(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20231226BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231226BHJP
【FI】
G06T19/00 300A
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022184695
(22)【出願日】2022-11-18
【審査請求日】2022-11-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】名塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】稲地 隆志
(72)【発明者】
【氏名】小見山 史奈
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-228501(JP,A)
【文献】特開平11-065976(JP,A)
【文献】国際公開第2019/155876(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/225218(WO,A1)
【文献】特開2004-029937(JP,A)
【文献】特開平09-016315(JP,A)
【文献】特開2017-035451(JP,A)
【文献】特開2017-097449(JP,A)
【文献】特開2002-292144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00 - 19/20
G06Q 50/10
G06F 3/048 - 3/04895
A63F 13/00 - 13/98
G06T 13/20 - 13/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させる仮想空間生成部と、
1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定する同行者設定部と、
前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させる移動制御部と、を備え、
前記従属者のアバターを前記主導者アバターに追従して移動させる制御モードが追従モードであり、
前記移動制御部は、前記主導者と前記従属者との設定を維持した状態で、前記従属者である前記第1ユーザのアバターの前記制御モードを、前記追従モードと、当該第1ユーザが操作する端末からの指示に従って当該第1ユーザのアバターを移動させる通常モードとの間で切り替え
、
前記移動制御部による前記制御モードの切り替えには、前記従属者である前記第1ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第1ユーザのアバターの前記制御モードを前記追従モードから前記通常モードに切り替えることが含まれる
仮想空間生成装置。
【請求項2】
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させる仮想空間生成部と、
1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定する同行者設定部と、
前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させる移動制御部と、を備え、
前記同行者設定部は、前記第1ユーザが操作する端末からの要求を受けて、複数の前記第1ユーザからなるグループを設定し、
前記仮想空間生成部は、前記グループに含まれる前記第1ユーザを入場させる前記仮想空間を、前記グループごとに生成し、
前記同行者設定部はさらに、前記仮想空間ごとに、前記仮想空間に入場している前記第2ユーザを前記主導者に設定し、当該仮想空間に入場している前記グループが含む前記第1ユーザを当該主導者に対応付けられた前記従属者に設定する
仮想空間生成装置。
【請求項3】
前記仮想空間に入場している複数のユーザのうちの一部からなるグループが同行グループであり、
前記同行者設定部は、前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された前記第1ユーザとを含む前記同行グループを設定するとともに、前記同行グループが含む前記第2ユーザを前記主導者に設定し、前記同行グループが含む前記第1ユーザを当該主導者に対応付けられた前記従属者に設定する
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項4】
前記同行者設定部は、前記第1ユーザが操作する端末からの要求を受けて、複数の前記第1ユーザからなるグループを設定し、
前記仮想空間生成部は、前記グループに含まれる前記第1ユーザを入場させる前記仮想空間を、前記グループごとに生成し、
前記同行者設定部はさらに、前記仮想空間ごとに、前記仮想空間に入場している前記第2ユーザを前記主導者に設定し、当該仮想空間に入場している前記グループが含む前記第1ユーザを当該主導者に対応付けられた前記従属者に設定する
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項5】
前記仮想空間は施設を含み、前記施設にて前記サービスが提供される
請求項1または2に記載の仮想空間生成装置。
【請求項6】
前記従属者のアバターを前記主導者アバターに追従して移動させる制御モードが追従モードであり、
前記移動制御部は、前記従属者である前記第1ユーザのアバターの前記制御モードを、前記追従モードと、当該第1ユーザが操作する端末からの指示に従って当該第1ユーザのアバターを移動させる通常モードとの間で切り替える
請求項2に記載の仮想空間生成装置。
【請求項7】
前記移動制御部は、前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該主導者と対応付けられているすべての前記従属者の前記第1ユーザについて、前記第1ユーザのアバターの前記制御モードを切り替える
請求項1または6に記載の仮想空間生成装置。
【請求項8】
1または複数のコンピュータに、
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させることと、
1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定することと、
前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させることと、を実行させるプログラムであって、
前記従属者のアバターを前記主導者アバターに追従して移動させる制御モードが追従モードであり、
前記主導者と前記従属者との設定を維持した状態で、前記従属者である前記第1ユーザのアバターの前記制御モードを、前記追従モードと、当該第1ユーザが操作する端末からの指示に従って当該第1ユーザのアバターを移動させる通常モードとの間で切り替えること
