(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】処理条件設定システム、処理条件設定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231226BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G03G21/00 384
G03G21/00 388
(21)【出願番号】P 2020022166
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2019172702
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】御子柴 祐介
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-199478(JP,A)
【文献】特開2006-343842(JP,A)
【文献】特開2017-076199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設定項目の設定済設定値に対して、音声操作による変更指示を受け付ける指示受付部と、
前記複数の設定項目の設定済設定値を、前記変更指示に基づく設定順序で変更することにより、前記変更指示に含まれる変更指示設定値と、前記設定済設定値との間で組み合わせ禁止が発生する場合に、前記設定済設定値を変更する設定順序を、前記組み合わせ禁止が発生しない設定順序に変更する設定順序制御部と、
変更された前記設定順序で複数の設定項目の設定済設定値を変更する設定変更部と、を備えた
処理条件設定システム。
【請求項2】
前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更によって、前記組み合わせ禁止が発生するか否かを判定する組禁判定部をさらに備え、
前記複数の設定項目には、第1の設定項目と、前記第1の設定項目に設定され
た設定変更の優先順位よりも高い優先順位が設定された第2の設定項目と、が含まれ、
前記組禁判定部は、前記第1の設定項目における前記変更指示設定値と、前記第2の設定項目の前記
変更指示設定値との組み合わせによって、前記組み合わせ禁止が発生するか否かを判定する
請求項1に記載の処理条件設定システム。
【請求項3】
前記設定順序制御部は、前記第1の設定項目の前記
変更指示設定値と、前記第2の設定項目の前記変更指示設定値との組み合わせにおいて、前記組み合わせ禁止が発生しない場合、前記第1の設定項目に設定された変更の優先順位を、前記第2の設定項目に設定された変更の優先順位より高い優先順位に変更する
請求項2に記載の処理条件設定システム。
【請求項4】
前記設定順序制御部は、前記変更指示に含まれる前記複数の設定項目の設定順序のパターンとして、想定されるすべての設定順序パターンを生成し、前記設定順序パターンのそれぞれが有する前記設定順序に基づく、前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更の有効又は無効を判定し、該判定の結果に基づいて、前記複数の設定項目の前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更順序を変更する
請求項1に記載の処理条件設定システム。
【請求項5】
前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更が有効な場合とは、前記組み合わせ禁止が発生せずに変更が可能な場合であり、前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更が無効な場合とは、前記組み合わせ禁止が発生することにより変更が不可能な場合である
請求項4に記載の処理条件設定システム。
【請求項6】
前記設定順序制御部は、前記設定順序パターンのそれぞれにおいて、前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更が有効な設定項目の数である有効設定変更数を求め、前記有効設定変更数が前記複数の設定項目の数と同数である前記設定順序パターンが存在する場合、該設定順序パターンが有する前記設定順序に、前記複数の設定項目の設定値の前記変更指示設定値への変更順序を変更する
請求項5に記載の処理条件設定システム。
【請求項7】
前記設定順序制御部は、前記有効設定変更数が前記複数の設定項目の数と同数である前記設定順序パターンが存在しない場合、前記設定順序パターンのうち、前記有効設定変更数が最も多い設定順序パターンの設定順序に、前記複数の設定項目の設定値の前記変更指示設定値への変更順序を変更する
請求項6に記載の処理条件設定システム。
【請求項8】
前記設定項目と、前記設定項目の設定値の変更の優先度とを対応付けた優先度管理テーブルが格納される記憶部をさらに備え、
前記設定順序制御部は、前記有効設定変更数が前記複数の設定項目の数と同数である前記設定順序パターンが存在しない場合であって、前記設定順序パターンのうち、前記有効設定変更数が最も多い設定順序パターンが複数存在する場合、前記優先度管理テーブルに記載された前記優先度の合計値が最も高い前記設定順序パターンにおいて規定された設定順序に、前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更の設定順序を変更する
請求項7に記載の処理条件設定システム。
【請求項9】
前記組み合わせ禁止を引き起こす前記設定項目及び設定値の組み合わせの情報が記載された組み合わせ禁止設定テーブルが格納される記憶部をさらに備え、
前記設定順序制御部は、前記変更指示設定値と前記設定済設定値との組み合わせにおいて、前記組み合わせ禁止テーブルに記載されていない組み合わせがあると判定した場合、該組み合わせを、前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更の有効又は無効の判定の対象から外す
請求項4に記載の処理条件設定システム。
【請求項10】
前記組み合わせ禁止設定リストには、その設定値に変更されることにより前記組み合わせ禁止を解除可能な設定項目及び設定値により示される組禁解除条件が記載されており、
前記設定順序制御部は、前記指示受付部が受け付けた前記変更指示に、前記組禁解除条件に記載された前記設定項目及び設定値が含まれていると判定した場合、前記設定項目及び設定値を含む前記設定順序パターンに対する、前記設定済設定値の前記変更指示設定値への変更の有効又は無効の判定の順序を、先頭にする
請求項9に記載の処理条件設定システム。
【請求項11】
原稿台上に載置された原稿から画像データを光学的に読み取る画像読取部をさらに備え、
前記設定項目は、前記画像読取部の処理に関する設定項目である
請求項1~10のいずれか一項に記載の処理条件設定システム。
【請求項12】
複数の設定項目の設定済設定値に対して、音声操作による変更指示を受け付ける手順と、
前記複数の設定項目の設定済設定値を、前記変更指示に基づく設定順序で変更することにより、前記変更指示に含まれる変更指示設定値と、前記設定済設定値との間で組み合わせ禁止が発生する場合に、前記設定済設定値を変更する設定順序を、前記組み合わせ禁止が発生しない設定順序に変更する手順と、
変更された前記設定順序で複数の設定項目の設定済設定値を変更する手順と、を含む
処理条件設定方法。
【請求項13】
複数の設定項目の設定済設定値に対して、音声操作による変更指示を受け付ける手順と、
前記複数の設定項目の設定済設定値を、前記変更指示に基づく設定順序で変更することにより、前記変更指示に含まれる変更指示設定値と、前記設定済設定値との間で組み合わせ禁止が発生する場合に、前記設定済設定値を変更する設定順序を、前記組み合わせ禁止が発生しない設定順序に変更する手順と、
変更された前記設定順序で複数の設定項目の設定済設定値を変更する手順と、をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理条件設定システム、処理条件設定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声入力による操作(以下、「音声操作」とも称する)が可能な画像形成装置がある。例えば、特許文献1には、音声を入力する音声入力手段と、限定辞書データを用いて音声入力手段で入力した音声を認識して、認識した結果である認識データを生成する音声認識手段と、その認識データが示す操作内容を実行するためのコマンドを生成するコマンド生成手段と、を備えた画像形成装置、又は、それに接続された情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音声操作が可能な画像形成装置には、音声操作によって画像形成装置のジョブ(処理)に関する設定を行えるものもある。ジョブに関する設定においては、設定されるべき項目が複数あるため、複数の設定項目のそれぞれを個別に設定する場合、ユーザーは、その都度設定内容を音声で入力しなければならない。例えば、コピーのジョブに対する設定には、「部数」、「カラー」、「両面」、「ページ集約」等があり、これらを一つずつ設定する必要がある場合、ユーザーは、発話による操作指示を繰り返す必要がある。したがって、一度の音声入力によって、複数の設定項目を設定又は変更できる機能の提供が望まれていた。
【0005】
しかしながら、例えば、ユーザーが複数の設定項目の設定値の変更を一度の音声入力によって指示する場合、指示に基づく変更後の設定が、画像形成装置において組み合わせて設定することが禁止されている(以下、「組禁」とも称する)設定となってしまうこともあり得る。
【0006】
例えば、スキャンのジョブの設定として、以下の(1)~(5)の設定がされている場合を想定する。
(1)カラー:自動
(2)両面:片面
(3)解像度:200dpi
(4)フォーマット:コンパクトPDF(Portable Document Format)
(5)原稿サイズ:自動
そして、「カラー」の「ブラック」と、「ファイルフォーマット」の「コンパクトPDF」とは、組禁に設定されているとする。
【0007】
また、ユーザーによる音声操作により設定の変更が指示された場合、以下の(A)~(C)の制御によって設定項目の設定値の変更が実行されるものとする。
(A)設定項目の設定値の変更は、上記(1)~(5)の順に従って行う。
(B)設定項目の設定値の変更により組禁が発生した場合、組禁が発生する設定においては変更を実行せず、次に優先される順位(以下、「優先順位」と称する)の設定項目の設定値を変更する。
(C)すべての設定項目において設定値の変更が完了したときに、発生した組禁情報をユーザーに通知する。
【0008】
上記(1)~(5)の設定がされている状態において、ユーザーにより、「カラーブラック、PDFにして」の発話によって設定の変更が指示されたとする。この場合、予め設定された設定変更の順序に従って変更が行われると、まず、(1)の「カラー」が「自動」から「ブラック」に変更される。そして、この時点で、「カラー」の変更後の「ブラック」と、「ファイルフォーマット」の変更前の「コンパクトPDF」とにおいて、組禁が発生してしまう。この場合、上記(B)の制御に基づき、「カラー」の「自動」から「ブラック」への変更は実行されない。
【0009】
