(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】コネクタ部品の製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 43/20 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01R43/20 A
H01R43/20 Z
(21)【出願番号】P 2019199167
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩前 好樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 晋一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 大毅
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬弘
(72)【発明者】
【氏名】北 正輝
(72)【発明者】
【氏名】木下 恵一
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】下田 知数
(72)【発明者】
【氏名】西尾 和貴
(72)【発明者】
【氏名】武内 義貴
(72)【発明者】
【氏名】鍵山 晃治
(72)【発明者】
【氏名】久保田 一也
(72)【発明者】
【氏名】森林 昇
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-169088(JP,A)
【文献】特開昭63-057000(JP,A)
【文献】特開2017-223630(JP,A)
【文献】特開平09-178978(JP,A)
【文献】特開2006-139995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブピンと、該プローブピンを収容するハウジングとを有するコネクタ部品の製造装置であって、
前記ハウジングに設けられたプローブピンの収容部に落下する前記プローブピンを案内する案内路と、
前記プローブピンを前記案内路まで
吸着して保持するとともに、該案内路に該プローブピンを落下させるプローブピン保持部と、
を備えることを特徴とするコネクタ部品の製造装置。
【請求項2】
前記プローブピン保持部は、前記案内路の一部を構成することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ部品の製造装置。
【請求項3】
前記プローブピン保持部は、前記案内路に臨み、前記プローブピンを吸着する吸着口を有することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ部品の製造装置。
【請求項4】
前記プローブピンの前記収容部までの落下を補助する補助手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ部品の製造装置。
【請求項5】
前記補助手段として、前記ハウジングの下方から前記案内路内の気体を吸引する吸気部を備えることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ部品の製造装置。
【請求項6】
前記補助手段として、前記案内路に上方から下方に向けて気体を吐出する吐出部を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のコネクタ部品の製造装置。
【請求項7】
前記補助手段として、前記ハウジングの下方から前記案内路内の気体を吸引する吸気部と前記案内路に上方から下方に向けて気体を吐出する吐出部とを備え、前記吸気部による吸引と前記吐出部による吐出とを異なるタイミングで行うことを特徴とする請求項4に記載のコネクタ部品の製造装置。
【請求項8】
プローブピンと、該プローブピンを収容するハウジングとを有するコネクタ部品の製造方法であって、
前記プローブピンを
吸着して保持するステップと、
前記ハウジングに設けられた前記プローブピンの収容部に向けて該プローブピンを案内する案内路を形成するステップと、
保持された前記プローブピンを前記案内路に落下させるステップと、
を含むことを特徴とするコネクタ部品の製造方法。
【請求項9】
前記案内路を形成するステップは、
前記プローブピンを保持した保持部と、少なくとも1つの相手方部材とによって前記案内路を形成するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載のコネクタ部品の製造方法。
【請求項10】
前記プローブピンの落下を補助するステップを含むことを特徴とする請求項8又は9に記載のコネクタ部品の製造方法。
【請求項11】
前記プローブピンの落下を補助するステップは、前記案内路の下方から、該案内路内の気体を吸引するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載のコネクタ部品の製造方法。
【請求項12】
