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特許7409163定置センサ較正装置、および、定置センサ較正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】定置センサ較正装置、および、定置センサ較正方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20231226BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20231226BHJP
   G06T 7/80 20170101ALI20231226BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G06T7/70 Z
G06T7/80
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020038981
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021139809
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】荒木 円博
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-069796(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106599776(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0005490(US,A1)
【文献】特開2018-001332(JP,A)
【文献】特開2015-149675(JP,A)
【文献】特開2015-106287(JP,A)
【文献】特開2008-022545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G06T 7/70
G06T 7/80
G01B 15/00
G01B 17/00
G01S 13/00
G01S 17/00
G01C 3/00
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置センサの位置および姿勢を較正するために用いられる定置センサ較正装置であって、
基準直線を設定する基準設定部と、
前記定置センサの暫定的な位置および姿勢を表すパラメータとして予め設定されている位置姿勢パラメータと、三次元空間中の物体を検出した前記定置センサからの出力と、を用いて、前記物体の位置を計測する位置計測部と、
前記位置計測部によって計測される、前記基準直線上を移動した前記物体の位置計測結果を点列として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記点列を用いて、前記点列の近似直線を作成する直線近似部と、
前記基準直線と前記近似直線とを用いて、較正後の前記位置姿勢パラメータを算出するパラメータ較正部と、を備える、
定置センサ較正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定置センサ較正装置であって、
前記直線近似部は、前記点列の一部を用いて近似直線候補を作成し、前記点列の一部を前記近似直線候補に正射影した点の標準偏差を用いて、前記近似直線を決定する、
定置センサ較正装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定置センサ較正装置であって、
前記直線近似部は、
複数の前記点列の一部のそれぞれを用いて、複数の前記近似直線候補を作成し、
複数の前記近似直線候補のうち、前記標準偏差が所定の標準偏差以上となる近似直線候補の中で、近似誤差が最小となる近似直線候補を、前記近似直線とする、
定置センサ較正装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の定置センサ較正装置であって、
前記直線近似部は、
前記点列から選択された選択点に対して主成分分析をおこなうことで、仮の近似直線を作成し、
前記点列から選択されなかった点のうち、前記仮の近似直線までの距離が所定の距離以内の点と、前記選択点とを、前記点列の一部として用いて、前記近似直線候補を作成する、
定置センサ較正装置。
【請求項5】
定置センサの位置および姿勢を較正するために用いられる定置センサ較正方法であって、
基準直線を設定する基準設定工程と、
前記定置センサの暫定的な位置および姿勢を表すパラメータとして予め設定されている位置姿勢パラメータと、三次元空間中の物体を検出した前記定置センサからの出力と、を用いて、前記物体の位置を計測する位置計測工程と、
前記位置計測工程において計測される、前記基準直線上を移動した前記物体の位置計測結果を点列として記憶する記憶工程と、
前記記憶工程において記憶された前記点列を用いて、前記点列の近似直線を作成する直線近似工程と、
前記基準直線と前記近似直線とを用いて、較正後の前記位置姿勢パラメータを算出するパラメータ較正工程と、を備える、
