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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/04 20060101AFI20231226BHJP
   F04B 45/047 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F04B45/04 B
F04B45/047 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022553527
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 JP2021029967
(87)【国際公開番号】W WO2022070638
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2020164523
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸拓
(72)【発明者】
【氏名】川端 友徳
(72)【発明者】
【氏名】阿知波 寛基
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038565(WO,A1)
【文献】特開2020-020283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/04
F04B 45/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、前記ポンプを内包する外筐体と、を備え、
前記ポンプは、第1平板と、前記第1平板に対して間隔を空けて対向して配置され、前記第1平板とともにポンプ室を形成する第2平板と、前記第1平板における前記ポンプ室と反対側の面に配置された圧電素子と、を備え、
前記外筐体は、前記第1平板側の第1内部空間を形成し、前記第1内部空間と外部空間とを連通する第1貫通孔を有する第1外壁と、前記第2平板側の第2内部空間を形成し、前記第2内部空間と外部空間とを連通する第2貫通孔を有する第2外壁と、を備え、
前記第1外壁は、前記圧電素子に対向する第1外壁主板と、前記第1外壁主板に接続し、前記第1貫通孔を有する第1側板と、を備え、
前記第1外壁主板は、前記第2外壁よりも高い熱伝導性を有する、
流体制御装置。
【請求項2】
前記第1外壁主板は、前記圧電素子と対向する面が金属である、
請求項1に記載の流体制御装置。
【請求項3】
前記第1外壁主板の主材料は、前記金属である、
請求項2に記載の流体制御装置。
【請求項4】
前記第1外壁主板は、前記金属である、
請求項3に記載の流体制御装置。
【請求項5】
前記第2外壁は、樹脂である、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項6】
前記第2外壁は、前記第2平板に対向する第2外壁主板と、前記第2外壁主板に接続し、前記第貫通孔を有する第2側板と、を備え、
前記第1外壁主板における前記圧電素子に対向する部分は、前記第2外壁主板における平面視において前記圧電素子に重なる部分よりも薄い、
請求項5に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記第1外壁主板の表面に絶縁薄膜を備える、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流体制御装置。
【請求項8】
前記絶縁薄膜は、前記第1外壁主板における前記ポンプ室側の面に配置される、
請求項7に記載の流体制御装置。
【請求項9】
前記絶縁薄膜は、前記第1外壁主板における前記圧電素子に対向する部分に配置される、
請求項8に記載の流体制御装置。
【請求項10】
前記絶縁薄膜は、前記第1外壁主板における前記ポンプ室側の全面に配置される、
請求項9に記載の流体制御装置。
【請求項11】
前記絶縁薄膜は、前記第1外壁主板における前記外部空間側の面に配置される、
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプと、ポンプを内包する筐体と、を備える流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポンプ部、バルブ部、および、外筐体を備える圧電ブロアが記載されている。ポンプ部とバルブ部とは連通する。ポンプ部とバルブ部とから構成される部分は、外筐体内に配置される。ポンプ部とバルブ部とから構成される構造体は、外筐体に固定されている。
【0003】
