(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】データ処理装置、システム、データ処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B5/00 G
(21)【出願番号】P 2022515173
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2020016916
(87)【国際公開番号】W WO2021210172
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】福司 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】黄 晨暉
(72)【発明者】
【氏名】オウ シンイ
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 史行
(72)【発明者】
【氏名】中原 謙太郎
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-142273(JP,A)
【文献】特開2014-164383(JP,A)
【文献】特開2006-087746(JP,A)
【文献】特開2016-024655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/398
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一人のユーザの属性に基づいて、前記ユーザの生体に関するセンサ値と、前記センサ値の計測時刻および計測位置とを含む少なくとも一つの生体情報データを少なくとも一つのグループに分類する分類手段と、
前記グループごとに、前記生体情報データに含まれる前記センサ値と、前記計測時刻、および前記計測位置の相互関係を用いて、欠損が補間された前記生体情報データを推定するためのモデルを生成する学習手段と、を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
欠損のある前記生体情報データを前記モデルに入力し、欠損が補間された前記生体情報データを推定する推定手段を備える請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記分類手段によって分類された前記グループの各々に対応する前記生体情報データを集計し、前記グループごとの前記生体情報データによって構成される生体情報テーブルを生成する集計手段を備え、
前記学習手段は、
前記生体情報テーブルを構成する前記生体情報データに含まれる前記センサ値と、前記計測時刻、および前記計測位置の相互関係を用いて、前記グループごとに前記モデルを生成する請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記分類手段は、
複数のデバイスによって計測された前記センサ値を含む前記生体情報データを少なくとも一つの前記グループに分類し、
前記学習手段は、
前記グループごとに、前記生体情報データに含まれる前記センサ値と、前記計測時刻、および前記計測位置の相互関係を用いて、欠損が補間された前記生体情報データを推定するための
前記モデルを生成する請求項2または3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記学習手段は、
前記生体情報データに含まれる前記計測時刻および前記計測位置を説明変数とし、前記センサ値を目的変数とする機械学習によって前記モデルを生成する請求項2乃至4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記属
性は、
前記ユーザの履物の種類を含み、
前記学習手段は、
前記履物の種類を説明変数に含めた機械学習によって前記モデルを生成する請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記学習手段は、
前記ユーザを識別するためのユーザ識別子を説明変数に追加し、前記ユーザの生体特性に関する指標である評価値を目的変数とする機械学習によって、前記ユーザの前記評価値を推測する前記モデルを生成し、
前記推定手段は、
前記ユーザ識別子を前記モデルに入力し、前記ユーザ識別子に対応する前記ユーザに関する前記評価値を推定する請求項5または6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデータ処理装置と、
ユーザの生体に関するセンサ値を計測する少なくとも一つのデバイスと、
前記デバイスによって計測された前記センサ値に、前記センサ値の計測時刻および計測位置を付与することによって前記生体情報データを生成する端末装置と、を備え、
前記端末装置は、
前記データ処理装置によって欠損が保管された前記生体情報データを用いるアプリケーションによる処理結果を含むコンテンツを前記端末装置の画面に表示させるシステム。
【請求項9】
コンピュータが、
少なくとも一人のユーザの属性に基づいて、前記ユーザの生体に関するセンサ値と、前記センサ値の計測時刻および計測位置とを含む少なくとも一つの生体情報データを少なくとも一つのグループに分類し、
前記グループごとに、前記生体情報データに含まれる前記センサ値と、前記計測時刻、および前記計測位置の相互関係を用いて、前記生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成するデータ処理方法。
【請求項10】
少なくとも一人のユーザの属性に基づいて、前記ユーザの生体に関するセンサ値と、前記センサ値の計測時刻および計測位置とを含む少なくとも一つの生体情報データを少なくとも一つのグループに分類する処理と、
前記グループごとに、前記生体情報データに含まれる前記センサ値と、前記計測時刻、および前記計測位置の相互関係を用いて、前記生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成する処理とをコンピュータに実行させるプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に関するデータを処理するデータ処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、生体に関するデータを収集する技術が求められている。そのようなデータは、ユーザが装着するウェアラブルデバイス等に実装されたセンサ等によって計測される。ウェアラブルデバイスを用いた場合、バッテリー容量の制限や、体動ノイズの影響、ユーザの生活習慣や装着し忘れ等によって、データの計測頻度が低下することがあった。データの計測頻度が低下すると、生体情報のモニタに必要なデータが欠損する可能性がある。
【0003】
特許文献1には、健康状態の評価に必要な生体指標を適時に計測/収集する技術について開示されている。特許文献1の手法では、生体指標の測定データが取得できなかった場合、利用者に対して生体指標の再計測を要求する。また、特許文献1の手法では、測定データの欠損が発生した場合、蓄積された過去のデータセットを用いて、欠損を含むデータセットの欠損箇所を補間する。例えば、特許文献1の手法では、データセットの類似度に着目して、補間に用いるデータセットを選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の手法では、測定データに欠損が生じた場合であっても、欠損箇所を補間することができる。特許文献1の手法では、過去のデータセットを用いてデータ欠損箇所を補間する際に、そのデータセットが取得された時刻や場所等の条件が含まれない。そのため、特許文献1の手法では、補間に用いられる過去のデータセットが取得された時刻や場所等の条件が異なる場合、生体指標が大きく異なることがある。そのため、特許文献1の手法では、補間されたデータの精度が低下することがあった。
【0006】
