(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】券売機、チャージ機、避難場所案内方法、および避難場所案内プログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 1/00 20060101AFI20231226BHJP
G07B 5/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G07B1/00 E
G07B5/00 D
(21)【出願番号】P 2020035577
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小畑 俊隆
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-133799(JP,A)
【文献】特開2011-128832(JP,A)
【文献】特開平10-232958(JP,A)
【文献】特開2017-162164(JP,A)
【文献】特開2017-111490(JP,A)
【文献】特開2003-296763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 1/00
G07B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅に設置され、利用者に対して鉄道の利用にかかる乗車券を販売する券売機において、
前記利用者による鉄道の利用にかかる乗車券の発券操作を受け付ける操作部と、
前記操作部における前記利用者の入力操作に応じた画面を表示器に表示させる表示制御部と、
前記操作部における前記利用者の入力操作に応じた乗車券を発券する発券部と、
災害が発生したかどうかを判定する判定部と、を備え、
前記発券部は、前記判定部で災害が発生したと判定されると、前記操作部において所定の入力操作を受け付けたとき、避難場所を示す情報を記載した避難場所案内券を発券する、券売機。
【請求項2】
前記発券部は、前記避難場所を示す地図を記載した避難場所案内券を発券する、請求項1に記載の券売機。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記判定部で災害が発生したと判定されると、前記避難場所を示す情報を配信しているウェブサイトのアドレスを示す光学的読取コードを前記表示器に表示させる、請求項1、または2に記載の券売機。
【請求項4】
外部機器と通信する通信部と、
前記通信部における前記外部機器との通信で、前記避難場所を示す情報を取得する情報取得部と、を備えた請求項1~3のいずれかに記載の券売機。
【請求項5】
駅に設置され、鉄道の利用にかかる運賃の精算に使用するSFカードに対して価値をチャージするチャージ機において、
SFカードに対して価値をチャージするチャージ操作を受け付ける操作部と、
前記操作部における前記チャージ操作に応じた画面を表示器に表示させる表示制御部と、
前記操作部で受け付けた前記チャージ操作に応じて、価値を前記SFカードにチャージするチャージ処理部と、
前記チャージ処理部での処理内容を印字したレシートを発行する発行部と、
災害が発生したかどうかを判定する判定部と、を備え、
前記発行部は、前記判定部で災害が発生したと判定されると、前記操作部において所定の入力操作を受け付けたとき、避難場所を示す情報を記載した避難場所案内券を発券する、チャージ機。
【請求項6】
駅に設置され、利用者に対して鉄道の利用にかかる乗車券を販売する券売機のコンピュータが、
前記利用者による鉄道の利用にかかる乗車券の発券操作を操作部で受け付けるステップと、
前記操作部における前記利用者の入力操作に応じた画面を表示器に表示させるステップと、
前記操作部における前記利用者の入力操作に応じた乗車券を発券部で発券するステップと、
災害が発生したかどうかを判定部で判定するステップと、
前記判定部において災害が発生したと判定すると、前記操作部において所定の入力操作を受け付けたとき、避難場所を示す情報を記載した避難場所案内券を前記発券部において発券するステップと、を実行する避難場所案内方法。
【請求項7】
駅に設置され、鉄道の利用にかかる運賃の精算に使用するSFカードに対して価値をチャージする
チャージ処理を行うチャージ機のコンピュータが、
SFカードに対して価値をチャージするチャージ操作を操作部で受け付けるステップと、
