(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/06 20060101AFI20231226BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231226BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231226BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231226BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231226BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20231226BHJP
B65H 37/00 20060101ALI20231226BHJP
B65H 1/28 20060101ALI20231226BHJP
B65H 33/06 20060101ALI20231226BHJP
B65H 33/04 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
G03G21/00 500
B41J29/38 301
B41J29/00 H
B41J29/38 206
G03G15/00 403
B65H7/06
B65H37/00
B65H1/28 320A
B65H33/06
B65H33/04
(21)【出願番号】P 2020031856
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】宮井 浩行
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099291(JP,A)
【文献】特開平09-255207(JP,A)
【文献】特開平11-334942(JP,A)
【文献】特開2002-114407(JP,A)
【文献】特開2006-334883(JP,A)
【文献】特開2005-059463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 33/00-33/18
B65H 37/00-37/06
B65H 43/00-43/08
G03G 21/00
B41J 29/38
B41J 29/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に複数種のシートを給送する給送部と、
前記給送部の前記シートの給送を制御する制御部と、
前記シートに後処理を行う後処理部と
を備え、
前記給送部は、
第1シートを収容する第1収容部と、
第2シートを収容する第2収容部と
を含み、
前記制御部は、第1印刷ジョブデータに基づいて前記シートに画像を形成した後に、第2印刷ジョブデータに基づいて前記シートに画像を形成する際に、
前記第1収容部から前記第1シートを給送させて前記第1印刷ジョブデータに基づく画像を前記画像形成部によって前記第1シートに形成した後、前記第2収容部から少なくとも1枚の第2シートを給送させ、
前記第2収容部から前記少なくとも1枚の第2シートを給送させた後に、前記第1収容部から前記第1シートを給送させて前記第2印刷ジョブデータに基づく画像を前記画像形成部によって前記第1シートに形成し、
前記制御部は、前記後処理部で発生するエラーの種類に応じて、前記第2収容部から送給される前記第2シートの枚数を決定する、画像形成装置。
【請求項2】
前記後処理部は、折り処理部、穿孔処理部、及びステープル処理部のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記後処理部から排出された前記シートを積載する排出トレイと、
前記第2シートが前記排出トレイに排出される際に、前記第2シートを排出方向に直交するシフト方向に移動させて揃えるシート揃え機構と
を備える、請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シフト方向は、第1方向と、前記第1方向とは反対の方向である第2方向とを含み、
前記制御部は、前記第1印刷ジョブデータと前記第2印刷ジョブデータとの発信元が異なる場合、前記エラーの発生に基づいて前記第2収容部から前記第2シートを給送させると共に、前記発信元が異なることに基づいて前記後処理部から前記排出トレイに前記第2シートを排出させ、
前記制御部は、前記シート揃え機構を制御して、
前記エラーの発生に基づいて前記排出トレイ上に排出される前記第2シートを前記第1方向にシフトさせ、