本発明の目的は、生体に関するデータの欠損を高精度に補間できるデータ処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のデータ処理装置は、少なくとも一人のユーザの属性に基づいて、ユーザの生体に関するセンサ値と、センサ値の計測時刻および計測位置とを含む少なくとも一つの生体情報データを少なくとも一つのグループに分類する分類部と、グループごとに、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成する学習部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様のデータ処理方法においては、少なくとも一人のユーザの属性に基づいて、ユーザの生体に関するセンサ値と、センサ値の計測時刻および計測位置とを含む少なくとも一つの生体情報データを少なくとも一つのグループに分類し、グループごとに、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成する。
【0009】
本発明の一態様のプログラムは、少なくとも一人のユーザの属性に基づいて、ユーザの生体に関するセンサ値と、センサ値の計測時刻および計測位置とを含む少なくとも一つの生体情報データを少なくとも一つのグループに分類する処理と、グループごとに、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生体に関するデータの欠損を高精度に補間できるデータ処理装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係るデータ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係るデータ処理装置の記憶部に記憶される属性テーブルの一例である。
【
図3】第1の実施形態に係るデータ処理装置の記憶部に記憶される属性テーブルの別の一例である。
【
図4】第1の実施形態に係るデータ処理装置の集計部によって生成される生体情報テーブルの一例である。
【
図5】第1の実施形態に係るデータ処理装置によるモデルの生成について説明するための概念図である。
【
図6】第1の実施形態に係るデータ処理装置による生体情報データの推定について説明するための概念図である。
【
図7】第1の実施形態に係るデータ処理装置によるモデルの生成に関するフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態に係るデータ処理装置による生体情報データの推定に関するフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態に係るデータ処理装置の集計部によって生成される生体情報テーブルの別の一例である。
【
図10】第1の実施形態に係るデータ処理装置の集計部によって生成される生体情報テーブルのさらに別の一例である。
【
図11】第2の実施形態のシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】第2の実施形態のシステムに含まれるウェアラブルデバイスの配置について説明するための概念図である。
【
図13】第2の実施形態のシステムに含まれるウェアラブルデバイスの構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】第2の実施形態のシステムに含まれる端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】第2の実施形態のシステムに含まれるデータ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】第2の実施形態のシステムにおける初期設定フェーズについて説明するためのフローチャートである。
【
図17】第2の実施形態のシステムにおける計測フェーズについて説明するためのフローチャートである。
【
図18】第2の実施形態のシステムにおけるデータ処理フェーズについて説明するためのフローチャートである。
【
図19】第3の実施形態のシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図20】第3の実施形態に係るデータ処理装置によって生成される生体情報テーブルの一例である。
【
図21】第4の実施形態に係るデータ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】第4の実施形態に係るデータ処理装置によるモデルの生成、および評価値の推定について説明するための概念図である。
【
図23】第4の実施形態に係るデータ処理装置によって推定された評価値に基づいたコンテンツを端末装置の画面に表示させる一例について説明するための概念図である。
【
図24】第4の実施形態に係るデータ処理装置によって推定された評価値に基づいたコンテンツを端末装置の画面に表示させる別の一例について説明するための概念図である。
【
図25】第4の実施形態に係るデータ処理装置によって推定された評価値に基づいたコンテンツを端末装置の画面に表示させるさらに別の一例について説明するための概念図である。
【
図26】第5の実施形態に係るモデル生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図27】第6の実施形態に係る推定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図28】各実施形態に係るデータ処理装置を実現するハードウェアの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。また、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、ブロック間のデータや信号等の向きを限定するものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係るデータ処理装置の構成について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のデータ処理装置は、ユーザが装着するウェアラブルデバイス等によって計測されたセンサデータの値(センサ値とも呼ぶ)を含む生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成する。生体情報データは、センサ値、ユーザを識別するための識別子(ユーザ識別子ともよぶ)、センサ値の計測時刻および計測位置が少なくとも紐付けられたデータである。例えば、本実施形態のデータ処理装置は、機械学習によってモデルを生成する。
【0014】
(構成)
図1は、本実施形態に係るデータ処理装置10の構成の一例を示すブロック図である。データ処理装置10は、記憶部11、分類部13、集計部14、学習部15、および補間部16を備える。分類部13、集計部14、および学習部15は、モデル生成装置100を構成する。
【0015】
記憶部11は、複数のユーザの各々の属性データと、複数のユーザの生体情報データとを記憶する。属性データおよび生体情報データは、記憶部11に予め記憶される。属性データは、初期設定フェーズにおいて、インターネットやイントラネット等のネットワークを介して通信可能に接続された端末装置等(図示しない)から取得される。生体情報データは、計測フェーズにおいて、ウェアラブルデバイス等と通信可能に接続された端末装置等(図示しない)から取得される。
【0016】
生体情報データは、ユーザが装着するウェアラブルデバイス等によって計測されたセンサ値と、ユーザ識別子、センサ値の計測時刻および計測位置を含む。ユーザ識別子は、ウェアラブルデバイスおよび端末装置のいずれかで付与される。計測時刻および計測位置は、ウェアラブルデバイス等がセンサデータを計測した際に付与されてもよいし、ウェアラブルデバイス等が計測したセンサデータを取得する端末装置によって付与されてもよい。例えば、端末装置がスマートフォンやタブレット、携帯電話等の携帯端末である場合、携帯端末の位置計測機能(例えば、GPS:Global Positioning System)を用いれば、センサ値の計測位置を取得できる。
【0017】
属性データは、それぞれのユーザに対して付与されたユーザ識別子と、それぞれのユーザの属性とが対応付けられたデータである。例えば、ユーザの属性は、そのユーザの性別や身長、体重などのデータを含む。なお、記憶部11に記憶された属性データは、端末装置を介したユーザによる更新に応じて、任意のタイミングで更新されてもよい。
