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特許7409122管理サーバー、音響管理方法、プログラム、音響クライアントおよび音響管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】管理サーバー、音響管理方法、プログラム、音響クライアントおよび音響管理システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20231226BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H04R29/00 310
H04R3/00 310
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020015329
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021125708
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大介
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/127942(WO,A1)
【文献】特開2019-169756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 29/00
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカーを含む音響クライアントを管理する管理サーバーであって、
前記スピーカーのインピーダンス特性を取得する取得部と、
取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部と、
前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部と、
を有する管理サーバー。
【請求項2】
当該管理サーバーは、第1音響クライアントおよび第2音響クライアントを管理し、前記音響クライアントは、前記第1音響クライアントであり、
前記取得部は、
前記第1音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性と、前記第2音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性とを取得し、
前記判定部は、
取得された前記第1音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性を、前記グローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記第1音響クライアントのスピーカーの状態を判定し、
取得された前記第2音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性を、前記グローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて、前記第2音響クライアントのスピーカーの状態を判定する
請求項1に記載の管理サーバー。
【請求項3】
前記判定部は、
前記第1音響クライアントのスピーカーの状態が異常であるか否かを判定し、
前記第2音響クライアントのスピーカーの状態が異常であるか否かを判定する、
請求項2に記載の管理サーバー。
【請求項4】
前記統計処理部は、
前記第1音響クライアントのスピーカーが異常でないと判定された場合の、当該スピーカーのインピーダンス特性と、
前記第2音響クライアントのスピーカーが異常でないと判定された場合の、当該スピーカーのインピーダンス特性と、
前記グローバル基準インピーダンス特性と
を統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する
請求項3に記載の管理サーバー。
【請求項5】
前記判定部は、
取得された前記第1音響クライアントにおける前記スピーカーのインピーダンス特性を、前記グローバル基準インピーダンス特性と、前記第1音響クライアントのスピーカーに対応付けられた第1ローカル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較結果に基づいて、前記第1音響クライアントの前記スピーカーが異常であるか否かを判定し、
取得された前記第2音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性を、前記グローバル基準インピーダンス特性と、前記第2音響クライアントのスピーカーに対応付けられた第2ローカル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較結果に基づいて、前記第2音響クライアントの前記スピーカーが異常であるか否かを判定する
請求項3または4に記載の管理サーバー。
【請求項6】
スピーカーを含む音響クライアントを管理するコンピューターが、
前記スピーカーのインピーダンス特性を取得し、
取得したインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、
当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定し、
前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定された状態に応じて統計処理し、
当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する
音響管理方法。
【請求項7】
スピーカーを含む音響クライアントを管理するコンピューターを、
前記スピーカーのインピーダンス特性を取得する取得部、
取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部、および、
前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部、
として機能させるプログラム。
【請求項8】
スピーカーを含み、管理サーバーに接続される音響クライアントであって、
前記スピーカーのインピーダンス特性を計測する計測部と、
計測されたインピーダンス特性を前記管理サーバーに送信することを指示する通信指示部と、
を有し、
前記管理サーバーが
送信されたインピーダンス特性に基づいて前記スピーカーの状態を判定する
音響クライアント。
【請求項9】
前記音響クライアントには、第1スピーカーおよび第2スピーカーが含まれ、
前記計測部は、
前記第1スピーカーの第1インピーダンス特性と、前記第2スピーカーの第2インピーダンス特性とを計測し、
前記通信指示部は、
計測された第1インピーダンス特性と、計測された第2インピーダンス特性とを前記管理サーバーに送信することを指示する
請求項8に記載の音響クライアント。
【請求項10】
前記音響クライアントは、処理装置を含み、
前記処理装置は、前記通信指示部を含む
請求項9に記載の音響クライアント。
【請求項11】
前記管理サーバーは、
前記第1スピーカーの状態が異常であるか否かを判定し、
前記第2スピーカーの状態が異常であるか否かを判定し、
前記管理サーバーによって前記第1スピーカーまたは前記第2スピーカーの一方が異常であり、他方が異常でないと判定された場合、
前記処理装置は、
前記異常であると判定されたスピーカーへの信号を、前記異常でないと判定されたスピーカーに供給させる
請求項10に記載の音響クライアント。
