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特許7409396情報処理装置、情報処理方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 5/04 20230101AFI20231226BHJP
【FI】
G06N5/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021570548
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2020001125
(87)【国際公開番号】W WO2021144894
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】山本 風人
【審査官】三坂 敏夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-044073(JP,A)
【文献】山ノ口 崇 他,推論の失敗を考慮した仮説推論システム,電子情報通信学会論文誌 (J88-D-1) 第8号,日本,社団法人電子情報通信学会,2005年08月01日,第1247頁-第1256頁,ISSN:0915-1915
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 18/00-18/40
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現した二分決定図を持つ矛盾判定関数を取得する取得手段と、
解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙する潜在矛盾列挙手段と、
を備え、
前記解候補集合は、クエリ論理式と前記背景知識とから列挙された解仮説の候補の集合であり、
前記潜在矛盾列挙手段は、
前記解候補集合によって真偽値が定まる可能性のある、前記二分決定図の変数を列挙し、前記変数の範囲で矛盾を導く真偽値割り当ての有無を探索し、前記割り当てが存在する場合に、前記割り当てに対応するリテラルの組み合わせを前記解候補集合から探索する、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記潜在矛盾列挙手段は、
前記解候補集合のリテラルの全ての組み合わせについて、前記矛盾判定関数を用いて背景知識に矛盾するかどうかを判定することで、背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせを列挙する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記解候補集合と、前記潜在矛盾集合とから、仮説推論を実行する推論手段と、
前記仮説推論の結果として、前記背景知識に矛盾しないリテラルを出力する出力手段と、
を備えた情報処理装置。
【請求項4】
背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現した二分決定図を持つ矛盾判定関数を取得し、
解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルを組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙し、
前記解候補集合は、クエリ論理式と前記背景知識とから列挙された解仮説の候補の集合であり、
前記潜在矛盾の列挙において、
前記解候補集合によって真偽値が定まる可能性のある、前記二分決定図の変数を列挙し、前記変数の範囲で矛盾を導く真偽値割り当ての有無を探索し、前記割り当てが存在する場合に、前記割り当てに対応するリテラルの組み合わせを前記解候補集合から探索する、
情報処理方法。
【請求項5】
背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現した二分決定図を持つ矛盾判定関数を取得し、
解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記解候補集合は、クエリ論理式と前記背景知識とから列挙された解仮説の候補の集合であり、
前記潜在矛盾の列挙において、
前記解候補集合によって真偽値が定まる可能性のある、前記二分決定図の変数を列挙し、前記変数の範囲で矛盾を導く真偽値割り当ての有無を探索し、前記割り当てが存在する場合に、前記割り当てに対応するリテラルの組み合わせを前記解候補集合から探索する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮説推論に基づくシステムにおける推論処理方式に関し、特に出力される仮説についての無矛盾性を効率的に検証できる、情報処理装置、情報処理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮説推論(Abduction, Abductive reasoning)とは、クエリ論理式(Query formula)と背景知識(Background knowledge)とを受け取り、個々の候補の良さを実数値で表す関数(評価関数:Evaluation function)の基で、背景知識と無矛盾で、かつ、クエリ論理式を演繹的に導けるような論理式(仮説、Hypotheses)の中で最良の仮説(解仮説、Solution hypothesis)を出力するような推論方式である。
【0003】
仮説推論を計算機上で実装するための既存の方式は、大別して2種類に分けることができる。一つは、非特許文献1に示すような、クエリ論理式と背景知識から、最良仮説の候補(候補仮説:Candidate hypotheses)を列挙し、そこから最良仮説を探索する問題を整数線形計画問題などの制約付き組み合わせ最適化問題として等価に変換して、外部のソルバを用いて最良仮説を得る方式である。
【0004】
もう一つは、非特許文献2に示すように、Answer Set Programmingなどの演繹推論モデル上で仮説推論と等価な推論が実現されるよう背景知識の構造を変換し、その演繹推論モデルのソフトウェアにクエリ論理式と変換された背景知識を与えることによって、最良仮説を得る方式である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Naoya Inoue and Kentaro Inui. ILP-based Reasoning for Weighted Abduction. In Proceedings of AAAI Workshop on Plan, Activity and Intent Recognition, pp. 25-32, August 2011.
