(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】個人配送助け合い装置、および個人配送助け合いサービスのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20231226BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231226BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020153991
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】山方 敏裕
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117586(JP,A)
【文献】特開2020-135696(JP,A)
【文献】特開2010-120413(JP,A)
【文献】特開2009-211476(JP,A)
【文献】特開2009-230737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0197470(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗と前記店舗のネットショッピングをした利用者との間で車所有者の車(11)を共用して、前記利用者が前記店舗で購入した商品を配送する個人配送助け合い装置であって、
前記車を用いて前記店舗へ出かける予定を含んだ前記車所有者の行動計画を、前記利用者によって閲覧可能な状態で登録する登録部(21)と、
前記行動計画を閲覧した前記利用者から、購入した前記商品の配送のために前記車の共用申し込みを受け付ける受付部(22)と、
前記店舗から帰宅した前記車から前記店舗にて搬入された前記商品の取り出しを可能とするために、前記車に事前に準備された少なくとも一つの電子錠を解錠する電子キーを、前記利用者の所有する携帯端末部(31)に発行するための発行処理を行う処理部(23)と、を備える個人配送助け合い装置。
【請求項2】
前記車には、前記車のトランクを施錠するトランク用電子錠と、前記トランク内に配置された前記商品の収容用のボックス(24a、24b、24c)を施錠するボックス用電子錠とが、前記電子錠として設けられており、
前記処理部は、
前記車所有者の操作部(13)に対して、前記トランク用電子錠を解錠するためのトランク用電子キーを前記携帯端末部に発行させる第1発行処理と、
前記ボックス用電子錠を解錠するためのボックス用電子キーを前記携帯端末部に発行する第2発行処理と、を行う請求項1に記載の個人配送助け合い装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記店舗にて前記商品を前記トランク内の前記ボックスに搬入可能とするため、前記トランク用電子キーおよび前記ボックス用電子キーを前記店舗に紐付く店舗受付部(41)に付与させる処理の実施を、前記携帯端末部に指示する請求項2に記載の個人配送助け合い装置。
【請求項4】
前記店舗受付部は、前記操作部に対して、前記行動計画に基づく前記車を停めるための専用の駐車場(42)の位置情報を通知する請求項3に記載の個人配送助け合い装置。
【請求項5】
前記行動計画は、日時、出発時刻、目的地、滞在時間、帰宅時刻、前記車のナンバー、および保管場所を含む請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の個人配送助け合い装置。
【請求項6】
前記トランク用電子キー、および前記ボックス用電子キーは、前記行動計画に沿った所定の日時、時間帯のみ有効となる請求項2に記載の個人配送助け合い装置。
【請求項7】
前記トランク用電子キーは、前記トランク用電子錠のみの解錠が可能に設定され、
前記ボックス用電子キーは、前記ボックス用電子錠のみの解錠が可能に設定された請求項2に記載の個人配送助け合い装置。
【請求項8】
店舗と前記店舗のネットショッピングをした利用者との間で車所有者の車(11)を共用して、前記利用者が前記店舗で購入した商品を配送する個人配送助け合いサービスのためのプログラムであって、
前記車を用いて前記店舗へ出かける予定を含んだ前記車所有者の行動計画を、前記利用者によって閲覧可能な状態で登録する第1処理(S1)と、
前記行動計画を閲覧した前記利用者から、購入した前記商品の配送のために前記車の共用申し込みを受け付ける第2処理(S2)と、