前記操作部における前記チャージ操作に応じた画面を表示器に表示させるステップと、
前記操作部で受け付けた前記チャージ操作に応じて、価値を前記SFカードにチャージするステップと、
前記チャージ処理の内容を印字したレシートを発行部で発行するステップと、
災害が発生したかどうかを判定部で判定するステップと、
前記判定部において災害が発生したと判定すると、前記操作部において所定の入力操作を受け付けたとき、避難場所を示す情報を記載した避難場所案内券を前記発行部において発券するステップと、を実行する避難場所案内方法。
【請求項8】
駅に設置され、利用者に対して鉄道の利用にかかる乗車券を販売する券売機のコンピュータに、
前記利用者による鉄道の利用にかかる乗車券の発券操作を操作部で受け付けるステップと、
前記操作部における前記利用者の入力操作に応じた画面を表示器に表示させるステップと、
前記操作部における前記利用者の入力操作に応じた乗車券を発券部で発券するステップと、
災害が発生したかどうかを判定部で判定するステップと、
前記判定部において災害が発生したと判定すると、前記操作部において所定の入力操作を受け付けたとき、避難場所を示す情報を記載した避難場所案内券を前記発券部において発券するステップと、を実行させる避難場所案内プログラム。
【請求項9】
駅に設置され、鉄道の利用にかかる運賃の精算に使用するSFカードに対して価値をチャージする
チャージ処理を行うチャージ機のコンピュータに、
SFカードに対して価値をチャージするチャージ操作を操作部で受け付けるステップと、
前記操作部における前記チャージ操作に応じた画面を表示器に表示させるステップと、
前記操作部で受け付けた前記チャージ操作に応じて、価値を前記SFカードにチャージするステップと、
前記チャージ処理の内容を印字したレシートを発行部で発行するステップと、
災害が発生したかどうかを判定部で判定するステップと、
前記判定部において災害が発生したと判定すると、前記操作部において所定の入力操作を受け付けたとき、避難場所を示す情報を記載した避難場所案内券を前記発行部において発券するステップと、を実行させる避難場所案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震、台風等の災害発生時に、避難場所への案内を不特定多数の人に行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震、台風等の災害発生時に、不特定多数の人に対して避難場所への案内を行う標識があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された避難誘導標識柱は、道路に設置され、避難場所の名前、避難場所の方向、および避難場所の設備を標示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された標識では、特に、よく知らない地域で地震等の災害にあった人(例えば、旅行者、出張者、最近引っ越してきた人)が、避難時に不安を感じることがあった。例えば、よく知らない地域で地震等の災害にあった人は、標識によって避難場所の名前、避難場所の方向、および避難場所の設備を確認しても、避難場所に向かって移動しているときに、避難場所に馴染みがないので、避難場所の名前等を忘れて不安になることがあった。
【0006】
この発明の目的は、よく知らない地域で地震等の災害にあった人が、避難場所への移動時に不安になるのを抑えられる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の券売機は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0008】
券売機は、駅に設置され、利用者に対して鉄道の利用にかかる乗車券を販売する。
【0009】
操作部では、利用者による鉄道の利用にかかる乗車券の発券操作を受け付ける。表示制御部が、操作部における利用者の入力操作に応じた画面を表示器に表示させる。また、発券部が、操作部における利用者の入力操作に応じた乗車券を発券する。
【0010】
さらに、判定部が、災害が発生したと判定すると、発券部が、操作部において所定の入力操作を受け付けたとき、避難場所を示す情報を記載した避難場所案内券を発券する。
【0011】