【0018】
図2は、属性データをまとめたテーブルの一例(属性テーブル110)である。属性テーブル110のように、属性データは、複数のユーザの各々のユーザ識別子(U
1、U
2、U
3、・・・)に対応付けて格納される。
【0019】
図3は、ユーザが履く履物の種類(運動靴、ハイヒール、革靴等)が追加された属性データをまとめたテーブルの一例(属性テーブル111)である。属性テーブル111は、複数のユーザの各々のユーザ識別子(U
1、U
2、U
3、・・・)に対応付けられたユーザの生体属性に加えて、ユーザが履く履物の種類が追加される。なお、属性データには、生体情報データに補間される欠損データの精度の向上につながりさえすれば、履物の種類以外の属性を追加してもよい。例えば、属性データには、ウェアラブルデバイスが設置される対象物(例えば、服や帽子、手袋、マスクなど)の属性が追加されてもよい。例えば、属性が類似しており、かつ同じ種類の履物を履いているユーザからは、同様のセンサ値が計測される確度が高い。そのため、履物の種類を含めて生体情報データを分類したり、履物の種類を説明変数に加えた機械学習でモデルを生成したりすれば、補間される欠損データの精度が高くなる。
【0020】
分類部13は、記憶部11に記憶された属性データに基づいて、生体情報データを分類する。例えば、分類部13は、属性データに基づいて、属性が類似するユーザの生体情報データを同じグループに分類する。
【0021】
例えば、分類部13は、属性データに含まれる少なくともいずれかの属性に基づいて、複数のユーザを分類する。例えば、分類部13は、属性データに含まれる性別、身長、および体重等の属性のうちいずれかに基づいて、複数のユーザを分類する。例えば、分類部13は、属性データに含まれる性別、身長、および体重等の属性の組み合わせのうちいずれかの組み合わせに基づいて、複数のユーザを分類してもよい。例えば、分類部13は、K平均法などのアルゴリズムを用いた機械学習によって複数のユーザを分類してもよい。
【0022】
集計部14は、分類部13によって分類されたグループの各々に対応する生体情報データを集計したテーブル(生体情報テーブルとも呼ぶ)を生成する。
【0023】
図4は、集計部14が生成する生体情報テーブルの一例(生体情報テーブル140)である。生体情報テーブル140に含まれる生体情報データは、ユーザ識別子、計測時刻、計測位置、およびセンサ値を含む。例えば、生体情報データx(1)は、ユーザ識別子がU
1であり、計測時刻が6時であり、計測位置が(緯度AA、経度BB)の位置であり、センサ値がy(1)である。なお、集計部14が集計する段階では、生体情報データが属性に基づいて分類されているため、生体情報テーブルにユーザ識別子を含めなくてもよい。
【0024】
生体情報データは、0が多く含まれる疎なデータである。センサデータの計測時刻は、ユーザごとに設定される。本実施形態では、あるユーザの生体情報データに関して、センサデータが計測されなかった計測時刻のセンサ値を、同じグループに分類された他のユーザのセンサデータに含まれるセンサ値を含めた機械学習によって生成されたモデルを用いて補間する。生体情報データの欠損は、全ての計測時刻に関して補間する必要はなく、少なくとも一つの計測時刻に関して補間されればよい。
【0025】
学習部15は、分類部13によって同じグループに分類されたユーザの生体情報データに含まれるセンサ値、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成する。例えば、学習部15は、生体情報データに対して、計測時刻および計測位置を説明変数とし、センサ値を目的変数とする機械学習によってモデルを生成する。例えば、学習部15は、分類部13によって同じグループに分類されたユーザの生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻および計測位置の相互関係とを用いて、補間データを推定するための推定式を生成する。
【0026】
また、学習部15は、複数のグループの各々に対応付けて集計された生体情報テーブルを集計部14から入力する。学習部15は、複数の生体情報テーブルの各々に対して、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻および計測位置との相互関係をモデル化する。例えば、学習部15は、生体情報テーブルに含まれる生体情報データに対して、計測時刻および計測位置を説明変数とし、センサ値を目的変数とする機械学習によってモデルを生成する。例えば、学習部15は、複数の生体情報テーブルの各々に対して、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻および計測位置との相互関係をモデル化した推定式を生成する。
【0027】
例えば、学習部15は、生体情報テーブルを構成する生体情報データに含まれる計測時刻および計測位置を説明変数とし、センサ値を目的変数とする機械学習によって、生体情報データを補間するためのモデルを生成する。例えば、あるユーザのセンサ値の計測タイミングが朝や夕方に限られている場合、昼の時間帯のセンサデータがあった方が、そのユーザの生体情報を正確に把握できる。本実施形態では、属性が類似するユーザの生体情報データを用いた学習によって、欠損している時間帯のセンサ値を補間する。また、属性が類似していても、センサデータが取得された環境が異なれば、センサ値は異なるものと想定される。本実施形態では、センサ値の計測位置を含めて、属性が類似するユーザの生体情報データを学習することによって、センサデータが取得された環境を考慮に入れたモデルを生成できる。
【0028】
例えば、学習部15は、ディープランニングの手法を用いた機械学習によって、モデルを生成する。例えば、学習部15は、ニューラルネットワーク(NN:Neural Network)の構造(パラメータや、ノード間の接続関係等)を機械学習によって最適化することで、生体情報データを補間するためのモデルを生成する。例えば、NNの一例としては、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)や、回帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)が挙げられる。ただし、学習部15が用いる学習の手法は、特に制限されず、生体情報データの欠損を補間可能な手法であればよい。
【0029】
例えば、学習部15は、SVD(Singular Value Decomposition)、MF(Matrix Factorization)、FM(Factorization Machines)等の手法を用いた機械学習によって、モデルを生成する。例えば、学習部15は、FMの手法を用いて、複数の生体情報テーブルの各々に対して、生体情報データに含まれる計測時刻および計測位置の相互関係をモデル化した推定式を生成する。なお、学習部15は、ユーザ識別子を含めて、計測時刻および計測位置の相互関係をモデル化した推定式を構築してもよい。ユーザ識別子を含めれば、同じユーザの生体情報データに含まれるセンサ値が優先的に学習されるので、補間データの精度がより向上する。
【0030】
以下の式1は、生体情報テーブルを行列Vと見立てた場合のセンサ値y(x)を示す式である(i、j、nは、1≦i<j≦nの関係を示す整数)。
【0031】
式1のxは、計測時刻および計測位置を含むベクトルである。式1の右辺第1項のw0は、グローバルバイアスである。wiはi番目の変数の強度をモデル化する。
【0032】
式1の右辺の第3項は、生体情報データxの要素の交差項に相当する。式1の右辺の第3項の山括弧は、v
iとv
jの内積を表す。v
iは行列Vのi行目のベクトルを表し、v
jは行列Vのj行目のベクトルを表す。v
iとv
jの内積は、以下の式2で表される(f、kは整数)。
機械学習によって求められるパラメータは、下記の式3に示すw
0、ベクトルw、行列Vである。次元nはハイパーパラメータである。
式3のRは実数を表す。nはベクトルwおよび行列Vの行数、kは行列Vの列数を表す。
【0033】
