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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】推力発生装置
(51)【国際特許分類】
   B64C 11/06 20060101AFI20231226BHJP
   B64C 11/44 20060101ALI20231226BHJP
   B64C 27/68 20060101ALI20231226BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20231226BHJP
   B64C 27/59 20060101ALI20231226BHJP
   B64C 11/32 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B64C11/06
B64C11/44
B64C27/68
B64D27/24
B64C27/59
B64C11/32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020047053
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021146824
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 浩保
(72)【発明者】
【氏名】郡司 大輔
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-52227(JP,A)
【文献】実開昭59-50899(JP,U)
【文献】特開昭63-97495(JP,A)
【文献】特開2017-109726(JP,A)
【文献】実開昭59-179293(JP,U)
【文献】特許第6617259(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 11/06
B64C 11/44
B64C 27/68
B64D 27/24
B64C 27/59
B64C 11/32
B63H 5/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸を中心に回転可能な回転翼と、
前記所定の軸上に設けられ、前記回転翼を支持するハブと、
固定部材により前記ハブに固定されて、前記ハブを前記所定の軸回りに回転させる第1モータと、
前記第1モータの近傍に設けられ、前記回転翼のピッチ角を変化させる回転運動を発生させる第2モータと、
前記第2モータの回転運動を直線運動に変換する第1変換部と、
前記第1変換部で変換された直線運動を、前記ピッチ角を変化させる回転運動に変換する第2変換部とを備え、
前記第1変換部の少なくとも一部は前記第1モータ内に収容され、前記第2変換部の少なくとも一部は前記ハブ内に収容され、
前記ハブは内部に中空部を有し、前記固定部材は前記中空部から前記第1モータに延びることを特徴とする推力発生装置。
【請求項2】
前記第1モータはロータとステータを有し、前記第1モータのロータが前記ハブに固定されることを特徴とする請求項1に記載の推力発生装置。
【請求項3】
前記第1モータは、前記ハブと前記第1モータとを所定距離隔てるためのスペーサ部材を介して前記ハブに固定され、前記スペーサ部材は前記固定部材を通過させる孔を有することを特徴とする請求項1または2に記載の推力発生装置。
【請求項4】
前記スペーサ部材はフランジ部を有し、前記フランジ部は第2固定部材により第1モータに固定されることを特徴とする請求項3に記載の推力発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は推力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行装置の一例としてマルチコプターが特許文献1に開示されている。特許文献1のマルチコプターは、4基のロータを備えている。各ロータは、鉛直方向に延びる回転軸を有し、当該回転軸に対して直角な方向(水平方向)に複数の回転翼(ブレード)が設けられている。マルチコプターは、ロータの回転翼により生成される揚力により飛行する。回転翼のピッチ角は可変である。特許文献1では、ロータの回転翼はロータハブにボルトで固定されている。マルチコプターを構成する他の部品や部材も、所定部位にボルトで固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6617259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部材・部品を取り付けるボルトは埃や雨などに晒されると劣化の進行が速くなる。飛行装置は多くの回転する部材・部品を有するので、ボルトの破損等により回転する部材・部品が所定位置から離脱すると危険である。よって、部材・部品を取り付けるボルトは、外部環境からの影響を出来る限り受けないように設けることが望ましい。
本発明は、上記した課題に鑑み、推力発生装置においてボルトが使用される場合、ボルトに対する外的環境の影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様による推力発生装置は、所定の軸を中心に回転可能な回転翼と、前記所定の軸上に設けられ、前記回転翼を支持するハブと、固定部材により前記ハブに固定されて、前記ハブを前記所定の軸回りに回転させる第1モータと、前記第1モータの近傍に設けられ、前記回転翼のピッチ角を変化させる回転運動を発生させる第2モータと、前記第2モータの回転運動を直線運動に変換する第1変換部と、前記第1変換部で変換された直線運動を、前記ピッチ角を変化させる回転運動に変換する第2変換部とを備え、前記第1変換部の少なくとも一部は前記第1モータ内に収容され、前記第2変換部の少なくとも一部は前記ハブ内に収容され、前記ハブは内部に中空部を有し、前記固定部材は前記中空部から前記第1モータに延びる。