定置センサ較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定置センサ較正装置、および、定置センサ較正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固定されたセンサの姿勢や位置を較正する定置センサ較正装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の定置カメラのそれぞれにおける撮像可能領域内を通る光を利用して、複数の定置カメラのそれぞれの位置および姿勢を較正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許53111365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、複数の定置カメラのそれぞれにおいて撮像された複数の画像を、光が直線状となるように組み合わせることで、それぞれの定置カメラの座標や方位角、仰角の関係が算出され、複数の定置カメラどうしの位置や姿勢を較正することが可能となっている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、複数の定置カメラのそれぞれの撮像可能領域が重なっている必要があり、定置カメラが1台しか設置されていない場合、その定置カメラの位置や姿勢の較正を行うことができない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、定置センサ較正装置において、定置センサが1台であっても、位置や姿勢の較正を高精度に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、定置センサの位置および姿勢を較正するために用いられる定置センサ較正装置が提供される。この定置センサ較正装置では、基準直線を設定する基準設定部と、前記定置センサの暫定的な位置および姿勢を表すパラメータとして予め設定されている位置姿勢パラメータと、三次元空間中の物体を検出した前記定置センサからの出力と、を用いて、前記物体の位置を計測する位置計測部と、前記位置計測部によって計測される、前記基準直線上を移動した前記物体の位置計測結果を点列として記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記点列を用いて、前記点列の近似直線を作成する直線近似部と、前記基準直線と前記近似直線とを用いて、較正後の前記位置姿勢パラメータを算出するパラメータ較正部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、直線近似部は、設定された基準直線上を移動した物体の位置計測結果を用いて、近似直線を作成する。パラメータ較正部は、直線近似部において作成された近似直線と、基準直線とを用いて、定置センサの位置および姿勢を表す位置姿勢パラメータを算出する。これにより、定置センサが1台であっても、作成された近似直線と設定された基準直線との対比によって、定置センサに設定されている位置姿勢パラメータを、実際の定置センサの位置および姿勢に近づくように較正することができる。したがって、較正対象の定置センサが1台であっても、位置や姿勢の較正を高精度に行うことができる。
【0009】
(2)上記形態の定置センサ較正装置において、前記直線近似部は、前記点列の一部を用いて近似直線候補を作成し、前記点列の一部を前記近似直線候補に正射影した点の標準偏差を用いて、前記近似直線を決定してもよい。この構成によれば、パラメータ較正部において較正後の位置姿勢パラメータを算出するための近似直線は、点列の一部を用いて作成された近似直線候補に、当該点列の一部を正射影した点の標準偏差を用いて決定される。これにより、決定された近似直線は、実際の点列のばらつきの程度をより反映した近似直線となるため、この近似直線を用いて算出された位置姿勢パラメータは、より実態を反映した位置姿勢パラメータとなる。したがって、定置センサの位置や姿勢の較正をさらに高精度に行うことができる。
【0010】
(3)上記形態の定置センサ較正装置において、前記直線近似部は、複数の前記点列の一部のそれぞれを用いて、複数の前記近似直線候補を作成し、複数の前記近似直線候補のうち、前記標準偏差が所定の標準偏差以上となる近似直線候補の中で、近似誤差が最小となる近似直線候補を、前記近似直線としてもよい。この構成によれば、直線近似部は、複数の近似直線候補の中で、標準偏差が所定の標準偏差以上となり、かつ、近似誤差が最小となる近似直線候補を、近似直線とする。これにより、近似直線は、点列における、標準偏差に関する情報と、近似誤差に関する情報とを含む近似直線となるため、この近似直線を用いて算出された位置姿勢パラメータは、より実態を反映した位置姿勢パラメータとなる。したがって、定置センサの位置や姿勢の較正をさらに高精度に行うことができる。
【0011】
