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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】紙箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/43 20060101AFI20231226BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65D5/43
B65D5/54 301B
B65D5/54 301G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020066584
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021160820
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】平田 賢一
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-230837(JP,A)
【文献】実開昭57-77115(JP,U)
【文献】特開平11-245940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0017254(US,A1)
【文献】特表2017-514760(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210436(JP,U)
【文献】特開2019-34788(JP,A)
【文献】特開2019-99233(JP,A)
【文献】特開2017-178343(JP,A)
【文献】特開2017-132483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/43
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のブランクシートを、折罫線に沿って折り曲げて組み立てられる直方体形状の紙箱であって、
そのブランクシートは、右側面板、前面板、左側面板、後面板、糊代が、それぞれ折罫線を介して連設されており、
右側面板には右フラップが、左側面板には左フラップがそれぞれ折罫線を介して連設されており、
前面板には外蓋と外蓋差込片が、後面板には内蓋と内蓋差込片がそれぞれ折罫線を介して連設されており、
後面板の上部には、前記外蓋差込片が挿入される差込孔が打ち抜かれて、この差込孔によって、矢尻状の突起が形成されており、
後面板と内蓋の間の折罫線には、開封用ミシン目Aが付加されており、前記矢尻状の突起の付け根には、開封用ミシン目Bが形成されており、
ブランクシートを組み立てて、前記外蓋差込片を前記差込孔に挿入すると同時に、前記外蓋差込片に形成されたスリットに前記矢尻状の突起を挿入することにより、外蓋が二重にロックされ、前記開封用ミシン目AおよびBを切断することなしには、開封することができない機構を有することを特徴とする紙箱。
【請求項2】
前面板には、底面前板および底面前板接着片が、それぞれ折罫線を介して連設されており、
後面板には、底面後板および底面後板接着片が、それぞれ折罫線を介して連設されており、
右側面板には、底面右フラップが、左側面板には、底面左フラップが、それぞれ折罫線を介して連設されており、
予め底面前板接着片を底面右フラップに、底面後板接着片を底面左フラップにそれぞれ接着することにより、ワンタッチ組み立て底を形成したことを特徴とする請求項1に記載の紙箱。
【請求項3】
前面板には底面板および底面板差込片が、それぞれ折罫線を介して連設されており、
後面板の下部には、矢尻状の突起が形成されており、
右側面板には底面右フラップが、左側面板には底面左フラップが、それぞれ折罫線を介して連設されており、
前記底面板差込片に設けられたスリットに前記矢尻状の突起を挿入することにより、底面板がロックされることを特徴とする請求項1に記載の紙箱。
【請求項4】
前記外蓋に切込線によって形成された吊下げ片を有し、吊下げ片を引き起こすことによって、フックに吊り下げられるようにしたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙箱に関し、特に一旦開封すると開封したことが容易に分かり、元のように復元することが困難な、いたずら防止機能を有する紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
各種食品、飲料等を収納する容器においては、一旦開封して内容物に異物や毒物を混入し、再封止して店頭に戻すという悪質ないたずらを防止する観点から、開封したことが容易に分かるタンパープルーフと呼ばれる工夫が施された容器が広く用いられている。
【0003】
身近なところでは、ペットボトルのキャップのように、脆弱な部分を設けておき、これを破壊しないと開封できないようにしたものや、開封用の帯を切り取らないと開封できないようにしたもの等が多く用いられている。
【0004】
紙箱の場合、開封し易いように、ミシン目や開封帯を設けたものを、正規に開封すれば、一見して開封したことが分かる一方で、悪意をもって開封しようとすれば、殆どの紙箱は、接着剤で接着された部分を丁寧に剥がすことにより、開封したことが分からないように開封することができる。
【0005】
