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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】バケットエレベータ
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/12 20060101AFI20231226BHJP
   B65G 21/06 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65G17/12 H
B65G21/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020024026
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021127233
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮野 崇
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特許第6197380(JP,B2)
【文献】特開2006-335491(JP,A)
【文献】実開昭53-165061(JP,U)
【文献】実開昭61-059204(JP,U)
【文献】特開昭56-122712(JP,A)
【文献】実開昭60-10191(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00 - 17/48
B65G 21/00 - 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバケットを装着する無端体部材と、前記無端体部材を収容するケーシングと、を少なくとも備え、
前記ケーシングには、上昇移動する前記無端体部材を収容する複数段から成る上昇側ケーシングと、下降移動する前記無端体部材を収容する複数段から成る下降側ケーシングと、が互いに離間して設けられ、
前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングの所定の段における前記ケーシングの一方の外側面においてのみ、平板状の連結パネルよって前記上昇側ケーシングと前記下降側ケーシングとの離間する空間を塞ぐようにして互いに接続される
ことを特徴とするバケットエレベータ。
【請求項2】
前記所定の段の上下方向に隣接する前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングの他の段では、該他の段における前記ケーシングの他方の外側面において、平板状の連結パネルよって前記上昇側ケーシングと前記下降側ケーシングとの離間する空間を塞ぐようにして互いに接続される
請求項1に記載のバケットエレベータ。
【請求項3】
前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングは、
平板状の前面パネルと、前記前面パネルに対向する後面パネルと、前記ケーシングの内側で前記前面パネルと前記後面パネルとに接続される内側パネルと、前記ケーシングの外側で前記前面パネルと前記後面パネルとに接続される外側パネルとから箱状に形成され、
前記前面パネル及び前記後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、前記内側パネル及び前記外側パネルの下端部及び上端部の高さ位置とが互いに異なる
請求項1又は2に記載のバケットエレベータ。
【請求項4】
前記連結パネルは、前記上昇側ケーシングの前記前面パネルと前記下降側ケーシングの前記前面パネルとの間、又は、前記上昇側ケーシングの前記後面パネルと前記下降側ケーシングの前記後面パネルとの間に設置され、
前記連結パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、前記前面パネル及び前記後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置とが互いに異なる
請求項3に記載のバケットエレベータ。
【請求項5】
同一の段に配置される、前記上昇側ケーシングの前記前面パネル及び前記後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、前記下降側ケーシングの前記前面パネル及び前記後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置とが互いに異なる
請求項3又は4に記載のバケットエレベータ。
【請求項6】
前記ケーシングは、該ケーシングの上端部に前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングが接続される枠部材を有し、前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングの前記前面パネル及び/又は前記後面パネルと該枠部材との間に、所定の長さを有する平板状の調整パネルが配置される
請求項3乃至5のいずれかに記載のバケットエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ方向に穀物などの搬送が可能なバケットエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
穀物などを高さ方向へ搬送する装置として、バケットエレベータが主に使用されている。当該バケットエレベータは高さが20~30mにおよぶもので、工場から運搬された資機材を使用して、バケットエレベータの設置場所において組み立てが行われている。
【0003】