【0006】
前記第1モータがロータとステータを有する場合、前記第1モータのロータが前記ハブに固定されてもよい。
前記第1モータは、前記ハブと前記第1モータとを所定距離隔てるためのスペーサ部材を介して前記ハブに固定されてもよい。この場合、前記スペーサ部材は前記固定部材を通過させる孔を有してもよい。
前記スペーサ部材はフランジ部を有してもよい。この場合、フランジ部は第2固定部材により第1モータに固定されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1モータをハブに固定する固定部材は、ハブの中空部から第1モータに延びるので、固定部材は外部環境からの影響を受け難い。よって、推力発生装置の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)は、実施形態に係る推力発生装置に回転翼を取り付けた状態を示す斜視図、図1(b)および図1(c)は、実施形態に係る推力発生装置に取り付けられた回転翼のピッチ角を変化させた状態を示す側面図である。
図2図2は、図1(a)の推力発生装置を回転軸の一端側から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
図3図3は、図1(a)に示す推力発生装置を回転軸の他端側から見たときの構成を分解して示す斜視図である。
図4図4(a)は、図2に示す推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図、図4(b)は、図3に示す推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図である。
図5図5(a)は、実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、図5(b)は、図5(a)のA-A線に沿って切断した断面図である。
図6図6(a)は、実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、図6(b)は、図6(a)のB-B線に沿って切断した断面図である。
図7図7(a)は、実施形態に係る推力発生装置の推力発生用モータの構成を示す平面図、図7(b)は、図7(a)のC-C線に沿って切断した断面図である。
図8図8(a)は、図6のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す斜視図、図8(b)は、図8(a)の回転直動変換部を支持する支持部材および直動案内部を除去した構成を示す斜視図である。
図9図9は、図8(a)のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す平面図である。
図10図10(a)は、図9のD-D線に沿って切断した断面図、図10(b)は、図9のE-E線に沿って切断した断面図である。
図11図11(a)は、図1(b)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図、図11(b)は、図1(c)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図である。
図12図12は、図1(b)のハブの構成を分解して示す斜視図である。
図13図13は、推力発生用モータのロータと、エクステンションと、ハブケースと、ハブ取り付け用ボルトとを示す展開斜視図である。
図14図14はハブケースを推力発生用モータの軸方向から見た図である。
図15図15は変形例を示す斜視図であり、図4(b)と同様の斜視図である。
図16図16は、図15に示した変形例の断面図であり、図5(b)と同様の断面を示している。
図17図17は、図15に示した変形例の他の断面図であり、図6(b)と同様の断面を示している。
図18図18は、図15に示した変形例の斜視図であり、図13と同様の展開斜視図である。
図19図19は、図15に示した変形例のエクステンションと、ハブケースと、ハブ取り付け用ボルトを示す展開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。また、以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などを異ならせることがある。
【0010】
以下の説明では、推力発生装置で駆動される回転翼が3枚の場合を例にとるが、推力発生装置で駆動される回転翼は、必ずしも3枚に限定されることなく、N(Nは正の整数)枚であればよい。
図1(a)は、実施形態に係る推力発生装置に回転翼を取り付けた状態を示す斜視図、図1(b)および図1(c)は、実施形態に係る推力発生装置に取り付けられた回転翼のピッチ角を変化させた状態を示す側面図、図2および図3は、図1(a)の推力発生装置の構成を分解して示す斜視図、図4(a)および図4(b)は、図2および図3の推力発生装置の組み立て後の構成を示す斜視図である。
【0011】