補間部16(推定部とも呼ぶ)は、学習部15によって生成されたモデルを用いて、生体情報データの欠損値を推定する。補間部16は、推定された欠損値を用いて、欠損を含む生体情報データを補間する。例えば、欠損が補間された生体情報データは、記憶部11に記憶される。
【0034】
図5は、データ処理装置10がモデル(モデル150-1~L)を生成する一例について説明するための概念図である(Lは自然数)。分類部13は、記憶部11に記憶された属性テーブル110に含まれる少なくともいずれかの属性に基づいて、属性が類似するユーザを同じグループに分類する。集計部14は、分類部13によって分類されたグループの各々に含まれる生体情報データ120を用いて、少なくとも一つの生体情報テーブル140-1~Lを生成する(Lは自然数)。学習部15は、少なくとも一つの生体情報テーブル140-1~Lの各々について、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻及び位置の相互関係を用いて、モデル150-1~Lの各々を生成する。
【0035】
図6は、学習部15によって生成されたモデル150に、欠損のある生体情報データが入力される一例を示す概念図である。欠損のある生体情報データがモデル150に入力されると、欠損が補間された生体情報データが出力される。例えば、あるユーザの生体情報データにおいて昼の時間帯に欠損がある場合、同じグループに分類された生体情報データのうち昼の時間帯のいずれかの時刻のセンサ値がそのユーザの生体情報データに補間される。それによって、そのユーザの生体情報データは、少なくともいずれかの時刻における欠損が補間される。
【0036】
(動作)
次に、本実施形態のデータ処理装置10の動作の一例について図面を参照しながら説明する。データ処理装置10の動作には、学習フェーズと推定フェーズが含まれる。以下においては、データ処理装置10を動作の主体とし、学習フェーズと推定フェーズの各々について個別に説明する。
【0037】
〔学習フェーズ〕
図7は、学習フェーズの一例について説明するためのフローチャートである。
図7において、まず、データ処理装置10は、属性データに基づいて、複数のユーザをグループに分類する(ステップS151)。
【0038】
次に、データ処理装置10は、分類されたグループの各々について、属性データが類似するユーザの生体情報データを集計して生体情報テーブルを生成する(ステップS152)。
【0039】
次に、データ処理装置10は、グループごとの生体情報テーブルに含まれる生体情報データを学習し、生体情報データを補間するためのモデルをグループごとに生成する(ステップS153)。
【0040】
〔推定フェーズ〕
図8は、推定フェーズの一例について説明するためのフローチャートである。
図8において、まず、データ処理装置10は、欠損のある生体情報データをモデルに入力する(ステップS161)。
【0041】
次に、データ処理装置10は、モデルによって推定された生体情報データを、欠損が補間された生体情報データとして出力する(ステップS162)。
【0042】
ここで、生体情報データの変形例について、一例を挙げて説明する。以下の変形例は、生体情報データにさらなる属性を追加することによって、生体情報データの集計や学習の精度を高める例である。
【0043】
図9は、計測位置の緯度と経度に基づいて、その計測位置に対応する施設を生体情報データに追加する例(生体情報テーブル141)である。例えば、属性が類似しており、かつ同一の施設に滞在するユーザからは、同様のセンサ値が計測される確度が高い。そのため、計測位置に対応する施設に基づいて生体情報データを分類したり、施設を説明変数に加えた機械学習でモデルを生成したりすれば、補間される欠損データの精度が高くなる。
【0044】
図10は、計測位置に対応する施設に加えて、その施設において取りうる行動を生体情報データに追加する例(生体情報テーブル142)である。例えば、個人宅にいるユーザは、家事をしている確率が高い。また、駅にいるユーザは通勤中である確率が高く、ショッピングモールにいるユーザは買い物をしている確率が高い。そのため、施設において取りうる行動に基づいて生体情報データを分類したり、施設において取りうる行動を説明変数に加えた機械学習でモデルを生成したりすれば、補間される欠損データの精度がより高くなる。
【0045】
以上のように、本実施形態のデータ処理装置は、記憶部、分類部、集計部、学習部、および補間部を備える。記憶部は、複数のユーザの各々の属性データと、複数のユーザの生体情報データとを記憶する。分類部は、記憶部に記憶された属性データに基づいて、生体情報データを分類する。集計部は、分類部によって分類されたグループの各々に対応する生体情報データを集計した生体情報テーブルを生成する。学習部は、分類部によって同じグループに分類されたユーザの生体情報データに含まれるセンサ値、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成する。また、学習部は、複数の生体情報テーブルの各々に対して、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻および計測位置との相互関係をモデル化する。補間部(推定部とも呼ぶ)は、学習部によって生成されたモデルを用いて、生体情報データの欠損値を推定する。補間部は、推定された欠損値を用いて、欠損を含む生体情報データを補間する。
【0046】
本実施形態によれば、少なくとも一人のユーザに関して計測されたセンサ値を互いに補間し合うことによって、生体に関するデータの欠損を高精度に補間できるモデルを生成できる。
【0047】
本実施形態においては、複数のユーザの属性に基づいて、ユーザの生体に関するセンサ値と、センサ値の計測時刻および計測位置との相互関係を用いてモデルを生成する。例えば、同じ属性のユーザのセンサ値は、計測時刻が同じであっても、異なる位置で計測されていれば大きく異なることがある。例えば、センサ値は、職場の中や、通勤経路、昼食に出かける途中、業務終了後に食事に向かう途中など、計測されるシーンに応じて異なる傾向を示しうる。本実施形態では、センサ値が計測されるシーンに応じたモデルを生成できるので、生体情報データに含まれうる欠損を高精度に補間できる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るシステムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のシステムは、ウェアラブルデバイス、端末装置、およびデータ処理装置を含む。以下においては、履物に設置されるインソールに搭載される歩容計測デバイスを一例として挙げる。なお、本実施形態のウェアラブルデバイスは、ユーザの生体に関するデータを計測できさえすれば、歩容計測デバイスに限定されない。
【0049】
図11は、本実施形態のシステム2の構成の一例について説明するためのブロック図である。本実施形態のシステム2は、ウェアラブルデバイス210、端末装置230、およびデータ処理装置20を含む。端末装置230は、インターネットやイントラネット等のネットワーク250を介して、データ処理装置20に接続される。例えば、ネットワーク250がイントラネットの場合、本実施形態のシステム2にネットワーク250を加えてもよい。
【0050】
ウェアラブルデバイス210は、生体情報データに含まれるセンサ値を計測するための少なくとも一つのセンサを含む。ウェアラブルデバイス210は、ユーザによって装着される。ウェアラブルデバイス210は、ウェアラブルデバイス210を装着したユーザの生体情報に関連するセンサ値を計測する。
【0051】
ウェアラブルデバイス210は、計測されたセンサ値を含むセンサデータを端末装置230に送信する。例えば、ウェアラブルデバイス210は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に即した無線通信機能(図示しない)を介して、センサデータを端末装置230に送信する。例えば、ウェアラブルデバイス210は、通信ケーブルなどの有線を介して、センサデータを端末装置230に送信してもよい。ウェアラブルデバイス210から端末装置230にセンサデータを送信する手法には、特に限定を加えない。
【0052】
