(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】コネクタ用保護カバー
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01R13/52 B
(21)【出願番号】P 2021031123
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大河内 健史
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】矢野 順也
(72)【発明者】
【氏名】新井 智晴
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-273745(JP,A)
【文献】特開2006-190629(JP,A)
【文献】登録実用新案第3140113(JP,U)
【文献】実開平02-086075(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を覆う筒状の外周壁を有するコネクタの開口を覆い、前記外周壁に着脱可能に取り付けられるコネクタ用保護カバーであって、
前記外周壁を覆う筒状のカバー本体を備え、
前記カバー本体は、
弾性変形した状態で前記外周壁に密着し、前記コネクタを間に挟んで対向する一対の第1弾性支持部と、
弾性変形した状態で前記外周壁に密着し、前記第1弾性支持部から前記カバー本体の周方向に離間した位置に設けられ、前記コネクタを間に挟んで対向する一対の第2弾性支持部と、を有し、
前記第1弾性支持部は、前記外周壁が有する凸部に対して嵌合される凹溝を有し、
前記第1弾性支持部と前記第2弾性支持部との間で、前記カバー本体と前記外周壁との間には空隙を有することを特徴とするコネクタ用保護カバー。
【請求項2】
前記カバー本体の内側には、前記外周壁から突出するとともに前記コネクタに接続される相手側コネクタが係止される係止爪を収容する収容部が設けられており、
前記第2弾性支持部は、前記収容部を間において1つずつ前記カバー本体の内周面から突出していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項3】
前記カバー本体の軸方向における前記第1弾性支持部及び前記第2弾性支持部の長さは、前記カバー本体の軸方向における前記カバー本体の内周面の長さと同じであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタ用保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ用保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、端子を覆う筒状の外周壁を有するコネクタの開口からコネクタの内部にごみ等の異物が侵入してしまうことを防止するために、例えば特許文献1に開示されているようなコネクタ用保護カバーがコネクタに装着されている。コネクタ用保護カバーは、コネクタの開口を覆い、コネクタの外周壁に着脱可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなコネクタ用保護カバーにおいては、コネクタ用保護カバーがコネクタから意図せず脱落してしまうことを抑制することが望まれている。さらには、コネクタに対する取り付け及び取り外しが容易であることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するコネクタ用保護カバーは、端子を覆う筒状の外周壁を有するコネクタの開口を覆い、前記外周壁に着脱可能に取り付けられるコネクタ用保護カバーであって、前記外周壁を覆う筒状のカバー本体を備え、前記カバー本体は、弾性変形した状態で前記外周壁に密着し、前記コネクタを間に挟んで対向する一対の第1弾性支持部と、弾性変形した状態で前記外周壁に密着し、前記第1弾性支持部から前記カバー本体の周方向に離間した位置に設けられ、前記コネクタを間に挟んで対向する一対の第2弾性支持部と、を有し、前記第1弾性支持部は、前記外周壁が有する凸部に対して嵌合される凹溝を有し、前記第1弾性支持部と前記第2弾性支持部との間で、前記カバー本体と前記外周壁との間には空隙を有する。
【0006】
