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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/29 20060101AFI20231226BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20231226BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65G47/29 Z
B25J13/00 A
B65G47/14 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019237680
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021104885
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰仁
(72)【発明者】
【氏名】土井 達也
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-095282(JP,A)
【文献】実開昭61-046931(JP,U)
【文献】特開昭64-028120(JP,A)
【文献】特開平04-081601(JP,A)
【文献】特開2001-048323(JP,A)
【文献】特開2010-202291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/29
B25J 13/00
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材で成形されて底部上に複数の物品を並べて収容する搬出容器を搬送する搬送路と、
前記搬送路にて搬送される前記搬出容器に外部から物品を移送して収容する移送部と、を備えた搬送装置であって、
前記搬送路は、前記移送部が前記物品を移送する位置に前記搬出容器を位置決めする位置決め部を備え、
前記位置決め部は、前記搬出容器を、前記搬送路が延出する搬送方向にて位置決めする搬送方向位置決め部と、前記搬送路の幅方向にて位置決めする幅方向位置決め部とを有し、
前記幅方向位置決め部は、前記搬送路の前記幅方向一方側に設けられ、前記搬出容器と接触する幅方向基準部と、該幅方向基準部に前記搬出容器を押し付ける押し付け部と、を備え
前記搬送方向位置決め部は、前記搬出容器の前記搬送方向前端側に接触する位置と非接触になる位置との間で変位するストッパと、
前記搬出容器の前記搬送方向後端側を該搬送方向前方に押圧する方向に回転可能な回転体とを備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記幅方向位置決め部は、前記搬送路上で搬送される前記搬出容器を前記幅方向基準部と前記押し付け部との間に収まる位置に案内するガイド部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記押し付け部は、前記ガイド部を含んで構成され、該ガイド部を前記幅方向へ動作して前記搬出容器を前記幅方向基準部に押し付けることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送方向位置決め部は、前記回転体の回転角度を検出する角度検出部を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記幅方向位置決め部は、前記押し付け部における前記幅方向への動作量を検出する動作量検出部を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記移送部で前記搬出容器に移送するための物品を収容した元容器を搬送する元容器用搬送路を更に備え、
前記元容器用搬送路は、前記搬送路と異なる方向に延出して立体的に交差され、該交差する位置及びその周りにて前記移送部が物品を移送することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、特に、物品を容器に収容して搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の容器に収容された物品を移送して他の容器に収容し、該他の容器を搬送する装置として、例えば、特許文献1に開示される搬送装置が提案されている。特許文献1の搬送装置は、物品が収容された供給用容器を持ち上げるリフタと、搬出用容器を搬送する搬送コンベアとを備えている。
【0003】
また、特許文献1の搬送装置は、リフタと搬送コンベアとの間に移送手段を備えている。移送手段は、リフタと搬送コンベアとの間に設けられるコンベアと、コンベアのリフタ側に設けられて供給用容器内の物品を吸着する吸着手段と、コンベアの搬送コンベア側に設けられてコンベア上の物品を吸着する吸着手段とを備えている。このような搬送装置では、移送手段の後者の吸着手段によって、コンベア上の物品を吸着保持する。そして、かかる吸着保持した物品を搬送コンベア上の搬出容器の上方まで移動してから、後者の吸着手段及び物品を下降することで搬出容器に物品が収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-181869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、底部上に複数の物品を並べて収容する搬出用容器においては、物品の平面サイズに応じて大型になり、また、樹脂材による成形品とされる場合がある。