そして従来は、プレート状の複数の組立て部品を設置現場に搬入し、作業足場を設置しながら順次上方へと組み立てたり、例えば、特許文献1の図11等に示されるように、バケットエレベータの上部、下部を除いた中間部(ケーシング)の組立てに際して、上部を吊り上げ、中間部(ケーシング)の構成部材を順次下方へ接続する組立方法も提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6197380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した、プレートを順次上方に組み立てる方法においては、足場上での高所作業が継続して発生するので、作業効率が悪く、安全性の面でも十分な安全対策が必要となる。一方、特許文献1に開示された方法においては、危険な高所作業が発生しないものの、中間部(ケーシング)の部品は図示されるような構造体であるため、トラック等での搬送時にかさ張るという問題がある。加えて、特許文献1の図2に示されるように、左右にある箱状の二つの搬送路は、接続段ごとに梁部材32で連結されているだけなので、中間部(ケーシング)全体の剛性は決して高いとは言えない。
【0006】
そこで、本発明は、従来に比較して搬送及び組立作業効率の向上や、組立作業における安全性を向上させることが可能な、バケットエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る発明は、複数のバケットを装着する無端体部材と、前記無端体部材を収容するケーシングと、を少なくとも備え、前記ケーシングには、上昇移動する前記無端体部材を収容する複数段から成る上昇側ケーシングと、下降移動する前記無端体部材を収容する複数段から成る下降側ケーシングと、が互いに離間して設けられ、前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングの所定の段における前記ケーシングの一方の外側面においてのみ、平板状の連結パネルよって前記上昇側ケーシングと前記下降側ケーシングとの離間する空間を塞ぐようにして互いに接続されることを特徴とするバケットエレベータである。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、前記所定の段の上下方向に隣接する前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングの他の段では、該他の段における前記ケーシングの他方の外側面において、平板状の連結パネルよって前記上昇側ケーシングと前記下降側ケーシングとの離間する空間を塞ぐようにして互いに接続される請求項1に記載のバケットエレベータである。
【0009】
本願請求項3に係る発明は、前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングは、平板状の前面パネルと、前記前面パネルに対向する後面パネルと、前記ケーシングの内側で前記前面パネルと前記後面パネルとに接続される内側パネルと、前記ケーシングの外側で前記前面パネルと前記後面パネルとに接続される外側パネルとから箱状に形成され、前記前面パネル及び前記後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、前記内側パネル及び前記外側パネルの下端部及び上端部の高さ位置とが互いに異なる請求項1又は2に記載のバケットエレベータである。
【0010】
本願請求項4に係る発明は、前記連結パネルは、前記上昇側ケーシングの前記前面パネルと前記下降側ケーシングの前記前面パネルとの間、又は、前記上昇側ケーシングの前記後面パネルと前記下降側ケーシングの前記後面パネルとの間に設置され、前記連結パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、前記前面パネル及び前記後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置とが互いに異なる請求項3に記載のバケットエレベータである。
【0011】
本願請求項5に係る発明は、同一の段に配置される、前記上昇側ケーシングの前記前面パネル及び前記後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、前記下降側ケーシングの前記前面パネル及び前記後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置とが互いに異なる請求項3又は4に記載のバケットエレベータである。
【0012】
本願請求項6に係る発明は、前記ケーシングは、該ケーシングの上端部に前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングが接続される枠部材を有し、前記上昇側ケーシング及び前記下降側ケーシングの前記前面パネル及び/又は前記後面パネルと該枠部材との間に、所定の長さを有する平板状の調整パネルが配置される請求項3乃至5のいずれかに記載のバケットエレベータである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、上昇移動する無端体部材を収容する複数段から成る上昇側ケーシングと、下降移動する無端体部材を収容する複数段から成る下降側ケーシングとを、所定の段におけるケーシングの一方の外側面においてのみ、平板状の連結パネルよって互いに接続している。これにより、ケーシングの部品点数とそのコストを低減しつつ、ケーシング全体の剛性を高めることが可能となる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、さらに、所定の段の上下方向に隣接する他の段におけるケーシングの他方の外側面において、平板状の連結パネルよって上昇側ケーシングと下降側ケーシングとの離間する空間を塞ぐようにしたので、これにより、上昇側ケーシングと下降側ケーシングとの間の空間は密閉されることなく、ケーシングの前後で空気移動が可能となり、ケーシングが風を受けた際に風を逃がして耐風力を向上させることも可能となる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、上昇側ケーシング及び下降側ケーシングを、前面パネル及び後面パネル、内側パネル、外側パネルによって箱状に形成し、前面パネル及び後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、内側パネル及び外側パネルの下端部及び上端部の高さ位置とを、互いに異なるように構成している。