(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/16 20060101AFI20231226BHJP
F24F 8/20 20210101ALI20231226BHJP
【FI】
A61L9/16 Z
F24F8/20
(21)【出願番号】P 2020162968
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】三浦 寿久
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-207207(JP,A)
【文献】特開2012-135614(JP,A)
【文献】実開昭49-137176(JP,U)
【文献】特開2006-297319(JP,A)
【文献】特開2005-032700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
B03C 3/00 - 11/00
A61L 2/00 - 2/28
B01J 19/08
B60H 3/00
F24F 8/00 - 8/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極プレート、前記第1電極プレートと間隔をおいて配置された第2電極プレート、前記第1電極プレートと前記第2電極プレートとの間に配置された第1絶縁プレート、及び前記第2電極プレートを挟んで前記第1絶縁プレートとは反対側に配置された第2絶縁プレートが順に積層して構成された積層体が重ね合わされてなる浄化部と、
前記第1電極プレートと前記第2電極プレートとの間に電圧を印加する電源部と、を備え、
前記第1絶縁プレート及び前記第2絶縁プレートの少なくとも一方の絶縁プレートは、前記第1電極プレート及び前記第2電極プレートの双方と接するとともに前記積層体の積層方向に交差する第1方向において互いに間隔をおいて並設された複数の基部と、互いに隣り合う前記基部同士の間に位置し、前記積層方向及び前記第1方向の双方に交差する第2方向に延びる流路部と、を有しており、
前記第2方向において前記浄化部の一端側から他端側へ向けて前記流路部を通じて空気が流通するように構成されて
おり、
前記積層体は、前記第1方向に対して長い長尺状であり、
前記浄化部は、前記積層体を前記第2方向に沿う軸線を中心として渦巻き状に巻くことにより形成されている、
空気浄化装置。
【請求項2】
前記流路部は、前記第2方向において前記第1絶縁プレートまたは前記第2絶縁プレートの全体にわたって延在しており、
前記第1電極プレート及び前記第2電極プレートは、前記第2方向において前記流路部の全体にわたって設けられている、
請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記流路部は、前記流路部と隣り合う前記第1電極プレート及び前記第2電極プレートの少なくとも一方の電極プレート側に開口する開口部を有しており、
前記開口部は、前記第2方向において前記電極プレートの一端側にて前記流路部内に空気を導入する導入口と、前記第2方向において前記電極プレートの他端側にて前記流路部から空気を導出する導出口とを有している、
請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
第1電極プレート、前記第1電極プレートと間隔をおいて配置された第2電極プレート、前記第1電極プレートと前記第2電極プレートとの間に配置された第1絶縁部材、及び前記第2電極プレートを挟んで前記第1絶縁部材とは反対側に配置された第2絶縁部材が順に積層して構成された積層体が重ね合わされてなる浄化部と、
前記第1電極プレートと前記第2電極プレートとの間に電圧を印加する電源部と、を備え、
前記第1絶縁部材及び前記第2絶縁部材の少なくとも一方の絶縁部材は、前記第1電極プレート及び前記第2電極プレートの双方と接するとともに前記積層体の積層方向に交差する第1方向において互いに間隔をおいて複数設けられており、
前記第1方向において互いに隣り合う前記絶縁部材同士の間には、前記積層方向及び前記第1方向の双方に交差する第2方向に延びる流路部が設けられており、
前記第2方向において前記浄化部の一端側から他端側へ向けて前記流路部を通じて空気が流通するように構成されて
おり、
前記積層体は、前記第1方向に対して長い長尺状であり、
前記浄化部は、前記積層体を前記第2方向に沿う軸線を中心として渦巻き状に巻くことにより形成されている、
