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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】補助装置及び作業機システム
(51)【国際特許分類】
   B25D 17/18 20060101AFI20231226BHJP
   B25D 17/14 20060101ALI20231226BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20231226BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20231226BHJP
   B23B 45/16 20060101ALI20231226BHJP
   B23B 47/34 20060101ALI20231226BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20231226BHJP
   B04C 9/00 20060101ALI20231226BHJP
   B04C 5/04 20060101ALI20231226BHJP
   B04C 5/28 20060101ALI20231226BHJP
   B04C 5/12 20060101ALI20231226BHJP
   B01D 50/00 20220101ALI20231226BHJP
【FI】
B25D17/18
B25D17/14
B25F5/00 Z
B23Q11/00 M
B23B45/16 Z
B23B47/34 Z
B01D46/52 Z
B04C9/00
B04C5/04
B04C5/28
B04C5/12 Z
B01D50/00 501E
B01D50/00 501J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022521808
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016542
(87)【国際公開番号】W WO2021230050
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2020083600
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020145382
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】田上 寛之
(72)【発明者】
【氏名】一橋 直人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 勇樹
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-42852(JP,A)
【文献】特開2005-169393(JP,A)
【文献】特開2017-127968(JP,A)
【文献】特開2013-226617(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006029624(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0150591(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0107634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 17/14、17/18
B25F 5/00
B23Q 11/00
B23B 45/16、47/34
B01D 50/00
B04C 5/04、5/14、5/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機に取り付けられ、前記作業機の先端工具の周囲から塵埃を含む空気を吸引し、当該塵埃を分離した空気を排出する補助装置であって、
前記先端工具の周囲に配置される吸引口を有する吸引部と、
前記吸引部に接続され、第1方向に伸縮可能に構成された吸気通路部と、
前記吸気通路部に接続され、前記吸気通路部から流出された空気を旋回させて塵埃を遠心分離するサイクロン部と、
前記サイクロン部に接続され、内部がフィルタを収容するフィルタ室として構成され、前記フィルタを通過した空気を排出する排出口を有するフィルタ部と、
を備え、
前記サイクロン部は、
前記第1方向に沿うサイクロン軸を中心する筒状に形成されたサイクロン筒部と、
前記吸気通路部と前記サイクロン筒部とを連通し、前記空気を前記サイクロン筒部の内周面に沿って旋回させるサイクロン入口部と、
前記サイクロン筒部と前記フィルタ部とを連通するサイクロン出口部と、を含み、
前記サイクロン部及び前記吸気通路部が、前記第1方向において重なる位置に配置されており、
前記フィルタ部が、前記サイクロン部の前記第1方向一方側に配置されている補助装置。
【請求項2】
前記吸気通路部が、前記フィルタ部よりも前記第1方向他方側に配置されている請求項1に記載の補助装置。
【請求項3】
前記サイクロン筒部は、前記第1方向一方側端部が閉塞され、
前記サイクロン入口部は、前記第1方向視で前記サイクロン筒部の内周面から前記サイクロン筒部の接線方向に延出されたガイド面を有し、
前記サイクロン出口部は、前記サイクロン筒部における前記第1方向一方側端部に形成され請求項1又は請求項2に記載の補助装置。
【請求項4】
前記サイクロン部は、複数で且つ同数の前記サイクロン筒部、前記サイクロン入口部、及び前記サイクロン出口部を有している請求項3に記載の補助装置。
【請求項5】
前記第1方向視で、前記吸気通路部及び前記サイクロン部が、前記第1方向に交差する第2方向に並んで配置されており、
前記サイクロン部は、一対の前記サイクロン筒部を有しており、一対のサイクロン筒部が、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に並んで配置されている請求項4に記載の補助装置。
【請求項6】
前記第3方向において、前記吸気通路部の中心が、一対の前記サイクロン筒部の前記サイクロン軸の間に配置されている請求項5に記載の補助装置。
【請求項7】
前記サイクロン筒部は、
前記サイクロン筒部の前記第1方向一方側部分を構成し、内径が一定の第1筒部と、
前記サイクロン筒部の前記第1方向他方側部分を構成し、前記第1方向一方側端部の内径が前記第1方向他方側端部の内径よりも大きい第2筒部と、
を有しており、
前記第1筒部と前記第2筒部との間に隙間が形成されると共に、前記第2筒部における前記第1方向一方側端部の内径が前記第1筒部の内径よりも大きく設定されている請求項3~6の何れか1項に記載の補助装置。
【請求項8】
前記第1方向視で、前記吸気通路部及び前記サイクロン部が、前記第1方向に交差する第2方向に並んで配置されており、
前記フィルタは、前記第1方向に折り重ねられたプリーツ状に形成され、
前記サイクロン出口部が、前記フィルタに対して前記第2方向一方側に配置され、前記排出口が、前記フィルタに対して前記第2方向他方側に配置されている請求項3~7の何れか1項に記載の補助装置。
【請求項9】
前記フィルタ部が、前記第1方向視で、前記サイクロン部及び前記吸気通路部と重なっている請求項1~8の何れか1項に記載の補助装置。
【請求項10】
駆動軸を有するモータと、
前記駆動軸の回転により駆動する先端工具と、
前記駆動軸の回転により前記先端工具を駆動させる機構部と、
前記モータ及び前記機構部を収容すると共に、請求項1~9の何れか1項に記載の補助装置が取付けられ、前記補助装置の排出口と接続する吸気口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記駆動軸の回転により、前記補助装置の吸引口から前記吸気口へ向かう空気流を生成するファンと、
を備えた作業機と、
前記補助装置と、からなる作業機システム。
【請求項11】
前記ハウジングは、
前記モータ及び前記機構部を収容する本体ハウジング部と、
前記本体ハウジング部の前記第1方向一方側端部から延出され、作業者によって把持されるハンドル部を有するハンドルハウジング部と、
を含んで構成され、
前記第1方向において、前記フィルタ部が前記サイクロン部と前記ハンドル部との間に位置する請求項10に記載の作業機システム。
【請求項12】
前記本体ハウジング部が、前記第1方向に延在されている請求項11に記載の作業機システム。
【請求項13】
前記第1方向において、前記ファン、前記吸気口、及びフィルタ部が重なる位置に配置されている請求項10~12の何れか1項に記載の作業機システム。
【請求項14】
前記第1方向において、前記フィルタ部が、前記ファンと前記機構部との間に配置されている請求項13に記載の作業機システム。
【請求項15】
前記サイクロン筒部は、
前記第1方向一方側端部が閉塞された有底筒状に形成され、内部が旋回室として構成され、前記サイクロン入口部であるサイクロン入口孔と、前記サイクロン出口部であるサイクロン出口孔と、を有する第1外筒と、
筒状に形成され、前記第1外筒と同軸上に配置され、少なくとも一部が前記第1外筒に対して前記第1外筒の軸方向他方側にずれて配置されると共に、前記第1外筒と協働して内部に前記旋回室を形成する第2外筒と、
前記第1外筒及び前記第2外筒を収容すると共に、前記第2外筒の前記第1方向他方側端部と連通された集塵室を内部に有する集塵室外壁と、
を備え、
前記第1外筒と前記第2外筒との間には、開口部が形成されており、前記開口部によって前記旋回室と前記集塵室とが連通されている、請求項3に記載の補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助装置及び作業機システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の穿孔工具(作業機)は、集塵装置(補助装置)を備えている。そして、集塵装置によって、穿孔工具の作業時に生じる塵埃を含む空気を吸引し、当該空気から塵埃を除去して、当該塵埃を貯蔵するようになっている。より詳しくは、フィルタが集塵装置の内部に設けられており、フィルタによって、集塵装置の内部に吸引された空気から塵埃を除去するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-201526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記集塵装置では、フィルタが目詰まりすることで、集塵性能が低下する可能性がある。これに対して、フィルタを収容するフィルタ室の容積を大きくすることで、集塵性能を向上することができるが、集塵装置の体格が大型化するという問題がある。また、空気と粉塵とを分離する方法として、粉塵を含む空気を旋回させて、遠心力により空気と粉塵とを分離する、所謂サイクロン方式による分離方法が知られている。そして、作業機の補助装置にサイクロン方式を適用した場合には、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、穿孔加工などを行う作業機では、作業形態に応じて、作業機が異なる姿勢で使用される場合がある。例えば、旋回室から集塵室へ向かう出口が上向きとなるような姿勢で作業機が使用される場合がある。この場合には、旋回室で分離された粉塵が集塵室へ適切に排出されず、旋回室に留まってしまうため、粉塵と空気とを良好に分離することができなくなる可能性がある。さらに、粉塵混じりの空気流が、サイクロン部に対して下流へ流れてしまう可能性がある。すなわち、補助装置における集塵性能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、体格の大型化を抑制しつつ集塵性能を向上することができる補助装置及びそれを備えた作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、作業機に取り付けられ、前記作業機の先端工具の周囲から塵埃を含む空気を吸引し、当該塵埃を分離した空気を排出する補助装置であって、前記先端工具の周囲に配置される吸引口を有する吸引部と、前記吸引部に接続され、第1方向に伸縮可能に構成された吸気通路部と、前記吸気通路部に接続され、前記吸気通路部から流出された空気を旋回させて塵埃を遠心分離するサイクロン部と、前記サイクロン部に接続され、内部がフィルタを収容するフィルタ室として構成され、前記フィルタを通過した空気を排出する排出口を有するフィルタ部と、を備え、前記サイクロン部は、前記第1方向に沿うサイクロン軸を中心する筒状に形成されたサイクロン筒部と、前記吸気通路部と前記サイクロン筒部とを連通し、前記空気を前記サイクロン筒部の内周面に沿って旋回させるサイクロン入口部と、前記サイクロン筒部と前記フィルタ部とを連通するサイクロン出口部と、を含み、前記サイクロン部及び前記吸気通路部が、前記第1方向において重なる位置に配置されており、前記フィルタ部が、前記サイクロン部の前記第1方向一方側に配置されている補助装置である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記吸気通路部が、前記フィルタ部よりも前記第1方向他方側に配置されている補助装置である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記サイクロン筒部は、前記第1方向一方側端部が閉塞され、前記サイクロン入口部は、前記第1方向視で前記サイクロン筒部の内周面から前記サイクロン筒部の接線方向に延出されたガイド面を有し、前記サイクロン出口部は、前記サイクロン筒部における前記第1方向一方側端部に形成され補助装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記サイクロン部は、複数で且つ同数の前記サイクロン筒部、前記サイクロン入口部、及び前記サイクロン出口部を有している補助装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1方向視で、前記吸気通路部及び前記サイクロン部が、前記第1方向に交差する第2方向に並んで配置されており、前記サイクロン部は、