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特許7409145パスワード認証装置、画像処理装置、パスワード認証方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】パスワード認証装置、画像処理装置、パスワード認証方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20231226BHJP
【FI】
G06F21/31
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020027883
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021131794
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】清水 健雄
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-149388(JP,A)
【文献】特開2010-079562(JP,A)
【文献】特開2016-119017(JP,A)
【文献】特開2004-038915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0254875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された入力パスワードと予め定められた第1パスワードとが一致する場合にユーザーを認証する認証処理部と、
前記第1パスワードとは異なる予め定められた第2パスワードと前記入力パスワードとの一致率が予め定められた第1閾値以上である場合に、前記第1パスワードのヒントを出力する出力処理部と、
を備え
前記第2パスワードは、前記第1パスワードとの一致率が予め定められた第2閾値未満であるパスワードであるパスワード認証装置。
【請求項2】
前記認証処理部によってユーザーが認証された場合に、当該ユーザーが認証されるまでのパスワード入力受付期間中の前記入力パスワードのうち前記第1パスワードとの一致率が前記第2閾値未満のパスワードの一部又は全部を前記第2パスワードとして予め定められた第1記憶部に記憶させる第1記憶処理部を備える、
請求項に記載のパスワード認証装置。
【請求項3】
前記第1記憶処理部は、前記パスワード入力受付期間中の前記入力パスワードのうち前記第2パスワードとの一致率が前記第1閾値以上のパスワードを前記第1記憶部への記憶対象から除外する、
請求項に記載のパスワード認証装置。
【請求項4】
前記第1パスワードが変更された場合であって変更前後の両パスワードの一致率が前記第2閾値未満である場合に、当該変更まで前記第1パスワードとして用いられていたパスワードを前記第2パスワードとして予め定められた第2記憶部に記憶させる第2記憶処理部を備える、
請求項1~3のいずれかに記載のパスワード認証装置。
【請求項5】
前記出力処理部は、前記入力パスワードと前記第1パスワードとの一致率が前記第2閾値以上である場合に、前記ヒントを出力する、
請求項1~4のいずれかに記載のパスワード認証装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のパスワード認証装置と、
原稿から画像データを読み取る画像読取部、及び画像データに基づいて画像を形成する画像形成部のいずれか一方又は両方と、
を備える画像処理装置。
【請求項7】
パスワード認証装置に搭載されるプロセッサーにより実行されるパスワード認証方法であって、
入力された入力パスワードと予め定められた第1パスワードとが一致する場合にユーザーを認証することと、
前記第1パスワードとは異なる予め定められた第2パスワードと前記入力パスワードとの一致率が予め定められた第1閾値以上である場合に、前記第1パスワードのヒントを出力することと、
を含み、
前記第2パスワードは、前記第1パスワードとの一致率が予め定められた第2閾値未満であるパスワードであるパスワード認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワード認証装置、画像処理装置、及びパスワード認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
入力されたパスワードと予め登録された登録パスワードとが一致した場合に、ユーザーを認証するパスワード認証装置が知られている。また、登録パスワードの入力に失敗したユーザーによる次のパスワードの入力を支援可能なパスワード認証装置が関連技術として知られている(特許文献1参照)。このパスワード認証装置では、入力されたパスワードと登録パスワードとが一致しない場合であって、入力されたパスワードと登録パスワードとの類似率が所定の閾値を超える場合に、ユーザーによる次のパスワードの入力を支援するための支援情報が提示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-149388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばユーザーが複数のパスワードを用途に応じて使い分けている場合には、ユーザーの勘違いで、その複数のパスワードの中から登録パスワードとは異なるパスワードが選択されてパスワード認証装置に入力されることがある。この場合、入力されたパスワードと登録パスワートとが類似していないことがあり、前記関連技術ではユーザーによる正しいパスワードの選択を支援することができないことがある。