(4)上記形態の定置センサ較正装置において、前記直線近似部は、前記点列から選択された選択点に対して主成分分析をおこなうことで、仮の近似直線を作成し、前記点列から選択されなかった点のうち、前記仮の近似直線までの距離が所定の距離以内の点と、前記選択点とを、前記点列の一部として用いて、前記近似直線候補を作成してもよい。この構成によれば、近似直線候補の作成において、点列からの選択点を用いた仮の近似直線までの距離に所定の距離より長い場合、近似直線候補の作成に用いられずに外される。これにより、近似直線の精度を低下させる外れ値を排除することができるため、この近似直線を用いた位置姿勢パラメータの較正は、より実態を反映したものとなる。したがって、定置センサの位置や姿勢の較正をさらに高精度に行うことができる。
【0012】
(5)本発明の別の形態によれば、定置センサの位置および姿勢を較正するために用いられる定置センサ較正方法が提供される。この定置センサ較正方法は、基準直線を設定する基準設定工程と、前記定置センサの暫定的な位置および姿勢を表すパラメータとして予め設定されている位置姿勢パラメータと、三次元空間中の物体を検出した前記定置センサからの出力と、を用いて、前記物体の位置を計測する位置計測工程と、前記位置計測工程において計測される、前記基準直線上を移動した前記物体の位置計測結果を点列として記憶する記憶工程と、前記記憶工程において記憶された前記点列を用いて、前記点列の近似直線を作成する直線近似工程と、前記基準直線と前記近似直線とを用いて、較正後の前記位置姿勢パラメータを算出するパラメータ較正工程と、を備える。この構成によれば、直線近似工程は、設定された基準直線上を移動した物体の位置計測結果を用いて、近似直線を作成する。パラメータ較正工程は、直線近似部において作成された近似直線と、基準直線とを用いて、定置センサの位置および姿勢を表す位置姿勢パラメータを算出する。これにより、定置センサが1台であっても、作成された近似直線と設定された基準直線との対比によって、定置センサに設定されている位置姿勢パラメータを、実際の定置センサの位置および姿勢に近づくように較正することができる。したがって、較正対象の定置センサが1台であっても、位置や姿勢の較正を高精度に行うことができる。
【0013】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、定置センサ較正装置を含むシステム、これら装置およびシステムの制御方法、これら装置およびシステムにおいて定置センサ較正方法を実行させるコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の定置センサ較正装置の概略構成を示す模式図である。
図2】定置センサ較正方法のフローチャートである。
図3】直線近似工程のフローチャートである。
図4】直線近似工程を説明する第1の図である。
図5】直線近似工程を説明する第2の図である。
図6】直線近似工程を説明する第3の図である。
図7】直線近似工程を説明する第4の図である。
図8】パラメータ較正工程を説明する第1の図である。
図9】パラメータ較正工程を説明する第2の図である。
図10】パラメータ較正工程を説明する第3の図である。
図11】第1の比較例での近似直線の作成方法で作成した近似直線の図である。
図12】第2の比較例での近似直線の作成方法を説明する第1の図である。
図13】第2の比較例での近似直線の作成方法を説明する第2の図である。
図14】第1実施形態での近似直線の作成方法で作成した近似直線の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の定置センサ較正装置1の概略構成を示す模式図である。本実施形態の定置センサ較正装置1は、1か所に固定されて使用される定置センサを較正する装置であって、例えば、所定の場所に定置センサを設置するときに、定置センサの位置および姿勢を現場において修正する現地修正作業を行うときに用いられる。本実施形態の定置センサ較正装置1は、定置センサとしての定置式の単眼カメラ5を1台較正する。定置式の単眼カメラ5は、例えば、車両が走行する道路の近傍に定置され、道路上を走行する車両や、道路脇の歩行者6(図1参照)などを連続的に撮像する。定置センサ較正装置1は、計測器10と、較正処理器20とを備える。なお、本実施形態では、定置センサは、単眼カメラ5としたが、定置センサの種類は、これに限定されず、ステレオカメラ、レーダ、LiDAR(レーザレーダ)、ソナーなどであってもよい。
【0016】
計測器10は、位置計測部11と、基準設定部12と、を備える。計測器10は、単眼カメラ5と電気的に接続されており、単眼カメラ5によって撮像される画像が入力される。
【0017】
位置計測部11は、単眼カメラ5が撮像する画像に含まれる物体の位置を計測する。位置計測部11には、単眼カメラ5の暫定的な位置および姿勢を表すパラメータとして予め設定されている単眼カメラ5の暫定的な位置を表す位置パラメータと、姿勢を表す姿勢パラメータとの両方を含む、暫定的な位置姿勢パラメータが入力されている。位置計測部11は、この位置姿勢パラメータと、単眼カメラ5が撮像した画像から、移動している物体(図1では、歩行者6)の位置を計測する。位置計測部11は、計測結果と、暫定的な位置姿勢パラメータと、を電気的に接続されている較正処理器20に出力する。
【0018】
基準設定部12は、位置計測部11の座標系における基準直線を設定する。基準直線は、任意に設定される直線であり、例えば、道路上の車線を区別する白線や、車道と歩道とを区別する縁石など、現場において直線状に配置されているものが対象となる。なお、基準直線として設定される対象は、白線や縁石などに限定されない。