一対の前記サイクロン筒部を有しており、一対のサイクロン筒部が、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に並んで配置されている補助装置である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第3方向において、前記吸気通路部の中心が、一対の前記サイクロン筒部の前記サイクロン軸の間に配置されている補助装置である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記サイクロン筒部は、前記サイクロン筒部の前記第1方向一方側部分を構成し、内径が一定の第1筒部と、前記サイクロン筒部の前記第1方向他方側部分を構成し、前記第1方向一方側端部の内径が前記第1方向他方側端部の内径よりも大きい第2筒部と、を有しており、前記第1筒部と前記第2筒部との間に隙間が形成されると共に、前記第2筒部における前記第1方向一方側端部の内径が前記第1筒部の内径よりも大きく設定されている補助装置である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1方向視で、前記吸気通路部及び前記サイクロン部が、前記第1方向に交差する第2方向に並んで配置されており、前記フィルタは、前記第1方向に折り重ねられたプリーツ状に形成され、前記サイクロン出口部が、前記フィルタに対して前記第2方向一方側に配置され、前記排出口が、前記フィルタに対して前記第2方向他方側に配置されている補助装置である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記フィルタ部が、前記第1方向視で、前記サイクロン部及び前記吸気通路部と重なっている補助装置である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、駆動軸を有するモータと、前記駆動軸の回転により駆動する先端工具と、前記駆動軸の回転により前記先端工具を駆動させる機構部と、前記モータ及び前記機構部を収容すると共に、上記構成の補助装置が取付けられ、前記補助装置の排出口と接続する吸気口を有するハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記駆動軸の回転により、前記補助装置の吸引口から前記吸気口へ向かう空気流を生成するファンと、を備えた作業機である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングは、前記モータ及び前記機構部を収容する本体ハウジング部と、前記本体ハウジング部の前記第1方向一方側端部から延出され、作業者によって把持されるハンドル部を有するハンドルハウジング部と、を含んで構成され、前記第1方向において、前記フィルタ部が前記サイクロン部と前記ハンドル部との間に位置する作業機である。
【0017】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジング部が、前記第1方向に延在されている作業機である。
【0018】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1方向において、前記ファン、前記吸気口、及びフィルタ部が重なる位置に配置されている作業機である。
【0019】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1方向において、前記フィルタ部が、前記ファンと前記機構部との間に配置されている作業機である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、体格の大型化を抑制しつつ集塵性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施の形態に係る集塵装置がハンマドリルに取付けられた状態を示す右側から見た側面図である。
図2図1に示されるハンマドリル及び集塵装置の内部を示す縦断面図である。
図3】(A)は、図2に示されるハンマドリルのファンを示す後側から見た後面図であり、(B)は、(A)のファンの前側から見た正面図である。
図4図3(B)に示されるファンの側断面図(図3(B)の4-4線断面図)である。
図5図1に示される集塵装置の右斜め前方から見た斜視図である。
図6図2に示される集塵装置のサイクロン部を示す前側から見た断面図(図2の6-6線断面図)である。
図7図2に示される集塵装置のサイクロン部を示す下側から見た断面図(図2の7-7線断面図)である。
図8図2に示される集塵装置のファン部を示す前側から見た断面図(図2の8-8線断面図)である。
図9】第2の実施の形態に係るハンマドリルシステムを示す左側から見た側面図である。
図10図9に示されるハンマドリルシステムの内部を示す左側から見た側断面図である。
図11図10に示されるハンマドリルシステムのアダプタの周辺を拡大して示す側断面図である。
図12図10に示されるハンマドリルシステムのアダプタとハンマドリルとの連結状態を示す前側から見た断面図(図10の4-4線断面図)である。
図13図10に示される集塵装置のアダプタを示す3面図である。
図14図13に示されるアダプタの下側から見た下面図である。
図15図13に示されるアダプタの側断面図(図13の9-9線断面図)である。
図16図13に示されるアダプタの後側から見た断面図(図13の1-1線断面図)である。
図17図10に示される集塵装置の集塵部を示す下側から見た断面図(図10の11-11線断面図)である。
図18図10に示される集塵装置における集塵装置本体の後端部を、左側のハウジング部材を取外した状態で示す左斜め後方から見た斜視図である。
図19図9に示されるアダプタのハンマドリルへの取付けを説明するための側面図である。
図20図17に示される集塵装置本体のアダプタへの取付けを説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて、本実施の形態(第1の実施の形態)に係る「補助装置」としての集塵装置40について説明する。図1に示されるように、集塵装置40は、「作業機」としてのハンマドリル10に取付けられて、ハンマドリル10に取付けられた先端工具Tの周囲の空気を吸引する装置として構成されている。
【0023】
なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、ハンマドリル10及び集塵装置40の上側、前側、右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ハンマドリル10及び集塵装置40の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。そして、前後方向が本発明の第1方向に対応し、上下方向が本発明の第2方向に対応し、左右方向が本発明の第3方向に対応する。以下、初めに、ハンマドリル10について説明し、次いで、集塵装置40について説明する。
【0024】
(ハンマドリル10について) ハンマドリル10は、被加工物に対して穴あけ加工等を行う工具として構成されている。図1及び図2に示されるように、ハンマドリル10は、ハウジング12と、モータ20と、モータ20の駆動力によって駆動する「機構部」としての駆動機構部30と、バッテリーパック34と、を含んで構成されている。以下、ハンマドリル10の各構成について説明する。
【0025】
(ハウジング12について) ハウジング12は、右側から見た側面視で、中空の略逆L字形状に形成されている。具体的には、ハウジング12は、前後方向に延在された本体ハウジング部13と、本体ハウジング部13の後端部(前後方向一方側端部)から下側へ延出されたハンドルハウジング部14と、を含んで構成されている。
【0026】
本体ハウジング部13の後端部の左右の側壁には、それぞれ複数(本実施の形態では、4箇所)の第1ドリル側吸気口13Aが貫通形成されている。第1ドリル側吸気口13Aは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。また、本体ハウジング部13の前後方向中間部の下壁には、「吸気口」としての第2ドリル側吸気口13B(図2及び図8参照)が貫通形成されており、第2ドリル側吸気口13Bは略矩形状に形成されている。
【0027】
また、本体ハウジング部13の前後方向中間部における右壁には、複数(本実施の形態では、4箇所)の第1ドリル側排気口13Cが貫通形成されている。第1ドリル側排気口13Cは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。また、本体ハウジング部13には、第1ドリル側排気口13Cの前側において、複数(本実施の形態では、4箇所)の第2ドリル側排気口13D(広義には、「排気口」として把握される要素である)が貫通形成されている。第2ドリル側排気口13Dは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。さらに、第2ドリル側排気口13Dは、第2ドリル側吸気口13Bに対して、若干後側に配置されている。
【0028】
ハンドルハウジング部14の上部は、使用者が把持するハンドル部14Aとして構成されている。ハンドル部14Aの上端部には、トリガ15が設けられている。トリガ15は、ハンドル部14Aから前側へ突出しており、後側へ引き操作可能に構成されている。トリガ15の後側には、スイッチ機構16が設けられている。スイッチ機構16は、トリガ15よって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、ハンマドリルの制御部(図示省略)に電気的に接続されており、トリガ15の操作状態に応じた出力信号を制御部に出力する構成になっている。
【0029】
ハンドルハウジング部14の下端部は、後述するバッテリーパック34を装着するためのバッテリー取付部14Bとして構成されている。バッテリー取付部14Bは、ハンドルハウジング部14の下端部から前側へ突出されると共に、下側へ屈曲されている。また、バッテリー取付部14Bには、バッテリーパック34と接続されるコネクタ17が設けられている。
【0030】
(モータ20について) モータ20は、3相のブラシレスモータとして構成されており、本体ハウジング部13の後部内に収容されると共に、制御部に電気的に接続されている。モータ20は、前後方向を軸方向とする駆動軸21を有している。駆動軸21の前端側部分が、本体ハウジング部13に固定された前側軸受18によって回転可能に支持されており、駆動軸21の後端部が、本体ハウジング部13に固定された後側軸受19によって回転可能に支持されている。また、駆動軸21の前端部には、ピニオンギヤ21Aが形成されている。
【0031】
図2図3図4、及び図8に示されるように、駆動軸21の前端側部分には、ファン23が一体回転可能に設けられている。ファン23は、全体として、前後方向を厚み方向とする円盤状に形成されている。ファン23は、ファン23の後部を構成する第1ファン部23Aと、ファン23の前部を構成する第2ファン部23Bと、を含んで構成されており、第1ファン部23A及び第2ファン部23Bは遠心ファンとして構成されている。
【0032】
第1ファン部23Aは、ベースプレート24と、複数の第1フィン25と、を含んで構成されている。ベースプレート24は、前後方向を板厚方向とする略円環板状に形成されている。第1フィン25は、ベースプレート24の後面に形成されると共に、ベースプレート24の径方向に沿って延在されている。また、複数の第1フィン25は、ベースプレート24の周方向に所定角度毎に配置されている。さらに、ハウジング12の第1ドリル側排気口13Cが、第1フィン25に対してファン23の径方向外側に配置されている。そして、駆動軸21と共にファン23が回転すると、第1フィン25によってファン23の径方向外側へ流す空気流を発生させる構成になっている。これにより、第1ファン部23Aによって、第1ドリル側吸気口13Aから本体ハウジング部13内に空気を流入し、当該空気を第1ドリル側排気口13Cから流出させて、モータ20を冷却する構成になっている。
【0033】
第2ファン部23Bは、ベースプレート24と、複数の第2フィン26と、ファンカバー27と、を含んで構成されている。すなわち、ベースプレート24が、第1ファン部23A及び第2ファン部23Bの共通部として構成されている。第2フィン26は、ベースプレート24の前面に形成されると共に、ベースプレート24の径方向に延在されている。また、複数の第2フィン26は、ベースプレート24の周方向に所定角度毎に配置されている。さらに、ハウジング12の第2ドリル側排気口13Dが、第2フィン26に対してファン23の径方向外側に配置されている。
【0034】
ファンカバー27は、略円環板状に形成されて、第2フィン26の前端部に接続されている。ファンカバー27は、側面視で径方向内側へ向かうに従い前側へ若干傾斜している。また、ファンカバー27の中央開口部が、ファン吸気口27Aとして構成されており、ファン吸気口27Aの内径が駆動軸21の直径よりも大きく設定されている。そして、ファンカバー27の前端部が、ハウジング12の第2ドリル側吸気口13Bの上側に配置されている。すなわち、平面視で、ファンカバー27の前端部と第2ドリル側吸気口13Bとが重なっている。換言すると、前後方向において第2ファン部23Bと第2ドリル側吸気口13Bとが重なる位置に配置されている。
【0035】
そして、駆動軸21と共にファン23が回転すると、第2ファン部23Bのファン吸気口27Aから第2ファン部23Bの内部に空気を流入し、流入した空気を、第2フィン26によってファン23の径方向外側へ流すように構成されている。これにより、第2ファン部23Bによって、ハウジング12の第2ドリル側吸気口13Bから本体ハウジング部13内に流入する空気流ARが発生するようになっている。そして、空気流ARが、第2ファン部23Bの内部を通過して、第2ドリル側排気口13Dから排気されるようになっている。
【0036】
