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特許7409356電力推定装置、消費電力制御装置、音響装置、電力推定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】電力推定装置、消費電力制御装置、音響装置、電力推定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/10 20200101AFI20231226BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20231226BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20231226BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20231226BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20231226BHJP
   H05B 45/50 20220101ALI20231226BHJP
   H05B 47/25 20200101ALI20231226BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B47/16
H05B47/105
H05B45/325
H05B45/20
H05B45/50
H05B47/25
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021128290
(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公開番号】P2023023091
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】児玉 雅彦
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/083779(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112868272(CN,A)
【文献】特開2019-057427(JP,A)
【文献】特開2005-025995(JP,A)
【文献】特開2000-004173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/10
H05B 47/16
H05B 47/105
H05B 45/325
H05B 45/20
H05B 45/50
H05B 47/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを制御する制御装置により前記デバイスに供給される制御データ信号の平滑化電圧信号を生成する手段であって、前記制御データ信号の最大電位に対する中間電位を有する安定化された信号である中間電位信号を生成し、前記中間電位信号を前記制御データ信号をローパスフィルタで平滑化して得られる電圧信号にバイアス電圧信号として印加し、前記電圧信号に印加された前記バイアス電圧信号におけるバイアス電圧を前記制御データ信号の平滑化電圧信号として出力する平滑化電圧信号生成手段と、
記平滑化電圧信号を一つ以上の所定の閾値と夫々比較して判定することにより、前記デバイスの消費電力の大小を推定する消費電力推定手段と、
を備える電力推定装置。
【請求項2】
前記平滑化電圧信号生成手段は、前記中間電位信号をダイオードを介して前記制御データ信号をローパスフィルタで平滑化して得られる電圧信号にバイアス電圧信号として印加する、
請求項1に記載の電力推定装置。
【請求項3】
前記平滑化電圧信号生成手段は、前記制御データ信号に対する情報処理演算により前記平滑化電圧信号を生成する、コンピュータにより実行される機能部である、
請求項1又は2に記載の電力推定装置。
【請求項4】
前記デバイスはマイクロコンピュータを内蔵した発光ダイオードであり、
前記制御装置は、輝度値を指定し、各ビットの論理値1又は論理値0がハイレベル電圧の時間とローレベル電圧の時間のデューティー比が異なる電圧パルス信号によって指定される所定ビット数のビット列を、前記制御データ信号として前記発光ダイオードに供給することにより、前記マイクロコンピュータが前記発光ダイオードを前記ビット列が指示する前記輝度値で発光させる、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の電力推定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項の何れか1項に記載の電力推定装置が推定した前記デバイスの消費電力の大小が、大であると推定された場合に、前記デバイス又は前記デバイスと連動して動作する他のデバイスの少なくともいずれかひとつの消費電力が小さくなるように制御する、