特許文献1に記載された包装箱は、いわゆるバージンロック機能を有する紙箱であって、上蓋に連設された差込フラップを後板の内側に差し込むとロックがかかり、紙箱を破壊しない限り開封することができないようにしたものである。具体的には、上蓋に連設された差込フラップに設けられた水平なスリットに、後板に設けられた舌片状突起の先端を差し込むことにより、舌片の左右両端に設けたエラ部をスリットの両端部に引っ掛ける構造である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された包装箱を実際に作ってみると、上蓋の角を引っ張ることにより、紙箱を破壊することなく、ロックを外すことが可能であることが分かったのである。またこの種のロック構造を持った紙箱の場合、上蓋を二重にすることができないため、商品をフックに引っ掛けるための引っ掛け片を上蓋に作ることができないという別の問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-51606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、上蓋のロックを容易には解除することができないため、紙箱を破壊することなく開封することが不可能な上に、上蓋に吊り下げ展示用の吊り下げ片を設けることが可能なように、二重構造の上蓋を有するいたずら防止機能付き紙箱を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、1枚のブランクシートを、折罫線に沿って折り曲げて組み立てられる直方体形状の紙箱であって、そのブランクシートは、右側面板、前面板、左側面板、後面板、糊代が、それぞれ折罫線を介して連設されており、右側面板には右フラップが、左側面板には左フラップがそれぞれ折罫線を介して連設されており、前面板には外蓋と外蓋差込片が、後面板には内蓋と内蓋差込片がそれぞれ折罫線を介して連設されており、後面板の上部には、前記外蓋差込片が挿入される差込孔が打ち抜かれて、この差込孔によって、矢尻状の突起が形成されており、後面板と内蓋の間の折罫線には、開封用ミシン目Aが付加されており、前記矢尻状の突起の付け根には、開封用ミシン目Bが形成されており、ブランクシートを組み立てて、前記外蓋差込片を前記差込孔に挿入すると同時に、前記外蓋差込片に形成されたスリットに前記矢尻状の突起を挿入することにより、外蓋が二重にロックされ、前記開封用ミシン目AおよびBを切断することなしには、開封することができない機構を有することを特徴とする紙箱である。
【0010】
本発明に係る紙箱は、蓋を内蓋と外蓋の二重構造とし、外蓋が外蓋差込片と矢尻状の突起とによって二重にロックされる構造にしたことにより、開封用ミシン目を切断することなしには、開封できない構造とすることができた。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前面板には、底面前板および底面前板接着片が、それぞれ折罫線を介して連設されており、後面板には、底面後板および底面後板接着片が、それぞれ折罫線を介して連設されており、右側面板には、底面右フラップが、左側面板には、底面左フラップが、それぞれ折罫線を介して連設されており、予め底面前板接着片を底面右フラップに、底面後板接着片を底面左フラップにそれぞれ接着することにより、ワンタッチ組み立て底を形成したことを特徴とする請求項1に記載の紙箱である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前面板には底面板および底面板差込片が、それぞれ折罫線を介して連設されており、後面板の下部には、矢尻状の突起が形成されており、右側面板には底面右フラップが、左側面板には底面左フラップが、それぞれ折罫線を介して連設されており、前記底面板差込片に設けられたスリットに前記矢尻状の突起を挿入することにより、底面板がロックされることを特徴とする請求項1に記載の紙箱である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記外蓋に切込線によって形成された吊下げ片を有し、吊下げ片を引き起こすことによって、フックに吊り下げられるようにしたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙箱である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る紙箱は、蓋を内蓋と外蓋の二重構造とし、外蓋の外蓋差込片を後面板の上部に形成した差込孔に挿入し、同時に矢尻状の突起を外蓋差込片に形成されたスリットに挿入することによって二重にロックされる構造にしたことにより、開封用ミシン目を切断することなしには、開封できない構造とすることができたものである。
【0015】
蓋が内蓋と外蓋の二重構造であるため、外蓋に切込線によって吊下げ片を形成することができる。このため、商品を収納した紙箱を、店頭においてフック等に吊り下げて展示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る紙箱の一実施態様を示した斜視図である。
図2図2は、図1に示した紙箱のブランクシートを示した平面説明図である。
図3図3は、外蓋差込片が差込孔に、また矢尻状の突起がスリットにそれぞれ挿入される状態を示した説明図である。
図4図4は、外蓋差込片が差込孔に、また矢尻状の突起がスリットにそれぞれ挿入されて、二重にロックされた状態を示した説明図である。
図5図5は、図1に示した紙箱の外蓋を閉じる時点における外蓋差込片と矢尻状の突起の状態を示した斜視説明図である。
図6図6は、本発明に係る紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。
図7図7は、図6に示した紙箱のブランクシートを示した平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、本発明に係る紙箱について詳細に説明する。図1は本発明に係る紙箱の一実施態様を示した斜視図である。図2は、図1に示した紙箱のブランクシートを示した平面説明図である。
【0018】
