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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20231226BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231226BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
G06Q50/04
G08G1/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020177321
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068568
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】萩原 孝一
(72)【発明者】
【氏名】河野 誠
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-030723(JP,A)
【文献】特開2007-257154(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225435(WO,A1)
【文献】特開2009-288976(JP,A)
【文献】特開2018-039592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
G05D 1/02
G08G 1/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搬送物品を搬送する搬送システムであって、
複数の搬送経路を形成する第1エリア内搬送設備が設けられた第1エリアと、
前記第1エリア内搬送設備を制御し、前記搬送物品を、前記第1エリア内の複数の前記搬送経路の中から選択した経路に従って搬送する第1エリア制御部と、
複数の搬送経路を形成する第2エリア内搬送設備が設けられた第2エリアと、
前記第2エリア内搬送設備を制御し、前記搬送物品を、前記第2エリア内の複数の前記搬送経路の中から選択した経路に従って搬送する第2エリア制御部と、
前記第1エリア内に設けられた第1受渡位置と前記第2エリア内に設けられた第2受渡位置とを接続する搬送経路をそれぞれ形成する複数の接続搬送設備と、
複数の前記接続搬送設備のそれぞれを制御し、前記搬送物品を、前記第1受渡位置と前記第2受渡位置との間で搬送する接続制御部と、
前記第1エリア制御部、前記第2エリア制御部、及び前記接続制御部を管理する管理制御部と、を備え、
複数の前記搬送物品のうちの1つを対象物品とし、残りを他物品として、
前記第1エリア内の出発地点から前記第2エリア内の目的地点まで前記対象物品を搬送するエリア間搬送を行う場合、前記管理制御部が経路設定制御を実行し、前記第1エリア制御部が第1エリア内搬送制御を実行し、前記接続制御部が接続搬送制御を実行し、前記第2エリア制御部が第2エリア内搬送制御を実行し、
前記経路設定制御は、前記第1エリア内搬送設備、前記第2エリア内搬送設備、及び、複数の前記接続搬送設備のそれぞれにおける前記他物品の搬送状況を示す搬送状況情報を取得し、当該搬送状況情報に基づいて前記出発地点から前記目的地点までの全体経路を設定する制御であり、
複数の前記接続搬送設備のうちの前記全体経路に含まれるものを対象接続搬送設備として、
前記第1エリア内搬送制御は、前記出発地点から前記対象接続搬送設備の前記第1受渡位置まで前記対象物品を搬送するように、前記第1エリア内搬送設備を動作させる制御であり、
前記接続搬送制御は、前記対象接続搬送設備の前記第1受渡位置から前記第2受渡位置まで前記対象物品を搬送するように、前記対象接続搬送設備を動作させる制御であり、
前記第2エリア内搬送制御は、前記全体経路が設定された後に前記第2エリア内搬送設備の前記搬送状況情報を取得し、当該搬送状況情報に基づいて前記対象接続搬送設備の前記第2受渡位置から前記目的地点までの部分経路を設定し、当該部分経路に従って、前記対象接続搬送設備の前記第2受渡位置から前記目的地点まで前記対象物品を搬送するように、前記第2エリア内搬送設備を動作させる制御であり、
前記接続制御部は、前記接続搬送制御の実行による前記対象物品の前記第2受渡位置への到着前に、前記対象物品の前記第2受渡位置への到着予定を示す到着予定情報を前記第2エリア制御部に伝達し、
前記第2エリア制御部は、前記到着予定情報に基づいて、前記第2エリア内搬送制御の準備を開始し、
前記第2エリア内搬送設備は、搬送車によって前記搬送物品を搬送する設備であり、
前記第2エリア内搬送制御の前記準備は、前記搬送物品を保持していない状態の前記搬送車を前記第2受渡位置に配置することであり、
前記第2エリア制御部は、前記対象物品の前記第2受渡位置への到着に合わせて或いはそれ以前に前記搬送車が前記第2受渡位置に配置されるように、前記搬送車の走行動作を制御する、搬送システム。
【請求項2】
複数の前記接続搬送設備のそれぞれが、複数の前記第2受渡位置を備え、
前記接続制御部は、前記対象接続搬送設備が備える複数の前記第2受渡位置のそれぞれにおける前記他物品の搬入出状況を示す搬入出状況情報を取得し、当該搬入出状況情報に基づいて、前記接続搬送制御による前記対象物品の搬送先を複数の前記第2受渡位置の中から選択する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記経路設定制御では、前記第1エリア内搬送設備及び前記第2エリア内搬送設備のそれぞれにおける、各搬送経路の重みを示す重み情報を更に取得し、当該重み情報にも基づいて前記全体経路を設定する、請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記経路設定制御では、複数の前記接続搬送設備のそれぞれにおける前記重み情報を更に取得し、当該重み情報にも基づいて前記全体経路を設定する、請求項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記経路設定制御では、前記第1エリア内搬送設備及び前記第2エリア内搬送設備のそれぞれにおける、過去の前記搬送状況情報に基づいて予想される将来の前記他物品の搬送状況を示す予想搬送状況情報を更に取得し、当該予想搬送状況情報にも基づいて前記全体経路を設定する、請求項1からのいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記経路設定制御では、複数の前記接続搬送設備のそれぞれにおける前記予想搬送状況情報を更に取得し、当該予想搬送状況情報にも基づいて前記全体経路を設定する、請求項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記経路設定制御では、前記対象物品を前記出発地点から前記目的地点まで搬送するのに要する所要時間の予測値が最短となる経路を前記全体経路に設定する、請求項1からのいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記第1エリアと前記第2エリアとは、同じ建物における異なるフロアに分かれて設定され、
前記接続搬送設備は、前記搬送物品を同じ建物における異なるフロア間で搬送する階間搬送設備である、請求項1からのいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記第1エリアと前記第2エリアとは、異なる建物に分かれて設定され、