前記プローブピンの落下を補助するステップは、前記案内路の上方から、該案内路に向けて気体を吐出するステップを含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のコネクタ部品の製造方法。
【請求項13】
前記プローブピンの落下を補助するステップは、
前記案内路の下方から、該案内路内の気体を吸引するステップと、
前記吸引するステップと異なるタイミングで、前記案内路の上方から、該案内路に向けて気体を吐出するステップと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載のコネクタ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ部品の製造方法及びコネクタ部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プローブピンと同様に小型かつ軽量の電気部品であるコンタクトのハウジングへの挿入方法として特許文献1に記載された技術が提案されていた。ここでは、複数の導電性材製のコンタクトを平行に並べ、隣接するコンタクト同士を結合し、コンタクトに対して延出する延出部を備えたコンタクト集合体を形成している。そして、このコンタクト集合体のコンタクトのそれぞれをハウジングの複数の収納部に挿入し、操作者が延出部を把持し、コンタクトを収容部に深さ方向の中間位置まで押し込む。その後、延出部をコンタクトから分離し、それぞれのコンタクトに設けられたピン孔にピンを挿入し、複数のピンをさらに最終深さ位置まで、深さ方向に押し込んでいる。
【0003】
また、電子部品の小型化に伴い、薄板状のプローブピンを微小間隔で配置することが求められている。このように薄板状のプローブピンは負荷に弱いため、作業者が顕微鏡で確認しながら、プローブピンを手作業でハウジングに挿入することが行われていた。しかし、プローブピンのハンドリングや位置決めが困難であるため、生産性の向上が課題となっていた。一方で、このようなプローブピンは負荷に弱く、機械的に把持してハウジングに送り込む際に、ハウジングとの干渉でプローブピンが破損してしまう恐れがあることから、自動組み立てが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、プローブピンに過度の負荷をかけることなく、ハウジングに収容することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明は、
プローブピンと、該プローブピンを収容するハウジングとを有するコネクタ部品の製造装置であって、
前記ハウジングに設けられたプローブピンの収容部に落下する前記プローブピンを案内する案内路と、
前記プローブピンを前記案内路まで保持するとともに、該案内路に該プローブピンを落下させるプローブピン保持部と、
を備えることを特徴とするコネクタ部品の製造装置である。
【0007】
本発明では、プローブピン保持部によってプローブピンを保持し、案内路に落下させる。そして、プローブピンは案内路を、ハウジングに設けられたプローブピンの収容部に向けて落下することにより、コネクタ部品を製造する。このように、プローブピンを、案内路を落下させて収容部に導くので、プローブピンに過度の負荷をかけることがない。
【0008】
また、本発明においては、
前記プローブピン保持部は、前記案内路の一部を構成するようにしてもよい。
【0009】
このように、プローブピン保持部が、案内路の一部を構成するようにすれば、プローブピンを保持部から案内路を落下させるのに他の工程を介在させる必要がないので、プローブピンに新たな負荷が加えられるのを防止することができる。
【0010】
また、本発明においては、
前記プローブピン保持部は、前記案内路に臨み、前記プローブピンを吸着する吸着口を有するようにしてもよい。
【0011】
このように、プローブピンを吸着して保持するようにすれば、プローブピンに過度の負荷をかけることなく保持することができる。
【0012】
また、本発明においては、
前記プローブピンの前記収容部までの落下を補助する補助手段を備えるようにしてもよい。
【0013】
このようにすれば、案内路を落下するプローブピンが途中で止まることがあっても、補助手段によって、プローブピンを収容部に導くことができるので、効率的にコネクタ部品の製造が可能である。
このような補助手段としては、前記ハウジングの下方から前記案内路内の気体を吸引する吸気部を備えるようにしてもよいし、前記案内路に上方から下方に向けて気体を吐出する吐出部を備えるようにしてもよい。また、補助手段として、前記ハウジングの下方から前記案内路内の気体を吸引する吸気部と前記案内路に上方から下方に向けて気体を吐出する吐出部とを備え、前記吸気部による吸引と前記吐出部による吐出とを異なるタイミングで行うようにしてもよい。
【0014】
また、本発明は、
プローブピンと、該プローブピンを収容するハウジングとを有するコネクタ部品の製造方法であって、
前記プローブピンを保持するステップと、
前記ハウジングに設けられた前記プローブピンの収容部に向けて該プローブピンを案内する案内路を形成するステップと、