(駆動機構部30について) 図2に示されるように、駆動機構部30は、モータ20の回転力を先端工具Tに伝達して、先端工具Tを駆動する機構部として構成されている。駆動機構部30は、本体ハウジング部13の前端部内に収容されている。詳しくは、駆動機構部30は、ファン23の前側に配置されている。駆動機構部30は、中間軸31及び伝達部32を含んで構成されている。
【0037】
中間軸31は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、本体ハウジング部13に固定された軸受(図示省略)によって回転可能に支持されている。中間軸31の後端部には、ギヤ(図示省略)が一体回転可能に設けられており、ギヤが、駆動軸21のピニオンギヤ21Aに噛合されている。これにより、モータ20が駆動して駆動軸21が回転することで、中間軸31が自身の軸回りに回転する構成になっている。中間軸31には、運動変換部材(図示省略)が設けられており、運動変換部材は、中間軸31の回転運動を前後方向の往復運動に変換して、後述する伝達部32に伝達する構成になっている。
【0038】
伝達部32は、中間軸31の上側において前後方向に延在されている。そして、伝達部32の前端部に、先端工具Tが保持されている。先端工具Tは、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、先端工具Tの後端部が、伝達部32に保持されている。また、伝達部32は、中間軸31に連結されている。これにより、モータ20の回転力が先端工具Tに伝達されて、先端工具Tが自身の軸回りに回転して、被加工物に対して穴あけ加工を施すようになっている。
【0039】
(バッテリーパック34について) バッテリーパック34は、略直方体に形成されている。そして、バッテリーパック34が、ハンドルハウジング部14のバッテリー取付部14Bに、後側から装着されている。バッテリーパック34は、図示しないコネクタを有しており、バッテリーパック34のバッテリー取付部14Bへの装着状態では、当該コネクタがコネクタ17に接続されて、バッテリーパック34からモータ20に電力が供給される構成になっている。また、バッテリーパック34は、一対のロック部材34Aを有しており、ロック部材34Aは、バッテリーパック34の左右の側部に設けられている。そして、バッテリーパック34のバッテリー取付部14Bへの装着状態では、ロック部材34Aがハンドルハウジング部14に係合して、バッテリーパック34の後側への移動が制限されている。
【0040】
(集塵装置40について) 図1図2図5
図8に示されるように、集塵装置40は、ハンマドリル10の本体ハウジング部13に取付けられて、本体ハウジング部13の下側に配置されている。また、詳細については後述するが、集塵装置40の内部と本体ハウジング部13の内部とが、第2ドリル側吸気口13Bを介して連通されて、ファン23の第2ファン部23Bによって発生する空気流ARによって集塵装置40内の空気を第2ドリル側吸気口13Bから本体ハウジング部13内に流入させるようになっている。より詳しくは、空気流ARによって、先端工具Tの周囲の空気及び塵埃を集塵装置40内に吸引し、集塵装置40内において、吸引した空気と塵埃とを分離し、分離した空気を第2ドリル側排気口13Dから本体ハウジング部13内へ流出させるようになっている。
【0041】
集塵装置40は、全体として前後方向に延在されると共に、本体ハウジング部13の下側に隣接して配置されている。集塵装置40は、集塵ハウジング42と、空気流入部50と、サイクロン部60と、フィルタ部70と、を含んで構成されている。以下、集塵装置40の各構成について説明する。
【0042】
(集塵ハウジング42について) 集塵ハウジング42は、集塵装置40の上部の外郭を構成している。集塵ハウジング42は、下側へ開放された略箱状に形成されている。集塵ハウジング42の上側後端部には、左右一対の連結部材43(図5参照)が設けられている。連結部材43は、前後方向を軸方向として集塵ハウジング42に回動可能に連結されており、連結部材43の上端部には、フック部43Aが形成されている。そして、集塵装置40が本体ハウジング部13の下側に隣接して配置され、フック部43Aが本体ハウジング部13に係合されて、集塵ハウジング42(すなわち、集塵装置40)がハンマドリル10に取付けられている。集塵ハウジング42の前部には、前後方向を軸方向とする筒状の支持筒部42Aが形成されており、支持筒部42Aは、ハンマドリル10の本体ハウジング部13より前側に配置されている。
【0043】
(空気流入部50について) 空気流入部50は、先端工具Tの周囲の空気を流入して、後述するサイクロン部60へ空気を流出する機構部として構成されている。空気流入部50は、集塵装置40の前側の上部を構成している。空気流入部50は、スライドアーム51と、吸引部52と、「吸気通路部」としての吸気管53と、を含んで構成されている。
【0044】
スライドアーム51は、前後方向を軸方向とする筒状に形成されている。スライドアーム51は、集塵ハウジング42の支持筒部42Aに前後方向にスライド可能に連結されており、スライドアーム51の前端部が支持筒部42Aよりも前側へ突出している。
【0045】
吸引部52は、上下方向を軸方向とする筒状に形成されており、吸引部52の下端部が、スライドアーム51の前端部に爪嵌合等によって連結されている。吸引部52の下端部には、接続筒部52Aが形成されており、接続筒部52Aは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、吸引部52から後側へ突出すると共に、スライドアーム51の前端部内に配置されている。また、接続筒部52Aの内部と吸引部52の内部とは連通している。
【0046】
吸引部52の上側開口部は、吸引口52Bとして構成されている。また、吸引部52の上端部には、工具挿通部52Cが形成されている。工具挿通部52Cは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されており、吸引口52Bが、工具挿通部52Cの径方向内側へ開口している。そして、先端工具Tの先端部が工具挿通部52Cの内部に挿入されている。これにより、吸引口52Bによって、先端工具Tの周囲の空気を吸引部52内に流入するように構成されている。
【0047】
吸気管53は、吸気管53の後部を構成するリヤ吸気管54と、吸気管53の前部を構成するフロント吸気管55と、を含んで構成されている。リヤ吸気管54は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。リヤ吸気管54は、集塵ハウジング42の支持筒部42A内に収容されると共に、集塵ハウジング42に固定されている。すなわち、リヤ吸気管54が、本体ハウジング部13の前部の下側に配置されている。リヤ吸気管54の後端部には、下側へ突出した管出口部54Aが形成されている。管出口部54Aは、略矩形筒状に形成されており、リヤ吸気管54の内部と管出口部54Aの内部とが連通されている。
【0048】
フロント吸気管55は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。フロント吸気管55は、リヤ吸気管54の前側において、リヤ吸気管54と同軸上に配置されており、フロント吸気管55の後端部がリヤ吸気管54の前端部に外装されている。フロント吸気管55は、伸縮性を有するゴム材などによって形成されて、前後方向に伸縮可能に構成されている。これにより、フロント吸気管55を含む吸気管53が、前後方向に伸縮可能に構成されている。フロント吸気管55の前端部は、吸引部52の接続筒部52Aに外挿されている。よって、吸引口52Bから吸引部52内に吸入された空気が、吸気管53内を後側へ流れて、管出口部54Aから下側へ流出されるように構成されている。
【0049】
(サイクロン部60について) サイクロン部60は、前側へ開放された略直方体箱状に形成されて、リヤ吸気管54の下側に配置されている。すなわち、サイクロン部60及び吸気管53が、前後方向において、重なる位置に配置されている。換言すると、サイクロン部60と吸気管53とが上下方向に並んで配置されている。また、サイクロン部60は、バッテリーパック34の下面よりも上側に配置されている。
【0050】
サイクロン部60の前端部には、蓋部68が開閉可能に設けられている。蓋部68は、前後方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されており、蓋部68の上端部が、左右方向を軸方向としてサイクロン部60に回転可能に連結されている。また、蓋部68の下端部が、サイクロン部60に係止されている。これにより、蓋部68によってサイクロン部60の前側開口部が閉塞されている。また、サイクロン部60は、左右一対のサイクロン筒部61と、左右一対のサイクロン入口部64と、左右一対のサイクロン排気筒部65と、を有している。
【0051】
(サイクロン筒部61について) 一対のサイクロン筒部61は、サイクロン部60の内部に配置されると共に、集塵装置40の左右方向中央に対して左右対称の位置に配置されている。具体的には、平面視で、前述の吸気管53(の中心線)が、一対のサイクロン筒部61の間に配置されている。サイクロン筒部61は、全体として、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されており、サイクロン筒部61の中心軸をサイクロン軸61Aとしている。また、サイクロン筒部61は、サイクロン筒部61の後部を構成する「第1筒部」としてのリヤ筒部62と、サイクロン筒部61の前部を構成する「第2筒部」としてのフロント筒部63と、を含んで構成されている。
【0052】
リヤ筒部62は、サイクロン軸61Aを中心とする円筒状に形成されて、サイクロン部60の後壁から前側へ突出している。換言すると、リヤ筒部62は、後側(軸方向一方側)の端部が閉塞され、かつ前側へ開放された有底円筒状に形成されている。また、リヤ筒部62の内径は、前後方向において、一定に設定されている。すなわち、リヤ筒部62の内周面が、サイクロン軸61Aと平行に配置されている。
【0053】
フロント筒部63は、サイクロン軸61Aを中心とする略円錐筒状に形成されて、リヤ筒部62の前側に配置されている。そして、フロント筒部63の一部が、サイクロン部60の左右の側壁の一部を構成している。フロント筒部63の側壁は、前側へ向かうに従い径方向内側へ傾斜している。すなわち、フロント筒部63の内周面が、前側へ向かうに従いサイクロン軸61Aに接近する方向に傾斜している。換言すると、フロント筒部63の後端部の内径が、フロント筒部63の前端部の内径よりも大きく設定されている。
【0054】
また、フロント筒部63の後端部の内径は、リヤ筒部62の内径よりも大きく設定されており、リヤ筒部62の前端部が、フロント筒部63の後端部の内部に配置されている。すなわち、前後方向において、リヤ筒部62の前端部とフロント筒部63の後端部とが、重なっており、リヤ筒部62の前端部とフロント筒部63の後端部との間には、隙間G1が形成されている。さらに、左右一対のフロント筒部63の後端部同士が、集塵装置40の左右方向中央側の部位において、接続されている。そして、サイクロン筒部61の内部が、サイクロン室60Aとして構成されており、サイクロン部60の内部におけるサイクロン筒部61の下側部分が、集塵室60Bとして構成されている。
【0055】
(サイクロン入口部64について) サイクロン入口部64は、左右一対のリヤ筒部62にそれぞれ設けられている。サイクロン入口部64は、上下方向を軸方向とする略矩形筒状に形成されて、リヤ筒部62から上側へ延出されると共に、リヤ吸気管54の管出口部54Aの下側に隣接して配置されている。具体的には、サイクロン入口部64は、リヤ筒部62の左右方向内側(集塵装置40の左右方向中央側)の部分から上側へ延出しており、リヤ筒部62の内部とサイクロン入口部64の内部とが連通されている。すなわち、リヤ筒部62は、サイクロン軸61Aに対して、集塵装置40の左右方向中央側にずれた位置に配置されている。これにより、吸気管53とサイクロン部60とが接続されている。
【0056】
また、リヤ筒部62の左右方向内側の側壁は、ガイド壁64Aとして構成されると共に、ガイド壁64Aの内周面がガイド面64Bとして構成されている。ガイド面64Bは、前側から見た正面視で、上側へ向かうに従い左右方向内側へ傾斜しており、ガイド面64Bの下端が、リヤ筒部62の内周面に接続されている。具体的には、正面視で、ガイド面64Bは、ガイド面64Bの下端からリヤ筒部62の内周面の接線方向に沿って上側へ延出している。
【0057】
これにより、管出口部54Aからサイクロン入口部64内に流入される空気は、ガイド面64Bに沿ってリヤ筒部62内に流入される構成になっている。すなわち、リヤ筒部62内に流入された空気が、リヤ筒部62の内周面に沿って旋回しながら前側へ流れるように構成されている。また、リヤ筒部62の前端部からフロント筒部63の内部に流出された空気が、フロント筒部63の内周面に沿って旋回しながら前側へ流れるように構成されている。これにより、サイクロン室60A内において、空気と塵埃とが分離され、当該塵埃がフロント筒部63の前端開口部から排出されて、集塵室60Bの下面に溜まるように構成されている。なお、左右一対のサイクロン入口部64では、ガイド壁64Aの上端同士が接続されている。
【0058】
(サイクロン排気筒部65について) サイクロン排気筒部65は、一対のリヤ筒部62の内部にそれぞれ設けられている。サイクロン排気筒部65は、サイクロン軸61Aを中心とする円筒状に形成されて、サイクロン部60の後壁から前側へ突出している。また、サイクロン排気筒部65は、前後方向に貫通している。これにより、サイクロン排気筒部65の後端部には、「サイクロン出口部」としてのサイクロン出口孔66が形成されており、サイクロン部60の内部(サイクロン室60A)と、後述するフィルタ部70の内部とが、サイクロン出口孔66によって連通されている。そして、塵埃が分離された空気が、サイクロン筒部61の中央部を後側へ流れると共に、サイクロン排気筒部65内を後側へ流れて、後述するフィルタ部70に流出される構成になっている。
【0059】