【文献】Peter Schuller. Modeling Variations of First-Order Horn Abduction in Answer Set Programming. In Fundamenta Informaticae, vol. 149, no. 1-2, pp. 159-207, 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
個々の候補仮説は、理論上では背景知識と無矛盾でなければならない。しかしながら、計算機上での推論においては、それらの無矛盾性が厳密には検証できていない。すなわち、既存の実装方式のいずれにおいても、クエリ論理式を起点として背景知識を逆向きに辿っていくことにより候補仮説を構築していることから、仮説から矛盾が導かれる場合であってもそれを候補仮説として扱ってしまっている。結果として、従来の実装では、仮説の無矛盾性が厳密には担保されておらず、背景知識と矛盾するような仮説が導かれる可能性が潜在的に存在している。
【0007】
そこで、本発明の目的の一例は、候補仮説と背景知識の間に存在する潜在的な矛盾を効率的に列挙できる、情報処理装置、情報処理方法およびプログラム、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における情報処理装置は、
背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現したデータ構造を持つ矛盾判定関数を取得する取得部と、
解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙する潜在矛盾列挙部と、
を備えている。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における情報処理方法は、
背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現したデータ構造を持つ矛盾判定関数を取得し、
解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙する。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、
背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現したデータ構造を持つ矛盾判定関数を取得し、
解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、個々の仮説について、背景知識と矛盾を導くような論理式の組み合わせを効率的かつ厳密に列挙できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、情報処理装置の具体的構成を示すブロック図である。
図3図3は、情報処理装置の各構成の関係を示すブロック図である。
図4図4は、背景知識およびクエリ論理式の一例を示す図である。
図5図5は、背景知識およびクエリ論理式から出力される、候補仮説を説明するための図である。
図6図6は、矛盾判定関数の例を示す図である。
図7図7は、情報処理装置の動作を示すフロー図である。
図8図8は、情報処理装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[構成の説明]
図1は、情報処理装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
情報処理装置1は、取得部2と、潜在矛盾列挙部3とを備えている。
【0015】
取得部2は、背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現したデータ構造を持つ矛盾判定関数を取得する。データ構造は、例えば、二分決定図(BDD)である。また、矛盾判定関数は、任意の論理式に対して背景知識に矛盾するような論理式であるかどうかの真偽値を返すような論理関数を、データ構造に基づいて表現されたデータである。
【0016】
潜在矛盾列挙部3は、解候補集合において背景知識矛盾するリテラル組み合わせた潜在矛盾集合を、取得部2が取得した矛盾判定関数を用いて列挙する。解候補集合は、クエリ論理式と背景知識とから列挙された解仮説の候補である。
【0017】
この情報処理装置1は、個々の仮説について、背景知識と矛盾を導くような論理式の組み合わせを効率的かつ厳密に列挙することができる。その理由は、あらかじめ矛盾を導くようなパターンを列挙したデータを構築しておくことで、実際に推論中に行う処理を効率化できるからである。
【0018】
