(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】データ計測システムおよび計測データのデータ処理を実行する方法
(51)【国際特許分類】
H04L 7/04 20060101AFI20231226BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H04L7/04
G08C15/06 H
(21)【出願番号】P 2022557479
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2021038228
(87)【国際公開番号】W WO2022080484
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2020174542
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 耕一
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-128452(JP,A)
【文献】特開2014-128453(JP,A)
【文献】国際公開第2014/142162(WO,A1)
【文献】特開2008-58224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/04
G08C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計測装置と、
前記複数の計測装置の各々から取得したデータのデータ処理を実行するデータ処理装置と、
前記複数の計測装置に対して、前記データ処理に関するトリガ信号を無線で送信する送信機とを備え、
前記トリガ信号は、前記データ処理の開始タイミングに対応する第1パルス群、および、前記データ処理の終了タイミングに対応する第2パルス群を含み、
前記データ処理装置は、前記開始タイミングと前記終了タイミングとの間に計測されたデータを取得し、当該取得したデータにおける前記開始タイミング同士および前記終了タイミング同士を時間的に合致させて、前記複数の計測装置の計測データを処理し、
前記第1パルス群および前記第2パルス群の各々は、所定の間隔をあけて連続して送信される第1パルスおよび第2パルスを含み、
前記第1パルスおよび前記第2パルスは、互いに異なるパルス幅を有しており、
前記開始タイミングは、前記第1パルス群における前記第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、前記第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングであり、
前記終了タイミングは、前記第2パルス群における前記第1パルスの発生から前記第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、前記第2パルスの発生から前記第2所定時間離隔したタイミングである、データ計測システム。
【請求項2】
前記第1パルスの発生から前記第1所定時間離隔したタイミングと、前記第2パルスの発生から前記第2所定時間離隔したタイミングとが一致するように、前記第1所定時間および前記第2所定時間が設定されている、請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項3】
前記第1パルス群および前記第2パルス群の各々は、前記第1パルスおよび前記第2パルスとは異なるパルス幅を有する第3パルスをさらに含み、
前記開始タイミングは、前記第1パルス群における前記第1パルスの発生から前記第1所定時間離隔したタイミング、前記第2パルスの発生から前記第2所定時間離隔したタイミング、あるいは、前記第3パルスの発生から第3所定時間離隔したタイミングであり、
前記終了タイミングは、前記第2パルス群における前記第1パルスの発生から前記第1所定時間離隔したタイミング、前記第2パルスの発生から前記第2所定時間離隔したタイミング、あるいは、前記第3パルスの発生から前記第3所定時間離隔したタイミングであり、
前記第1パルスの発生から前記第1所定時間離隔したタイミング、前記第2パルスの発生から前記第2所定時間離隔したタイミング、および、前記第3パルスの発生から前記第3所定時間離隔したタイミングが一致するように、前記第1所定時間、前記第2所定時間および前記第3所定時間が設定されている、請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項4】
前記送信機は、前記複数の計測装置のうちのいずれかの計測装置に含まれる、請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項5】
前記複数の計測装置の各々は、環境情報を計測する環境センサ、生体情報を計測する生体センサ、および、画像を撮影する画像センサのいずれかのセンサを含む、請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項6】
前記複数の計測装置の各々は、当該計測装置で計測された計測データを記憶するための記憶装置を含み、前記センサから前記記憶装置までの信号伝達手段を有線で行なう、請求項5に記載のデータ計測システム。
【請求項7】
前記計測データをユーザに提示する表示装置をさらに備える、請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項8】
前記複数の計測装置の少なくとも1つが、前記トリガ信号に含まれる前記第1パルス群に含まれる前記第1パルスおよび前記第2パルスをともに受信したかを判定し、前記送信機は、前記判定の結果に応じて、前記複数の計測装置に前記トリガ信号を再送信する、請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項9】
前記複数の計測装置の少なくとも1つが、前記トリガ信号に含まれる前記第2パルス群に含まれる前記第1パルスおよび前記第2パルスをともに受信したかを判定し、前記送信機は、前記判定の結果に応じて、前記複数の計測装置に前記トリガ信号を再送信する、請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項10】
複数の計測装置を含むデータ計測システムにおいて、計測データのデータ処理を実行する方法であって、
前記データ計測システムは、前記データ処理に関するトリガ信号を送信する送信機と、データ処理装置とを備え、
前記トリガ信号は、前記データ処理の開始タイミングに対応する第1パルス群、および、前記データ処理の終了タイミングに対応する第2パルス群を含み、
前記方法は、
前記送信機によって、前記複数の計測装置に対して前記トリガ信号を無線で送信するステップと、
前記データ処理装置において、前記開始タイミングと前記終了タイミングとの間に計測されたデータを取得するステップと、
前記データ処理装置において、当該取得したデータにおける前記開始タイミング同士および前記終了タイミング同士を時間的に合致させて、前記複数の計測装置の計測データを処理するステップとを含み、
前記第1パルス群および前記第2パルス群の各々は、所定の間隔をあけて連続して送信される第1パルスおよび第2パルスを含み、
前記第1パルスおよび前記第2パルスは、互いに異なるパルス幅を有しており、
前記開始タイミングは、前記第1パルス群における前記第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、前記第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングであり、
前記終了タイミングは、前記第2パルス群における前記第1パルスの発生から前記第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、前記第2パルスの発生から前記第2所定時間離隔したタイミングである、方法。
【請求項11】
前記送信するステップの後に、前記トリガ信号に含まれる前記第1パルス群に含まれる前記第1パルスおよび前記第2パルスの少なくとも1つを受信したかを判定するステップと、
