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特許7409139籾摺調製設備、籾摺機および光学式選別機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】籾摺調製設備、籾摺機および光学式選別機
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
B02B7/00 101Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020025461
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130074
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 敬仁
(72)【発明者】
【氏名】亀山 雅行
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202278(JP,A)
【文献】特開2010-142678(JP,A)
【文献】特開2006-325036(JP,A)
【文献】特許第6360266(JP,B1)
【文献】特開2014-161773(JP,A)
【文献】特開平05-104003(JP,A)
【文献】特開2013-027822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0356513(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 - 7/02
B07B 1/00 - 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺調製設備であって、
籾摺機と、
前記籾摺機の後工程に設置された光学式選別機と
を備え、
前記光学式選別機は、
第1の通信インタフェースと、
前記光学式選別機での所定の事象の発生を報知するための報知データを前記第1の通信インタフェースを介して前記籾摺機に送信するように構成された報知データ送信部と
を備え、
前記籾摺機は、
仕上玄米を前記光学式選別機側に向けて移送するための排出位置と、前記仕上玄米を機内で循環させるための循環位置と、の間で弁位置を切換え可能に構成された切換弁と、
前記切換弁の動作を制御するように構成された切換弁制御部と、
第2の通信インタフェースと、
を備え、
前記切換弁制御部は、前記報知データが前記第2の通信インタフェースによって受信された場合、前記切換弁が前記排出位置にあるときは、前記切換弁の前記弁位置を前記循環位置に切り換えるように構成され、
前記所定の事象は、前記籾摺機から前記光学式選別機に前記仕上玄米が供給されると前記光学式選別機において詰まりが発生する恐れのあるエラーである第1のエラーが発生したことと、前記光学式選別機が停止中であること、のうちの少なくとも一方を含む
籾摺調製設備。
【請求項2】
籾摺調製設備であって、
籾摺機と、
前記籾摺機の後工程に設置された光学式選別機と
を備え、
前記光学式選別機は、第1の通信インタフェースを備え、
前記籾摺機は、
仕上玄米を前記光学式選別機側に向けて移送するための排出位置と、前記仕上玄米を機内で循環させるための循環位置と、の間で弁位置を切換え可能に構成された切換弁と、
前記切換弁の動作を制御するように構成された切換弁制御部と、
第2の通信インタフェースと、
前記第2の通信インタフェースを介して前記第1の通信インタフェースに定期的に死活監視データを送信して、前記第1の通信インタフェースと前記第2の通信インタフェースとの間の通信状態を監視する通信監視部と
を備え、
前記切換弁制御部は、前記死活監視データに対する前記第1の通信インタフェースからの応答が所定の期間に亘って前記第2の通信インタフェースによって受信されない場合、前記切換弁が前記排出位置にあるときは、前記切換弁の前記弁位置を前記循環位置に切り換えるように構成された
籾摺調製設備。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の籾摺調製設備であって、
前記光学式選別機は、
外部から視認可能に設置される光源と、
前記光学式選別機の運転状況に応じて異なる態様で発光するように前記光源を制御するように構成された発光制御部と
を備える
籾摺調製設備。
【請求項4】
請求項3に記載の籾摺調製設備であって、
前記光学式選別機の前記運転状況は、前記所定の事象が発生したことを含む
籾摺調製設備。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の籾摺調製設備であって、
