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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】画像形成システム、および、排出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/32 20060101AFI20231226BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231226BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20231226BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231226BHJP
   B65H 83/02 20060101ALI20231226BHJP
   B65H 31/30 20060101ALI20231226BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65H31/32
H04N1/00 567K
B41J29/42 F
B41J29/00 H
B65H83/02
B65H31/30
G03G15/00 430
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019231009
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021098581
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 宏明
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-043629(JP,A)
【文献】特開2019-214452(JP,A)
【文献】特開2016-037333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/32
H04N 1/00
B41J 29/42
B41J 29/00
B65H 83/02
B65H 31/30
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブに基づいて記録材に画像を印刷する画像形成装置、および、前記画像形成装置により画像が形成された記録材を積載した状態で内部に一時的に収納し、その後に排出するスタッカ装置を備える画像形成システムであって、
前記スタッカ装置は、
取り出し位置に移動可能な排紙トレイと、
前記排紙トレイを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、複数のジョブによって印刷された前記記録材を重ねて載置することが禁止されている場合において、前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、後ジョブが前記スタッカ装置の内部に前記記録材を積載すると設定された後に、前記前ジョブの前記記録材を積載した前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させ、
前記記録材を重ねて載置することの禁止は、前記ジョブに対する積載指示により設定され、
前記積載指示は、前記前ジョブの前記記録材の上に前記後ジョブの前記記録材を重ねることを禁止する後積み禁止、または、前記後ジョブの前記記録材の下に前記前ジョブの前記記録材を重ねることを禁止する前積み禁止である、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記積載指示として、前記後ジョブに設定されている第1の積載指示、および、前記積載指示として、前記前ジョブに設定されている第2の積載指示に基づいて、前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させる、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記前ジョブに前記後積み禁止が設定されている場合、
前記制御部は、前記前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、前記後ジョブが前記スタッカ装置の内部に前記記録材を積載すると設定された後に、前記前ジョブの前記記録材を積載した前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させる、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記前ジョブに前記後積み禁止が設定されていない場合、
前記制御部は、前記前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、前記後ジョブに前記前積み禁止が設定されると共に当該後ジョブが前記スタッカ装置の内部に前記記録材を積載すると設定された後に、前記前ジョブの前記記録材を積載した前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させる、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記後ジョブを命令したユーザと前記後ジョブの後のジョブである特殊ジョブを命令したユーザとが同じであり、前記特殊ジョブに基づいて印刷された記録材の排出先が前記スタッカ装置とは別の排出先である場合、