(フィルタ部70について) フィルタ部70は、上下方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されて、空気流入部50の吸気管53及びサイクロン部60の後側に配置されている。すなわち、フィルタ部70が、ハンマドリル10のハンドル部14Aと、吸気管53及びサイクロン部60と、の間に配置されている。さらに、正面視で、フィルタ部70と、吸気管53及びサイクロン部60と、が重なっている。
【0060】
フィルタ部70の内部は、フィルタ室71として構成されている。フィルタ部70の前壁とサイクロン部60の後壁とは、共通の壁部として構成されている。すなわち、前述したサイクロン出口孔66によって、サイクロン部60の内部(サイクロン室60A)と、フィルタ室71とが、連通されている。これにより、サイクロン部60から流出された空気が、フィルタ室71内に流入される構成になっている。
【0061】
フィルタ室71には、上下方向中間部において、フィルタ72が設けられている。フィルタ72は、シート状に形成されて、プリーツ状に折り畳まれている。具体的には、側面視で、フィルタ72の山折りにされた折目部が、フィルタ72の上端部を構成し、フィルタ72の谷折りにされた折目部が、フィルタ72の下端部を構成するように、フィルタ72がプリーツ状に折り畳まれて、前後方向に重なっている。また、フィルタ72の一部(下端部)が、サイクロン出口孔66の下端部よりも上側に配置されている。具体的には、正面視で、サイクロン出口孔66の上部が、フィルタ72の下端部と重なると共に、サイクロン出口孔66の下端部が、フィルタ72に対して下側(上下方向一方側)に配置されている。よって、本発明における「サイクロン出口部が、フィルタに対して第2方向一方側に配置される」とは、サイクロン出口孔66の一部が、フィルタ72よりも下側に配置される場合も含んでいる。
【0062】
フィルタ室71の上端部には、排出部73が形成されており、排出部73は、上下方向に貫通した矩形筒状に形成されて、集塵ハウジング42から上側へ突出している。また、排出部73の上側開口部が、排出口74として構成されている。そして、排出部73の上端部が、ハンマドリル10の第2ドリル側吸気口13B内に嵌入されている。これにより、ハンマドリル10の本体ハウジング部13の内部と集塵装置40の内部とが、排出口74及び第2ドリル側吸気口13Bによって連通されている。したがって、サイクロン部60からフィルタ室71内に流入された空気が、上側へ流れて、フィルタ72を通過するようになっている。そして、フィルタ72を通過した空気が、排出口74から本体ハウジング部13内に流入される構成になっている。
【0063】
また、集塵ハウジング42の後端部は、フィルタ部70よりも後側に配置されている。さらに、集塵ハウジング42の後端部は、ハンドル部14Aのトリガ15に対して隙間G2を空けて前側に配置されている。そして、隙間G2の前後方向の寸法が、隙間G2に挿入される使用者の指によってトリガ15を引き操作可能にするように、所定の寸法に設定されている。
【0064】
(作用効果) 上記のように構成されたハンマドリル10において、トリガ15が引き操作されると、モータ20が駆動し、先端工具Tが自身の軸回りに回転する。これにより、被加工物に対して穴あけ加工を施すことができる。具体的には、先端工具Tを被加工物側へ押し付けて、被加工物に対して穴あけ加工を施す。また、モータ20の駆動時には、モータ20の駆動軸21と共に、ファン23が回転する。
【0065】
また、ハンマドリル10には、集塵装置40が取付けられており、集塵装置40が、本体ハウジング部13の下側で且つハンドルハウジング部14の前側に配置されている。集塵装置40のハンマドリル10への取付状態では、集塵装置40の排出部73の上端部がハンマドリル10の第2ドリル側吸気口13B内に嵌入されて、ハンマドリル10の内部と集塵装置40の内部とが連通されている。さらに、先端工具Tの先端部が、集塵装置40の工具挿通部52C内に挿入されている。そして、ハンマドリル10の作動時には、ファン23の第2ファン部23Bによって、集塵装置40からハンマドリル10へ向かう空気流AR(図2参照)が発生する。具体的には、集塵装置40の吸引口52Bにおいて、工具挿通部52Cの径方向内側の空気を吸引部52の内部へ引き込む空気流ARが発生する。
【0066】
これにより、先端工具Tにおける先端部の周囲の空気が、吸引口52Bによって集塵装置40の内部に吸引される。すなわち、穴あけ加工に生じる粉塵を含む先端工具Tの周囲の塵埃が、空気と共に、吸引口52Bから吸引部52の内部に流入される。なお、被加工物に対する穴あけ加工時には、穴あけ加工が経過するに従いハンマドリル10が被加工物に接近して、集塵装置40の工具挿通部52Cが被加工物に当接する。このため、ハンマドリル10の穴あけ加工時には、被加工物によって吸引部52が後側へ押圧される。これにより、空気流入部50のフロント吸気管55が収縮して、スライドアーム51及び吸引部52が後側へ変位する。
【0067】
吸引部52内に流入された空気流ARは、吸気管53内を後側へ流れて、管出口部54Aから下側へ流出される。管出口部54Aから下側へ流出された空気流ARは、サイクロン入口部64からサイクロン筒部61のリヤ筒部62内に流入される。そして、リヤ筒部62内に流入された空気流ARは、リヤ筒部62の内周面に沿ってサイクロン軸61Aの軸回りを旋回しながら前側へ流れると共に、リヤ筒部62の前端部からフロント筒部63の内部に流出される。フロント筒部63の内部に流出された空気流ARは、フロント筒部63の内周面に沿ってサイクロン軸61Aの軸回りを旋回しながら前側へ流れる(図6及び図7の空気流ARを参照)。これにより、サイクロン室60A内において、空気と塵埃とが分離されて、分離された塵埃が、フロント筒部63の前端開口部から集塵室60Bの下面に落下する。また、塵埃が分離された空気流ARは、サイクロン筒部61の略中央部を後側へ流れて、サイクロン排気筒部65内に流入される(図7の空気流ARを参照)。そして、サイクロン排気筒部65内に流入された空気流ARが、サイクロン出口孔66からフィルタ部70のフィルタ室71内に流入される。
【0068】
フィルタ室71内に流入された空気流ARは、集塵装置40の排出口74側へ流れる。すなわち、フィルタ室71内において、空気流ARが上側へ流れると共に、フィルタ72を通過して、排出部73へ流れる(図2の空気流ARを参照)。これにより、空気流ARの塵埃がフィルタ72によって除去されて、粉塵が除去された空気流ARが、フィルタ部70の排出口74から本体ハウジング部13内に流入される。
【0069】
本体ハウジング部13内に流入された空気流ARは、ファン23のファン吸気口27Aから第2ファン部23B内に流入する。そして、第2フィン26によって、空気流ARがファン23の径方向外側へ流れて、第2ドリル側排気口13Dから排出される。以上により、集塵装置40によって、先端工具Tの周囲の空気を吸引して、当該空気に含まれる塵埃を分離すると共に、分離した塵埃を集めることができる。
【0070】
ここで、集塵装置40では、吸引部52に接続された吸気管53と、吸気管53から流出された空気を旋回させて塵埃を遠心分離するサイクロン部60と、フィルタ72を収容するフィルタ部70と、を含んで構成されている。フィルタ部70は、サイクロン部60に接続されており、フィルタ72を通過した空気を排出する排出口74を有している。このため、先端工具Tの周囲の空気と塵埃とを、サイクロン部60において分離することができる。また、サイクロン部60の通過後の空気に塵埃が残存した場合でも、当該空気がフィルタ室71のフィルタ72を通過することで、残存した塵埃を除去することができる。したがって、集塵装置40の集塵性能を向上することができる。
【0071】
また、吸気管53と、サイクロン部60と、が前後方向に重なる位置に配置されており、フィルタ部70が、サイクロン部60の後側(前後方向一方側)に配置されている。このため、例えば、フィルタ部70が、サイクロン部60の下側に配置される場合と比べて、上下方向における、集塵装置40の体格の大型化を抑制することができる。
【0072】
また、吸気管53が、フィルタ部70よりも前側(前後方向他方側)に配置されている。すなわち、吸気管53及びサイクロン部60とフィルタ部70とが前後方向に並んで配置されている。これにより、例えば、フィルタ部70が、吸気管53及びサイクロン部60の下側に配置される場合と比べて、上下方向における、集塵装置40の体格の大型化を一層抑制することができる。
【0073】
また、サイクロン部60は、前後方向を軸方向とするサイクロン軸61Aを中心とするサイクロン筒部61と、吸気管53及びサイクロン筒部61を連通するサイクロン入口部64と、サイクロン筒部61及びフィルタ部70を連通するサイクロン出口孔66と、を含んで構成されている。すなわち、サイクロン筒部61の軸方向と、サイクロン部60及びフィルタ部70の並ぶ方向と、が一致している。このため、例えば、サイクロン筒部61の軸方向を上下方向とする場合と比べて、上下方向における集塵装置40の体格の大型化を抑制することができる。
【0074】
また、サイクロン入口部64は、ガイド面64Bを有しており、正面視で、ガイド面64Bが、サイクロン筒部61(リヤ筒部62)の内周面からサイクロン筒部61(リヤ筒部62)の接線方向に延出されている。これにより、サイクロン筒部61内に流入される空気流ARが、サイクロン筒部61(リヤ筒部62)の内周面に沿って流れると共に、サイクロン軸61Aの軸回りに旋回する。したがって、空気流AR内の空気と塵埃とを、サイクロン筒部61内において効果的に分離することができる。
【0075】
また、サイクロン部60は、一対のサイクロン筒部61、サイクロン入口部64、及びサイクロン出口孔66を有している。これにより、サイクロン筒部61、サイクロン入口部64、及びサイクロン出口孔66が、それぞれ1箇所のサイクロン部と比べて、空気流AR内の塵埃と空気とを効果的に分離することができる。
【0076】
また、左右方向において、吸気管53の中心が、左右一対のサイクロン筒部61のサイクロン軸61Aの間に配置されている。すなわち、正面視で、吸気管53が、左右一対のサイクロン筒部61の間に配置されている。このため、左右方向における集塵装置40の体格の大型化を抑制することができる。
【0077】
また、サイクロン筒部61は、サイクロン筒部61の後部を構成するリヤ筒部62と、サイクロン筒部61の前部を構成するフロント筒部63と、を含んで構成されている。そして、リヤ筒部62の内径は一定に設定されている。一方、フロント筒部63の後端部の内径が、フロント筒部63の前端部の内径よりも大きく設定されると共に、リヤ筒部62の内径よりも大きく設定されている。そして、リヤ筒部62の前端部が、フロント筒部63の後端部の内部に配置されて、リヤ筒部62の前端部とフロント筒部63の後端部との間には、隙間G1が形成されている。これにより、作業時における集塵装置40の姿勢が変化した場合でも、サイクロン筒部61内で分離された塵埃を集塵室60Bに溜めることができる。
【0078】
すなわち、ハンマドリル10の使用では、先端工具Tの先端部が上側へ向くような姿勢で、ハンマドリル10が使用される場合がある。この場合には、サイクロン軸61Aが上下方向に沿って配置され、リヤ筒部62の上側にフロント筒部63が配置されるようになる。このため、サイクロン筒部61内で分離された塵埃は、空気流ARと共に、サイクロン筒部61の内周面に沿って上側へ流れるが、当該塵埃が、フロント筒部63(サイクロン筒部61)の先端開口部から上側へ排出しない可能性がある。このときには、フロント筒部63の先端開口部から排出されなかった塵埃が、フロント筒部63の内周面に沿って下側へ落下すると共に、隙間G1から集塵室60B側へ落下する。その結果、フロント筒部63の先端開口部から排出されなかった塵埃を集塵室60B内に溜めることができる。したがって、作業時における集塵装置40の姿勢が変化した場合でも、サイクロン筒部61内で分離された塵埃を集塵室60Bに溜めることができる。
【0079】
また、フィルタ部70では、サイクロン出口孔66の下端部がフィルタ72の下側に配置され、排出口74がフィルタ72の上側に配置されている。これにより、サイクロン部60からフィルタ部70へ流出された空気流ARの塵埃をフィルタ72によって除去して、塵埃が除去された空気流ARをハンマドリル10側へ流すことができる。さらに、フィルタ72は、前後方向に折り重ねられたプリーツ状に形成されている。これにより、フィルタ部70の体格の大型化を抑制しつつ、フィルタ72の面積を大きく設定することができる。すなわち、フィルタ部70の体格の大型化を抑制しつつ、フィルタ72における塵埃の除去性能を高くすることができる。
【0080】
また、正面視で、サイクロン出口孔66の上部が、フィルタ72の下端部と重なると共に、サイクロン出口孔66の下端部が、フィルタ72に対して下側に配置されている。このため、サイクロン出口孔66の全体を、フィルタ72に対して下側に配置する構成と比べて、サイクロン筒部61の上下方向の位置を上側に設定することができる。これにより、吸気管53に対してサイクロン筒部61を接近した位置に配置させることができる。すなわち、管出口部54A及びサイクロン入口部64の上下方向の長さを比較的短くすることができる。したがって、吸気管53からサイクロン筒部61内に流入された空気流ARを、サイクロン筒部61の内周面に沿って良好に旋回させて、サイクロン室60A内において空気と塵埃とを分離することができる。
【0081】
また、正面視で、フィルタ部70が、サイクロン部60及び吸気管53と重なっている。これにより、左右方向及び上下方向における、集塵装置40の大型化を抑制することができる。
【0082】
また、ハンマドリル10のハウジング12は、前後方向に延在された本体ハウジング部13と、本体ハウジング部13の後端部から下側へ延出されたハンドルハウジング部14と、を含んで構成されている。そして、前後方向において、集塵装置40のフィルタ部70が、ハンドルハウジング部14のハンドル部14Aと、サイクロン部60と、の間に配置されている。これにより、本体ハウジング部13に対して、ハンドルハウジング部14の延出方向側に集塵装置40のサイクロン部60及びフィルタ部70を配置すると共に、ハンドル部14A、フィルタ部70、及びサイクロン部60を本体ハウジング部13の延在方向に並べて配置することができる。したがって、集塵装置40のハンマドリル10への取付状態における上下方向の体格の大型化を抑制することができる。
