(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】3次元造形部材の作製方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20231226BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20231226BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231226BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20231226BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2019129147
(22)【出願日】2019-07-11
(62)【分割の表示】P 2017553083の分割
【原出願日】2016-04-06
【審査請求日】2019-07-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】102015106218.6
(32)【優先日】2015-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102015113700.3
(32)【優先日】2015-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツォーク・フランク
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】廣田 健介
【審判官】清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-532592(JP,A)
【文献】国際公開第2014/135137(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C64/124
B33Y
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元造形部材を生成的に作製する方法であって、
生成的作製装置からの光線により、造形材料の連続する層を選択的に溶融及び/又は焼成することと、
前記造形材料の連続層の少なくとも一部を選択的に溶融及び/又は焼成する際に、溶融特性及び/又は焼成特性に対応するセンサ値をセンサ機器によって決定することであって、前記センサ値が前記造形部材の座標に関連して空間的に位置特定される、センサ値の決定と、
生成的に作製されている前記造形部材又は生成的に作製された前記造形部材の、1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の局所的な品質を判定することであって、前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域は、空間的に位置特定された負荷情報及び/又は力流情報によって画定され、前記局所的な品質は、前記造形部材の前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域に対応した空間位置を有するセンサ値に基づいて判定される、局所的な品質の判定と、
前記造形部材の前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の局所的な品質
、並びに前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の範囲内に位置しない実際に負の品質を示すかあるいは負の品質を示す可能性がある1つ以上のセンサ値に基づいた全体的な品質を基準にして前記造形部材を分類することと、
を含み、
全体的な品質を基準にした前記造形部材の分類は、
前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の範囲内に位置しない実際に負の品質を示すかあるいは負の品質を示す可能性がある1つ以上のセンサ値に関して、前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の範囲内に位置しない実際に負の品質を示すかあるいは負の品質を示す可能性がある1つ以上のセンサ値の空間位置と、前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域
との間隔を判定
し、前記判定された間隔に基づいて前記全体的な品質を示すことを含み、前記
示された前記全体的な品質は前記判定された距離に対応する安全性の分類に基づいている、方法。
【請求項2】
3次元造形部材を生成的に作製する方法であって、
生成的作製装置からの光線により、造形材料の連続する層を選択的に溶融及び/又は焼成することと、
前記造形材料の連続層の少なくとも一部を選択的に溶融及び/又は焼成する際に、溶融特性及び/又は焼成特性に対応するセンサ値をセンサ機器によって決定することであって、前記センサ値が前記造形部材の座標に関連して空間的に位置特定される、センサ値の決定と、
生成的に作製されている前記造形部材又は生成的に作製された前記造形部材の、1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の局所的な品質を判定することであって、前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域は、空間的に位置特定された負荷情報及び/又は力流情報によって画定され、前記局所的な品質は、前記造形部材の前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域に対応した空間位置を有するセンサ値に基づいて判定される、局所的な品質の判定と、
前記造形部材の前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の局所的な品質
