(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】X線撮影装置およびX線画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20231226BHJP
A61B 6/12 20060101ALI20231226BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20231226BHJP
【FI】
A61B6/00 350P
A61B6/12
A61B6/00 331E
(21)【出願番号】P 2020085596
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ウドン
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル アーシャンボルト
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-526144(JP,A)
【文献】特開2020-018702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0247437(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0043153(US,A1)
【文献】国際公開第2017/115432(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0015056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線管と、
前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器から出力される検出信号に基づいて生成された複数のX線画像を重ね合わせることによって合成画像を生成する画像制御部と、を備え、
前記画像制御部は、生成された前記X線画像において、前記被検体の体内に留置される所定の対象物の位置を示すためのマーカと、前記所定の対象物とは別個に前記被検体の体内に配置されるデバイス
の形状との両方を検出する検出処理部と、
前記検出処理部によって検出された前記マーカと検出された前記デバイス
の形状とに基づいて
、前記デバイス同士が重なり合うように前記複数のX線画像の各々を変形させるとともに、変形された前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成する合成処理部と、を含
み、
前記合成処理部は、前記デバイスが、前記複数のX線画像の各々において検出された複数の前記デバイスの形状に基づいて取得されたデバイス基準形状と重なり合うように前記複数のX線画像の各々を変形させ、
前記デバイス基準形状は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記デバイスの形状同士の平均の形状である、X線撮影装置。
【請求項2】
前記合成処理部は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記マーカ同士が重なり合うとともに、前記複数のX線画像の各々において検出された前記デバイス同士が重なり合うように、前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記検出処理部は、前記マーカの位置と前記デバイスの形状とを検出するように構成されており、
前記合成処理部は、検出された前記マーカの位置と検出された前記デバイスの形状とに基づいて、前記複数のX線画像の各々を変形させることによって、前記マーカ同士が重なり合うとともに前記デバイス同士が重なり合うように、前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記デバイスは、前記所定の対象物と一体的に前記被検体の体内に配置され、
前記検出処理部は、前記マーカと、前記被検体の体内において前記所定の対象物と一体的に形状が変化する前記デバイスとを検出するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記所定の対象物は、前記被検体の体内に留置されるステントを含み、
前記デバイスは、前記ステントを前記被検体に留置するために用いられるガイドワイヤを含み、
前記検出処理部は、前記ステントの位置を示すための前記マーカの位置と、前記ガイドワイヤの少なくとも一部の形状とを検出するように構成されており、
前記合成処理部は、検出された前記マーカの位置と検出された前記ガイドワイヤの少なくとも一部の形状とに基づいて前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記マーカは、前記ステントの位置を示すために、前記ステントの両端の各々に配置されており、
前記検出処理部は、前記ステントの両端に配置された前記マーカの位置を検出するとともに、前記ステントの一端に配置された前記マーカの位置と前記ステントの他端に配置された前記マーカの位置との間に位置する前記ガイドワイヤの形状を検出するように構成されている、請求項5に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記検出処理部は、前記マーカの位置と前記デバイスの形状とを検出するように構成されており、
前記合成処理部は、前記マーカ同士が、前記複数のX線画像の各々において検出された複数の前記マーカの位置に基づいて取得されたマーカ基準位置において重なり合うとともに、前記デバイスが、前記複数のX線画像の各々において検出された複数の前記デバイスの形状に基づいて取得された
前記デバイス基準形状と重なり合うように、前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記マーカ基準位置は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記マーカ同士の平均の位置であり、
前記合成処理部は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記マーカ同士が、前記マーカ基準位置において重なり合うとともに、前記複数のX線画像の各々において検出された前記デバイスが、前記デバイス基準形状と重なり合うように、前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、請求項7に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記合成処理部は、連続的に生成された所定の数の前記X線画像を重ね合わせることによって前記合成画像を生成するとともに、生成された複数の前記合成画像を連続的に表示させることによって前記合成画像を動画像として表示させるように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
画像制御部が、被検体を透過したX線を検出することにより生成され
たX線画像において、前記被検体の体内に留置される所定の対象物の位置を示すためのマーカと、前記所定の対象物とは別個に前記被検体の体内に配置されるデバイス
の形状との両方を検出するステップと、
前記画像制御部が、検出された前記マーカと検出された前記デバイス
の形状とに基づいて
、前記デバイス同士が重なり合うように複数の前記X線画像の各々を変形させるとともに、変形された前記複数の前記X線画像を重ね合わせることによって、合成画像を生成するステップと、を備え
、
前記合成画像を生成するステップは、前記画像制御部が、前記デバイスが前記複数のX線画像の各々において検出された複数の前記デバイスの形状に基づいて取得されたデバイス基準形状と重なり合うように、前記複数のX線画像の各々を変形させるステップを含み、