前記制御部は、前記後ジョブに基づいて印刷された記録材が積載された前記排紙トレイを、前記第1の積載指示に関わらず、前記取り出し位置に移動させることを特徴とする請求項から請求項の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させるか否かを前記ユーザに確認させる確認手段をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1の積載指示が、前記後ジョブの命令時、または、前記後ジョブにおける排出先の選択時、に設定されることを特徴とする請求項から請求項の何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
ジョブに基づいて記録材に画像を印刷する画像形成装置、および、前記画像形成装置により画像が形成された記録材を積載した状態で内部に一時的に収納し、その後に排出するスタッカ装置を備える画像形成システムにおける排出方法であって、
前記スタッカ装置は、
取り出し位置に移動可能な排紙トレイと、
前記排紙トレイを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、複数のジョブによって印刷された前記記録材を重ねて載置することが禁止されている場合において、前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、後ジョブが前記スタッカ装置の内部に前記記録材を積載すると設定された後に、前記前ジョブの前記記録材を積載した前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させるステップを実行し、
前記記録材を重ねて載置することの禁止は、前記ジョブに対する積載指示により設定され、
前記積載指示は、前記前ジョブの前記記録材の上に前記後ジョブの前記記録材を重ねることを禁止する後積み禁止、または、前記後ジョブの前記記録材の下に前記前ジョブの前記記録材を重ねることを禁止する前積み禁止である、
ことを特徴とする排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、および、排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スタッカ装置を備える画像形成システムの開発が進んでいる。例えば、特許文献1には、「情報処理装置から受信するジョブの処理を開始する前に、シートの取り出し処理を実行させるジョブ開始前取り出しが設定されているかを確認して、ジョブ開始前にシートの取り出し処理を実行させることができる仕組みを提供する」ための印刷システム(画像形成システム)として、「シート処理を行う印刷装置と、当該印刷装置にジョブを送信する情報処理装置とを含む印刷システムであって、前記情報処理装置は、前記印刷装置が前記ジョブの処理を開始する前に、シートの取り出し処理を実行させる取出指示を前記ジョブに設定する設定手段と、前記ジョブを前記印刷装置に送信する送信手段と、を備え、前記印刷装置は、排紙されたシートを積載するトレイを所定の取り出し位置へ移動させる取り出し処理を行う排紙手段と、情報処理装置からジョブを受信する受信手段と、前記ジョブの処理を開始する前に、受信したジョブに前記取り出し処理を実行すべき設定がなされているかどうかを判断する判断手段と、受信したジョブに前記取り出し処理を実行すべき設定がなされていると判断されることに応じて、前記排紙手段により前記取り出し処理を実行させるように制御する制御手段と、を備えることを特徴とする印刷システム」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-106553号公報(請求項5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成システムは、用紙積載済みのジョブの次のジョブに対して排出を禁止する後積み禁止をスタッカ装置に設定することができる。後積み禁止により、異なるジョブの用紙が機内(スタッカ装置内)に積載されることを防ぐことができる。
【0005】
特許文献1の発明によれば、後積み禁止が設定された場合、ジョブ終了時に当該ジョブにより積載が完了した用紙が機外に取り出される。このため、特許文献1の発明は、機外に取り出された用紙は、ユーザが回収するまでの間、所定のスペースを占有することになる。特に、印刷開始から積載用紙取り出しまでの工程を自動で実行する機能をスタッカ装置が備えている場合は、スペースの占有期間が長期化する。このような積載用紙によるスペースの占有は、画像形成システムを利用する多数のユーザの妨げになるので極力短時間に済ませることが好ましい。台車を用いて用紙を回収する場合は、台車のためのスペースも占有することになり、この占有も極力短時間に済ませることが好ましい。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明では、機外に排出された積載用紙によるスペース占有の時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の課題は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1):ジョブに基づいて記録材に画像を印刷する画像形成装置、および、前記画像形成装置により画像が形成された記録材を積載した状態で内部に一時的に収納し、その後に排出するスタッカ装置を備える画像形成システムであって、前記スタッカ装置は、取り出し位置に移動可能な排紙トレイと、前記排紙トレイを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、複数のジョブによって印刷された前記記録材を重ねて載置することが禁止されている場合において、前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、後ジョブが前記スタッカ装置の内部に前記記録材を積載すると設定された後に、前記前ジョブの前記記録材を積載した前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させ、前記積載指示は、前記前ジョブの前記記録材の上に前記後ジョブの前記記録材を重ねることを禁止する後積み禁止、または、前記後ジョブの前記記録材の下に前記前ジョブの前記記録材を重ねることを禁止する前積み禁止である、ことを特徴とする画像形成システム。