前記接続搬送設備は、前記搬送物品を異なる建物間で搬送する建物間搬送設備である、請求項1からのいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記第1受渡位置では、前記第1エリア内搬送設備と前記接続搬送設備との間で前記搬送物品が移載され、前記第2受渡位置では、前記第2エリア内搬送設備と前記接続搬送設備との間で前記搬送物品が移載される、請求項1からのいずれか一項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の搬送物品を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような搬送システムの一例が、特開2003-196780号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1の搬送システムでは、複数の管理装置(Tn)が、搬送経路(L)を複数の領域(An)に分割して管理するように構成されている。特許文献1の段落0033-0037に記載されているように、各管理装置(Tn)は、各自が管理する領域(An)の搬送経路(L)の情報に加えて、他の管理装置(Tn)から受信した搬送経路(L)の情報(すなわち、他の管理装置(Tn)が管理する領域(An)の搬送経路(L)の情報)を記憶手段に記憶しており、全ての領域(An)の搬送経路の情報を各管理装置(Tn)が共有している。そして、搬送経路(L)の探索が要求されると、管理装置(Tn)は、記憶手段に記憶されている搬送経路(L)の情報を参照して起点から終点までの搬送経路を探索し、探索した搬送経路を無人搬送車(30)に走行させる。なお、特許文献1の段落0029,0041には、搬送経路(L)の情報として、無人搬送車(30)が通行可能であるか否かの情報や渋滞情報等が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-196780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の搬送システムでは、各管理装置が全ての領域の搬送経路の情報を共有しているため、複数の領域に亘る搬送経路を探索する際に、全ての領域の搬送経路の情報を考慮することが可能である。しかしながら、搬送車が通行可能であるか否かや渋滞等のように、時間と共に変化し得る搬送経路の状態を考慮した場合、いずれかの領域(例えば、終点に近い領域)での物品の搬送が行われる前に当該領域の搬送経路の状態が変化することで、探索した搬送経路が適切な経路ではなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、互いに異なる制御部によって搬送設備の動作制御が行われるエリア間で対象物品を搬送する場合に、各エリアでの対象物品の搬送経路を適切な経路とすることが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送システムは、複数の搬送物品を搬送する搬送システムであって、複数の搬送経路を形成する第1エリア内搬送設備が設けられた第1エリアと、前記第1エリア内搬送設備を制御し、前記搬送物品を、前記第1エリア内の複数の前記搬送経路の中から選択した経路に従って搬送する第1エリア制御部と、複数の搬送経路を形成する第2エリア内搬送設備が設けられた第2エリアと、前記第2エリア内搬送設備を制御し、前記搬送物品を、前記第2エリア内の複数の前記搬送経路の中から選択した経路に従って搬送する第2エリア制御部と、前記第1エリア内に設けられた第1受渡位置と前記第2エリア内に設けられた第2受渡位置とを接続する搬送経路をそれぞれ形成する複数の接続搬送設備と、複数の前記接続搬送設備のそれぞれを制御し、前記搬送物品を、前記第1受渡位置と前記第2受渡位置との間で搬送する接続制御部と、前記第1エリア制御部、前記第2エリア制御部、及び前記接続制御部を管理する管理制御部と、を備え、複数の前記搬送物品のうちの1つを対象物品とし、残りを他物品として、前記第1エリア内の出発地点から前記第2エリア内の目的地点まで前記対象物品を搬送するエリア間搬送を行う場合、前記管理制御部が経路設定制御を実行し、前記第1エリア制御部が第1エリア内搬送制御を実行し、前記接続制御部が接続搬送制御を実行し、前記第2エリア制御部が第2エリア内搬送制御を実行し、前記経路設定制御は、前記第1エリア内搬送設備、前記第2エリア内搬送設備、及び、複数の前記接続搬送設備のそれぞれにおける前記他物品の搬送状況を示す搬送状況情報を取得し、当該搬送状況情報に基づいて前記出発地点から前記目的地点までの全体経路を設定する制御であり、複数の前記接続搬送設備のうちの前記全体経路に含まれるものを対象接続搬送設備として、前記第1エリア内搬送制御は、前記出発地点から前記対象接続搬送設備の前記第1受渡位置まで前記対象物品を搬送するように、前記第1エリア内搬送設備を動作させる制御であり、前記接続搬送制御は、前記対象接続搬送設備の前記第1受渡位置から前記第2受渡位置まで前記対象物品を搬送するように、前記対象接続搬送設備を動作させる制御であり、前記第2エリア内搬送制御は、前記全体経路が設定された後に前記第2エリア内搬送設備における前記搬送状況情報を取得し、当該搬送状況情報に基づいて前記対象接続搬送設備の前記第2受渡位置から前記目的地点までの部分経路を設定し、当該部分経路に従って、前記対象接続搬送設備の前記第2受渡位置から前記目的地点まで前記対象物品を搬送するように、前記第2エリア内搬送設備を動作させる制御であり、前記接続制御部は、前記接続搬送制御の実行による前記対象物品の前記第2受渡位置への到着前に、前記対象物品の前記第2受渡位置への到着予定を示す到着予定情報を前記第2エリア制御部に伝達し、前記第2エリア制御部は、前記到着予定情報に基づいて、前記第2エリア内搬送制御の準備を開始し、前記第2エリア内搬送設備は、搬送車によって前記搬送物品を搬送する設備であり、前記第2エリア内搬送制御の前記準備は、前記搬送物品を保持していない状態の前記搬送車を前記第2受渡位置に配置することであり、前記第2エリア制御部は、前記対象物品の前記第2受渡位置への到着に合わせて或いはそれ以前に前記搬送車が前記第2受渡位置に配置されるように、前記搬送車の走行動作を制御する
【0007】
本構成によれば、第1エリア内の出発地点から第2エリア内の目的地点まで対象物品を搬送するエリア間搬送を行う場合に、第1エリア内搬送設備、第2エリア内搬送設備、及び、複数の接続搬送設備のそれぞれの搬送状況情報に基づき、出発地点から目的地点までの全体経路を設定することができる。このような構成とは異なり、出発地点側の第1エリアにおける対象物品の搬送経路を、第2エリア内搬送設備や接続搬送設備の搬送状況情報を考慮せずに設定する場合には、第1エリアにおける対象物品の搬送経路を適切なものとすることはできても、例えば、目的地点側の第2エリアにおける対象物品の搬送経路が渋滞エリア(混雑エリア)を通過する経路となること、出発地点から目的地点までの搬送経路の全長が長くなり過ぎること、或いは、搬送待ちの他物品が多い接続搬送設備が使用されること等によって、出発地点から目的地点までの全体経路が適切なものとはならないおそれがある。これに対して、本構成では、第1エリア内搬送設備、第2エリア内搬送設備、及び、複数の接続搬送設備のそれぞれの搬送状況情報を考慮して全体経路を設定することができるため、全体経路を適切な経路としやすい。
【0008】
