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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】コネクタ装置及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20231226BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20231226BHJP
   H01R 13/6582 20110101ALI20231226BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R12/71
H01R13/6582
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019239585
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021108272
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将
(72)【発明者】
【氏名】舛永 貴司
(72)【発明者】
【氏名】山内 貴生
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/039666(WO,A1)
【文献】特開平10-050410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0155240(US,A1)
【文献】特開2005-190820(JP,A)
【文献】特開2021-93346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、第2コネクタと、を有するコネクタ装置であって、
前記第1コネクタは、
第1基板の複数の導体にそれぞれ接続される導電性の複数の第1コンタクトと、
前記複数の第1コンタクトを保持する絶縁性の第1コンタクト保持部と、
前記第1基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第1コンタクト保持部を、複数の前記第1コンタクトを保持する第1種保持エリアと、1つの前記第1コンタクトを保持して他の前記第1コンタクトを保持しない第2種保持エリアと、に区画する導電性の第1区画壁と、
前記第1基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第2種保持エリアの外周に沿って前記第1区画壁と並ぶ導電性の第1包囲壁と、
を有し、
前記第2コネクタは、
第2基板の複数の導体にそれぞれ接続されると共に、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記複数の第1コンタクトに対してそれぞれ接触する、導電性の複数の第2コンタクトと、
前記第2基板のグランド導体に対して電気的に接続される導電性の第2区画壁と、
前記第2基板のグランド導体に対して電気的に接続される導電性の第2包囲壁と、
を有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第1種保持エリアと前記第2種保持エリアとの間に、前記第1区画壁及び前記第2区画壁が二重に配置され、前記第2種保持エリアの外周に、前記第1包囲壁及び前記第2包囲壁が二重に配置され、前記第1種保持エリアの外周に、前記第1包囲壁及び前記第2包囲壁が二重に配置される、コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、
前記第1区画壁と前記第2区画壁とが接触する、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第1区画壁と前記第2区画壁とのいずれか一方は、接触時に相手の区画壁を押圧する弾性部を有する、請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、
前記第1包囲壁と前記第2包囲壁とが接触する、請求項1~3のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記第1包囲壁と前記第2包囲壁とのいずれか一方は、接触時に相手の包囲壁を押圧する弾性部を有する、請求項4に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記第2コネクタは、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第2種保持エリア内で前記第1区画壁及び前記第2区画壁に対して交差する方向に延び、前記第1コンタクトと、前記第1包囲壁及び前記第2包囲壁と、の間を区画するコンタクト包囲壁を更に有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第2種保持エリア内に位置する前記第2コンタクトの基板接続部は、前記第2種保持エリア内から前記第2包囲壁対向する、請求項1~6のいずれか一項に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第2種保持エリア内に位置する前記第2コンタクトの基板接続部は、前記第2種保持エリア内から前記コンタクト包囲壁対向する、請求項6に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
第1コネクタと、第2コネクタと、を有するコネクタ装置であって、
前記第1コネクタは、
第1基板の複数の導体にそれぞれ接続される導電性の複数の第1コンタクトと、
前記複数の第1コンタクトを保持する絶縁性の第1コンタクト保持部と、
前記第1基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第1コンタクト保持部を、複数の前記第1コンタクトを保持する第1種保持エリアと、1つの前記第1コンタクトを保持して他の前記第1コンタクトを保持しない第2種保持エリアと、に区画する導電性の第1区画壁と、
前記第1基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第2種保持エリアの外周に沿って前記第1区画壁と並ぶ導電性の第1包囲壁と、
を有し、
前記第2コネクタは、
第2基板の複数の導体にそれぞれ接続されると共に、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記複数の第1コンタクトに対してそれぞれ接触する、導電性の複数の第2コンタクトと、
前記第2基板のグランド導体に対して電気的に接続される導電性の第2区画壁と、
前記第2基板のグランド導体に対して電気的に接続される導電性の第2包囲壁と、
を有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第1種保持エリアと前記第2種保持エリアとの間に、前記第1区画壁及び前記第2区画壁が二重に配置され、前記第2種保持エリアの外周に、前記第1包囲壁及び前記第2包囲壁が二重に配置され、
前記第2コネクタは、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第2種保持エリア内で前記第1区画壁及び前記第2区画壁に対して交差する方向に延び、前記第1コンタクトと、前記第1包囲壁及び前記第2包囲壁と、の間を区画するコンタクト包囲壁を更に有する、コネクタ装置。
【請求項10】
相手コネクタと嵌合可能なコネクタであって、
基板の複数の導体にそれぞれ接続される導電性の複数のコンタクトと、
前記複数のコンタクトを保持する絶縁性のコンタクト保持部と、
前記基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記コンタクト保持部を、複数の前記コンタクトを保持する第1種保持エリアと、1つの前記コンタクトを保持して他の前記コンタクトを保持しない第2種保持エリアと、に区画する導電性の区画壁と、
前記基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第2種保持エリアの外周に沿って前記区画壁と並ぶ導電性の包囲壁と、
を有し、
前記区画壁は、前記相手コネクタと嵌合した際に、前記相手コネクタの区画壁と接触する接触部を有し、
前記包囲壁は、前記相手コネクタと嵌合した際に、前記第1種保持エリアの外周において前記相手コネクタの包囲壁と接触する第1接触部と、前記相手コネクタと嵌合した際に、前記第2種保持エリアの外周において前記相手コネクタの包囲壁と接触する第2接触部と、を有する、コネクタ。
【請求項11】
相手コネクタと嵌合可能なコネクタであって、
基板の複数の導体にそれぞれ接続される導電性の複数のコンタクトと、
前記複数のコンタクトを保持する絶縁性のコンタクト保持部と、
前記基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記コンタクト保持部を、複数の前記コンタクトを保持する第1種保持エリアと、1つの前記コンタクトを保持して他の前記コンタクトを保持しない第2種保持エリアと、に区画する導電性の区画壁と、
前記基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第2種保持エリアの外周に沿って前記区画壁と並ぶ導電性の包囲壁と、
を有し、
前記区画壁は、前記相手コネクタと嵌合した際に、前記相手コネクタの区画壁と接触する接触部を有し、
前記包囲壁は、前記相手コネクタと嵌合した際に、前記相手コネクタの包囲壁と接触する接触部を有し、
前記コネクタは、前記相手コネクタと前記コネクタとが嵌合した際に、前記第2種保持エリア内で前記区画壁及び前記相手コネクタの区画壁に対して交差する方向に延び、前記コンタクトと、前記包囲壁及び前記相手コネクタの包囲壁と、の間を区画するコンタクト包囲壁を更に有する、
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1コネクタと第2コネクタとを備えるコネクタが開示されている。第1コネクタは、第1インシュレータと、第1インシュレータに支持された複数の第1コンタクトと、第1インシュレータに支持された導電性部材とを有する。第2コネクタは、第2インシュレータと、第2インシュレータに支持された複数の第2コンタクトとを有する。第1インシュレータの外周壁には、導電性部材遮蔽部が設けられている。第1回路基板に実装された第1コネクタと、第2回路基板に実装された第2コネクタとが接続された状態において、導電性部材遮蔽部は、第1回路基板と導電性部材との間、又は第2回路基板と導電性部材との間に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/045623号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の通信速度の高速化によって、更なるノイズ抑制が望まれている。
【0005】