、並びに前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の範囲内に位置しない実際に負の品質を示すかあるいは負の品質を示す可能性がある1つ以上のセンサ値に基づいた全体的な品質を基準にして前記造形部材を分類することと、
を含み、
全体的な品質を基準にした前記造形部材の分類は、複数の異なる安全レベルのうちの1つを基準にして前記造形部材を分類することを含み、前記複数の異なる安全レベルのそれぞれは、
前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の範囲内に位置しない実際に負の品質を示すかあるいは負の品質を示す可能性があることを示す1つ以上のセンサ値の空間位置の、前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域からのそれぞれの間隔に基づいている、方法。
【請求項3】
それぞれ前記造形部材の2次元又は多次元表示において空間的に位置特定された、前記センサ値ならびに前記造形部材の前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域を含むグラフィック表示を提供することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域のそれぞれに空間的に対応する1つ以上のセンサ値が実際に負の局所的品質を示すか又は負の局所的品質を示す可能性がある場合、前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域のそれぞれの少なくとも一部を視覚的に強調することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記負荷情報及び力流情報は複数の負荷領域及び/又は力流線を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の負荷領域及び/又は力流線のそれぞれに空間的に対応する1つ以上のセンサ値が実際に負の局所的品質を示すか又は負の局所的品質を示す可能性がある場合、前記複数の負荷領域及び/又は力流線のそれぞれを視覚的に強調することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
実際に負の局所的品質を示すか又は負の局所的品質を示す可能性がある1つ以上のセンサ値が前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域のそれぞれに空間的に対応する場合、前記造形部材の生成的作製を中断することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
実際に負の局所的品質を示すかあるいは負の局所的品質を示す可能性がある1つ以上のセンサ値が前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域のそれぞれに空間的に対応する場合、前記造形部材の少なくとも一部に対して修復過程を行うことを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記修復過程は、前記1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域のそれぞれに対応する造形材料の少なくとも1つの層の領域で、前記少なくとも1つの層を生成的作製装置からの光線によってさらに選択的に溶融及び/又は焼成することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記修復過程を行う際に、前記センサ機器によって検出された溶融特性及び/又は焼成特性に対応するセンサ値を決定することと、
前記修復過程を行っているか又は前記修復過程を行った前記造形部材の1つ以上の負荷支持領域及び/又はクリティカルな負荷領域の局所的な品質を判定することと、
前記修復過程を行った後、全体的な品質を基準にして前記造形部材を再分類することと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記局所的な品質は前記造形部材の強度特性を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記強度特性は降伏応力を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記強度特性はミーゼスの降伏条件を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶融特性及び/又は焼成特性は溶融スポットの形状及び/又はサイズを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の更なる特徴を備えた、生成的造形方法による3次元造形部材の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、3次元造形部材の作製方法が公知である。その方法では、造形部材が生成的に、即ち、光線により硬化可能な造形材料を硬化することによって作製される。特に言及されているのは、選択的レーザ溶融方法又は選択的レーザ焼成方法である。そのような方法では、粉体状の造形材料がレーザ光線によって溶融されるか、或いは少なくとも焼成される。そのために生成的形成装置、特に、所謂SLM装置又はSLS装置が設けられており、その装置は、処理チャンバ、造形材料を支持するための造形プラットフォーム及びこの造形プラットフォームの上方に配置された光線源を有する。光線源は、造形材料に溶融領域又は焼成領域を形成するために点状又は線状にエネルギーを投入することができる。光線源の光線はスキャナを介して案内されている。そのスキャナは、プロセッサにより制御され、光線源の光線、特に、レーザ光線が、薄い層に塗布された造形材料を選択的に、即ち、後で造形部材の一部分を形成する箇所だけを硬化するように作用する。
