(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A23L 3/015 20060101AFI20231226BHJP
A23L 3/10 20060101ALI20231226BHJP
A23L 3/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A23L3/015
A23L3/10
A23L3/00 101A
(21)【出願番号】P 2020051628
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】松川 泰三
(72)【発明者】
【氏名】櫛部 光央
(72)【発明者】
【氏名】松藤 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】駒井 大祐
(72)【発明者】
【氏名】梶田 くるみ
(72)【発明者】
【氏名】西内 将平
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-209563(JP,A)
【文献】特開2019-205403(JP,A)
【文献】特開平11-076060(JP,A)
【文献】特開2014-133148(JP,A)
【文献】特開2018-117784(JP,A)
【文献】特開2019-017678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/00 - 3/3598
A61L 2/00 - 12/14
B65B 53/00 - 55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽内の圧力を調整しつつ、処理槽内の被処理物を熱水または蒸気で加熱する殺菌装置であって、
前記処理槽は、被処理物が収容される処理槽本体と、この処理槽本体の開口部を開閉するドアとから構成され、
前記ドアの裏面には、被処理物をサンプル品として保持するためのサンプル保持部が設けられており、
このサンプル保持部に保持されたサンプル品を監視するための窓部が、前記ドアに設けられている
ことを特徴とする殺菌装置。
【請求項2】
前記サンプル保持部と前記窓部は、前記ドアの中央部よりも上側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記サンプル保持部は、前記サンプル品の保持姿勢を調整する保持姿勢調整部を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記窓部に設けられて前記サンプル品を撮影する撮影手段と、
前記処理槽内に加圧空気を供給する加圧手段と、
前記処理槽内の気体を外部へ排出する排気手段と、
前記撮影手段によるサンプル品の形状変化に基づき、前記加圧手段と前記排気手段とを制御する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の殺菌装置。
【請求項5】
前記被処理物は、食品が収容されたカップ状の成型容器の開口部がトップシールで密封されてなり、
前記撮影手段は、前記成型容器に対する前記トップシールの膨張収縮具合を撮影可能に、前記窓部に設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載の殺菌装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記サンプル品が所定以上膨張した場合には、基準状態に戻るまで前記加圧手段により前記処理槽内を加圧する一方、前記サンプル品が所定以上収縮した場合には、基準状態に戻るまで前記排気手段により前記処理槽内を減圧する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型容器やレトルトパウチなどに密閉された食品の加熱に用いられる殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
成型容器やレトルトパウチなどに密閉された食品を被処理物とし、この被処理物を処理槽内に収容して、熱水または蒸気で加熱する殺菌装置が知られている。殺菌装置の運転中、処理槽内では、被処理物の内外の圧力差に基づき、被処理物の包装が膨張または収縮する。包装の破損や見栄えの維持のため、運転中、処理槽内への加圧空気の供給と、処理槽外への排気とにより、処理槽内の圧力を調整することが行われる。
【0003】
この圧力調整を自動で行う一つの方法として、下記特許文献1に開示されるように、カメラを用いて処理槽内の被処理物を監視することが提案されている。この発明では、処理槽の側壁にカメラを設けて、このカメラにより被処理物の膨張または収縮の具合を監視して、処理槽内の圧力を調整する。
【0004】
