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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020115561
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013178
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】牟田 正哉
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095891(JP,A)
【文献】特開2010-257575(JP,A)
【文献】特開2003-031294(JP,A)
【文献】特開2000-323226(JP,A)
【文献】米国特許第6179658(US,B1)
【文献】国際公開第96/029760(WO,A1)
【文献】特開2013-069550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール部材配置空間と、電線が接続されている端子が収容される端子収容空間と、が形成され、前記電線が前記端子収容空間から前記シール部材配置空間に引き出されているハウジングと、
弾性の素材からなり、前記シール部材配置空間に引き出される前記電線が挿通される第1の孔が形成され、前記シール部材配置空間に配置されることで、前記端子収容空間への液体の浸入を防止するシール部材と、
前記第1の孔から引き出される前記電線が挿通される第2の孔が形成され、前記シール部材を前記ハウジングに固定するホルダ部材と、
を備え、
前記第1の孔には、前記電線が引き出される開口が設けられ、
前記シール部材は、前記開口の縁の全周のうちの一部から突出して形成されると共に、前記第2の孔の内面と接触することにより、前記電線と前記開口との間の隙間を塞ぐように弾性変形可能に形成されている突起を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記突起は、円筒形状の少なくとも一部が切り欠かれている形状に形成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ホルダ部材には、前記第2の孔が複数形成され、
前記第2の孔の内面は、隣り合う前記第2の孔の内面に隣接して設けられている、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ホルダ部材には、前記第2の孔が複数形成され、
前記シール部材は、前記第2の孔の形成数と同数の前記突起を有し、
前記突起は、隣り合う前記突起の一部と連結して形成される連結部分を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記連結部分には、その一部が切り欠かれた第1切欠き部が形成されている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記シール部材は、互いに隣り合う二つの前記突起を少なくとも有し、
二つの前記突起のうちの一方には、その一部が切り欠かれた第2切欠き部が形成され、
二つの前記突起のうちの他方には、その一部が切り欠かれた第3切欠き部が形成され、
前記第2切欠き部及び前記第3切欠き部は、それらの間に前記連結部分が配置される位置に形成されている、請求項4又は5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記シール部材には、前記突起が設けられる第1対向面が形成され、
前記突起は、前記第1対向面から突出して形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記シール部材には、窪みが形成されている第1対向面が形成され、
前記突起の少なくとも一部は、前記窪みの内部に形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ホルダ部材には、
前記第1対向面に対向する第2対向面と、
前記突起と前記窪みとの間の間隙に嵌ると共に、前記第2対向面から突出して形成されている嵌合部と、
が形成されている、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第2の孔の内面の少なくとも一部は、前記突起の突出する突出方向に対して傾斜するテーパ面である、請求項1から9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電線が接続された接続端子が収容される端子収容孔が形成されたハウジングと、端子収容室への液体の浸入を防止するシール部材と、シール部材をハウジングに固定するホルダ部材とを備える防水コネクタが開示されている。シール部材は、ハウジングの端子収容孔が開口する面に取り付けられる。このシール部材には、ハウジングの端子収容孔に連通する端子挿通孔と、端子挿通孔の開口から突出する円筒状の筒状部とが形成されている。ホルダ部材には、シール部材の端子挿通孔を介して、ハウジングの端子収容孔に連通する端子挿通孔が形成されている。シール部材の筒状部は、弾性変形可能に設けられ、ホルダ部材の端子挿通孔に圧入されることで、端子挿通孔の内面に案内されて円筒形状の縮径方向に圧縮され、電線の外周面に当接する。この筒状部の当接により、ハウジングの端子収容孔と電線との間を防水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-031294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコネクタにおいて、筒状部は、シール部材の端子挿通孔の開口の縁の全周から突出して形成されている。このため、縮径方向の圧縮に伴って、筒状部の変形に偏りが生じ、筒状部と電線との間に空間が生じ易い。この結果、ハウジングの端子収容孔に水が浸入するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、ハウジングの端子収容空間への液体の浸入を抑制することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、