であって、前記従属者である前記第1ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第1ユーザのアバターの前記制御モードを前記追従モードから前記通常モードに切り替えることを含むこと、をさらに実行させる
仮想空間生成プログラム。
【請求項9】
1または複数のコンピュータに、
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザ
が操作する端末からの要求を受けて、複数の前記第1ユーザからなるグループを設定することと、
前記グループに含まれる前記第1ユーザを入場させる前記仮想空間を、前記グループごとに生成し、前記第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させることと、
1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定すること
であって、前記仮想空間ごとに、前記仮想空間に入場している前記第2ユーザを前記主導者に設定し、当該仮想空間に入場している前記グループが含む前記第1ユーザを当該主導者に対応付けられた前記従属者に設定することと、
前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させることと、を実行させ
る
仮想空間生成プログラム。
【請求項10】
1または複数のコンピュータが、
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させることと、
1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定することと、
前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させることと、を実行する方法であって、
前記従属者のアバターを前記主導者アバターに追従して移動させる制御モードが追従モードであり、
前記主導者と前記従属者との設定を維持した状態で、前記従属者である前記第1ユーザのアバターの前記制御モードを、前記追従モードと、当該第1ユーザが操作する端末からの指示に従って当該第1ユーザのアバターを移動させる通常モードとの間で切り替えること
であって、前記従属者である前記第1ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第1ユーザのアバターの前記制御モードを前記追従モードから前記通常モードに切り替えることを含むこと、をさらに実行する
仮想空間生成方法。
【請求項11】
1または複数のコンピュータが、
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザ
が操作する端末からの要求を受けて、複数の前記第1ユーザからなるグループを設定することと、
前記グループに含まれる前記第1ユーザを入場させる前記仮想空間を、前記グループごとに生成し、前記第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させることと、
1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定すること
であって、前記仮想空間ごとに、前記仮想空間に入場している前記第2ユーザを前記主導者に設定し、当該仮想空間に入場している前記グループが含む前記第1ユーザを当該主導者に対応付けられた前記従属者に設定することと、
前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させることと、を実行す
る
仮想空間生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想空間を利用した様々なサービスが提案されている。こうしたサービスを提供するためのシステムの一種では、現実空間で実施されているサービスに近しいサービスを仮想空間で実現することが試みられている。例えば、特許文献1のシステムでは、仮想空間内の店舗にて、店員であるユーザが、商品を購入しようとするユーザを、アバターを利用して接客する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サービスの提供者とサービスの利用者、あるいは、サービスの利用者同士といった複数のユーザが、仮想空間にて連れ立って活動することを望む場合がある。一方で、複数のユーザは、各々が端末を操作することで各自のアバターを移動させつつ活動を進めるため、複数のユーザがアバターとして共に行動しようとすれば、自分のアバターの動きを他のユーザのアバターに合わせるための労力が必要となる。それゆえ、複数のユーザでの活動に際し、ユーザの負担を軽減して利便性を高めることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法の各態様を記載する。
[態様1]仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させる仮想空間生成部と、1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定する同行者設定部と、前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させる移動制御部と、を備える仮想空間生成装置。
【0006】
上記構成によれば、従属者である第1ユーザは、自身のアバターの移動のために端末を操作する必要がない。したがって、複数のユーザでの活動に際し、アバターの操作についての第1ユーザの利便性が高められる。また、仮想空間でのサービスにて第1ユーザに応対する第2ユーザが主導者となってアバターの移動を先導するため、上記サービスにおける複数のユーザでの活動が円滑に進められる。
【0007】
[態様2]前記仮想空間に入場している複数のユーザのうちの一部からなるグループが同行グループであり、前記同行者設定部は、前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された前記第1ユーザとを含む前記同行グループを設定するとともに、前記同行グループが含む前記第2ユーザを前記主導者に設定し、前記同行グループが含む前記第1ユーザを当該主導者に対応付けられた前記従属者に設定する、[態様1]に記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、主導者への同行が望ましいユーザを的確に従属者として同行グループに含めることができる。
【0008】
[態様3]前記同行者設定部は、前記第1ユーザが操作する端末からの要求を受けて、複数の前記第1ユーザからなるグループを設定し、前記仮想空間生成部は、前記グループに含まれる前記第1ユーザを入場させる前記仮想空間を、前記グループごとに生成し、前記同行者設定部はさらに、前記仮想空間ごとに、前記仮想空間に入場している前記第2ユーザを前記主導者に設定し、当該仮想空間に入場している前記グループが含む前記第1ユーザを当該主導者に対応付けられた前記従属者に設定する、[態様1]に記載の仮想空間生成装置。
