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特許7409493信号伝送線路及び信号伝送線路の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】信号伝送線路及び信号伝送線路の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231226BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20231226BHJP
   H01P 3/08 20060101ALI20231226BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K3/00 Z
H05K1/02 B
H05K1/02 C
H01P3/08 200
H01P11/00 102
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022521774
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2021015484
(87)【国際公開番号】W WO2021229991
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2020083980
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】添田 雄史
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5741781(JP,B1)
【文献】特開2016-201370(JP,A)
【文献】国際公開第2013/094471(WO,A1)
【文献】実開昭53-127170(JP,U)
【文献】特開2007-201263(JP,A)
【文献】特開平10-098315(JP,A)
【文献】特開2016-164882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/00
H01P 3/08
H01P 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号伝送線路であって、
複数の絶縁樹脂層が積層体上下方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられている第1信号導体層であって、積層前後方向に延びる第1信号導体層と、
前記積層体に設けられている第1グランド導体層であって、積層体下方向に見て前記第1信号導体層と重なるように、前記第1信号導体層の前記積層体上下方向における上に配置されている第1グランド導体層と、
前記積層体に設けられている第2グランド導体層であって、前記積層体下方向に見て前記第1信号導体層と重なるように、前記第1信号導体層の前記積層体上下方向における下に配置されている第2グランド導体層と、
前記第1信号導体層の積層体左右方向における左に位置するように、前記積層体に設けられている第1層間接続導体であって、前記第1グランド導体層と前記第2グランド導体層とを電気的に接続している第1層間接続導体と、
前記第1信号導体層の前記積層体左右方向における右に位置するように、前記積層体に設けられている第2層間接続導体であって、前記第1グランド導体層と前記第2グランド導体層とを電気的に接続している第2層間接続導体と、
を備えており、
前記第1グランド導体層には、導体層が存在しない導体非形成部が設けられており、
前記積層体には、絶縁樹脂が存在しない複数の空隙が前記第1信号導体層に沿って並ぶように設けられており、
前記導体非形成部の少なくとも一部分は、前記積層体下方向に見て、前記第1層間接続導体より前記積層体左右方向における右、かつ、前記第2層間接続導体より前記積層体左右方向における左に位置する第1領域に配置されており、
前記複数の空隙の少なくとも一部分は、前記積層体下方向に見て、前記第1領域において前記導体非形成部と重なっており、かつ、前記第1信号導体層より前記積層体上下方向における上、かつ、前記第1グランド導体層より前記積層体上下方向における下に配置されており、
前記第1領域には、前記第1グランド導体層と前記第2グランド導体層とを電気的に接続している層間接続導体が設けられていない、
信号伝送線路。
【請求項2】
前記導体非形成部の少なくとも一部分は、前記積層体下方向に見て、前記第1層間接続導体より前記積層体左右方向における右、かつ、前記第1信号導体層より前記積層体左右方向における左に位置する第2領域に配置されている、
請求項1に記載の信号伝送線路。
【請求項3】
前記導体非形成部と前記複数の空隙とは、一つの空間を形成している、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項4】
前記複数の空隙は、前記積層体の上面から前記積層体下方向に延びる穴である、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項5】
前記複数の空隙は、前記積層体の上面から前記積層体の下面まで貫通する貫通孔である、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項6】
前記複数の空隙は、前記積層体下方向に見て、前記第1信号導体層と重なっていない、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項7】
前記複数の空隙は、積層体左方向に見て、前記第1層間接続導体と重なっていない、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項8】
前記複数の空隙は、積層体左方向に見て、前記第1層間接続導体と重なっている、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項9】
前記複数の空隙の積層体前後方向の長さは、前記第1層間接続導体の前記積層体前後方向の長さより長い、
請求項8に記載の信号伝送線路。
【請求項10】
前記複数の空隙の前端部の前記積層体左右方向の幅は、積層体前方向に行くにしたがって小さくなり、
前記複数の空隙の後端部の前記積層体左右方向の幅は、積層体後方向に行くにしたがって小さくなる、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項11】
前記第1信号導体層は、相対的に細い前記積層体左右方向の幅を有する第1信号導体層細部と、相対的に太い前記積層体左右方向の幅を有する第1信号導体層太部と、を含んでおり、
前記第1信号導体層太部は、積層体左方向に見て、前記複数の空隙と重なっている、
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項12】
前記第1層間接続導体は、前記積層体の左面に設けられている、
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項13】
前記信号伝送線路は、上下方向に曲げられている湾曲区間を有している、
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項14】
前記複数の空隙は、前記湾曲区間に配置されている、
請求項13に記載の信号伝送線路。
【請求項15】
前記第1層間接続導体及び第2層間接続導体は、前記湾曲区間に配置されていない、
請求項13又は請求項14のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項16】
前記第1信号導体層及び前記第1層間接続導体より前記積層体左右方向における左に位置するように前記積層体に設けられている第2信号導体層であって、前記積層前後方向に延びる第2信号導体層を、
更に備えており、
前記第1グランド導体層は、前記積層体下方向に見て前記第2信号導体層と重なるように、前記第2信号導体層の前記積層体上下方向における上に配置されており、