【0019】
較正処理器20は、記憶部21と、CPU22と、を備える。較正処理器20は、位置計測部11によって計測された歩行者6の位置計測結果と、計測における暫定的な位置姿勢パラメータと、基準設定部12によって設定された基準直線とを用いて、単眼カメラ5における較正後の位置姿勢パラメータを算出する。較正処理器20は、較正後の位置姿勢パラメータを電気的に接続されている計測器10の位置計測部11に出力する。
【0020】
記憶部21は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成される。記憶部21は、位置計測部11が計測した、基準直線上を移動した歩行者6の位置計測結果を点列として記憶する。また、記憶部21は、CPU22における各種演算結果を記憶する。記憶部21は、これらの記憶した情報をCPU22に適宜出力する。
【0021】
CPU22は、ROMに格納されているコンピュータプログラムをRAMに展開して実行することにより、計測器10も含む定置センサ較正装置1の各部を制御する。そのほか、CPU22は、直線近似部23およびパラメータ較正部24として機能し、位置計測部11が計測した歩行者6の位置計測結果から近似直線を作成し、その近似直線と基準直線との関係から、位置姿勢パラメータを較正する。
【0022】
直線近似部23は、記憶部21に記憶されている、歩行者6の位置計測結果の点列を用いて、点列の近似直線を作成する。直線近似部23の詳細な機能は、後述する。
【0023】
パラメータ較正部24は、直線近似部23が作成した近似直線と、基準直線と、暫定的な位置姿勢パラメータと、を用いて、較正後の位置姿勢パラメータを算出する。パラメータ較正部24の詳細な機能は、後述する。
【0024】
図2は、定置センサ較正方法のフローチャートである。図3は、直線近似工程のフローチャートである。次に、本実施形態の定置センサ較正方法について説明する。本実施形態の定置センサ較正方法は、例えば、単眼カメラ5を所定の場所に組み付けた際、単眼カメラ5の組み付け位置や、単眼カメラ5の光軸の方向に影響する姿勢を確認し、単眼カメラ5の組み付け現場において修正する現地修正作業において行われる。この現地修正作業は、誤検出(単眼カメラ5の検出可能範囲内に計測対象の物体が存在しないのに「存在する」とすること)や未検出(単眼カメラ5の検出可能範囲内に計測対象の物体が存在するのに「存在しない」とすること)を減らすために行われる。したがって、単眼カメラ5の組み付け作業後に、現場での即応可能な較正が必要となっている。なお、単眼カメラ5の位置姿勢そのものの測量や、キャリブレーションボードによる較正では、この現地修正作業に対して即応できない。また、測位衛星受信やジャイロスコープなどの他のセンサによる位置姿勢の推定は、静止時の姿勢推定が適切に行えないことから、単眼カメラ5には適していない。
【0025】
最初に、基準直線を設定する(ステップS1:基準設定工程)。ステップS1では、基準設定部12は、現場に直線状に配置されている対象物を、位置計測部11の座標系における基準直線として設定する。ここでは、例えば、車道と歩道とを区画する縁石7(図1参照)を座標系のx軸として設定する。なお、基準直線とする対象は、これに限定されない。
【0026】
次に、歩行者6の位置を計測する(位置計測工程:ステップS2)。ステップS2では、位置計測部11は、あらかじめ設定されている単眼カメラ5の暫定的な位置姿勢パラメータと、単眼カメラ5の出力と、を用いて、縁石7上を移動する歩行者6の位置を計測する。ここで、単眼カメラ5の暫定的な位置姿勢パラメータとは、x軸、y軸、z軸のそれぞれの座標値st(ベクトル表記)で表される位置パラメータ、並びに、方位角atおよび仰角etで表される姿勢パラメータを指す。すなわち、位置計測部11は、暫定的な位置パラメータst(ベクトル表記)と、姿勢パラメータet、atとが設定されている状態の単眼カメラ5が出力する歩行者6の位置を計測する。位置計測部11は、この歩行者6の位置計測結果を記憶部21に出力する。なお、本文中に示す文字がベクトルである場合、対象文字の後に「(ベクトル表記)」と記載する。
【0027】
次に、ステップS2において計測された、縁石7上を移動した歩行者6の位置計測結果を点列として記憶させる(記憶工程:ステップS3)。記憶部21は、位置計測部11が出力する歩行者6の位置計測結果を、3次元空間での点列として記憶する。また、記憶部21は、基準設定部12が設定した縁石7の位置情報を、基準直線の位置情報として記憶する。
【0028】
次に、ステップS3において記憶部21に記憶された点列を用いて、点列の近似直線を作成する(直線近似工程:ステップS4)。直線近似部23は、記憶部21に記憶された歩行者6の位置計測結果の点列を用いて、単眼カメラ5の位置パラメータst(ベクトル表記)と、姿勢パラメータet、atを較正するための近似直線を作成する。
【0029】