前記発信元が異なることに基づいて前記排出トレイ上に排出される前記第2シートを前記第2方向にシフトさせる、請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後処理装置(フィニッシャー)を備える画像形成装置が知られている。後処理装置は、印刷されたシートに、ステープル処理、穿孔処理(パンチ処理)、及び折り処理などの後処理を施す。
【0003】
画像形成装置の後処理に関し、特許文献1及び特許文献2には、後処理装置の一部に不具合やエラー(異常)が発生しても、シートの印刷を中断せず、画像が印刷されたシート(以下、印刷済みシート)の排出トレイへの排出を継続する画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の画像形成後処理装置及び特許文献2に記載の画像形成システム装置は、いずれも、後処理装置の一部に不具合やエラーが生じた状態でシートの印刷を継続する際、見分けがつき易いように、後処理が行われた印刷済みシートの束と、行われなかった印刷済みシートの束とは、排出トレイ上で左右に振り分られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-169875号公報
【文献】特開平7-33314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成後処理装置及び特許文献2に記載の画像形成システム装置では、ユーザーは、後処理が行われなかった印刷済みシートの束に対して、どの後処理が行われるべきであったか、判断できない。従って、ユーザーによる後処理エラーの後始末である「仕分け作業」が困難となる。
【0007】
本発明は、ユーザーによる仕分け作業を容易にすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、画像形成部と、給送部と、制御部と、後処理部とを備える。前記画像形成部は、シートに画像を形成する。前記給送部は、前記画像形成部に複数種のシートを給送する。前記制御部は、前記給送部の前記シートの給送を制御する。前記後処理部は、前記シートに後処理を行う。前記給送部は、第1シートを収容する第1収容部と、第2シートを収容する第2収容部とを含む。前記制御部は、第1印刷ジョブデータに基づいて前記シートに画像を形成した後に、第2印刷ジョブデータに基づいて前記シートに画像を形成する際に、前記第1収容部から前記第1シートを給送させて前記第1印刷ジョブデータに基づく画像を前記画像形成部によって前記第1シートに形成した後、前記第2収容部から少なくとも1枚の第2シートを給送させる。前記制御部は、前記第2収容部から前記少なくとも1枚の第2シートを給送させた後に、前記第1収容部から前記第1シートを給送させて前記第2印刷ジョブデータに基づく画像を前記画像形成部によって前記第1シートに形成する。前記制御部は、前記後処理部で発生するエラーの種類に応じて、前記第2収容部から送給される前記第2シートの枚数を決定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、後処理エラー後の、ユーザーによる仕分け作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)は本発明の実施形態の画像形成装置における後処理ユニットの端部揃え機構を示す図であり、(b)は後処理ユニットに内蔵されるシート振り分け機構を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態の画像形成ユニットの内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
図1から
図4を参照して、本実施形態の画像形成装置100の構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置100の構成を示す図である。
図2は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
【0013】
画像形成装置100は、第1シートS1に画像を形成し、後処理を行う。画像形成装置100は、例えば産業用のインクジェット方式のプリンターである。また、第1シートS1は、例えば市販の用紙である。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置100の本体である画像形成ユニット10と、給送ユニット20と、後処理ユニット30とを備える。給送ユニット20と後処理ユニット30とは、本体に接続されるオプション装置である。
【0015】