ポンプ部とバルブ部とから構成される構造体は、外筐体の内部空間を、ポンプ側の空間とバルブ側の空間とに分ける。外筐体には、ポンプ側の空間と外部空間とを連通する貫通孔、および、バルブ側の空間と外部空間とを連通する貫通孔が形成されている。
【0004】
ポンプ部は、圧電素子を備える。圧電素子に駆動電圧信号を印加することで、ポンプとして機能する。圧電素子は、ポンプ側の空間に露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/038565号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような構成では、長時間にわたって圧電素子を駆動すると、発生する熱が外筐体内にこもる。これにより、圧電ブロア全体の温度が上昇し、ブロア(流体制御装置)としての特性が低下してしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、圧電素子の発熱による特性の低下を抑制できる流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の流体制御装置は、ポンプと、ポンプを内包する外筐体と、を備える。ポンプは、第1平板と、第1平板に対して間隔を空けて対向して配置され、第1平板とともにポンプ室を形成する第2平板と、第1平板におけるポンプ室と反対側の面に配置された圧電素子と、を備える。外筐体は、第1平板側の第1内部空間を形成し、第1内部空間と外部空間とを連通する第1貫通孔を有する第1外壁と、第2平板側の第2内部空間を形成し、第2内部空間と外部空間とを連通する第2貫通孔を有する第2外壁と、を備える。第1外壁は、圧電素子に対向する第1外壁主板と、第1外壁主板に接続し、第1貫通孔を有する第1側板と、を備える。第1外壁主板は、第2外壁よりも高い熱伝導性を有する。
【0009】
この構成では、圧電素子の駆動によって発生した熱は、第1外壁主板を介して高効率で外部空間に放熱される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、圧電素子の発熱による特性低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態に係る流体制御装置10の構成の一例を示す分解斜視図である。
図2図2(A)は、第1の実施形態に係る流体制御装置10の構成の一例を示す側面断面図であり、図2(B)は、第1の実施形態に係る流体制御装置10の放熱状態を概略的に示す図である。
図3図3は、比較構成の流体制御装置と本発明の第1の実施形態に係る構成の流体制御装置10における圧電素子側の内部空間の温度を示す図である。
図4図4は、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aの構成の一例を示す側面断面図である。
図5図5は、比較構成の流体制御装置と本発明の第2の実施形態に係る構成の流体制御装置10Aにおける圧電素子側の内部空間の温度を示す図である。
図6図6(A)、図6(B)は、第3の実施形態に係る流体制御装置10B1、10B2の構成の一例を示す側面断面図である。
図7図7(A)は、第4の実施形態に係る流体制御装置10Cの構成の一例を示す側面断面図であり、図7(B)は、第4の実施形態に係る流体制御装置10Cの構成の一部を示す分解斜視図である。
図8図8(A)、図8(B)は、第5の実施形態に係る流体制御装置10D1、10D2の構成の一例を示す側面断面図である。
図9図9(A)、図9(B)は、第6の実施形態に係る流体制御装置10E1、10E2の構成の一例を示す側面断面図である。
図10図10は、第7の実施形態に係る流体制御装置10Fの構成の一例を示す側面断面図である。
図11図11は、第8の実施形態に係る流体制御装置10Gの構成の一例を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る流体制御装置10の構成の一例を示す分解斜視図である。図2(A)は、第1の実施形態に係る流体制御装置10の構成の一例を示す側面断面図であり、図2(B)は、第1の実施形態に係る流体制御装置10の放熱状態を概略的に示す図である。本実施形態を含む各実施形態の各図では、流体制御装置10の構成を分かり易くするため、それぞれの構成要素の形状を部分的または全体として誇張して記載している。
【0013】
図1図2(A)に示すように、流体制御装置10は、ポンプ20、および、外筐体40を備える。概略的に、ポンプ20は、外筐体40に内包されている。
【0014】
(ポンプ20の構成)
ポンプ20は、平板21、平板22、ポンプ用枠体23、および、圧電素子30を備える。
【0015】