これにより、上昇側ケーシング及び下降側ケーシングの同一断面に、上記各パネルの接続部が集中することを回避でき、上昇側ケーシング及び下降側ケーシングそれぞれの剛性を高めることが可能となる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、連結パネルを、上昇側ケーシングの前面パネル又は後面パネルと、下降側ケーシングの前面パネル又は後面パネルとの間に設置し、さらに、連結パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、前面パネル及び後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置と互いに異なるように構成したので、ケーシングの同一断面に、前面パネル及び後面パネル接続部と、連結パネルの上端部又は下端部が集中することを回避でき、ケーシング全体の剛性を高めることが可能となる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、同一の段に配置される、上昇側ケーシングの前面パネル及び後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、下降側ケーシングの前面パネル及び後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置とを互いに異なるように構成したので、ケーシングの同一断面に、上昇側ケーシング及び下降側ケーシングにおける前面パネル及び後面パネルの接続部が集中することを回避でき、ケーシング全体の剛性を高めることが可能となる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、ケーシングの上端部に上昇側ケーシング及び下降側ケーシングが接続される枠部材を設け、上昇側ケーシング及び下降側ケーシングの前面パネル及び/又は後面パネルと該枠部材との間に、調整パネルを配置するように構成したので、前面パネル、後面パネル、内側パネル、外側パネルを全て同じ長さで製造しても、容易に、前面パネル及び後面パネルの下端部及び上端部の高さ位置と、内側パネル及び外側パネルの下端部及び上端部の高さ位置とを異ならせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態における、バケットエレベータの全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態における、バケットエレベータの組み立て順序を示した斜視図である。
図3】本発明の実施形態における、連結パネルの取り付け態様を示した斜視図である。
図4】本発明の実施形態における、バケットエレベータの組み立て順序を示した斜視図である。
図5】本発明の実施形態における、連結パネルの取り付け態様を示した斜視図である。
図6】本発明の実施形態における、各パネル同士の接続態様を示した斜視図及び拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、各図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1には、本実施形態におけるバケットエレベータ1の全体斜視図が示されている。図示されるように、バケットエレベータ1は、回転機構を収容する上部回転装置2と、同じく回転機構を収容する下部回転装置4とが上下に設けられ、そして、上部回転装置2と下部回転装置4との間には、図示しない複数のバケットを備えた無端体部材を収容可能なケーシング3が設けられている。
【0022】
より詳細に説明すると、ケーシング3は、上昇する側の無端体部材を収容する箱状の上昇側ケーシング3Aと、下降する側の無端体部材を収容する箱状の下降側ケーシング3Bとが離間して配置され、図1等に示されるように平板状の連結パネルによって互いに連結されている。
【0023】
続いて、本実施形態における、バケットエレベータ1の組み立て態様について、図2図4の記載に基づいて説明する。
【0024】
まず、図2(a)に示されるように、バケットエレベータ1の設置現場において、ケーシング3の上端部に設けられ、上部回転装置2と接続される枠部材31を上下逆にして平らな面に載置する。なお、当該枠部材31は図示されるように3つの開口部が形成されており、両側にある開口部は、それぞれ、上昇する側の無端体部材及び下降する側の無端体部材が通過する開口となるものである。
【0025】
そして、図2(b)に示されるように、上昇する側の無端体部材及び下降する側の無端体部材が通過する開口の前面側及び後面側に、所定寸法を有する平板状の調整パネル32を接続する。次に、上昇する側の無端体部材を収容する箱状の上昇側ケーシング3Aと、下降する側の無端体部材を収容する箱状の下降側ケーシング3Bを形成するため、図2(c)に示されるように、外側パネル33及び内側パネル34を枠部材31に接続する。
【0026】
また同時に、設置された外側パネル33及び内側パネル34との間に、図3に示される態様で前面パネル35及び後面パネル36を接続して、箱状の上昇側ケーシング3A及び下降側ケーシング3Bを形成する。
【0027】
続いて、平らな面に載置された枠部材31に玉掛けワイヤなどを図3に示される態様で取り付け、揚重機等によって枠部材31を含む上昇側ケーシング3A及び下降側ケーシング3Bを吊り上げる。そして、既に取り付けられた上昇側ケーシング3Aの前面パネル35と、下降側ケーシング3Bの前面パネル35、さらに、調整パネル32に掛け渡されるようして連結パネル37を接続する。これにより、上昇側ケーシング3Aと下降側ケーシング3Bとが強固に固定され、ケーシング3全体の剛性を高めることが可能となる。
【0028】
前述のようにして、図4(a)に示されるような1段分のケーシング3の組み立てが完了すると、図4(b)に示されるように、揚重機によってさらに上方に吊り上げ、2段目の外側パネル33及び内側パネル34を接続する。そして、1段目のケーシング3と同様に前面パネル35及び後面パネル36を取り付ける。ここで、1段目と2段目のケーシング3の接続部では、1段目の前面パネル35及び後面パネル36の下端部の高さ位置と、外側パネル33及び内側パネル34の下端部の高さ位置が互いに異なるように構成されている。このように構成することで、上昇側ケーシング3A及び下降側ケーシング3Bの同一断面に、各パネルの接続部が集中することを回避でき、上昇側ケーシング3A及び下降側ケーシング3Bそれぞれの剛性を高めることが可能となる。