前記デバイス基準形状は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記デバイスの形状同士の平均の形状である、X線画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置およびX線画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の体内に挿入されたデバイスを含む領域を透視または連続撮影するX線透視撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載のX線透視撮影装置は、ステント留置を行う冠動脈インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)治療に用いられる。冠動脈インターベンション治療においては、冠動脈の狭窄部分にステントを配置する。具体的には、ステントをバルーンによって膨らませた状態で血管内に留置することによって、血管を内向から保持させる。このようにして、冠動脈を広げて血流を正常に保つ。また、冠動脈インターベンション治療においては、ステントおよびバルーンを血管内に挿入する際に、ステントの位置を視覚的に認識するためにX線撮影を行う。このステントの視認性を向上させるために、上記特許文献1に記載のX線透視撮影装置は、被検者の体内に挿入されたデバイス(ステント)を含む領域のX線画像を複数枚取得するとともに、ステント付近に設置されるマーカを検出する。そして、検出されたマーカが互いに重なるように、複数枚の画像を位置合わせして重ね合わせることにより、積算画像(合成画像)を作成する。そして、作成された積算画像からステント部分を検出することによって、ステント部分の拡大画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のX線透視撮影装置のように、ステントなどの被検体の体内に留置される所定の対象物の位置を示すマーカは、たとえば、所定の対象物の両端付近(一部)に設置されている。そして、マーカの位置に基づいて位置合わせを行うことによって、ステントなどの所定の対象物の位置を重ね合わせて積算画像(合成画像)を生成する。そのため、撮影されたX線画像の各々においてステントなどの所定の対象物の形状が異なる場合には、マーカの位置に基づいて位置合わせを行ったとしても、合成画像における所定の対象物がブレたように(ぼやけたように)表示される。そのため、複数のX線画像において所定の対象物の形状が異なる場合にも、積算画像(合成画像)における所定の対象物の視認性を向上させることが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数のX線画像において所定の対象物の形状が異なる場合にも、複数のX線画像を重ね合わせることによって生成された合成画像において、所定の対象物の視認性を向上することが可能なX線撮影装置およびX線画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるX線撮影装置は、被検体にX線を照射するX線管と、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、X線検出器から出力される検出信号に基づいて生成された複数のX線画像を重ね合わせることによって合成画像を生成する画像制御部と、を備え、画像制御部は、生成されたX線画像において、被検体の体内に留置される所定の対象物の位置を示すためのマーカと、所定の対象物とは別個に被検体の体内に配置されるデバイスの形状との両方を検出する検出処理部と、検出処理部によって検出されたマーカと検出されたデバイスの形状とに基づいて、デバイス同士が重なり合うように複数のX線画像の各々を変形させるとともに、変形された複数のX線画像を重ね合わせることによって、合成画像を生成する合成処理部と、を含み、合成処理部は、デバイスが、複数のX線画像の各々において検出された複数のデバイスの形状に基づいて取得されたデバイス基準形状と重なり合うように複数のX線画像の各々を変形させ、デバイス基準形状は、複数のX線画像の各々において検出されたデバイスの形状同士の平均の形状である。
【0008】
この発明の第2の局面におけるX線画像処理方法は、画像制御部が、被検体を透過したX線を検出することにより生成されたX線画像において、被検体の体内に留置される所定の対象物の位置を示すためのマーカと、所定の対象物とは別個に被検体の体内に配置されるデバイスの形状との両方を検出するステップと、画像制御部が、検出されたマーカと検出されたデバイスの形状とに基づいて、デバイス同士が重なり合うように複数のX線画像の各々を変形させるとともに、変形された複数のX線画像を重ね合わせることによって、合成画像を生成するステップと、を備え、合成画像を生成するステップは、画像制御部が、デバイスが複数のX線画像の各々において検出された複数のデバイスの形状に基づいて取得されたデバイス基準形状と重なり合うように、複数のX線画像の各々を変形させるステップを含み、デバイス基準形状は、複数のX線画像の各々において検出されたデバイスの形状同士の平均の形状である。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の局面におけるX線撮影装置、および、上記第2の局面におけるX線画像処理方法では、生成されたX線画像において、被検体の体内に留置される所定の対象物の位置を示すためのマーカと、所定の対象物とは別個に被検体の体内に配置されるデバイスとの両方を検出する。そして、検出されたマーカと検出されたデバイスとに基づいて複数のX線画像を重ね合わせることによって、合成画像を生成する。これにより、生成されたX線画像において、マーカを検出することによって、被検体の体内における所定の対象物の位置を取得することができる。また、生成されたX線画像において、被検体の体内に配置されるデバイスを検出することによって、生成されたX線画像の各々における被検体の体内の動きによるデバイスの位置および形状の変化を検出することができる。そのため、生成されたX線画像の各々において、被検体の体内の動きを間接的に取得することができるので、被検体の体内に留置されている所定の対象物の形状の変化を間接的に取得することができる。そして、本発明では、マーカとデバイスとの両方を検出することによって、被検体の体内において、所定の対象物のマーカとの相対位置および相対的な形状の変化を取得することができる。このため、複数のX線画像を重ね合わせる際に、複数のX線画像の各々に含まれる所定の対象物の位置および形状に基づいて、ブレが小さくなるように複数のX線画像を重ね合わせることができる。その結果、複数のX線画像の各々において所定の対象物の形状が異なる場合にも、複数のX線画像を重ね合わせることによって生成された合成画像において、所定の対象物の視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態によるX線撮影装置の構成を説明するための図である。
【
図2】一実施形態による治療具を説明するための図であって、(A)はバルーンを膨らませる前の図であり、(B)はバルーンを膨らませた後の図である。
【
図3】一実施形態によるX線画像の例を示すための図である。
【
図4】一実施形態によるX線撮影装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図5】一実施形態による制御部の機能的構成を説明するための図である。
【
図6】一実施形態によるマーカおよびガイドワイヤの検出について説明するための図である。
【
図7】一実施形態によるガイドワイヤの形状の検出について説明するための図である。
【
図8】一実施形態による合成画像の生成について説明するための図である。
【
図9】一実施形態によるマーカ基準位置について説明するための図である。
【
図10】一実施形態によるマーカ基準位置に基づくX線画像の変形について説明するための図である。
【
図11】一実施形態によるガイドワイヤ基準形状について説明するための図である。
【
図12】一実施形態によるガイドワイヤ基準形状に基づくX線画像の変形について説明するための図である。
【
図13】一実施形態による複数の合成画像の生成について説明するための図である。
【
図14】一実施形態によるX線画像処理方法を説明するための図(フローチャート)である。
【
図15】一実施形態の変形例によるガイドワイヤの位置の検出について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(X線撮影装置の全体構成)
図1~
図13を参照して、本発明の一実施形態によるX線撮影装置100について説明する。
【0013】
本実施形態によるX線撮影装置100は、
