(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】操作対象切り替え装置、操作対象切り替え方法および操作対象切り替えプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2019230690
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】色摩 譲
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-174127(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053960(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/175070(WO,A1)
【文献】特開2009-056202(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03561656(EP,A1)
【文献】特表2004-532477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが選択して操作可能な操作対象を表示する表示部と、
操作対象を選択することによって、操作可能な操作対象の選択を、現在選択されている操作対象から現在選択されていない操作対象へと切り替える指示と、前記切り替える指示以外の指示と、を受け付ける操作部に対するタッチ操作を入力する操作入力部と、
前記タッチ操作の態様に応じて、関心領域の位置、関心領域のサイズ、計測カーソルおよびボディマークの少なくとも2つを含む前記操作可能な操作対象の選択を切り替える選択切り替え部と、
を備える操作対象切り替え装置。
【請求項2】
前記選択切り替え部は、少なくとも2つの種類のタッチ操作に応じて、前記操作可能な操作対象の選択を切り替え
る、
請求項1に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項3】
前記表示部は、現在選択されている操作対象を示す画像を表示する、
請求項1
又は2に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項4】
前記表示部は、現在選択されている操作対象を示す文字列画像を表示する、
請求項
3に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項5】
前記表示部は、現在選択されている操作対象を示す画像と、現在選択されていない操作対象を示す画像とを表示する、
請求項1
又は2に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項6】
前記表示部は、現在選択されている操作対象を示す画像と、現在選択されていない操作対象を示す画像とを異なる表示態様で表示する、
請求項
5に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項7】
前記選択切り替え部は、前記タッチ操作の態様に応じて、切り替え先の操作対象を変更する、
請求項1~
6の何れか1項に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項8】
前記タッチ操作の態様は、前記操作部に対する前記タッチ操作の位置である、
請求項1~
7の何れか1項に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項9】
前記表示部は、現在選択されている操作対象を切り替えるために必要なタッチ操作の態様を示す操作画像を表示する、
請求項1~
8の何れか1項に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項10】
前記表示部は、切り替え先の操作対象毎に、前記操作画像を異なる表示態様で表示する、
請求項
9に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項11】
前記表示部は、切り替え先の操作対象を示す文字列画像を表示する、
請求項
9に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項12】
前記操作部は、トラックパッド、または、前記表示部又は第2表示部の表示画面に対するタッチ操作を検知するタッチパネルである、
請求項1~
11の何れか1項に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項13】
前記タッチ操作は、複数種類のタッチ操作の少なくとも1つからなる操作である、
請求項
1に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項14】
前記表示部は、被検体内の内部状態を画像化した超音波画像を表示し、
前記操作部は、前記表示部の表示画面に対するタッチ操作を検知するタッチパネルであり、
前記操作入力部は、前記表示画面のうち前記超音波画像を表示する領域に対するタッチ操作を入力する、
請求項1~
13の何れか1項に記載の操作対象切り替え装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの種類のタッチ操作は、スライドタッチ操作、マルチタッチ操作、連続タッチ操作、長押し操作、及びそれら以外のタッチ操作から構成された複数種類のタッチ操作から選ばれる、2つの種類のタッチ操作である、