【0009】
上記構成によれば、第1ユーザのグループごとに入場先の仮想空間が生成されることから、1つの仮想空間に不特定多数のユーザと共にグループが入場する場合と比較して、グループのメンバーのアバターの位置が把握しやすく、アバターを介したコミュニケーションも取りやすい。そして、仮想空間ごとに、第2ユーザが主導者に設定され、第1ユーザが従属者に設定されるため、仮想空間で一緒に活動しようとしている第1ユーザのグループを、的確に従属者として同行グループに含めることができる。それゆえ、仮想空間でのグループの活動が進めやすくなる。
【0010】
[態様4]前記仮想空間は施設を含み、前記施設にて前記サービスが提供される、[態様1]~[態様3]のいずれか1つに記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、現実空間で提供される種々のサービスと同様の多様なサービスの提供が可能である。
【0011】
[態様5]前記従属者のアバターを前記主導者アバターに追従して移動させる制御モードが追従モードであり、前記移動制御部は、前記従属者である前記第1ユーザのアバターの前記制御モードを、前記追従モードと、当該第1ユーザが操作する端末からの指示に従って当該第1ユーザのアバターを移動させる通常モードとの間で切り替える、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、アバターの移動について状況に応じた制御態様が適用可能である。
【0012】
[態様6]前記移動制御部は、前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該主導者と対応付けられているすべての前記従属者の前記第1ユーザについて、前記第1ユーザのアバターの前記制御モードを切り替える、[態様5]に記載の仮想空間生成装置。
【0013】
上記構成によれば、主導者と従属者とを含むグループでの移動の開始と終了を、主導者である第2ユーザが制御できるため、第2ユーザは、複数のユーザでの活動を円滑に主導することができる。
【0014】
[態様7]前記移動制御部は、前記従属者である前記第1ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第1ユーザのアバターの前記制御モードを前記追従モードから前記通常モードに切り替える、[態様5]に記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、第1ユーザの意思によって、アバターの追従を停止できるため、自身のアバターの操作についての第1ユーザの自由度が高められる。
【0015】
[態様8]1または複数のコンピュータに、仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させることと、1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定することと、前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させることと、を実行させる仮想空間生成プログラム。
【0016】
上記構成によれば、従属者である第1ユーザは、自身のアバターの移動のために端末を操作する必要がない。したがって、複数のユーザでの活動に際し、アバターの操作についての第1ユーザの利便性が高められる。また、仮想空間でのサービスにて第1ユーザに応対する第2ユーザが主導者となってアバターの移動を先導するため、上記サービスにおける複数のユーザでの活動が円滑に進められる。
【0017】
[態様9]1または複数のコンピュータが、仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして前記仮想空間に入場させることと、1人の前記第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の前記第1ユーザを、前記主導者に対応付けられた従属者に設定することと、前記主導者である前記第2ユーザが操作する端末からの指示に従って、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた前記従属者である前記第1ユーザのアバターを、前記主導者アバターに追従して移動させることと、を実行する仮想空間生成方法。
【0018】
上記方法によれば、従属者である第1ユーザは、自身のアバターの移動のために端末を操作する必要がない。したがって、複数のユーザでの活動に際し、アバターの操作についての第1ユーザの利便性が高められる。また、仮想空間でのサービスにて第1ユーザに応対する第2ユーザが主導者となってアバターの移動を先導するため、上記サービスにおける複数のユーザでの活動が円滑に進められる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、仮想空間における複数のユーザでの活動に際し、ユーザの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態の仮想空間提供システムの概略構成を示す図。
【
図2】一実施形態の仮想空間生成サーバの機能的構成を示す図。
【
図3】一実施形態の来場者端末の機能的構成を示す図。
【
図4】一実施形態のスタッフ端末の機能的構成を示す図。
【
図5】一実施形態の仮想空間提供システムにおいて、スタッフ端末に表示される画面の一例を示す図。
【
図6】一実施形態の仮想空間提供システムにおいて、同行グループでの移動が行われるときの仮想空間提供システムの処理の手順を示す図。
【
図7】一実施形態の仮想空間提供システムにおいて、同行グループでの移動中のスタッフ端末に表示される画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法の一実施形態を説明する。
[仮想空間提供システムの全体構成]
図1を参照して、仮想空間提供システム100の全体構成を説明する。本実施形態では、一例として、仮想空間提供システム100が、種々の商品を取り扱う店舗での接客サービスに用いられる場合を説明する。
【0022】
図1に示すように、仮想空間提供システム100は、仮想空間生成装置の一例である仮想空間生成サーバ10と、1以上の来場者端末20と、1以上のスタッフ端末30とを備える。仮想空間生成サーバ10と、来場者端末20およびスタッフ端末30の各々とは、インターネット等のネットワークNWを介して接続されている。
【0023】
仮想空間生成サーバ10は、店舗を含む仮想空間VSを生成する。来場者端末20は、仮想空間VSの店舗を訪れるユーザである来場者ユーザPgに操作される端末である。来場者ユーザPgは、すなわち上記接客サービスの利用者である。来場者ユーザPgは、来場者端末20を操作することにより、アバターを用いて仮想空間VSの店舗を利用する。来場者ユーザPgは第1ユーザの一例であり、来場者端末20は第1端末の一例である。