図1に示すように、体内に治療具200を挿入された被検体PにX線を照射する。そして、X線撮影装置100は、被検体Pを透過したX線を検出することによって、X線撮影を行う。そして、X線撮影装置100は、X線撮影を行うことによって生成されたX線画像A(
図3参照)に対して画像処理を行う。X線撮影装置100は、たとえば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)治療を行う際に、被検体Pの体内の様子を確認するための画像を生成する。経皮的冠動脈インターベンション治療は、心臓の冠動脈の狭窄および閉塞による疾患である狭心症や心筋梗塞などに対して、治療具200を用いて血管の狭窄および閉塞を解消する治療である。
【0014】
(治療具の説明)
経皮的冠動脈インターベンション治療では、
図2の(A)および(B)に示すように、冠動脈の狭窄を治療するために治療具200が用いられる。治療具200は、ステント201と、バルーン202と、マーカ203と、ガイドワイヤ204とを含む。なお、ステント201は、特許請求の範囲の「所定の対象物」の一例である。また、ガイドワイヤ204は、特許請求の範囲の「デバイス」の一例である。
【0015】
ステント201は、ステンレスなどの金属によって形成された細い網目構造を有するとともに筒状に形成されている。ステント201は、経皮的冠動脈インターベンション治療によって、被検体Pの体内に留置される。すなわち、ステント201は、被検体Pの冠動脈の狭窄部位を押し広げる(血管の狭窄を解消する)治療が行われた後に、押し広げられた狭窄部位に留置される。血管内に留置されたステント201は、冠動脈(血管)を内側から保持することによって、血管の狭窄(閉塞)が再び起こることを抑制する。また、
図3に示すように、ステント201は、X線を透過しやすく、X線画像Aに写りにくい。すなわち、X線画像Aにおいて、ステント201の視認性は低くなる。
【0016】
バルーン202は、バルーンカテーテルの先端部分に配置されているバルーン(風船)である。バルーン202には、ステント201が取り付けられている。そして、
図2の(B)に示すように、バルーン202は、被検体Pの血管内で膨らむことによって、狭窄部位を押し広げるように構成されている。バルーン202が膨らむことによって、バルーン202に取り付けられているステント201がバルーン202と一体的に拡張される。
【0017】
マーカ203は、バルーン202(バルーンカテーテル)に配置されている。マーカ203はX線透過性の低い(あるいは、不透過の)素材によって構成されている。マーカ203は、X線画像Aでの視認性が高い(
図3参照)。マーカ203は、経皮的冠動脈インターベンション治療を行う際にステント201の位置を確認するために配置されている。マーカ203は、たとえば、X線画像Aにおいてステント201の位置を示すために、ステント201の両端の各々に配置されている。
【0018】
ガイドワイヤ204は、ステント201を被検体Pの体内に留置するために用いられる。具体的には、ガイドワイヤ204は、ステント201が取り付けられたバルーン202(バルーンカテーテル)を被検体Pの血管(冠動脈)の狭窄部位に到達させるために用いられる。すなわち、ステント201およびバルーン202は、手首または太ももなどの血管(橈骨動脈または大腿動脈など)から冠動脈の狭窄部位まで挿入されたガイドワイヤ204を伝って、バルーン202を膨らませる位置(冠動脈の狭窄部位)まで到達させられる。また、ガイドワイヤ204は、マーカ203と同様にX線の透過性の低い(不透過の)素材によって構成されている。すなわち、X線画像Aにおいてガイドワイヤ204は視認性が高い(
図3参照)。また、ガイドワイヤ204は、人体の血管内に挿入可能なように柔軟性のある素材で構成されている。つまり、ガイドワイヤ204は、被検体Pの血管の形状に合わせて形状を変化させながら、被検体Pの体内(血管内)に挿入される。そして、ガイドワイヤ204は、被検体Pの体内においてステント201と一体的に形状が変化する。すなわち、ステント201およびバルーン202は、ガイドワイヤ204と一体的に形状を変形させながら、血管内の目的の位置(血管内の狭窄部位)まで到達させられるように構成されている。
【0019】
上記のように、経皮的冠動脈インターベンション治療において、治療具200は、血管内に挿入されたガイドワイヤ204に沿って、ステント201が配置されたバルーン202を狭窄部位に配置させるとともに、バルーン202をステント201と一体的に膨らませることによって血管の狭窄に対しての治療を行うように構成されている。
【0020】
(X線撮影装置の構成)
本実施形態におけるX線撮影装置100は、
図1および
図4に示すように、天板1、撮像部2、移動部3、表示部4、操作部5、制御部6、および、記憶部7を備える。なお、制御部6は、特許請求の範囲の「画像制御部」の一例である。
【0021】
天板1は、X線が照射される被検体Pが載置される。被検体Pは、天板1に載置された状態で、治療具200が挿入されるとともに、X線撮影が行われる。また、天板1は、図示しない天板移動部によって移動可能に構成されている。
【0022】
撮像部2は、被検体Pに対してX線を照射することによって、X線撮影を行う。撮像部2は、X線管21と、X線検出器22とを含む。X線管21は、電圧が印加されることによりX線を発生させる。そして、X線管21は、天板1に載置され治療具200が挿入された被検体Pに対してX線を照射する。X線検出器22は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)を有する。X線検出器22は、X線管21により照射され被検体Pを透過したX線を検出するように構成されている。また、X線検出器22は、検出したX線に基づいて検出信号を出力する。
【0023】
移動部3は、X線管21およびX線検出器22を移動可能に保持する。具体的には、移動部3は、天井Cに配置されており、X線管21とX線検出器22とを被検体Pが載置される天板1を挟んで対向させるように支持する。そして、移動部3は、撮像部2の被検体Pに対する位置および角度を変更可能に支持する。また、移動部3は、X線管21とX線検出器22との距離を変更可能に支持する。すなわち、移動部3は、被検体Pに対して、様々な位置および様々な角度からX線撮影を行うために、撮像部2を移動させる。
【0024】
表示部4は、たとえば、液晶ディスプレイなどのモニタである。そして、表示部4は、制御部6によって生成された画像(静止画像および動画像)を表示する。
【0025】
操作部5は、X線撮影装置100を操作するための入力操作を受け付けるように構成されている。具体的には、操作部5は、被検体Pに対してX線撮影を行う際に、照射するX線の量およびX線を照射する角度などを決定するための入力操作を受け付ける。また、操作部5は、制御部6による制御を実行するための入力操作を受け付ける。
【0026】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含むコンピュータである。制御部6は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより、X線撮影装置100の各部の制御と、X線画像Aを生成する制御と、生成されたX線画像Aに対する画像処理の制御とを行う制御部6として機能する。制御部6による制御の詳細については後述する。
【0027】
記憶部7は、たとえば、ハードディスクドライブなどの記憶装置により構成されている。記憶部7は、画像データ、撮影条件および各種の設定値を記憶するように構成されている。また、記憶部7は、制御部6を機能させるためのプログラムを記憶している。
【0028】
(制御部による制御について)
制御部6は、
図5に示すように、機能的な構成として、装置制御部61、画像生成部62、検出処理部63、および、合成処理部64を含む。すなわち、制御部6は、プログラムを実行することにより、装置制御部61、画像生成部62、検出処理部63、および、合成処理部64として機能する。
【0029】
装置制御部61は、X線撮影装置100の各部の制御を行う。たとえば、装置制御部61は、撮像部2を制御してX線撮影を行う。そして、X線検出器22によって出力された検出信号を取得する。また、装置制御部61は、移動部3を移動させる制御を行う。また、装置制御部61は、操作部5によって受け付けた入力操作に基づく操作信号を取得するともに、取得した操作信号に基づいてX線撮影装置100の各部の制御を行う。