空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、殺菌・抗ウイルス装置が開示されている。
殺菌・抗ウイルス装置は、吸気口と排気口とを有する本体と、本体内に配置され、吸気口から吸入した空気を排気口に導く送風装置と、吸気口から吸入した空気が通過する箇所に設置された殺菌・抗ウイルスデバイスとを備えている。
【0003】
殺菌・抗ウイルスデバイスは、複数の開口部を有するプレートと、プレートの両面に形成された一対の電極と、電極間に所定の電圧を印加する電源部とを備えている。
プレートは、絶縁性素材で形成されている。
【0004】
各電極は、複数の開口部を有している。電極の各開口部は、プレートの各開口部に沿って開口している。電極の各開口部の内周面と、プレートの各開口部の内周面とは同一面をなしている。
【0005】
電極間に電圧が印加されると、プレートの開口部を挟んで対向する電極の内周面間に電界が発生する。そして、この電界のエネルギによって、空気に含まれる細菌及びウイルスが不活化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、こうした殺菌・抗ウイルスデバイスによる細菌及びウイルスの不活化能力は、電界強度が大きいほど大きくなる。また、電界強度は、印加電圧が大きいほど大きくなるとともに、電極間の距離が小さいほど大きくなる。しかしながら、特許文献1に記載の殺菌・抗ウイルスデバイスでは、空気の流れ方向の上流側と下流側とに一対の電極がそれぞれ配置される。そのため、電界強度を大きくするために電極間の距離を小さくすると、殺菌・抗ウイルスデバイスの厚さ、すなわち空気の流通する流路の長さが短くなる。その結果、電界のエネルギによって空気に含まれる細菌及びウイルスが不活性化される前に当該空気が殺菌・抗ウイルスデバイスを通過しやすくなる。
【0008】
本発明の目的は、効率的に空気を浄化することのできる空気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための空気浄化装置は、第1電極プレート、前記第1電極プレートと間隔をおいて配置された第2電極プレート、前記第1電極プレートと前記第2電極プレートとの間に配置された第1絶縁プレート、及び前記第2電極プレートを挟んで前記第1絶縁プレートとは反対側に配置された第2絶縁プレートが順に積層して構成された積層体が重ね合わされてなる浄化部と、前記第1電極プレートと前記第2電極プレートとの間に電圧を印加する電源部と、を備えている。前記第1絶縁プレート及び前記第2絶縁プレートの少なくとも一方の絶縁プレートは、前記第1電極プレート及び前記第2電極プレートの双方と接するとともに前記積層体の積層方向に交差する第1方向において互いに間隔をおいて並設された複数の基部と、互いに隣り合う前記基部同士の間に位置し、前記積層方向及び前記第1方向の双方に交差する第2方向に延びる流路部と、を有している。空気浄化装置は、前記第2方向において前記浄化部の一端側から他端側へ向けて前記流路部を通じて空気が流通するように構成されている。
【0010】
同構成によれば、第2方向において浄化部の一端側から他端側へ向けて流路部を通じて空気が流通する。また、流路部では、互いに間隔をおいて配置された第1電極プレートと第2電極プレートとの間に電界が発生する。このため、上記空気内に含まれる細菌及びウイルスなどは、上記電界のエネルギにより不活化される。
【0011】
ここで、上記構成によれば、第1電極プレートと第2電極プレートとの距離に応じて電界強度を容易に変更することができる。また、第1電極プレートと第2電極プレートとが積層される方向である積層方向と、流路部の延在方向である第2方向とが交差しているため、第1電極プレートと第2電極プレートとの距離を短くしても、流路部の長さが影響を受けることはない。このため、浄化部の第2方向の長さに応じて、空気が電極プレート間を通過するのに要する時間を容易に変更することができる。したがって、簡単な構成により、効率的に空気を浄化することができる。
【0012】
上記空気浄化装置において、前記流路部は、前記第2方向において前記第1絶縁プレートまたは前記第2絶縁プレートの全体にわたって延在しており、前記第1電極プレート及び前記第2電極プレートは、前記第2方向において前記流路部の全体にわたって設けられていることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、第1電極プレートと第2電極プレートとの間に位置する流路部の第2方向における長さが長くなる。そのため、流路部の第2方向の一端側から他端側に向けて流れる空気が、より長い時間にわたり電界内に存在するようになる。したがって、より効率的に空気を浄化することができる。