かかる搬出用容器では、成形誤差が発生し易くなる他、再利用のために洗浄、乾燥の工程が繰り返し行われたり直射日光を受けたりすることで、規定のサイズに対して変形し易くなる。このため、搬出コンベアでの移動及びその停止によって搬出用容器を位置決めしても、該位置決めを精度良く維持することが困難となる。その結果、物品を移送して収容する際、搬出用容器の側壁に物品が接触し、収容不能となったり物品が傾いて収容されたり物品が移送中に損傷したりする等、移送不良が発生し易くなる、という問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、搬出容器へ物品を安定して良好に移送することができる搬送装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における一態様の搬送装置は、樹脂材で成形されて底部上に複数の物品を並べて収容する搬出容器を搬送する搬送路と、前記搬送路にて搬送される前記搬出容器に外部から物品を移送して収容する移送部と、を備えた搬送装置であって、前記搬送路は、前記移送部が前記物品を移送する位置に前記搬出容器を位置決めする位置決め部を備え、前記位置決め部は、前記搬出容器を、前記搬送路が延出する搬送方向にて位置決めする搬送方向位置決め部と、前記搬送路の幅方向にて位置決めする幅方向位置決め部とを有し、前記幅方向位置決め部は、前記搬送路の前記幅方向一方側に設けられ、前記搬出容器と接触する幅方向基準部と、該幅方向基準部に前記搬出容器を押し付ける押し付け部と、を備え、前記搬送方向位置決め部は、前記搬出容器の前記搬送方向前端側に接触する位置と非接触になる位置との間で変位するストッパと、前記搬出容器の前記搬送方向後端側を該搬送方向前方に押圧する方向に回転可能な回転体とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送方向位置決め部によって搬出容器を搬送方向にて位置決めしつつ、幅方向位置決め部の押し付け部によって幅方向基準部に搬出容器を押し付けて幅方向での位置決めを行うことができる。また、押し付け部を搬送路の幅方向に動作可能に設けて幅方向基準部との距離を調整でき、搬出容器の幅方向サイズが大きくなる変形等が生じても、搬送路による搬送によって幅方向基準部と押し付け部との間に搬出容器を安定して搬送可能となる。従って、例えば、搬出容器の大きさや樹脂材で成形されることで形状誤差や変形等が生じ易い場合でも、搬送及び幅方向の2方向にて搬出容器の位置決めを行えるので、位置決め部による搬出容器の位置決め精度を向上することができる。この結果、移送部による物品の移送中に搬出容器の側壁に物品が接触する等の移送不良を防止でき、物品が安定して良好に収容されるように移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の搬送装置における基本構成の概略斜視図である。
図2図1の右側面図である。
図3図1の正面図である。
図4】段ばらし部を省略した図1の左側面図である。
図5図1の平面図である。
図6】幅方向位置決め部を含む出荷番重搬送部を模式的に示した平面図である。
図7】製品番重位置決め部を含む製品番重搬送部を模式的に示した平面図である。
図8】出荷番重の位置決め要領の説明図である。
図9】変形例に係る幅方向位置決め部を示した図6と同様の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各図において矢印で示した方向を基準として用いる。但し、以下の実施の形態での各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
【0011】
以下においては、先ず、実施の形態の搬送装置における基本構成について図1から図5を参照して説明し、その後、該搬送装置の特徴的な構成について説明する。但し、以下に説明する基本構成が本発明の特徴的な構成となることを妨げるものでない。なお、図1から図5では、該搬送装置の特徴的な構成についての図示を省略する。
【0012】
図1は、実施の形態の搬送装置における基本構成の概略斜視図である。図1に示すように、搬送装置1は、元容器としての製品番重T1が多段に重ねて搬入される段ばらし部2と、段ばらし部2から供給される製品番重T1を右から左方向に搬送する製品番重搬送部3とを備えている。また、搬送装置1は、搬出容器としての出荷番重T2を後から前方へ搬送する出荷番重搬送部4と、物品Wを保持して移送可能な移送部5と、物品Wを検出するための検出部6とを備えている。
【0013】
特に限定されるものでないが、本実施の形態では、搬送対象となる物品Wを、弁当や惣菜等の調理品が収容された容器とし、利用者の把持等によって変形が生じる可撓性を有するものとする。かかる容器としては、薄厚の樹脂成形品とすることが例示できる。また、段ばらし部2に搬入される製品番重T1には、物品Wが3箇所位置に2段ずつ重ねて収容されている。
【0014】
本実施の形態において、製品番重T1及び出荷番重T2は、同一形態に形成されており、底壁(底部)及び周壁を備えて上部を開放する形状に設けられている。また、本実施の形態では、搬送装置1において、製品番重T1及び出荷番重T2は、上から見て短辺及び長辺を有する概略長方形状に形成され、各番重T1、T2の短辺が前後方向と平行に、長辺が左右方向と平行に配設されている。各番重T1、T2は、物品Wが底壁上に左右及び前後方向に複数列並んだ状態で収容可能な大きさに設けられ、本実施の形態では、樹脂材によって射出成形される成形品とされる。
【0015】