【請求項12】
管理サーバーと、スピーカーを含む音響クライアントとを有する音響管理システムであって、
前記スピーカーのインピーダンス特性を計測する計測部と、
前記計測部で計測されたインピーダンス特性を前記管理サーバーに送信することを指示する通信指示部と、
を有し、
前記管理サーバーは、
前記指示により送信されたインピーダンス特性を取得する取得部と、
取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部と、
前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部と、
を有する
音響管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理サーバー、音響管理方法、プログラム、音響クライアントおよび音響管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカーおよびアンプを含む音響装置は、例えば音楽演奏会場、劇場およびホールなどの建造物に設置され、または、野外などで使用される。このように様々な条件において使用される音響装置において重要となるのが動作の確認である。
音響装置の動作を確認する技術としては、複数のアンプの各チャンネルにスピーカーが接続された構成において、順序情報にしたがって音響を出力するスピーカーが順番に選択される技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-223515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、管理者が実際にスピーカーから出力される音響を聴取しなければないので、管理者にとって手間がかかる。
このような事情を考慮して本開示は、管理者にとって音響装置を管理する手間が削減される技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る管理サーバーは、スピーカーを含む音響クライアントを管理する管理サーバーであって、前記スピーカーのインピーダンス特性を取得する取得部と、取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部と、前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部と、を有する。
【0006】
本開示の一態様に係る音響管理方法は、スピーカーを含む音響クライアントを管理するコンピューターが、前記スピーカーのインピーダンス特性を取得し、取得したインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、 当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定し、前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する。
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、スピーカーを含む音響クライアントを管理するコンピューターを、前記スピーカーのインピーダンス特性を取得する取得部、取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部、および、前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部、として機能させる。
【0008】
本開示の一態様に係る音響クライアントは、スピーカーを含み、管理サーバーに接続される音響クライアントであって、前記スピーカーのインピーダンス特性を計測する計測部と、計測されたインピーダンス特性を前記管理サーバーに送信することを指示する通信指示部と、を有し、前記管理サーバーが、送信されたインピーダンス特性に基づいて前記スピーカーの状態を判定する。
【0009】
本開示の一態様に係る音響管理システムは、管理サーバーと、スピーカーを含む音響クライアントとを有する音響管理システムであって、前記スピーカーのインピーダンス特性を計測する計測部と、前記計測部で計測されたインピーダンス特性を前記管理サーバーに送信することを指示する通信指示部と、を有し、前記管理サーバーは、前記指示により送信されたインピーダンス特性を取得する取得部と、取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部と、前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】音響管理システムの構成を示す図である。
図2】音響管理システムにおける管理サーバーのハードウェア構成を示す図である。
図3】音響管理システムにおける音響クライアントのハードウェア構成を示す図である。
図4】音響クライアントにおける処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図5】管理サーバーで構築される機能ブロック図である。
図6】音響クライアントとデータベースとの対応関係を示すである。
図7】処理装置で構築される機能ブロック図である。
図8】音響管理システムの動作を示すフローチャートである。
図9】音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性の例を示す図である。
図10】音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性の例を示す図である。
図11】音響クライアントにおけるマトリクス選択装置の選択を示す図である。
図12】他の音響クライアントのハードウェア構成を示す図である。
図13】別の音響クライアントで構築される機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施形態に係る音響管理システム1の構成を示す図である。音響管理システム1は、管理サーバー10と、第1音響クライアント20-1、第2音響クライアント20-2、…、第n音響クライアント20-nとが通信網Naを介して接続される。nは、1または2以上の整数であるが、図では便宜的にnが3以上である場合の例を示している。また、通信網Naは、典型的にはインターネットであるが、有線または無線を問わず、管理サーバー10が遠隔の地にある第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nと通信可能とさせるネットワークであればよい。
【0012】
なお、接続とは、2以上の要素間が直接結合された状態のほか、1または2以上の中間要素が存在する状態を含む。また、要素間の接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、またはこれらの組み合わせであってもよい。
また、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nについて区別する必要がない場合、ハイフン以降の符号を省略して、単に音響クライアント20として説明する。
音響クライアント20は、後述するように1または2以上の複数のスピーカーを含む。管理サーバー10は、これらのスピーカーを管理する装置であり、後述するように音響クライアント20に各種の指示を出力したり、音響クライアント20から各種の情報を入力したり、する。
【0013】