平板21は、円板である。平板21は、金属板等からなる。平板21には、貫通孔TH21が形成される。貫通孔TH21は、平板21を厚み方向に貫通する。貫通孔TH21は、平板21における外周端付近に形成される。より具体的には、平面視において、平板21が圧電素子30に重なる部分よりも外周側で、後述するポンプ用枠体23に重なる部分よりも中心側に形成される。貫通孔TH21は、平板21の外周に沿って形成され、離散的な形状の溝である。これにより、平板21における貫通孔TH21の形成部分よりも内側の部分は、ベンディング振動が可能になる。
【0016】
圧電素子30は、平板21の一方主面に配置される。圧電素子30は、円板であり、平面視した形状が平板21より小さい。平面視において、圧電素子30の中心と、平板21の中心とは、ほぼ一致する。圧電素子30は、例えば、平板の圧電体と当該圧電体の両主面に形成された電極パターンとによって実現される。
【0017】
平板22は、平面視した形状が所定形状(流体制御装置10では、矩形)であり、平板21よりも湾曲し難い材料からなり、厚みを有する。
【0018】
平板22は、平板21の他方主面側(圧電素子30が配置される側と反対側)に配置される。平板22は、平板21に対して、主面(平板面)に直交する方向に離間して配置される。平板22の主面と平板21の主面とは平行である。平板22を平面視した面積は、平板21を平面視した面積よりも大きい。平面視において、平板22の中心と平板21の中心とは、ほぼ一致する。平板22には、貫通孔TH22が形成される。貫通孔TH22は、平板22を厚み方向に貫通する。貫通孔TH22は、平板22を平面視した中心に配置される。
【0019】
ポンプ用枠体23は、円環形である。ポンプ用枠体23は、平板21と平板22との間に配置され、平板21と平板22とに接合または接着する。これにより、ポンプ20は、平板21、平板22、および、ポンプ用枠体23に囲まれるポンプ室100を有する。なお、平板21が本発明の「第1平板」に対応し、平板22が本発明の「第2平板」に対応する。
【0020】
(外筐体40の構成)
外筐体40は、外壁主板41、外壁主板42、側板431、および、側板432を備える。なお、図1図2(A)の構成では、平板22の外周端部分も外筐体40の一部を構成している。
【0021】
(第1外壁の構成)
第1外壁は、外壁主板41と側板431とによって構成される。
【0022】
外壁主板41は、所定形状の平板である。例えば、図1図2(A)の場合であれば、外壁主板41は、平面視して矩形の平板である。外壁主板41を平面視した形状は、平板21よりも大きく、平板22とほぼ同じ大きさであり、且つほぼ同じ形状である。
【0023】
外壁主板41は、平板21の一方主面側(圧電素子30が配置される面側)に配置される。外壁主板41の平板面(主面)と平板21の平板面(主面)とは平行であり、対向する。外壁主板41は、平板21の平板面(主面)に直交する方向に、平板21から離間して配置される。この離間距離は、流体制御装置10の通常の使用状況において、平板21のベンディング振動によって圧電素子30と外壁主板41とが接触しない距離である。
【0024】
外壁主板41は、金属(金属板)である。この際、外壁主板41は、熱伝導性の高い金属を材料として用いることが好ましい。ただし、外壁主板41の材料には、熱伝導性と剛性とを考慮して選択してもよい。すなわち、外壁主板41の材料には、流体制御装置10として必要な剛性を有しながら、所望の熱伝導性を得られるものを選択してもよい。例えば、外壁主板41は、SUS等であり、外壁主板41の主材料が例えばSUSであってもよい。また、例えば、Cu等を用いることも可能であり、この場合、信頼性等のために、後述する絶縁薄膜を備えるとよりよい。
【0025】
なお、熱伝導性が高い材料とは、例えば、その材料からなる物質での熱の伝達速度、拡散速度が速いことを意味する。
【0026】
側板431は、所定の高さを有する環状である。側板431の高さ方向の一方端は、平板22の外周端の部分に接続する。側板431の高さ方向の他方端は、外壁主板41の外周端の部分に接続する。この構成により、ポンプ20の平板21側には、外壁主板41、側板431、および、ポンプ20の平板22によって囲まれる内部空間101が形成される。この構成によって、圧電素子30は、内部空間101内に配置される。
【0027】
側板431には、貫通孔51が形成されている。さらに、側板431における貫通孔51が形成される部分の外面側には、ノズル501が配置される。ノズル501の開口は、貫通孔51に連通する。なお、ノズル501は、側板431と一体形成されていても、別体で形成されていてもよい。この貫通孔51によって、内部空間101は、外部空間に連通する。
【0028】