図2は、図1の右側面図であり、図3は、図1の正面図である。段ばらし部2は、不図示の筐体によって囲われ、該筐体の右側(図2の紙面手前側)には不図示の搬入扉が設けられる。図1に加え、図2及び図3にも示すように、段ばらし部2は、製品番重T1が複数段積みされて配置される上昇分離機構21と、上昇分離機構21の下方に配設されたセット用台車22及びコンベア23とを備えている。セット用台車22は床面(不図示)を走行し、コンベア23は床面より若干上方に離れた位置に配設され、セット用台車22によって搬送装置1の外部から複数段積みされた製品番重T1がコンベア23上に運搬される。なお、コンベア23の左側には、製品番重T1を上昇分離機構21に受け渡した後のセット用台車22を右側に押し込むプッシャ(不図示)を設置してもよい。
【0016】
上昇分離機構21では、セット用台車22に複数段積みされた製品番重T1全てを保持してからコンベア23上に載置する。そして、上昇分離機構21は、コンベア23上に段積みされた製品番重T1のうち、最下段の製品番重T1から1段ずつばらして製品番重搬送部3に供給可能に構成される。なお、各図面において、上昇分離機構21は、簡略化して図示しており、詳細な構成の図示、説明は省略する。
【0017】
製品番重搬送部3は、上部に製品番重T1が載置されて左右方向に延出する製品番重コンベア(元容器用搬送路)31と、製品番重コンベア31と段ばらし部2との間に設けられたリフタ搬送機構32とを備えている。製品番重コンベア31は、不図示の筐体やフレームによって床面から所定距離離れた高さ位置に支持される。製品番重コンベア31は、延出方向となる右から左に向かう方向に製品番重T1を搬送するよう駆動され、かかる方向が製品番重コンベア31での搬送方向に設定される。
【0018】
製品番重コンベア31の搬送方向は、製品番重T1の長辺の延出方向と平行に設定される。言い換えると、製品番重コンベア31の幅(前後幅)は製品番重T1の短辺長さより若干大きく形成され、製品番重コンベア31の搬送方向と製品番重T1の長辺の延出方向とが揃うように製品番重T1が載置及び搬送される。
【0019】
製品番重コンベア31は、その右端側が仕分元位置31Aとされる。仕分元位置31Aは、各図面にて図示した製品番重T1のうち、括弧書きで符号「31A」を併記した製品番重T1の位置とされる。製品番重コンベア31は、仕分元位置31Aに製品番重T1が搬送された状態で駆動停止すると共に後述する製品番重位置決め部37によって製品番重T1を仕分元位置31Aに位置決め可能に設けられる。
【0020】
リフタ搬送機構32は、製品番重T1が載置されるリフタ用コンベア34と、リフタ用コンベア34を昇降させるシリンダ35と、シリンダ35におけるロッド35aの先端とリフタ用コンベア34とを連結する連結体36とを備えている。リフタ搬送機構32は、シリンダ35の駆動によってリフタ用コンベア34を昇降させる。かかる昇降におけるリフタ用コンベア34の上限位置は、製品番重コンベア31と同一高さとされ、下限位置(図1、3にて二点鎖線で図示)は段ばらし部2のコンベア23と同一高さとされる。従って、段ばらし部2のコンベア23から下限位置のリフタ用コンベア34に製品番重T1を左方向に搬送することができる。かかる搬送後、リフタ用コンベア34及び製品番重T1を上限位置に上昇し、リフタ用コンベア34から製品番重コンベア31に製品番重T1を左方向に搬送することができる。
【0021】
なお、製品番重コンベア31の下流側となる左端側に搬送された製品番重T1は、不図示の回収機構や作業者によって回収される。
【0022】
図4は、段ばらし部を省略した図1の左側面図である。図1及び2に加え、図4に示すように、出荷番重搬送部4は、上部に出荷番重T2が載置されて所定方向となる前後方向に延出する出荷番重コンベア(搬送路)41を備えている。出荷番重コンベア41は、本実施の形態では延出方向に3分割された構造とされる。また、出荷番重コンベア41は、不図示の筐体やフレームによって床面から所定距離離れた高さ位置であって、図4に加えて図1及び図3にも示すように、製品番重コンベア31より下方に配設される。言い換えると、製品番重コンベア31が出荷番重コンベア41の上方にて立体的に配設される。
【0023】
図5は、図1の平面図である。図4及び図5に示すように、出荷番重コンベア41は、延出方向となる後ろから前に向かう方向に出荷番重T2を搬送するよう駆動され、かかる方向が出荷番重コンベア41での搬送方向に設定される。また、出荷番重コンベア41の延出方向及び搬送方向と製品番重コンベア31の延出方向及び搬送方向とは、上方から見て概略直交する方向に交差するよう異なって配設されている。しかも、製品番重コンベア31及び出荷番重コンベア41は異なる高さとして立体的に配設されるので、それらは立体的に交差する位置に配設される。
【0024】
出荷番重コンベア41の搬送方向は、出荷番重T2の短辺の延出方向と平行に設定される。言い換えると、出荷番重コンベア41の幅(左右幅)は出荷番重T2の長辺長さに対して若干異なる大きさに形成され、出荷番重コンベア41の搬送方向と出荷番重T2の短辺の延出方向とが揃うように出荷番重T2が載置及び搬送される。製品番重コンベア31で搬送される製品番重T1及び出荷番重コンベア41で搬送される出荷番重T2の上から見た向きは同一とされる(図5参照)。
【0025】