図1(a)、図1(b)および図1(c)において、推力発生装置1は、回転翼H1~H3を電動で駆動する。回転翼H1~H3は、グリップP1~P3をそれぞれ介して推力発生装置1に装着される。グリップP1~P3は、推力発生装置1から水平方向に放射状に延びるように回転翼H1~H3を支持する。推力発生装置1は、装着面1Aを介して飛翔体に装着される。推力発生装置1が装着された飛翔体は、例えば、モータで飛行するマルチコプター、飛行機、回転翼機および飛行機能を備える自動車などの飛行可能な機体または車体である。
【0012】
図1(a)、図1(b)、図1(c)、図2図3図4(a)および図4(b)に示すように、推力発生装置1は、推力発生用モータ(第1モータ)2、ピッチ可変用モータ(第2モータ)5、回転伝達部6、回転直動変換部(第1変換部)7、直動回転変換部(第2変換部)8、エクステンション9およびハブ10を備える。推力発生用モータ2は、ステータ2A、ロータ2Bおよびフレーム2Cを備える。また、ロータ2Bは内径側にロータ軸4および中空部3A、3Bを備える。
【0013】
推力発生用モータ2は、回転翼H1~H3の推力Fを発生させる。ステータ2Aは、電磁鋼鈑と巻線により構成され、ロータ2Bの外側に位置する。ステータ2Aは、フレーム2Cに固定されている。推力発生用モータ2の装着面1Aは、フレーム2Cに設けることができる。装着面1Aは、回転伝達部6をフレーム2C内に挿入可能な開口1Bを備える。支持部1Cは、フレーム2Cの外枠から内側に向かって放射状に延びる。フレーム2Cの内径部は円筒形状であり、軸受U1を介してロータ軸4を回転自在に支持する。フレーム2Cは、例えばジュラルミンなどの合金で形成することができる。
【0014】
ロータ2Bの内径側にはロータ軸4が形成されている。ロータ軸4は、軸受U1を介してフレーム2Cに回転自在に支持されており、回転軸S0の軸回りに回転する。中空部3A、3Bは、推力発生用モータ2内に位置する。また、中空部3Aは、ロータ2Bの円周方向に沿ってロータ2Bとロータ軸4の間に位置する。中空部3Bは、ロータ軸4の軸方向に沿ってロータ軸4内径側に位置する。
【0015】
ピッチ可変用モータ5は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を変化させる回転運動を発生させる。ピッチ可変用モータ5は、フレーム2Cに固定される。ピッチ可変用モータ5の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。このとき、ピッチ可変用モータ5は、中空部3Aに位置することができる。ピッチ可変用モータ5の回転軸は、推力発生用モータ2の回転軸S0と並列に位置することができる。
【0016】
回転伝達部6は、ピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を推力発生用モータ2の回転軸S0に対して垂直方向に伝える。すなわち、ピッチ可変用モータ5の回転軸と、推力発生用モータ2の回転軸S0は平行な異なる軸であり、回転伝達部6によりピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を、推力発生用モータ2の回転軸S0の軸上に伝達する。回転伝達部6は、フレーム2Cに固定される。回転伝達部6の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。
【0017】
回転直動変換部7は、ピッチ可変用モータ5で発生され、回転伝達部6を介して伝えられた回転運動を、回転軸S0の軸方向の直線運動に変換する。回転直動変換部7の少なくとも一部は、推力発生用モータ2内に収容される。このとき、回転直動変換部7の少なくとも一部は、中空部3B内に位置することができる。この場合、回転直動変換部7の少なくとも一部は、回転軸S0の軸方向に沿って中空部3Bから回転翼H1~H3側に突出させることができる。回転直動変換部7は、フレーム2Cに固定される。
【0018】
直動回転変換部8は、回転直動変換部7で変換された直線運動を、各支持軸M1~M3の軸回りの回転運動に変換する。直動回転変換部8は、推力発生用モータ2の外部に位置する。
【0019】
エクステンション9は、回転軸S0の軸方向において、推力発生用モータ2と回転翼H1~H3との間の間隔を保つためのスペーサである。エクステンション9は、回転翼H1~H3が推力発生用モータ2に衝突するのを防止する。エクステンション9は、ロータ2Bの端面に固定される。
【0020】
ハブ10は、直動回転変換部8を収容するとともに、グリップP1~P3がハブ10から突出した状態でグリップP1~P3を支持する。ハブ10は、エクステンション9を介して、ロータ2Bの端面に固定される。すなわち、ハブ10は、ロータ2Bを介して回転軸S0の軸回りに回転可能な状態でフレーム2Cに支持される。ハブ10は、グリップP1~P3を介し、回転軸S0の軸方向に対して垂直方向に回転翼H1~H3を支持する。
【0021】
推力発生用モータ2が動作すると、ロータ2Bが回転軸S0を中心に回転することで、回転翼H1~H3が回転する。そして、各回転翼H1~H3の回転R1~R3に伴って回転翼H1~H3の推力Fが発生する。
【0022】
ここで、ピッチ可変用モータ5、回転伝達部6および回転直動変換部7は、フレーム2Cに固定される。このため、ロータ2Bが回転しても、ピッチ可変用モータ5、回転伝達部6および回転直動変換部7は、回転軸S0の軸回りに回転しない。
【0023】