この構成によれば、地震等の災害が発生した場合、操作部において所定の操作を行った人に対して、避難場所を示す情報が記載された避難場所案内券を発券する。このため、よく知らない地域で地震等の災害にあった人であっても、簡単に避難場所案内券を受け取れる(入手できる。)。避難場所案内券を入手した人は、避難場所に向かって移動しているときに、その避難場所の名前等を忘れても、避難場所案内券を見ることによって、避難場所の情報を再度確認できる。これにより、よく知らない地域で地震等の災害にあった人が、避難場所への移動時に不安になるのを抑えられる。
【0012】
また、避難場所案内券には、避難場所を示す情報として、例えば、避難場所への移動ルートを示す地図が記載される。
【0013】
また、例えば、表示制御部を、判定部で災害が発生したと判定されると、避難場所を示す情報を配信しているウェブサイトのアドレスを示す光学的読取コードを表示器に表示させる構成にしてもよい。このように構成すれば、インタネットに接続する機能を備えたスマートフォン等の携帯端末を所持している人は、光学的読取コードを携帯端末で読み取ることにより、簡単に避難場所を示す情報を確認できる。また、避難場所案内券の発券量を抑えることができる。
【0014】
さらに、外部機器と通信する通信部と、この通信部における外部機器との通信で、避難場所を示す情報を取得する情報取得部と、を備える構成にしてもよい。このように構成すれば、発生した災害による被害状況の変化に応じた避難案内が行える。
【0015】
また、券売機ではなく、鉄道の利用にかかる運賃の精算に使用するSFカードに対して価値をチャージするチャージ機で、避難場所案内券を発券してもよい。チャージ機は、チャージ処理の内容を印字したレシートを発行する構成を備えているので、この構成を利用して避難場所案内券を発券すればよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、よく知らない地域で地震等の災害にあった人が、避難時に不安になるのを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】券売機が設置された駅の乗車券売り場を示す概略図である。
【
図2】この例にかかる券売機の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図3】この例にかかる券売機の外観を示す概略図である。
【
図4】この例の券売機の動作を示すフローチャートである。
【
図5】災害モードに移行したときに、表示器に表示される画面例を示す図である。
【
図6】この例の券売機が発券する避難場所案内券の券面を示す図である。
【
図7】変形例1の券売機が災害モードに移行したときに、表示器に表示される画面例を示す図である。
【
図8】変形例2のチャージ機の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図9】変形例2のチャージ機の外観を示す概略図である。
【
図10】変形例2のチャージ機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0019】
<1.適用例>
図1は、券売機が設置された駅の乗車券売り場を示す概略図である。
図1では、複数台の券売機1が設置されている乗車券売り場(キップ売り場)を示している。この例の券売機1は、通常モード、または災害モードで動作する。より具体的には、券売機1は、発生した災害(例えば、地震、台風)により、不特定多数の人に対して避難を促す必要がある場合、災害モードで動作する。券売機1は、災害モードで動作していないとき、すなわち不特定多数の人に対して避難を促す必要がない場合、通常モードで動作する。
【0020】
通常モードは、利用者に対して鉄道の利用にかかる乗車券(キップ等)の販売を行うモードである。災害モードは、利用者(避難する人)に対して避難場所案内券を発券するモードである。避難場所案内券は、避難場所の名前、避難場所への移動ルート等を示す情報(以下、避難誘導情報と言う。)が券面に記載されたものである。
【0021】
券売機1は、通常モードでは、本体にセットされているロール紙に乗車券情報を印字した乗車券を利用者に発券する。また、この例の券売機1は、災害モードでは、本体にセットされているロール紙に避難誘導情報を印字した避難場所案内券を利用者に発券する。すなわち、この例の券売機1は、利用者に対する乗車券の発券と、利用者に対する避難場所案内券の発券とを、共通のハードウェアで行う構成である。
【0022】
<2.構成例>
図2は、この例にかかる券売機の主要部の構成を示すブロック図である。また、