消費電力制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項の何れか1項に記載の電力推定装置と、
音響アンプと、
スピーカと、
を備える音響装置。
【請求項7】
デバイスを制御する制御装置により前記デバイスに供給される制御データ信号の最大電位に対する中間電位を有する安定化された信号である中間電位信号を生成し、前記中間電位信号を前記制御データ信号をローパスフィルタで平滑化して得られる電圧信号にバイアス電圧信号として印加し、前記電圧信号に印加された前記バイアス電圧信号におけるバイアス電圧を前記制御データ信号の平滑化電圧信号として生成し、
記平滑化電圧信号を一つ以上の所定の閾値と夫々比較して判定することにより、前記デバイスの消費電力の大小を推定する、
電力推定方法。
【請求項8】
デバイスを制御する制御装置により前記デバイスに供給される制御データ信号の最大電位に対する中間電位を有する安定化された信号である中間電位信号を生成し、前記中間電位信号を前記制御データ信号をローパスフィルタで平滑化して得られる電圧信号にバイアス電圧信号として印加し、前記電圧信号に印加された前記バイアス電圧信号におけるバイアス電圧を前記制御データ信号の平滑化電圧信号として生成し、
記平滑化電圧信号を一つ以上の所定の閾値と夫々比較して判定することにより、前記デバイスの消費電力の大小を推定する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力推定装置、消費電力制御装置、音響装置、電力推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マイコンを内蔵したRGB LED(Red,Green,Blue Light Emitting Diode:RGB発光ダイオード)は、R、G、B夫々のLEDの輝度を、外部から例えばシリアルデータとして与えられる夫々8ビット、合計24ビットのLED制御信号によって、R、G、B夫々256段階の輝度制御を行うことができ、これによりフルカラー(約1,600万色)の色表現を行うことができる。更に、このようなRGB LEDを多数(例えば60個)同時に制御することもでき、例えば音響装置と組み合わせることにより、多彩な光表現ができる電飾装置などを実現することが可能となる。
【0003】
ここで、1組のRGB LEDが必要な駆動電流は、最大輝度で光らせた場合に、R、G、B夫々のLEDで例えば20mA(ミリアンペア)であり、RGB LEDの1組では20mA×3=60mAとなる。そして、例えば直列に接続された60個のRGB LEDを全て最大輝度で光らせた場合には、60mA×60=3.6A(アンペア)の駆動電流が流れる。従って、このようなRGB LEDの電飾装置を、例えばイベント会場やコンサート会場などで音響機器や映像機器などと同時に使用した場合、瞬間的に大電流が流れることにより、各機器が故障してしまう可能性がある。
【0004】
そこで、そのようなRGB LEDに流れる電流を測定することにより、RGB LEDにおける消費電力を推定し、その推定結果に基づいて、RGB LEDの輝度や音響装置の音量などを調整する技術が必要となる。
【0005】
デバイスに流れる電流を測定する従来技術としては、数十mΩ(ミリオーム)の超低抵抗をデバイスの駆動回路に直列に入れて、その両端の電圧をマイコンのA/Dポートで読み込み、その電圧値と上記抵抗の値とに基づいて駆動回路に流れる電流を測定する技術が一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この場合に、上記抵抗の値が大きいほど読み取れる電流量の精度は向上するが、数アンペアに及ぶ大電流を測定する場合には、上記抵抗で消費される電力もかなり多くなり、LED等のデバイスにおける電圧降下も大きく電力損失が多くなってしまう。そのため、従来は、上記抵抗の値を適度に抑えて、電流の測定精度と電力損失の妥協点を見つけながら測定をせざるを得ないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、余分な電力を消費することなく、かつデバイスの駆動にも影響を与えずに、消費電力を推定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
