円形のLED表示部が点灯して報知する。丸鋸11においては、モータ駆動状態において回転数の変更が禁止されている。複数設定された目標回転数の差が大きい場合、モータの駆動中に目標回転数を変更することで反動が発生して動力工具に対する支持状態が不安定になる恐れがあるが、丸鋸11では、こういった事態が生じることを抑制している。このように、モータの非駆動中に行うことが適切な制御と、モータの駆動中に行うことが適切な制御とを、モータの駆動状態に基づき、同様の操作部(制御スイッチ)による操作で実行可能とする構成は、様々な動力工具に適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
10 電動トリマ(動力工具)
22 ハウジング
22A 筒部
34 モータ
34A 出力軸
42 トリガ(操作部)
46 速度設定ダイヤル(表示部)
60 ベース
70 昇降機構
72 第1ラック(ラック、係合部)
74 第2ラック(ラック、係合部)
82 ピニオン(被係合部、回転部材)
170 回転部材(被係合部)
172 ナット(係合部)
T 工具
図1
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