図3は、この例にかかる券売機の外観を示す概略図である。この例にかかる券売機1は、制御ユニット11と、表示制御部12と、操作部13と、発券部14と、通信部15と、硬貨処理部16と、紙幣処理部17と、カード処理部18とを備えている。券売機1は、駅に設置され、設置されている駅(自駅)を乗車駅としたキップを発券する。券売機1は、キップ以外の乗車券(回数券や定期券等)を発券する機能を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0023】
制御ユニット11は、券売機1本体が備える各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、災害発生判定部11a、および避難誘導情報記憶部11bを有する。災害発生判定部11a、および避難誘導情報記憶部11bの詳細については、後述する。
【0024】
表示制御部12は、本体正面に設けた表示器12aを有し、この表示器12aにおける画面表示を制御する。
【0025】
操作部13は、表示器12aの画面上に貼付したタッチパネル13aを有する。操作部13は、タッチパネル13aにおける利用者の入力操作(利用者が指で押下したタッチパネル13a上の押下位置)を検出する。利用者は、操作部13において、購入する乗車券を選択する入力操作等を行う。また、操作部13は、入力デバイスとして押し釦スイッチも備えている。
【0026】
発券部14は、乗車券、および避難場所案内券を発券する処理を行う。券売機1には、本体正面に発券口14aが設けられている。発券部14は、利用者に対して発券する乗車券、および避難場所案内券を発券口14aに放出する。
【0027】
通信部15は、図示していない駅サーバとの間における通信を制御する。また、通信部15は、他の駅務機器(他の券売機1、自動改札機、精算機等)との間における通信も制御する。
【0028】
また、券売機1には、本体正面に硬貨投入口16a、および釣銭硬貨受皿16bが設けられている。利用者は、乗車券の発券等にかかる取引金額の精算に用いる硬貨を硬貨投入口16aに投入する。硬貨処理部16は、利用者が硬貨投入口16aに投入した硬貨を受け付ける。また、硬貨処理部16は、利用者に対して返却するつり銭等にかかる硬貨を釣銭硬貨受皿16bに放出する。硬貨投入口16aは、複数枚(2~3枚程度)の硬貨が重なった状態であっても、券売機1本体に投入できる形状である。硬貨処理部16は、利用者が投入した硬貨や、利用者に対して釣銭等として放出する釣銭硬貨について、金種や真偽を識別する硬貨識別部を有している。
【0029】
また、券売機1には、本体正面に紙幣投入口17a、および紙幣放出口17bが設けられている。利用者は、乗車券の発券等にかかる取引金額の精算に用いる紙幣を紙幣投入口17aに投入する。紙幣処理部17は、利用者が紙幣投入口17aに投入した紙幣を受け付ける。また、紙幣処理部17は、利用者に対して返却するつり銭にかかる紙幣を紙幣放出口17bに放出する。紙幣処理部17は、利用者が投入した紙幣や、利用者に対して釣銭として放出する紙幣について、金種や真偽を識別する紙幣識別部を有している。
【0030】
また、券売機1には、本体正面にカード挿入/放出口18aが設けられている。カード処理部18は、カード挿入/放出口18aに挿入されたSFカード(Stored Fare Card)に対してチャージ等にかかる処理を行う。また、カード処理部18は、カード挿入/放出口18aに挿入されたクレジットカードで、乗車券の発券金額を決済するクレジット処理機能を有していてもよい。
【0031】
次に、制御ユニット11が有する、災害発生判定部11a、および避難誘導情報記憶部11bについて説明する。災害発生判定部11aは、不特定多数の人に対して避難場所への避難を促す案内をすべき災害(地震、台風等)が発生したかどうかを判定する。災害発生判定部11aは、例えば、通信部15において、外部機器から災害発生の通知を受信することによって、災害が発生したと判定する。また、災害発生判定部11aは、例えば、操作部13において、リセット操作が行われるまで、不特定多数の人に対して避難場所への避難を促す案内を継続する必要があると判定する。
【0032】
避難誘導情報記憶部11bは、不特定多数の人に対して避難を促す避難場所にかかる避難誘導情報を記憶する。この避難誘導情報には、例えば、避難場所の名前、券売機1が設置されている駅から避難場所までの移動経路を示す地図情報が含まれている。
