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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231226BHJP
   B65G 1/06 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G1/06 511
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021063841
(22)【出願日】2021-04-05
(65)【公開番号】P2022159575
(43)【公開日】2022-10-18
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳本 勇次
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴文
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-129501(JP,A)
【文献】特開2018-041409(JP,A)
【文献】特開2006-285915(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2019-0063957(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側に形成されるレールに沿って物品を搬送する天井搬送車と、前記レールに沿って設けられ前記天井搬送車によって搬送される物品を保持可能な保持部と、を備える物品搬送設備であって、
前記保持部を移動可能に支持するフレームと、
前記フレームに対する前記保持部の移動を規制するロック機構と、
を備え、
前記保持部は、
前記天井搬送車に設けられる読取装置によって読み取り可能に構成され、前記保持部の位置を示す識別子と、
前記識別子を覆うカバーと、
前記カバーを開閉するリンク機構と、
を備え、
前記リンク機構は、前記ロック機構が前記フレームに対する前記保持部の移動の規制を解除する動作と連動して前記カバーを閉じることで、前記読取装置による前記識別子の読み取りを不能とすること
を特徴とする物品搬送設備。
【請求項2】
前記ロック機構は、
前記天井搬送車から離間する方向への前記保持部の移動を規制する離間移動規制部と、
前記天井搬送車に接近する方向への前記保持部の移動を規制する接近移動規制部と、
を備え、
前記リンク機構は、前記離間移動規制部の動作と連動して前記カバーを開閉すること
を特徴とする請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記リンク機構による前記カバーの開閉動作を規制する動作規制部を備えること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記フレームは、平面視で前記レールが延設される方向に対して直交する方向に延設されること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記保持部は、前記フレーム上を転動する車輪を備えること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井側に形成されるレールに沿って物品を搬送する天井搬送車と、前記レールに沿って設けられ前記天井搬送車によって搬送される物品を載置可能な保持部と、を備える物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品搬送設備としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の物品搬送設備は、ビークル(天井搬送車)が走行する走行レールと隣接するように設けられるガイドレートと、当該ガイドレールの下方に配置されて前記ビークルが搬送するカセットを載置するバッファ(保持部)と、両端に前記ガイドレール上を走行する走行ホイールを有し前記ガイドレール上を走行するホイール部材と、前記バッファが前記ガイドレールに沿って移動可能となるように前記バッファを前記ホイール部材に固定する固定部材と、を備えるものである。
