(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】多層基板及び多層基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231226BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K3/46 G
(21)【出願番号】P 2023529686
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2022020235
(87)【国際公開番号】W WO2022264725
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2021099989
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 哲聡
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/005966(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/005972(WO,A1)
【文献】実開昭60-169904(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105530769(CN,A)
【文献】特開昭55-53492(JP,A)
【文献】特開平4-255292(JP,A)
【文献】米国特許第2800634(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0285273(US,A1)
【文献】特開2016-164882(JP,A)
【文献】特開平5-238849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 3/00―3/08
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1絶縁体層及び第2絶縁体層を含む複数の絶縁体層が積層された構造を有している積層体を
備え、
前記積層体の積層方向に直交する方向は、第1方向であり、
前記積層方向及び前記第1方向に直交する方向は、第2方向であり、
前記積層体は、前記積層方向に見て、第1領域及び第2領域を含んでおり、
前記第1領域は、前記積層方向に見て、前記第2絶縁体層を含まない領域であり、
前記第2領域は、前記積層方向に見て、前記第2絶縁体層を含む領域であり、
前記複数の第1絶縁体層は、小面積第1絶縁体層を含んでおり、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記積層方向に見て、前記第2方向に互いに隣接しており、
前記小面積第1絶縁体層は、前記第1領域に位置しており、かつ、前記第2領域に位置しておらず、
前記小面積第1絶縁体層は、前記第1方向に見て、前記第2絶縁体層と重なっており、
前記第2絶縁体層の空孔率は、前記複数の第1絶縁体層の空孔率より高
く、
前記第2絶縁体層の前記積層方向の厚みは、前記第1方向に見て前記第2絶縁体層と重なる前記小面積第1絶縁体層の前記積層方向の厚みより小さい、
多層基板。
【請求項2】
前記複数の第1絶縁体層は、1以上の大面積第1絶縁体層を更に含んでおり、
前記1以上の大面積第1絶縁体層は、前記第1領域及び前記第2領域に位置している、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記1以上の大面積第1絶縁体層の少なくとも一つは、前記積層方向に見て、前記第1領域の少なくとも一部分及び前記第2領域の全体に位置しており、かつ、前記積層方向に見て、前記第1領域と前記第2領域との境界に位置している、
請求項2に記載の多層基板。
【請求項4】
前記多層基板は、
前記積層体に設けられている第1信号導体層を、
更に備えている、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層基板。
【請求項5】
前記第1信号導体層の少なくとも一部分は、前記第2領域に位置している、
請求項4に記載の多層基板。
【請求項6】
前記第1信号導体層は、前記第2領域に位置しており、かつ、前記積層方向に見て、前記第1方向及び前記第2方向において、前記第2絶縁体層に挟まれている、
請求項4に記載の多層基板。
【請求項7】
前記第1信号導体層は、前記第2領域に位置していない、
請求項4に記載の多層基板。
【請求項8】
前記多層基板は、
前記積層体に設けられている1以上の層間接続導体を、
更に備えており、
前記積層体の前記積層方向の厚みは、前記積層方向に見た前記1以上の層間接続導体と前記第2絶縁体層との最短距離より大きい、
請求項7に記載の多層基板。
【請求項9】
前記多層基板は、
前記積層体に設けられている第2信号導体層を、
更に備えており、
前記第2信号導体層は、前記第2領域に位置しておらず、
前記第2絶縁体層は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体層と前記第2信号導体層との間に位置している、
請求項8に記載の多層基板。
【請求項10】
前
記第2絶縁体層には、層間接続導体が位置していない、
請求項5に記載の多層基板。
【請求項11】
前記積層体は、1以上の前記第2絶縁体層を更に含んでいる、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層基板。
【請求項12】
前記第2領域は、折れ曲がっており、
前記第2領域の曲率半径は、前記第1領域の曲率半径より小さい、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層基板。
【請求項13】
前記積層方向に見て、前記第2領域は、前記積層体の前記第1方向の両端を繋いでいる、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層基板。
【請求項14】
多層基板の製造方法であって、
複数の第1絶縁体層を準備する第1準備工程であって、複数の前記第1絶縁体層は、小面積第1絶縁体層及び1以上の大面積第1絶縁体層を含んでおり、前記小面積第1絶縁体層の主面の面積は、前記大面積第1絶縁体層の主面の面積より小さい、第1準備工程と、
第2絶縁体層を準備する第2準備工程であって、前記第2絶縁体層の空孔率は、前記複数の第1絶縁体層の全体の空孔率より高い、第2準備工程と、
前記第1準備工程及び前記第2準備工程の後に、前記小面積第1絶縁体層、前記大面積第1絶縁体層及び前記第2絶縁体層を積層して積層体を形成する積層工程であって、前記積層体の積層方向に直交する方向は、第1方向であり、前記小面積第1絶縁体層は、前記第1方向に見て、前記第2絶縁体層と重なっており、かつ、前記小面積第1絶縁体層及び前記第2絶縁体層は、前記積層方向に前記大面積第1絶縁体層と重なる、積層工程と、
前記積層工程の後に、前記積層体に加圧処理を施す加圧工程と、
を備
え、
前記積層体は、第1領域及び第2領域を含んでおり、
前記第1領域は、前記第2絶縁体層と重ならない領域であり、
前記第2領域は、前記第2絶縁体層と重なる領域であり、
前記第2絶縁体層の前記積層方向の厚みは、前記第1絶縁体層の前記積層方向の厚みより小さい、
多層基板の製造方法。
【請求項15】
前記積層体は、第1領域及び第2領域を含んでおり、
前記第1領域は、前記第2絶縁体層と重ならない領域であり、
前記第2領域は、前記第2絶縁体層と重なる領域であり、
前記多層基板の製造方法は、
前記加圧工程の後に、前記第2領域の曲率半径が前記第1領域の曲率半径より小さくなるように、
前記第2領域を折り曲げる折り曲げ工程を、
を更に備える、
請求項
14に記載の多層基板の製造方法。
【請求項16】
前記積層方向に見て、前記第2領域は、前記積層体の前記第1方向の両端を繋いでおり、
前記折り曲げ工程では、前記積層方向に見て、前記第2領域が前記積層体の前記第1方向の両端を繋いでいる部分を折り曲げる、
請求項
15に記載の多層基板の製造方法。
【請求項17】
前記積層方向に見て、前記第1領域と前記第2領域とは、前記第1方向に並んでおり、
前記折り曲げ工程では、前記積層方向に見て、前記第1領域と前記第2領域とが前記第1方向に並んでいる部分を折り曲げる、
請求項