なお、外壁主板41が、本発明の「第1外壁主板」に対応し、側板431が、本発明の「第1側板」に対応する。また、内部空間101が、本発明の「第1内部空間」に対応する。また、貫通孔51が、本発明の「第1貫通孔」に対応する。
【0029】
(第2外壁の構成)
第2外壁は、外壁主板42と側板432とによって構成される。
【0030】
外壁主板42は、所定形状の平板である。例えば、図1図2(A)の場合であれば、外壁主板42は、平面視して矩形の平板である。外壁主板42を平面視した形状は、平板22とほぼ同じ大きさであり、且つほぼ同じ形状である。
【0031】
外壁主板42は、平板22における平板21に対向する側と反対側に配置される。外壁主板42の平板面(主面)と平板22の平板面(主面)とは平行であり、対向する。外壁主板42は、平板22の平板面(主面)に直交する方向に、平板22から離間して配置される。
【0032】
外壁主板42は、金属(金属板)である。なお、外壁主板42は、金属でなくてもよい。
【0033】
側板432は、所定の高さを有する環状である。側板432の高さ方向の一方端は、平板22の外周端の部分に接続する。側板432の高さ方向の他方端は、外壁主板42の外周端の部分に接続する。この構成により、ポンプ20の平板22側には、外壁主板42、側板432、および、ポンプ20の平板22によって囲まれる内部空間102が形成される。
【0034】
側板432には、貫通孔52が形成されている。さらに、側板432における貫通孔52が形成される部分の外面側には、ノズル502が配置される。ノズル502の開口は、貫通孔52に連通する。なお、ノズル502は、側板432と一体形成されていても、別体で形成されていてもよい。この貫通孔52によって、内部空間102は、外部空間に連通する。
【0035】
なお、外壁主板42が、本発明の「第2外壁主板」に対応し、側板432が、本発明の「第2側板」に対応する。また、内部空間102が、本発明の「第2内部空間」に対応する。また、貫通孔52が、本発明の「第2貫通孔」に対応する。
【0036】
(流体制御装置10の動作)
上述の構成の流体制御装置10では、流体を搬送する際、圧電素子30の電極パターンに、交流の駆動信号が印加される。これにより、圧電素子30の圧電体は歪む。この歪みによる応力が平板21に加わることによって、平板21は、ベンディング振動する。平板21がベンディング振動することによって、ポンプ室100内の体積、圧力が変動する。
【0037】
この圧力変動により、例えば、貫通孔TH21を通じて、内部空間101から流体が順次吸入される。この内部空間101内の流体は、貫通孔51およびノズル501を通じて、外部空間から供給される。ポンプ室100内に吸入された流体は、貫通孔TH22を通じて、内部空間102に吐出され、内部空間102の流体は、貫通孔52およびノズル502を通じて、外部空間に吐出される。
【0038】
または、この圧力変動により、例えば、貫通孔TH22を通じて、内部空間102から流体が順次吸入される。この内部空間102内の流体は、貫通孔52およびノズル502を通じて、外部空間から供給される。ポンプ室100内に吸入された流体は、貫通孔TH21を通じて、内部空間101に吐出され、内部空間101の流体は、貫通孔51およびノズル501を通じて、外部空間に吐出される。
【0039】
このような一方向に流体を搬送する動作は、例えば、いずれか一方が連続的に行われる。これにより、流体制御装置10は、流体を一方向に搬送することができる。
【0040】
圧電素子30には、連続的に駆動信号が印加され、連続的に歪みが生じる。これにより、圧電素子30は発熱する。
【0041】
流体制御装置10では、外壁主板41が圧電素子30に対向する。したがって、図2(B)に示すように、圧電素子30から発生した熱は、内部空間101を通じて外壁主板41に伝達され、外壁主板41かから外部空間に放熱される。
【0042】
ここで、外壁主板41は、金属である。すなわち、外壁主板41は、熱伝導性が高い。これにより、圧電素子30から発し、内部空間101を通じて外壁主板41に伝達された熱は、外壁主板41内を伝達、拡散し、外壁主板41の外部空間側の面に伝達される。そして、この外壁主板41の外部空間側の面に伝達された熱は、外部空間に輻射される。
【0043】
この結果、流体制御装置10は、内部空間101および圧電素子30の熱を効果的に放散できる。これにより、流体制御装置10は、内部空間101および圧電素子30の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0044】
図3は、比較構成の流体制御装置と本発明の第1の実施形態に係る構成の流体制御装置10における圧電素子側の内部空間の温度を示す図である。図3は、25℃の環境下で、圧電素子30を1Wで駆動し続けて、20分後の温度である。なお、比較構成は、外筐体を絶縁性樹脂で形成したものである。図3に示すように、本願構成を用いることで、内部空間の温度を低下させることができる。