シール部材配置空間と、電線が接続されている端子が収容される端子収容空間と、が形成され、前記電線が前記端子収容空間から前記シール部材配置空間に引き出されているハウジングと、
弾性の素材からなり、前記シール部材配置空間に引き出される前記電線が挿通される第1の孔が形成され、前記シール部材配置空間に配置されることで、前記端子収容空間への液体の浸入を防止するシール部材と、
前記第1の孔から引き出される前記電線が挿通される第2の孔が形成され、前記シール部材を前記ハウジングに固定するホルダ部材と、
を備え、
前記第1の孔には、前記電線が引き出される開口が設けられ、
前記シール部材は、前記開口の縁の全周のうちの一部から突出して形成されると共に、前記第2の孔の内面と接触することにより、前記電線と前記開口との間の隙間を塞ぐように弾性変形可能に形成されている突起を有する。
【0007】
前記突起は、円筒形状の少なくとも一部が切り欠かれている形状に形成されていてもよい。
【0008】
前記ホルダ部材には、前記第2の孔が複数形成され、
前記第2の孔の内面は、隣り合う前記第2の孔の内面に隣接して設けられていてもよい。
【0009】
前記ホルダ部材には、前記第2の孔が複数形成され、
前記シール部材は、前記第2の孔の形成数と同数の前記突起を有し、
前記突起は、隣り合う前記突起の一部と連結して形成される連結部分を有していてもよい。
【0010】
前記連結部分には、その一部が切り欠かれた第1切欠き部が形成されていてもよい。
【0011】
前記シール部材は、互いに隣り合う二つの前記突起を少なくとも有し、
二つの前記突起のうちの一方には、その一部が切り欠かれた第2切欠き部が形成され、
二つの前記突起のうちの他方には、その一部が切り欠かれた第3切欠き部が形成され、
前記第2切欠き部及び前記第3切欠き部は、それらの間に前記連結部分が配置される位置に形成されていてもよい。
【0012】
前記シール部材には、前記突起が設けられる第1対向面が形成され、
前記突起は、前記第1対向面から突出して形成されていてもよい。
【0013】
前記シール部材には、窪みが形成されている第1対向面が形成され、
前記突起の少なくとも一部は、前記窪みの内部に形成されていてもよい。
【0014】
前記ホルダ部材には、
前記第1対向面に対向する第2対向面と、
前記突起と前記窪みとの間の間隙に嵌ると共に、前記第2対向面から突出して形成されている嵌合部と、
が形成されていてもよい。
【0015】
前記第2の孔の内面の少なくとも一部は、前記突起の突出する突出方向に対して傾斜するテーパ面であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、突起は、第2の孔の内面と接触することにより、弾性変形して、電線と開口との間の隙間を塞ぐことができる。これにより、コネクタは、ハウジングの端子収容空間への液体の浸入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1に係るコネクタユニットの斜視図である。
図2】実施の形態1に係るコネクタユニットの分解斜視図である。
図3】実施の形態1に係るコネクタの分解斜視図である。
図4】(A)は、実施の形態1に係るコネクタの背面図である。(B)は、(A)のB-B断面図である。
図5】実施の形態1に係るコネクタの分解断面図である。
図6】(A)は、実施の形態1に係るシール部材とホルダ部材の斜視図である。(B)は、実施の形態1に係るシール部材の突起の正面図である。
図7】(A)は、ハウジングにシール部材及びホルダ部材を取り付ける方法を説明するための断面図(その1)である。(B)は、ハウジングにシール部材及びホルダ部材を取り付ける方法を説明するための断面図(その2)である。(C)は、ハウジングにシール部材及びホルダ部材を取り付ける方法を説明するための断面図(その3)である。
図8】ハウジングにシール部材及びホルダ部材を取り付ける方法を説明するための斜視図である。
図9】比較例に係るシール部材とホルダ部材の斜視図である。
図10】(A)は、比較例に係るシール部材の突起の正面図である。(B)は、比較例に係るシール部材の突起の作用を説明するための正面図である。
図11】(A)は、実施の形態1に係るシール部材の突起の効果を説明するための正面図(その1)である。(B)は、実施の形態1に係るシール部材の突起の効果を説明するための正面図(その2)である。
図12】(A)は、実施の形態2に係るシール部材とホルダ部材の斜視図である。(B)は、実施の形態2に係るシール部材の突起の正面図である。
図13】(A)は、実施の形態3に係るシール部材とホルダ部材の斜視図である。(B)は、実施の形態3に係るシール部材の突起の正面図である。
図14】変形例1に係るシール部材の突起の正面図である。
図15】変形例2に係るシール部材の突起の正面図である。