【0083】
また、前後方向において、ハンマドリル10のファン23、第2ドリル側吸気口13B、及び集塵装置40のフィルタ部70が重なる位置に配置されている。具体的に、ファン23の第2ファン部23Bの下側に、第2ドリル側吸気口13B及びフィルタ部70が配置されている。このため、フィルタ部70と第2ファン部23Bとの間において、空気流ARが流れる通路を、上下方向に延在させることができる。つまり、空気流ARが流れる通路の長さを、短くすることができる。これにより、空気流ARに対する空気抵抗を小さくすることができる。したがって、空気流ARを、フィルタ部70からハンマドリル10側へ効率よく流して、第2ドリル側排気口13Dから排気させることができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、サイクロン部60におけるフロント筒部63の内周面が、側断面視で、前側へ向かうに従いサイクロン軸61Aに接近する方向に直線状に傾斜している。換言すると、フロント筒部63の内周面が、単一の傾斜面によって構成されている。これに代えて、フロント筒部63の内周面を、複数の傾斜面によって構成してもよい。また、側断面視で、フロント筒部63の内周面を、円弧状に湾曲させてもよい。
【0085】
また、本実施の形態では、サイクロン出口孔66の下端部が、フィルタ72に対して下側に配置されているが、サイクロン出口孔66の全体を、フィルタ72に対して下側に配置してもよい。
【0086】
以下、図面を用いて、第2の実施の形態に係る作業機システムとしてのハンマドリルシステムSについて説明する。第2の実施の形態に関する以下の説明は、第1の実施の形態において言及しなかった事項について主に説明するものであるが、第1の実施の形態に関する説明と一部重複するほか、第1の実施の形態との差異を特に述べない構造については第1の実施の形態と共通である。図9に示されるように、ハンマドリルシステムSは、作業機としてのハンマドリル10と、補助装置としての集塵装置40と、を含んで構成されている。そして、集塵装置40が、ハンマドリル10に取付けられて、ハンマドリル10に装着された先端工具Tの周囲の空気を吸引するようになっている。これにより、集塵装置40によって、ハンマドリル10の作業時に生じる塵埃を、集塵装置40に貯留するようになっている。
【0087】
(ハンマドリル10について)ハンマドリル10は、被加工材に対して穿孔加工等を行う工具として構成されている。図9及び図10に示されるように、ハンマドリル10は、ハウジング12と、モータ20と、モータ20の駆動力によって駆動する駆動機構部30と、バッテリーパック34と、を含んで構成されている。以下、ハンマドリル10の各構成について説明する。
【0088】
(ハウジング12について)ハウジング12は、左側から見た側面視で、中空の略逆L字形状に形成されている。具体的には、ハウジング12は、前後方向に延在された本体ハウジング13と、本体ハウジング13の後端部から下側へ延出されたハンドルハウジング14と、を含んで構成されている。
【0089】
本体ハウジング13の後端部の左右の側壁には、それぞれ複数(第2の実施の形態では、4箇所)のリヤ吸気口13Aが貫通形成されている。リヤ吸気口13Aは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。また、本体ハウジング13の前後方向中間部の下壁には、吸気口としてのフロント吸気口13B(図10参照)が貫通形成されており、フロント吸気口13Bは略矩形状に形成されている。
【0090】
また、本体ハウジング13の前後方向中間部における右壁には、複数(第2の実施の形態では、4箇所)の第1排気口13C(図10参照)が貫通形成されている(図10では、便宜上、最上段に配置された第1排気口13Cのみに符号を付している)。第1排気口13Cは、上下方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。また、本体ハウジング13には、第1排気口13Cの前側において、複数(第2の実施の形態では、4箇所)の排気口としての第2排気口13D(図10参照)が貫通形成されている(図10では、便宜上、最上段に配置された第2排気口13Dのみに符号を付している)。第2排気口13Dは、上下方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。さらに、第2排気口13Dは、フロント吸気口13Bに対して、若干後側に配置されている。
【0091】
本体ハウジング13の左右の側壁の下端部には、フロント吸気口13Bの後側において、後述するアダプタ41を係止するための係止凹部13E(図19参照)が形成されている。係止凹部13Eは、前後方向に延在されると共に、左右方向外側へ開放された凹状に形成されている。
【0092】
図12にも示されるように、本体ハウジング13の下壁には、フロント吸気口13Bの前側において、後述するアダプタ41を支持するための支持部13Fが形成されている。支持部13Fは、本体ハウジング13から下側へ突出すると共に、左右方向に延在されている。支持部13Fには、支持孔13Gが形成されており、支持孔13Gは、左右方向に貫通している。
【0093】
ハンドルハウジング14の上部は、使用者が把持するハンドル部14Aとして構成されている。ハンドル部14Aの上端部には、トリガ15が設けられている。トリガ15は、ハンドル部14Aから前側へ突出しており、後側へ引き操作可能に構成されている。トリガ15の後側には、スイッチ機構16が設けられている。スイッチ機構16は、トリガ15よって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、ハンマドリルの制御部(図示省略)に電気的に接続されており、トリガ15の操作状態に応じた出力信号を制御部に出力する構成になっている。
【0094】
ハンドルハウジング14の下端部は、後述するバッテリーパック34を装着するためのバッテリー取付部14Bとして構成されている。バッテリー取付部14Bは、ハンドルハウジング14の下端部から前側へ突出されると共に、下側へ屈曲されている。また、バッテリー取付部14Bには、バッテリーパック34と接続されるコネクタ17が設けられている。
【0095】
(モータ20について)図10に示されるように、モータ20は、3相のブラシレスモータとして構成されており、本体ハウジング13の後部内に収容されると共に、制御部に電気的に接続されている。モータ20は、前後方向を軸方向とする駆動軸21を有している。駆動軸21の前端側部分が、本体ハウジング13に固定された前側軸受18によって回転可能に支持されており、駆動軸21の後端部が、本体ハウジング13に固定された後側軸受19によって回転可能に支持されている。また、駆動軸21の前端部には、ピニオンギヤ21Aが形成されている。
【0096】
図10図3、及び図4に示されるように、駆動軸21の前端側部分には、ファン23が一体回転可能に設けられている。ファン23は、全体として、前後方向を厚み方向とする円盤状に形成されている。ファン23は、ファン23の後部を構成する第1ファン部23Aと、ファン23の前部を構成する第2ファン部23Bと、を含んで構成されており、第1ファン部23A及び第2ファン部23Bは遠心ファンとして構成されている。
【0097】
第1ファン部23Aは、ベースプレート24と、複数の第1フィン25と、を含んで構成されている。ベースプレート24は、前後方向を板厚方向とする略円環板状に形成されている。第1フィン25は、ベースプレート24の後面に形成されると共に、ベースプレート24の径方向に沿って延在されている。また、複数の第1フィン25は、ベースプレート24の周方向に所定角度毎に配置されている。さらに、ハウジング12の第1排気口13Cが、第1フィン25に対してファン23の径方向外側に配置されている。そして、駆動軸21と共にファン23が回転すると、第1フィン25によってファン23の径方向外側へ流れる空気流を発生させる構成になっている。これにより、第1ファン部23Aによって、リヤ吸気口13Aから本体ハウジング13内に空気を流入し、当該空気を第1排気口13Cから流出させて、モータ20を冷却する構成になっている。
【0098】
第2ファン部23Bは、ベースプレート24と、複数の第2フィン26と、ファンカバー27と、を含んで構成されている。すなわち、ベースプレート24が、第1ファン部23A及び第2ファン部23Bの共通部として構成されている。第2フィン26は、ベースプレート24の前面に形成されると共に、ベースプレート24の径方向に延在されている。また、複数の第2フィン26は、ベースプレート24の周方向に所定角度毎に配置されている。さらに、ハウジング12の第2排気口13Dが、第2フィン26に対してファン23の径方向外側に配置されている。
【0099】
ファンカバー27は、略円環板状に形成されて、第2フィン26の前端部に接続されている。ファンカバー27は、側面視で径方向内側へ向かうに従い前側へ若干傾斜している。また、ファンカバー27の中央開口部が、ファン吸気口27Aとして構成されており、ファン吸気口27Aの内径が駆動軸21の直径よりも大きく設定されている。また、ファンカバー27の前端部が、ハウジング12のフロント吸気口13Bの上側に配置されている。
【0100】
そして、駆動軸21と共にファン23が回転すると、第2ファン部23Bのファン吸気口27Aから第2ファン部23Bの内部に空気を流入し、流入した空気を、第2フィン26によってファン23の径方向外側へ流すように構成されている。これにより、第2ファン部23Bによって、フロント吸気口13Bから本体ハウジング13内に流入する空気流ARが発生するようになっている。そして、空気流ARが、第2ファン部23Bの内部を通過して、第2排気口13Dから排気されるようになっている。
【0101】
(駆動機構部30について)図10に示されるように、駆動機構部30は、モータ20の回転力を先端工具Tに伝達して、先端工具Tを駆動する機構部として構成されている。駆動機構部30は、本体ハウジング13の前端部内に収容されている。詳しくは、駆動機構部30は、ファン23の前側に配置されている。駆動機構部30は、中間軸31及び伝達部32を含んで構成されている。
【0102】
中間軸31は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、本体ハウジング13に固定された軸受(図示省略)によって回転可能に支持されている。中間軸31の後端部には、ギヤ(図示省略)が一体回転可能に設けられており、当該ギヤが、駆動軸21のピニオンギヤ21Aに噛合されている。これにより、モータ20が駆動して駆動軸21が回転することで、中間軸31が自身の軸回りに回転する構成になっている。中間軸31には、運動変換部材(図示省略)が設けられており、運動変換部材は、中間軸31の回転運動を前後方向の往復運動に変換して、後述する伝達部32に伝達する構成になっている。
【0103】
伝達部32は、中間軸31の上側において前後方向に延在されている。そして、伝達部32の前端部に、先端工具Tが装着されている。先端工具Tは、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、先端工具Tの後端部が、伝達部32に装着されている。また、伝達部32は、中間軸31に連結されている。これにより、モータ20の回転力が先端工具Tに伝達されて、先端工具Tが自身の軸回りに回転して、被加工材に対して穿孔加工を施すようになっている。
【0104】
(バッテリーパック34について) 図9及び図10に示されるように、バッテリーパック34は、略直方体に形成されている。そして、バッテリーパック34が、ハンドルハウジング14のバッテリー取付部14Bに、後側から装着されている。バッテリーパック34は、図示しないコネクタを有しており、当該コネクタがコネクタ17に接続されて、バッテリーパック34からモータ20に電力が供給される構成になっている。また、バッテリーパック34は、一対の係合部材34Aを有しており、係合部材34Aは、バッテリーパック34の左右の側部に設けられている。そして、係合部材34Aがハンドルハウジング14に係合して、バッテリーパック34の後側への移動が制限されている。
【0105】
(集塵装置40について)図9に示されるように、集塵装置40は、本体部としての集塵装置本体150と、集塵装置本体150及びハンマドリル10を連結するためのアダプタ41と、を含んで構成されている。また、詳細については後述するが、集塵装置本体150の内部と本体ハウジング13の内部とが、フロント吸気口13Bを介して連通されて、ファン23の第2ファン部23Bによって発生する空気流ARによって集塵装置本体150内の空気をフロント吸気口13Bから本体ハウジング13内に流入させるようになっている。より詳しくは、空気流ARによって、先端工具Tの周囲の空気及び塵埃を集塵装置本体150内に吸引し、集塵装置本体150内において、吸引した空気と塵埃とを分離し、分離した空気をフロント吸気口13Bから本体ハウジング13内へ流出させるようになっている。以下、先にアダプタ41について説明し、次いで集塵装置本体150について説明する。
【0106】
(アダプタ41について)図10
図12に示されるように、アダプタ41は、ハンマドリル10の本体ハウジング13に着脱可能に取付けられて、後述する集塵装置本体150をハンマドリル10に連結するための連結部材として構成されている。アダプタ41は、アダプタ本体142と、左右一対のアダプタ係止部材49と、を含んで構成されている。
【0107】
図13~16に示されるように、アダプタ本体142は、上下方向を厚み方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。アダプタ本体142の前端部における左部には、上側へ突出した軸固定部142Aが設けられている。軸固定部142Aには、支持軸143が設けられており、支持軸143は、左右方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、軸固定部142Aから右側へ延出している。これにより、支持軸143が、アダプタ本体142の前端部の上側に離間して設けられている。そして、アダプタ41のハンマドリル10への取付状態では、支持軸143がハンマドリル10の支持孔13G内に左側から挿入されて、アダプタ41の前端部がハンマドリル10に支持されている。