図2は、管理サーバー10のハードウェア構成を示す図である。管理サーバー10は、例えばパーソナルコンピューター等の情報処理端末である。管理サーバー10は、制御装置110、記憶装置122および通信装置126を含み、これらの要素がバスB1を介して相互に接続される。
制御装置110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の単数または複数の処理回路で構成され、管理サーバー10における各要素を制御する。
【0014】
記憶装置122は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体で構成された単数または複数のメモリーである。記憶装置122は、制御装置110が実行するプログラムと制御装置110が使用する各種のデータとを記憶する。なお、記憶装置122は、複数種の記録媒体の組み合わせにより構成されてもよい。また、記憶装置122は、管理サーバー10に対して着脱可能な可搬型の記録媒体、または、通信網Naを介して管理サーバー10と通信可能な外部記録媒体(例えばオンラインストレージ)であってもよい。
通信装置126は、外部機器と通信網Naを介して通信するために用いられる。外部機器とは、典型的には第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nであるが、上述した通信網Naを介して外部記録媒体が用いられる場合には、当該外部記録媒体も含まれる。
【0015】
図3は、ある1つの音響クライアント20のハードウェア構成を示す図である。
本実施形態において音響クライアント20は、音響装置200a、200bおよび200cを含む。音響装置200aはスピーカー260aを含み、音響装置200bはスピーカー260bを含み、音響装置200cはスピーカー260cを含む。音響装置200a、200bおよび200cは、例えば、音楽演奏会場および劇場などのホールや屋外に設置される。
なお、本実施形態において、音響クライアント20は、3台の音響装置200a、200bおよび200cを含むが、この台数に制限はない。1つの音響クライアント20が有する音響装置の台数は、1または2以上であればよいが、図では、説明を簡略化するための3としている。また、本実施形態では、音響クライアント20に、音響装置200a、200bおよび200cが含まれるが、音響クライアントを音響装置とみなすこともできる。
【0016】
音響クライアント20は、音響装置200a、200bおよび200cのほか、入出力装置230を含む。入出力装置230は 1または2以上の音響信号を入力して、チャンネルIn1、In2、In3に出力する。入出力装置230に入力される音響信号とは、音響(音)を示す信号であり、アナログとデジタルとの双方を含む。音響信号は、スピーカー260a、260b、260cによって聴取者に聴かせる音響の源となる信号であり、典型的には、マイクの収音信号、楽器の出力信号、映画の再生信号などである。
【0017】
音響装置200aは、スピーカー260aに対応して設けられ、チャンネルIn1、In2、In3を適宜選択し、選択した信号を増幅してスピーカー260aに向けて出力する。具体的には、音響装置200aは、処理装置210、マトリクス選択装置M_a、増幅装置Amp、電流センサーA、電圧センサーVおよび計測部Imsを含む。
処理装置210は、例えばパーソナルコンピューター等の情報処理端末である。処理装置210は、管理サーバー10と通信網Naを介して接続され、マトリクス選択装置M_aの選択を制御し、計測部Imsにより送信されたインピーダンス特性を入力する。
マトリクス選択装置M_aは、チャンネルIn_1、In_2、In_3を、処理装置210の指示またはオペレーターの操作にしたがって選択し、選択したチャンネルに供給された音響信号を合算して、増幅装置Ampに供給する。
なお、図において、チャンネルIn_1、In_2、In_3の信号線と増幅装置Ampへの信号線との交差に対応する黒点は、当該信号線同士の接続を示す。具体的には、図3に示されるように、マトリクス選択装置M_aは、チャンネルIn_1を選択した例である。
【0018】
音響装置200aにおいて、増幅装置Ampは、マトリクス選択装置M_aの出力信号を増幅し、当該増幅した信号を音響信号Out_aとしてスピーカー260aに供給する。
音響装置200aにおいて、電流センサーAは、音響信号Out_aの電流を検出し、電圧センサーVは、音響信号Out_aの電圧を検出する。計測部Imsは、電流センサーAで検出された電流と電圧センサーVで検出された電圧とに基づきスピーカー260aのインピーダンス特性を計測する。
【0019】
スピーカー260aのインピーダンス特性の計測について簡単に説明する。
ここでいうインピーダンス特性とは、スピーカー260aに音響信号が流れるときのインピーダンス(オーム)と周波数(Hz)との関係をいう。具体的には、インピーダンス特性とは、スピーカー260aのインピーダンスを縦軸にとり、周波数を横軸にとった特性であり、例えば図9に示されるような特性をいう。
【0020】
計測部Imsは、次のような一連の動作によってスピーカー260aのインピーダンス特性を計測する。具体的には、計測部Imsは、第1に、電流センサーAで検出された電流を高速フーリエ変換して、周波数成分毎に電流レベルの周波数スペクトラムを求め、同様に、電圧センサーVで検出された電圧を高速フーリエ変換して、周波数成分毎に電圧レベルの周波数スペクトラムを求める。計測部Imsは、第2に、周波数成分毎に電圧レベルを電流レベルで除して、インピーダンスを算出し、算出したインピーダンスを周波数成分に対応付けて内部メモリー(図示省略)に上書きする。
【0021】
これらの一連の動作が、スピーカー260aの動作中において、すなわち音響信号Outが供給される期間において、一定の期間毎に定期的に実行されると、内部メモリーには、周波数成分毎のインピーダンスが、常に最新の値にアップデートされる。
このように周波数成分毎にインピーダンスが算出されると、上記図9に示されるようなインピーダンス特性が得られる。なお、高速フーリエ変換した電流レベルおよび電流レベルが小さいと(具体的には閾値未満であれば)、誤差の影響が大きくなるので、内部メモリーに上書きする対象から除外してもよい。
また、インピーダンス特性の周波数範囲は、図9の例では、20Hz~20kHzとしているが、この範囲に限られない。
【0022】
音響装置200b、200cは、音響装置200aとほぼ同様であり、詳細については省略する。なお、図では、音響装置200bにおけるマトリクス選択装置M_bが、チャンネルIn_2を選択した例が示され、音響装置200bにおけるマトリクス選択装置M_cがチャンネルIn_3を選択した例が示される。
【0023】
スピーカー260aは、増幅装置Ampから出力される音響信号Out_aを物理的な振動である音に変換する。スピーカー260bは、スピーカー260aと同様に、増幅装置Ampbから出力される音響信号Out_bを音に変換する。スピーカー260cは、同様に増幅装置Ampから出力される音響信号Out_cを音に変換する。
【0024】
なお、スピーカー260a、260b、260cについて区別する必要がない場合、ハイフン以降の符号を省略して、単にスピーカー260として説明する。同様に音響装置200a、200b、200cについて区別する必要がない場合、ハイフン以降の符号を省略して、単に音響装置200として説明する。
【0025】
音響クライアント20は、アナログで信号処理してもよいし、デジタルで信号処理してもよい。デジタルで処理する場合、出力する際にアナログに変換した音響信号をスピーカー260に出力すればよい。