【0045】
これにより、流体制御装置10は、温度の上昇による流体の搬送特性の劣化を抑制できる。また、流体制御装置10は、流体制御装置10を構成する各部品への熱ストレスを低減でき、信頼性を向上できる。例えば、流体制御装置10は、製品寿命を延ばすことができる。
【0046】
なお、上述の説明では、外壁主板41の厚みを詳細に示していないが、外壁主板41の厚みは、上述の剛性を考慮しながら、可能な限り薄いことが好ましい。これにより、流体制御装置10は、さらに効果的な放熱を実現できる。
【0047】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。図4は、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aの構成の一例を示す側面断面図である。
【0048】
図4に示すように、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aは、第1の実施形態に係る流体制御装置10に対して、外筐体40Aの外壁主板42Aの構成において異なる。流体制御装置10Aの他の構成は、流体制御装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0049】
流体制御装置10Aは外筐体40Aを備え、外筐体40Aは外壁主板42Aを備える。外壁主板42Aは、絶縁性樹脂によって形成される。このような構成によって、流体制御装置10Aは、流体制御装置10と同様の作用効果を奏することができる。
【0050】
図5は、比較構成の流体制御装置と本発明の第2の実施形態に係る構成の流体制御装置10Aにおける圧電素子側の内部空間の温度を示す図である。図5は、25℃の環境下で、圧電素子30を1Wで駆動し続けて、20分後の温度である。なお、比較構成は、外筐体を絶縁性樹脂で形成したものである。図5に示すように、本実施形態の構成を用いることで、内部空間の温度を低下させることができる。
【0051】
また、流体制御装置10Aは、軽量化を実現できる。
【0052】
流体制御装置10Aでは、外壁主板42Aを外壁主板41よりも厚くする。これにより、流体制御装置10Aは、外壁主板42Aを絶縁性樹脂で構成しても、外筐体40Aの剛性を高くできる。
【0053】
言い換えれば、流体制御装置10Aでは、外壁主板41を外壁主板42Aよりも薄くする。これにより、流体制御装置10Aは、外筐体40Aに所定の剛性を維持しながら、更なる軽量化を実現できる。また、外壁主板41が薄くなることによって、流体制御装置10Aは、放熱性(外部空間への排熱性)をさらに向上できる。
【0054】
この際、流体制御装置10Aは、外壁主板41における少なくとも圧電素子30に対向する部分(平面視において圧電素子30に重なる部分)を薄くすることで、放熱性の向上を実現できる。また、流体制御装置10Aは、外壁主板41における圧電素子30に対向する部分(平面視において圧電素子30に重なる部分)のみを薄くすることで、放熱性の向上とより高い剛性の確保を実現できる。
【0055】
なお、上述の説明では、外壁主板42Aと側板432とを別体で形成する態様を示した。しかしながら、外壁主板42Aと側板432とは、一体形成されていてもよい。
【0056】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。図6(A)は、第3の実施形態に係る流体制御装置10B1の構成の一例を示す側面断面図であり、図6(B)は、第3の実施形態に係る流体制御装置10B2の構成の一例を示す側面断面図である。
【0057】
図6(A)に示すように、第3の実施形態に係る一態様の流体制御装置10B1は、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aに対して、絶縁薄膜401を備える点で異なる。なお、流体制御装置10B1において、外筐体40Bおよび外壁主板42Bは、流体制御装置10Aの外筐体40Aおよび外壁主板42Aと同様である。流体制御装置10B1のその他の構成は、流体制御装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0058】
流体制御装置10B1は、絶縁薄膜401を備える。絶縁薄膜401は、外壁主板41における圧電素子30側の面に配置される。絶縁薄膜401は、外壁主板41と比較して薄く、所定の熱伝導性を有する。この際、熱伝導性の高い絶縁薄膜401を使用することで、外壁主板41の内部空間101側の表面の熱放射率を上げることができ、内部空間101から外壁主板41への熱抵抗の上昇を抑えることができる。