【0033】
券売機1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる避難場所案内プログラムを実行したときに、災害発生判定部11aとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる避難場所案内プログラムを展開する領域や、この避難場所案内プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。また、メモリには、避難誘導情報記憶部11bとして使用される記憶領域も設けられている。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる避難場所案内方法を実行するコンピュータである。
【0034】
<3.動作例>
次に、この例の券売機1の動作について説明する。
図4は、この例の券売機の動作を示すフローチャートである。ここでは、券売機1が、通常モードで動作している状態であるとして説明する。
【0035】
通常モードは、利用者に対して乗車券を発券するモードである。この通常モードにおける動作は、公知の券売機1と同じであるので、ここでは、説明を簡単にしておく。
【0036】
利用者は、券売機1に対して貨幣(硬貨、または紙幣)を投入する。表示制御部12が、投入された貨幣の金額で発券可能な乗車券の種類別に選択ボタン(金額ボタン)を表示器12aの画面に表示する。利用者は、表示器12aの画面上において、表示されている選択ボタンの中から、購入する乗車券の選択ボタンを押下する。操作部13が、表示器12aの画面上において利用者が押下した選択ボタンをタッチパネル13aで検出する。発券部14が、操作部13において検出された選択ボタンに応じた券種コードの乗車券を発券する。券売機1は、利用者に対して返却するつり銭があれば、そのつり銭に応じた金額の貨幣を放出する。
【0037】
上記した通常モードにおける乗車券の発券にかかる券売機1の動作は1例であり、例えば、利用者が購入を希望する乗車券ボタンを押下した後に、利用者による貨幣の投入を受け付ける動作であってもよい。また、乗車券の発券にかかる取引金額の決済は、貨幣に限らず、クレジットカード、SFカード(Stored Fare Card)等の媒体で行ってもよい。
【0038】
また、この券売機1は、カード挿入/放出口18aに挿入されたSFカードに対してチャージ等にかかる公知のカード処理も行えるが、このカード処理についての説明は省略する。
【0039】
券売機1は、災害発生判定部11aが、不特定多数の人に対して避難場所への避難を促す案内をすべき災害が発生したと判定するのを待つ(s1)。券売機1は、s1で、災害発生判定部11aにおいて災害が発生したと判定されるのを待っている間、上記した通常モードで動作している。災害発生判定部11aは、例えば、通信部15において、外部機器から災害発生の通知を受信することによって、災害が発生したと判定する。
【0040】
券売機1は、災害発生判定部11aが、不特定多数の人に対して避難場所への避難を促す案内をすべき災害が発生したと判定すると、通常モードから災害モードに移行する(s2)。s2では、表示制御部12が、災害モードに移行し、避難場所案内券を発券することを、不特定多数の利用者に告知する画面を表示器12aに表示させる。
図5は、災害モードに移行したときに、表示器に表示される画面例を示す図である。このとき、表示器12aには、発券ボタン50が表示される。
【0041】
券売機1は、避難場所案内券の発券操作が行われるか(s3)、不特定多数の人に対して避難場所への避難を促す案内を終了するリセット操作が行われるのを待つ(s4)。券売機1は、利用者によって発券ボタン50が押下されると、避難場所案内券の発券操作が行われたと判定する。
【0042】
券売機1は、操作部13において発券ボタン50が押下されたことを検出すると、発券部14が避難場所案内券を発券し(s5)、s3に戻る。
図6は、この例の券売機がs5で発券する避難場所案内券の券面を示す図である。避難場所案内券100の券面には、券売機1の設置駅(
図6中に示すA駅)から、避難場所(X公民館)までの地図が印字(記載)されている。また、避難場所案内券100の券面には、避難番所の名前が、X公民館であることを示す文言も印字(記載)されている。
【0043】