前記第2グランド導体層は、前記積層体下方向に見て前記第2信号導体層と重なるように、前記第2信号導体層の前記積層体上下方向における下に配置されている、
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項17】
前記複数の空隙は、前記積層体下方向に見て、前記導体非形成部から突出していない、
請求項1ないし請求項16のいずれかに記載の信号伝送線路。
【請求項18】
請求項1に記載の信号伝送線路の製造方法であって、
前記第1信号導体層、前記第1グランド導体層及び前記第2グランド導体層が設けられた前記積層体を形成する積層体形成工程と、
前記積層体形成工程にて形成した前記積層体の上面から前記積層体下方向に延びる穴を形成することにより、前記導体非形成部及び前記空隙を形成する空隙形成工程と、
を備える、
信号伝送線路の製造方法。
【請求項19】
前記空隙形成工程では、前記積層体の上面から前記積層体の下面まで貫通する貫通孔を形成する、
請求項18に記載の信号伝送線路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号導体層及びグランド導体層を備える信号伝送線路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の信号伝送線路に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の信号伝送線路が知られている。特許文献1に記載の信号伝送線路は、積層体、信号導体、第1グランド導体及び第2グランド導体を備えている。積層体は、複数の樹脂シートが上下方向に積層された構造を有する。積層体は、可撓性を有している。信号導体、第1グランド導体及び第2グランド導体は、積層体に設けられている。第1グランド導体は、信号導体の上に配置されている。第2グランド導体は、信号導体の下に配置されている。これにより、信号導体、第1グランド導体及び第2グランド導体は、ストリップライン構造を有している。また、積層体において、第1グランド導体と信号導体との間に空隙が設けられている。同様に、積層体において、第2グランド導体と信号導体との間に空隙が設けられている。これにより、特許文献1に記載の信号伝送線路では、誘電損失の発生を抑制している。このような特許文献1に記載の信号伝送線路は、上下方向に曲げられた状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/130731号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の信号伝送線路では、信号伝送線路の特性インピーダンスが変化する。より詳細には、第1グランド導体と信号導体との間に空隙が設けられている。そのため、空隙は、下方向に見て、第1グランド導体及び信号導体と重なっている。この場合、空隙が変形すると、第1グランド導体と信号導体との距離が変化する。そして、第1グランド導体と信号導体との間の容量値が変化する。その結果、信号伝送線路の特性インピーダンスが変化する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、信号伝送線路の特性インピーダンスの変化を抑制できる信号伝送線路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る信号伝送線路は、
信号伝送線路であって、
複数の絶縁樹脂層が積層体上下方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられている第1信号導体層であって、積層前後方向に延びる第1信号導体層と、
前記積層体に設けられている第1グランド導体層であって、積層体下方向に見て前記第1信号導体層と重なるように、前記第1信号導体層の前記積層体上下方向における上に配置されている第1グランド導体層と、
前記積層体に設けられている第2グランド導体層であって、前記積層体下方向に見て前記第1信号導体層と重なるように、前記第1信号導体層の前記積層体上下方向における下に配置されている第2グランド導体層と、
前記第1信号導体層の積層体左右方向における左に位置するように、前記積層体に設けられている第1層間接続導体であって、前記第1グランド導体層と前記第2グランド導体層とを電気的に接続している第1層間接続導体と、
前記第1信号導体層の前記積層体左右方向における右に位置するように、前記積層体に設けられている第2層間接続導体であって、前記第1グランド導体層と前記第2グランド導体層とを電気的に接続している第2層間接続導体と、
を備えており、
前記第1グランド導体層には、導体層が存在しない導体非形成部が設けられており、
前記積層体には、絶縁樹脂が存在しない空隙が設けられており、
前記導体非形成部の少なくとも一部分は、前記積層体下方向に見て、前記第1層間接続導体より前記積層体左右方向における右、かつ、前記第2層間接続導体より前記積層体左右方向における左に位置する第1領域に配置されており、
前記空隙の少なくとも一部分は、前記積層体下方向に見て、前記第1領域において前記導体非形成部と重なっており、かつ、前記第1信号導体層より前記積層体上下方向における上、かつ、前記第1グランド導体層より前記積層体上下方向における下に配置されており、
前記第1領域には、前記第1グランド導体層と前記第2グランド導体層とを電気的に接続している層間接続導体が設けられていない。
【0007】
以下に、本明細書における用語の定義について説明する。本明細書において、前後方向に延びる軸や部材は、必ずしも前後方向と平行である軸や部材だけを示すものではない。前後方向に延びる軸や部材とは、前後方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。同様に、上下方向に延びる軸や部材とは、上下方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。左右方向に延びる軸や部材とは、左右方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。
【0008】
以下では、第1部材ないし第3部材とは、信号伝送線路が備える部材等を意味する。本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【0009】
本明細書における任意の2つの部材を第1部材及び第2部材と定義した場合、任意の2つの部材の関係は以下のような意味になる。本明細書において、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている(すなわち、固定されている)場合、及び、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含む。また、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0010】
本明細書において、第1部材が第2部材に固定されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている場合を含み、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含まない。また、第1部材が第2部材に固定されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0011】
本明細書において、「第1部材と第2部材とが電気的に接続される」とは、第1部材と第2部材との間で直流電流が流れることができることを意味する。従って、第1部材と第2部材とが接触していてもよいし、第1部材と第2部材とが接触していなくてもよい。第1部材と第2部材とが接触していない場合には、第1部材と第2部材との間に導電性を有する第3部材が配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る信号伝送線路によれば、信号伝送線路の特性インピーダンスの変化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、電子機器1の正面図である。