前記送信機によって、前記判定の結果に応じて、前記複数の計測装置に前記トリガ信号を再送信するステップとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記送信するステップの後に、前記トリガ信号に含まれる前記第2パルス群に含まれる前記第1パルスおよび前記第2パルスの少なくとも1つを受信したかを判定するステップと、
前記送信機によって、前記判定の結果に応じて、前記複数の計測装置に前記トリガ信号を再送信するステップとを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ計測システムおよび計測データのデータ処理を実行する方法に関し、より特定的には、複数の計測装置によって計測されたデータを時系列的に同期させて提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人の動作解析に関する研究が進められている。たとえば、以下の非特許文献1には、作業者に取り付けた複数のモーションセンサおよび生体センサと、作業者の作業中の画像とに基づいて作業姿勢を可視化するシステムが紹介されている。非特許文献1に示されるシステムは、作業中に作業者に加わる負荷を認識および解析して作業環境を改善することによって、生産性の向上を図ることを目的としている。
【0003】
また、非特許文献2には、上記のようなシステムに適用可能な生体センサの一例である視線計測装置が開示されている。非特許文献2に開示されている視線計測装置においては、計測の開始および終了させるための外部信号の入力端子が備えられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Creact社 CAPTIV-L7000ソリューション,https://www.creact.co.jp/item/measure/ergonomics/captiv-l7000/l7000-top
【文献】Tobii社 Tobii Pro Glasses 2 User's Manual,https://www.tobiipro.com/siteassets/tobii-pro/user-manuals/tobii-pro-glasses-2-user-manual.pdf/?v=1.1.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような動作解析においては、被験者の動作を記録するための画像情報、体温および脈拍などの被験者の状態を示す生体情報、ならびに、気温および騒音などの被験者が置かれた環境の状態を示す環境情報との時系列的な関係を把握することが重要となる。一方で、これらの情報はカメラ、生体センサおよび温湿度センサなど個別の計測装置で取得される場合が多い。
【0006】
複数の計測装置によって取得された計測データを時系列的に同期させる手法として、特定の送信機から共通のトリガ信号を複数の計測装置に無線でブロードキャストし、各計測装置で記録された計測データに含まれるトリガ信号のタイミングを合致させることによって、複数の計測データを同期させる場合がある。このような場合に、一時的な電波障害などで、計測装置において送信機からのトリガ信号を正しく受信できないと、後続の処理において、記録された計測データを同期させることができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の計測装置から取得した計測データを収集して提示するシステムにおいて、取得した計測データの時系列的な同期をより確実に行なうことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にある局面に従うデータ計測システムは、複数の計測装置と、複数の計測装置の各々から取得したデータのデータ処理を実行するデータ処理装置と、複数の計測装置に対して上記データ処理に関するトリガ信号を無線で送信する送信機とを備える。トリガ信号は、データ処理の開始タイミングに対応する第1パルス群、および、データ処理の終了タイミングに対応する第2パルス群を含む。データ処理装置は、上記開始タイミングと、上記終了タイミングとの間に計測されたデータを取得し、当該取得したデータにおける開始タイミング同士および終了タイミング同士を時間的に合致させて、複数の計測装置の計測データを処理する。第1パルス群および第2パルス群の各々は、所定の間隔をあけて連続して送信される第1パルスおよび第2パルスを含む。第1パルスおよび第2パルスは、互いに異なるパルス幅を有している。開始タイミングは、第1パルス群における第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングである。終了タイミングは、第2パルス群における第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングである。
【0009】
本発明の他の局面に従う方法は、複数の計測装置を含むデータ計測システムにおいて、計測データのデータ処理を実行するための方法に関する。データ計測システムは、データ処理に関するトリガ信号を送信する送信機と、データ処理装置とを備える。トリガ信号は、データ処理の開始タイミングに対応する第1パルス群、および、データ処理の終了タイミングに対応する第2パルス群を含む。方法は、i)送信機によって、複数の計測装置に対してトリガ信号を無線で送信するステップと、ii)データ処理装置において、上記開始タイミングと上記終了タイミングとの間に計測されたデータを取得するステップと、iii)データ処理装置において、当該取得したデータにおける開始タイミング同士および終了タイミング同士を時間的に合致させて、複数の計測装置の計測データを処理するステップとを含む。第1パルス群および第2パルス群の各々は、所定の間隔をあけて連続して送信される第1パルスおよび第2パルスを含む。第1パルスおよび第2パルスは、互いに異なるパルス幅を有している。開始タイミングは、第1パルス群における第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングである。終了タイミングは、第2パルス群における第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るデータ計測システムによれば、複数の計測装置の各々から取得された計測データにおいて、共通の送信機から送信されたトリガ信号(第1パルス群,第2パルス群)に基づく開始タイミングから終了タイミングまでの間のデータが、当該開始タイミング同士および終了タイミング同士を時間的に合致させて処理される。このとき、トリガ信号の第1パルス群および第2パルス群の各々には、パルス幅の異なる2つのパルス信号(第1パルス,第2パルス)が含まれており、開始タイミングおよび終了タイミングの各々は、受信した第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、受信した第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングによって設定される。これにより、各計測装置においてトリガ信号に含まれる少なくとも1つのパルス信号が受信できれば、データ処理装置において計測データを同期させることが可能となる。したがって、取得した計測データの時系列的な同期をより確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係るデータ計測システムの全体ブロック図である。
【
図2】計測装置における計測データとマーカ信号との関係を説明するための図である。
【
図3】複数の計測装置の場合における、各計測データとマーカ信号との関係を説明するための図である。
【
図4】計測データにマーカ信号を重畳させた場合の波形の例を示す図である。
【
図5】カメラ画像におけるマーカ信号を説明するための図である。
【
図6】比較例におけるトリガ信号を説明するための図である。
【
図7】実施の形態のデータ計測システムにおけるトリガ信号を説明するための図である。
【
図8】実施の形態のデータ計測システムにおけるトリガ信号と同期タイミングとの関係を説明するための図である。
【
図9】データ計測システムにおける各機器の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】変形例1のデータ計測システムを示す図である。
【
図11】変形例2のデータ計測システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