前記籾摺機は、前記籾摺機の運転状況を表す運転状況データを前記第2の通信インタフェースを介して前記光学式選別機に送信するように構成された運転状況送信部を備え、
前記光学式選別機は、前記運転状況データを受信する運転状況受信部を備え、
前記発光制御部は、さらに、前記籾摺機の前記運転状況に応じて異なる態様で発光するように前記光源を制御するように構成された
籾摺調製設備。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の籾摺調製設備であって、
前記光学式選別機は、前記第1の通信インタフェースを介して前記第2の通信インタフェースに定期的に死活監視データを送信して、前記第1の通信インタフェースと前記第2の通信インタフェースとの間の通信状態を監視する通信監視部を備え、
前記光学式選別機の前記運転状況は、前記第1の通信インタフェースからの前記死活監視データに対する前記第2の通信インタフェースからの応答が所定の期間に亘って前記第1の通信インタフェースによって受信されないことを含む
籾摺調製設備。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載の籾摺調製設備であって、
前記光源は、該光源から放出される光が前記光学式選別機の全周から視認可能となるように配置された
籾摺調製設備。
【請求項8】
請求項3ないし請求項7のいずれか一項に記載の籾摺調製設備であって、
前記光源は、前記光学式選別機の周囲を照明可能に構成された
籾摺調製設備。
【請求項9】
請求項3ないし請求項8のいずれか一項に記載の籾摺調製設備であって、
前記発光制御部は、第2のエラーが発生した場合に所定の態様で発光するように前記光源を制御し、
前記所定の事象は、前記第2のエラーが所定期間、解消されないことを含む
籾摺調製設備。
【請求項10】
籾摺機であって、
仕上玄米を後工程に向けて移送するための排出位置と、前記仕上玄米を機内に循環させるための循環位置と、の間で弁位置を切換え可能に構成された切換弁と、
前記切換弁の動作を制御するように構成された切換弁制御部と、
通信インタフェースと、
前記通信インタフェースを介して前記後工程に設置された光学式選別機に定期的に死活監視データを送信して、前記通信インタフェースと前記光学式選別機との間の通信状態を監視する通信監視部と
を備え、
前記切換弁制御部は、前記死活監視データに対する応答が所定の期間に亘って前記通信インタフェースによって受信されないことと、前記光学式選別機での所定の事象の発生を報知するための報知データが前記通信インタフェースによって受信されたことと、のうちの一方が生じた場合、前記切換弁が前記排出位置にあるときは、前記切換弁の前記弁位置を前記循環位置に切り換えるように構成され、
前記所定の事象は、前記籾摺機から前記光学式選別機に前記仕上玄米が供給されると前記光学式選別機において詰まりが発生する恐れのあるエラーが発生したことと、前記光学式選別機が停止中であること、のうちの少なくとも一方を含む
籾摺機。
【請求項11】
光学式選別機であって、
通信インタフェースと、
前記光学式選別機で所定の事象の発生を報知するための報知データを、前記通信インタフェースを介して、前記光学式選別機の前工程に設置された籾摺機に送信するように構成された報知データ送信部と
を備え、
前記所定の事象は、前記籾摺機によって処理された仕上玄米が前記籾摺機から前記光学式選別機に供給されると前記光学式選別機において詰まりが発生する恐れのあるエラーが発生したことと、前記光学式選別機が停止中であること、のうちの少なくとも一方を含む
光学式選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺機と光学式選別機とを備える籾摺調製設備に関する。
【背景技術】
【0002】
籾摺機と、当該籾摺機の後工程に設置された光学式選別機と、を備える籾摺調製設備が知られている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-202278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の籾摺調製設備は、運転管理の面で改善の余地を残していた。例えば、光学式選別機に何らかのエラーが発生した場合、オペレータがそれに気付かなければ、あるいは、オペレータの対応が遅れると、籾摺機から、エラーが発生している光学式選別機に仕上玄米が供給され続けることになる。この場合、光学式選別機の構成装置(例えば、昇降機)に詰まりが生じるおそれがあった。このような詰まりの解消作業は大きな労力を要するので、極力避けることが望ましい。