そこで本開示は、ノイズ抑制効果が高められたコネクタ装置及びコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係るコネクタ装置は、第1コネクタと、第2コネクタと、を有するコネクタ装置であって、前記第1コネクタは、第1基板の複数の導体にそれぞれ接続される導電性の複数の第1コンタクトと、前記複数の第1コンタクトを保持する絶縁性の第1コンタクト保持部と、前記第1基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第1コンタクト保持部を、複数の前記第1コンタクトを保持する第1種保持エリアと、1つの前記第1コンタクトを保持して他の前記第1コンタクトを保持しない第2種保持エリアと、に区画する導電性の第1区画壁と、前記第1基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第2種保持エリアの外周に沿って前記第1区画壁と並ぶ導電性の第1包囲壁と、を有し、前記第2コネクタは、第2基板の複数の導体にそれぞれ接続されると共に、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記複数の第1コンタクトに対してそれぞれ接触する、導電性の複数の第2コンタクトと、前記第2基板のグランド導体に対して電気的に接続される導電性の第2区画壁と、前記第2基板のグランド導体に対して電気的に接続される導電性の第2包囲壁と、を有し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第1種保持エリアと前記第2種保持エリアとの間に、前記第1区画壁及び前記第2区画壁が二重に配置され、前記第2種保持エリアの外周に、前記第1包囲壁及び前記第2包囲壁が二重に配置される。
【0007】
上記のコネクタでは、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した際に第2種保持エリアと第1種保持エリアとの間では、第1区画壁及び第2区画壁が二重に配置され、第2種保持エリアの外周では、第1包囲壁及び第2包囲壁が二重に配置される。そのため、特に第2種保持エリアに配置されるノイズ源となりやすいコンタクトについてノイズの抑制を効果的に行うことができる。
【0008】
ここで、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第1区画壁と前記第2区画壁とが接触する態様とすることができる。
【0009】
上記のように、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した際に、第1区画壁と第2区画壁とが接触する構成とすることで、第1区画壁及び第2区画壁を同電位とすることができ、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0010】
前記第1区画壁と前記第2区画壁とのいずれか一方は、接触時に相手の区画壁を押圧する弾性部を有する態様とすることができる。
【0011】
上記のように、弾性部によって相手の区画壁を押圧支持する構成とすることで、両者の接触をより確実に行うことができる。
【0012】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第1包囲壁と前記第2包囲壁とが接触する態様とすることができる。
【0013】
上記のように、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した際に、第1包囲壁と第2包囲壁とが接触する構成とすることで、第1包囲壁及び第2包囲壁を同電位とすることができ、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0014】
前記第1包囲壁と前記第2包囲壁とのいずれか一方は、接触時に相手の包囲壁を押圧する弾性部を有する態様とすることができる。
【0015】
上記のように、弾性部によって相手の包囲壁を押圧支持する構成とすることで、両者の接触をより確実に行うことができる。
【0016】
前記第2コネクタは、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第2種保持エリア内で前記第1区画壁及び前記第2区画壁に対して交差する方向に延び、前記第1コンタクトと、前記第1包囲壁及び前記第2包囲壁と、の間を区画するコンタクト包囲壁を更に有する態様とすることができる。
【0017】
上記のように、コンタクト包囲壁を更に設ける構成とすることで、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した際に、第1コンタクトと第1包囲壁及び第2包囲壁とを区画することができ、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0018】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第2種保持エリア内に位置する前記第2コンタクトの基板接続部は、前記第2包囲壁と対向する態様とすることができる。
【0019】
上記の構成とすることで、第2種保持エリアに配置されるコンタクトを他のコンタクトから、より隔離することができるので、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0020】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合した際に、前記第2種保持エリア内に位置する前記第2コンタクトの基板接続部は、前記コンタクト包囲壁と対向する態様とすることができる。
【0021】
上記の構成とすることで、第2種保持エリアに配置されるコンタクトを他のコンタクトからより隔離することができるので、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0022】
本開示の一形態に係るコネクタは、相手コネクタと嵌合可能なコネクタであって、基板の複数の導体にそれぞれ接続される導電性の複数のコンタクトと、前記複数のコンタクトを保持する絶縁性のコンタクト保持部と、前記基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記コンタクト保持部を、複数の前記コンタクトを保持する第1種保持エリアと、1つの前記コンタクトを保持して他の前記コンタクトを保持しない第2種保持エリアと、に区画する導電性の区画壁と、前記基板のグランド導体に対して電気的に接続され、前記第2種保持エリアの外周に沿って前記区画壁と並ぶ導電性の包囲壁と、を有し、前記区画壁は、前記相手コネクタと嵌合した際に、前記相手コネクタの区画壁と接触する接触部を有し、前記包囲壁は、前記相手コネクタと嵌合した際に、前記相手コネクタの包囲壁と接触する接触部を有する。
【0023】
上記のコネクタでは、相手コネクタと嵌合した際に第2種保持エリアと第1種保持エリアとの間において区画壁が相手コネクタの区画壁と接触し、第2種保持エリアの外周において包囲壁が相手コネクタの包囲壁と接触する。そのため、特に第2種保持エリアに配置されるノイズ源となりやすいコンタクトについてノイズの抑制を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、ノイズ抑制効果が高められたコネクタ装置及びコネクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、コネクタ装置の一例を示す斜視図である。
図2図2は、リセプタクルコネクタの一例を示す平面図である。
図3図3は、リセプタクルコネクタの一例を示す斜視図である。
図4図4は、リセプタクルコネクタの一例を示す底面図である。
図5図5は、プラグコネクタの一例を示す平面図である。
図6図6は、プラグコネクタの一例を示す斜視ある。
図7図7は、プラグコネクタの一例を示す底面図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、プラグコネクタの壁部材を説明する図である。
図9図9は、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの嵌合状態を示す斜視図である。
図10図10は、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの嵌合状態を示す平面図である。
図11図11は、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの嵌合状態を示す底面図である。
図12図12は、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの嵌合状態を示す平面図であり、プラグコネクタはシェルのみを示した図である。
図13図13は、図12のXIII-XIII矢視図である。
図14図14は、図12のXIV-XIV矢視図である。
図15図15は、変形例に係るリセプタクルコネクタの平面図である。
図16図16は、変形例に係るプラグコネクタの平面図である。
図17図17は、変形例に係るプラグコネクタの斜視図である。
図18図18は、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの嵌合状態を示す断面図である。
図19図19は、変形例に係るプラグコネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
〔コネクタ装置〕
図1に示すコネクタ装置1は、電子機器内において回路基板同士の接続に用いられる装置である。電子機器の具体例としては、携帯電話、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、又はタブレット型コンピュータ等の携帯型通信端末が挙げられるが、電子機器はこれらに限られない。
【0028】
図1に示すように、コネクタ装置1は、接続対象となる2枚の回路基板101,102にそれぞれ取り付けられるリセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とを備え、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3が嵌合することによって回路基板101と回路基板102とを電気的に接続する。
【0029】
リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが互いに嵌合するように配置された状態で、リセプタクルコネクタ2から見たプラグコネクタ3の形状と、プラグコネクタ3から見たリセプタクルコネクタ2の形状は、いずれも長方形に近似している。以下、この長方形の長辺に沿う方向を長辺方向DL1といい、この長方形の短辺に沿う方向を短辺方向DS1という。また、この長方形に垂直な方向をリセプタクルコネクタ2及びプラグコネクタ3の接続方向CD1という。以下、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが互いに嵌合するように配置された状態で、リセプタクルコネクタ2から見たプラグコネクタ3の構造を説明する際には、単に「リセプタクルコネクタ2から見て」といい、プラグコネクタ3から見たリセプタクルコネクタ2の構造を説明する際には、単に「プラグコネクタ3から見て」という。