画像形成ユニット10は、給送ユニット20に収容された第1シートS1又は画像形成ユニット10内に収容された第1シートS1に、画像を形成する。これにより、画像が形成された印刷済みシートPが得られる。
【0016】
給送ユニット20は、本発明の給送部の一例である。画像形成ユニット10の内部構成については、
図4を参照して後述する。
【0017】
本実施形態において、給送ユニット20は、大型の給紙デッキである。
図2に示すように、給送ユニット20は、複数の第1収容部3と、第2シート搬送機構F2とを備え、画像形成ユニット10に、第1シートS1を給送する。第1収容部3は、本発明の第1収容部の一例である。
【0018】
複数の第1収容部3の各々は、第1シートS1を収容する。本実施形態において、第1収容部3は、3つのシート収容カセットを含む。3つのシート収容カセットは、
図1及び
図2に示すように、上から順に、シートカセットA、シートカセットB、シートカセットCとして管理及び制御されている。
【0019】
給送ユニット20は、第1収容部3に収容された第1シートS1を、第2シート搬送機構F2を経由して、画像形成ユニット10に向けて1枚ずつ給送する。第2シート搬送機構F2は、第1シートS1を画像形成ユニット10内の第1シート搬送機構F1に引き渡す。
【0020】
後処理ユニット30は、複数の後処理部を備える。
図2に示すように、本実施形態の後処理ユニット30は、折り処理部5、穿孔処理部6、ステープル処理部7、第3シート搬送機構F3、及びシート揃え機構8を含む。
【0021】
シート揃え機構8は、第3シート搬送機構F3のシート搬送路の終端に配設される。後処理ユニット30は、
図1に示すように、筐体外部に、排出トレイ9を備えており、シート揃え機構8は、印刷済みシートPを排出トレイ9上に排出する。後処理ユニット30は、本発明の後処理部の一例である。
【0022】
第3シート搬送機構F3は、画像形成ユニット10から印刷済みシートP(第1シートS1)を受け取り、折り処理部5、穿孔処理部6、及びステープル処理部7の少なくとも1つを経由させて、シート揃え機構8(シフト処理部)まで印刷済みシートPを搬送する。
【0023】
なお、後処理ユニット30は、第3シート搬送機構F3の搬送路上に、複数の搬送センサー(シート検知センサー)を備える。搬送センサーは、折り処理部5、穿孔処理部6、及びステープル処理部7の搬送路上流側と下流側とに配設されている。折り処理部5に関連するものを第1シート検知センサー、穿孔処理部6に関連するものを第2シート検知センサー、ステープル処理部7に関連するものを第3シート検知センサーと呼ぶ。
【0024】
折り処理部5は、折り加工装置である。折り処理部5は、印刷済みシートPを1枚ずつ又は複数枚を束にして、2つ折り又は3つ折りに折り畳む折り処理を行う。折り処理部5の異常-正常の状態は、第1シート検知センサーにより検出される。
【0025】
穿孔処理部6は、穿孔加工装置である。穿孔処理部6は、印刷済みシートPに綴じ孔(パンチ孔)を穿孔する。穿孔処理部6は、第1シートS1の端部に綴じ孔を穿孔する。穿孔処理部6の異常-正常の状態は、第2シート検知センサーにより検出される。
【0026】
ステープル処理部7は、針綴じ装置である。ステープル処理部7は、ステープルトレイを有する。ステープル処理部7は、ステープルトレイ上に印刷済みシートPの束を形成し、印刷シート束の角部もしくは端部にステープルを打設する。
【0027】
ステープル処理が施された印刷済みシートPの束は主に、メイントレイである排出トレイ9に排出される。後処理を何も行わない印刷シートは、筐体上面のサブトレイに排出される場合もある。
【0028】
ステープル処理部7は、綴じ針のストックが無くなったことを検知する針ストックセンサーを備えている。また、ステープル処理部7の異常-正常の状態は、第3シート検知センサーにより検出される。
【0029】
ついで、
図3を参照して、後処理ユニット30のシート揃え機構について説明する。
図3(a)は、本実施形態の画像形成装置100の後処理ユニット30を示す斜視図であり、
図3(b)は、シート揃え機構が備えるシート振り分け機構を示す図である。
【0030】
図3(a)に示すように、シート揃え機構8は、一対の揃え部材82を有する。一対の揃え部材82は、排出トレイ9上に排出された印刷済みシートP(第1シートS1)の束の両端位置を揃える。
【0031】
図3(b)に示すように、シート揃え機構8は、シート振り分け機構81を有する。シート振り分け機構81は、一対のサイドガイド81aと駆動力伝達機構とを有する。
【0032】
