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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】車両用電源装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/19 20190101AFI20231226BHJP
   B60L 58/24 20190101ALI20231226BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B60L58/19
B60L58/24
H02J7/00 K
H02J7/00 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021156113
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023047162
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕介
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-152079(JP,A)
【文献】特開2019-80474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
B60W 10/00-20/50
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄電装置(31)および第2蓄電装置(32)と、
前記第1蓄電装置の低電位側と、前記第2蓄電装置の高電位側に接続された第1スイッチ(SW1)と、
前記第1蓄電装置の高電位側と、前記第2蓄電装置の高電位側と前記第1スイッチとの間に接続された第2スイッチ(SW2)と、
前記第2蓄電装置の低電位側と、前記第1蓄電装置の低電位側と前記第1スイッチとの間に接続された第3スイッチ(SW3)と、
前記第1蓄電装置の両端に接続された第1端子(H1,L1)と、前記第2蓄電装置の両端に接続された第2端子(H2,L2)と、を有するDC-DCコンバータ(18)と、を備え、
前記第1端子は、前記第1蓄電装置の高電位側および低電位側にそれぞれ接続された第1高電位側端子(H1)および第1低電位側端子(L1)を含み、
前記第2端子は、前記第2蓄電装置の高電位側および低電位側にそれぞれ接続された第2高電位側端子(H2)および第2低電位側端子(L2)を含み、
前記第1低電位側端子は、前記第1蓄電装置の低電位側と前記第1スイッチとの間に接続され、
前記第2高電位側端子は、前記第1スイッチと前記第2蓄電装置の高電位側との間に接続されている車両用電源装置(30)。
【請求項2】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチのうちの少なくともいずれか1つに還流ダイオードを備える半導体スイッチング素子が用いられており、
前記第1スイッチとして用いられる半導体スイッチング素子は、前記第2蓄電装置の高電位側から、前記第1蓄電装置の低電位側に向かう電流の方向を順方向とし、
前記第2スイッチとして用いられる半導体スイッチング素子は、前記第1蓄電装置の高電位側から、前記第2蓄電装置の高電位側と前記第1スイッチとの間に向かう電流の方向を順方向とし、
前記第3スイッチとして用いられる半導体スイッチング素子は、前記第1蓄電装置の低電位側と前記第1スイッチとの間から、前記第2蓄電装置の低電位側に向かう電流の方向を順方向とする請求項1に記載の車両用電源装置。
【請求項3】
車載の回転電機(14,16)および外部給電機(11)に接続可能であり、
前記回転電機の負荷を検出負荷として検出する負荷検出部(54)と、
前記外部給電機の電圧を検出給電圧として検出する給電電圧検出部(55)と、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御するスイッチ制御部(41)と、
前記第1端子の電圧と、前記第2端子の電圧とを制御するコンバータ制御部(42)と、を備える請求項1または2に記載の車両用電源装置。
【請求項4】
車載の回転電機に接続可能であり、
前記回転電機の負荷を検出負荷として検出する負荷検出部と、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御するスイッチ制御部と、を備え、
前記スイッチ制御部は、
前記検出負荷が所定の負荷閾値以上である場合には、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置とを直列接続するように前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御し、
前記検出負荷が前記負荷閾値より小さい場合には、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置とを並列接続するように前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御する、請求項1~3のいずれかに記載の車両用電源装置。
【請求項5】
外部給電機に接続可能であり、
前記外部給電機の電圧を検出給電圧として検出する給電電圧検出部と、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御するスイッチ制御部と、を備え、
前記スイッチ制御部は、
前記検出給電圧が所定の給電電圧閾値を超える場合には、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置とを直列接続するように前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御し、
前記検出給電圧が前記給電電圧閾値以下である場合には、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置とを並列接続するように前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御する、請求項1~4のいずれかに記載の車両用電源装置。