また、音響クライアント20において、入出力装置230から音響装置200a、200b、200cまでの間に、入出力装置230に入力された音響信号をミキシングしてチャンネルIn_1、In_2、In_3に割り振るミキサや、チャンネルIn_1、In_2、In_3に供給された音響信号を加工するプロセッサーなどを設けてもよい。
ここでは、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nを特に区別しないで、一般的な音響クライアント20として説明したが、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nにおけるスピーカー数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
図4は、音響クライアント20における処理装置210のハードウェア構成を示す図である。
処理装置210は、制御装置220、記憶装置222、インターフェイス(IF)装置224および通信装置226を含み、これらの要素がバスB2を介して相互に接続される。
制御装置220は、例えばCPU等の単数または複数の処理回路で構成され、処理装置210における各要素を制御する。
記憶装置222は、公知の記録媒体で構成された単数または複数のメモリーであり、制御装置220が実行するプログラムと制御装置220が使用する各種のデータとを記憶する。
IF装置224は、音響装置200におけるマトリクス選択装置M_aおよび計測部Imsとの間で情報を入出力する。
通信装置226は、管理サーバー10と通信網Naを介して通信するために用いられる。
【0027】
説明の便宜上、管理サーバー10において、記憶装置122に記憶されたプログラムを制御装置110が実行することによって、当該制御装置110および記憶装置122で構築される機能ブロックについて説明する。なお、機能ブロックは、本実施形態では、ソフトウェアの実行によって実現されることを想定しているが、各機能ブロックの実現手法については特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、ソフトウェアの実行ではなく、ハードウェアによって、あるいは、ハードウェアおよびソフトウェアの双方の組み合わせによって、実現されてもよい。
【0028】
図5は、制御装置110および記憶装置122で構築される機能ブロックを示す図である。
制御装置110では、制御部112、取得部114、判定部116および統計処理部118が機能ブロックとして構築され、記憶装置122では、データベースDb_1、Db_2、…、Db_nと、データベースDb_t、Db_i、Db_dとが機能ブロックとして構築される。
【0029】
記憶装置122で構築される機能ブロックのうち、データベースDb_tには、グローバル基準インピーダンス特性を示す情報が登録される。このグローバル基準インピーダンス特性は、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nにおけるスピーカー260の状態を判定する際の基準となるインピーダンス特性である。
具体的には、グローバル基準インピーダンス特性は、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nのスピーカー260において、異常ではない(正常である)と判定されたインピーダンス特性を累積して統計処理したものである。統計処理の例としては平均処理が挙げられる。
実際には、データベースDb_tには、平均処理されたグローバル基準インピーダンス特性のほかに、平均処理の際に用いた母集団となる個々のインピーダンス特性が登録される。したがって、あるインピーダンス特性を用いて、グローバル基準インピーダンス特性を更新する場合、当該インピーダンス特性を母集団に加えた上で、当該母集団を平均化したインピーダンス特性が、グローバル基準インピーダンス特性として更新される。
【0030】
なお、インピーダンス特性は、上述したように周波数成分毎のインピーダンスで示されるので、データベースには、厳密にいえば、インピーダンス特性そのものではなく、周波数成分毎にインピーダンスを定めた情報の集合体が登録される。ただし、以降においては説明便宜のために、データベースには、インピーダンス特性が登録される、として説明する。
【0031】
データベースDb-iには、理想状態にあるスピーカー260を実測することによって得られたインピーダンス特性が登録される。なお、ここでいう理想状態とは、ある特定の環境下において、スピーカー260の製造直後であって、音響クライアント20に組み込む前の状態をいう。
データベースDb-dには、異常と判定されたスピーカー260のインピーダンス特性、または、故障したスピーカー260のインピーダンス特性が登録される。なお、ここでいう異常と判定されたスピーカー260には、実際に故障に至る前の状態のスピーカー260が含まれる。この意味で、実施形態において、スピーカー260の状態には、故障に至る前の状態も含まれる。
【0032】
データベースDb_1は、第1音響クライアント20-1に対応して設けられる。データベースDb_1には、当該第1音響クライアント20-1に含まれる1または2以上のスピーカー260において最初に計測されたインピーダンス特性がスピーカー260毎に登録される。
データベースDb_2は、第2音響クライアント20-2に対応して設けられる。データベースDb_2には、当該第2音響クライアント20-2に含まれる1または2以上のスピーカー260において最初に計測されたインピーダンス特性がスピーカー260毎に登録される。
データベースDb_nは、第n音響クライアント20-nに対応して設けられる。データベースDb_nには、当該第n音響クライアント20-nに含まれる1または2以上のスピーカー260において最初に計測されたインピーダンス特性がスピーカー260毎に登録される。
【0033】
本実施形態では、判定対象のスピーカー260で計測されたインピーダンス特性と、グローバル基準インピーダンス特性とを比較して、当該比較の結果に基づいて当該スピーカー260の状態、具体的には異常であるか否かを判定する。
【0034】
データベースDb_1~Db_nのうち、ある音響クライアント20に対応するデータベースには、当該音響クライアント20に含まれるスピーカー260について最初に計測されたインピーダンス特性が登録されている。このため、当該スピーカー260については、ある時点で計測されたインピーダンス特性を、最初に計測されたインピーダンス特性と比較して、2つの特性同士の乖離度が大きれば(類似度が小さければ)、異常であると判定することも可能ではある。
ただし、この判定では、乖離度が大きい場合に、それが真に異常によるものであるのか、経年的な変化によるものであるのか、不明確になりやすい。
【0035】
スピーカー260の構造については特に説明しないが、例えばコイルと振動板とを含み、当該コイルに流れた電流によって振動板が振動することで音響(音)に変換する構成である。また、音楽演奏会場、劇場およびホールなどの建造物に設置されるスピーカー260には、振動板を制振するためのダンパーが設けられるが、当該ダンパーの制振力または復元力が経年的に劣化する。すなわち、コイルからみれば、振動板を駆動する際の負荷が経年的に変化する。このため、当該コイルを含むスピーカー260のインピーダンス特性についても経年的に変化する。なお、スピーカー260において経年的に変化する部位は、上記ダンパー以外にも種々存在する。