【0003】
特許文献1において、レーザ光線により形成された溶融領域又は焼成領域を選択的に検出し、そこからその溶融領域又は焼成領域を特徴付けるセンサ値を生成するセンサ機器を設けることが既に公知である。溶融領域又は焼成領域の形状から、造形部材品質に関する情報を得ることができる。それらのセンサ値は、センサ値を造形部材内において位置特定する座標値と共に記憶されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記から出発して本発明の基礎を成す課題は、請求項1の上位概念の特徴を備える方法を、造形部材強度に関する更なる情報を得ることができ、既に作製された、場合により部分的に欠陥のある造形部材を「負荷能力が十分である」又は「負荷能力が不十分である」と分類することを実施できるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴部の特徴によって解決される。有利な変形形態は、従属請求項2~10に記載されている。
【0007】
本発明の核心は、作製すべき造形部材にとって重要である力流情報及び負荷情報、或いは既に作製された造形部材において測定方法によって検出される力流情報及び負荷情報を検出することであると看做される。これにより先ずは通常のように、クリティカルな領域又は高負荷領域が、作製すべき造形部材又は既に作製された造形部材において検出できる。次に、造形部材品質の評価のために検出されたセンサ値を、これらのセンサ値を位置特定する座標値と共に、高負荷情報、或いはクリティカルな負荷情報及び力流情報の座標と空間的に相関することが実施される。異なる手法で得られたこれらの情報は、言わば電子的に「重ね合わされ」、即ち、空間的に相関され、その際に、センサ値によって特徴付けられる造形部材欠陥が、負荷情報及び力流情報に対して重要な座標上にあるのか、或いはその近傍にあるのかが検査される。
【0008】
負荷情報及び力流情報は、力流線とも称することができ、その力流は、ラインの形で造形部材の図にグラフィック図示することができる。そして造形部材欠陥がこの力流線のクリティカルなゾーン又は高負荷ゾーン内にある場合、このことは、力流線のこの領域において、造形部材内に場合により存在する造形欠陥により、造形部材が格段に脆弱化しており、従って欠陥品と看做さなければならないことを意味するか、或いは造形部材は、確かに1つ又は複数、或いはそれどころか多数の造形部材欠陥を含んではいるが、センサ値により確定及び特徴付けられる造形部材欠陥が力流線又は力流領域から十分に離れているので、高負荷可能と分類することができることを意味する。
【0009】
有利には、センサ値も可視化機器によって、造形部材におけるセンサ値の検出箇所に関連して多次元表示で表示される。同じことがライン又は領域としてグラフィック図示することのできるクリティカルな負荷情報及び力流情報の座標に対しても当てはまる。
【0010】
造形部材欠陥が発生した場合に造形部材の更なる形成がクリティカルであるか、クリティカルでないかをオペレータが迅速に判断できるようにするために、有利には、造形部材品質に不利に影響するセンサ値を光学的に強調表示することができる。これによりオペレータは、可視化機器上で、一方では2次元又は多次元表示された造形部材を観察し、クリティカルな力流領域又は力流線をこの造形部材にグラフィックにスーパーインポーズして光学的に表示することができる。そして造形過程では、センサにより検出され、場合により造形部材の品質に不利に作用するセンサ値も同様に表示することができる。この場合、オペレータは、部材欠陥が規模に多少の差はあれ力流線領域内に存在するのか、その付近にだけ存在するのか、或いはそこから遠く離れて存在するのかを光学的に直ちに見える。
【0011】
例えば、造形部材内のクリティカルな力流に関し完全に無視できるような造形部材の外殻領域において、造形材料が不十分に溶融されている場合には、このような部材欠陥は、造形部材の負荷容量に何ら影響しないので、そのまま更に形成することができる。これに対して部材欠陥が、前もって計算された力流線上のクリティカルな領域の中央に存在する場合、このような造形部材の使用には最大の注意が払われる。何故なら、力流線の領域又は力流領域における不十分な溶融は造形部材の破壊を引き起こし得るからである。オペレータ又は本装置に接続されたプロセッサは、造形部材品質に不利に作用するセンサ値が負荷情報及び力流情報の領域、或いは力流線又は力流領域に確定された場合には造形過程を中断することができる。
【0012】
しかし、修復過程を次のように開始することもできる。即ち、例えば、粉体塗布が不足していた結果の不十分な溶融を確定した場合には、新たな粉体層を既に硬化した造形部材の領域に塗布し、次に不利なセンサ値を引き起こしたクリティカルな領域を新たに溶融し、それにより修復することができる。即ち、その前は負荷可能でなかったこの領域も最大負荷要求を満たす状態に移行させることができる。
【0013】
本方法の結果、造形部材品質の確定された間隔に応じて、場合により不利に影響するセンサ値に応じて、即ち、例えば、負荷情報又は力情報、或いはライン又は領域の造形部材領域における溶融不足を示すセンサ値に応じて、作製すべき造形部材又は作製された造形部材を、異なる安全性要求に対して十分であるとマーキングすることができる。これについては異なる安全性要求段階を定義することが推奨される。これにより、例えば、領域的に溶融が不足していることにより不利なセンサ値が確定されていないか、或いはクリティカルでない造形部材領域にだけこの不利なセンサ値が確定されている造形部材を高負荷可能と分類し、反対に溶融欠陥及びこれに関連したセンサ値がクリティカルな負荷領域に確定されている造形部材を完全な欠陥品として分類する。その中間では、部材欠陥は有るが、力流線から間隔を置いている造形部材を負荷可能であるとして、例えば、「第2又は第3の選択肢」として許容することができる。