【0030】
〔リセプタクルコネクタ〕
まず、リセプタクルコネクタ2の構成を詳細に説明する。上述したように、リセプタクルコネクタ2は、回路基板101に取り付けられ、相手コネクタであるプラグコネクタ3に接続される。図2図4に示すように、リセプタクルコネクタ2は、導電性の複数のコンタクト4と、コンタクト保持部5と、シェル6とを有する。
【0031】
複数のコンタクト4は、回路基板101の複数の導体にそれぞれ接続され、プラグコネクタ3の複数のコンタクト7(後述)にそれぞれ接触する。複数のコンタクト4は、互いに種別の異なるコンタクト4を含んでいてもよい。例えば複数のコンタクト4は、複数の第1種コンタクト4Aと、第1種コンタクト4Aとは異なる種別の少なくとも1つの第2種コンタクト4Bとを含む。一例として、リセプタクルコネクタ2は6つのコンタクト4を含み、6つのコンタクト4は4つの第1種コンタクト4Aと2つの第2種コンタクト4Bとを含む。
【0032】
種別が異なるとは、種別の違いを特定する何らかの定義の下で、互いに異なる種別に属することを意味する。種別の違いの具体例としては、伝送対象とする信号の周波数帯域の違い、許容電流の違い、許容電圧の違い、信号導体(信号回路の一部を構成する導体)の接続用であるかグランド導体(グランド回路の一部を構成する導体)の接続用であるかの違い等が挙げられる。一例として、第2種コンタクト4Bは、第1種コンタクト4Aが伝送する信号に比較して高周波の信号を伝送するコンタクトである。なお、本実施形態のコネクタ装置1では、第1種コンタクト4Aと第2種コンタクト4Bとはその形状も異なっている。
【0033】
第1種コンタクト4Aは、図2及び図4に示すように、接続部41と接触部42とを有する。接続部41は、回路基板101の導体(例えば信号導体)に接続される。接触部42は、プラグコネクタ3の第1種コンタクト7A(後述)に接触する。接続部41と接触部42とは互いに連結されている。第1種コンタクト4Aの接触部42は、略U字状とされていて、その両端が接続方向CD1に沿いプラグコネクタ3に向かってそれぞれ突出し、プラグコネクタ3のコンタクト7を挟む。また、接続部41は、略U字状の接触部42の一端から、接触部42と逆向きとなる外方に向けて張り出している。
【0034】
第2種コンタクト4Bは、図3及び図4に示すように、接続部43と接触部44とを有する。接触部44は、プラグコネクタ3の第2種コンタクト7B(後述)に接触する。接続部43と接触部44とは互いに連結されている。第2種コンタクト4Bの接触部44は、接続方向CD1に沿った軸線を有する略円筒状とされていて、軸線方向において、接続部43と連結しない一方の端部がプラグコネクタ3に向かって突出しプラグコネクタ3の第2種コンタクト7B(後述)が接触部44の中央の開口441に入り込む。また、接続部43は、軸線方向において、接触部44の他方の端部から外方に向けて張り出している。
【0035】
これらのコンタクト4は、金属の薄板から1枚の板材を打ち抜き、これに曲げ加工等を施すことで形成される。なお、接続部41,43は回路基板101に取り付け可能であればいかなる形状であってもよく、外方に向けて張り出さない形状であってもよい。
【0036】
コンタクト保持部5は、複数のコンタクト4を保持する絶縁性の部材である。例えばコンタクト保持部5は、樹脂材料の射出成型等により形成される。コンタクト保持部5は、回路基板101に面する背面55と、背面55と逆向きの前面54とを有する。コンタクト保持部5は、プラグコネクタ3から見て長方形に近似する外形を有する。当該長方形は、長辺方向DL1に沿った一対の長辺5a,5bと、短辺方向DS1に沿った一対の短辺5c,5dとを有する。
【0037】
図2に示すように、コンタクト保持部5は、接続方向CD1に垂直な方向において複数の保持エリアに区画されている。複数の保持エリアは、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52とを含む。第1種保持エリア51は、複数のコンタクト4を保持する。例えば第1種保持エリア51は、複数(例えば4つ)の第1種コンタクト4Aを保持する。第2種保持エリア52は、1つのコンタクト4を保持して他のコンタクト4を保持しない。例えば第2種保持エリア52は、1つの第2種コンタクト4Bを保持する。
【0038】
複数の保持エリアは、2つの第2種保持エリア52を含んでいてもよく、複数の第2種保持エリア52の間に少なくとも1つの第1種保持エリア51が介在していてもよい。一例として、コンタクト保持部5は、1つの第1種保持エリア51と、当該第1種保持エリア51を挟む2つの第2種保持エリア52とに区画されている。第1種保持エリア51と、2つの第2種保持エリア52とは、長辺方向DL1に沿って並んでいる。以下、2つの第2種保持エリア52を第2種保持エリア52A,52Bとして区別する。
【0039】
複数の保持エリアは、コンタクト保持部5に形成された空隙により区画されていてもよい。例えば第2種保持エリア52Aと第1種保持エリア51とは、長辺方向DL1に垂直な境界PL11に沿って空隙S11により区画されている。一例として、第2種保持エリア52Aと第1種保持エリア51とは、長辺方向DL1に垂直なスリット53Aにより区画されている。
【0040】
第1種保持エリア51と第2種保持エリア52Bとは、長辺方向DL1に垂直な境界PL12に沿って空隙S12により区画されている。一例として、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52Bとは、長辺方向DL1に垂直なスリット53Bにより区画されている。
【0041】
なお、ここでの空隙は、必ずしもリセプタクルコネクタ2の完成状態での空隙を意味するわけではなく、コンタクト保持部5が単体で存在する場合の空隙を意味する。すなわち、ここでの空隙は、リセプタクルコネクタ2の完成状態においてコンタクト保持部5とは異なる他の部材により埋められる部分も含む。例えば空隙S11の少なくとも一部は後述の区画壁61Aにより埋められ、空隙S12の少なくとも一部は後述の区画壁61Bにより埋められる。
【0042】
コンタクト保持部5においては、いずれのコンタクト4も、接続方向CD1から見て、接続部41と接触部42との連結方向(互いに連結された接続部41と接触部42とが並ぶ方向)が同一の方向に沿うように配置されている。換言すると、いずれのコンタクト4も、接触部42とプラグコネクタ3のコンタクト7との接触方向が同一の方向に沿うように配置されている。例えば、いずれのコンタクト4も、接続部41と接触部42との連結方向が短辺方向DS1に沿うように配置されている。プラグコネクタ3から見て、全てのコンタクト4の接触部42がコンタクト保持部5の外縁よりも内方に配置されている。
【0043】
図3に示すように、第1種保持エリア51には、同一方向(例えば長辺方向DL1)に沿った収容溝部を有する。第1種保持エリア51では、全ての第1種コンタクト4Aの接触部42が収容溝部に露出するように配置されている。収容溝部には、プラグコネクタ3の保持用隆起部(後述)が収容される。収容溝部に配置された第1種コンタクト4Aは、当該収容溝部に収容される保持用隆起部のコンタクト7の接触部72(後述)に接触部42が接触するように配置される。
【0044】
一例として、第1種保持エリア51は、互いに平行な2本の収容溝部511A,511Bを有する。収容溝部511A,511Bは、それぞれ長辺方向DL1に沿ってコンタクト保持部5の前面54に形成されている。
【0045】
第1種保持エリア51が保持する4つの第1種コンタクト4Aは、図2に示すように、収容溝部511Aに沿って並ぶ2つの第1種コンタクト4Aと、収容溝部511Bに沿って並ぶ2つの第1種コンタクト4Aとを含む。すなわち、第1種保持エリア51が保持する複数の第1種コンタクト4Aは、長辺方向DL1(境界PL11,PL12に垂直な配列方向)に沿って並ぶ複数の第1種コンタクト4Aを含む。収容溝部511A,511B内には、図4に示すように、それぞれ接続方向CD1に延びる貫通孔であるコンタクト収容部512A,512Bが2つずつ設けられる。コンタクト収容部512A,512Bは、それぞれのコンタクト保持部5の背面55から前面54にかけて貫通するように設けられた穴であり、収容溝部511A、511Bに開口している。コンタクト収容部512A,512Bのそれぞれには、U字状の接触部42の両端が収容溝部511A,511Bに露出するように第1種コンタクト4Aが圧入等で固定される。これにより、収容溝部511A,511Bに沿って並ぶいずれの第1種コンタクト4Aも、接続方向CD1から見た接続部41と接触部42との上記連結方向が短辺方向DS1に沿うように配置されている。収容溝部511Aに沿って並ぶ各第1種コンタクト4Aの接続部41は、接触部42から長辺5aに向かって張り出している。収容溝部511Bに沿って並ぶ各第1種コンタクト4Aの接続部41は、接触部42から長辺5bに向かって張り出している。
【0046】
第1種保持エリア51は、図2及び図4に示すように、長辺5aに沿った側面の中央部(長辺方向DL1における中央部)に凹部515Aを有する。同様に、第1種保持エリア51は、長辺5bに沿った側面の中央部(長辺方向DL1における中央部)に凹部515Bを更に有する。凹部515A,515Bは、それぞれ前面54から背面55にかけて連続して形成されている。収容溝部511Aの第1種コンタクト4Aにおいて、接触部42から長辺5aに向かって張り出した接続部41の端部は、背面55における凹部515Aと長辺5aで囲まれた領域内に位置している。また、収容溝部511Bの第1種コンタクト4Aにおいて、接触部42から長辺5bに向かって張り出した接続部41の端部は、背面55における凹部515Bと長辺5bで囲まれた領域内に位置している。これにより、回路基板101に対する接続部41の接続状態の目視確認が可能となっている。このように、収容溝部511Aの第1種コンタクト4Aの接続部41と、収容溝部511Bの第1種コンタクト4Aの接続部41とは、互いに逆方向に張り出している。
【0047】
第2種保持エリア52A,52Bのそれぞれは、図3に示すように、中央付近に凹部521を有する。凹部521は、コンタクト保持部5の前面54に形成されている。前面54において、凹部521は長辺5aと長辺5bとの中間(短辺方向DS1における中間)に位置している。第2種保持エリア52A,52Bのそれぞれが保持する1つの第2種コンタクト4Bは、それぞれ凹部521に配置されている。一例として、第2種保持エリア52A,52Bのそれぞれは、1つのコンタクト収容部522を有する。コンタクト収容部522は、コンタクト保持部5の前面54から背面55にかけて貫通された穴であり、凹部521に開口している。凹部521には、第2種コンタクト4Bが、接触部44の先端が露出するように圧入等で固定される。これにより、凹部521に配置される第2種コンタクト4Bも、第1種コンタクト4Aと同様に接続部43と接触部44との連結方向が短辺方向DS1に沿うように配置されている。第2種保持エリア52Aの第2種コンタクト4Bの接続部43は、接触部44から長辺5bに向かって張り出している。一方、第2種保持エリア52Bの第2種コンタクト4Bの接続部43は、接触部44から長辺5aに向かって張り出している。