【0005】
本発明の目的は、勘違いで別のパスワードを入力したユーザーによる正しいパスワードの入力を支援可能なパスワード認証装置、画像処理装置、及びパスワード認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係るパスワード認証装置は、認証処理部と、出力処理部とを備える。前記認証処理部は、入力された入力パスワードと予め定められた第1パスワードとが一致する場合にユーザーを認証する。前記出力処理部は、前記第1パスワードとは異なる予め定められた第2パスワードと前記入力パスワードとの一致率が予め定められた第1閾値以上である場合に、前記第1パスワードのヒントを出力する。
【0007】
本発明の他の局面に係る画像処理装置は、前記パスワード認証装置と、画像読取部、及び画像形成部のいずれか一方又は両方と、を備える。前記画像読取部は、原稿から画像データを読み取る。前記画像形成部は、画像データに基づいて画像を形成する。
【0008】
本発明の他の局面に係るパスワード認証方法は、入力された入力パスワードと予め定められた第1パスワードとが一致する場合にユーザーを認証することと、前記第1パスワードとは異なる予め定められた第2パスワードと前記入力パスワードとの一致率が予め定められた第1閾値以上である場合に、前記第1パスワードのヒントを出力することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、勘違いで別のパスワードを入力したユーザーによる正しいパスワードの入力を支援可能なパスワード認証装置、画像処理装置、及びパスワード認証方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の記憶部に記憶されるユーザー認証情報の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の記憶部に記憶される入力履歴情報の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の記憶部に記憶される変更履歴情報の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像処理装置で用いられるパスワード入力画面の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る画像処理装置で表示されるヒントの一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る画像処理装置で用いられるパスワード変更画面の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって実行される認証制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって実行されるパスワード変更処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像処理装置1の構成]
図1に示されるように、実施形態に係る画像処理装置1は、操作部10、表示部11、画像読取部12、画像形成部13、記憶部14、および制御部15を備える。例えば、画像処理装置1は、プリント機能、及びコピー機能などの複数の機能を備える複合機である。なお、画像処理装置1は、プリンター、スキャナー、コピー機、又はファクス装置などであってもよい。
【0013】
操作部10は、ユーザー操作に応じて印刷要求等の指示又は各種情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどを含んでいる。
【0014】
表示部11は、情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部である。
【0015】
画像読取部12は、原稿台、光源、ミラー、光学レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)を備え、原稿の画像を読み取って画像データとして出力することが可能である。
【0016】
画像形成部13は、電子写真方式又はインクジェット方式で画像データに基づく印刷処理を実行することが可能であり、前記画像データに基づいてシート上に画像を形成する。例えば、画像形成部13が電子写真方式の画像形成部である場合、画像形成部13は感光体ドラム、帯電器、露光装置、現像装置、転写装置、及び定着装置などを備える。
【0017】
記憶部14は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部14は、フラッシュメモリー及びEEPROM(登録商標)などの不揮発性メモリ、SSD(ソリッドステートドライブ)、又はHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置である。記憶部14には、図2に示されるユーザー認証情報41(図2において、一点鎖線で囲まれた領域内に示された情報)と、図3に示される入力履歴情報51(図3において、一点鎖線で囲まれた領域内に示された情報)と、図4に示される変更履歴情報61(図4において、一点鎖線で囲まれた領域内に示された情報)とが記憶される。