請求項
2記載の操作対象切り替え装置。
【請求項16】
ユーザーが選択して操作可能な操作対象を表示し、
操作対象を選択することによって、操作可能な操作対象の選択を、現在選択されている操作対象から現在選択されていない操作対象へと切り替える指示と、前記切り替える指示以外の指示と、を受け付ける操作部に対するタッチ操作を入力し、
前記タッチ操作の態様に応じて、関心領域の位置、関心領域のサイズ、計測カーソルおよびボディマークの少なくとも2つを含む前記操作可能な操作対象の選択を切り替える、
操作対象切り替え方法。
【請求項17】
コンピューターに、
ユーザーが選択して操作可能な操作対象を表示する処理と、
操作対象を選択することによって、操作可能な操作対象の選択を、現在選択されている操作対象から現在選択されていない操作対象へと切り替える指示と、前記切り替える指示以外の指示と、を受け付ける操作部に対するタッチ操作を入力する処理と、
前記タッチ操作の態様に応じて、関心領域の位置、関心領域のサイズ、計測カーソルおよびボディマークの少なくとも2つを含む前記操作可能な操作対象の選択を切り替える処理と、
を実行させる操作対象切り替えプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作対象切り替え装置、操作対象切り替え方法および操作対象切り替えプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波探触子にて生体等の被検体に対して超音波の送受信を行い、受信した超音波から得られた信号に基づいて超音波画像データを生成し、これに基づく超音波画像を画像表示装置に表示する超音波画像診断装置が知られている。超音波画像診断装置による超音波画像診断は、超音波探触子を被検体の体表に当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動き等の様子がリアルタイムで得られ、かつ非侵襲で安全性が高いため、繰り返して実施することができる。
【0003】
超音波画像診断装置では、ユーザー(操作者)が選択して操作可能な操作対象(例えば、計測カーソル、関心領域)を表示した状態において、例えばタッチパネルに対するユーザーのタッチ操作によって操作対象を操作することが行われる。例えば、操作対象が関心領域である場合、ユーザーのドラッグ操作によって、当該関心領域を所望の位置に移動させることができる。
【0004】
また、超音波画像診断装置では、操作対象を表示した状態において、ユーザーのタッチ操作によって、操作対象の選択を切り替えることが行われる(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
特許文献1には、操作者がタッチ操作することにより操作対象の選択の切り替えを指示することが可能な操作ボタンを表示する第一領域と、操作者がスライド操作可能な第二領域とを設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、操作対象の選択を切り替える際、ユーザーは、画面の左下隅に設けられた操作ボタン(ソフトウェアキー)の位置まで手を移動させる必要があり、操作時間が増大し、操作性が低下するという問題があった。なお、一般的な超音波画像診断装置では、操作対象の選択の切り替えを指示する専用のハードキーを所定の位置に設けていることが多い。
【0008】
本発明は、操作対象の選択を切り替える際の操作性を向上させることが可能な操作対象切り替え装置、操作対象切り替え方法および操作対象切り替えプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る操作対象切り替え装置は、
ユーザーが選択して操作可能な操作対象を表示する表示部と、
操作対象を選択することによって、操作可能な操作対象の選択を、現在選択されている操作対象から現在選択されていない操作対象へと切り替える指示と、前記切り替える指示以外の指示と、を受け付ける操作部に対するタッチ操作を入力する操作入力部と、
前記タッチ操作の態様に応じて、関心領域の位置、関心領域のサイズ、計測カーソルおよびボディマークの少なくとも2つを含む前記操作可能な操作対象の選択を切り替える選択切り替え部と、
を備える。
【0010】
本発明に係る操作対象切り替え方法は、
ユーザーが選択して操作可能な操作対象を表示し、
操作対象を選択することによって、操作可能な操作対象の選択を、現在選択されている操作対象から現在選択されていない操作対象へと切り替える指示と、前記切り替える指示以外の指示と、を受け付ける操作部に対するタッチ操作を入力し、
前記タッチ操作の態様に応じて、関心領域の位置、関心領域のサイズ、計測カーソルおよびボディマークの少なくとも2つを含む前記操作可能な操作対象の選択を切り替える。
【0011】
本発明に係る操作対象切り替えプログラムは、
コンピューターに、
ユーザーが選択して操作可能な操作対象を表示する処理と、
操作対象を選択することによって、操作可能な操作対象の選択を、現在選択されている操作対象から現在選択されていない操作対象へと切り替える指示と、前記切り替える指示以外の指示と、を受け付ける操作部に対するタッチ操作を入力する処理と、