態様の一例の電力推定装置は、デバイスを制御する制御装置により前記デバイスに供給される制御データ信号の平滑化電圧信号を生成する手段であって、前記制御データ信号の最大電位に対する中間電位を有する安定化された信号である中間電位信号を生成し、前記中間電位信号を前記制御データ信号をローパスフィルタで平滑化して得られる電圧信号にバイアス電圧信号として印加し、前記電圧信号に印加された前記バイアス電圧信号におけるバイアス電圧を前記制御データ信号の平滑化電圧信号として出力する平滑化電圧信号生成手段と、前記平滑化電圧信号を一つ以上の所定の閾値と夫々比較して判定することにより、前記デバイスの消費電力の大小を推定する消費電力推定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、余分な電力を消費することなく、かつデバイスの駆動にも影響を与えずに、消費電力を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のシステムブロック図である。
図2】LED制御信号のデータフォーマットの説明図(その1)である。
図3】LED制御信号のデータフォーマットの説明図(その2)である。
図4】平滑化回路の回路構成図である。
図5】端子VF1から出力される電圧信号の電圧時間変化特性の例を示す図である。
図6】端子VF2から出力される電圧信号の電圧時間変化特性の例を示す図である。
図7】輝度・音量調整処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態のシステム(以下「本システム」と記載)のシステムブロック図である。本システムは、MainCPU101と、SubCPU102と、直列に接続された#1~#Nのマイコン内蔵RGB-LED(以下「RGB-LED」と記載)103と、5V(ボルト)のLED専用電源104と、バッファ108と、制御データ信号を平滑化する平滑化電圧信号生成手段として機能する平滑化回路109と、音響アンプ112と、スピーカ114を主要構成要素として含む。本システムは全体として、デバイスまたは該デバイスと連動して動作する他のデバイスの少なくともいずれかひとつの消費電力を制御する消費電力制御装置として機能する。
【0012】
MainCPU(中央演算処理装置)101は、#1~#NのRGB-LED103の発光制御と、音響アンプ112及びスピーカ114における音響の音量制御の全体を制御するプロセッサである。
【0013】
SubCPU102は、MainCPU101から輝度制御信号105を不定期に受信しながら、輝度補正値を計算し、その輝度補正値に基づいて補正されたLED制御信号106を、#1~#NのRGB-LED103に向けて、後述するタイミングで出力する。
【0014】
#1~#NのRGB-LED103は夫々、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応した3つ色の発光を行う3つのLEDを備える。これらのLEDの発光は、特には図示しない内蔵のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と記載)が、SubCPU102から自装置向けの8ビット×3のLED制御信号106を受信し、各8ビットのビット列により指定される3つの輝度値を抽出し、3つのLEDを各輝度値で発光させる。
【0015】
#1~#NのRGB-LED103は、SubCPU102に接続されるシリアル制御線107によって、直列に接続される。
即ち、SubCPU102から出力されるシリアル制御線107は、#1のRGB-LED103のDI入力端子、そのDO出力端子から#2のRGB-LED103のDI入力端子、そのDO出力端子から#2のRGB-LED103のDI入力端子、・・・というように直列に接続され、#N-1のRGB-LED103のDO出力端子から#NのRGB-LED103のDI入力端子まで接続される。
最後は、シリアル制御線107は、#NのRGB-LED103のDO出力端子からSubCPU102にループバック接続される。
【0016】
RGB-LED103には、LED専用電源104から、例えば5Vの電源電圧が、VCC端子を介して印加される。
【0017】
図2及び図3は、シリアル制御線107を介して、SubCPU102から#1~#NのRGB-LED103に供給されるLED制御信号106のデータフォーマットの説明図である。まず、図2(a)は、LED制御信号106として出力されるRGB-LED103の1個分のビット列のデータフォーマット例である。ビット列の伝送方向は、時間経過に沿って、図2(a)の紙面に向かって左から右に向かう、矢印201として示される方向である。
【0018】
1つのRGB-LED103に対して、まず、G(緑)色の発光を行うLEDに対する輝度値が、8ビットのビット列として伝送される。この8ビットのビット列により、緑色発光LEDに対する0~255(10進表記)の256段階の輝度値が指定できる。