【0030】
画像生成部62は、
図3に示すように、X線検出器22によって出力された検出信号に基づいてX線画像Aを生成する。また、画像生成部62は、X線検出器22によって出力された検出信号に基づいて、X線画像Aを動画像の形式によって生成する。すなわち、X線管21によって、被検体Pに対して、所定時間間隔において断続的に複数回X線が照射される。そして、X線検出器22によって、断続的に複数回照射されたX線が順次検出される。画像生成部62は、X線検出器22から順次出力される検出信号を画像化することにより、複数のX線画像Aを生成する。すなわち、画像生成部62によって、n枚のX線画像A(A1、A2、・・・、An)が連続的に生成される(nは整数)。
【0031】
検出処理部63は、
図6に示すように、画像生成部62によって生成されたX線画像Aにおいて、被検体Pの体内に留置されるステント201の位置を示すためのマーカ203と、ステント201とは別個に被検体Pの体内に配置されるガイドワイヤ204との両方を検出する。具体的には、検出処理部63は、ステント201の位置を示すためのマーカ203の位置と、ガイドワイヤ204の少なくとも一部の形状とを検出するように構成されている。
【0032】
たとえば、検出処理部63は、画像生成部62によって生成されたX線画像Aに対して、フィルタ処理を行う。そして、検出処理部63は、フィルタ処理が行われたX線画像Aにおいて、ステント201の両端に配置されたマーカ203の位置を検出する。そして、
図7に示すように、検出処理部63は、ステント201の一端に配置されたマーカ203の位置とステント201の他端に配置されたマーカ203の位置との間に位置するガイドワイヤ204の形状(ガイドワイヤ204の曲がり具合)を検出する。すなわち、2つのマーカ203の間において、ガイドワイヤ204の形状について特徴量を抽出することによって、X線画像Aにおけるガイドワイヤ204の形状を検出する。
【0033】
合成処理部64は、
図8に示すように、検出処理部63によって検出されたマーカ203と検出されたガイドワイヤ204とに基づいて、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成する。具体的には、合成処理部64は、検出されたマーカ203の位置とガイドワイヤ204の形状とに基づいて、複数のX線画像Aの各々を変形させることによって、マーカ203同士が重なり合うとともにガイドワイヤ204同士が重なり合うように、合成画像Dを生成する。
【0034】
また、合成処理部64は、マーカ203同士が、複数のX線画像Aの各々において検出された複数のマーカ203の位置に基づいて取得されたマーカ基準位置Mα(
図9および
図10参照)において重なり合うとともに、ガイドワイヤ204が、複数のX線画像Aの各々において検出された複数のガイドワイヤ204の形状に基づいて取得されたガイドワイヤ基準形状Gα(
図11および
図12参照)と重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている。なお、ガイドワイヤ基準形状Gαは、特許請求の範囲の「デバイス基準形状」の一例である。
【0035】
本実施形態では、マーカ基準位置Mαは、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ203同士の平均の位置であり、ガイドワイヤ基準形状Gαは、複数のX線画像Aの各々において検出されたガイドワイヤ204の形状同士の平均の形状である。すなわち、合成処理部64は、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ203の位置を示す座標を取得する。そして、複数のX線画像Aの各々におけるマーカ203の座標に基づいて、平均となる座標をマーカ基準位置Mαとして取得する。また、合成処理部64は、複数のX線画像Aの各々において検出されたガイドワイヤ204を1つの曲線として抽出する。そして、合成処理部64は、検出されたガイドワイヤ204の特徴量を抽出する。そして、合成処理部64は、抽出された特徴量の平均に基づいてガイドワイヤ基準形状Gαを取得する。
【0036】
図8に示すように、合成処理部64は、たとえば、8枚のX線画像A(A1、A2、・・・、A8)を合成することによってステント201が強調された画像である合成画像Dを生成する。8枚のX線画像A(A1、A2、・・・、A8)は、画像生成部62によって連続的に生成されたX線画像Aである。
【0037】
図9に示すように、合成処理部64は、8枚のX線画像A1~A8の各々において検出されたマーカ203の座標の平均の座標をマーカ基準位置Mαとして取得する。そして、合成処理部64は、
図10に示すように、8枚のX線画像Aの各々において、マーカ203がマーカ基準位置Mαと重なり合うように、8枚のX線画像Aの各々を変形させる。
【0038】
また、合成処理部64は、
図11に示すように、8枚のX線画像Aの各々において検出されたガイドワイヤ204の形状に基づいて抽出された特徴量から、8枚のX線画像Aにおけるガイドワイヤ204の平均の形状をガイドワイヤ基準形状Gαとして取得する。ガイドワイヤ基準形状Gαは、8枚のX線画像Aのガイドワイヤ204の各々について、抽出された特徴量の平均を算出することによって、取得された形状である。そして、合成処理部64は、
図12に示すように、8枚のX線画像Aの各々のガイドワイヤ204と、取得されたガイドワイヤ基準形状Gαとが重なり合うように、8枚のX線画像Aの各々を変形させる。
【0039】
このようにして、合成処理部64は、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ203同士が重なり合うとともに、複数のX線画像Aにおいて検出されたガイドワイヤ204同士が重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、ステント201が強調して表示されている合成画像Dを生成する。
【0040】
また、合成処理部64は、
図13に示すように、連続的に生成された複数のX線画像Aに基づいて、複数の合成画像D(D1、D2、D3、・・・)を生成する。合成処理部64は、たとえば、画像生成部62によって連続的に生成された8枚のX線画像A(A1~A8)を合成することによって、合成画像D1を生成する。そして、連続的に生成されたX線画像A2~A9を合成することによって、合成画像D2を生成する。同様に、合成処理部64は、連続的に生成されたX線画像An~An+7を合成することによって、合成画像Dnを生成する。このようにして、合成処理部64は、連続的に生成されたX線画像Aを順次変形させるとともに、合成画像D(D1、D2、・・・、Dn)を順次生成する。したがって、合成画像D1は、X線画像A1~A8の各々において検出されたマーカ203の位置およびガイドワイヤ204の形状に基づいて生成される。そして、合成画像D2は、X線画像A2~A9の各々において検出されたマーカ203の位置およびガイドワイヤ204の形状に基づいて生成される。同様に、合成画像Dnは、X線画像An~An+7の各々において検出されたマーカ203の位置およびガイドワイヤ204の形状に基づいて生成される。
【0041】
そして、合成処理部64は、複数の合成画像Dを生成するとともに、生成された複数の合成画像Dを用いて、動画像を生成する。具体的には、合成処理部64は、連続的に生成された所定の数のX線画像Aを重ね合わせることによって合成画像Dを生成するとともに、生成された複数の合成画像Dを連続的に表示部4に表示させることによって合成画像Dを動画像として表示させるように構成されている。すなわち、合成処理部64は、連続的に生成されたX線画像A(A1~An)を順次合成することによって、複数の合成画像D(D1~Dn-7)を生成するとともに、生成された合成画像D1~Dn-7に基づいて動画像を生成する。そして、合成処理部64は、生成された動画像を表示部4に表示させる。このようにして、合成処理部64は、ステント201が強調された画像を動画像として表示部4に表示させる。
【0042】
(X線画像処理方法について)
次に、
図14を参照して、本実施形態によるX線撮影装置100を用いたX線画像処理方法について説明する。
【0043】