しかしながら、処理槽の側部には、必ずしもデッドスペースがある訳ではなく、カメラの設置が難しい場合もある。また、処理槽には、被処理物が台車に載せられて出し入れされるが、その台車にセットされる被処理物の量や位置は必ずしも一定ではないし、処理槽に対する台車の停止位置も必ずしも一定ではない。そのため、処理槽の側壁にカメラを設けても、そのカメラによる撮影範囲に、被処理物がうまく配置されるとは限らず、所期の制御を行えないおそれがある。
【0005】
このような不都合は、カメラを用いた自動制御の場合に限らず、処理槽に設けた覗き窓から被処理物の形状変化を視認して人力操作で圧力調整する場合でも、同様である。すなわち、処理槽の側部に人が入れるスペースがあるとは限らないので、処理槽の側部に覗き窓を設けたのでは、内部の様子を把握し難い場合もある。また、処理槽内の特定の被処理物を監視しようとしても、台車に対する被処理物の配置や、処理槽に対する台車の配置に影響を受けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、処理槽内の被処理物の監視を容易に行える殺菌装置を提供することにある。また、台車に対する被処理物の配置や、処理槽に対する台車の配置などに関わらず、処理槽内の被処理物の監視を確実に行い、それにより処理槽内の圧力調整を所望に行える殺菌装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、処理槽内の圧力を調整しつつ、処理槽内の被処理物を熱水または蒸気で加熱する殺菌装置であって、前記処理槽は、被処理物が収容される処理槽本体と、この処理槽本体の開口部を開閉するドアとから構成され、前記ドアの裏面には、被処理物をサンプル品として保持するためのサンプル保持部が設けられており、このサンプル保持部に保持されたサンプル品を監視するための窓部が、前記ドアに設けられていることを特徴とする殺菌装置である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、処理槽内に台車などを介して収容される被処理物とは別に、被処理物の内の一つまたは複数が、サンプル品として、ドア裏面のサンプル保持部に保持される。そして、そのサンプル保持部に保持されたサンプル品を、ドアに設けた窓部から監視することができる。ドア側には、ドアの開閉や被処理物の出し入れのために空間がある(障害物がない)ので、ドアに窓部を設けることで、窓部から処理槽内の監視を容易に行うことができる。また、窓部から目視で監視する場合でも、ドア側には障害物がないため、作業に必要な照度が確保され、窓部から処理槽内の監視を容易に行うことができる。さらに、ドアの裏面にサンプル保持部を設けることで、処理槽内での被処理物(サンプル品以外の被処理物)の配置に関わらず、サンプル保持部の被処理物(サンプル品)の監視を確実に行うことができ、ひいては処理槽内の圧力調整を所望に行うことができる。しかも、ドアの裏面にサンプル保持部を設けることで、たとえば、被処理物の搬入等の作業によりサンプル品の姿勢や保持位置が変わることもない。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記サンプル保持部と前記窓部は、前記ドアの中央部よりも上側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、サンプル保持部や窓部をドアの中央部よりも上側に設けることで、窓部からのサンプル品の監視を容易に行える。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記サンプル保持部は、前記サンプル品の保持姿勢を調整する保持姿勢調整部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の殺菌装置である。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、保持姿勢調整部により、サンプル保持部におけるサンプル品の保持姿勢を調整することができる。これにより、サンプル品の形状変化を窓部から見やすい姿勢に、サンプル品を保持して監視することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記窓部に設けられて前記サンプル品を撮影する撮影手段と、前記処理槽内に加圧空気を供給する加圧手段と、前記処理槽内の気体を外部へ排出する排気手段と、前記撮影手段によるサンプル品の形状変化に基づき、前記加圧手段と前記排気手段とを制御する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の殺菌装置である。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、ドアの窓部にサンプル品の撮影手段を設けて、この撮影手段によるサンプル品の形状変化に基づき、加圧手段と排気手段とを制御して、処理槽内の圧力を調整する。サンプル品の形状変化を抑制するように、処理槽内の圧力を調整することで、被処理物の破損を防止できると共に、見栄えの維持を図ることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記被処理物は、食品が収容されたカップ状の成型容器の開口部がトップシールで密封されてなり、前記撮影手段は、前記成型容器に対する前記トップシールの膨張収縮具合を撮影可能に、前記窓部に設けられることを特徴とする請求項4に記載の殺菌装置である。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、成型容器に対するトップシールの膨張収縮具合を監視して、処理槽内の圧力を調整することで、成型容器のトップシールの剥がれや、トップシールの変形を防止することができる。