また、ピッチ可変用モータ5が動作すると、各回転翼H1~H3は、各支持軸M1~M3の軸回りに回転し、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化する。このとき、ピッチ可変用モータ5の回転運動は、回転伝達部6を介して回転直動変換部7に伝えられる。そして、ピッチ可変用モータ5の回転運動は、回転直動変換部7によって、回転軸S0の軸方向の直線運動に変換される。そして、回転直動変換部7で変換された直線運動は、直動回転変換部8によって、各支持軸M1~M3の軸回りの3つの回転運動に変換される。そして、各支持軸M1~M3の回転運動は、グリップP1~P3をそれぞれ介し、各回転翼H1~H3に伝えられ、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。
【0024】
ここで、推力発生装置1は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を可変とすることにより、推力を変化させることができる。また、推力発生装置1は、ピッチ角θ1~θ3を可変とすることにより、推力変化の応答速度を早めることで飛翔体の安定性を向上させることが可能となるとともに、ブレード長を長くすることなく、飛翔体に必要な推力を確保することができ、推力発生装置1の大型化および重量増を抑制することができる。また、各状況で必要な推力は固定ピッチと比較した場合、推力発生用モータ2の低い回転数で発生できるので、回転数に依存する騒音を抑制することができる。
【0025】
また、推力発生装置1は、回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を電動で可変とすることにより、油圧を用いる必要がなくなる。このため、油の給排を制御する油圧制御ユニットおよび回転体に対してオイルシールを行うための複雑な回転シール機構を設ける必要がなくなり、推力発生装置1の大型化を抑制することが可能となるとともに、推力発生装置1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0026】
さらに、回転直動変換部7の少なくとも一部を、推力発生用モータ2内に収容することにより、回転軸S0の軸方向において推力発生用モータ2からの回転直動変換部7の突出量を減らすことができる。このため、推力発生用モータ2で回転翼H1~H3の推力を発生させ、ピッチ可変用モータ5で回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3を可変とした場合においても、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となる。
【0027】
さらに、回転直動変換部7の少なくとも一部を、中空部3B内に収容することにより、推力発生用モータ2を回転軸S0の軸方向に大型化することなく、回転直動変換部7の少なくとも一部を推力発生用モータ2内に収容することができ、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となる。
【0028】
さらに、ピッチ可変用モータ5で発生された回転運動を、回転伝達部6を介して伝えることにより、推力発生用モータ2の回転軸S0とピッチ可変用モータ5の回転軸を並列に配置することが可能となり、ピッチ可変用モータ5を推力発生用モータ2内に収容することが可能となる。
【0029】
さらに、直動回転変換部8をハブ10内に収容することにより、回転軸S0の軸方向に推力発生装置1をコンパクト化することが可能となるとともに、直動回転変換部8が外部に露出するのを防止することが可能となる。
【0030】
以下、回転伝達部6、回転直動変換部7および直動回転変換部8の構成および動作について、より具体的に説明する。
図5(a)および図6(a)は、実施形態に係る推力発生装置の構成を示す平面図、図5(b)は、図5(a)のA-A線に沿って切断した断面図、図6(b)は、図6(a)のB-B線に沿って切断した断面図、図7(a)は、実施形態に係る推力発生装置の推力発生用モータの構成を示す平面図、図7(b)は、図7(a)のC-C線に沿って切断した断面図である。
【0031】
図7(a)および図7(b)において、ロータ2Bは、軸受U1を介し、回転軸S0の軸回りに回転可能な状態でフレーム2Cにて支持されている。また、推力発生用モータ2内において、ロータ2Bとロータ軸4の間には中空部3Aが設けられ、ロータ軸4内には中空部3Bが設けられている。
【0032】
また、図2図3図5(a)、図5(b)、図6(a)および図6(b)において、回転伝達部6は、歯車G1~G3および支持部材BJ1~BJ3を備える。歯車G1~G3は、ピッチ可変用モータ5の回転運動を回転直動変換部7に伝える。歯車G1は、ボールねじ軸7Fの一端に取り付けられる。歯車G3は、ピッチ可変用モータ5の回転軸に取り付けられる。歯車G2は、歯車G1と歯車G3の間で歯車G1、G3と噛み合う位置に設けられる。
【0033】
フレーム2Cは、支持部材BJ1を介し、歯車G1およびボールねじ軸7Fが回転可能な状態で歯車G1および回転直動変換部7を支持する。また、フレーム2Cは、支持部材BJ3を介し、歯車G3およびピッチ可変用モータ5の回転軸を回転可能な状態で支持する。また、フレーム2Cは、支持部材BJ1、BJ2を介し、歯車G2を回転可能な状態で支持する。このとき、歯車G2は、支持部材BJ1、BJ2で挟み込まれた状態で、歯車G1、G3と噛み合う位置に配置される。歯車G1~G3の材料は例えば炭素鋼であり、支持部材BJ1~BJ3の材料は、例えば、アルミ合金である。なお、回転伝達部の機構として、歯車の代わりにベルトを用いてもよい。
【0034】