ある時点で計測されたスピーカー260のインピーダンス特性が経年的に変化している場合、最初に計測されたインピーダンス特性と比較すると、2つの特性同士の乖離度が大きいことがある。
あるスピーカー260におけるインピーダンス特性が経年的に変化していても、音響変換にあたって影響が少ない場合があり、この場合には、当該スピーカー260を正常と判定しても差し支えない。
【0036】
一方、経年的な変化を考慮するのであれば、ある時点で計測されたスピーカー260のインピーダンス特性と、当該スピーカー260について当該時点の直前に計測したインピーダンス特性とを比較することも考えられる。しかし、この場合、判定対象のスピーカー260だけに着目しており、他のスピーカー260の経年的な変化の傾向、すなわち、当該機種におけるスピーカーの経年的な変化の傾向を考慮していないので、判定の正確性に欠ける、と言わざるを得ない。
そこで、本実施形態では、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nのスピーカー260において過去に正常であると判定されたインピーダンス特性を累積して統計処理した特性を、グローバル基準インピーダンス特性とし、判定対象のスピーカー260で計測されたインピーダンス特性と比較して、当該比較の結果に基づいて当該スピーカーが正常であるか否かを判定している。
【0037】
図6は、記憶装置122で構築されるデータベースDb_t、Db_i、Db_d、Db_1、Db_2、…、Db_nと、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nとの対応関係を示す図である。
データベースDb_tは、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nのすべてに対応する。
データベースDb_iは、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nとは独立している。ここでいう独立とは、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nにおけるスピーカー260のインピーダンス特性が計測されても、当該計測結果は、データベースDb_iに記憶されたインピーダンス特性に影響を与えない、という意味である。
データベースDb_dは、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nのうち、異常と判定されたスピーカー260を含む音響クライアント20のみ対応する。
【0038】
説明を図5に戻すと、制御装置110において構築される機能ブロックのうち、制御部112は、他の機能ブロックである取得部114、判定部116、統計処理部118を制御する。
取得部114は、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nから送信された情報、具体的には、インピーダンス特性を音響クライアント20およびスピーカー260毎に取得する。
判定部116は、第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nのうち、ある音響クライアント20から、あるスピーカー260のインピーダンス特性を取得した場合に、取得したインピーダンス特性と、データベースDb_tに記憶されたグローバル基準インピーダンス特性とを比較し、当該比較結果に基づいて、取得したインピーダンス特性に係るスピーカー260が異常であるか否かを判定する。
【0039】
図10において、取得したインピーダンス特性が実線で示され、グローバル基準インピーダンス特性が破線で示される場合、判定部116は、例えば2つの特性の乖離度を示す数値を20Hz~20kHzの周波数成分毎に算出し、取得したインピーダンス特性に係るスピーカー260が異常であるか否かを、当該乖離度を示す数値に基づいて判定する。
具体的には、判定部116は、算出した乖離度を示す数値が閾値未満であれば、2つの特性差が小さいので正常と判定する。一方、判定部116は、乖離度を示す数値が閾値以上であれば、取得したインピーダンス特性がなんらかの原因によってグローバル基準インピーダンス特性から乖離していると考えられるので、異常と判定する。
判定部116は、スピーカー260が異常であると判定したならば、該当する音響クライアント20に、どのスピーカー260が異常であるのを示す情報を出力する。
【0040】
なお、2つの特性の比較結果については、ある特定の周波数(例えば100Hz、1kHz、10kHz)に着目し、当該特定の周波数での抵抗差の累積値を用いてもよいし、インピーダンス特性の特徴点(ピーク点P1、極小点P2など)を比較したときの周波数差、および、抵抗差の累積値を用いてもよい。なお、累積値が大きい場合、2つの特性の乖離度が大きくなる。
【0041】
統計処理部118は、判定部116によって正常であると判定されたインピーダンス特性を用いて、データベースDb_tに登録されたグローバル基準インピーダンス特性を更新する。
【0042】
次に、音響クライアント20の処理装置210において、記憶装置222に記憶されたプログラムを制御装置220が実行することによって構築される機能ブロックについて説明する。
【0043】
図7は、制御装置220で構築される機能ブロックを示す図である。制御装置220では、機能ブロックとして、制御部2202、通信指示部2204および補完指示部2206が構築される。
制御部2202は、他の機能ブロックである通信指示部2204、補完指示部2206を制御する。
【0044】
通信指示部2204は、通信装置226に対し、管理サーバー10への情報の送信および管理サーバー10からの情報の受信を指示する。なお、本実施形態において、管理サーバー10に送信される情報には、例えばスピーカー260a、260b、260cのインピーダンス特性があり、管理サーバー10から受信される情報には、例えば異常と判定されたスピーカーを示す情報がある。
【0045】
補完指示部2206は、管理サーバー10から、異常と判定されたスピーカーを示す情報を受信した場合に、当該スピーカーの使用を禁止する指示を、当該スピーカーに対応する音響装置200に出力し、当該スピーカーを補完するための指示を、他のスピーカーに対応する音響装置200に出力する。
【0046】
次に、音響管理システム1の動作について説明する。図8は、音響管理システム1の動作を示すフローチャートである。この説明では、ある1つの音響クライアント20に着目して、当該音響クライアント20の管理動作について説明する。
【0047】
まず、管理サーバー10において、当該音響クライアント20が指定されると、制御部112は、当該音響クライアント20に、当該音響クライアント20に含まれるすべてのスピーカー260のインピーダンス特性を要求する(ステップSb10)。なお、当該音響クライアント20については、管理サーバー10自身が、予め作成されたスケジュールにしたがった日時にて指定してもよいし、管理者がキーボードなどの入力装置(図示省略)を介して指定してもよい。また、通信網Naを介して接続された外部端末装置(図示省略)によって特定の音響クライアント20を指定してもよい。
【0048】
管理サーバー10からのインピーダンス特性が要求された音響クライアント20では、当該音響クライアント20に含まれる1または2以上の音響装置200においてそれぞれ次のような処理が実行される。