例えば、ウェアラブルデバイス210は、履物に設置されるインソールに搭載される歩容計測デバイスによって実現される。例えば、歩容計測デバイスは、3軸方向の角速度および加速度を計測し、ユーザの歩幅や歩行速度、足上げ高さ、接地角度、蹴り出し角度、足角、内反、外反等のセンサデータを生成する。
【0053】
図12は、歩容を計測するウェアラブルデバイス210を靴220の中に設置する一例を示す概念図である。例えば、ウェアラブルデバイス210は、靴220の中に挿入されるインソールに設置され、足の土踏まずの裏側に当たる位置に配置される。なお、ウェアラブルデバイス210が配置される位置は、靴の中や表面であれば、足の土踏まずの裏側ではない位置であってもよい。ウェアラブルデバイス210は、歩容を計測できさえすれば、靴220以外の履物や靴下などに設置されてもよい。
【0054】
ウェアラブルデバイス210は、端末装置230に接続される。ウェアラブルデバイス210は、加速度センサと角速度センサを少なくとも含む。ウェアラブルデバイス210は、加速度センサおよび角速度センサによって取得されたセンサ値をデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータに計測時刻を付与することによってセンサデータを生成する。なお、センサデータには、ユーザ識別子が含まれてもよい。ウェアラブルデバイス210は、生成されたセンサデータを端末装置230に送信する。
【0055】
図13は、ウェアラブルデバイス210の構成の一例を示すブロック図である。ウェアラブルデバイス210は、加速度センサ212、角速度センサ213、信号処理部215、およびデータ出力部217を有する。加速度センサ212および角速度センサ213は、センサ211を構成する。例えば、センサ211はIMU(Inertial Measurement Unit)によって実現される。
【0056】
加速度センサ212は、3軸方向の加速度を計測するセンサである。加速度センサ212は、計測した加速度を信号処理部215に出力する。
【0057】
角速度センサ213は、角速度を計測するセンサである。角速度センサ213は、計測した角速度を信号処理部215に出力する。
【0058】
信号処理部215は、加速度センサ212および角速度センサ213のそれぞれから、加速度および角速度の各々の生データを取得する。信号処理部215は、取得された加速度および角速度をデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータに計測時刻を付与してセンサデータを生成する。計測時刻は、図示しないタイマ等によって計測される。なお、端末装置230の側で計測時刻を付与する場合は、センサデータに計測時刻を含めなくてもよい。また、信号処理部215は、計測した加速度や角速度の生データに対して、実装誤差や温度補正、直線性補正などの補正を行い、補正後のセンサ値を出力するように構成してもよい。また、信号処理部215は、センサデータにユーザ識別子を付与してもよい。信号処理部215は、センサデータをデータ出力部217に出力する。
【0059】
データ出力部217は、信号処理部215からセンサデータを取得する。データ出力部217は、取得したセンサデータを端末装置230に送信する。データ出力部217は、通信ケーブルなどの有線を介してセンサデータを端末装置230に送信してもよいし、無線通信を介してセンサデータを端末装置230に送信してもよい。例えば、データ出力部217は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に即した無線通信機能(図示しない)を介して、センサデータを端末装置230に送信する。
【0060】
図14は、端末装置230の構成の一例を示すブロック図である。端末装置230は、送受信部231、制御部232、位置情報取得部233、および表示部235を有する。
【0061】
送受信部231は、ウェアラブルデバイス210からセンサデータを受信する。送受信部231は、受信されたセンサデータを制御部232に出力する。また、送受信部231は、制御部232から生体情報データを受信する。送受信部231は、受信された生体情報データをデータ処理装置20に送信する。送受信部231から生体情報データを送信するタイミングには、特に限定を加えない。
【0062】
例えば、送受信部231は、端末装置230にインストールされたアプリケーション(例えば、生体情報を解析するアプリケーション)の処理やユーザの操作に応じて、生体情報データの欠損を補間する要求をデータ処理装置20に送信する。送受信部231は、要求に応じて送信されてきた生体情報データを受信する。例えば、データ処理装置20から送信されてきた生体情報データは、アプリケーションにおける生体情報の解析に利用される。
【0063】
制御部232は、送受信部231からセンサデータを取得する。制御部232は、センサデータを取得すると、位置情報取得部233から位置情報を取得し、取得された位置情報(計測位置)をセンサデータに付与することによって生体情報データを生成する。なお、センサデータに計測時刻が含まれない場合、その端末装置230において生体情報データを生成するタイミングの時刻を計測時刻として生体情報データに付与してもよい。また、ウェアラブルデバイス210がセンサデータにユーザ識別子を付与しない場合、制御部232が生体情報データにユーザ識別子を付与する。
【0064】
位置情報取得部233は、位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部233は、GPSを用いた位置計測機能によって位置情報を取得する。なお、位置情報取得部233は、位置計測機能を用いて取得された位置情報を、図示しない角速度センサや角速度センサ等によって計測されるセンサ値で補正してもよい。位置情報取得部233によって取得された位置情報は、制御部232における生体情報データの生成に用いられる。
【0065】
表示部235には、ユーザの操作を受け付けるユーザインタフェースや、端末装置230にインストールされたアプリケーション等に関する画像が表示される。例えば、表示部235には、データ処理装置20から受信される生体情報データをアプリケーションが処理した結果の画像が表示される。表示部235に表示される画像を見たユーザは、データ処理装置20によって欠損が補間された生体情報データに基づくアプリケーションの処理結果を閲覧できる。なお、表示部235には、ユーザインタフェースや、生体情報データに基づくアプリケーションの処理結果に限らず、一般的なスマートフォンやタブレット、携帯端末等の画面に表示可能な画像が表示される。
【0066】
図15は、データ処理装置20の構成の一例を示すブロック図である。データ処理装置20は、記憶部21、送受信部22、分類部23、集計部24、学習部25、および補間部26を備える。分類部23、集計部24、および学習部25は、モデル生成装置200を構成する。なお、記憶部21、分類部23、集計部24、学習部25、および補間部26は、第1の実施形態のデータ処理装置10の対応する構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0067】
(動作)
次に、本実施形態のシステム2の動作について図面を参照しながら説明する。本実施形態のシステム2の動作は、初期設定フェーズ、計測フェーズ、およびデータ処理フェーズに大別される。以下においては、初期設定フェーズ、計測フェーズ、およびデータ処理フェーズの各々について個別に説明する。
【0068】
〔初期設定フェーズ〕
初期設定フェーズは、ユーザの属性データをデータ処理装置20に登録するフェーズである。
図16は、初期設定フェーズについて説明するためのフローチャートである。
【0069】
図16において、まず、端末装置230が、端末装置230の表示部235に表示されたアプリケーションのグラフィカルユーザインタフェースを介して、ユーザの属性データの入力を受け付ける(ステップS211)。例えば、端末装置230の表示部235には、ユーザの属性を受け付けるグラフィカルユーザインタフェースが表示され、ユーザによる属性データの入力を受け付ける。例えば、端末装置230は、ユーザの身長や体重、性別などの属性データの入力を受け付ける。例えば、端末装置230には、ユーザの既往歴などの属性データの入力を受け付けてもよい。