【0018】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記制御手段は、前記サンプル品が所定以上膨張した場合には、基準状態に戻るまで前記加圧手段により前記処理槽内を加圧する一方、前記サンプル品が所定以上収縮した場合には、基準状態に戻るまで前記排気手段により前記処理槽内を減圧することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の殺菌装置である。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、加圧手段と排気手段とを制御して、サンプル品の形状を基準状態付近に維持することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の殺菌装置によれば、処理槽内の被処理物の監視を容易に行うことができる。また、台車に対する被処理物の配置や、処理槽に対する台車の配置などに関わらず、処理槽内の被処理物の監視を確実に行い、それにより処理槽内の圧力調整を所望に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例の殺菌装置を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1の殺菌装置の概略図であり、一部を断面にして示している。
【
図3】
図1の殺菌装置の運転例を示す概略図であり、横軸は時間t、縦軸は処理槽内温度Tを示している。
【
図4】
図1の殺菌装置の処理槽の前部を示す概略図であり、側面視の縦断面を示している。
【
図5】
図1の殺菌装置の被処理物(サンプル品)の一例を示す概略縦断面図であり、形状変化の例を示している。
【
図6】
図1の殺菌装置での画像解析によるトップシールの凹凸信号の一例を示す概略図であり、横軸はトップシールの凹凸状態、縦軸は凹凸信号の強さを示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、まずは、本発明の前提となる殺菌装置について概略を説明し、その後、本発明の特徴部について詳細に説明する。
【0023】
図1および
図2は、本発明の一実施例の殺菌装置1を示す概略図であり、
図1は斜視図、
図2は一部を断面にした構成図である。なお、
図1において、略円筒状の処理槽2の軸線方向を前後方向(ドア3側を前方)とする。
【0024】
殺菌装置1は、被処理物4が収容される処理槽2と、この処理槽2内への給水手段5と、処理槽2外への排水手段6と、処理槽2内に加圧空気を供給する加圧手段7と、処理槽2内の気体を外部へ排出する排気手段8と、処理槽2内の真空解除手段9と、処理槽2と熱交換器11との間で水を循環させる循環手段10と、これら各手段5~10を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
【0025】
処理槽2は、処理槽2内の加圧に耐える中空容器である。処理槽2は、被処理物4が収容される処理槽本体12と、この処理槽本体12の開口部を開閉するドア3とから構成される。処理槽本体12は、軸線を前後方向へ沿って水平に配置される円筒状に形成され、その後方開口部は後壁12aで閉塞されている。後壁12aは、断面略円弧状に後方へ膨出して形成された鏡板である。一方、処理槽本体12の前方開口部は、ドア3で開閉可能とされる。処理槽本体12に対しドア3を閉めた状態で、ドア3は、断面略円弧状に前方へ膨出して形成された鏡板状とされる。
【0026】
ドア3は、上下または左右に開閉するスライド式でもよいが、好ましくはスイング式(開き戸式)とされる。図示例では、スイング式のクラッチドアである。具体的には、ドア3は、一側端部が処理槽本体12にヒンジ機構13で保持されて、処理槽本体12の開口部を開閉する。また、処理槽本体12の開口部を閉じる位置にドア3を配置した状態で、外周部の爪部を係合または当接させて、ドア3を気密に閉じることができる。なお、本実施例では、被処理物4は、台車W(ワゴンまたはラックなども含む)に多数載せられて、台車Wごと処理槽本体12に対し出し入れされる。
【0027】
処理槽2には、処理槽2内の温度を検出する温度センサ14と、処理槽2内の水位を検出する水位センサ(図示省略)とが設けられる。また、図示しないが、処理槽2には、所望により、処理槽2内の圧力を検出する圧力センサが設けられる。
【0028】