図2図2は、信号伝送線路10の外観斜視図である。
図3図3は、信号伝送線路10の分解斜視図である。
図4図4(a)は、図2のA-Aにおける断面図である。図4(b)は、図2のB-Bにおける断面図である。
図5図5は、信号伝送線路10aのB-Bにおける断面図である。
図6図6(a)は、信号伝送線路10bのA-Aにおける断面図である。図6(b)は、信号伝送線路10bのB-Bにおける断面図である。
図7図7(a)は、信号伝送線路10cのA-Aにおける断面図である。図7(b)は、信号伝送線路10cのB-Bにおける断面図である。
図8図8は、信号伝送線路10dの分解斜視図である。
図9図9は、信号伝送線路10eの分解斜視図である。
図10図10は、信号伝送線路10fの分解斜視図である。
図11図11は、信号伝送線路10gの斜視図である。
図12図12は、信号伝送線路10gの分解斜視図である。
図13図13は、信号伝送線路10hの断面図である。
図14図14は、信号伝送線路10iの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
[信号伝送線路の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る信号伝送線路10の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、電子機器1の正面図である。図2は、信号伝送線路10の外観斜視図である。図3は、信号伝送線路10の分解斜視図である。図4(a)は、図2のA-Aにおける断面図である。図4(b)は、図2のB-Bにおける断面図である。
【0015】
信号伝送線路10は、図1に示すように、携帯電話等の電子機器1において、2つの回路を接続するために用いられる。また、信号伝送線路10は、図1に示すように、上下方向に曲げられて使用される。そのため、信号伝送線路10は、非湾曲区間A1,A3及び湾曲区間A2を有している。非湾曲区間A1,A3は、信号伝送線路10が上下方向に曲げられない区間である。湾曲区間A2は、信号伝送線路10が上下方向に曲げられる区間である。非湾曲区間A1は、湾曲区間A2の左に位置している。非湾曲区間A1は、湾曲区間A2と隣接している。非湾曲区間A3は、湾曲区間A2の右に位置している。非湾曲区間A3は、湾曲区間A2と隣接している。
【0016】
ここで、本明細書において、方向を以下のように定義する。信号伝送線路10の積層体12の積層方向を積層体上下方向と定義する。信号伝送線路10の第1信号導体層18が延びる方向を積層体前後方向と定義する。信号伝送線路10の第1信号導体層18の線幅方向を積層体左右方向と定義する。積層体上下方向、積層体前後方向及び積層体左右方向は、互いに直交している。
【0017】
ただし、図1に示すように、信号伝送線路10は上下方向に曲げられる。従って、積層体上下方向及び積層体前後方向は、図1に示すように、信号伝送線路10の位置によって異なる。積層体12が折り曲げられていない非湾曲区間A1,A3(例えば、(1)の位置)では、積層体上下方向及び積層体前後方向のそれぞれは、上下方向及び前後方向と一致する。一方、積層体12が折り曲げられている湾曲区間A2(例えば、(2)の位置)では、積層体上下方向及び積層体前後方向のそれぞれは、上下方向及び前後方向と一致しない。なお、本明細書における方向の定義は、一例である。従って、信号伝送線路10の実使用時における方向と本明細書における方向とが一致している必要はない。
【0018】
信号伝送線路10は、例えば、携帯電話等の電子機器内において、2つの回路を接続するために用いられる。信号伝送線路10は、図2及び図3に示すように、積層体12、レジスト層17a,17b、第1信号導体層18、第1グランド導体層20、第2グランド導体層22、外部電極24,26、複数の第1層間接続導体v1、複数の第2層間接続導体v2及び層間接続導体v11,v12を備えている。
【0019】
なお、図2及び図3では、複数の第1層間接続導体v1及び複数の第2層間接続導体v2、複数の導体非形成部p1,p2及び複数の空隙h1,h2の内の代表的な層間接続導体、導体非形成部及び空隙に参照符号を付した。
【0020】
積層体12は、板形状を有している。積層体12は、図2に示すように、積層体下方向に見て、積層体前後方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。従って、積層体12の積層体前後方向の長さは、積層体12の積層体左右方向の長さより長い。積層体12の積層体前後方向の長さは、積層体12の積層体上下方向の長さより長い。積層体12は、可撓性を有する。従って、積層体12は、電子機器1において上下方向に曲げられた状態で用いられる。
【0021】
積層体12は、図3に示すように、絶縁樹脂層16a~16dが積層体上下方向に積層された構造を有している。絶縁樹脂層16a~16dは、積層体上下方向における上から下へとこの順に並ぶように積層されている。絶縁樹脂層16a~16dは、可撓性を有する誘電体シートである。絶縁樹脂層16a~16dの材料は、ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂である。絶縁樹脂層16a~16dは、積層体下方向に見て、積層体12と同じ長方形状を有している。
【0022】
第1信号導体層18は、図3に示すように、積層体12に設けられている。より詳細には、第1信号導体層18は、絶縁樹脂層16cの上面に設けられている。これにより、第1信号導体層18は、積層体12内に設けられている。第1信号導体層18は、積層体前後方向に延びる線形状を有している。第1信号導体層18は、絶縁樹脂層16cの上面の積層体左右方向の中央に配置されている。第1信号導体層18の前端は、絶縁樹脂層16cの前端部に位置している。第1信号導体層18の後端は、絶縁樹脂層16cの後端部に位置している。第1信号導体層18には、高周波信号が伝送される。
【0023】
第1グランド導体層20は、積層体12に設けられている。第1グランド導体層20は、積層体下方向に見て第1信号導体層18と重なるように、第1信号導体層18の積層体上下方向における上に配置されている。本明細書において、「第1グランド導体層20が第1信号導体層18の積層体上下方向における上に配置される。」とは、以下の状態を指す。第1グランド導体層20の少なくとも一部分は、第1信号導体層18が積層体上方向に平行移動するときに通過する領域内に配置されている。よって、第1グランド導体層20は、第1信号導体層18が積層体上方向に平行移動するときに通過する領域内に収まっていてもよいし、第1信号導体層18が積層体上方向に平行移動するときに通過する領域から突出していてもよい。本実施形態では、第1グランド導体層20は、第1信号導体層18が積層体上方向に平行移動するときに通過する領域から突出している。
【0024】
第1グランド導体層20は、絶縁樹脂層16aの上面に設けられている。第1グランド導体層20は、図3に示すように、積層体下方向に見て、積層体前後方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。第1グランド導体層20は、積層体下方向に見て、積層体12と略一致する形状を有している。ただし、第1グランド導体層20は、積層体下方向に見て、積層体12より僅かに小さい。第1グランド導体層20には、グランド電位が接続される。
【0025】