【0070】
次に、端末装置230が、入力された属性データをデータ処理装置20に送信する(ステップS212)。
【0071】
次に、データ処理装置20が、端末装置230から送信された属性データを受信する(ステップS213)。
【0072】
次に、データ処理装置20が、受信された属性データを記憶部21に格納する(ステップS214)。記憶部21に格納された属性データは、ユーザの分類に用いられる。
【0073】
〔計測フェーズ〕
計測フェーズは、ウェアラブルデバイス210によって計測されたセンサデータに基づく生体情報データをデータ処理装置に格納するフェーズである。
図17は、計測フェーズについて説明するためのフローチャートである。
【0074】
図17において、まず、ウェアラブルデバイス210が、そのウェアラブルデバイス210を装着するユーザの生体に関するセンサ値を計測する(ステップS221)。
【0075】
次に、ウェアラブルデバイス210が、計測されたセンサ値を含むセンサデータを生成し、生成されたセンサデータを端末装置230に送信する(ステップS222)。例えば、ウェアラブルデバイス210は、センサ値と計測時刻とが対応付けられたセンサデータを端末装置230に送信する。
【0076】
次に、端末装置230が、ウェアラブルデバイス210からセンサデータを受信する(ステップS223)。
【0077】
次に、端末装置230が、センサデータの受信に合わせて端末装置230の位置情報(計測位置)を取得し、ユーザ識別子、センサ値、計測時刻、および計測位置を対応付けた生体情報データを生成する(ステップS224)。
【0078】
次に、端末装置230が、生成された生体情報データをデータ処理装置20に送信する(ステップS225)。
【0079】
次に、データ処理装置20が、端末装置230から送信された生体情報データを受信し、受信された生体情報データを記憶部21に格納する(ステップS226)。記憶部21に格納された生体情報データは、欠損を補間するためのモデルの生成に用いられる。
【0080】
〔データ処理フェーズ〕
データ処理フェーズは、記憶部21に格納された複数のユーザの生体情報データを用いて、生体情報データの欠損を補間するフェーズである。
図18は、データ処理フェーズについて説明するためのフローチャートである。
図18のデータ処理フェーズに関する説明においては、データ処理装置20の構成要素を動作主体として説明する(
図18においては、動作の主体は省略)。
【0081】
図18において、まず、分類部23が、記憶部21に格納された属性データに基づいて、複数のユーザを分類する(ステップS231)。例えば、分類部23は、類似する属性のユーザを同じグループにクラスタリングする。
【0082】
次に、集計部24が、分類部23による分類に基づいて、属性ごとの生体情報データを集計して生体情報テーブルを生成する(ステップS232)。例えば、集計部24は、クラスタリングされたグループの各々に対応する生体情報テーブルを生成する。
【0083】
次に、学習部25が、属性ごとの生体情報テーブルを用いて、生体情報データの欠損を補間するためのモデルを生成する(ステップS233)。例えば、学習部25は、属性ごとの生体情報テーブルにおいて、生体情報データに含まれるセンサ値、計測時刻、計測位置との相互関係をモデル化した推定式を生成する。
【0084】
次に、補間部26(推定部とも呼ぶ)が、欠損のある生体情報データをモデルに入力し、欠損が補間された生体情報データを生成する(ステップS234)。欠損が補間された生体情報データは、生体情報データを用いるアプリケーション等で使用される。
【0085】
以上のように、本実施形態のシステムは、データ処理装置と、デバイス(ウェアラブルデバイス)と、端末装置とを備える。デバイスは、センサ値を計測する。端末装置は、デバイスによって計測されたセンサ値に、センサ値の計測時刻および計測位置を付与することによって生体情報データを生成する。
【0086】
本実施形態によれば、ユーザの生体に関するセンサ値を計測し、計測されたセンサ値に計測時刻および計測位置が付与された生体情報データを生成できる。
【0087】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るシステムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のシステムは、複数のウェアラブルデバイス、端末装置、およびデータ処理装置を含む。本実施形態のシステムは、複数のウェアラブルデバイス等によって計測されたセンサ値を含む生体情報データの欠損を補間する補間データを推定するためのモデルを生成する。
【0088】
図19は、本実施形態のシステムの構成の一例について説明するためのブロック図である。本実施形態のシステムは、複数のウェアラブルデバイス310-1~N、端末装置230、およびデータ処理装置20を含む(Nは自然数)。端末装置330は、インターネットやイントラネット等のネットワーク350を介して、データ処理装置30に接続される。例えば、ネットワーク350がイントラネットの場合、本実施形態のシステムにネットワーク350を加えてもよい。以下においては、複数のウェアラブルデバイス310-1~Nの各々を区別しない場合は、ウェアラブルデバイス310と表記する。
【0089】
例えば、ウェアラブルデバイス310は、ユーザの手首等に装着されるリストバンド型デバイス(活動量計とも呼ぶ)によって実現される。例えば、リストバンド型デバイスは、ユーザの活動量や脈波、発汗、体温等のセンサデータを計測する。例えば、ウェアラブルデバイス310は、脳波計によって実現される。例えば、脳波計は、ユーザの脳波や感情、ストレス等のセンサデータを計測する。例えば、ウェアラブルデバイス310は、スーツ型モーションセンサ(モーションセンサとも呼ぶ)によって実現される。例えば、スーツ型モーションセンサは、ユーザのモーションや運動機能、リハビリ回復度等のセンサデータを計測する。なお、ここで列挙したウェアラブルデバイス310は一例であって、本実施形態のシステムに含まれるウェアラブルデバイスを限定するものではない。
【0090】
ウェアラブルデバイス310は、計測されたセンサ値を含むセンサデータを端末装置330に送信する。例えば、ウェアラブルデバイス310は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの規格に即した無線通信機能(図示しない)を介して、センサデータを端末装置330に送信する。例えば、ウェアラブルデバイス310は、通信ケーブルなどの有線を介して、センサデータを端末装置330に送信してもよい。ウェアラブルデバイス310から端末装置330にセンサデータを送信する手法には、特に限定を加えない。
【0091】
端末装置330は、第2の実施形態の端末装置230と同様の構成である。端末装置330は、ウェアラブルデバイス310からセンサデータを受信する。端末装置330は、センサデータを受信すると位置情報を取得する。例えば、端末装置330は、GPSを用いた位置計測機能によって位置情報を取得する。端末装置330は、位置情報(計測位置)をセンサデータに付与することによって生体情報データを生成する。生体情報データには、センサ値の計測元のウェアラブルデバイス310の識別子を含める。端末装置330は、生成された生体情報データをデータ処理装置30に送信する。端末装置330から生体情報データを送信するタイミングには、特に限定を加えない。
【0092】
データ処理装置30は、第2の実施形態のデータ処理装置20と同様の構成である。データ処理装置30は、端末装置330から生体情報データを受信する。データ処理装置30は、受信される生体情報データを記憶する。また、データ処理装置30は、端末装置230から生体情報データの要求を受信すると、要求に応じた生体情報データを端末装置330に送信する。
【0093】
データ処理装置30は、記憶された属性データに基づいて、生体情報データを分類する。データ処理装置30は、分類されたグループの各々に対応する生体情報データを集計したテーブル(生体情報テーブルとも呼ぶ)を生成する。生体情報テーブルを構成する生体情報データは、複数のウェアラブルデバイス310-1~Nによって計測されたセンサ値を含む。