特に、光学式選別機は、通常、二つまたは三つの昇降機を備えているので、解消作業は特に大きな労力を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本発明の第1の形態によれば、籾摺調製設備が提供される。この籾摺調製設備は、籾摺機と、籾摺機の後工程に設置された光学式選別機と、を備えている。光学式選別機は、第1の通信インタフェースと、光学式選別機での所定の事象の発生を報知するための報知データを第1の通信インタフェースを介して籾摺機に送信するように構成された報知データ送信部と、を備えている。籾摺機は、仕上玄米を光学式選別機側に向けて移送するための排出位置と、仕上玄米を機内で循環させるための循環位置と、の間で弁位置を切換え可能に構成された切換弁と、切換弁の動作を制御するように構成された切換弁制御部と、第2の通信インタフェースと、第2の通信インタフェースを介して第1の通信インタフェースに定期的に死活監視データを送信して、第1の通信インタフェースと第2の通信インタフェースとの間の通信状態を監視する通信監視部と、を備えている。切換弁制御部は、死活監視データに対する第1の通信インタフェースからの応答が所定の期間に亘って第2の通信インタフェースによって受信されないことと、報知データが第2の通信インタフェースによって受信されたことと、のうちの一方が生じた場合、切換弁が排出位置にあるときは、切換弁の弁位置を循環位置に切り換えるように構成される。
【0007】
この籾摺調製設備によれば、報知データが籾摺機の第2の通信インタフェースによって受信された場合に、つまり、光学式選別機で所定の事象が発生した場合に、切換弁の弁位置が排出位置から循環位置に切り換えられる。したがって、所定の事象として、籾摺機から光学式選別機に仕上玄米が供給されると光学式選別機において詰まりが発生する恐れのある事象を設定しておけば、光学式選別機における詰まりを防止することができる。さらに、この籾摺調製設備によれば、死活監視データに対する第1の通信インタフェースからの応答が所定の期間に亘って第2の通信インタフェースによって受信されない場合に、つまり、通信異常が発生している場合にも、切換弁の弁位置が排出位置から循環位置に切り換えられる。通信異常が発生している場合には、異常が通信だけではなく、光学式選別機の他の機能にも及んでいたとしても、籾摺機は報知データを受信することができない。しかしながら、この態様によれば、籾摺機は、報知データを受信しなくても、光学式選別機における詰まりを防止することができる。換言すれば、安全側の措置として籾摺機の切換弁の弁位置を循環位置に切り換えて、詰まりを確実に防止することができる。
【0008】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、所定の事象は、第1のエラーが発生したことと、光学式選別機が停止中であること、のうちの少なくとも一方を含む。第1のエラーは、籾摺機から光学式選別機に仕上玄米が供給されると光学式選別機において詰まりが発生する恐れのあるエラーであってもよい。この形態によれば、光学式選別機における詰まりを防止することができる。
【0009】
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、光学式選別機は、外部から視認可能に設置される光源と、光学式選別機の運転状況に応じて異なる態様で発光するように光源を制御するように構成された発光制御部と、を備えている。この形態によれば、オペレータは、光源の発光態様に基づいて、光学式選別機の運転状態(例えば、異常の有無等)を容易に把握することができる。したがって、運転管理を行いやすい。
【0010】
本発明の第4の形態によれば、第3の形態において、光学式選別機の運転状況は、所定の事象が発生したことを含む。この形態によれば、オペレータは、光学式選別機で所定の事象が発生し、籾摺機の切換弁の弁位置が排出位置から循環位置に切り換えられていることを、光源の発光態様に基づいて容易に気付くことができる。したがって、オペレータは、所定の事象を解消するための措置を速やかにとることができる。
【0011】
本発明の第5の形態によれば、第3または第4の形態において、籾摺機は、籾摺機の運転状況を表す運転状況データを第2の通信インタフェースを介して光学式選別機に送信するように構成された運転状況送信部を備えている。光学式選別機は、運転状況データを受信する運転状況受信部を備えている。発光制御部は、さらに、籾摺機の運転状況に応じて異なる態様で発光するように構成される。この形態によれば、オペレータは、光学式選別機のそばに居ながらにして、籾摺機の運転状況も容易に把握することができる。オペレータは、籾摺調製設備の運転時には、光学式選別機のそばにいることが多いので、この態様は、利便性が非常に高い。