【請求項6】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御するスイッチ制御部と、
前記第1端子の電圧と、前記第2端子の電圧とを制御するコンバータ制御部と、を備え、
前記コンバータ制御部は、前記スイッチ制御部により前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との接続を直列接続から並列接続に切替える際に、前記第1スイッチの両端の電圧差が所定の作動電圧閾値よりも大きい場合には、前記電圧差を小さくするように前記DC-DCコンバータを作動させる請求項1~5のいずれかに記載の車両用電源装置。
【請求項7】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、および、前記第3スイッチの接続状態を制御するスイッチ制御部と、
前記第1端子の電圧と、前記第2端子の電圧とを制御するコンバータ制御部と、を備え、
前記コンバータ制御部は、前記スイッチ制御部により前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との接続を直列接続から並列接続に切替える場合に、前記第1スイッチの両端の電圧差が所定の停止電圧閾値よりも小さい場合には、前記DC-DCコンバータを停止させる請求項1~6のいずれかに記載の車両用電源装置。
【請求項8】
前記第1蓄電装置の温度を第1温度として検出するとともに、前記第2蓄電装置の温度を第2温度として検出する温度検出部と、
前記第1端子の電圧と、前記第2端子の電圧とを制御するコンバータ制御部と、を備え、
前記コンバータ制御部は、前記第1温度と前記第2温度の少なくともいずれか一方が所定の作動温度閾値よりも低い場合に、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間で電力を受給させるように前記DC-DCコンバータを作動させる請求項1~7のいずれかに記載の車両用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、電源の接続状態を切換えることが可能な車両用電源装置が記載されている。この車両用電源装置では、第1ノードと第2ノードとの間に接続された第1蓄電装置と、第2ノードと第3ノードとの間に接続された第1スイッチと、第3ノードと第4ノードとの間に接続された第2蓄電装置と、第1ノードと第3ノードとの間に接続された第2スイッチと、第2ノードに接続されたDC-DCコンバータとを備える。DC-DCコンバータは、第2ノードと、第3ノードまたは第4ノードとを接続可能にすることにより、第2ノードの電位を変更しており、第1ノードと第4ノードとの間から取り出される出力電力は電動機に供給される。電動機の負荷が小さく、電動機で必要とされる駆動電圧が小さい場合には、第1スイッチを開かつ第2スイッチを閉として電動機に対して第1蓄電装置と第2蓄電装置とを並列に接続する。一方、電動機の負荷が大きく、電動機で必要とされる駆動電圧が大きい場合には、第1スイッチを閉かつ第2スイッチを開として電動機に対して第1蓄電装置と第2蓄電装置とを直列に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-152079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用電源装置では、電動機に対する電力供給を維持した状態で電動機の負荷の大きさに応じて、電動機に対する第1蓄電装置と第2蓄電装置との接続を並列と直列との間で切り替えることができる。また、DC-DCコンバータを第1蓄電装置と第2蓄電装置との接続の切り替え時にのみ動作させることにより、スイッチング損失の増大を抑制することができる。しかしながら、特許文献1の車両用電源装置は、車両の停車中に、第1蓄電装置と第2蓄電装置との間で電力を受給できるように構成されていない。
【0005】
上記に鑑み、本発明は、充放電中における電源の直列/並列接続の切替えと、停車中における電源間の電力の受給とを両立可能な車両用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1蓄電装置および第2蓄電装置と、前記第1蓄電装置の低電位側と、前記第2蓄電装置の高電位側に接続された第1スイッチと、前記第1蓄電装置の高電位側と、前記第2蓄電装置の低電位側と前記第1スイッチとの間に接続された第2スイッチと、前記第2蓄電装置の低電位側と、前記第1蓄電装置の低電位側と前記第1スイッチとの間に接続された第3スイッチと、前記第1蓄電装置の両端に接続された第1端子と、前記第2蓄電装置の両端に接続された第2端子と、を有するDC-DCコンバータと、を備える車両用電源装置を提供する。
【0007】
上記の車両用電源装置によれば、第1スイッチを遮断状態とし、第2スイッチおよび第3スイッチを接続状態とすることにより、第1蓄電装置と第2蓄電装置とを並列接続できる。第1スイッチを接続状態とし、第2スイッチおよび第3スイッチを遮断状態とすることにより、第1蓄電装置と第2蓄電装置とを直列接続できる。直列/並列接続の切替えにおいて、全てのスイッチを遮断することによって、充放電中でも安全な切替えを実現できる。また、DC-DCコンバータは、第1蓄電装置の両端に接続された第1端子と、第2蓄電装置の両端に接続された第2端子とを有している。第1蓄電装置と第2蓄電装置とを並列接続した状態でDC-DCコンバータを作動させることにより、第1蓄電装置と第2蓄電装置との間に突入電流が流れることを抑制でき、安全な切替えを実現できる。さらに、車両の停車中に、第1蓄電装置と第2蓄電装置とを並列接続した状態でDC-DCコンバータを作動させることにより、第1蓄電装置と第2蓄電装置との間で電力を受給させることができる。この電力の受給により、停車中に各電源の温度を昇温させて電源効率を向上させる等の効果を得ることができる。すなわち、上記の車両用電源装置によれば、充放電中における電源の直列/並列接続の切替えと、停車中における電源間の電力の受給とを両立可能な車両用電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る車両用電源装置を含む車載システムを示す図。