保持された前記プローブピンを前記案内路に落下させるステップと、
を含むことを特徴とするコネクタ部品の製造方法である。
【0015】
本発明では、プローブピンを保持し、収容部に向けてプローブピンを案内する案内路を形成し、保持されたプローブピンを案内路に落下させる。このように、プローブピンを、案内路を落下させて収容部に導くので、プローブピンに過度の負荷をかけることがない。
【0016】
また、本発明においては、
前記案内路を形成するステップは、
前記プローブピンを保持した保持部と、少なくとも1つの相手方部材とによって前記案内路を形成するステップを含むようにしてもよい。
【0017】
このように、プローブピン保持部が、少なくとも1つの相手方部材とによって案内路を形成するようにすれば、プローブピンを保持部から案内路を落下させるのに他の工程を介在させる必要がないので、プローブピンに新たな負荷が加えられるのを防止することができる。
【0018】
また、本発明においては、
前記プローブピンの落下を補助するステップを含むようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、案内路を落下するプローブピンが途中で止まることがあっても、プローブピンの落下を補助して収容部に導くことができるので、効率的にコネクタ部品の製造が可能である。
このようなプローブピンの落下を補助するステップは、前記案内路の下方から、該案内路内の気体を吸引するステップを含んでもよいし、前記案内路の上方から、該案内路に向けて気体を吐出するステップを含んでもよい。また、プローブピンの落下を補助するステップは、前記案内路の下方から、該案内路内の気体を吸引するステップと、前記吸引するステップと異なるタイミングで、前記案内路の上方から、該案内路に向けて気体を吐出するステップと、を含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プローブピンに過度の負荷をかけることなく、ハウジングに収容することができる技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例におけるコネクタの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施例におけるコネクタの全体斜視図である。
【
図3】本発明の実施例におけるプローブピンの正面図である。
【
図4】本発明の実施例のモジュールハウジング及びプローブピンの収容状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施例における製造装置の機能ブロック図である。
【
図6】本発明の実施例における製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例におけるプローブピンが整列収納されたパレットを示す図である。
【
図8】本発明の実施例における製造方法の工程の一部を示す図である。
【
図9】本発明の実施例における製造方法の工程の一部を示す図である。
【
図10】本発明の実施例におけるシューター部を含む製造装置の一部を示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施例におけるシューター部とプローブピンチャックの関係を示す平面図である。
【
図12】本発明の実施例における製造方法の工程の一部を示す断面図である。
【
図13】本発明の実施例における製造方法の工程の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
本発明は、
図1に示すコネクタ100に組み込まれるコネクタモジュール10の製造装置及び製造方法に適用することができる。
【0023】
コネクタモジュール10は、
図3に示すプローブピン11が、
図4(a)に示すモジュールハウジング12の収容部121に、
図4(b)に示すように収容されることにより製造される。
【0024】
製造装置200は、
図5に示すように、制御部1と、パレット搬送部31、プローブピン搬送部40、プローブピンチャック41、ハウジング搬送部50、シューター部60、プッシュエア供給部63を含む。
パレット搬送部31に支持されたパレット30から1個のプローブピン11を、バキュ
ームによりプローブピンチャック41に吸着する(ステップS1、
図8(a)参照)。プローブピンチャック41の姿勢を水平方向に変更する(ステップS3、
図8(b)参照)。プローブピン搬送部40により、プローブピンチャック41を移動させて、所定の位置に移動したシューター部60の端面61とプローブピンチャック41の端面42を密着させる(ステップS5,
図9(a)参照)。これにより、シューター部60とプローブピンチャック41により、シューター部60の端面61に形成されたガイド溝62を含むガイド部64が形成される(
図11参照)。
【0025】
バキュームによるプローブピン11の吸着を停止すると(ステップS6、
図12(a),(b)参照)、プローブピン11は重力に従って、ガイド部64を自由落下する(