【0014】
上記空気浄化装置において、前記流路部は、前記流路部と隣り合う前記第1電極プレート及び前記第2電極プレートの少なくとも一方の電極プレート側に開口する開口部を有しており、前記開口部は、前記第2方向において前記電極プレートの一端側にて前記流路部内に空気を導入する導入口と、前記第2方向において前記電極プレートの他端側にて前記流路部から空気を導出する導出口とを有していることが好ましい。
【0015】
電極プレート間の距離を小さくするほど電界強度を大きくすることができる。ただし、上記距離を小さくするほど電極プレート間に配置される絶縁プレートの厚さが小さくなるため、流路部の導入口及び導出口を第2方向において絶縁プレートの一端面及び他端面にそれぞれ設ける構成にあっては、導入口及び導出口の開口面積が制限されやすくなり、空気の圧力損失が増大しやすくなる。
【0016】
この点、上記構成によれば、流路部の開口部が、流路部と隣り合う電極プレート側に開口している。このため、流路部を有する絶縁プレートの厚さを小さくしつつ、導入口及び導出口の開口面積を確保することができる。したがって、電界強度を大きくしつつ、空気の圧力損失の増大を抑制できる。
【0017】
上記目的を達成するための空気浄化装置は、第1電極プレート、前記第1電極プレートと間隔をおいて配置された第2電極プレート、前記第1電極プレートと前記第2電極プレートとの間に配置された第1絶縁部材、及び前記第2電極プレートを挟んで前記第1絶縁部材とは反対側に配置された第2絶縁部材が順に積層して構成された積層体が重ね合わされてなる浄化部と、前記第1電極プレートと前記第2電極プレートとの間に電圧を印加する電源部と、を備えている。前記第1絶縁部材及び前記第2絶縁部材の少なくとも一方の絶縁部材は、前記第1電極プレート及び前記第2電極プレートの双方と接するとともに前記積層体の積層方向に交差する第1方向において互いに間隔をおいて複数設けられており、前記第1方向において互いに隣り合う前記絶縁部材同士の間には、前記積層方向及び前記第1方向の双方に交差する第2方向に延びる流路部が設けられている。空気浄化装置は、前記第2方向において前記浄化部の一端側から他端側へ向けて前記流路部を通じて空気が流通するように構成されている。
【0018】
同構成によれば、第2方向において浄化部の一端側から他端側へ向けて流路部を通じて空気が流通する。また、流路部では、互いに間隔をおいて配置された第1電極プレートと第2電極プレートとの間に電界が発生する。このため、上記空気内に含まれる細菌及びウイルスなどは、上記電界のエネルギにより不活化される。
【0019】
ここで、上記構成によれば、第1電極プレートと第2電極プレートとの距離に応じて電界強度を容易に変更することができる。また、第1電極プレートと第2電極プレートとが積層される方向である積層方向と、流路部の延在方向である第2方向とが交差しているため、第1電極プレートと第2電極プレートとの距離を短くしても、流路部の長さが影響を受けることはない。このため、浄化部の第2方向の長さに応じて、空気が電極プレート間を通過するのに要する時間を容易に変更することができる。したがって、簡単な構成により、効率的に空気を浄化することができる。
【0020】
特に、上記構成によれば、流路部において、第1電極プレートと第2電極プレートとが対向することから、電界強度を大きくすることが容易にできる。
上記空気浄化装置において、前記積層体は、前記第1方向に対して長い長尺状であり、前記浄化部は、前記積層体を前記第2方向に沿う軸線を中心として渦巻き状に巻くことにより形成されていることが好ましい。
【0021】
同構成によれば、長尺状の積層体を渦巻状に巻くことによって浄化部を容易に形成することができる。また、電極プレートの数を少なくしつつ、浄化部において空気の流れ方向の両端面の面積を確保することができる。したがって、電源部の電気的構成が複雑になることを抑制しつつ、効率的に空気を浄化することができる。
【0022】
上記空気浄化装置において、前記浄化部は、複数の前記積層体を互いに重ね合わせて構成されていることが好ましい。
同構成によれば、複数の積層体を互いに重ね合わせることによって浄化部を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、効率的に空気を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】同実施形態の浄化部及び電源部を示す斜視図。