【0024】
スタッフ端末30は、仮想空間VSの店舗で店員を務めるユーザであるスタッフユーザPsに操作される端末である。スタッフユーザPsは、すなわち、仮想空間VSの店舗での接客担当者である。スタッフユーザPsは、スタッフ端末30を操作することにより、アバターを用いて仮想空間VSの店舗で接客を行う。スタッフユーザPsは第2ユーザの一例であり、スタッフ端末30は第2端末の一例である。
なお、アバターは、仮想空間VSにてユーザの分身として動作するキャラクターである。
【0025】
本実施形態では、スタッフユーザPsと来場者ユーザPgとを含む同行グループ内において、仮想空間VSでのスタッフユーザPsのアバターの移動に、来場者ユーザPgのアバターが追従する。
【0026】
[仮想空間提供システムの装置構成]
図2~
図4を参照して、仮想空間提供システム100を構成する各装置の構成を説明する。
【0027】
図2を参照して、仮想空間生成サーバ10の機能的な構成を説明する。仮想空間生成サーバ10は、通信部11、制御部12、および、記憶部13を備えている。
通信部11は、ネットワークへの接続およびデータの送受信等、仮想空間生成サーバ10と来場者端末20およびスタッフ端末30の各々との通信処理を行う。
【0028】
制御部12は、記憶部13に格納された仮想空間生成プログラムを実行することにより、仮想空間生成部12a、同行者設定部12b、および、移動制御部12cとして機能する。
【0029】
仮想空間生成部12aは、仮想空間VSを生成し、仮想空間VS内に来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsのアバターの位置を設定することで、来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsを仮想空間VSの店舗に入場させる。
【0030】
同行者設定部12bは、アバターの移動を共にするユーザの群である同行グループを設定する。詳細には、同行者設定部12bは、ユーザに対して主導者と従属者とを設定する。主導者および従属者は、アバターの移動に関する制御態様が異なるユーザの種別である。
【0031】
具体的には、同行者設定部12bは、スタッフユーザPsを主導者に設定し、来場者ユーザPgを従属者に設定する。1人の主導者に対しては、1人以上の従属者が対応付けられる。複数の主導者が設定された場合には、主導者ごとに従属者が対応付けられる。主導者と、当該主導者に対応付けられた従属者とから1つの同行グループが構成される。すなわち、同行グループは、主導者である1人のスタッフユーザPsと、従属者である1人以上の来場者ユーザPgとを含む。
【0032】
移動制御部12cは、仮想空間VS内でのアバターの移動を制御する。言い換えれば、移動制御部12cは、仮想空間VS内でのアバターの位置を管理する。
詳細には、移動制御部12cは、通常モードまたは追従モードのいずれかの制御モードによってアバターの移動を制御する。制御モードはユーザごとに設定される。主導者および従属者が設定されていないユーザ、および、主導者であるユーザのアバターの制御モードは、通常モードである。従属者であるユーザのアバターの制御モードは、通常モードと追従モードとの間で切り替えられる。
【0033】
通常モードにおいて、移動制御部12cは、ユーザの操作に基づく端末からの指示に従って、当該ユーザのアバターの位置を移動させる。すなわち、移動制御部12cは、来場者ユーザPgの操作に基づく来場者端末20からの指示に従って、当該来場者ユーザPgのアバターの位置を変更し、また、スタッフユーザPsの操作に基づくスタッフ端末30からの指示に従って、当該スタッフユーザPsのアバターの位置を変更する。
追従モードにおいて、移動制御部12cは、従属者のアバターの位置を、当該従属者が対応付けられている主導者のアバターに追従するように移動させる。
【0034】
上記仮想空間生成部12a、同行者設定部12b、および、移動制御部12cの協働によって、仮想空間提供システム100の利用のための各種の画面を来場者端末20およびスタッフ端末30に表示させるためのデータが生成され、このデータが通信部11によって各端末20,30に送信される。
【0035】
なお、これらの画面を表示するためのデータの一部は各端末20,30に記憶されていてもよく、仮想空間生成サーバ10から送信されるデータは、例えばアバターの位置情報等、上記画面の表示内容の少なくとも一部を規定する情報を含んでいればよい。
【0036】
記憶部13は、制御部12による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部13は、こうしたプログラムの一例として、仮想空間生成プログラムを記憶している。また、記憶部13は、こうしたデータの一例として、仮想空間データ13a、および、ユーザ管理データ13bを記憶している。
【0037】
仮想空間データ13aは、仮想空間VSの生成に必要なデータ、例えば、空間に対して設定される三次元直交座標系の情報、空間に配置されるオブジェクトの位置情報や描画のための情報を含む。また、仮想空間データ13aは、来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsのアバターの描画のための情報を含む。
【0038】
ユーザ管理データ13bは、来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsに関する情報を含む。こうした情報には、主導者および従属者の設定、および、主導者と従属者との対応付けを示す情報が含まれる。これらのユーザに関する情報は、ユーザの識別情報と対応付けて管理されればよい。
【0039】
上記機能を有する仮想空間生成サーバ10の物理的な構成、すなわちハードウェア構成を説明する。仮想空間生成サーバ10は、CPU、MPU、GPU等の演算装置である電子回路、ROM、RAM、レジスタードメモリ、アンバッファードメモリ等のメモリ、および、SSD、HDD等のストレージを備える。演算装置は、ストレージからオペレーティングシステムや各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行する。仮想空間生成サーバ10は、ASIC、FPGA等の集積回路を備えてもよい。
【0040】
また、仮想空間生成サーバ10は、ネットワークを介して接続先の装置との間でデータを送受信する通信インターフェースを備えている。通信インターフェースは、ハードウェア、ソフトウェア、または、これらの組み合わせとして実装されている。
【0041】
仮想空間生成サーバ10が実行する各処理は、仮想空間生成サーバ10が備えるソフトウェアによって実行されてもよいし、仮想空間生成サーバ10が備える集積回路とソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0042】