特許文献1の物品搬送設備では、前記バッファが前記ガイドレールに沿って移動可能に構成されていることから、前記バッファの位置を容易に移動させることができる。また、前記バッファの位置を移動させるために、バッファの撤去及び再設置が不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国特許公開第10-2019-0063957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の物品搬送設備では、前記バッファと前記走行レールとの間に連結部材を配置することで前記バッファの移動を規制することは可能であるが、前記バッファと前記ビークルとの間で物品の移載を適切に行える位置に前記バッファが固定されているかについては、ビークル側で判断することができないという問題があった。そのため、前記バッファが適切な位置に固定されていないにもかかわらず、前記バッファと前記ビークルとの間で物品の移載が行われる虞があった。
なお、特許文献1の物品搬送設備のような従来の物品搬送設備では、天井搬送車に光電センサ(在荷センサ)を設け、保持部に物品が載置されているかを当該光電センサによって判断することで、保持部への物品の移載の可否を判断しているが、前記保持部が適切な位置に固定されているかまでは前記光電センサによって判断することができない。
また、前記保持部の位置を示すQRコード(登録商標)等の識別子を前記保持部に設け、当該識別子を前記天井搬送車に設けた読取装置によって読み取ることで、前記天井搬送車側で前記保持部の位置を大まかに判断することは可能であるが、前記保持部が適切な位置に固定されていない場合であっても、前記読取装置によって前記識別子を読み取ることが可能な場合があるため、前記保持部が適切な位置に固定されているかを前記天井搬送車側で確実に判断することはできない。
さらに、物品の移載位置を天井搬送車に対してティーチング済の前記保持部を、一時的に移動させて元に戻した場合には、再度、天井搬送車に対して当該ティーチングを行う必要があり煩雑である。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、物品を載置可能な保持部と天井搬送車との間の物品の移載を、物品の移載を適切に行える位置に前記保持部を固定した状態で行うことが可能な物品搬送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の物品搬送設備は、天井側に形成されるレールに沿って物品を搬送する天井搬送車と、前記レールに沿って設けられ前記天井搬送車によって搬送される物品を載置可能な保持部と、を備える物品搬送設備であって、前記保持部を移動可能に支持するフレームと、前記フレームに対する前記保持部の移動を規制するロック機構と、を備え、前記保持部は、前記天井搬送車に設けられる読取装置によって読み取り可能に構成され、前記保持部の位置を示す識別子と、前記識別子を覆うカバーと、前記カバーを開閉するリンク機構と、を備え、前記リンク機構は、前記ロック機構が前記フレームに対する前記保持部の移動の規制を解除する動作と連動して前記カバーを閉じることで、前記読取装置による前記識別子の読み取りを不能とするものである。
上記構成では、ロック機構が保持部の移動の規制を解除することで、リンク機構がカバーを閉めて読取装置による識別子の読み取りを不能とする。
【0007】
本発明の物品搬送設備は、前記ロック機構が、前記天井搬送車から離間する方向への前記保持部の移動を規制する離間移動規制部と、前記天井搬送車に接近する方向への前記保持部の移動を規制する接近移動規制部と、を備え、前記リンク機構は、前記離間移動規制部の動作と連動して前記カバーを開閉するものである。
上記構成では、天井搬送車から離間する方向への保持部の移動の規制を離間移動規制部が解除することで、リンク機構がカバーを閉めて読取装置による識別子の読み取りを不能とする。
【0008】
本発明の物品搬送設備は、前記リンク機構による前記カバーの開閉動作を規制する動作規制部を備えるものである。
上記構成では、動作規制部によって、リンク機構によるカバーの開閉動作が規制される。
【0009】
本発明の物品搬送設備は、前記フレームが、平面視で前記レールが延設される方向に対して直交する方向に延設されるものである。
上記構成では、保持部が、平面視で天井搬送車が走行する方向に対して直交する方向に移動する。
【0010】
本発明の物品搬送設備は、前記保持部が、前記フレーム上を転動する車輪を備えるものである。