15に記載の多層基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層基板及び多層基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多層基板に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の高周波用多層回路基板が知られている。この高周波用多層回路基板では、2層のプリプレグと1層の熱可塑性樹脂発泡フィルムとを備えている。1層の熱可塑性樹脂発泡フィルムは、2層のプリプレグの間に位置している。熱可塑性樹脂発泡フィルムは、低い誘電率を有している。そのため、高周波用多層回路基板の誘電率が低下する。その結果、高周波用多層回路基板の誘電損失が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の高周波用多層回路基板では、2層のプリプレグ及び1層の熱可塑性樹脂発泡フィルムの加熱プレスの際に、熱可塑性樹脂発泡フィルムの空孔が潰れやすい。
【0005】
そこで、本発明の目的は、第2絶縁体層の空孔が潰れることを抑制できる多層基板及び多層基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る多層基板は、
多層基板は、
複数の第1絶縁体層及び第2絶縁体層を含む複数の絶縁体層が積層された構造を有している積層体を、
備えており、
前記積層体の積層方向に直交する方向は、第1方向であり、
前記積層方向及び前記第1方向に直交する方向は、第2方向であり、
前記積層体は、前記積層方向に見て、第1領域及び第2領域を含んでおり、
前記第1領域は、前記積層方向に見て、前記第2絶縁体層を含まない領域であり、
前記第2領域は、前記積層方向に見て、前記第2絶縁体層を含む領域であり、
前記複数の第1絶縁体層は、小面積第1絶縁体層を含んでおり、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記積層方向に見て、前記第2方向に互いに隣接しており、
前記小面積第1絶縁体層は、前記第1領域に位置しており、かつ、前記第2領域に位置しておらず、
前記小面積第1絶縁体層は、前記第1方向に見て、前記第2絶縁体層と重なっており、
前記第2絶縁体層の空孔率は、前記複数の第1絶縁体層の空孔率より高い。
【0007】
本発明の一形態に係る多層基板の製造方法は、
複数の第1絶縁体層を準備する第1準備工程であって、複数の前記第1絶縁体層は、小面積第1絶縁体層及び1以上の大面積第1絶縁体層を含んでおり、前記小面積第1絶縁体層の主面の面積は、前記大面積第1絶縁体層の主面の面積より小さい、第1準備工程と、
第2絶縁体層を準備する第2準備工程であって、前記第2絶縁体層の空孔率は、前記複数の第1絶縁体層の全体の空孔率より高い、第2準備工程と、
前記第1準備工程及び前記第2準備工程の後に、前記小面積第1絶縁体層、前記大面積第1絶縁体層及び前記第2絶縁体層を積層して積層体を形成する積層工程であって、前記積層体の積層方向に直交する方向は、第1方向であり、前記小面積第1絶縁体層は、前記第1方向に見て、前記第2絶縁体層と重なっており、かつ、前記小面積第1絶縁体層及び前記第2絶縁体層は、前記積層方向に前記大面積第1絶縁体層と重なる、積層工程と、
前記積層工程の後に、前記積層体に加圧処理を施す加圧工程と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る多層基板及び多層基板の製造方法によれば、第2絶縁体層の空孔が潰れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、多層基板10の左右方向に直交する断面図である。
【
図3】
図3は、多層基板10の前後方向に直交する断面図である。
【
図4】
図4は、折り曲げられた多層基板10の背面図である。
【
図28】
図28は、多層基板10hのマザー積層体112の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
[回路基板の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る多層基板10の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、多層基板10の分解斜視図である。なお、
図1では、複数の層間接続導体v1及び複数の層間接続導体v2の内の代表的な層間接続導体v1,v2にのみ参照符号を付した。
図2は、多層基板10の左右方向に直交する断面図である。
図3は、多層基板10の前後方向に直交する断面図である。
【0011】
本明細書において、方向を以下のように定義する。上下方向は、積層体12の積層方向である。前後方向は、第1領域前部A1a、第2領域A2及び第1領域後部A1bが並ぶ第1方向である。第1方向は、積層体12の積層方向に直交している。左右方向は、第1領域左部A1c、第2領域A2及び第1領域右部A1dが並ぶ第2方向である。第2方向は、積層方向及び第1方向に直交する方向である。なお、本実施形態における上下方向、前後方向及び左右方向は、多層基板10の使用時における上下方向、前後方向及び左右方向と一致していなくてもよい。
【0012】
以下では、X,Yは、多層基板10の部品又は部材である。本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。Xの前端とは、Xの前方向の端を意味する。Xの後端とは、Xの後方向の端を意味する。Xの左端とは、Xの左方向の端を意味する。Xの右端とは、Xの右方向の端を意味する。Xの上端とは、Xの上方向の端を意味する。Xの下端とは、Xの下方向の端を意味する。Xの前端部とは、Xの前端及びその近傍を意味する。Xの後端部とは、Xの後端及びその近傍を意味する。Xの左端部とは、Xの左端及びその近傍を意味する。Xの右端部とは、Xの右端及びその近傍を意味する。Xの上端部とは、Xの上端及びその近傍を意味する。Xの下端部とは、Xの下端及びその近傍を意味する。
【0013】
また、「Xは、Yの上に位置している。」とは、XがYの真上に位置していることを意味する。従って、上下方向に見て、Xは、Yと重なっている。「Xは、Yより上に位置している。」とは、XがYの真上に位置していること、及び、XがYの斜め上に位置していることを意味する。従って、上下方向に見て、Xは、Yと重なっていてもよいし、Yと重なっていなくてもよい。この定義は、上方向以外の方向にも適用される。
【0014】
まず、
図1を参照しながら、多層基板10の構造について説明する。多層基板10は、高周波信号を伝送する。多層基板10は、スマートフォン等の電子機器において、2つの回路を電気的に接続するために用いられる。多層基板10は、
図1に示すように、積層体12、保護層16a,16b、信号導体層20a~20c(第1信号導体層)、リファレンス導体層22a~22d、信号電極層28a,28b、複数の層間接続導体v1、複数の層間接続導体v2及び層間接続導体v3~v6を備えている。
【0015】
積層体12は、複数の絶縁体層が積層された構造を有している。複数の絶縁体層は、第1絶縁体層14a~14d及び第2絶縁体層18を含んでいる。第1絶縁体層14a~14d及び第2絶縁体層18は、誘電体層である。第1絶縁体層14a~14dは、上から下へとこの順に並ぶように積層されている。第1絶縁体層14a~14dの外縁のそれぞれは、上下方向に見て、同じ形状を有している。第1絶縁体層14a~14dの外縁のそれぞれは、上下方向に見て、長方形状を有している。第1絶縁体層14a~14dの長辺は、左右方向に延びている。第1絶縁体層14a~14dの短辺は、前後方向に延びている。
【0016】
また、第1絶縁体層14cには、
図2及び
図3に示すように、開口Opが設けられている。開口Opは、第1絶縁体層14cが設けられていない絶縁体層非形成領域である。また、開口Opは、上下方向に見て、第1絶縁体層14a,14b,14dと重なっている。開口Opは、上下方向に見て、長方形状を有している。開口Opは、上下方向に見て、第1絶縁体層14cの前後方向の中央近傍において左右方向に延びている。ただし、開口Opの左端は、第1絶縁体層14cの左端より右に位置している。開口Opの右端は、第1絶縁体層14cの右端より左に位置している。
【0017】