券売機1は、通常モードで動作しているときに、利用者に対して発券する乗車券に使用するロール紙を利用して、避難場所案内券100を発券する。また、発券部14は、避難誘導情報記憶部11bに記憶されている避難案内情報を印字データとし、避難場所案内券100の券面に対する印字を行う。
【0044】
このように、この券売機1では、地震等の災害が発生したとき、誰もが、券売機1で、簡単に避難場所案内券100を受け取れる(入手できる。)。避難場所案内券100を入手した人は、避難場所に向かって移動しているときに、その避難場所の名前等を忘れても、避難場所案内券100の券面を見ることによって、避難場所の情報を再度確認できる。したがって、よく知らない地域で地震等の災害にあった人が、避難場所への移動時に不安になるのを抑えられる。
【0045】
券売機1は、駅係員によりリセット操作が行われたことを検出すると、災害モードから通常モードに移行し(s6)、s1に戻る。また、券売機1は、通信部15において、外部機器から通常モードへの移行を指示する電文を受信したとき、災害モードから通常モードに移行する構成にしてもよい。
【0046】
また、上記の例では、避難場所案内券100の券面には、避難場所への移動ルートを示す地図が記載されているとしたが、地図を用いずに、移動ルートを案内する文言が記載されていてもよい。例えば、「駅の西口を出て、北に向かって進み、Cスーパーの手前で左に曲がり・・・」というような文言を避難場所案内券100の券面に記載してもよい。
【0047】
<4.変形例>
・変形例1
この変形例1の券売機1は、上記した例と同様に、
図2に示す構成である。この変形例1の券売機1は、s2で、通常モードから災害モードに移行したとき、表示制御部12が、表示器12aに表示させる画面が
図7に示す画面である点で相違する。また、この変形例1の券売機1は、上記した例と同様に、
図4に示した処理を実行する。
【0048】
図7は、この変形例1の券売機が災害モードに移行したときに、表示器に表示される画面例を示す図である。
図7に示すように、この変形例1の券売機1は、s2で、通常モードから災害モードに移行したとき、発券ボタン50とともに、避難場所を示す情報を配信しているウェブサイトのアドレスを示す光学的読取コード51(例えば、QRコード(登録商標))を表示器12aに表示する。
【0049】
したがって、インタネットに接続する機能を備えたスマートフォン等の携帯端末を所持している利用者は、この携帯端末で光学的読取コード51を読み取ることによって、避難場所を示す情報を配信しているウェブサイトに簡単にアクセスできる。すなわち、インタネットに接続する機能を備えたスマートフォン等の携帯端末を所持している利用者は、その携帯端末で避難場所等を示す避難誘導情報を確認できる。
【0050】
また、券売機1は、インタネットに接続する機能を備えたスマートフォン等の携帯端末を所持している利用者に対して、避難場所案内券100を発券するのを抑えられる。すなわち、券売機1が、用紙切れにともなって、避難場所案内券100の発行を停止する事態になるのを抑えられる。また、券売機1は、インタネットに接続する機能を備えたスマートフォン等の携帯端末を所持していないより多くの利用者に対して、効果的に避難場所案内券100を発券することができる。
【0051】
また、券売機1は、通信部15における外部機器との通信で、避難案内情報を受信すると、避難誘導情報記憶部11bに記憶している避難案内情報を、受信した避難案内情報に更新する構成にしてもよい。このように構成すれば、発生した災害による被害状況の変化に応じた避難案内が行える。
【0052】
・変形例2
図8は、この変形例2のチャージ機の主要部の構成を示すブロック図である。また、
図9は、このチャージ機の外観を示す概略図である。
【0053】
この例にかかるチャージ機20は、制御ユニット21と、表示制御部22と、操作部23と、印字部24と、通信部25と、紙幣処理部26と、カード処理部27とを備えている。チャージ機20は、駅に設置され、鉄道の利用にかかる運賃の精算に使用するSFカードに対して価値をチャージする処理を行う。
【0054】
制御ユニット21は、チャージ機20本体が備える各部の動作を制御する。また、制御ユニット21は、災害発生判定部21a、および避難誘導情報記憶部21bを有する。災害発生判定部21a、および避難誘導情報記憶部21bは、上記した券売機1の災害発生判定部11a、および避難誘導情報記憶部11bと同様の構成である。
【0055】
表示制御部22は、本体正面に設けた表示器22aを有し、この表示器22aにおける画面表示を制御する。