変更が指示されている「ファイルフォーマット」の「PDF」と、「カラー」の「ブラック」とでは、組禁は発生しないが、上述した(A)~(C)の制御が行われる場合、ユーザーの希望通りの変更が実施されなくなってしまう。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、複数の設定項目の設定値を変更する指示がユーザーの発話により行われる場合における、禁止された組み合わせの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一側面を反映した処理条件設定システムは、指示受付部と、設定順序制御部と、設定変更部と、を備える。指示受付部は、複数の設定項目の設定済設定値に対して、音声操作による変更指示を受け付ける。設定順序制御部は、複数の設定項目の設定済設定値を、変更指示に基づく設定順序で変更することにより、変更指示に含まれる変更指示設定値と、設定済設定値との間で組み合わせ禁止が発生する場合に、設定済設定値を変更する設定順序を、組み合わせ禁止が発生しない設定順序に変更する。設定変更部は、変更された設定順序で複数の設定項目の設定済設定値を変更する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の設定項目の設定値(設定済設定値)を変更する指示がユーザーの発話により行われる場合における、禁止された組み合わせの発生を抑制することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムの概要構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置及び音声処理サーバーの制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るコピーのジョブに関する設定項目の表示例及び各設定項目に設定された設定変更の優先順位の例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るスキャンのジョブに関する設定項目の表示例及び各設定項目に設定された設定変更の優先順位の例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る組禁判定部が第1の組禁判定処理の際に参照する条件の例、及び、設定順序制御部が実施する処理の例を示す表である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る組禁判定部が第2の組禁判定処理の際に参照する条件の例、及び、設定順序制御部が実施する処理の例を示す表である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る、組禁判定部による組禁判定処理及び設定順序制御部による優先順位変更処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の操作表示部に表示された音声操作受付画面の例を示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面の例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面の例を示す図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態の変形例に係る画像形成装置及び音声処理サーバーの制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態の変形例に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面の例を示す図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る設定順序制御部による設定変更結果の例を示す図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面の例を示す図である。
【
図18】本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図20】本発明の第3の実施形態に係る組み合わせ禁止設定テーブルの構成例を示す図である。
【
図21】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面の例を示す図である。
【
図22】本発明の第3の実施形態に係る組み合わせ禁止を引き起こさない設定項目の設定値が先に変更された場合における、画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面のイメージを示す図である。
【
図23】本発明の第3の実施形態に係る設定順序制御部による設定変更結果の例を示す図である。
【
図24】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面の例を示す図である。
【
図25】本発明の第3の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図26】本発明の第3の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図27】本発明の第3の実施形態の変形例に係る優先度管理テーブルの構成例を示す図である。
【
図28】本発明の第3の実施形態の変形例に係る画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面の例を示す図である。
【
図29】本発明の第3の実施形態の変形例に係る設定順序制御部による設定変更結果の例を示す図である。
【
図30】本発明の第3の実施形態の変形例に係る画像形成装置の操作表示部に表示されたスキャン設定確認画面の例を示す図である。
【
図31】本発明の第3の実施形態の変形例に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素は、同一の符号を付し、構成要素の重複説明は省略する。
【0015】
<第1の実施形態>
[画像処理システムの構成]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムの構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理システム100の概要構成図である。
【0016】
図1に示す画像処理システム100は、画像形成装置1(処理条件設定システムの一例)と、音声入出力装置2と、音声処理サーバー3と、を備える。音声入出力装置2及び音声処理サーバー3間、並びに、音声処理サーバー3及び画像形成装置1間は、公衆交換電話網やIP(Internet Protocol)網などよりなるネットワークNを介して接続される。
【0017】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能等を有するMFP(Multi-Functional Peripherals)で構成される。画像形成装置1は、不図示の端末装置等から送信された画像データに基づいて用紙に画像形成を行い、該画像が形成された用紙を印刷物として出力する。
【0018】
音声入出力装置2は、例えば、スマートスピーカーで構成され、不図示のマイクロフォン及びスピーカーを備える。音声入出力装置2は、マイクロフォンが集音した音声、例えば、ユーザーによって発話された操作指示を音声データに変換し、該音声情報を音声処理サーバー3に送信する。また、音声入出力装置2は、音声処理サーバー3から送信される音声情報を再生して、スピーカーから放音する。
【0019】
音声処理サーバー3は、例えば、不図示のクラウド上に設けられ、その機能はクラウドアプリケーションサービスとして提供される。音声処理サーバー3は、音声入出力装置2から送信された音声情報に対して音声解析処理を行う。そして、音声処理サーバー3は、音声解析処理の結果に対応する画像形成装置1への指示を、画像形成装置1に送信する。
【0020】
なお、本実施形態では、音声処理サーバー3がクラウド上に設けられる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。音声処理サーバー3は、画像形成装置1内に設けられてもよく、不図示のオンプレミスサーバー等の内部に設けられてもよい。また、音声処理サーバー3と画像形成装置1との間に、ジョブに関する音声情報を音声処理サーバー3から受信して保存したり画像形成装置1にジョブを渡したりする処理を行う中継サーバー等が設けられてもよい。
【0021】
[画像形成装置及び音声処理サーバーの制御系の構成]
次に、
図2を参照して、画像形成装置1及び音声処理サーバー3の制御系の構成について説明する。
図2は、画像形成装置1及び音声処理サーバー3の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0022】
〔画像形成装置の制御系の構成〕
まず、画像形成装置1の制御系の構成の説明を行う。
図2に示すように、画像形成装置1は、通信I/F(Interface)部11と、制御部12と、操作表示部13と、画像読取部14と、画像処理部15と、画像形成部16と、処理条件設定部17と、を含む。
【0023】
通信I/F部11は、ネットワークNを介して接続される音声処理サーバー3との間で行われる各種データの送受信動作を制御する。
【0024】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)120と、RAM(Random Access Memory)121と、ROM(Read Only Memory)122と、記憶部123と、を含む。
【0025】
CPU120は、ROM122に記憶されているシステムプログラムや画像形成処理プログラム、処理条件設定プログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAM121に展開し、展開したプログラムに従って画像形成装置1の各部の動作を制御する。例えば、CPU120は、音声処理サーバー3から入力される指示に対応付けられた各種処理を、画像形成装置1を構成する各部に実行させる制御を行う。
【0026】
RAM121は、CPU120がプログラムを実行する為に必要なデータや画像データ(スキャン画像データ、プリント画像データ、仕上がりプレビュー画像データ)などを、一時的に記憶する。
【0027】
ROM122は、半導体メモリ等の不揮発性メモリ等により構成され、画像形成装置1に対応するシステムプログラム、及び、該システムプログラム上で実行可能な各種プログラム等を記憶する。ROM122に記憶されたプログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU120は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0028】
記憶部123は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などにより構成され、画像形成装置1に係る各種の設定データや画像データなどを記憶する。
【0029】
操作表示部13は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)等よりなる表示部と、タッチセンサ等よりなる操作入力部とが一体に形成されたタッチパネルとして構成される。操作表示部13の表示部には、例えば、コピーやスキャン、印刷などの各種ジョブに関する設定を行う設定画面等が表示される。
【0030】