第2グランド導体層22は、積層体12に設けられている。第2グランド導体層22は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18と重なるように、第1信号導体層18の下に配置されている。より詳細には、第2グランド導体層22は、絶縁樹脂層16dの下面に設けられている。第2グランド導体層22は、図3に示すように、積層体下方向に見て、積層体前後方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。第2グランド導体層22は、積層体下方向に見て、積層体12と略一致する形状を有している。ただし、第2グランド導体層22は、積層体下方向に見て、積層体12より僅かに小さい。第2グランド導体層22には、グランド電位が接続される。以上のような、第1信号導体層18、第1グランド導体層20及び第2グランド導体層22は、ストリップライン構造を有している。
【0026】
外部電極24は、絶縁樹脂層16dの左端部の下面に設けられている。外部電極24は、積層体下方向に見て、長方形状を有している。外部電極24が第2グランド導体層22と絶縁されるように、外部電極24の周囲には第2グランド導体層22が設けられていない。外部電極24は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18の前端部と重なっている。高周波信号は、外部電極24を介して、第1信号導体層18に入出力する。外部電極26は、外部電極24と前後対称な構造を有する。従って、外部電極26の説明を省略する。
【0027】
レジスト層17a,17bは、可撓性を有する保護層である。レジスト層17a,17bは、積層体下方向に見て、積層体12と同じ長方形状を有している。レジスト層17a,17bは、積層体12の一部分ではない。
【0028】
レジスト層17aは、絶縁樹脂層16aの上面の全面を覆っている。これにより、レジスト層17aは、第1グランド導体層20を保護している。
【0029】
レジスト層17bは、絶縁樹脂層16dの下面の略全面を覆っている。これにより、レジスト層17bは、第2グランド導体層22を保護している。ただし、レジスト層17bには、開口h11~h18が設けられている。開口h11は、積層体下方向に見て、外部電極24と重なっている。これにより、外部電極24は、開口h11を介して信号伝送線路10から外部に露出している。開口h12は、開口h11の積層体左右方向における右に設けられている。開口h13は、開口h11の積層体前後方向における前に設けられている。開口h14は、開口h11の積層体左右方向における左に設けられている。これにより、第2グランド導体層22は、開口h12~h14を介して信号伝送線路10から外部に露出している。なお、開口h15~h18はそれぞれ、開口h11~h14と前後対称な構造を有する。従って、開口h15~h18の説明を省略する。
【0030】
以上のような第1信号導体層18、第1グランド導体層20、第2グランド導体層22及び外部電極24,26は、例えば、絶縁樹脂層16a~16dの上面又は下面に設けられた銅箔にエッチングが施されることにより形成されている。
【0031】
複数の第1層間接続導体v1は、第1信号導体層18の積層体左右方向における左に位置するように、積層体12に設けられている。複数の第1層間接続導体v1は、積層体前後方向に等間隔に一列に並ぶように配置されている。複数の第1層間接続導体v1は、絶縁樹脂層16a~16dを上下方向に貫通している。複数の第1層間接続導体v1の上端は、第1グランド導体層20に接続されている。複数の第1層間接続導体v1の下端は、第2グランド導体層22に接続されている。これにより、複数の第1層間接続導体v1は、第1グランド導体層20と第2グランド導体層22とを電気的に接続している。
【0032】
複数の第2層間接続導体v2は、第1信号導体層18の積層体左右方向における右に位置するように、積層体12に設けられている。複数の第2層間接続導体v2は、積層体前後方向に等間隔に一列に並ぶように配置されている。複数の第2層間接続導体v2は、絶縁樹脂層16a~16dを上下方向に貫通している。複数の第2層間接続導体v2の上端は、第1グランド導体層20に接続されている。複数の第2層間接続導体v2の下端は、第2グランド導体層22に接続されている。これにより、複数の第2層間接続導体v2は、第1グランド導体層20と第2グランド導体層22とを電気的に接続している。
【0033】
層間接続導体v11は、絶縁樹脂層16a~16dの前端部に設けられている。層間接続導体v11は、絶縁樹脂層16a~16dを上下方向に貫通している。層間接続導体v11の中間部は、第1信号導体層18の前端部に接続されている。層間接続導体v11の下端は、外部電極24に接続されている。これにより、層間接続導体v11は、第1信号導体層18と外部電極24とを電気的に接続している。なお、層間接続導体v12は、層間接続導体v11と前後対称な構造を有する。従って、層間接続導体v12の説明を省略する。
【0034】
以上のような複数の第1層間接続導体v1、複数の第2層間接続導体v2及び層間接続導体v11,v12は、スルーホールである。スルーホールは、ドリル又はレーザービームにより積層体12に貫通孔を形成した後に、貫通孔の内周面にめっきにより導体を形成することにより形成される。スルーホールの中心には、図4に示すように、空洞が形成されている。ただし、スルーホールには、空洞が形成されていなくてもよい。
【0035】
第1グランド導体層20には、図3及び図4に示すように、導体層が存在しない複数の導体非形成部p1が設けられている。より詳細には、複数の導体非形成部p1の少なくとも一部分は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1より積層体左右方向における右、かつ、第2層間接続導体v2より積層体左右方向における左に位置する第1領域A20に配置されている。本実施形態では、導体非形成部p1の少なくとも一部分は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1より積層体左右方向における右、かつ、第1信号導体層18より積層体左右方向における左に位置する第2領域A21に配置されている。特に、導体非形成部p1の全体は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1より積層体左右方向における右、かつ、第1信号導体層18より積層体左右方向における左に位置する第2領域A21に配置されている。従って、導体非形成部p1は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18と重なっていない。
【0036】
複数の導体非形成部p1は、図3に示すように、積層体下方向に見て、長方形状を有している。複数の導体非形成部p1は、積層体前後方向に等間隔に一列に並んでいる。本実施形態では、複数の導体非形成部p1のそれぞれは、積層体下方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と積層体左右方向に並ばない。従って、各導体非形成部p1は、積層体前後方向に隣り合う2つの第1層間接続導体v1の内の前に配置されている第1層間接続導体v1より後に配置されている。各導体非形成部p1は、積層体前後方向に隣り合う2つの第1層間接続導体v1の内の後に配置されている第1層間接続導体v1より前に配置されている。ここで、導体非形成部p1が第1層間接続導体v1より前に配置されるとは、以下の状態を指す。導体非形成部p1は、第1層間接続導体v1の前端を通り前後方向に直交する平面の前に配置される。この場合、導体非形成部p1及び第1層間接続導体v1は、前後方向に並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。本実施形態では、導体非形成部p1及び第1層間接続導体v1は、前後方向に並んでいない。
【0037】
第2グランド導体層22には、図3及び図4に示すように、導体層が存在しない複数の導体非形成部p3が設けられている。複数の導体非形成部p3のそれぞれは、積層体下方向に見て、複数の導体非形成部p1と一致した状態で重なっている。従って、複数の導体非形成部p3の説明を省略する。
【0038】