[データ計測システムの構成]
図1は実施の形態に係るデータ計測システム10の全体ブロック図である。
図1を参照して、データ計測システム10は、信号送信機110と、複数の信号受信機120A,120B,120X(以下、包括的に「信号受信機120」とも称する。)と、計測装置130A,130Bと、ビデオカメラ130X,130Yと、データ処理装置150と、表示装置160とを備える。なお、以下の説明において、計測装置130A,130Bおよびビデオカメラ130X,130Yを、包括的に「計測装置130」とも称する。データ計測システム10は、複数の計測装置130から取得される、画像データを含む計測データを時系列的に同期させて表示する。データ計測システムは、たとえば、被験者あるいは観察対象物が受けるイベントと、当該イベントに起因して当該被験者あるいは対象物に生じる状態変化との関連を観察および解析するために用いられる。
【0014】
信号送信機110は、複数の計測装置130における計測データを同期させるために用いられるトリガ信号を送信する。信号送信機110は、たとえば、無線通信および/または有線通信を用いて、パルス状のトリガ信号を一斉送信(ブロードキャスト)する。本実施の形態においては、トリガ信号は、各計測装置の起動信号および計測開始信号ではなく、各計測装置における計測対象期間を特定するための信号であり、計測対象期間の開始時と終了時に送信される。基本的には、トリガ信号は、各計測装置130が起動され計測を実行している間に発信される。なお、トリガ信号は、必ずしもパルス信号に限られず、正弦波のような特定のパターンを有する信号、あるいは識別用のIDデータを含んだパケット信号などであってもよい。
【0015】
信号受信機120は、信号送信機110から送信されたトリガ信号を受信することが可能に構成されている。信号受信機120は、トリガ信号を受信したことに応答して、トリガ信号に対応したマーカ信号を計測装置130に送信する。
【0016】
図1の例においては、信号受信機120Aは計測装置130Aに接続されており、信号受信機120Bは計測装置130Bに接続されている。この場合、信号受信機120A,120Bは、受信したトリガ信号を計測装置130A,130Bにそれぞれ送信する。なお、トリガ信号がパルス信号である場合には、信号受信機120から計測装置130には、受信したトリガ信号がそのまま転送される。トリガ信号がパルス信号以外の形態の信号の場合には、信号受信機120によってトリガ信号がパルス信号に変換されて計測装置130へ送信される。
【0017】
なお、信号受信機は計測装置ごとに個別に配置されていなくてもよく、1つの信号受信機からの信号が2つ以上の計測装置に送信されていてもよい。後述するように、計測装置130A,130Bにおいては、信号受信機120A,120Bから送信された信号が、計測データとともに時系列的に記憶装置133に記憶される。
【0018】
信号受信機120Xは発光装置であり、LEDなどの発光部(図示せず)を有している。信号受信機120Xは、トリガ信号を受信したことに応答して発光部を点灯あるいは消灯させる。計測装置がビデオカメラの場合、上記のようなパルス信号を画像データと独立した信号として記憶することができない。ビデオカメラの視野範囲内に信号受信機120Xを配置しておくことで、連続した画像フレーム内に発光部の変化(点灯/消灯)が記録される。そのため、発光部の変化タイミングを用いて、計測データを同期させることができる。
【0019】
計測装置130A,130Bは、たとえば、気温、気圧、湿度および騒音などの被験者あるいは対象物が置かれた環境の状態を検出するための環境センサ、および/または、体温、脈拍、呼吸、心拍数、脳波、視線、脳血流および加速度などの被験者の状態を検出するための生体センサである。計測装置130A,130Bの各々には、CPU131、検出部132、および記憶装置133が含まれる。CPU131は、計測装置130を統括的に制御するための制御装置である。計測装置130A,130Bにおいては、検出部132で検出されたデータが記憶装置133に記憶される。また、計測装置130A,130Bにおいては、信号受信機120A,120Bから送信されたマーカ信号が、計測データとともに記憶装置133に記憶される。
【0020】
計測装置130A,130Bは、データ処理装置150との間で通信することが可能である。
図1の例においては、計測装置130Aは、記憶された計測データおよびマーカ信号を有線通信を用いてデータ処理装置150へ送信する。また、計測装置130Bの場合には、無線通信を用いて計測データおよびマーカ信号をデータ処理装置150へ送信する。
【0021】
ビデオカメラ130X,130Yは、撮像部(画像センサ)135および記憶装置136を含む。ビデオカメラ130X,130Yは、撮像部135によって取得した被験者あるいは観察対象物の動作の画像データを記憶装置136に記憶する。ビデオカメラ130X,130Yにおいては、たとえば、被験者の作業シーンを複数の角度から撮影した画像、被験者の顔の表情を撮影した画像、および被験者の瞳孔の変化を撮影した画像などが取得される。
【0022】
記憶装置136に記憶された画像データは、メモリカードのような取り外し可能な外部記憶媒体140によって取り出されて、データ処理装置150に読み込まれる。なお、ビデオカメラからデータ処理装置150への計測データの転送は、上述の計測装置130A,130Bと同様に、有線通信あるいは無線通信で実行されてもよい。
【0023】
各計測装置130においては、機器内部に記憶装置133,136が設けられており、データを取得する検出部132および撮像部135とこれらの記憶装置133,136との間の信号伝達手段は有線で行なわれる。無線方式によるデータ伝送においてはデータ欠陥となる可能性が高くなる。そのため、データ取得部と記憶装置との間のデータ伝送を有線方式とすることで、計測データおよびマーカ信号のデータ欠損を抑制することができる。
【0024】
データ処理装置150は、CPU151と、記憶装置152とを含む。データ処理装置150は、各計測装置130からの計測データを、通信あるいは外部記憶媒体を介して取得する。データ処理装置150は、各計測データとともに送信されたマーカ信号に基づいて、各計測データの取得期間が一致するように同期処理を行ない、処理後の計測データを表示装置160に表示する。当該データ計測システム10のユーザは、表示装置160に表示されたデータを用いて、発生したイベントに対して、被験者の状態がどのように変化するかを解析することができる。
【0025】
なお、
図1においては、信号受信機120が計測装置130と独立した機器として記載されているが、計測装置130に信号受信機120の機能が含まれていてもよい。計測装置130が、本実施の形態のシステムに適応した専用機器である場合には、信号受信機と計測装置とが一体となった構成とすることがより好ましい。一方で、汎用の計測装置の場合には、別体の信号受信機を用いることで、簡便に本システムへの適用が可能となる。
【0026】
また、計測装置130のいずれかに、信号送信機110の機能が含まれていてもよい。この場合、信号送信機の機能を含む当該計測装置において計測開始(終了)の操作をすることで、それに応答して他の計測装置における計測およびデータの記憶を開始(終了)することができる。
【0027】
このような、複数の計測装置によって取得された計測データを時系列的に同期させる手法として、たとえば、各計測装置が有する計時機能によるタイムスタンプを参照し、当該タイムスタンプが同時刻となるように計測データを同期させる場合がある。この場合、すべての計測装置の時刻が一致していることは稀であり、各計測装置における時刻は、実際の時刻に対して少なからず時間的なオフセットが生じ得る。
【0028】
また、各計測装置において計時機能を行なうためのクロック信号のクロック周波数についても、クロック信号を生成するための発振器のクロック周波数に少なからず誤差が生じ得る。そのため、仮に計測装置間での開始時刻のオフセットがない場合であっても、同じクロック数で示される時間が、計測装置ごとにずれてしまう可能性がある。そうすると、各計測装置の開始時刻が一致していた場合であっても、特に計測期間が長くなるほど計測データ間の時刻のずれが大きくなり、データ間の関連度合い(同期精度)が低下し得る。
【0029】