前記タッチ操作の態様に応じて、関心領域の位置、関心領域のサイズ、計測カーソルおよびボディマークの少なくとも2つを含む前記操作可能な操作対象の選択を切り替える処理と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作対象の選択を切り替える際の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】超音波画像診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】操作対象の選択の切り替えに関する各種画像の表示例を示す図である。
【
図5】超音波画像診断装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態における超音波画像診断装置100について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、超音波画像診断装置100の外観図である。
【0015】
図1に示すように、超音波画像診断装置100は、超音波画像診断装置本体1と、超音波探触子2と、を備える。なお、超音波画像診断装置100は、本発明の「操作対象切り替え装置」として機能する。
【0016】
超音波探触子2は、図示しない生体等の被検体内に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体内で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する。
【0017】
超音波画像診断装置本体1は、ケーブル3を介して超音波探触子2と接続され、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子2から被検体に対して送信超音波を送信させる。
【0018】
また、超音波画像診断装置本体1は、超音波探触子2にて受信した被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号である受信信号に基づいて、被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。また、超音波画像診断装置本体1は、後述する操作入力部11、表示部16を備える。
【0019】
超音波探触子2は、圧電素子からなる振動子2a(
図2を参照)を備えている。振動子2aは、例えば、方位方向(走査方向)に一次元アレイ状に複数配列されている。本実施の形態では、例えば、192個の振動子2aを備えた超音波探触子2を用いている。
【0020】
なお、振動子2aは、二次元アレイ状に配列されたものであっても良い。また、振動子2aの個数は、任意に設定することができる。また、本実施の形態では、超音波探触子2としてリニア電子スキャンプローブを用いて、リニア走査方式による超音波の走査を行うものとするが、セクタ走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。超音波画像診断装置本体1と超音波探触子2との通信は、ケーブル3を介する有線通信に代えて、UWB(Ultra Wide Band)等の無線通信により行うこととしても良い。
【0021】
次に、
図2を参照して、超音波画像診断装置100の機能構成を説明する。
図2は、超音波画像診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、超音波画像診断装置本体1は、例えば、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像生成部14と、記憶部15と、表示部16と、制御部17とを備える。なお、制御部17は、本発明の「選択切り替え部」として機能する。
【0023】
操作入力部11は、各種スイッチ、ボタン、トラックパッド、トラックボール、マウス、キーボード、表示部16の表示画面に一体的に設けられ当該表示画面に対するタッチ操作を検知するタッチパネル(本発明の「操作対象の選択の切り替えを指示する専用ではない操作部」として機能)等を備える。操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンド、被検体の個人情報等のデータ、および、表示部16に超音波画像を表示するための各種パラメーターの入力などを行う。そして、操作入力部11は、入力した操作に対応する操作信号を制御部17に出力する。
【0024】
送信部12は、制御部17の制御に従って、ケーブル3を介して超音波探触子2に電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。
【0025】
また、送信部12は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備えている。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束(送信ビームフォーミング)等を行うための回路である。パルス発生回路は、設定された電圧及び時間間隔で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。
【0026】
上述のように構成された送信部12は、制御部17の制御に従って、駆動信号を供給する複数の振動子2aを、超音波の送受信毎に所定数ずらしながら順次切り替え、出力の選択された複数の振動子2aに対して駆動信号を供給することにより走査(スキャン)を行う。
【0027】
受信部13は、制御部17の制御に従って、ケーブル3を介して超音波探触子2から電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。
【0028】