なお、本実施形態では、表示部及び操作入力部が操作表示部13として一体に形成される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。表示部と、キーボードやマウス等よりなる操作入力部とが、それぞれ別々に構成されてもよい。または、タッチパネルとして構成された操作表示部13に加えて、キーボードやマウス等よりなる操作入力部を備える構成としてもよい。
【0031】
画像読取部14は、不図示の原稿台上に載置された原稿から画像データを光学的に読み取る。画像読取部14は、CCD(Charge Coupled Devices)、該CCDによる走査を制御する走査制御(いずれも図示略)等を備える。CCDは、不図示の光源から照射されて原稿から反射された光を受光して、該光を電気信号に変換する。走査制御部は、CCDの動作の制御や、CCDから出力される電気信号の処理等を行う。
【0032】
画像処理部15は、不図示の端末装置から送信された画像データに対して、色調整、濃度調整、コントラスト調整、配色変換、画像のサイズ調整、画像中の文字幅の調整などの各種画像処理を行う。
【0033】
画像形成部16は、画像処理部15で画像処理された画像データに基づいて用紙に画像形成を行い、該画像が形成された用紙を印刷物として出力する。画像形成部16は、不図示の帯電装置と、感光ドラムと、露光装置と、転写ベルトと、定着装置と、を備える。
【0034】
そして、画像形成部16は、まず、帯電装置により帯電された感光体ドラムに対して、露光装置から画像に応じた光を照射させることにより、感光ドラムの周上に静電潜像を形成させる。次いで、画像形成部16は、現像装置から感光体にトナーを供給させることにより、帯電した静電潜像上にトナーを付着させてトナー像を現像させる。次いで、画像形成部16は、トナー像を転写ベルトに1次転写させるとともに、転写ベルトに転写されたトナー像をから用紙に2次転写させ、さらに、定着装置に、用紙上に転写されたトナー像を用紙に定着させる。
【0035】
なお、本実施形態では、画像形成部16が電子写真方式を用いて画像形成を行う例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。本発明の画像処理システム、画像形成装置では、インクジェット方式等の他の方式で画像形成を行う画像形成部が用いられてもよい。
【0036】
処理条件設定部17は、通信I/F部11を介して音声処理サーバー3から受信した指示に基づいて、コピー、スキャン、印刷等の各種ジョブに関する設定を行ったり、該設定を変更したりする。処理条件設定部17は、指示受付部171と、設定変更部172と、組禁判定部173と、設定順序制御部174と、を含む。
【0037】
指示受付部171は、通信I/F部11を介して音声処理サーバー3から受信した、ユーザーの発話内容に対応する指示を受け付ける。設定変更部172は、指示受付部171が受け取った指示に基づいて、操作表示部13の画面に表示されている該当設定項目の設定値を、操作表示部13の画面における設定項目の表示順に沿って設定された設定変更の優先順位に基づいて、一つずつ変更する。各設定項目に設定される優先順位については、後述の
図3及び
図4を参照して詳述する。
【0038】
組禁判定部173は、指示受付部171が受け付けた音声操作に基づく指示に基づいて設定項目の設定値を変更することにより、音声操作によって変更が指示された設定項目及びその設定値(変更指示設定値の一例)と、現在設定されている設定項目及びその設定値(設定済設定値の一例)との間で、組禁が発生するか否かを判定する。組禁判定部173は、まず、第1の組禁判定処理を行い、第1の組禁判定処理の結果必要が生じた場合に、第2の組禁判定処理を行う。第1の組禁判定処理及び第2の組禁判定処理については、後述の
図5及び
図6を参照して詳述する。
【0039】
設定順序制御部174は、組禁判定部173によって組禁が発生すると判定された場合であって、各設定項目に設定された変更の優先順位を変更して変更を実施することにより組禁の発生を防げると判定した場合に、設定項目に設定された優先順位を変更する。
【0040】
〔音声処理サーバーの制御系の構成〕
次に、同じく
図2を参照して、音声処理サーバー3の制御系の構成について説明する。
図2に示すように、音声処理サーバー3は、制御部31と、通信I/F部32と、音声解析部33と、を含む。
【0041】
制御部31は、CPU310と、RAM311と、ROM312と、記憶部313と、を含む。
【0042】
CPU310は、ROM312に記憶されているシステムプログラムや音声処理プログラム、処理条件設定プログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAM311に展開し、展開したプログラムに従って音声処理サーバー3の各部の動作を制御する。
【0043】
例えば、CPU310は、音声入出力装置2から音声情報が送信された場合に、該音声情報に対応する、画像処理のジョブに関する各種指示を、通信I/F部32を介して画像形成装置1に送信させる制御を行う。
【0044】
RAM311は、CPU310により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0045】
ROM312は、半導体メモリ等の不揮発性メモリ等により構成され、音声処理サーバー3に対応するシステムプログラム、及び、該システムプログラム上で実行可能な音声処理プログラム等を記憶する。これらのプログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU310は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0046】
記憶部313は、HDDやSSDなどにより構成され、音声処理サーバー3に係る各種の設定データや、音声解析部33による音声解析結果と対応付けられた、画像処理のジョブに関する指示等を記憶する。
【0047】
通信I/F部32は、ネットワークNを介して接続される音声入出力装置2との間で行われる各種データの送受信動作を制御する。
【0048】
音声解析部33は、音声入出力装置2から送信される音声情報を解析して、音声解析結果に対応する指示、例えば、設定情報やジョブの開始指示などを記憶部313から読み出し、制御部31に出力する。
【0049】
[各設定項目に設定される優先順位]
次に、
図3及び
図4を参照して、各設定項目に設定される優先順位について説明する。
図3は、コピーのジョブに関する設定項目の表示例及び各設定項目に設定された設定変更の優先順位の例を示す図であり、
図4は、スキャンのジョブに関する設定項目の表示例及び各設定項目に設定された設定変更の優先順位の例を示す図である。
【0050】
図3には、コピーのジョブに関する設定項目が表示された操作表示部13のコピー設定画面Sc1を示す。
図3に示すコピー設定画面Sc1には、上から下、及び、左から右の順に、「部数」、「カラー」、「両面」及び「ページ集約」の各設定項目が配置されている。そして、設定変更の優先順位は、この並びの順に設定されているものとする。すなわち、一番高い優先順位が設定された設定項目は「部数」であり、一番低い優先順位が設定された設定項目は「ページ集約」である。
【0051】
「部数」の項目では、ユーザーはコピーしたい用紙の部数を設定できる。「カラー」の項目では、ユーザーは、用紙に形成する文字及び/又は画像の色を「自動」、「カラー」及び「ブラック」の中から選択することができる。「両面」の項目では、ユーザーは、用紙を画像形成装置1に読み込ませる面(片面読込又は両面読込)の指定、及び、画像形成を行う面(片面印刷又は両面印刷)の指定を行うことができる。「ページ集約」の項目では、ユーザーは、「なし」(ページ集約を行わない)又は「2in1」の設定を選択することができる。ユーザーは、各設定項目の設定及び変更を、操作表示部13の画面への操作と、音声入出力装置2への発話による指示とのいずれによっても行うことができる。
【0052】
そして、設定変更部172は、ユーザーによって複数の設定項目の設定値の変更が指示された場合、該設定項目の設定値それぞれを、設定された優先順位が高い設定項目の設定値から順に一つずつ変更する。
【0053】
なお、ユーザーによる発話によって、予め定義されたユーザーのお気に入りの設定(以下、「いつもの設定」と称する)の呼び出し(読み込み)が指示された場合には、設定変更部172は、「いつもの設定」として設定されている項目の設定値を変更する。「いつもの設定」は、複数の設定項目の組み合わせよりなり、例えば、記憶部123等に記憶される。
【0054】
図4には、スキャンのジョブに関する設定項目が表示された操作表示部13のスキャン設定画面Sc2を示す。
図4に示すスキャン設定画面Sc2には、上から下、及び、左から下の順に、「宛先1」、「宛先2」、「カラー」、「両面」、「解像度」、「ファイルフォーマット」及び「原稿サイズ」の各設定項目が配置されている。そして、変更の優先順位は、この並びの順に設定されているものとする。すなわち、一番高い優先順位が設定された設定項目は「宛先」であり、一番低い優先順位が設定された設定項目は「原稿サイズ」である。
【0055】
「宛先1」及び「宛先2」では、ユーザーは、画像読取部14が読み取った読取画像の送信先の宛先を指定することができる。「カラー」の項目では、ユーザーは、用紙に形成する文字及び/又は画像の色を「自動」、「カラー」及び「ブラック」の中から選択することができる。「両面」の項目では、ユーザーは、画像形成を行う面(片面又は両面)の指定を行うことができる。
【0056】
「解像度」の項目では、ユーザーは、読取画像の解像度を「200dpi」、「300dpi」、「400dpi」及び「600dpi」の中から選択することができる。「ファイルフォーマット」の項目では、ユーザーは、読取画像のファイルフォーマットを「コンパクトPDF」、「PDF」、「JPEG(Joint Photographic Experts Group)」及び「TIFF(Tagged Image File Format)」の中から選択することができる。「コンパクトPDF」は、スキャンしたデータを画像領域と文字領域とに分割し、それぞれに適した処理を行うことによってファイルサイズを小さく圧縮する、コンパクトPDF変換技術を用いて生成されたファイルの形式である。
【0057】
そして、設定変更部172は、ユーザーによって複数の設定項目の設定値の変更が指示された場合、該設定項目の設定値それぞれを、設定された優先順位が高いものから順に一つずつ変更する。
【0058】
なお、本実施形態では、設定項目の変更の優先順位の順序が、操作表示部13の画面における設定項目の表示順と同一である例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。設定項目の変更の優先順位の順序に、操作表示部13の画面における設定項目の表示順と異なる順序が割り当てられてもよい。
【0059】
[組禁判定部による組禁判定処理及び設定順序制御部による優先順位変更処理]
次に、
図5~
図7を参照して、画像形成装置1の組禁判定部173による組禁判定処理、及び、設定順序制御部174による優先順位変更処理について説明する。
図5は、組禁判定部173が第1の組禁判定処理の際に参照する条件の例、及び、設定順序制御部174が実施する処理の例を示す表である。
図6は、組禁判定部173が第2の組禁判定処理の際に参照する条件の例、及び、設定順序制御部174が実施する処理の例を示す表である。
図7は、組禁判定部173による組禁判定処理及び設定順序制御部174による優先順位変更処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0060】