図4は、直線近似工程を説明する第1の図である。図5は、直線近似工程を説明する第2の図である。図6は、直線近似工程を説明する第3の図である。図7は、直線近似工程を説明する第4の図である。ここで、直線近似工程の詳細について説明する。直線近似工程では、最初に、直線近似部23は、仮の近似直線を作成する(図3のステップS401)。直線近似部23は、記憶部21に記憶された歩行者6の位置計測結果の点列のうち、複数の点を選択し、選択した点を用いて主成分分析を行うことで、仮の近似直線を作成する。
【0030】
図4に、点列の一例を示す。図4は、記憶部21に記憶された歩行者6の位置計測結果をプロットした2次元平面(xy平面)を示している。このxy平面に示されている複数の丸印のそれぞれは、点列における複数の位置計測結果のそれぞれを表す計測点Mとなっている。図4には、基準設定工程において設定された基準直線Lsが示されている。なお、図4~7では、説明の便宜上、点列を2次元平面で示している。
【0031】
ステップS401では、直線近似部23は、図4に示す点列について、無作為に複数の計測点Mを選択する。ここでは、例えば、図5に示すように、複数の計測点Mのうち、3点の計測点Mを選択点Msとして選択する(図5に示す太線の丸印Ms)。直線近似部23は、選択点Msに対して、主成分分析を行うことで、仮の近似直線Lpaを作成する(図5参照)。
【0032】
次に、直線近似部23は、ステップS401において作成した仮の近似直線Lpaを用いて外れ値を選択する(図3のステップS402)。ステップS402では、直線近似部23は、図6に示すように、仮の近似直線Lpaからの距離が、所定の距離(図6に示す符号D)より長い計測点(図6では、仮の近似直線Lpaからの距離が距離Dとなる境界線Lc1、Lc2の外側に位置するバツ印で示す計測点Mx)を、外れ値として選択する。外れ値Mxを除いた計測点Mの点列は、特許請求の範囲の「点列の一部」に相当する。
【0033】
次に、直線近似部23は、外れ値を除く計測点の数が下限数以上であるか否かを判定する(図3のステップS403)。ステップS403では、直線近似部23は、外れ値Mxを除く計測点Mの数が下限数以上である場合、ステップS404において近似実施フラグをYESとし、外れ値Mxを除いた近似直線候補を作成する(図3のステップS406)。一方、直線近似部23は、外れ値Mxを除く計測点Mの数が下限数未満である場合、ステップS405において近似実施フラグをNOとし、後述するステップS411に進み、近似直線候補の作成などを省略する。これは、外れ値Mxを除く計測点Mの数が下限数未満である場合、外れ値を除く計測点が点列を代表していないとみなせるためである。
【0034】
次に、直線近似部23は、ステップS406において作成した近似直線候補について、当該近似直線候補の作成に用いた計測点Mの標準偏差を算出する(図3のステップS407)。具体的には、直線近似部23は、図7に示すように、複数の計測点Mのそれぞれを近似直線候補Lpcに正射影し、近似直線候補Lpc上に射影点Mpを作成する。その後、直線近似部23は、複数の射影点Mpの標準偏差を算出する。
【0035】
次に、直線近似部23は、ステップS407において算出した標準偏差が事前に設定している所定の標準偏差以上であるか否かを判定する(図3のステップS408)。ステップS407において算出した標準偏差が所定の標準偏差以上である場合、ステップS409において、当該近似直線候補Lpcは記憶部21に記憶される。ステップS407において算出した標準偏差が所定の標準偏差未満である場合、ステップS410において、当該近似直線候補Lpcは廃棄される。
【0036】
次に、直線近似部23は、記憶部21に記憶されている点列から複数の計測点Mの選択について、ステップS401からステップS409またはステップS410までをあらかじめ決めた回数行ったか否かを判定する(図3のステップS411)。あらかじめ決めた回数行っている場合、ステップS412において、直線近似部23は、記憶部21に記憶されている複数の近似直線候補Lpcの中から、近似誤差が最小とする近似直線候補Lpcを、近似直線Laに選定する。あらかじめ決めた回数行っていない場合、ステップS401に戻り、上述したステップS401からステップS409またはステップS410までを繰り返す。これにより、直線近似工程において、直線近似部23によって作成された近似直線Laは、計測点Mを正射影した射影点Mpの標準偏差が比較的大きく、かつ、近似誤差は比較的小さくなる。なお、本実施形態では、直線近似工程において、直線近似部23は、近似直線Laを選定すると、パラメータ較正工程のために、複数の計測点Mの平均値p0t(ベクトル表記)と、当該近似直線Laの第1固有ベクトルfev(ベクトル表記)を求める。直線近似部23は、複数の計測点Mの平均値p0t(ベクトル表記)と、近似直線Laの第1固有ベクトルfev(ベクトル表記)と、を記憶部21に記憶させる。
【0037】
図2に戻り、ステップS4の次に、基準直線と、ステップS4において選定された近似直線とを用いて、単眼カメラ5の較正後の位置パラメータおよび姿勢パラメータを算出する(ステップS5:パラメータ較正工程)。本実施形態では、パラメータ較正部24は、較正後の姿勢パラメータa、eを算出してから、較正後の位置パラメータsを算出する。
【0038】