前記店舗から帰宅した前記車から前記店舗にて搬入された前記商品の取り出しを可能とするために、前記車に事前に準備された少なくとも一つの電子錠を解錠する電子キーを、前記利用者の所有する携帯端末部(31)に発行するための第3処理(S3)と、をコンピュータに実行させる処理に含む個人配送助け合いサービスのためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットショッピングした商品を、車所有者の車を共用して配送可能とする個人配送助け合い装置、および個人配送助け合いサービスのためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人と物の移動支援装置が記載されている。特許文献1の移動支援装置では、インターネットを介して、人や物の移動に関するスケジュールや要望を構築する。そして、最適化アルゴリズムで複数利用者の移動スケジュールを適合させることにより、複数の利用者が予定を合わせて人や物の移動を可能とする効率的な移動スケジュールを自動生成する。これにより、日常生活必需活動を一人で行うことが困難な交通弱者の地域住民同士での共助を容易に可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、「人と物の移動」と言いつつも、物の移動に関しては、「買い物」の文言の記載、あるいは「配送、配達」の文言の記載があるのみで、物の配送要領に関する具体的な説明は一切ない。
【0005】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、例えば、ネットショッピングをした商品を、車所有者の車を共用して効果的に配送できる個人配送助け合い装置、および個人配送助け合いサービスのためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
第1の開示では、店舗と店舗のネットショッピングをした利用者との間で車所有者の車(11)を共用して、利用者が店舗で購入した商品を配送する個人配送助け合い装置であって、
車を用いて店舗へ出かける予定を含んだ車所有者の行動計画を、利用者によって閲覧可能な状態で登録する登録部(21)と、
行動計画を閲覧した利用者から、購入した商品の配送のために車の共用申し込みを受け付ける受付部(22)と、
店舗から帰宅した車から店舗にて搬入された商品の取り出しを可能とするために、車に事前に準備された少なくとも一つの電子錠を解錠する電子キーを、利用者の所有する携帯端末部(31)に発行するための発行処理を行う処理部(23)と、を備えることを特徴としている。
【0008】
第1の開示によれば、登録部によって、車を用いて店舗へ出かける予定を含んだ車所有者の行動計画が登録され、行動計画は利用者に閲覧可能となる。また、受付部によって、行動計画を閲覧した利用者から、店舗で購入した商品の配送のために、車の共用の申し込みが受け付けされる。そして、処理部によって、車に事前に準備された少なくとも一つの電子錠を解錠する電子キーが、利用者の所有する携帯端末部に発行処理される。そして、利用者は、店舗にて車に搬入された商品を、電子キーを用いて、店舗から帰宅した車から取り出すことができる。
【0009】
このように、ネットショッピングをした商品を、車所有者の車を共用して効果的に配送することが可能となる。
【0010】
第2の開示では、店舗と店舗のネットショッピングをした利用者との間で車所有者の車(11)を共用して、利用者が店舗で購入した商品を配送する個人配送助け合いサービスのためのプログラムであって、
車を用いて店舗へ出かける予定を含んだ車所有者の行動計画を、利用者によって閲覧可能な状態で登録する第1処理(S1)と、
行動計画を閲覧した利用者から、購入した商品の配送のために車の共用申し込みを受け付ける第2処理(S2)と、
店舗から帰宅した車から店舗にて搬入された商品の取り出しを可能とするために、車に事前に準備された少なくとも一つの電子錠を解錠する電子キーを、利用者の所有する携帯端末部(31)に発行するための第3処理(S3)と、をコンピュータに実行させる処理に含むことを特徴としている。
【0011】
第2の開示によれば、第1処理によって、車を用いて店舗へ出かける予定を含んだ車所有者の行動計画が登録され、行動計画は利用者に閲覧可能となる。また、第2処理によって、行動計画を閲覧した利用者から、店舗で購入した商品の配送のために、車の共用の申し込みが受け付けされる。そして、第3処理によって、車に事前に準備された少なくとも一つの電子錠を解錠する電子キーが、利用者の所有する携帯端末部に発行処理される。そして、利用者は、店舗にて車に搬入された商品を、電子キーを用いて、店舗から帰宅した車から取り出すことができる。
【0012】
このように、ネットショッピングをした商品を、車所有者の車を共用して効果的に配送することが可能となる。
【0013】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】個人配送助け合い装置における車、各種情報、商品等の流れを示す説明図である。