【0019】
次に、1つのRGB-LED103に対して、R(赤)色の発光を行うLEDに対する輝度値が、上記と同様に、8ビットのビット列として伝送される。この8ビットのビット列により、赤色発光LEDに対する0~255(10進表記)の256段階の輝度値が指定できる。
【0020】
更に、1つのRGB-LED103に対して、B(青)色の発光を行うLEDに対する輝度値が、上記と同様に、8ビットのビット列として伝送される。この8ビットのビット列により、青色発光LEDに対する0~255(10進表記)の256段階の輝度値が指定できる。
【0021】
以上図2(a)に示される3つのビット列により、1つのRGB-LED103に対して、8ビット×3=24ビットのビット列が指定される。
【0022】
図2(b)は、上記ビット列の各ビットが論理値1に対応するH信号の電圧パルス信号を示す図である。本実施例ではハイレベル電圧、ローレベル電圧がそのまま論理値1、0に対応するのではなく、ハイレベル電圧とローレベル電圧の時間長のデューティー比の違いにより論理値1と論理値0とを区別する。図2(b)に示すように、1ビット分のH信号値(論理値1)の時間長は例えば1.25μs(マイクロ秒)である。この1ビット分のH信号値は例えば、850ns(ナノ秒)の時間長を有するハイレベル電圧期間と、400nsの時間長を有するローレベル電圧期間とから構成される。
【0023】
図2(c)は、上記ビット列の各ビットが論理値0に対応するL信号の電圧パルス信号を示す図である。1ビット分のL信号値(論理値0)の時間長は、図2(b)のH信号値の時間長と同じ、例えば1.25μsである。この1ビット分のL信号値は例えば、400nsの時間長を有するハイレベル電圧期間と、850nsの時間長を有するローレベル電圧期間とから構成される。
【0024】
図2(b)及び(c)から理解されるように、図2(a)に示されるように3つの輝度値が指定される3つのビット列の各ビットにおいて、そのビットにH信号値(論理値1)が設定される場合のハイレベル電圧の時間とローレベル電圧の時間のデューティー比は、850:400=17:8である。一方、そのビットにL信号値(論理値0)が設定される場合のハイレベル電圧の時間とローレベル電圧の時間のデューティー比は、400:850=8:17である。
【0025】
従って、LED制御信号106において、H信号値においてはハイレベル電圧期間のほうがローレベル電圧期間よりも2倍以上長いため、H信号値が設定される割合が多ければLED制御信号106の平均電圧値は中間電位値(ハイレベル電圧値とローレベル電圧値の中間電圧値)よりも高くなる。
一方、L信号値においてはH信号値の場合とは逆に、ローレベル電圧期間のほうがハイレベル電圧期間よりも2倍以上長いため、L信号値が設定される割合が多ければLED制御信号106の平均電圧値は中間電位値よりも低くなる。
本実施形態では、後述するように、この事実に基づいて、LED制御信号106の平均電圧値を計測し、その計測した平均電圧値に基づいて#1~#NのRGB-LED103の全体の消費電力を推定するものである。
【0026】
図2(d)については、後述する。
【0027】
図3は、例として、図1におけるRGB-LED103の数N=3としたときの、シリアル制御線107上を伝送される#1~#3の3組分のRGB-LED103に対するLED制御信号106のデータフォーマットを説明する図である。SubCPU102からは、各データ更新サイクル1、2、・・・毎に、リセットコードを挟んで、#1~#3の3組分のRGB-LED103に対するLED制御信号106が送出される。
即ち、例えばデータ更新サイクル1において、まず、SubCPU102から#1のRGB-LED103(図中「LED(#1)」と略記)のDI入力端子へのLED制御信号106の入力時には、図3(a)に示されるように、まず、#1のRGB-LED103のための24ビット(図2(a)参照)分のビット列が入力し、次に、#2のRGB-LED103(図中「LED(#2)」と略記)のための24ビット分のビット列が入力し、最後に、#3のRGB-LED103(図中「LED(#3)」と略記)のための24ビット分のビット列が入力する。
【0028】
図3(a)の段階において、#1のRGB-LED103内のマイコンはシリアル制御線107上を伝送されてきた自装置向けのビット列「LED(#1)用24ビット」を取り込んでから、そのビット列を削除し、それ以外のビット列をDO出力端子から出力する。
【0029】