図16】(A)は、実施の形態1に係るシール部材の突起の一部を断面とした斜視図である。(B)は、変形例3に係るシール部材の突起の一部を断面とした斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係るコネクタ1及びそれを備えるコネクタユニット200について、図を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、相互に直交するXYZ座標を設定し、適宜参照する。XYZ座標のY軸方向は、図1に示すように、コネクタユニット200において、相手コネクタ100に対してコネクタ1を嵌合させるために移動させる方向D1と同じ方向である。X軸方向及びZ軸方向は、Y軸方向に直交する方向である。
【0019】
コネクタユニット200は、図1及び図2に示すように、例えば、自動車部品としての車載用コネクタであり、電線51の端部と電線103の端部との接続に用いられる。コネクタユニット200は、コネクタ1と、コネクタ1に嵌合する相手コネクタ100とを備える。
【0020】
相手コネクタ100は、コネクタ1に嵌合する対象であると共に、雄端子を備える雄コネクタである。相手コネクタ100は、絶縁性の素材からなるハウジング101と、導電性の素材からなる複数の雄端子と、ハウジング101の+Z寄りの上面に設けられた係止部102とを備える。
【0021】
ハウジング101の内部には、端子収容空間が形成されている。ハウジング101の端子収容空間には、雄端子が収容されている。また、ハウジング101には、円筒状部104が+Y方向に突出して形成されている。円筒状部104の内部には、雄端子の先端が突出している。
【0022】
相手コネクタ100の雄端子は、導電性の板が折り曲げられることにより形成されている。導電性の素材としては、例えば、銅、銅合金等が用いられる。相手コネクタ100の雄端子には、電線103が接続されている。相手コネクタ100の雄端子に接続された電線103は、ハウジング101からコネクタ外部に引き出されている。
【0023】
係止部102は、相手コネクタ100とコネクタ1とが互いに嵌合すると、コネクタ1に設けられている被係止部10aに係止する。この係止により、相手コネクタ100は、コネクタ1から引抜き不可能に嵌合すると共に、相手コネクタ100の雄端子が、図3に示すコネクタ1の端子50に接触して電気的に接続される。
【0024】
コネクタ1は、図3及び図4に示すように、雌端子である端子50を備える雌コネクタである。コネクタ1は、ハウジング10と、シール部材20と、ホルダ部材30と、シール部材40と、複数の端子50と、リテーナ60とを備える。
【0025】
ハウジング10は、図4及び図5に示すように、上述の被係止部10aが形成されていると共に、Y軸方向を長手方向とする略直方体のケースである。ハウジング10は、例えば、樹脂などの絶縁性の素材からなる。このハウジング10の内部には、シール部材配置空間11と、端子収容空間12と、円筒状部配置空間13とが形成されている。また、ハウジング10には、図3に示すように、係止解除部14と、被係止部15、16とが形成されている。
【0026】
シール部材配置空間11は、図4及び図5に示すように、シール部材20が嵌め込まれて配置される空間である。シール部材配置空間11は、ハウジング10の後端寄り(+Y寄り)近傍に設けられ、+Y方向に開口して形成されている。
【0027】
端子収容空間12は、電線51が接続されている状態の端子50が収容される空間である。本実施の形態1においては、端子収容空間12は、+Y方向から視て(図4(A)参照)、2列2段の合計4つ形成されている。Z軸方向における上段の端子収容空間12及び下段の端子収容空間12は、上下対称に形成されている。また、4つの端子収容空間12は、端子50の形状に対応して、全て同サイズ及び同形状に形成されている。ただし、この端子収容空間12の構成、構造は一例であり、この例示に限られるものではない。端子収容空間12は、上下又は左右に非対称に形成されていてもよいし、複数の端子収容空間12が、異なるサイズ及び異なる形状にそれぞれ形成されていてもよい。また、端子収容空間12の形成数は、任意であり、4つに限られない。端子収容空間12の形成数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。この端子収容空間12は、シール部材配置空間11に連通されている。この連通により、端子収容空間12からは、電線51がシール部材配置空間11に引き出されている。
【0028】
円筒状部配置空間13は、相手コネクタ100のハウジング101の円筒状部104が嵌め込まれて配置される空間である。円筒状部配置空間13は、-Y方向に開口して形成されていると共に、端子収容空間12の外周に、複数の端子収容空間12を取り囲むように設けられている。
【0029】
係止解除部14は、コネクタ1のユーザが押圧操作することにより、相手コネクタ100の係止部102と、コネクタ1の被係止部10aとの係止を解除するために使用される。
【0030】
被係止部15は、図3に示すように、ハウジング10の-X側の側面及び+X側の側面に形成されている窪みである。
【0031】
被係止部16は、ハウジング10の-X側の側面及び+X側の側面に形成されている窪みである。被係止部16は、被係止部15よりも、相手コネクタの-Y寄りに形成されている。
【0032】
シール部材20は、図4及び図5に示すように、弾性の素材からなり、シール部材配置空間11の形状に対応して、シール部材配置空間11に嵌め込むことが可能な形状に形成されている。具体的には、シール部材20は、XZ平面に概ね平行な板状に形成されている。シール部材20には、シール部材配置空間11に嵌め込まれた時に、シール部材配置空間11の内面に対して、Z軸方向及びX軸方向に接触する凸部20aが形成されている。シール部材20は、シール部材配置空間11に配置されると、圧縮されて、その弾性力に基づいて、シール部材配置空間11の内面を押圧して、端子収容空間12への液体の浸入を防止する。シール部材20には、シール部材配置空間11に引き出された電線51が挿通される第1の孔21が形成されている。また、シール部材20は、+Y方向に突出する突起22を備える。