【0010】
):前記制御部は、前記積載指示として、前記後ジョブに設定されている第1の積載指示、および、前記積載指示として、前記前ジョブに設定されている第2の積載指示に基づいて、前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させる、ことを特徴とする()に記載の画像形成システム。
【0011】
):前記前ジョブに前記後積み禁止が設定されている場合、前記制御部は、前記前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、前記後ジョブが前記スタッカ装置の内部に前記記録材を積載すると設定された後に、前記前ジョブの前記記録材を積載した前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させる、ことを特徴とする()に記載の画像形成システム。
【0012】
):前記前ジョブに前記後積み禁止が設定されていない場合、前記制御部は、前記前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、前記後ジョブに前記前積み禁止が設定されると共に当該後ジョブが前記スタッカ装置の内部に前記記録材を積載すると設定された後に、前記前ジョブの前記記録材を積載した前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させる、ことを特徴とする()に記載の画像形成システム。
【0013】
):前記後ジョブを命令したユーザと前記後ジョブの後のジョブである特殊ジョブを命令したユーザとが同じであり、前記特殊ジョブに基づいて印刷された記録材の排出先が前記スタッカ装置とは別の排出先である場合、前記制御部は、前記後ジョブに基づいて印刷された記録材が積載された前記排紙トレイを、前記第1の積載指示に関わらず、前記取り出し位置に移動させることを特徴とする()から()の何れか1項に記載の画像形成システム。
【0014】
):前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させるか否かを前記ユーザに確認させる確認手段をさらに備えることを特徴とする()に記載の画像形成システム。
【0015】
):前記第1の積載指示が、前記後ジョブの命令時、または、前記後ジョブにおける排出先の選択時、に設定されることを特徴とする()から()の何れか1項に記載の画像形成システム。
【0016】
):ジョブに基づいて記録材に画像を印刷する画像形成装置、および、前記画像形成装置により画像が形成された記録材を積載した状態で内部に一時的に収納し、その後に排出するスタッカ装置を備える画像形成システムにおける排出方法であって、前記スタッカ装置は、取り出し位置に移動可能な排紙トレイと、前記排紙トレイを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、複数のジョブによって印刷された前記記録材を重ねて載置することが禁止されている場合において、前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、後ジョブが前記スタッカ装置の内部に前記記録材を積載すると設定された後に、前記前ジョブの前記記録材を積載した前記排紙トレイを前記取り出し位置に移動させるステップを実行し、前記積載指示は、前記前ジョブの前記記録材の上に前記後ジョブの前記記録材を重ねることを禁止する後積み禁止、または、前記後ジョブの前記記録材の下に前記前ジョブの前記記録材を重ねることを禁止する前積み禁止である、ことを特徴とする排出方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機外に排出された積載用紙によるスペース占有の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の画像形成システムの全体図である。
図2】スタッカ装置の内部構造を示す図であり、(a)が第1トレイの上昇時、(b)が第1トレイの下降時である。
図3】スタッカ装置の正面図である。
図4】スタッカ装置の機能構成図である。
図5】ジョブ管理情報のデータ構造図の例である。
図6】スタッカ装置の動作例であり、(a)が用紙受け入れ開始時、(b)が第1トレイ下降開始時、(c)が第1トレイ下降終了時、(d)が第2トレイ取り出し開始時、(e)が第2トレイ取り出し終了時、(f)が第2トレイ台車移動時である。
図7】取り出し判定マトリクスの例である。
図8】取り出し処理の例を示すフローチャートである。
図9】取り出し確認画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
【0020】
<画像形成システム>
図1に示すように、本実施形態の画像形成システムは、スタッカ装置1と、画像形成装置5と、給紙装置6と、フィニッシャ8とを備えている。
【0021】
スタッカ装置1は、画像形成装置5により画像が形成された用紙を積載した状態で内部に一時的に収納し、その後に排出する装置である。スタッカ装置1は、画像形成装置5の後段に配置され、用紙を受け渡し可能に接続されている。
画像形成装置5は、ユーザの用いるコンソール等の外部から入力された印刷ジョブ(単に、「ジョブ」と呼ぶ場合がある)に基づいて用紙に画像を印刷する画像形成処理を行う装置である。
【0022】