【
図5】第2実施形態の浄化部について、
図3に対応する斜視図。
【
図7】第1変形例の浄化部について、
図4に対応する断面図。
【
図8】第2変形例の浄化部について、
図4に対応する断面図。
【
図9】第3変形例の浄化部について、
図6に対応する断面図。
【
図10】第4変形例の浄化部について、
図6に対応する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図4を参照して、空気浄化装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、空気浄化装置は、ハウジング10と、浄化部11と、電源部12とを備えている。
【0026】
ハウジング10は、吸入口10aと排出口10bとを有している。
図2及び
図3に示すように、浄化部11は、積層体20を有している。
積層体20は、第1電極プレート21、第2電極プレート22、第1絶縁プレート23、及び第2絶縁プレート24を備えている。
【0027】
本実施形態の第1電極プレート21及び第2電極プレート22は、共に一定の幅を有する帯板状である。第1電極プレート21及び第2電極プレート22は同一の幅を有している。
【0028】
第2電極プレート22は、第1電極プレート21と厚さ方向に間隔をおいて配置されている。
本実施形態の第1絶縁プレート23及び第2絶縁プレート24は、共に一定の幅を有する帯板状である。第1絶縁プレート23及び第2絶縁プレート24は、第1電極プレート21及び第2電極プレート22と同一の幅を有している。
【0029】
第1絶縁プレート23は、第1電極プレート21と第2電極プレート22との間に配置されている。
第2絶縁プレート24は、第2電極プレート22を挟んで第1絶縁プレート23とは反対側に配置されている。
【0030】
積層体20は、第1電極プレート21、第1絶縁プレート23、第2電極プレート22、及び第2絶縁プレート24が順に積層して構成されている。
積層体20は、電極プレート21,22及び絶縁プレート23,24の長手方向に長い長尺状である。
【0031】
すなわち、積層体20は、積層体20の積層方向Xに対して直交する第1方向Yに長い長尺状である。
浄化部11は、積層方向X及び第1方向Yの双方に直交する第2方向Zに沿う軸線Lを中心として渦巻き状に巻くことにより形成されている。
【0032】
図1及び
図2に示すように、電源部12は、第1電極プレート21に電気的に接続された第1電線12aと、第2電極プレート22に電気的に接続された第2電線12bとを備えている。
【0033】
第1電線12a及び第2電線12bには、第1電極プレート21と第2電極プレート22との間に電圧を印加する電源12cの正極及び負極がそれぞれ接続される。
図3及び
図4に示すように、第1絶縁プレート23及び第2絶縁プレート24は、第1電極プレート21及び第2電極プレート22の双方に接するとともに第1方向Yにおいて互いに間隔をおいて並設された複数の基部31を有している。第1絶縁プレート23及び第2絶縁プレート24は、互いに隣り合う基部31同士の間に位置し、第2方向Zに延びる連結部32を有している。第1絶縁プレート23及び第2絶縁プレート24は、互いに隣り合う基部31同士の間に位置し、第2方向Zに延びる流路部25を有している。
【0034】
基部31は、積層方向Xにおいて一定の厚さを有している。基部31は、第1方向Yにおいて一定の幅を有している。基部31は、第2方向Zにおいて絶縁プレート23,24の全体にわたって延在している。基部31は、第2方向Zにおいて第1電極プレート21及び第2電極プレート22の双方の全体にわたって接している。
【0035】
連結部32は、積層方向Xにおける基部31の端縁同士を連結している。
連結部32は、基部31の厚さよりも小さい一定の厚さを有している。連結部32は、第1方向Yにおいて一定の幅を有している。連結部32は、第2方向Zにおいて絶縁プレート23,24の全体にわたって延在している。第1絶縁プレート23の連結部32は、第2方向Zにおいて第1電極プレート21の全体にわたって接している。第2絶縁プレート24の連結部32は、第2方向Zにおいて第2電極プレート22の全体にわたって接している。
【0036】
流路部25は、一定の深さを有している。流路部の深さは、基部31の厚さから連結部32の厚さを減じた大きさである。流路部25は、第1方向Yにおいて一定の幅を有している。流路部25は、第2方向Zにおいて絶縁プレート23,24の全体にわたって延在している。
【0037】