図2】各バッテリを直列接続するスイッチング制御を示す図。
図3】各バッテリを直列接続から並列接続に切替える経過におけるスイッチング制御を示す図。
図4】各バッテリを並列接続するスイッチング制御を示す図。
図5】各バッテリを並列接続から直列接続に切替える経過におけるスイッチング制御を示す図。
図6】DC-DCコンバータについて実行される第1ノードと第3ノードとの電圧差制御のフローチャート。
図7図6に示す電圧差制御を実行した場合のタイムチャートの一例。
図8】DC-DCコンバータについて実行される各バッテリの昇温制御のフローチャート。
図9図8に示す昇圧制御を実行した場合のタイムチャートの一例。
図10】第2実施形態に係る車両用電源装置を含む車載システムを示す図。
図11】第3実施形態に係る車両用電源装置を含む車載システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1に示すように、車載システム1は、車両に搭載され、回路装置10と、制御装置13とを備えている。回路装置10は、電動機(M)14を駆動制御する駆動用インバータ(M-INV)15と、発電機(G)16の発電を制御する発電用インバータ(G-INV)17と、電源装置30と、リレー19~22と、を備えている。なお、電動機14および発電機16は、回転電機の一例である。
【0010】
M-INV15と、G-INV17とは、並列に接続されており、G-INV17からM-INV15に電力を供給することができる。M-INV15およびG-INV17は、リレー19,20を介して電源装置30に接続されている。電源装置30は、リレー21,22を介して、外部給電機11に接続することができる。
【0011】
リレー19、21は、回路装置10の高電位配線に設けられている。リレー20、22は、回路装置10の低電位配線に設けられている。リレー19,20は、SMRリレーであり、リレー21,22は、DCリレーである。
【0012】
電源装置30は、車両用電源装置であり、第1バッテリ(BT1)31と、第2バッテリ(BT2)32と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3と、DC-DCコンバータ18と、第1電圧検出装置33と、第2電圧検出装置34と、を備えている。第1バッテリ31および第2バッテリ32は、2次電池であり、より具体的には、例えば、出力電圧は数百V程度のリチウムイオン蓄電池であり、複数のセル(単電池)の直列接続体を備える組電池である。
【0013】
DC-DCコンバータ18は、第1端子H1,L1と、第2端子H2,L2とを備えている。第1端子H1,L1は、第1バッテリ31の両端に接続されている。より具体的には、第1端子H1は、第1バッテリ31の高電位側に接続された第1高電位端子である。第1端子L1は、第1バッテリ31の低電位側に接続された第1低電位端子である。第2端子H2,L2は、第2バッテリ32の両端に接続されている。より具体的には、第2端子H2は、第2バッテリ32の高電位側に接続された第2高電位端子である。第2端子L2は、第2バッテリ32の低電位側に接続された第2低電位端子である。DC-DCコンバータ18は、第1端子H1,L1から入力または出力される電力と、第2端子H2,L2から入力または出力される電力とを互いに変換することができる。
【0014】
電源装置30は、外部給電機11からの供給された電力を第1バッテリ31および第2バッテリ32に充電することができる。電源装置30は、第1バッテリ31および第2バッテリ32に充電された電力を、電動機14の駆動電力としてM-INV15に供給できる。また、電源装置30は、発電機16が発電した発電電力をG-INV17を介して第1バッテリ31および第2バッテリ32に充電することができる。
【0015】
電源装置30は、第1ノードn1と、第2ノードn2と、第3ノードn3と、第4ノードn4とを備えている。第1ノードn1は、第1バッテリ31の高電位側と、第2スイッチSW2と、第1端子H1との接続点である。第2ノードn2は、第1バッテリ31の低電位側と、第1スイッチSW1と、第3スイッチSW3と、第1端子L1との接続点である。第3ノードn3は、第2バッテリ32の高電位側と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第2端子H2との接続点である。第4ノードn4は、第2バッテリ32の低電位側と、第3スイッチSW3と、第2端子L2との接続点である。電源装置30は、第1ノードn1において回路装置10の高電位配線に接続され、第4ノードn4において回路装置10の低電位配線に接続されている。
【0016】
第1スイッチSW1は、第2ノードn2において第1バッテリ31の低電位側と接続され、第3ノードn3において第2バッテリ32の高電位側に接続されている。第1スイッチSW1は、IGBTと還流ダイオードが逆並列に接続されたRC-IGBTであり、第3ノードn3から第2ノードn2に向かう電流の方向が順方向となるように接続されている。すなわち、第1スイッチSW1の順方向は、第2バッテリ32の高電位側から、第1バッテリ31の低電位側に向かう電流の方向である。すなわち、第1スイッチSW1は、その還流ダイオードの導通方向が第1バッテリ31の低電位側から、第2バッテリ32の高電位側に向かう電流の方向であるように設置されている。
【0017】
第2スイッチSW2は、第1ノードn1において第1バッテリ31の高電位側と接続され、第3ノードn3において第2バッテリ32の低電位側と第1スイッチSW1との間に接続されている。第2スイッチSW2は、IGBTと還流ダイオードが逆並列に接続されたRC-IGBTであり、第1ノードn1から第3ノードn3に向かう電流の方向が順方向となるように接続されている。すなわち、第2スイッチSW2の順方向は、第1バッテリ31の高電位側から、第2バッテリ32の高電位側と第1スイッチSW1との間に向かう電流の方向である。すなわち、第2スイッチSW2は、その還流ダイオードの導通方向が第2バッテリ32の低電位側と第1スイッチSW1との間から、第1バッテリ31の高電位側に向かう電流の方向であるように設置されている。