上記構成では、保持部が車輪の転動によって移動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物品搬送設備によれば、保持部の移動を規制するロック機構が、保持部の移動の規制を解除することで、識別子を覆うカバーを開閉するリンク機構が、カバーを閉めて読取装置による識別子の読み取りを不能とすることから、物品の移載を適切に行える位置に保持部が固定されていない場合には、読取装置による識別子の読み取りを不能として、天井搬送車による物品の移載を規制することができる。そのため、天井搬送車による物品の移載を、保持部が物品の移載を適切に行える位置に固定されている場合にのみ行うことができる。また、物品の移載位置を天井搬送車に対してティーチング済の保持部を一時的に移動させて元に戻した場合であっても、物品の移載位置を天井搬送車に対して再度ティーチングする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る物品搬送設備の側面断面図である。
図2】同物品搬送設備の天井保管棚上部の斜視図である。
図3】同天井保管棚の正面図である。
図4】(a)は、同天井保管棚の移動を規制した場合の同天井保管棚上部の側面図、(b)は、同天井保管棚の移動の規制を解除した場合の同天井保管棚上部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明に係る物品搬送設備10について説明する。
【0014】
物品搬送設備10は、例えば、半導体基板の製造工場内のクリーンルーム等に設けられ、半導体基板が収容されたフープ90(「物品」の一例)を、半導体基板に対して処理を行う複数の処理装置間で搬送するための設備である。図1に示すように、物品搬送設備10は、搬送路であるレール11と、レール11に沿って走行する天井搬送車20と、レール11に沿って設けられる天井保管棚30(「保持部」の一例)と、を主に備えている。
【0015】
レール11は、上記複数の処理装置(図示せず)の上方であって天井91側に設けられ、天井91から吊り下げボルト12等によって支持される。
天井搬送車20は、半導体基板を収納したフープ90をレール11に沿って搬送するものである。天井搬送車20は、レール11に対して吊下げられた状態で取り付けられ、レール11に沿って走行する。天井搬送車20は、フープ90を載置すべき天井保管棚30の前(フープ90の移載が行われる位置、以下、フープ90の移載位置Tと称す)で停止し、天井保管棚30に対してフープ90の移載を行う。天井搬送車20は、天井保管棚30に設けられるQRコード34(「識別子」の一例)を読み取るためのQRコードリーダ21(「読取装置」の一例)を備えている。天井搬送車20は、天井保管棚30の載置部33の在荷状態(載置部33にフープ90が載置されているか否か)を判断するための光電センサ22を備えている。
【0016】
図1から図3に示すように、天井保管棚30は、天井搬送車20によって搬送されるフープ90を一時的に保管するものである。天井保管棚30は、複数(図3では3つ)のフープ90を保管可能に構成されている。天井保管棚30は、フープ90の移載位置Tにおいて、天井搬送車20との間でフープ90の移載を行う。物品搬送設備10では、複数の天井保管棚30がレール11に沿って並んで配置されている。図1に示すように、天井保管棚30は、レール11を挟んで互いに向かい合ってレール11の左右両側の側方に設けられ、又は、レール11の左右どちらか一方の側方に設けられる。
【0017】
図2に示すように、天井保管棚30は、水平方向に平行に延設される2本の吊りフレーム13(「フレーム」の一例)の間に吊りフレーム13に対して吊下げられた状態で吊りフレーム13に沿って移動可能に保持されている。なお、以下の説明では、天井保管棚30において、2本の吊りフレーム13に対して水平に直交する方向(レール11に沿う方向)を天井保管棚30の左右方向とし、2本の吊りフレーム13に沿う方向(レール11に対して水平に直交する方向)を天井保管棚30の前後方向とし、フープ90の移載位置Tに停止する天井搬送車20に近接する側を天井保管棚30の前側とし、フープ90の移載位置Tに停止する天井搬送車20から離間する側を天井保管棚30の後側とする。
【0018】