ところで、渋滞等の時間的に変化する搬送状況を考慮した場合、各エリアでの対象物品の搬送が行われる前に、当該エリアに設けられた搬送設備における他物品の搬送状況が変化し得る。そして、全体経路の設定時からの当該搬送状況の変化は、対象物品の搬送が後で行われる第2エリアの方が第1エリアに比べて大きくなりやすい。この点に関して、本構成によれば、第2エリア内搬送制御において、第2エリア内搬送設備の搬送状況情報に基づいて目的地点までの部分経路が設定され、当該部分経路に従って対象物品が搬送される。よって、第2エリアでの対象物品の搬送が行われる前に、第2エリア内搬送設備における他物品の搬送状況が変化している場合であっても、第2エリアでの対象物品の搬送経路を適切な経路としやすい。
【0009】
以上のように、本構成によれば、互いに異なる制御部によって搬送設備の動作制御が行われる第1エリアと第2エリアとの間で対象物品を搬送する場合に、各エリアでの対象物品の搬送経路を適切な経路とすることが可能となっている。また、本構成によれば、対象物品が第2受渡位置に到着してから当該対象物品に対する第2エリア内搬送制御が開始されるまでの時間を短く抑えて、対象物品の搬送効率の向上を図ることができる。
【0010】
搬送システムの更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る搬送設備を簡略化して示す斜視図
図2】全体経路及び部分経路の説明図
図3】搬送システムの制御ブロック図
図4】エリア間搬送の制御フロー図
図5】その他の実施形態に係る搬送設備を簡略化して示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
搬送システムの実施形態について、図面を参照して説明する。搬送システム100は、複数の搬送物品W(図1参照)を搬送するシステムである。搬送システム100は、図1に例示するような搬送設備(搬送物品Wを搬送する設備)に適用される。搬送物品Wの種類はこれに限定されないが、搬送物品Wは、例えば、半導体ウェハを収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)とされる。
【0013】
図1に示すように、搬送システム100は、複数の搬送経路Pを形成する第1エリア内搬送設備1が設けられた第1エリアA1と、複数の搬送経路Pを形成する第2エリア内搬送設備2が設けられた第2エリアA2と、第1エリアA1内に設けられた第1受渡位置31と第2エリアA2内に設けられた第2受渡位置32とを接続する搬送経路P(図2参照)をそれぞれ形成する複数の接続搬送設備3と、を備えている。第1エリアA1と第2エリアA2とは直接接続されていない。すなわち、第1エリアA1内の搬送経路P(第1エリア内搬送設備1が形成する搬送経路P)と第2エリアA2内の搬送経路P(第2エリア内搬送設備2が形成する搬送経路P)とは直接接続されておらず、第1エリアA1内の搬送経路Pと第2エリアA2内の搬送経路Pとは、接続搬送設備3が形成する搬送経路Pを介して接続されている。第1受渡位置31では、第1エリア内搬送設備1と接続搬送設備3との間で搬送物品Wが移載され、第2受渡位置32では、第2エリア内搬送設備2と接続搬送設備3との間で搬送物品Wが移載される。このように、第1エリアA1と第2エリアA2との間での搬送物品Wの搬送には、異なる搬送設備の間での搬送物品Wの移載が必要となっている。図1及び図2に示す例では、搬送システム100は、3つの接続搬送設備3を備えている。搬送システム100は、複数の搬送経路Pを形成するエリア内搬送設備が設けられたエリアを3つ以上備えていてもよい。
【0014】
第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び接続搬送設備3のそれぞれは、例えば、搬送車によって搬送物品Wを搬送する設備、ベルトコンベヤ等のコンベヤによって搬送物品Wを搬送する設備、リフタによって搬送物品Wを搬送する設備、或いはこれらを組み合わせた設備等の、あらゆる形態の搬送設備とすることができる。図1に示すように、本実施形態では、第1エリア内搬送設備1は、第1搬送車41によって搬送物品Wを搬送する設備であり、第2エリア内搬送設備2は、第2搬送車42によって搬送物品Wを搬送する設備である。第1搬送車41及び第2搬送車42は、搬送物品Wを保持した状態で走行することで、搬送物品Wを搬送する。第1エリアA1内の搬送経路Pは、第1搬送車41の走行経路によって形成され、第2エリアA2内の搬送経路Pは、第2搬送車42の走行経路によって形成される。第1エリアA1内の走行経路と第2エリアA2内の走行経路とは直接接続されておらず、本実施形態では、第1搬送車41が第2エリアA2内の走行経路に乗り入れることはなく、第2搬送車42が第1エリアA1内の走行経路に乗り入れることもない。なお、接続搬送設備3が、第1搬送車41や第2搬送車42を搬送車ごと搬送する設備(例えば、搬送車を昇降させる装置を備えた設備)である場合には、搬送車が別のエリア内の走行経路に乗り入れる場合もある。第1搬送車41及び第2搬送車42は、例えば、天井に沿って形成された走行経路に沿って走行する天井搬送車とされ、或いは、床に沿って形成された走行経路に沿って走行する床上搬送車とされる。なお、走行経路は、レール等によって物理的に形成されても、仮想的に設定されてもよい。
【0015】
図1に示すように、本実施形態では、第1エリアA1と第2エリアA2とは、同じ建物60における異なるフロア70に分かれて設定されており、接続搬送設備3は、搬送物品Wを同じ建物60における異なるフロア70間で搬送する階間搬送設備である。すなわち、本実施形態では、接続搬送設備3は、リフタによって搬送物品Wを搬送する設備である。リフタは、搬送物品Wを保持して昇降する昇降体43と、昇降体43を昇降させる機構(例えば、ベルトを巻き取り又は繰り出すことで昇降体43を昇降させる機構)とを備えている。第1受渡位置31と第2受渡位置32とを接続する搬送経路Pは、昇降体43の昇降経路によって形成される。
【0016】
本実施形態では、第1受渡位置31及び第2受渡位置32のそれぞれには、昇降体43の昇降空間を内部に形成する区画体を貫通する状態で(すなわち、区画体の内部と外部とに亘って)、コンベヤ等の入出搬送装置が設けられている。第1受渡位置31に設けられた入出搬送装置は、区画体の外部において第1搬送車41から受け取った搬送物品Wを、区画体の外部から内部に搬送して昇降体43に渡し、第2受渡位置32に設けられた入出搬送装置は、区画体の内部において昇降体43から受け取った搬送物品Wを、区画体の内部から外部に搬送して第2搬送車42に渡す。第1搬送車41や第2搬送車42等の搬送車と入出搬送装置との間での搬送物品Wの移載は、例えば搬送車に設けられた移載装置によって行われ、昇降体43と入出搬送装置との間での搬送物品Wの移載は、例えば昇降体43に設けられた移載装置によって行われる。
【0017】
後述するように、この搬送システム100は、1つのエリア内の出発地点X1から他のエリア内の目的地点X2まで対象物品を搬送するエリア間搬送を行う場合の制御内容に特徴を有している。本明細書では、複数の搬送物品Wのうちの1つを「対象物品」とし、残りを「他物品」と称する。対象物品は、エリア間搬送の対象となっている搬送物品Wであり、いずれの搬送物品Wも対象物品となり得る。上述した第1エリアA1は、搬送システム100が備える複数のエリアのうちの出発地点X1が存在するエリアであり、上述した第2エリアA2は、搬送システム100が備える複数のエリアのうちの目的地点X2が存在するエリアである。このように第1エリアA1及び第2エリアA2を定義しているため、搬送システム100が備える複数のエリアのそれぞれは、第1エリアA1及び第2エリアA2のいずれともなり得る。