回転直動変換部7の回転直動変換機構として、ボールねじを用いることができる。回転直動変換部7の回転直動変換機構として、すべりねじを用いるようにしてもよい。回転直動変換部7は、直動伝達軸7D、直動案内部7E、ボールねじ軸7Fおよびボールねじナット7Gを備える。
【0035】
直動案内部7Eは、回転軸S0に沿って直線運動する方向にボールねじナット7Gおよび直動伝達軸7Dを案内する。このとき、直動案内部7Eは、ボールねじ軸7Fの回転に伴ってボールねじナット7Gが回転運動するのを規制する。直動案内部7Eは、支持部材BJ1から突出する形状である。直動案内部7Eは、支持部材BJ1と一体的に設けることができる。
【0036】
ボールねじ軸7Fは、軸受U2を介し、回転可能な状態で支持部材BJ1にて支持されている。ボールねじ軸7Fは、転動体を介してボールねじナット7Gと螺合した状態で歯車G1とともに回転し、ボールねじナット7Gを直線運動させる。
【0037】
ボールねじナット7Gは、ボールねじ軸7Fの回転運動に伴って直線運動し、その直線運動を直動伝達軸7Dに伝える。
【0038】
直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gの直線運動を直動回転変換部8に伝える。直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gに固定され、直動伝達軸7Dの先端は、軸受U3の内輪に挿入される。直動伝達軸7Dは、ボールねじナット7Gおよびボールねじ軸7Fの一部を内包する形状である。
【0039】
直動回転変換部8の直動回転変換機構として、ラックピニオンを用いることができる。直動回転変換部8は、直動体11、ラックA1~A3、ケース21、支持軸M1~M3、軸受E1~E3、アダプタD1~D3およびピニオンB1~B3を備える。
【0040】
直動体11は、軸受U3を介し、直動伝達軸7Dの軸回りに回転可能な状態で支持される。このとき、直動体11は、直動伝達軸7Dとともに、回転軸S0の軸方向に沿って直線運動可能である。
【0041】
ラックA1~A3は、直動体11にて支持される。各ラックA1~A3は、ピニオンB1~B3とそれぞれ噛み合った状態で直動体11とともに直線運動し、ピニオンB1~B3をそれぞれ回転運動させる。
【0042】
各支持軸M1~M3は、推力発生装置1から水平方向に放射状に突出するようにグリップP1~P3をそれぞれ支持する。各支持軸M1~M3は、軸受E1~E3をそれぞれ介し、各支持軸M1~M3の軸回りに回転可能な状態でケース21にて保持される。グリップP1と支持軸M1は一体的に設け、グリップP2と支持軸M2は一体的に設け、グリップP3と支持軸M3は一体的に設けることができる。グリップP1~P3と支持軸M1~E3の材料は、例えば、ジュラルミンである。グリップP1~P3と支持軸M1~E3の耐久性を増大させるため、グリップP1~P3と支持軸M1~E3の材料として、例えば、チタンを用いてもよい。
【0043】
各ピニオンB1~B3は、各支持軸M1~M3にそれぞれ固定される。各ピニオンB1~B3は、各ラックA1~A3の直線運動に伴って回転運動し、その回転運動を各支持軸M1~M3に伝える。ピニオンB1~B3およびラックA1~A3の材料は、例えば、クロムモリブデン鋼である。
【0044】
ケース21は、ハブ10の一部として用いることができる。ケース21は、直動体11、ラックA1~A3、支持軸M1~M3、軸受E1~E3、アダプタD1~D3およびピニオンB1~B3を収容する。ケース21は、エクステンション9を介してロータ2Bの端面に固定される。また、ケース21は、回転軸S0の軸回りの回転時に回転翼H1~H3にかかる遠心力に対抗して各支持軸M1~M3を支持することができる。
【0045】
各アダプタD1~D3は、支持軸M1~M3と軸受E1~E3との間に設けられ、支持軸M1~M3にてそれぞれ支持される。各アダプタD1~D3の内周面は、支持軸M1~M3の外周面に沿うように形成され、各アダプタD1~D3の外周面は、軸受E1~E3の内周面に沿うように形成される。これにより、各アダプタD1~D3は、各支持軸M1~M3の径の変化に対応しつつ、各軸受E1~E3の内周側で各支持軸M1~M3を支持させることができる。ケース21およびアダプタD1~D3の材料は、例えば、ジュラルミンである。各軸受U3、E1~E3は、例えば、複列アンギュラ玉軸受を用いることができる。
【0046】
エクステンション9は、フランジ9Aを備える。フランジ9Aは、エクステンション9と一体的に設けることができる。エクステンション9は、フランジ9Aを介し、ロータ2Bの端面に取り付け可能である。ここで、ボルトJ6にてフランジ9Aをロータ2Bにねじ止めすることで、エクステンション9をロータ2Bに固定することができる。エクステンション9およびフランジ9Aの材料は、例えば、ジュラルミンである。
【0047】
ピッチ可変用モータ5が回転すると、ピッチ可変用モータ5の回転運動に伴って歯車G1~G3が回転する。そして、歯車G1の回転運動に伴ってボールねじ軸7Fが回転し、ボールねじ軸7Fの回転運動に伴って、ボールねじナット7Gとともに直動伝達軸7Dが直線運動する。このとき、ボールねじナット7Gおよび直動伝達軸7Dの運動は、直動案内部7Eにて案内され、推力発生装置1内において、回転軸S0の軸方向に沿った直線運動に制限される。
【0048】
直動伝達軸7Dの直線運動は、直動体11に伝えられ、直動伝達軸7Dの直線運動に伴って、直動体11とともに各ラックA1~A3が直線運動する。このとき、各ラックA1~A3は、ピニオンB1~B3とそれぞれ噛み合った状態で直線運動し、各ピニオンB1~B3を回転させる。各ピニオンB1~B3の回転運動に伴って、各支持軸M1~M3がそれぞれの軸回りに回転する。そして、各支持軸M1~M3の回転運動は、グリップP1~P3をそれぞれ介し、各回転翼H1~H3に伝えられ、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。