給水手段5は、給水路15を介して処理槽2内へ水を供給する。給水路15には、給水ポンプ16と給水弁17とが設けられている。給水ポンプ16を作動させた状態で給水弁17を開けると、給水源からの水を処理槽2内に供給して、処理槽2内に水を貯留することができる。
【0029】
排水手段6は、排水路18を介して処理槽2内から水を排出する。排水路18は、処理槽2の底部に接続され、排水弁19が設けられている。排水弁19を開けることで、処理槽2内の水を外部へ排出することができる。
【0030】
加圧手段7は、加圧路20を介して処理槽2内へ加圧空気(圧縮空気)を供給する。加圧路20は、処理槽2の上部に接続され、加圧弁21が設けられている。加圧弁21を開けると、加圧空気源からの加圧空気を処理槽2内に供給して、大気圧を超える圧力に処理槽2内を加圧することができる。
【0031】
排気手段8は、大気圧を超える圧力下の処理槽2内から排気路22を介して気体を排出する。排気路22は、処理槽2の上部に接続され、排気弁23が設けられている。処理槽2内が大気圧を超える圧力にある状態で、排気弁23を開けると、処理槽2内の気体が排気路22を介して外部へ排出され、処理槽2内の圧力を下げることができる。なお、排気弁23の開放時に処理槽2内の急激な圧力降下を防止するために、排気路22には、絞り弁またはオリフィスを設けておくのが好ましい。
【0032】
真空解除手段9は、大気圧未満の圧力下の処理槽2内へ真空解除路24を介して外気を導入する。真空解除路24は、処理槽2の上部に接続され、真空解除弁25が設けられている。処理槽2内が(蒸気の凝縮により)大気圧未満の圧力にある状態で、真空解除弁25を開けると、真空解除路24を介して外気が処理槽2内へ導入され、処理槽2内の圧力を大気圧まで戻すことができる。
【0033】
熱交換器11は、処理槽2との間で水が循環され、その循環水と、蒸気または冷却水とを混ぜることなく熱交換する。つまり、熱交換器11は、循環手段10により処理槽2からの水が通されると共に、この循環水を加熱するために給蒸手段(図示省略)による蒸気が供給されるか、循環水を冷却するために冷却手段(図示省略)による冷却水が通される。
【0034】
循環手段10は、処理槽2と熱交換器11との間で水を循環させる。循環手段10は、循環路26と循環ポンプ27とを備える。循環路26は、一端部が処理槽2の底部に接続され、処理槽2の底部からの循環路26は、循環ポンプ27と熱交換器11とを順に介して、他端部が処理槽2内のノズル28に接続されている。このノズル28は、処理槽2内の側部および/または上部に設けられており、循環ポンプ27からの水を被処理物4へ向けて噴射する。
【0035】
なお、詳細は後述するが、本実施例の殺菌装置1では、処理槽本体12内の被処理物4とは別に、ドア3の裏面にも被処理物4(サンプル品4S)が保持される(
図4)。この被処理物4(4S)にも(言い換えればドア3裏面側にも)循環手段10による循環水が噴射されるように、前記ノズル(あるいはこれとは別のノズル)28が設けられるのがよい。つまり、ドア3のサンプル品4Sへのノズルは、処理槽本体12の被処理物4へのノズル28と共通化してもよいし、別箇に設けてもよい。
【0036】
制御手段は、前記各センサの検出信号の他、経過時間などに基づき、前記各手段を制御する制御器(図示省略)である。そして、制御器は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、処理槽2内の被処理物4の加熱殺菌やその後の冷却を行う。なお、
図1では、制御器に各種設定や運転開始などを指示するための操作盤29が、処理槽2の一側部に設けられているが、この設置位置は適宜に変更可能である。
【0037】
図3は、本実施例の殺菌装置1の運転例を示す概略図であり、横軸は時間t、縦軸は処理槽内温度Tを示している。
【0038】
運転開始に先立ち、処理槽2内には被処理物4が収容され、処理槽2のドア3は気密に閉じられる。そして、運転開始を指示すると、殺菌装置1は、典型的には、給水工程S1、昇温工程S2、殺菌工程S3、冷却工程S4および排水工程S5を順次に実行する。昇温工程S2と殺菌工程S3とを複数段階で実行してもよい。
【0039】
給水工程S1では、処理槽2内の被処理物4を浸漬しない設定水位まで、給水手段5により処理槽2内に水を供給して、処理槽2内に水を貯留する。
【0040】
昇温工程S2では、循環手段10により処理槽2と熱交換器11との間で水を循環させながら、その循環水を熱交換器11において加熱して、処理槽2内の温度を殺菌温度T1まで上昇させる。詳細は後述するが、典型的には、昇温工程S2~冷却工程S4において、加圧手段7と排気手段8とを制御して、処理槽2内の被処理物4の形状変化に応じた圧力調整がなされる。
【0041】
殺菌工程S3では、処理槽2内の温度を殺菌温度T1(殺菌温度範囲でもよい)に保持して、被処理物4を加熱して殺菌する。具体的には、処理槽2内の貯留水を循環手段10により循環させつつ、温度センサ14の検出温度を殺菌温度T1に維持するように、熱交換器11での加熱を調整する。処理槽2内が殺菌温度T1以上で殺菌時間経過すると、次工程へ移行する。