また、個々の候補仮説について矛盾を導く論理式の組み合わせを効率的に列挙できることから、それらが成り立たないように制約を与えた上での最適解を探索することで、矛盾を導かないような候補仮説のみから解仮説を探索することが可能になる。このため、情報処理装置1は、解仮説について無矛盾性を保証することができる。
【0019】
さらに、矛盾を導くような論理式の組み合わせを、矛盾するかどうかを判定するような論理関数として表現した上で、論理関数を効率的に表現できるデータ構造である二分決定図に類するデータ構造を用いることで、データサイズ上効率的に表現することができる。このため、情報処理装置1は、矛盾を導くパターンを列挙したデータを比較的効率的なメモリ量で保持できる。
【0020】
図2は、情報処理装置1の具体的構成を示すブロック図である。図3は、情報処理装置1の各構成の関係を示すブロック図である。
【0021】
情報処理装置1は、上記の取得部2および潜在矛盾列挙部3に加え、推論部4と、出力部5と、候補仮説生成部6と、を備えている。
【0022】
候補仮説生成部6は、背景知識D1およびクエリ論理式D2を入力として、候補仮説集合D3を生成する。背景知識D1は推論ルールの集合である。推論ルールは一般に一階述語論理におけるホーン節で表される。クエリ論理式D2は、一階述語論理リテラルの連言である。一階述語論理リテラルとは、一階述語論理における原子論理式か、あるいはその否定である。候補仮説集合D3は候補仮説の集合である。候補仮説はそれぞれ、一階述語論理リテラルの連言として表現される。
【0023】
図4は、背景知識D1およびクエリ論理式D2の一例を示す図である。図5は、背景知識D1およびクエリ論理式D2から出力される、候補仮説を説明するための図である。
【0024】
図4の例では、同一の述語「has_short_legs」を持つリテラル対が存在している。候補仮説生成部6は、同一の述語に対して単一化操作を適用することで、図5に示すような、等価関係c=mを含む候補仮説を生成する。
【0025】
取得部2は、二分決定図であるデータ構造を持つ矛盾判定関数D4(図3参照)を取得する。
【0026】
図6は、矛盾判定関数D4の例を示す図である。矛盾判定関数D4は、図6に示すように、背景知識D1に矛盾する論理式の組み合わせを示す二分決定図である。この図6において、出力値がF(False)になるような真偽値割り当てに対応する論理式は、背景知識D1に矛盾する。
【0027】
潜在矛盾列挙部3は、取得部2が取得した矛盾判定関数D4と、候補仮説生成部6が出力した候補仮説集合D3とを入力として、潜在矛盾集合D5を列挙(出力)する。潜在矛盾列挙部3は、候補仮説集合のリテラルの全ての組み合わせについて、矛盾判定関数を用いて背景知識D1に矛盾するかどうかを判定することで、背景知識D1と矛盾するリテラルの組み合わせを列挙する。図5の例においては、述語「corgi,munchkin」のみから矛盾を導く組み合わせがあるかを探索する。この場合、図6に示すBDDより、corgi(x),munchkin(x)が共に真である場合、矛盾を導くことが分かる。次に、潜在矛盾列挙部3は、この論理式の組み合わせを充足するようなリテラルの組み合わせを候補仮説から探索することで、矛盾を導くようなリテラルの組み合わせを列挙する。図5の例においては、{corgi(c)∧munchkin(m)∧(m=c)}が矛盾を導く組み合わせとして得られる。
【0028】
別の方法としては、候補仮説によって真偽値が定まる可能性のあるBDD変数を列挙し、BDD変数の範囲で矛盾を導く真偽値割り当ての有無を探索し、割り当てが存在する場合に、前記割り当てに対応するリテラルの組み合わせを候補仮説から探索する。
【0029】
推論部4は、候補仮説集合D3と、潜在矛盾列挙部3が列挙した潜在矛盾集合D5とから、解仮説D6を探索することで、仮説推論を実行する。解仮説D6は、候補仮説集合D3に含まれる候補仮説のうち、評価関数の基で最良と考えられるものである。本実施形態においては、解仮説D6は厳密に背景知識D1と無矛盾であることが保証される。推論部4は、具体的には、候補仮説集合D3から解仮説D6を選び出すような計算を整数線形計画問題などの制約付き組み合わせ最適化問題として表現したものを出力する。このとき、潜在矛盾集合D5は、同時に成り立つべきでない論理式の組み合わせとして、最適化問題の中では制約として表現される。この際の変換方式としては、上記の非特許文献1に示すような、最良仮説を選択する手続きを等価な整数線形計画問題として表現し、外部の整数線形計画問題ソルバを用いて解くことで、高速に解仮説を導く既存の変換方式を用いることができる。このとき「潜在矛盾集合に含まれる組み合わせを満たさない」という条件は、整数線形計画問題においては制約として表現される。なお、その他の方法を用いることも可能である。
【0030】
出力部5は、仮説推論の結果として、背景知識D1に矛盾しないリテラルを出力する。
【0031】