給紙装置6は、画像形成装置5に用紙を給紙する装置である。給紙装置6は、画像形成装置5の前段に配置され、用紙を受け渡し可能に接続されている。
フィニッシャ8は、画像形成装置5によって画像が印刷された用紙を排出する装置である。フィニッシャ8は、スタッカ装置1の後段に配置され、用紙を受け渡し可能に接続されている。フィニッシャ8は、スタッカ装置1とは別の排出先として機能する。
【0023】
<スタッカ装置>
図2(a)、図2(b)に示すように、スタッカ装置1は、排出部16、第1トレイ21、第2トレイ22(排紙トレイ)及びサブトレイ24等を備えている。排出部16は、印刷ジョブに応じて画像が形成された用紙Pを排出先に排出する。排出部16による用紙Pの排出先は、第1トレイ21及びサブトレイ24の何れか一方になる。第1トレイ21は、排出先として、排出部16により排出される用紙Pを積載する。第2トレイ22に対しては、第1トレイ21に積載される用紙Pの受け渡し先であって、用紙Pを機外に自動で取り出す取り出し処理が実行可能である。第2トレイ22は、仮置きトレイ22aと、イジェクトトレイ22bとから構成されている。イジェクトトレイ22bは、ベース部22b1と、取っ手部22b2とから構成されている。サブトレイ24は、第1トレイ21に積載される用紙Pが第2トレイ22に受け渡される動作が実行される場合、排出部16により排出される用紙Pを積載する。第1トレイ21は、第2トレイ22の上方に設けられ、第1トレイ21に積載される用紙Pが第2トレイ22に受け渡される動作が実行される場合、第2トレイ22に向かって下降するものである。
【0024】
なお、筐体11の側面には報知部51及び設定部52が設けられている。報知部51は、例えば、液晶ディスプレイから構成され、第2トレイ22の操作手順を報知する。設定部52は、第2トレイ22により実行可能である取り出し処理を実行するか否かが設定される設定内容を受け付ける。なお、設定部52の詳細については後述する。
【0025】
サブトレイ24は、第1トレイ21の上方且つ筐体11の上部に設けられている。サブトレイ24は、機械の大型化及び複雑化を防ぐため、用紙Pを整列させる機能を有していないが、有していてもよい。サブトレイ24に排出される用紙Pは、第1トレイ21に排出される用紙Pの上に重ねられることを想定しているため、サブトレイ24に積載されている用紙Pをユーザにより移動させるときには、ある程度揃っていることが好ましい。よって、サブトレイ24に排出される用紙Pの枚数は、できるだけ少ないことが好ましい。サブトレイ24に排出される用紙Pの枚数は、用紙Pの坪量又は紙厚に応じて変わるものである。
【0026】
図2(a)は、排出部16により排出される用紙Pの受け入れを開始する位置である用紙受入開始位置が、第1トレイ21の移動範囲のうち最上位置であって、且つ第1トレイ21の最上面に設定され、第1トレイ21及びサブトレイ24の何れにも用紙Pが積載されず、第2トレイ22にも用紙Pが受け渡されていない状態の一例を示す。図2(b)は、第1トレイ21が第2トレイ22への用紙受渡位置に位置し、用紙Pを積載している第1トレイ21が第2トレイ22まで下降した状態の一例を示す。よって、距離L_Aは、用紙受入開始位置から用紙受渡位置までの距離を示す。図2(b)において、用紙Pを第2トレイ22に積載させた積載高さH_Pは、限界積載枚数と、紙厚とに基づき定まるものである。
【0027】
なお、限界積載枚数に対応する用紙Pの積載量は、距離L_Aよりも小さくなるように設定されているが、限界積載枚数を超える印刷ジョブが設定された場合、つまり、積載高さH_Pが限界積載枚数に対応する用紙Pの積載量を超える場合、印刷ジョブの途中でスタッカ装置1の機外に用紙Pの束を排出する制御が実行される。
【0028】
図3に示すように、排出部16は、排出ローラー16Aと、切替部16Bとを備えている。排出ローラー16Aは、用紙Pを排出する。切替部16Bは、排出ローラー16Aの後段側に設けられ、排出ローラー16Aにより排出される用紙Pの排出先を切り替える。シャッター12は、開くことにより第2トレイ22を、筐体11の正面側に設けられている開口部13から機外に移動させることができるので、第2トレイ22に受け渡された用紙Pの束を機外に排出させることが可能となる。具体的には、シャッター12が開いた場合、イジェクトトレイ22bが、仮置きトレイ22aと共に仮置きトレイ22aに仮置きされている用紙Pを機外に排出させる。
【0029】
図4に示すように、スタッカ装置1は、制御部41を備えている。制御部41は、CPU、ASIC、又はファームウェア等並びにメモリから構成され、各種制御が実行される。
【0030】
スタッカ装置1は、用紙受入位置検知センサー61、用紙受渡位置検知センサー62、トレイ排出検知センサー63及びシャッター開閉検知センサー64等を備えている。用紙受入位置検知センサー61は、第1トレイ21の位置が用紙受入位置に配置されているか否かを検知するものであり、用紙受入位置の周囲に配置され、例えば、光電センサーにより構成される。用紙受渡位置検知センサー62は、第1トレイ21の位置が用紙受渡位置に配置されているか否かを検知するものであり、用紙受渡位置の周囲に配置され、例えば、光電センサーにより構成される。トレイ排出検知センサー63は、イジェクトトレイ22bの位置に応じて、第2トレイ22を機外に排出しているか否かを検知するものであり、イジェクトトレイ22bの下方又は周囲に配置され、例えば、光電センサーにより構成される。シャッター開閉検知センサー64は、シャッター12の開閉状態を検知するものであり、開口部13の周囲に設けられ、例えば、光電センサーにより構成される。
【0031】