後処理ユニット30は、駆動力伝達機構に駆動力を供給する動力源を有する。動力源は、例えばモータである。駆動力伝達機構は、例えばラックアンドピニオン機構である。駆動力伝達機構は、動力源から供給された駆動力を、一対のサイドガイド81aに伝達して、一対のサイドガイド81aをシフト方向Hに移動させる。
【0033】
シフト方向Hは、印刷済みシートPが排出トレイ9に排出される方向である排出方向Vに対して直交する方向である。具体的には、シフト方向Hは、第1方向H1と、第1方向とは反対の方向である第2方向H2とを含む。
【0034】
シート振り分け機構81は、印刷済みシートPを排出トレイ9上に排出する際に、一対のサイドガイド81aをシフト方向Hへ移動させることなく、印刷済みシートPを排出トレイ9上へ排出する。
【0035】
シート振り分け機構81は、印刷済みシートP(第1シートS1)とは異なるシートである第2シートS2を排出トレイ9上に排出する際に、一対のサイドガイド81aを第1方向H1又は第2方向H2へ移動させる。
【0036】
一対のサイドガイド81aが第1方向H1へ移動すると、第2シートS2は、第1方向H1へシフトした状態で排出トレイ9上に排出される。従って、第2シートS2は排出トレイ9上において、印刷済みシートP(第1シートS1)に対して、第1方向H1へシフトした位置に排出される。
【0037】
一対のサイドガイド81aが第2方向H2へ移動すると、第2シートS2は、第2方向H2へシフトした状態で排出トレイ9上に排出される。従って、第2シートS2は排出トレイ9上において、印刷済みシートP(第1シートS1)に対して、第2方向H2へシフトした位置に排出される。
【0038】
なお、以下の説明において、シート揃え機構8のシート振り分け機構81が、第2シートS2をシフト方向H(第1方向H1又は第2方向H2)へシフトさせる処理を「シフト処理」と記載する場合がある。また、シート揃え機構8のシート振り分け機構81が第2シートS2を第1方向H1へシフトさせる処理を「第1シフト処理」、シート揃え機構8のシート振り分け機構81が第2シートS2を第2方向H2へシフトさせる処理を「第2シフト処理」と記載する場合がある。
【0039】
次に、画像形成ユニット10の構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、実施形態の画像形成ユニット10の構成を示す図である。
【0040】
図2及び
図4に示すように、画像形成ユニット10は、画像形成部1、画像読取部2、第2収容部4、及び第1シート搬送機構F1を含む。第2収容部4は、本発明の第2収容部の一例である。
【0041】
画像読取部2は、例えばスキャナーである。原稿(ドキュメント)からページの画像を読み取り、ページ画像データを生成する。
【0042】
第1シート搬送機構F1は、給送ユニット20から給送された第1シートS1を、画像形成部1を経由させて、後処理ユニット30まで搬送する。
【0043】
第2収容部4は、複数のシート収容カセット(ここではシートカセットD、シートカセットEの2つ)を含み、そのうちの少なくとも1つのカセットに第2シートS2を収納する。第2収容部4の他のシート収容カセットは、第1シートS1を収容してもよく、第2シートS2を収容してもよい。本実施形態では、シートカセットDは第1シートS1を収容し、シートカセットEは第2シートS2を収容する。
【0044】
第1シート搬送機構F1は、第2収容部4から給送された第1シートS1を、画像形成部1を経由させて後処理ユニット30まで搬送する。また、第1シート搬送機構F1は、第2収容部4から給送された第2シートS2を、画像形成部1を経由させて後処理ユニット30まで搬送する。ただし、画像形成部1は、第2シートS2の搬送中に第2シートS2に対して画像形成は行わない。
【0045】
画像形成ユニット10の画像形成部1は、搬送機構11を有する。画像形成部1は、搬送機構11によって搬送されている第1シートS1に画像を形成する。本実施形態において、画像形成部1は、印刷ジョブデータに基づいて、インクを吐出し、第1シートS1に画像を形成する。
【0046】
具体的には、画像形成部1は、黒色、シアン色、黄色、マゼンダ色の4色のラインヘッドを含む。インクは、油性インク又は水性インクが用いられる。
【0047】
次に、
図2を参照して、画像形成装置100の制御を行う構成について説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
【0048】
実施形態の画像形成装置100は、
図2に示すように、画像形成ユニット10の筐体の内部に制御部(第1制御部40)と記憶部(第1記憶部50)とを備える。筐体の外面(
図1参照)に、表示部60及び操作受付部61を備える。
【0049】