【0018】
図1に示す例では、建物60が、上層フロア71及び下層フロア72(上層フロア71よりも下層のフロア70)を含む複数のフロア70を備えており、図1では、上層フロア71に存在する出発地点X1から下層フロア72に存在する目的地点X2まで搬送物品Wを搬送する場面を想定している。そのため、上層フロア71内のエリアが第1エリアA1となり、下層フロア72内のエリアが第2エリアA2となっている。言い換えれば、上層フロア71に第1エリアA1が設定され、下層フロア72に第2エリアA2が設定されている。これとは逆に、下層フロア72に存在する出発地点X1から上層フロア71に存在する目的地点X2まで搬送物品Wを搬送する場面では、下層フロア72内のエリアが第1エリアA1となり、上層フロア71内のエリアが第2エリアA2となる。
【0019】
第1エリア内搬送設備1や第2エリア内搬送設備2が形成する複数の搬送経路Pは、図2に模式的に示すように、ノードNとノードN間を接続するリンクLとを用いて表すことができる。ノードNは、経路が分岐又は合流する地点等の特定の地点に対応し、リンクLは、特定の地点間を接続する経路部分に対応する。第1エリア内搬送設備1や第2エリア内搬送設備2が複数の搬送経路Pを形成するのに対して、本実施形態では、図2に模式的に示すように、複数の接続搬送設備3(図2に示す例では、3つの接続搬送設備3)のそれぞれは、第1受渡位置31と第2受渡位置32とを接続する1つの搬送経路Pを形成している。なお、後述するように、複数の接続搬送設備3のうちの1つが対象接続搬送設備3aであり、残りが非対象接続搬送設備3bである(図1参照)。
【0020】
図3に示すように、搬送システム100は、第1エリア制御部51と、第2エリア制御部52と、接続制御部53と、管理制御部50と、を備えている。管理制御部50は、第1エリア制御部51、第2エリア制御部52、及び接続制御部53を管理する。これら複数の制御部は、互いに情報の受け渡しを行うことが可能に構成されている。また、これら複数の制御部のそれぞれの機能は、演算処理部及び記憶部を備えたハードウェアと、このハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。なお、搬送システム100が備えるこれらの制御部は、少なくとも論理的に区別されるものであり、物理的には必ずしも区別される必要はない。すなわち、これら複数の制御部は、それぞれ別のハードウェア(例えば、演算処理部及び記憶部を備えたコンピュータ)に分かれて設けられても、少なくとも一部の制御部が同じハードウェアに設けられてもよい。例えば、第1エリア制御部51と第2エリア制御部52と接続制御部53とが、3つのハードウェアに分かれて設けられる場合に、管理制御部50が第1エリア制御部51と同じハードウェアに設ける構成とし、或いは、管理制御部50がこれら3つのハードウェアとは別のハードウェアに設けられる構成とすることができる。
【0021】
第1エリア制御部51は、第1エリア内搬送設備1を制御し、搬送物品Wを、第1エリアA1内の複数の搬送経路Pの中から選択した経路に従って搬送する。本実施形態では、第1エリア制御部51は、第1エリア内搬送設備1が備える第1搬送車41を制御し、搬送物品Wが選択した経路に従って搬送されるように、当該搬送物品Wを保持した状態の第1搬送車41を走行させる。また、第2エリア制御部52は、第2エリア内搬送設備2を制御し、搬送物品Wを、第2エリアA2内の複数の搬送経路Pの中から選択した経路に従って搬送する。本実施形態では、第2エリア制御部52は、第2エリア内搬送設備2が備える第2搬送車42を制御し、搬送物品Wが選択した経路に従って搬送されるように、当該搬送物品Wを保持した状態の第2搬送車42を走行させる。
【0022】
接続制御部53は、複数の接続搬送設備3のそれぞれを制御し、搬送物品Wを、第1受渡位置31と第2受渡位置32との間で搬送する。本実施形態では、接続制御部53は、接続搬送設備3が備える昇降体43の昇降機構を制御し、搬送物品Wが第1受渡位置31と第2受渡位置32との間で搬送されるように、当該搬送物品Wを保持した状態の昇降体43を昇降させる。なお、接続制御部53は、全ての接続搬送設備3を制御する1つの制御部によって構成されても、互いに異なる接続搬送設備3を制御する複数の制御部(少なくとも論理的に区別される複数の制御部)の集合によって構成されてもよい。後者の場合、これら複数の制御部は、それぞれ別のハードウェアに分かれて設けられても、少なくとも一部の制御部が同じハードウェアに設けられてもよい。また、接続制御部53は、互いに異なる接続搬送設備3を制御する複数の制御部のうちの1つであってもよい。
【0023】
この搬送システム100では、第1エリアA1内の出発地点X1から第2エリアA2内の目的地点X2まで対象物品を搬送するエリア間搬送を行う場合、図4に示すように、管理制御部50が経路設定制御を実行し(ステップ#01)、第1エリア制御部51が第1エリア内搬送制御を実行し(ステップ#02)、接続制御部53が接続搬送制御を実行し(ステップ#03)、第2エリア制御部52が第2エリア内搬送制御を実行する(ステップ#04)。なお、出発地点X1(対象物品の搬送元)や目的地点X2(対象物品の搬送先)は、例えば、搬送物品W(或いは、搬送物品Wに収容された収容物)を処理対象とする処理装置のロードポートや、搬送物品Wを保管する保管装置の保管棚とされる。
【0024】
経路設定制御は、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のそれぞれにおける他物品の搬送状況を示す搬送状況情報90を取得し、当該搬送状況情報90に基づいて出発地点X1から目的地点X2までの全体経路R1(図1及び図2参照)を設定する制御である。図3に示すように、管理制御部50は、第1エリア制御部51から第1エリア内搬送設備1の搬送状況情報90を取得し、第2エリア制御部52から第2エリア内搬送設備2の搬送状況情報90を取得し、接続制御部53から接続搬送設備3の搬送状況情報90を取得する。第1エリア制御部51、第2エリア制御部52、及び接続制御部53のそれぞれは、制御対象の搬送設備から送信される情報(例えば、搬送物品Wの搬送動作の進捗状況や完了の情報)を当該搬送設備の搬送状況情報90として取得し、取得した搬送状況情報90を管理制御部50に送信する。
【0025】
本実施形態では、搬送状況情報90は、他物品の現在の搬送状況を示す情報とされる。なお、搬送状況情報90は、他物品の搬送状況を直接的に示す情報(例えば、他物品の位置の情報や、他物品が搬送中であるか否かの情報)であっても、他物品の搬送状況を間接的に示す情報(例えば、搬送経路Pの混雑状況の情報や、第1受渡位置31や第2受渡位置32の混雑状況の情報、或いは、搬送設備の動作状況の情報)であってもよい。搬送設備の動作状況の情報は、例えば、搬送物品Wを搬送する搬送体(本実施形態では、第1搬送車41、第2搬送車42、又は昇降体43)の位置の情報や、当該搬送体の故障の有無の情報等とされる。
【0026】