ここで、製品番重コンベア31の上述した仕分元位置31Aは、製品番重コンベア31における出荷番重コンベア41との交差位置とされる。また、出荷番重コンベア41にて、仕分元位置31Aに対し搬送方向前方に隣り合う位置が仕分先位置41Aとされ、該仕分先位置41Aに対し搬送方向後方に所定間隔を隔てて隣り合う位置が待機位置41B(図1及び図4参照)とされる。各図面にて図示した出荷番重T2のうち、仕分先位置41Aは括弧書きで符号「41A」を併記した出荷番重T2の位置とされ、待機位置41Bは括弧書きで符号「41B」を併記した出荷番重T2の位置とされる。出荷番重コンベア41は、仕分先位置41Aに出荷番重T2が搬送された状態で駆動停止すると共に後述する幅方向位置決め部42及び搬送方向位置決め部43によって出荷番重T2を仕分先位置41Aに位置決め可能に設けられる。
【0026】
なお、出荷番重コンベア41の上流側となる前端側では、不図示の供給機構や作業者によって出荷番重T2が供給され、下流側となる後端側では、不図示の回収機構や作業者によって出荷番重T2が回収される。また、出荷番重コンベア41を搬送方向に延長し、他の搬送装置1を併設して設けてもよい。
【0027】
移送部5は、本実施の形態では2台設けられ、図示省略したが床面上に設置されるベースによって支持される。2台の移送部5は、出荷番重コンベア41における仕分先位置41Aの左右両側であって、製品番重コンベア31の前方近傍に配設される。よって、2台の移送部5は、仕分先位置41A及び仕分元位置31Aの両方に対して近傍となる位置に配設される。
【0028】
移送部5は、物品Wを上方から保持する保持部51と、保持部51を直交三軸方向及び回転方向に移動する移動機構52とを備えている。保持部51は、物品Wを保持できる限りにおいて、種々の構成を採用でき、物品Wの上面を吸着する機構や、物品Wを挟んで把持する機構等が例示できる。移動機構52は、複数のリンクを連結したアームを有する6軸多関節ロボットで構成されるが、シリンダや直動モータ、リニアモータ、送りねじ構造等を組み合わせた機構としてもよい。
【0029】
移送部5は、保持部51で物品Wを保持してから移動機構52を駆動することで、物品Wを移送可能に設けられる。具体的には、製品番重コンベア31にて搬送されて仕分元位置31Aに位置する製品番重T1から、出荷番重コンベア41にて搬送されて仕分先位置41Aに位置する出荷番重T2へ物品Wを移送して収容可能とされる(図4の太線矢印参照)。ここで、出荷番重T2から見て製品番重T1は外部とされる。従って、移送部5は、製品番重コンベア31と出荷番重コンベア41とが立体的に交差する位置(仕分元位置31A)及びその周り(仕分先位置41A)にて物品Wを移送することができる。
【0030】
検出部6は、カメラ等の撮像手段によってそれぞれ構成される収容状態検出部61及び保持状態検出部62を備えている。収容状態検出部61は、不図示の筐体やフレームによって仕分元位置31Aの上方に支持される。収容状態検出部61は、仕分元位置31Aの製品番重T1に収容された物品Wを撮像し、その物品Wの収容数及び収容位置を取得するための撮像データを出力する。
【0031】
保持状態検出部62においても不図示の筐体やフレームによって支持される。保持状態検出部62は、前後方向において仕分元位置31Aと仕分先位置41Aとの間に配設され(図5参照)、上下方向においても仕分元位置31Aと仕分先位置41Aとの間に配設される(図4参照)。保持状態検出部62は、移送部5による移送にて仕分元位置31Aと仕分先位置41Aとの間を通過中の物品Wを下方から撮像し、その物品Wの向きや姿勢を取得するための撮像データを出力する。
【0032】
続いて、実施の形態に係る搬送装置の特徴的な構成について図6及び図7を参照して説明する。図6は、幅方向位置決め部を含む出荷番重搬送部を模式的に示した平面図である。図1から図5においては図示省略したが、図6に示すように、出荷番重搬送部4は、出荷番重コンベア41の上方に設けられる幅方向位置決め部42を備えている。出荷番重搬送部4において、出荷番重コンベア41の延出方向となる搬送方向(前後方向)に対し、上から見て直交する方向が幅方向とされ、該幅方向は左右方向と同一方向とされる。
【0033】
幅方向位置決め部42は、出荷番重コンベア41上となる仕分先位置41Aにて、搬送される出荷番重T2を左右方向にて位置決め可能に設けられる。幅方向位置決め部42は、仕分先位置41Aの右側(幅方向一方側)に設けられた幅方向基準部42aと、仕分先位置41Aの左側(幅方向他方側)にて幅方向基準部42aと対向して設けられた押し付け部42b及びガイド部42cとを備えている。
【0034】
幅方向基準部42aは、仕分先位置41Aの出荷番重T2における右側外周面に接触可能な位置に設けられている。幅方向基準部42aは、前後方向と平行に延出する直行部42a1と、直行部42a1の後端に連なって後方に向かう従って右側に傾斜する斜行部42a2とを備えている。幅方向基準部42aは、仕分先位置41Aにおける出荷番重T2の右側外周面が接触することで、該出荷番重T2の左右方向位置が基準位置における左右方向位置と一致するようになる。ここで、「基準位置」は、移送部5による出荷番重T2への物品Wの移送にて、物品Wを正常且つ一定して保持及び移送するために出荷番重T2が配置されるべき位置とする。
【0035】
押し付け部42bは、シリンダ42b1と、シリンダ42b1のロッド先端に設けられた押圧体42b2とを備えている。押し付け部42bは、シリンダ42b1の駆動によって押圧体42b2を左右方向に動作させ、かかる動作で仕分先位置41Aの出荷番重T2を幅方向基準部42aに押し付け可能に設けられる。
【0036】
ここで、幅方向位置決め部42は、押し付け部42bにおける押圧体42b2の左右方向の動作量を検出する動作量検出部42dを備えている。動作量検出部42dは、シリンダ42b1のロッドの進退量を検出するセンサとしたり、押し付け部42bとの離間距離を測定するセンサとすることが例示できる。
【0037】