【0018】
ユーザー認証情報41は、画像処理装置1のユーザーの認証に用いられる情報である。図2に示されるように、ユーザー認証情報41には、複数の前記ユーザー各々に対応する、予め定められた認証ID及び予め定められた設定パスワードが含まれる。前記認証IDは、前記ユーザーの識別に用いられる識別情報である。前記設定パスワードは、前記認証IDによって識別される前記ユーザーの認証に用いられる。入力履歴情報51と変更履歴情報61とについての詳細は後述する。
【0019】
制御部15は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶である。
【0020】
また、制御部15は、図1に示される認証処理部151、第1記憶処理部152、第2記憶処理部153、及び出力処理部154を含む。具体的に、制御部15は、前記制御プログラムに従って処理を実行することにより、認証処理部151、第1記憶処理部152、第2記憶処理部153、及び出力処理部154として機能する。なお、制御部15は、認証処理部151、第1記憶処理部152、第2記憶処理部153、及び出力処理部154の処理機能を実現する電子回路を備えるものであってもよい。ここで、制御部15を含む装置が、本発明におけるパスワード認証装置の一例である。
【0021】
認証処理部151は、前記ユーザーによって入力された入力パスワードに基づいて当該ユーザーを認証する認証処理を行う。また、認証処理部151は、前記入力パスワードを受け付ける処理を実行する。
【0022】
具体的に、認証処理部151は、必要に応じて、図5に示されるパスワード入力画面2を表示部11に表示させる。
【0023】
図5に示されるように、パスワード入力画面2には、入力欄21、及び入力欄22が含まれる。入力欄21は、前記認証IDの入力に用いられる。例えば、入力欄21には、図5に示される認証ID25が入力される。入力欄22は、前記入力パスワードの入力に用いられる。例えば、入力欄22には、入力パスワード26が入力される。なお、入力欄22では、前記ユーザーによって入力された文字が「*」のような予め定められた記号に置換されて表示される。また、パスワード入力画面2には、入力内容の受け付けに用いられる操作ボタン23が含まれる。また、パスワード入力画面2には、ヒント出力窓24が含まれる。ヒント出力窓24については後段で説明する。
【0024】
例えば、図5に示されるパスワード入力画面2において操作ボタン23が操作されると、認証処理部151は、入力欄21に入力された認証ID25、及び入力欄22に入力された入力パスワード26を受け付ける。そして、認証処理部151は、受け付けた認証ID25、及び入力パスワード26に基づいて、前記認証処理を実行する。
【0025】
具体的に、認証処理部151は、記憶部14に記憶されたユーザー認証情報41から、受け付けた認証ID25と同じ前記認証IDに対応する前記設定パスワードを取得する。そして、認証処理部151は、受け付けた入力パスワード26と、取得した前記設定パスワード(本発明の第1パスワードの一例)とが一致するか否かを判断する。
【0026】
ここで、認証処理部151は、入力パスワード26と前記設定パスワードとが一致すると判断した場合に、前記ユーザーを認証する(ログインさせる)。例えば、認証処理部151は、認証した前記ユーザーに対応する初期操作画面などのログイン後の画面(不図示)を表示部11に表示させる。一方、認証処理部151は、入力パスワード26と前記設定パスワードとが一致しないと判断した場合は、前記ユーザーを認証しない。
【0027】
なお、認証処理部151は、前記ユーザーをログインさせた後に、操作部10に対するログアウト操作が行われた場合、予め定められた時間が経過した場合、又は他のユーザーをログインさせる場合に、現在ログイン中のユーザーをログアウトさせるログアウト処理を実行する。
【0028】
ところで、前記設定パスワードの入力に失敗した前記ユーザーによる次のパスワードの入力を支援可能なパスワード認証装置が関連技術として知られている。このパスワード認証装置では、前記入力パスワードと前記設定パスワードとが一致しない場合であって、前記入力パスワードと前記設定パスワードとの類似率が所定の閾値を超える場合に、前記ユーザーによる次のパスワードの入力を支援するための支援情報が提示される。
【0029】
ここで、例えば前記ユーザーが複数のパスワードを用途に応じて使い分けている場合には、前記ユーザーの勘違いで、その複数のパスワードの中から前記設定パスワードとは異なるパスワードが選択されて画像処理装置1に入力されることがある。この場合、入力された前記入力パスワードと前記設定パスワートとが類似していないことがあり、前記関連技術では前記ユーザーによる正しいパスワードの選択を支援することができないことがある。これに対して、本実施形態に係る画像処理装置1によれば、勘違いで別のパスワードを入力した前記ユーザーによる正しいパスワードの入力を支援することが可能である。
【0030】