これによれば、一対の第1弾性支持部の凹溝が凸部に対して嵌合して弾性変形した状態でコネクタの外周壁に密着するとともに、一対の第2弾性支持部が第1弾性支持部からカバー本体の周方向に離間した位置でコネクタの外周壁にそれぞれ弾性変形した状態で密着する。これにより、コネクタ用保護カバーが、カバー本体の周方向で少なくとも4箇所でコネクタに対して密着するため、コネクタ用保護カバーにおける意図しない変形が抑制される。したがって、コネクタ用保護カバーがコネクタから意図せず脱落してしまうことを抑制することができる。また、第1弾性支持部と第2弾性支持部との間で、カバー本体とコネクタの外周壁との間には空隙を有するため、コネクタ用保護カバーにおけるコネクタに対する取り付け及び取り外しが容易である。以上により、コネクタ用保護カバーがコネクタから意図せず脱落してしまうことを抑制でき、さらには、コネクタ用保護カバーにおけるコネクタに対する取り付け及び取り外しを容易なものとすることができる。
【0007】
上記コネクタ用保護カバーにおいて、前記カバー本体の内側には、前記外周壁から突出するとともに前記コネクタに接続される相手側コネクタが係止される係止爪を収容する収容部が設けられており、前記第2弾性支持部は、前記収容部を間において1つずつ前記カバー本体の内周面から突出しているとよい。
【0008】
これによれば、第2弾性支持部を、係止爪を収容する収容部を間において1つずつカバー本体の内周面から突出させて、コネクタの外周壁に当接させることができるため、コネクタ用保護カバーをコネクタに装着しても、係止爪がコネクタ用保護カバーに干渉することが無い。したがって、係止爪を保護しつつも、コネクタ用保護カバーがコネクタから意図せず脱落してしまうことを抑制でき、さらには、コネクタ用保護カバーにおけるコネクタに対する取り付け及び取り外しを容易なものとすることができる。
【0009】
上記コネクタ用保護カバーにおいて、前記カバー本体の軸方向における前記第1弾性支持部及び前記第2弾性支持部の長さは、前記カバー本体の軸方向における前記カバー本体の内周面の長さと同じであるとよい。
【0010】
これによれば、第1弾性支持部及び第2弾性支持部におけるコネクタの外周壁に対する接触面積を極力大きくすることができる。したがって、第1弾性支持部とコネクタの外周壁との間の摩擦力、及び第2弾性支持部とコネクタの外周壁との間の摩擦力を安定させることができるため、コネクタ用保護カバーがコネクタから意図せず脱落してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、コネクタ用保護カバーがコネクタから意図せず脱落してしまうことを抑制でき、さらには、コネクタ用保護カバーにおけるコネクタに対する取り付け及び取り外しを容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】コネクタ及びコネクタ用保護カバーの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、コネクタ用保護カバーを具体化した一実施形態を
図1~
図3にしたがって説明する。本実施形態のコネクタ用保護カバーは、電動圧縮機のコネクタに装着される。
(電動圧縮機10の全体構成)
図1に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、筒状である。ハウジング11は、金属製である。ハウジング11は、吐出ハウジング12、モータハウジング13、及びインバータケース14を有している。モータハウジング13内には、圧縮部15及び電動モータ16が収容されている。したがって、ハウジング11は、圧縮部15及び電動モータ16を収容している。圧縮部15は、例えば、モータハウジング13内に固定された図示しない固定スクロールと、固定スクロールに対向配置される図示しない可動スクロールとから構成されるスクロール式である。
【0014】
電動圧縮機10は、インバータ17を備えている。インバータ17は、電動モータ16を駆動する。インバータ17は、インバータケース14内に収容されている。インバータケース14は、筒状のコネクタ30を有している。コネクタ30には、相手側コネクタ18が接続される。相手側コネクタ18は、コネクタ30の外周面を覆うようにコネクタ30に接続される。そして、相手側コネクタ18がコネクタ30に接続されると、外部電源からの電力がインバータ17に供給される。したがって、コネクタ30は、外部電源用である。