【0042】
冷却工程S4では、循環手段10により処理槽2と熱交換器11との間で水を循環させながら、その循環水を熱交換器11において冷却して、処理槽2内の被処理物4を所望まで冷却する。冷却終了条件を満たすと、循環手段10による循環を停止する。また、加圧手段7と排気手段8とによる処理槽2内の圧力制御も、終了できるが、場合により、排水工程S5における排水完了まで加圧制御を継続してもよい。
【0043】
排水工程S5では、排水手段6により処理槽2内から排水する。具体的には、排水弁19を開けることで、外部へ水を排出する。加圧手段7により処理槽2内を加圧したままで排水手段6により排水すれば、処理槽2内からの排水を迅速に行うことができる。いずれにしても、最終的には、加圧弁21を閉じた状態で排気弁23を開けて、処理槽2内の加圧を解除する。また、真空解除弁25を開放して、処理槽2内を確実に大気圧とする。これにより、処理槽2のドア3を開けて、処理槽2内から被処理物4を取り出すことができる。
【0044】
以上のような構成を前提に、本発明の一実施例の殺菌装置1は、さらに下記のように構成されている。以下、本発明の一実施例の殺菌装置1について、さらに具体的に説明する。
【0045】
図4は、
図1の殺菌装置1の処理槽2の前部を示す概略図であり、側面視の縦断面を示している。また、この図では、処理槽2のドア3を閉じた状態を示すと共に、殺菌装置1の使用状態を示している。
【0046】
前述したように、処理槽2の前方開口部は、ドア3で開閉可能とされる。ドア3を開けることで、処理槽2に対し、被処理物4を出し入れすることができる。図示しないが、
図4において、処理槽本体12には、多数の被処理物4が台車W(
図2)に載せられて収容されている。たとえば、台車Wは、多数の開口が形成された複数段の棚板を備え、各棚板に複数の被処理物4が並べられて載せられる。そして、被処理物4は、台車Wごと処理槽本体12に収容される。
【0047】
ドア3の裏面(ドア3の閉鎖時に処理槽2内側となる面)には、サンプル保持部30が設けられる。サンプル保持部30には、被処理物4の一つがサンプル品4Sとして保持される。サンプル品4Sも被処理物4と同一のものであり、処理槽2内に収容される被処理物4の内、任意に選択し且つサンプル保持部30に保持されるものを、特にサンプル品4Sという。
【0048】
なお、開閉するドア3の裏面には、サンプル品4Sを保持するためのサンプル保持部30を設けるためのスペースが必要であり、またドア3を開けた際のサンプル保持部30の位置が人の身長よりも低いことが望ましい。本実施例では、ドア3をスイング式とすることで、ドア3の裏面へのサンプル保持部30の設置と、そのサンプル保持部30へのサンプル品4Sの保持を容易に行うことができる。
【0049】
サンプル保持部30は、サンプル品4Sを保持できれば、その構成を特に問わないが、たとえば、サンプル品4Sを載置できる棚とされる。サンプル保持部30は、典型的にはサンプル品4Sを水平に保持するが、場合により、多少傾斜させて保持してもよい。また、サンプル保持部30は、ドア3を閉めた際や運転中にサンプル品4Sの位置や姿勢が変化しない程度に、サンプル品4Sの移動を規制した状態で、サンプル品4Sを保持できるのが好ましい。
【0050】
殺菌装置1の運転中、前述したとおり、処理槽2内の底部には水が貯留されるが、その貯留部よりも上方にサンプル保持部30が設けられる。また、サンプル保持部30は、ドア3の上下方向中央部よりも上側に設けられるのが好ましい。図示例では、サンプル保持部30は、ドア3の左右方向中央部で、且つ上下方向中央部よりもやや上方に設けられる。
【0051】
殺菌装置1の運転中、前述したとおり、処理槽2内にはノズル28から水が噴射(そしてサンプル保持部30のサンプル品4Sにも水が噴射)されるが、その水がサンプル保持部30に溜まらないように構成される。たとえば、サンプル保持部30は、線材、網材またはパンチングメタルなどにより形成される。
【0052】
サンプル保持部30に保持されたサンプル品4Sを監視するための窓部31が、ドア3に設けられる。サンプル保持部30に保持されたサンプル品4Sを、たとえば斜め上方から、または真横などから見ることができるように、サンプル保持部30および窓部31がドア3に設けられる。
【0053】
本実施例では、サンプル保持部30と共に、窓部31も、ドア3の中央部よりも上側に設けられる。図示例では、窓部31は、ドア3の左右方向中央部で、且つサンプル保持部30よりも上方に設けられる。この場合、処理槽2内に光が届きやすく、処理槽2内のサンプル品4Sの監視が容易となる。特に、図示例のように、ドア3が外側に膨らみを持った構造の場合、処理槽2内への光の導入、ひいてはサンプル品4Sの監視を、一層容易に行うことができる。
【0054】