【
図2】車のトランク内に設けられたボックスを示す説明図である。
【
図3】個人配送助け合い装置が実行する制御内容を示すフローチャート(各種処理実行のためのプログラム)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態の個人配送助け合い装置20について、
図1~
図3を用いて説明する。
図1、
図2に示すように、個人配送助け合い装置20は、車所有者の所有する車11を、利用者が店舗で購入した商品の配送用として、共用可能とする個人配送助け合いサービスを行う装置となっている。個人配送助け合い装置20は、サービサーに設けられている。サービサーは、例えば、地域の自治体あるいは企業等である。尚、サービサーは、車所有者自身となる場合もある。
【0017】
個人配送助け合い装置20は、車所有者の操作部13と、車11の利用を希望する利用者の携帯端末部31と、互いにインターネットによって接続可能となっている。また、操作部13、携帯端末部31、および店舗における店舗受付部41は、互いにインターネットによって接続可能となっている。個人配送助け合い装置20は、操作部13、携帯端末部31、および店舗受付部41との関わりをもって、個人配送助け合いのサービスを実施するようになっている。
【0018】
車11は、通常は、車所有者の自宅駐車場に駐車(保管)され、車所有者によって使用される。車11のトランク12は、トランク用電子錠(少なくとも一つの電子錠)によって、施錠されるようになっている。トランク用電子錠を解錠するためのトランク用電子キーは、車所有者が保有している。
【0019】
トランク用電子キーは、例えば、認証方式(リモコン型)やパスワード方式(暗証番号型)のもの等が使用される。認証方式の場合、トランク用電子錠に設けられた受信部に、トランク用電子キー(利用者の携帯端末部31)から認証IDが送信されて、この認証IDが正しい認証IDであると照合されると、トランク用電子錠が解錠される。また、パスワード方式の場合、トランク用電子錠に対して、予め設定されたパスワードが入力されると、トランク用電子錠が解錠される。
【0020】
トランク用電子キーは、車所有者の行動計画に沿った所定の日時、および時間帯のみ有効となる。また、トランク用電子キーは、トランク12のみの解錠が可能であり、トランク12以外のドア等の解錠は不可能な電子キーとなっている。尚、トランク用電子キーは、利用者の携帯端末部31を利用する認証方式の場合であると、その利用者の携帯端末部31のみでしか使用できないものとなる。
【0021】
車所有者は、トランク用電子キーを、操作部13から利用者の携帯端末部31(端末IDやメールアドレス)へ、例えば、インターネットを用いて、発行することができるようになっている。尚、車所有者は、店舗への連絡先(店舗受付部41)が分かっている場合は、トランク用電子キーを、操作部13から店舗受付部41へ、例えば、インターネットを用いて発行することも可能である。
【0022】
また、利用者は、発行されたトランク用電子キーを、利用者自身からもう一階層分に当たる別の人(店舗受付部41)へ、例えば、インターネットを用いて、付与することができるようになっている。
【0023】
トランク12内には、サービサーが事前に準備した、商品の収容用のボックス24a、24b、24cが設けられている(配置されている)。ボックス24a~24cは、利用者がインターネットショッピング(以下、ネットショッピング)で購入した商品を収容するものである。ボックス24a~24cは、例えばワイヤ25等によって、トランク12内の固定部26に、物理的な錠によって固定されている。物理的な錠を解錠するためのキーは、サービサーが保有している。つまり、サービサー以外の人(例えば車所有者)は、トランク12内から、ボックス24a~24cを持ち出すことができないようになっている。
【0024】
ボックス24a~24cは、ボックス用電子錠(少なくとも一つの電子錠)によって施錠されるようになっている。ボックス用電子錠を解錠するためのボックス用電子キーは、サービサーが保有している。
【0025】
ボックス用電子キーは、上記で説明したトランク用電子キーと同様に、認証方式やパスワード方式のもの等が使用される。
【0026】
ボックス用電子キーは、車所有者の行動計画に沿った所定の日時、および時間帯のみ有効となる。また、ボックス用電子キーは、ボックス24a~24cのみの解錠が可能であり、ボックス24a~24c以外のドア等の解錠は不可能な電子キーとなっている。尚、ボックス用電子キーは、利用者の携帯端末部31を利用する認証方式の場合であると、その利用者の携帯端末部31のみでしか使用できないものとなる。