図12(c)参照)。重力によるプローブピン11の自由落下を補助するために、モジュールハウジング12の下方から、ガイド部64内の空気を吸引し、プローブピン11に下向きの力を作用させ、また、シューター部60の上方に設けられたプッシュエア供給部63からガイド部64に下向きに空気を吐出する(ステップS6)。このようにして、プローブピン11をモジュールハウジング12の収容部121の所定位置に収容する。
【0026】
このように、パレット30からバキュームによって吸着したプローブピン11を、シューター部60とプローブピンチャック41との間に形成されるガイド部64を自由落下させて、モジュールハウジング12の収容部121内に導くので、プローブピン11に過度の負荷をかけることなくコネクタモジュール10を製造することができる。また、パレット30から、モジュールハウジング12の収容部121への挿入までを自動的に行うことができるので、生産性が向上する。さらに、モジュールハウジング12の下方からの吸気や、プッシュエア供給部63からの排気、シューター部60等の振動を補助的に用いることにより、より効率的なコネクタモジュール10の製造を、プローブピン11に過度の負荷をかけることなく実現することができる。
【0027】
〔実施例1〕
<コネクタ>
以下では、本発明の実施例に係る製造装置及び製造方法により製造したコネクタモジュール10を含むコネクタ100について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施例にコネクタ100の概略構成を示す分解斜視図である。
図2は、コネクタ100の正面図である。
【0029】
図1に示すように、コネクタ100は、複数のプローブピン11,…,11、モジュールハウジング12、コネクタカバー21、コネクタハウジング22を有する。
図1に関する以下の説明では、図の上下に従って上方及び下方を定義する。
【0030】
コネクタ100は、モジュールハウジング12に複数のプローブピン11,…,11が収容されたコネクタモジュール10を、コネクタハウジング22及びコネクタカバー21内に組み込むことにより構成される。
【0031】
コネクタハウジング22に組み付けられたモジュールハウジング12は、プローブピン11,…,11をそれぞれ収容する収容部121,122(
図4(a)参照)を内部に備える。プローブピン11,…,11は、短手方向に面対称に2つずつ並び、この2つの組が長手方向に複数隣り合っている。モジュールハウジング12の収容部121及び収容部122も同様に、短手方向に面対称に2つずつ並び、この2つの組が長手方向に複数隣り合っている。コネクタモジュール10は、プローブピン11,…,11をモジュールハウジング12内に設けられた複数の収容部のそれぞれに収容することにより組み立てられる。コネクタカバー21には、長手方向に2列の開口部21a,21aが開設されている。
コネクタモジュール10をコネクタハウジング22に組み付けた状態で、コネクタカバー21をコネクタハウジング22に固定する。このとき、モジュールハウジング12の収容部に収容されたプローブピン11の一端11aはコネクタカバー21に開設された開口部21a,21aから突出し、他端11bはモジュールハウジング12の下面に開設された開口部121b,122b(
図4(a)参照)及びコネクタハウジング22の下面に開設された開口部から突出する。ここでは、コネクタモジュール10が本発明のコネクタ部品に対応する。
また、ここでは、モジュールハウジング12が2列の収容部121,122を有するコネクタ100を例として説明しているが、プローブピン11を収容する収容部の配置はこれに限られず、収容部が1列のコネクタや、収容部が3列以上のコネクタもある。このようなコネクタでは、収容部の配列に応じて、コネクタカバー21の開口部及びモジュールハウジングの開口部も1列や3列以上となる。
【0032】
図2は、コネクタモジュール10を組み付けた状態のコネクタ100の全体図である。モジュールハウジング12の開口部121a,122aから突出していたプローブピン11,…,11の第1接点部11a,…,11aがコネクタカバー21の開口部21a,21aからも突出し、コネクタ100が取り付けられる処理装置の基板の電極パッド等に接続される。コネクタ100の下面に設けられた開口部121b,122bから突出するプローブピン11,…,11の第2接点部11b,…,11bは、相手方部材の電極パッド等の被検出部に当接可能な状態となる。このようにして、コネクタ100は、被検出部と処理装置とを電気的に接続する。
【0033】
図3は、プローブピン11の概形を示す正面図である。
プローブピン11は、板状で、一端に第1接点部11a、他端に第2接点部11bを備える。プローブピン11は、正面視で略五角形状の第1接触部111の先端部に第1接点部11aを有する。また、プローブピン11は、正面視で長手方向(図では上下方向)に延びる矩形で端部が略三角形状に形成された第2接触部の先端部に第2接点部11bを有する。第1接触部111と第2接触部112との間には、弾性部113が形成されている。
図3では、弾性部113を矩形で表現し、詳細な構造は省略している。弾性部113は、第1接触部111と第2接触部112に加えられる力に応じて弾性変形可能な構造を有している。