出力処理部154は、前記設定パスワードとは異なる予め定められた保存パスワード(本発明における第2パスワードの一例)と前記入力パスワードとが一致する場合に、前記設定パスワードのヒントを出力する。
【0031】
ここで、前記保存パスワードは、前記設定パスワードとは非類似のパスワードである。具体的に、前記保存パスワードは、前記設定パスワードとの一致率が予め定められた第2閾値未満となるパスワードである。前記第2閾値は、前記設定パスワードと前記保存パスワードとが非類似の関係にあるか否かの判断に用いられる値である。前記第2閾値は、予め変更不能に定められた値であってもよいし、操作部10におけるユーザーの操作に応じて任意に定められる値であってもよい。
【0032】
前記保存パスワードは、後述する第1記憶処理部152、及び第2記憶処理部153によって記憶部14に記憶されるパスワードである。なお、前記保存パスワードは、操作部10における予め定められた設定操作に応じて設定されるパスワードであってもよい。
【0033】
また、前記ヒントは、前記設定パスワードの内容を示唆する情報である。
【0034】
例えば、出力処理部154は、パスワード入力画面2のヒント出力窓24に前記ヒントを表示させる。例えば、前記ヒントは、図6に示されるように、前記設定パスワードを構成する文字列の一部を開示する情報を含む。
【0035】
なお、前記ヒントは、前記ユーザーが勘違いで別のパスワードを入力した可能性を示唆する旨のメッセージを含んでいてもよい。また、前記ヒントは、前記設定パスワードを構成する文字列の文字数を開示する情報を含んでいてもよい。また、前記ヒントは、前記設定パスワードを構成する文字列に含まれる一部の文字を開示する情報を含んでいてもよい。また、前記ヒントは、音声によって出力されてもよいし、印刷されてもよい。
【0036】
第1記憶処理部152は、認証処理部151によって前記ユーザーが認証された場合に、当該ユーザーが認証されるまでのパスワード入力受付期間中の前記入力パスワードのうち、前記設定パスワードとの一致率が前記第2閾値未満のパスワードの全部を第1保存パスワードとして記憶部14の予め定められた第1記憶領域141(本発明における予め定められた第1記憶部の一例)に記憶させる。
【0037】
例えば、第1記憶処理部152は、前記第1保存パスワードを、当該第1保存パスワードを入力した前記ユーザーの前記認証ID、及び当該第1保存パスワードの入力日時に関連付けて記憶部14の第1記憶領域141に記憶させる。なお、前記パスワード入力受付期間は、前記ユーザーが認証される直前に表示部11に表示されていたパスワード入力画面2の表示開始時から表示終了時までの期間である。
【0038】
ここで、図3には、第1記憶処理部152によって記憶部14の第1記憶領域141に記憶された複数の前記第1保存パスワードによって構成される入力履歴情報51が示されている。入力履歴情報51は、前記認証IDに関連付けられており、複数組の前記第1保存パスワード及び当該第1保存パスワードの入力日時を含む。
【0039】
なお、第1記憶処理部152は、前記パスワード入力受付期間中の前記入力パスワードのうち、前記設定パスワードとの一致率が前記第2閾値未満のパスワードの一部を前記第1保存パスワードとして第1記憶領域141に記憶させてもよい。例えば、第1記憶処理部152は、前記パスワード入力受付期間中の前記入力パスワードのうち、前記設定パスワードとの一致率が前記第2閾値未満のパスワードであって、最初に入力された前記入力パスワードのみを第1保存パスワードとして第1記憶領域141に記憶させてもよい。
【0040】
第2記憶処理部153は、前記設定パスワードが変更された場合であって、変更前後の両パスワードの一致率が前記第2閾値未満である場合に、当該変更まで前記設定パスワードとして用いられていたパスワードを第2保存パスワードとして記憶部14の予め定められた第2記憶領域142(本発明における予め定められた第2記憶部の一例)に記憶させる。
【0041】
例えば、第2記憶処理部153は、前記ユーザーのログイン中に、必要に応じて、図7に示されるパスワード変更画面3を表示部11に表示させる。
【0042】
図7に示されるように、パスワード変更画面3には、入力欄31、及び入力欄32が含まれる。入力欄31は、現在の前記設定パスワードの入力に用いられる。例えば、入力欄31には、図7に示されるパスワード34が入力される。入力欄32は、変更後の前記設定パスワードの入力に用いられる。例えば、入力欄32には、図7に示されるパスワード35が入力される。なお、入力欄31、及び入力欄32では、前記ユーザーによって入力された文字が「*」のような予め定められた記号に置換されて表示される。また、パスワード変更画面3には、入力内容の受け付けに用いられる操作ボタン33が含まれる。
【0043】
例えば、図7に示されるパスワード変更画面3において操作ボタン33が操作されると、第2記憶処理部153は、入力欄31に入力されたパスワード34とログイン中の前記ユーザーに対応する前記設定パスワードとを照合する。そして、第2記憶処理部153は、パスワード34と前記設定パスワードとが一致した場合に、入力欄32に入力されたパスワード35をログイン中の前記ユーザーに対応する新たな前記設定パスワードとして、変更前の前記設定パスワードに替えて記憶部14に記憶させる。また、第2記憶処理部153は、変更前の前記設定パスワードを前記第2保存パスワードとして記憶部14の第2記憶領域142に記憶させる。