【0014】
有利には、センサ値の図も、負荷情報及び力流情報の図も、グラフィック構成された品質安全性造形プロトコルとしてプリントアウト又は記憶することができる。
【0015】
本発明を、図面に図示された実施例に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本方法の実施に使用される生成的形成装置の概略図である。
【
図2】グラフィック表示された負荷領域又は力流線を備えた長く延びる造形部材を簡素化して概略的に図示する図であり、センサ値により検出された部材欠陥の位置も負荷領域又は力流線に関連して図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に図示されたSLM装置の形の生成的造形装置1は、ケーシング2を有する。このケーシング2には処理チャンバ3が配置されており、処理チャンバ底部4の領域には、造形材料備蓄容器5、高さ調整可能な造形プラットフォーム7を備えた造形空間6及びオーバーフロー容器8が配置されている。備蓄容器5から粉体状の造形材料9が、塗工ブレード11を備えた塗工機12によって造形空間6に搬送され、そこに既に存在する粉体層13又は部分的に完成した造形部分14の表面に塗布される。不要な造形材料は、塗工機12によりオーバーフロー容器8に破棄される。処理チャンバの上方には照射装置15が配置されている。この照射装置15は、光線源としてのレーザ16と、レーザ光線18を偏向するためのスキャナ17とを有する。スキャナ17は、メモリ19からの造形データを処理するプロセッサ20によって制御される。
【0018】
センサ機器31は、例えば、カメラの形であり、溶融スポット40の形状と大きさを検知し、それからプロセッサ32においてセンサ値を生成する。これらセンサ値は出力端33を介して、当該センサ値を位置特定する、メモリ19からの座標と共に、更なるプロセッサ34に供給される。処理をプロセッサ20において行うこともできるが、分かり易くするために2つのプロセッサ20と34は別個に図示されていることに留意されたい。
【0019】
作製すべき造形部分14に関しては、計算方法又は測定方法によって、造形部分14中の何処にクリティカルな負荷領域が存在するのかを求める。これら領域は、負荷情報及び力流情報としてメモリ35に記憶され、そこからプロセッサ34に提供される。
【0020】
そしてプロセッサ34は、メモリ32からの場合により存在する造形欠陥を表すセンサ値の位置を、メモリ35に記憶されている負荷情報及び力流情報と相関させる。これらの情報には、勿論空間的に位置特定する座標値が割り当てられている。相関の結果は、可視化機器50を介して出力され、グラフィック表示することができる。これに関しては
図2を参照されたい。
図2の図には負荷又は力流がハッチングによって表示されている。異なる負荷又は異なる力流が異なるハッチングによって表示されている。
【0021】
この図面は、長手の角度の付いた形状の造形部材14を非常に概略的に図示している。この造形部材14は、例えば、長手のレバー部品として構成されており、例えば、2つの連結孔部60が設けられている。力を造形部材14に導入するこれらの連結孔部60に基づき、負荷及び力流の座標を計算することができ、力流線61又は力流領域62としてグラフィック図示することができる。これらの負荷情報、例えば、「ミーゼスの応力」としての負荷情報は、異なる値、即ち、ほぼゼロから最大値までの値を取る。原則として、造形部材に発生する最大応力が、全ての領域において、許容応力よりも、例えば、造形部材に対して使用される材料の降伏点よりも小さいか否かを検査すべきである。
【0022】
これにより造形部材の全ての構成要素又は領域に対して負荷情報を決定することができる。これらの負荷情報からクリティカルな領域又は高負荷領域が決定され、次いで本発明により、造形部材品質に不利に作用するセンサ値が、負荷情報又は力流情報のこのようなクリティカルな領域又は高負荷領域の中の領域において確定可能であるのか、或いは確定不能であるのかが検査される。
【0023】
力流線61又は力流領域62は、造形部材の「負荷支持」部分をグラフィック表示する。これらの領域61、62のクリティカルなゾーン内では、造形部材14を可及的に欠陥無しで造形することが望ましい。即ち、クリティカルなセンサ値がそこに発生してはならない。
【0024】
ここでは、造形装置1のセンサ機器31によって、センサ値が、これらを位置特定する座標値と共に検出されて、例として表示されている。
【0025】
【0026】
【0027】
X印の造形欠陥は、造形部材14の負荷を支持する領域61、62の外にあり、従って、クリティカルではない。力流線61又は力流領域62からのこれら造形欠陥の間隔は、グラフィック表示するとともに、測定することができる。力流線61上に有る造形欠陥は、自動的に光学的に強調され、従って、これらは容易に識別可能である。造形欠陥の位置に応じて、塗工機12によりクリティカルな造形部材領域に層をもう一度塗布し、レーザ光線21によりもう一度溶融し、これにより造形部材14の強度を、「インプロセス修復」の手法で改善することが、場合により可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 造形装置
2 ケーシング
3 処理チャンバ
4 処理チャンバ底部
5 備蓄容器
6 造形空間
7 造形プラットフォーム
8 オーバーフロー容器
9 造形材料
11 塗工ブレード
12 塗工機
13 粉体層
14 造形部材
15 照射装置
16 レーザ
17 スキャナ
18 レーザ光線
19 メモリ
20 プロセッサ
21 レーザ光線
31 センサ機器
32 プロセッサ
33 プロセッサ32の出力端
40 溶融スポット
50 可視化機器
60 連結孔部
61 力流線
62 力流領域