ガイド部42cは、幅方向基準部42aと左右反転した形状に設けられている。また、ガイド部42cは、幅方向基準部42aとの左右方向での離間幅が出荷番重T2の左右方向寸法より所定割合大きくなるよう配置されている。これにより、出荷番重T2の変形や寸法誤差が生じても、出荷番重コンベア41上を搬送される出荷番重T2を、ガイド部42cと幅方向基準部42aとの間の仕分先位置41Aに収まるように配置可能となる。このとき、幅方向基準部42aの斜行部42a2とガイド部42cの後端側とで、出荷番重コンベア41で搬送される出荷番重T2の左右位置を補正して仕分先位置41Aに収まるように案内することができる。
【0038】
図6において、ガイド部42cは、シリンダ42b1のロッドと交差するように図示されているが、これらは非接触となる位置関係に設けられている。具体的には、シリンダ42b1のロッドが、ガイド部42cに対して上下方向に離間したりガイド部42cに形成された孔(不図示)に貫通したりするように配置されている。
【0039】
出荷番重搬送部4においては、出荷番重コンベア41の上方であって幅方向位置決め部42の前後両側に搬送方向位置決め部43を更に備えている。搬送方向位置決め部43は、出荷番重コンベア41上となる仕分先位置41Aに搬送される出荷番重T2を前後方向にて位置決め可能に設けられる。
【0040】
搬送方向位置決め部43は、仕分先位置41Aの前方に設けられたストッパ43aと、仕分先位置41Aの後方に設けられた回転体43bとを備えている。
【0041】
ストッパ43aは、出荷番重コンベア41の左右2箇所に設けられている。ストッパ43aは、一端側を回転中心位置とする片状体によって構成され、仕分先位置41Aの出荷番重T2の前端側に接触する位置と非接触になる位置との間で図6中矢印方向に回転変位可能に設けられている。具体的には、ストッパ43aは、回転変位によって、左右方向に沿って配置されたときに仕分先位置41Aの出荷番重T2の前端側に接触し、前後方向に沿って配置されたとき(図8F参照)、仕分先位置41Aの出荷番重T2と非接触となるように配置される。ストッパ43aが出荷番重T2の前端側に接触することで、仕分先位置41Aから出荷番重T2が前方に移動(搬送)されることが規制される。
【0042】
回転体43bにおいても、出荷番重コンベア41の左右2箇所に設けられ、一端側を回転中心位置とする片状体によって構成される。また、回転体43bは、仕分先位置41Aの出荷番重T2の後端側に接触する位置と非接触になる位置との間で図6中矢印方向に回転変位可能に設けられている。回転体43bは、仕分先位置41Aの出荷番重T2の後端側を前方に押圧する方向に回転する一方、その反対側の回転で仕分先位置41Aの出荷番重T2と非接触となるように配置される。従って、ストッパ43aで出荷番重T2の前方の移動を規制しつつ回転体43bで出荷番重T2を前方に押圧することで、出荷番重T2を前後方向から挟み込んで搬送方向にて位置決めすることができる。
【0043】
搬送方向位置決め部43は、回転体43bの回転角度を検出する角度検出部43cを備えている。角度検出部43cは、回転体43bをロータリーシリンダによって回転させる場合には、その出力で回転角度を検出する構成としたり、回転体43bの回転軸周りで回転角度を測定するセンサとしたりすることが例示できる。
【0044】
ここで、幅方向位置決め部42及び搬送方向位置決め部43によって位置決め部が構成され、該位置決め部は、移送部5にて物品Wが移送される間、出荷番重コンベア41の仕分先位置41Aで出荷番重T2を位置決めする。
【0045】
また、出荷番重搬送部4は、出荷番重コンベア41上となる待機位置41Bにて、搬送される出荷番重T2を位置決めする待機位置用位置決め部44を更に備えている。待機位置用位置決め部44は、待機位置41Bの前方に設けられた待機位置用ストッパ44aと、待機位置41Bの左右両側に設けられた待機位置用ガイド部44bとを備えている。
【0046】
待機位置用ストッパ44aは、設置位置が異なる点を除いて、上述したストッパ43aと同様の構成となるので、ここでは説明を省略する。
【0047】
待機位置用ガイド部44bは、上述した幅方向基準部42a及びガイド部42cと同一構成として待機位置41Bの左右両側に配置することができる。但し、本実施の形態では、右側の待機位置用ガイド部44bが幅方向基準部42aと左右方向の位置が揃っている一方、左側の待機位置用ガイド部44bはガイド部42cより若干右寄りに配置されている。これにより、待機位置用位置決め部44における待機位置41Bにて、出荷番重T2における左右方向の許容ずれ量を小さくしてから、仕分先位置41Aの幅方向基準部42a及びガイド部42cの間に出荷番重T2を安定して搬送することができる。
【0048】
図7は、製品番重位置決め部を含む製品番重搬送部を模式的に示した平面図である。図1から図5においては図示省略したが、図7に示すように、製品番重搬送部3は、製品番重コンベア31の上方に設けられる製品番重位置決め部(元容器位置決め部)37を備えている。製品番重位置決め部37は、製品番重コンベア31上となる仕分元位置31Aにて、搬送される製品番重T1を位置決め可能に設けられる。製品番重位置決め部37は、上述した搬送方向位置決め部43及び幅方向位置決め部42から押し付け部42bを省略した構成に類似しており、それら構成を参照しつつ製品番重位置決め部37の各構成について以下に説明する。
【0049】
製品番重位置決め部37は、仕分元位置31Aの前後両側に設けられた一対のガイド部37aと、仕分元位置31Aの左側(製品番重コンベア31での搬送方向前側)に設けられたストッパ37bと、仕分元位置31Aの右側(製品番重コンベア31での搬送方向後側)に設けられた回転体37cとを備えている。