すなわち、1つの音響装置200では、制御装置220で構築される制御部2202が、計測部Imsに対し、内部メモリーに記憶されたインピーダンス特性を読み取って、返送するように指示する(ステップSb30)。この指示にしたがって、計測部Imsは、内部メモリーからインピーダンス特性を読み取って、制御部2202に返送する。制御部2202は、計測部Imsから返送されたインピーダンス特性を通信指示部2204に転送し、当該通信指示部2204は、通信装置226に対して、インピーダンス特性に、スピーカー260を識別するための識別子を付与して管理サーバー10に送信するように指示する。この指示により、1つの音響装置200で計測されたインピーダンス特性が管理サーバー10に送信される(ステップSb32)。
当該音響クライアント20に他の音響装置200があれば、同様にして当該他の音響装置200で計測されたインピーダンス特性に、識別子が付与されて管理サーバー10に送信される。
【0049】
当該インピーダンス特性は、管理サーバー10において取得部114が取得する。
制御部112は、インピーダンス特性を要求した音響クライアント20から、当該音響クライアント20に含まれるすべてのスピーカー260のインピーダンス特性を取得したか否かを判定する(ステップSb12)。
制御部112が、すべてのインピーダンス特性を取得していないと判定すれば(ステップSb12の判定結果が「No」であれば)、処理手順をステップSb12に戻す。換言すれば、制御部112は、当該音響クライアント20に含まれるすべてのスピーカー260のインピーダンス特性が取得されるまで待機する。
一方、制御部112は、すべてのインピーダンス特性が取得されたと判定すれば(ステップSb12の判定結果が「Yes」になれば)、取得したすべてのインピーダンス特性を、判定部116に転送する。
制御部112は、データベースDb_tからグローバル基準インピーダンス特性を読み出して、当該グローバル基準インピーダンス特性を判定部116に転送する(ステップSb13)。
【0050】
判定部116は、まず、ある1つのスピーカー260のインピーダンス特性と、グローバル基準インピーダンス特性とを比較して、2つの特性の乖離度を示す数値を算出し、当該数値が閾値未満であれば、当該スピーカー260が正常と判定し、閾値以上であれば当該スピーカー260が異常であると判定し、当該判定の結果を制御部112に出力する(ステップSb14)。
当該音響クライアント20において他のスピーカー260があれば、判定部116は、当該他のスピーカー260についても同様に異常であるか否かを判定し、当該判定の結果を制御部112に出力する。
制御部112は、判定部116から判定結果を取得すると、すべてのスピーカー260が正常であったか否かを判定する(ステップSb16)。
【0051】
制御部112は、すべてのスピーカー260が正常であれば(ステップSb16の判定結果が「Yes」であれば)、正常と判定されたすべてのスピーカーのインピーダンス特性を統計処理部118に供給し、統計処理部118は、これらのインピーダンス特性を用いて、グローバル基準インピーダンス特性を更新する(ステップSb18)。
【0052】
一方、制御部112は、すべてのスピーカー260が正常でなければ(ステップSb16の判定結果が「No」であれば)、すなわち、ひとつでもスピーカー260に異常があると判定されれば、異常と判定したスピーカーを示す情報を、音響クライアント20に通知する(ステップSb20)。
なお、制御部112は、あるスピーカー260が異常と判定されても、正常と判定されたスピーカー260があれば、当該正常と判定されたスピーカーのインピーダンス特性を統計処理部118に供給してもよい。統計処理部118が、グローバル基準インピーダンス特性を、正常と判定されたスピーカーのインピーダンス特性を用いて更新してもよい。
【0053】
なお、本実施形態では、スピーカー260のインピーダンス特性を取得するまで待機しているが、取得した順に当該グローバル基準インピーダンス特性と比較してもよい。
【0054】
当該音響クライアント20において、ある音響装置200の制御部2202が、異常と判定したスピーカーの情報を受信した場合、当該スピーカーが当該音響装置200に含まれるスピーカー260であれば、当該スピーカー260における通常動作を禁止させる(ステップSb34)。
【0055】
具体的には、制御部2202は、マトリクス選択装置に対して、いずれのチャンネルも選択させないように制御する。このため、通常動作において出力が禁止された音響装置200では、スピーカー260に信号が供給されないので、放音がされない。したがって、あるチャンネルの音響信号が、異常スピーカーのみから出力されるように設定されていた場合、当該スピーカー260に対する出力の禁止により、当該音響信号が音に変換されない事態が発生する。この事態を回避するために、制御部2202は、異常スピーカー以外のスピーカーに対応する音響装置200に、出力が禁止された音響信号を選択させる指示を出力する(ステップSb36)。すなわち、制御部2202は、異常スピーカーによる音変換を、正常なスピーカーで補完することを他の音響装置200に依頼する。
【0056】
具体的には、通常動作において音響装置200bのみがチャンネルIn2を選択するような場合に、スピーカー260bが異常であると判定されると、音響装置200bの制御部2202は、スピーカー260bに最も近いスピーカー260、例えばスピーカー260aの音響装置200aに対し、次のような指示をする。具体的には当該制御部2202は、音響装置200aの補完指示部2206に対し、チャンネルIn1に加えてチャンネルIn2を選択するように指示する。
【0057】
この指示により、図11に示されるように、音響装置200aではマトリクス選択装置M_aが、チャンネルIn1に加えてチャンネルIn2を選択するので、スピーカー260bで音変換されるべき音響信号が、スピーカー260bの代わりにスピーカー260aによって音変換されるので、当該音響信号が音に変換されない事態を回避することができる。なお、音響装置200bにおいてマトリクス選択装置M_bは、チャンネルIn1、In2、In3のいずれも選択しない。
【0058】
なお、異常スピーカーの代わりに、どのスピーカーを使用するかを定めるルールについては、実際には、スピーカーの配列や設置状態などによって決定されるべき事項である。このため、補完のルールは、音響クライアント20毎に定められる。例えば上述した場合において、スピーカー260bがスピーカー260aではなく、スピーカー260cと近接して配列していれば、音響装置200cのマトリクス選択装置M_cが、チャンネルIn3に加えてチャンネルIn2を選択するようにしてもよい。
【0059】
ステップSb18またはSb36の処理後、計測の指示に伴う一連の動作が終了する。
なお、ここでは、ある1つの音響クライアント20に着目して、当該音響クライアント20の管理動作について説明したが、例えば、第1音響クライアント20-1および第2音響クライアント20-2の管理動作についても同時並行的に実行することができる。
【0060】
また、フローチャートの説明では特に触れなかったが、ステップSb14での判定結果を管理者に通知してもよいし、異常であるスピーカーの修復または取り替えを、管理者に促してもよい。また、制御部112は、スピーカーの異常を判定した場合には、当該異常スピーカーのインピーダンス特性を、当該異常スピーカーの識別子とともに、データベースDb_dに登録する。
【0061】
本実施形態によれば、管理者が実際にスピーカー260から出力される音を聴取することなく、スピーカー260の状態が判定される。このため、管理者からみれば、判定対象のスピーカー260の設置場所に出向く必要がないし、音を実際に確認する必要もない。