以上のように、上下方向に見て、第1絶縁体層14cの面積は、第1絶縁体層14a,14b,14dの面積より小さい。従って、第1絶縁体層14a~14dは、小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14c及び大面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14a,14b,14dを含んでいる。
【0018】
第1絶縁体層14a~14dの材料は、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等の熱可塑性樹脂である。第1絶縁体層14a~14dの材料は、ポリイミドであってもよい。
【0019】
保護層16aは、第1絶縁体層14aの上に位置している。保護層16aは、後述するリファレンス導体層22aを保護する保護層である。保護層16bは、第1絶縁体層14dの下に位置している。保護層16bは、後述するリファレンス導体層22dを保護する保護層である。保護層16a,16bは、レジスト層又はカバーレイ層である。保護層16a,16bは、絶縁材料が塗布されることにより形成されてもよいし、シートが貼り付けられることにより形成されてもよい。以上のような保護層16a,16bは、積層体12の一部ではない。保護層16a,16bは、積層体12の上主面又は下主面に設けられている導体層を保護するための層である。そのため、保護層16a,16bの材料は、第1絶縁体層14a~14dの材料及び第2絶縁体層18の材料と異なる。
【0020】
第2絶縁体層18は、開口Op内に設けられている。そのため、第2絶縁体層18は、上下方向に見て、第1絶縁体層14cに囲まれている。また、第2絶縁体層18は、第1絶縁体層14bと第1絶縁体層14dとの間に位置している。第2絶縁体層18の材料は、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等の熱可塑性樹脂である。第2絶縁体層18の材料は、ポリイミドであってもよい。ただし、第2絶縁体層18の空孔率は、第1絶縁体層14a~14dの空孔率より高い。すなわち、第2絶縁体層18は、多孔質構造を有している。多孔質構造とは、第2絶縁体層18の全体に複数の気泡が分散している構造である。本実施形態では第2絶縁体層18は、気泡を含んでいる。言い換えると、気泡が第2絶縁体層18に内包されている。より詳細には、第2絶縁体層18は、複数の独立気泡を含んでいる。独立気泡は、気泡の全体が第2絶縁体層18の材料により囲まれることにより、気泡内の気体が第2絶縁体層18の外部に漏れることができない構造を有している。また、独立気泡では、隣り合う気泡同士がつながっていない。
【0021】
空孔率の測定は、例えば、絶縁体層の断面の画像をもとに空孔率を測定したり、測定する断面を有する積層体を蛍光液に浸した後、光学的手法で測定したりする。前者の方法で測定する際は、(界面や空孔が見えるように)少なくとも1000倍以上の倍率で測定する。なお、断面の切り出しの際に、空孔が潰れないよう、研磨機の回転数を少なくとも120rpm以下にまで下げる。また、粒度240(JIS R 6010)以上の研磨紙を用いる。複数の断面を測定し、その平均値を採用する。
【0022】
このような第2絶縁体層18には、層間接続導体が位置していない。
【0023】
なお、空孔率の測定には、絶縁体層同士の界面を避ける。具体的には、まず、第2絶縁体層の境界から、4等分して、中央の2等分の領域内で、少なくともそれぞれ各辺の4分の1の長さを測定領域とする。次に、第1絶縁体層の厚み方向は、第2絶縁体層と同様に測定領域を定め、水平方向(幅、奥行き)は、第2絶縁体層を基準とする。この時、ビアや(隣接する)導体パターンを避けて測定する。例えば、第1空孔率と第2空孔率との差は、30%以上である。
【0024】
ここで、積層体12は、
図2及び
図3に示すように、上下方向(積層方向)に見て、第1領域A1及び第2領域A2を含んでいる。第2領域A2は、上下方向に見て、第2絶縁体層18を含む領域である。第1領域A1は、積層体12において第2領域A2を除く領域である。すなわち、第1領域A1は、上下方向に見て、第2絶縁体層18を含まない領域である。第1領域A1は、第1絶縁体層14a~14dが積層された構造を有している。第2領域A2は、第1絶縁体層14a,14b,14d及び第2絶縁体層18が積層された構造を有している。このように、小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14cは、第1領域A1に位置しており、かつ、第2領域A2に位置していない。大面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14a,14b,14dは、第1領域A1及び第2領域A2に位置している。大面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14a,14b,14dは、上下方向(積層方向)に見て、第1領域A1の少なくとも一部分及び第2領域A2の全体に位置しており、かつ、上下方向(積層方向)に見て、第1領域A1と第2領域A2との境界に位置している。第2絶縁体層18は、第1領域A1に位置しておらず、かつ、第2領域A2に位置している。
【0025】
以下では、第1領域A1において第2領域A2の前に位置する部分を第1領域前部A1aと呼ぶ。第1領域A1において第2領域A2の後に位置する部分を第1領域後部A1bと呼ぶ。第1領域A1において第2領域A2の左に位置する部分を第1領域左部A1cと呼ぶ。第1領域A1において第2領域A2の右に位置する部分を第1領域右部A1dと呼ぶ。第1領域前部A1a(第1領域)と第2領域A2とは、
図2に示すように、上下方向(積層方向)に見て、前後方向(第1方向)に互いに隣接している。第1領域後部A1b(第1領域)と第2領域A2とは、
図2に示すように、上下方向(積層方向)に見て、前後方向(第1方向)に互いに隣接している。第1領域左部A1c(第1領域)と第2領域A2とは、
図3に示すように、上下方向(積層方向)に見て、左右方向(第2方向)に互いに隣接している。第1領域右部A1d(第1領域)と第2領域A2とは、
図2に示すように、上下方向(積層方向)に見て、左右方向(第2方向)に互いに隣接している。
【0026】
小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14cは、
図1及び
図2に示すように、前後方向(第1方向)に見て、第2絶縁体層18と重なっている。すなわち、第1絶縁体層14cは、第2絶縁体層18と前後方向に並んでいる。前記の通り、第1絶縁体層14cは、第2領域A2に位置していない。第2絶縁体層18は、第1領域A1に位置していない。これにより、第1絶縁体層14cの側面と第2絶縁体層18の側面とは、互いに向かい合っている。本実施形態では、第1絶縁体層14cの側面と第2絶縁体層18の側面とは、互いに接触している。また、小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14cは、
図1及び
図3に示すように、左右方向(第2方向)に見て、第2絶縁体層18と重なっている。これにより、第1絶縁体層14cの側面と第2絶縁体層18の側面とは、互いに向かい合っている。本実施形態では、第1絶縁体層14cの側面と第2絶縁体層18の側面とは、互いに接触している。
【0027】
信号導体層20aは、
図1に示すように、積層体12に設けられている。信号導体層20aは、第2絶縁体層18の上主面に設けられている。信号導体層20aは、左右方向に延びている。信号導体層20aは、線形状を有している。信号導体層20aの左端は、第2絶縁体層18の左端より右に位置している。信号導体層20aの右端は、第2絶縁体層18の右端より左に位置している。これにより、信号導体層20a(第1信号導体層)は、第2領域A2に位置しており、かつ、上下方向(積層方向)に見て、前後方向(第1方向)及び左右方向(第2方向)において、第2絶縁体層18に挟まれている。
【0028】
信号導体層20b,20cは、
図1に示すように、積層体12に設けられている。信号導体層20b,20cは、第1絶縁体層14bの上主面に設けられている。信号導体層20b,20cは、左右方向に延びている。信号導体層20b,20cは、線形状を有している。信号導体層20bの右端部は、上下方向に見て、信号導体層20aの左端部と重なっている。信号導体層20bの左端部は、第1絶縁体層14bの左端部に位置している。信号導体層20cの左端部は、上下方向に見て、信号導体層20aの右端部と重なっている。信号導体層20cの右端部は、第1絶縁体層14bの右端部に位置している。