図3を参照して、来場者端末20の機能的な構成を説明する。来場者端末20は、通信部21、制御部22、記憶部23、入力部24、および、出力部25を備えている。
通信部21は、ネットワークへの接続やデータの送受信等、来場者端末20と仮想空間生成サーバ10との通信処理を行う。入力部24は、来場者端末20に対する操作や音声の入力を受け付けて、入力に応じたデータや信号を制御部22に送る。出力部25は、制御部22からのデータや信号を受けて、画像や音声を出力する。
【0043】
記憶部23は、制御部22による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部23は、こうしたプログラムの一例として、来場者管理プログラムを記憶している。
【0044】
制御部22は、記憶部23に格納された来場者管理プログラムを実行することにより、来場者画面管理部22aとして機能する。来場者画面管理部22aは、仮想空間提供システム100の利用のための各種の画面を出力部25が含む表示部に表示させる。また、来場者画面管理部22aは、表示されている画面に対するユーザの操作に応じた情報を、通信部21を介して仮想空間生成サーバ10に送信する。
【0045】
仮想空間提供システム100における来場者端末20の機能は、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアによって具体化される。上記来場者管理プログラムは、当該アプリケーションソフトウェアに含まれる。
【0046】
図4を参照して、スタッフ端末30の機能的な構成を説明する。スタッフ端末30は、通信部31、制御部32、記憶部33、入力部34、および、出力部35を備えている。
通信部31は、ネットワークへの接続およびデータの送受信等、スタッフ端末30と仮想空間生成サーバ10との通信処理を行う。入力部34は、スタッフ端末30に対する操作や音声の入力を受け付けて、入力に応じたデータや信号を制御部32に送る。出力部35は、制御部32からのデータや信号を受けて、画像や音声を出力する。
【0047】
記憶部33は、制御部32による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部33は、こうしたプログラムの一例として、スタッフ管理プログラムを記憶している。
【0048】
制御部32は、記憶部33に格納されたスタッフ管理プログラムを実行することにより、スタッフ画面管理部32aとして機能する。スタッフ画面管理部32aは、仮想空間提供システム100の利用のための各種の画面を出力部35が含む表示部に表示させる。また、スタッフ画面管理部32aは、表示されている画面に対するユーザの操作に応じた情報を、通信部31を介して仮想空間生成サーバ10に送信する。
【0049】
仮想空間提供システム100におけるスタッフ端末30の機能は、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアによって具体化される。上記スタッフ管理プログラムは、当該アプリケーションソフトウェアに含まれる。
【0050】
来場者端末20およびスタッフ端末30の物理的な構成、すなわちハードウェア構成を説明する。来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、スマートフォン、タブレット装置、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、または、これらの装置以外の画像を表示可能な情報処理装置である。
【0051】
来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、CPU等の回路である演算装置が、ストレージからオペレーティングシステムや各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行するように構成されており、通信インターフェースによって仮想空間生成サーバ10と通信を行う。また、来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、タッチパネル、操作ボタン、キーボード、マウス、コントローラ、カメラ、マイク等の入力装置と、表示パネルおよびスピーカを含む出力装置とを備えている。
【0052】
[同行グループの設定]
同行グループの設定について説明する。同行グループは、仮想空間VSの店舗に入場している一部のユーザから構成されてもよいし、すべてのユーザから構成されてもよい。
【0053】
第1の例では、仮想空間VSにユーザが入場した後に、選択されたユーザからなる同行グループが設定される。
【0054】
例えば、スタッフ端末30に、仮想空間VSの店舗に入場しているユーザの一覧が表示され、スタッフユーザPsが、同行グループに招待する1人以上の来場者ユーザPgを指定する。これにより、スタッフ端末30から仮想空間生成サーバ10に同行グループの設定の要求が送られ、仮想空間生成サーバ10は、指定された来場者ユーザPgの来場者端末20に、同行グループへの招待通知を送信する。来場者ユーザPgが来場者端末20にて招待を承諾すると、仮想空間生成サーバ10は、招待を指示したスタッフユーザPsを主導者に設定し、招待を受けた来場者ユーザPgを当該主導者に対応付けられた従属者に設定することで、同行グループを設定する。
【0055】
第2の例では、仮想空間VSにユーザが入場する前に、複数の来場者ユーザPgを含むユーザグループが設定され、ユーザグループごとに別々の仮想空間VSが生成される。そして、仮想空間VSごとに、仮想空間VSに入場しているすべてのユーザからなる同行グループが設定される。
【0056】
例えば、任意の来場者ユーザPgである代表ユーザが、来場者端末20にて、ユーザグループに招待する他の1人以上の来場者ユーザPgを指定する。これにより、代表ユーザの来場者端末20から仮想空間生成サーバ10にユーザグループの設定の要求が送られ、仮想空間生成サーバ10は、指定された来場者ユーザPgの来場者端末20に、ユーザグループへの招待通知を送信する。通知を受けた来場者ユーザPgが来場者端末20にて招待を承諾することにより、仮想空間生成サーバ10は、代表ユーザと、招待を受けた来場者ユーザPgとを含むユーザグループを設定する。そして、仮想空間生成サーバ10は、当該グループの来場者ユーザPgが入場対象として規定された仮想空間VSを生成する。言い換えれば、当該グループの入場先として設定された仮想空間VSが生成される。来場者ユーザPgが来場者端末20にて所定の操作を行うことにより、仮想空間生成サーバ10は、当該来場者ユーザPgを含むユーザグループの入場先として設定されている仮想空間VSに、当該来場者ユーザPgを入場させる。
【0057】