また、本実施形態では、通常使用時の音響信号に基づいて、スピーカー260のインピーダンス特性が計測されるので、計測に際して、テスト信号を用いる必要がない。また、通常使用時における最終時のインピーダンス特性が比較対象となるので、スピーカー260の直近の状態を判定することができる。
【0062】
また、本実施形態では、判定対象とするスピーカー260のインピーダンス特性を、過去において正常と判定されたスピーカーのインピーダンス特性の平均特性(グローバル基準インピーダンス特性)と比較し、2つの特性が乖離している場合に、判定対象とするスピーカー260を異常と判定する。したがって、本実施形態では、経年的な変化による影響を考慮した上で、スピーカー260の異常を判定することができる。
【0063】
実施形態では、通信指示部2204が、処理装置210の制御装置2100に構築されたが、通信指示部2204の構築場所はこれ以外であってもよい。例えば、図12に示されるように、音響クライアント20と通信網Naとの間に位置する統括処理装置24に、通信指示部2204が構築されてもよい。
統括処理装置24は、例えばパーソナルコンピューター等の情報処理端末であり、管理サーバー10と音響クライアント20との間で情報の仲立ちをする。
統括処理装置24は、特に図示はしないが、制御装置および記憶装置を含む。当該制御装置が当該記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって、図13に示されるように、制御部2410と通信指示部2204とが構築される。なお、制御部2410は、通信指示部2204を制御する。
一方、音響装置200aにおける処理装置210は、計測部Imsから返信されたインピーダンス特性を、統括処理装置24に転送する。
【0064】
なお、音響装置200b、200cについても同様である。例えば音響装置200bにおける処理装置210は、計測部Imsから返信されたインピーダンス特性を、統括処理装置24に転送し、同様に、音響装置200cにおける処理装置210は、計測部Imsから返信されたインピーダンス特性を、統括処理装置24に転送する。このため、音響装置200a、200b、200cから同時にインピーダンス特性が送信される場合が生じ得る。
統括処理装置24における通信指示部2204は、音響装置200a、200b、200cから送信されたインピーダンス特性の3つを、重要度や通信網Naの通信状態等を考慮して管理サーバー10に送信指示する。
このため、通信指示部2204が、統括処理装置24に構築される構成では、通信網Naにおけるトラフィックの逼迫を抑えることができる。
【0065】
実施形態では、異常と判定された、または、故障した1または2以上のスピーカーのインピーダンス特性がデータベースDb_dに登録されているので、判定対象とするスピーカー260のインピーダンス特性を、グローバル基準インピーダンス特性と比較するだけでなく、データベースDb_dに登録されたインピーダンス特性と比較してもよい。具体的には、判定対象とするスピーカー260で計測されたインピーダンス特性が、グローバル基準インピーダンス特性と乖離していない場合であっても、判定対象とするスピーカー260のインピーダンス特性が、データベースDb_dに登録された1または2以上インピーダンス特性のいずれかに類似していれば異常と判定してもよい。
また、データベースDb_dに登録されるインピーダンス特性に、異常の具体的内容(例えば温度上昇など)を関連付けておく構成としてもよい。この構成において、判定対象とするスピーカー260のインピーダンス特性が、データベースDb_dに登録されたインピーダンス特性に類似しているものがある場合、当該特性と関連付けられた異常の具体的内容を通知すれば、管理者は異常の原因を知ることができる。
【0066】
第1音響クライアント20-1~第n音響クライアント20-nの設置場所、使用環境、使用開始時期などが大きく異なる場合、音響クライアント20毎にスピーカー260の経年的な変化の程度が異なることが予想される。
そこで、データベースDb_tに登録されたグローバル基準インピーダンス特性とは別に、第1音響クライアント20-1であれば、当該第1音響クライアント20-1に対応する第1ローカル基準インピーダンス特性をデータベースDb_1に登録してもよい。ここで、第1ローカル基準インピーダンス特性とは、当該第1音響クライアント20-1に含まれるスピーカー260のうち、正常と判定されたスピーカーのインピーダンス特性のみを統計処理したものである。
そして、第1音響クライアント20-1において、あるスピーカー260について求めたインピーダンス特性を、グローバル基準インピーダンス特性と比較した結果の乖離度と、第1ローカル基準インピーダンス特性と比較した結果の乖離度との双方を求めて、2つの乖離度を適宜重み付けした指標を閾値と比較して、当該スピーカー260が異常であるか否かを判定してもよい。
第2音響クライアント20-2についても同様であり、当該第2音響クライアント20-2に対応する第2ローカル基準インピーダンス特性を、当該第2音響クライアント20-2に含まれるスピーカー260のうち、正常と判定されたスピーカーのインピーダンス特性のみを統計処理して求めて、データベースDb_2に登録してもよい。
第2音響クライアント20-2において、あるスピーカー260について求めたインピーダンス特性を、グローバル基準インピーダンス特性と比較した結果の乖離度と、第2ローカル基準インピーダンス特性と比較した結果の乖離度との双方を求めて、2つの乖離度を適宜重み付けした指標を閾値と比較して、当該スピーカー260が異常であるか否かを判定してもよい。
【0067】
なお、実施形態では、統計処理部118による統計処理として、平均処理を例に挙げて説明した。実施形態では、使用開始から、ある程度の時間が経過しないと、目立ったインピーダンス特性の変化が発生しないと考えられる。そこで、音響クライアント20の設置開始からある程度の日時が経過していないインピーダンス特性については、正常と判定されても平均処理の対象から除外してもよい。
また、統計処理としては、平均処理以外の処理であってもよい。例えば、時間的に古いインピーダンス特性については重み付け係数を低くし、時間的に新しいンピーダンス特性については重み付け係数を高くして、統計処理してもよい。
【0068】
<付記>
上述した実施形態等から、例えば以下のような態様が把握される。
【0069】
本開示の態様(第1態様)に係る管理サーバーは、スピーカーを含む音響クライアントを管理する管理サーバーであって、前記スピーカーのインピーダンス特性を取得する取得部と、取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部と、前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部と、を有する。
この態様によれば、取得されたスピーカーのインピーダンス特性と、グローバル基準インピーダンス特性との比較の結果に基づきスピーカーの状態が判定されるので、管理者が実際にスピーカーから出力される音響を聴取する必要がない。また、グローバル基準インピーダンス特性は、スピーカーのインピーダンス特性を判定された状態に応じて統計処理の結果に基づいて更新されるので、スピーカーの経年的な変化を反映した状態で、当該スピーカーの状態を判定することができる。
【0070】