【0015】
インバータ17に電力が供給されると、インバータ17は、電動モータ16を駆動する。電動モータ16が駆動すると、圧縮部15が駆動して、外部冷媒回路19からモータハウジング13内に吸入された冷媒が、圧縮部15により圧縮される。圧縮部15により圧縮された冷媒は、吐出ハウジング12内に吐出されて、外部冷媒回路19へ流出する。そして、外部冷媒回路19へ流出した冷媒は、外部冷媒回路19の図示しない熱交換器や膨張弁を経て、モータハウジング13内に還流する。電動圧縮機10及び外部冷媒回路19は、車両空調装置20を構成している。したがって、本実施形態の電動圧縮機10は、例えば、車両空調装置20に用いられている。
【0016】
(コネクタ30の構成)
図2及び
図3に示すように、コネクタ30は、例えば、長四角筒状である。コネクタ30は、端子17aを覆っている。なお、
図2では、説明の都合上、端子17aの図示を省略している。なお、端子17aは、インバータ17に電気的に接続されており、インバータ17に電力を供給するために用いられている。
【0017】
コネクタ30は、外周壁30Aを有している。コネクタ30の外周壁30Aは、端子17aを覆っている。コネクタ30の外周壁30Aは、コネクタ30の軸方向からコネクタ30を見たときに、コネクタ30の長手方向に位置し、且つコネクタ30の短手方向に延びる第1側壁31及び第2側壁32を有している。第1側壁31及び第2側壁32は、互いに平行に延びている。コネクタ30の外周壁30Aは、コネクタ30の軸方向から見たときに、コネクタ30の短手方向に位置し、且つコネクタ30の長手方向に延びる第3側壁33及び第4側壁34を有している。第3側壁33及び第4側壁34は、互いに平行に延びている。
【0018】
第1側壁31は、コネクタ30の軸方向からコネクタ30を見たときに、第3側壁33におけるコネクタ30の長手方向の一方に位置する端部と、第4側壁34におけるコネクタ30の長手方向の一方に位置する端部とを接続している。第2側壁32は、コネクタ30の軸方向からコネクタ30を見たときに、第3側壁33におけるコネクタ30の長手方向の他方に位置する端部と、第4側壁34におけるコネクタ30の長手方向の他方に位置する端部とを接続している。
【0019】
コネクタ30の軸方向からコネクタ30を見たときのコネクタ30の長手方向は、コネクタ30の軸方向に対して直交する方向である第1方向X1である。コネクタ30の軸方向からコネクタ30を見たときのコネクタ30の短手方向は、コネクタ30の軸方向に対して直交し、且つ第1方向X1に対しても直交する方向である第2方向Y1である。なお、以下の説明では、「コネクタ30の軸方向からコネクタ30を見たときのコネクタ30の長手方向」を単に「第1方向X1」と記載することもある。また、以下の説明では、「コネクタ30の軸方向からコネクタ30を見たときのコネクタ30の短手方向」を単に「第2方向Y1」と記載することもある。
【0020】
第1側壁31の外面は、コネクタ30の外周面における第1方向X1の一方に位置する部位である。第2側壁32の外面は、コネクタ30の外周面における第1方向X1の他方に位置する部位である。第3側壁33の外面は、コネクタ30の外周面における第2方向Y1の一方に位置する部位である。第4側壁34の外面は、コネクタ30の外周面における第2方向Y1の他方に位置する部位である。
【0021】
(凸部35,36について)
コネクタ30の外周壁30Aは、凸部35,36を有している。凸部35は、第1側壁31の外面から2つ突出している。各凸部35は、コネクタ30の軸方向に真っ直ぐに延びる四角柱状である。各凸部35は、互いに平行に延びている。凸部36は、第2側壁32の外面から1つ突出している。凸部36は、コネクタ30の軸方向に真っ直ぐに延びる四角柱状である。凸部36は、各凸部35に平行に延びている。
【0022】
(係止爪37について)
コネクタ30は、係止爪37を有している。係止爪37は、第3側壁33の外面から突出している。したがって、係止爪37は、コネクタ30の外周壁30Aから突出している。そして、相手側コネクタ18は、コネクタ30に接続されたときに、係止爪37に係止され、コネクタ30から抜けないようになっている。
【0023】
(コネクタ用保護カバー40の構成)