【0033】
第1の孔21は、Y軸方向に貫通して形成されている。第1の孔21の+Y寄りには、電線51が引き出される開口21aが設けられている。開口21aの縁の全周のうちの一部からは、突起22が突出して形成されている。本実施の形態1においては、第1の孔21は、4つ設けられている。
【0034】
突起22は、本実施の形態1においては、図6に示すように、X軸方向に隣り合う一組の2つの突起22-1、22-2と、X軸方向に隣り合うもう一組の2つの突起22-3、22-4との合計4つから構成されている。突起22-1~22-4は、いずれも、一部が切り欠かれている円筒形状に形成されている。
【0035】
突起22-1は、隣り合う突起22-2の一部と連結して形成される連結部分23を有する。同様に、突起22-3は、隣り合う突起22-4の一部と連結して形成される連結部分24を有する。これら連結部分23、24には、その一部が切り欠かれた第1切欠き部25-1、26-1が形成されている。
【0036】
また、一組の突起22-1、22-2のうちの一方の突起22-1には、その一部が切り欠かれた第2切欠き部25-2が形成されている。二つの突起22-1、22-2のうちの他方の突起22-2には、その一部が切り欠かれた第3切欠き部25-3が形成されている。第2切欠き部25-2及び第3切欠き部25-3は、それらの間に連結部分23が配置される位置に形成されている。具体的には、第2切欠き部25-2及び第3切欠き部25-3は、連結部分23を通過すると共にZ軸方向に平行な線A3に対して、互いに線対称(左右対称)となるように形成されている。また、本実施の形態1においては、第2切欠き部25-2、第1切欠き部25-1、及び第3切欠き部25-3は、X軸方向に平行な線A1に沿って、直線状に形成されている。したがって、突起22-1において、第2切欠き部25-2は、第1切欠き部25-1から最も遠い位置に形成されている。また、突起22-2において、第3切欠き部25-3は、第1切欠き部25-1から最も遠い位置に形成されている。
【0037】
同様に、一組の突起22-3、22-4のうちの一方の突起22-3には、その一部が切り欠かれた第2切欠き部26-2が形成されている。二つの突起22-3、22-4のうちの他方の突起22-4には、その一部が切り欠かれた第3切欠き部26-3が形成されている。第2切欠き部26-2及び第3切欠き部26-3は、それらの間に連結部分24が配置される位置に形成されている。具体的には、第2切欠き部26-2及び第3切欠き部26-3は、連結部分24を通過すると共にZ軸方向に平行な線A3に対して、互いに線対称(左右対称)となるように形成されている。また、第2切欠き部26-2、第1切欠き部26-1、及び第3切欠き部26-3は、X軸方向に平行な線A2に沿って、直線状に形成されている。したがって、突起22-3において、第2切欠き部26-2は、第1切欠き部26-1から最も遠い位置に形成されている。また、突起22-4において、第3切欠き部26-3は、第1切欠き部26-1から最も遠い位置に形成されている。
【0038】
ホルダ部材30は、図4及び図5に示すように、シール部材20をハウジング10に固定すると共に、シール部材20を覆うカバーである。ホルダ部材30は、例えば、ハウジング10と同様に、樹脂などの絶縁性の素材からなる。ホルダ部材30には、第1の孔21の開口21aから引き出された電線51が挿通される第2の孔31が形成されている。また、ホルダ部材30は、ホルダ部材本体32と、ホルダ部材本体32から突出する一対の係止用突出部33及び一対の案内用突出部34とを有する。
【0039】
第2の孔31は、Y軸方向に貫通して形成されている。電線51は、第2の孔31に挿通されることにより、コネクタ1の外部に引き出されている。第2の孔31の内面は、突起22-1~22-4が突出する突出方向であるY軸方向に対して傾斜すると共に-Y方向に径が拡大する(拡径する)ように傾斜するテーパ面31aから構成されている。なお、テーパ面31aは、第2の孔31の内面全体に設けられていてもよいし、テーパ面31aは、第2の孔31の内面の一部に設けられていてもよい。また、第2の孔31の内面は、複数の傾斜角度のテーパ面31aが組み合わされて構成されている面であってもよい。
【0040】
第2の孔31は、本実施の形態1においては、図6に示すように、X軸方向に隣り合う一組の2つの孔31-1、31-2と、X軸方向に隣り合うもう一組の2つの孔31-3、31-4との合計4つの孔から構成されている。
【0041】
孔31-1の内面は、その隣り合う孔31-2の内面と、隣接部分31bを介して、隣接して設けられている。同様に、孔31-3の内面は、その隣り合う孔31-4の内面と、隣接部分31cを介して、隣接して設けられている。
【0042】
ホルダ部材本体32は、XZ平面に概ね平行な板状に形成されている。ホルダ部材本体32には、シール部材20の+Y寄りの第1対向面20bに対向する第2対向面32aが設けられている。この第2対向面32aは、XZ平面に平行な面である。また、図4及び図6を参照するとわかるように、ホルダ部材30がハウジング10に取り付けられた際に、ホルダ部材本体32の第2対向面32aは、シール部材20の第1対向面20bに対して離間しつつ対向する。しかしながら、これに限られない。シール部材20の配置状態によっては、ホルダ部材本体32の第2対向面32aは、シール部材20の第1対向面20bに接触しつつ対向してもよい。また、ホルダ部材本体32には、Y軸方向に直交する方向に張り出したフランジ部35が形成されている。
【0043】