【0027】
サービサーは、ボックス用電子キーを、処理部23から利用者の携帯端末部31へ、例えば、インターネットを用いて、発行することができるようになっている。
【0028】
また、利用者は、発行されたボックス用電子キーを、利用者自身からもう一階層分に当たる別の人(店舗受付部41)へ、例えば、インターネットを用いて、付与することができるようになっている。
【0029】
尚、本実施形態では、ボックス24a~24cは、3つ準備されたものとして説明しているが(
図2)、ボックス24a~24cの設定数は、3つに限定されるものではなく、1つ以上の設定としてかまわない。
【0030】
操作部13は、車所有者が、車11を用いて店舗へ出かける予定を含んだ行動計画を、入力操作する部位であり、例えば、スマートフォンが使用されている。行動計画は、例えば、日時、出発時刻、目的地、滞在時間、帰宅時刻、車11の車両ナンバー、および保管場所(自宅駐車場の位置)等の情報を含んでいる。尚、目的地は、1つの行動計画中に、複数箇所を含む場合もあり得る。入力操作された行動計画のデータは、インターネットによって、車所有者からサービサーの登録部21に発信される。
【0031】
個人配送助け合い装置20は、登録部21、受付部22、および処理部23等を有している。
【0032】
登録部21は、車所有者から発信された行動計画を、登録する部位である。登録部21は、例えば、サービサーが開設したウェブブラウザ上のホームページ(スケジュール欄)であり、登録された行動計画は、個人配送助け合いサービスに会員登録した人に対して閲覧可能となる。
【0033】
受付部22は、登録部21における車所有者の行動計画を閲覧した利用者から、ネットショッピングにて購入した商品の配送のために、車11の共用申し込みを受け付ける部位である。
【0034】
処理部23は、利用者からの車11の共用申し込みがあると、車所有者に対して、トランク用電子キーを利用者の所有する携帯端末部31へ発行するための発行処理(第1発行処理)の指示を行う。また、処理部23は、利用者からの車11の共用申し込みがあると、利用者の所有する携帯端末部31へ、ボックス用電子キーを発行する発行処理(第2発行処理)を行う。
【0035】
利用者の携帯端末部31は、利用者が携帯(所有)しており、ネットショッピング、行動計画の閲覧、車11の共用申し込み、および行動計画の店舗(店舗受付部41)への発信等を行うための部位であり、例えば、スマートフォンが使用されている。また、携帯端末部31(端末IDやメール受信部)は、車所有者の操作部13から発行されたトランク用電子キー、およびサービサーの処理部23から発行されたボックス用電子キーを受け取る。
【0036】
店舗における店舗受付部41は、店舗に設けられており(紐付けされており)、インターネットにより、車所有者の操作部13、および利用者の携帯端末部31との情報交換が可能となっている。店舗受付部41は、例えば、スマートフォンが使用されている。店舗受付部41は、携帯端末部31からのネットショッピングの申し込み、および車所有者の行動計画の受け付けを行う。また、店舗受付部41は、携帯端末部31から付与されるトランク用電子キーおよびボックス用電子キーを受け取る。そして、店舗受付部41は、店舗の配送者(配送部門の担当者、あるいは店舗と契約している配送業者)へ、商品の発送処理(車11への搬入処理)を指示する。また、店舗受付部41は、携帯端末部31から発信される行動計画に基づいて、車所有者の操作部13に対して、来店した際の専用駐車場42の位置情報を通知する。
【0037】
個人配送助け合い装置20に係る構成は、以上のようになっており、以下、
図3を加えて、作用効果について説明する。
【0038】
まず、車所有者は、車11を用いて店舗へ出かける行動計画を操作部13から、サービサーの登録部21(ホームページ)に発信する。登録部21は、発信された行動計画を、利用者によって閲覧可能に登録する(
図3の第1処理S1)。
【0039】
行動計画は、例えば、「車所有者は、毎週土曜日の所定時刻に、A市のa店舗に買い物に出かける」、といった内容である。行動計画には、例えば、日時、出発時刻、目的地、滞在時間、帰宅時刻、使用する車11の車両ナンバー、および保管場所(自宅駐車場の位置)等の情報が含まれる。登録された行動計画は、利用者の携帯端末部31から閲覧可能となる。
【0040】
利用者は、携帯端末部31を用いて、希望する店舗にて、ネットショッピング(食材や日用品等の購入)を行う。利用者は、登録部21における車所有者の行動計画を閲覧したときに、車11の保管場所が、利用者の行動範囲であって、行動計画における車所有者が向かう店舗と、利用者がネットショッピングをした店舗とが同一である場合に、商品の配送のために車所有者の車11を共用することを思いつく。利用者の行動範囲は、例えば、車所有者に対する隣近所の位置関係であり、車11の保管場所に対して、徒歩によって数分程度で赴ける範囲である。