【0050】
各ガイド部37aは、幅方向基準部42a及びガイド部42cと同様の形状に形成されて延出方向を左右方向とし、前後方向での離間幅が製品番重T1の前後方向寸法より若干大きくなるよう配置されている。また、各ガイド部37aは、右端側の一部領域が右側に向かって相互に離れる方向に傾斜する形状に設けられている。
【0051】
ストッパ37b及び回転体37cは、搬送方向位置決め部43のストッパ43a及び回転体43bと同様の構造とされ、それぞれの位置及び向きが変更するよう構成されている。ストッパ37bは、製品番重コンベア31の前後2箇所に設けられ、仕分元位置31Aの製品番重T1の左端側に接触する位置と非接触になる位置との間で図7中矢印方向に回転変位可能に設けられている。ストッパ37bが製品番重T1の左端側に接触することで、仕分元位置31Aから製品番重T1が左方向に移動(搬送)されることが規制される。
【0052】
回転体37cにおいても、製品番重コンベア31の前後2箇所に設けられ、仕分元位置31Aの製品番重T1の右端側に接触する位置と非接触になる位置との間で図7中矢印方向に回転変位可能に設けられている。回転体37cは、仕分元位置31Aの製品番重T1の右端側を左方向に押圧する方向に回転する一方、それとは反対方向の回転で仕分元位置31Aの製品番重T1と非接触となるように配置される。従って、ストッパ37bで製品番重T1の左方向の移動を規制しつつ回転体37cで製品番重T1を左方向に押圧することで、製品番重T1を左右方向から挟み込んで搬送方向にて位置決めすることができる。
【0053】
また、製品番重搬送部3は、リフタ用コンベア34にて製品番重T1を位置決めするリフタ用位置決め部38を更に備えている。リフタ用位置決め部38は、リフタ用コンベア34の前側に設けられたリフタ用ストッパ38aと、リフタ用コンベア34の前後両側に設けられたリフタ用ガイド部38bとを備えている。
【0054】
リフタ用ストッパ38aは、設置位置が異なる点を除いて、上述したストッパ37bと同様の構成となる。リフタ用ガイド部38bは、上述したガイド部37aと同一構成としてリフタ用コンベア34の前後両側に配置することができる。
【0055】
図6及び図7を用いて説明した各構成は、フレームやブラケット等から構成される不図示の支持部材を介して図示した位置に配設される。
【0056】
次いで、本実施の形態の搬送装置1における動作について説明する。先ず、図3に示すように、段ばらし部2にて、上昇分離機構21によって最下段の製品番重T1から1段ずつばらして該製品番重T1をリフタ用コンベア34に搬送する。この搬送にて、図7に示すように、リフタ用位置決め部38のリフタ用ガイド部38b間に製品番重T1が配置され、リフタ用ストッパ38aにて製品番重T1の左方向の移動を規制する。
【0057】
次いで、製品番重搬送部3のリフタ搬送機構32(図3参照)で製品番重コンベア31の高さ位置までリフタ用コンベア34及び製品番重T1を上昇する。その後、リフタ用ストッパ38aを回転変位して左右方向と平行にし、製品番重T1の左側からリフタ用ストッパ38aを退避してから、リフタ用コンベア34及び製品番重コンベア31の駆動によって製品番重T1を仕分元位置31Aまで搬送する。このとき、回転体37cは左右方向と平行に向けられて製品番重T1の通過領域から退避され、製品番重T1の搬送を許容する。
【0058】
仕分元位置31Aに製品番重T1を搬送した後、該製品番重T1を製品番重位置決め部37によって位置決めする。製品番重位置決め部37では、製品番重T1がガイド部37a間に配置され、ストッパ37bにて製品番重T1の左方向の移動を規制する。その後、回転体37cを回転変位して製品番重T1の右端側を左方向に押圧し、製品番重T1を回転体37cとストッパ37bとで左右方向から挟み込む。この挟み込みによって、製品番重T1を搬送方向にて位置決めすることができる。
【0059】
一方、出荷番重搬送部4では、出荷番重コンベア41にて出荷番重T2を供給し、図6及び図8Aに示すように、待機位置41Bに搬送される出荷番重T2を待機位置用位置決め部44で位置決めする。待機位置用位置決め部44では、出荷番重T2が待機位置用ガイド部44b間に配置され、待機位置用ストッパ44aにて出荷番重T2の前方の移動を規制する。これにより、仕分先位置41Aへの搬送前に、出荷番重T2における左右方向の位置合わせを大まかに行って待機した状態にできる。
【0060】
待機位置用位置決め部44で出荷番重T2を位置決めした後、図8Bに示すように、所定のタイミングで待機位置用ストッパ44aを回転して前後方向と平行に向け、出荷番重T2を出荷番重コンベア41の仕分先位置41Aまで搬送する。このとき、搬送方向位置決め部43の回転体43bは前後方向と平行に向けられ、幅方向位置決め部42における押し付け部42bの押圧体42b2は、ガイド部42cより突出しない位置に配置される。よって、回転体43b及び押圧体42b2が出荷番重T2の通過領域から退避され、待機位置41Bから仕分先位置41Aへの出荷番重T2の搬送が許容される。
【0061】
図8Cに示すように、仕分先位置41Aに出荷番重T2を搬送すると、出荷番重T2が幅方向位置決め部42の幅方向基準部42aとガイド部42cとの間に配置され、ストッパ43aにて出荷番重T2の前方の移動を規制する。次いで、押し付け部42bのシリンダ42b1の駆動によって押圧体42b2を右方向に動作させ、図8Dに示すように、仕分先位置41Aの出荷番重T2を押圧して幅方向基準部42aに押し付ける。これにより、出荷番重T2の右側外周面を幅方向基準部42aの直行部42a1に接触させつつ、出荷番重T2を押圧体42b2と幅方向基準部42aとで左右方向から挟み込んで左右方向(幅方向)にて位置決めすることができる。この接触及び位置決めによって、仕分先位置41Aにて出荷番重T2を左右方向の基準位置にセットすることができる。