【0049】
ここで、回転直動変換部7の回転直動変換機構としてボールねじを用いることにより、すべりねじを用いた場合に比べて、ピッチ可変に必要な駆動トルクを低減することができ、ピッチ可変用モータ5の省電力化を図ることができる。
また、直動回転変換部8の直動回転変換機構として、ラックピニオンを用いることにより、各ラックA1~A3の長手方向を直動体11の直動方向に揃えることが可能となるとともに、各ピニオンB1~B3の円周方向を各支持軸M1~M3の円周方向に揃えることが可能となる。このため、3個のラックピニオンの配置をコンパクトにまとめることができ、各回転翼H1~H3に対応して3個のラックピニオンを設けた場合においても、ハブ10の大型化を抑制しつつ、直動回転変換部8をハブ10内に収容することが可能となる。
【0050】
以下、回転伝達部6および回転直動変換部7の構成および動作について、さらに具体的に説明する。
図8(a)は、図6のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す斜視図、図8(b)は、図8(a)の回転直動変換部を支持する支持部材および直動案内部を除去した構成を示す斜視図、図9は、図8(a)のピッチ可変用モータ、回転伝達部および回転直動変換部の構成を示す平面図、図10(a)は、図9のD-D線に沿って切断した断面図、図10(b)は、図9のE-E線に沿って切断した断面図である。
【0051】
図8(a)、図8(b)、図9図10(a)および図10(b)において、支持部材BJ1は、ボルトJ1によりフレーム2Cに固定することができる。ボルトJ1は、例えば、支持部材BJ1の四隅に配置することができる。支持部材BJ2は、支持部材BJ1との間に歯車G2を挟み込んだ状態で、ボルトJ2と支柱31により支持部材BJ1に固定する。ボルトJ2は、例えば、支持部材BJ2の両端に配置することができる。歯車G2の両軸端は、軸受を介して支持部材BJ1およびBJ2に対し回転自在に支持される。支持部材BJ3は、ボルトJ3によりフレーム2Cに固定することができる。ボルトJ3は、例えば、支持部材BJ3の端部の2か所に配置することができる。また、支持部材BJ3は、ボルトJ4によりピッチ可変用モータ5を固定することができる。
【0052】
ボールねじナット7Gは、フランジ7Aを備える。フランジ7Aは、円筒を平行な二平面で切り取った形状であり、直動案内部7Eの開口部にフランジ7Aの突出部が配置される。フランジ7Aは、ボールねじナット7Gと一体的に設けることができる。
直動伝達軸7Dは、フランジ7Bおよび案内面7Cを備える。案内面7Cは、摺動部材7Hを備える。フランジ7Bおよび案内面7Cは、円筒を平行な二平面で切り取った形状であり、直動案内部7Eの開口部にフランジ7Bが配置される。
【0053】
フランジ7Bの平坦面と案内面7Cは一体の平面であってもよい。この平坦面は、互いに反対方向を向く2つの面であってもよい。フランジ7A、7Bの突出部には、ボルトJ5を挿入可能な領域を設けることができる。フランジ7A、7Bが重なった状態で、ボルトJ5にてフランジ7Aをフランジ7Bに固定することにより、直動伝達軸7Dをボールねじナット7Gに固定することができる。
【0054】
また、フランジ7Bの平坦面または案内面7Cには、摺動部材7Hを挿入可能な凹部を設けることができる。そして、その凹部に摺動部材7Hを挿入し、接着剤などでフランジ7Bに固定することができる。このとき、摺動部材7Hは、平坦面から突出する。摺動部材7Hの材料は、例えば、樹脂である。
【0055】
一方、直動案内部7Eの内側には、フランジ7A、7Bおよび案内面7Cの平坦面と対向する平面を設けることができる。そして、直動伝達軸7Dの直線運動に伴って摺動部材7Hが直動案内部7Eの平面を摺動することにより、直動伝達軸7Dの運動を回転軸S0の軸方向に制限することができる。
【0056】
ここで、フランジ7A、7Bの外周部の一部および案内面7Cに平坦面を設けるとともに、ボルトJ5を挿入可能な突出部をフランジ7A、7Bに設け、突出部を直動案内部7Eの開口部に配置することにより、直動案内部7Eの外径を小さくすることができ、推力発生用モータ2内のロータ軸4の径の増大を抑制しつつ、回転直動変換部7をロータ軸4内に収納することが可能となる。
【0057】
以下、直動回転変換部8の構成および動作について、さらに具体的に説明する。
図11(a)は、図1(b)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図、図11(b)は、図1(c)の回転翼のピッチ角に対応した直動体の位置を示す斜視図、図12は、図1(b)のハブの構成を分解して示す斜視図である。
図11(a)、図11(b)および図12において、直動回転変換部8は、その直動方向の移動範囲を制限するため、ベース13、リフトガイドT1~T3およびナットS1~S3を備える。ベース13は、直動伝達軸7Dの先端を通過可能な開口14を備える。直動体11は、開口12、開口V1~V3および面Z1~Z3を備える。ハブ10は、ケース21、外蓋22および中蓋23を備える。ケース21は、収容部21A、中空部Q1~Q3、開口21Bおよび開口K1~K3(開口K3は図示を省略)を備える。中蓋23は、貫通孔23Aを備える。
【0058】