前述したように、第1絶縁プレート23及び第2絶縁プレート24は、第1電極プレート21及び第2電極プレート22と同一の幅、すなわち第2方向Zにおける長さを有していることから、第1電極プレート21及び第2電極プレート22は、第2方向Zにおいて流路部25の全体にわたって設けられている。
【0038】
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、例えばハウジング10内に設けられるファンが駆動されることによって、ハウジング10内に空気Aが吸入される。吸入された空気Aは、第2方向Zにおいて浄化部11の一端側から他端側へ向けて、すなわちハウジング10の吸入口10a側から排出口10b側に向けて流路部25を通じて流通する。
【0039】
ここで、
図4に示すように、電源部12によって電極プレート21,22間に電圧を印加すると、流路部25では、互いに間隔をおいて配置された第1電極プレート21と第2電極プレート22との間に電界Eが発生する。このため、上記空気A内に含まれる細菌及びウイルスなどは、上記電界Eのエネルギにより不活化される。
【0040】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1絶縁プレート23及び第2絶縁プレート24は、第1電極プレート21及び第2電極プレート22の双方と接するとともに積層体20の積層方向Xに直交する第1方向Yにおいて互いに間隔をおいて並設された複数の基部31と、互いに隣り合う基部31同士の間に位置し、第2方向Zに延びる流路部25とを有している。
【0041】
こうした構成によれば、第2方向Zにおいて浄化部11の一端側から他端側へ向けて流路部25を通じて空気Aが流通する。また、流路部25では、互いに間隔をおいて配置された第1電極プレート21と第2電極プレート22との間に電界Eが発生する。このため、上記空気A内に含まれる細菌及びウイルスなどは、上記電界Eのエネルギにより不活化される。
【0042】
ここで、上記構成によれば、第1電極プレート21と第2電極プレート22との距離に応じて電界強度を容易に変更することができる。また、第1電極プレート21と第2電極プレート22とが積層される方向である積層方向Xと、流路部25の延在方向である第2方向Zとが交差しているため、第1電極プレート21と第2電極プレート22との距離を短くしても、流路部25の長さが影響を受けることはない。このため、浄化部11の第2方向Zの長さに応じて、空気Aが電極プレート21,22間を通過するのに要する時間を容易に変更することができる。したがって、簡単な構成により、効率的に空気Aを浄化することができる。
【0043】
(1-2)流路部25は、第2方向Zにおいて第1絶縁プレート23または第2絶縁プレート24の全体にわたって延在しており、第1電極プレート21及び第2電極プレート22は、第2方向Zにおいて流路部25の全体にわたって設けられている。
【0044】
こうした構成によれば、第1電極プレート21と第2電極プレート22との間に位置する流路部25の第2方向Zにおける長さが長くなる。そのため、流路部25の第2方向Zの一端側から他端側に向けて流れる空気Aが、より長い時間にわたり電界E内に存在するようになる。したがって、より効率的に空気Aを浄化することができる。
【0045】
(1-3)積層体20は、第1方向Yに対して長い長尺状であり、浄化部11は、積層体20を第2方向Zに沿う軸線Lを中心として渦巻き状に巻くことにより形成されている。
【0046】
こうした構成によれば、長尺状の積層体20を渦巻状に巻くことによって浄化部11を容易に形成することができる。また、電極プレート21,22の数を少なくしつつ、浄化部11において空気Aの流れ方向の両端面の面積を確保することができる。したがって、電源部12の電気的構成が複雑になることを抑制しつつ、効率的に空気Aを浄化することができる。
【0047】
<第2実施形態>
次に、
図5及び
図6を参照して、第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことで重複する説明を省略している。また、第1実施形態と対応する構成については、第1実施形態の符号「※※」に「30」を加算した符号を付すことで重複する説明を省略している。
【0048】
図5及び
図6に示すように、積層体50は、第1電極プレート51、第2電極プレート52、第1絶縁プレート53、及び第2絶縁プレート54を備えている。
第1電極プレート51及び絶縁プレート53,54は、第1実施形態と同様、一定の幅を有する帯板状である。
【0049】