【0059】
このような構成によって、流体制御装置10B1は、流体制御装置10Aと同様の作用効果を奏するとともに、金属製の外壁主板41と圧電素子30との短絡を抑制できる。
【0060】
なお、図6(A)では、外壁主板41における圧電素子30側の面の全面に絶縁薄膜401を配置する態様を示した。しかしながら、絶縁薄膜401は、外壁主板41の少なくとも圧電素子30に対向する部分(平面視において圧電素子30に重なる部分)に配置されていればよい。また、流体制御装置10B1は、外壁主板41における圧電素子30に対向する部分(平面視において圧電素子30に重なる部分)のみに絶縁薄膜401を配置することで、放熱性の確保と短絡の抑制とを実現できる。
【0061】
図6(B)に示すように、第3の実施形態に係る一態様の流体制御装置10B2は、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aに対して、絶縁薄膜402を備える点で異なる。なお、流体制御装置10B2において、外筐体40Bおよび外壁主板42Bは、流体制御装置10Aの外筐体40Aおよび外壁主板42Aと同様である。流体制御装置10B2のその他の構成は、流体制御装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0062】
流体制御装置10B2は、絶縁薄膜402を備える。絶縁薄膜402は、外壁主板41における外部空間側の面に配置される。絶縁薄膜402は、外壁主板41と比較して薄く、所定の熱伝導性を有する。この際、熱伝導性の高い絶縁薄膜402を使用することで、外壁主板41の外部空間側の表面の熱放射率を上げることができ、外壁主板41から外部空間への熱の輻射抵抗の上昇を抑えることができる。
【0063】
このような構成によって、流体制御装置10Bは、流体制御装置10Aと同様の作用効果を奏するとともに、金属製の外壁主板41と外部の導体等との短絡を抑制できる。
【0064】
なお、図6)では、外壁主板41における外部空間側の面の全面に絶縁薄膜40を配置する態様を示した。しかしながら、絶縁薄膜402は、外壁主板41における少なくとも必要箇所に配置されていればよい。例えば、絶縁薄膜402は、流体制御装置10B2に近接する導体に対向する部分に配置されていればよい。また、図6(B)では、流体制御装置10B2は、外壁主板41における必要箇所のみに絶縁薄膜402を配置することで、放熱性の確保と短絡の抑制とを実現できる。
【0065】
なお、流体制御装置は、図6(A)に示す絶縁薄膜401と図6(B)に示す絶縁薄膜402との両方を配置することも可能である。また、図6(A)、図6(B)において、絶縁薄膜401、絶縁薄膜402は、所定のパターンで配置されていてもよい。例えば、絶縁薄膜401は、メッシュ状、水玉状等であってもよい。
【0066】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。図7(A)は、第4の実施形態に係る流体制御装置10Cの構成の一例を示す側面断面図であり、図7(B)は、第4の実施形態に係る流体制御装置10Cの構成の一部を示す分解斜視図である。
【0067】
図7(A)、図7(B)に示すように、第4の実施形態に係る流体制御装置10Cは、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aに対して、外筐体40Cの外壁主板41Cの構成において異なる。なお、流体制御装置10Cにおいて、外壁主板42Cは、流体制御装置10Aの外壁主板42Aと同様である。流体制御装置10Cのその他の構成は、流体制御装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0068】
外壁主板41Cは、金属部411と樹脂部412とを備える。樹脂部412は、金属部411の外周を囲むように配置される。
【0069】
金属部411は、例えば、円板形状である。金属部411を平面形状は、圧電素子30の平面形状と略同じである。金属部411は、圧電素子30に対向する。なお、金属部411の面積は、圧電素子30の面積とほぼ同じでなくてもよく、圧電素子30の面積以上であることが好ましい。
【0070】
このような構成によって、流体制御装置10Cは、内部空間101および圧電素子30の熱を効果的に放散できる。また、流体制御装置10Cは、軽量化を実現できる。
【0071】
なお、金属部411を樹脂部412よりも薄くすることも可能であり、この構成によって、流体制御装置10Cは、熱をより効果的に放散できる。