この搬送システム100では、経路設定制御において、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のそれぞれの搬送状況情報90に基づき全体経路R1を設定することができるため、全体経路R1を適切な経路としやすい。この点について図1を参照して説明すると、図1では、搬送経路Pが他物品で混雑しているエリアである渋滞エリア80が、第2エリアA2に存在している状況を想定している。このような状況において、仮に第2エリア内搬送設備2の搬送状況情報90を考慮せずに、比較経路R3のように出発地点X1に最も近い接続搬送設備3を含むように出発地点X1から目的地点X2までの経路を設定すると、第2エリアA2において渋滞エリア80を通過する経路となり、出発地点X1から目的地点X2までの対象物品の搬送時間が長くなるおそれがある。
【0027】
これに対して、この搬送システム100では、第2エリア内搬送設備2の搬送状況情報90を考慮して全体経路R1を設定することができるため、図1に示す全体経路R1のように渋滞エリア80を避けるように出発地点X1から目的地点X2までの経路を設定することができる。また、例えば、第1受渡位置31又は第2受渡位置32が他物品で混雑している接続搬送設備3が存在する場合には、接続搬送設備3の搬送状況情報90を考慮して全体経路R1を設定することで、当該接続搬送設備3とは別の接続搬送設備3を含むように出発地点X1から目的地点X2までの経路を設定することができる。すなわち、複数の接続搬送設備3のそれぞれの搬送状況情報90を考慮することで、対象物品の搬送効率の向上の観点から好適な接続搬送設備3を利用する全体経路R1を設定することができる。
【0028】
本実施形態では、経路設定制御では、管理制御部50は、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のそれぞれにおける、各搬送経路Pの重み(重み係数、コスト)を示す重み情報92を更に取得し(図3参照)、当該重み情報92にも基づいて全体経路R1を設定するように構成されている。予め設定された各搬送経路Pの重みを示す重み情報92が記憶装置(例えば管理制御部50が備える記憶装置、図示せず)に格納されており、管理制御部50は当該記憶装置を参照して各搬送経路Pの重み情報92を取得する。第1エリア内搬送設備1や第2エリア内搬送設備2が形成する搬送経路Pについては、リンクL毎に重み(リンクコスト)が設定されている。また、第1受渡位置31や第2受渡位置32を含めて接続搬送設備3が形成する搬送経路Pの重みが設定されている。本実施形態では、接続搬送設備3は複数の第1受渡位置31(具体的には、2つの第1受渡位置31)と複数の第2受渡位置32(具体的には、2つの第2受渡位置32)とを備えており、接続搬送設備3が形成する搬送経路Pの重みは、搬送物品Wの搬送元及び搬送先となる第1受渡位置31と第2受渡位置32との組み合わせに応じて異なる値に設定され得る。
【0029】
図3に示すように、本実施形態では、管理制御部50は、第1エリア内搬送設備1が形成する搬送経路Pの重み情報92を、第1エリア制御部51から取得し、第2エリア内搬送設備2が形成する搬送経路Pの重み情報92を、第2エリア制御部52から取得することが可能に構成されている。管理制御部50が、接続搬送設備3が形成する搬送経路Pの重み情報92を、接続制御部53から取得することが可能な構成とすることもできる。
【0030】
搬送経路Pの重みは、例えば、搬送経路Pの長さ(第1エリア内搬送設備1や第2エリア内搬送設備2が形成する搬送経路Pについては、リンクLに対応する経路部分の長さ)、過去の搬送状況情報90に基づく学習によって得られる搬送経路Pの平均的な通行所要時間、過去の搬送状況情報90に基づく学習によって得られる搬送経路Pの平均的な混雑度、或いはこれらの組み合わせ等を考慮して設定することができる。搬送経路Pの長さを考慮して重みを設定する場合には、搬送経路Pの長さが長くなるに従って大きくなるように重みが設定される。また、搬送経路Pの平均的な通行所要時間を考慮して重みを設定する場合には、当該通行所要時間が長くなるに従って大きくなるように重みが設定される。また、搬送経路Pの平均的な混雑度を考慮して重みを設定する場合には、当該混雑度が高くなるに従って大きくなるように重みが設定される。なお、学習によって得られる情報に基づく搬送経路Pの重みの設定は、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のうちの、一部の搬送設備(例えば、第1エリア内搬送設備1及び第2エリア内搬送設備2)についてのみ行い、或いは、全ての搬送設備について行ってもよい。
【0031】
複数の搬送物品Wを搬送方向に並べて配置することが可能な長さを有するコンベヤが、第1受渡位置31や第2受渡位置32に設けられる場合には、第1受渡位置31や第2受渡位置32に滞留する搬送物品Wの数量に応じて、接続搬送設備3が形成する搬送経路Pの重みが変化し得る。この点を考慮して、接続搬送設備3が形成する搬送経路Pの重みが、第1受渡位置31や第2受渡位置32に滞留する搬送物品Wの数量を考慮して設定される構成としてもよい。第1受渡位置31や第2受渡位置32には、最大で、当該受渡位置におけるバッファ数(搬送物品Wの最大収容数)の搬送物品Wが滞留し得る。そのため、例えば、第1受渡位置31や第2受渡位置32のバッファ数が大きくなるに従って大きくなるように、接続搬送設備3が形成する搬送経路Pの重みを設定することができる。
【0032】
本実施形態では、経路設定制御では、管理制御部50は、対象物品を出発地点X1から目的地点X2まで搬送するのに要する所要時間の予測値が最短となる経路を全体経路R1に設定するように構成されている。所要時間の予測値が最短となる経路は、例えば、出発地点X1から目的地点X2までの候補経路のうちの、経路コストが最小となる経路とすることができる。経路コストが最小となる経路は、例えばダイクストラ法によって求めることができる。ここで、経路コストは、対象物品を出発地点X1から目的地点X2まで搬送するのに要する所要時間の予測値を表すコストである。経路コストは、候補経路に含まれる全ての搬送経路Pに設定された重みを加算することで得られる。この際、搬送状況情報90に基づき搬送経路Pの重みを補正することで、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のそれぞれの搬送状況を経路コストに反映させて、全体経路R1を設定することができる。
【0033】
本実施形態では、経路設定制御では、管理制御部50は、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のそれぞれにおける、過去の搬送状況情報90に基づいて予想される将来の他物品の搬送状況を示す予想搬送状況情報91を更に取得し(図3参照)、当該予想搬送状況情報91にも基づいて全体経路R1を設定するように構成されている。予想搬送状況情報91は、例えば、搬送状況情報90と同じ種類の情報(但し、他物品の現在の搬送状況ではなく他物品の将来の搬送状況である点で異なる)とすることができる。予想搬送状況情報91が管理制御部50によって生成される場合には、管理制御部50は、自身で生成した予想搬送状況情報91を取得する。予想搬送状況情報91の生成は、過去の搬送状況情報90(例えば、現在までの搬送状況情報90)に加えて、他物品に設定されている搬送経路(搬送元から搬送先までの経路)にも基づいて行われてもよい。上述したように、本実施形態では、経路コストが最小となる経路が全体経路R1として設定される。よって、予想搬送状況情報91に基づき搬送経路Pの重みを補正することで、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のそれぞれの将来予想される搬送状況を経路コストに反映させて、全体経路R1を設定することができる。