このように、1つの仮想空間VSに入場する来場者ユーザPgは、1つのユーザグループの来場者ユーザPgに限定される。ユーザグループごとの仮想空間VSへのスタッフユーザPsの入場は、制限なしに、あるいは、ユーザグループ内の来場者ユーザPgの承諾を得ることにより、許可される。仮想空間生成サーバ10は、1つの仮想空間VSに入場しているスタッフユーザPsと来場者ユーザPgについて、スタッフユーザPsを主導者に設定し、来場者ユーザPgを当該主導者に対応付けられた従属者に設定することで、同行グループを設定する。すなわち、ユーザグループに含まれるすべての来場者ユーザPgが、共通の主導者に対応付けられた従属者に設定される。
【0058】
第2の例において、主導者および従属者の設定は、仮想空間VSへのスタッフユーザPsの入場等の所定のタイミングで行われてもよいし、スタッフ端末30にて同行グループの設定が指示されることに基づいて行われてもよい。
【0059】
第1の例および第2の例のいずれにおいても、主導者および従属者の設定は同行者設定部12bとしての処理である。主導者あるいは従属者に設定されたユーザ、および、主導者と従属者との対応付けは、ユーザ管理データ13bに含めて記録される。なお、第2の例において、ユーザグループの設定は同行者設定部12bとしての処理であり、ユーザグループごとの仮想空間VSの生成は、仮想空間生成部12aとしての処理である。
【0060】
[アバターの移動]
アバターの移動に関わる仮想空間提供システム100の処理を詳細に説明する。まず、アバターを利用した仮想空間VSへのユーザの入場について説明する。
【0061】
来場者ユーザPgは、来場者端末20にて、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアを起動し、ログイン処理や入店する店舗の選択等の所定の操作を行うことで、仮想空間VSの店舗にアバターとして入場する。すなわち、来場者端末20にて上記所定の操作が行われたとき、仮想空間生成サーバ10は、仮想空間VSに来場者ユーザPgのアバターの位置を設定し、仮想空間VS内を表示する画面であるショップ画面の表示内容を示すデータを来場者端末20に送信する。アバターの位置は、例えば店舗の入口付近とされる。
【0062】
同様に、スタッフユーザPsは、スタッフ端末30にて所定の操作を行うことで、仮想空間VSの店舗にアバターとして入場する。すなわち、スタッフ端末30にて上記所定の操作が行われたとき、仮想空間生成サーバ10は、仮想空間VSにスタッフユーザPsのアバターの位置を設定し、仮想空間VS内を表示するショップ画面の表示内容を示すデータをスタッフ端末30に送信する。
【0063】
端末20,30に表示されるショップ画面は、端末20,30の操作者であるユーザのアバターと、仮想空間VSにおける当該アバターの周囲の領域とを表示する画面である。操作者のアバターの付近に他のユーザのアバターが位置する場合には、他のユーザのアバターもショップ画面に表示される。
こうした仮想空間VSへのユーザの入場の処理は、仮想空間生成部12aとしての処理である。
【0064】
続いて、通常モードでのアバターの移動について説明する。
アバターの制御モードが通常モードであるとき、来場者ユーザPgが、自身のアバターの移動を指示する操作を来場者端末20にて行うと、この移動の指示を示す情報が来場者端末20から仮想空間生成サーバ10に送られる。例えば、来場者端末20がスマートフォンである場合、アバターを移動させたい方向に画面上で指を動かす、あるいは、アバターの移動先をタップする等の操作により、アバターの移動が指示可能であればよい。また、アバターの移動を指示するためのパッド状の領域がショップ画面に表示され、上記パッド状の領域に対する操作によって、アバターの移動が指示可能であってもよい。
【0065】
仮想空間生成サーバ10は、上記移動の指示に従って、来場者ユーザPgのアバターの位置を変更し、このアバターの位置の変更が反映されたショップ画面の表示内容を示すデータを来場者端末20に送信する。これにより、来場者端末20のショップ画面にて、仮想空間VSの店舗内を操作者のアバターが移動し、これに伴って、表示されている店舗内の範囲も移動する。こうしたアバターの移動を通じて、店内に配置されている商品等の展示物を見る等、仮想空間VSでの来場者ユーザPgの活動が可能である。
【0066】
同様に、スタッフユーザPsが、自身のアバターの移動を指示する操作をスタッフ端末30にて行うと、この移動の指示を示す情報がスタッフ端末30から仮想空間生成サーバ10に送られる。移動の指示のための操作は、来場者ユーザPgのアバターの場合と同様であってよい。仮想空間生成サーバ10は、上記移動の指示に従って、スタッフユーザPsのアバターの位置を変更し、このアバターの位置の変更が反映されたショップ画面の表示内容を示すデータをスタッフ端末30に送信する。これにより、スタッフ端末30のショップ画面にて、仮想空間VSの店舗内を操作者のアバターが移動し、これに伴って、表示されている店舗内の範囲も移動する。
【0067】
次に、追従モードでのアバターの移動について、
図5~
図7を参照して説明する。
図5は、同行グループが設定された後の、主導者であるスタッフユーザPsのスタッフ端末30に表示されるショップ画面ISの一例を示す。
図5に示すように、同行グループが設定されると、ショップ画面ISには、同行グループでの移動の開始を指示するための領域である移動指示領域R1が表示される。
【0068】
同行グループでの移動が指示されていないときには、各ユーザのアバターの制御モードは通常モードであり、主導者であるスタッフユーザPsのアバター、および、従属者である来場者ユーザPgのアバターの各々が、各ユーザの操作に従った位置に配置されている。
図5では、同行グループが2人の従属者を含み、主導者のアバターである主導者アバターAsと、2人の従属者のアバターである従属者アバターAg1,Ag2がショップ画面に表示されている例を示している。
【0069】
図6は、同行グループでの移動が行われるときの仮想空間提供システム100の処理の流れを示す。同行グループでの移動は、例えば、スタッフユーザPsが、仮想空間VSの店舗内の特定の場所に来場者ユーザPgを案内する場合に利用される。
【0070】
図6に示すように、主導者であるスタッフユーザPsの操作により、スタッフ端末30にて移動指示領域R1が選択されると、同行グループでの移動の要求がスタッフ端末30から仮想空間生成サーバ10に送られる(ステップS10)。
【0071】
同行グループでの移動の要求を受けると、仮想空間生成サーバ10は、集合処理として、同行グループが含むすべての従属者のアバターの制御モードを、通常モードから追従モードへと切り替えるとともに、同行グループが含むユーザのアバターが1箇所に集合するように、各アバターの位置を変更する(ステップS11)。例えば、主導者のアバターの付近まで、従属者のアバターが移動される。
【0072】