【0048】
第2種保持エリア52Aは、図4に示すように、凹部521と長辺5bとの間に貫通孔525を更に有している。また、第2種保持エリア52Bは、凹部521と長辺5aとの間に貫通孔525を更に有している。貫通孔525は、第2種コンタクト4Bの接続部の端部に対応する位置に設けられている。これにより、回路基板101に対する接続部41の接続状態の目視確認が可能となっている。
【0049】
シェル6は、コンタクト保持部5に装着される導電性の部材である。シェル6は、コンタクト保持部5を上記複数の保持エリアに区画する少なくとも1つの区画壁61を有する。区画壁61は、回路基板101のグランド導体(不図示)に電気的に接続される。区画壁61は、回路基板101のグランド導体に直接接続されていてもよいし、シェル6の他の部分を介して回路基板101のグランド導体に接続されていてもよい。シェル6は、2つの第2種保持エリア52A,52B同士の間に2重に介在する2つの区画壁61を含んでいてもよい。この2つの区画壁61の間に少なくとも1つの第1種保持エリア51が介在していてもよい。
【0050】
一例として、シェル6は、上記2つの区画壁61として区画壁61A,61Bを有する。区画壁61Aは、空隙S11内に位置して第2種保持エリア52Aと第1種保持エリア51とを区画する。区画壁61Bは、空隙S12内に位置して第1種保持エリア51と第2種保持エリア52Bとを区画する。区画壁61A,61Bのそれぞれは、図4に示すように、回路基板101に接する端縁611(端部)を有し、当該端縁611において回路基板101のグランド導体に電気的に接続される。区画壁61A,61Bは、第1種保持エリア51に向かう方向に先端が突出した弾性部を有する。例えば、区画壁61A,61Bは、図2に示すように、それぞれ短辺方向DS1に沿って並ぶ2箇所の弾性部613を有する。
【0051】
シェル6は、第2種保持エリア52の外周に沿って区画壁61と並ぶ導電性の包囲壁62を更に有してもよい。シェル6は、包囲壁62を2つの第2種保持エリア52A,52Bごとに有してもよい。例えばシェル6は、第2種保持エリア52Aの外周に沿って区画壁61Aと並ぶ導電性の包囲壁62Aと、第2種保持エリア52Bの外周に沿って区画壁61Bと並ぶ導電性の包囲壁62Bとを有する。包囲壁62A,62Bのそれぞれは、対向部621と、側部622A,622Bとを含む。
【0052】
対向部621は、第2種保持エリア52を挟んで区画壁61と対向する。例えば包囲壁62Aの対向部621は、短辺5cに沿ったコンタクト保持部5の側面の少なくとも一部を覆い、第2種保持エリア52Aを挟んで区画壁61Aと対向する。包囲壁62Bの対向部621は、短辺5dに沿ったコンタクト保持部5の側面の少なくとも一部を覆い、第2種保持エリア52Bを挟んで区画壁61Bと対向する。対向部621は、図4に示すように、回路基板101に接する端縁625(端部)を有し、当該端縁625において回路基板101のグランド導体に電気的に接続される。対向部621は、外方(第2種保持エリア52に向かう方向とは反対となる方向)に先端が突出した弾性部を有する。例えば対向部621は、短辺方向DS1に沿って並ぶ2箇所の弾性部623を有する。また、対向部621は、短辺方向DS1に沿って2箇所の弾性部623を挟むように配置された2つの突起624を有する。
【0053】
側部622A,622Bは、区画壁61と対向部621との対向方向に垂直な方向において、第2種保持エリア52を挟んで互いに対向する。側部622Aは、長辺5aに沿った第2種保持エリア52の側面の少なくとも一部を覆う。側部622Bは、長辺5bに沿った第2種保持エリア52の側面の少なくとも一部を覆う。側部622A,622Bのそれぞれは、図4に示すように、回路基板101に接する端縁627(端部)を有し、当該端縁627において回路基板101のグランド導体に電気的に接続される。側部622A,622Bのそれぞれは、外方(第2種保持エリア52に向かう方向とは反対となる方向)に突出した突起626を有する。
【0054】
シェル6は、図2に示すように、第2種保持エリア52の外周に沿って並ぶ区画壁61と包囲壁62とを互いに電気的に接続する導電性のエリア内接続プレート63(エリア内接続部)を更に有してもよい。エリア内接続プレート63は、接続方向CD1に交差するように広がっていてもよい。エリア内接続プレート63は、プラグコネクタ3に面するように配置されていてもよい。
【0055】
シェル6は、エリア内接続プレート63を2つの第2種保持エリア52A,52Bごとに有してもよい。例えばシェル6は、2箇所のエリア内接続プレート63A,63Bを有する。エリア内接続プレート63Aは、第2種保持エリア52Aの外周に沿って並ぶ区画壁61Aと包囲壁62Aとを互いに電気的に接続する。より具体的に、エリア内接続プレート63Aは、前面54の少なくとも一部を覆い、区画壁61Aの端縁と、包囲壁62Aの対向部621の端縁と、包囲壁62Aの側部622A,622Bの端縁とに連なっている。エリア内接続プレート63Bは、第2種保持エリア52Bの外周に沿って並ぶ区画壁61Bと包囲壁62Bとを互いに電気的に接続する。より具体的に、エリア内接続プレート63Bは、前面54の少なくとも一部を覆い、区画壁61Bの端縁と、包囲壁62Bの対向部621の端縁と、包囲壁62Bの側部622A,622Bの端縁とに連なっている。
【0056】
エリア内接続プレート63A,63Bのそれぞれは、第2種保持エリア52に配置された第2種コンタクト4Bを露出させるための開口部631を有する。また、エリア内接続プレート63A,63Bは、それぞれ開口部631に向かって突出する弾性部632を有している。弾性部632は、例えば、その先端が下方へ折り曲げられている。例えば、エリア内接続プレート63A,63Bは、開口部631のうち短辺方向DS1に対向する一対の周縁にそれぞれ2箇所の弾性部632を有する。
【0057】
シェル6は、図2に示すように、第2種保持エリア52Aの外周の区画壁61Aと、第2種保持エリア52Bの外周の区画壁61Bとを電気的に接続するエリア間接続プレート64(エリア間接続部)を更に有してもよい。エリア間接続プレート64は、第1種保持エリア51の外周に沿っていてもよい。例えば、シェル6は、エリア間接続プレート64A,64Bを有する。エリア間接続プレート64A,64Bは、それぞれ区画壁61A,61Bから連続して長辺方向DL1に沿って延びる。
【0058】
エリア間接続プレート64Aは、長辺5aに沿った第1種保持エリア51の側面の少なくとも一部を覆い、区画壁61Aと区画壁61Bとを電気的に接続する。このため、収容溝部511Aに沿って並ぶ上述の2つの第1種コンタクト4Aは、エリア間接続プレート64Aに沿って並び、それぞれの接続部41がエリア間接続プレート64Aに向かって張り出すように配置されている。エリア間接続プレート64Aは、当該2つの第1種コンタクト4Aの接続部41に対向している。
【0059】
エリア間接続プレート64Bは、長辺5bに沿った第1種保持エリア51の側面の少なくとも一部を覆い、区画壁61Aと区画壁61Bとを電気的に接続する。このため、収容溝部511Bに沿って並ぶ上述の2つの第1種コンタクト4Aは、エリア間接続プレート64Bに沿って並び、それぞれの接続部41がエリア間接続プレート64Bに向かって張り出すように配置されている。エリア間接続プレート64Bは、当該2つの第1種コンタクト4Aの接続部41に対向している。
【0060】
図3に示すように、接続方向CD1において、エリア間接続プレート64A,64Bは、回路基板101に対向する端縁641を有する。エリア間接続プレート64A,64Bは、端縁641において回路基板101のグランド導体に電気的に接続される。エリア間接続プレート64A,64Bには、外方(第1種保持エリア51に向かう方向とは反対となる方向)に先端が突出した弾性部643を有する。例えばエリア間接続プレート64A,64Bは、2箇所の突起626の間に弾性部643を有する。
【0061】
シェル6がエリア間接続プレート64A,64Bを有することによって、第1種保持エリア51が区画壁61A,61B及びエリア間接続プレート64A,64Bによって包囲されている。また、コンタクト保持部5の全体が、包囲壁62A,62B及びエリア間接続プレート64A,64Bによって包囲されている。
【0062】
シェル6は、例えば金属の薄板素材から1枚の板材を打ち抜き、これに曲げ加工等を施すことで形成される。例えば、上記板材のうち、エリア内接続プレート63A,63Bに対応する領域に対して、区画壁61A,61B、包囲壁62A,62B及びエリア間接続プレート64A,64Bに対応する領域を同一方向に約90度折り曲げることで、シェル6が形成される。形成されたシェル6は、例えば圧入によってコンタクト保持部5に装着される。
【0063】
以上のように構成されるリセプタクルコネクタ2は、背面55を回路基板101に向けた状態で回路基板101に取り付けられる。このとき、回路基板101の表面に露出されたグランド導体に対して、区画壁61Aの端縁611と、区画壁61Bの端縁611と、包囲壁62Aの端縁625,627,627と、包囲壁62Bの端縁625,627,627と、エリア間接続プレート64Aの端縁641と、エリア間接続プレート64Bの端縁641とがそれぞれ半田接合等により接続される。また、4つの第1種コンタクト4Aの接続部41、及び、2つの第2種コンタクト4Bの接続部43が、回路基板101に形成された信号導体が露出する複数の領域のそれぞれに対して、例えば、それぞれ半田接合等により接続される。
【0064】
なお、以上の構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えばコンタクト保持部5は、少なくとも1つの第2種保持エリア52を有していればよく、必ずしも2つ以上の第2種保持エリア52を有しなくてよい。コンタクト保持部5は、4つ以上の保持エリアに区画されていてもよい。2つの第2種保持エリア52の間に、必ずしも第1種保持エリア51が介在していなくてよく、第2種保持エリア52同士が隣り合っていてもよい。このような場合であっても、第2種保持エリア52同士の間に2つの区画壁61A,61Bが2重に介在していてもよい。
【0065】
〔プラグコネクタ〕
プラグコネクタ3の構成を詳細に説明する。上述したように、プラグコネクタ3は、回路基板102に取り付けられ、相手コネクタであるリセプタクルコネクタ2に接続される。図5図8に示すように、プラグコネクタ3は、導電性の複数のコンタクト7と、シェル8と、コンタクト保持部9と、シェル8に連続する壁部材11とを有する。
【0066】