図1から図3に示すように、吊りフレーム13は、天井91等から吊り下げボルト14等によって吊り下げられている。吊りフレーム13は、その一端部がレール11側に向けてレール11と所定の間隔を有して配置され、その他端部がレール11から離間するように、平面視でレール11が延設される方向に対して直交する方向に延設されている。吊りフレーム13には、天井保管棚30の車輪31bが転動可能なガイドレール13aが形成されている。ガイドレール13aは、平行に延設されるもう一方の吊りフレーム13と対向する側の吊りフレーム13の側部に形成されている。吊りフレーム13は、平行に延設されるもう一方の吊りフレーム13とともに、ガイドレール13aにおいて天井保管棚30の車輪31bを支持することによって、天井搬送車20を吊り下げた状態で保持する。
【0019】
天井保管棚30は、吊りフレーム13のガイドレール13a上を移動するための走行部31と、走行部31に対して吊下げられた状態で取り付けられる保管棚本体32と、保管棚本体32の内部にフープ90を載置するための載置部33と、から主に構成されている。
走行部31は、平面視矩形状の走行部本体31aと、ガイドレール13a上を転動する車輪31bと、から主に構成されている。走行部本体31aは、平行に延設される2本の吊りフレーム13の間に配設され、保管棚本体32を上方から覆うように構成されている。走行部本体31aは、ガイドレール13aと近接して配設される側に車輪31bを転動可能に支持する。
保管棚本体32は、枠材によって箱状に形成されたものであり、その内部に複数のフープ90を収容可能であるとともに、フープ90の移載位置T側の側部が天井搬送車20からのフープ90を受け入れ可能に構成されている。
載置部33は、複数のフープ90を載置可能な平板状の部材によって構成されている。載置部33は、保管棚本体32の下部に形成されている。載置部33は、複数(図3では3つ)の区画に分けられて複数(図3では3つ)のフープ90を並列に載置することができる。
【0020】
天井保管棚30には、物品搬送設備10内における天井保管棚30の位置(天井保管棚30の番地情報)を、天井搬送車20に対して示すためのQRコード34(「識別子」の一例)が設けられている。QRコード34は、天井搬送車20のQRコードリーダ21によって読取可能な位置である保管棚本体32のフープ90の移載位置T側の側部に設けられている。QRコード34は、レール11が延設される方向に複数個(図3では3つ)並列に配置される。QRコード34は、載置部33に設けられる複数の区画のそれぞれに対応させて設けられる。天井搬送車20は、QRコードリーダ21によってQRコード34を読み取ることで、フープ90の移載を行うべき天井保管棚30であるか否かを判断する。
【0021】
天井保管棚30は、作業者等によって動かされることで吊りフレーム13に対して移動可能であるが、天井搬送車20からフープ90が移載される際には、ロック機構40によってその移動が規制され、吊りフレーム13の所定位置で固定される。ここで、吊りフレーム13の所定位置とは、天井保管棚30が天井搬送車20との間で適切にフープ90の移載を行うことが可能な吊りフレーム13における天井保管棚30の固定位置をいう。
ロック機構40は、天井保管棚30の前方向への移動を規制するフレーム側第1ストッパ41及び棚側ストッパ42(「近接移動規制部」の一例)と、天井保管棚30の後方向への移動を規制するフレーム側第2ストッパ44及び第1シャフト部材45(「離間移動規制部」の一例)と、第1シャフト部材45の揺動及びリンク機構60によるカバー50の開閉動作を規制するトグルクランプ48(「動作規制部」の一例)と、から主に構成されている。
【0022】
フレーム側第1ストッパ41は、L型フレームによって構成され、水平方向に平行に延設される2本の吊りフレーム13の間に架設されている。フレーム側第1ストッパ41は、2本の吊りフレーム13の上部に吊りフレーム13と直交して設けられる。
棚側ストッパ42は、フレーム側第1ストッパ41と当接するゴム状部材であり、天井保管棚30の走行部31の上面に立設される支持体43によって支持されている。棚側ストッパ42は、走行部31の長手方向の両端側に設けられている。
【0023】
フレーム側第2ストッパ44は、第1シャフト部材45と当接するゴム状部材であり、フレーム側第1ストッパ41の下部に設けられている。フレーム側第2ストッパ44は、第1シャフト部材45が設けられる位置に対応させて、フレーム側第1ストッパ41の長手方向に複数(図3では2つ)所定の間隔を有して設けられている。