フランジ部35は、図4に示すように、Y軸方向にハウジング10の+Y寄りの端面の一部に当接する。これにより、フランジ部35は、+Y方向からの水W等の液体の端子収容空間12への浸入を防ぐ。
【0044】
係止用突出部33は、図6に示すように、その+X側及び-X側の両側から-Y方向に突出して形成されている。一対の係止用突出部33の互いに対向する内側の面には、被係止部15及び被係止部16のいずれか一方に嵌め込まれて係止する係止部33aが設けられている。
【0045】
案内用突出部34は、下寄り(-Z寄り)の角部分近傍から-Y方向に突出して形成されている。案内用突出部34の内側の面は、ユーザがシール部材20をハウジング10に固定する際に、ハウジング10の外面に摺動することで、ハウジング10へのホルダ部材30の取付けを容易にするための案内面として機能する。
【0046】
シール部材40は、図4及び図5に示すように、円筒状部配置空間13の最も奥の位置(+Y寄りの位置)に配置される。シール部材40は、弾性の素材からなる。シール部材40には、Y軸方向に直交する方向に張り出したフランジ部41が形成されている。シール部材40が円筒状部配置空間13に、円筒状部104が嵌め込まれて配置されることで、フランジ部41は、圧縮されて、その弾性力に基づいて、ハウジング10と円筒状部104との隙間を塞ぐ。これにより、シール部材40は、シール部材20と共に、端子収容空間12への液体の浸入を防止する。
【0047】
端子50は、図3に示すように、雌端子から構成され、例えば、銅、銅合金等の導電性の板材を曲げ加工することにより形成されている。端子50は、雄端子を受け入れる筒状の本体部50aと、圧着部50bと、本体部50aの中に配置される雄端子と接触する弾性板とを有する。
【0048】
本体部50aは、雄端子を受入れ可能な筒状の部材である。本体部50aは、圧着部50bと共に、一枚の導電性の板状部材が折り曲げられることにより形成されている。この本体部50aは略四角筒形状に形成されている。
【0049】
圧着部50bは、電線51と接続される部分である。圧着部50bは、導体かしめ部と被覆固定部とを有する。導体かしめ部は、かしめにより、電線51の導電性の芯線に圧着され、電気的に接続される。被覆固定部は、かしめにより、電線51の絶縁性の被覆部の端部に圧着され、電線51が端子50から引き抜かれるのを抑制する。
【0050】
次に、ハウジング10にシール部材20及びホルダ部材30を取り付ける方法について図7を用いて説明する。
【0051】
先ず、作業者は、図7(A)に示すように、ハウジング10、シール部材20、及びホルダ部材30を準備する。そして、作業者は、ハウジング10のシール部材配置空間11にシール部材20を嵌め込む。
【0052】
次に、作業者は、図7(B)に示すように、ハウジング10のシール部材配置空間11にホルダ部材30を嵌め込んでいく。やがて、図8に示すように、ホルダ部材30は、その係止用突出部33に設けられている係止部33aが、ハウジング10の被係止部15に係止される第1位置(仮係止位置、プリセット位置)に移動する。次に、図5及び図7(B)を参照するとわかるように、作業者は、電線51と接続された端子50を端子収容空間12に収容する。これにより、電線51は、シール部材20の第1の孔21に挿通される。
【0053】
作業者は、図7(C)に示すように、ハウジング10のシール部材配置空間11にホルダ部材30をさらに嵌め込んでいくと、ホルダ部材30の第2の孔31のテーパ面31aが突起22に接触する。テーパ面31aは、突起22の突出方向であるY軸方向に対して傾斜している。このため、突起22は、テーパ面31aに案内されて、矢印A4に示すように、突起22の円筒形状の径が縮む方向(縮径方向)に圧縮され、電線51の外周面に当接する。これにより、突起22が、電線51と開口21aとの間の隙間を塞ぐ。この結果、図4に示すように、端子収容空間12がシール部材20によって水密にされる。このとき、図8に示すように、ホルダ部材30は、その係止用突出部33に設けられている係止部33aが、ハウジング10の被係止部16に係止される第2位置(本係止位置)に移動する。
【0054】
以上により、ハウジング10へのシール部材20及びホルダ部材30の取付けが完了する。
【0055】
以上、説明したように、本実施の形態1に係るコネクタ1においては、図6に示すように、シール部材20の突起22は、第1の孔21の開口21aの縁の全周のうちの一部から突出して形成されている。このため、図7に示すように、ホルダ部材30の第2の孔31の内面と接触することにより、突起22は、変形の偏りが生じずに弾性変形することができる。これにより、コネクタ1は、電線51と開口21aとの間の隙間を塞ぐことができる。ひいては、コネクタ1は、図4及び図5に示すように、ハウジング10の端子収容空間12への液体の浸入を抑制することができる。
【0056】
例えば、図9及び図10(A)に示す比較例に係るコネクタ1Aにおいては、シール部材20の比較例に係る突起22は、第1の孔21の開口21aの縁の全周から突出して形成されている。したがって、比較例に係る突起22は、切り欠きが形成されていない円筒形状に形成されている。このため、図10(B)に示すように、ホルダ部材30の第2の孔31の内面と接触することにより、比較例に係る突起22は、縮径方向の圧縮力Pに伴って、真円形状を維持しつつ、突起22の径が小さくなるように変形しづらく、円筒形状の突起22の変形に偏りが生じる。これにより、弾性変形後の突起22と電線51との間に隙間Gが生じ易い。この結果、ハウジングの端子収容空間に水が浸入するおそれがある。
【0057】