【0034】
プローブピン11は、例えば、電鋳法により一体に製造することができる。電鋳法によれば、薄肉で寿命の長いプローブピン11を得ることができる。但し、プローブピン11の製造方法はこれに限られず、エッチング、プレス、成形、3Dプリンタによって製造することもできる。
【0035】
図4(a)は、モジュールハウジング12に設けられたプローブピンの収容部121,122の概形を、モジュールハウジング12の開口部121a,122aにおける配列方向の中央部での断面で示した図である。収容部121と収容部122は、モジュールハウジング12の短手方向の中央を通る長手方向の面に対して面対称に配置され、これら2つの収容部121,122が、紙面に直交する方向に並列に複数配置されている。。
収容部121,122は開口部121a,122aとは反対側に開口部121b,122bを有する。後述するコネクタモジュール10の製造時には、モジュールハウジング12は
図4(a)に示す姿勢で配置され、上方から落下するプローブピン11を開口部121a,122aから受け入れる(以下、収容部121についてのみ説明するが、収容部122も同様に構成される。)。収容部121の内部には、開口部121aと開口部121bとを連通する中空部121cが形成されている。中空部121cは、開口部121a側で幅が広く、開口部121b側で幅が狭い2つの扁平な直方体が連結された形状をなす。
図4(a)の左側の壁部1211はモジュールハウジング12の外壁の一部を構成し、右
側の壁部123aは、モジュールハウジング12の内壁123の一部を構成する。紙面に平行な隔壁1213から紙面に直交する方向に立設される壁部1211は,開口部121aから開口部121bに延びる鉛直方向の壁部1211aと壁部1211cの間に、これらの壁部1211a,1211cに直交する壁部1211bを挟んで連結されている。内壁123は、隔壁1213から直交する方向(紙面に直交する方向)に立設されている。
【0036】
図4(b)は、プローブピン11が収容部121に収容された状態を示す。
図4(b)における収容部121は、
図4(a)と同様に、モジュールハウジング12の開口部121a及び開口部122aにおける配列方向の中央部での断面で示している。
収容部121の開口部121aからは、プローブピン11の第1接点部11aが露出し、開口部121bからは第2接点部11bが露出する。収容部121の壁部1211aと壁部123a中空部121cには、プローブピン11の弾性部113が収容される。そして、壁部1211bには、プローブピン11の弾性部113の第2接触部112側の端面113aが当接し、プローブピン11の開口部121b側へのさらなる移動が規制される。また、収容部121の壁部1211cと壁部123aとの間の中空部121cには、プローブピン11の第2接触部112が収容される。収容部121は、プローブピン11の第1接点部11aと第2接点部11bとの間に作用する力によって弾性部113による変形を許容する形状に構成されている。
【0037】
<製造装置及び製造方法>
次に、プローブピン11,…,11をモジュールハウジング12に収容してコネクタモジュール10を製造するための製造装置及び製造方法について説明する。
図5は、製造装置200の主要な機能ブロックを示す図である。
【0038】
製造装置200は、主として、制御部1と、パレット搬送部31、プローブピン搬送部40、プローブピンチャック41、ハウジング搬送部50、シューター部60、プッシュエア供給部63を含む。制御部1は、パレット搬送部31、プローブピン搬送部40、プローブピンチャック41、ハウジング搬送部50、シューター部60、プッシュエア供給部63を含む製造装置200の各部を統括制御し、後述の製造方法を実行する。制御部1は、例えば、CPU(プロセッサ)、RAM(メモリ)、不揮発性記憶装置(ハードディスク、SSDなど)、入力装置、出力装置などを備えるコンピュータにより構成される。この場合、CPUが、不揮発性記憶装置に格納されたプログラムをRAMに展開し、当該プログラムを実行することによって、後述する製造方法を実行するための各種の構成が実現される。ただし、制御部1の構成はこれに限られず、構成のうちの全部又は一部を、FPGAやASICなどの専用回路で実現してもよい。パレット搬送部31、プローブピン搬送部40、プローブピンチャック41、ハウジング搬送部50、シューター部60、プッシュエア供給部63の具体的な機能については、後述の製造方法の中で説明する。ここでは、プローブピンチャック41が本発明のプローブピン保持部に対応する。
【0039】
図6は、コネクタモジュール10の製造方法を説明するフローチャートである。まず、
図6に示す手順に先立って、コネクタモジュール10の製造の準備として、ハウジング固定部にモジュールハウジング12を固定するとともに、
図7に示すように、パレット30に設けられた複数のプローブピン収納部30aのそれぞれにプローブピン11を整列収納する。
【0040】
上述の準備が完了すると、
図6に示す手順に従って、コネクタモジュール10を製造する。
