(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】海洋環境における分散音響センシングの方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01H 9/00 20060101AFI20231226BHJP
H04B 10/071 20130101ALI20231226BHJP
【FI】
G01H9/00 E
H04B10/071
(21)【出願番号】P 2023027537
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2020502601の分割
【原出願日】2018-07-18
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521040466
【氏名又は名称】ファイバー センス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】エングルンド、マーク アンドリュー
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-214425(JP,A)
【文献】特開2013-185922(JP,A)
【文献】特開平9-210740(JP,A)
【文献】特開平6-204949(JP,A)
【文献】特開2005-55253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 9/00
H04B 10/071
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ海底通信ケーブルに沿ったリピータの周りの海洋環境における
分散光ファイバセンシングのシステムであって、前記システムは、
少なくとも1つの
分散光ファイバセンシングユニットであって、各
分散光ファイバセンシングユニットは、
前記海洋環境に配置された少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル内で出射光を伝送するように構成された光源と、
前記少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブルに沿って後方散乱した前記出射光の反射光を受信するように構成された受信機であって、前記反射光は、前記海洋環境の
擾乱によって影響を受ける少なくとも1つの光学特性を含む、受信機と、
を備える
分散光ファイバセンシングユニットと、
前記リピータを介して前記光ファイバ海底通信ケーブル上に光信号を多重化する光マルチプレクサであって、前記光信号は、前記少なくとも影響を受けた光学特性に関する情報を搬送する、光マルチプレクサと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記光マルチプレクサは、前記リピータのループバックカプラを介して前記光ファイバ海底通信ケーブル上に前記光信号を多重化するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光マルチプレクサは、前記光信号を、前記光ファイバ海底通信ケーブル上で搬送された別の光信号と時間多重化及び/又は周波数多重化するように構成されている、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記光マルチプレクサは、前記少なくとも影響を受けた光学特性に関する前記情報に基づいて前記光信号を生成するように構成された光送信機を含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの
分散光ファイバセンシングユニットは前記リピータによって電力供給される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブルは、少なくとも2つの光ファイバセンシングケーブルを備え、前記少なくとも1つの
分散光ファイバセンシングユニットは、複数の離間した
分散光ファイバセンシングユニットを備え、前記
分散光ファイバセンシングユニットは、電源データケーブルを介して前記リピータとさらに通信する分配ハブを介して接続されている、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記分散光ファイバセンシングユニットは、分散音響センシング(DAS)ユニットであり、前記光ファイバセンシングケーブルの少なくとも1つが、光ファイバ音響センシングケーブルである、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記光ファイバセンシングケーブルの少なくとも1つには、前記リピータの周りの前記海洋環境における分散磁気センシングのための磁気制限コーティングが設けられている、請求項1~
請求項7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
同じ海洋環境において分散音響及び分散磁気センシングの両方を提供するために、光ファイバ音響
センシングケーブル及び光ファイバ磁気制限センシングケーブルの組み合わせを含む、請求項7
又は請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
音響
及び/又は磁気擾乱の場所及び方向を判断するための走査ビームを生成するために、ビーム形成が音響時系列に適用される、請求項1~
請求項9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの
分散光ファイバセンシングユニットは、前記光ファイバセンシングケーブルに対する前記走査ビームが海洋音響
又は磁気擾乱の方向及びその場所をもたらすように、前記少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブルに沿ってビーム形成を実施するように構成されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記分散光ファイバセンシングのセンサが、光時間領域反射計(OTDR)である、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
光ファイバ海底通信ケーブルに沿ったリピータの周りの海洋環境における
分散光ファイバセンシングの方法であって、前記方法は、
前記海洋環境に配置された少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル内で少なくとも1つの
分散光ファイバセンシングユニットの光源から出射光を伝送することと、
前記少なくとも1つの
分散光ファイバセンシングユニットの受信機で前記出射光の反射光を受信することであって、前記反射光は、前記少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブルに沿って後方散乱し、前記海洋環境の
擾乱によって影響を受ける少なくとも1つの光学特性を含む出射光である、受信することと、
光マルチプレクサを介して、前記リピータを介して前記光ファイバ海底通信ケーブル上に光信号を多重化することであって、前記光信号は、前記少なくとも影響を受けた光学特性に関する情報を搬送する、多重化することと、
を備える方法。
【請求項14】
前記光ファイバ海底通信ケーブル上に前記光信号を前記多重化することは、前記リピータのループバックカプラによって実行される、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記多重化は、前記光ファイバ海底通信ケーブル上への前記光信号の時間多重化及び/又は周波数多重化を介して行われる、
請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記光マルチプレクサの光送信機において、前記少なくとも影響を受けた光学特性に関する前記情報に基づいて前記光信号を生成することをさらに備える、
請求項13~請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記光ファイバセンシングケーブルの少なくとも1つには、前記リピータの周りの前記海洋環境における分散磁気センシングのための磁気制限コーティングが設けられている、