各面Z1~Z3は、直動体11が回転軸S0の軸回りに3回の回転対称となる位置に設けられる。3回の回転対称では、回転軸S0の軸回りに直動体11を120°だけ回転させる度に、回転後の形状を回転前の形状に重ねることができる。各面Z1~Z3は、ラックA1~A3をそれぞれ支持可能である。このとき、各面Z1~Z3は、各ラックA1~A3の歯がピニオンB1~B3の歯の方向を向く位置で各ラックA1~A3を支持する。
開口12には軸受U3が挿入され、さらに軸受U3の内輪には直動伝達軸7Dが挿入される。各開口V1~V3は、リフトガイドT1~T3をそれぞれ挿入可能である。
【0059】
直動体11は、軸受U3の外輪で支持され、直動伝達軸7Dの先端はナット15により軸受U3の内輪に固定される。軸受U3の外輪は、例えば、C型留め輪16にて直動体11に取り付けることができる。
【0060】
ベース13は、リフトガイドT1~T3を直立した状態で支持する。リフトガイドT1~T3は、ベース13と一体的に設けることができる。ベース13の平面形状は、直動体11の平面形状と等しくすることができる。各開口V1~V3の位置は、リフトガイドT1~T3の位置に対応させることができる。
【0061】
開口21Bは、ラックA1~A3が取り付けられた直動体11をベース13とともに収容部21Aに挿入可能である。各開口K1~K3は、各支持軸M1~M3をケース21内に挿入可能である。
【0062】
収容部21Aは、ラックA1~A3が取り付けられた直動体11をベース13とともにケース21内に収容する。収容部21Aは、例えば、ケース21内に設けられた中空部または凹部である。収容部21Aの平面形状は、ベース13の平面形状に対応させることができる。このとき、収容部21Aの平面形状は、回転軸S0の軸回りに3回の回転対称とすることができる。
【0063】
一方、各支持軸M1~M3を挿入可能な開口K1~K3は、収容部21Aの外側の円周面に沿って配置することができる。このとき、支持軸M1、ピニオンB1、軸受E1およびアダプタD1を挿入可能な中空部Q1と、支持軸M2、ピニオンB2、軸受E2およびアダプタD2を挿入可能な中空部Q2と、支持軸M3、ピニオンB3、軸受E3およびアダプタD3を挿入可能な中空部Q3をケース21に設けることができる。各中空部Q1~Q3には、開口21Bを介し、支持軸M1~M3、ピニオンB1~B3、軸受E1~E3およびアダプタD1~D3をそれぞれ挿入可能である。
【0064】
リフトガイドT1~T3の先端は、貫通孔23Aを介して中蓋23の外側に突出する。そして、リフトガイドT1~T3の先端が中蓋23の外側に突出した状態で、ナットS1~S3が各リフトガイドT1~T3の先端に装着されることで、収容部21A内にベース13を配置することができる。
【0065】
中蓋23は、ケース21にて支持される。中蓋23は、ボルトJ7にてケース21に固定することができる。外蓋22は、中蓋23をカバーする。外蓋22は、中蓋23に固定することができる。中蓋23の材料は、例えば、ジュラルミン、外蓋22の材料は、例えば、樹脂である。
【0066】
直動伝達軸7Dの直線運動に伴って、直動体11とともに各ラックA1~A3が直線運動する。このとき、直動体11の運動は、リフトガイドT1~T3にて案内されるとともに、直動体11の直動方向の移動範囲が、ベース13およびナットS1~S3にて制限される。各ラックA1~A3の直線運動に伴ってピニオンB1~B3がそれぞれ回転運動し、ピニオンB1~B3の回転運動に伴って、各支持軸M1~M3がそれぞれの軸回りに回転する。そして、各支持軸M1~M3の回転運動に伴って各回転翼H1~H3が回転し、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が変化される。例えば、直動体11が図11(a)の位置にあるときは、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が図1(b)に示すように設定され、直動体11が図11(b)の位置にあるときは、各回転翼H1~H3のピッチ角θ1~θ3が図1(c)に示すように設定される。
【0067】
ここで、回転軸S0の軸回りに3回の回転対称となる位置に各面Z1~Z3を設け、ラックA1~A3を各面Z1~Z3に配置することにより、1個の直動体11を直線運動させることで、3個の各支持軸M1~M3の軸回りの3個の回転運動を発生させることができる。このため、直動回転変換部8をハブ10内に収容することを可能としつつ、3枚の回転翼H1~H3のピッチを可変とすることができる。
【0068】
上記の実施形態においては、各回転翼H1~H3は推力発生装置1の真下に配置され、推力発生装置1は飛翔体の機体の下部に装着されるが、各回転翼H1~H3は推力発生装置1の真上に配置され、推力発生装置1は飛翔体の機体の上部に装着されてもよい。
【0069】
図13は、図3に示した部品のうち、推力発生用モータ2のロータ2Bと、エクステンション9と、ハブ10のケース21と、ハブ取り付け用ボルトJ10とを示している。図13では、ケース21から外蓋22と中蓋23が取り外されている。尚、ボルトJ10は実際には3本あるが、図13には1本しか示されていない。図14はケース21を、推力発生用モータ2の軸方向の下から見た図である。ケース21の収容部21Aの底部21Eには、直動伝達軸7D(図5(b))が通過する開口21Gが形成されている。
【0070】