【0108】
アダプタ本体142の下面には、後述する集塵装置本体150の被取付部82を取付けるための取付凹部142Bが形成されており、取付凹部142Bは、下側且つ前側へ開放された凹状に形成されると共に、下側から見て略矩形状に形成されている。取付凹部142Bの内周面の上部には、取付凹部142Bの内側へ開放されたレール溝142Cが形成されている。レール溝142Cは、取付凹部142Bの周方向に沿って延在されており、レール溝142Cの長手方向両端部が前側へ開放されている。すなわち、レール溝142Cは、取付凹部142Bの左右の内周面に形成された被係合部としての一対のサイドレール溝142C1と、取付凹部142Bの後面に形成されたリヤレール溝142C2と、を含んで構成されている。そして、サイドレール溝142C1の後端部(前後方向一方側端部)とリヤレール溝142C2の左右方向両端部とが連通されており、サイドレール溝142C1の前端部(前後他方側端部)が前側へ開放されている。また、サイドレール溝142C1の溝幅寸法(上下方向の寸法)は、後側へ向かうに従い小さくなるように形成されている(図15参照)。つまり、取付凹部142Bの頂面が、後側へ向かうに従い下側へ傾斜している。
【0109】
アダプタ本体142の前後方向中間部には、アダプタ連結部142Dが形成されている。アダプタ連結部142Dは、上下方向を軸方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形筒状に形成されている。アダプタ連結部142Dは、上下方向に貫通しており、アダプタ連結部142Dと取付凹部142Bの後端部とが連通されている。また、アダプタ連結部142Dの上端部は、アダプタ本体142よりも上側へ突出している。そして、アダプタ41のハンマドリル10への取付状態では、アダプタ連結部142Dの上端部がハンマドリル10のフロント吸気口13B内に嵌入されている(図11参照)。
【0110】
アダプタ本体142の後端部の側部には、後述するアダプタ係止部材49を配置するための左右一対の配置凹部142E(図14参照)が形成されている。配置凹部142Eは、左右方向外側へ開放された凹状に形成されると共に、上下方向に貫通されている。
【0111】
アダプタ本体142の上面には、スペーサ収容部142Fが形成されている。スペーサ収容部142Fは、上側へ開放された凹状に形成されると共に、平面視で略T字形状に形成されている。そして、アダプタ連結部142Dが、スペーサ収容部142Fの後部内に配置されている。また、スペーサ収容部142Fの内部には、左右方向に延在された左右一対の区画リブ142G(図13参照)が形成されており、区画リブ142Gは、スペーサ収容部142Fの左右の側面から左右方向内側へ延出されている。これにより、スペーサ収容部142Fの前端部と後部とが区画リブ142Gによって前後に区画されている。
【0112】
スペーサ収容部142Fの前端部には、スペーサとしてのフロントスペーサ144が着脱可能に設けられている。フロントスペーサ144は、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されると共に、ゴムなどの弾性材によって構成されている。また、フロントスペーサ144は、ハンマドリル10のフロント吸気口13Bに嵌入可能に構成されている。すなわち、ハンマドリル10の単体での使用形態では、フロントスペーサ144が、フロント吸気口13Bに嵌入されて、フロント吸気口13Bの開口部を塞ぐ蓋部として機能するようになっている。一方、集塵装置40をハンマドリル10に取付けた使用形態では、フロントスペーサ144を、フロント吸気口13Bから取り外して、アダプタ41のスペーサ収容部142Fに取付ける構成になっている。
【0113】
スペーサ収容部142Fの後部には、リヤスペーサ145が設けられている。リヤスペーサ145は、上下方向を板厚方向とする略T字形板状に形成されると共に、ゴムなどの弾性材によって構成されている。そして、アダプタ41のハンマドリル10への取付状態では、本体ハウジング13の下壁がフロントスペーサ144及びリヤスペーサ145の上面に当接する構成になっている(図11参照)。なお、リヤスペーサ145には、アダプタ連結部142Dが挿通される挿通部45Aが貫通形成されている。
【0114】
アダプタ本体142の下面の後端部には、一対の配置凹部142Eの間において、下側へ開放されたバネ収容部142H(図16参照)が形成されており、バネ収容部142Hが左右方向に延在されている。また、アダプタ本体142の後端部には、蓋部材46が設けられており、バネ収容部142Hの開口部が、蓋部材46によって閉塞されている。蓋部材46の前端部には、左右方向中央部において、ロック凹部46Aが形成されている。ロック凹部46Aは、上側へ隆起されると共に、前側及び下側へ開放された凹状に形成されている。
【0115】
また、アダプタ本体142の下面には、取付凹部142Bと蓋部材46との間において、ロック溝(図14参照)が形成されており、ロック溝142Jによって取付凹部142Bとロック凹部46Aとが前後方向に連通されている。また、ロック溝142Jの右部には、アダプタ本体142の幅方向中央側へ張り出されたロックフック部42K(図14参照)が形成されている。
【0116】
また、図16に示されるように、バネ収容部142H内には、蓋部材46のロック凹部46Aの上側において、台座プレート47が設けられている。台座プレート47は、上下方向を板厚方向とし且つ左右方向を長手方向とする略長尺板状に形成されている。また、台座プレート47の左右方向中央部は、上側へ隆起して、ロック凹部46Aの上側に隣接して配置されている。さらに、バネ収容部142H内には、左右一対の付勢バネ48が設けられている。付勢バネ48は、圧縮コイルスプリングとして構成されると共に、台座プレート47の長手方向両端部とバネ収容部142Hの頂面との間に配置されている。これにより、台座プレート47が付勢バネ48によって下側へ付勢されている。
【0117】
図13~16に示されるように、アダプタ係止部材49は、全体として左右方向を板厚方向とする略T字形板状に形成されている。そして、アダプタ係止部材49の下端部が、アダプタ本体142の配置凹部142E内に配置され、前後方向を軸方向とするピンPによって、アダプタ本体142に回転可能に連結されている。そして、アダプタ係止部材49のアダプタ本体142への連結状態では、アダプタ係止部材49の上端部が、アダプタ本体142よりも上側へ突出している。具体的には、左右一対のアダプタ係止部材49が、左右方向に対向するように配置されている(図16において実線にて示される状態であり、以下、この状態を係止状態という)。
【0118】
アダプタ係止部材49の下端部には、左右方向内側へ突出した突起片49A(図16参照)が形成されており、突起片49Aは、アダプタ本体142のバネ収容部142H内に配置されると共に、蓋部材46と台座プレート47との間に配置されている。これにより、アダプタ係止部材49が、付勢バネ48の付勢力によって、係止状態に保持されている。また、アダプタ係止部材49の回転方向一方側(一対のアダプタ係止部材49の上端部が互いに接近する方向)への回転が、蓋部材46によって制限されている。一方、作業者の操作によって、アダプタ係止部材49が、付勢バネ48の付勢力に抗して、回転方向他方側(図16の矢印A方向側)に回転されることで、一対のアダプタ係止部材49の上端部が互いに離間されるようになっている(図16において2点鎖線にて示される状態であり、以下、この状態を係止解除状態という)。すなわち、アダプタ係止部材49は、係止状態及び係止解除状態に切替可能に構成されている。
【0119】
アダプタ係止部材49の上端部には、係止フック49Bが形成されている。係止フック49Bはアダプタ41の左右方向内側へ突出されると共に、前後方向に延在されている。そして、アダプタ41の本体ハウジング13への取付状態では、係止状態におけるアダプタ係止部材49の係止フック49Bが、本体ハウジング13の係止凹部13E内に挿入されて、アダプタ係止部材49が本体ハウジング13に係止されている(図9及び図20参照)。
【0120】
アダプタ係止部材49の下端部には、係止操作部49Cが形成されており、係止操作部49Cは、作業者の切替操作時に作業者に把持される部分として構成されている。係止操作部49Cは、アダプタ41の左右方向外側へ突出しており、係止操作部49Cの先端部が下側へ屈曲している。そして、後述する集塵装置本体150のアダプタ41への取付状態では、集塵装置本体150の段差部151Cが、係止操作部49Cの下側で且つ一対の係止操作部49Cの先端部の間に隣接配置される構成になっている(図16参照)。これにより、係止操作部49Cの先端部が集塵装置本体150に当接して、アダプタ係止部材49の回転方向他方側への回転が制限される構成になっている。つまり、アダプタ係止部材49の係止状態から係止解除状態への切替が阻止される構成になっている。
【0121】
(集塵装置本体150について)
図9~12、図17、及び図18に示されるように、集塵装置本体150は、全体として前後方向に延在されると共に、本体ハウジング13の下側に隣接して配置されている。集塵装置本体150は、集塵ハウジング151と、空気流入部152と、集塵部58と、を含んで構成されている。また、集塵装置本体150は、集塵装置本体150をアダプタ41に取付けるための被取付部82と、ロック部材86と、を有している。以下、集塵装置本体150の各構成について説明する。
【0122】
(集塵ハウジング151について) 集塵ハウジング151は、集塵装置本体150の上部の外郭を構成している。集塵ハウジング151は、下側へ開放された略箱状に形成されている。集塵ハウジング151は、左右方向に2分割されたハウジング部材によって構成されており、分割されたハウジング部材を組み付けることで集塵ハウジング151が構成されている。集塵ハウジング151の前部には、前後方向を軸方向とする筒状の支持筒部151Aが形成されており、支持筒部151Aは、ハンマドリル10の本体ハウジング13より前側に配置されている。支持筒部151Aの後端部には、分割されたハウジング部材同士を連結するための連結部151B(図10及び図11参照)が形成されており、連結部151Bは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。
【0123】
また、集塵ハウジング151の上側後端部には、下側へ一段下がった段差部151C(図9及び図18参照)が形成されている。そして、集塵装置本体150のアダプタ41への取付状態では、アダプタ41が、段差部151C内に配置されるようになっている。段差部151Cには、後述する被取付部82を露出させるための第1露出孔151D(図11及び図18参照)が貫通形成されており、第1露出孔151Dは、平面視で略矩形状に形成されている。第1露出孔151Dの縁部は、下側へ一段下がった段差状に形成されている(図11参照)。また、段差部151Cには、第1露出孔151Dの後側において、後述するロック部材86を露出させるための第2露出孔151E(図11及び図18参照)が貫通形成されており、第2露出孔151Eは、平面視で略矩形状に形成されると共に、第1露出孔151Dと連通している。
【0124】
(空気流入部152について)図10に示されるように、空気流入部152は、先端工具Tの周囲の空気を流入して、後述する集塵部58へ空気を流出する機構部として構成されている。空気流入部152は、集塵装置本体150の前側の上部を構成している。空気流入部152は、スライドアーム153と、吸引部154と、吸気管155と、を含んで構成されている。
【0125】
スライドアーム153は、前後方向を軸方向とする筒状に形成されている。スライドアーム153は、集塵ハウジング151の支持筒部151Aに前後方向にスライド可能に連結されており、スライドアーム153の前端部が支持筒部151Aよりも前側へ突出している。
【0126】
吸引部154は、上下方向を軸方向とする筒状に形成されており、吸引部154の下端部が、スライドアーム153の前端部に連結されている。吸引部154の下端部には、後側へ屈曲された接続筒部154Aが形成されており、接続筒部154Aは、スライドアーム153の前端部内に配置されている。
【0127】
吸引部154の上側開口部は、吸引口154Bとして構成されている。また、吸引部154の上端部には、工具挿通部54Cが形成されている。工具挿通部54Cは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されており、吸引口154Bが、工具挿通部54Cの径方向内側へ開口している。そして、集塵装置本体150のハンマドリル10への取付状態では、先端工具Tの先端部が工具挿通部54Cの内部に挿入されている。これにより、吸引口154Bによって、先端工具Tの周囲の空気を吸引部154内に流入するように構成されている。
【0128】
吸気管155は、吸気管155の後部を構成するリヤ吸気管56と、吸気管155の前部を構成するフロント吸気管57と、を含んで構成されている。リヤ吸気管56は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。リヤ吸気管56は、集塵ハウジング151の支持筒部151A内に収容されると共に、集塵ハウジング151に固定されている。リヤ吸気管56の後端部には、下側へ突出した管出口部56Aが形成されている。管出口部56Aは、略矩形筒状に形成されており、リヤ吸気管56の内部と管出口部56Aの内部とが連通されている。なお、リヤ吸気管56は、後述する被取付部82を有する被取付部材80に形成されて、被取付部材80の前部を構成している(図11参照)。
【0129】