【0012】
本発明の第6の形態によれば、第3ないし第5のいずれかの形態において、光学式選別機は、第1の通信インタフェースを介して第2の通信インタフェースに定期的に死活監視データを送信して、第1の通信インタフェースと第2の通信インタフェースとの間の通信状態を監視する通信監視部を備えている。光学式選別機の運転状況は、第1の通信インタフェースからの死活監視データに対する第2の通信インタフェースからの応答が所定の期間に亘って第1の通信インタフェースによって受信されないことを含む。この形態によれば、オペレータは、籾摺機の通信機能に異常が発生していることを、光源の発光態様に基づいて容易に気付くことができる。したがって、オペレータは、必要な措置を速やかにとることができる。
【0013】
本発明の第7の形態によれば、第3ないし第6のいずれかの形態において、光源は、光源から放出される光が光学式選別機の全周から視認可能となるように配置される。この形態によれば、オペレータは、光学式選別機の周囲のどの方向から光学式選別機を見ても、光源の発光態様を確認することができる。したがって、利便性が高い。
【0014】
本発明の第8の形態によれば、第3ないし第7のいずれかの形態において、光源は、光学式選別機の周囲を照明可能に構成される。この形態によれば、籾摺調製設備を屋内の暗い場所に設置する場合や、籾摺調製設備を夜間に運転する場合であっても、オペレータは、操作、点検等の必要な作業を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の第9の形態によれば、第3ないし第8のいずれかの形態において、発光制御部は、第2のエラーが発生した場合に所定の態様で発光するように光源を制御する。所定の事象は、第2のエラーが所定期間、解消されないことを含む。この形態によれば、第2のエラーが発生してから切換弁の弁位置を循環位置に切り換えるまでに、所望の時間間隔をあけることができる。換言すれば、第2のエラーが自然に所定期間内に解消された場合や、オペレータの対応によって所定期間内に第2のエラーが解消された場合には、切換弁の弁位置は循環位置に切り換えられない。つまり、切換弁の弁位置を循環位置に切り換える動作が頻発することによる籾摺調製設備全体としての処理能力の低下を抑制できる。
【0016】
本発明は、籾摺調製設備としての形態に限らず、第1ないし第9のいずれかの形態の籾摺調製設備を構成する籾摺機単体、または、光学式選別機単体としても実現可能である。さらに、第3ないし第8の形態は、第1の形態と切り離して、単独で実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による籾摺調製設備の概略構成を示す模式図である。
図2】籾摺機の概略構成を示すブロック図である。
図3】光学式選別機の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態としての籾摺調製設備10の概略構成を示す模式図である。図示するように、籾摺調製設備10は、籾摺機100と、籾摺機100の後工程に設置された光学式選別機200と、を備えている。籾摺機100には、乾燥済みの籾米が投入される。籾摺機100では、籾米が籾摺りされ、さらに、未脱ぷの籾米と、脱ぷ済みの玄米と、に選別されて、脱ぷ済みの玄米が仕上玄米として排出される。この仕上玄米は、光学式選別機200に投入される。光学式選別機200では、仕上玄米から、異物(例えば、小石、泥、ガラス片など)および不良品(例えば、未熟粒、着色粒など)が除去される。籾摺機100と光学式選別機200との間に粒選別機が設置されてもよい。この場合は、仕上玄米は、粒選別機において、小径の屑粒と、大径の良品と、に選別され、良品のみが光学式選別機200に投入される。
【0019】
この籾摺調製設備10では、籾摺機100および光学式選別機200は、通信機能をそれぞれ有している。籾摺機100と光学式選別機200とは、双方向通信、すなわち、籾摺機100から光学式選別機200への通信C1と、光学式選別機200から籾摺機100への通信C2と、に基づいて、運転管理のための連係動作を行う。
【0020】