【0018】
第3スイッチSW3は、第2ノードn2において第1バッテリ31の低電位側と第1スイッチSW1との間に接続され、第4ノードn4において第2バッテリ32の低電位側に接続されている。第3スイッチSW3は、IGBTと還流ダイオードが逆並列に接続されたRC-IGBTであり、第2ノードn2から第4ノードn4に向かう電流の方向が順方向となるように接続されている。すなわち、第3スイッチSW3の順方向は、第1バッテリ31の低電位側と第1スイッチSW1との間から、第2バッテリ32の低電位側に向かう電流の方向である。すなわち、第3スイッチSW3は、還流ダイオードの導通方向が第2バッテリ32の低電位側から、第1バッテリ31の低電位側と第1スイッチSW1との間に向かう電流の方向であるように設置されている。
【0019】
上記の回路構成により、電源装置30は、第1~第3スイッチSW1~SW3のオンオフ制御によって、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を並列接続と直列接続との間で切り替えることができる。
【0020】
DC-DCコンバータ18の第1端子H1は、第1ノードn1において第1バッテリ31の高電位側に接続されている。第2端子H2は、第3ノードn3において、第2バッテリ32の高電位側と第1スイッチSW1との間に接続されている。第1端子H1および第2端子H2は、第1ノードn1および第3ノードn3において第2スイッチSW2と接続されている。
【0021】
DC-DCコンバータ18の第1端子L1は、第2ノードn2において第1バッテリ31の低電位側と第1スイッチSW1との間に接続されている。第2端子L2は、第4ノードn4において、第2バッテリ32の低電位側に接続されている。
【0022】
第1電圧検出装置33は、第1ノードn1と第2ノードn2との間において第1バッテリ31と並列に接続され、第1ノードn1と第2ノードn2との間の電圧VB1を検出できる。第2電圧検出装置34は、第3ノードn3と第4ノードn4との間において第2バッテリ32と並列に接続され、第3ノードn3と第4ノードn4との間の電圧VB2を検出できる。
【0023】
制御装置13は、制御部40と、検出部50とを備えている。制御部40は、スイッチ(SW)制御部41と、コンバータ(CNV)制御部42と、インバータ(INV)制御部43と、リレー(RL)制御部44とを備えている。検出部50は、電圧検出部51と、電流検出部52と、温度検出部53と、負荷検出部54と、給電(CB)電圧検出部55とを備えている。制御装置13は、例えば、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えるECUとして車両に搭載され、CPUが、ROMにインストールされているプログラムを実行することでこれら各機能を実現する。
【0024】
SW制御部41は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3のオンオフ制御を行う。CNV制御部42は、DC-DCコンバータ18を制御する。INV制御部43は、M-INV15およびG-INV17に含まれる半導体スイッチング素子のオンオフ制御を行う。RL制御部44は、リレー19~22のオンオフ制御を行う。
【0025】
電圧検出部51は、第1電圧検出装置33が検出した、第1ノードn1と第2ノードn2との間の電圧VB1を取得し、第2電圧検出装置34が検出した、第3ノードn3と第4ノードn4との間の電圧VB2を取得する。電流検出部52は、電動機14の駆動電流および発電機16の発電電流の検出値または推定値を取得する。温度検出部53は、外部給電機11の温度を取得する。例えば、外部給電機11に設けられた温度センサによって検出された外部給電機11の温度を取得する。負荷検出部54は、例えば、電流検出部52が検出した駆動電流に基づいて、電動機14の負荷の検出値または推定値を取得する。CB電圧検出部55は、外部給電機11の電圧を取得する。例えば、外部給電機11に設けられた電圧センサによって検出された外部給電機11の出力電圧を取得する。
【0026】
SW制御部41は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3のオンオフ制御を行うことにより、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を並列接続と直列接続との間で切り替える。図2図4は、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を直列接続から並列接続に切替える際の制御を示している。図2図4は、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を直列接続から並列接続に切替える際の制御を示している。図4,5は、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を並列接続から直列接続に切替える際の制御を示している。
【0027】
図2に示すように、第1スイッチSW1をオン状態に制御し、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3をオフ状態に制御した状態では、第1バッテリ31と第2バッテリ32は直列接続される。各バッテリ31,32の放電中においては、図2に矢印で示す電流Iaが流れる。電流Iaは、IGBT経由で通電する。
【0028】
図3は、図2の状態から、第1スイッチSW1をオフ状態に切り替えた状態を示す。第1~第3スイッチSW1~SW3の全てがオフ状態であり、図3に矢印で示す電流Ib,Icが流れる。電流Ibは、第2スイッチSW2の還流ダイオード経由で通電する。電流Icは、第3スイッチSW3の還流ダイオード経由で通電する。全てがオフ状態であっても、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3において還流ダイオード経由の電流Ib,Icが流れるため、放電電流が瞬断されることを抑制できる。