なお、図4および図5において、理論上では、背景知識D1とクエリ論理式D2とから、リテラルdog(c),cat(m)が演繹的に導けるが、従来方式ではこれらのリテラルは考慮することができない。したがって、等価関係c=mが潜在的に矛盾を引き起こすことを検知できないため、従来方式では等価関係c=mを含む候補仮説を最良仮説として出力してしまう。これは、仮説は無矛盾でなければならないとする、理論上の定義に反する。
【0032】
一方で、このような仮説の無矛盾性を愚直な方法で実現するのは、容易ではない。例えば、上記非特許文献1に示すような、制約付き組み合わせ最適化問題に基づく実装方式で、厳密な無矛盾検証を愚直に実装する場合を考えると、候補仮説のそれぞれについて、候補仮説から演繹的に導出できる全ての論理式を列挙してから、それらの中から矛盾を導くような組み合わせを探索し、そこから矛盾を導くような候補仮説中のリテラルの組み合わせを全て列挙する必要がある。このような処理を推論中に行うことは、計算時間の著しい長大化を引き起こすことになり、現実的でない。また、上記非特許文献2に示すような、別の演繹推論モデル上で仮説推論を模倣する実装方式では、背景知識の構造を変形することによって仮説推論を表現している関係上、その中で演繹的な推論を同時に考慮することは原理的に不可能である。
【0033】
[装置動作]
次に、情報処理装置1の動作について図7を用いて説明する。図7は、情報処理装置1の動作を示すフロー図である。本実施形態では、情報処理装置1を動作させることによって、情報処理方法が実施される。よって、本実施形態における情報処理方法の説明は、以下の情報処理装置1の動作説明に代える。
【0034】
取得部2は、背景知識D1に矛盾する論理式の組み合わせを表現したデータ構造を持つ矛盾判定関数D4を取得する(S1)。次に、候補仮説生成部6は、背景知識D1およびクエリ論理式D2を入力として、候補仮説集合D3を生成する(S2)。なお、S1とS2との順序は、これに限定されない。
【0035】
続いて、潜在矛盾列挙部3は、矛盾判定関数D4と、候補仮説集合D3とを入力として、潜在矛盾集合D5を列挙する(S3)。その後、推論部4は、候補仮説集合D3と、潜在矛盾集合D5とから、解仮説D6を探索することで、仮説推論を実行する(S4)。
【0036】
[プログラム]
本実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、図7に示すステップS1~S4を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における情報処理装置1と情報処理方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、取得部2、潜在矛盾列挙部3、推論部4、出力部5および候補仮説生成部6として機能し、処理を行なう。
【0037】
[装置の物理構成]
ここで、実施形態におけるプログラムを実行することによって、情報処理装置を実現するコンピュータについて図8を用いて説明する。図8は、情報処理装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0038】
図8に示すように、コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、またはCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていてもよい。
【0039】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
【0040】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボードおよびマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、およびコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0041】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【0042】
上述した実施の形態の一部または全部は、以下に記載する(付記1)~(付記15)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0043】
(付記1)
背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現したデータ構造を持つ矛盾判定関数を取得する取得部と、
解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙する潜在矛盾列挙部と、
を備えた情報処理装置。
【0044】
(付記2)