第2電極プレート52は、角棒状である。第2電極プレート52は、第1電極プレート51及び絶縁プレート23,24の幅、すなわち第2方向Zにおける長さよりも小さい幅を有している。
【0050】
第2電極プレート52は、第2方向Zにおいて第1電極プレート51の中央に配置されている。
第1絶縁プレート53と第2絶縁プレート54との間には、第2電極プレート52の厚さ、すなわち積層方向Xの長さに対応する隙間S1,S2が設けられている。この隙間S1,S2は、第2方向Zにおいて第2電極プレート52の両側に設けられている。
【0051】
第1絶縁プレート53及び第2絶縁プレート54は、複数の基部61、複数の連結部62、及び複数の流路部55を有している。
連結部62は、第1方向Yにおいて互いに隣り合う基部61同士を連結している。
【0052】
連結部62は、第2方向Zにおける基部61の両端部に連結された一対の端部62a,62bを有している。端部62a,62bは、基部61の端部を積層方向Xの全体にわたって連結している。
【0053】
また、連結部62は、第2方向Zにおいて基部61の両端部を除く中央部に連結された薄肉部62cを有している。薄肉部62cは、端部62a,62bの厚さよりも小さい一定の厚さを有している。
【0054】
図6に示すように、基部61は、第1電極プレート51及び第2電極プレート52の双方と接している。具体的には、基部61は、第2方向Zにおいて第1電極プレート51の全体にわたって接している。また、第2方向Zにおいて上記基部61の中央部分が、第2電極プレート52に接している。
【0055】
連結部62は、第2方向Zにおいて第1電極プレート51の全体にわたって接している。ただし、薄肉部62cは、積層方向Xにおいて第2電極プレート52と間隔をおいて設けられている。
【0056】
流路部55は、第2方向Zにおいて連結部62の端部62a,62b同士の間に延在している。
流路部55は、流路部55と隣り合う第2電極プレート52側に開口する開口部70を有している。
【0057】
開口部70は、第2方向Zにおいて第2電極プレート52の一端側にて流路部55内に空気Aを導入する導入口71と、第2方向Zにおいて第2電極プレート52の他端側にて流路部55から空気Aを導出する導出口72とを有している。
【0058】
導入口71は、連結部62の端部62aと、端部62aを挟む一対の基部61と、第2電極プレート52とによって区画されている。
導出口72は、連結部62の端部62bと、端部62bを挟む一対の基部61と、第2電極プレート52とによって区画されている。
【0059】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図6に示すように、第1実施形態と同様にしてハウジング10内に吸入された空気Aは、第2方向Zにおいて浄化部41の一端側(同図の上側)から他端側(同図の下側)へ向けて流路部55を通じて流通する。
【0060】
具体的には、空気Aは、第1絶縁プレート53と第2絶縁プレート54との間の隙間S1を通じて浄化部41内に流入する。空気Aは、導入口71を通じて隙間S1から流路部55内に導入される。空気Aは、導出口72を通じて流路部55内から隙間S2に導出される。
【0061】
ここで、電源部12によって電極プレート51,52間に電圧を印加すると、流路部55では、互いに間隔をおいて配置された第1電極プレート51と第2電極プレート52との間に電界Eが発生する。このため、上記空気A内に含まれる細菌及びウイルスなどは、上記電界Eのエネルギにより不活化される。
【0062】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)流路部55は、流路部55と隣り合う第2電極プレート52側に開口する開口部70を有しており、開口部70は、第2方向Zにおいて第2電極プレート52の一端側にて流路部55内に空気Aを導入する導入口71と、第2方向Zにおいて第2電極プレート52の他端側にて流路部55から空気Aを導出する導出口72とを有している。
【0063】
電極プレート間の距離を小さくするほど電界強度を大きくすることができる。ただし、上記距離を小さくするほど電極プレート間に配置される絶縁プレートの厚さが小さくなるため、流路部の導入口及び導出口を第2方向Zにおいて絶縁プレートの一端面及び他端面にそれぞれ設ける構成にあっては、導入口及び導出口の開口面積が制限されやすくなり、空気Aの圧力損失が増大しやすくなる。
【0064】