コネクタ30に相手側コネクタ18が接続される前の状態においては、コネクタ30には、コネクタ用保護カバー40が装着されている。コネクタ用保護カバー40は、コネクタ30の開口30aを覆っている。コネクタ用保護カバー40は、コネクタ30の開口30aからコネクタ30の内部にごみ等の異物が侵入してしまうことを防止する。
【0024】
コネクタ用保護カバー40は、樹脂製である。コネクタ用保護カバー40は、弾性変形可能な柔軟な素材で形成されている。コネクタ用保護カバー40は、蓋部41、及びカバー本体50を備えている。蓋部41は板状である。カバー本体50は、蓋部41の外周部から突出する筒状である。蓋部41は、コネクタ30の開口30aを閉塞する。カバー本体50は、コネクタ30の外周壁30Aを覆っている。コネクタ用保護カバー40は、コネクタ30の外周壁30Aに着脱可能に取り付けられている。
【0025】
(カバー本体50の構成)
カバー本体50は、例えば、長四角筒状である。カバー本体50は、コネクタ30よりも一回り大きい形状である。カバー本体50は、第1カバー側壁51、第2カバー側壁52、第3カバー側壁53、及び第4カバー側壁54を有している。第1カバー側壁51は、コネクタ30の第1側壁31に沿って延びている。第2カバー側壁52は、コネクタ30の第2側壁32に沿って延びている。第3カバー側壁53は、コネクタ30の第3側壁33に沿って延びている。第4カバー側壁54は、コネクタ30の第4側壁34に沿って延びている。
【0026】
(一対の第1弾性支持部55,56について)
カバー本体50は、弾性変形した状態でコネクタ30の外周壁30Aに密着し、コネクタ30を間に挟んで対向する一対の第1弾性支持部55,56を有している。第1弾性支持部55は、第1カバー側壁51の一部である。第1弾性支持部56は、第2カバー側壁52の一部である。
【0027】
第1弾性支持部55は、各凸部35に対して嵌合される凹溝55aをそれぞれ有している。各凹溝55aは、第1カバー側壁51の一部分を屈曲させることにより形成されている。各凹溝55aは、各凸部35に対して、第1弾性支持部55が弾性変形して密着した状態でそれぞれ嵌合している。
【0028】
第1弾性支持部56は、凸部36に対して嵌合される凹溝56aを有している。第1弾性支持部56は、凸部36に対して嵌合される凹溝56aを有している。凹溝56aは、第2カバー側壁52の一部分を屈曲させることにより形成されている。本実施形態において、第2カバー側壁52には、凹溝56aが2つ形成されており、2つの凹溝56aのうちの1つが凸部36に対して嵌合する。凹溝56aは、凸部36に対して、第1弾性支持部56が弾性変形して密着した状態でそれぞれ嵌合している。
【0029】
(一対の第2弾性支持部57,58について)
カバー本体50は、コネクタ30を間に挟んで対向する一対の第2弾性支持部57,58を有している。一対の第2弾性支持部57,58は、弾性変形した状態でコネクタ30の外周壁30Aに密着し、第1弾性支持部55,56からカバー本体の周方向に離間した位置に設けられている。
【0030】
第2弾性支持部57は、第3カバー側壁53に設けられている。第2弾性支持部57は、第1方向X1で係止爪37を間において1つずつ配置されている。したがって、カバー本体50の内側には、係止爪37を収容する収容部60が設けられている。そして、各第2弾性支持部57は、第1方向X1で収容部60を間において1つずつ第3カバー側壁53の内面から突出している。したがって、各第2弾性支持部57は、カバー本体50の内周面から突出している。各第2弾性支持部57は、カバー本体50の軸方向に真っ直ぐに延びる柱状である。各第2弾性支持部57は、互いに平行に延びている。各第2弾性支持部57は、コネクタ30の第3側壁33に対して、弾性変形して密着した状態で当接している。
【0031】
第2弾性支持部58は、第4カバー側壁54に設けられている。第2弾性支持部58は、第4カバー側壁54の内面の中央部から突出している。したがって、第2弾性支持部58は、カバー本体50の内周面から突出している。第2弾性支持部58は、カバー本体50の軸方向に真っ直ぐに延びる柱状である。第2弾性支持部58は、各第2弾性支持部57に平行に延びている。第2弾性支持部58は、コネクタ30の第4側壁34に対して、弾性変形して密着した状態で当接している。
【0032】