本実施の形態に係るデータ計測システム10においては、各計測装置において、信号送信機110から一斉送信されるトリガ信号に基づくマーカ信号を計測データとともに記憶し、データ処理装置150において、計測対象期間の開始時のマーカ信号(開始信号)と終了時のマーカ信号(終了信号)とに基づいて各計測データを同期させる手法を採用する。このような構成とすることで、仮に各計測装置におけるタイムスタンプあるいはクロック周期に誤差がある場合であっても、各計測装置において認識される2つのマーカ信号の間の相対時間の差は、少なくとも各計測装置における制御周期の1周期以下となる。したがって、本実施の形態のような同期処理を用いることで、計測対象期間内のデータ間の同期精度を高めることができる。
【0030】
[同期処理の概要]
図2は、計測装置130における計測データとマーカ信号との関係を説明するための図である。
図2の上段には検出部132で検出された計測値が示されており、下段にはマーカ信号が示されている。
【0031】
図2を参照して、時刻t1において開始時のマーカ信号が受信され、時刻t2において終了時のマーカ信号が受信されている(線LN11)。すなわち、計測対象期間は時刻t1~t2の間である。計測装置130においては、線LN10のように変化する計測データを所定のサンプリングレートでサンプリングし、記憶装置133に記憶する。このとき、機器内の計時機能におけるタイムスタンプ(時刻)に関連付けて、計測データおよびマーカ信号が記憶される。
【0032】
図3は、複数の計測装置の場合における、各計測データとマーカ信号との関係を説明するための図である。
図3において、たとえば、(a)は
図1における計測装置130Aにおけるデータであり、(b)は
図1における計測装置130Bにおけるデータである。
図3の例では、計測装置130Aにおけるタイムスタンプにおいては、計測対象期間の開始時刻はt10であり、終了時刻はt11である。一方、計測装置130Bにおけるタイムスタンプにおいては、計測対象期間の開始時刻はt10A(≠t10)であり、終了時刻はt11A(≠t11)である。なお、計測対象期間の長さ、すなわち時刻t10~t11の長さと、時刻t10A~t11Aの長さは同じである。
【0033】
このように各計測装置のタイムスタンプにずれがある場合、各計測装置のタイムスタンプで示された時刻を一致させても、計測装置130Aの計測値1(
図3の実線LN20)と計測装置130Bの計測値2(
図3の破線LN26)との関連性は正しいものではない。本実施の形態の同期処理においては、開始時のマーカ信号から定まる開始タイミング同士および終了時のマーカ信号から定まる終了タイミング同士を一致させる(
図3の実線LN25)。これにより、計測対象期間の計測データの同期精度を高めることができる。
【0034】
なお、
図2および
図3は、計測装置130が、信号受信機120からのマーカ信号を計測データとは異なる個別のチャンネルで記憶することが可能な構成である場合の例について説明したが、計測装置130によっては、外部信号が入力できない仕様である場合がある。そのような場合には、
図4の線LN30で示されるように、計測データにマーカ信号を重畳させることによって、計測対象期間の開始/終了タイミングを記憶するようにしてもよい。
【0035】
次に、
図5において計測装置がビデオカメラ130Xである場合の同期処理について説明する。ビデオカメラの場合、一般的には、
図2のようにマーカ信号を別チャンネルで記憶させることはできない。そのため、上述のように、カメラの撮像範囲内に発光機能を有する信号受信機120Xを配置し、信号受信機120Xの発光状態に基づいて同期処理が行なわれる。
【0036】
図5を参照して、一般的に、ビデオカメラにおいては、動画は、所定のフレームレートで連続して撮影された一連の静止画像として記録される。
図5においては、フレーム1からフレーム(N+1)までの画像が時系列的に示されている。記録された各画像においては、撮像範囲内に信号受信機120Xが配置されており、信号受信機120Xの発光部の発光状態が認識できるようになっている。
【0037】
図5の例においては、フレーム2およびフレームNにおいて信号受信機120Xが発光状態となっている。すなわち、フレーム2が撮影された時刻において開始のトリガ信号が受信され、フレームNが撮影された時刻において終了のトリガ信号が受信されている。したがって、フレーム2からフレームNまでの期間が計測対象期間となる。そして、データ処理装置150において、フレーム2が他の計測装置の開始信号(たとえば、
図3の時刻t10)に紐付けられ、フレームNが終了信号(
図3の時刻t11)に紐付けられる。これにより、ビデオカメラ130Xで取得された計測対象期間内の画像データ(フレーム2~フレームN)を、計測装置130Aの計測データと同期させることができる。
【0038】
なお、
図5の例においては、画像内における発光部の発光状態によってトリガ信号を認識する構成であったが、ビデオカメラにおいては画像データとともに音声データも記録することが可能であるため、トリガ信号を音声信号によって認識するようにしてもよい。この場合、ビープ音のような特定の音声信号を出力できる信号受信機を用い、トリガ信号の受信に応答して当該音声信号が出力されるようにする。そして、音声データにおいて当該音声信号が記録されたタイミングを用いて、データ処理装置150において計測対象期間の開始および終了を判断して他の計測データとの同期を行なう。このように、音声信号を用いて同期処理を行なってもよい。このような、ビデオカメラにおける発光部の状態および/または音声信号の記録を用いた同期処理も、計測データ(画像データ)にマーカ信号(発光部の状態,音声信号)を重畳させることに対応する。
【0039】
[トリガ信号の説明]
信号送信機110からのトリガ信号を無線通信で行なう場合、信号送信機110と信号受信機120との間の通信状態によっては、信号受信機120で正しくトリガ信号を受信できない場合が生じ得る。
【0040】
上記のように、実施の形態に係るデータ計測システムにおいては、被験者の生体信号を検出するために、被験者の身体に計測装置130が取り付けられる場合がある。当該計測装置130の内部あるいは近傍に信号受信機120が配置される場合には、信号受信機120についても、被験者の身体に接して配置される。
【0041】
無線通信としては、Bluetooth(登録商標)あるいはWi-Fi(2.4GHz帯,5GHz帯)の電波が一般的に用いられるが、これらの高周波の電波は水分に吸収されやすい特性を有している。人の身体は約60%が水分であるため、たとえば、被験者が動くことによって信号送信機110と信号受信機120との間に被験者の身体が配置される位置関係になると、信号送信機110からの電波が身体を通過する間に吸収されて、信号受信機120でトリガ信号が正しく受信できない状態となり得る。
【0042】
図6の比較例のように、信号送信機110からトリガ信号として1つのパルス信号が送信される場合、たとえば、信号受信機120Bにおいてトリガ信号が受信できないと、計測装置130Bにおいて信号受信機120Bからのマーカ信号が記憶されない。その結果、計測装置130Bの計測データと他の計測装置の計測データとを同期することができなくなってしまう。
【0043】
そこで、本実施の形態に係るデータ計測システムにおいては、信号送信機110から、所定の間隔をあけて連続して送信される複数のパルス信号を含む信号(パルス群)をトリガ信号として出力する構成を採用する。そして、データ処理装置150においては、受信されたパルス信号から定まる開始/終了の同期タイミングに基づいて、複数の計測装置からの計測データを時系列的に同期させる。このような構成とすることによって、仮に、トリガ信号に含まれる一部のパルス信号が受信できなかった場合であっても、少なくとも1つのパルス信号が受信されれば、他の計測装置の計測データとの同期が可能となる。
【0044】
図7は、本実施の形態のデータ計測システムにおけるトリガ信号を説明するための図である。
図7の例においては、信号送信機110は、所定の間隔(たとえば、100ms)をあけて連続して送信される3つのパルス信号P1~P3を含むパルス群をトリガ信号として出力する。パルス信号P1~P3は、互いに異なるパルス幅を有している。たとえば、パルス信号P1のパルス幅は50msであり、パルス信号P2のパルス幅は100msであり、パルス信号P3のパルス幅は200msである。なお、トリガ信号は少なくとも2つのパルス信号を含んでいればよく、4つ以上のパルス信号がトリガ信号に含まれていてもよい。また、各パルス信号のパルス幅およびパルス信号間の間隔は、上記の例とは異なる長さであってもよい。