この結果、例えばデータ更新サイクル1において、#1のRGB-LED103のDO出力端子から、#2のRGB-LED103のDI入力端子へのLED制御信号106の入力時には、図3(b)に示されるように、#1のRGB-LED103のための24ビット分のビット列は除かれて、#2のRGB-LED103のための24ビット分のビット列が入力し、更に、#3のRGB-LED103のための24ビット分のビット列が入力する。
【0030】
図3(b)の段階において、#2のRGB-LED103内のマイコンはシリアル制御線107上を伝送されてきた自装置向けのビット列「LED(#2)用24ビット」を取り込んでから、そのビット列を削除し、それ以外のビット列をDO出力端子から出力する。
【0031】
この結果、例えばデータ更新サイクル1において、#2のRGB-LED103のDO出力端子から、#3のRGB-LED103のDI入力端子へのLED制御信号106の入力時には、図3(c)に示されるように、#2のRGB-LED103のための24ビット分のビット列が除かれて、#3のRGB-LED103のための24ビット分のビット列のみが入力する。
【0032】
図3(c)の段階において、#3のRGB-LED103内のマイコンはシリアル制御線107上を伝送されてきた自装置向けのビット列「LED(#3)用24ビット」を取り込んでから、そのビット列を削除し、それ以外のビット列をDO出力端子から出力する。
【0033】
この結果、例えばデータ更新サイクル1において、#3のRGB-LED103のDO出力端子から、SubCPU102へのループバック時には、図3(d)に示されるように、何もデータが入力されないという結果になる。SubCPU102は、シリアル制御線107のループバックで何も受信されないことを確認することにより、各RGB-LED103でLED制御信号106が正常に受信されたことを判定する。
【0034】
SubCPU102は、最後N=3のRGB-LED103のための24ビットのビット列をシリアル制御線107にLED制御信号106として送出した後、図3(a)及び図2(d)として示されるように、50μs以上の時間長を有するローレベル電圧期間からなるリセットコードを、シリアル制御線107にLED制御信号106として送出する。
【0035】
#1のRGB-LED103内のマイコンは、DI入力端子より入力するシリアル制御線107のLED制御信号106の状態が、図3(a)に示されるタイミングで、50μsの時間長以上ローレベル電圧となったことを認識すると、受信した24ビットのビット列により指示される3つの輝度値で、R、G、Bの3つのLEDを発光開始する。
【0036】
#2のRGB-LED103内のマイコンも、DI入力端子より入力するシリアル制御線107のLED制御信号106の状態が、図3(b)に示される図3(a)の場合とほぼ同時間帯に50μsの時間長以上ローレベル電圧となったことを認識することにより、受信した24ビットのビット列により指示される3つの輝度値で、R、G、Bの3つのLEDを発光開始する。
【0037】
#3のRGB-LED103内のマイコンも、DI入力端子より入力するシリアル制御線107のLED制御信号106の状態が、図3(c)に示される図3(a)及び(b)の場合とほぼ同時間帯に50μsの時間長以上ローレベル電圧となったことを認識することにより、受信した24ビットのビット列により指示される3つの輝度値で、R、G、Bの3つのLEDを発光開始する。
【0038】
以上のようにして、#1~#3の各RGB-LED103において、データ更新サイクル1において新たに更新された各輝度値に基づいて、各LEDの発光がリフレッシュされる。
【0039】
リセットコードの送出が完了した後、次のデータ更新サイクル2において、図1のMainCPU101からSubCPU102に不定期に供給されている最新の輝度制御信号105に基づいて、#1~#3のRGB-LED103の各LEDのための新たな輝度値が、データ更新サイクル1の場合と同様にLED制御信号106に設定されて、シリアル制御線107に送出される。
【0040】
以上のようにして、図1の#1~#NのRGB-LED103において、図3で説明したデータ更新サイクル毎に更新される各輝度値に基づいて、各LEDがフルカラーで発光制御される。これにより、カラフルな電飾表示等が実現される。
【0041】
図1の説明に戻り、平滑化回路109は、平滑化電圧信号生成手段として機能する平滑化回路の例である。平滑化電圧信号生成手段は、RGB-LED103(デバイス)を駆動するSubCPU102(制御装置)が出力するLED制御信号106(制御データ信号)を平滑化し、平滑化電圧信号を生成する。
【0042】
図2(b)及び(c)の説明で前述したように、本実施形態では、LED制御信号106として指定される各ビット列の各ビットとして、H信号(論理値1)が指定された場合とL信号(論理値0)が指定された場合とで、LED制御信号106の電圧値が変化するという事実を利用して、LED制御信号106を平滑化した平滑化電圧信号を元に消費電力の大小を推定する。