積層体12には、図3及び図4に示すように、絶縁樹脂が存在しない複数の空隙h1が設けられている。複数の空隙h1のそれぞれの少なくとも一部分は、積層体下方向に見て、第1領域A20において複数の導体非形成部p1及び複数の導体非形成部p3と重なっている。本実施形態では、複数の空隙h1のそれぞれは、積層体下方向に見て、複数の導体非形成部p1及び複数の導体非形成部p3と一致した状態で重なっている。従って、複数の空隙h1は、積層体下方向に見て、第2領域A21に配置されている。そして、複数の空隙h1は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18と重なっていない。
【0039】
複数の空隙h1は、図3に示すように、積層体下方向に見て、長方形状を有している。複数の空隙h1は、積層体前後方向に等間隔に一列に並んでいる。本実施形態では、複数の空隙h1のそれぞれは、積層体下方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と積層体左右方向に並ばない。すなわち、空隙h1は、積層体左方向に見て、第1層間接続導体v1と重なっていない。従って、各空隙h1は、積層体前後方向に隣り合う2つの第1層間接続導体v1の内の前に配置されている第1層間接続導体v1より後に配置されている。各空隙h1は、積層体前後方向に隣り合う2つの第1層間接続導体v1の内の後に配置されている第1層間接続導体v1より前に配置されている。
【0040】
また、複数の空隙h1のそれぞれの少なくとも一部分は、図4に示すように、第1信号導体層18より積層体上下方向における上、かつ、第1グランド導体層20より積層体上下方向における下に配置されている。本実施形態では、複数の空隙h1は、積層体12の上面から積層体12の下面まで貫通する貫通孔である。また、空隙h1は、レジスト層17a,17bも上下方向に貫通している。そのため、複数の空隙h1のそれぞれは、第1信号導体層18より積層体上下方向における下、かつ、第2グランド導体層22より積層体上下方向における上にも配置されている。これにより、導体非形成部p1と導体非形成部p3と空隙h1とは、一つの空間を形成している。
【0041】
複数の導体非形成部p2及び複数の空隙h2は、複数の導体非形成部p1及び複数の空隙h1と左右対称な構造を有する。従って、複数の導体非形成部p2及び複数の空隙h2の説明を省略する。
【0042】
以上のような信号伝送線路10では、第1領域A20には、第1グランド導体層20と第2グランド導体層22とを電気的に接続している層間接続導体が設けられていない。換言すれば、信号伝送線路10に最も近い層間接続導体は、複数の第1層間接続導体v1及び複数の第2層間接続導体v2である。
【0043】
信号伝送線路10では、信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化を抑制できる。より詳細には、導体非形成部p1は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1より積層体左右方向における右、かつ、第2層間接続導体v2より積層体左右方向における左に位置する第1領域A20に配置されている。複数の空隙h1のそれぞれの少なくとも一部分は、積層体下方向に見て、複数の導体非形成部p1と重なっている。これにより、導体非形成部p1は、空隙h1の上に配置されている。そのため、空隙h1の形状が変化しても、第1信号導体層18と第1グランド導体層20との上下方向の距離が変化することが抑制される。これにより、第1信号導体層18と第1グランド導体層20との間の容量値が変化することが抑制されるので、信号伝送線路10の特性インピーダンスが変化することが抑制される。
【0044】
信号伝送線路10では、信号伝送線路10がノイズの影響を受けにくくなる。より詳細には、導体非形成部p1は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1より積層体左右方向における右、かつ、第1信号導体層18より積層体左右方向における左に位置する第2領域A21に配置されている。これにより、導体非形成部p1は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18と重なっていない。そのため、導体非形成部p1を介して信号伝送線路10に侵入したノイズが第1信号導体層18に到達することが抑制される。その結果、信号伝送線路10がノイズの影響を受けにくくなる。同じ理由により、第1信号導体層18から放射されたノイズは、導体非形成部p1を介して信号伝送線路10外に漏れることが抑制される。
【0045】
信号伝送線路10では、以下の理由によっても、信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化を抑制できる。より詳細には、空隙h1は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18と重なっていない。これにより、変形しやすい空隙h1は、第1信号導体層18の近傍に配置されることが抑制される。その結果、空隙h1の変形による信号伝送線路10の特性インピーダンスの変化が抑制される。
【0046】
信号伝送線路10では、第1グランド導体層20の電位及び第2グランド導体層22の電位をグランド電位に保つことが容易となる。より詳細には、空隙h1は、積層体左方向に見て、第1層間接続導体v1と重なっていない。これにより、空隙h1は、第1層間接続導体v1の積層体左右方向における右に配置されない。そのため、第1層間接続導体v1を太くすることが可能となる。第1層間接続導体v1が太くなると、第1層間接続導体v1の抵抗値が低くなる。その結果、第1グランド導体層20の電位及び第2グランド導体層22の電位がグランド電位に保たれやすくなる。
【0047】
更に、第1層間接続導体v1は、空隙h1の積層体左右方向の左に配置されない。そのため、空隙h1を大きくすることが可能となる。空隙h1が大きくなると、積層体12が変形しやすくなる。また、空隙h1が大きくなると、信号伝送線路10における誘電損失が低減される。
【0048】
次に、信号伝送線路10を備える電子機器1について図1を参照しながら説明する。電子機器1は、信号伝送線路10及び回路基板100を備えている。信号伝送線路10は、コネクタ30a,30bを更に備えている。コネクタ30aは、レジスト層17bの前端部の下面に実装される。コネクタ30aは、中心導体及び外導体を含んでいる。中心導体は、はんだにより外部電極24に電気的に接続される。外導体は、はんだにより第2グランド導体層22に電気的に接続される。
【0049】
コネクタ30bは、レジスト層17bの後端部の下面に実装される。コネクタ30bは、中心導体及び外導体を含んでいる。中心導体は、はんだにより外部電極26に電気的に接続される。外導体は、はんだにより第2グランド導体層22に電気的に接続される。
【0050】
回路基板100は、基板本体102及びコネクタ104a,104bを備えている。基板本体102は、板形状を有している。コネクタ104aは、基板本体102の前部の上面に実装されている。コネクタ104aは、中心導体及び外導体を含んでいる。コネクタ104aの中心導体は、コネクタ30aの中心導体に接続される。コネクタ104aの外導体は、コネクタ30aの外導体に接続される。
【0051】
コネクタ104bは、基板本体102の後部の上面に実装されている。コネクタ104bは、中心導体及び外導体を含んでいる。コネクタ104bの中心導体は、コネクタ30bの中心導体に接続される。コネクタ104bの外導体は、コネクタ30bの外導体に接続される。
【0052】
ところで、図1に示すように、コネクタ104aの上下方向における位置は、コネクタ104bの上下方向における位置と異なる。そのため、信号伝送線路10は、曲げられて使用される。湾曲区間A2は、積層体12の上面が山折りされることにより曲げられていると共に、積層体12の上面が谷折りされることにより曲げられている。