【0029】
以上のような信号導体層20a~20cの少なくとも一部分は、第2領域A2に位置している。本実施形態では、
図3に示すように、信号導体層20aの全体、信号導体層20bの右端部及び信号導体層20cの左端部は、第2領域A2に位置している。このような信号導体層20a~20cには、高周波信号が伝送される。
【0030】
信号電極層28aは、第1絶縁体層14aの上主面に設けられている。信号電極層28aは、上下方向に見て、長方形状を有している。信号電極層28aは、上下方向に見て、信号導体層20bの左端部と重なっている。
【0031】
層間接続導体v3は、積層体12に設けられている。層間接続導体v3は、第1絶縁体層14aを上下方向に貫通している。層間接続導体v3は、信号電極層28aと信号導体層20bの左端部とを電気的に接続している。層間接続導体v4は、積層体12に設けられている。層間接続導体v4は、第1絶縁体層14bを上下方向に貫通している。層間接続導体v4は、信号導体層20bの右端部と信号導体層20aの左端部とを電気的に接続している。
【0032】
信号電極層28b及び層間接続導体v5,v6は、信号電極層28a及び層間接続導体v3,v4と左右対称な構造を有するので、説明を省略する。以上のような信号電極層28a,28bには、高周波信号が入出力する。
【0033】
リファレンス導体層22aは、第1絶縁体層14aの上主面に設けられている。リファレンス導体層22aは、第1絶縁体層14aの上主面の略全体を覆っている。ただし、リファレンス導体層22aは、信号電極層28a,28bに接触していない。リファレンス導体層22bは、第1絶縁体層14bの上主面に設けられている。ただし、リファレンス導体層22bは、信号導体層20b,20cに接触していない。また、リファレンス導体層22bは、上下方向に見て、信号導体層20aと重なっていない。リファレンス導体層22cは、第1絶縁体層14cの上主面に設けられている。ただし、リファレンス導体層22cは、信号導体層20aに接触していない。リファレンス導体層22dは、第1絶縁体層14dの下主面に設けられている。リファレンス導体層22dは、第1絶縁体層14dの下主面の略全体を覆っている。以上のように、リファレンス導体層22aは、信号導体層20a~20cの上に位置している。リファレンス導体層22dは、信号導体層20a~20cの下に位置している。その結果、信号導体層20a~20c及びリファレンス導体層22a,22dは、ストリップライン構造を形成している。
【0034】
信号導体層20a~20c、リファレンス導体層22a~22d及び信号電極層28a,28bは、第1絶縁体層14a~14dの上主面又は下主面に張り付けられた金属箔にパターニングが施されて形成される。金属箔は、例えば、銅箔である。
【0035】
複数の層間接続導体v1は、積層体12に設けられている。複数の層間接続導体v1は、第1絶縁体層14a~14dを上下方向に貫通している。複数の層間接続導体v1は、リファレンス導体層22a~22dを電気的に接続している。複数の層間接続導体v1は、信号導体層20a~20cの前に位置している。複数の層間接続導体v1は、左右方向に一列に並んでいる。
【0036】
複数の層間接続導体v2は、積層体12に設けられている。複数の層間接続導体v2は、第1絶縁体層14a~14dを上下方向に貫通している。複数の層間接続導体v2は、リファレンス導体層22a~22dを電気的に接続している。複数の層間接続導体v2は、信号導体層20a~20cの後に位置している。複数の層間接続導体v2は、左右方向に一列に並んでいる。
【0037】
複数の層間接続導体v1、複数の層間接続導体v2及び層間接続導体v3~v6は、ビアホール導体である。ビアホール導体は、第1絶縁体層14a~14dを上下方向に貫通する貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストが加熱により固化することにより形成される。なお、複数の層間接続導体v1、複数の層間接続導体v2及び層間接続導体v3~v6は、スルーホール導体であってもよい。スルーホール導体は、第1絶縁体層14a~14dを上下方向に貫通する貫通孔の内周面にメッキが施されることにより形成される。
【0038】
保護層16aには、開口h1~h6が設けられている。開口h1,h3,h4は、保護層16aの左端部に位置している。開口h3、開口h1及び開口h4は、前から後へとこの順に並んでいる。信号電極層28aは、開口h1を介して積層体12の外部に露出している。リファレンス導体層22aの一部は、開口h3,h4を介して積層体12の外部に露出している。リファレンス導体層22aの一部は、リファレンス電位が接続される電極層として機能する。開口h2,h5,h6の構造は、開口h1,h3,h4と左右対称であるので説明を省略する。
【0039】
以上のような多層基板10は折り曲げられて使用される。
図4は、折り曲げられた多層基板10の背面図である。
【0040】
本明細書において、「多層基板10が折れ曲がる」とは、多層基板10が外力を受けることによって変形して曲がっていることを意味する。変形は、塑性変形でもよいし、弾性変形でもよい。また、変形は、塑性変形及び弾性変形でもよい。多層基板10は、小変形領域A111,A112及び大変形領域A113を含んでいる。小変形領域A111,A112は、折れ曲がっていない。そこで、小変形領域A111における上下方向をZ軸方向と定義する。Z軸方向は、例えば、(1)の位置における上下方向とは一致しない。大変形領域A113は、小変形領域A111に対してZ軸方向に折れ曲がっている。また、大変形領域A113は、第2領域A2の一部である。これにより、第2領域A2は、折れ曲がっている。一方、第1領域左部A1c及び第1領域右部A1dは、折れ曲がっていない。その結果、第2領域A2の曲率半径は、第1領域A1の曲率半径より小さい。
【0041】
[多層基板10の製造方法]
次に、多層基板10の製造方法について
図1を参照しながら説明する。
【0042】
まず、複数の第1絶縁体層14a~14dを準備する(第1準備工程)。複数の第1絶縁体層14a~14dは、小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14c及び大面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14a,14b,14dを含んでいる。小面積絶縁体層である第1絶縁体層14cの上主面(主面)の面積は、大面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14a,14b,14dの上主面(主面)の面積より小さい。そこで、第1絶縁体層14cに開口Opを形成する。開口Opの形成は、打ち抜き加工やレーザービームの照射等により行われる。
【0043】
次に、第2絶縁体層18を準備する(第2準備工程)。第2絶縁体層18の空孔率は、第1絶縁体層14a~14dの全体の空孔率より高い。
【0044】
次に、信号導体層20a~20c、リファレンス導体層22a~22d及び信号電極層28a,28bを形成する。具体的には、第1絶縁体層14a~14dの上主面又は下主面に銅箔を張り付ける。そして、銅箔にパターニングを施すことにより、信号導体層20a~20c、リファレンス導体層22a~22d及び信号電極層28a,28bを形成する。
【0045】
次に、複数の層間接続導体v1、複数の層間接続導体v2及び層間接続導体v3~v6を形成する。具体的には、第1絶縁体層14a~14dにレーザービームを照射して貫通孔を形成する。そして、貫通孔に導電性ペーストを充填する。
【0046】
第1準備工程及び第2準備工程の後に、小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14c、大面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14a,14b,14d及び第2絶縁体層18を積層して積層体12を形成する(積層工程)。このとき、小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14cは、前後方向(第1方向)に見て、第2絶縁体層18と重なる。更に、小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14c及び第2絶縁体層18は、上下方向(積層方向)に見て、大面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14a,14b,14dと重なる。