【0029】
図4は、図3の状態から、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3をオン状態に切り替えた状態を示す。第1スイッチSW1がオフ状態であり、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3をオン状態である。この状態では、第1バッテリ31と第2バッテリ32は並列接続され、図4に矢印で示す電流Id,Ieが流れる。電流Idは、第2スイッチSW2のIGBT経由で通電する。電流Ieは、第3スイッチSW3のIGBT経由で通電する。
【0030】
逆に、図4に示す並列接続の状態から、図2に示す直列接続の状態に切り替える場合には、まず、図5に示すように、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3をオフ状態に切り替えて、第1~第3スイッチSW1~SW3の全てをオフ状態に制御する。各バッテリ31,32の放電中においては、図5に矢印で示す電流Ifが流れる。電流Ifは、第2スイッチSW2の還流ダイオード経由で通電する。全てがオフ状態であっても、第2スイッチSW2において還流ダイオード経由の電流Ifが流れるため、放電電流が瞬断されることを抑制できる。図5の状態から、第1スイッチSW1をオン状態に切り替えると、図2に示す直列接続の状態に切り替えることができる。
【0031】
SW制御部41は、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を直列接続から並列接続に切替える場合に、図2,3,4の順序で第1~第3スイッチSW1~SW3を制御する。また、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を並列接続から直列接続に切替える場合に、図4,5,2の順序で第1~第3スイッチSW1~SW3を制御する。このため、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を、その放電中に切替えても、放電電流が瞬断されることを抑制できる。
【0032】
SW制御部41は、検出部50が取得する各種パラメータも基づいて、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を切替えるように構成されていてもよい。例えば、負荷検出部54が検出する電動機14の負荷である検出負荷や、CB電圧検出部55が検出する外部給電機11の負荷である検出給電圧に基づいて、接続状態を切替えるように構成されていてもよい。
【0033】
具体的には、SW制御部41は、検出負荷が所定の負荷閾値以上である場合には、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを直列接続し、検出負荷が負荷閾値より小さい場合には、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを並列接続するように、第1~第3スイッチSW1~SW3を制御するように構成されていてもよい。また、SW制御部41は、検出給電圧が所定の給電電圧閾値を超える場合には、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを直列接続し、検出負荷が給電電圧閾値以下である場合には、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを並列接続するように、第1~第3スイッチSW1~SW3を制御するように構成されていてもよい。
【0034】
この場合、負荷閾値は、例えば、車両のアクセルペダルの踏み込み量と、要求駆動力とに基づいて設定することが好ましい。具体的には、踏み込み量が大きく、要求駆動力が大きいほど、負荷閾値を小さくすることが好ましい。要求駆動力に応じて第1バッテリ31と第2バッテリ32の接続状態を適切に切り替えることができる。
【0035】
また、給電圧閾値は、例えば、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを並列接続した際の電源装置30のシステム電圧であることが好ましい。具体的には、第1バッテリ31および第2バッテリ32の定格電圧が400Vである場合には、並列接続時のシステム電圧は、400Vである。給電圧閾値を400Vに設定すれば、検出給電圧が800Vである場合には直列接続し、検出給電圧が400Vである場合には並列接続するという制御が可能となる。検出給電圧に応じて、回転電機の負荷に応じて第1バッテリ31と第2バッテリ32の接続状態を適切に切り替えることができる。
【0036】
コンバータ制御部42は、DC-DCコンバータ18を制御することにより、第1端子H1,L1の電圧と、第2端子H2,L2の電圧とを制御する。図4に示すように、第1バッテリ31と第2バッテリ32とが並列接続されている場合に、第1ノードn1と第2ノードn2との間の電圧をVB1とし、第3ノードn3と第4ノードn4との間の電圧をVB2とすると、DC-DCコンバータ18を作動させることにより電圧VB1と電圧VB2との差を低減することができる。
【0037】
電圧VB1と電圧VB2との電圧差(VB1-VB2)の絶対値:Abs(VB1-VB2)を低減することにより、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続を直列接続から並列接続に切替える際に、第1ノードn1と第3ノードn3との間で突入電流が流れることを抑制できる。Abs(VB1-VB2)は、第1スイッチSW1の両端の電圧差に相当する。
【0038】
図4に示す並列接続時に常にDC-DCコンバータ18を作動させて電圧制御を行うと、DC-DCコンバータ18の損失により、電費が低くなってしまうことが懸念される。このため、コンバータ制御部42は、第1スイッチSW1の両端の電圧差Abs(VB1-VB2)が所定の作動電圧閾値X1よりも大きい場合には、電圧差Abs(VB1-VB2)を小さくするようにDC-DCコンバータ18を作動させる。そして、電圧差Abs(VB1-VB2)が所定の停止電圧閾値X2よりも小さい場合には、コンバータ制御部42は、DC-DCコンバータ18を停止させる。