図8は、パラメータ較正工程を説明する第1の図である。ここで、パラメータ較正工程での較正後の位置姿勢パラメータの算出方法について、説明する。図8(a)は、3次元空間中のxy平面を示しており、複数の計測点Mのそれぞれをxy平面に投影した投影点Mxyと、近似直線Laをxy平面に投影した投影近似直線Laxyを示している。また、図8(a)には、xy平面における単眼カメラ5の暫定的な位置パラメータst(ベクトル表記)と、暫定的な姿勢を表す方位角atが示されている。ここでは、暫定的な方位角を、例えば、方位角at=15度と仮定する。図8(b)は、3次元空間中のxz平面を示しており、複数の計測点Mのそれぞれをxz平面に投影した投影点Mxzと、近似直線Laをxz平面に投影した投影近似直線Laxzを示している。また、図8(b)には、xz平面における単眼カメラ5の暫定的な位置パラメータst(ベクトル表記)と、暫定的な姿勢を表す仰角etが示されている。ここでは、暫定的な仰角を、例えば、仰角et=0度と仮定する。
【0039】
ステップS5において、パラメータ較正部24は、最初に、ステップS1で設定した基準直線Lsを、x軸に設定する(図8参照)。このとき、複数の計測点Mのそれぞれは、単眼カメラ5を中心とした座標系(単眼カメラ5が三次元空間の原点にあって、単眼カメラ5の正面の軸をx軸とする座標系であって、x軸は、単眼カメラ5の光軸となる。)における点を、最初に、仰角et、次に、方位角atで回転してから、単眼カメラ5の位置が座標値st(ベクトル表記)となるように並進して、求められているとする。
【0040】
また、ステップS4において直線近似部23によって求められた複数の計測点Mの平均値p0t(ベクトル表記)と、近似直線Laの第1固有ベクトルfev(ベクトル表記)は、記憶部21に記憶されている。パラメータ較正部24は、これらの情報と、図8(a)、(b)のぞれぞれに示す2つの座標値p0t(ベクトル表記)と、座標値p1t(ベクトル表記)とを用いて、較正後の仰角ecおよび方位角acを導出する。ここで、座標値p1tは、座標値p0t(ベクトル表記)と近似直線Laの第1固有ベクトルfev(ベクトル表記)を用いて、次の式(1)で表される。
【数1】
【0041】
ここで、単眼カメラ5を中心とした座標系において、仰角eに応じて、原点を中心に計測点を回転させる回転行列を求める関数E(e)、および、方位角aに応じて、原点を中心に計測点を回転させる回転行列を求める関数A(a)を導入する。仰角eは、y軸(南から北への軸)を中心として、x軸を南から見て反時計回りに回転させるため、式(2)のように定義される。
【数2】
【0042】
方位角aは、z軸(下から上への軸)を中心として、x軸を上から見て反時計回りに回転させるため、式(3)のように定義される。
【数3】
【0043】
導出したい較正後の仰角ecおよび方位角acは、暫定的な位置姿勢パラメータの影響を打ち消したうえで、あらためて、仰角および方位角で回転したときに、投影近似直線Laxy、Laxzが、基準直線Lsであるx軸と平行になる仰角と方位角である。このとき、複数の計測点Mの平均値p0t(ベクトル表記)の姿勢パラメータのみを較正した較正後の平均値p0p(ベクトル表記)の座標値と、複数の計測点の平均値p1t(ベクトル表記)の姿勢パラメータのみを較正した較正後の平均値p1p(ベクトル表記)の座標値との差が、y成分およびz成分について、同時に0となる。較正後の平均値p0p(ベクトル表記)は、式(4)で表され、較正後の平均値p1p(ベクトル表記)は、式(5)で表される。
【数4】
【0044】
較正後の仰角ecおよび方位角acを導出するには、以下に示す式(6)および式(7)からなる連立方程式を仰角差Δe、および、方位角acについて解く。式(6)は、y成分に関する式であり、式(7)がz成分に関する式である。仰角差Δeは(ec-et)であり、仰角etは、暫定仰角として既知の値であるため、仰角差Δeが求まれば仰角etを求めることができる。
【数5】
【0045】
式(6)および式(7)からなる連立方程式を解くと、式(8)および式(9)に示すように、方位角ac、および、仰角差Δeの式が導出される。これらの式を用いて、較正後の方位角acおよび仰角ecを算出する。
【数6】
【0046】
図9は、パラメータ較正工程を説明する第2の図である。図9(a)、(b)に示す図は、図8(a)(b)のそれぞれに対応する図であって、式(8)および式(9)を用いて算出された較正後の方位角acおよび仰角ecを用いて、投影近似直線Laxy、Lxxzを修正したものである。図9に示すように、投影近似直線Laxy、Laxzのそれぞれが、基準直線Lsに平行となっている。具体的な数値で示すと、方位角aは、15度から6.1度となるように較正され、仰角eは、0度からマイナス3度に較正されている。
【0047】
図10は、パラメータ較正工程を説明する第3の図である。次に、位置パラメータを較正する。位置パラメータの較正では、姿勢パラメータのみが較正された較正後の平均値p0pのy成分と、z成分とがそれぞれ0になるように、単眼カメラ5を並進させる。例えば、方位角aのみが較正された図9(a)については、投影近似直線Laxyをy軸のマイナスの方向に移動させて、基準直線Lsと一致させる(図10(a)参照)。また、仰角eのみが構成された図9(b)については、投影近似直線Laxzをz軸のプラスの方向に移動させて、基準直線Lsと一致させる(図10(a)参照)。これにより、近似直線Laは、基準直線Lsであるx軸と一致する。すなわち、並進後の単眼カメラ5の位置scは、式(10)で示すことができる。