ドア3への窓部31の設置は、たとえば、次のように行われる。すなわち、ドア3には第一フランジ32が溶接により固定されており、その第一フランジ32との間で、耐熱強化ガラスなどからなる透過板33を挟み込んで、第二フランジ34が固定される。第一フランジ32と透過板33との間、および第二フランジ34と透過板33との間には、パッキン(図示省略)が設けられる。
【0055】
処理槽2内の圧力調整を自動で行う場合、窓部31には、撮影手段35が設けられる。撮影手段35は、窓部31を介して、処理槽2内のサンプル品4Sを撮影する。撮影手段35は、典型的には、デジタルビデオカメラ36である。カメラ36の本体部(カメラヘッド)36aは、窓部31に固定されるが、その際、レンズは、窓部31(透過板33)を介して処理槽2内へ向けて配置される。なお、カメラ36の本体部36aは、窓部31に対し着脱可能に設けられてもよい。たとえば、カメラ36の本体部36aは、窓部31(より具体的には第二フランジ34に設けられた被取付部)に対し、ねじ込まれるなどして着脱可能とされてもよい。
【0056】
カメラ36の本体部36aからのケーブル36bは、前記制御手段としての制御器に接続される。カメラ36では常時(あるいは所定間隔で)サンプル品4Sを撮影し、その画像は制御器に取り込まれる。制御器は、画像処理によりサンプル品4Sの形状を監視する。具体的には、制御器は、画像解析装置を備え、カメラ36からの画像を用いて、サンプル品4Sの形状変化(凹凸)を求める。サンプル品4Sを斜め上方から撮影する場合、三次元解析するが、サンプル品4Sを真横から撮影する場合、二次元解析でもよい。そして、後述するように、制御器は、加圧手段7と排気手段8とを制御して、サンプル品4Sが所定以上凹状となったときには処理槽2内を減圧し、所定以上凸状となったときには処理槽2内を加圧して、サンプル品4S(およびその他の被処理物4)の形状変化を所定範囲に抑える。
【0057】
図5は、被処理物4(サンプル品4S)の一例を示す概略縦断面図であり、形状変化の例を示している。
【0058】
本実施例の被処理物4は、たとえばプリンのような食品である。具体的には、被処理物4は、食品が収容されたカップ状の成型容器4xの開口部がトップシール4yで密封されてなる。成型容器4xは、たとえばプラスチック製であり、トップシール4y(たとえば合成樹脂フィルム製)よりも硬質とされる。このような被処理物4を殺菌装置1の処理槽2内に収容して加熱すると、成型容器4x内の空気や蒸気の影響(蒸気発生や体積変化の影響)で、トップシール4yが膨張または収縮する。
【0059】
すなわち、処理槽2内への収容時(運転開始前)、被処理物4は、同図(A)に示すように、トップシール4yが略水平に配置されている。但し、基準状態は、殺菌運転開始前の状態であり、略水平に限らず、若干の凹状態または凸状態もあり得る。処理槽2内に収容後、殺菌装置1の運転中、成型容器4x内の圧力が処理槽2内の圧力よりも高くなれば、同図(B)に示すように、トップシール4yが膨らむ(基準状態に対し上方へ凸状になる)。一方、成型容器4x内の圧力が処理槽2内の圧力よりも低くなれば、同図(C)に示すように、トップシール4yが凹む(基準状態に対し下方へ凹状になる)。なお、成型容器4xが透明の場合、サンプル品4Sを真横から見ても、トップシール4yの凹凸を監視可能となる。
【0060】
トップシール4yの剥がれ(成型容器4xの密封の破壊)や、トップシール4yの変形による見栄えの悪化を防止するために、加圧手段7と排気手段8とを制御して、処理槽2内の圧力を調整し、トップシール4yを基準状態(
図5(A))付近に維持する。このような圧力制御は、昇温工程S2から冷却工程S4の終了まで行うのが好ましい。なお、被処理物4が
図5のような成型容器の場合、カメラ36は、トップシール4yの形状変化を監視する。以下、圧力制御の具体例を説明する。
【0061】
図6は、カメラ36からの画像解析によるトップシール4yの凹凸信号の一例を示す概略図であり、横軸はトップシール4yの凹凸状態、縦軸は凹凸信号の強さを示している。
【0062】
本実施例の殺菌装置1では、被処理物4(サンプル品4S)のトップシール4yの形状は、画像解析により、電流信号(たとえばDC4~20mA)に変換される。図示例では、基準状態D0では基準値A0(たとえば12mA)を出力し、第一規定状態D1以上凹んでいる場合には第一規定値A1(たとえば4mA)を出力し、第二規定状態D2以上膨れている場合には第二規定値A2(たとえば20mA)を出力する。そして、第一規定状態D1から第二規定状態D2までは、比例的に電流が増加する。
【0063】
また、基準状態D0(基準値A0)を境に、凹側所定状態DL(凹側所定値AL)と凸側所定状態DH(凸側所定値AH)とが設定される。凹側所定値ALは、基準値A0と第一規定値A1との間で設定され、凸側所定値AHは、基準値A0と第二規定値A2との間で設定される。そして、殺菌運転中、サンプル品4Sの形状変化に基づく凹凸信号(言い換えれば基準状態D0からの凹凸具合)を監視して、下記(a)および(b)の各制御を実行する。
【0064】