複数のコンタクト7は、回路基板102の複数の導体にそれぞれ電気的に接続され、リセプタクルコネクタ2の複数のコンタクト4にそれぞれ接触する。複数のコンタクト7は、互いに種別の異なるコンタクト7を含んでいてもよい。例えば複数のコンタクト7は、複数の第1種コンタクト7Aと、第1種コンタクト7Aとは異なる種別の少なくとも1つの第2種コンタクト7Bとを含む。一例として、プラグコネクタ3は6つのコンタクト7を含み、6つのコンタクト7は4つの第1種コンタクト7Aと2つの第2種コンタクト7Bとを含む。一例として、第2種コンタクト7Bは、第1種コンタクト7Aが伝送する信号に比較して高周波の信号を伝送するコンタクトである。
【0067】
第1種コンタクト7Aは、図5及び図6に示すように、接続部71と接触部72とを有する。接続部71は、回路基板102の導体(例えば信号導体)に接続される。接触部72は、リセプタクルコネクタ2の第1種コンタクト4Aに接触する。接続部71と接触部72とは互いに連結されている。接触部72は、略U字状とされていて、その中程が接続方向CD1に沿いリセプタクルコネクタ2に向かってそれぞれ突出し、リセプタクルコネクタ2の第1種コンタクト4Aの接触部42によって挟まれる。また、接続部41は、図10に示すように、略U字状の接触部72の一端から延び、接続部41の他端の下方を経て、平面視において接続部41と重ならない位置まで張り出している。
【0068】
第2種コンタクト7Bは、図5に示すように、接続部73と接触部74とを有する。接触部74は、リセプタクルコネクタ2の第2種コンタクト4Bに接触する。接続部73と接触部74とは互いに連結されている。第2種コンタクト7Bの接触部74は、接続方向CD1に沿った軸線を有する略円柱状とされていて、軸線方向において、接続部73と連結しない一方の端部(リセプタクルコネクタ2と対向する側の端部)がリセプタクルコネクタ2に向かって突出している。また、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが嵌合する際は、リセプタクルコネクタ2の第2種コンタクト4B(後述)が接触部74の周囲を保持する。また、接続部73は、軸線方向において、接触部74の他方の端部(リセプタクルコネクタ2と対向しない側の端部)から外方に向けて張り出している。
【0069】
第1種コンタクト7A及び第2種コンタクト7Bは、金属の薄板から1枚の板材を打ち抜き、これに曲げ加工等を施すことで形成される。なお、接続部71,73はそれぞれ回路基板102に取り付け可能であればいかなる形状であってもよく、外方に向けて張り出さない形状であってもよい。
【0070】
シェル8は、複数のコンタクト7を包囲する導電性の部材である。シェル8は、リセプタクルコネクタ2から見て長方形に近似する外形の領域を包囲する。当該長方形は、長辺方向DL1に沿った一対の長辺8a,8bと、短辺方向DS1に沿った一対の短辺8c,8dとを有する。シェル8は、長辺8aに沿った側壁81Aと、長辺8bに沿った側壁81Bと、短辺8cに沿った側壁82Aと、短辺8dに沿った側壁82Bとを有する。
【0071】
図9図10及び図11等に示すように、プラグコネクタ3がリセプタクルコネクタ2に嵌合された状態において、シェル8はシェル6の外周に位置する。この状態において、側壁81Aは、包囲壁62Aの側部622Aと、包囲壁62Bの側部622Aと、エリア間接続プレート64Aとに接触する。側壁81Bは、包囲壁62Aの側部622Bと、包囲壁62Bの側部622Bと、エリア間接続プレート64Bとに接触する。側壁82Aは、包囲壁62Aの対向部621に接触する。側壁82Bは、包囲壁62Bの対向部621に接触する。
【0072】
側壁81Aは、内面(側壁81Bに対向する面)に2箇所の凹部811を有する(不図示)。同様に、側壁81Bも内面(側壁81Aに対向する面)に2箇所の凹部811を有する。2箇所の凹部811は、包囲壁62A及び包囲壁62Bの突起626とそれぞれ係合する。
【0073】
接続方向CD1において、側壁81A,81Bのそれぞれは、図7に示すように、回路基板102に対向する端縁813と、端縁813から突出して回路基板102に接する少なくとも1箇所のグランド接続部815とを有する。例えば側壁81A,81Bのそれぞれは、長辺方向DL1に沿って並ぶ3箇所のグランド接続部815を有する。側壁81A,81Bのそれぞれは、グランド接続部815において回路基板102のグランド導体に電気的に接続される。
【0074】
側壁82Aは、内面(側壁82Bに対向する面)に2箇所の凹部821を有する。当該2箇所の凹部821は、包囲壁62Aの2箇所の突起624とそれぞれ係合する。同様に、側壁82Bも内面(側壁82Aに対向する面)に2箇所の凹部821(不図示)を有する。当該2箇所の凹部821は、包囲壁62Bの2箇所の突起624とそれぞれ係合する。
【0075】
接続方向CD1において、側壁82A,82Bのそれぞれは、図7に示すように、回路基板102に対向する端縁823と、端縁823から突出して回路基板102に接する少なくとも1箇所のグランド接続部825とを有する。例えば側壁82A,82Bのそれぞれは、短辺方向DS1に沿って並ぶ2箇所のグランド接続部825を有する。側壁82A,82Bのそれぞれは、グランド接続部825において回路基板102のグランド導体に電気的に接続される。
【0076】
シェル8は、図6等に示すように、側壁82Aの短辺方向DS1における中間部(例えば2箇所のグランド接続部825の間)と、側壁82Bの短辺方向DS1における中間部(例えば2箇所のグランド接続部825の間)とにおいて、短辺方向DS1に並ぶ2つのシェル部材80A,80Bに分かれている。シェル部材80Aは上記側壁81Aを含み、シェル部材80Bは上記側壁81Bを含む。
【0077】
シェル部材80A,80Bのそれぞれは、例えば金属の薄板素材から1枚の板材を打ち抜き、これに曲げ加工等を施すことで形成される。このように、シェル8を2つの部材に分けることで、加工の容易化が図られている。
【0078】
壁部材11は、シェル8に連続して配置される部材である。図8(a)及び図8(b)にも示すように、壁部材11は、平面視で略コの字形状とされていて、一対の対向する隔壁111A,111Bと、一対の隔壁111の一方の端部同士を接続する接続壁112と、を有する。プラグコネクタ3では、2つの壁部材11A,11Bが設けられる。
【0079】
隔壁111A,111Bは、平行に延びる同一形状の矩形状とされている。また、隔壁111A,111Bはそれぞれ端部にシェル8と接続するための突起部113が設けられる。隔壁111Aの突起部113と隔壁111Bの突起部113とは、図8(a)に示すように対向するように設けられる。また、突起部113は、隔壁111A,111Bの端部から隔壁111A,111Bの延在方向に沿って突出するように設けられていてもよい。また、突起部113の先端113aは、接続方向CD1に沿って隔壁111A,111Bよりも下方(回路基板102へ向かう方向)へ突出していてもよい。また、先端113aは、回路基板102のグランド導体と直接接続する構成であってもよい。
【0080】
接続壁112は、平行に配置される隔壁111A,111Bのそれぞれにおいて、突起部113が設けられている端部とは逆の端部同士を接続する。すなわち、接続壁112は、隔壁111A,111Bの延在方向に対して垂直な方向に延びる。隔壁111A,111B及び接続壁112が、平面視において四角形の三辺を構成するように配置される。なお、接続壁112には、回路基板102との接続方向CD1に沿って突起部113の先端113aと同様に回路基板102へ向けて突出するグランド接続部114が設けられる。グランド接続部114は、接続壁112の両端、すなわち、隔壁111A,111Bに近い位置に設けられる。壁部材11は、コンタクト保持部9との密着性を高めるための切り欠き等を設けていてもよい。例えば、隔壁111A,111Bと接続壁112との境界位置には一対の切り欠き115が設けられている。この一対の切り欠き115は、プラグコネクタ3とリセプタクルコネクタ2とを嵌合させた際に、リセプタクルコネクタ2の区画壁61が入り込むことを可能とするために設けられている。この点は後述する。また、グランド接続部114は、図8(b)に示すように、曲線状の形状とされている。
【0081】
壁部材11は、例えば金属の薄板素材から1枚の板材を打ち抜き、これに曲げ加工等を施すことで形成される。
【0082】
図5に示すように、プラグコネクタ3では、2つの壁部材11A,11Bが用いられる。壁部材11A,11Bは、それぞれ平面視において一つの第2種コンタクト7Bを囲うように配置される。例えば、壁部材11Aは、シェル8の側壁82Aと接続壁112とが、側壁82Aに最も近い第2種コンタクト7Bを挟んで対向するように配置される。また、壁部材11Aの接続壁112は、第2種コンタクト7Bと第1種コンタクト7A(のうち側壁82Aに近い2つの第1種コンタクト7A)との間に配置される。このとき、隔壁111Aは、側壁81Aと第2種コンタクト7B(側壁82Aと接続壁112との間に位置する第2種コンタクト7B)との間に配置され、隔壁111Bは、側壁81Bと第2種コンタクト7B(側壁82Aと接続壁112との間に位置する第2種コンタクト7B)との間に配置される。このとき、突起部113は、側壁82Aと当接する。
【0083】
また、例えば、壁部材11Bは、シェル8の側壁82Bと接続壁112とが、側壁82Bに最も近い第2種コンタクト7Bを挟んで対向するように配置される。また、壁部材11Bの接続壁112は、第2種コンタクト7Bと第1種コンタクト7A(のうち側壁82Bに近い2つの第1種コンタクト7A)との間に配置される。このとき、隔壁111Aは、側壁81Bと第2種コンタクト7B(側壁82Bと接続壁112との間に位置する第2種コンタクト7B)との間に配置され、隔壁111Bは、側壁81Aと第2種コンタクト7B(側壁82Bと接続壁112との間に位置する第2種コンタクト7B)との間に配置される。このとき、突起部113は、側壁82Bと当接する。
【0084】
コンタクト保持部9は、複数のコンタクト7、シェル8、及び壁部材11とを保持する絶縁性の部材である。例えばコンタクト保持部9は、複数のコンタクト7、シェル8、及び壁部材11を金型に配置した状態でインサート成型によって形成される。
【0085】
コンタクト保持部9は、枠部93と、本体部94とを有する。枠部93は、シェル8の少なくとも一部(例えば側壁82A,82B)を外周から保持する。本体部94は、側壁82A,82Bの間に配置され、枠部93に連結されている。本体部94は、図5及び図7に示すように、回路基板102に面する背面96と、背面96と逆向きの前面95とを有する。本体部94は、接続方向CD1に垂直な方向において複数の保持エリアに区画されている。
【0086】
複数の保持エリアは、第1種保持エリア91と第2種保持エリア92とを含む。第1種保持エリア91は、複数のコンタクト7を保持する。例えば第1種保持エリア91は、複数(例えば4つ)の第1種コンタクト7Aを保持する。第2種保持エリア92は、1つのコンタクト7を保持して他のコンタクト7を保持しない。例えば第2種保持エリア92は、1つの第2種コンタクト7Bを保持する。
【0087】