【0045】
ここで、
図7に示すように、信号受信機120Aにおいては、すべてのパルス信号P1~P3が受信されるが、信号受信機120Bにおいてはパルス信号P2が受信されず、信号受信機120Cにおいてはパルス信号P1,P3が受信されない場合を考える。この場合、パルス信号P1~P3のうち、信号受信機120A~120Cにおいて共通して受信されるパルス信号はない。そのため、受信したパルス信号の時刻を合致させる方式では、計測データを同期させることはできない。
【0046】
図8は、本実施の形態におけるトリガ信号と同期タイミングとの関係を説明するための図である。本実施の形態では、データ処理装置150において、トリガ信号の各パルス信号から所定時間経過後の時刻が計測データの開始または終了の同期タイミングとして設定される。具体的には、パルス信号P1が受信された場合には、データ処理装置150は、パルス信号P1の立ち下がり(
図8の時刻t30)から所定時間T1経過したタイミング(
図8の時刻t33)を同期タイミングに設定する。パルス信号P2が受信された場合には、データ処理装置150は、パルス信号P2の立ち下がり(
図8の時刻t31)から所定時間T2経過したタイミング(
図8の時刻t33)を同期タイミングに設定する。また、パルス信号P3が受信された場合には、データ処理装置150は、パルス信号P3の立ち下がり(
図8の時刻t32)から所定時間T3経過したタイミング(
図8の時刻t33)を同期タイミングに設定する。なお、パルス信号P1~P3におけるどのパルス信号が受信されたかについては、受信されたパルス信号のパルス幅W1~W3によって判定することができる。
【0047】
なお、各パルス信号のパルス幅W1~W3、および、隣接するパルス信号の間隔ΔTを予め定めておいた場合、所定時間T1~T3は、各パルス信号P1~P3のいずれのパルス信号が受信されても、同期タイミングが一致するように定められる。より具体的には、パルス信号P3からの所定時間T3を定めると、パルス信号P2からの所定時間T2は、式(1)のように定めることができる。
【0048】
T2=T3+W3+ΔT … (1)
また、パルス信号P1からの所定時間T1は式(2)のように定めることができる。
【0049】
T1=T2+W2+ΔT=T3+W2+W3+2ΔT … (2)
信号受信機120A~120Cにおいて受信されたトリガ信号が
図7で示したような状態の場合、データ処理装置150は、信号受信機120Aの受信信号からは、
図8のように、パルス信号P1~P3の各々から同期タイミングを決定する。また、データ処理装置150は、信号受信機120Bの受信信号からは、パルス信号P1,P3から同期タイミングを決定する。さらに、データ処理装置150は、信号受信機120Cの受信信号からは、パルス信号P2から同期タイミングを決定する。
【0050】
このように、互いに異なるパルス幅を有する複数のパルス信号をトリガ信号として用いることによって、各信号受信機120において、トリガ信号における少なくとも1つのパルス信号が受信できれば、当該信号受信機に関連する計測装置の計測データを、他の信号受信機に関連する計測装置の計測データと同期させることができる。したがって、取得した計測データの時系列的な同期をより確実に行なうことができる。
【0051】
たとえば、各パルスについての受信不良率が5%と仮定した場合、
図7のように3つのパルス信号を用いて本実施の形態の手法を適用すると、受信不良率は0.0125%まで低減することができる。
【0052】
なお、上記の説明においては、データ処理装置150における信号処理において、ユーザに提示する計測データを揃えるためのタイミングを決定する場合について説明したが、上述のような同期タイミングを各計測装置における計測開始/終了タイミングとして用いてもよい。この場合には、各計測装置からデータ処理装置150に送信される計測データは、開始時刻および終了時刻が同期したデータとなっているため、データ処理装置150における同期タイミングの判定は不要であり、取得した計測データをそのまま表示すればよい。
【0053】
また、上記の例では、トリガ信号のパルス群に含まれるパルス信号のパルス幅を変化させることによってパルス信号を区別する構成であったが、パルス幅に代えて、パルスの振幅あるいはパルスのデューティ比を変化させる構成であってもよい。また、トリガ信号に高調波を重畳させる場合には、重畳させる信号の周波数を変化させてもよい。あるいは、トリガ信号として複数の周波数の電波を用いてもよい。
【0054】
[データ計測システムの制御]
図9は、本実施の形態に係るデータ計測システムにおける各機器の処理を説明するためのフローチャートである。
【0055】
図9を参照して、信号送信機110は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)10において、ユーザによる操作のタイミング、あるいは、信号送信機110に予め登録された所定のタイミングにおいて、計測対象期間の開始タイミングを示すトリガ信号(開始トリガ信号:第1パルス群)をブロードキャストする。
【0056】
信号送信機110は、ユーザによる操作のタイミング、あるいは、当該開始信号から予め定められた期間が経過したタイミングにおいて、計測対象期間の終了タイミングを示すトリガ信号(終了トリガ信号:第2パルス群)をブロードキャストする(S12)。
【0057】
計測装置130においては、S20にて、ユーザからの操作によって計測処理が開始され、記憶装置133への計測データの記憶が開始される。なお、計測装置130における計測処理の開始は、信号受信機120からのマーカ信号の受信に先立って行なわれることが好ましいが、S22におけるマーカ信号の受信、あるいはマーカ信号から定まる計測開始タイミングに応答して開始されてもよい。
【0058】
計測装置130は、S22にて、信号送信機110からのトリガ信号(第1パルス群)に応答して信号受信機120から送信されるマーカ信号(開始信号)を受信したか否かを判定する。マーカ信号(開始信号)を受信していない場合(S22にてNO)は、計測装置130は、処理がS22に戻されて、計測処理を継続しつつ、マーカ信号が受信されるのを待つ。
【0059】
マーカ信号(開始信号)が受信された場合(S22にてYES)は、処理がS24に進められて、計測装置130は、受信したマーカ信号を計測データと関連付けて記憶装置133に記憶する。そして、計測装置130は、S26にて、信号送信機110からのトリガ信号(第2パルス群)に応答して、計測の終了を示すマーカ信号(終了信号)を信号受信機120から受信したか否かを判定する。信号受信機120からマーカ信号(終了信号)を受信していない場合(S26にてNO)、処理がS24に戻されて、計測装置130は、所定のサンプリングレートで計測データの記憶を継続する。
【0060】
一方、信号受信機120からマーカ信号(終了信号)を受信した場合(S26にてYES)は、処理がS28に進められて、計測装置130は、開始信号から終了信号までの計測対象期間における計測データおよびマーカ信号のデータをデータ処理装置150へ出力する。その後、計測装置130は、ユーザによる操作等により、計測処理を停止する(S30)。
【0061】
なお、計測装置130に記憶されたデータを、外部記憶装置を用いてデータ処理装置150に読み込ませる場合には、S28のステップは省略される。また、計測装置がビデオカメラ130X,130Yの場合には、マーカ信号は画像データ内に発光信号として記録されるため、S22およびS26のようなマーカ信号の受信判定ができない場合がある。そのような場合には、計測期間中の画像データ全体をデータ処理装置150に読み込ませて、データ処理装置150において、ユーザの操作あるいは自動で同期処理が行なわれる。
【0062】
また、計測処理が長期間にわたって行なわれる場合、各計測装置130間のサンプリングレートの差による影響が計測時間とともに大きくなる。このような場合には、全体の計測期間内のデータをより短い期間に分割してデータ処理装置150に送信することによって、サンプリングレートの差による影響を小さくすることが好ましい。この場合、計測装置130においては、