図5Aには、組禁判定部173が第1の組禁判定処理において判定する条件の例を示す。第1の組禁判定処理は、画像形成装置1の指示受付部171がジョブの設定に関する指示を受け取った場合に行われる処理である。第1の組禁判定で判定される条件には、以下の第1の条件及び第2の条件がある。
【0061】
第1の条件は、以下の(a)、(b)に示す設定項目のいずれかに「コンパクトPDF」が含まれている場合に満たされる。
(a)操作表示部13の画面上に表示されている「ファイルフォーマット」の設定項目(第1の設定項目の一例)
(b)音声操作に基づいて読み出された「いつもの設定」の「ファイルフォーマット」の設定項目(第1の設定項目の一例)
【0062】
第2の条件は、音声操作によって変更が指示された設定内容に、以下の(c)、(d)に示す設定項目及び設定値が両方含まれている場合に満たされる。
(c)「カラー」(第2の設定項目の一例)は「ブラック」
(d)「ファイルフォーマット」は「PDF」又は「TIFF」
【0063】
図5Bに、設定順序制御部174による処理の例を示す。
図5Bに示すように、設定順序制御部174は、組禁判定部173によって第1の条件及び第2の条件の両方を満たすと判定された場合、設定項目に設定されている優先順位を変更する処理を行う。具体的には、「ファイルフォーマット」の設定項目に設定された優先順位を、一番高い優先順位に変更する。ただし、設定項目の中に、スキャンデータを送信する宛先(以下、単に「宛先」とも称する)の設定項目が含まれている場合には、「ファイルフォーマット」の設定項目の優先順位は、優先順位が最も高い「宛先」の設定項目の次の優先順位に変更する。一方、上記第1の条件及び第2の条件の両方は満たされない場合、第2の組禁判定処理を実施する。
【0064】
図6Aに、組禁判定部173が第2の組禁判定処理において判定する条件の例を示す。第2の組禁判定で判定される条件には、以下の第3の条件及び第4の条件がある。
【0065】
第3の条件は、以下の(a)、(b)に示す設定項目のどちらかに「コンパクトPDF」又は「JPEG」が含まれている場合に満たされる。
(a)操作表示部13の画面上に表示されている設定項目
(b)音声操作に基づいて読み出された「いつもの設定」の設定項目
【0066】
第4の条件は、音声操作によって変更が指示された設定内容に、以下の(e)、(f)に示す設定項目及び設定値が両方含まれている場合に満たされる。
(e)「解像度」(第2の設定項目の一例)は「400dpi」又は「600dpi」
(f)「ファイルフォーマット」は「コンパクトPDF」又は「JPEG」以外
【0067】
図6Bに、設定順序制御部174による処理の例を示す。
図6Bに示すように、設定順序制御部174は、組禁判定部173によって第3の条件及び第4の条件の両方を満たすと判定された場合、上記第1の組禁判定処理と同様に、設定項目に設定される優先順位を変更する処理を行う。具体的には、「ファイルフォーマット」の設定項目に設定された優先順位を、一番高い優先順位に変更する。ただし、設定項目の中に、「宛先」の設定項目が含まれている場合には、「ファイルフォーマット」の設定項目の優先順位は、優先順位が最も高い宛先の設定項目の次の優先順位に変更する。
【0068】
一方、上記第3の条件及び第4の条件の両方は満たされない場合、組禁判定部173は、設定項目に設定された優先順位の変更処理は行わない。
【0069】
次に、
図7を参照して、組禁判定部173による組禁判定処理及び設定順序制御部174による優先順位変更処理の手順について説明する。
【0070】
まず、組禁判定部173は、音声操作によりユーザーから入力されたジョブの設定変更の指示を、指示受付部171が受け取ったか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1で、ジョブの設定変更の指示は受け取っていないと判定された場合(ステップS1がNO判定の場合)、制御部12は、ステップS1の判定を繰り返す。
【0071】
一方、ステップS1で、ジョブの設定変更の指示は受け取ったと判定された場合(ステップS1がYES判定の場合)、組禁判定部173は、変更が指示された設定内容は、
図6Aに示した第1の条件及び第2の条件の両方を満たすか否かを判定する(ステップS2)。
【0072】
ステップS2で、変更が指示された設定内容は第1の条件及び第2の条件の両方を満たすと判定された場合(ステップS2がYES判定の場合)、設定順序制御部174は、設定項目に設定されている優先順位を変更する処理を行う(ステップS3)。次いで、設定変更部172は、設定された優先順位の順に各設定項目の内容を変更する(ステップS4)。
【0073】
一方、ステップS2で、変更が指示された設定内容は第1の条件及び第2の条件の両方は満たさないと判定された場合(ステップS2がNO判定の場合)、設定順序制御部174は、変更が指示された設定内容は、
図7Aに示した第3の条件及び第4の条件の両方を満たすか否かを判定する(ステップS5)。
【0074】
ステップS5で、変更が指示された設定内容は第3の条件及び第4の条件の両方を満たすと判定された場合(ステップS5がYES判定の場合)、設定順序制御部174は、ステップS3の処理を行う。つまり、設定順序制御部174は、設定項目に設定されている優先順位を変更する処理を行う。
【0075】
一方、ステップS4で、変更が指示された設定内容は第3の条件及び第4の条件の両方は満たさないと判定された場合(ステップS4がNO判定の場合)、設定順序制御部174は、設定項目に設定された優先順位の変更処理は行わない。その後、設定変更部172によって、ステップS4の処理、すなわち、設定された優先順位に従って各設定項目の内容を変更する処理が行われる。
【0076】
[画像処理システムによる処理条件設定処理]
次に、
図8~
図11を参照して、画像処理システム100による処理条件設定処理について説明する。
図8は、画像処理システム100による処理条件設定処理の手順の例を示すシーケンス図であり、
図9は、画像形成装置1の操作表示部13に表示された音声操作受付画面Sc0の例を示す図である。
図10及び
図11は、画像形成装置1の操作表示部13に表示されたスキャン設定確認画面Sc3の例を示す図である。
【0077】
まず、ユーザーによる「スキャンして」という発話指示が音声入出力装置2に入力される(ステップS11)。ユーザーによる発話指示は、例えば、操作表示部13において
図9に示す音声操作受付画面Sc0が表示された状態で行われる。
図9に示す音声操作受付画面Sc0には、「音声発話を開始するにはスピーカーに話しかけてください。「コピーして」「スキャンして」」のメッセージが表示されている。
【0078】
図8に戻って説明を続ける。ステップS11の処理後、音声入出力装置2から音声処理サーバー3に対して、「スキャンして」の音声に対応する音声データが送信される(ステップS12)。次いで、音声処理サーバー3から画像形成装置1に対して、スキャン設定画面Sc2(
図4参照)の起動指示が送信される(ステップS13)。次いで、画像形成装置1において、スキャン設定画面Sc2が起動される(ステップS14)。
【0079】
次いで、画像形成装置1から音声処理サーバー3に対して、スキャン設定画面Sc2の起動完了通知が送信される(ステップS15)。次いで、音声処理サーバー3から音声入出力装置2に対して、処理結果が通知される(ステップS16)。すなわち、画像形成装置1におけるスキャン設定画面Sc2の起動が完了した旨が通知される。次いで、音声入出力装置2から「スキャンですね。設定を変更しますか?」という、ユーザーに対して設定内容の変更実施の有無を等メッセージが音声で出力される(ステップS17)。
【0080】
このとき、操作表示部13には、例えば、
図10に示すスキャン設定確認画面Sc3が表示される。スキャン設定確認画面Sc3の最上段には「スキャン設定」の題目が表示されており、その下に、現時点での設定内容が箇条書きで表示されている。具体的には、「宛先:なし」、「カラー:自動」、「解像度:400dpi」、及び「ファイルフォーマット:コンパクトPDF」と表示されている。スキャン設定確認画面Sc3の最下段には、「戻る」ボタンと「スタート」ボタンとが配置されている。
【0081】
図8に戻って説明を続ける。ステップS17の処理後、ユーザーより、「カラーブラック、PDFでAさんに送って」という発話指示が音声入出力装置2に入力される(ステップS18)。次いで、音声入出力装置2から音声処理サーバー3に対して、発話指示の音声に対応する音声データがリクエストとして送信される(ステップS19)。
【0082】
次いで、音声処理サーバー3によって、音声データの構文解析処理、及び、変更指示設定値生成処理が行われる(ステップS20)。ステップS20では、「宛先:Aさん、カラー:ブラック、ファイルフォーマット:PDF」の変更指示設定値が生成される。次いで、音声処理サーバー3から画像形成装置1に対して、変更指示設定値が送信される(ステップS21)。
【0083】
次いで、画像形成装置1の組禁判定部173によって、設定順序の並び替えの要否が判定される(ステップS22)。ステップS22では、組禁判定部173は、音声処理サーバー3から送信された変更指示に、組禁を引き起こす設定項目及び設定値が含まれているか否かの判定を行う。具体的には、
図5及び
図6を参照して説明した第1の組禁判定処理及び第2の組禁判定処理を行う。
【0084】
第1の組禁判定処理では、組禁判定部173は、まず、変更指示設定値が第1の条件を満たすか否かを判定する。具体的には、操作表示部13の画面(ここでは、スキャン設定確認画面Sc3)に表示された設定項目と、音声操作によって読み出された「いつもの設定」の設定項目とのいずれかに、「コンパクトPDF」が含まれているか否かが判定される。
図10に示したスキャン設定確認画面Sc3には、「コンパクトPDF」が含まれているため、組禁判定部173は、第1の条件は満たされると判定する。
【0085】
次に、組禁判定部173は、変更指示設定値が第2の条件を満たすか否かを判定する。具体的には、音声操作による変更指示(発話指示)に「カラー:ブラック」及び「ファイルフォーマット:PDF又はTIFF」の両方が含まれているか否かを判定する。
図8に示す例では、発話指示に「カラー:ブラック」及び「ファイルフォーマット:PDF」の両方が含まれる。したがって、第1の条件及び第2の条件が両方満たされるため、ステップS22では、設定順序の並び替えは必要であると判定される。
【0086】
次いで、設定順序制御部174は、設定項目に設定された優先順位を変更する(ステップS23)。具体的には、設定順序制御部174は、「ファイルフォーマット」の設定項目に設定された優先順位を、一番高い優先順位(
図8に示す例では、「宛先」に設定された最上位の優先順位の、次の優先順位)に変更する。
【0087】
設定項目に設定されている設定変更の優先順位は、
図4に例示したように、「ファイルフォーマット」よりも「カラー」の方が高い。したがって、優先順位の変更を行わずに、設定された優先順位に従って設定項目を変更した場合、まず、「カラー」が、
図10に示したスキャン設定確認画面Sc3において設定されていた「自動」から、発話指示に基づく「ブラック」に変更される。この変更が実施された時点で、「カラー」の「ブラック」と、スキャン設定確認画面Sc3(
図10参照)に表示されている「ファイルフォーマット」の「コンパクトPDF」との間で、組禁が発生してしまう。
【0088】