【0047】
積層工程の後に、積層体12に加圧処理を施す(加圧工程)。具体的には、積層体12に加熱処理及び加圧処理を施す。これにより、第1絶縁体層14a~14dが軟化及び溶融する。そして、第1絶縁体層14a~14dは、積層体12内に存在する隙間に流入する。隙間は、例えば、隣り合う2つの第1絶縁体層14a~14dの間や、第1絶縁体層14cと第2絶縁体層18との間等に存在する。積層体12が冷却されると、第1絶縁体層14a~14d及び第2絶縁体層18が接合される。以上の工程を経て、多層基板10が完成する。
【0048】
なお、加圧工程の後に、第2領域A2の曲率半径が第1領域A1の曲率半径より小さくなるように、第2領域A2を折り曲げてもよい(折り曲げ工程)。ここで、上下方向(積層方向)に見て、第1領域A1と第2領域A2とは、前後方向(第1方向)に並んでいる。折り曲げ工程では、上下方向(積層方向)に見て、第1領域A1と第2領域A2とが前後方向(第1方向)に並んでいる部分を折り曲げる。
【0049】
[効果]
多層基板10によれば、第2絶縁体層18の空孔が潰れることを抑制できる。より詳細には、第2絶縁体層18の空孔率は、第1絶縁体層14cの空孔率より高い。従って、第1絶縁体層14cは、第2絶縁体層18より硬い。そして、第1絶縁体層14cは、前後方向に見て、第2絶縁体層18と重なっている。これにより、積層体12の圧着時に、第1絶縁体層14cがストッパーとして機能するようになり、第2絶縁体層18が上下方向に潰れることが第1絶縁体層14cにより抑制される。その結果、積層体12の圧着時に、第2絶縁体層18の空孔が潰れることが抑制される。
【0050】
多層基板10によれば、信号導体層20a~20cを伝送される高周波信号のロスが低減される。より詳細には、積層体12が第2絶縁体層18を含んでいる。第2絶縁体層18の空孔率は高いので、第2絶縁体層18の誘電率は低い。これにより、信号導体層20a~20c近傍の誘電率が低くなる。その結果、信号導体層20a~20cを伝送される高周波信号のロスが低減される。特に、多層基板10では、信号導体層20a~20cの少なくとも一部分は、第2領域A2に位置している。これにより、信号導体層20a~20cは、第2絶縁体層18の近くに位置するようになる。その結果、信号導体層20a~20c近傍の誘電率が更に低くなる。以上より、多層基板10によれば、信号導体層20a~20cを伝送される高周波信号のロスが更に低減される。
【0051】
多層基板10によれば、層間接続導体にショートが発生することが抑制される。より詳細には、第2絶縁体層18の空孔率は、第1絶縁体層14a~14dの全体の空孔率より高い。そのため、第2絶縁体層18に層間接続導体を形成すると、導電性ペーストがにじみやすい。このような導電性ペーストのにじみは、層間接続導体のショートの原因になる。そこで、第2絶縁体層18には、層間接続導体が位置していない。これにより、層間接続導体にショートが発生することが抑制される。
【0052】
多層基板10によれば、多層基板10を容易に折り曲げることができる。より詳細には、第2絶縁体層18の空孔率は、第1絶縁体層14a~14dの全体の空孔率より高い。従って、第2絶縁体層18は変形しやすい。このような第2絶縁体層18は、第2領域A2に位置している。そこで、第2領域A2は、折れ曲がっている。これにより、多層基板10によれば、多層基板10を容易に折り曲げることができる。
【0053】
多層基板10によれば、第2領域A2がZ軸方向に折り曲げられている。ただし、第1領域A1と第2領域A2とは、前後方向に並んでいる。そのため、第2領域A2が折り曲げられたときに、第1絶縁体層14cがスペーサーとして機能する。これにより、第2絶縁体層18に大きな力が加わることが、第1絶縁体層14cにより妨げられる。その結果、第2絶縁体層18の空孔が潰れることが抑制される。
【0054】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る多層基板10aについて図面を参照しながら説明する。
図5は、多層基板10aの断面図である。
【0055】
多層基板10aは、第2絶縁体層18の上下方向(積層方向)の厚みが、前後方向(第1方向)に見て第2絶縁体層18と重なる小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14cの上下方向(積層方向)の厚みより小さい点において、多層基板10と相違する。多層基板10のその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10aは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0056】
また、多層基板10aによれば、第2絶縁体層18の空孔が潰れることをより抑制できる。より詳細には、第2絶縁体層18の上下方向(積層方向)の厚みは、小面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14cの上下方向(積層方向)の厚みより小さい。これにより、第1領域A1の上下方向の厚みが第2領域A2の上下方向の厚みより大きくなる。従って、積層体12の圧着時に、第1領域A1に圧力が加わりやすく、第2領域A2に圧力が加わりにくくなる。その結果、積層体12の圧着時に、第2領域A2に大きな圧力が加わって第2絶縁体層18の空孔が潰れることがより抑制される。
【0057】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る多層基板10bについて図面を参照しながら説明する。
図6は、多層基板10bの断面図である。
【0058】
多層基板10bは、第2絶縁体層18の位置において多層基板10と相違する。より詳細には、第1絶縁体層14cは、大面積第1絶縁体層である。第1絶縁体層14dは、小面積第1絶縁体層である。そして、第1絶縁体層14dは、前後方向(第1方向)に見て、第2絶縁体層18と重なっている。多層基板10bのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10bは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0059】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る多層基板10cについて図面を参照しながら説明する。
図7は、多層基板10cの断面図である。
【0060】
多層基板10cは、第2絶縁体層18の位置において多層基板10と相違する。より詳細には、第2絶縁体層18は、上下方向に見て、信号導体層20a~20cと重なっていない。従って、信号導体層20a~20cは、第2領域A2に位置していない。本変形例では、第1絶縁体層14cは、大面積第1絶縁体層である。第1絶縁体層14bは、小面積第1絶縁体層である。そして、第1絶縁体層14bは、前後方向(第1方向)に見て、第2絶縁体層18と重なっている。第2絶縁体層18は、信号導体層20aの前及び後に位置している。また、信号導体層20aと第2絶縁体層18との間には導体層が存在しない。多層基板10cのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10cは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。また、信号導体層20a~20cは、第2領域A2に位置していない場合であっても、積層体12が第2絶縁体層18を含んでいるので、信号導体層20a~20c近傍の誘電率が低くなる。その結果、信号導体層20a~20cを伝送される高周波信号のロスが低減される。
【0061】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係る多層基板10dについて図面を参照しながら説明する。
図8は、多層基板10dの断面図である。
【0062】