これに対して、本実施の形態1に係るコネクタ1においては、図11(A)、(B)に示すように、シール部材20の突起22は、第1の孔21の開口21aの縁の全周のうちの一部から突出して形成されている。そして、本実施の形態1に係る突起22は、いずれも、一部が切り欠かれている円筒形状に形成されている。このため、ホルダ部材30の第2の孔31の内面と接触することにより、突起22は、縮径方向の圧縮力Pに伴って、第1、第2、第3切欠き部25-1~25-3が閉じていき、真円形状を概ね維持しつつ、突起22の径が小さくなるように変形することができる。これにより、円筒形状の突起22の変形に偏りが生じることを防ぐことができ、電線51と開口21aとの間の隙間を塞ぐことができる。ひいては、図4及び図5に示すように、コネクタ1は、ハウジング10の端子収容空間12への液体の浸入を抑制することができる。具体的には、コネクタ1は、車載用コネクタに課される高水圧試験において、+Y方向から所定の高圧の水Wが加えられても、コネクタ1は、ハウジング10の端子収容空間12への液体の浸入を抑制することができる。
【0058】
本実施の形態1に係るコネクタ1においては、図6に示すように、孔31-1、31-3の内面は、その隣り合う孔31-2、31-4の内面と、隣接部分31b、31cを介して、隣接して設けられている。このため、コネクタ1においては、孔31-1、31-3と、その隣り合う孔31-2、31-4との間隔を小さくすることができる。これにより、ホルダ部材30のX軸方向の大きさを小さくすることができる。ひいては、コネクタ1全体の小型化と、ハウジング10の端子収容空間12への液体の浸入を抑制する防水能力の向上との両方を実現することができる。
【0059】
本実施の形態1に係るコネクタ1においては、突起22-1、22-3は、隣り合う突起22-2、22-4の一部と連結して形成される連結部分23、24を有する。このため、コネクタ1においては、突起22-1、22-3と、その隣り合う突起22-2、22-4との間隔を小さくすることができる。これにより、シール部材20のX軸方向の大きさを小さくすることができる。ひいては、コネクタ1全体の小型化と、ハウジング10の端子収容空間12への液体の浸入を抑制する防水効果との両方を実現することができる。
【0060】
本実施の形態1においては、図11に示すように、第2切欠き部25-2及び第3切欠き部25-3は、それらの間に連結部分23が配置される位置に形成されている。そして、第2切欠き部25-2、第1切欠き部25-1、及び第3切欠き部25-3は、X軸方向に平行な線A1に沿って、直線状に形成されている。これにより、突起22-1、22-2において、第2切欠き部25-2は、第1切欠き部25-1を挟んで、第3切欠き部25-3から最も遠い位置に設けられている。このため、突起22は、ホルダ部材30の第2の孔31の内面と接触することにより、電線51との隙間を塞ぐ弾性変形を効率的に行うことができる。結果として、コネクタ1は、図4及び図5に示すように、ハウジング10の端子収容空間12への液体の浸入を抑制する効果を向上させることができる。
【0061】
実施の形態2.
上記実施の形態1に係るコネクタ1においては、図6(B)に示すように、第2切欠き部25-2、26-2、第1切欠き部25-1、26-1、及び第3切欠き部25-3、26-3は、X軸方向に平行な線A1、A2に沿って、直線状に形成されている。しかしながら、これに限られない。以下、第1~第3切欠き部25-1~25-3、26-1~26-3の有無や形成位置が異なる実施の形態2に係るコネクタ2について図12を用いて説明する。
【0062】
実施の形態2に係るコネクタ2において、突起22は、図12(A)、(B)に示すように、X軸方向に隣り合う一組の2つの突起22-1、22-2と、X軸方向に隣り合うもう一組の2つの突起22-3、22-4との合計4つから構成されている。
【0063】
突起22-1は、隣り合う突起22-2の一部と連結して形成される連結部分23を有する。同様に、突起22-3は、隣り合う突起22-4の一部と連結して形成される連結部分24を有する。連結部分23、24には、実施の形態1のものと異なり、第1切欠き部25-1、26-1は形成されていない。
【0064】
また、一組の突起22-1、22-2のうちの一方の突起22-1には、その一部が切り欠かれた第2切欠き部25-2が形成されている。二つの突起22-1、22-2のうちの他方の突起22-2には、その一部が切り欠かれた第3切欠き部25-3が形成されている。第2切欠き部25-2及び第3切欠き部25-3は、実施の形態1のものと形成位置に違いはあるものの、実施の形態1のものと同様に、それらの間に連結部分23が配置される位置に形成されている。実施の形態2においては、第2切欠き部25-2及び第3切欠き部25-3は、線A3と線A1とが交わる点P1を中心に互いに点対称となるように形成されている。
【0065】
同様に、一組の突起22-3、22-4のうちの一方の突起22-3には、その一部が切り欠かれた第2切欠き部26-2が形成されている。二つの突起22-3、22-4のうちの他方の突起22-4には、その一部が切り欠かれた第3切欠き部26-3が形成されている。第2切欠き部26-2及び第3切欠き部26-3は、それらの間に連結部分24が配置される位置に形成されている。実施の形態2においては、第2切欠き部26-2及び第3切欠き部26-3は、線A3と線A2とが交わる点P2を中心に互いに点対称となるように形成されている。
【0066】
本実施の形態2に係るコネクタ2は、第1切欠き部25-1、26-1が形成されていない点、第2、第3切欠き部25-2、25-3、26-2、26-3の形成位置が異なる点以外では、実施の形態1のものと同等の構造を備える。
【0067】
本実施の形態2に係るコネクタ2においても、実施の形態1のものと同等の効果を奏することができる。
【0068】
実施の形態3.