まず、ステップ101において、体内に治療具200が挿入された被検体Pに対してX線が所定の間隔ごとに続けて照射される。そして、被検体Pを透過したX線を検出することにより連続的にX線画像A(A1、A2、・・・、An)が生成される。
【0044】
次に、ステップ102において、生成されたX線画像Aにおいて、被検体Pの体内に留置されるステント201の位置を示すためのマーカ203と、ステント201とは別個に被検体Pの体内に配置されるガイドワイヤ204との両方が検出される。
【0045】
次に、ステップ103において、連続的に生成された所定の数(たとえば、8枚)のX線画像A(An-7~An)の各々におけるマーカ203の位置とガイドワイヤ204の形状とに基づいて、マーカ基準位置Mαとガイドワイヤ基準形状Gαとが取得される。
【0046】
次に、ステップ104において、X線画像A(An-7~An)の各々において検出されたマーカ同士が、マーカ基準位置Mαにおいて重なり合うとともに、X線画像A(An-7~An)の各々において検出されたガイドワイヤ204が、ガイドワイヤ基準形状Gαと重なり合うように、連続的に生成されたX線画像A(An-7~An)の各々を変形させる。
【0047】
次に、ステップ105において、変形させたX線画像A(An-7~An)を重ね合わせることによって、合成画像Dn-7が生成される。
【0048】
次に、ステップ106において、生成された合成画像Dn-7が表示部4に表示される。
【0049】
次に、ステップ107において、撮影終了に関する入力操作が操作部5に対して行われたか否かによって、X線撮影が終了されたか否かが判断される。X線撮影が終了されていないと判断された場合には、ステップ108において、Nがインクリメント(n=n+1)されて、ステップ101に戻り、画像生成部62によって新たなX線画像Anが生成される。また、X線撮影が終了されたと判断された場合には、制御フローが終了される。
【0050】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0051】
本実施形態のX線撮影装置100では、上記のように、生成されたX線画像Aにおいて、被検体Pの体内に留置される所定の対象物(ステント201)の位置を示すためのマーカ203と、ステント201とは別個に被検体Pの体内に配置されるデバイス(ガイドワイヤ204)との両方を検出する。そして、検出されたマーカ203と検出されたガイドワイヤ204とに基づいて複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成する。これにより、生成されたX線画像Aにおいて、マーカ203を検出することによって、被検体Pの体内におけるステント201の位置を取得することができる。また、生成されたX線画像Aにおいて、被検体Pの体内に配置されるガイドワイヤ204を検出することによって、生成されたX線画像Aの各々における被検体Pの体内の動きによるガイドワイヤ204の位置および形状の変化を検出することができる。そのため、生成されたX線画像Aの各々において、被検体Pの体内の動きを間接的に取得することができるので、被検体Pの体内に留置されているステント201の形状の変化を間接的に取得することができる。そして、本実施形態では、マーカ203とガイドワイヤ204との両方を検出することによって、被検体Pの体内において、ステント201のマーカ203との相対位置および相対的な形状を取得することができる。このため、複数のX線画像Aを重ね合わせる際に、複数のX線画像Aの各々に含まれるステント201の位置および形状に基づいて、ブレが小さくなるように複数のX線画像Aを重ね合わせることができる。その結果、複数のX線画像Aの各々においてステント201の形状が異なる場合にも、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって生成された合成画像Dにおいて、ステント201の視認性を向上することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、更なる効果が得られる。
【0053】
すなわち、本実施形態では、上記のように、合成処理部64は、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ203同士が重なり合うとともに、複数のX線画像Aの各々において検出されたデバイス(ガイドワイヤ204)同士が重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている。このように構成すれば、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ203同士が重なり合うとともに、複数のX線画像Aの各々において検出されたガイドワイヤ204同士が重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることができる。そのため、複数のX線画像Aにおいてガイドワイヤ204の形状がそれぞれ異なる場合においても、ガイドワイヤ204が重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることができる。すなわち、複数のX線画像Aの各々における被検体Pの体内の位置および形状の変化に対応するように、複数のX線画像Aを重ね合わせることができる。その結果、複数のX線画像Aにおいて、被検体Pの体内の動き(心臓の拍動など)によってステント201の形状がそれぞれ異なる場合においても、複数のX線画像Aの各々におけるステント201が重なり合うように(ブレが小さくなるように)合成画像Dを生成することができるので、生成された合成画像Dにおいてステント201の視認性をより向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、検出処理部63は、マーカ203の位置とデバイス(ガイドワイヤ204)の形状とを検出するように構成されており、合成処理部64は、検出されたマーカ203の位置と検出されたガイドワイヤ204の形状とに基づいて、複数のX線画像Aの各々を変形させることによって、マーカ203同士が重なり合うとともにガイドワイヤ204同士が重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている。このように構成すれば、複数のX線画像Aにおいて検出されたマーカ203の位置に基づいて、マーカ203同士の位置が重なり合うようにするとともに、複数のX線画像Aにおいて検出されたガイドワイヤ204の形状に基づいて、ガイドワイヤ204同士の形状が重なり合うように、X線画像Aの各々を変形させることができる。そのため、ステント201の位置および形状が複数のX線画像Aの各々において異なる場合でも、複数のX線画像Aの各々をマーカ203およびガイドワイヤ204が重なり合うように変形することによって、ステント201が重なり合うように合成画像Dを生成することができる。その結果、合成画像Dを生成する際に、複数のX線画像Aの各々におけるステント201をより精度よく重ね合わせることができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、デバイス(ガイドワイヤ204)は、所定の対象物(ステント201)と一体的に被検体Pの体内に配置され、検出処理部63は、マーカ203と、被検体Pの体内においてステント201と一体的に形状が変化するガイドワイヤ204とを検出するように構成されている。このように構成すれば、X線画像Aにおいてステント201と一体的に形状が変化するガイドワイヤ204を検出するため、ガイドワイヤ204の形状を検出することによってステント201の形状を検出することができる。これにより、検出したガイドワイヤ204が重なり合うようにX線画像Aを重ね合わせることによって、ステント201が重なり合うようにX線画像Aを重ねあわせることができる。その結果、生成された合成画像Dにおいて、ステント201をより一層精度よく重ね合わせることができるので、ステント201をより明確に強調する(ブレを少なくする)ことができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、所定の対象物は、被検体Pの体内に留置されるステント201を含み、デバイスは、ステント201を被検体Pに留置するために用いられるガイドワイヤ204を含み、検出処理部63は、ステント201の位置を示すためのマーカ203の位置と、ガイドワイヤ204の少なくとも一部の形状とを検出するように構成されており、合成処理部64は、検出されたマーカ203の位置と検出されたガイドワイヤ204の少なくとも一部の形状とに基づいて複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている。ここで、ステント201は、ガイドワイヤ204と一体的に配置される。そのため、被検体Pの体内におけるガイドワイヤ204の形状の変化を検出することによって、被検体Pの体内におけるステント201の形状の変化を検出することができる。これを考慮して、本実施形態のように、合成処理部64を、検出されたマーカ203の位置と検出されたガイドワイヤ204の少なくとも一部の形状とに基づいて複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成すれば、検出されたマーカ203の位置と検出されたガイドワイヤ204の位置とに基づいて、複数のX線画像Aにおけるステント201を重ね合わせるように合成画像Dを生成することができる。その結果、合成画像Dにおいて、重ね合わせられたステント201が強調されて表示されるため、ステント201の視認性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、マーカ203は、ステント201の位置を示すために、ステント201の両端の各々に配置されており、検出処理部63は、ステント201の両端に配置されたマーカ203の位置を検出するとともに、ステント201の一端に配置されたマーカ203の位置とステント201の他端に配置されたマーカ203の位置との間に位置するガイドワイヤ204の形状を検出するように構成されている。このように構成すれば、ステント201の一端から他端までの間に位置するガイドワイヤ204の形状を検出することができる。そのため、ガイドワイヤ204全体のうちのステント201が配置されている部分の形状のみを検出することができる。その結果、複数のX線画像Aの各々において、複数のX線画像Aを重ね合わせる際にステント201の位置および形状を精度よく検出することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、検出処理部63は、マーカ203の位置とデバイス(ガイドワイヤ204)の形状とを検出するように構成されており、合成処理部64は、マーカ203同士が、複数のX線画像Aの各々において検出された複数のマーカ203の位置に基づいて取得されたマーカ基準位置Mαにおいて重なり合うとともに、ガイドワイヤ204が、複数のX線画像Aの各々において検出された複数のガイドワイヤ204の形状に基づいて取得されたデバイス基準形状(ガイドワイヤ基準形状Gα)と重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている。このように構成すれば、マーカ基準位置Mαにおいてマーカ203同士を重ね合わせるとともに、ガイドワイヤ基準形状Gαとガイドワイヤ204を重ね合わせることができる。そのため、ある一定のマーカ基準位置Mαと、ある一定のガイドワイヤ基準形状Gαとに基づいて、複数のX線画像Aを重ね合わせることができる。したがって、連続的に生成された複数のX線画像Aうちの所定の数(たとえば8枚)のX線画像Aを重ね合わせることによって、順次に複数の合成画像Dを生成する場合において、生成された複数の合成画像Dにおけるステント201の位置および形状が、マーカ基準位置Mαおよびガイドワイヤ基準形状Gαに基づいて、定まった位置および形状となるように複数の合成画像Dを生成することができる。その結果、重ね合わせる際の基準を設けない場合に比べて、生成された複数の合成画像Dの各々においてステント201の位置がそれぞれに異なることによって視認性が低下することを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、マーカ基準位置Mαは、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ同士の平均の位置であり、デバイス基準形状(ガイドワイヤ基準形状Gα)は、複数のX線画像Aの各々において検出されたデバイス(ガイドワイヤ204)の形状同士の平均の形状であり、合成処理部64は、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ203同士が、マーカ基準位置Mαにおいて重なり合うとともに、複数のX線画像Aの各々において検出されたガイドワイヤ204が、ガイドワイヤ基準形状Gαと重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている。ここで、所定の数のX線画像Aを重ね合わせることによって生成された複数の合成画像Dに基づいて動画像を生成する場合に、マーカ203同士が重なり合う位置がフレーム毎に変化することによって、動画像(合成画像D)におけるステント201の位置がフレーム毎に著しく変動する場合が考えられる。また、同様に、ガイドワイヤ204の基準となる形状がフレーム毎に(合成画像D毎に)変化する場合、動画像におけるステント201の形状がフレーム毎に(合成画像D毎に)著しく変形する場合が考えられる。これに対して、本実施形態では、マーカ基準位置Mαは、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ同士の平均の位置であり、デバイス基準形状(ガイドワイヤ基準形状Gα)は、複数のX線画像Aの各々において検出されたデバイス(ガイドワイヤ204)の形状同士の平均の形状である。このように構成すれば、複数の合成画像Dを用いて動画像を生成する場合においても、マーカ基準位置Mαおよびガイドワイヤ基準形状Gαがフレーム毎に著しく変化することがない。このため、複数の合成画像Dの各々において、ステント201の位置および形状が、著しく変化することを抑制することができる。その結果、複数の合成画像Dを用いて動画像を生成する際にステント201の位置および形状が著しく変化することによって視認性が低下することを効果的に抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、合成処理部64は、連続的に生成された所定の数のX線画像Aを重ね合わせることによって合成画像Dを生成するとともに、生成された複数の合成画像Dを連続的に表示させることによって合成画像Dを動画像として表示させるように構成されている。このように構成すれば、連続的に生成されたX線画像Aに基づいて、ステント201の視認性を向上させるように生成された合成画像Dを動画像として表示させることができる。そのため、X線画像Aをリアルタイムに順次に生成する場合に、ステント201の視認性を向上させた合成画像Dを同様にリアルタイムに動画像として表示させることができる。その結果、ステント201の位置および形状を視認しながら手技を行う場合に、ステント201をリアルタイムに明瞭に表示させることができる。
【0061】
(本実施形態によるX線画像処理方法の効果)
本実施形態のX線画像処理方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0062】
本実施形態のX線画像処理方法では、上記のように構成することにより、生成されたX線画像Aにおいて、被検体Pの体内に留置される所定の対象物(ステント201)の位置を示すためのマーカ203と、ステント201とは別個に被検体Pの体内に配置されるデバイス(ガイドワイヤ204)との両方を検出する。そして、検出されたマーカ203と検出されたガイドワイヤ204とに基づいて複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成する。これにより、生成されたX線画像Aにおいて、マーカ203を検出することによって、被検体Pの体内におけるステント201の位置を取得することができる。また、生成されたX線画像Aにおいて、被検体Pの体内に配置されるガイドワイヤ204を検出することによって、生成されたX線画像Aの各々における被検体Pの体内の動きによるガイドワイヤ204の位置および形状の変化を検出することができる。そのため、生成されたX線画像Aの各々において、被検体Pの体内の動きを間接的に取得することができるので、被検体Pの体内に留置されているステント201の形状の変化を間接的に取得することができる。そして、本実施形態では、マーカ203とガイドワイヤ204との両方を検出することによって、被検体Pの体内において、ステント201のマーカ203との相対位置および相対的な形状を取得することができる。このため、複数のX線画像Aを重ね合わせる際に、複数のX線画像Aの各々に含まれるステント201の位置および形状に基づいて、ブレが小さくなるように複数のX線画像Aを重ね合わせることができる。その結果、複数のX線画像Aの各々においてステント201の形状が異なる場合にも、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって生成された合成画像Dにおいて、ステント201の視認性を向上することができる。