多層基板10dは、積層体12が第2絶縁体層18a,18bを更に含んでいる点において多層基板10bと相違する。より詳細には、第2絶縁体層18a,18bは、信号導体層20aより前及び後に位置している。第2絶縁体層18aと第2絶縁体層18bとは、上下方向に見て、同じ形状を有している。第2絶縁体層18a,18bは、上下方向に見て、第2絶縁体層18より小さい。また、第2絶縁体層18aと第2絶縁体層18bと第2絶縁体層18は、上下方向に見て、重なっている。多層基板10dのその他の構造は、多層基板10bと同様であるので説明を省略する。多層基板10dは、多層基板10bと同じ作用効果を奏する。
【0063】
(第5変形例)
以下に、第5変形例に係る多層基板10eについて図面を参照しながら説明する。
図9及び
図10は、多層基板10eの断面図である。
【0064】
多層基板10eは、マイクロストリップライン構造を有している点において多層基板10と相違する。従って、リファレンス導体層22aは、上下方向に見て、信号導体層20a~20cと重なっていない。多層基板10eのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10eは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0065】
(第6変形例)
以下に、第6変形例に係る多層基板10fについて図面を参照しながら説明する。
図11及び
図12は、多層基板10fの断面図である。
【0066】
多層基板10fは、第2絶縁体層18aを更に備えている点において多層基板10と相違する。第1絶縁体層14a,14dは、大面積第1絶縁体層である。第1絶縁体層14b,14cは、小面積第1絶縁体層である。そして、第1絶縁体層14bは、前後方向(第1方向)に見て、第2絶縁体層18aと重なっている。第1絶縁体層14cは、前後方向(第1方向)に見て、第2絶縁体層18と重なっている。これにより、信号導体層20aは、左右方向に見て、第2絶縁体層18,18aにより囲まれている。多層基板10fのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10fは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0067】
また、多層基板10fによれば、信号導体層20aは、左右方向に見て、第2絶縁体層18,18aにより囲まれている。これにより、信号導体層20a近傍の誘電率が更に低くなる。以上より、多層基板10fによれば、信号導体層20a~20cを伝送される高周波信号のロスが更に低減される。
【0068】
(第7変形例)
以下に、第7変形例に係る多層基板10gについて図面を参照しながら説明する。
図13は、多層基板10gの断面図である。
【0069】
多層基板10gは、第2絶縁体層18,18aの位置において多層基板10fと相違する。第2絶縁体層18,18aは、信号導体層20aに接していない。第1絶縁体層14b,14cは、大面積第1絶縁体層である。第1絶縁体層14a,14dは、小面積第1絶縁体層である。そして、第1絶縁体層14aは、前後方向(第1方向)に見て、第2絶縁体層18aと重なっている。第1絶縁体層14dは、前後方向(第1方向)に見て、第2絶縁体層18と重なっている。多層基板10gのその他の構造は、多層基板10fと同様であるので説明を省略する。多層基板10gは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0070】
(第8変形例)
以下に、第8変形例に係る多層基板10hについて図面を参照しながら説明する。
図14は、多層基板10hの分解斜視図である。
【0071】
多層基板10hは、第2絶縁体層18の形状において多層基板10と相違する。より詳細には、上下方向(積層方向)に見て、第2絶縁体層18は、積層体12の前後方向の両端を繋いでいる。すなわち、第2絶縁体層18は、上下方向に見て、積層体12を前後方向に横切っている。これにより、上下方向(積層方向)に見て、第2領域A2は、積層体12の前後方向(第1方向)の両端を繋いでいる。このような多層基板10hは、第2領域A2が積層体12の前後方向の両端を繋いでいる部分において折り曲げられる。すなわち、第2領域A2が積層体12の前後方向の両端を繋いでいる部分は、
図4の大変形領域A113に含まれる。従って、多層基板10hの製造方法では、折り曲げ工程では、上下方向(積層方向)に見て、第2領域A2が積層体12の前後方向(第1方向)の両端を繋いでいる部分を折り曲げる。多層基板10hのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10hは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0072】
また、上下方向(積層方向)に見て、第2絶縁体層18が積層体12の前後方向(第1方向)の両端を繋ぐことにより、第2領域A2が積層体12の前後方向の両端を繋いでいる。第2絶縁体層18は、第1絶縁体層14a~14dより変形しやすい。そのため、多層基板10hが容易に折り曲げられるようになる。
【0073】
(第9変形例)
以下に、第9変形例に係る多層基板10iについて図面を参照しながら説明する。
図15は、多層基板10iの断面図である。
【0074】
多層基板10iは、第1絶縁体層14aの一部分、第1絶縁体層14bの一部分及び保護層16aの一部が存在していない点において多層基板10と相違する。これにより、
図4の大変形領域A113では、第1絶縁体層14a,14bが存在していない。多層基板10iのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10i、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0075】
また、多層基板10iでは、第1絶縁体層14aの一部分及び第1絶縁体層14bの一部分が存在していない。これにより、大変形領域A113を折り曲げることが容易となる。
【0076】
(第10変形例)
以下に、第10変形例に係る多層基板10jについて図面を参照しながら説明する。
図16及び
図17は、多層基板10jの断面図である。
図18は、多層基板10jの上面図である。
図18は、多層基板10jの内部を透視した図である。
【0077】
多層基板10jは、信号導体層120a,120b及び層間接続導体va~vdを備えている点において多層基板10と相違する。信号導体層120a,120bは、積層体12に設けられている。信号導体層120aは、第1領域前部A1aにおいて左右方向に延びている。信号導体層120a(第1信号導体層)は、第2領域A2に位置していない。信号導体層120bは、第1領域後部A1bにおいて左右方向に延びている。信号導体層120b(第2信号導体層)は、第2領域A2に位置していない。これにより、第2絶縁体層18は、上下方向(積層方向)に見て、信号導体層120a(第1信号導体層)と信号導体層120b(第2信号導体層)との間に位置している。
【0078】
層間接続導体va,vbは、第1領域前部A1aに設けられている。層間接続導体vbは、信号導体層120aと第2絶縁体層18との間に位置している。そのため、層間接続導体vbと第2絶縁体層18との距離は、層間接続導体vaと第2絶縁体層18との距離より短い。そして、積層体12の上下方向(積層方向)の厚みDは、上下方向(積層方向)に見た層間接続導体vbと第2絶縁体層18との最短距離dより大きい。
【0079】
層間接続導体vc,vdは、第1領域後部A1bに設けられている。また、層間接続導体vcは、信号導体層120bと第2絶縁体層18との間に位置している。そのため、層間接続導体vcと第2絶縁体層18との距離は、層間接続導体vdと第2絶縁体層18との距離より短い。そして、積層体12の上下方向(積層方向)の厚みDは、上下方向(積層方向)に見た層間接続導体vcと第2絶縁体層18との最短距離dより大きい。
【0080】
以上のような多層基板10jは、第2領域A2において折れ曲がっている。従って、第2領域A2は、前後方向に見て、大変形領域A113と一致する。多層基板10jのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10jは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0081】
また、多層基板10jによれば、信号導体層120aと信号導体層120bとの間のクロストークが低減される。より詳細には、