(a)サンプル品4Sが所定以上膨張した場合には、基準状態D0に戻るまで加圧手段7により処理槽2内を加圧する。具体的には、トップシール4yの凹凸信号が凸側所定値AH以上になれば、基準値A0になるまで、排気弁23を閉じた状態で加圧弁21を開けて、処理槽2内を加圧する。検出信号が基準値A0以下になれば、加圧弁21を閉じる。そして、再び、(a)または(b)の状態になるかを監視して、いずれかの状態になれば、その制御を実行する。
【0065】
(b)サンプル品4Sが所定以上収縮した場合には、基準状態D0に戻るまで排気手段8により処理槽2内を減圧する。具体的には、トップシール4yの凹凸信号が凹側所定値AL以下になれば、基準値A0になるまで、加圧弁21を閉じた状態で排気弁23を開けて、処理槽2内を減圧する。検出信号が基準値A0以上になれば、排気弁23を閉じる。そして、再び、(a)または(b)の状態になるかを監視して、いずれかの状態になれば、その制御を実行する。
【0066】
但し、このような制御に代えて、加圧弁21および/または排気弁23の開度を調整可能としておき、トップシール4yの凹凸信号が基準値A0になるように、加圧弁21および/または排気弁23の開度を調整(PID制御)してもよい。
【0067】
なお、殺菌装置1では、被処理物4を入れ替えて順次殺菌処理(バッチ処理)することもあるが、同じ被処理物4(もちろん殺菌済のものではなく未殺菌の同種(つまり容器および中身について同じ大きさや材料)の被処理物4)を殺菌する場合は、過去に運転した際に取得した圧力制御をリピートしてもよい。すなわち、被処理物4を殺菌中、前述したとおり、サンプル品4Sの形状変化に基づき加圧弁21や排気弁23を制御して、処理槽2内の圧力調整が行われるが、この制御をどのように行ったのかを、制御器は情報記憶手段に登録可能としてもよい。たとえば、運転中の経過時間と各弁21,23の開閉状況とを関連付けて保存可能とする。その場合、のちに同じ被処理物4の殺菌が必要となった際には、制御器は、前記保存していたデータを読み出して、各弁21,23の開閉を再現しつつ、被処理物4の殺菌を図ることもできる。2回目以降は、サンプル保持部30へのサンプル品4Sの保持や、そのサンプル品4Sの監視が不要となる。もちろん、2回目以降であっても、サンプル保持部30にサンプル品4Sを保持して、その形状変化を監視しつつ圧力調整することもでき、その際に、前記データの書換えを可能としてもよい。
【0068】
ところで、サンプル保持部30に保持されたサンプル品4Sを窓部31から容易に監視できるように、サンプル保持部30は、サンプル品4Sの保持姿勢を調整する保持姿勢調整部(図示省略)を備えるのが好ましい。保持姿勢調整部は、サンプル保持部30と一体的に設けられてもよいし、サンプル保持部30に対し着脱可能に構成されてもよい。
【0069】
サンプル保持部30は、たとえば、ドア3への固定部と、この固定部に対する可動部(保持姿勢調整部)とを備える。そして、可動部は、サンプル品4Sが載置される載置部(たとえばテーブル)を備え、この載置部が前記固定部に対し、前後、左右、上下の内、いずれか一以上の方向へ移動可能とされる。また、これに代えてまたは加えて、載置部が水平に対し傾斜可能(たとえばドア3側のヒンジまわりに上方へ傾斜可能)とされてもよい。
【0070】
保持姿勢調整部によりサンプル品4Sの保持姿勢を調整することで、窓部31(カメラ36)からサンプル品4Sの形状変化を把握しやすい位置に、サンプル品4Sの姿勢を調整することができる。たとえば、窓部31からサンプル品4Sの側面のみが見えるように保持することで、トップシール4yの凹凸の観察が容易となる。なお、ドア3が鏡板状とされ、且つ、窓部31が曲面に対して略垂直で、サンプル保持部30の前記載置部が略水平に設けられる場合、斜め上方からサンプル品4Sを監視することになるが、保持姿勢調整部を用いて、窓部31からのサンプル品4Sの見え方を任意に調整することが可能となる。
【0071】
以上、詳述したとおり、本実施例の殺菌装置1によれば、処理槽本体12に収容される被処理物4とは別に、被処理物4の内の一つがサンプル品4Sとして、ドア3裏面のサンプル保持部30に保持される。そして、そのサンプル保持部30に保持されたサンプル品4Sを、ドア3に設けた窓部31からカメラ36で監視して、処理槽2内の圧力を自動調整する。ドア3の裏面にサンプル保持部30を設けることで、処理槽本体12内での被処理物4(サンプル品4S以外の被処理物4)の配置に関わらず、サンプル保持部30の被処理物4(サンプル品4S)の監視を確実に行うことができ、ひいては処理槽2内の圧力調整を所望に行うことができる。しかも、ドア3の裏面にサンプル保持部30を設けることで、たとえば、被処理物4の搬入等の作業によりサンプル品4Sの姿勢や保持位置が変わることもない。
【0072】