【0034】
なお、管理制御部50が、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、接続搬送設備3のそれぞれにおける予想搬送状況情報91を、自身で計算して取得する構成に代えて、管理制御部50が、第1エリア内搬送設備1における予想搬送状況情報91を第1エリア制御部51から取得し、第2エリア内搬送設備2における予想搬送状況情報91を第2エリア制御部52から取得し、接続搬送設備3における予想搬送状況情報91を接続制御部53から取得する構成とすることもできる。この場合、第1エリア内搬送設備1における予想搬送状況情報91は、第1エリア制御部51により計算されて管理制御部50に送信され、第2エリア内搬送設備2における予想搬送状況情報91は、第2エリア制御部52により計算されて管理制御部50に送信され、接続搬送設備3における予想搬送状況情報91は、接続制御部53により計算されて管理制御部50に送信される。
【0035】
図4に示すように、管理制御部50が経路設定制御を実行した後、第1エリア制御部51が第1エリア内搬送制御を実行する。ここで、複数の接続搬送設備3のうちの全体経路R1に含まれるものを対象接続搬送設備3aとし、それ以外のものを非対象接続搬送設備3bとする。第1エリア内搬送制御は、出発地点X1から対象接続搬送設備3aの第1受渡位置31まで対象物品を搬送するように、第1エリア内搬送設備1を動作させる制御である。本実施形態では、第1エリア内搬送制御では、出発地点X1から対象接続搬送設備3aの第1受渡位置31まで対象物品が搬送されるように、対象物品を保持した状態の第1搬送車41の走行動作を制御する。また、本実施形態では、複数の接続搬送設備3のそれぞれが、複数の第1受渡位置31を備えており、対象物品は、複数の第1受渡位置31のうちの全体経路R1に含まれる第1受渡位置31に搬送される。
【0036】
本実施形態では、第1エリア内搬送制御では、全体経路R1に従って出発地点X1から対象接続搬送設備3aの第1受渡位置31まで対象物品を搬送するように、第1エリア内搬送設備1を動作させる。このような構成とは異なり、第1エリア内搬送制御において、第1エリア制御部51が、第1エリア内搬送設備1の搬送状況情報90を取得し、当該搬送状況情報90に基づいて出発地点X1から対象接続搬送設備3aの第1受渡位置31までの経路(以下、「再設定経路」という)を設定し、当該再設定経路に従って、出発地点X1から対象接続搬送設備3aの第1受渡位置31まで対象物品を搬送するように、第1エリア内搬送設備1を動作させる構成とすることもできる。再設定経路は、第2エリア内搬送設備2や接続搬送設備3の情報(具体的には、搬送状況情報90、予想搬送状況情報91、及び重み情報92)を考慮しない点を除いて、全体経路R1と同様に設定することができる。
【0037】
再設定経路は、全体経路R1における出発地点X1と対象接続搬送設備3aの第1受渡位置31との間の部分と、同じ経路に設定される場合も、少なくとも一部が異なる経路に設定される場合もあるが、後者の場合であっても、再設定経路は、対象接続搬送設備3aを含むように設定される。本実施形態では、複数の接続搬送設備3のそれぞれが、複数の第1受渡位置31を備えている。この場合、全体経路R1に含まれる第1受渡位置31とは異なる第1受渡位置31を含むように再設定経路を設定することが、許容される構成とすることも、許容されない構成とすることもできる。前者の構成の場合、第1エリア制御部51は、対象接続搬送設備3aが備える複数の第1受渡位置31のそれぞれにおける他物品の搬入出状況を示す情報を、対象接続搬送設備3aから取得し、当該情報に基づいて、第1エリア内搬送制御による対象物品の搬送先を複数の第1受渡位置31の中から選択する。
【0038】
図4に示すように、第1エリア制御部51が第1エリア内搬送制御を実行した後、接続制御部53が接続搬送制御を実行する。接続搬送制御は、対象接続搬送設備3aの第1受渡位置31から第2受渡位置32(当該対象接続搬送設備3aの第2受渡位置32)まで対象物品を搬送するように、対象接続搬送設備3aを動作させる制御である。本実施形態では、接続搬送制御では、第1受渡位置31から第2受渡位置32まで対象物品が搬送されるように、対象物品を保持した状態の昇降体43の昇降動作を制御する。
【0039】
本実施形態では、複数の接続搬送設備3のそれぞれが、複数の第2受渡位置32を備えている。そして、本実施形態では、接続制御部53は、対象接続搬送設備3aが備える複数の第2受渡位置32のそれぞれにおける他物品の搬入出状況を示す搬入出状況情報94を取得し(図3参照)、当該搬入出状況情報94に基づいて、接続搬送制御による対象物品の搬送先を複数の第2受渡位置32の中から選択するように構成されている。接続制御部53は、対象接続搬送設備3aから搬入出状況情報94を取得する。例えば、接続制御部53が、複数の第2受渡位置32のうちの他物品の配置数が最も少ない第2受渡位置32を、接続搬送制御による対象物品の搬送先として選択する構成とすることができる。接続制御部53が選択した第2受渡位置32が、全体経路R1に含まれる第2受渡位置32と異なる場合、以下に述べる部分経路R2は、全体経路R1における第2受渡位置32と目的地点X2との間の部分と、少なくとも一部が異なる経路に設定される。
【0040】
図4に示すように、接続制御部53が接続搬送制御を実行した後、第2エリア制御部52が第2エリア内搬送制御を実行する。第2エリア内搬送制御は、第2エリア内搬送設備2の搬送状況情報90を取得し、当該搬送状況情報90に基づいて対象接続搬送設備3aの第2受渡位置32(本実施形態では、接続制御部53により選択された第2受渡位置32)から目的地点X2までの部分経路R2を設定し、当該部分経路R2に従って、対象接続搬送設備3aの第2受渡位置32から目的地点X2まで対象物品を搬送するように、第2エリア内搬送設備2を動作させる制御である。本実施形態では、第2エリア内搬送制御では、対象接続搬送設備3aの第2受渡位置32から目的地点X2まで対象物品が搬送されるように、対象物品を保持した状態の第2搬送車42の走行動作を制御する。部分経路R2は、第1エリア内搬送設備1や接続搬送設備3の情報(具体的には、搬送状況情報90、予想搬送状況情報91、及び重み情報92)を考慮しない点を除いて、全体経路R1と同様に設定することができる。なお、部分経路R2は、全体経路R1における第2受渡位置32と目的地点X2との間の部分と、同じ経路に設定される場合も、少なくとも一部が異なる経路に設定される場合もある。図1は前者の場合の一例を示し、図2は後者の場合の一例を示している。
【0041】
本実施形態では、接続制御部53が、接続搬送制御の実行による対象物品の第2受渡位置32への到着前に、対象物品の第2受渡位置32への到着予定を示す到着予定情報93を第2エリア制御部52に伝達し(図3参照)、第2エリア制御部52が、到着予定情報93に基づいて、第2エリア内搬送制御の準備を開始するように構成されている。本実施形態では、第2エリア内搬送制御の準備は、搬送物品Wを保持していない状態の第2搬送車42を第2受渡位置32に配置することであり、第2エリア制御部52は、対象物品の第2受渡位置32への到着に合わせて或いはそれ以前に第2搬送車42が第2受渡位置32に配置されるように、第2搬送車42の走行動作を制御する。
【0042】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送システムのその他の実施形態について説明する。