【0063】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0064】
たとえば、上記実施形態では、合成処理部64は、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ203同士が重なり合うとともに、複数のX線画像Aの各々において検出されたデバイス(ガイドワイヤ204)同士が重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている例を示したが、本発明は、これに限られない。たとえば、ある一定のしきい値を設けて、検出されたマーカ203同士が、お互いにしきい値の距離よりも小さい値の距離に離間するように、複数のX線画像Aを重ね合わせるようにしてもよい。すなわち、マーカ203同士が正確に重なりあっていなくても、ある一定の値の距離よりも近づくように、複数のX線画像Aを重ね合わせるようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、検出処理部63は、マーカ203の位置とデバイス(ガイドワイヤ204)の形状とを検出するように構成されており、合成処理部64は、検出されたマーカ203の位置と検出されたガイドワイヤ204の形状とに基づいて、複数のX線画像Aの各々を変形させることによって、マーカ203同士が重なり合うとともにガイドワイヤ204同士が重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ガイドワイヤ204の形状を検出するのではなく、X線画像Aのうちのガイドワイヤ204の位置を示す座標を検出するようにしてもよい。すなわち、
図15に示すように、たとえば、ステント201の両端に配置されているマーカ203の座標と、ステント201の両端の間のうちガイドワイヤ204の位置する2点(座標G100、G200)を検出するようにしてもよい。そして検出したマーカ203の位置と検出したガイドワイヤ204の位置とが、複数のX線画像Aにおいて重なり合うように合成画像Dを生成するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、デバイス(ガイドワイヤ204)は、所定の対象物(ステント201)と一体的に被検体Pの体内に配置され、検出処理部63は、マーカ203と、被検体Pの体内においてステント201と一体的に形状が変化するガイドワイヤ204とを検出するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被検体Pの体内に配置されるデバイスは、ステント201と一体的に被検体Pの体内に配置されないデバイスでもよい。具体的には、ステント201とは別個に被検体Pの体内に留置されるステントでもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、所定の対象物は、被検体Pの体内に留置されるステント201を含み、デバイスは、ステント201を被検体Pに留置するために用いられるガイドワイヤ204を含み、検出処理部63は、ステント201の位置を示すためのマーカ203の位置と、ガイドワイヤ204の少なくとも一部の形状とを検出するように構成されており、合成処理部64は、検出されたマーカ203の位置と検出されたガイドワイヤ204の少なくとも一部の形状とに基づいて複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、所定の対象物として、ステント201以外のものを対象としてもよい。すなわち、所定の対象物は、被検体Pの血管内に留置されるに人工弁などを含んでいてもよい。また、デバイスとして、ガイドワイヤ204以外のものを用いてもよい。すなわち、デバイスは、バルーンカテーテルなどを含んでいてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、マーカ203は、ステント201の位置を示すために、ステント201の両端の各々に配置されており、検出処理部63は、ステント201の両端に配置されたマーカ203の位置を検出するとともに、ステント201の一端に配置されたマーカ203の位置とステント201の他端に配置されたマーカ203の位置との間に位置するガイドワイヤ204の形状を検出するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、マーカ203は、ステント201の両端に加えて、ステント201の中央に配置されていてもよい。また、マーカ203は、ステント201の両端の各々に複数ずつ配置されていてもよい。また、マーカ203は、ステント201の両端よりも外側に配置されていてもよい。また、検出処理部63は、X線画像Aのうちのガイドワイヤ204全体の形状を検出するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、検出処理部63は、マーカ203の位置とデバイス(ガイドワイヤ204)の形状とを検出するように構成されており、合成処理部64は、マーカ203同士が、複数のX線画像Aの各々において検出された複数のマーカ203の位置に基づいて取得されたマーカ基準位置Mαにおいて重なり合うとともに、ガイドワイヤ204が、複数のX線画像Aの各々において検出された複数のガイドワイヤ204の形状に基づいて取得されたデバイス基準形状(ガイドワイヤ基準形状Gα)と重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線画像Aにおける所定の座標をマーカ基準位置Mαとしてもよい。また、予め定められた形状をガイドワイヤ基準形状Gαとしてもよい。すなわち、ガイドワイヤ基準形状Gαを直線(長方形)として予め定めておくとともに、X線画像Aのうちの検出されたガイドワイヤ204を予め定められた直線(長方形)と重なり合うようにX線画像Aを変形するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、マーカ基準位置Mαは、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ同士の平均の位置であり、デバイス基準形状(ガイドワイヤ基準形状Gα)は、複数のX線画像Aの各々において検出されたデバイス(ガイドワイヤ204)の形状同士の平均の形状であり、合成処理部64は、複数のX線画像Aの各々において検出されたマーカ203同士が、マーカ基準位置Mαにおいて重なり合うとともに、複数のX線画像Aの各々において検出されたガイドワイヤ204が、ガイドワイヤ基準形状Gαと重なり合うように、複数のX線画像Aを重ね合わせることによって、合成画像Dを生成するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数のX線画像Aのうちの最新のX線画像Aにおけるマーカ203の位置をマーカ基準位置Mαとしてもよい。同様に、複数のX線画像Aのうち最新のX線画像Aにおけるガイドワイヤ204の形状をガイドワイヤ基準形状Gαとしてもよい。なお、最新のX線画像Aとは、合成画像Dを生成する際に用いた複数のX線画像Aのうちの、最も後に(最も新しく)生成されたX線画像Aを意味する。また、平均ではなく中央値に基づいてマーカ基準位置Mαおよびガイドワイヤ基準形状Gαを取得するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、合成処理部64は、連続的に生成された所定の数のX線画像Aを重ね合わせることによって合成画像Dを生成するとともに、生成された複数の合成画像Dを連続的に表示させることによって合成画像Dを動画像として表示させるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、連続的に生成された所定の数のX線画像Aを重ね合わせることによって生成された合成画像Dを静止画像として表示させるようにしてもよい。また、生成された複数のX線画像Aの全てを合成することによって、1つの合成画像Dを生成するとともに、静止画像として合成画像Dを表示部4に表示させてもよい。その場合、全てのX線画像Aにおけるマーカ203の位置座標の平均の座標をマーカ基準位置Mαとして取得するとともに、全てのX線画像Aにおけるデバイス(ガイドワイヤ204)の形状から特徴量を抽出することによって、抽出した特徴量の平均に基づいてデバイス基準形状(ガイドワイヤ基準形状Gα)を取得する。そして、取得したマーカ基準位置Mαとガイドワイヤ基準形状Gαに基づいて、全てのX線画像Aを合成する。