図16に示すように、多層基板10jが折り曲げられない状態では、信号導体層120aと信号導体層120bとの間に第2絶縁体層18が位置している。第2絶縁体層18は、低い誘電率を有している。そのため、電磁波は、第2絶縁体層18内を伝搬しにくい。その結果、多層基板10jによれば、信号導体層120aと信号導体層120bとの間のクロストークが低減される。
【0082】
(第11変形例)
以下に、第11変形例に係る多層基板10kについて図面を参照しながら説明する。
図19は、多層基板10kの断面図である。
図20は、多層基板10kの分解図である。なお、
図19及び
図20では、絶縁体層のみを図示した。
【0083】
多層基板10kに示すように、積層体12は、第2絶縁体層18a~18dを含んでいてもよい。第2絶縁体層18a~18dは、上下方向に見て、同じ形状を有している。第2絶縁体層18a~18dは、上下方向に見て、互いに重なっている。第1絶縁体層14aは、前後方向に見て、第2絶縁体層18aと重なっている。第1絶縁体層14bは、前後方向に見て、第2絶縁体層18bと重なっている。第1絶縁体層14cは、前後方向に見て、第2絶縁体層18cと重なっている。第1絶縁体層14dは、前後方向に見て、第2絶縁体層18dと重なっている。これにより、第1領域A1では、第1絶縁体層14a~14dが積層されている。第2領域A2では第2絶縁体層18a~18dが積層されている。多層基板10kのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10kは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0084】
(第12変形例)
以下に、第12変形例に係る多層基板10lについて図面を参照しながら説明する。
図21は、多層基板10lの断面図である。
図22は、多層基板10lの分解図である。なお、
図21及び
図22では、絶縁体層のみを図示した。
【0085】
多層基板10lに示すように、積層体12は、第2絶縁体層18a~18cを含んでいてもよい。第2絶縁体層18a~18cは、上下方向に見て、同じ形状を有している。第2絶縁体層18a~18cは、上下方向に見て、互いに重なっている。第1絶縁体層14aは、前後方向に見て、第2絶縁体層18aと重なっている。第1絶縁体層14bは、前後方向に見て、第2絶縁体層18bと重なっている。第1絶縁体層14cは、前後方向に見て、第2絶縁体層18cと重なっている。ただし、第1絶縁体層14a~14cは、第2絶縁体層18a~18cの前に位置していない。そのため、多層基板10lでは、第1領域前部A1aが存在しない。多層基板10lのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10lは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0086】
(第13変形例)
以下に、第13変形例に係る多層基板10mについて図面を参照しながら説明する。
図23及び
図24は、多層基板10mの断面図である。
【0087】
多層基板10mは、層間接続導体v1,v2の構造において多層基板10と相違する。多層基板10の層間接続導体v1,v2は、第1絶縁体層14a~14dを上下方向に貫通する複数の層間接続導体が上下方向に一列に並んだ構造を有する。一方、多層基板10mの層間接続導体v1,v2は、前後方向及び左右方向に見て、蛇行している。多層基板10mのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10mは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0088】
(第14変形例)
以下に、第14変形例に係る多層基板10nについて図面を参照しながら説明する。
図25は、多層基板10nの断面図である。
【0089】
多層基板10nは、第2絶縁体層18の上主面に2つの凹部が設けられている点において多層基板10と相違する。より詳細には、第2絶縁体層18の上主面は、信号導体層20aの前及び後において下方向に窪んでいる。これにより、第2絶縁体層18が積層時に前後方向にずれることが抑制される。多層基板10nのその他の構造は、多層基板10と同様であるので説明を省略する。多層基板10mは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0090】
(第15変形例)
以下に、第15変形例に係る多層基板10oについて図面を参照しながら説明する。
図26は、多層基板10oの分解斜視図である。
図27は、多層基板10oの断面図である。
【0091】
多層基板10oは、信号導体層20aの左端部の前及び後に第2絶縁体層18aが位置している点、及び、信号導体層20aの右端部の前及び後に第2絶縁体層18aが位置している点において多層基板10fと相違する。ただし、信号導体層20aの左端部及び右端部は、第2絶縁体層18aに接していない。これにより、層間接続導体v4の前、後、下及び右の四方向には第2絶縁体層18aが位置している。層間接続導体v6の前、後、下及び左の四方向には第2絶縁体層18aが位置している。多層基板10oのその他の構造は、多層基板10fと同様であるので説明を省略する。多層基板10oは、多層基板10fと同じ作用効果を奏する。
【0092】
なお、層間接続導体v3と層間接続導体v4とは、上下方向に並んでいてもよい。層間接続導体v5と層間接続導体v6とは、上下方向に並んでいてもよい。
【0093】
なお、上下方向に見て、第2絶縁体層18aは、層間接続導体v4,v6の周囲を囲んでいてもよい。
【0094】
(その他の変形例)
以下のその他の変形例に係る多層基板10hの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図28は、多層基板10hのマザー積層体112の上面図である。
図28では、マザー積層体112を透視した。
【0095】
図28に示すように、多層基板10hの製造方法では、複数の積層体12が一体化されたマザー積層体112が形成される。そして、
図28のカットラインLにおいてマザー積層体112がカットされることにより、複数の積層体12が形成される。ここで、マザー積層体112の状態では、前後方向に隣り合う2つの第2絶縁体層18は繋がっている。
【0096】
なお、マザー積層体112aは、
図29に示す構造を有していてもよい。
図29は、マザー積層体112aの上面図である。
図29では、マザー積層体112aを透視した。マザー積層体112aでは、第2絶縁体層18は、長方形状を有している。前後方向に隣り合う2つの第2絶縁体層18は、2つの第2絶縁体層18の長辺全体において繋がっていてもよい。
【0097】
(その他の実施形態)
本発明に係る回路基板は、多層基板10,10a~10oに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。なお、多層基板10,10a~10oの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0098】
なお、第1絶縁体層14a~14dは、2種類以上の空孔率を有していてもよい。例えば、第1絶縁体層14a,14cの空孔率と第1絶縁体層14b,14dの空孔率とが異なっていてもよい。
【0099】
なお、第1絶縁体層14a~14dの材料は、熱可塑性樹脂でなくてもよい。第1絶縁体層14a,14cが接着層である第1絶縁体層14b,14dにより接合されてもよい。
【0100】
なお、多層基板10,10a~10oにおいて、信号導体層、層間接続導体及びリファレンス導体層は必須の構成要件ではない。
【0101】
なお、信号導体層20a~20cの全体が第2領域A2に位置していてもよい。
【0102】
なお、多層基板10,10a~10oは、1以上の層間接続導体を備えていてもよい。
【0103】
なお、第2領域A2は折れ曲がっていなくてもよい。第1領域A1は折れ曲がっていてもよい。
【0104】
なお、小変形領域A111,A112は、折れ曲がっていてもよい。
【0105】
なお、第2絶縁体層の材料は、熱可塑性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0106】
なお、第2絶縁体層に、層間接続導体が設けられていてもよい。