カバー本体50の軸方向における各第1弾性支持部55,56及び各第2弾性支持部57,58それぞれの長さは、カバー本体50の軸方向におけるカバー本体50の内周面の長さと同じである。したがって、各第1弾性支持部55,56及び各第2弾性支持部57,58は、蓋部41からカバー本体50の開口縁まで延びている。第1弾性支持部55,56と第2弾性支持部57,58との間で、カバー本体50とコネクタ30の外周壁30Aとの間には空隙K1を有する。
【0033】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
コネクタ用保護カバー40は、各凹溝55aが各凸部35に対して嵌合し、凹溝56aが凸部36に対して嵌合するように、コネクタ30に対して位置合わせされた状態で、コネクタ30に対して装着される。このとき、各凹溝55aが各凸部35に案内され、凹溝56aが凸部36に案内されながら、コネクタ用保護カバー40におけるコネクタ30に対する装着が行われる。
【0034】
一対の第1弾性支持部55,56の凹溝55a,56aが各凸部35,36に対して嵌合して弾性変形した状態でコネクタ30の外周壁30Aに密着するとともに、一対の第2弾性支持部57,58が第1弾性支持部55,56からカバー本体50の周方向に離間した位置でコネクタ30の外周壁30Aにそれぞれ弾性変形した状態で密着する。これにより、コネクタ用保護カバー40が、カバー本体50の周方向で少なくとも4箇所でコネクタ30に対して密着するため、コネクタ用保護カバー40における意図しない変形が抑制されている。したがって、コネクタ用保護カバー40がコネクタ30から意図せず脱落してしまうことが抑制されている。また、第1弾性支持部55,56と第2弾性支持部57,58との間で、カバー本体50とコネクタ30の外周壁30Aとの間には空隙K1を有するため、コネクタ用保護カバー40におけるコネクタ30に対する取り付け及び取り外しが容易になっている。
【0035】
第1カバー側壁51は、各凹溝55aを形成するために、その一部分が屈曲している。また、第2カバー側壁52は、凹溝56aを形成するために、その一部分が屈曲している。したがって、第1カバー側壁51がコネクタ30の第1側壁31から離間するように変形し難くなっており、第2カバー側壁52がコネクタ30の第2側壁32から離間するように変形し難くなっている。これにより、各凹溝55aと各凸部35との間の摩擦力、及び凹溝56aと凸部36との間の摩擦力が安定する。その結果、コネクタ用保護カバー40がコネクタ30から意図せず脱落してしまうことがさらに抑制されている。
【0036】
(効果)
上記実施形態では以下の作用効果を得ることができる。
(1)一対の第1弾性支持部55,56の凹溝55a,56aが各凸部35,36に対して嵌合して弾性変形した状態でコネクタ30の外周壁30Aに密着するとともに、一対の第2弾性支持部57,58が第1弾性支持部55,56からカバー本体50の周方向に離間した位置でコネクタ30の外周壁30Aにそれぞれ弾性変形した状態で密着する。これにより、コネクタ用保護カバー40が、カバー本体50の周方向で少なくとも4箇所でコネクタ30に対して密着するため、コネクタ用保護カバー40における意図しない変形が抑制されている。したがって、コネクタ用保護カバー40がコネクタ30から意図せず脱落してしまうことを抑制することができる。また、第1弾性支持部55,56と第2弾性支持部57,58との間で、カバー本体50とコネクタ30の外周壁30Aとの間には空隙K1を有するため、コネクタ用保護カバー40におけるコネクタ30に対する取り付け及び取り外しが容易である。以上により、コネクタ用保護カバー40がコネクタ30から意図せず脱落してしまうことを抑制でき、さらには、コネクタ用保護カバー40におけるコネクタ30に対する取り付け及び取り外しを容易なものとすることができる。
【0037】
(2)各第2弾性支持部57は、収容部60を間において1つずつカバー本体50の内周面から突出している。これによれば、各第2弾性支持部57を、係止爪37を収容する収容部60を間において1つずつカバー本体50の内周面から突出させて、コネクタ30の外周壁30Aに当接させることができるため、コネクタ用保護カバー40をコネクタ30に装着しても、係止爪37がコネクタ用保護カバー40に干渉することが無い。したがって、係止爪37を保護しつつも、コネクタ用保護カバー40がコネクタ30から意図せず脱落してしまうことを抑制することができる。