【0056】
操作部23は、表示器22aの画面上に貼付したタッチパネル23aを有する。操作部23は、タッチパネル23aにおける利用者の入力操作(利用者が指で押下したタッチパネル23a上の押下位置)を検出する。利用者は、操作部23において、SFカードにチャージする価値の大きさを選択する入力操作等を行う。また、操作部23は、入力デバイスとして押し釦スイッチも備えていてもよい。
【0057】
印字部24は、SFカードに価値をチャージしたチャージ処理の内容を印字したレシートの発行、および避難場所案内券の発行にかかる処理を行う。チャージ機20には、本体正面に発行口24aが設けられている。印字部24は、利用者に対して発行するレシート、および避難場所案内券を発行口24aに放出する。
【0058】
通信部25は、図示していない駅サーバとの間における通信を制御する。また、通信部25は、他の駅務機器(券売機1、チャージ機20、自動改札機、精算機等)との間における通信も制御する。
【0059】
また、チャージ機20には、本体正面に紙幣投入/放出口26aが設けられている。利用者は、SFカードにチャージする価値以上の紙幣を紙幣投入/放出口26aに投入する。紙幣処理部26は、利用者が紙幣投入/放出口26aに投入した紙幣を受け付ける。また、紙幣処理部26は、利用者に対して返却するつり銭にかかる紙幣を紙幣投入/放出口26aに放出する。紙幣処理部26は、利用者が投入した紙幣や、利用者に対して釣銭として放出する紙幣について、金種や真偽を識別する紙幣識別部を有している。
【0060】
また、チャージ機20には、本体正面にSFカードを挿入するカードポケット27aが設けられている。カード処理部27は、カードポケット27aに挿入されたSFカードに対して、カードデータの読み取り処理や、カードデータの書き込み処理等を行う。カードポケット27aに挿入されたSFカードは、カード処理部27の無線通信エリア内に位置する。
【0061】
チャージ機20の制御ユニット21は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる避難場所案内プログラムを実行したときに、災害発生判定部21aとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる避難場所案内プログラムを展開する領域や、この避難場所案内プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。また、メモリには、避難誘導情報記憶部21bとして使用される記憶領域も設けられている。制御ユニット21は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる避難場所案内方法を実行するコンピュータである。
【0062】
次に、この例のチャージ機20の動作について説明する。
図10は、この例のチャージ機の動作を示すフローチャートである。ここでは、チャージ機20が、通常モードで動作している状態であるとして説明する。
【0063】
通常モードは、受け付けたSFカードに対して価値をチャージするモードである。この通常モードにおける動作は、公知のチャージ機20と同じであるので、ここでは、説明を簡単にしておく。
【0064】
利用者は、SFカードをカードポケット27aに挿入するとともに、操作部23でチャージする価値(金額)を入力する操作を行う。また、利用者は、今回SFカードにチャージする価値に相当する金額以上の紙幣を紙幣投入/放出口26aに投入する。これらの操作の順番は、特に規定されない。
【0065】
カード処理部27は、カードポケット27aに挿入されたSFカードのカードデータを読み取り、その時点で、このSFカードが保有する価値(現在価値)を取得する。カード処理部27は、SFカードの更新価値を算出する。更新価値は、今回利用者によって入力された大きさの価値と、現在価値との和である。カード処理部27は、SFカードに対して、更新価値を示すカードデータを書き込む。
【0066】
また、チャージ機20は、利用者に対して返却するつり銭があれば、そのつり銭に応じた金額の紙幣を紙幣投入/放出口26aに放出する。また、利用者が、今回のチャージ処理にかかる内容を印字したレシートの発行を希望したとき(利用者が操作部23においてレシートの発行を希望する操作を行ったとき、)、印字部24が、今回のチャージ処理にかかる内容を印字したレシートを発行する。このレシートは、発行口24aにおいて放出される。