【数7】
【0048】
ステップS5においては、上述したように、パラメータ較正部24は、姿勢パラメータを較正してから、位置パラメータを較正する。パラメータ較正部24は、較正した位置姿勢パラメータを、計測器10に向けて出力する。計測器10では、入力された較正後の位置姿勢パラメータを用いて、これ以降の物体の位置測定を行う。
【0049】
ここで、本実施形態の定置センサ較正装置1の効果について、特に、直線近似部において作成される近似直線の精度に関して、複数の比較例との比較によって説明する。第1の比較例は、主成分分析法を用いた近似直線の作成例であり、第2の比較例は、主成分分析法とRANSAC法とを組み合わせた方法を用いた近似直線の作成例である。
【0050】
図11は、第1の比較例での近似直線の作成方法で作成した近似直線の図である。図11に示す丸印は、複数の計測点Mのそれぞれを示している。主成分分析法では、全ての計測点Mを用いて近似直線L01を作成するため、近似直線L01は、例えば、楕円R10内の計測点Mxのような外れ値の影響を受ける。このため、傾きが大きくなりやすく、基準直線Lsから乖離しやすい。
【0051】
図12は、第2の比較例での近似直線の作成方法を説明する第1の図である。第2の比較例では、最初に、第1ステップとして、全ての計測点Mのうちの一部をランダムに選択する。例えば、図12に示すように、複数の太線丸印M2を選択する。この選択した計測点M2に対して、主成分分析を用いて暫定の近似直線L02を求める。次に、第2ステップとして、選択されなかった計測点Mのうち、暫定の近似直線L02との距離が閾値を超える点を外れ値とみなして、外れ値以外の点で近似直線と近似誤差を求める。
【0052】
図13は、第2の比較例での近似直線の作成方法を説明する第2の図である。第2の比較例では、第3のステップとして、第1のステップと第2のステップとを反復して、近似誤差が最小となる場合の直線を近似直線L12とする。図13に示すバツ印は、第2ステップにおいて外れ値とみなした計測点Mである。近似直線L12は、第1の比較例よりも傾きが大きくなり、基準直線Lsからの乖離も大きくなっている。
【0053】
図14は、第1実施形態での近似直線の作成方法で作成した近似直線の図である。図14は、第1の比較例および第2の比較例で用いた点列と同じ点列を用いて、上述した近似直線の作成方法によって作成した近似直線L03を示している。図14に示すように、本実施形態によって作成した近似直線L03は、第1の比較例の近似直線L01に比べ傾きが小さく、基準直線Lsに近い妥当な結果が得られることが明らかとなった。なお、図11と、図13と、図14とのそれぞれに示す実線L01、L12、L03は、それぞれの方法によって求められた近似直線の一部を表す線分であり、線分の長さは、各計測点Mを近似直線に正射影した点から求めた標準偏差に比例する。
【0054】
以上説明した、本実施形態の定置センサ較正装置1によれば、直線近似部23は、基準直線として設定された縁石7上を移動した歩行者6の位置計測結果を用いて、近似直線Laを作成する。パラメータ較正部24は、直線近似部23において作成された近似直線Laと、基準直線Lsとを用いて、単眼カメラ5の位置姿勢パラメータを算出する。これにより、単眼カメラ5が1台であっても、作成された近似直線Laと設定された基準直線Lsとの対比によって、単眼カメラ5に設定されている位置姿勢パラメータを、実際の単眼カメラ5の位置および姿勢に近づくように較正することができる。したがって、較正対象の単眼カメラ5が1台であっても、位置や姿勢の較正を高精度に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態の定置センサ較正装置1によれば、単眼カメラ5を組み付けた現場において、1台の単眼カメラ5による撮像結果を用いて、自身の位置姿勢パラメータを較正することができる。これにより、上述したように、単眼カメラ5の組み付け作業後に、現場での状況に応じた較正に即応することができる。
【0056】
また、本実施形態の定置センサ較正装置1によれば、パラメータ較正部24において較正後の位置姿勢パラメータを算出するための近似直線Laは、点列の一部を用いて作成された近似直線候補Lpcに、当該点列の一部を正射影した射影点Mpの標準偏差を用いて決定される。これにより、決定された近似直線Laは、実際の点列のばらつきの程度をより反映した近似直線となるため、この近似直線を用いて算出された位置姿勢パラメータは、より実態を反映した位置姿勢パラメータとなる。したがって、単眼カメラ5の位置や姿勢の較正をさらに高精度に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態の定置センサ較正装置1によれば、直線近似部23は、複数の近似直線候補Lpcの中で、標準偏差が所定の標準偏差以上となり、かつ、近似誤差が最小となる近似直線候補Lpcを、近似直線Laとする。