上記実施の形態1に係るコネクタ1においては、図6(B)に示すように、隣り合う突起22同士が連結して形成される連結部分23、24を有する。しかしながら、これに限られない。以下、実施の形態3に係るコネクタ2について図13及び図14を用いて説明する。
【0069】
実施の形態3に係るコネクタ3において、突起22は、図13に示すように、X軸方向に隣り合う一組の2つの突起22-1、22-2と、X軸方向に隣り合うもう一組の2つの突起22-3、22-4との合計4つから構成されている。
【0070】
突起22-1は、隣り合う突起22-2の一部と連結して形成される連結部分23を有する。同様に、突起22-3は、隣り合う突起22-4の一部と連結して形成される連結部分24を有する。連結部分23、24には、実施の形態1のものと異なり、第1切欠き部25-1、26-1は形成されていない。
【0071】
また、一組の突起22-1、22-2のうちの一方の突起22-1には、その一部が切り欠かれた第2切欠き部25-2が形成されている。二つの突起22-1、22-2のうちの他方の突起22-2には、その一部が切り欠かれた第3切欠き部25-3が形成されている。第2切欠き部25-2及び第3切欠き部25-3は、それらの間に連結部分23が配置される位置に形成されている。具体的には、第2切欠き部25-2及び第3切欠き部25-3は、線A3に対して、互いに線対称(左右対称)となるように形成されている。また、本実施の形態1においては、第2切欠き部25-2、連結部分23、及び第3切欠き部25-3は、線A1に沿って、直線状に形成されている。
【0072】
同様に、一組の突起22-3、22-4のうちの一方の突起22-3には、その一部が切り欠かれた第2切欠き部26-2が形成されている。二つの突起22-3、22-4のうちの他方の突起22-4には、その一部が切り欠かれた第3切欠き部26-3が形成されている。第2切欠き部26-2及び第3切欠き部26-3は、それらの間に連結部分24が配置される位置に形成されている。具体的には、第2切欠き部26-2及び第3切欠き部26-3は、線A3に対して、互いに線対称(左右対称)となるように形成されている。また、第2切欠き部26-2、連結部分24、及び第3切欠き部26-3は、線A2に沿って、直線状に形成されている。
【0073】
シール部材20の第1対向面20bには、窪み27が形成されている。
【0074】
窪み27は、突起22の形成数に対応して4つ形成されている。本実施の形態3においては、突起22は、この窪み27の内部に形成されている。なお、突起22は、第1対向面20bから突出しないように、突起22全体が窪み27の内部に収納されて形成されていてもよいし、その一部が窪み27の内部に形成されていてもよい。突起22が窪み27の内部に形成されていることで、Y軸方向に直交する方向において、窪み27と突起22との間には所定の間隙が形成される。
【0075】
ホルダ部材30には、突起22と窪み27との間の間隙に嵌ると共に、第2対向面32aから突出して形成されている嵌合部36が形成されている。
【0076】
嵌合部36は、図13(A)、(B)に示すように、実施の形態1の突起22と同等の円筒形状に形成されている。嵌合部36は、X軸方向に隣り合う一組の2つの嵌合部36-1、36-2と、X軸方向に隣り合うもう一組の2つの嵌合部36-3、36-4との合計4つから構成されている。また、嵌合部36-1~36-4には、第2の孔31が、ホルダ部材本体32からそのまま貫通して設けられている。嵌合部36-1~36-4の内側の面、すなわち、この第2の孔31の-Y寄りの開口近傍の内面は、嵌合部36-1~36-4が突出する突出方向であるY軸方向に対して傾斜すると共に-Y方向に拡径するように傾斜するテーパ面31aから構成されている。なお、テーパ面31aは、第2の孔31の内面全体に設けられていてもよいし、第2の孔31の内面の一部に設けられていてもよい。また、第2の孔31の内面は、複数の傾斜角度のテーパ面31aが組み合わされて構成されている面であってもよい。嵌合部36-1~36-4は、いずれも、円筒形状の一部が切り欠かれている形状に形成されている。
【0077】
嵌合部36-1は、隣り合う嵌合部36-2の一部と連結して形成される連結部分を有する。同様に、嵌合部36-3は、隣り合う嵌合部36-4の一部と連結して形成される連結部分を有する。これら連結部分には、その一部が切り欠かれた切欠き部が形成されている。切欠き部には、突起22-1、22-2の連結部分23、及び突起22-3、22-4の連結部分24が嵌る。
【0078】
また、一組の嵌合部36-1、36-2のうちの一方の嵌合部36-1には、その一部が切り欠かれた一方の切欠き部が形成されている。二つの嵌合部36-1、36-2のうちの他方の嵌合部36-2には、その一部が切り欠かれた他方の切欠き部が形成されている。一方の切欠き部及び他方の切欠き部は、それらの間に連結部分が配置される位置に形成されている。また、一方の切欠き部、連結部分の切欠き部、及び他方の切欠き部は、X軸方向に沿って、直線状に形成されている。
【0079】
同様に、一組の嵌合部36-3、36-4のうちの一方の嵌合部36-3には、その一部が切り欠かれた一方の切欠き部が形成されている。二つの嵌合部36-3、36-4のうちの他方の嵌合部36-4には、その一部が切り欠かれた他方の切欠き部が形成されている。一方の切欠き部及び他方の切欠き部は、それらの間に連結部分が配置される位置に形成されている。また、一方の切欠き部、連結部分の切欠き部、及び他方の切欠き部は、X軸方向に沿って、直線状に形成されている。
【0080】
本実施の形態3に係るコネクタ3は、第1切欠き部25-1、26-1が形成されていない点、シール部材20の第1対向面20bに窪み27が形成されている点、ホルダ部材30に嵌合部36が形成されている点以外では、実施の形態1のものと同等の構造を備える。
【0081】
本実施の形態3に係るコネクタ3においても、実施の形態1のものと同等の効果を奏することができる。
【0082】
本実施の形態3において、嵌合部36-1~36-4は、いずれも、円筒形状の一部が切り欠かれている形状に形成されている。しかしながら、これに限られない。嵌合部36-1~36-4は、切り欠きを有さない円筒形状に形成されていてもよい。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0084】
変形例1.