しかしながら、本実施形態では、ステップS23で、「ファイルフォーマット」の設定項目に設定された優先順位が、一番高い優先順位(詳細には、「宛先」に設定された優先順位の次の優先順位)に変更される。そして、設定変更部172は、該設定項目の設定値それぞれを、設定された優先順位が高いものから順に一つずつ変更する(ステップS24)。
【0089】
設定変更部172による設定項目の内容の変更は、ステップS23で、「ファイルフォーマット」の設定項目に設定された優先順位が高い優先順位に変更されたことを受けて、まず、「ファイルフォーマット」から行われる。つまり、スキャン設定確認画面Sc3に表示されている「ファイルフォーマット」の「コンパクトPDF」が「PDF」に変更される。この変更が行われることにより、設定項目間での組禁が発生しなくなる。具体的には、変更後の「ファイルフォーマット」の「PDF」と、変更前の「カラー」の「自動」との間においては、組禁は発生しない。それゆえ、設定変更部172は、設定項目を変更指示の通りに変更することできる。
【0090】
次いで、画像形成装置1から音声処理サーバー3に対して、変更後の設定内容が「宛先:Aさん、カラー:ブラック、ファイルフォーマット:PDF」のように送信される(ステップS25)。
【0091】
次いで、音声処理サーバー3から音声入出力装置2に対して、ステップS19で送信したリクエストに対するレスポンスとしての音声データが送信される(ステップS26)。ステップS26では、音声処理サーバー3から音声入出力装置2に対して、例えば、「宛先Aさん、カラーブラック、フォーマットPDFですね?送信を開始しますか?」等の音声データが送信される。次いで、音声入出力装置2から、ステップS26で音声処理サーバー3から送信された音声データに対応する音声が放音される(ステップS27)。
【0092】
図11に、設定変更部172による変更が実施された後の各設定項目の例を示す。
図11は、変更実施後のスキャン設定確認画面Sc3の例を示す図である。
図11に示すスキャン設定確認画面Sc3の最上段には「スキャン設定」の題目が表示されており、その下に、変更後の設定内容が箇条書きで表示されている。具体的には、「宛先:Aさん」、「カラー:ブラック」、「解像度:400dpi」、及び「ファイルフォーマット:PDF」と表示されている。スキャン設定確認画面Sc3の最下段にも、「戻る」ボタンと「スタート」ボタンとが配置されている。
【0093】
上述した実施形態では、ユーザーによって発話指示された設定の変更項目及びその設定値(変更指示設定値)と、現在設定されている設定項目及びその設定値(設定済設定値)との間で組禁が発生する場合にも、設定順序制御部174によって設定変更の優先順位が変更された上で、設定変更部172によって変更が実施される。したがって、本実施形態によれば、複数の設定の設定内容を変更する指示がユーザーの発話により行われる場合における、組み合わせ禁止エラーの発生を防ぐことができる。また、本実施形態によれば、ユーザーは、組禁による設定変更不可のエラーの発生を恐れたり、組禁を発生させないような組み合わせを考えたりすることなく、音声操作により設定変更を指示できる。
【0094】
<第1の実施形態の変形例>
[画像形成装置及び音声処理サーバーの制御系の構成]
次に、
図12を参照して、本発明の第1の実施形態の変形例に係る画像処理システム100A(処理条件設定システムの一例)の画像形成装置1A及び音声処理サーバー3Aの制御系の構成について説明する。
図12は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る画像形成装置1A及び音声処理サーバー3Aの制御系の構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る画像処理システム100の構成は、
図1に示した構成と同一であるため、ここではその説明を省略する。
【0095】
第1の実施形態の変形例に係る画像処理システム100Aが第1の実施形態に係る画像処理システム100と異なる点は、処理条件設定部の構成が、音声処理サーバー3と画像形成装置1Aとに分散される点である。具体的は、本変形例では、処理条件設定部34のうち、指示受付部341、組禁判定部342及び設定順序制御部343が音声処理サーバー3A内に設けられ、設定変更部18は画像形成装置1A内に設けられる。
【0096】
処理条件設定部34以外の音声処理サーバー3Aの構成は、
図2に示した音声処理サーバー3と同一である。また、設定変更部18以外の画像形成装置1Aの制御系の構成は、
図2に示した画像形成装置1における処理条件設定部17以外の構成と同一である。したがって、ここではこれらの説明は省略する。
【0097】
[画像処理システムによる処理条件設定処理]
次に、
図13を参照して、画像処理システム100Aによる処理条件設定処理について説明する。
図13は、画像処理システム100Aによる処理条件設定処理の手順の例を示すシーケンス図である。
【0098】
まず、ユーザーによる「スキャンして」という発話指示が音声入出力装置2に入力される(ステップS31)。次いで、音声入出力装置2から音声処理サーバー3Aに対して、「スキャンして」の音声に対応する音声データが送信される(ステップS32)。次いで、音声処理サーバー3Aから画像形成装置1Aに対して、スキャン設定画面Sc2(
図4参照)の起動指示が送信される(ステップS33)。次いで、画像形成装置1Aにおいて、スキャン設定画面Sc2が起動される(ステップS34)。
【0099】
次いで、画像形成装置1Aから音声処理サーバー3Aに対して、操作表示部13(
図12参照)に現在表示中の画面に表示されている設定内容、及び、「いつもの設定」の設定内容が送信される(ステップS35)。次いで、音声処理サーバー3Aにおいて、ステップS35で画像形成装置1Aから送信された現在の画面の設定内容、及び、「いつもの設定」の設定内容が、記憶部313に格納される(ステップS36)。
【0100】
次いで、音声処理サーバー3Aから音声入出力装置2に対して、処理結果が通知される(ステップS37)。次いで、音声入出力装置2から「スキャンですね。設定を変更しますか?」という、ユーザーに対して設定内容の変更実施の有無を等メッセージが音声で出力される(ステップS38)。
【0101】
次いで、ユーザーより、「カラーブラック、PDFでAさんに送って」という発話指示が音声入出力装置2に入力される(ステップS39)。次いで、音声入出力装置2から音声処理サーバー3Aに対して、発話指示の音声に対応する音声データがリクエストとして送信される(ステップS40)。
【0102】
次いで、音声処理サーバー3Aによって、音声データの構文解析処理、及び、変更指示設定値生成処理が行われる(ステップS41)。次いで、音声処理サーバー3Aの組禁判定部342(
図12参照)によって、設定順序の並び替えの要否が判定される(ステップS42)。次いで、音声処理サーバー3Aの設定順序制御部343は、設定順序の並び替えが必要であると判定した場合、設定項目に設定された優先順位を変更する(ステップS43)。
【0103】
次いで、音声処理サーバー3Aから画像形成装置1Aに対して、変更指示設定値が送信される(ステップS44)。このとき、変更指示設定値とともに、各設定に付与されている設定変更の優先順位の情報も送信される。次いで、画像形成装置1Aの設定変更部18が、設定された優先順位の順に設定項目の内容を変更する(ステップS45)。次いで、画像形成装置1Aから音声処理サーバー3Aに対して、変更後の設定内容が「宛先:Aさん、カラー:ブラック、ファイルフォーマット:PDF」のように送信される(ステップS46)。
【0104】
次いで、音声処理サーバー3Aから音声入出力装置2に対して、ステップS40で送信したリクエストに対するレスポンスとしての音声データが送信される(ステップS47)。ステップS47では、音声処理サーバー3Aから音声入出力装置2に対して、例えば、「宛先Aさん、カラーブラック、フォーマットPDFですね?送信を開始しますか?」等の音声データが送信される。次いで、音声入出力装置2から、ステップS47で音声処理サーバー3Aから送信された音声データに対応する音声が放音される(ステップS48)。
【0105】
上述した第1の実施形態の変形例によっても、第1の実施形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0106】
<第2の実施形態>
[画像処理システムによる処理条件設定処理の概要]
次に、
図14を参照して、本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理について説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すシーケンス図である。
【0107】
図14に示す処理を行う画像処理システムは、
図2に示した第1の実施形態に係る画像処理システム100と同一の構成、すなわち、処理条件設定部17が画像形成装置1内に設けられた構成を有するものとする。
【0108】
図14に示す処理条件設定処理におけるステップS51~ステップS61の処理は、
図8に示した処理条件設定処理におけるステップS11~ステップS21までの処理と同一であるため、これらの各ステップの説明は省略する。
【0109】
ステップS61の処理後、すなわち、音声処理サーバー3から画像形成装置1に対して、変更指示設定値が送信された後、画像形成装置1は、設定順序並び替え判定処理を行う(ステップS62)。次いで、画像形成装置1は、設定順序並び替え判定処理に基づいて、設定順序を変更する(ステップS63)。ステップS64~ステップS66の処理は、
図13に示した処理条件設定処理におけるステップS46~ステップS48までの処理と同一であるため、これらの各ステップの説明は省略する。
【0110】
ステップS62の設定順序並び替え判定処理では、画像形成装置1の設定順序制御部174(
図2参照)は、指示受付部171が受け付けた変更指示に含まれる複数の設定項目の設定順序として、想定されるすべての設定順序の組み合わせパターン(以下、「設定順序パターン」と称する)を生成する。
【0111】
例えば、指示受付部171が受け付けた設定の変更指示が、以下の3つであったとする。
1.カラー:ブラック
2.解像度:600dpi
3.ファイルフォーマット:PDF
【0112】
この場合、設定順序制御部174は、上記1~3の各設定項目の設定順序として想定されるすべての設定順序パターンとして、以下の6通りの設定順序パターンを生成する。以下の設定順序パターンにおいては、設定項目を上記1~3の番号により示す。
パターン1:1(カラー),2(解像度),3(ファイルフォーマット)
パターン2:1,3,2
パターン3:2,1,3
パターン4:2,3,1
パターン5:3,1,2
パターン6:3,2,1
設定順序パターンは、例えば、汎用ライブラリ等を用いて生成することができる。
【0113】
次いで、設定順序制御部174は、設定順序並び替え判定処理において、設定順序パターンのそれぞれが有する設定順序に基づく、設定値の変更指示設定値への変更の有効又は無効を判定する。具体的には、上記パターン1~6のそれぞれにおいて規定された設定順序に従って、設定項目の設定値を音声操作により変更が指示された設定値に変更し、設定変更が有効となる設定項目の数(以下、「有効設定変更数」と称する)を算出する。設定変更が有効となる設定項目とは、組禁を発生させずに設定を変更可能な設定項目である。
【0114】
図15は、画像形成装置1の操作表示部13に表示されたスキャン設定確認画面Sc3の例を示す図である。
図15に示す例では、スキャン設定確認画面Sc3には、現時点での設定内容として、「宛先:Aさん」、「カラー:自動」、「解像度:300dpi」、及び「ファイルフォーマット:コンパクトPDF」が表示されている。