【0043】
図4は、図1の平滑化回路109の回路構成図である。端子Aには、図1のバッファ108の出力が接続される。この端子Aには、実質的に、シリアル制御線107上のLED制御信号106の電圧値が入力する。バッファ108は平滑化回路109がRGB-LED103に供給されるLED制御信号106に影響を与えないように信号を分離する目的で挿入される。端子Gには、図1のシリアル制御線107の接地線が接続される。この結果、LED制御信号106の電圧値が、例えば47KΩ(キロオーム)の抵抗値を有する抵抗R1と、例えば220pF(ピコファラッド)の容量値を有するコンデンサC1とからなるローパスフィルタ回路によって平滑化され、端子VF1から平滑化電圧信号が出力される。
【0044】
ここで、上述のように、単に抵抗R1とコンデンサC1での簡単なRCフィルタ回路における端子VF1の出力を平滑化電圧信号にしてしまうと、次の問題点がある。
問題点1:平均化の効果が低めな抵抗・コンデンサの値(抵抗値は低め、コンデンサは小容量)を使うと、端子VF1から出力される平滑化電圧信号の電圧は変動しやすく、すぐに高い電圧になるが低くもなりやすい。
問題点2:平均化の効果が高めな抵抗・コンデンサの値(抵抗値は高め、コンデンサは大容量)を使うと、端子VF1から出力される平滑化電圧信号の電圧は上昇しにくく、LED制御信号106中のかなりの数のビットがハイレベル電圧値で続かないと、電圧上昇に繋がらない(ただし、低くもなりにくいので、信号のムラを除去できる)。
つまり、フィルタの効果としては、「ハイレベル電圧値のビットが続けばスムーズに電圧は上昇するが、ローレベル電圧値のビットが続いても電圧下降スピードは早くしたくない。」という状況がベストである。
【0045】
図5は、端子VF1から出力される電圧信号の電圧時間変化特性の例を示す図である。縦軸は、出力電圧値[ボルト]を示し、横軸は、経過時間[秒]を示す。LED制御信号106において、ほとんどのビットがハイレベル(論理値1)に変化する場合の電圧特性501は、ほとんどのビットがローレベル(論理値0)に変化する場合の電圧特性502と比較して、ハイレベルに対応する平均電圧値に到達するまでに長い時間がかかっていることがわかる。
これでは、LED制御信号106において、ほとんどのビットがハイレベル(論理値1)に変化して#1~#NのRGB-LED103に瞬間的に大電流が流れても、その状態の検知に時間がかかってしまい、#1~#NのRGB-LED103に瞬間的に大電流が流れることを抑制する制御が間に合わない可能性がある。
【0046】
そこで、本実施形態では、図4に示される平滑化回路109において、端子VF1における平滑化電圧信号に、中間電位のバイアスをかけて、「電圧上昇時はアシストしてスピードアップするが、電圧降下時はブレーキをかけて遅くする。」という動作を実現することで、消費電流が多い時の出力波形(出力変動)をくっきりさせることを可能とする。
【0047】
具体的には、図4において、例えば10μF(マイクロファラッド)の容量値を有するコンデンサC4により安定化されている例えば5Vの電源V1の両端電圧が、例えば同じ2.2KΩの抵抗値を有する2つの抵抗R3及びR4によって中間電位に分圧される。この中間電位の高電位側と接地側に例えば同じ容量値1nF(ナノファラッド)を有する2つのコンデンサC2、C3が接続されることにより、中間電位の波形に対して速い変化をさせない(バタバタ暴れない)ようにしている。
【0048】
このようにして安定化された中間電位信号が、例えば22KΩの抵抗値を有する抵抗R2と逆流防止ダイオードD2を介して、端子VF1の平滑化電圧信号にバイアス電圧信号として印加される。そして、上記バイアス電圧信号におけるバイアス電圧が、端子VF2から、高速化された平滑化電圧信号として出力される。
【0049】
なお、図4の端子VF3は、MainCPU101が中間電位信号を生成する電源V1の電位を確認できるようにするための端子である。
【0050】
図6は、端子VF2から出力される電圧信号の電圧時間変化特性の例を示す図である。縦軸及び横軸は、図5の場合と同様である。LED制御信号106において、ほとんどのビットがハイレベル(論理値1)に変化する場合の電圧特性601は、図5の電圧特性501の場合と比較して、ハイレベルに対応する平均電圧値に到達するまでの時間が短いことがわかる。
従って、LED制御信号106において、ほとんどのビットがハイレベル(論理値1)に変化して#1~#NのRGB-LED103に瞬間的に大電流が流れ場合に、その状態を迅速に検知でき、#1~#NのRGB-LED103に瞬間的に大電流が流れることを抑制する制御を迅速に実行することが可能となる。