フロント吸気管57は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。フロント吸気管57は、リヤ吸気管56の前側において、リヤ吸気管56と同軸上に配置されており、フロント吸気管57の後端部がリヤ吸気管56の前端部に外挿されている。フロント吸気管57は、伸縮性を有するゴム材などによって形成されて、前後方向に伸縮可能に構成されている。これにより、フロント吸気管57を含む吸気管155が、前後方向に伸縮可能に構成されている。フロント吸気管57の前端部は、吸引部154の接続筒部154Aに外挿されている。よって、吸引口154Bから吸引部154内に吸入された空気が、吸気管155内を後側へ流れて、管出口部56Aから下側へ流出される構成になっている。
【0130】
(集塵部58について)図10~12、図17、及び図18に示されるように、集塵部58は、略直方体箱状に形成されると共に、リヤ吸気管56の下側において、集塵ハウジング151に着脱可能に取付けられている。すなわち、集塵部58は、吸引口154Bの後側に配置されている。集塵部58は、集塵部58の前部を構成する補助機構部としてのサイクロン部60と、集塵部58の後端側部分を構成するフィルタ部70と、を有している。また、集塵部58は、サイクロン部60の外郭を構成する集塵室外壁としての第1ケース58Aと、フィルタ部70の外郭を構成する第2ケース58Bと、有しており、第1ケース58A及び第2ケース58Bが互いに組付けられている。第1ケース58Aは、前後方向に貫通された筒状に形成されており、第2ケース58Bは、上側へ開放された略箱状に形成されている。そして、第1ケース58Aの後側開口部が、第2ケース58Bによって閉塞されている。これにより、第2ケース58Bの前壁が、サイクロン部60とフィルタ部70とを区画する区画壁58Cとして構成されている。
【0131】
また、第1ケース58Aの前端部には、集塵蓋59が開閉可能に設けられており、集塵蓋59は、前後方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されている。そして、集塵蓋59の下端部が、左右方向を軸方向として第1ケース58Aに回転可能に連結されており、集塵蓋59の上端部が、第1ケース58Aに係止されている。これにより、集塵蓋59によって第1ケース58Aの前側開口部が閉塞されている。また、集塵蓋59の上端部には、前側へ開放された係止溝59A(図10及び図11参照)が形成されている。そして、集塵部58の集塵ハウジング151への取付状態では、集塵ハウジング151の連結部151Bが係止溝59A内に配置されて、集塵部58の前端部が連結部151Bに係止されている。これにより、集塵部58の集塵ハウジング151への取付状態では、集塵蓋59の閉塞状態が維持される構成になっている。
【0132】
(サイクロン部60について)サイクロン部60の外壁は、前述の第1ケース58Aによって構成されている。サイクロン部60は、左右一対のサイクロン外筒61と、左右一対のサイクロン入口部64と、左右一対の内筒としての排気内筒65と、を有している。
【0133】
(サイクロン外筒61について)一対のサイクロン外筒61は、第1ケース58Aの内部に配置されると共に、集塵装置本体150の左右方向中央に対して左右対称の位置に配置されている。サイクロン外筒61は、全体として、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されており、サイクロン外筒61の中心軸をサイクロン軸61Aとしている。また、サイクロン外筒61は、サイクロン外筒61の後部を構成する第1外筒としてのリヤ外筒62と、サイクロン外筒61の前部を構成する第2外筒としてのフロント外筒63と、を含んで構成されている。
【0134】
リヤ外筒62は、サイクロン軸61Aを中心とする円筒状に形成されると共に、区画壁58Cから前側へ突出している。換言すると、リヤ外筒62は、前側へ開放された有底円筒状に形成されると共に、リヤ外筒62の後端部(軸方向一方側端部)が、区画壁58Cによって閉塞されている。また、リヤ外筒62の内径は、前後方向において、一定に設定されている。すなわち、リヤ外筒62の内周面が、サイクロン軸61Aと平行に配置されている。
【0135】
フロント外筒63は、サイクロン軸61Aを中心とする略円錐筒状に形成されて、リヤ外筒62の前側に配置されている。具体的には、フロント外筒63の内周面が、前側へ向かうに従いサイクロン軸61Aに接近する方向に傾斜している。換言すると、フロント外筒63の後端部(軸方向一方側端部)の内径が、フロント外筒63の前端部(軸方向他方側端部)の内径よりも大きく設定されている。また、フロント外筒63は、第1ケース58Aと一体に形成されて、フロント外筒63の一部が、第1ケース58Aの左右の側壁の一部を構成している。フロント外筒63の側壁は、前側(軸方向他方側)へ向かうに従い径方向内側へ傾斜している。
【0136】
フロント外筒63の後端部の内径は、リヤ外筒62の内径よりも大きく設定されており、リヤ外筒62の前端部が、フロント外筒63の後端部の内部に配置されている。すなわち、前後方向において、リヤ外筒62の前端部とフロント外筒63の後端部とが、重なっており、サイクロン外筒61には、リヤ外筒62の前端部とフロント外筒63の後端部との間において、開口部61Cが形成されている。そして、開口部61Cは、フロント外筒63及びリヤ外筒62の周方向の全体に亘って、後側へ開放されている。さらに、左右一対のフロント外筒63の後端部同士が、集塵装置本体150の左右方向中央側の部位において、接続されている。そして、サイクロン外筒61の内部が、旋回室61Bとして構成されており、第1ケース58Aの内部における旋回室61B以外の部分が、集塵室60Aとして構成されている。
【0137】
(サイクロン入口部64について)図12及び図17に示されるように、サイクロン入口部64は、左右一対のリヤ外筒62の後端部にそれぞれ設けられている。サイクロン入口部64は、上下方向を軸方向とする略矩形筒状に形成されて、リヤ外筒62から上側へ延出されると共に、リヤ吸気管56の管出口部56Aの下側に隣接して配置されている。具体的には、サイクロン入口部64は、リヤ外筒62の左右方向内側(集塵装置本体150の左右方向中央側)の部分から上側へ延出しており、リヤ外筒62の内部とサイクロン入口部64の内部とが連通されている。すなわち、サイクロン入口部64は、サイクロン軸61Aに対して、集塵装置本体150の左右方向中央側にずれた位置に配置されている。
【0138】
また、サイクロン入口部64の左右方向内側の側壁は、ガイド壁64Aとして構成されると共に、ガイド壁64Aの内周面がガイド面64Bとして構成されている。ガイド面64Bは、前側から見た正面視で、上側へ向かうに従い左右方向内側へ傾斜しており、ガイド面64Bの下端が、リヤ外筒62の内周面に接続されている。具体的には、正面視で、ガイド面64Bは、ガイド面64Bの下端からリヤ外筒62の内周面の接線方向に沿って上側へ延出している。
【0139】
そして、サイクロン入口部64の内部がサイクロン入口孔64Cとして構成されており、管出口部56Aからサイクロン入口孔64Cに流入される空気が、ガイド面64Bに沿ってリヤ外筒62内に流入される構成になっている。すなわち、リヤ外筒62内に流入された空気が、リヤ外筒62の内周面に沿って旋回しながら前側へ流れるように構成されている。また、リヤ外筒62の前端部からフロント外筒63の内部に流出された空気が、フロント外筒63の内周面に沿って旋回しながら前側へ流れるように構成されている。これにより、旋回室61B内において、空気と塵埃とが分離され、当該塵埃がフロント外筒63の前端開口部から排出されて、集塵室60Aの下面に溜まるように構成されている。なお、左右一対のサイクロン入口部64では、ガイド壁64Aの上端同士が接続されている。
【0140】
(排気内筒65について)排気内筒65は、一対のリヤ外筒62の内部にそれぞれ設けられている。排気内筒65は、サイクロン軸61Aを中心とする円筒状に形成されて、区画壁58Cから前側へ突出している。また、排気内筒65は、前後方向に貫通している。すなわち、排気内筒65の後端部には、区画壁58Cを貫通するサイクロン出口孔66が形成されており、サイクロン部60の内部と、後述するフィルタ部70の内部とが、サイクロン出口孔66によって連通されている。そして、塵埃が分離された空気が、サイクロン外筒61の中央部を後側へ流れると共に、排気内筒65内を後側へ流れて、後述するフィルタ部70に流出される構成になっている。
【0141】
(フィルタ部70について) 図10図11図17、及び図18に示されるように、フィルタ部70の外郭は、前述の第2ケース58Bによって構成されている。第2ケース58Bの左側部には、集塵係止部材68が設けられており、集塵係止部材68は、左右方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されている。集塵係止部材68の下端部は、前後方向を軸方向として第2ケース58Bに回転可能に連結されている。そして、集塵部58の集塵ハウジング151への取付状態では、集塵係止部材68の上端部が、集塵ハウジング151の左壁の内側面に係合している。
【0142】
フィルタ部70の内部は、フィルタ室71として構成されており、前述したサイクロン出口孔66によって、排気内筒65とフィルタ室71とが連通している。フィルタ室71の上部には、上下方向中間部において、フィルタ72が設けられている。フィルタ72は、シート状に形成されて、プリーツ状に折り畳まれている。具体的には、側面視で、フィルタ72の山折りにされた折目部が、フィルタ72の上端部を構成し、フィルタ72の谷折りにされた折目部が、フィルタ72の下端部を構成するように、フィルタ72がプリーツ状に折り畳まれて、前後方向に重なっている。
【0143】
また、第2ケース58Bの上側には、集塵排出部73が設けられており、集塵排出部73は、リヤ吸気管56の後側に配置されると共に、リヤ吸気管56と一体に形成されている。集塵排出部73は、上下方向に貫通した略矩形筒状に形成されている。より詳しくは、集塵排出部73の断面積が上側へ向かうに従い小さくなるように、集塵排出部73が形成されている。これにより、フィルタ室71の内部と外部とが集塵排出部73によって連通されている。そして、集塵排出部73の上端部が、集塵ハウジング151の第1露出孔151Dの内部に配置されて、集塵ハウジング151の段差部151Cから上側へ突出している(図18参照)。
【0144】
さらに、集塵排出部73の上側開口部は、排出口としての集塵排出口74として構成されており、集塵排出口74の外形は、アダプタ41のアダプタ連結部142Dの内部の形状と略一致している。そして、集塵装置40のハンマドリル10への取付状態では、集塵排出部73が、アダプタ41のアダプタ連結部142Dの下側に隣接して配置されている(図11参照)。これにより、本体ハウジング13の内部と集塵装置本体150の内部とが、集塵排出口74及びフロント吸気口13Bによって連通されている。したがって、サイクロン部60からフィルタ室71内に流入された空気が、上側へ流れて、フィルタ72を通過するようになっている。そして、フィルタ72を通過した空気が、集塵排出口74から本体ハウジング13内に流入される構成になっている。これにより、先端工具Tの周囲の空気を、ハンマドリル10の本体ハウジング13へ流すための流路としての空気通路部90が、空気流入部152、サイクロン部60、及びフィルタ室71によって構成されている。
【0145】
(被取付部82について)図11図12、及び図13に示されるように、被取付部82は、被取付部材80の後部の上端部に設けられており、被取付部材80は、前述したリヤ吸気管56及び集塵排出部73を有している。被取付部82は、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されており、被取付部82の後部が、集塵排出部73の上端部に接続されている。さらに、被取付部82の左右方向両端部は、集塵排出部73よりも左右方向外側へ突出し、被取付部82の後端部が、集塵排出部73よりも後側に突出するように、被取付部82が集塵排出部73の上端部に接続されている。これにより、被取付部82が、集塵ハウジング151の段差部151Cよりも上側に配置されている。
【0146】
そして、被取付部82の左右方向両端部(詳しくは、集塵排出部73よりも左右方向外側へ突出された部分)は、係合部としてのサイドレール82Aとして構成されている。すなわち、サイドレール82Aは、集塵排出口74の左右方向外側において、前後方向に延在されている。また、サイドレール82Aのレール幅寸法(上下方向の寸法)は、アダプタ41のサイドレール溝142C1に対応して、後側へ向かうに従い小さくなるように設定されている。つまり、被取付部82の上面が、アダプタ41の取付凹部142Bの頂面に対応して、後側へ向かうに従い下側へ傾斜している。そして、集塵装置本体150のアダプタ41への取付状態では、サイドレール82Aが、アダプタ41のサイドレール溝142C1内に前後方向にスライド可能に挿入されると共に、サイドレール溝142C1と上下方向に係合している。
【0147】
被取付部82の後端部(詳しくは、集塵排出部73よりも後側へ突出された部分)は、リヤレール82Bとして構成されている。すなわち、リヤレール82Bは、集塵排出口74の後側において、左右方向に延在されている。そして、集塵装置本体150のアダプタ41への取付状態では、リヤレール82Bが、アダプタ41のリヤレール溝142C2内を前後方向にスライド可能に挿入されており、リヤレール溝142C2と上下方向に係合している。
【0148】
また、被取付部82の下側には、カバープレート部84が形成されている。カバープレート部84は、被取付部82と同様に上下方向を板厚方向とする略矩形プレート状に形成されると共に、集塵排出部73に接続されている。そして、カバープレート部84が、集塵ハウジング151における第1露出孔151Dの縁部の上側に配置されて、第1露出孔151Dを閉塞している。
【0149】
(ロック部材86について) ロック部材86は、被取付部材80の後側に配置されると共に、集塵ハウジング151の段差部151C内において、集塵ハウジング151に左右方向にスライド可能に取付けられている。具体的には、ロック部材86は、図示しないスプリングによって図18に示されるロック状態となるように右側へ付勢されており、作業者の操作によってロック状態から左側へスライドした許可状態に切替可能に構成されている。