【0053】
[信号伝送線路の製造方法]
以下に、信号伝送線路10の製造方法について図3を参照しながら説明する。
【0054】
まず、第1信号導体層18、第1グランド導体層20、第2グランド導体層22及び外部電極24,26を絶縁樹脂層16a~16dの上面及び下面に形成する。本工程は、一般的な工程であるので説明を省略する。
【0055】
次に、図3に示すように、絶縁樹脂層16a~16dを積層体上下方向における上から下へとこの順に積み重ねる。そして、絶縁樹脂層16a~16dに対して熱圧着を施す。これにより、絶縁樹脂層16a~16dが一体化される。本工程により、第1信号導体層18、第1グランド導体層20、第2グランド導体層22及び外部電極24,26が設けられた積層体12を形成する積層体形成工程が完了する。
【0056】
次に、積層体12に第1層間接続導体v1、第2層間接続導体v2及び層間接続導体v11,v12を形成する。具体的には、積層体12を上下方向に貫通する貫通孔をレーザービーム照射により積層体12に形成する。貫通孔に対してめっきを施すことにより、貫通孔の内周面に金属膜を形成する。これにより、積層体12に第1層間接続導体v1、第2層間接続導体v2及び層間接続導体v11,v12を形成する層間接続導体形成工程が完了する。
【0057】
次に、図3に示すように、レジスト層17aを絶縁樹脂層16aの上面に形成すると共に、レジスト層17bを絶縁樹脂層16の下面に形成する。レジスト層17a,17bの形成は、例えば、印刷により行われる。
【0058】
次に、積層体形成工程にて形成した積層体12の上面から積層体下方向に延びる穴を形成することにより、導体非形成部p1~p4及び空隙h1,h2を形成する(空隙形成工程)。本実施形態では、積層体12の上面から積層体12の下面まで貫通する貫通孔を形成する。貫通孔は、例えば、レーザービームやドリル等により形成される。以上の工程を経て、信号伝送線路10が完成する。
【0059】
信号伝送線路10の製造方法によれば、信号伝送線路10を簡単に製造することができる。より詳細には、積層体形成工程にて形成した積層体12の上面から積層体下方向に延びる穴を形成することにより、導体非形成部p1~p4及び空隙h1,h2を形成する。これにより、積層体12の形成後に、導体非形成部p1~p4及び空隙h1,h2を一括して形成することができる。その結果、信号伝送線路10を簡単に製造することができる。
【0060】
また、信号伝送線路10の製造方法によれば、信号伝送線路10を簡単に製造することができる。より詳細には、空隙形成工程では、積層体12の上面から積層体12の下面まで貫通する貫通孔を形成する。貫通孔の形成時には、レーザービームの強度やドリルの挿入深さの精度が低くて済む。その結果、信号伝送線路10の製造方法によれば、信号伝送線路10を簡単に製造することができる。
【0061】
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係る信号伝送線路10aについて図面を参照しながら説明する。図5は、信号伝送線路10aのB-Bにおける断面図である。なお、信号伝送線路10aの外観斜視図については、図2を援用する。
【0062】
信号伝送線路10aは、図5に示すように、複数の第1層間接続導体v1及び複数の第2層間接続導体v2がビアホール導体である点において、信号伝送線路10と相違する。ビアホール導体は、絶縁樹脂層16a~16dに形成された貫通孔に金属及び樹脂を含む導電性ペースを充填し、加熱により導電性ペーストを焼結させることにより形成される。ビアホール導体には、樹脂が残存する。なお、信号伝送線路10aのその他の構成は、信号伝送線路10と同じであるので説明を省略する。
【0063】
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係る信号伝送線路10bについて図面を参照しながら説明する。図6(a)は、信号伝送線路10bのA-Aにおける断面図である。図6(b)は、信号伝送線路10bのB-Bにおける断面図である。なお、信号伝送線路10bの外観斜視図については、図2を援用する。
【0064】
信号伝送線路10bは、空隙h1,h2の代わりに、空隙h3~h6が設けられている点において、信号伝送線路10と相違する。空隙h3,h5は、空隙h1が二つに分離された構造を有する。空隙h4,h6は、空隙h2が二つに分離された構造を有する。
【0065】
より詳細には、空隙h1,h2は、積層体12の上面から積層体12の下面まで貫通している貫通孔である。一方、空隙h3,h4は、積層体12の上面から積層体下方向に延びる穴である。空隙h3,h4は、レジスト層17aを上下方向に貫通している。空隙h3,h4の下端は、第1信号導体層18より積層体上下方向における上、かつ、第1グランド導体層20より積層上下方向における下に位置している。空隙h5,h6は、積層体12の下面から積層体上方向に延びる穴である。空隙h5,h6は、レジスト層17bを上下方向に貫通している。空隙h5は、積層体下方向に見て、空隙h3と重なっている。空隙h6は、積層体下方向に見て、空隙h4と重なっている。空隙h5,h6の上端は、第1信号導体層18より積層体上下方向における下、かつ、第2グランド導体層22より積層体上下方向における上に位置している。信号伝送線路10bのその他の構成は、信号伝送線路10と同じであるので説明を省略する。
【0066】
信号伝送線路10bでは、空隙h3~h6が積層体12を貫通していないので、積層体12の強度が向上する。
【0067】
(第3の変形例)
以下に、第3の変形例に係る信号伝送線路10cについて図面を参照しながら説明する。図7(a)は、信号伝送線路10cのA-Aにおける断面図である。図7(b)は、信号伝送線路10cのB-Bにおける断面図である。なお、信号伝送線路10cの外観斜視図については、図2を援用する。
【0068】
信号伝送線路10cは、図7に示すように、複数の第1層間接続導体v1及び複数の第2層間接続導体v2がビアホール導体である点において、信号伝送線路10bと相違する。なお、信号伝送線路10cのその他の構成は、信号伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。
【0069】
(第4の変形例)
以下に、第4の変形例に係る信号伝送線路10dについて図面を参照しながら説明する。図8は、信号伝送線路10dの分解斜視図である。
【0070】
信号伝送線路10dは、空隙h1,h2の形状、導体非形成部p1~p4の形状、複数の第1層間接続導体v1の位置、及び、複数の第2層間接続導体v2の位置において、信号伝送線路10と相違する。以下に、かかる相違点を中心に、信号伝送線路10dについて説明する。
【0071】
空隙h1の前端部は、積層体下方向に見て、積層体前方向に突出する半円形状を有している。これにより、空隙h1の前端部の積層体左右方向の幅は、積層体前方向に行くにしたがって小さくなっている。また、空隙h1の後端部は、積層体下方向に見て、積層体後方向に突出する半円形状を有している。これにより、空隙h1の後端部の積層体左右方向の幅は、積層体後方向に行くにしたがって小さくなっている。また、空隙h1の前端部と空隙h1の後端部との間の積層体左右方向の幅は、一定である。空隙h1が上記構造を有することにより、空隙h1の前端部及び空隙h1の後端部において、空隙h1と第1信号導体層18との距離が徐々に変化するようになる。これにより、第1信号導体層18の周囲の比誘電率の急激な変化が抑制され、信号伝送線路10dの特性インピーダンスの急激な変化が抑制される。なお、空隙h2は、空隙h1と左右対称な構造を有する。従って、空隙h2の説明を省略する。
【0072】
また、導体非形成部p1の形状は、積層体下方向に見て、空隙h1の形状と同じである。これにより、導体非形成部p1の前端部及び導体非形成部p1の後端部において、導体非形成部p1と第1信号導体層18との距離が徐々に変化するようになる。これにより、第1信号導体層18と第1グランド導体層20との間の容量値が急激に変化することが抑制される。そのため、信号伝送線路10dの特性インピーダンスの急激な変化が抑制される。なお、導体非形成部p2は、導体非形成部p1と左右対称な構造を有する。従って、導体非形成部p2の説明を省略する。