図2は、籾摺機100の概略構成を示すブロック図である。籾摺機100は、原料ホッパ101と籾摺部102と風選部103と混合米タンク104と揺動選別機105と切換弁110と玄米揚穀機106とを備えている。これらの構成は周知であるので、簡単に説明すると、原料ホッパ101に投入された籾米は、籾摺部102において一対の脱ぷロールの間を通過する。これによって、大半の籾米が籾殻と玄米とに分離され、混合米が得られる。混合米とは、脱ぷされた玄米に、未脱ぷの籾米が数十%混ざったものである。この混合米は風選部103に供給され、風選部103では、籾殻が風力によって混合米から除去される。籾殻が除去された混合米は、混合米タンク104において一時的に貯留された後、揺動選別機105に供給される。揺動選別機105では、揺動選別板によって、混合米が仕上玄米と籾米とに選別される。籾米は、原料ホッパ101に戻され、再度、上述の工程に供される。仕上玄米は、切換弁110に供給される。
【0021】
切換弁110は、仕上玄米を機外へ(換言すれば、光学式選別機200側に向けて)移送するための排出位置と、仕上玄米を機内で循環させるための循環位置と、の間で弁位置を切換え可能に構成される。この弁位置の切換えは、後述する切換弁制御部121によって制御される。切換弁110が排出位置にあるときは、仕上玄米は、玄米揚穀機106に供給され、その後、光学式選別機200へ供給される。一方、切換弁110が循環位置にある場合は、仕上玄米は、混合米タンク104へ戻される。このように、切換弁110が循環位置にあるときは、仕上玄米は、機内を循環するので、光学式選別機200へ向けて排出されることはない。
【0022】
籾摺機100は、さらに、コントローラ120と、第2の通信インタフェース130と、モニタ140と、を備えている。コントローラ120は、籾摺機100の動作全般を制御する。コントローラ120は、さらに、切換弁制御部121、通信監視部122および運転状況送信部123としても機能する。コントローラ120の機能は、所定のプログラムをCPUが実行することによって実現されてもよいし、専用回路によって実現されてもよいし、CPUと専用回路との組み合わせによって実現されてもよい。切換弁制御部121、通信監視部122および運転状況送信部123の詳細については後述する。
【0023】
第2の通信インタフェース130は、本実施形態では、無線通信を行うためのインタフェースである。ただし、第2の通信インタフェース130は、有線通信を行うためのインタフェースであってもよい。
【0024】
モニタ140は、オペレータが操作を行うためのGUIである。モニタ140には、籾摺機100の運転状況を表示することもできる。こうした運転状況としては、例えば、籾摺機100が運転中であるか、それとも停止中であるか、切換弁110の弁位置(つまり、排出運転中であるか、それとも循環運転中であるか)、異常の有無や異常の内容などを例示できる。
【0025】
図3は、光学式選別機200の概略構成を示すブロック図である。光学式選別機200は、原料ホッパ201とシュート202と光学検出部203とエジェクタ204とを備えている。これらの構成は周知であるので、簡単に説明すると、原料ホッパ201に投入された仕上玄米は、供給装置によってシュート202上に供給される。シュート202に代えて、コンベアが使用されてもよい。光学検出部203は、シュート202から滑り落ちた仕上玄米に対して光を照射し、仕上玄米に関連付けられた光(具体的には、仕上玄米を透過した透過光、および/または、仕上玄米によって反射された反射光)を検出する。光学検出部203によって得られる画像に基づいて、仕上玄米が良品であるか、それとも、異物ないし不良品であるかが判定される。そして、仕上玄米が異物または不良品であると判定された場合、エジェクタ204は、異物または不良品に向けてエアを噴射し、その落下軌道を変更する。これによって、投入された仕上玄米は、良品と、異物または不良品と、に選別される。
【0026】
光学式選別機200は、さらに、コントローラ220と、第1の通信インタフェース230と、モニタ240と、複数の光源250a,250bと、を備えている。コントローラ220は、光学式選別機200の動作全般を制御する。コントローラ220は、さらに、報知データ送信部221、発光制御部222、通信監視部223および運転状況受信部224としても機能する。コントローラ220の機能は、所定のプログラムをCPUが実行することによって実現されてもよいし、専用回路によって実現されてもよいし、CPUと専用回路との組み合わせによって実現されてもよい。報知データ送信部221、発光制御部222、通信監視部223および運転状況受信部224の詳細については後述する。
【0027】
第1の通信インタフェース230は、本実施形態では、無線通信を行うためのインタフェースである。ただし、第1の通信インタフェース230は、有線通信を行うためのインタフェースであってもよい。
【0028】
モニタ240は、オペレータが操作を行うためのGUIである。モニタ240には、光学式選別機200の運転状況を表示することもできる。こうした運転状況としては、例えば、光学式選別機200が運転中であるか、それとも停止中であるか、異常の有無や異常の内容、異物および不良品の混入率、エア噴射回数などを例示できる。