図9のS28において計測データをデータ処理装置150に送信することと並行して、S24における計測データおよびマーカ信号の記憶が継続され、信号受信機120からマーカ信号が送信される度に、前回のマーカ信号の受信以降に記憶された計測データおよびマーカ信号のデータがデータ処理装置150に送信される。
【0063】
このように、計測データを分割してデータ処理装置150に送信して処理することで、送信された計測データのブロック単位で、各計測装置130の計測データの同期処理が実行されるため、長期間にわたる計測の場合であってもデータの同期精度を維持することが可能となる。
【0064】
次に、データ処理装置150における処理について説明する。データ処理装置150は、S40にて、各計測装置130からの計測データおよび画像データを取得する。データ処理装置150は、S42において、取得された各データに含まれるマーカ信号に含まれるパルス信号から、
図8で説明したように、計測開始および終了を示す同期タイミングを検出する。
【0065】
データ処理装置150は、S44にて、検出された同期タイミングから、隣接するマーカ信号間の計測期間を算出する。そして、データ処理装置150は、S46にて、各計測装置130の計測データに対して算出された計測期間の長さが一致するか否かを判定する。
【0066】
各計測装置130における計測期間の長さが一致する場合(S46にてYES)は、処理がS50に進められて、データ処理装置150は、各計測装置130の計測データについて、開始タイミング同士、および終了タイミング同士を合致させて、表示装置160に計測データを表示する。当該表示を用いて、ユーザは被験者についての動作解析を行なう。
【0067】
一方、計測期間の長さが不一致である計測装置がある場合(S46にてNO)は、処理がS48に進められて、データ処理装置150は、計測期間の長さが一致するように計測データのサンプリングタイムの補正処理を実行する。その後、S50に処理が進められて、各計測データが同期された状態で表示装置160に表示される。
【0068】
以上のような処理に従って各機器において制御が行なわれることによって、複数の計測装置を用いたデータ計測システムにおいて、計測されたデータを適切に同期させて提示することができる。これによって、複数の計測データ間の同期精度を向上することができ、これらの因果関係の分析精度を向上させることができる。
【0069】
[変形例]
上述の実施の形態では、信号受信機120の各々において、信号送信機110から送信されるパルス信号群のうち少なくとも1つが正常に受信される例について説明した。一方、上記の実施の形態において、万が一、いずれかの信号受信機120が全てのパルス信号を正常に受信できなかった場合、データ計測システムが正常な作動が担保されない。
【0070】
そこで、以下において説明する変形例においては、全てのパルス信号が受信されない信号受信機120がある場合に、トリガ信号(パルス信号群)を再送信する構成について説明する。
【0071】
(変形例1)
図10は、変形例1のデータ計測システムを示す図である。変形例1において、信号送信機110は、制御部170をさらに含む。
【0072】
変形例1において、信号受信機120A~120Cの各々は、パルス信号P1~P3の少なくとも1つを受信したかを判定する。信号受信機120A~120Cの各々は、パルス信号P1~P3の少なくとも1つを受信した場合、信号送信機110にフィードバック信号(
図10のF)を送信する。
【0073】
制御部170は、パルス信号P1~P3を送信した後、所定時間内に、信号受信機120A~120Cの各々からのフィードバック信号を受信したか否かを判定する。また、制御部170は、信号受信機120A~120Cの少なくとも1つからフィードバック信号を受信しなかった場合、信号送信機110から、パルス信号P1~P3を再送信する。
【0074】
図10の例では、信号受信機120A,120Bは、パルス信号P1~P3の少なくとも1つを受信したと判定し、フィードバック信号を信号送信機110に送信する。一方で、信号受信機120Cは、パルス信号P1~P3のいずれも受信していないので、フィードバック信号を信号送信機110に送信しない。
【0075】
信号送信機110の制御部170は、トリガ信号を送信してから所定時間内に、信号受信機120Cからのフィードバック信号を受信していないことを検知する。この場合、制御部170は、信号送信機110からのトリガ信号の再送信を指令する。
【0076】
フィードバック信号は
図10のように無線で送信されてもよいし、有線(図示せず)で送信されてもよい。
【0077】
また、制御部170は、信号送信機110の外部に設けられた独立の制御装置であってもよい。その場合、制御部170は、信号送信機110と無線または有線で通信を行なう。
【0078】
このように構成すると、信号送信機110からトリガ信号を送信したにも関わらず、いずれかの信号受信機120においてパルス信号P1~P3が受信されなかった状態を検知することができる。また、信号受信機120による未受信を検知した場合に、信号送信機110から、トリガ信号を再送信することができる。よって、各信号受信機120に対し、確実にトリガ信号を伝送することができる。すなわち、データ処理装置150において、データを適切に同期させることができる。
【0079】
(変形例2)
変形例1で示した全パルス信号が受信されない信号受信機120Cの存在の検知、および、トリガ信号の再送信は、ユーザによって手動で行なってもよい。
【0080】
図11は、変形例2のデータ計測システムを示す図である。変形例2において、信号送信機110は、変形例1で説明した制御部170に加えて表示部171をさらに含む。また、信号受信機120の各々は、表示部121をさらに含む。なお、
図11では、信号受信機120B,120Cにおいて表示部121の記載は省略されている。
【0081】
変形例2においては、たとえば、信号受信機120の各々によってパルス信号の少なくとも1つが受信された場合、信号受信機120の表示部121には、受信完了を示す情報が表示される。ユーザは、表示部121を視認することで、フィードバック信号を送信していない信号受信機120があることを認識し、信号送信機110の図示しない操作部を操作することによってトリガ信号の再送信の指示を入力する。制御部170は、ユーザからの当該入力が検知されると、信号送信機110からトリガ信号を再送信する。
【0082】
表示部121は、信号受信機120の各々の外部に独立して設けられた表示装置であってもよい。その場合、表示部121は、信号受信機120の各々と無線または有線で通信を行なう。
【0083】
また、表示部121は、複数の信号受信機120に対して共通に設けられた表示装置であってもよく、その場合には、複数の信号受信機120の受信完了を示す情報を表示するように構成される。このようにすると、ユーザは1つの表示部121を確認するだけで、複数の信号受信機120における受信状態を確認できる。
【0084】
また変形例2において、変形例1と同じように、信号受信機120の各々がパルス信号の少なくとも1つを受信した場合、信号受信機120の各々が、信号送信機110にフィードバック信号を送信するように構成してもよい。この場合、信号送信機110における、フィードバック信号の受信状況が表示部171に表示される。表示部171を視認することで、ユーザは、フィードバック信号を送信していない信号受信機120があることを認識することができる。そして、ユーザは、信号送信機110の図示しない操作部を操作することで、トリガ信号の再送信の指示を入力する。制御部170は、ユーザからの当該入力が検知されると、信号送信機110からトリガ信号を再送信する。
【0085】
このように構成することによって、ユーザはフィードバック信号の視認と、トリガ信号の指示の入力とを信号送信機110で行なえるので、利便性を向上させることができる。
【0086】
なお、制御部170および表示部171は、信号送信機110の外部に独立して設けられた表示装置であってもよい。その場合、制御部170および表示部171は、信号送信機110と無線または有線で通信を行なう。
【0087】
(変形例3)
変形例1で示した全パルス信号が受信されない信号受信機120Cの存在の検知は、制御部170により行ってもよい。
【0088】