増幅器は、受信信号を、振動子2a毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をアナログ-デジタル変換(A/D変換)するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。すなわち、整相加算回路は、振動子2a毎の受信信号に対して受信ビームフォーミングを行って音線データを生成する。
【0029】
画像生成部14は、制御部17の制御に従って、受信部13からの音線データに対して包絡線検波処理や対数圧縮などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、断層画像データとしてのB(Brightness)モード画像データ(以下、超音波画像データ)を生成する。すなわち、超音波画像データは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。
【0030】
また、画像生成部14は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成された画像メモリー部(図示せず)を備えている。画像生成部14は、生成した超音波画像データをフレーム単位で画像メモリー部に記憶させる。
【0031】
また、画像生成部14は、画像メモリー部から読みだした超音波画像データに対して画像フィルタ処理や時間平滑化処理などの画像処理を施し、表示部16へ表示するための表示画像パターンに走査変換する。
【0032】
記憶部15は、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の情報の書き込み及び読み出しが可能な記憶部である。
【0033】
表示部16は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示装置である。表示部16は、制御部17の制御に従って、画像生成部14により生成された超音波画像データに対応する超音波画像を表示画面上に表示する。
【0034】
制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROMに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波画像診断装置本体1の各部の動作を集中制御する。
【0035】
ROMは、半導体等の不揮発メモリー等により構成され、超音波画像診断装置100に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブル等の各種データ等を記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。本実施の形態では、制御部17のROMに「操作対象切り替えプログラム」が記憶されている。
【0036】
超音波画像診断装置100においては、生成された超音波画像に基づいて被検体内の対象部(例えば、生体内の構造物や病変部等)に係る各種計測を行うための計測モードが設けられている。計測モードでは、例えば、2点間の距離、トレースされた形状の長さ、円や楕円の径、円周及び面積、角度、時間、体積等を計測することができる。
【0037】
例えば、
図3に示すように、超音波画像を含む検査画面20が表示部16に表示されている場合において、超音波画像診断装置100のユーザー(例えば、検査者)が計測ボタン(図示せず)を押下すると計測モードに移行する。
【0038】
図3に示す例では、妊婦の体内に存在する胎児の計測部位としてBPD(児頭大横径:Biparietal Diameter)のサイズを計測する計測モードに移行した状態を示している。
【0039】
検査画面20の表示領域21には、被検体としての妊婦の氏名(例えば、日野花子)、性別(例えば、F)、年齢(例えば、28)などが表示される。
【0040】
検査画面20の表示領域22には、超音波画像が表示されるとともに、ユーザーが選択して操作可能な操作対象(
図3に示す例では、計測カーソル23および関心領域24)が表示される。そして、ユーザーによる計測カーソル23の操作に応じて計測処理が実行される。ここで、計測カーソル23とは、被検体内の対象部の計測に必要な点や軸等の現在位置を指し示すためのマークであり、始点カーソル23aや終点カーソル23b等が含まれる。
【0041】
また、関心領域24とは、表示された超音波画像において診断や検査等の対象になる特定の部位を示す領域である。制御部17は、操作入力部11により入力したユーザーの指示に応じて、表示領域22における関心領域24の位置を変更したり、関心領域24のサイズ(大きさ)を変更したりする。
【0042】
計測部位を含む超音波画像は、例えば、超音波探触子2を被検体に押し当てることにより取得される超音波画像に計測部位が写ったときに操作入力部11のフリーズボタンを押下することにより表示することができる。
【0043】
制御部17は、操作入力部11により入力したユーザーの指示に応じて、始点カーソル23aおよび終点カーソル23bの位置を移動して確定し、確定した位置に基づいて超音波画像中の計測部位のサイズを計測する。制御部17は、ユーザーの指示に応じて始点カーソル23aの位置を移動して確定した後、操作入力部11によりユーザーが指示した方向において、位置を確定した始点カーソル23aから一定距離離れた位置に終点カーソル23bを表示させ、終点カーソル23bの位置をさらにユーザーの指示に応じて移動して確定する。制御部17は、計測部位のサイズを計測する毎に、当該サイズを計測値として記憶部15に記憶させる。なお、始点カーソル23aおよび終点カーソル23bの位置の確定は、操作入力部11のSet(設定)ボタンを押下する等の確定操作により行われる。