【0051】
なお、中間電位信号でバイアスされた場合、ほとんどのビットがハイレベル(論理値1)に変化する場合の電圧特性601の電圧値は、ほとんどのビットがローレベル(論理値0)に変化する場合の電圧特性602の電圧値に、比較的近い値になる。しかし、この程度であっても、MainCPU101のADC(A/D変換部)110(図1参照)によって、その違いを十分に高精度に検知することができる。特に、本実施形態では、ほとんどのビットがハイレベル(論理値1)に変化するような特別な大電流が流れる場合に対して、適切な抑制制御が実施されればよく、中間の状態は検知する必要性はあまりないため、本実施形態の制御方式により、十分に効果的な電流抑制制御を実施することができる。
【0052】
図7は、図4の平滑化回路109の端子VF2から出力されるVF2電圧信号に基づいて、MainCPU101が実施する輝度・音量調整処理の例を示すフローチャートである。この処理は、消費電力推定手段及び消費電力制御装置としての動作を実行する。
【0053】
まず、図1の平滑化回路109内の図4の端子VF2から出力されるVF2電圧信号に対して、MainCPU101内のADC110でデジタル値に変換して得られるデジタル電圧値(以下これを「VF2値」と記載)が取り込まれる(ステップS701)。
【0054】
次に、VF2値が、よりハイレベル電圧値に近い閾値1よりも大きいか否かが判定される(ステップS702)。
【0055】
ステップS702の判定がYESならば、輝度係数として「0.7」がセットされ(ステップS703)、また音量係数として「0.8」がセットされる(ステップS704)。
【0056】
ステップS702の判定がNOならば、VF2値が、閾値2(<閾値1)よりも大きいか否かが判定される(ステップS705)。
【0057】
ステップS705の判定がYESならば、輝度係数として「0.8」がセットされ(ステップS706)、また音量係数として「1.0」がセットされる(ステップS707)。
【0058】
ステップS705の判定がNOならば、輝度係数として「1.0」がセットされ(ステップS708)、また音量係数も「1.0」がセットされる(ステップS709)。
【0059】
MainCPU101は、以上のようにしてセットした輝度係数と音量係数を用いて、まず、図1の輝度制御信号105として与えられる輝度情報として、元の輝度情報に輝度係数を乗算して得られる値を、新たな輝度情報に置き換える。そして、そのようにして置き換えた輝度制御信号105をSubCPU102に供給する。
【0060】
また、図1の音響アンプ112に対して設定されるアンプゲイン113として、元のアンプゲイン113に音量係数を乗算して得られる値を、新たなアンプゲイン113の値に置き換える。そして、そのようにして置き換えたアンプゲイン113を音響アンプ112に供給する。音響アンプ112はデバイスであるRGB-LED103と連動して動作する他のデバイスの例である。
【0061】
これにより、LED制御信号106から検出されたVF2値が非常に高ければ、#1~#NのRGB-LED103に最大電流が流れている可能性があるため、ステップS703により、RGB-LED103に対して与えられるべき輝度値を下げるように、輝度情報の値を小さくするような制御が実施される。これと同時に、ステップS704により、音響アンプ112において大音量を抑制するような制御も実施される。このようにして、RGB-LED103と音響アンプ112の両方で、電力消費を抑制する制御が実施される。
【0062】
また、LED制御信号106から検出されたVF2値が或る程度高いが最大電圧値付近にまでは達していなければ、ステップS706により、RGB-LED103に対して与えられるべき輝度値をある程度下げて、輝度情報の値を或る程度小さくするような制御が実施される。しかしながら、ステップS707で音量係数は1.0とすることにより、音響アンプ112における音響増幅は抑制しないような制御が実施される。このようにして、臨機応変に、RGB-LED103と音響アンプ112の両方で、又はRGB-LED103のみで、電力消費を抑制する制御が実施される。
【0063】
LED制御信号106から検出されたVF2値が上昇していなければ、ステップS708とS709で、輝度係数及び音量係数ともに1.0とすることにより、RGB-LED103と音響アンプ112ともに消費電力の抑制は実施されない。
【0064】