第1シャフト部材45は、略L字状部材であり、保管棚本体32の上部に設けられる第1回動軸46によって回動自在に支持されている。第1シャフト部材45は、天井保管棚30の左右方向に複数(図3では2つ)並列に所定の間隔を有して設けられている。第1シャフト部材45は、他の第1シャフト部材45と連結ロッド47を介して連結されている。連結ロッド47は、天井保管棚30の左右方向に沿って延設される棒状部材であり、その両端部に第1シャフト部材45が固定されている。第1シャフト部材45は、第1回動軸46によって支持される部分を中心とした一方側の第1端部45aに連結ロッド47が取り付けられ、他方側の第2端部45bにフレーム側第2ストッパ44が当接する。
【0024】
トグルクランプ48は、レバー48aと、シャフト48bと、クランプ本体48cと、から構成されている。トグルクランプ48は、レバー48aをクランプ本体48cに対して上げ下げすることでシャフト48bがクランプ本体48cに対して上下方向に揺動する。図4(a)に示すように、トグルクランプ48は、レバー48aをクランプ本体48cに対して立ち上げることで、シャフト48bが水平に倒れ、連結ロッド47を上方から押圧した状態で連結ロッド47を所定の位置で保持する。図4(b)に示すように、トグルクランプ48は、レバー48aをクランプ本体48cに対して下方に倒すことで、シャフト48bがクランプ本体48cに対して上方に立ち上がり、上方に浮き上がる連結ロッド47を上方から制止した状態で連結ロッド47を所定の位置で保持する。
【0025】
ここで、天井保管棚30を吊りフレーム13の所定位置で固定する場合のロック機構40の作用について説明する。
天井保管棚30は、作業者等が保管棚本体32を前方向へ動かすことによって、吊りフレーム13のガイドレール13aに沿って、フープ90の移載位置Tに停止する天井搬送車20に近接する方向に移動する。さらに作業者等が保管棚本体32を動かすことで、図4(a)に示すように、天井保管棚30の棚側ストッパ42が吊りフレーム13のフレーム側第1ストッパ41に当接する。これによって、天井保管棚30の前方向への移動が規制される。
一方で、天井保管棚30は、作業者等が保管棚本体32を後方向へ動かすことによって、フープ90の移載位置Tに停止する天井搬送車20から離間する方向に移動可能である。そのため、天井保管棚30の後方向への移動を規制して天井保管棚30を吊りフレーム13の所定位置で固定するために、図4(a)に示すように、トグルクランプ48のレバー48aをクランプ本体48cに対して立上げてシャフト48bを水平に倒して連結ロッド47を上方から押圧することで連結ロッド47を所定の位置で保持する。これによって、第1シャフト部材45の第2端部45bがフレーム側第2ストッパ44と当接して天井保管棚30の後方向への移動が規制され、天井保管棚30が吊りフレーム13の所定位置で固定される。
【0026】
物品搬送設備10では、天井搬送車20は、天井保管棚30に設けられるQRコード34をQRコードリーダ21によって読み取り、フープ90を移載すべき天井保管棚30の位置を判断した上でフープ90の移載を行う。この時、天井搬送車20は、天井保管棚30の位置を判断することは可能であるが、天井保管棚30が吊りフレーム13の所定位置(フープ90の移載を適切に行うことが可能な位置)に固定されているかまでは判断できない。そのため、天井保管棚30では、QRコード34にカバー50を設けることで、天井保管棚30が吊りフレーム13の所定位置に固定されている場合には、カバー50を開いて、天井搬送車20のQRコードリーダ21によるQRコード34の読み取りを可能とし、天井保管棚30が吊りフレーム13の所定位置に固定されていない場合には、カバー50を閉じて、天井搬送車20のQRコードリーダ21よるQRコード34の読み取りを不能としている。すなわち、天井搬送車20は、天井保管棚30が吊りフレーム13の所定位置に固定されている場合に限り、QRコードリーダ21によってQRコード34を読み取って、天井保管棚30の位置を判断することができる。
【0027】