【0043】
(1)上記の実施形態では、第1エリアA1と第2エリアA2とが同じ建物60における異なるフロア70に分かれて設定され、接続搬送設備3が階間搬送設備である構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、図5に示す例のように、第1エリアA1と第2エリアA2とが、異なる建物60に分かれて設定されてもよい。図5に示す例では、第1建物61に第1エリアA1が設定され、第1建物61とは別の建物60である第2建物62に第2エリアA2が設定されている。この場合、接続搬送設備3は、搬送物品Wを異なる建物60間で搬送する建物間搬送設備とされる。建物間搬送設備は、例えば、コンベヤによって搬送物品Wを搬送する設備とされる。
【0044】
(2)上記の実施形態では、接続制御部53が、接続搬送制御の実行による対象物品の第2受渡位置32への到着前に到着予定情報93を第2エリア制御部52に伝達し、第2エリア制御部52が、到着予定情報93に基づいて、第2エリア内搬送制御の準備を開始する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、接続搬送制御の実行による対象物品の第2受渡位置32への到着に合わせて接続制御部53から管理制御部50又は第2エリア制御部52に送信される情報に応じて、第2エリア制御部52が第2エリア内搬送制御の準備を開始する構成とすることもできる。
【0045】
(3)上記の実施形態では、管理制御部50が、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のそれぞれの予想搬送状況情報91に基づいて、全体経路R1を設定する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、管理制御部50が、接続搬送設備3の予想搬送状況情報91に基づかず、第1エリア内搬送設備1及び第2エリア内搬送設備2のそれぞれの予想搬送状況情報91に基づいて全体経路R1を設定する構成とすることや、管理制御部50がいずれの搬送設備の予想搬送状況情報91にも基づかずに全体経路R1を設定する構成とすることもできる。
【0046】
(4)上記の実施形態では、管理制御部50が、第1エリア内搬送設備1、第2エリア内搬送設備2、及び、複数の接続搬送設備3のそれぞれの重み情報92に基づいて、全体経路R1を設定する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、管理制御部50が、接続搬送設備3の重み情報92に基づかず、第1エリア内搬送設備1及び第2エリア内搬送設備2のそれぞれの重み情報92に基づいて全体経路R1を設定する構成とすることもできる。
【0047】
(5)上記の実施形態では、接続制御部53が、対象接続搬送設備3aが備える複数の第2受渡位置32のそれぞれの搬入出状況情報94を取得し、当該搬入出状況情報94に基づいて、接続搬送制御による対象物品の搬送先を複数の第2受渡位置32の中から選択する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、接続搬送制御による対象物品の搬送先が、全体経路R1に含まれる第2受渡位置32に固定される構成とすることもできる。
【0048】
(6)上記の実施形態では、接続搬送設備3が複数の第1受渡位置31と複数の第2受渡位置32とを備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、接続搬送設備3が第1受渡位置31を1つのみ備える構成、接続搬送設備3が第2受渡位置32を1つのみ備える構成、或いは、これらを組み合わせた構成とすることもできる。
【0049】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0050】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送システムの概要について説明する。
【0051】
複数の搬送物品を搬送する搬送システムであって、複数の搬送経路を形成する第1エリア内搬送設備が設けられた第1エリアと、前記第1エリア内搬送設備を制御し、前記搬送物品を、前記第1エリア内の複数の前記搬送経路の中から選択した経路に従って搬送する第1エリア制御部と、複数の搬送経路を形成する第2エリア内搬送設備が設けられた第2エリアと、前記第2エリア内搬送設備を制御し、前記搬送物品を、前記第2エリア内の複数の前記搬送経路の中から選択した経路に従って搬送する第2エリア制御部と、前記第1エリア内に設けられた第1受渡位置と前記第2エリア内に設けられた第2受渡位置とを接続する搬送経路をそれぞれ形成する複数の接続搬送設備と、複数の前記接続搬送設備のそれぞれを制御し、前記搬送物品を、前記第1受渡位置と前記第2受渡位置との間で搬送する接続制御部と、前記第1エリア制御部、前記第2エリア制御部、及び前記接続制御部を管理する管理制御部と、を備え、複数の前記搬送物品のうちの1つを対象物品とし、残りを他物品として、前記第1エリア内の出発地点から前記第2エリア内の目的地点まで前記対象物品を搬送するエリア間搬送を行う場合、前記管理制御部が経路設定制御を実行し、前記第1エリア制御部が第1エリア内搬送制御を実行し、前記接続制御部が接続搬送制御を実行し、前記第2エリア制御部が第2エリア内搬送制御を実行し、前記経路設定制御は、前記第1エリア内搬送設備、前記第2エリア内搬送設備、及び、複数の前記接続搬送設備のそれぞれにおける前記他物品の搬送状況を示す搬送状況情報を取得し、当該搬送状況情報に基づいて前記出発地点から前記目的地点までの全体経路を設定する制御であり、複数の前記接続搬送設備のうちの前記全体経路に含まれるものを対象接続搬送設備として、前記第1エリア内搬送制御は、前記出発地点から前記対象接続搬送設備の前記第1受渡位置まで前記対象物品を搬送するように、前記第1エリア内搬送設備を動作させる制御であり、前記接続搬送制御は、前記対象接続搬送設備の前記第1受渡位置から前記第2受渡位置まで前記対象物品を搬送するように、前記対象接続搬送設備を動作させる制御であり、前記第2エリア内搬送制御は、前記第2エリア内搬送設備の前記搬送状況情報を取得し、当該搬送状況情報に基づいて前記対象接続搬送設備の前記第2受渡位置から前記目的地点までの部分経路を設定し、当該部分経路に従って、前記対象接続搬送設備の前記第2受渡位置から前記目的地点まで前記対象物品を搬送するように、前記第2エリア内搬送設備を動作させる制御である。
【0052】
本構成によれば、第1エリア内の出発地点から第2エリア内の目的地点まで対象物品を搬送するエリア間搬送を行う場合に、第1エリア内搬送設備、第2エリア内搬送設備、及び、複数の接続搬送設備のそれぞれの搬送状況情報に基づき、出発地点から目的地点までの全体経路を設定することができる。このような構成とは異なり、出発地点側の第1エリアにおける対象物品の搬送経路を、第2エリア内搬送設備や接続搬送設備の搬送状況情報を考慮せずに設定する場合には、第1エリアにおける対象物品の搬送経路を適切なものとすることはできても、例えば、目的地点側の第2エリアにおける対象物品の搬送経路が渋滞エリア(混雑エリア)を通過する経路となること、出発地点から目的地点までの搬送経路の全長が長くなり過ぎること、或いは、搬送待ちの他物品が多い接続搬送設備が使用されること等によって、出発地点から目的地点までの全体経路が適切なものとはならないおそれがある。これに対して、本構成では、第1エリア内搬送設備、第2エリア内搬送設備、及び、複数の接続搬送設備のそれぞれの搬送状況情報を考慮して全体経路を設定することができるため、全体経路を適切な経路としやすい。