【0094】
図20は、データ処理装置30が生成する生体情報テーブルの一例(生体情報テーブル340)である。生体情報テーブル340に含まれる生体情報データは、ユーザ識別子、計測時刻、計測位置、およびセンサ値を含む。センサ値は、複数のウェアラブルデバイス310-1~Nによって計測された値を含む。
【0095】
データ処理装置30は、複数のグループの各々に対応付けて集計された生体情報テーブルに対して、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻および計測位置との相互関係をモデル化する。例えば、データ処理装置30は、生体情報テーブルに含まれる生体情報データに対して、計測時刻および計測位置を説明変数とし、複数のウェアラブルデバイス310-1~Nによって計測されたセンサ値を目的変数とする機械学習によってモデルを生成する。例えば、データ処理装置30は、複数のウェアラブルデバイス310-1~Nによって計測されたセンサ値に関して、距離に応じた重みづけをする。例えば、データ処理装置30は、複数のウェアラブルデバイス310-1~Nによって計測されたセンサ値に関して、距離が近いほど重みを大きくする。
【0096】
データ処理装置30は、生成されたモデルを用いて、生体情報データの欠損値を推定する。データ処理装置30は、推定された欠損値を用いて、欠損を含む生体情報データを補間する。
【0097】
例えば、あるユーザのウェアラブルデバイス310によるセンサデータの計測タイミングが朝や夕方であり、別のユーザのウェアラブルデバイス310によるセンサデータの計測タイミングが昼であるとする。このような場合、それらのウェアラブルデバイス310によって計測されるセンサ値を補間し合うことによって、それらのユーザの生体に関するデータを充実させることができる。
【0098】
例えば、あるユーザのあるウェアラブルデバイス310によるセンサデータの計測タイミングが朝や夕方であり、そのユーザの別のウェアラブルデバイス310によるセンサデータの計測タイミングが昼であるとする。このような場合、それらのウェアラブルデバイス310によって計測されるセンサ値を補間し合うことによって、そのユーザの生体に関するデータを充実させることができる。
【0099】
以上のように、本実施形態のシステムは、データ処理装置と、少なくとも一つのデバイス(ウェアラブルデバイス)と、端末装置とを備える。少なくとも一つのデバイスは、センサ値を計測する。端末装置は、デバイスによって計測されたセンサ値に、センサ値の計測時刻および計測位置を付与することによって生体情報データを生成する。
【0100】
本実施形態によれば、計測時刻および計測位置に加えて、複数のウェアラブルデバイスによって計測されたセンサ値との相互関係をモデル化することで、生体情報データに補間されるデータの精度を向上できる。
【0101】
一般的なウェアラブルデバイスには、日常的に人体に装着される都合上、電源や計測精度等の性能に限界がある。そのため、単一のセンサによって計測されるセンサ値の精度等には限界がある。本実施形態では、複数のセンサを組み合わせた生体データプラットフォーム(マルチモーダル生体センサプラットフォームともよぶ)を構築できる。マルチモーダル生体センサプラットフォームによれば、個々のセンサの性能が高くなくても、それらのセンサによって計測されるセンサ値を組み合わせて高精度なデータを得ることができる。
【0102】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るデータ処理装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態のデータ処理装置は、欠損を補間するためのモデルではなく、ユーザの運動機能指標や健康指標などのアセスメント値等(評価値とも呼ぶ)を推定するためのモデルを生成する点において、第1~第3の実施形態とは異なる。評価値は、ユーザの生体特性に関する指標である。
【0103】
図21は、本実施形態のデータ処理装置40の構成の一例を示すブロック図である。データ処理装置40は、記憶部41、送受信部42、分類部43、集計部44、学習部45、および推定部46を備える。分類部43、集計部44、および学習部45は、モデル生成装置400を構成する。なお、記憶部41、送受信部42、分類部43、および集計部44は、第1の実施形態のデータ処理装置10または第2の実施形態のデータ処理装置20の対応する構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0104】
学習部45は、分類部43によって同じグループに分類された生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻および計測位置の相互関係とを用いて、特定の評価値を推定するためのモデルを生成する。例えば、評価値は、欠損が補間された生体情報データや、運動機能指標や健康指標等のアセスメント値である。また、評価値は、ユーザの気分や体調、感情等のようにアンケートベースの主観値であってもよい。
【0105】
推定部46は、学習部45によって生成されたモデルを用いて、ユーザのアセスメント値等の評価値を推定する。推定部46によって推定された評価値は、送受信部42から端末装置(図示しない)に送信される。例えば、端末装置に送信された評価値は、端末装置にインストールされたアプリケーションによって用いられる。
【0106】
図22は、複数の生体情報データを説明変数とし、アセスメント値や主観値等の評価値を目的変数とする機械学習によってモデル450を生成し、生成されたモデル450にあるユーザ識別子を入力して評価値を推定する例である。例えば、属性の類似するユーザの生体情報データを用いて生成されたモデル450に、あるユーザのユーザ識別子を入力すると、そのユーザに関する評価値がモデル450から出力される。例えば、出力された評価値を端末装置(図示しない)に送信し、端末装置にインストールされたアプリケーションで処理することによって、そのユーザにとって有用なコンテンツをユーザに提示するように構成できる。
【0107】
図23は、モデル450によって推定されたアセスメント値に基づいたコンテンツを端末装置430の画面415に表示させる例である。
図23の例では、履物の属性を含めた機械学習によって生成されたモデルによって推定されたアセスメント値に基づいて、ユーザの歩容に関するアドバイスを含むコンテンツを端末装置430の画面415に表示させる。画面415に表示されたコンテンツを見たユーザは、そのコンテンツに従って運動等を行うことによって、運動機能指標や健康指標の向上につながる情報を得ることができる。
【0108】
図24は、モデル450によって推定されたアセスメント値に基づいたコンテンツを端末装置430の画面415に表示させる別の例である。
図24の例では、履物の属性を含めた機械学習によって生成されたモデルによって推定されたアセスメント値に基づいて、ユーザに薦める履物を含むコンテンツを端末装置430の画面415に表示させる。画面415に表示されたコンテンツを見たユーザは、そのコンテンツを参照することによって、自分の体に合った履物等の情報を得ることができる。
【0109】
図25は、モデル450によって推定された主観値に基づいたコンテンツを端末装置430の画面415に表示させるさらに別の例である。
図25は、モデルによって推定された評価値に基づいて、ユーザの気分や体調、感情に即したコンテンツを端末装置430の画面415に表示させる例である。例えば、ユーザの感情が不安定であることを示す主観値が出力された場合、そのユーザの好きな動物やキャラクターの画像を含む端末装置430の画面415に表示させる。画面415に表示されたコンテンツを見たユーザがそのコンテンツを参照すれば、不安定な感情が宥められる可能性がある。
【0110】
以上のように、本実施形態においては、ユーザを識別するためのユーザ識別子を説明変数に追加し、ユーザの生体特性に関する指標である評価値を目的変数とする機械学習によって、ユーザの評価値を推測するモデルを生成する。本実施形態によれば、ユーザの運動機能指標や健康指標などのアセスメント値や、ユーザの主観値といった評価値を推定し、評価値に応じたコンテンツを端末装置の画面に表示させることができる。