【0072】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。図8(A)は、第5の実施形態に係る流体制御装置10D1の構成の一例を示す側面断面図であり、図8(B)は、第5の実施形態に係る流体制御装置10D2の構成の一例を示す側面断面図である。
【0073】
図8(A)、図8(B)に示すように、第5の実施形態に係る流体制御装置10D1、10D2は、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aに対して、外筐体40Dの外壁主板41D1、41D2において異なる。なお、流体制御装置10D1、10D2において、外壁主板42Dは、流体制御装置10Aの外壁主板42Aと同様である。流体制御装置10D1、10D2のその他の構成は、流体制御装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0074】
図8(A)に示すように、流体制御装置10D1において外壁主板41D1は、金属部411D1と樹脂部412とを備える。
【0075】
金属部411D1は、厚みの異なる2つの領域を有する。より具体的には、厚い中央領域と薄い周辺領域とを有する。中央領域の平面形状は、圧電素子30の平面形状と略同じである。周辺領域は、中央領域の外周を囲む形状であり、周辺領域の外形形状は、平板22の平面形状と略同じである。金属部411D1の一方主面は、中央領域と周辺領域とで面一である。金属部411D1の他方主面は、周辺領域が中央領域よりも凹む形状である。
【0076】
樹脂部412は、中央に開口を有する平板である。樹脂部412は、金属部411D1の他方主面側における周辺領域の部分に配置される。言い換えれば、樹脂部412は、金属部411D1の他方主面側の凹みを埋めるように配置される。これにより、外壁主板41D1の両主面は平坦になる。
【0077】
外壁主板41D1は、金属部411D1の他方主面が圧電素子30に対向するように配置される。
【0078】
このような構成によって、流体制御装置10D1は、内部空間101および圧電素子30の熱を効果的に放散できる。また、外壁主板41D1は、全体が金属からなる外壁主板41よりも軽量化を実現できる。
【0079】
図8(B)に示すように、流体制御装置10D2において外壁主板41D2は、金属部411D2と樹脂部412とを備える。
【0080】
金属部411D2は、金属部411D1と同じ形状である。外壁主板41D2は、金属部411D1の他方主面が外部空間に露出するように配置される。
【0081】
このような構成によって、流体制御装置10D2は、内部空間101および圧電素子30の熱を効果的に放散できる。また、外壁主板41D2は、全体が金属からなる外壁主板41よりも軽量化を実現できる。
【0082】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。図9(A)は、第6の実施形態に係る流体制御装置10E1の構成の一例を示す側面断面図であり、図9(B)は、第6の実施形態に係る流体制御装置10E2の構成の一例を示す側面断面図である。
【0083】
図9(A)、図9(B)に示すように、第6の実施形態に係る流体制御装置10E1、10E2は、第1の実施形態に係る流体制御装置10に対して、バルブ60E1、60E2を備える点において異なる。流体制御装置10E1、10E2のその他の構成は、流体制御装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0084】
図9(A)に示すように、流体制御装置10E1は、バルブ60E1を備える。バルブ60E1は、平板22E、平板61、バルブ用枠体62、および、弁膜63を備える。
【0085】
平板22Eは、上述の平板22と同様に、平板21に対向し、平板21、ポンプ用枠体23とともに、ポンプ室100を形成する。
【0086】
平板61は、平板22Eに対して、平板21側と反対側に離間して配置される。平板61は、平板22Eに対向する。
【0087】
バルブ用枠体62は、環形である。バルブ用枠体62は、平板22Eと平板61との間に配置され、平板22Eと平板61とに接合または接着する。これにより、バルブ60E1は、平板22E、平板61、および、バルブ用枠体62に囲まれるバルブ室110を有する。
【0088】
弁膜63は、バルブ室110内において、厚み方向に移動可能に配置される。
【0089】
平板22Eには、貫通孔TH22Eが形成される。平板61には、貫通孔TH61が形成される。平面視において(平板61および平板22Eの平板面(主面)に直交する方向に視て)、貫通孔TH61と貫通孔TH22Eとは重ならない。弁膜63には、貫通孔TH63が形成されており、弁膜63の貫通孔TH63は、貫通孔TH61に重なり、貫通孔TH22Eには重ならない。