制御部41は、駆動部42Aを制御する。具体的には、制御部41は、スタッカ装置1の前段側に設けられている装置等による各種制御に基づき、駆動部42Aにより排出部16を制御する。制御部41は、駆動部42Bを制御する。具体的には、制御部41は、用紙受入位置検知センサー61及び用紙受渡位置検知センサー62の検知結果に基づき、第1トレイ21の位置を駆動部42Bにより制御する。制御部41は、例えば駆動モーターから構成される駆動部42Cを制御する。具体的には、制御部41は、トレイ排出検知センサー63の検知結果に基づき、イジェクトトレイ22bの位置を駆動部42Cにより制御することで、第2トレイ22の位置を制御する。つまり、駆動部42Cは、第2トレイ22を機外へ移動させるものである。制御部41は、駆動部42Dを制御する。具体的には、制御部41は、シャッター開閉検知センサー64の検知結果に基づき、シャッター12の位置を駆動部42Dにより制御する。なお、駆動部42A、駆動部42B、駆動部42C及び駆動部42Dを総称する場合、駆動部42と称する。
【0032】
設定部52は、入力部52Aと、出力部52Bとを備えている。入力部52Aは、例えばタッチパネルから構成されている。出力部52Bは、例えば液晶ディスプレイから構成されている。つまり、設定部52は、タッチパネル付き液晶ディスプレイとして機能する。
【0033】
なお、通信部53は、例えばスマートフォン81等又はリモートコントローラーのような機器との通信を行うものである。例えば、スマートフォン81等又はリモートコントローラーのような機器から自動機外排出処理の実行の制御がされてもよい。また、通信部53は、画像形成装置5と通信を行うものである。
【0034】
制御部41は、取り出し部411と、後積み禁止部412と、前積み禁止部413といった機能部を備える。
【0035】
取り出し部411は、第2トレイ22を機外に取り出す取り出し処理を制御する。取り出し部411は、所定の取り出し判定条件に従って取り出し処理を実行するか否かを判定する。取り出し判定条件については後記する。例えば、取り出し部411は、機内に用紙を積載するジョブに取り出し処理を実行する設定が予めなされていた場合、ジョブ実行開始後のユーザからの特別な操作無しで、自動の取り出し処理を実行することができる。また、例えば、取り出し部411は、ジョブ実行を命令したユーザによって、スタッカ装置1に用意されている取り出しボタン(図示せず)が押下されたときに手動の取り出し処理を実行することができる。本実施形態では特に説明がない限り、取り出し処理は、自動の取り出し処理を指すこととする。
【0036】
取り出し処理は、スタッカ装置1内に積載された用紙を取り出すときに第2トレイ22(排紙トレイ)を取り出し位置(機外)に移動するための処理となる。取り出し部411は、所定のジョブ(後ジョブ)に設定されている第1の積載指示、および、所定のジョブの前のジョブ(前ジョブ)に設定されている第2の積載指示に基づいて、取り出し処理を実行する。第1の積載指示、第2の積載指示は、積載指示の具体例である。制御部41は、取り出し部411によって、複数のジョブによって印刷された用紙を重ねて載置することが禁止されている場合において、前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、後ジョブがスタッカ装置1の内部に用紙を積載すると設定された後に、前ジョブの記録材を積載した第2トレイ22を取り出し位置に移動させることができる。複数のジョブによって印刷された用紙を重ねて載置することの禁止は、ジョブに対する積載指示により設定することができる。
【0037】
後積み禁止部412は、スタッカ装置1に用紙を積載するジョブに対して後積み禁止を設定する。後積み禁止は、スタッカ装置1に用紙が積載されたジョブ(前ジョブ)の次のジョブ(後ジョブ)の排出先がスタッカ装置1である場合、前ジョブの積載済みの用紙が機外に取り出されるまでは、後ジョブによるスタッカ装置1への用紙の積載を禁止することである。後積み禁止により、スタッカ装置1内にて、前ジョブの用紙の上に後ジョブの用紙を重ねることを禁止することができる。後積み禁止は、前記した第1の積載指示の構成要素となり得るし、前記した第2の積載指示の構成要素となり得る。
【0038】
前積み禁止部413は、スタッカ装置1に用紙を積載することが予定されるジョブに対して前積み禁止を設定する。前積み禁止は、スタッカ装置1に用紙を積載することが予定されるジョブ(後ジョブ)よりも前のジョブ(前ジョブ)の用紙がスタッカ装置1に積載積みである場合、前ジョブの積載済みの用紙が機外に取り出されるまでは、後ジョブによるスタッカ装置1への用紙の積載を禁止することである。前積み禁止により、後ジョブの用紙の下に前ジョブの用紙を重ねることを禁止することができる。前積み禁止は、前記した第1の積載指示の構成要素となり得るし、前記した第2の積載指示の構成要素となり得る。
【0039】
記憶部43は、RAMなどの記憶領域であり、各種情報を記憶する。記憶部43は、画像形成システムの制御装置の記憶部として機能することができる。記憶部43は、ジョブ管理情報431を記憶している。
【0040】
ジョブ管理情報431は、外部からの命令で、画像形成システムが実行することになるジョブを管理する情報である。ジョブ管理情報431は、ジョブごとに作成される。図5に示すように、ジョブ管理情報431は、「ジョブ番号」、「画像ファイル名」、「ユーザ」、「印刷数」、「用紙サイズ」、「日時」、「排出先」、「取り出し設定フラグ」、「後積み禁止フラグ」、「前積み禁止フラグ」といった項目を有することができるが、有する項目はこれらに限定されない。
【0041】
「ジョブ番号」は、ジョブの識別番号であり、ジョブの生成順序を示す。ジョブ番号は、ジョブの生成順序に従って大きくなる。後ジョブのジョブ番号は、前ジョブのジョブ番号よりも大きい。
【0042】
「画像ファイル名」は、対象のジョブにより印刷する画像の画像データの識別子である。