【0044】
ここで、図4には、第2記憶処理部153によって記憶部14の第2記憶領域142に記憶された複数の前記第2保存パスワードによって構成される変更履歴情報61が示されている。変更履歴情報61は、前記認証IDに関連付けられており、複数組の前記第2保存パスワード及び当該第2保存パスワードが前記設定パスワードではなくなった日時を含む。
【0045】
なお、制御部15は、第1記憶処理部152、及び第2記憶処理部153のいずれか一方又は両方を含んでいなくてもよい。
【0046】
[認証制御処理]
以下、図8を参照しつつ、画像処理装置1の制御部15によって実行される認証制御処理の手順の一例について説明する。ここで、ステップS11、S12、・・・は、制御部15により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、前記認証制御処理は、パスワード入力画面2の表示指示が入力された場合に開始される。
【0047】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部15は、図5に示されるパスワード入力画面2を表示部11に表示させる。当該ステップS11の処理は、制御部15の認証処理部151により実行される。
【0048】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部15は、パスワード入力画面2の操作ボタン23への操作に応じて、入力欄21に入力された前記認証ID、及び入力欄22に入力された前記入力パスワードを受け付ける。当該ステップS12の処理は、制御部15の認証処理部151により実行される。
【0049】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部15は、前記ステップS12で受け付けられた前記入力パスワードと、当該ステップS12で受け付けられた前記認証IDに対応する前記設定パスワードとが一致するか否かを判断する。ここで、両者が一致する場合に(S13:Yes)、処理がステップS14に移行する。一方、両者が一致しない場合に(S13:No)、処理がステップS17に移行する。
【0050】
<ステップS17>
ステップS17において、制御部15は、前記ユーザーの認証失敗を制御部15の前記RAMに記録する。
【0051】
<ステップS14>
一方、ステップS14において、制御部15は、当該ステップS12で受け付けられた前記認証IDに対応する前記ユーザーを認証する(ログインさせる)。例えば、制御部15は、認証した前記ユーザーに対応する前記初期設定画面を表示部11に表示させる。当該ステップS14の処理は、制御部15の認証処理部151により実行される。
【0052】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部15は、前記認証制御処理の実行中に前記ユーザーの認証に失敗したか否かを判断する。具体的に、制御部15は、前記RAMに前記ユーザーの認証失敗が記録されている場合に、前記ユーザーの認証に失敗したと判断する。ここで、前記ユーザーの認証に失敗したと判断される場合に(S15:Yes)、処理がステップS16に移行する。一方、前記ユーザーの認証に失敗していないと判断される場合に(S15:No)、前記認証制御処理が終了する。
【0053】
<ステップS16>
一方、ステップS16において、制御部15は、ステップS12で受け付けられた前記入力パスワードのうち、前記設定パスワードとの一致率が前記第2閾値未満のパスワードを前記第1保存パスワードとして記憶部14の第1記憶領域141に記憶させる。例えば、制御部15は、前記第1保存パスワードを、当該第1保存パスワードを入力した前記ユーザーの前記認証ID、及び当該第1保存パスワードの入力日時に関連付けて記憶部14の第1記憶領域141に記憶させる。当該ステップS16の処理は、制御部15の第1記憶処理部152により実行される。
【0054】
これにより、ステップS14で認証された前記ユーザーが勘違いで当該ユーザーに対応する前記設定パスワードとは異なる別のパスワードを入力した場合に、当該別のパスワードが前記第1保存パスワードとして記憶部14の第1記憶領域141に記憶される。そのため、前記認証制御処理の終了後に実行される別の前記認証制御処理において、記憶部14の第1記憶領域141に記憶された前記第1保存パスワードに基づいて前記ヒントを出力することが可能である。
【0055】
<ステップS18>
ステップS18において、制御部15は、前記ステップS12で受け付けられた前記入力パスワードと、当該ステップS12で受け付けられた前記認証IDに対応する前記保存パスワード(前記第1保存パスワード又は前記第2保存パスワード)とが一致するか否かを判断する。ここで、両者が一致する場合に(S18:Yes)、処理がステップS19に移行する。一方、両者が一致しない場合に(S18:No)、処理がステップS12に移行する。
【0056】
<ステップS19>
ステップS19において、制御部15は、パスワード入力画面2のヒント出力窓24に前記ヒントを出力する。そして、処理が前記ステップS12に戻る。当該ステップS19の処理は、制御部15の出力処理部154により実行される。