また、給送ユニット20内に、第2制御部41と、第2記憶部51とを備える。更に、後処理ユニット30内に、第3制御部42と、第3記憶部52とを備える。なお、第2制御部41及び第2記憶部51は、給送ユニット20特有の機能を制御するものであるため、説明は割愛する。また、第3制御部42及び第3記憶部52も、後処理ユニット30特有の機能を制御するものであるため、説明は割愛する。
【0050】
第1制御部40は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。第1制御部40は、第1記憶部50に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、画像形成装置100の各要素の動作を制御する。
【0051】
第1制御部40は、例えば、第3制御部42を介して、あるいは直接に、後処理ユニット30で発生した不具合やエラーの種類情報を受け付け、第2シートS2排出時のシフト方向Hや排出枚数を制御する。
【0052】
第1記憶部50は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置を含む。第1記憶部50は、種々のコンピュータープログラムと、種々のデータとを記憶する。
【0053】
例えば、第1記憶部50は、ユーザーが指示した第1印刷ジョブデータ及び第2印刷ジョブデータを記憶する。また、第1印刷ジョブデータ及び第2印刷ジョブデータの送信元を、ジョブデータに関連付けて個別に記憶する。
【0054】
更に、第1記憶部50は、第1収容部3を構成する各シート収容カセット及び第2収容部4を構成する各シート収容カセットが、第1シートS1又は第2シートS2のいずれのシート種を収容しているのかを記憶する。
【0055】
また、排出トレイ9に排出した第1シートS1及び第2シートS2の各々の枚数や、それに対する後処理の完了の有無を記憶するようにしてもよい。
【0056】
表示部60は、画像形成装置100に関連する情報を表示する。操作受付部61は、キー、ボタンあるいはタッチ操作等による使用者の指示、決定を受け付ける。
【0057】
次に、画像形成装置100の第1制御部40が行うエラー制御について説明する。
【0058】
本実施形態の画像形成装置100は、第1シートS1の印刷及び後処理中に、後処理ユニット30において、何らかのエラー(異常)が発生した場合、画像形成ユニット10の第1制御部40は、一の印刷ジョブによる第1シートS1の印刷の後に、第2収容部4(ここではシートカセットE)から、エラーの目安(又はブックマーク)となる少なくとも1枚の第2シートS2を「区切りシート」として給送して第1シート搬送機構F1に合流させ、前述の印刷済みの第1シートS1に続いて、後処理ユニット30の排出部から、排出トレイ9の第1シートS1の束の上に排出する。
【0059】
この際、第1制御部40は、後処理ユニット30で発生したエラーの種類に基づいて、排出トレイ9の第1シートS1の束の上に重ねる第2シートS2の枚数を決定する。
【0060】
また、第1シートS1の束の上に第2シートS2を重ねる際、第1シートS1の束の上の真上にストレートに重ねるのではなく、シート揃え機構8のシート振り分け機構81を利用して、第2シートS2を、シフト方向H(第1方向H1又は第2方向H2)のうちの一方の方向に移動させて(シフトさせて)排出させるようにしてもよい。
【0061】
このように「シフト処理」を併用することにより、第1シートS1の束の中で、エラーが発生した位置を素早く特定することができる。その結果、実施形態の画像形成装置100は、表示部60等でエラーの詳細等を確認しなくても、後処理ユニット30で発生したエラーの種類や内容、及び発生した位置を、容易に特定することが可能になる。
【0062】
従って、ユーザーは、後処理のエラーにより振り分けられた未処理の印刷済みシートPを、仕分け作業により素早く分別し、エラーの種類及び内容を容易に特定して、未処理の印刷済みシートPに、完了できなかった後処理を再度施すことが可能になる。
【0063】
以上のように、本実施形態の画像形成装置100は、後処理エラー後の、ユーザーによる仕分け作業を容易にすることができる。換言すれば、後処理エラーのリカバリー作業を簡単かつ迅速に行うことが可能になる。
【0064】
なお、特に限定されるものではないが、第1シートS1の上に排出される第2シートS2としては、第1シートS1に対して目立つ、対照的な色や表面状態の異なるシートが望ましい。例えば、色紙やカラーシートを用いることができる。また、第2シートS2のコストを考慮して、印刷できなかったシート、後処理を完了できなかったシートや、破棄する予定の裏紙等を再利用してもよい。
【0065】