図8(a)に示すように、プローブピン搬送部40に支持されたプローブピンチャック41が下降し、パレット搬送部31に設置されたパレット30に収納されたプローブピン11,…,11のうち1個のプローブピン11をバキュームで吸着する(ステップS1)。このとき、
図8(a)に示すように、モジュールハウジング12がプローブピン11
挿入位置に位置づけられるように、ハウジング固定部51を有し、移動可能に設けられたハウジング搬送部50が移動する(ステップS2)。このように、小型化かつ薄型化するプローブピン11をバキュームにより吸着して保持することにより、プローブピン11に過度の負荷をかけることがない。このため、プローブピン11の搬送工程での損傷を抑制し、歩留まりを向上させることができる。
【0041】
次に、
図8(b)に示すように、プローブピンチャック41を、プローブピン11を吸着した状態で鉛直下方から、シューター部60が配置された水平方向へと90度回転させて向きを変える(ステップS3)。このとき、
図8(b)に示すように、シューター部60は準備位置から、モジュールハウジング12にプローブピン11を挿入する位置へと移動する(ステップS4)。
【0042】
次に、
図9(a)に示すように、プローブピンチャック41を有するプローブピン搬送部40をシューター部方向に移動させ、プローブピンチャック41の端面42とシューター部60との端面61が密着させる(ステップS5)。プローブピンチャック41とシューター部60とハウジング搬送部50との相互関係を説明するために、プローブピンチャック41とシューター部60とハウジング搬送部50とを離間させて描いた図であり、
図10は、シューター部60の端面61に向って左側から見た状態を示す斜視図である。このように、シューター部60の端面61には、プローブピン11を案内する凹状のガイド溝62が形成されている。ガイド溝62の形状については特に限定されないが、例えば、ガイド溝62を水平方向の断面で見たとき、二つの側面が底面に直交するように形成することができる。シューター部60とプローブピンチャック41とが密着したときの、プッシュエア供給部63を除いたシューター部60とプローブピンチャック41の上面から見た状態を
図11に示す。このように、シューター部60の端面61とプローブピンチャック41の端面42とが密着することによって、ガイド溝62を含む空間としてのガイド部64が画される。ここでは、シューター部60が本発明の相手方部材に対応し、ガイド部64が本発明の案内路に対応する。
【0043】
図12(a)は、
図11のC-C断面、すなわち、シューター部60の端面61に沿った方向のガイド溝62の中央部を通る鉛直面での断面を模式的に示す。ここでは、プローブピン11を黒く塗りつぶされた長方形で示す。上述のように、シューター部60の端面61とプローブピンチャック41の端面42とが密着された状態では、矢印で示すように、プローブピンチャック41の端面42に、ガイド部64に臨んで開口する吸着口を有する吸気路41aを通じてバキュームによって吸着されている。
【0044】
次に、、
図12(b)に矢印で示すように、プローブピン11を吸着しているバキュームを停止する(ステップS6)。このとき、バキュームを停止するだけであれば、プローブピン11がプローブピンチャック41に吸着されたままになってしまうことがあり得るのでプローブピンチャック41の吸気路41aを大気圧に開放することが望ましい。このようにすれば、プローブピン11は、重力に従ってガイド部64内を自由落下する。このとき、
図12(c)に矢印で示すように、ハウジング搬送部50に設けられた吸気部(不図示)によりモジュールハウジング12の下方からバキュームで吸引することにより、自由落下するプローブピン11のモジュールハウジング12内への進入を誘導することができる。このように、プローブピン11をガイド部64内で自由落下させて、モジュールハウジング12の収容部121に導くことにより、プローブピン11に過度の負荷をかけることがない。また、下方からのバキュームによる吸引を補助的に用いることにより、プローブピン11に過度の負荷をかけることなく、効率的なコネクタモジュール10の製造が可能となる。また、シューター部60の上方に設けられ、ガイド部64に開口するプッシュエアノズルを有するプッシュエア供給部63から、下方に向って空気を吐出する。これによって、
図13(a)に示すように、ガイド部64やモジュールハウジング12の途中
でプローブピン11が止まっている場合に、プッシュエア供給部63から下方に向って空気を吐出することにより、