本発明の殺菌装置1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、処理槽2内の圧力を調整しつつ、処理槽2内の被処理物4を熱水または蒸気で加熱する殺菌装置1であって、処理槽2は、被処理物4が収容される処理槽本体12と、この処理槽本体12の開口部を開閉するドア3とから構成され、ドア3の裏面には、被処理物4をサンプル品4Sとして保持するためのサンプル保持部30が設けられており、このサンプル保持部30に保持されたサンプル品4Sを監視するための窓部31が、ドア3に設けられているのであれば、その他の構成は、適宜に変更可能である。下記に各種変形例を示すが、変形例同士の組合せも可能である。
【0073】
まず、前記実施例では、サンプル保持部30には、一つのサンプル品4Sだけを保持する例について説明したが、場合により、複数のサンプル品4Sを保持可能に構成してもよい。
【0074】
また、窓部31にカメラ36を設ける場合、窓部31への透過板(ガラス)33の設置を省略して、カメラ36の本体部36a自体で、窓部31の開口を封止するように構成してもよい。つまり、カメラ36のレンズを、透過板33を介さずに、直接にサンプル品4Sへ向けるようにしてもよい。
【0075】
また、前記実施例では、窓部31にカメラ36を設置して、このカメラ36からの情報に基づき加圧手段7や排気手段8を自動制御したが、作業者が窓部31からサンプル品4Sを視認(目視で確認)して、その形状変化により人力操作により処理槽2内の圧力を調整してもよい。つまり、窓部31からサンプル品4Sを実際に目でみて、前記実施例の自動制御の場合と同様に、トップシール4yの膨らみが大きい場合には、加圧手段7により処理槽2内を加圧し、トップシール4yの凹みが大きい場合には、排気手段8により処理槽2内を減圧して、基準状態(
図5(A))付近に維持するようにしてもよい。加圧手段7や排気手段8の操作、つまり加圧弁21や排気弁23の開閉切替えは、操作盤29の操作により行うことができる。なお、処理槽2の前方(つまりドア3側)には、ドア3の開閉や被処理物4の出し入れのために空間がある(つまり障害物がない)ので、ドア3に窓部31を設けることで、窓部31から処理槽2内の監視を容易に行うことができる。また、ドア3側には障害物がないため、作業に必要な照度が確保され、窓部31から処理槽2内の監視を容易に行うことができる。
【0076】
また、前記実施例では、被処理物4は、成型容器4xの上部開口がトップシール4yで封止されたものであったが、レトルトパウチに密閉されたものでもよい。また、これら以外にも、各種の容器(包装)に密閉されたものであって、容器内の空気や蒸気により容器が膨張または収縮し得るものであれば、前記実施例と同様に適用可能である。さらに、容器内に収容されるものは、典型的には食品であるが、食品以外にも同様に適用可能である。
【0077】
また、前記実施例では、保持姿勢調整部により、サンプル品4Sの保持姿勢を調整可能としたが、これに代えてまたは加えて、窓部31へのカメラ36の本体部36aの取付姿勢(カメラ36のレンズの向き)を調整可能としてもよい。たとえば、第二フランジ34にカメラ36の本体部36aをヒンジで回動可能に設けることで、カメラ36の本体部36aの向きを調整可能としてもよい。
【0078】
さらに、ドア3にサンプル保持部30や窓部31が設けられるのであれば、殺菌装置1のその他の構成は、前記実施例に限らない。たとえば、いわゆる貯湯式の殺菌装置1に適用することもできる。その場合、処理槽2内において、被処理物4を熱水に水没して殺菌を行うが、前記実施例と同様に、処理槽2内の貯留水を熱交換器11との間で循環させつつ、その循環水を、昇温工程S2や殺菌工程S3では蒸気により加熱し、冷却工程S4では冷却水により冷却すればよい。また、循環水に直接に蒸気を吹き込んで、被処理物4を加熱したり、貯留水の入替えにより、被処理物4を冷却したりしてもよい。その他、被処理物4は、熱水で加熱する以外に、蒸気で加熱してもよい。すなわち、処理槽2内に直接に蒸気を吹き込んで、被処理物4を蒸気で加熱するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 殺菌装置
2 処理槽
3 ドア
4 被処理物(4S:サンプル品、4x:成型容器、4y:トップシール)
5 給水手段
6 排水手段
7 加圧手段
8 排気手段
9 真空解除手段
10 循環手段
11 熱交換器
12 処理槽本体(12a:後壁)
13 ヒンジ機構
14 温度センサ
15 給水路
16 給水ポンプ
17 給水弁
18 排水路
19 排水弁
20 加圧路
21 加圧弁
22 排気路
23 排気弁
24 真空解除路
25 真空解除弁
26 循環路
27 循環ポンプ
28 ノズル
29 操作盤
30 サンプル保持部
31 窓部
32 第一フランジ
33 透過板
34 第二フランジ
35 撮影手段
36 カメラ(36a:本体部、36b:ケーブル)
A0 基準値
A1 第一規定値
A2 第二規定値
AH 凸側所定値
AL 凹側所定値
D0 基準状態
D1 第一規定状態
D2 第二規定状態
DH 凸側所定状態
DL 凹側所定状態
S1 給水工程
S2 昇温工程
S3 殺菌工程
S4 冷却工程
S5 排水工程