「ユーザ」は、対象のジョブの実行を命令したユーザの識別子である。
「印刷数」は、対象のジョブの実行により印刷される用紙の枚数である。
「用紙サイズ」は、対象のジョブの実行により印刷される用紙のサイズである。
「日時」は、対象のジョブの実行が命令されたタイミングである。
「排出先」は、対象のジョブを実行して印刷された用紙の排出先である。本実施形態の画像形成システムにおいて、排出先は、スタッカ装置1およびフィニッシャ8の2か所である。
【0043】
「取り出し設定フラグ」は、対象のジョブに取り出し処理が設定されているか否かを示すフラグである。取り出し設定フラグがオンである場合、取り出し部411の取り出し処理が実行され、オフである場合取り出し処理が実行されない。取り出し設定フラグは、排出先がスタッカ装置1であるジョブに対して用意されている。
【0044】
「後積み禁止フラグ」は、対象のジョブに後積み禁止が設定されているか否かを示すフラグである。後積み禁止フラグがオンである場合、後積み禁止部412の後積み禁止が設定され、オフである場合後積み禁止が設定されない。後積み禁止フラグは、排出先がスタッカ装置1であるジョブに対して用意されている。
【0045】
「前積み禁止フラグ」は、対象のジョブに前積み禁止が設定されているか否かを示すフラグである。前積み禁止フラグがオンである場合、前積み禁止部413の前積み禁止が設定され、オフである場合前積み禁止が設定されない。前積み禁止フラグは、排出先がスタッカ装置1であるジョブに対して用意されている。
【0046】
なお、各ジョブに対して、後積み禁止および前積み禁止の少なくとも一方を設定することができる(詳細は、図7参照)。
【0047】
<動作例>
スタッカ装置1による用紙積載の動作例は、図6(a)~図6(f)に示すようになる。図6(a)では、第1トレイ21が、排出部16により排出される用紙Pの受け入れを開始する用紙受入開始位置に配置されている。この場合、第1トレイ21は、排出部16により排出される用紙Pの積載を用紙受入開始位置から開始するものである。よって、排出部16による用紙Pの排出先は、第1トレイ21に設定される。
【0048】
図6(b)では、第1トレイ21の下降が開始されている。第1トレイ21は、排出部16による用紙Pの排出先がサブトレイ24に切り替えられる場合、第2トレイ22に向かって下降するものであるが、そのタイミングは、途切れることなく生産性を維持するためには、積載高さH_P(図2)及びトレイ移動時間を考慮する必要がある。具体的には、第1トレイ21は、排出部16により排出される用紙Pが閾値積載量に達するタイミングと、用紙受入開始位置から離れてから戻るまでに要するトレイ移動時間と、に基づき、第2トレイ22に向かって下降するタイミングが設定される。このようなタイミングは、排出部16により排出される用紙Pの坪量又は紙厚に応じて、調整される。なお、排出部16により排出される用紙Pが閾値積載量に達することがなければ、ジョブの終了するタイミングと、用紙受入開始位置から離れてから戻るまでに要する時間と、に基づき、第1トレイ21が第2トレイ22に向かって下降するタイミングが設定されればよい。
【0049】
図6(c)では、第1トレイ21が用紙受渡位置に到達している。なお、第1トレイ21及び第2トレイ22のそれぞれの構造は、例えば櫛歯状に構成されている。このような構成により、第1トレイ21に積載されている用紙Pの束をそのまま第2トレイ22に受け渡すことができる。
【0050】
図6(d)では、シャッター12が上に移動することで、開口部13が開放され、仮置きトレイ22aに仮置きされている用紙Pがイジェクトトレイ22bによりスタッカ装置1の機外に排出される。この結果、第2トレイ22に受け渡されている用紙P_1が機外に排出されることになる。
【0051】
図6(e)では、シャッター12が途中まで下がることで、開口部13の一部が閉じられると共に、第1トレイ21は用紙受入開始位置まで戻る。このように、第1トレイ21が用紙受入開始位置まで戻り、且つ用紙受入位置に配置される場合、排出部16は、サブトレイ24への排出を停止し、且つ排出先を第1トレイ21に切り替える。つまり、排出部16は、第1トレイ21が第2トレイ22への受け渡しにより用紙受入開始位置から離れてから戻るまでの間、排出先をサブトレイ24に設定する。図6(f)では、第2トレイ22が台車3に移された状態となっている。
【0052】
<取り出し判定>
取り出し部411による取り出し処理を制御する取り出し判定条件は、2つのジョブに対する後積み禁止および前積み禁止の組み合わせで決定される。取り出し判定条件をまとめたマトリクスを図7に示す。図7中、「前ジョブ」は、2つのジョブのうちジョブ番号が小さいほうのジョブである。「後ジョブ」は、2つのジョブのうちジョブ番号が大きいほうのジョブである。説明の便宜上、対象とする2つのジョブの取り出し設定フラグはオンであるとする。
【0053】
図7中、「〇」は、「後積み禁止」または「前積み禁止」が設定されていることを示す。また、「×」は、「後積み禁止」または「前積み禁止」が設定されていないことを示す。また、図7中、「取り出し処理」の項目において、「あり」は、取り出し部411による取り出し処理を実行することを示し、「なし」は、取り出し部411による取り出し処理を実行しないことを示す。
【0054】
例えば、図7のマトリクスの8行目のパターン(P1)は、前ジョブに対して後積み禁止が設定される(〇)が前積み禁止は設定されない(×)、かつ、後ジョブに対して後積み禁止が設定されない(×)が前積み禁止は設定される(〇)、である。パターン(P1)によれば、前ジョブの積載用紙に後ジョブの用紙が積載されることを許容せず、かつ、後ジョブの積載予定の用紙が前ジョブの積載用紙に積載されることを許容しない。したがって、取り出し判定条件は充足することとなり、取り出し部411は、前ジョブの用紙と後ジョブの用紙とが機内で積載されることを回避すべく、取り出し処理を実行する(「あり」)。