本発明に係る紙箱1は、1枚のブランクシート1Bを、折罫線a~nに沿って折り曲げて組み立てられる直方体形状の紙箱である。図2に示したブランクシートにおいては、右側面板3、前面板2、左側面板4、後面板5、糊代6が、それぞれ折罫線a、b、c、dを介して連設されている。
【0019】
右側面板3には右フラップ3fが、左側面板4には左フラップ4fがそれぞれ折罫線i、kを介して連設されている。
【0020】
前面板2には外蓋7と外蓋差込片7tが、それぞれ折罫線e、mを介して連設されており、後面板5には内蓋8と内蓋差込片8tがそれぞれ折罫線g、nを介して連設されている。
【0021】
後面板5の上部には、外蓋差込片7tが挿入される差込孔8hが打ち抜かれて、この差込孔8hによって、矢尻状の突起9が形成されている。
【0022】
後面板5と内蓋8の間の折罫線gには、開封用ミシン目A(10)が付加されており、矢尻状の突起9の付け根には、開封用ミシン目B(11)が形成されている。
【0023】
図2に示したブランクシート1Bにおいては、前面板2には、底面前板12および底面前板接着片12aが、それぞれ折罫線f、oを介して連設されており、後面板5には、底面後板13および底面後板接着片13aが、それぞれ折罫線h、pを介して連設されている。右側面板3には、底面右フラップ14が、左側面板4には、底面左フラップ15が、それぞれ折罫線j、l(エル)を介して連設されている。予め底面前板接着片12aを底面右フラップ14に、また底面後板接着片13aを底面左フラップ15にそれぞれ接着することにより、ワンタッチ組み立て底を形成することができる。
【0024】
本発明に係る紙箱1は、ブランクシート1Bを組み立てて、外蓋差込片7tを差込孔8hに挿入すると同時に、外蓋差込片7tに形成されたスリット7sに矢尻状の突起9を挿入することにより、外蓋7が二重にロックされ、開封用ミシン目A(19)および開封用ミシン目B(11)を切断することなしには、開封することができなくなることを特徴とする。
【0025】
図3は、外蓋差込片7tが差込孔8hに、また矢尻状の突起9がスリット7sにそれぞれ挿入される状態を示した説明図である。外蓋差込片7tは、折罫線mの幅よりも幅が広く、従って外蓋差込片7tには、両側に張り出した部分が存在する。一方この外蓋差込片7tが挿入される差込孔8hの幅は、外蓋差込片7tの最大幅より小さく設計されている
ので、一旦差込孔8hに挿入された外蓋差込片7tは、張り出した部分が引っ掛かって抜けなくなる。すなわちロックが掛かるのである。
【0026】
一方、矢尻状の突起9にも左右に張り出した部分があり、矢尻状の突起9の最大幅は、外蓋差込片7tに設けられたスリット7sの幅よりも大きく設計されているので、一旦スリット7sに挿入された矢尻状の突起9は、張り出した部分が引っ掛かって抜けなくなる。すなわちロックが掛かるのである。
【0027】
図4は、外蓋差込片7tが差込孔8hに、また矢尻状の突起9がスリット7sにそれぞれ挿入されて、二重にロックされた状態を示した説明図である。
【0028】
図5は、図1に示した紙箱1の外蓋7を閉じる時点における外蓋差込片7tの状態を示した斜視説明図である。紙箱1を組み立てて、内容物を収納した後、まず内蓋8を閉じ、次いで外蓋7を閉じる。この時に、矢尻状の突起9をスリット7sに挿入しながら外蓋差込片7tを差込孔8hに挿入する。これにより、二重にロックが掛かるため、箱をどのように変形させても外蓋7は開かないようになる。
【0029】
紙箱1を開封するには、開封用ミシン目A(10)と開封用ミシン目B(11)を切断するしか方法がないため、本発明に係る紙箱1は、開封したことが一目で分かり、いたずら防止効果を発揮するのである。なお、開封後に再封止したい場合には、密閉性は十分ではないが、再封止することも可能である。
【0030】
図6は、本発明に係る紙箱1の他の実施態様を示した斜視図である。図7は、図6に示した紙箱1のブランクシート1Bを示した平面説明図である。この例では、前面板2には底面板17および底面板差込片15tが、それぞれ折罫線f、qを介して連設されており、後面板5の下部には、矢尻状の突起9´が形成されている。右側面板3には底面右フラップ14が、左側面板4には底面左フラップ15が、それぞれ折罫線j、l(エル)を介して連設されている。底面板差込片17tに設けられたスリット17sに矢尻状の突起9´を挿入することにより、底面板17がロックされる。
【0031】
このように、底面の構造については、特に制約されず、本発明の主旨に反しない範囲において、用途やデザインによって適宜選択可能である。
【0032】
本発明に係る紙箱1は、天面が内蓋8と外蓋7の二重構造になっているので、図1、2および図6、7に示した例のように、外蓋7に切込線によって吊下げ片16を形成することができる。すなわち、吊下げ片16を立ち上げても、内蓋8が存在するために、紙箱の内部に貫通する孔があかないのである。吊下げ片16が備わることにより、商品を店頭において、フックに吊り下げて展示することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・紙箱
1B・・・ブランクシート
2・・・前面板
3・・・右側面板
3f・・・右フラップ
4・・・左側面板
4f・・・左フラップ
5・・・後面板
6・・・糊代
7・・・外蓋
7t・・・外蓋差込片
7s・・・スリット
8・・・内蓋
8t・・・内蓋差込片
8h・・・差込孔
9、9´・・・矢尻状の突起
10・・・開封用ミシン目A
11・・・開封用ミシン目B
12・・・底面前板
12a・・・底面前板接着片
13・・・底面後板
13a・・・底面後板接着片
14・・・底面右フラップ
15・・・底面左フラップ
16・・・吊下げ片
17・・・底面板
17t・・・底面板差込片
17s・・・スリット
a~q・・・折罫線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7