変形例3では、信号受信機120A~120Cは、電源がオンされている間は常時、信号送信機110にフィードバック信号(
図10のF)を送信する。フィードバック信号は、計測装置130A~130Cの計測データと、受信したパルス信号P1~P3とを含む。変形例3では、受信機120A~120Cの各々がパルス信号P1~P3の受信を判定する必要はない。
【0089】
制御部170は、信号受信機120A~120Cの各々からのフィードバック信号を監視し、フィードバック信号にパルス信号P1~P3が含まれているかを判定する。制御部170は、フィードバック信号にパルス信号P1~P3が含まれていないと判定した場合、信号送信機110からのトリガ信号の再送信を指令する。
【0090】
変形例1~変形例3において、再送信されるトリガ信号におけるパルス信号の間隔および/または幅は、前回のトリガ信号と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0091】
また、トリガ信号を受信した場合にフィードバック信号を信号送信機110に送信するよう設定するか否かは、各信号受信機120ごとに異なっていてもよい。また、トリガ信号の再送信の制御を
図10のように自動で実行するか、あるいは
図11のように手動で実行するかは、各信号受信機120ごとに異なっていてもよい。
【0092】
信号受信機120A,120Bでは、先に受信したトリガ信号を後に受信したトリガ信号に更新する。たとえば、同期の開始を示すトリガ信号については、同期の開始を示すトリガ信号が入ったと考えられる時間に受信した最後のトリガ信号を、正式な同期の開始を示すトリガ信号とする。同期の開始を示すトリガ信号が入ったと考えられる時間は、たとえば、データ処理装置150において判定される。同期の開始を示すトリガ信号が入ったと考えられる時間は、たとえば、全計測データの前半に対応する時間である。
【0093】
また、同期の終了を示すトリガ信号についても同様に、同期の終了を示すトリガ信号が入ったと考えられる時間に受信した最後のトリガ信号を、正式な同期の終了を示すトリガ信号とする。同期の終了を示すトリガ信号が入ったと考えられる時間は、たとえば、データ処理装置150において判定される。同期の終了を示すトリガ信号が入ったと考えられる時間は、たとえば、全計測データの後半に対応する時間である。トリガ信号の更新は、メモリ上のデータ自体を更新してもよいし、ソフトウェア上で最新のトリガ信号を採用する設定にしてもよい。
【0094】
上記の変形例の構成とすることによって、各信号受信機120がトリガ信号を受信したかを判定できる。そして、受信していない信号受信機120がある場合は、信号送信機110はトリガ信号を再送信できる。よって、各信号受信機120に、確実にトリガ信号を伝送することができる。したがって、複数の計測データの同期をより確実に行なうことができる。
【0095】
なお、変形例では、信号受信機により全パルス信号が受信されない場合の工夫について、トリガ信号が複数のパルス信号を含む例について説明したが、これに限定されることなく、トリガ信号が1つのパルス信号で構成されていても、同工夫については効果を奏する。
【0096】
なお、上記の説明においては、開始タイミングおよび終了タイミングが、トリガ信号に含まれるパルス信号の発生から所定時間経過後のタイミングである場合を例として説明したが、開始タイミングおよび終了タイミングは、パルス信号の発生から所定時間だけ前に遡ったタイミングであってもよい。すなわち、開始タイミングおよび終了タイミングは、トリガ信号の各パルス信号の発生から所定時間離隔したタイミングとして設定される。
【0097】
[態様]
(第1項)一態様に係るデータ計測システムは、複数の計測装置と、複数の計測装置の各々から取得したデータを処理するデータ処理装置と、複数の計測装置に対してデータ処理に関するトリガ信号を無線で送信する送信機とを備える。トリガ信号は、データ処理の開始タイミングに対応する第1パルス群、および、データ処理の終了タイミングに対応する第2パルス群を含む。データ処理装置は、開始タイミングと終了タイミングとの間に計測されたデータを取得し、当該取得したデータにおける開始タイミング同士および終了タイミング同士を時間的に合致させて、複数の計測装置の計測データを処理する。第1パルス群および第2パルス群の各々は、所定の間隔をあけて連続して送信される第1パルスおよび第2パルスを含む。第1パルスおよび第2パルスは、互いに異なるパルス幅を有している。開始タイミングは、第1パルス群における第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングである。終了タイミングは、第2パルス群における第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングである。
【0098】
第1項に記載のデータ計測システムによれば、送信機から各計測装置に対して送信されるトリガ信号(第1パルス群,第2パルス群)に、互いにパルス幅が異なる2つのパルス信号が含まれる。各計測装置においては、開始時刻で送信されたトリガ信号(第1パルス群)および終了時刻で送信されたトリガ信号(第2パルス群)において、当該2つのパルス信号のうち少なくとも1つのパルス信号が受信できれば、データ処理装置において同期用の開始タイミングおよび終了タイミングが決定できる。これにより、計測装置におけるトリガ信号の受信不良による同期不良を低減し、計測データの時系列的な同期をより確実に行なうことができる。
【0099】
(第2項)第1項に記載のデータ計測システムにおいて、第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミングと、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミングとが一致するように、第1所定時間および第2所定時間が設定されている。
【0100】
第2項に記載のデータ計測システムによれば、各パルス信号に基づく開始タイミングおよび終了タイミングが一致するように、第1所定時間および第2所定時間が適切に設定される。これにより、ある計測装置において第1パルスおよび第2パルスの一方が受信できなかった場合でも、当該計測装置の計測データと、他の計測装置の計測データとを同期させることができる。
【0101】
(第3項)第1項または第2項に記載のデータ計測システムにおいて、第1パルス群および第2パルス群の各々は、第1パルスおよび第2パルスとは異なるパルス幅を有する第3パルスをさらに含む。開始タイミングは、第1パルス群における第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミング、あるいは、第3パルスの発生から第3所定時間離隔したタイミングである。終了タイミングは、第2パルス群における第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミング、あるいは、第3パルスの発生から第3所定時間離隔したタイミングである。第1パルスの発生から第1所定時間離隔したタイミング、第2パルスの発生から第2所定時間離隔したタイミング、および、第3パルスの発生から第3所定時間離隔したタイミングが一致するように、第1所定時間、第2所定時間および第3所定時間が設定されている。
【0102】
第3項に記載のデータ計測システムによれば、送信機から各計測装置に対して送信されるトリガ信号(第1パルス群,第2パルス群)に、互いにパルス幅が異なる3つのパルス信号が含まれる。各計測装置においては、開始時刻および終了時刻の各々で送信されたトリガ信号において、当該3つのパルス信号のうち少なくとも1つのパルス信号が受信できれば、データ処理装置において同期用の開始タイミングおよび終了タイミングが決定できる。これにより、計測装置におけるトリガ信号の受信不良による同期不良をさらに低減することができるので、複数の計測データの同期処理をより確実に行なうことができる。
【0103】
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載のデータ計測システムにおいて、送信機は、複数の計測装置のうちのいずれかの計測装置に含まれる。
【0104】
第4項に記載のデータ計測システムによれば、複数の計測装置のうちの1つに送信機の機能が含まれる。そのため、送信機を別途準備することなくシステムを構築することが可能となる。