【0029】
続いて、1段目と同様に、2段目の上昇側ケーシング3A及び下降側ケーシング3Bの間に2段目の連結パネル37を接続するわけであるが、図5(b)に示されるよう、1段目のときと異なり、ケーシング3の後面側に連結パネル37を接続する。さらにその際、図5(a)、(b)を見て判るように、側面視したとき、1段目の連結パネル37の下方と、2段目の連結パネル37の上方が、一部重なるようにして配置して接続される。このように構成することで、同一断面に、各パネルの接続部が集中することを回避でき、ケーシング3全体としての剛性を高めることが可能となる。なお、本実施形態では、連結パネル37を1段目の上昇側ケーシング3A及び下降側ケーシング3Bの前面パネル35に接続し、2段目では後面パネル36に接続したが、1段目で後面パネル36に接続し、2段目で前面パネル35に接続するようにしてもよい。
【0030】
また、1段目と2段目とで、前後互い違いに連結パネル37が接続されるので、上昇側ケーシング3Aと下降側ケーシング3Bとの間の空間は連結パネル37によって密閉されないように構成されている。これにより、ケーシング3の前後で空気移動が可能となり、ケーシング3が風を受けた際に風を逃がして耐風力を向上させることも可能となる。
【0031】
以上のようにして組み立てられたケーシング3は、揚重機により吊り上げられ、あらかじめバケットエレベータ1の設置場所に据え付けられた下部回転装置4の上部に、ケーシング3が接続されるように構成されている。
【0032】
このような本実施形態の組み立て方法によれば、足場上での高所作業を低減することが可能となり、安全で効率的な組み立て作業を行うことが可能となる。また、本実施形態のケーシング3は、フレーム構造ではなく、平板状の各種パネルを接続して組み立てられるものである。したがって、部材の取り扱いが容易となるとともに、トラックによって設置現場まで運搬する際にかさ張らない。さらに、運搬コストを大幅に低減することも可能となる。
【0033】
次に、図6には、本実施形態における外側パネル33と前面パネル35、及び、内側パネル34と後面パネル36との接続態様が図示されている。図6(b)の断面図に示されるように、前面パネル35及び後面パネル36の両側端部には、コ字状の嵌合凹部50が形成され、内側パネル34又は外側パネル33の嵌合端部51が嵌め込まれて接続されるように構成されている。
【0034】
また、前面パネル35及び後面パネル36の嵌合凹部50の一方の端部には、先端が180度折り曲げられた凹部先端折り曲げ部501が形成され、同様に、内側パネル34及び外側パネル33の嵌合端部51にも、先端が180度折り曲げられた嵌合端部先端折り曲げ部511が形成されている。このような構成により、互いに嵌め合わされる嵌合凹部50及び嵌合端部51の先端が補強されて変形し難くなり、嵌合接続された前面パネル35及び後面パネル36と、内側パネル34及び外側パネル33とを強固に接続することが可能となる。
【0035】
続いて、図6(a)には、外側パネル33と前面パネル35、及び、内側パネル34と後面パネル36との接続方法が図示されている。特に、接続方法は限定されるものではなく、例えば、嵌合凹部50に前後方向から嵌合端部51を嵌め込むことが可能であり、別の方法では、図6(a)の右図に示されるように、嵌合凹部50と嵌合端部51とを端から嵌め込んで、上下方向にスライドさせて接続することも可能である。
【0036】
〔変形例〕
以上、本発明のバケットエレベータにおける一実施形態について説明した。しかし、本発明は前述の実施形態に必ずしも限定されるものではなく、例えば以下のような変形例も含まれる。
【0037】
例えば、前述の実施形態では、バケットエレベータ1のケーシング3を実施例として説明したが、本発明の特徴的な構成を有するケーシング3は、鉛直方向へ搬送路を有する他の搬送機械に適用が可能である。また、鉛直方向に設置されるケーシングに限らず、水平方向へ搬送路を有する搬送機械のケーシングとしても適用が可能である。
【0038】
また、前述の実施形態における連結パネル37は、上昇側ケーシング3Aと下降側ケーシング3Bとの間の空間と略同じ幅寸法を有すように形成したが、連結パネル37の幅寸法を拡大し、上昇側ケーシング3Aと下降側ケーシング3Bの前面パネル35又は後面パネル36を併せて覆うように形成することも可能である。このように構成することで、さらに、ケーシング3全体の剛性を高めることが可能となる。
【0039】
また、前述の実施形態では、図3等に示されるように、上昇側ケーシング3Aの前面パネル35及び後面パネル36の下端部及び上端部の高さ位置と、下降側ケーシング3Bの前面パネル35及び後面パネル36の下端部及び上端部の高さ位置とが、同じ高さ位置になるように構成されているが、必ずしも同じ高さ位置にすることなく、上昇側ケーシング3Aと下降側ケーシング3Bとで互いに高さ位置が異なるようにすることも可能である。このように構成することで、ケーシング3の同一断面に、各パネルの接続部が集中することを回避でき、ケーシング3全体としての剛性を高めることが可能となる。
【0040】
また、前述の実施形態では、図3に示されるように、枠部材31を吊り上げた後に、連結パネル37を接続したが、図2(c)にしめされるような、枠部材31を吊り上げる前に、連結パネル37を接続するようにしてもよい。このようにすることで、枠部材31を含むケーシングの剛性が向上し、枠部材31を吊り上げる際のケーシングの捻じれや歪みを抑制することが可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施例及び一部の変形例について説明してきたが、これらの説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 バケットエレベータ
2 上部回転装置
3 ケーシング
3A 上昇側ケーシング
3B 下降側ケーシング
4 下部回転装置
31 枠部材
32 調整パネル
33 外側パネル
34 内側パネル
35 前面パネル
36 後面パネル
37 連結パネル
50 嵌合凹部
51 嵌合端部
501 凹部先端折り曲げ部
511 嵌合端部先端折り曲げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6