【0062】
その後、図8Eに示すように、回転体43bを回転変位して出荷番重T2の後端側を前方向に押圧し、出荷番重T2を回転体43bとストッパ43aとで前後方向から挟み込む。この挟み込みによって、仕分先位置41Aにて出荷番重T2を前後方向の基準位置においても位置決めでき、幅方向位置決め部42での左右方向の基準位置の位置決めと併せて、直交(交差)する2方向から出荷番重T2を位置決めすることができる。
【0063】
なお、図8の各図では、1体の出荷番重T2の搬送に着目して説明したが、出荷番重搬送部4では、図4に示すように、複数の出荷番重T2が順次供給される。このため、仕分先位置41Aでの出荷番重T2の位置決め及び搬送と、待機位置41Bでの出荷番重T2の位置決め及び搬送とは同時進行にて行われる。
【0064】
このように製品番重T1及び出荷番重T2を位置決めした後、図1に示すように、仕分元位置31Aにて、製品番重T1における物品Wを収容状態検出部61によって撮像する。かかる撮像結果に応じ、移送部5の移動機構52を駆動し、仕分元位置31Aにおける製品番重T1内の物品Wを保持部51で保持する。かかる保持後、図4の太線矢印で示すように、移動機構52の駆動によって保持部51に保持された物品Wを仕分先位置41Aの出荷番重T2まで移送して収容する。この移送にて、移送中の物品Wが保持状態検出部62で下方から撮像され、かかる撮像結果に応じて移動機構52の駆動を制御することで保持された物品Wの向きや姿勢が補正される。これにより、出荷番重T2への物品Wの移送不良や収容不良が発生することが回避可能となる。
【0065】
出荷番重T2への物品Wの移送は、収容される物品Wが所定の要求数に達するまで、繰り返し行われる。収容状態検出部61の撮像結果にて製品番重T1の物品Wがなくなって空になると、製品番重コンベア31では、仕分元位置31Aでの製品番重T1の位置決めを解除して搬出し、仕分元位置31Aに新たな製品番重T1を搬送して位置決めする。また、仕分先位置41Aの出荷番重T2に要求数の物品Wを移送すると、仕分先位置41Aでの出荷番重T2の位置決めを解除して搬出し、待機位置41Bで待機する空の新たな出荷番重T2を仕分先位置41Aに搬送して位置決めする。
【0066】
ここで、上述のように各番重T1、T2は樹脂材による射出成形品となり、射出成形時の成形誤差、温水洗浄時のヒートサイクルによる膨張及び収縮の繰り返しによる変形、屋外で直射日光を受けることによる変形等が発生する可能性がある。このため、各番重T1、T2は、外形寸法にばらつきが生じることとなる。
【0067】
一方、出荷番重T2を位置決めする従来構成として、出荷番重T2を搬送方向となる前後方向から挟み込む挟み込み手段と、出荷番重コンベア41の左右両側に設けられて前後方向に延出するガイド部を備えた構成がある。
【0068】
かかる従来構成では、出荷番重T2が小さくなる変形が生じる場合は左右のガイド部の間に出荷番重T2が搬送されて配置可能となる。しかしながら、各ガイド部の離間幅より出荷番重T2の変形が大きくなると、ガイド部と出荷番重T2との接触で各ガイド部の間に出荷番重T2を搬送できない状態となる。
【0069】
このような状態を回避すべく、出荷番重T2の変形の最大量を考慮して各ガイド部の離間幅を設定し、出荷番重T2の変形量の大小に係わらず各ガイド部の間に搬送可能とする構成が考えられる。ところが、かかる構成では、出荷番重T2の変形が小さくなる場合に左右方向にて出荷番重T2とガイド部との間に遊びができ、出荷番重T2の位置決め精度が低くなる。このため、出荷番重T2に物品Wを移送する際に、移送中の物品Wが出荷番重T2の側壁上端や内面に接触し、物品Wを収容できなくなったり、物品Wが傾いて収容されたり、物品Wが損傷したりすることで移送不良になる、という問題がある。
【0070】
これに対し、本実施の形態によれば、搬送方向位置決め部43によって出荷番重T2を前後方向にて位置決めでき、且つ、押圧体42b2を動作して幅方向基準部42aに出荷番重T2を押し付けて左右方向にも位置決めすることができる。よって、出荷番重T2の変形が小さくなった場合、幅方向基準部42aに出荷番重T2の右側外周面を接触させて位置決めすることができる(図8D参照)。また、出荷番重T2の変形が大きくなる場合に対応すべく、幅方向基準部42aとガイド部42cとの離間幅を大きくしつつ、押圧体42b2がガイド部42cから突出しない位置に退避できるよう調整し、出荷番重T2が搬送不能になることを回避できる。このように、本実施の形態では、出荷番重T2の変形に大小のばらつきがあっても、仕分先位置41Aにおける基準位置での出荷番重T2の位置決め精度を向上することができる。これにより、出荷番重T2に物品Wを収容する移送中に、出荷番重T2の側壁上端や内面に物品Wが接触する等の移送不良を防止でき、物品Wが安定して良好に収容されるように移送することができる。
【0071】
また、幅方向位置決め部42の左側には、押し付け部42bに加えてガイド部42cが配設されている。かかるガイド部42cにより、出荷番重コンベア41による搬送によって、押し付け部42bと幅方向基準部42aとの間に収まる位置に出荷番重T2をスムースに案内することができる。
【0072】