図13(b)に示すように、プローブピン11をモジュールハウジング12の所定位置まで押し下げることができる。このように、プローブピン11がガイド部64やモジュールハウジング12の途中で止まっている場合や、プローブピン11の形状が、ガイド部64やモジュールハウジング12に引っかかりやすい形状である場合には、シューター部60及びハウジング固定部51の少なくともいずれか一方を振動させるようにしてもよい。このように、シューター部60及びハウジング固定部51の少なくともいずれか一方を振動させることにより、プローブピン11がモジュールハウジング12の所定位置に適切に収容することができる。このとき、シューター部60とともにプローブピンチャック41を振動させるようにしてもよい。このように、上方からの空気の吐出やシューター部60等の振動を補助的に用いることにより、プローブピン11に過度の負荷をかけることなく、効率的なコネクタモジュール10の製造が可能となる。ここでは、プッシュエア供給部63が本発明の吐出部に対応し、空気が本発明の気体に対応する。
【0045】
このようにして、プローブピン11がモジュールハウジング12の所定位置に収容されると、
図9(b)に示すように、プローブピン搬送部40とプローブピンチャック41をパレット30の次のプローブピン11の直上へ移動させる(ステップS7)。このとき、ハウジング搬送部50は、モジュールハウジング12を1ピッチ分移動させて、次のプローブピン11を待機する(ステップS8)。
【0046】
次に、所定数のプローブピン11,…,11をモジュールハウジング12に収容したか否かを判断する(ステップS9)。
ステップS9において、所定数のプローブピン11,…,11をモジュールハウジング12に収容したと判断された場合には、コネクタモジュール10の製造は終了する。
ステップS9において、所定数のプローブピン11,…,11をモジュールハウジング12に収容していないと判断された場合には、ステップS1以降の手順を繰り返す。なお、
図1に示したように、モジュールハウジング12にプローブピン11,…,11が2列で対称に収容される構成である場合には、1列分のプローブピン11,…,11の収容を完了した段階で、ハウジング搬送部が鉛直方向の軸回りに回転した後に、ステップS1に戻り、他の1列の収容部にプローブピン11,…,11を受け入れる。
【0047】
上述の製造装置を用いて、上述の製造方法を実行することにより、パレット30からバキュームによって吸着したプローブピン11を、シューター部60とプローブピンチャック41との間に形成されるガイド部64を自由落下させて、モジュールハウジング12の収容部121内に導くので、プローブピン11に過度の負荷をかけることなくコネクタモジュール10を製造することができる。また、パレット30から、モジュールハウジング12の収容部121への挿入までを自動的に行うことができるので、生産性が向上する。さらに、モジュールハウジング12の下方からの吸気や、プッシュエア供給部63からの排気、シューター部60等の振動を補助的に用いることにより、より効率的なコネクタモジュール10の製造を、プローブピン11に過度の負荷をかけることなく実現することができる。
また、プローブピン11に対する下方からの空気の吸引及び上方からの空気の吐出のタイミングは限定されない。すなわち、下方からの空気の吸引を行った後に上方からの空気の吐出を行ってもよいし、上方からの空気の吐出を行った後に下方からの空気の吸引を行うようにしてもよい。また、下方からの空気の吸引と上方からの空気の吐出を並行して行ってもよいし、下方からの空気の吸引と上方からの空気の吐出のタイミングが部分的に重なるようにしてもよい。
また、本実施例では、プローブピン11の収容部121への挿入への補助手段として空気を用いているが、プローブピン11に作用し得る手段であれば磁力や静電気力等を用い
てもよい。
また、シューター部60及びハウジング固定部51の少なくともいずれか一方を振動させるようにしてもよいが、超音波を送出することによりプローブピン11を振動させてもよい。
【0048】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
プローブピン(11)と、該プローブピンを収容するハウジング(12)とを有するコネクタ部品(10)の製造装置(200)であって、
前記ハウジング(12)に設けられたプローブピン(12)の収容部(121)に落下する前記プローブピンを案内する案内路(64)と、
前記プローブピン(11)を前記案内路(64)まで保持するとともに、該案内路(64)に該プローブピン(11)を落下させるプローブピン保持部(41)と
を備えることを特徴とするコネクタ部品(10)の製造装置(200)。
<発明2>
プローブピン(11)と、該プローブピン(11)を収容するハウジング(12)とを有するコネクタ部品(10)の製造方法であって、
前記プローブピン(11)を保持するステップ(ステップS1)と、
前記ハウジング(12)に設けられた前記プローブピン(11)の収容部(121)に向けて該プローブピン(12)を案内する案内路(64)を形成するステップ(ステップS5)と、
保持された前記プローブピン(11)を前記案内路に落下させるステップ(ステップS7)と、
を含むことを特徴とするコネクタ部品(10)の製造方法。
【符号の説明】
【0049】
1 : 制御部
10 :コネクタモジュール
11 :プローブピン
12 :モジュールハウジング
41 :プローブピンチャック
50 :ハウジング搬送部
60 :シューター部
62 :ガイド溝
63 :プッシュエア供給部
64 :ガイド部
121 :収容部
200 :製造装置