【0090】
バルブ60E1とポンプ20Eとからなる構造体は、内部空間101と内部空間102とを隔てる支持部材71によって、外筐体40に固定される。
【0091】
この構成により、流体制御装置10E1は、ポンプ20Eからバルブ60E1に流入する方向に流体を搬送し、逆方向の搬送を抑制できる。
【0092】
図9(B)に示すように、流体制御装置10E2は、バルブ60E2を備える。バルブ60E2は、平板22E、平板61、バルブ用枠体62、および、弁膜63を備える。バルブ60E2は、バルブ60E1に対して、平板22Eに対する貫通孔TH22E、および、平板61に対する貫通孔TH61の形成位置が異なる。バルブ60E2の他の構成は、バルブ60E1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0093】
平板22Eには、貫通孔TH22Eが形成される。平板61には、貫通孔TH61が形成される。平面視において(平板61および平板22Eの平板面(主面)に直交する方向に視て)、貫通孔TH61と貫通孔TH22Eとは重ならない。弁膜63には、貫通孔TH63が形成されており、弁膜63の貫通孔TH63は、貫通孔TH22Eに重なり、貫通孔TH61には重ならない。
【0094】
この構成により、流体制御装置10E2は、バルブ60E2からポンプ20Eに流入する方向に流体を搬送し、逆方向の搬送を抑制できる。
【0095】
このようなバルブを有する構成であっても、流体制御装置10E1、10E2は、内部空間101および圧電素子30の熱を効果的に放散できる。
【0096】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。図10は、第7の実施形態に係る流体制御装置10Fの構成の一例を示す側面断面図である。
【0097】
図10に示すように、第7の実施形態に係る流体制御装置10Fは、第1の実施形態に係る流体制御装置10に対して、ノズル501、502を省略した点において異なる。流体制御装置10Fのその他の構成は、流体制御装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0098】
流体制御装置10Fは、ノズル501、502を有さない。このような構成であっても、流体制御装置10Fは、内部空間101および圧電素子30の熱を効果的に放散できる。
【0099】
[第8の実施形態]
本発明の第8の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。図11は、第8の実施形態に係る流体制御装置10Gの構成の一例を示す側面断面図である。
【0100】
図11に示すように、第8の実施形態に係る流体制御装置10Gは、第2の実施形態に係る流体制御装置10Aに対して、内部空間102を外部空間に連通する貫通孔420Gの形成態様において異なる。流体制御装置10Gのその他の構成は、流体制御装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0101】
流体制御装置10Gは、外壁主板42Gを含む外筐体40Gを備える。外壁主板42Gには、貫通孔420Gが形成される。
【0102】
このような構成であっても、流体制御装置10Gは、内部空間101および圧電素子30の熱を効果的に放散できる。
【0103】
なお、上述の各実施形態において、金属からなる部分は、1枚の金属によって形成される態様を示したが、複数の金属を積層したものであってもよい。または、薄い絶縁性のコア材に、コア材よりも厚く金属を積層して形成したものであってもよい。
【0104】
また、上述の各実施形態の構成は、適宜組合せ可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0105】
TH21、TH22、TH22E、TH61、TH63:貫通孔
10、10A、10B1、10B2、10C、10D1、10D2、10E1、10E2、10F、10G:流体制御装置
20、20E:ポンプ
21、22、22E:平板
23:ポンプ用枠体
30:圧電素子
40、40A、40B、40C、40D、40G:外筐体
41、41C、41D1、41D2、42、42A、42B、42C、42D、42G:外壁主板
51、52:貫通孔
60E1、60E2:バルブ
61:平板
62:バルブ用枠体
63:弁膜
71:支持部材
100:ポンプ室
101、102:内部空間
110:バルブ室
401、402:絶縁薄膜
411、411D1、411D2:金属部
412:樹脂部
420G:貫通孔
431、432:側板
501、502:ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11