例えば、本実施の形態においては、図6、12、13に示すように、突起22は、X軸方向に隣り合う突起22-1、22-2を2つ一組とするものを有している。しかしながら、これに限られない。図14に示す変形例1に係るコネクタ4のように、突起22は、X軸方向に隣り合う突起22-1、22-2、22-5を3つ一組とするものを有していてもよい。この場合、突起22-2は、連結部分23に加えて、隣り合う突起22-5の一部と連結して形成される連結部分28を有する。突起22-2に形成されている第3切欠き部25-3は、この連結部分28に設けられる。また、この突起22-5には、X軸方向に平行な線A1に沿って、第1~第3切欠き部25-1~25-3と共に直線状に設けられる第4切欠き部25-4が形成される。
【0085】
変形例1においては、突起22は、X軸方向に隣り合う突起22-1、22-2、22-5を3つ一組とするものを有している。しかしながら、これに限られない。突起22は、X軸方向に隣り合う4つ以上の突起を一組としたものを有していてもよい。
【0086】
なお、変形例1においては、X軸方向に隣り合う突起22-1、22-2を含むものを3つ以上一組としてもよい旨を例に説明した。これと同様に、突起22-3、22-4においても、X軸方向に隣り合う突起を3つ以上一組としてもよい。
【0087】
変形例2.
また、本実施の形態1においては、一組の突起22-1、22-2のうちの一方の突起22-1には、第2切欠き部25-2が一つ形成され、他方の突起22-2には、第3切欠き部25-3が一つ形成されている。しかしながら、これに限られない。図15に示す変形例2に係るコネクタ5のように、第2切欠き部25-2及び第3切欠き部25-3は二つ以上形成されていてもよい。なお、電線51との隙間を塞ぐための弾性変形を効率的に行う観点から、二つの第2切欠き部25-2及び第1切欠き部25-1は、突起22-1の円周に沿って等間隔に形成されていることが好ましい。同様に、二つの第3切欠き部25-3及び第1切欠き部25-1も、突起22-2の円周に沿って等間隔に形成されていることが好ましい。
【0088】
変形例3.
また、本実施の形態においては、図16(A)に示すように、第1~第3切欠き部25-1~25-3は、突起22の先端から第1対向面20bまで切り欠かれている。このため、第1の孔21の開口21aは、シール部材20の+Y寄りの第1対向面20bに形成される。しかしながら、これに限られない。例えば、図16(B)に示す変形例3のコネクタ6のように、第1~第3切欠き部25-1~25-3は、突起22の先端から第1対向面20bにまで切り欠かれていなくてもよい。この場合、第1の孔21の開口21aは、シール部材20の第1対向面20bから突出方向の上寄り(+Y寄り)にオフセットされた位置に形成される。
【0089】
その他の変形例
また、本実施の形態1~3及び変形例1~3では、突起22を有するシール部材20は、雌コネクタであるコネクタ1~6に適用されている。しかしながら、これに限られない。突起22を有するシール部材20は、雄コネクタ、すなわち、相手コネクタ100に適用されてもよい。この場合、例えば、突起22を有するシール部材20が適用された相手コネクタ100は、中継雄コネクタタイプとして用いられる。
【0090】
また、本実施の形態1~3及び変形例1~3では、突起22を有するシール部材20を備えるコネクタ1~6は、雌コネクタとして例示されている。しかしながら、コネクタ1~6は、雄コネクタであってもよい。
【0091】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0092】
1,1A,2,3,4,5,6:コネクタ、10:ハウジング、10a:被係止部、11:シール部材配置空間、12:端子収容空間、13:円筒状部配置空間、14:係止解除部、15,16:被係止部、20:シール部材、20a:凸部、20b:第1対向面、21:第1の孔、21a:開口、22,22-1,22-2,22-3,22-4,22-5:突起、23,24,28:連結部分、25-1,26-1:第1切欠き部、25-2,26-2:第2切欠き部、25-3,26-3:第3切欠き部、25-4:第4切欠き部、27:窪み、30:ホルダ部材、31:第2の孔、31-1,31-2,31-3,31-4:孔、31a:テーパ面、31b,31c:隣接部分、32:ホルダ部材本体、32a:第2対向面、33:係止用突出部、33a:係止部、34:案内用突出部、35:フランジ部、36,36-1,36-2,36-3,36-4:嵌合部、40:シール部材、41:フランジ部、50:端子、50a:本体部、50b:圧着部、51:電線、60:リテーナ、100:相手コネクタ、101:ハウジング、102:係止部、103:電線、104:円筒状部、200:コネクタユニット、A1,A2,A3:線、A4:矢印、D1:方向、G:隙間、P:圧縮力、W:水、P1,P2:点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16