これにより、近似直線Laは、点列における、標準偏差に関する情報と、近似誤差に関する情報とを含む近似直線となるため、この近似直線を用いて算出された位置姿勢パラメータは、より実態を反映した位置姿勢パラメータとなる。したがって、単眼カメラ5の位置や姿勢の較正をさらに高精度に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態の定置センサ較正装置1によれば、近似直線候補Lpcの作成において、点列からの選択点Msを用いた仮の近似直線Lpaまでの距離に所定の距離より長い場合、近似直線候補Lpcの作成に用いられずに外される。これにより、近似直線Laの精度を低下させる外れ値Mxを排除することができるため、この近似直線Laを用いた位置姿勢パラメータの較正は、より実態を反映したものとなる。したがって、単眼カメラ5の位置や姿勢の較正をさらに高精度に行うことができる。
【0059】
また、複数の定置カメラのそれぞれにおける撮像可能領域内を通る光を利用して、複数の定置カメラのそれぞれの位置および姿勢を較正する場合にパラメータ探索の誤差関数を規定している固有値は、カメラが1台の場合には位置姿勢パラメータの変更に対して変化しないため、パラメータ探索ができなくなる。これは、固有値は、並進および回転に対して不変となるように定義されているためであり、位置姿勢パラメータの変更による点列の並進や回転の影響を受けないからである。しかしながら、本実施形態の定置センサ較正装置1では、歩行者6の位置計測結果に基づく近似直線と基準直線との対比によって、1台の単眼カメラ5における位置姿勢パラメータの較正を高精度に行ことができる。
【0060】
また、本実施形態の定置センサ較正方法によれば、直線近似工程では、設定された基準直線Ls上を移動した歩行者6の位置計測結果を用いて、近似直線Laを作成する。パラメータ較正工程では、直線近似工程において作成された近似直線Laと、基準直線Lsとを用いて、単眼カメラ5の位置姿勢パラメータを算出する。これにより、単眼カメラ5が1台であっても、作成された近似直線Laと設定された基準直線Lsとの対比によって、単眼カメラ5に設定されている位置姿勢パラメータを、実際の単眼カメラ5の位置および姿勢に近づくように較正することができる。したがって、較正対象の単眼カメラ5が1台であっても、位置や姿勢の較正を高精度に行うことができる。
【0061】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0062】
[変形例1]
上述の実施形態では、定置センサ較正装置1は、1台の単眼カメラ5を較正するとした。しかしながら、「定置センサ」は、単眼カメラ5でなくてもよく、上述したように、ステレオカメラ、レーダ、LiDAR(レーザレーダ)、ソナーなどであってもよい。
【0063】
[変形例2]
上述の実施形態では、直線近似部23は、外れ値を除く計測点の数が下限数以上であるか否かを判定するとし、外れ値を除く計測点の数が下限数未満である場合、近似直線候補の作成などを省略するとした。しかしながら、直線近似部23での外れ値を除く計測点の数による判定はなくてもよい。
【0064】
[変形例3]
上述の実施形態では、直線近似部23は、点列の一部を用いて近似直線候補Lpcを作成し、点列の一部を近似直線候補Lpcに正射影した点の標準偏差を用いて、近似直線Laを決定するとした。しかしながら、近似直線Laの決定方法は、これに限定されない。
【0065】
[変形例4]
上述の実施形態では、直線近似部23は、点列の一部に関して、、複数の近似直線候補Lpcをあらかじめ決めた回数作成し、標準偏差が所定の標準偏差以上となり、かつ、近似誤差が最小となる近似直線候補Lpcを、近似直線Laにするとした。しかしながら、近似直線Laの決定方法は、これに限定されない。回数ではなく近似誤差などの閾値を条件としてもよい。また、点列の総数が少ない場合、全ての組合せを用いてもよい。
【0066】
[変形例5]
上述の実施形態では、直線近似部23は、点列から選択された選択点Msに対して主成分分析をおこなうことで、仮の近似直線Lpaを作成し、仮の近似直線Lpaまでの距離が所定の距離以内の点と選択点Msとを点列の一部として用いて近似直線候補Lpcを作成するとした。しかしながら、近似直線候補Lpcの作製方法は、これに限定されない。
【0067】
[変形例6]
上述の実施形態では、定置センサ較正装置1は、計測器10と、較正処理器20とを備えるとし、2つの機器から構成されるとした。しかしながら、定置センサ較正装置は、計測器と較正処理器とが一体となっていてもよい。
【0068】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…定置センサ較正装置
5…単眼カメラ
6…歩行者
10…計測器
11…位置計測部
12…基準設定部
20…較正処理器
21…記憶部
23…直線近似部
24…パラメータ較正部
La…近似直線
Lpa…仮の近似直線
Lpc…近似直線候補
Ls…基準直線
a,ac、at…方位角(姿勢パラメータ)
e,ec、et…仰角(姿勢パラメータ)
s,sc、st…座標値(位置パラメータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14