【0073】
複数の第1層間接続導体v1のそれぞれは、積層体左方向に見て、複数の空隙h1と重なっている。すなわち、複数の空隙h1のそれぞれは、積層体左方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっている。また、空隙h1の積層体前後方向の長さは、第1層間接続導体v1の積層体前後方向の長さより長い。これにより、複数の空隙h1のそれぞれは、積層体下方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と第1信号導体層18との間に配置されている。信号伝送線路10dでは、第1信号導体層18と第1層間接続導体v1との容量結合を抑制できる。なお、複数の第2層間接続導体v2は、複数の第1層間接続導体v1と左右対称な構造を有する。従って、複数の第2層間接続導体v2の説明を省略する。
【0074】
(第5の変形例)
以下に、第5の変形例に係る信号伝送線路10eについて図面を参照しながら説明する。図9は、信号伝送線路10eの分解斜視図である。
【0075】
信号伝送線路10eは、第1信号導体層18の形状において、信号伝送線路10dと相違する。以下に、かかる相違点を中心に、信号伝送線路10eについて説明する。
【0076】
第1信号導体層18は、第1信号導体層細部18a及び第1信号導体層太部18bを含んでいる。第1信号導体層細部18aは、相対的に細い積層体左右方向の幅を有している。第1信号導体層太部18bは、相対的に太い前記積層体左右方向の幅を有している。すなわち、第1信号導体層細部18aの積層体左右方向の幅は、第1信号導体層太部18bの積層体左右方向の幅より細い。更に、第1信号導体層太部18bは、積層体左方向に見て、空隙h1,h2と重なっている。第1信号導体層細部18aは、積層体左方向に見て、空隙h1,h2と重なっていない。
【0077】
信号伝送線路10eでは、第1信号導体層18の抵抗値を低減できる。より詳細には、空隙h1,h2は、第1信号導体層18の周囲に設けられている。これにより、第1信号導体層18の周囲の比誘電率が低くなる。そのため、第1信号導体層18に形成される容量値が大きくなりにくい。そこで、第1信号導体層太部18bは、積層体左方向に見て、空隙h1,h2と重なっている。これにより、第1信号導体層18の積層体左右方向の幅が部分的に大きくなっている。その結果、第1信号導体層18の抵抗値を低減できる。
【0078】
(第6の変形例)
以下に、第6の変形例に係る信号伝送線路10fについて図面を参照しながら説明する。図10は、信号伝送線路10fの分解斜視図である。
【0079】
信号伝送線路10fは、複数の空隙h1,h2の代わりに複数の空隙h1-1~h1-3,h2-1~h2-3が設けられている点において、信号伝送線路10eと相違する。より詳細には、信号伝送線路10fでは、一つの空隙h1の代わりに、空隙h1-1~h1-3が設けられている。空隙h1-1~h1-3は、空隙h1が設けられる場所と同じ場所において、積層体前後方向において前から後へとこの順に等間隔に並んでいる。空隙h1-1~h1-3は、積層体下方向に見て、円形状を有している。これにより、信号伝送線路10fでは、空隙h1-1~h1-3をドリル又はレーザービームにより容易に形成できる。空隙h2-1~h2-3は、空隙h1-1~h1-3と左右対称な構造を有する。従って、空隙h2-1~h2-3の説明を省略する。
【0080】
(第7の変形例)
以下に、第7の変形例に係る信号伝送線路10gについて図面を参照しながら説明する。図11は、信号伝送線路10gの斜視図である。図12は、信号伝送線路10gの分解斜視図である。
【0081】
信号伝送線路10gは、第1層間接続導体v1及び第2層間接続導体v2の構造において信号伝送線路10と相違する。以下に、かかる相違点を中心に信号伝送線路10gについて説明する。
【0082】
信号伝送線路10gでは、第1層間接続導体v1は、積層体12の左面に設けられている。第2層間接続導体v2は、積層体12の右面に設けられている。第1層間接続導体v1及び第2層間接続導体v2のそれぞれは、例えば、めっきにより、積層体12の左面の全体及び積層体12の右面の全体を覆うように形成される。
【0083】
また、第1グランド導体層20は、絶縁樹脂層16aの左辺及び右辺に接している。これにより、第1グランド導体層20は、絶縁樹脂層16aとレジスト層17aとの間から積層体12の外部に露出している。これにより、第1グランド導体層20は、第1層間接続導体v1及び第2層間接続導体v2に接続されている。
【0084】
また、第2グランド導体層22は、絶縁樹脂層16dの左辺及び右辺に接している。これにより、第2グランド導体層22は、絶縁樹脂層16dとレジスト層17bとの間から積層体12の外部に露出している。これにより、第2グランド導体層22は、第1層間接続導体v1及び第2層間接続導体v2に接続されている。
【0085】
信号伝送線路10gでは、積層体12の左面及び積層体12の右面のそれぞれは、グランド電位に接続される第1層間接続導体v1及び第2層間接続導体v2に覆われている。これにより、信号伝送線路10gでは、信号伝送線路10gがノイズの影響を受けにくくなる。信号伝送線路10gでは、第1信号導体層18から放射されたノイズが信号伝送線路10g外に漏れることが抑制される。
【0086】
(第8の変形例)
以下に、第8の変形例に係る信号伝送線路10hについて図面を参照しながら説明する。図13は、信号伝送線路10hの断面図である。
【0087】
信号伝送線路10hは、第2信号導体層118及び層間接続導体v3を更に備えている点、及び、空隙h101,h102が設けられている点において信号伝送線路10dと相違する。以下にかかる相違点を中心に信号伝送線路10hについて説明する。
【0088】
第2信号導体層118は、第1信号導体層18及び第1層間接続導体v1より積層体左右方向における左に位置するように積層体12に設けられている。第2信号導体層118は、第1信号導体層18の左に配置されている。第2信号導体層118は、積層前後方向に延びている。
【0089】
第1グランド導体層20は、積層体下方向に見て第2信号導体層118と重なるように、第2信号導体層118の積層体上下方向における上に配置されている。第2グランド導体層22は、積層体下方向に見て第2信号導体層118と重なるように、第2信号導体層118の積層体上下方向における下に配置されている。
【0090】
層間接続導体v3は、第2信号導体層118の左に配置されている。層間接続導体v3は、第1グランド導体層20と第2グランド導体層22とを電気的に接続している。
【0091】
空隙h101は、第2信号導体層118と層間接続導体v3との間において積層体上下方向に延びている。空隙h101は、積層体12及びレジスト層17a,17bを上下方向に貫通している。空隙h102は、第2信号導体層118と第1層間接続導体v1との間において積層体上下方向に延びている。空隙h102は、積層体12及びレジスト層17a,17bを上下方向に貫通している。
【0092】
信号伝送線路10hでは、第1信号導体層18と第2信号導体層118との間に、空隙h1,h102及び第1層間接続導体v1が配置されている。これにより、第1信号導体層18と第2信号導体層118とのアイソレーションが確保される。
【0093】
(第9の変形例)
以下に、第9の変形例に係る信号伝送線路10iについて図面を参照しながら説明する。図14は、信号伝送線路10iの断面図である。
【0094】
信号伝送線路10iは、空隙h1,h2,h101,h102の代わりに、空隙h3~h6,h103~h106が設けられている点において、信号伝送線路10hと相違する。空隙h3,h5は、空隙h1が二つに分離された構造を有する。空隙h4,h6は、空隙h2が二つに分離された構造を有する。空隙h103,h105は、空隙h101が二つに分離された構造を有する。空隙h104,h106は、空隙h102が二つに分離された構造を有する。