複数の保持エリアは、2つの第2種保持エリア92を含んでいてもよく、複数の第2種保持エリア92の間に少なくとも1つの第1種保持エリア91が介在していてもよい。一例として、本体部94は、1つの第1種保持エリア91と、当該第1種保持エリア91を挟む2つの第2種保持エリア92とに区画されている。第1種保持エリア91と、2つの第2種保持エリア92とは、長辺方向DL1に沿って並んでいる。以下、2つの第2種保持エリア92を第2種保持エリア92A,92Bとして区別する。
【0088】
本体部94が1つの第1種保持エリア91と、当該第1種保持エリア91を挟む2つの第2種保持エリア92A,92Bに区画されている場合、シェル8の側壁81A,81B,82A,82Bは、各エリアの外周を囲うように設けられる。換言すると、シェル8の側壁81A,81B,82A,82Bは、第1種保持エリア91及び第2種保持エリア92A,92Bを包囲する包囲壁として機能し得る。
【0089】
複数の保持エリアは、例えば、壁部材11により区画されていてもよい。例えば第2種保持エリア92Aと第1種保持エリア91との間には、図5に示すように、長辺方向DL1に垂直な境界PL21に沿って壁部材11Aの接続壁112が設けられ、接続壁112により区画されている。第1種保持エリア91と第2種保持エリア92Bとは、長辺方向DL1に垂直な境界PL22に沿って壁部材11Bの接続壁112が設けられ、接続壁112により区画されている。すなわち、壁部材11の接続壁112は、第1種保持エリア91と第2種保持エリア92(92Aまたは92B)とを区画する区画壁として機能し得る。
【0090】
なお、壁部材11Aの接続壁112に沿って、一対の切り欠き115(図8(a)参照)により形成された溝部117Aが形成される。溝部117Aは、接続壁112と同様に短辺方向DS1に沿って延びる。また、壁部材11Bの接続壁112にも、一対の切り欠き115により形成された溝部117Bが形成される。溝部117Bは、接続壁112と同様に短辺方向DS1に沿って延びる。溝部117A,117Bに、リセプタクルコネクタ2の区画壁61が挿入された状態で、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが嵌合する。
【0091】
コンタクト保持部9においては、全ての第1種コンタクト7Aについて、接続方向CD1から見て、接続部71と接触部72との連結方向(互いに連結された接続部71と接触部72とが並ぶ方向)が同一の方向に沿うように配置されている。換言すると、いずれのコンタクト7も、接触部72とリセプタクルコネクタ2のコンタクト4との接触方向が同一の方向に沿うように配置されている。例えば、いずれの接触部72も、接続部71と接触部72との連結方向が短辺方向DS1に沿うように配置されている。リセプタクルコネクタ2から見て、全ての第1種コンタクト7Aの接触部72がコンタクト保持部9の外縁よりも内方に配置されている。
【0092】
また、2つの第2種コンタクト7Bの両方について、接続方向CD1から見て、接続部73と接触部74との連結方向(互いに連結された接続部73と接触部74とが並ぶ方向)が同一の方向に沿うように配置されている。また、リセプタクルコネクタ2から見て、2つの第2種コンタクト7Bの接触部74がコンタクト保持部9の外縁よりも内方に配置されている。
【0093】
また、第1種保持エリア91では、同一方向(例えば長辺方向DL1)に沿った基部からリセプタクルコネクタ2に向かって突出した保持用隆起部を有する。第1種保持エリア91では、全ての第1種コンタクト7Aの接触部72が保持用隆起部の側面に露出している。一例として、第1種保持エリア91は、互いに平行な2つの保持用隆起部911A,911Bを有する。保持用隆起部911A,911Bは、本体部94の前面95に形成されており、長辺方向DL1に沿った基部からリセプタクルコネクタ2に向かって突出している。前面95において、保持用隆起部911Aはシェル8の長辺8a寄りに位置し、保持用隆起部911Bはシェル8の長辺8b寄りに位置している。
【0094】
第1種保持エリア91が保持する4つの第1種コンタクト7Aは、保持用隆起部911Aに沿って並ぶ2つの第1種コンタクト7Aと、保持用隆起部911Bに沿って並ぶ2つの第1種コンタクト7Aとを含む。すなわち、第1種保持エリア91が保持する複数の第1種コンタクト7Aは、長辺方向DL1(境界PL21,PL22に垂直な配列方向)に沿って並ぶ複数の第1種コンタクト7Aを含む。
【0095】
保持用隆起部911Aに沿って並ぶいずれの第1種コンタクト7Aも、接触部72の頂点(最も突出する部分)及びその周辺が保持用隆起部911Aの側面に露出するように保持用隆起部911Aに装着される。これにより、保持用隆起部911Aに沿って並ぶいずれの第1種コンタクト7Aも、接続方向CD1から見て接続部71と接触部72との連結方向が短辺方向DS1に沿うように配置されている。また、接続部71は、接触部72の端部から長辺8aに向かって張り出している。保持用隆起部911Aの第1種コンタクト7Aにおいて、接続部71は、リセプタクルコネクタ2から見て本体部94と長辺8aとの間に露出している。これにより、回路基板102に対する接続部71の接続状態の目視確認が可能となっている。
【0096】
同様に、保持用隆起部911Bに沿って並ぶいずれの第1種コンタクト7Aも、接触部72の頂点(最も突出する部分)及びその周辺が保持用隆起部911Bの側面に露出するように保持用隆起部911Bに装着される。これにより、保持用隆起部911Bに沿って並ぶいずれの第1種コンタクト7Aも、接続方向CD1から見て接続部71と接触部72との連結方向が短辺方向DS1に沿うように配置されている。接続部71は、接触部72の端部から長辺8bに向かって張り出している。保持用隆起部911Bの第1種コンタクト7Aにおいて、接続部71は、リセプタクルコネクタ2から見て本体部94と長辺8bとの間に露出している。これにより、回路基板102に対する接続部71の接続状態の目視確認が可能となっている。
【0097】
プラグコネクタ3がリセプタクルコネクタ2に嵌合した状態において、保持用隆起部911Aは収容溝部511Aに収容され、保持用隆起部911Bは収容溝部511Bに収容される)。保持用隆起部911A,911Bのいずれにおいても、第1種コンタクト7Aの接触部72は第1種コンタクト4Aの接触部42に接触する。
【0098】
第2種コンタクト7Bの周囲では、接触部74の周囲が露出するように平坦面97が形成される。これは、プラグコネクタ3がリセプタクルコネクタ2に嵌合した状態において、接触部74が第2種コンタクト4Bの接触部44の開口441に入り込むことが可能な形状とされているためである。ただし、平坦面97には接続方向CD1に沿って前面95から背面96まで貫通する凹部971が設けられる。凹部971は、接続方向CD1から見て第2種コンタクト4Bの接続部41に対応する位置に形成される。第2種コンタクト7Bにおいて、接触部74に対して長辺8aまたは8bに向かって張り出した接続部73の端部は、凹部971と隔壁111Aで囲まれた領域に位置している。これにより、回路基板102に対する接続部73の接続状態の目視確認が可能となっている。
【0099】
以上のように構成されるプラグコネクタ3は、背面96を回路基板102に向けた状態で回路基板102に取り付けられる。例えば、側壁81Aの3箇所のグランド接続部815、側壁81Bの3箇所のグランド接続部815、側壁82Aの2箇所のグランド接続部825、側壁82Bの2箇所のグランド接続部825、壁部材11Aの2箇所のグランド接続部114、及び、壁部材11Bの2箇所のグランド接続部114が、回路基板102に形成されたグランド導体が露出する領域に対して、それぞれ半田接合等により接続される。また、4つの第1種コンタクト7Aの接続部71、及び、2つの第2種コンタクト7Bの接続部73が、回路基板102に形成された信号導体が露出する複数の領域のそれぞれに対して、例えば、それぞれ半田接合等により接続される。
【0100】
一例として、プラグコネクタ3はリセプタクルコネクタ2に嵌合する際に、リセプタクルコネクタ2の第2種保持エリア52A,52Bに対して、プラグコネクタ3の第2種保持エリア92A,92Bがそれぞれ対向した状態で嵌合したとする。このとき、上述のように、シェル8はシェル6の外周に位置する(図12も参照)。
【0101】
この状態において、図12図13に示すように、側壁81Aは、包囲壁62Aの側部622Aと、包囲壁62Bの側部622Aと、エリア間接続プレート64Aとに接触する。このとき、エリア間接続プレート64Aに設けられた弾性部643及び側部622Aに設けられた2箇所の突起626が側壁81Aに対して押圧することとなる。
【0102】
側壁81Bは、包囲壁62Aの側部622Bと、包囲壁62Bの側部622Bと、エリア間接続プレート64Bとに接触する。このとき、エリア間接続プレート64Bに設けられた弾性部643及び側部622Bに設けられた2箇所の突起626が側壁81Bに対して押圧することとなる。
【0103】
また、包囲壁62Aの側部622A及び側壁81Aと、嵌合した状態の第2種コンタクト4B,7Bとの間には、これらを区画するコンタクト包囲壁としての隔壁111Aが設けられる。また、エリア内接続プレート63の開口部631に設けられた弾性部632が、隔壁111Aを第2種コンタクト4B,7Bへ向けて押圧することとなる。
【0104】
同様に、包囲壁62Bの側部622B及び側壁81Bと、嵌合した状態の第2種コンタクト4B,7Bとの間には、これらを区画するコンタクト包囲壁としての隔壁111Bが設けられる。また、エリア内接続プレート63の開口部631に設けられた弾性部632が、隔壁111Bを第2種コンタクト4B,7Bへ向けて押圧することとなる。
【0105】
また、図14に示すように、側壁82Aは、包囲壁62Aの対向部621に接触する。このとき、包囲壁62Aに設けられた弾性部623(及び突起624)が側壁82Aを押圧することとなる。側壁82Bは、包囲壁62Bの対向部621に接触する。このとき、包囲壁62Bに設けられた弾性部623(及び突起624)が側壁82Bを押圧することとなる。
【0106】
また、嵌合した状態の第1種コンタクト4A,7Aと、側壁82Aに近い位置に設けられた、嵌合した状態の第2種コンタクト4B,7Bと、の間には、壁部材11Aの接続壁112が設けられる。また、接続壁112は、接続壁112よりも第2種コンタクト4B,7B寄りに配置された区画壁61Aに接触する。このとき、区画壁61Aに設けられた弾性部613が接続壁112を押圧することとなる。
【0107】
同様に、嵌合した状態の第1種コンタクト4A,7Aと、側壁82Bに近い位置に設けられた、嵌合した状態の第2種コンタクト4B,7Bと、の間には、壁部材11Bの接続壁112が設けられる。また、接続壁112は、接続壁112よりも第2種コンタクト4B,7B寄りに配置された区画壁61Bに接触する。このとき、区画壁61Bに設けられた弾性部613が接続壁112を押圧することとなる。
【0108】