図14に示すように、ケース21の収容部21Aの底部21Eには、ボルトJ10を通すための孔21Fが3つ形成されている。図13及び図14から分かるように、3つの孔21Fは、エクステンション9の下端面9Cに形成された3つの孔9Dに対応する孔である。3つの孔9Dは、エクステンション9の周方向に等間隔で形成されている(つまり、周方向に120度間隔で形成されている)。3つの孔9Dは、貫通孔である。3本のボルトJ10が3つの孔21Fと3つの孔9Dを通過し、ロータ2Bの端面2B1に形成された3つの雌ネジ孔2B2に螺合することにより、ケース21がエクステンション9を介して推力発生用モータ2に(より具体的にはロータ2B)に固定される。
【0071】
図13に示すように、エクステンション9の下端面9Cには、3つの孔9Dの間に、3つのピン孔9Fが形成されている。ピン孔9Fは貫通孔ではなく、所定の深さを有する孔である。ピン孔9Fには位置決め用ピンJ11(図19)が挿入される。ピン孔9Fに挿入された位置決め用ピンJ11は、エクステンション9の下端面9Cから所定の高さだけ突出する。位置決め用ピンJ11の突出部分は、ケース21に形成された孔(図示せず)に嵌合する。この嵌合により、エクステンション9がケース21に対して位置決めされる。
【0072】
ケース21の収容部21Aは、ケース21の内部に形成された中空空間(中空部)であり、ボルトJ10は収容部21Aから推力発生用モータ2に延びている。図13及び図5(b)から分かるように、ケース21(ハブ10)はボルトJ10により推力発生用モータ2に固定される。尚、推力発生用モータ2はボルトJ10によりハブ10に固定されていると表現することもできる。
【0073】
エクステンション9のフランジ9Aには、ボルトJ6(図5)が通過する孔9A1が6つ形成されている。6つの孔9A1は、フランジ9Aの周方向に等間隔で形成されている。ボルトJ6は孔9A1を通って、ロータ2Bの第2端面2B3に形成された孔2B4に螺合する。本実施形態では、エクステンション9は、ボルトJ6とボルトJ10によりロータ2Bに固定されている。ボルトJ10がエクステンション9の本体をロータ2Bに固定し、ボルトJ6がエクステンション9のフランジ9Aをロータ2Bに固定している。エクステンション9は、ボルトJ6とボルトJ10によりロータ2Bに固定されるので、エクステンション9の固定を強固にすることができる。
ボルトJ10の頭部は、ケース21の内部に位置している。つまりハブ10を固定するボルトJ10は、推力発生装置1の外面に位置していない(外部に露出していない)。従って、ボルトJ10が埃や雨などに晒される可能性は低い。よって、ボルトJ10に対する外部環境の影響を低減できる。
【0074】
<変形例>
上記した実施形態では、エクステンション9がフランジ9Aを有していたが、エクステンション9はフランジ9Aを有さなくてもよい。つまり、エクステンション9に大きな負荷が作用しない場合には、フランジ9Aを省略することにより、エクステンション9とロータ2Bとの間の固定を上記した実施形態より簡略化してもよい。エクステンションがフランジ9Aを有さない構成について、図15図19を参照して説明する。図15図19において、上記した実施形態と同様な部品や構成には同様の符号をつける。本変形例では、エクステンションに符号109を付ける。
図15図4(b)に対応する図である。図16図5(b)に対応する図である。図17図6(b)に対応する図である。図18図13に対応する図である。図19は、エクステンション109と、ハブ10のケース21と、ハブ取り付け用ボルトJ10と、位置決めピンJ11とを示している。エクステンション109はほぼ円筒形状を有している。尚、図19のエクステンション109とハブケース21の位置関係は、図18のエクステンション109とハブケース21の位置関係と上下が逆である。
【0075】
図16図19に示すように、本変形例では、エクステンション109はボルトJ10によりロータ2Bに固定される。本変形例では、エクステンション109はフランジ9Aを有さないので、エクステンション109の形状を簡素化できる。従って、エクステンション109の製造工程も簡素化できる。また、フランジ9Aがないので、フランジ9Aをロータ2Bに固定するためのボルトJ6が不要になる。
本変形例においてもハブ10は、ケース21の内部のボルトJ10によりロータ2Bに固定されている。従って、ボルトJ10が埃や雨などに晒される可能性は低い。よって、ボルトJ10に対する外部環境の影響を低減できる。
【0076】
尚、上記した実施形態及び変形例では、ロータ2Bとハブ10の間にエクステンション9、109を設けたが、エクステンション9、109を設けなくてもよい場合もある。例えば、回転翼H1~H3の形状や大きさによっては(あるいは、ロータ2Bの端面2B1、2B3の形状やケース21の形状によっては)、エクステンション9、109が無くても回転翼H1~H3が推力発生用モータ2に接触・衝突しない場合がある。そのような場合には、エクステンション9、109を省略してもよい。エクステンション9、109が省略された構成であっても、ハブ10をロータ2Bに固定するボルトJ10がケース21の内部に位置する構成は変わらない。
【符号の説明】
【0077】
1…推力発生装置、H1~H3…回転翼、P1~P3…グリップ、2…推力発生用モータ、2A…ステータ、2B…ロータ、2C…フレーム、3A、3B…中空部、4…ロータ軸、5…ピッチ可変用モータ、6…回転伝達部、7…回転直動変換部、8…直動回転変換部、9…エクステンション、109…エクステンション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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