【0039】
なお、作動電圧閾値X1は、第1ノードn1と第3ノードn3との間で突入電流が流れた場合に、その突入電流が各スイッチを構成する半導体スイッチング素子に影響を与えないような電圧値をシミュレーションや実験等により求めた値に設定されることが好ましい。また、停止電圧閾値X2は、作動電圧閾値X1以下(X2≦X1)に設定すればよく、作動電圧閾値X1よりも小さく(X2<X1)設定することが好ましい。
【0040】
図6に、コンバータ制御部42がDC-DCコンバータ18について実行する電圧差制御処理のフローチャートを示す。図6に示す処理は、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続を直列接続から並列接続に切替える際に、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0041】
まず、ステップS101では、第1電圧検出装置33が検出した電圧VB1と、第2電圧検出装置34が検出した電圧VB2とを取得する。その後、ステップS102に進む。
【0042】
ステップS102では、電圧差Abs(VB1-VB2)が作動電圧閾値X1を超えているか否かを判定する。Abs(VB1-VB2)>X1である場合には、ステップS103に進み、DC-DCコンバータ18をオン状態に制御して作動させた後、処理を終了する。Abs(VB1-VB2)≦X1である場合には、ステップS104に進む。
【0043】
ステップS104では、電圧差Abs(VB1-VB2)が停止電圧閾値X2未満であるか否かを判定する。Abs(VB1-VB2)<X2である場合には、ステップS105に進み、DC-DCコンバータ18をオフ状態に制御して停止させた後、処理を終了する。Abs(VB1-VB2)≧X2である場合には、そのまま処理を終了する。
【0044】
図7に、図6に示す処理を実行した場合の電圧差:Abs(VB1-VB2)とコンバータ制御のオン/オフ状態についてのタイムチャートを示す。なお、横軸tは時間軸を示す。
【0045】
時間t0において、電圧差は、X2<Abs(VB1-VB2)≦X1であり、DC-DCコンバータ18はオフ状態に制御されている。時間t0~t1の直前までの期間、電圧差は、徐々に上昇するが、X2≦Abs(VB1-VB2)≦X1であるため、図6に示すステップS102,S104において否定判定され、DC-DCコンバータ18はオフ状態に維持される。
【0046】
時間t1において、電圧差は、Abs(VB1-VB2)>X1となる。このため、ステップS102において肯定判定され、DC-DCコンバータ18はオフ状態からオン状態に切り替えられる。その結果、時間t1~t2の直前までの期間、電圧差は、徐々に下降するが、X2≦Abs(VB1-VB2)≦X1であるため、図6に示すステップS102,S104において否定判定され、DC-DCコンバータ18はオン状態に維持される。
【0047】
時間t2において、電圧差は、Abs(VB1-VB2)<X2となる。このため、ステップS102において否定判定されるとともに、ステップS104において肯定判定され、DC-DCコンバータ18はオン状態からオフ状態に切り替えられる。
【0048】
また、コンバータ制御部42は、車両の停車中に、DC-DCコンバータ18を作動させることにより、第1バッテリ31および第2バッテリ32の昇温や劣化検出を実行可能に構成されていてもよい。第1バッテリ31および第2バッテリ32のようなリチウムイオン蓄電池においては、バッテリ温度が低すぎると十分に出力を得られない場合がある。
【0049】
図4に示すように、第1バッテリ31と第2バッテリ32とが並列接続されている場合に、DC-DCコンバータ18を作動させて、第1バッテリ31と第2バッテリ32との間で電力のやり取りをさせることにより、第1バッテリ31および第2バッテリ32の昇温させることができる。例えば、車両が停車している間に第1バッテリ31と第2バッテリ32の温度が低下した場合に、第1バッテリ31と第2バッテリ32との間で電力を受給させるようにDC-DCコンバータ18を作動させる昇温制御を実行することにより、第1バッテリ31および第2バッテリ32の温度が低下し過ぎて十分に出力を得られないことを回避できる。
【0050】
コンバータ制御部42は、温度検出部53から、第1バッテリ31の温度である第1温度と、第2バッテリ32の温度である第2温度を取得する。そして、コンバータ制御部42は、第1温度と第2温度の少なくともいずれか一方が所定の作動温度閾値Y1よりも低い場合に、DC-DCコンバータ18を作動させて、第1バッテリ31と第2バッテリ32との間で電力を受給させることにより、第1バッテリ31および第2バッテリ32を昇温させる昇温制御を実行する。そして、第1温度と第2温度の双方が所定の停止温度閾値Y2よりも高い場合に、DC-DCコンバータ18による昇温制御を終了させる。
【0051】
なお、作動温度閾値Y1は、各バッテリの組電池を構成するセルの低温時における出力能力によって決められる値に設定することが好ましい。具体的には、また、停止温度閾値Y2は、作動温度閾値Y1以上(Y2≧Y1)に設定すればよく、作動温度閾値Y1よりも大きく(Y2>Y1)設定することが好ましい。
【0052】
図8に、コンバータ制御部42がDC-DCコンバータ18について実行する昇温制御処理のフローチャートを示す。図8に示す処理は、車両の停車時に、第1バッテリ31と第2バッテリ32が並列接続されている状態において、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0053】
まず、ステップS201では、バッテリ温度Yを取得する。バッテリ温度Yは、第1温度と第2温度の双方であってもよいし、いずれか一方であってもよい。その後、ステップS202に進む。
【0054】
ステップS202では、バッテリ温度Yが作動温度閾値Y1未満であるか否かを判定する。Y<Y1である場合には、ステップS203に進み、DC-DCコンバータ18に昇温制御を実行させた後、処理を終了する。Y≧Y1である場合には、ステップS204に進む。