【0072】
また、上記実施形態では、制御部6は、装置の制御を行う装置制御部61と、X線画像Aの画像処理を行う画像制御部(検出処理部63および合成処理部64)を1つの制御部に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、装置制御部61と、画像制御部(検出処理部63および合成処理部64)を別個の制御部によって構成するようにしてもよい。また、制御部6とは別個の画像処理装置を設けることによって、画像処理装置によって画像処理を行うようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、複数の合成画像Dを用いて動画像を生成する際に、連続的に生成されたX線画像Aのうち、8枚のX線画像Aを合成することによって1つの合成画像Dを生成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、6枚のX線画像Aを用いて、1つの合成画像Dを生成するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100を冠動脈インターベンション治療に用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、下肢の閉塞性動脈硬化症の治療に用いるようにしてもよい。
【0075】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0076】
(項目1)
被検体にX線を照射するX線管と、
前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器から出力される検出信号に基づいて生成された複数のX線画像を重ね合わせることによって合成画像を生成する画像制御部と、を備え、
前記画像制御部は、生成された前記X線画像において、前記被検体の体内に留置される所定の対象物の位置を示すためのマーカと、前記所定の対象物とは別個に前記被検体の体内に配置されるデバイスとの両方を検出する検出処理部と、
前記検出処理部によって検出された前記マーカと検出された前記デバイスとに基づいて前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成する合成処理部と、を含む、X線撮影装置。
【0077】
(項目2)
前記合成処理部は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記マーカ同士が重なり合うとともに、前記複数のX線画像の各々において検出された前記デバイス同士が重なり合うように、前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0078】
(項目3)
前記検出処理部は、前記マーカの位置と前記デバイスの形状とを検出するように構成されており、
前記合成処理部は、検出された前記マーカの位置と検出された前記デバイスの形状とに基づいて、前記複数のX線画像の各々を変形させることによって、前記マーカ同士が重なり合うとともに前記デバイス同士が重なり合うように、前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、項目2に記載のX線撮影装置。
【0079】
(項目4)
前記デバイスは、前記所定の対象物と一体的に前記被検体の体内に配置され、
前記検出処理部は、前記マーカと、前記被検体の体内において前記所定の対象物と一体的に形状が変化する前記デバイスとを検出するように構成されている、項目1~3のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0080】
(項目5)
前記所定の対象物は、前記被検体の体内に留置されるステントを含み、
前記デバイスは、前記ステントを前記被検体に留置するために用いられるガイドワイヤを含み、
前記検出処理部は、前記ステントの位置を示すための前記マーカの位置と、前記ガイドワイヤの少なくとも一部の形状とを検出するように構成されており、
前記合成処理部は、検出された前記マーカの位置と検出された前記ガイドワイヤの少なくとも一部の形状とに基づいて前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、項目4に記載のX線撮影装置。
【0081】
(項目6)
前記マーカは、前記ステントの位置を示すために、前記ステントの両端の各々に配置されており、
前記検出処理部は、前記ステントの両端に配置された前記マーカの位置を検出するとともに、前記ステントの一端に配置された前記マーカの位置と前記ステントの他端に配置された前記マーカの位置との間に位置する前記ガイドワイヤの形状を検出するように構成されている、項目5に記載のX線撮影装置。
【0082】
(項目7)
前記検出処理部は、前記マーカの位置と前記デバイスの形状とを検出するように構成されており、
前記合成処理部は、前記マーカ同士が、前記複数のX線画像の各々において検出された複数の前記マーカの位置に基づいて取得されたマーカ基準位置において重なり合うとともに、前記デバイスが、前記複数のX線画像の各々において検出された複数の前記デバイスの形状に基づいて取得されたデバイス基準形状と重なり合うように、前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、項目1~6のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0083】
(項目8)
前記マーカ基準位置は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記マーカ同士の平均の位置であり、
前記デバイス基準形状は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記デバイスの形状同士の平均の形状であり、
前記合成処理部は、前記複数のX線画像の各々において検出された前記マーカ同士が、前記マーカ基準位置において重なり合うとともに、前記複数のX線画像の各々において検出された前記デバイスが、前記デバイス基準形状と重なり合うように、前記複数のX線画像を重ね合わせることによって、前記合成画像を生成するように構成されている、項目7に記載のX線撮影装置。
【0084】
(項目9)
前記合成処理部は、連続的に生成された所定の数の前記X線画像を重ね合わせることによって前記合成画像を生成するとともに、生成された複数の前記合成画像を連続的に表示させることによって前記合成画像を動画像として表示させるように構成されている、項目1~8のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0085】
(項目10)
被検体を透過したX線を検出することによりX線画像を生成するステップと、
生成された前記X線画像において、前記被検体の体内に留置される所定の対象物の位置を示すためのマーカと、前記所定の対象物とは別個に前記被検体の体内に配置されるデバイスとの両方を検出するステップと、
検出された前記マーカと検出された前記デバイスとに基づいて複数の前記X線画像を重ね合わせることによって、合成画像を生成するステップと、を備える、X線画像処理方法。
【符号の説明】
【0086】
6 制御部(画像制御部)
21 X線管
22 X線検出器
63 検出処理部
64 合成処理部
100 X線撮影装置
201 ステント(所定の対象物)
203 マーカ
204 ガイドワイヤ(デバイス)