更に、搬送方向位置決め部43では、ストッパ43aと回転体43bとで前後方向から挟み込み可能となるので、回転体43bの回転角度の変化により回転体43bによる出荷番重T2の押圧位置を前後方向に変化させることができる。言い換えると、出荷番重T2における前後方向の外形寸法が変化しても、回転体43bで出荷番重T2を前方に押し込むことができ、出荷番重T2の大小の変形に対応することができる。
【0073】
ここで、搬送方向位置決め部43における位置決めの際、角度検出部43cにて検出する回転体43bの回転角度に基づき、出荷番重T2の前後方向の外形寸法を測定することが可能となる。また、幅方向位置決め部42における位置決めの際、動作量検出部42dにて検出する押圧体42b2の動作量に基づき、出荷番重T2の左右方向の外形寸法を測定することが可能となる。これにより、移送部5での物品Wの移送中、上述した保持状態検出部62の撮像結果と共に測定した出荷番重T2の外形寸法に基づいて移動機構52の駆動を制御し、物品Wの向きや姿勢、位置を補正することができる。この結果、出荷番重T2への物品Wの移送不良や収容不良の発生をより良く回避することが可能となる。
【0074】
また、製品番重コンベア31と出荷番重コンベア41とが立体的に交差するので、その交差位置に仕分元位置31Aを設定し、仕分元位置31Aの隣に仕分先位置41Aを設定することができる。従って、図5のように上方から見て仕分元位置31A及び仕分先位置41Aを接近させ、物品Wの移送先及び移送元となる製品番重T1及び出荷番重T2を隣り合わせにすることができる。これにより、移送部5による物品Wの移送距離の短縮化を図ることができ(図4の太線矢印参照)、物品W1個あたりの移送時間を短くすることができる。その結果、移送効率を向上できる上、移送部5で物品Wを保持する時間も短くしたり、移送時の物品Wの加速を抑制したりすることができ、移送の安定化を図ることができる。
【0075】
また、上記のように出荷番重T2への物品Wの移送不良を防止することで、物品Wが外力によって変形しやすい可撓性を有する場合でも、物品Wの損傷防止を良好に実現することができる。
【0076】
本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。更には、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0077】
上記実施の形態では、支持する物品Wを調理品用の容器としたが、移送部5によって移送できる物品であれば何ら限定されるものでない。例えば、サンドイッチやパン、弁当等の他の食品、各種の電気機器、装置、それらの部品としたり、弁当容器以外の箱やトレイによって梱包されたものとしたりしてもよい。更に、物品Wにおいて、保持部51による保持箇所は、上面に限られず、物品Wの側面や縁部、下面から側面に亘って形成される凹凸部分、傾斜部分、突出部分等とすることができる。
【0078】
また、搬出容器及び元容器として番重T1、T2を用いた場合を説明したが、これに限られるものでなく、収容する物品等に応じて種々の容器を用いることができる。また、各番重T1、T2に収容される物品Wは上下に重ねた状態としても重ねていない状態としてもよい。
【0079】
また、移送部5の保持部51による物品Wの最大保持個数は2個以上にする等、変更してもよい。
【0080】
また、製品番重コンベア31及び出荷番重コンベア41は、上記実施の形態に対し、上下の位置関係を逆にして製品番重コンベア31が出荷番重コンベア41の下方に配設されるようにしてもよい。但し、上記実施の形態の方が、製品番重T1からの物品Wの取り出し時に、物品Wの下降移動量より上昇移動量を小さくできる点で有利となる。
【0081】
また、製品番重コンベア31及び出荷番重コンベア41の延出方向は、湾曲する方向としてもよく、上から見たときの交差角度は、90°以外の角度に変更してもよい。
【0082】
また、移送部5の設置位置は、床面に限定されずに天井や筐体(不図示)としてもよく、移送部5の設置数は2台に限定されず、1台あるいは3台以上としてもよい。
【0083】
また、幅方向位置決め部42は、図9に示す変形例の構成に変更してもよい。図9は、変形例に係る幅方向位置決め部の図6と同様の平面図である。図9において、変形例に係る幅方向位置決め部42は、上記実施の形態のガイド部42cをシリンダ42b1のロッド先端に設けた構成としている。変形例の構成によれば、上記実施の形態の押圧体42b2を省略することができ、押し付け部42b周りの構成の簡略化を図ることができる。
【0084】
また、製品番重T1及び出荷番重T2の搬送時の向き及び搬送方向は、上記実施の形態に限定されるものでなく、出荷番重T2を上述のように位置決めして移送部5で物品Wを移送できる限りにおいて変更してもよい。
【0085】
また、物品Wを供給する構造は、製品番重搬送部3に限定されるものでなく、出荷番重T2に収容する物品Wを移送部5によって順次移送できる限りにおいて、種々の構成を採用でき、製品番重T1を用いずに物品Wをコンベア等で供給してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 搬送装置
31 製品番重コンベア(元容器搬送路)
41 出荷番重コンベア(搬送路)
41A 仕分先位置
42 幅方向位置決め部(位置決め部)
42a 幅方向基準部
42b 押し付け部
42c ガイド部
42d 動作量検出部
43 搬送方向位置決め部(位置決め部)
43a ストッパ
43b 回転体
43c 角度検出部
5 移送部
T1 製品番重(元容器)
T2 出荷番重(搬出容器)
W 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9