【0095】
より詳細には、信号伝送線路10hでは、空隙h1,h2は、積層体12の上面から積層体12の下面まで貫通している貫通孔である。一方、空隙h3,h4は、積層体12の上面から積層体下方向に延びる穴である。空隙h3,h4は、レジスト層17aを上下方向に貫通している。空隙h3,h4の下端は、第1信号導体層18より積層体上下方向における上、かつ、第1グランド導体層20より積層方向上下方向における下に位置している。空隙h5,h6は、積層体12の下面から積層体上方向に延びる穴である。空隙h5,h6は、レジスト層17bを上下方向に貫通している。空隙h5は、積層体下方向に見て、空隙h3と重なっている。空隙h6は、積層体下方向に見て、空隙h4と重なっている。空隙h5,h6の上端は、第1信号導体層18より積層体上下方向における下、かつ、第2グランド導体層22より積層体上下方向における上に位置している。
【0096】
信号伝送線路10hでは、空隙h101,h102は、積層体12の上面から積層体12の下面まで貫通している貫通孔である。一方、空隙h103,h104は、積層体12の上面から積層体下方向に延びる穴である。空隙h103,h104は、レジスト層17aを上下方向に貫通している。空隙h103,h104の下端は、第2信号導体層118より積層体上下方向における上、かつ、第1グランド導体層20より積層方向上下方向における下に位置している。空隙h105,h106は、積層体12の下面から積層体上方向に延びる穴である。空隙h105,h106は、レジスト層17bを上下方向に貫通している。空隙h105は、積層体下方向に見て、空隙h103と重なっている。空隙h106は、積層体下方向に見て、空隙h104と重なっている。空隙h105,h106の上端は、第2信号導体層118より積層体上下方向における下、かつ、第2グランド導体層22より積層体上下方向における上に位置している。信号伝送線路10iのその他の構成は、信号伝送線路10hと同じであるので説明を省略する。
【0097】
(その他の実施形態)
本発明に係る信号伝送線路は、信号伝送線路10,10a~10iに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、信号伝送線路10,10a~10iの構成を組み合わせることが可能である。
【0098】
なお、信号伝送線路10,10a~10iにおいて、第1信号導体層18及び第2信号導体層118は、前後方向に直線に延びている。しかしながら、第1信号導体層18及び第2信号導体層118は、下方向に見て、曲がっていてもよい。この場合、第1信号導体層18及び第2信号導体層118が曲がっている部分において、積層体前後方向は、第1信号導体層18及び第2信号導体層118の接線が延びる方向である。
【0099】
なお、信号伝送線路10,10a~10iにおいて、空隙h1は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18と重なっていてもよい。この場合、導体非形成部p1は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18と重なっていてもよいし、第1信号導体層18と重なっていなくてもよい。ただし、信号伝送線路10,10a~10iの特性インピーダンスの変化の抑制の観点から、空隙h1及び導体非形成部p1は、積層体下方向に見て、第1信号導体層18と重なっていないことが好ましい。この場合、導体非形成部p1を介して信号伝送線路10に侵入したノイズが第1信号導体層18に到達することが抑制される。その結果、信号伝送線路10がノイズの影響を受けにくくなる。同じ理由により、第1信号導体層18から放射されたノイズは、導体非形成部p1を介して信号伝送線路10外に漏れることが抑制される。
【0100】
なお、信号伝送線路10,10a~10iにおいて、導体非形成部p1の少なくとも一部分は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1より積層体左右方向における右に配置されていればよい。従って、導体非形成部p1の一部分は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1の右端より左に配置されていてもよい。また、空隙h1の一部分は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1の右端より左に配置されていてもよい。この場合、空隙h1は、積層体下方向に見て、第1層間接続導体v1の右端より左において導体非形成部p1と重なっていてもよい。
【0101】
なお、信号伝送線路10,10a~10iにおいて、導体非形成部p1と空隙h1,h1-1~h1-3,h3との間に絶縁樹脂層が存在してもよい。すなわち、導体非形成部p1と空隙h1,h1-1~h1-3,h3とが分離されていてもよい。
【0102】
なお、信号伝送線路10eにおいて、第1信号導体層太部18bは、積層体左方向に見て、空隙h1と重なっていなくてもよい。
【0103】
なお、信号伝送線路10,10a~10iにおいて、空隙h1~h6,h101~h106は、湾曲区間A2に配置されていることが好ましい。これにより、湾曲区間A2が変形しやすくなる。ただし、信号伝送線路10,10a~10iにおいて、空隙h1~h6,h101~h106は、湾曲区間A2に配置されていなくてもよい。
【0104】
なお、信号伝送線路10,10a~10iにおいて、第1層間接続導体v1及び第2層間接続導体v2は、湾曲区間A2に配置されていないことが好ましい。これにより、湾曲区間A2が変形しやすくなる。ただし、信号伝送線路10,10a~10iにおいて、第1層間接続導体v1及び第2層間接続導体v2は、湾曲区間A2に配置されていてもよい。
【0105】
なお、信号伝送線路10,10a~10iの製造方法において、空隙h1~h6,h101~h106は、レジスト層17a,17bの形成前に積層体12に形成されてもよい。この場合、空隙h1~h6,h101~h106は、レジスト層17a,17bの材料により塞がれていない。ただし、レジスト層17a,17bの材料は、空隙h1~h6,h101~h106に僅かに流入している場合があってもよい。
【0106】
信号伝送線路10,10a~10iにおいて、空隙h1は、積層体下方向に見て、導体非形成部p1と一致した状態で重なっている。空隙h1は、積層体下方向に見て、導体非形成部p1と一致しない状態で重なっていてもよい。ただし、空隙h1は、積層体下方向に見て、導体非形成部p1から突出していないことが好ましい。すなわち、空隙h1は、積層体下方向に見て、導体非形成部p1の外縁に囲まれた領域内に収まっていることが好ましい。これにより、第1信号導体層18と第1グランド導体層20との間に空隙h1が存在することが抑制される。その結果、信号伝送線路10,10a~10iの特性インピーダンスの変化を抑制できる。
【符号の説明】
【0107】
1:電子機器
10,10a~10i:信号伝送線路
12:積層体
16a~16d:絶縁樹脂層
17a,17b:レジスト層
18:第1信号導体層
18a:第1信号導体層細部
18b:第1信号導体層太部
20:第1グランド導体層
22:第2グランド導体層
24,26:外部電極
30a,30b,104a,104b:コネクタ
100:回路基板
102:基板本体
118:第2信号導体層
A1,A3:非湾曲区間
A2:湾曲区間
A20:第1領域
A21:第2領域
h1~h6,h101~h106,h1-1~h1-3,h2-1~h2-3:空隙
h11~h18:開口
p1~p4:導体非形成部
v1:第1層間接続導体
v2:第2層間接続導体
v3,v11,v12:層間接続導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14