【0055】
ステップS204では、バッテリ温度Yが停止温度閾値Y2を超えているか否かを判定する。Y>Y2である場合には、ステップS205に進み、DC-DCコンバータ18の昇温制御を停止させた後、処理を終了する。Y≦Y2である場合には、そのまま処理を終了する。
【0056】
図9に、図8に示す処理を実行した場合のバッテリ温度Yと、DC-DCコンバータ18の昇温制御のオン/オフ状態と、第1ノードn1と第3ノードn3との間の電圧差:(VB1-VB2)と、第1ノードn1と第3ノードn3との間に流れる電流についてのタイムチャートを示す。なお、横軸tは時間軸を示す。
【0057】
時間t0において、バッテリ温度Yは、Y>Y1であり、DC-DCコンバータ18の昇温制御はオフ状態に制御されている。第1ノードn1と第3ノードn3との間において電圧差は零であり、電流も零である。時間t0~t1の直前までの期間、バッテリ温度Yは、徐々に下降するが、Y≧Y1であるため、図8に示すステップS202,S204において否定判定され、DC-DCコンバータ18の昇温制御はオフ状態に維持される。
【0058】
時間t1において、バッテリ温度Y<Y1となる。このため、ステップS202において肯定判定され、DC-DCコンバータ18の昇温制御はオフ状態からオン状態に切り替えられる。DC-DCコンバータ18の昇温制御がオン状態になることにより、時間t1~t2の直前までの期間、第1ノードn1と第3ノードn3との間の電圧差は、-Vs~Vsの間で曲線状に周期的に変化するように制御される。その結果、第1ノードn1と第3ノードn3との間に流れる電流は、-Is~Isの間で直線状に周期的に変化する。バッテリ温度Yは、徐々に上昇するが、Y1≦Y≦Y2であるため、図8に示すステップS202,S204において否定判定され、DC-DCコンバータ18の昇温制御はオン状態に維持される。
【0059】
時間t2において、バッテリ温度Yは、Y>Y2となる。このため、ステップS202において否定判定されるとともに、ステップS204において肯定判定され、DC-DCコンバータ18の昇温制御はオン状態からオフ状態に切り替えられる。
【0060】
(第2実施形態)
第1実施形態では、各スイッチSW1~SW3が各ノードn1~n4のいずれかに接続されている回路装置10および電源装置30を例示して説明したが、これに限定されない。
【0061】
第2実施形態に係る回路装置10aは、図10に示すように、電源装置30aを含む。電源装置30aでは、第2スイッチSW2は、第1ノードn1に替えて、リレー19とM-INV15およびG-INV17とを接続する第5ノードn5において第1バッテリ31の高電位側と接続されている。第3スイッチSW3は、第4ノードn4に替えて、リレー20とM-INV15およびG-INV17とを接続する第6ノードn6において第2バッテリ32の低電位側に接続されている。その他の構成は、図1に係る回路装置10と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る回路装置10bは、図11に示すように、電源装置30bを含む。電源装置30bでは、第2スイッチSW2は、第1ノードn1に替えて、リレー21と外部給電機11とを接続する第7ノードn7において第1バッテリ31の高電位側と接続されている。第3スイッチSW3は、第4ノードn4に替えて、リレー22と外部給電機11とを接続する第8ノードn8において第2バッテリ32の低電位側に接続されている。その他の構成は、図1に係る回路装置10と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
第2および第3実施形態に係る回路装置10a,10bについても、図1に示す制御装置13と組み合わせることにより、車載システムを構成することができる。電源装置30a,30bにおいても、第1実施形態で図2~5を用いて説明した手順により、第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を並列接続と直列接続との間で切り替えることができ、同様の作用効果を得ることができる。また、図6~9を用いて説明したDC-DCコンバータ18の制御を実行することができ、同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
なお、上記の各実施形態では、電源装置30,30a,30bに含まれる各スイッチSW1~SW3が半導体スイッチング素子である場合を例示して説明したが、半導体スイッチング素子に替えて、物理スイッチを用いることもできる。第2スイッチSW2および第3スイッチSW3に半導体スイッチング素子を用いる場合、図3および図5に示す状態において還流ダイオードに電流が流れて放電電流の瞬断を抑制できる点において、物理スイッチを用いる場合よりも好ましい。
【0065】
また、上記の各実施形態では、電源装置が、電源装置30,30a,30bのように、回路装置10,10a,10に含まれる回路構成である場合を例示して説明したが、図1に示す制御装置13のような制御装置も含んだ電源装置であってもよい。すなわち、電源装置30,30a,30bと、制御装置13が含む各構成とを含む装置を電源装置としてもよい。
【0066】
上記の各実施形態によれば、下記の効果を得ることができる。
【0067】
車両用の電源装置30は、第1蓄電装置としての第1バッテリ31と、第2蓄電装置としての第2バッテリ32と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、第3スイッチSW3と、DC-DCコンバータ18とを備える。第1スイッチSW1は、第1バッテリ31の低電位側と、第2バッテリ32の高電位側に接続されている。第2スイッチSW2は、第1バッテリ31の高電位側と、第2バッテリ32の低電位側と第1スイッチとの間に接続されている。第3スイッチSW3は、第2バッテリ32の低電位側と、第1バッテリ31の低電位側と第1スイッチとの間に接続されている。DC-DCコンバータ18は、第1バッテリ31の両端に接続された第1端子H1,L1と、第2バッテリ32の両端に接続された第2端子H2,L2と、を有する。