【0105】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載のデータ計測システムにおいて、複数の計測装置の各々は、環境情報を計測する環境センサ、生体情報を計測する生体センサ、および、画像を撮影する画像センサのいずれかのセンサを含む。
【0106】
第5項に記載のデータ計測システムによれば、計測装置として、環境センサ、生体センサ、および画像センサ(カメラ)を用いることができる。
【0107】
(第6項)第5項に記載のデータ計測システムにおいて、複数の計測装置の各々は、当該計測装置で計測された計測データを記憶するための記憶装置を含み、センサから記憶装置までの信号伝達手段を有線で行なう。
【0108】
第6項に記載のデータ計測システムによれば、各計測装置において、センサから記憶装置までの信号伝達手段に無線が用いられない。無線通信を行なった場合、少なからずデータの欠損が生じる危険性があるが、有線通信を用いて記憶装置内に計測データを記憶することで、データ欠損を低減することができる。
【0109】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載のデータ計測システムは、計測データをユーザに提示する表示装置をさらに備える。
【0110】
第7項に記載のデータ計測システムによれば、ユーザは、表示装置によって、複数の計測装置からの計測データを関連付けて確認することができる。
【0111】
(第8項)第1~第7項のいずれか1項に記載のデータ計測システムにおいて、複数の計測装置の少なくとも1つが、トリガ信号に含まれる第1パルス群に含まれる第1パルスおよび第2パルスをともに受信したかを判定し、送信機は、判定の結果に応じて、複数の計測装置にトリガ信号を再送信する。
【0112】
第8項に記載のデータ計測システムによれば、万が一、いずれかの信号受信機が第1パルスおよび第2パルスの両方を正常に受信できなかった場合でも、追加のトリガ信号を送信できるので、データ計測システムを正常に作動させることができる。
【0113】
(第9項)第1~第7項のいずれか1項に記載のデータ計測システムにおいて、複数の計測装置の少なくとも1つが、トリガ信号に含まれる第2パルス群に含まれる第1パルスおよび第2パルスをともに受信したかを判定し、送信機は、判定の結果に応じて、複数の計測装置にトリガ信号を再送信する。
【0114】
第9項に記載のデータ計測システムによれば、万が一、いずれかの信号受信機が第2パルスおよび第2パルスの両方を正常に受信できなかった場合でも、追加のトリガ信号を送信できるので、データ計測システムを正常に作動させることができる。
【0115】
(第10項)他の態様に係る方法は、複数の計測装置を含むデータ計測システムにおいて、計測データのデータ処理を実行するための方法に関する。データ計測システムは、データ処理に関するトリガ信号を送信する送信機と、データ処理装置とを備える。トリガ信号は、データ処理の開始タイミングに対応する第1パルス群、および、データ処理の終了タイミングに対応する第2パルス群を含む。方法は、i)送信機によって、複数の計測装置に対してトリガ信号を無線で送信するステップと、ii)データ処理装置において、開始タイミングと終了タイミングとの間に計測されたデータを取得するステップと、iii)データ処理装置において、当該取得したデータにおける開始タイミング同士および終了タイミング同士を時間的に合致させて、複数の計測装置の計測データを処理するステップとを含む。第1パルス群および第2パルス群の各々は、所定の間隔をあけて連続して送信される第1パルスおよび第2パルスを含む。第1パルスおよび第2パルスは、互いに異なるパルス幅を有している。開始タイミングは、第1パルス群における第1パルスの開始から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、第2パルスの開始から第2所定時間離隔したタイミングである。終了タイミングは、第2パルス群における第1パルスの開始から第1所定時間離隔したタイミング、あるいは、第2パルスの開始から第2所定時間離隔したタイミングである。
【0116】
第10項に記載の方法によれば、送信機から各計測装置に対して送信されるトリガ信号(第1パルス群,第2パルス群)に、互いにパルス幅が異なる2つのパルス信号が含まれる。各計測装置においては、開始時刻で送信されたトリガ信号(第1パルス群)および終了時刻で送信されたトリガ信号(第2パルス群)において、当該2つのパルス信号のうち少なくとも1つのパルス信号が受信できれば、データ処理装置において同期用の開始タイミングおよび終了タイミングが決定できる。これにより、計測装置におけるトリガ信号の受信不良による同期不良を低減し、計測データの時系列的な同期をより確実に行なうことができる。
【0117】
(第11項)第10項に記載の方法は、送信するステップの後に、トリガ信号に含まれる第1パルス群に含まれる第1パルスおよび第2パルスの少なくとも1つを受信したかを判定するステップと、送信機によって、判定の結果に応じて、複数の計測装置にトリガ信号を再送信するステップとを含む。
【0118】
第11項に記載の方法によれば、万が一、いずれかの信号受信機が第1パルスおよび第2パルスの両方を正常に受信できなかった場合でも、追加のトリガ信号を送信できるので、データ計測システムを正常に作動させることができる。
【0119】
(第12項)第10項に記載の方法は、送信するステップの後に、トリガ信号に含まれる第2パルス群に含まれる第1パルスおよび第2パルスの少なくとも1つを受信したかを判定するステップと、送信機によって、判定の結果に応じて、複数の計測装置にトリガ信号を再送信するステップとを含む。
【0120】
第12項に記載の方法によれば、万が一、いずれかの信号受信機が第1パルスおよび第2パルスの両方を正常に受信できなかった場合でも、追加のトリガ信号を送信できるので、データ計測システムを正常に作動させることができる。
【0121】
(第13項)他の態様に係るデータ計測システムは、複数の計測装置と、複数の計測装置の各々から取得したデータのデータ処理を実行するデータ処理装置と、複数の計測装置に対して、データ処理に関するトリガ信号を無線で送信する送信機とを備える。データ処理装置は、開始タイミングと終了タイミングとの間に計測されたデータを取得し、当該取得したデータにおける開始タイミング同士および終了タイミング同士を時間的に合致させて、複数の計測装置の計測データを処理する。トリガ信号は、データ処理の開始タイミングおよび終了タイミングの少なくとも一方に対応する。データ計測システムは、複数の計測装置の少なくとも1つがトリガ信号を受信したかを判定する。送信機は、判定の結果に応じて、複数の計測装置に前記トリガ信号を再送信する。
【0122】
(第14項)他の態様に係る方法は、複数の計測装置を含むデータ計測システムにおいて、計測データのデータ処理を実行する方法に関する。データ計測システムは、データ処理に関するトリガ信号を送信する送信機と、データ処理装置とを備える。当該方法は、送信機によって、複数の計測装置に対してトリガ信号を無線で送信するステップと、データ処理装置において、開始タイミングと終了タイミングとの間に計測されたデータを取得するステップと、データ処理装置において、当該取得したデータにおける開始タイミング同士および終了タイミング同士を時間的に合致させて、複数の計測装置の計測データを処理するステップと、送信するステップの後に、トリガ信号を受信したかを判定するステップと、送信機によって、判定の結果に応じて、複数の計測装置にトリガ信号を再送信するステップとを含む。
【0123】
第13項、14項に記載のシステム、方法によれば、万が一、トリガ信号を正常に受信できなかった場合でも、追加のトリガ信号を送信できるので、データ計測システムを正常に作動させることができる。
【0124】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0125】
10 データ計測システム、110 信号送信機、120,120A~120C,120X 信号受信機、130,130A,130B 計測装置、130X,130Y ビデオカメラ、131,151 CPU、132 検出部、133,136,152 記憶装置、135 撮像部、140 外部記憶媒体、150 データ処理装置、160 表示装置、170 制御部、121,171 表示部。