以上説明した実施形態では、図4の構成を有する図1の平滑化回路109が、LED制御信号106の平滑化電圧信号を生成した。これに対して、平滑化回路109の代わりに、例えばMainCPU101自身が、プログラム処理の機能として、SubCPU102がRGB-LED103に供給するLED制御信号106の平均電圧をLED制御信号106に対する情報処理演算により算出するようにしてもよい。
この場合は、図1において、バッファ108の出力信号(LED制御信号106と実質的に等しい)を平滑化回路109に入力せず、直接MainCPU101のADC110に接続する。MainCPU101のプログラムはADC110に入力され、デジタル信号に変換されたLED制御信号106を、デジタルフィルタによるローパスフィルタや移動平均フィルタなどの情報処理演算より平滑化すればよい。また通常の数値演算(情報処理演算に含まれる)により、信号値の算術平均値を算出するようにしてもよい。
【0065】
また本実施形態では、MainCPU101が平滑化電圧信号(VF2電圧信号)をデジタル変換した信号を閾値と比較して、消費電力の大小を推定したが、アナログ回路による推定も可能である。
この場合は、閾値となる電圧をコンパレータ(比較回路)の基準電圧入力端子に接続し、平滑化電圧信号(VF2電圧信号)を信号入力端子に接続する。コンパレータの出力信号をMainCPU101のADC110に接続し、ADC110により変換されるデジタル信号値がHレベルであれば消費電力大として処理することで、本開示を実現することができる。
【0066】
以上の実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
デバイスを制御する制御装置が前記デバイスに供給する制御データ信号の平滑化電圧信号を生成する平滑化電圧信号生成手段と、
前記平滑化電圧信号に基づいて前記デバイスの消費電力の大小を推定する消費電力推定手段と、
を備える電力推定装置。
(付記2)
前記平滑化電圧信号生成手段は、前記制御データ信号を平滑化する平滑化回路である、
付記1に記載の電力推定装置。
(付記3)
前記平滑化回路は、前記制御データ信号の最大電位に対する中間電位を有する安定化された中間電位信号を生成し、前記中間電位信号を前記平滑化電圧信号にバイアス電圧信号として印加し、前記バイアス電圧信号におけるバイアス電圧を前記制御データ信号の平滑化電圧信号として出力する回路を更に備える、
付記2に記載の電力推定装置。
(付記4)
前記平滑化電圧信号生成手段は、前記制御データ信号に対する情報処理演算により前記平滑化電圧を生成する、コンピュータにより実行される機能部である、
付記1に記載の電力推定装置。
(付記5)
前記消費電力推定手段は、前記平滑化電圧信号を所定の閾値と比較して判定することにより、前記デバイスの消費電力の大小を推定する、
付記1から付記4の何れか1つに記載の電力推定装置。
(付記6)
前記デバイスはマイクロコンピュータを内蔵した発光ダイオードであり、
前記制御装置は、輝度値を指定し、各ビットの論理値1又は論理値0がハイレベル電圧の時間とローレベル電圧の時間のデューティー比が異なる電圧パルス信号によって指定される所定ビット数のビット列を、前記制御データ信号として前記発光ダイオードに供給することにより、前記マイクロコンピュータが前記発光ダイオードを前記ビット列が指示する前記輝度値で発光させる、
付記1から付記5の何れか1つに記載の電力推定装置。
(付記7)
付記1から付記6の何れか1つに記載の電力推定装置が推定した前記デバイスの消費電力の大小が、大であると推定された場合に、前記デバイス又は前記デバイスと連動して動作する他のデバイスの少なくともいずれかひとつの消費電力が小さくなるように制御する、
消費電力制御装置。
(付記8)
デバイスを制御する制御装置が前記デバイスに供給する制御データ信号の平滑化電圧信号を生成し、
前記生成した平滑化電圧信号に基づいて前記デバイスの消費電力の大小を推定する、
電力推定方法。
(付記9)
デバイスの動作を制御する制御装置が前記デバイスに供給する制御データ信号の平滑化電圧信号を生成し、
前記生成した平滑化電圧信号に基づいて前記デバイスの消費電力の大小を推定する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0067】
101 MainCPU
102 SubCPU
103 マイコン内蔵RGB-LED
104 LED専用電源
105 輝度制御信号
106 LED制御信号
107 シリアル制御線
108 バッファ
109 平滑化回路
110 ADC(A/D変換部)
112 音響アンプ
113 アンプゲイン
114 スピーカ
R1、R2、R3、R4 抵抗
C1、C2、C3、C4 コンデンサ
D2 逆流防止ダイオード
V1 電源電圧
VF1、VF2 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7