【0029】
光源250a,250bの各々は、本実施形態では、複数のカラーLEDからなるLED群である。ただし、光源250a,250bには、任意の発光素子を使用することができる。光源250a,250bは、主にオペレータへの報知のために設けられている。このため、光源250a,250bは、外部から視認可能に設置される。本実施形態では、図3に模式的に図示されるように、光源250a,250bは、光学式選別機200の対向する二つの側面の頂部付近に配置されている。このため、光源250a,250bから放出される光は、光学式選別機200の全周から視認可能となっている。したがって、オペレータは、光学式選別機200の周囲のどの方向から光学式選別機200を見ても、光源250a,250bの発光を確認することができる。代替実施形態では、全周から視認可能とするために、光学式選別機200の頂面のみにLED群が配置されてもよいし、あるいは、光学式選別機200の全ての側面の各々にLED群が配置されてもよい。本実施形態では、光の視認性を高めるためにLED群が使用されているが、単一のLEDが使用されてもよい。
【0030】
以下、籾摺機100と光学式選別機200との間での運転管理のための連係動作について説明する。まず、光学式選別機200では、報知データ送信部221は、光学式選別機200で所定の事象が発生した場合に、当該所定の事象の発生を報知するための報知データを、第1の通信インタフェース230を介して籾摺機100に送信する。所定の事象とは、詰まり防止のために、籾摺機100から光学式選別機200への仕上玄米の供給を停止すべき事象であり、任意の内容で予め定めることができる。所定の事象の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0031】
本実施形態では、所定の事象は、光学式選別機200のエラーであって、その発生時に光学式選別機200の運転が即時停止されるエラー(重度エラーとも呼ぶ)が発生したことを含む。このような重度エラーとしては、例えば、光学ベースが開けられていること、シュート202に仕上玄米を供給するためのロータリバルブを駆動するモータの過負荷などが考えられる。さらに、所定の事象は、光学式選別機200が停止中(待機中)であること(換言すれば、運転ボタンが押されていない状態であること)を含む。さらに、所定の事象は、光学式選別機200のエラーであって、その発生時に光学式選別機200の運転は停止されないものの、光学式選別機200を継続して運転することが望ましくないエラー(中度エラーとも呼ぶ)が、所定期間(例えば、2分)、解消されないことを含む。このような中度エラーとしては、例えば、光学検出部203の光源の不具合(不点灯など)が考えられる。
【0032】
さらに、光学式選別機200において、通信監視部223は、第1の通信インタフェース230を介して第2の通信インタフェース130(つまり、籾摺機100)に定期的に死活監視データを送信して、第1の通信インタフェース230と第2の通信インタフェース130との間の通信状態を監視する。本実施形態では、通信監視部122は、1秒ごとに死活監視データを送信する。ただし、死活監視データの送信頻度は、適宜設定可能である。
【0033】
さらに、光学式選別機200において、運転状況受信部224は、第1の通信インタフェース230を介して運転状況データを受信する。運転状況データとは、籾摺機100の運転状態を表すデータである。運転状況データは、籾摺機100の運転状況送信部123によって、第2の通信インタフェース130を介して送信される。運転状況送信部123は、運転状況データを定期的に送信してもよいし、運転状況が変化した際に運転状況データを送信してもよい。運転状況データが表す運転状況は、例えば、籾摺機100が運転中であるか、それとも停止中であるか、切換弁110の弁位置(つまり、排出運転中であるか、それとも循環運転中であるか)、異常の有無や異常の内容などであってもよい。
【0034】
さらに、光学式選別機200において、発光制御部222は、光学式選別機200の運転状況に応じて異なる態様で発光するように光源250a,250bを制御する。この発光態様には、色、点滅パターン、点灯数または点灯箇所(複数のLEDが設けられる場合)などが含まれる。光学式選別機200のこの運転状況は、本実施形態では、重度エラー、中度エラー、その他の低度エラー、待機中を含む。また、光学式選別機200の運転状況は、通信監視部223が送信した死活監視データに対する第2の通信インタフェース130からの応答が所定の期間(例えば、20~30秒)に亘って第1の通信インタフェース230によって受信されないこと(つまり、籾摺機100の第2の通信インタフェース130に通信障害が発生していること)を含む。この構成によれば、オペレータは、光源250a,250bの発光態様に基づいて、光学式選別機200の運転状態を容易に把握し、必要に応じてエラー等の解消措置を講じることができる。光源250a,250bによって報知する光学式選別機200の運転状況は、任意に設定することができ、例えば、異物混入率が高いことを含んでいてもよい。