なお、以上の構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えばコンタクト保持部9は、少なくとも1つの第2種保持エリア92を有していればよく、必ずしも2つ以上の第2種保持エリア92を有しなくてよい。コンタクト保持部9は、4つ以上の保持エリアに区画されていてもよい。2つの第2種保持エリア92の間に、必ずしも第1種保持エリア91が介在していなくてよく、第2種保持エリア92同士が隣り合っていてもよい。
【0109】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、コネクタ装置1は、第1コネクタとしてのリセプタクルコネクタ2と、第2コネクタとしてのプラグコネクタ3と、を有している。このとき、リセプタクルコネクタ2は、回路基板101(第1基板)の複数の導体にそれぞれ接続される導電性の複数のコンタクト4(第1コンタクト)と、複数のコンタクト4を保持する絶縁性のコンタクト保持部5(第1コンタクト保持部)と、回路基板101のグランド導体に対して電気的に接続され、コンタクト保持部5を、複数のコンタクト4(第1種コンタクト4A)を保持する第1種保持エリア51と、1つのコンタクト4(第2種コンタクト4B)を保持して他のコンタクト4を保持しない第2種保持エリア52と、に区画する導電性の第1区画壁として機能する区画壁61A,61Bと、回路基板101のグランド導体に対して電気的に接続され、第2種保持エリア52の外周に沿って区画壁61A,61Bと並ぶ導電性の第1包囲壁として機能する包囲壁62A,62Bを有している。また、プラグコネクタ3は、回路基板102(第2基板)の複数の導体にそれぞれ接続されると共に、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが嵌合した際に、複数のコンタクト4に対してそれぞれ接触する、導電性の複数のコンタクト7(第2コンタクト)と、回路基板102のグランド導体に対して電気的に接続される導電性の第2区画壁として機能する接続壁112と、回路基板102のグランド導体に対して電気的に接続される導電性の第2包囲壁として機能する側壁81A,81B,82A,82Bと、を有している。
【0110】
また、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが嵌合した際に、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52との間には、第1区画壁及び第2区画壁が二重に配置される。具体的には、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52Aとの間には、区画壁61A及び接続壁112が二重に配置され、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52Bとの間には、区画壁61B及び接続壁112が二重に配置される。また、第2種保持エリア52の外周には、第1包囲壁及び第2包囲壁が二重に配置される。具体的には、第2種保持エリア52Aの外周には、側壁81A,81B,82A及び包囲壁62Aが二重に配置され、第2種保持エリア52Bの外周には、側壁81A,81B,82B及び包囲壁62Aが二重に配置される。
【0111】
上記のコネクタ装置1によれば、リセプタクルコネクタ2(第1コネクタ)とプラグコネクタ3(第2コネクタ)とが嵌合した際に第2種保持エリア52と第1種保持エリア51との間では、第1区画壁及び第2区画壁が二重に配置され、第2種保持エリア52の外周では、第1包囲壁及び第2包囲壁が二重に配置される。そのため、特に第2種保持エリア52に配置されるノイズ源となりやすいコンタクトについてノイズの抑制を効果的に行うことができる。
【0112】
また、上記のコネクタ装置1では、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが嵌合した際に、第1区画壁としての区画壁61A,61Bと、第2区画壁としての接続壁112と、がそれぞれ接触する。このような構成とすることで、第1区画壁及び第2区画壁を同電位とすることができ、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0113】
また、第1区画壁と第2区画壁とのいずれか一方は、接触時に相手の区画壁を押圧する弾性部を有する。具体的には、コネクタ装置1では、区画壁61A,61Bが弾性部613を有し、相手となる接続壁112を押圧する。このように、弾性部によって相手の区画壁を押圧支持する構成とすることで、両者の接触をより確実に行うことができる。
【0114】
また、上記のコネクタ装置1では、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが嵌合した際に、第1包囲壁としての包囲壁62A,62Bと第2包囲壁としての側壁81A,81B,82A,82Bとが接触する。このような構成とすることで、第1包囲壁及び第2包囲壁を同電位とすることができ、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0115】
また、第1包囲壁と第2包囲壁とのいずれか一方は、接触時に相手の区画壁を押圧する弾性部を有する。具体的には、コネクタ装置1では、例えば、包囲壁62A,62Bが弾性部623を有し、相手となる側壁82A,82Bを押圧する。このように、弾性部によって相手の区画壁を押圧支持する構成とすることで、両者の接触をより確実に行うことができる。なお、突起624,626についても、相手となる包囲壁62A,62Bとの接触をより確実に行う構成の一つとして機能している。
【0116】
また、第2コネクタとしてのプラグコネクタ3は、リセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが嵌合した際に、第2種保持エリア52(及び対応する第2種保持エリア92)内で第1区画壁としての区画壁61A,61B及び第2区画壁としての接続壁112に対して交差する方向に延び、コンタクト4,7と、第1包囲壁としての包囲壁62A(側部622A)及び第2包囲壁としての側壁81Aとの間を区画するコンタクト包囲壁としての隔壁111Aを有する。同様に、コンタクト4,7と、第1包囲壁としての包囲壁62A(側部622A)及び第2包囲壁としての側壁81Bとの間を区画するコンタクト包囲壁としての隔壁111Bを有する。このような構成とすることで、第2種保持エリア52(及び対応する第2種保持エリア92)内のコンタクト4,7と、第1包囲壁としての包囲壁62A(側部622A)及び第2包囲壁としての側壁81Aと、を区画することができるため、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。さらに、コンタクト包囲壁としての隔壁111Aが回路基板101,102のグランド導体に電気的に接続している場合、第2種保持エリア52内において接続されたコンタクト4,7の周囲の電位を同一電位とすることができ、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0117】
また、プラグコネクタ3において、第2コンタクトとしてのコンタクト7の基板接続部である接続部71,73は、それぞれ第2包囲壁としての側壁81A,81Bのいずれかと対向する。また、第2種保持エリア52(第2種保持エリア92)に配置されるコンタクト7の基板接続部は、側壁82A,82Bと対向するように配置してもよい。このような構成とすることで、特に、第2種保持エリア52(第2種保持エリア92)に配置されるコンタクトを他のコンタクトからより隔離することができるので、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。コンタクト4,7は、回路基板との接続部をそれぞれ設ける必要があるが、一般的に接続部は相手のコンタクトと接続するための接触部に対して外方に設けられ得る。この場合、接続部が他のコンタクトと近接するとノイズの抑制効果が低減する場合がある。これに対して上記の構成とすることで、特に第2種保持エリア52(92)に配置されるコンタクトとの距離を大きく確保することができる。
【0118】
なお、第2種保持エリア52(第2種保持エリア92)に配置されるコンタクト7の基板接続部としての接続部73は、コンタクト包囲壁としての隔壁111Aまたは隔壁111Bと対向していてもよい。このような構成とすることで、第2種保持エリアに配置されるコンタクトを他のコンタクトからより隔離することができるので、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。
【0119】
また、相手コネクタと嵌合可能なコネクタとしてのリセプタクルコネクタ2は、回路基板101の複数の導体にそれぞれ接続される導電性の複数のコンタクト4と、複数のコンタクト4を保持する絶縁性のコンタクト保持部5と、回路基板101のグランド導体に対して電気的に接続され、コンタクト保持部5を、複数のコンタクト4(第1種コンタクト4A)を保持する第1種保持エリア51と、1つのコンタクト4(第2種コンタクト4B)を保持して他のコンタクト4を保持しない第2種保持エリア52と、に区画する導電性の区画壁として機能する区画壁61A,61Bと、回路基板101のグランド導体に対して電気的に接続され、第2種保持エリア52の外周に沿って区画壁61A,61Bと並ぶ導電性の包囲壁として機能する包囲壁62A,62Bを有している。また、区画壁は、相手コネクタと嵌合した際に、相手コネクタの区画壁と接触する接触部としての弾性部613を有し、包囲壁は相手コネクタと嵌合した際に、相手コネクタの包囲壁と接触する接触部としての弾性部623を有する。
【0120】
上記のコネクタでは、相手コネクタと嵌合した際に第2種保持エリアと第1種保持エリアとの間において区画壁が相手コネクタの区画壁と接触し、第2種保持エリアの外周において包囲壁が相手コネクタの包囲壁と接触する。そのため、特に第2種保持エリアに配置されるノイズ源となりやすいコンタクトについてノイズの抑制を効果的に行うことができる。
【0121】
〔変形例〕
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、第1コネクタがリセプタクルコネクタ2であって、第2コネクタがプラグコネクタ3であることを想定して実施形態の効果を説明したが、第1コネクタがプラグコネクタ3であり、第2コネクタがリセプタクルコネクタ2であってもよい。
【0122】
例えば、上述の実施形態は、1つの信号が1つのコンタクトにより伝送されることを前提としているが、差動信号のように1つの信号が1対(2つ)のコンタクトにより伝送される場合もある。このような場合、第2種保持エリア52が1対の第2種コンタクト4Bを保持し、第2種保持エリア92が1対の第2種コンタクト7Bを保持してもよい。すなわち、コンタクト保持部5の複数の保持エリアは、複数の信号を伝送する複数のコンタクト4を保持する第1種保持エリア51と、1つの信号を伝送する1対のコンタクト4を保持して他のコンタクト4を保持しない第2種保持エリア52とを含んでもよい。また、コンタクト保持部9の複数の保持エリアは、複数の信号を伝送する複数のコンタクト7を保持する第1種保持エリア91と、1つの信号を伝送する1対のコンタクト7を保持して他のコンタクト7を保持しない第2種保持エリア92とを含んでもよい。