【0067】
チャージ機20は、災害発生判定部21aが、不特定多数の人に対して避難場所への避難を促す案内をすべき災害が発生したと判定するのを待つ(s11)。チャージ機20は、s11で、災害発生判定部21aにおいて災害が発生したと判定されるのを待っている間、上記した通常モードで動作している。災害発生判定部21aは、上記した券売機1と同様に、例えば、通信部25において、外部機器から災害発生の通知を受信することによって、災害が発生したと判定する。
【0068】
チャージ機20は、災害発生判定部21aが、不特定多数の人に対して避難場所への避難を促す案内をすべき災害が発生したと判定すると、通常モードから災害モードに移行する(s12)。s12では、表示制御部22が、災害モードに移行し、避難場所案内券を発行することを、不特定多数の利用者に告知する画面を表示器22aに表示させる。この画面は、上記した券売機1と同様に、例えば
図5に示す画面である。
【0069】
チャージ機20は、避難場所案内券の発行操作が行われるか(s13)、不特定多数の人に対して避難場所への避難を促す案内を終了するリセット操作が行われるのを待つ(s14)。チャージ機20は、利用者によって発券ボタン50が押下されると、避難場所案内券の発行操作が行われたと判定する。
【0070】
チャージ機20は、操作部23において発券ボタン50が押下されたことを検出すると、印字部24が避難場所案内券を発行し(s15)、s13に戻る。チャージ機20がs15で発行する避難場所案内券は、上記した券売機1と同様に、チャージ機20の設置駅から、避難場所までの地図を印字したものである(
図6参照)。
【0071】
チャージ機20は、通常モードで動作しているときに、利用者に対して発行するレシートに使用するロール紙を利用して、避難場所案内券100を発行する。また、印字部24は、避難誘導情報記憶部21bに記憶されている避難案内情報を印字データとし、避難場所案内券100の券面に対する印字を行う。
【0072】
このように、このチャージ機20も、上記した券売機1と同様に、地震等の災害が発生したとき、誰もが、簡単に避難場所案内券100を受け取れる(入手できる。)。したがって、よく知らない地域で地震等の災害にあった人が、避難場所への移動時に不安になるのを抑えられる。
【0073】
チャージ機20は、駅係員によりリセット操作が行われたことを検出すると、災害モードから通常モードに移行し(s16)、s11に戻る。また、チャージ機20は、通信部25において、外部機器から通常モードへの移行を指示する電文を受信したとき、災害モードから通常モードに移行する構成にしてもよい。
【0074】
なお、チャージ機20は、災害モードに移行したときに、上記した
図7に示す画面を表示器22aに表示する構成であってもよい。
【0075】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0076】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
駅に設置され、利用者に対して鉄道の利用にかかる乗車券を販売する券売機(1)において、
前記利用者による鉄道の利用にかかる乗車券の発券操作を受け付ける操作部(13)と、
記操作部(13)における前記利用者の入力操作に応じた画面を表示器(12a)に表示させる表示制御部(12)と、
前記操作部(13)における前記利用者の入力操作に応じた乗車券を発券する発券部(14)と、
災害が発生したかどうかを判定する判定部(11a)と、を備え、
前記発券部(14)は、前記判定部(11a)で災害が発生したと判定されると、前記操作部(13)において所定の入力操作を受け付けたとき、避難場所を示す情報を記載した避難場所案内券(100)を発券する、券売機(1)。
【符号の説明】
【0077】
1…券売機
11…制御ユニット
11a…災害発生判定部
11b…避難誘導情報記憶部
12…表示制御部
12a…表示器
13…操作部
13a…タッチパネル
14…発券部
14a…発券口
15…通信部
20…チャージ機
21…制御ユニット
21a…災害発生判定部
21b…避難誘導情報記憶部
22…表示制御部
22a…表示器
23…操作部
23a…タッチパネル
24…印字部
24a…発行口
25…通信部
26…紙幣処理部
26a…放出口
27…カード処理部
27a…カードポケット
50…発券ボタン
51…光学的読取コード
100…避難場所案内券