【0107】
なお、小面積第1絶縁体層の側面と第2絶縁体層の側面とは、互いに接触していなくてもよい。従って、小面積第1絶縁体層の側面と第2絶縁体層の側面との間に、接着剤又は充填剤が存在してもよい。接着剤は、第2絶縁体層及び小面積第1絶縁体層の上又は下に位置しており、積層体12の圧着時に小面積第1絶縁体層の側面と第2絶縁体層の側面との間に流入する。この場合、小面積第1絶縁体層の側面と第2絶縁体層の側面との距離は、例えば、第2領域A2の上下方向の厚み以下である。また、充填剤は、小面積第1絶縁体層の側面と第2絶縁体層の側面との間に隙間が形成されないように、小面積第1絶縁体層の側面と第2絶縁体層の側面との間に充填される絶縁材料である。小面積第1絶縁体層の側面と第2絶縁体層の側面との間に存在する接着剤や充填剤は、第1領域A1に位置している。
【0108】
なお、多層基板10,10a~10oは、上下方向に見て、多層基板10,10a~10oの長手方向に対して曲がっていてもよい。「多層基板10,10a~10oが曲がっている」とは、外力が加わっていない状態で多層基板10,10a~10oが曲がっていることを意味する。
【0109】
なお、大面積第1絶縁体層である第1絶縁体層14a,14b,14dの少なくとも一つは、上下方向(積層方向)に見て、第1領域A1の少なくとも一部分及び第2領域A2の全体に位置しており、かつ、上下方向(積層方向)に見て、第1領域A1と第2領域A2との境界に位置していればよい。
【0110】
本発明は、以下の構造を備える。
【0111】
(1)
多層基板は、
複数の第1絶縁体層及び第2絶縁体層を含む複数の絶縁体層が積層された構造を有している積層体を、
備えており、
前記積層体の積層方向に直交する方向は、第1方向であり、
前記積層方向及び前記第1方向に直交する方向は、第2方向であり、
前記積層体は、前記積層方向に見て、第1領域及び第2領域を含んでおり、
前記第1領域は、前記積層方向に見て、前記第2絶縁体層を含まない領域であり、
前記第2領域は、前記積層方向に見て、前記第2絶縁体層を含む領域であり、
前記複数の第1絶縁体層は、小面積第1絶縁体層を含んでおり、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記積層方向に見て、前記第2方向に互いに隣接しており、
前記小面積第1絶縁体層は、前記第1領域に位置しており、かつ、前記第2領域に位置しておらず、
前記小面積第1絶縁体層は、前記第1方向に見て、前記第2絶縁体層と重なっており、
前記第2絶縁体層の空孔率は、前記複数の第1絶縁体層の空孔率より高い、
多層基板。
【0112】
(2)
前記複数の第1絶縁体層は、1以上の大面積第1絶縁体層を更に含んでおり、
前記1以上の大面積第1絶縁体層は、前記第1領域及び前記第2領域に位置している、
(1)に記載の多層基板。
(3)
前記1以上の大面積第1絶縁体層の少なくとも一つは、前記積層方向に見て、前記第1領域の少なくとも一部分及び前記第2領域の全体に位置しており、かつ、前記積層方向に見て、前記第1領域と前記第2領域との境界に位置している、
(2)に記載の多層基板。
【0113】
(4)
前記多層基板は、
前記積層体に設けられている第1信号導体層を、
更に備えている、
(1)ないし(3)のいずれかに記載の多層基板。
【0114】
(5)
前記第1信号導体層の少なくとも一部分は、前記第2領域に位置している、
(4)に記載の多層基板。
【0115】
(6)
前記第1信号導体層は、前記第2領域に位置しており、かつ、前記積層方向に見て、前記第1方向及び前記第2方向において、前記第2絶縁体層に挟まれている、
(4)に記載の多層基板。
【0116】
(7)
前記第1信号導体層は、前記第2領域に位置していない、
(4)に記載の多層基板。
【0117】
(8)
前記多層基板は、
前記積層体に設けられている1以上の層間接続導体を、
更に備えており、
前記積層体の前記積層方向の厚みは、前記積層方向に見た前記1以上の層間接続導体と前記第2絶縁体層との最短距離より大きい、
(7)に記載の多層基板。
【0118】
(9)
前記多層基板は、
前記積層体に設けられている第2信号導体層を、
更に備えており、
前記第2信号導体層は、前記第2領域に位置しておらず、
前記第2絶縁体層は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体層と前記第2信号導体層との間に位置している、
(8)に記載の多層基板。
【0119】
(10)
前記1以上の第2絶縁体層には、層間接続導体が位置していない、
(5)に記載の多層基板。
【0120】
(11)
前記積層体は、1以上の前記第2絶縁体層を更に含んでいる、
(1)ないし(10)のいずれかに記載の多層基板。
【0121】
(12)
前記第2領域は、折れ曲がっており、
前記第2領域の曲率半径は、前記第1領域の曲率半径より小さい、
(1)ないし(11)のいずれかに記載の多層基板。
【0122】
(13)
前記積層方向に見て、前記第2領域は、前記積層体の前記第1方向の両端を繋いでいる、
(1)ないし(12)のいずれかに記載の多層基板。
【0123】
(14)
前記第2絶縁体層の前記積層方向の厚みは、前記第1方向に見て前記第2絶縁体層と重なる前記小面積第1絶縁体層の前記積層方向の厚みより小さい、
(1)ないし(13)のいずれかに記載の多層基板。
【0124】
(15)
多層基板の製造方法であって、
複数の第1絶縁体層を準備する第1準備工程であって、複数の前記第1絶縁体層は、小面積第1絶縁体層及び1以上の大面積第1絶縁体層を含んでおり、前記小面積第1絶縁体層の主面の面積は、前記大面積第1絶縁体層の主面の面積より小さい、第1準備工程と、
第2絶縁体層を準備する第2準備工程であって、前記第2絶縁体層の空孔率は、前記複数の第1絶縁体層の全体の空孔率より高い、第2準備工程と、
前記第1準備工程及び前記第2準備工程の後に、前記小面積第1絶縁体層、前記大面積第1絶縁体層及び前記第2絶縁体層を積層して積層体を形成する積層工程であって、前記積層体の積層方向に直交する方向は、第1方向であり、前記小面積第1絶縁体層は、前記第1方向に見て、前記第2絶縁体層と重なっており、かつ、前記小面積第1絶縁体層及び前記第2絶縁体層は、前記積層方向に前記大面積第1絶縁体層と重なる、積層工程と、
前記積層工程の後に、前記積層体に加圧処理を施す加圧工程と、
を備える、
多層基板の製造方法。
【0125】
(16)
前記積層体は、第1領域及び第2領域を含んでおり、
前記第1領域は、前記第2絶縁体層と重ならない領域であり、
前記第2領域は、前記第2絶縁体層と重なる領域であり、
前記多層基板の製造方法は、
前記加圧工程の後に、前記第2領域の曲率半径が前記第1領域の曲率半径より小さくなるように、記第2領域を折り曲げる折り曲げ工程を、
を更に備える、
(15)に記載の多層基板の製造方法。
【0126】
(17)
前記積層方向に見て、前記第2領域は、前記積層体の前記第1方向の両端を繋いでおり、
前記折り曲げ工程では、前記積層方向に見て、前記第2領域が前記積層体の前記第1方向の両端を繋いでいる部分を折り曲げる、
(16)に記載の多層基板の製造方法。
【0127】
(18)
前記積層方向に見て、前記第1領域と前記第2領域とは、前記第1方向に並んでおり、
前記折り曲げ工程では、前記積層方向に見て、前記第1領域と前記第2領域とが前記第1方向に並んでいる部分を折り曲げる、
(16)に記載の多層基板の製造方法。
【0128】
(19)
前記積層体は、第1領域及び第2領域を含んでおり、
前記第1領域は、前記第2絶縁体層と重ならない領域であり、
前記第2領域は、前記第2絶縁体層と重なる領域であり、
前記第2絶縁体層の前記積層方向の厚みは、前記第1絶縁体層の前記積層方向の厚みより小さい、
(15)ないし(18)のいずれかに記載の多層基板の製造方法。
【符号の説明】
【0129】
10,10a~10o:多層基板
12:積層体
14a~14d:第1絶縁体層
16a,16b:保護層
18,18a~18d:第2絶縁体層
20a,20b,20c,120a,120b:信号導体層
22a~22d:リファレンス導体層
28a,28b:信号電極層
112,112a:マザー積層体
A1:第1領域
A111,A112:小変形領域
A113:大変形領域
A1a:第1領域前部
A1b:第1領域後部
A1c:第1領域左部
A1d:第1領域右部
A2:第2領域
Op:開口
v1~v6,va~vd:層間接続導体