そして、仮想空間生成サーバ10は、各アバターの位置の変更が反映されたショップ画面を表示させるためのデータである更新データを、同行グループ内のスタッフユーザPsおよび来場者ユーザPgの端末20,30のそれぞれに送信する(ステップS12)。
【0073】
これにより、主導者のスタッフ端末30にて、各アバターの位置の移動が反映され(ステップS13)、また、従属者の来場者端末20にて、各アバターの位置の移動が反映される(ステップS14)。すなわち、各端末20,30に、同行グループのユーザのアバターが集合した画面が表示される。なお、各端末20,30には、操作者のアバターを中心とした視点の画面が表示されればよい。
【0074】
続いて、スタッフユーザPsの操作により、スタッフ端末30にて主導者であるスタッフユーザPsのアバターの移動が指示されると、アバターの移動の要求がスタッフ端末30から仮想空間生成サーバ10に送られる(ステップS15)。
【0075】
アバターの移動の要求を受けると、仮想空間生成サーバ10は、移動処理として、主導者であるスタッフユーザPsのアバターの位置を指示に従って変更するとともに、従属者である来場者ユーザPgのアバターの位置を、主導者のアバターに追従するように変更する(ステップS16)。そして、仮想空間生成サーバ10は、各アバターの位置の変更が反映されたショップ画面を表示させるためのデータである更新データを、各ユーザの端末20,30のそれぞれに送信する(ステップS17)。
【0076】
これにより、主導者のスタッフ端末30にて、各アバターの位置の移動が反映され(ステップS18)、また、従属者の来場者端末20にて、各アバターの位置の移動が反映される(ステップS19)。
【0077】
ステップS15~ステップS19の処理が繰り返されることにより、主導者のアバターに従属者のアバターが追従して移動し、これによって、同行グループに含まれるユーザのアバターが集団で移動する。
【0078】
図7は、同行グループでの移動中の主導者のスタッフ端末30に表示されるショップ画面ISの一例を示す。
図7に示すように、主導者アバターAsの後について、従属者アバターAg1,Ag2が移動する。具体的には、主導者アバターAsが、矢印Xで示すように移動すると、従属者アバターAg1,Ag2も、主導者アバターAsの後について、矢印Xで示すように移動する。
【0079】
図7では、主導者アバターAsを先頭に、主導者アバターAsおよび従属者アバターAg1,Ag2が一列に並んで進む例を示している。これに限らず、従属者アバターAg1,Ag2が主導者アバターAsの付近に位置して主導者アバターAsに追従していれば、言い換えれば、主導者アバターAsが従属者アバターAg1,Ag2を先導していれば、これらのアバターは一列に並んでいなくてもよい。例えば、従属者アバターAg1が主導者アバターAsの後方右側に位置し、従属者アバターAg2が主導者アバターAsの後方左側に位置してもよい。
なお、各端末20,30には、操作者のアバターを中心とした視点の画面が表示されればよい。
【0080】
以上のように、同行グループでの移動では、従属者のアバターが主導者のアバターに追従して移動するため、従属者の来場者ユーザPgは、アバターの移動のために来場者端末20を操作する必要がない。したがって、来場者ユーザPgの操作の負担が軽減されるとともに、先導するスタッフユーザPsから来場者ユーザPgがはぐれるといった事態も避けられる。また、来場者ユーザPgには、アバターの移動中に、仮想空間VSの店舗内を眺める余裕も生じる。
【0081】
接客サービスにおいては、スタッフユーザPsが来場者ユーザPgを案内する機会が多く、また、スタッフユーザPsは、来場者ユーザPgよりも、仮想空間VSの店舗内の構造やアバターの移動のための操作に詳しいことが通常である。それゆえ、スタッフユーザPsが主導者となってアバターの移動を先導することで、複数のユーザによる活動が円滑に進められる。
【0082】
同行グループでの移動の終了は、主導者のスタッフユーザPsのスタッフ端末30からの要求に基づき行われる。具体的には、
図7に示したように、同行グループでの移動中において、主導者のスタッフ端末30のショップ画面ISには、同行グループでの移動の終了を指示するための領域である終了指示領域R2が表示される。スタッフユーザPsの操作により、スタッフ端末30にて終了指示領域R2が選択されると、同行グループでの移動の終了の要求がスタッフ端末30から仮想空間生成サーバ10に送られる。
【0083】
これにより、同行グループが含むすべての従属者のユーザのアバターの制御モードが、追従モードから通常モードへと切り替えられ、仮想空間生成サーバ10は、通常モードで各ユーザのアバターの移動の処理を行う。すなわち、主導者のアバターに対する従属者のアバターの追従が停止され、各ユーザの端末20,30からの指示に従って、各アバターが移動されるようになる。
【0084】
このように、主導者のスタッフ端末30からの要求に基づいて、同行グループが含むすべての従属者のアバターの制御モードが一括して切り替えられる。それゆえ、スタッフユーザPsは、同行グループでの活動を円滑に主導することができる。
【0085】
また、同行グループでの移動中に、従属者の来場者ユーザPgの指示によって、主導者のアバターへの当該来場者ユーザPgのアバターの追従が停止されてもよい。具体的には、従属者のアバターの制御モードが追従モードであるときに、従属者の来場者端末20にて所定の操作が行われると、追従の停止の要求が来場者端末20から仮想空間生成サーバ10に送られる。上記所定の操作は、例えば、アバターの追従の停止を指示するための領域の選択であってもよいし、通常モードでアバターを移動させる際と同様の操作であってもよい。
【0086】
追従の停止の要求を受けると、仮想空間生成サーバ10は、追従の停止を指示した来場者ユーザPgのアバターについて、制御モードを通常モードに切り替え、主導者のアバターへの追従を停止する。以降、仮想空間生成サーバ10は、この来場者ユーザPgのアバターの移動を、来場者ユーザPgの操作に基づく来場者端末20からの指示に従って行う。
このように、来場者ユーザPgの意思によって、アバターの追従を停止できるため、自身のアバターの操作についての来場者ユーザPgの自由度が高められる。
【0087】
以上、アバターの移動の処理に関し、制御モードの切り替えおよびアバターの位置の変更は、移動制御部12cとしての処理である。
【0088】
なお、同行グループでは、文章や音声によるチャットが可能であることが好ましい。すなわち、仮想空間生成サーバ10は、同行グループのユーザの端末に入力された文字や音声の情報を、同行グループの他のユーザの端末に送信する。これにより、同行グループ内でのユーザの会話が可能であるため、同行グループでの活動が進めやすくなる。ユーザの発言が同行グループ内のみに公開される形態であれば、スタッフユーザPsと来場者ユーザPgとの間で、個人情報のような漏洩が望ましくない情報を含む会話も可能である。
【0089】