【0055】
また、例えば、図7のマトリクスの9行目のパターン(P2)は、前ジョブに対して後積み禁止が設定されない(×)が前積み禁止は設定される(〇)、かつ、後ジョブに対して後積み禁止が設定される(〇)が前積み禁止は設定されない(×)、である。パターン(P2)によれば、前ジョブの積載用紙に後ジョブの用紙が積載されることを許容し、かつ、後ジョブの積載予定の用紙が前ジョブの積載用紙に積載されることを許容する。したがって、取り出し判定条件は充足しないこととなり、取り出し部411は、取り出し処理を実行しない(「なし」)。その結果、前ジョブの用紙と後ジョブの用紙とが機内で積載され、用紙を機内に留めておくことができる。つまり、機外に取り出された積載用紙によるスペース占有の時間は短縮される。
【0056】
前ジョブに後積み禁止が設定されている場合、制御部41は、取り出し部411によって、前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、後ジョブがスタッカ装置1の内部に用紙を積載すると設定された後に、前ジョブの用紙を積載した第2トレイ22を取り出し位置に移動させることができる。
【0057】
前ジョブに前記後積み禁止が設定されていない場合、制御部41は、取り出し部411によって、前ジョブに基づく印刷が終了し、かつ、後ジョブに前積み禁止が設定されると共に当該後ジョブがスタッカ装置1の内部に用紙を積載すると設定された後に、前ジョブの用紙を積載した第2トレイ22を取り出し位置に移動させることができる。
【0058】
<処理>
図8に示すように、スタッカ装置1の制御部41は、外部から受信したジョブに対して以下の処理を行う。なお、説明の便宜上、排出先がスタッカ装置1となっているジョブの取り出し設定フラグはオンであるとする。
【0059】
まず、制御部41は、ジョブ管理情報431を参照して、受信したジョブの排出先がスタッカ装置1であるか否かを判定する(ステップS1)。受信したジョブの排出先がスタッカ装置1である場合(ステップS1でYes)、制御部41は、受信したジョブが取り出し判定条件を充足するか否かを判定する(ステップS2)。ここで、受信したジョブが取り出し判定条件を充足するとは、図7を参照すれば、受信したジョブが「前ジョブ」に該当する場合であっても「後ジョブ」に該当する場合であっても、前ジョブに対して後積み禁止が設定されていること、または、後ジョブに対して前積み禁止が設定されていることを意味する。
【0060】
取り出し判定条件を充足する場合(ステップS2でYes)、制御部41は、取り出し部411によって、取り出し処理を実行する(ステップS3)。具体的には、受信したジョブが前ジョブに該当する場合、受信したジョブに対する用紙は、画像が印刷され、スタッカ装置1内に積載されているため、その積載用紙を機外に取り出す。その後、受信したジョブの後ジョブについて印刷を開始する(ステップS4)。また、受信したジョブが後ジョブに該当する場合、前ジョブに対する用紙は、画像が印刷され、スタッカ装置1内に積載されているため、その積載用紙を機外に取り出す。その後、受信したジョブについて印刷を開始する(ステップS4)。その結果、異なるジョブ同士の用紙が積載されることを回避することができる。
【0061】
一方、取り出し判定条件を充足しない場合(ステップS2でNo)、制御部41は、取り出し処理をすることなく、印刷を開始する(ステップS4)。具体的には、受信したジョブが前ジョブに該当する場合、受信したジョブに対する用紙は、画像が印刷され、スタッカ装置1内に積載済みであるため、後ジョブの印刷を開始し、後ジョブの用紙が、スタッカ装置1内の前ジョブ(受信したジョブ)の積載用紙に積載される。また、受信したジョブが後ジョブに該当する場合、前ジョブに対する用紙は、画像が印刷され、スタッカ装置1内に積載されているため、後ジョブ(受信したジョブ)の印刷を開始し、後ジョブの用紙が、スタッカ装置1内の前ジョブの積載用紙に積載される。その結果、機外に取り出された積載用紙によるスペース占有を回避することができる。
【0062】
また、受信したジョブの排出先がスタッカ装置1でない場合(ステップS1でNo)、本実施形態では、受信したジョブの排出先は、フィニッシャ8(別の排出先)となる。この場合、制御部41は、ジョブ管理情報431を参照して、受信したジョブを命令したユーザが、受信したジョブ(特殊ジョブ)の前ジョブを命令したユーザと同じであるか否かを判定する(ステップS5)。同じである場合(ステップS5でYes)、制御部41は、ジョブ管理情報431を参照して、受信したジョブの前ジョブの排出先がスタッカ装置1であるか否かを判定する(ステップS6)。前ジョブの排出先がスタッカ装置1である場合(ステップS6でYes)、制御部41は、前ジョブを命令したユーザ(受信したジョブを命令したユーザでもある)から、前ジョブに対する取り出し処理の指示があったか否かを判定する(ステップS7)。なお、取り出し処理の指示の有無は、例えば、図9に示すように、設定部52(確認手段の例)にて、第2トレイ22を取り出し位置に移動するか否かをユーザに確認させる画面を表示し、画面(「はい」「いいえ」)へのタッチを以て判定することができる。
【0063】
取り出し処理の指示があった場合(ステップS7でYes)、制御部41は、取り出し部411によって、前ジョブに対して取り出し処理を実行する(ステップS3)。具体的には、受信したジョブが後ジョブに該当しており、前ジョブに対する用紙は、画像が印刷され、スタッカ装置1内に積載されているため、その積載用紙を機外に取り出す。その後、受信したジョブについて印刷を開始する(ステップS4)。その結果、受信したジョブについて印刷された用紙がフィニッシャ8から排出される。