付記1に記載の情報処理装置であって、
前記データ構造は二分決定図である、
情報処理装置。
【0045】
(付記3)
付記1または付記2に記載の情報処理装置であって、
前記潜在矛盾列挙部は、
前記解候補集合のリテラルの全ての組み合わせについて、前記矛盾判定関数を用いて背景知識に矛盾するかどうかを判定することで、背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせを列挙する、
情報処理装置。
【0046】
(付記4)
付記2に記載の情報処理装置であって、
前記潜在矛盾列挙部は、
前記解候補集合によって真偽値が定まる可能性のあるBDD変数を列挙し、前記変数の範囲で矛盾を導く真偽値割り当ての有無を探索し、前記割り当てが存在する場合に、前記割り当てに対応するリテラルの組み合わせを前記解候補集合から探索する、
情報処理装置。
【0047】
(付記5)
付記1から付記4までのいずれか一つに記載の情報処理装置であって、
前記解候補集合と、前記潜在矛盾集合とから、仮説推論を実行する推論部と、
前記仮説推論の結果として、前記背景知識に矛盾しないリテラルを出力する出力部と、
を備えた情報処理装置。
【0048】
(付記6)
(A)背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現したデータ構造を持つ矛盾判定関数を取得する工程と、
(B)解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙する工程と、
を備えた情報処理方法。
【0049】
(付記7)
付記6に記載の情報処理方法であって、
前記データ構造は二分決定図である、
情報処理方法。
【0050】
(付記8)
付記6または付記7に記載の情報処理方法であって、
前記工程(B)では、
前記解候補集合のリテラルの全ての組み合わせについて、前記矛盾判定関数を用いて背景知識に矛盾するかどうかを判定することで、背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせを列挙する、
情報処理方法。
【0051】
(付記9)
付記7に記載の情報処理方法であって、
前記工程(B)では、
前記解候補集合によって真偽値が定まる可能性のあるBDD変数を列挙し、前記変数の範囲で矛盾を導く真偽値割り当ての有無を探索し、前記割り当てが存在する場合に、前記割り当てに対応するリテラルの組み合わせを前記解候補集合から探索する、
情報処理方法。
【0052】
(付記10)
付記6から付記9までのいずれか一つに記載の情報処理方法であって、
(C)前記解候補集合と、前記潜在矛盾集合とから、仮説推論を実行する工程と、
(D)前記仮説推論の結果として、前記背景知識に矛盾しないリテラルを出力する工程と、
を備えた情報処理方法。
【0053】
(付記11)
(A)背景知識に矛盾する論理式の組み合わせを表現したデータ構造を持つ矛盾判定関数を取得する工程と、
(B)解候補集合において背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせた潜在矛盾集合を、前記矛盾判定関数を用いて列挙する工程と、
を含む処理をコンピュータに実行させるプログラム
【0054】
(付記12)
付記11に記載のプログラムであって、
前記データ構造は二分決定図である、
プログラム
【0055】
(付記13)
付記11または付記12に記載のプログラムであって、
前記工程(B)では、
前記解候補集合のリテラルの全ての組み合わせについて、前記矛盾判定関数を用いて背景知識に矛盾するかどうかを判定することで、背景知識と矛盾するリテラルの組み合わせを列挙する、
プログラム
【0056】
(付記14)
付記12に記載のプログラムであって、
前記工程(B)では、
前記解候補集合によって真偽値が定まる可能性のあるBDD変数を列挙し、前記変数の範囲で矛盾を導く真偽値割り当ての有無を探索し、前記割り当てが存在する場合に、前記割り当てに対応するリテラルの組み合わせを前記解候補集合から探索する、
プログラム
【0057】
(付記15)
付記11から付記14までのいずれか一つに記載のプログラムであって、
(C)前記解候補集合と、前記潜在矛盾集合とから、仮説推論を実行する工程と、
(D)前記仮説推論の結果として、前記背景知識に矛盾しないリテラルを出力する工程と、
を含む処理を前記コンピュータに実行させるプログラム
【符号の説明】
【0058】
1 情報処理装置
2 取得部
3 潜在矛盾列挙部
4 推論部
5 出力部
6 候補仮説生成部
D1 背景知識
D2 クエリ論理式
D3 候補仮説集合
D4 矛盾判定関数
D5 潜在矛盾集合
D6 解仮説
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8