【0044】
検査画面20の表示領域26には、妊婦の体内に存在する胎児(例えば、胎児A)のBPD(例えば、46.2mm)、計測したBPDから推定されるGA(推定胎齢、例えば12w(週)5d(日))、当該GAから推定されるEDD(出産予定日:Estimated Date of Delivery、例えば2019/11/17)などが表示される。なお、推定胎齢は、検査日における妊娠日数に相当するものである。
【0045】
検査画面20の表示領域27には、超音波画像診断装置100の各種設定を行う操作ボタン27a(ソフトウェアキー)が表示される。
【0046】
本実施の形態では、操作対象(計測カーソル23および関心領域24)の選択を切り替える際の操作性を向上させるため、操作入力部11は、表示部16の表示画面に対するタッチ操作を検知するタッチパネルを介して、検査画面20(本発明の「表示画面」に対応)のうち超音波画像を表示する表示領域22に対するタッチ操作を入力する。そして、制御部17は、操作入力部11に入力されたタッチ操作の態様に応じて、操作対象の選択を切り替える。
【0047】
例えば、操作対象として関心領域24のサイズが選択されている場合において、制御部17は、操作入力部11に入力されたタッチ操作がスライドタッチ操作(なぞり操作)であるとき、操作対象の選択を関心領域24のサイズから、関連する機能である関心領域24の位置に切り替える。また、制御部17は、操作入力部11に入力されたタッチ操作がマルチタッチ操作(複数点の同時タッチ操作)であるとき、操作対象の選択を関心領域24のサイズから、関連する機能でない計測カーソル23(始点カーソル23aおよび終点カーソル23b)の位置に切り替える。すなわち、制御部17は、タッチ操作の態様(具体的には、タッチ操作の種類)に応じて、切り替え先の操作対象を変更する。なお、操作対象の選択を切り替えるために操作入力部11に入力されるタッチ操作は、複数種類のタッチ操作の少なくとも1つからなる操作であれば良い。例えば、スライドタッチ操作、マルチタッチ操作以外の操作(例えば、ダブルタップやトリプルタップなどの連続タッチ操作、長押し操作)でも良く、スライドタッチ操作、マルチタッチ操作、それら以外のタッチ操作の少なくとも2つから構成されるタッチ操作であっても良い。
【0048】
図3に示すように、検査画面20の表示領域22には、操作対象の選択の切り替えに関する各種画像を表示する表示領域25が設けられる。
図4(
図4A~4E)は、操作対象の選択の切り替えに関する各種画像の表示例を示す図である。なお、表示領域25は、表示領域22とは異なる領域に設けられても良い。
【0049】
図4Aに示すように、表示領域25には、操作対象としての「関心領域24の位置」を示すアイコン画像30、操作対象としての「関心領域24のサイズ」を示すアイコン画像31、および、操作対象としての「計測カーソル23の位置」を示すアイコン画像32が横に並んで表示される。また、現在選択されている操作対象を示すアイコン画像31と、現在選択されていない操作対象を示すアイコン画像30,32とが異なる表示態様で表示される。すなわち、アイコン画像31は色(例えば青色)を付して表示される一方、アイコン画像30,32は色を付さずに表示される。ユーザーは、
図4Aに示す表示領域25を見ることによって、現在選択されている操作対象が「関心領域24のサイズ」であることを容易に把握することができる。
【0050】
なお、
図4Bに示すように、現在選択されている操作対象を示すアイコン画像31の下方に上矢印画像を表示させることによって、現在選択されている操作対象を示すアイコン画像31と、現在選択されていない操作対象を示すアイコン画像30,32とを異なる表示態様で表示しても良い。また、現在選択されているまたは選択されていない操作対象をそれぞれ示すアイコン画像30,31,32に代えて、当該操作対象をそれぞれ示す文字列画像を表示しても良い。また、アイコン画像31を大きいサイズで表示する一方、アイコン画像30,32を小さいサイズで表示しても良い。
【0051】
図4Cに示すように、表示領域25には、操作対象としての「関心領域24の位置」を示すアイコン画像30、操作対象としての「関心領域24のサイズ」を示すアイコン画像31、および、操作対象としての「計測カーソル23の位置」を示すアイコン画像32が横に並んで表示される。また、表示領域25には、現在選択されている操作対象(関心領域24のサイズ)を「関心領域24の位置」に切り替えるために必要なタッチ操作の態様を示す操作画像34がアイコン画像30に対応付けて表示される。また、表示領域25には、操作対象(関心領域24のサイズ)を「計測カーソル23の位置」に切り替えるために必要なタッチ操作の態様を示す操作画像35がアイコン画像32に対応付けて表示される。操作画像34は、タッチ操作の態様として、タッチした指を下になぞった後に右になぞるスライドタッチ操作を示すアイコン画像である。操作画像35は、タッチ操作の態様として、マルチタッチ操作(2点の同時タッチ操作)を示すアイコン画像である。ユーザーは、
図4Cに示す表示領域25を見ることによって、切り替え先の操作対象毎に、現在選択されている操作対象を切り替えるために必要なタッチ操作の態様を容易に把握することができる。なお、操作画像34,35にそれぞれ対応づけて、切り替え先の操作対象(「関心領域24の位置」、「計測カーソル23の位置」)をそれぞれ示す文字列画像を表示しても良い。また、操作画像34,35にそれぞれ対応づけて、操作画像34,35の機能(操作対象の切り替え)を示す文字列画像を表示しても良い。