【0150】
ロック部材86は、略L字形板状に形成されている。具体的には、ロック部材86は、前後方向を板厚方向とするロック操作部86Aと、ロック操作部86Aの上端部から前側へ延出されたロック本体部86Bと、を含んで構成されている。
【0151】
ロック操作部86Aは、集塵ハウジング151から後側へ操作可能に露出されている。すなわち、集塵装置本体150のアダプタ41への取付状態では、ロック操作部86Aが、アダプタ41のアダプタ係止部材49の後側に配置されると共に、後側から見て一対のアダプタ係止部材49の間に配置されている。ロック本体部86Bの上面には、ロック部86Cが形成されており、ロック部86Cは、集塵ハウジング151における段差部151Cの第2露出孔151E内に配置されている。
【0152】
そして、集塵装置本体150をアダプタ41に取付けるときには、集塵装置本体150を後方にスライドすることで、ロック部86Cが、ロックフック部42Kの前面に形成された傾斜面と当接して左側にスライドし、アダプタ41のロック凹部46A内に配置される(図14の1点鎖線にて示されるロック部86Cを参照)。そして、ロック部材86が図示しないスプリングによって右側へ移動しロック状態に切替わることで、ロック部86Cがロックフック部42Kの後側に隣接配置されて(図14の2点鎖線にて示されるロック部86Cを参照)、ロック部86Cとアダプタ41のロックフック部42Kとが前後方向に係合する構成になっている。これにより、集塵装置本体150のアダプタ41からの取外しが阻止されるようになっている。一方、作業者の操作によってロック部材86を許可状態に切り替えることで、ロック部86Cとロックフック部42Kとの係合状態が解除される構成になっている。これにより、集塵装置本体150のアダプタ41に対する前側への相対移動が許可されて、集塵装置本体150のアダプタ41からの取外しが許可される構成になっている。
【0153】
(作用効果) 次に、集塵装置40のハンマドリル10への取付手順を説明しつつ、第2の実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0154】
集塵装置40のハンマドリル10への取付けでは、先にアダプタ41をハンマドリル10に取付ける。具体的には、図19に示されるように、アダプタ41を後傾させるように配置し、アダプタ41の支持軸143を、ハンマドリル10の支持孔13Gの左側に配置する。そして、支持軸143を支持孔13G内に左側から挿入する。支持軸143の支持孔13Gへの挿入後、アダプタ41を支持軸143の周方向一方側(図19の矢印B方向側)へ回転させる。これにより、アダプタ41のアダプタ連結部142Dの上端部が、ハンマドリル10のフロント吸気口13B内に下側から嵌入される。さらに、アダプタ係止部材49の係止フック49Bが、本体ハウジング13の係止凹部13E内に挿入されて、アダプタ係止部材49が本体ハウジング13に係止される。以上により、アダプタ41がハンマドリル10に取付けられる。
【0155】
アダプタ41のハンマドリル10への取付後、集塵装置本体150をアダプタ41に取付ける。具体的には、図20に示されるように、集塵装置本体150の被取付部82を、アダプタ41の前側に配置する。この状態で、集塵装置本体150をアダプタ41に対して後側へ移動させて、集塵装置本体150の被取付部82をアダプタ41の取付凹部142B内に挿入する。具体的には、集塵装置本体150の左右一対のサイドレール82Aをアダプタ41のサイドレール溝142C1内に前側から挿入させる。サイドレール82Aのサイドレール溝142C1への挿入後、集塵装置本体150をアダプタ41に対して後側へさらに移動させて、集塵装置本体150のリヤレール82Bをアダプタ41のリヤレール溝142C2内に前側から挿入させる。
【0156】
リヤレール82Bのリヤレール溝142C2内への挿入完了時には、集塵装置本体150の集塵排出部73が、アダプタ41のアダプタ連結部142Dの下側に隣接して配置されて、集塵装置本体150の集塵排出口74とハンマドリル10のフロント吸気口13Bとが連通される。これにより、集塵装置本体150の被取付部82がアダプタ41の取付凹部142Bに取付けられる。また、被取付部82の取付凹部142Bへの取付時には、集塵装置本体150の段差部151Cが、アダプタ係止部材49の係止操作部49Cの下側に隣接配置される。
【0157】
なお、被取付部82の取付凹部142Bへの取付時には、上述のように、集塵装置本体150を後方にスライドすることで、ロック部86Cが、ロックフック部42Kの前面の傾斜面によって左側にスライドし、アダプタ41のロック凹部46A内に配置される。そして、ロック部材86が不図示のスプリングによって右側へ移動しロック状態に切替わることで、ロック部86Cがロックフック部42Kの後側に隣接配置されて、ロック部86Cとロックフック部42Kとが前後方向に係合する。これにより、集塵装置本体150のアダプタ41に対する前側への相対移動が制限されて、集塵装置40のハンマドリル10への取付が完了する。
【0158】
集塵装置40のハンマドリル10への取付完了後、作業者がハンマドリル10のトリガ15を引き操作することで、モータ20が駆動し、先端工具Tが自身の軸回りに回転する。これにより、被加工材に対して穿孔加工を施すことができる。具体的には、先端工具Tを被加工材側へ押し付けて、被加工材に対して穿孔加工を施す。また、モータ20の駆動時には、モータ20の駆動軸21と共に、ファン23が回転する。
【0159】
そして、ハンマドリル10の作動時には、ファン23の第2ファン部23Bによって、集塵装置本体150からハンマドリル10へ向かう空気流AR(図10参照)が発生する。具体的には、集塵装置本体150の吸引口154Bにおいて、工具挿通部54Cの径方向内側の空気を吸引部154の内部へ引き込む空気流ARが発生する。
【0160】
これにより、先端工具Tにおける先端部の周囲の空気が、吸引口154Bによって集塵装置本体150の内部に吸引される。すなわち、穿孔加工時に生じる粉塵を含む先端工具Tの周囲の塵埃が、空気と共に、吸引口154Bから吸引部154の内部に流入される。なお、被加工材に対する穿孔加工時には、穿孔加工が経過するに従いハンマドリル10が被加工材に接近して、集塵装置本体150の工具挿通部54Cが被加工材に当接する。このため、ハンマドリル10の穿孔加工時には、被加工材によって吸引部154が後側へ押圧される。これにより、空気流入部152のフロント吸気管57が収縮して、スライドアーム153及び吸引部154が後側へ変位する。
【0161】
吸引部154内に流入された空気流ARは、吸気管155内を後側へ流れて、管出口部56Aから下側へ流出される。管出口部56Aから下側へ流出された空気流ARは、サイクロン入口部64からサイクロン外筒61のリヤ外筒62内に流入される。そして、リヤ外筒62内に流入された空気流ARは、リヤ外筒62の内周面に沿ってサイクロン軸61Aの軸回りを旋回しながら前側へ流れると共に、リヤ外筒62の前端部からフロント外筒63の内部に流出される(図12及び図17の空気流ARを参照)。フロント外筒63の内部に流出された空気流ARは、フロント外筒63の内周面に沿ってサイクロン軸61Aの軸回りを旋回しながら前側へ流れる(図17の空気流ARを参照)。これにより、旋回室61B内において、空気と塵埃とが分離され、分離された塵埃が、フロント外筒63の前端開口部から集塵室60Aの下面に落下する。また、塵埃が分離された空気流ARは、サイクロン外筒61の略中央部を後側へ流れて、排気内筒65内に流入される(図17の空気流ARを参照)。そして、排気内筒65内に流入された空気流ARが、サイクロン出口孔66からフィルタ部70のフィルタ室71内に流入される。
【0162】
フィルタ室71内に流入された空気流ARは、集塵装置本体150の集塵排出口74側へ流れる。すなわち、フィルタ室71内において、空気流ARが上側へ流れると共に、フィルタ72を通過して、集塵排出部73へ流れる(図10の空気流ARを参照)。これにより、空気流ARの塵埃がフィルタ72によって除去されて、粉塵が除去された空気流ARが、集塵装置本体150の集塵排出口74から本体ハウジング13内に流入される。
【0163】
本体ハウジング13内に流入された空気流ARは、ファン23のファン吸気口27Aから第2ファン部23B内に流入する。そして、第2フィン26によって、空気流ARがファン23の径方向外側へ流れて、第2排気口13Dから排出される。以上により、集塵装置本体150によって、先端工具Tの周囲の空気を吸引して、当該空気に含まれる塵埃を分離すると共に、分離した塵埃を集めることができる。
【0164】
ところで、ハンマドリル10に対して上側の被加工材に穿孔加工を施すときには、ハンマドリル10の姿勢を、先端工具Tの先端部が上側へ向くような姿勢にする。このため、集塵装置40では、サイクロン軸61Aが上下方向に延在されると共に、サイクロン部60が、サイクロン外筒61の先端部を上側へ向けるような姿勢になる。このため、サイクロン外筒61の旋回室61Bを旋回する空気流ARの流速が遅くなり、旋回室61Bにおいて、空気と塵埃とを十分に分離することができなくなる可能性がある。この場合には、塵埃が、サイクロン外筒61の旋回室61Bの先端部から集塵室60Aへ排出されずに、旋回室61B内に残留する虞がある。これにより、塵埃を含む空気流ARがサイクロン部60から空気通路部90の下流側へ流れる可能性がある。
【0165】
ここで、集塵装置40のサイクロン部60では、サイクロン外筒61が、サイクロン外筒61の後部を構成するリヤ外筒62と、サイクロン外筒61の前部を構成するフロント外筒63と、を含んで構成されている。また、リヤ外筒62の前端部とフロント外筒63の後端部との間には、開口部61Cが形成されており、開口部61Cは、フロント外筒63及びリヤ外筒62の周方向の全体に亘って、後側へ開放されている。このため、サイクロン部60がサイクロン外筒61の先端部を上側へ向けるような姿勢になり、旋回室61Bを旋回する空気流ARの流速が仮に遅くなり、塵埃が旋回室61B内に残留した場合でも、旋回室61B内に残留された塵埃を、開口部61Cから集塵室60Aへ排出することができる。これにより、塵埃を含む空気流ARがサイクロン部60から空気通路部90の下流側へ流れることを抑制できる。したがって、集塵装置40の集塵性能を向上することができる。
【0166】
また、フロント外筒63の内周面が、前側へ向かうに従い径方向内側へ直線状に傾斜している。すなわち、フロント外筒63の後端部の内径が、フロント外筒63の前端部の内径よりも大きく設定されている。これにより、旋回室61Bにおける空気流ARの流速を速くさせて、分離された塵埃を旋回室61Bから集塵室60Aへ排出することができる。
【0167】
また、フロント外筒63は、第1ケース58Aと一体に形成されており、リヤ外筒62が、第2ケース58Bに一体に形成されている。これにより、開口部61Cを、リヤ外筒62とフロント外筒63との間に、容易に形成することができる。
【0168】
また、集塵装置40では、吸引口154Bがサイクロン部60に対して前側に配置されている。このため、本体ハウジング13から前方側へ延びる先端工具Tの先端部の周囲に生じる粉塵を、集塵装置40において後側へ送って、サイクロン部60において空気と分離することができる。
【0169】
なお、第2の実施の形態では、サイクロン部60において、開口部61Cが、フロント外筒63及びリヤ外筒62の周方向の全体に亘って後側へ開放されて、開口部61Cによって集塵室60Aと旋回室61Bとが連通されているが、集塵室60Aと旋回室61Bとを連通する方法はこれに限らない。例えば、リヤ外筒62の前端部とフロント外筒63の後端部との外径を一致させ、リヤ外筒62の前端部とフロント外筒63の後端部とを接続させると共に、リヤ外筒62とフロント外筒63との間に、径方向外側へ開放された開口部61Cを形成してもよい。すなわち、旋回室61B内に残留された塵埃を集塵室60Aに排出することができる形状に開口部61Cが形成されていればよい。
【0170】
また、第2の実施の形態では、サイクロン部60におけるフロント外筒63の内周面が、側断面視で、前側へ向かうに従い径方向内側へ直線状に傾斜している。換言すると、フロント外筒63の内周面が、単一の傾斜面によって構成されている。これに代えて、フロント外筒63の内周面を、複数の傾斜面によって構成してもよい。また、側断面視で、フロント外筒63の内周面を、円弧状に湾曲させてもよい。
【符号の説明】
【0171】
10…ハンマドリル(作業機)、12…ハウジング、13…本体ハウジング部、13B…第2ドリル側吸気口(吸気口)、14…ハンドルハウジング部、14A…ハンドル部、20…モータ、21…駆動軸、30…駆動機構部(機構部)、40…集塵装置(補助装置)、52…吸引部、52B…吸引口、53…吸気管(吸気通路部)、60…サイクロン部、61…サイクロン筒部、61Aサイクロン軸、62…リヤ筒部(第1筒部)、63…フロント筒部(第2筒部)、64…サイクロン入口部、64B…ガイド面、66…サイクロン出口孔(サイクロン出口部)、70…フィルタ部、71…フィルタ室、72…フィルタ、74…排出口、G1…隙間、T…先端工具、142…アダプタ本体、142A…軸固定部、142B…取付凹部、142C…レール溝、142C1…サイドレール溝、142C2…リヤレール溝、142D…アダプタ連結部、142E…配置凹部、142F…スペーサ収容部、142G…区画リブ、142H…バネ収容部、142J…ロック溝、143…支持軸、144…フロントスペーサ、145…リヤスペーサ、150…集塵装置本体、151…集塵ハウジング、151A…支持筒部、151B…連結部、151C…段差部、151D…第1露出孔、151E…第2露出孔、152…空気流入部、153…スライドアーム、154…吸引部、154A…接続筒部、154B…吸引口、155…吸気管、61C…開口部、61A…サイクロン軸
図1
図2
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