【0123】
また、本開示に係るコネクタ装置は、少なくともリセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3とが嵌合した際に、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52との間に、リセプタクルコネクタ2の第1区画壁とプラグコネクタ3の第2区画壁とが二重に配置され、第2種保持エリア52の外周に、リセプタクルコネクタ2の第1包囲壁とプラグコネクタ3の第2包囲壁とが二重に配置されていればよく、その観点で、適宜構成を変更することができる。以下2つの変形例について説明する。
【0124】
まず、第1変形例に係るコネクタ装置1Aを構成するリセプタクルコネクタ2Aについて、図15を参照しながら説明する。また、コネクタ装置1Aを構成するプラグコネクタ3Aについて、図16及び図17を参照しながら説明する。
【0125】
リセプタクルコネクタ2Aは、リセプタクルコネクタ2と比較して、第2種コンタクト4Bの形状が異なっていること、エリア間接続プレート64が設けられていないことが相違する。
【0126】
リセプタクルコネクタ2Aでは、第2種コンタクト4Bは第1種コンタクト4Aと同様に、接触部44が略U字状とされている。また、その両端が接続方向CD1に沿いプラグコネクタ3に向かってそれぞれ突出し、プラグコネクタ3のコンタクト7を挟む。また、接続部43は、略U字状の接触部44の一端から、接触部44と逆向きとなる外方に向けて張り出している。このように第2種コンタクト4Bの形状は適宜変更することができる。また、この形状の変更に対応させて、プラグコネクタ3Aの第2種コンタクト7Bの形状も変更される。リセプタクルコネクタ2Aの場合、第2種コンタクト7Bは第1種コンタクト7Aと同様の形状とされる。
【0127】
また、リセプタクルコネクタ2Aでは、エリア間接続プレート64が設けられていない。したがって、第2種保持エリア52Aの外周に沿って区画壁61Aと並ぶ導電性の包囲壁62Aと、第2種保持エリア52Bの外周に沿って包囲壁62Aと並ぶ導電性の包囲壁62Bと、が離間した状態とされている。すなわち、包囲壁62Aと包囲壁62Bの側部622A同士は接続されておらず、包囲壁62Aと包囲壁62Bの側部622B同士も接続されていない。包囲壁62A,62Bの対向部621、側部622A,622Bの形状は、リセプタクルコネクタ2と同様である。また、リセプタクルコネクタ2Aでは、区画壁61A,61Bの形状もリセプタクルコネクタ2と同様とすることができる。また、区画壁61A,61B及び包囲壁62A,62Bに突起624,626及び弾性部613,623が設けられる点もリセプタクルコネクタ2と同様とすることができる。
【0128】
プラグコネクタ3Aは、上記の第2種コンタクト7Bの形状が変更されるほか、壁部材11が設けられていない点がプラグコネクタ3と相違する。また、壁部材11が設けられていないため、プラグコネクタ3Aでは、第2包囲壁として機能していた接続壁112が設けられていない。そのため、シェル8の形状を変更することで、シェル8が第2包囲壁としての機能も有する構成に変更している。
【0129】
具体的には、プラグコネクタ3Aでは、シェル8Aは、2つのシェル部材80C,80Dを有する。シェル部材80Cは、第2種保持エリア92Aの周囲において長辺8aに沿った側壁83Aと、長辺8bに沿った側壁83Bと、短辺8cに沿った側壁82Aと、を有する。また、シェル部材80Cは、側壁83Bの第1種保持エリア91に近い端部から延びて第2種保持エリア92Aと第1種保持エリア91との間を区画する区画壁87Aを有する。
【0130】
シェル部材80Dは、第2種保持エリア92Bの周囲において長辺8aに沿った側壁83Aと、長辺8bに沿った側壁83Bと、短辺8dに沿った側壁82Bと、を有する。また、シェル部材80Dは、側壁83Aの第1種保持エリア91に近い端部から延びて第2種保持エリア92Bと第1種保持エリア91との間を区画する区画壁87Bを有する。
【0131】
上記のリセプタクルコネクタ2Aとプラグコネクタ3Aとを嵌合させたコネクタ装置1Aでは、図18に示すように、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52との間には、第1区画壁及び第2区画壁が二重に配置される。具体的には、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52Aとの間には、第1区画壁としての区画壁61Aと、第2区画壁としての区画壁87Aと、が二重に配置される。また、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52Bとの間には、第1区画壁としての区画壁61B及び第2区画壁としての区画壁87Bが二重に配置される。また、第2種保持エリア52の外周には、第1包囲壁及び第2包囲壁が二重に配置される。具体的には、第2種保持エリア52Aの外周には、第1包囲壁としての側壁83A,83B,82Aと、第2包囲壁としての包囲壁62Aと、が二重に配置され、第2種保持エリア52Bの外周には、第1包囲壁としての側壁83A,83B,82Bと、第2包囲壁としての包囲壁62Bと、が二重に配置される。
【0132】
上記のコネクタ装置1Aによれば、リセプタクルコネクタ2(第1コネクタ)とプラグコネクタ3(第2コネクタ)とが嵌合した際に第2種保持エリア52と第1種保持エリア51との間では、第1区画壁及び第2区画壁が二重に配置され、第2種保持エリア52の外周では、第1包囲壁及び第2包囲壁が二重に配置される。そのため、特に第2種保持エリア52に配置されるノイズ源となりやすいコンタクトについてノイズの抑制を効果的に行うことができる。
【0133】
また、コネクタ装置1Aにおいても、リセプタクルコネクタ2Aとプラグコネクタ3Aとが嵌合した際に、第1区画壁と第2区画壁とのいずれか一方は、接触時に相手の区画壁を押圧する弾性部を有する。具体的には、コネクタ装置1Aでは、区画壁61A,61Bが弾性部613を有し、相手となる区画壁87A,87Bをそれぞれ押圧する。このように、弾性部によって相手の区画壁を押圧支持する構成とすることで、両者の接触をより確実に行うことができる。
【0134】
また、上記のコネクタ装置1Aにおいても、リセプタクルコネクタ2Aとプラグコネクタ3Aとが嵌合した際に、第1包囲壁としての包囲壁62A,62Bと第2包囲壁としての側壁83A,83B,82A,82Bとが接触する。このような構成とすることで、第1包囲壁及び第2包囲壁を同電位とすることができ、ノイズの抑制をより確実に図ることができる。また、第1包囲壁と第2包囲壁とのいずれか一方は、接触時に相手の区画壁を押圧する弾性部を有する。具体的には、コネクタ装置1Aでは、例えば、包囲壁62A,62Bが弾性部623を有し、相手となる側壁82A,82Bを押圧する。このように、弾性部によって相手の区画壁を押圧支持する構成とすることで、両者の接触をより確実に行うことができる。なお、突起624,626についても、相手となる包囲壁62A,62Bとの接触をより確実に行う構成の一つとして機能している。
【0135】
なお、リセプタクルコネクタ2Aと嵌合することによって、第2種保持エリア52と第1種保持エリア51との間では、第1区画壁及び第2区画壁が二重に配置され、第2種保持エリア52の外周では、第1包囲壁及び第2包囲壁が二重に配置されるプラグコネクタとしては、例えば、図19に示すプラグコネクタ3Bを用いることもできる。図19に示すプラグコネクタ3Bは、プラグコネクタ3Aと比較して、第1種保持エリアの外周を覆う側壁を有している点が相違する。プラグコネクタ3Bでは、シェル8Bがシェル部材80E,80Fの2つの部材から構成されている。
【0136】
シェル部材80Eは、第2種保持エリア92Aの周囲において長辺8aに沿った側壁83Aと、長辺8bに沿った側壁83Bと、短辺8cに沿った側壁82Aと、を有する。さらに、シェル部材80Eは、側壁83Aの第1種保持エリア91に近い端部からさらに長辺8aに沿って延びて第1種保持エリア91の外周を覆う側壁85Aと、側壁83Bの第1種保持エリア91に近い端部から延びて第2種保持エリア92Aと第1種保持エリア91との間を区画する区画壁87Aと、を有する。
【0137】
シェル部材80Fは、第2種保持エリア92Bの周囲において長辺8aに沿った側壁83Aと、長辺8bに沿った側壁83Bと、短辺8dに沿った側壁82Bと、を有する。さらに、シェル部材80Fは、側壁83Bの第1種保持エリア91に近い端部からさらに長辺8bに沿って延びて第1種保持エリア91の外周を覆う側壁85Bと、側壁83Aの第1種保持エリア91に近い端部から延びて第2種保持エリア92Bと第1種保持エリア91との間を区画する区画壁87Bと、を有する。
【0138】
上記の側壁85A,85Bは、プラグコネクタ3Bをリセプタクルコネクタ2Aと嵌合させた際に、回路基板101及び回路基板102のグランド導体に対して電気的に接続され、第1種保持エリア51の外周に沿って設けられる包囲壁として機能する。したがって、プラグコネクタ3Bをリセプタクルコネクタ2Aに嵌合させたコネクタ装置では、第1種保持エリア51と第2種保持エリア52との間には、第1区画壁及び第2区画壁が二重に配置される、第2種保持エリア52の外周には、第1包囲壁及び第2包囲壁が二重に配置されることに加えて、第1種保持エリア51の外周に沿って設けられる包囲壁を有する構成を実現することができる。この場合、第1種保持エリア51に設けられるコンタクトからのノイズも抑制することができる。
【0139】
このように、リセプタクルコネクタ及びプラグコネクタの形状は適宜変更することができる。なお、リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの組み合わせによっては、適切に嵌合させるためにリセプタクルコネクタ及びプラグコネクタの細部の形状を変更してもよい。
【符号の説明】
【0140】
1,1A…コネクタ装置、2,2A…リセプタクルコネクタ、3,3A,3B…プラグコネクタ、4…コンタクト(第1コンタクト)、4A…第1種コンタクト、4B…第2種コンタクト、5…コンタクト保持部、6…シェル、7…コンタクト(第2コンタクト)、7A…第1種コンタクト、7B…第2種コンタクト、8,8A,8B…シェル、9…コンタクト保持部、11,11A,11B…壁部材、41…接続部、42…接触部、51…第1種保持エリア、52,52A,52B…第2種保持エリア、61,61A,61B…区画壁、62,62A,62B…包囲壁、64A,64B…エリア間接続プレート、71…接続部、72…接触部、80A~80F…シェル部材、81A,81B,82A,82B,83A,83B,85A,85B…側壁、87A,87B…区画壁、91…第1種保持エリア、92A,92B…第2種保持エリア、101,102…回路基板、111,111A,111B…隔壁、112…接続壁。
図1
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