【0057】
[パスワード変更処理]
以下、図9を参照しつつ、画像処理装置1の制御部15によって実行される前記パスワード変更処理の手順の一例について説明する。なお、前記パスワード変更処理は、前記ユーザーのログイン中にパスワード変更画面3の表示指示が入力された場合に開始される。
【0058】
<ステップS31>
まず、ステップS31において、制御部15は、パスワード変更画面3を表示部11に表示させる。当該ステップS31の処理は、制御部15の第2記憶処理部153により実行される。
【0059】
<ステップS32>
ステップS32において、制御部15は、パスワード変更画面3の操作ボタン33への操作に応じて、入力欄31に入力された前記入力パスワード、及び入力欄32に入力された前記入力パスワードを受け付ける。当該ステップS32の処理は、制御部15の第2記憶処理部153により実行される。
【0060】
<ステップS33>
ステップS33において、制御部15は、ステップS32で受け付けられた入力欄31に入力された前記入力パスワードとログイン中の前記ユーザーに対応する前記設定パスワードとが一致するか否かを判断する。ここで、両パスワードが一致する場合に(S33:Yes)、処理がステップS34に移行する。一方、両パスワードが一致しない場合に(S33:No)、処理がステップS32に移行する。
【0061】
<ステップS34>
ステップS34において、制御部15は、ステップS32で受け付けられた入力欄32に入力された前記入力パスワードに基づいて、ログイン中の前記ユーザーに対応する前記設定パスワードを変更する。当該ステップS34の処理は、制御部15の第2記憶処理部153により実行される。
【0062】
<ステップS35>
ステップS35において、制御部15は、変更前の前記設定パスワードを前記第2保存パスワードとして記憶部14の第2記憶領域142に記憶させる。そして、前記パスワード変更処理が終了する。当該ステップS35の処理は、制御部15の第2記憶処理部153により実行される。
【0063】
これにより、前記パスワード変更処理の終了後に実行される前記認証制御処理において、記憶部14の第2記憶領域142に記憶された前記第2保存パスワードに基づいて前記ヒントを出力することが可能である。
【0064】
なお、ステップS35の処理の後にステップS34の処理が実行されてもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置1では、前記設定パスワードとは異なる前記保存パスワードと前記入力パスワードとが一致した場合に、前記ヒントが出力される。よって、本実施形態に係る画像処理装置1によれば、勘違いで別のパスワード、具体的には前記第1保存パスワード又は前記第2保存パスワードを入力した前記ユーザーによる正しいパスワードの入力を支援することが可能である。
【0066】
なお、出力処理部154は、前記保存パスワードと前記入力パスワードとの一致率が予め定められた第1閾値以上である場合に、前記設定パスワードの前記ヒントを出力してもよい。これにより、勘違いで前記保存パスワードを入力しようとして入力ミスをした場合にも、前記ヒントを出力可能である。
【0067】
ここで、前記第1閾値は、予め設定された値であって、例えば0.9(90パーセント)である。なお、前記第1閾値は、照合対象の前記保存パスワードの文字数に基づいて算出される値であってもよい。例えば、前記第1閾値は、照合対象の前記保存パスワードの文字数から1を減算して得られる値(被除算値)を、当該保存パスワードの文字数(除算値)で除算して得られる値であってもよい。また、前記第1閾値は、操作部10におけるユーザーの操作に応じて任意に設定される値であってもよい。また、前記第1閾値は、前記第2閾値と同じ値であってもよい。
【0068】
出力処理部154が前記入力パスワードと前記保存パスワードとの一致率に基づいて前記ヒントを出力する場合、第1記憶処理部152は、前記パスワード入力受付期間中の前記入力パスワードのうち、前記保存パスワードとの一致率が前記第1閾値以上のパスワードを記憶部14の第1記憶領域141への記憶対象から除外してもよい。これにより、前記ヒントの出力条件を厳格化させることなく、記憶部14に記憶される前記保存パスワードの数を減らすことが可能である。
【0069】
また、出力処理部154は、前記入力パスワードと前記設定パスワードとの一致率が前記第2閾値以上である場合に、前記ヒントを出力してもよい。これにより、前記ユーザーが前記設定パスワードを入力しようとして入力ミスをした場合にも、前記ヒントを出力可能である。この場合、前記ヒントは、前記ユーザーが入力ミスで前記設定パスワードの入力に失敗した可能性を示唆する旨のメッセージを含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 画像処理装置
10 操作部
11 表示部
12 画像読取部
13 画像形成部
14 記憶部
15 制御部
151 認証処理部
152 第1記憶処理部
153 第2記憶処理部
154 出力処理部
図1
図2
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図9