【0038】
(3)カバー本体50の軸方向における第1弾性支持部55,56及び第2弾性支持部57,58の長さは、カバー本体50の軸方向におけるカバー本体50の内周面の長さと同じである。これによれば、第1弾性支持部55,56及び第2弾性支持部57,58におけるコネクタ30の外周壁30Aに対する接触面積を極力大きくすることができる。したがって、第1弾性支持部55,56とコネクタ30の外周壁30Aとの間の摩擦力、及び第2弾性支持部57,58とコネクタ30の外周壁30Aとの間の摩擦力を安定させることができるため、コネクタ用保護カバー40がコネクタ30から意図せず脱落してしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0039】
(4)第1カバー側壁51は、各凹溝55aを形成するために、その一部分が屈曲している。また、第2カバー側壁52は、凹溝56aを形成するために、その一部分が屈曲している。これによれば、第1カバー側壁51がコネクタ30の第1側壁31から離間するように変形し難くなり、第2カバー側壁52がコネクタ30の第2側壁32から離間するように変形し難くなる。したがって、各凹溝55aと各凸部35との間の摩擦力、及び凹溝56aと凸部36との間の摩擦力が安定する。その結果、コネクタ用保護カバー40がコネクタ30から意図せず脱落してしまうことをさらに抑制することができる。
【0040】
(変更例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0041】
○ 実施形態において、係止爪37が、コネクタ30の第3側壁33の外面から突出しているのではなく、第4側壁34の外面から突出していてもよい。そして、第2弾性支持部58が、第1方向X1で係止爪37を間において1つずつ配置されていてもよい。要は、一対の第2弾性支持部57,58のどちらか一方が、収容部60を間において1つずつカバー本体50の内周面から突出していればよい。
【0042】
○ 実施形態において、コネクタ用保護カバー40は、第2カバー側壁52に凹溝56aが1つだけ形成されている構成であってもよい。
○ 実施形態において、凸部36が、第2側壁32の外面から2つ突出しており、各凹溝56aが、各凸部36に対して、それぞれ嵌合していてもよい。
【0043】
○ 実施形態において、凸部35が、第1側壁の外面から1つだけ突出していてもよい。この場合、コネクタ用保護カバー40は、第1カバー側壁51に凹溝55aが1つだけ形成されている構成であってもよい。
【0044】
○ 実施形態において、カバー本体50の軸方向における第1弾性支持部55,56及び第2弾性支持部57,58の長さが、カバー本体50の軸方向におけるカバー本体50の内周面の長さよりも短くてもよい。
【0045】
○ 実施形態において、コネクタ30が係止爪37を有していなくてもよい。この場合、第2弾性支持部57における第3カバー側壁53の内面からの突出位置は、特に限定されるものではない。
【0046】
○ 実施形態において、コネクタ30が、例えば、真円筒形状である場合、コネクタ用保護カバー40のカバー本体50の形状も真円筒形状に変更してもよい。要は、コネクタ用保護カバー40の形状は特に限定されるものではなく、コネクタ30の形状に合わせて適宜変更してもよい。
【0047】
○ 実施形態において、圧縮部15は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置20を構成していたが、これに限らず、例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部15により圧縮するものであってもよい。
【0048】
○ 実施形態において、コネクタ用保護カバー40は、電動圧縮機10のコネクタ30に装着されるものに限らない。コネクタ用保護カバー40は、例えば、電動圧縮機10以外の機器に設けられるコネクタに装着されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
17a…端子、18…相手側コネクタ、30…コネクタ、30A…外周壁、30a…開口、35,36…凸部、37…係止爪、40…コネクタ用保護カバー、50…カバー本体、55,56…第1弾性支持部、55a,56a…凹溝、57,58…第2弾性支持部、60…収容部、K1…空隙。