この点、上記構成によれば、流路部55の開口部70が、流路部55と隣り合う第2電極プレート52側に開口している。このため、流路部55を有する絶縁プレート53,54の厚さを小さくしつつ、導入口71及び導出口72の開口面積を確保することができる。したがって、電界強度を大きくしつつ、空気Aの圧力損失の増大を抑制できる。
【0065】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・第1絶縁プレート23の連結部32は、第1実施形態で例示したように第2電極プレート22と間隔をおいて設けられるものに限定されず、第1電極プレート21と間隔を置いて設けられていてもよい。
【0067】
同様に、第2絶縁プレート24の連結部32は、第1電極プレート21と間隔をおいて設けられるものに限定されず、第2電極プレート22と間隔を置いて設けられていてもよい。
【0068】
さらに、絶縁プレート23,24の連結部32は、第1電極プレート21及び第2電極プレート22の双方と間隔をおいて設けられるものであってもよい。この場合、連結部32は、積層方向Xにおいて基部31の中央部分に連結される。
【0069】
・浄化部11は、第1実施形態で例示したような絶縁プレート23,24を有するものに限定されない。例えば、
図7に示すように、浄化部11は、第1電極プレート21及び第2電極プレート22の双方と接するとともに第1方向Yにおいて互いに間隔をおいて複数設けられる第1絶縁部材26及び第2絶縁部材27を有しているものであってもよい。この例では、第1絶縁部材26及び第2絶縁部材27が第1方向Yにおいて同一の位置に設けられている。この場合、第1方向Yにおいて互いに隣り合う絶縁部材26,27同士の間に、第2方向Zに延びる流路部が形成される。
【0070】
こうした構成によれば、(1-1)と同様な作用効果を奏することができる。
特に、上記構成によれば、流路部において、第1電極プレート21と第2電極プレート22とが対向することから、電界強度を大きくすることが容易にできる。
【0071】
・
図8に示すように、第1絶縁部材26及び第2絶縁部材27が第1方向Yにおいて異なる位置に設けられていてもよい。すなわち、流路部と絶縁部材26,27とが積層方向Xにおいて交互に並ぶように配置されていてもよい。
【0072】
・
図9に示すように、第2実施形態において、絶縁プレート53,54の連結部62の薄肉部62cを省略することもできる。
・
図9に示す変形例において、第1電極プレート51を第2電極プレート52と同様な形状及び配置に変更することもできる。
【0073】
・
図10に示すように、第2実施形態において、第2電極プレート52が、プレート部52aと、第2方向Zにおいてプレート部52aの中央部から流路部55の開口部70に向かって突出する突出部52bとを有するものであってもよい。
【0074】
・電極プレート21,22は、第1実施形態で例示したように第2方向Zにおいて流路部25の全体にわたって設けられているものでなくてもよい。
・第1実施形態において、第1絶縁プレート23及び第2絶縁プレート24のいずれか一方にのみ基部31及び流路部25を設けるようにしてもよい。
【0075】
・第2実施形態において、第1絶縁プレート53及び第2絶縁プレート54のいずれか一方にのみ基部61及び流路部55を設けるようにしてもよい。
・浄化部は、上記各実施形態で例示したように渦巻き状に形成されているものに限定されない。
【0076】
例えば、
図11に示すように、浄化部は、直方体状の複数の積層体20を互いに重ね合わせて構成されているものであってもよい。この場合、積層体20毎に、電源部12を構成する第1電線12a及び第2電線12bを接続すればよい。
【0077】
こうした構成によれば、複数の積層体を互いに重ね合わせることによって浄化部を容易に形成することができる。
【符号の説明】
【0078】
A…空気
E…電界
L…軸線
S1…隙間
S2…隙間
X…積層方向
Y…第1方向
Z…第2方向
10…ハウジング
10a…吸入口
10b…排出口
11…浄化部
12…電源部
12a…第1電線
12b…第2電線
12c…電源
20…積層体
21…第1電極プレート
22…第2電極プレート
23…第1絶縁プレート
24…第2絶縁プレート
25…流路部
25A…流路部
26…第1絶縁部材
27…第2絶縁部材
31…基部
32…連結部
41…浄化部
50…積層体
52…第2電極プレート
52a…プレート部
52b…突出部
53…第1絶縁プレート
54…第2絶縁プレート
55…流路部
61…基部
62…連結部
62a…端部
62b…端部
62c…薄肉部
70…開口部
71…導入口
72…導出口