【0041】
利用者は、車11の共用を行いたい場合に、携帯端末部31からサービサーの受付部22に車11共用の申し込みを行う。この時、利用者は、携帯端末部31の端末情報(端末IDやメールアドレス等)を提示する。そして、受付部22は、利用者の車11共用の申し込みを受け付ける(
図3の第2処理S2)。
【0042】
次に、サービサーの処理部23は、トランク用電子キーと、ボックス用電子キーとを発行するための発行処理を行う(
図3の第3処理S3)。即ち、処理部23は、車所有者の操作部13に対して、トランク用電子キーを、利用者の携帯端末部31に発行するための発行指示(第1発行処理)を行う。発行指示にあたって、処理部23は、利用者の端末情報を添付する。併せて、処理部23は、携帯端末部31(端末IDやメールアドレス)に、ボックス用電子キーを発行する(第2発行処理)。
【0043】
また、処理部23は、利用者の携帯端末部31に対して、発行されたトランク用電子キーと、ボックス用電子キーとを、更に、店舗受付部41に付与するための指示を行う。
【0044】
加えて、処理部23は、利用者の携帯端末部31に対して、車所有者の行動計画のデータを店舗受付部41に発信することを指示する。行動計画を受信した店舗受付部41は、車所有者の操作部13に対して、行動計画に基づいて車所有者が来店した際に、車11を停めるために予め準備した専用駐車場42の位置情報を発信する。
【0045】
車所有者は、行動計画に基づき車11に乗って自宅を出発し、店舗に到着すると、事前に連絡された専用駐車場42に車11を停車させる。車所有者は、店舗に入って自身の買い物をする。
【0046】
店舗の配送者は、利用者によってネットショッピングされた商品を、車11に搬入する。車11は、専用駐車場42に止められている車両であって、配送者は、行動計画のデータにおける車両ナンバーから、車11を特定する。そして、配送者は、発行されたトランク用電子キーを用いてトランク12を開け、更に、ボックス24a~24cのうち、ボックス用電子キーに対応するいずれかのボックス24aを開けて、商品を収容する。配送者は、商品を収容した後に、いずれかのボックス24aを閉じ(自動ロック)、更に、トランク12を閉じる(自動ロック)。
【0047】
車所有者は、自身の買い物を終えると、車11に乗って帰宅する。帰宅した時点で、車所有者は、サービサーの登録部21に帰宅情報を発信する。利用者は、帰宅情報から(あるいは行動計画から)、車所有者の帰宅時刻に合わせて、車所有者の自宅駐車場に赴き、車両ナンバーから車所有者の車11であることを確認する。そして、利用者は、発行されたトランク用電子キー用いてトランク12を開け、更に、ボックス24a~24cのうち、ボックス用電子キーに対応するいずれかのボックス24aを開けて、商品を取り出す。利用者は、商品を取り出した後に、いずれかのボックス24aを閉じ(自動ロック)、更に、トランク12を閉じる(自動ロック)。
【0048】
以上のように、本実施形態では、登録部21によって、車11を用いて店舗へ出かける予定を含んだ車所有者の行動計画が登録され(第1処理S1)、行動計画は利用者に閲覧可能となる。また、受付部22によって、行動計画を閲覧した利用者から、店舗で購入した商品の配送のために、車11の共用の申し込みが受け付けされる(第2処理S2)。そして、処理部23によって、車11に事前に準備された少なくとも一つの電子錠を解錠する電子キーが、利用者の所有する携帯端末部31に発行処理される(第3処理S3)。そして、利用者は、店舗にて車11に搬入された商品を、電子キーを用いて、店舗から帰宅した車11から取り出すことができる。
【0049】
このように、ネットショッピングをした商品を、車所有者の車11を共用して効果的に配送することが可能となる。
【0050】
ここで、昨今のコロナ禍においては、人と人との接触を回避することが強く要望されている。本実施形態では、利用者は、付与される電子キーを用いることで、車所有者に直接対面することなしに、車11から商品を取り出すことが可能となる。このように、本配送サービスでは、コロナ禍における人と人との接触を回避することができる。
【0051】
また、処理部23は、車所有者の操作部13に対して、トランク用電子錠を解錠するためのトランク用電子キーを携帯端末部31に発行させる第1発行処理と、ボックス用電子錠を解錠するためのボックス用電子キーを携帯端末部31に発行する第2発行処理と、を行う。これにより、車所有者は、トランク用電子キーによって、トランク12を開けることができるが、ボックス24a~24cを開けることはできないことになる。また、サービサーは、トランク12を開けることはできないことになる。よって、利用者にとっては、商品に対するセキュリティを高めることができる。