【0115】
図16は、設定順序制御部174による設定変更結果の例を示す図である。
図16に示す例では、設定変更結果は、「パターン」、「設定順序」、「設定結果」及び「有効設定変更数」の各項目を含む。「パターン」の項目には、各設定順序パターンに連番で割り振られた番号が格納される。「設定順序」には、設定順序が格納される。「設定結果」には、「設定順序」に記載された設定順で各設定項目の設定値を変更した場合における、各設定項目の設定結果(設定変更結果)が格納される。「有効設定変更数」には、設定結果において設定の変更が有効であった設定項目の数が格納される。
【0116】
例えば、「パターン1」においては、設定順序制御部174は、設定順序である「1,2,3」に従って、各設定項目の設定値を、音声操作により変更が指示された設定値に変更してみる。つまり、
図15に示したスキャン設定確認画面Sc3における「1」のカラーを、現在の設定値である「自動」から、変更指示設定値である「ブラック」に変更する。この場合、変更後のカラーの「ブラック」と、ファイルフォーマットの「コンパクトPDF」との組み合わせは組禁となるため、設定変更は無効となる。つまり、「1」のカラーの設定結果は「×」となる。
【0117】
次に、設定順序制御部174は、「2」の解像度を、現在の設定値である「300Dpi」から、変更指示設定値である「600dpi」に変更してみる。この場合、変更後の解像度の「600dpi」と、現在の設定におけるファイルフォーマットの「コンパクトPDF」との組み合わせは組禁となるため、設定変更は無効となる。つまり、「2」の解像度の設定結果も「×」となる。
【0118】
最後に、設定順序制御部174は、「3」のファイルフォーマットを、現在の設定値である「コンパクトPDF」から、変更指示設定値である「PDF」に変更してみる。この場合、変更前の設定値と変更後の設定値との組み合わせにおいて、組禁は発生しないため、設定変更は有効となる。つまり、「3」のファイルフォーマットの設定結果は「○」となる。「パターン1」の設定結果において、設定の変更が有効であった設定項目の数は1つであるため、「パターン1」における「有効設定変更数」は「1」となる。
【0119】
設定順序制御部174は、上述した処理を、パターン1~パターン6のすべてのパターンを対象として実行する。
【0120】
そして、設定順序制御部174は、まず、有効設定変更数が設定項目の数と同数である設定順序パターン、すなわち、すべての設定値の変更が有効となる設定順序パターンがあるか否かを判定する。すべての設定値の変更が有効となる設定順序パターンがあると判定した場合、設定順序制御部174は、該設定順序パターンに規定された設定順序に、複数の設定項目の設定値の変更指示設定値への変更順序を変更する。
【0121】
図16に示す例では、すべての設定値の変更が有効となる設定順序パターンは「パターン3」であるため、設定順序制御部174は、「パターン5」に示される設定順序である「3,2,1」に、設定項目の設定値の変更順序を変更する。そして、設定変更部172は、設定項目の設定値を、「3」の「ファイルフォーマット」、「2」の「解像度」、「1」のカラー、の順に設定項目の設定値を変更する。これにより、まず、ファイルフォーマットが「コンパクトPDF」から「PDF」に変更され、次に、解像度が「300dpi」から「600dpi」に変更され、最後に、「カラー」が「自動」から「ブラック」に変更される。
【0122】
ここで、
図16に示した設定変更結果に基づいて設定変更部172によって変更された設定値の変更結果について説明する。
図17は、画像形成装置1の操作表示部13に表示されたスキャン設定確認画面Sc3の例を示す図である。本実施形態に係る処理条件設定処理が行われることにより、
図17に示すように、スキャン設定において「宛先」は「Aさん」に(設定変更なし)、「カラー」は「ブラック」に、「解像度」は「600dpi」に、「ファイルフォーマット」は「PDF」に設定される。
【0123】
[画像処理システムによる処理条件設定処理の手順]
次に、
図18を参照として、本発明の第2の実施形態に係る画像処理システム100による処理条件設定処理の手順について説明する。
図18は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理システム100による処理条件設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0124】
まず、画像形成装置1の制御部12(
図2参照)は、音声操作によりユーザーから入力されたジョブの設定変更の指示を、指示受付部171が受け取ったか否かを判定する(ステップS71)。ステップS71で、ジョブの設定変更の指示は受け取っていないと判定された場合(ステップS71がNO判定の場合)、制御部12は、ステップS71の判定を繰り返す。
【0125】
一方、ステップS71で、ジョブの設定変更の指示は受け取ったと判定された場合(ステップS71がYES判定の場合)、設定順序制御部174は、変更指示に含まれる設定項目の設定順序パターンを生成する(ステップS72)。次いで、設定順序制御部174は、生成したすべての設定順序パターンを、一列の配列にセットする(ステップS73)。次いで、設定順序制御部174は、配列にセットされた設定順序パターンをひとつ抽出し、該設定順序パターンに示される設定順序に従って設定項目の設定値を変更し、該設定の変更が有効となるか無効となるかを確認する(ステップS74)。
【0126】
次いで、設定順序制御部174は、ステップS74で設定の変更が有効であると判定された設定項目の数、すなわち、有効設定変更数を算出する(ステップS75)。次いで、設定順序制御部174は、すべての設定項目において変更が有効となる設定順序パターンはあるか否かを判定する(ステップS76)。つまり、設定順序制御部174は、設定項目の数と有効設定変更数とが同数である設定順序パターンがあるか否かを判定する。
【0127】
ステップS76で、すべての設定項目において変更が有効となる設定順序パターンはあると判定された場合(ステップS76がYES判定の場合)、設定変更部172は、該設定順序パターンに示される設定順序で、設定項目の設定値を変更する(ステップS77)。ステップS77の処理後、制御部12は、処理条件設定処理を終了する。
【0128】
一方、ステップS76で、すべての設定項目において変更が有効となる設定順序パターンはないと判定された場合(ステップS76がNO判定の場合)、設定順序制御部174は、配列にセットされたすべての設定順序パターンにおける設定順序並び替え判定処理が完了したか否かを判定する(ステップS78)。
【0129】
ステップS78で、すべての設定順序パターンにおける設定順序並び替え判定処理は完了していないと判定された場合(ステップS78がNO判定の場合)、設定順序制御部174は、処理条件設定処理の結果を保存して、次の配列の設定順序パターンを抽出する(ステップS79)。ステップS79の処理後、制御部12は、処理をステップS74に戻す。すなわち、配列にセットされた設定順序パターンをひとつ抽出し、該設定順序パターンに示される設定順序に従って設定項目の設定値を変更し、該設定の変更が有効となるか無効となるかを確認する。
【0130】
一方、ステップS78で、すべての設定順序パターンにおける設定順序並び替え判定処理は完了したと判定された場合(ステップS78がYES判定の場合)、設定順序制御部174は、有効設定変更数が最も多い設定順序パターンに示される設定順序で、設定項目の設定値を変更する(ステップS80)。ステップS80の処理後、制御部12は、処理条件設定処理を終了する。
【0131】
上述した第2の実施形態では、設定順序制御部174は、指示受付部171が受け付けた変更指示に含まれる複数の設定項目の設定順序として、想定されるすべての設定順序パターンを生成する。また、設定順序制御部174は、設定順序パターンのそれぞれが有する設定順序に基づく、設定値の、音声により変更が指示された設定値(変更指示設定値)への変更の有効又は無効(組禁発生の有無)を判定し、該判定の結果に基づいて、複数の設定項目の設定済設定値の変更指示設定値への変更順序を変更する。そして、設定変更部172は、設定順序制御部174によって変更された設定順序で、設定値の変更を実行する。つまり、本実施形態によれば、画像形成装置1内で自動的に設定値の変更の有効/無効が判定されるため、本実施形態に係る処理条件設定処理を画像形成装置等の処理条件設定システムに実装させる設計者は、組禁の発生の有無を事前に把握して処理フローを都度検討する必要がなくなる。
【0132】
また、上述した第2の実施形態では、設定順序制御部174は、設定順序パターンのそれぞれにおいて、設定順序に基づいて設定値を変更指示設定値に変更可能な設定項目の数である有効設定変更数を求め、有効設定変更数が設定項目の数と同数である設定順序パターンが存在するか否かを判定する。そして、該設定順序パターンが存在する場合、設定順序制御部174は、該設定順序パターンが有する設定順序に、複数の設定項目の設定値の変更指示設定値への変更順序を変更する。それゆえ、本実施形態によれば、有効設定変更数が複数の設定項目の数と同数である設定順序パターン、すなわち、すべての設定項目における設定値の変更指示設定値への変更が有効である設定順序パターンがある場合に、複数の設定項目の設定値の変更が迅速に実行される。つまり、ユーザーを待たせることなく、複数の設定項目の設定値を変更することができる。
【0133】
また、上述した第2の実施形態では、設定順序制御部174は、有効設定変更数が複数の設定項目の数と同数である設定順序パターンが存在しない場合、設定順序パターンのうち、有効設定変更数が最も多い設定順序パターン設定順序に、複数の設定項目の設定値の変更指示設定値への変更順序を変更する。それゆえ、本実施形態によれば、有効設定変更数が複数の設定項目の数と同数である設定順序パターンがない場合であっても、複数の設定項目の設定値の変更が迅速に実行される。つまり、ユーザーを待たせることなく、複数の設定項目の設定値を変更することができる。
【0134】
なお、上述した第2の実施形態では、本発明に係る処理条件設定システムを、処理条件設定部17を備えた画像形成装置1に適用した例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。本発明に係る処理条件設定システムは、第1の実施形態の変形例に係る画像処理システム100A(
図12参照)のように、処理条件設定部の構成が、音声処理サーバーと画像形成装置とに分散されたシステムに適用されてもよい。
【0135】
<第2の実施形態の変形例>
[画像処理システムによる処理条件設定処理の概要]
図19を参照して、本発明の第2の実施形態の変形例に係る画像処理システムによる処理条件設定処理について説明する。
図19は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すシーケンス図である。
【0136】
図19に示す処理を行う画像処理システムは、
図12に示した第1の実施形態の変形例に係る画像処理システム100Aと同一の構成を有する。すなわち、処理条件設定部のうち、指示受付部341、組禁判定部342及び設定順序制御部343が音声処理サーバー3A内に設けられ、設定変更部18は画像形成装置1A内に設けられる。
【0137】
図19に示す処理条件設定処理におけるステップS91~ステップS101の処理は、