【0035】
発光制御部222は、さらに、運転状況受信部224が受信した運転状況データに基づいて、籾摺機100の運転状態に応じて異なる態様で発光するように光源250a,250bを制御する。光学式選別機200の後工程には、通常、計量・梱包機が設置されるので、オペレータは、籾摺調製設備10の運転時には光学式選別機200のそばにいることが多い。この構成によれば、オペレータは、光学式選別機200のそばに居ながらにして、籾摺機100の運転状況も容易に把握することができるので、利便性が非常に高い。例えば、籾摺機100の籾摺部102の脱ぷロールを駆動するためのモータの負荷が高いことを光源250a,250bによって報知すれば、オペレータは、報知に速やかに気付いて、必要な措置をとり、籾摺機100の詰まりを防止することができる。
【0036】
籾摺機100および光学式選別機200の運転状況は、任意の態様で報知することができる。例えば、光学式選別機200の運転状況が点灯によって報知され、籾摺機100の運転状況が点滅によって報知されてもよい。また、光学式選別機200の運転状況と籾摺機100の運転状況とは、時分割によって、交互に報知されてもよい。籾摺機100と光学式選別機200との間に粒選別機が設置される場合には、粒選別機の運転状況を表すデータを粒選別機から受信して、光源250a,250bによって報知してもよい。
【0037】
光源250a,250bは、光学式選別機200の周囲を照明可能に構成されてもよい。例えば、光源250a,250bは、籾摺機100および光学式選別機200の運転が正常である場合には、白色で点灯してもよい。この構成によれば、籾摺調製設備10を屋内の暗い場所に設置する場合や、籾摺調製設備10を夜間に運転する場合であっても、オペレータは、操作、点検等の必要な作業を容易に行うことができる。
【0038】
一方、籾摺機100では、光学式選別機200の報知データ送信部221によって送信された報知データ(これは、上述の通り、光学式選別機200において重度エラーが発生したこと、または、光学式選別機200が停止中であることを表す)が第2の通信インタフェース130によって受信された場合には、つまり、詰まり防止のために、籾摺機100から光学式選別機200への仕上玄米の供給を停止すべき事象が発生している場合には、切換弁制御部121は、切換弁110の弁位置を確認する。そして、弁位置が排出位置にある場合には、切換弁制御部121は、弁位置を循環位置に切り換える。これにより、籾摺機100から光学式選別機200への仕上玄米の供給が停止される。この構成によれば、光学式選別機200における詰まりを防止することができる。籾摺機100から光学式選別機200への仕上玄米の供給を停止すべき事象の発生は、光学式選別機200の光源250a,250bによってオペレータに報知されるので、オペレータは、当該事象を解消するための措置を速やかにとることができる。当該事象が解消された場合には、当該事象の解消を表す解消データが光学式選別機200から籾摺機100に送信される。切換弁制御部121は、籾摺機100が解消データを受信すると、弁位置を循環位置から排出位置に戻す。
【0039】
さらに、籾摺機100において、通信監視部122は、第2の通信インタフェース130を介して第1の通信インタフェース230(つまり、光学式選別機200)に定期的に死活監視データを送信して、第2の通信インタフェース130と第1の通信インタフェース230との間の通信状態を監視する。本実施形態では、通信監視部122は、1秒ごとに死活監視データを送信する。ただし、死活監視データの送信頻度は、適宜設定可能である。
【0040】