【0053】
ところで、渋滞等の時間的に変化する搬送状況を考慮した場合、各エリアでの対象物品の搬送が行われる前に、当該エリアに設けられた搬送設備における他物品の搬送状況が変化し得る。そして、全体経路の設定時からの当該搬送状況の変化は、対象物品の搬送が後で行われる第2エリアの方が第1エリアに比べて大きくなりやすい。この点に関して、本構成によれば、第2エリア内搬送制御において、第2エリア内搬送設備の搬送状況情報に基づいて目的地点までの部分経路が設定され、当該部分経路に従って対象物品が搬送される。よって、第2エリアでの対象物品の搬送が行われる前に、第2エリア内搬送設備における他物品の搬送状況が変化している場合であっても、第2エリアでの対象物品の搬送経路を適切な経路としやすい。
【0054】
以上のように、本構成によれば、互いに異なる制御部によって搬送設備の動作制御が行われる第1エリアと第2エリアとの間で対象物品を搬送する場合に、各エリアでの対象物品の搬送経路を適切な経路とすることが可能となっている。
【0055】
ここで、前記接続制御部は、前記接続搬送制御の実行による前記対象物品の前記第2受渡位置への到着前に、前記対象物品の前記第2受渡位置への到着予定を示す到着予定情報を前記第2エリア制御部に伝達し、前記第2エリア制御部は、前記到着予定情報に基づいて、前記第2エリア内搬送制御の準備を開始すると好適である。
【0056】
本構成によれば、対象物品が第2受渡位置に到着してから当該対象物品に対する第2エリア内搬送制御が開始されるまでの時間を短く抑えて、対象物品の搬送効率の向上を図ることができる。
【0057】
また、複数の前記接続搬送設備のそれぞれが、複数の前記第2受渡位置を備え、前記接続制御部は、前記対象接続搬送設備が備える複数の前記第2受渡位置のそれぞれにおける前記他物品の搬入出状況を示す搬入出状況情報を取得し、当該搬入出状況情報に基づいて、前記接続搬送制御による前記対象物品の搬送先を複数の前記第2受渡位置の中から選択すると好適である。
【0058】
本構成によれば、接続搬送設備が複数の第2受渡位置を備える場合に、第2受渡位置のそれぞれの搬入出状況情報を考慮して、対象物品の搬送先となる第2受渡位置を選択することができる。そのため、第2受渡位置から第2エリア内搬送設備への対象物品の受け渡し効率の向上を図ることができる。
【0059】
また、前記経路設定制御では、前記第1エリア内搬送設備及び前記第2エリア内搬送設備のそれぞれにおける、各搬送経路の重みを示す重み情報を更に取得し、当該重み情報にも基づいて前記全体経路を設定すると好適である。
【0060】
本構成によれば、全体経路の候補が複数存在する場合に、候補となる複数の経路を重みに基づき定量的に比較して、全体経路を適切に設定することができる。例えば、各搬送経路の長さ、平均的な通行所要時間、平均的な混雑度等に応じて重みを設定した場合、平均的に短い所要時間で目的地点まで到達できるような全体経路を設定することが可能となる。
【0061】
上記のように、前記経路設定制御では、前記第1エリア内搬送設備及び前記第2エリア内搬送設備のそれぞれにおける前記重み情報にも基づいて前記全体経路を設定する構成において、前記経路設定制御では、複数の前記接続搬送設備のそれぞれにおける前記重み情報を更に取得し、当該重み情報にも基づいて前記全体経路を設定すると好適である。
【0062】
本構成によれば、第1エリア内搬送設備及び第2エリア内搬送設備のそれぞれの重み情報に加えて、複数の接続搬送設備のそれぞれの重み情報も考慮することで、全体経路をより適切に設定することができる。
【0063】
上記の各構成の搬送システムにおいて、前記経路設定制御では、前記第1エリア内搬送設備及び前記第2エリア内搬送設備のそれぞれにおける、過去の前記搬送状況情報に基づいて予想される将来の前記他物品の搬送状況を示す予想搬送状況情報を更に取得し、当該予想搬送状況情報にも基づいて前記全体経路を設定すると好適である。
【0064】
本構成によれば、第1エリア内搬送設備及び第2エリア内搬送設備のそれぞれの予想搬送状況情報を考慮して全体経路を設定することができるため、全体経路をより適切に設定することが可能となる。従って、過去の搬送状況情報を活用して、例えば、他物品との干渉や渋滞エリアを避けるための無駄な迂回が少なくなるように、全体経路を設定することができる。
【0065】
上記のように、前記経路設定制御では、前記第1エリア内搬送設備及び前記第2エリア内搬送設備のそれぞれにおける前記予想搬送状況情報にも基づいて前記全体経路を設定する構成において、前記経路設定制御では、複数の前記接続搬送設備のそれぞれにおける前記予想搬送状況情報を更に取得し、当該予想搬送状況情報にも基づいて前記全体経路を設定すると好適である。
【0066】
本構成によれば、第1エリア内搬送設備及び第2エリア内搬送設備のそれぞれの予想搬送状況情報に加えて、複数の接続搬送設備のそれぞれの予想搬送状況情報も考慮することで、全体経路をより適切に設定することができる。
【0067】
上記の各構成の搬送システムにおいて、前記経路設定制御では、前記対象物品を前記出発地点から前記目的地点まで搬送するのに要する所要時間の予測値が最短となる経路を前記全体経路に設定すると好適である。
【0068】
本構成によれば、出発地点から目的地点までの搬送時間が短い経路を全体経路に設定できる可能性を高めることができる。
【0069】
また、前記第1エリアと前記第2エリアとは、同じ建物における異なるフロアに分かれて設定され、前記接続搬送設備は、前記搬送物品を同じ建物における異なるフロア間で搬送する階間搬送設備であると好適である。
【0070】
上述したように、本開示の搬送システムでは、互いに異なる制御部によって搬送設備の動作制御が行われる第1エリアと第2エリアとの間で対象物品を搬送する場合に、各エリアでの対象物品の搬送経路を適切な経路とすることが可能となっている。よって、本構成のように接続搬送設備が階間搬送設備である場合、各フロアでの対象物品の搬送経路を適切な経路とすることが可能である。
【0071】
また、前記第1エリアと前記第2エリアとは、異なる建物に分かれて設定され、前記接続搬送設備は、前記搬送物品を異なる建物間で搬送する建物間搬送設備であると好適である。
【0072】
上述したように、本開示の搬送システムでは、互いに異なる制御部によって搬送設備の動作制御が行われる第1エリアと第2エリアとの間で対象物品を搬送する場合に、各エリアでの対象物品の搬送経路を適切な経路とすることが可能となっている。よって、本構成のように接続搬送設備が建物間搬送設備である場合、各建物内での対象物品の搬送経路を適切な経路とすることが可能である。
【0073】
本開示に係る搬送システムは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0074】
1:第1エリア内搬送設備
2:第2エリア内搬送設備
3:接続搬送設備
3a:対象接続搬送設備
31:第1受渡位置
32:第2受渡位置
50:管理制御部
51:第1エリア制御部
52:第2エリア制御部
53:接続制御部
60:建物
70:フロア
90:搬送状況情報
91:予想搬送状況情報
92:重み情報
93:到着予定情報
94:搬入出状況情報
100:搬送システム
A1:第1エリア
A2:第2エリア
P:搬送経路
R1:全体経路
R2:部分経路
W:搬送物品
X1:出発地点
X2:目的地点
図1
図2
図3
図4
図5