カバー50は、複数のQRコード34全体を上方から覆うことが可能な湾曲状の板状部材によって構成されている。カバー50は、天井保管棚30の左右方向に沿って延設されている。カバー50は、ロック機構40の第1シャフト部材45に連結されるリンク機構60によって開閉される。
リンク機構60は、天井保管棚30の左右方向に複数(図3では2つ)設けられる第1シャフト部材45毎に設けられる。すなわち、リンク機構60は、天井保管棚30の左右方向に複数(図3では2つ)並列に所定の間隔を有して設けられている。リンク機構60は、カバー50を支持する支持部材61と、支持部材61を揺動する第2シャフト部材62と、から構成されている。
支持部材61は、その一端部61aが保管棚本体32の上部に第2回動軸63によって揺動可能に支持されるとともに、その他端部61bにおいてカバー50を支持する。支持部材61は、天井保管棚30の前後方向に揺動することで、カバー50を天井保管棚30の前後方向に開閉する。
第2シャフト部材62は、その一端部62aが連結軸64を介して支持部材61の他端部61bに連結され、その他端部62bが第3回動軸65を介して第1シャフト部材45に連結されている。第2シャフト部材62は、天井保管棚30の前後方向に延設され、第1シャフト部材45の揺動と連動して天井保管棚30の前後方向に揺動することで、支持部材61を天井保管棚30の前後方向に揺動させる。
【0028】
次に、ロック機構40とリンク機構60との連動動作について説明する。
図4(b)に示すように、リンク機構60は、ロック機構40が吊りフレーム13に対する天井保管棚30の移動の規制を解除する動作と連動してカバー50を閉じることで、天井搬送車20のQRコードリーダ21よるQRコード34の読み取りを不能としている。すなわち、天井保管棚30が吊りフレーム13の所定位置から移動可能な状態となることでQRコード34がカバー50で覆われ、QRコードリーダ21による読み取りができなくなる。
【0029】
具体的には、天井保管棚30を後方向へ移動させるために、作業者等がトグルクランプ48のレバー48aをクランプ本体48cに対して下方に倒すことで、シャフト48bがクランプ本体48cに対して上方に立ち上がり、シャフト48bに押圧されていた連結ロッド47が上方に浮き上がる。これによって、第1シャフト部材45の第1端部45aが第1回動軸46を中心に上方に浮き上がることで、第1シャフト部材45の第2端部45bが、天井保管棚30の前側へ傾倒してフレーム側第2ストッパ44から離れ、天井保管棚30の後方向への移動の規制が解除される。すなわち、天井保管棚30が天井搬送車20から離間する方向へ移動可能となる。この時、リンク機構60の第2シャフト部材62は、第1シャフト部材45の第2端部45bが傾倒することによって、第3回動軸65を中心に天井保管棚30の前側へ揺動され、支持部材61を天井保管棚30の前側へ揺動する。これによって、カバー50が天井保管棚30の前側へ揺動してQRコード34を覆う(カバー50が閉じられる)。すなわち、QRコード34がQRコードリーダ21によって読み取り不能となる。QRコード34の読み取りが不能となることで、天井搬送車20は、フープ90の移載対象である天井保管棚30の位置を判断することができなくなるため、エラーによって停止する。QRコード34の読み取りが不能となった天井保管棚30は、天井搬送車20によるフープ90の移載が規制される。なお、トグルクランプ48のレバー48aをクランプ本体48cに対して倒した状態で保持することで、ロック機構40は、天井保管棚30の後方向への移動の規制が解除された状態で保持され、カバー50は、閉じられた状態で保持される(カバー50の開動作が規制される)。
【0030】
一方で、図4(a)に示すように、リンク機構60は、ロック機構40が吊りフレーム13に対する天井保管棚30の移動を規制する動作と連動してカバー50を開くことで、天井搬送車20のQRコードリーダ21よるQRコード34の読み取りを可能としている。すなわち、天井保管棚30が吊りフレーム13の所定位置に固定された状態となることで、カバー50によって覆われていたQRコード34が開放され、QRコードリーダ21による読み取りができるようになる。
【0031】