そして、死活監視データに対する第1の通信インタフェース230からの応答が所定の期間(例えば、10秒間、あるいは、死活監視データを10回送信する間)に亘って第2の通信インタフェース130に受信されない場合、コントローラ120は、第1の通信インタフェース230に通信障害が発生していると判断する。そして、このとき切換弁110が排出位置にあれば、切換弁制御部121は、切換弁110の弁位置を排出位置から循環位置へ切り換える。これにより、籾摺機100から光学式選別機200への仕上玄米の供給が停止される。第1の通信インタフェース230に通信障害が発生している場合、異常が第1の通信インタフェース230だけでなく、光学式選別機200の他の機能にも及んでいたとしても、籾摺機100は光学式選別機200から報知データを受信することができない。そこで、切換弁制御部121は、詰まりを確実に防止するために、安全側の措置として切換弁110の弁位置を排出位置から循環位置へ切り換えるのである。上述の所定の期間(第1の通信インタフェース230からの応答の待機期間)は、光学式選別機200における詰まりの発生を確実に防止できるように、任意の長さに設定され得る。例えば、上述の所定の期間は、籾摺機100から光学式選別機200に至る搬送経路の長さに応じて、あるいは、籾摺機100からの単位時間あたりの排出量に応じて、上記の例示した期間よりも短く、あるいは、長く設定されてもよい。
【0041】
第1の通信インタフェース230に通信障害が発生している場合、または、通信障害と他の重度エラーとが同時に発生している場合、そのことは、光学式選別機200の光源250a,250bによってオペレータに報知されるので、オペレータは、当該障害を解消するための措置を速やかにとることができる。通信障害のみが発生している場合には、オペレータの対応によって通信障害が解消されると、通信監視部122が、死活監視データに対する第1の通信インタフェース230からの応答を受信することを契機に、切換弁制御部121は、切換弁110の弁位置を循環位置から排出位置に戻す。オペレータは、障害が通信機能のみに生じていることが確認できた場合、通信障害が解消される前に、通信機能を強制的に停止させた後、手動操作によって、切換弁110の弁位置を循環位置から排出位置に戻してもよい。こうすれば、籾摺調製設備10全体としての処理能力の低下を抑制できる。通信障害と他の重度エラーとが同時に発生している場合、切換弁制御部121は、死活監視データに対する第1の通信インタフェース230からの応答を受信し、かつ、解消データを受信した場合に、弁位置を循環位置から排出位置に戻す。
【0042】
上述した籾摺調製設備10によれば、籾摺機100と光学式選別機200とを連携させることによって、光学式選別機200の詰まりを好適に防止することができる。特に、籾摺機100と光学式選別機200との連携によって、切換弁110の弁位置の切換えと、報知と、を同時に行うことにより、効率的な運転管理が実現される。
【0043】
また、籾摺調製設備10によれば、光学式選別機200において中度エラーが発生した場合には、切換弁110の弁位置を排出位置から循環位置へ直ちに切り換えることなく、まず、光学式選別機200の光源250a,250bがオペレータに報知する。そして、一定時間の経過後、中度エラーが解消していなければ、光学式選別機200から籾摺機100へ報知データが送信され、切換弁110の弁位置が排出位置から循環位置へ切り換えられる。したがって、切換弁110の弁位置を循環位置に切り換える動作が頻発することによる籾摺調製設備10全体としての処理能力の低下を抑制できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上記した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
【0045】
例えば、光学式選別機200は、報知データ送信部221を備えていなくてもよい。つまり、光学式選別機200は、籾摺機100における切換弁110の制御と連携しない態様でも実施可能である。この場合、光学式選別機200は、自機の運転状態のみを光源250a,250bによって報知する構成であってもよいし、光学式選別機200および籾摺機100の運転状態を光源250a,250bによって報知する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
10...籾摺調製設備
100...籾摺機
101...原料ホッパ
102...籾摺部
103...風選部
104...混合米タンク
105...揺動選別機
106...玄米揚穀機
110...切換弁
120...コントローラ
121...切換弁制御部
122...通信監視部
123...運転状況送信部
130...第2の通信インタフェース
140...モニタ
200...光学式選別機
201...原料ホッパ
202...シュート
203...光学検出部
204...エジェクタ
220...コントローラ
221...報知データ送信部
222...発光制御部
223...通信監視部
224...運転状況受信部
230...第1の通信インタフェース
240...モニタ
250a,250b...光源
図1
図2
図3