【0064】
排出先をフィニッシャ8に選択したユーザは、受信したジョブの命令直後にフィニッシャ8から排出された用紙を取りにくることが想定される。このため、ユーザは、取り出し処理直後のスタッカ装置1に必然的に近づくことになる。ユーザは、フィニッシャ8からの用紙の回収とともに、スタッカ装置1の機外に取り出された積載用紙を、台車等を用いて併せて運び出すことができる。結果的に、フィニッシャ8からの排出を契機にして、機外に取り出された積載用紙によるスペース占有の期間をより短縮できるという効果を奏する。
【0065】
受信したジョブを命令したユーザが、受信したジョブの前ジョブを命令したユーザと同じでない場合(ステップS5でNo)、受信したジョブの前ジョブの排出先がスタッカ装置1でない場合(ステップS6でNo)、前ジョブに対する取り出し処理の指示がない場合(つまり、取り出し処理をしないとする指示があった場合)(ステップS7でNo)、フィニッシャ8からの排出を契機にした上記効果を奏する条件が揃わないことを意味する。このため、制御部41は、受信したジョブの印刷を開始する(ステップS4)。
【0066】
図8の処理は、例えば、外部からジョブの命令があった時に開始することができる。ジョブの命令は、例えば、外部での印刷開始ボタン(図示せず)が押されたときに開始する。よって、ジョブの命令時に後積み禁止や前積み禁止を設定することができる。
【0067】
また、図8の処理は、例えば、連続してジョブが投入されていた場合、実行開始したジョブのジョブ名を表示する表示手段(例えば、スタッカ装置1の設定部52、遠隔のPCのディスプレイ)にて、ジョブ名の表示が変更された時に開始することができる。よって、ジョブ名の表示変更時に後積み禁止や前積み禁止を設定することができる。
【0068】
また、図8の処理は、例えば、ジョブの命令前であっても、外部で排出先が選択された時に開始することができる。排出先は、例えば、外部での印刷プロパティを決定する段階で選択される。よって、排出先の選択時に後積み禁止や前積み禁止を設定することができる。
以上で、図8の処理が終了する。
【0069】
<まとめ>
本実施形態によれば、スタッカ装置1内に積載されている用紙は、異なるジョブ同士の用紙積載の禁止ルールに従う範囲内で、スタッカ装置1内に留められることになる。
したがって、機外に排出された積載用紙によるスペース占有の時間を短縮することができる。
【0070】
また、用紙積載の禁止ルールがジョブごとに設定することで、スタッカ装置1の制御を容易にすることができ、後積み禁止および前積み禁止に応じて、機外に取り出された積載用紙によるスペース占有の時間を短縮することができる。
【0071】
また、ジョブごとの積載指示を組み合わせることで、スタッカ装置1の制御を容易にすることができる。
【0072】
また、前ジョブに後積み禁止が設定されている場合において、機外に排出された積載用紙によるスペース占有の時間を短縮することができる。
【0073】
また、前ジョブに後積み禁止が設定されていない場合において、機外に排出された積載用紙によるスペース占有の時間を短縮することができる。
【0074】
また、別の排出先からの排出を契機にして、機外に取り出された積載用紙によるスペース占有の期間をより短縮できる。
【0075】
また、積載用紙の機外への取り出しをユーザに確認させることができるため、積載用紙の回収に関する利便性を向上させることができる。
【0076】
また、ジョブに対する積載指示のタイミングを自在にすることができる。
【0077】
<変形例>
(a):スタッカ装置1に積載される物は、用紙に限らず、ラミネートフィルムや布などの記録材でもよい。
【0078】
(b):スタッカ装置1とは別の排出先は、フィニッシャ8に限られず、例えば、画像形成システムが複数台のスタッカ装置を備える場合は、2台目以降のスタッカ装置でもよい。また、画像形成システムが複数台のフィニッシャを備える場合は、2台目以降のフィニッシャでもよい。
【0079】
(c):前ジョブに対する取り出し処理の指示があったか否かの判定(図8のステップS7)は省略することができる。この場合、取り出し部411による取り出し処理(図8のステップS3)は前ジョブのジョブ管理情報431の取り出し設定フラグ(図5)に従う。また、前ジョブに対する取り出し処理の指示の確認は、設定部52による確認画面の表示に限られない。
【0080】
(d):スタッカ装置1内の残収容枚数が所定数以下の場合、取り出し部411は、後積み禁止の設定や前積み禁止の設定に関わらず、取り出し処理を実行してもよい。また、例えば、設定部52にて、スタッカ装置1内の残収容枚数が所定数以下の場合、取り出し処理を実行するか否かの確認画面を表示し、ユーザに選択させるようにしてもよい。
【0081】
(e):制御部41は、スタッカ装置1の制御装置として機能してもよいが、画像形成装置5の制御装置として機能することもできるし、画像形成システムの制御装置として機能することもできる。
【0082】
(f):本実施形態では、後積み禁止、前積み禁止などの用紙積載に関する禁止ルールは、ジョブに対して設定したが、これに限られず、ユーザに対する設定や、記録材の種類に対する設定など、異なる基準に対して設定してもよい。
【0083】
(g):本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
【符号の説明】
【0084】
1 スタッカ装置
5 画像形成装置
6 給紙装置
8 フィニッシャ
21 第1トレイ
22 第2トレイ(排紙トレイ)
41 制御部
43 記憶部
52 設定部
411 取り出し部
412 後積み禁止部
413 前積み禁止部
431 ジョブ管理情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9