【0052】
図4Dに示すように、表示領域25には、操作対象としての「関心領域24の位置」を示すアイコン画像30、操作対象としての「関心領域24のサイズ」を示すアイコン画像31、および、操作対象としての「計測カーソル23の位置」を示すアイコン画像32が横に並んで表示される。ここで、現在選択されている操作対象(関心領域24のサイズ)を示すアイコン画像31に色が付され、アイコン画像31の下方に上矢印画像が表示される。また、表示領域25には、現在選択されている操作対象(関心領域24のサイズ)を「関心領域24の位置」に切り替えるために必要なタッチ操作の態様を示す操作画像34、および、操作対象(関心領域24のサイズ)を「計測カーソル23」の位置に切り替えるために必要なタッチ操作の態様を示す操作画像35が表示される。
【0053】
図4Dに示す例では、切り替え先の操作対象毎に、操作画像34,35が異なる表示態様で表示されている。具体的には、切り替え先の操作対象(関心領域24の位置)を示し、色が付されたアイコン画像30に対応付けて、同様に色が付された操作画像34が表示される。一方、切り替え先の操作対象(計測カーソル23の位置)を示し、色が付されていないアイコン画像32に対応付けて、同様に色が付されていない操作画像35が表示される。ユーザーは、
図4Dに示す表示領域25を見ることによって、
図4Cに示す表示領域25に比べて、切り替え先の操作対象と、当該切り替え先の操作対象に切り替えるために必要なタッチ操作の態様との対応関係を容易に把握することができる。
【0054】
図4Eに示す例では、切り替え先の操作対象毎に、操作画像34,35が異なる表示態様で表示されている。具体的には、切り替え先の操作対象(関心領域24の位置)を示すアイコン画像30に対応付けて、色が付された操作画像34が表示される。また、切り替え先の操作対象(計測カーソル23の位置)を示すアイコン画像32に対応付けて、操作画像34に付された色とは異なる色が付された操作画像35が表示される。また、アイコン画像30,31の上方には、操作画像34に付された色と同じ色が付され、関心領域24のサイズ(アイコン画像31)から関心領域24の位置(アイコン画像30)への選択の切り替えを表す矢印画像38が表示される。また、アイコン画像31,32の下方には、操作画像35に付された色と同じ色が付され、関心領域24のサイズ(アイコン画像31)から計測カーソル23の位置(アイコン画像32)への切り替えを表す矢印画像39が表示される。ユーザーは、
図4Eに示す表示領域25を見ることによって、
図4Cに示す表示領域25に比べて、切り替え先の操作対象と、当該切り替え先の操作対象に切り替えるために必要なタッチ操作の態様との対応関係を容易に把握することができる。
【0055】
次に、
図5を参照して、超音波画像診断装置100において操作対象の選択を切り替える動作の例を示すフローチャートである。なお、ステップS100の処理は、計測モードにおいて検査画面20の表示領域22に超音波画像が表示されることにより開始する。ここで、検査画面20の表示領域22には超音波画像と共に計測カーソル23および関心領域24が表示されており、ユーザーが操作可能な操作対象として、「関心領域24の位置」が選択されているものとする。
【0056】
まず、操作入力部11は、表示部16の表示画面に対するタッチ操作を検知するタッチパネルを介して、検査画面20のうち超音波画像を表示する表示領域22に対するタッチ操作を入力する(ステップS100)。
【0057】
次に、制御部17は、操作入力部11に入力されたタッチ操作がマルチタッチ操作(2点の同時タッチ操作)であるか否かについて判定する(ステップS120)。判定の結果、入力されたタッチ操作が2点の同時タッチ操作である場合(ステップS120、YES)、制御部17は、操作対象の選択を「関心領域24の位置」から「関心領域24のサイズ」に切り替える(ステップS140)。ステップS140の処理が完了することによって、超音波画像診断装置100は
図5における処理を終了する。
【0058】
一方、入力されたタッチ操作が2点の同時タッチ操作でない場合(ステップS120、NO)、制御部17は、操作入力部11に入力されたタッチ操作がマルチタッチ操作(3点の同時タッチ操作)であるか否かについて判定する(ステップS160)。
【0059】
判定の結果、入力されたタッチ操作が3点の同時タッチ操作である場合(ステップS160、YES)、制御部17は、操作対象の選択を「関心領域24の位置」から「計測カーソル23の位置」に切り替える(ステップS180)。ステップS180の処理が完了することによって、超音波画像診断装置100は
図5における処理を終了する。
【0060】
判定の結果、入力されたタッチ操作が3点の同時タッチ操作でなく、例えばスライドタッチ操作である場合(ステップS160、NO)、制御部17は、操作対象の選択を切り替えることなく、操作対象として選択されている関心領域24の位置を当該スライドタッチ操作の操作態様(操作方向、操作量など)に応じて変更する(ステップS200)。ステップS200の処理が完了することによって、超音波画像診断装置100は
図5における処理を終了する。
【0061】
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、超音波画像診断装置100(操作対象切り替え装置)は、ユーザーが選択して操作可能な操作対象(計測カーソル23、関心領域24)を表示する表示部16と、操作対象の選択の切り替えを指示する専用ではないタッチパネル(操作部)に対するタッチ操作を入力する操作入力部11と、タッチ操作の態様に応じて操作対象の選択を切り替える制御部17(選択切り替え部)とを備える。