【0052】
また、処理部23は、店舗にて商品をトランク12内のボックス24a~24cに搬入可能とするために、トランク用電子キーおよびボックス用電子キーを店舗に紐付く店舗受付部41に付与させる処理の実施を、携帯端末部31に指示する。つまり、処理部23は、各電子キーを店舗受付部41に付与することを利用者に促すために、その旨を携帯端末部31に通知する。これにより、店舗側は、トランク用電子キーおよびボックス用電子キーを用いて、セキュリティを維持した状態で、商品を車11に搬入することができる。加えて、店舗側(配送者)は、各電子キーを用いることで、車所有者に対面することなしに商品の搬入が可能となり、コロナ禍における人と人との接触を回避することができる。
【0053】
また、店舗受付部41は、操作部13に対して、行動計画に基づく車11を停めるための専用駐車場42の位置情報を通知する。これにより、車所有者は、来店すると専用駐車場42に車11を停める。よって、店舗の配送者は、商品を車11に搬入する際に、車11を簡単に特定することが可能となる。
【0054】
また、車所有者の行動計画は、日時、出発時刻、目的地、滞在時間、帰宅時刻、車両ナンバー、および保管場所を含む。これにより、利用者は、目的地情報から、ネットショッピングした店舗に向かう車11の存在を把握でき、出発時刻、滞在時間、帰宅時刻の情報から、自身の都合が合えば、車11の共用の申し込みが可能となる。また、利用者は、車11から商品を取り出し可能となる時刻(車11の帰宅時刻)を知ることができる。また、配送者は、車両ナンバーの情報から商品を搬入する車11を容易に特定でき、また、帰宅時刻、滞在時間の情報から、商品を搬入できる時間帯を容易に把握することができる。
【0055】
また、トランク用電子キー、およびボックス用電子キーは、行動計画に沿った所定の日時、時間帯のみ有効となる。これにより、ネットショッピングによる商品の搬入、および取り出しに関連する時間帯以外では、トランク12や、ボックス24a~24cが、車所有者の意に反して、勝手に開けられることがない。
【0056】
また、トランク用電子キーは、トランク用電子錠のみの解錠が可能に設定され、ボックス用電子キーは、ボックス用電子錠のみの解錠が可能に設定されている。これにより、利用者や配送者によって、車11のドア等の他部の電子錠が勝手に開けられることがない。
【0057】
(その他の実施形態)
本開示に記載の個人配送助け合い装置20およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ、およびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0058】
あるいは、本開示に記載の個人配送助け合い装置20およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア理論回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0059】
もしくは、本開示に記載の個人配送助け合い装置20およびその手法は、一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと、一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合せにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0060】
また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0061】
ここで、本実施形態に記載されるフローチャート、あるいはフローチャートの処理は、複数のセクション(あるいはステップと言及される)から構成され、各セクションは、たとえば、S1と表現される。更に、各セクションは、複数のサブセクションに分割されることができる、一方、複数のセクションが合わさって一つのセクションにすることも可能である。また、このように構成される各セクションは、デバイス、モジュール、ミーンズとして言及されることができる。
【0062】
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、更に請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
11 車
12 トランク
13 操作部
20 個人配送助け合い装置
21 登録部
22 受付部
23 処理部
24a、24b、24c ボックス
31 携帯端末部
41 店舗受付部