また、同行グループにおいて、端末20,30の表示内容の少なくとも一部の共有が可能であってもよい。すなわち、仮想空間生成サーバ10は、同行グループにおける1人のユーザの端末の表示内容の少なくとも一部を、同行グループの他のユーザの端末に表示させるように、各端末にデータを送信する。これにより、同行グループにおいて表示内容を共有しながら会話等が可能であるため、円滑なコミュニケーションが可能となる。これによっても、同行グループでの活動が進めやすくなる。
【0090】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)主導者であるスタッフユーザPsのアバターの移動に、従属者である来場者ユーザPgのアバターが追従するため、従属者の来場者ユーザPgは、自身のアバターの移動のために来場者端末20を操作する必要がない。したがって、複数のユーザでの活動に際し、アバターの操作についての来場者ユーザPgの利便性が高められる。
また、接客担当者であるスタッフユーザPsが主導者となってアバターの移動を先導することで、接客サービスにおける複数のユーザでの活動が円滑に進められる。
【0091】
(2)同行グループが、仮想空間VSに入場している複数のユーザのうちの一部からなるグループであり、主導者となるスタッフユーザPsによって従属者となる来場者ユーザPgが指定される形態であれば、同行が望ましいユーザを的確に従属者として同行グループに含めることができる。また、仮想空間VSにおいて、複数の同行グループが設定されて、同行グループごとに別々に移動することができるため、グループでの集団移動の機能を高い自由度で利用できる。
【0092】
(3)来場者ユーザPgからなるユーザグループごとに仮想空間VSが生成される形態であれば、1つの仮想空間VSに不特定多数の来場者ユーザPgと共にユーザグループが入場する場合と比較して、ユーザグループのメンバーのアバターの位置が把握しやすく、アバターを介したコミュニケーションも取りやすい。そして、仮想空間VSごとに、スタッフユーザPsが主導者に設定され、ユーザグループが含むすべての来場者ユーザPgが従属者に設定されることにより、仮想空間VSで一緒に活動しようとしている来場者ユーザPgのグループを、的確に従属者として同行グループに含めることができる。それゆえ、仮想空間VSでのグループの活動が進めやすくなる。
【0093】
(4)従属者のアバターの制御モードとして、従属者のアバターが、主導者のアバターに追従する追従モードと、従属者であるユーザの端末からの指示に従って移動する通常モードとが切り替え可能である。したがって、アバターの移動について状況に応じた制御態様が適用可能である。
【0094】
(5)主導者のスタッフ端末30からの要求に基づいて、当該主導者と対応付けられているすべての従属者のアバターの制御モードが切り替えられる。これにより、同行グループでの移動の開始と終了を、主導者であるスタッフユーザPsが制御できるため、スタッフユーザPsは、同行グループでの活動を円滑に主導することができる。
【0095】
(6)従属者の来場者端末20からの要求に基づいて、当該従属者のアバターの制御モードが追従モードから通常モードに切り替えられる。これにより、来場者ユーザPgの意思によって、アバターの追従を停止できるため、自身のアバターの操作についての来場者ユーザPgの自由度が高められる。
【0096】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・同行グループには、従属者として設定されたスタッフユーザPsが含まれてもよい。従属者であるスタッフユーザPsのアバターの移動の制御は、上記実施形態における従属者のアバターの移動の制御と同様に行われればよい。また、来場者ユーザPgが主導者に設定されてもよく、同行グループが、来場者ユーザPgのみ、または、スタッフユーザPsのみから構成されてもよい。また、同行グループ内において、主導者の変更が可能であってもよい。
【0097】
・仮想空間提供システム100の用途は、商品を取り扱う店舗での接客サービスに限られない。例えば、仮想空間提供システム100が接客サービスに用いられる場合、仮想空間VSが含む施設は、店舗に限らず、展示会等のイベントの会場や、モデルルームであってもよい。接客サービスには、例えば、商品の販売や説明、展示物や施設内の説明、観光案内等が含まれる。また、商品には、物品に限らず金融商品等も含まれる。
【0098】
また、仮想空間提供システム100は、カウンセリング等の医療サービスや、教育サービス、行政サービス等に用いられてもよい。要は、仮想空間VSでのサービスの利用者である第1ユーザと、仮想空間VSでの第1ユーザの応対者となる第2ユーザとが、アバターとして仮想空間VSに入場すればよい。第2ユーザは、言い換えれば、サービスの提供者である。
【0099】
仮想空間VSが含む施設は、所定の目的のために設けられた構造物や建物であればよく、例えば、商業施設、金融施設、公共施設、医療施設、福祉施設、観光施設、工場等であり得る。また、仮想空間提供システム100が観光案内に用いられる場合等には、仮想空間VSは、施設を含まず、木や岩等の自然物のオブジェクトが配置された空間であってもよい。
【0100】
・仮想空間提供システム100は、来場者端末20およびスタッフ端末30に入出力される文章や音声について、多言語による翻訳や同時通訳を実施してもよい。こうした構成によれば、来場者ユーザPgやスタッフユーザPs、取り扱われる商品等について、グローバルな対応が可能である。
【0101】
・仮想空間生成サーバ10の機能は、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。1つの情報処理装置は単体のコンピュータ装置である。すなわち、仮想空間生成装置は、1または複数の情報処理装置から構成されていればよい。
【符号の説明】
【0102】
Pg…来場者ユーザ
Ps…スタッフユーザ
Ag…従属者アバター
As…主導者アバター
IS…ショップ画面
VS…仮想空間
10…仮想空間生成サーバ
20…来場者端末
30…スタッフ端末
100…仮想空間提供システム
【要約】
【課題】仮想空間における複数のユーザでの活動に際し、ユーザの利便性を高めることができる仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法を提供する。
【解決手段】仮想空間生成装置は、仮想空間VSでのサービスの利用者となる第1ユーザと、仮想空間VSでの第1ユーザの応対者となる第2ユーザとを、各ユーザが操作する端末からの要求に基づいてアバターとして仮想空間VSに入場させる仮想空間生成部と、1人の第2ユーザを主導者に設定し、1人以上の第1ユーザを、当該主導者に対応付けられた従属者に設定する同行者設定部と、主導者である第2ユーザが操作する端末からの指示を受けて、当該第2ユーザのアバターである主導者アバターAsを移動させるとともに、当該主導者に対応付けられた従属者である第1ユーザのアバターAg1,Ag2を、主導者アバターAsに追従して移動させる移動制御部と、を備える。
【選択図】
図7