【0111】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係るモデル生成装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態のモデル生成装置は、第1の実施形態のデータ処理装置10に含まれるモデル生成装置100等を簡略化した構成である。なお、モデル生成装置のみでも、データ処理装置を構成できる。
【0112】
図26は、本実施形態のモデル生成装置50の構成の一例を示すブロック図である。モデル生成装置50は、分類部53および学習部55を備える。
【0113】
分類部53は、少なくとも一人のユーザの属性に基づいて、ユーザの生体に関するセンサ値と、センサ値の計測時刻および計測位置とを含む少なくとも一つの生体情報データを少なくとも一つのグループに分類する。
【0114】
学習部55は、分類部53によって分類されたグループごとに、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、欠損が補間された生体情報データを推定するためのモデルを生成する。
【0115】
以上のように、本実施形態のモデル生成装置(データ処理装置)は、分類部および学習部を備える。分類部は、少なくとも一人のユーザの属性に基づいて、ユーザの生体に関するセンサ値と、センサ値の計測時刻および計測位置とを含む少なくとも一つの生体情報データを少なくとも一つのグループに分類する。学習部は、分類部53によって分類されたグループごとに、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、欠損が補間された生体情報データを推定するためのモデルを生成する。
【0116】
本実施形態によれば、少なくとも一人のユーザに関して計測されたセンサ値を互いに補間し合うことによって、生体に関するデータの欠損を高精度に補間できるモデルを生成できる。
【0117】
本実施形態の一対応において、端末装置は、データ処理装置によって欠損が保管された生体情報データを用いるアプリケーションによる処理結果を含むコンテンツを画面に表示させる。本実施形態によれば、端末装置の画面に表示されたコンテンツを介して、ユーザにとって有用な情報を提供できる。
【0118】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る推定装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の推定装置は、第1の実施形態のデータ処理装置10に含まれる補間部16等を簡略化した構成である。なお、推定装置のみでも、データ処理装置を構成できる。
【0119】
図27は、本実施形態の推定装置60の構成の一例を示すブロック図である。推定装置60は、モデル650および推定部66を備える。
【0120】
モデル650は、第1~第4の実施形態のデータ処理装置や、第5の実施形態のモデル生成装置によって生成されたモデルである。モデル650は、少なくとも一人のユーザの属性に基づいて分類されたグループごとに、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、欠損が補間された生体情報データを推定するために生成されたものである。
【0121】
推定部66は、欠損のある生体情報データをモデル650に入力し、欠損が補間された生体情報データを推定する。
【0122】
以上のように、本実施形態の推定装置は、モデルおよび推定部を備える。モデルは、少なくとも一人のユーザの属性に基づいて分類されたグループごとに、生体情報データに含まれるセンサ値と、計測時刻、および計測位置の相互関係を用いて、欠損が補間された生体情報データを推定するために生成されたものである。推定部は、欠損のある生体情報データをモデルに入力し、欠損が補間された生体情報データを推定する。
【0123】
本実施形態によれば、少なくとも一人のユーザに関して計測されたセンサ値を互いに補間し合うことによって、生体に関するデータの欠損を高精度に補間できる。
【0124】
(ハードウェア)
ここで、本発明の各実施形態に係るデータ処理装置の処理を実行するハードウェア構成について、
図28の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、
図28の情報処理装置90は、各実施形態のデータ処理装置の処理を実行するための構成例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0125】
図28のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。
図28においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0126】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、本実施形態に係るデータ処理装置による処理を実行する。
【0127】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
【0128】
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0129】
入出力インターフェース95は、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0130】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器を接続するように構成してもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0131】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0132】
以上が、本発明の各実施形態に係るデータ処理装置を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、
図28のハードウェア構成は、各実施形態に係るデータ処理装置の演算処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係るデータ処理装置に関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムが記録された記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
【0133】
記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。また、記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体や、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現してもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0134】
各実施形態のデータ処理装置の構成要素は、任意に組み合わせることができる。また、各実施形態のデータ処理装置の構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよいし、回路によって実現してもよい。
【0135】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0136】
10、20、30、40 データ処理装置
11、21、41 記憶部
13、23、43、53 分類部
14、24、44 集計部
15、25、45、55 学習部
16、26 補間部
22、42 送受信部
46、66 推定部
50、100、200、400 モデル生成装置
60 推定装置
210、310-1~N ウェアラブルデバイス
211 センサ
212 加速度センサ
213 角速度センサ
215 信号処理部
217 データ出力部
230、330 端末装置
231 送受信部
232 制御部
233 位置情報取得部
235 表示部