【0068】
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および、第3スイッチSW3のうちの少なくともいずれか1つに還流ダイオードを備える半導体スイッチング素子が用いられていてもよい。この場合、第1スイッチSW1として用いられる半導体スイッチング素子は、第2バッテリ32の高電位側から、第1バッテリ31の低電位側に向かう電流の方向を順方向とするように設置されていることが好ましい。第2スイッチSW2として用いられる半導体スイッチング素子は、第1バッテリ31の高電位側から、第2バッテリ32の低電位側と第1スイッチSW1との間に向かう電流の方向を順方向とするように設置されることが好ましい。第3スイッチSW3として用いられる半導体スイッチング素子は、第1バッテリ31の低電位側と第1スイッチSW1との間から、第2バッテリ32の低電位側に向かう電流の方向を順方向とするように設置されることが好ましい。第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を並列接続と直列接続との間で切り替える際に、還流ダイオードに電流が流れることにより放電電流の瞬断を効果的に抑制できる。
【0069】
電源装置は、電源装置30,30a,30bのように、車載の回転電機(例えば、電動機14や発電機16)および外部給電機11に接続可能に構成されていてもよい。この場合、電源装置は、制御装置13に含まれる各部をさらに備えるものであってもよい。例えば、回転電機の負荷を検出負荷として検出する負荷検出部54と、外部給電機11の電圧を検出給電圧として検出するCB電圧検出部55と、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および、第3スイッチSW3の接続状態を制御するスイッチ制御部41と、第1端子H1,L1の電圧と、第2端子H2,L2の電圧とを制御するコンバータ制御部42と、を備えていてもよい。
【0070】
この場合、スイッチ制御部41は、検出負荷が所定の負荷閾値以上である場合には、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを直列接続するように第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および、第3スイッチSW3の接続状態を制御し、検出負荷が負荷閾値より小さい場合には、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを並列接続するように第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および、第3スイッチSW3の接続状態を制御するように構成されていてもよい。検出した回転電機の負荷に応じて、適切に第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を切替えることができる。
【0071】
また、スイッチ制御部41は、検出給電圧が所定の給電電圧閾値を超える場合には、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを直列接続するように第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および、第3スイッチSW3の接続状態を制御し、検出給電圧が給電電圧閾値以下である場合には、第1バッテリ31と第2バッテリ32とを並列接続するように第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および、第3スイッチSW3の接続状態を制御するように構成されていてもよい。検出した給電圧に応じて、適切に第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続状態を切替えることができる。
【0072】
また、コンバータ制御部42は、スイッチ制御部41により第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続を直列接続から並列接続に切替える際に、第1スイッチSW1の両端の電圧差が所定の作動電圧閾値X1よりも大きい場合には、電圧差を小さくするようにDC-DCコンバータ18を作動させるように構成されていてもよい。第1スイッチSW1の両端の電圧差により突入電流が流れることにより各スイッチを構成する半導体スイッチング素子が破損する等の影響を受けることを抑制できる。
【0073】
また、コンバータ制御部42は、スイッチ制御部41により第1バッテリ31と第2バッテリ32との接続を直列接続から並列接続に切替える場合に、第1スイッチSW1の両端の電圧差が所定の停止電圧閾値X2よりも小さい場合には、DC-DCコンバータ18を停止させるように構成されていてもよい。並列接続時に常にDC-DCコンバータ18を作動させてDC-DCコンバータ18の損失により電費を低下させる状況を回避できる。
【0074】
また、電源装置は、第1バッテリ31の温度を第1温度として検出するとともに、第2バッテリ32の温度を第2温度として検出する温度検出部53を備えていてもよい。この場合、コンバータ制御部42は、第1温度と第2温度の少なくともいずれか一方が所定の作動温度閾値Y1よりも低い場合に、第1バッテリ31と第2バッテリ32との間で電力を受給させるようにDC-DCコンバータ18を作動させるように構成されていてもよい。車両が停車している間等に、第1バッテリ31および第2バッテリ32の温度が低下し過ぎて十分に出力を得られないことを回避できる。
【0075】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
18…DC-DCコンバータ、30…車両用電源装置、31…第1バッテリ、32…第2バッテリ、H1,L1…第1端子、H2,L2…第2端子、SW1~SW3…第1~第3スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11