第1態様の例(第2態様)において、当該管理サーバーは、第1音響クライアントおよび第2音響クライアントを管理し、前記音響クライアントは、前記第1音響クライアントであり、前記取得部は、前記第1音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性と、前記第2音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性とを取得し、前記判定部は、取得された前記第1音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性を、前記グローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記第1音響クライアントのスピーカーの状態を判定し、取得された前記第2音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性を、前記グローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて、前記第2音響クライアントのスピーカーの状態を判定する。
この態様によれば、第1音響クライアントのスピーカーと、第2音響クライアントのスピーカーとは、共通のグローバル基準インピーダンス特性を用いて状態が判定される。
【0071】
第2態様の例(第3態様)において、前記判定部は、前記第1音響クライアントのスピーカーの状態が異常であるか否かを判定し、前記第2音響クライアントのスピーカーの状態が異常であるか否かを判定する。
【0072】
第3態様の例(第4態様)において、前記統計処理部は、前記第1音響クライアントのスピーカーが異常でないと判定された場合の、当該スピーカーのインピーダンス特性と、前記第2音響クライアントのスピーカーが異常でないと判定された場合の、当該スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する。
この態様によれば、グローバル基準インピーダンス特性が、複数の音響クライアントに基づいて更新されるので、1つの音響クライアントに基づいて更新される構成と比較して、統計処理の精度を高めることができる。
【0073】
第3または第4態様の例(第5態様)において、前記判定部は、取得された前記第1音響クライアントにおける前記スピーカーのインピーダンス特性を、前記グローバル基準インピーダンス特性と、前記第1音響クライアントのスピーカーに対応付けられた第1ローカル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較結果に基づいて、前記第1音響クライアントの前記スピーカーが異常であるか否かを判定し、取得された前記第2音響クライアントにおけるスピーカーのインピーダンス特性を、前記グローバル基準インピーダンス特性と、前記第2音響クライアントのスピーカーに対応付けられた第2ローカル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較結果に基づいて、前記第2音響クライアントの前記スピーカーが異常であるか否かを判定する。
この態様によれば、第1音響クライアントまたは第2音響クライアントの固有の事情が考慮されるので、スピーカーの判定精度を高めることができる。
【0074】
本開示の態様(第6態様)に係る音響管理方法は、スピーカーを含む音響クライアントを管理するコンピューターが、前記スピーカーのインピーダンス特性を取得し、取得したインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定し、前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する。
【0075】
本開示の態様(第7態様)に係るプログラムは、スピーカーを含む音響クライアントを管理するコンピューターを、前記スピーカーのインピーダンス特性を取得する取得部、取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部、および、前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部、として機能させる。
【0076】
このように、例示した各態様の管理サーバーは、音響管理方法としても、また、当該管理サーバーをコンピューターに実行させるプログラムとしても実現され得る。
【0077】
本開示の態様(第8態様)に係る音響クライアントは、スピーカーを含み、管理サーバーに接続される音響クライアントであって、前記スピーカーのインピーダンス特性を計測する計測部と、計測されたインピーダンス特性を前記管理サーバーに送信することを指示する通信指示部と、を有し、前記管理サーバーが送信されたインピーダンス特性に基づいて前記スピーカーの状態を判定する。
この態様によれば、管理サーバーが、取得されたスピーカーのインピーダンス特性に基づいて、スピーカーの状態を判定するので、管理者は実際にスピーカーから出力される音響を聴取する必要がない。
【0078】
本開示の態様(第9態様)に係る音響クライアントには、前記音響クライアントには、前記第1スピーカーおよび前記第2スピーカーが含まれ、前記計測部は、前記第1スピーカーの第1インピーダンス特性と、前記第2スピーカーの第2インピーダンス特性とを計測し、前記通信指示部は、計測された第1インピーダンス特性と、計測された第2インピーダンス特性とを前記管理サーバーに送信することを指示する。
この態様によれば、音響クライアントの第1スピーカーと第2スピーカーとの状態を、管理サーバーが判定する。
【0079】
第9態様の例(第10態様)に係るおいて、前記音響クライアントは、処理装置を含み、前記処理装置は、前記通信指示部を含む。
この態様によれば、管理サーバーの負担を減らすことができる。
【0080】
第10態様の例(第11態様)に係るおいて、前記管理サーバーは、前記第1スピーカーの状態が異常であるか否かを判定し、前記第2スピーカーの状態が異常であるか否かを判定し、前記管理サーバーによって前記第1スピーカーまたは前記第2スピーカーの一方が異常であり、他方が異常でないと判定された場合、前記処理装置は、前記異常であると判定されたスピーカーへの信号を、前記異常でないと判定されたスピーカーに供給させる。
この態様によれば、異常であると判定されたスピーカーの発音が、正常であると判定されたスピーカーによって補完される。
【0081】
本開示の態様(第12態様)に係る音響管理システムは、管理サーバーと、スピーカーを含む音響クライアントとを有する音響管理システムであって、前記スピーカーのインピーダンス特性を計測する計測部と、前記計測部で計測されたインピーダンス特性を前記管理サーバーに送信することを指示する通信指示部と、を有し、前記管理サーバーは、前記指示により送信されたインピーダンス特性を取得する取得部と、取得されたインピーダンス特性を、所定のグローバル基準インピーダンス特性と比較し、当該比較の結果に基づいて前記スピーカーの状態を判定する判定部と、前記スピーカーのインピーダンス特性と、前記グローバル基準インピーダンス特性とを、前記判定部によって判定された状態に応じて統計処理し、当該統計処理により得られた結果に応じて当該グローバル基準インピーダンス特性を更新する統計処理部と、を有する。
【符号の説明】
【0082】
1…音響管理システム、10…管理サーバー、20…音響クライアント、114…取得部、116…判定部、118…統計処理部、210…処理装置、260…スピーカー、2202…通信指示部、2206…補完指示部。
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図13