以上の実施形態は、1つの印刷ジョブの中で後処理が実施できなった場合について説明した。しかしながら、印刷ジョブは、2つ以上が連続して実行されることも多く、これら印刷ジョブの発信元(依頼主)が同一であるとは限らない。
【0066】
以下の「シフト処理例」では、第1印刷ジョブと第2印刷ジョブの2つの印刷ジョブを連続して印刷する場合の後処理のエラー仕分け処理について説明する。
【0067】
なお、シフト処理例1,2を実行する前提として、第1印刷ジョブと第2印刷ジョブとの2つのジョブでエラーが発生した際の第2シートS2の挿入枚数は、以下のものとする。
(1)エラー発生直後に、シフト処理しないストレートを1枚
(2)シフト処理の解除時、2枚
(3)ステープル処理できなった時、3枚
(4)穿孔処理できなかった時、4枚
(5)折り処理できなかった時、5枚
(6)いずれかの印刷ジョブ完了時、1枚
なお、上記枚数は一例である。
【0068】
また、シート揃え機構8のシート振り分け機構81による「シフト処理」を行うものとし、シフト処理を行う際のルールは、以下のものとする。
(A)発信元が異なる第1印刷ジョブと第2印刷ジョブとの間の振り分けの場合は、第2シートS2を第1方向H1へシフトさせる「第1シフト処理」を行なう。
(B)第1印刷ジョブ内又は第2印刷ジョブ内の一つのジョブ内で発生するエラーの振り分けは、第2シートS2を第2方向H2へシフトさせる「第2シフト処理」で行う。
【0069】
[シフト処理例1]
先の第1印刷ジョブは、シフト処理、ステープル処理、ステープル処理の複数の処理を含み、後の第2印刷ジョブが、ステープル処理を含む印刷であり、ジョブの実行中に、ステープル処理の未処理エラー(針無しエラー)が出た場合。
第1印刷ジョブ(「S」は「ステップ」の意である。以下同じ)
S11.印刷済みシート束
S12.第2方向H2へシフトして第2シートS2を3枚挿入
S13.ステープル未処理の印刷済みシート束
S14.第2方向H2へシフトして第2シートS2を3枚挿入
S15.ステープル未処理の印刷済みシート束
S16.第1方向H1へシフトして第2シートS2を1枚挿入(ジョブ完了)
第2印刷ジョブ
S17.第2方向H2へシフトして第2シートS2を3枚挿入
S18.ステープル未処理の印刷済みシート束
S19.第1方向H1へシフトして第2シートS2を1枚挿入(ジョブ完了)
【0070】
[シフト処理例2]
先の第1印刷ジョブは、シフト処理、ステープル処理、ストレート(後処理なし)の複数の処理を含み、後の第2印刷ジョブが、ステープル処理を含む印刷であり、ジョブの実行中に、ステープル処理の未処理エラー(針無しエラー)が出た場合。
第1印刷ジョブ(「S」は「ステップ」の意である。以下同じ)
S21.印刷済みシート束
S22.第2方向H2へシフトして第2シートS2を3枚挿入
S23.ステープル未処理の印刷済みシート束
S24.第2方向H2へシフトして第2シートS2を1枚挿入
S25.後処理なしの印刷済みシートをシフトなしで排出
S26.第1方向H1へシフトして第2シートS2を1枚挿入(ジョブ完了)
第2印刷ジョブ
S27.第2方向H2へシフトして第2シートS2を3枚挿入
S28.ステープル未処理の印刷済みシート束
S29.第1方向H1へシフトして第2シートS2を1枚挿入(ジョブ完了)
【0071】
以上のようなステップにより、表示部60等でエラーの詳細等を確認することなく、後処理ユニット30で発生したエラーの種類や内容、及び発生した位置を、容易に特定することが可能になる。従って、ユーザーは、排出トレイ9上のシート束を目視で確認するだけで、仕分け作業等のリカバリーに短時間でとりかかることができる。
【0072】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、
図1から
図4を参照して説明した実施形態では、画像形成部1がインクを用いて画像を形成するインクジェットプリンターを例に説明したが、本発明における画像形成部1は、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式であってもよい。
【0074】
また、シフト処理例1、シフト処理例2で示した具体例も一例であって、後処理のエラー処理におけるシフト方向の設定や、挿入する第2シートS2の枚数の設定も、適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成部
2 画像読取部
3 第1収容部(給送部)
4 第2収容部(給送部)
5 折り処理部
6 穿孔処理部
7 ステープル処理部
8 シフト処理部
9 排出トレイ
10 画像形成ユニット(本体)
20 給送ユニット
30 後処理ユニット
40 第1制御部
100 画像形成装置