具体的には、天井保管棚30を吊りフレーム13の所定位置に固定するために、作業者等が天井保管棚30を吊りフレーム13の所定位置まで移動させ、トグルクランプ48のレバー48aをクランプ本体48cに対して立ち上げることで、シャフト48bがクランプ本体48cに対して水平に倒れ、連結ロッド47がシャフト48bによって上方から押圧される。これによって、第1シャフト部材45の第1端部45aが第1回動軸46を中心に下方へ揺動されることで、第1シャフト部材45の第2端部45bが、天井保管棚30の後側へ揺動されてフレーム側第2ストッパ44に当接し、天井保管棚30の後方向への移動を規制する。すなわち、天井保管棚30が天井搬送車20から離間する方向へ移動することができなくなる。この時、リンク機構60の第2シャフト部材62は、第1シャフト部材45の第2端部45bが天井保管棚30の後側へ揺動されることによって、第3回動軸65を中心に天井保管棚30の後側へ揺動され、支持部材61を天井保管棚30の後側へ揺動する。これによって、カバー50が天井保管棚30の後側へ揺動してQRコード34を開放する(カバー50が開けられる)。すなわち、QRコード34がQRコードリーダ21によって読み取り可能となる。QRコード34の読み取りが可能となることで、天井搬送車20はフープ90の移載対象である天井保管棚30の位置を判断できるため、QRコード34の読み取りが可能となった天井保管棚30は、天井搬送車20のQRコードリーダ21を介して天井保管棚30の位置が判断され、天井搬送車20の光電センサ22を介して天井保管棚30の在荷状態が判断される。なお、トグルクランプ48のレバー48aをクランプ本体48cに対して立ち上げた状態で保持することで、ロック機構40は、天井保管棚30の後方向への移動が規制された状態で保持され、カバー50は、開かれた状態で保持される(カバー50の閉動作が規制される)。
【0032】
以上のように、物品搬送設備10においては、天井保管棚30の移動を規制するロック機構40が、天井保管棚30の移動の規制を解除することで、QRコード34を覆うカバー50を開閉するリンク機構60が、カバー50を閉めてQRコードリーダ21によるQRコード34の読み取りを不能とすることから、フープ90の移載を適切に行える位置に天井保管棚30が固定されていない場合には、QRコードリーダ21によるQRコード34の読み取りを不能として、天井搬送車20によるフープ90の移載を規制することができる。そのため、天井搬送車20によるフープ90の移載を、天井保管棚30がフープ90の移載を適切に行える位置に固定されている場合にのみ行うことができる。また、フープ90の移載位置を天井搬送車20に対してティーチング済の天井保管棚30を一時的に移動させて元に戻した場合であっても、フープ90の移載位置を天井搬送車20に対して再度ティーチングする必要がない。
【0033】
なお、本実施の形態では、天井保管棚30を1段の載置部33によって構成しているが、これに限定されるものではなく、天井保管棚30が吊りフレーム13に沿って移動可能なものであれば、天井保管棚30を複数段の載置部によって構成しても構わない。
本実施の形態では、天井搬送車20によって搬送される物品をフープ90としているが、これに限定されるものではなく、天井搬送車20によって搬送可能であり、且つ天井保管棚30に保管可能な物品であれば良い。
本実施の形態では、物品を保持可能な保持部を天井保管棚30としているが、これに限定されるものではなく、物品が保持可能であり、且つフレームに沿って移動可能なものであれば、物品を載置する載置部が水平方向又は上下方向に移動可能な天井保管棚やその内部に物品を移載する移載機を備えた物品保持装置であっても構わない。
本実施の形態では、カバー50を開閉するリンク機構60を支持部材61と、第2シャフト部材62と、から構成しているが、これに限定されるものではなく、ロック機構40の動作と連動してカバー50の開閉動作を行うことが可能であれば、センサ等を用いてロック機構40の動作とカバー50の開閉動作とを電気的に連動させたリンク機構であっても構わない。
本実施の形態では、識別子をQRコード34としているが、これに限定されるものではなく、天井搬送車に設けられる読取装置によって読み取り可能で、保持部の位置を示す識別子であれば、例えば、バーコード等であっても構わない。
【符号の説明】
【0034】
10 物品搬送設備
13 吊りフレーム(フレーム)
20 天井搬送車
21 QRコードリーダ(読取装置)
30 天井保管棚(保持部)
34 QRコード(識別子)
40 ロック機構
50 カバー
60 リンク機構
90 フープ(物品)
図1
図2
図3
図4