図13に示した画像処理システム100Aの処理条件設定処理におけるステップS31~ステップS41までの処理と同一であるため、これらの各ステップの説明は省略する。
【0138】
ステップS101の処理後、すなわち、音声処理サーバー3Aによって、音声データの構文解析処理、及び、変更指示設定値生成処理が行われた後、音声処理サーバー3Aは、設定順序並び替え判定処理を行う(ステップS102)。次いで、音声処理サーバー3Aは、設定順序並び替え判定処理に基づいて、設定順序を変更する(ステップS103)。次いで、音声処理サーバー3Aは、ステップS103で変更された設定順序と、変更指示設定値とを、画像形成装置1Aに送信する(ステップS104)。次いで、画像形成装置1Aは、音声処理サーバー3Aから送信された設定順序に従って、設定値を変更指示設定値に変更する(ステップS105)。
【0139】
ステップS106~ステップS108の処理は、
図13に示した処理条件設定処理におけるステップS46~ステップS48までの処理と同一であるため、これらの各ステップの説明は省略する。
【0140】
第2の実施形態の変形例に係る画像処理システム100Aによっても、第1の実施形態に係る画像処理システム100によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0141】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理について説明する。第3の実施形態では、画像処理システムは、音声によって変更が指示された設定項目及びその設定値(設定済設定値)と、現在設定されている設定項目の設定値(設定済設定値)とを比較する。そして、画像処理システムは、音声によって変更が指示された設定項目において、組み合わせ禁止を発生させない設定項目がある場合には、該設定項目の設定値の変更を先に実行する。
【0142】
なお、第3の実施形態に係る画像処理システムは、
図2に示した第1の実施形態に係る画像処理システム100と同一の構成を有する。なお、第3の実施形態に係る画像処理システムは、
図12に示した第1の実施形態の変形例に係る画像処理システム100Aと同一の構成とされてもよい。
【0143】
本実施形態に係る画像処理システム100は、音声によって変更が指示された設定項目及びその設定値と、現在設定されている設定項目の設定値との間で、組禁が発生するか否かを、予め記憶部等に格納しておいた組み合わせ禁止設定テーブル等に基づいて判定する。
【0144】
まず、
図20を参照して、組み合わせ禁止設定テーブルの構成について説明する。
図20は、組み合わせ禁止設定テーブルT1の構成例を示す図である。組み合わせ禁止設定テーブルT1は、「組禁発生条件」、「組み合わせが禁止される設定」及び「組禁解除条件」の各項目を有する。
【0145】
「組禁発生条件」には、組禁を引き起こす可能性のある設定項目及びその設定値が格納される。「組み合わせが禁止される設定」には、「組禁発生条件」に規定された設定項目及び設定値との組み合わせが禁止されている設定項目及びその設定値、すなわち、「組禁発生条件」に規定された設定項目及び設定値と組み合わせられることによって組禁を引き起こす設定項目及びその設定値が格納される。「組禁解除条件」には、その設定値に変更されることにより組禁を解除可能な設定項目及びその設定値が格納される。
【0146】
組み合わせ禁止設定テーブルT1の最上段のレコードにおいては、「組禁発生条件」に「ファイルフォーマット:コンパクトPDF」が格納されており、「組み合わせが禁止される設定」には「カラー:ブラック」及び「解像度:600dpi」が格納されている。また、「組禁解除条件」には、「ファイルフォーマット:PDF」が格納されている。
【0147】
そして、つまり、組み合わせ禁止設定テーブルT1の最上段のレコードにおいては、「ファイルフォーマット」の設定値が「コンパクトPDF」と、「カラー:ブラック」又は「解像度:600dpi」とは、組禁を引き起こす組み合わせであることが示されている。そして、「組禁発生条件」に格納された「ファイルフォーマット」の設定値である「コンパクトPDF」が、組禁解除条件に格納された「PDF」に変更されることにより、組禁の発生を防ぐことができる、すなわち、組禁が解除されることが示されている。なお、「組み合わせが禁止されている設定」には、複数の設定項目及びその設定値を格納することが可能である。
【0148】
ここで、第3の実施形態に係る画像処理システム100による、組み合わせ禁止設定テーブルT1を用いた処理条件設定処理について、具体例を挙げて説明する。
図21は、画像形成装置1の操作表示部13(
図2参照)に表示されたスキャン設定確認画面Sc3の例を示す図である。
【0149】
図21に示すスキャン設定確認画面Sc3には、現時点での設定内容として、「宛先:Aさん」、「カラー:自動」、「解像度:300dpi」、及び「ファイルフォーマット:コンパクトPDF」が表示されている。そして、指示受付部171が受け付けた変更指示が、以下の3つであったとする。
1.カラー:ブラック
2.宛先:Bさん
3.ファイルフォーマット:PDF
【0150】
設定順序制御部174は、音声によって変更が指示された設定項目において、組禁を発生させない設定項目があるか否かを、組み合わせ禁止設定テーブルT1(
図20参照)を参照して判定する。音声操作による指示に含まれる設定項目のうち、「宛先」は、組み合わせ禁止テーブルT1の「組禁発生条件」に含まれていない。したがって、設定順序制御部174は、「宛先」の設定項目は、組禁を引き起こさない設定項目であると判定し、「宛先」の設定項目の設定値の設定順序を、他の設定項目の設定値の設定順序よりも先に変更する。
【0151】
図22は、組み合わせ禁止を引き起こさない設定項目の設定値が先に変更された場合における、画像形成装置1の操作表示部13に表示されたスキャン設定確認画面Sc3のイメージを示す図である。実際には、この時点ではスキャン設定確認画面Sc3の設定値は変更されず、すべての設定値の変更が完了した時点で、スキャン設定確認画面Sc3の設定値が変更されるものとする。
【0152】
図22のスキャン設定確認画面Sc3に示されるように、組禁を引き起こさないと判定された設定項目である「宛先」が、
図21に示した「Aさん」から、変更指示設定値である「Bさん」に変更されている。
【0153】
次に、設定順序制御部174は、第2の実施形態における処理と同様に、指示受付部171が受け付けた変更指示に含まれる複数の設定項目の設定順序として、想定されるすべての設定順序パターンを生成する。そして、各設定順序パターンのそれぞれにおいて、設定順序に基づいて設定値を変更指示設定値に変更可能な設定項目の数である有効設定変更数を求め、該有効設定変更数に基づいて、現在の設定値の変更指示設定値への変更順序を設定する。
【0154】
指示受付部171が受け付けた変更指示のうち、「2」の「宛先」は、既に変更値の変更が終わっているため、設定順序制御部174は、「1」の「カラー」と、「3」の「ファイルフォーマット」の設定順序パターンを生成する。設定項目は2つであるため、設定順序パターンは、「3,1」(パターン1)と、「1,3」(パターン2)との2つとなる。
【0155】
図23は、設定順序制御部174による設定変更結果の例を示す図である。「パターン1」においては、設定項目の「3」及び「1」のいずれにおいても、設定結果は「○」であり、「有効設定変更数」は「2」である。
【0156】
つまり、「3」の「ファイルフォーマット」の現在の設定値である「コンパクトPDF」を、変更指示設定値である「PDF」に変更しても、音声によって変更が指示された設定項目及びその設定値と、現在設定されている設定項目の設定値とにおいて、組禁は発生しない。したがって、設定結果は「○」となる。
【0157】
「1」の「カラー」の現在の設定値である「自動」を、変更指示設定値である「ブラック」に変更しても、音声によって変更が指示された設定項目及びその設定値と、現在設定されている設定項目の設定値とにおいて、組禁は発生しない。したがって、設定結果はこちらも「○」となる。
【0158】
一方、「パターン2」においては、設定項目「1」の「カラー」を、現在の設定値である「自動」から音声操作によって変更が指示された設定値である「ブラック」に変更すると、変更後の「カラー:ブラック」と、現在の設定における「ファイルフォーマット:コンパクトPDF」との間で、組禁が発生する。したがって、設定結果は「×」となる。
【0159】
設定項目「3」の「ファイルフォーマット」を、現在の設定値である「コンパクトPDF」から音声操作によって変更が指示された設定値である「PDF」に変更しても、音声操作によって変更が指示された設定項目の設定値と、現在の設定項目の設定値との間で、組禁は発生しない。したがって、設定結果は「○」となる。それゆえ、「パターン2」における有効設定変更数は「1」となる。
【0160】
この場合、設定順序制御部174は、設定値の変更順序を、有効設定変更数がより多い「パターン1」により規定された「3,1」に設定し、設定変更部172は、まず「3」の「ファイルフォーマット」、次に「1」の「カラー」の順番に、設定項目の設定値を変更する。
【0161】
ここで、
図23に示した設定変更結果に基づいて設定変更部172によって変更された設定値の変更結果について説明する。
図24は、画像形成装置1の操作表示部13に表示されたスキャン設定確認画面Sc3の例を示す図である。本実施形態に係る処理条件設定処理が行われることにより、
図24に示すように、スキャン設定において「宛先」は「Bさん」に(設定変更なし)、「カラー」は「ブラック」に、「解像度」は「300dpi」に、「ファイルフォーマット」は「PDF」に設定される。
【0162】
[画像処理システムによる処理条件設定処理の手順]
次に、
図25を参照して、本発明の第3の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順について説明する。
図25及び
図26は、本発明の第3の実施形態に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0163】
まず、画像形成装置1の制御部12(
図2参照)は、音声操作によりユーザーから入力されたジョブの設定変更の指示を、指示受付部171が受け取ったか否かを判定する(ステップS111)。ステップS111で、ジョブの設定変更の指示は受け取っていないと判定された場合(ステップS111がNO判定の場合)、制御部12は、ステップS111の判定を繰り返す。
【0164】
一方、ステップS111で、ジョブの設定変更の指示は受け取ったと判定された場合(ステップS111がYES判定の場合)、設定順序制御部174は、指示受付部171が受け取った指示において、組禁を発生させない設定項目があるか否かを判定する(ステップS112)。ステップS112で、組禁を発生させない設定項目はあると判定された場合(ステップS112がYES判定の場合)、設定変更部172は、組禁を発生させない設定項目の設定値をまず変更する(ステップS113)。
【0165】
次いで、設定順序制御部174は、組禁が発生する設定項目の設定順序パターンを生成する(ステップS114)。ステップS112において、組禁を発生させない設定項目はないと判定された場合(ステップS112がNO判定の場合)にも、ステップS114の処理が行われる。
【0166】
次いで、設定順序制御部174は、生成したすべての設定順序パターンを、一列の配列にセットする(ステップS115)。次いで、設定順序制御部174は、配列にセットされた設定順序パターン内に、組み合わせ禁止設定テーブルT1の「組禁解除条件」に指定された設定項目及び設定値は含まれているか否かを判定する(ステップS116)。