【0062】
このように構成した本実施の形態によれば、操作対象の選択の切り替えを指示する専用ではないタッチパネルに対するタッチ操作の態様に応じて、操作対象の選択が切り替えられる。そのため、上記特許文献1に記載の技術のように、操作対象の選択を切り替える際、ユーザーは、画面の左下隅に設けられた操作ボタン(ソフトウェアキー)の位置まで手を移動させる必要がなくなる。すなわち、操作対象の選択を切り替える際の操作時間が減少し、操作性を向上させることができる。また、操作対象の選択の切り替えを指示する専用のソフトウェアキーを所定の位置(例えば、検査画面20上の領域)に設ける必要がなくなる。そのため、超音波画像が表示される表示領域22が小さくなることにより超音波画像の視認性が低下したり、表示領域27に表示される操作ボタン27aが小さくなることにより操作ボタン27aの操作性が低下して操作ミスが発生したりすることを防止することができる。さらに言えば、操作対象の選択の切り替えを指示する専用のハードキーを所定の位置に設ける必要をなくすこともできる。
【0063】
また、本実施の形態では、検査画面20のうち超音波画像を表示する表示領域22に対するタッチ操作の態様に応じて操作対象の選択が切り替えられる。そのため、表示領域27に表示される操作ボタン27a(ソフトウェアキー)が誤って操作された場合に、ユーザーが所望しないにも関わらず、操作対象の選択が誤って切り替えられることを防止することができる。
【0064】
なお、上記実施の形態では、制御部17は、タッチ操作の種類に応じて、切り替え先の操作対象を変更する例について説明したが本発明はこれに限らない。例えば、制御部17は、タッチパネルに対するタッチ操作の位置に応じて切り替え先の操作対象を変更しても良い。
【0065】
また、上記実施の形態では、表示部16の表示画面に対するタッチ操作を検知するタッチパネルが本発明の「操作部」に対応する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、タッチパネルに加え、更に、マウスの代わりに使われるポインティング・デバイスであるトラックパッドにも、本発明の「操作部」と同一の機能を持たせても良い。また、外付けのトラックパッド、タブレット、スマートフォン(有線、無線含む)にも、本発明の「操作部」と同一の機能を持たせても良い。また、表示部16とは異なる表示部(本発明の「第2表示部」として機能)にも、本発明の「操作部」と同一の機能を持たせても良い。要は、本発明の「操作部」に対応するものは、操作対象の選択の切り替えを指示する専用ではない操作部であれば良い。
【0066】
また、上記実施の形態では、ユーザーが選択して操作可能な操作対象として、計測カーソル23および関心領域24を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、操作対象は、計測カーソル23および関心領域24に限らず、ボディマークであっても良い。要は、本発明の「操作対象」に対応するものは、表示部に表示されている画像(文字列画像も含む)でユーザーが操作部を介して操作可能な画像であれば良い。ここで、ボディマークとは、超音波画像データにおいて、被検体の超音波画像取得部位(スキャン部位、観測部位)や、超音波プローブ位置に関する情報を示すためにユーザーが入力するものである。
【0067】
また、上記実施の形態では、超音波画像診断装置100が、本発明の「操作対象切り替え装置」として機能する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、人体内部の情報を収集し、この収集した情報に基づいて人体内部の構造や機能の状態を表す医用画像を生成して表示する医用画像診断装置が、本発明の「操作対象切り替え装置」として機能しても良い。
【0068】
また、上記実施の形態において、超音波画像診断装置100が備える送信部12、受信部13、画像生成部14、制御部17について、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能は、集積回路などのハードウェア回路として実現することができる。集積回路とは、例えばLSI(Large Scale Integration)であり、LSIは集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。また、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能をソフトウェアにより実行するようにしてもよい。この場合、このソフトウェアは一つ又はそれ以上のROMなどの記憶媒体、光ディスク、又はハードディスクなどに記憶されており、このソフトウェアが演算処理器により実行される。
【0069】
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 超音波画像診断装置本体
2 超音波探触子
2a 振動子
3 ケーブル
11 操作入力部
12 送信部
13 受信部
14 画像生成部
15 記憶部
16 表示部
17 制御部
20 検査画面
21,22,25,26,27 表示領域
23 計測カーソル
24 関心領域
27a 操作ボタン
30,31,32 アイコン画像
34,35 操作画像
100 超音波画像診断装置