【0167】
図23に示した設定変更結果の例では、設定項目「1」の「カラー:ブラック」と、設定項目「3」の「ファイルフォーマット:PDF」のうち、「3」の「ファイルフォーマット:PDF」が、組み合わせ禁止設定テーブルT1の「組禁解除条件」に含まれている。従って、ステップS116の判定は、YES判定となる。
【0168】
ステップS116で、「組禁解除条件」に指定された設定項目及び設定値は含まれていると判定された場合(ステップS116がYES判定の場合)、設定順序制御部174は、組禁解除条件に指定された設定項目の設定順序が早い設定パターンから順に、配列を並び替える(ステップS117)。
図23に示した設定変更結果の例では、設定順序制御部174は、「組禁解除条件」に指定された「3」の「ファイルフォーマット」の設定項目の設定順序が早い(1番目である)「パターン1」の設定順序パターンを、配列の先頭に配置する。その次に、「パターン2」の設定順序パターンを配置する。
【0169】
ステップS117の処理後、又は、ステップS116がNO判定の場合、設定順序制御部174は、配列にセットされた設定順序パターンをひとつ抽出し、該設定順序パターンに示される設定順序に従って設定項目の設定値を変更し、該設定の変更が有効となるか無効となるかを設定項目毎に確認する(ステップS118)。次いで、設定順序制御部174は、ステップS118で設定の変更が有効であると判定された設定項目の数、すなわち、有効設定変更数を算出する(ステップS119)。
【0170】
ステップS119の処理後の、結合子Aによって結合された
図26のステップS121~ステップS125の処理は、
図18のステップS76~ステップS80の処理と同一であるため、説明は省略する。ステップS125の処理後、すなわち、設定順序制御部174が、処理条件設定処理の結果を保存して、次の配列の設定順序パターンを抽出した後には、
図25のステップS118の処理が行われる。
【0171】
上述した第3の実施形態によれば、指示受付部171が受け取った設定の変更指示の中に、組禁を引き起こさない設定項目が含まれている場合には、設定変更部172によって、その設定項目の設定値の変更が先に実行される。したがって、有効設定変更数を算出するために行う、設定項目の設定値の変更の有効又は無効を確認する対象となる設定順序パターンの数も、その分減る。したがって、本変形例によれば、音声操作によって変更が指示された複数の設定項目の設定値の変更を、より迅速に実行することが可能となる。
【0172】
[第3の実施形態の変形例]
次に、本発明の第3の実施形態の変形例に係る画像処理システム100による処理条件設定について説明する。本変形例では、上述した各実施形態又はその変形例において、すべての設定項目において設定値の変更が有効となる設定順序パターンはなく、有効設定変更数が最も多い設定順序パターンが複数ある場合に、設定順序制御部174は、各設定項目に予め設定された優先度のスコアに基づいて、設定順序を決定する。
【0173】
設定項目と優先度とは、予め優先度管理テーブルにおいて対応付けられているとする。
図27は、優先度管理テーブルT2の構成例を示す図である。
図27に示すように、優先度管理テーブルT2は、「設定項目」及び「優先度」の各項目を有する。「設定項目」の項目には、設定項目が格納され、「優先度」の項目には、設定項目に設定された、設定変更時における優先度のスコアが格納される。
【0174】
図27に示す例では、設定項目の「カラー」には「3」、「解像度」には「2」、「ファイルフォーマット」には「1」の優先度が対応付けられている。優先度は、例えば、品質重視又はランニングコスト重視等の、印刷の用途等に応じて、ユーザーが適切な値を設定可能であるとする。
【0175】
ここで、第3の実施形態の変形例に係る画像処理システム100による、優先度を用いた処理条件設定処理について、具体例を挙げて説明する。
図28は、画像形成装置1の操作表示部13(
図2参照)に表示されたスキャン設定確認画面Sc3の例を示す図である。
【0176】
図28に示すスキャン設定確認画面Sc3には、現時点での設定内容として、「宛先:なし」、「カラー:設定値v1」、「解像度:設定値v2」、及び「ファイルフォーマット:設定値v3」が表示されている。そして、指示受付部171が受け付けた変更指示が、以下の3つであったとする。
1.カラー:設定値vA
2.解像度:設定値vB
3.ファイルフォーマット:設定値vC
【0177】
図29は、設定順序制御部174による設定変更結果の例を示す図である。
図29に示す例では、設定変更結果は、「パターン」、「設定順序」、「設定結果」、「有効設定変更数」及び「優先度の合計」の各項目を含む。「パターン」、「設定順序」、「設定結果」及び「有効設定変更数」の各項目の意味は、
図16に示した設定変更結果と同一であるため、説明は省略する。「優先度の合計値」には、設定結果が「○」である設定項目に対応付けられた優先度の合計値が格納される。
【0178】
例えば、「パターン1」においては、設定順序が「1(カラー),2(解像度),3(ファイルフォーマット)」の設定順序パターンにおいて、設定結果が「○」である設定項目は、「3」の「ファイルフォーマット」である。
図27に示した優先度設定テーブルT2において、「3」の「ファイルフォーマット」には優先度の「1」が対応付けられているため、パターン1の設定順序パターンにおける優先度の合計値は「1」となる。
【0179】
また、「パターン2」においては、設定順序が「1,3,2」の設定順序パターンにおいて、設定結果が「○」である設定項目は、「3」及び「2」である。
図27に示した優先度設定テーブルT2において、「3」の「ファイルフォーマット」には優先度の「1」が対応付けられており、「2」の「解像度」には優先度の「2」が対応付けられている。よって、パターン2の設定順序パターンにおける優先度の合計値は「1」+「2」=「3」となる。
【0180】
設定順序制御部174は、有効設定変更数が最も多い設定順序パターンが複数ある場合、優先度の合計値のスコアが最も高い設定順序パターンにおける設定順序に、現在の設定値の設定順序を設定する。
図29に示す例では、「パターン6」の設定順序パターンにおける優先度の合計値が「5」であり、最も高い。したがって、設定順序制御部174は、「パターン6」の設定順序である「3,1,2」を、現在の設定値を変更する場合の設定順序に設定する。そして、設定変更部172が、「3(ファイルフォーマット)、1(カラー)、2(解像度)」の順に、現在の設定値を、音声操作によって変更が指示された変更指示設定値に変更する。
【0181】
ここで、
図29に示した設定変更結果に基づいて設定変更部172によって変更された設定値の変更結果について説明する。
図30は、画像形成装置1の操作表示部13に表示されたスキャン設定確認画面Sc3の例を示す図である。第3の実施形態の変形例に係る処理条件設定処理が行われることにより、
図30に示すように、スキャン設定において「宛先」は「なし」に(設定変更なし)、「カラー」は変更前の「設定値v1」から「設定値vA」に、「解像度」は「設定値v2」から「設定値vB」に、「ファイルフォーマット」は「設定値v3」から「設定値vC」に設定される。
【0182】
[画像処理システムによる処理条件設定処理の手順]
次に、
図31を参照として、本発明の第3の実施形態の変形例に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順について説明する。
図31は、本発明の第3の実施形態の変形例に係る画像処理システムによる処理条件設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0183】
図31に示す処理は、
図18のステップS78又は
図26のステップS123がYES判定の場合に行われる。
図18のステップS78又は
図26のステップS123がYES判定の場合とは、すべての設定項目において設定変更が有効となるパターンはなく、かつ、配列にセットされたすべての設定順序パターンにおける設定順序並び替え判定処理が完了した場合である。
【0184】
この場合、設定順序制御部174は、有効設定変更数が最も多い設定順序パターンをすべて抽出する(ステップS131)。次いで、設定順序制御部174は、有効設定変更数が最も多い設定順序パターンの数は2つ以上であるか否かを判定する(ステップS132)。ステップS132で、有効設定変更数が最も多い設定順序パターンの数は2つ以上であると判定された場合(ステップS132がYES判定の場合)、設定順序制御部174は、ステップS131で抽出された2つ以上の設定順序パターンのうち、優先度の合計値のスコアが最も高い設定順序パターンにおいて規定された設定順序で、設定値を変更する(ステップS133)。
【0185】
一方、ステップS132で、有効設定変更数が最も多い設定順序パターンの数は2つ以上でない、すなわち、1つであると判定された場合(ステップS132がNO判定の場合)、設定順序制御部174は、ステップS131で抽出された設定順序パターンにおいて規定された設定順序で、設定値を変更する(ステップS134)。ステップS133又はステップS134の処理後、制御部12は、処理条件設定処理を終了する。
【0186】
上述した第3の実施形態の変形例によれば、有効設定変更数が最も多い設定順序パターンが2つ以上ある場合であっても、各設定項目に対して予め対応付けられた優先度の合計値のスコアに基づいて、設定順序が設定される。それゆえ、本変形例によれば、音声操作によって変更が指示された複数の設定項目の設定値の変更を、より迅速に実行することが可能となる。
【0187】
<各種変形例>
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得る。
【0188】
上述した各実施形態では、「スキャンですね。設定を変更しますか?」等のユーザーへの通知が、音声入出力装置2から放音される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。ユーザーへのメッセージは、操作表示部13の画面上に文字で表示されてもよい。
【0189】
また、上述した各実施形態では、音声入出力装置2としてスマートスピーカーが用いられる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。音声入出力装置2として、携帯電話端末やスマートフォンなどの携帯端末装置が用いられてもよい。
【0190】
さらに、上述した各実施形態、変形例では、処理条件設定システムを、画像形成装置、又は、画像形成装置を含む画像処理システムに適用した例を挙げたが、本発明はこれらに限定されない。本発明の処理条件設定システムは、画像形成を行わないプリンタコントローラや、PC(Personal Computer)などの装置、又は、これらの装置を含むシステム等に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0191】
1、1A…画像形成装置、2…音声入出力装置、3、3A…音声処理サーバー、10…制御部、13…操作表示部、14…画像読取部、15…画像処理部、16…画像形成部、17…処理条件設定部、18…設定変更部、31…制御部、34…処理条件設定部、100…画像処理システム、100A…画像処理システム、171…指示受付部、172…設定変更部、173…組禁判定部、174…設定順序制御部、313…記憶部、341…指示受付部、342…組禁判定部、343…設定順序制御部