請求項13~請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
時系列音響チャネルがビーム形成され、少なくとも1つの走査ビームの形成をもたらす、
請求項13~請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの
分散光ファイバセンシングユニットは、前記光ファイバセンシングケーブルに対する前記走査ビームが前記
擾乱の方向及びその場所をもたらすように、ビーム形成を実施するように構成されている、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、海洋環境における分散音響センシングの方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ISR(情報、監視、偵察:intelligence,surveillance,reconnaissance)を必要とする海洋環境は、しばしば広大なエリアをカバーするため、これらのエリアの効率的な監視をロジスティック的に困難かつ高額にする。これらのエリアの既存のISR方法は、一般に、衛星、船舶の下側に取り付けられたソナーユニット、又は船舶の後ろに牽引されるソナーアレイによる監視を含む。
【0003】
光ファイバ分散音響センシングは、光ファイバに沿った周囲の領域の音響イベントを検出することができ、これにより、異なるタイプのインシデントは、音響イベントにおいて異なる音響シグネチャを引き起こす可能性がある。海洋環境では、そのエリアを航行している船舶などのインシデントによって音響イベントが発生し得る。
【0004】
いくつかの光ファイバ分散音響センシング方法は、海洋環境内で発生している音響擾乱を検知するために光信号を使用する、ハイドロフォン検出器を利用する。ハイドロフォン検出器は、記録ステーションで記録される前に、これらを記録ステーションに送信される電気信号に変換する。これらの方法は、たとえば、海洋環境の一時的な監視システムで使用され得る。これらのセンシング方法で使用されるハイドロフォン検出器は、通常、永久的な電源又は記録された情報を通信するための永久的な機構にアクセスできない。
【0005】
本明細書における任意の従来技術への言及は、この従来技術が任意の管轄区域における共通の一般知識の一部を形成する、又はこの従来技術が当業者によって理解され、関連があると見なされ、及び/又は従来技術の他の部分と組み合わせられると合理的に期待され得るという知識又は示唆ではない。
【発明の概要】
【0006】
光ファイバ海底通信ケーブルに沿ったリピータの周りの海洋環境における分散音響センシングのシステムの実施形態は、
少なくとも1つの分散音響センシング(DAS)ユニットであって、各DASユニットは、
海洋環境に配置された少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル内で出射光を伝送するように構成された光源と、
少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブルに沿って後方散乱した出射光の反射光を受信するように構成された受信機であって、反射光は、海洋環境の音響擾乱によって影響を受ける少なくとも1つの光学特性を含む、受信機と、
を備えるDASユニットと、
リピータを介して光ファイバ海底通信ケーブル上に光信号を多重化する光マルチプレクサであって、光信号は、少なくとも影響を受けた光学特性に関する情報を搬送する、光マルチプレクサと、
を備える。
【0007】
いくつかの実施形態では、光マルチプレクサは、リピータのループバックカプラを介して光ファイバ海底通信ケーブル上に光信号を多重化するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、光マルチプレクサは、光信号を、光ファイバ海底通信ケーブル上で搬送された別の光信号と時間多重化及び/又は周波数多重化するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、光マルチプレクサは、少なくとも影響を受けた光学特性に関する情報に基づいて光信号を生成するように構成された光送信機を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのDASユニットは、リピータによって電力供給される。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブルは、少なくとも2つの光ファイバセンシングケーブルを備え、少なくとも1つのDASユニットは、複数の離間したDASユニットを備え、DASユニットは、電源データケーブルを介してリピータとさらに通信する分配ハブを介して接続されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、光ファイバセンシングケーブルの少なくとも1つには、リピータの周りの海洋環境における分散磁気センシングのための磁気制限コーティングが設けられている。
【0013】
いくつかの実施形態では、光ファイバ音響及び光ファイバ磁気制限センシングケーブルの組み合わせは、同じ海洋環境において分散音響及び分散磁気センシングの両方を提供する。
【0014】
光ファイバ海底通信ケーブルに沿ったリピータの周りの海洋環境における分散音響センシングの方法の実施形態は、
海洋環境に配置された少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル内で少なくとも1つの分散音響センシング(DAS)ユニットの光源から出射光を伝送することと、
少なくとも1つのDASユニットの受信機で出射光の反射光を受信することであって、反射光は、少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブルに沿って後方散乱し、海洋環境の音響擾乱によって影響を受ける少なくとも1つの光学特性を含む出射光である、受信することと、
光マルチプレクサを介して、リピータを介して光ファイバ海底通信ケーブル上に光信号を多重化することであって、光信号は、少なくとも影響を受けた光学特性に関する情報を搬送する、多重化することと、
を備える。
【0015】
いくつかの実施形態では、光ファイバ海底通信ケーブル上に光信号を多重化することは、リピータのループバックカプラによって実行される。
【0016】
いくつかの実施形態では、多重化は、光ファイバ海底通信ケーブル上への光信号の時間多重化及び/又は周波数多重化を介して行われる。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、光マルチプレクサの光送信機において、少なくとも影響を受けた光学特性に関する情報に基づいて光信号を生成することを、さらに備える。
【0018】
本明細書で使用される際に、文脈がそうではないことを要求する場合を除き、用語「備える(comprise)」及び「備えている(comprising)」、「備える(comprises)」、「備えた(comprised)」などの用語の変形は、さらなる追加物、構成要素、整数、又は工程を除外することを意図するものではない。
【0019】
本発明のさらなる態様、及び前述の段落に記載された態様のさらなる実施形態は、例示によって、添付図面を参照して与えられる、以下の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】海洋環境における分散音響センシングのシステムの図である。
【
図2a】
図1の分散音響センシングシステムで使用される分散音響センシング(DAS)ユニットの正面斜視図である。
【
図2b】
図2aに示されるDASユニットの図である。
【
図3a】
図2a~
図2bのDASユニットと共に使用するためのリピータの正面図である。
【
図3b】海底通信ケーブルに接続された
図3aのリピータの部分図である。
【
図4】
図3a~
図3bに示されるリピータのループバックカプラモジュールの図である。
【
図5】
図2a~
図2bのDASユニットから処理された電気信号の密度プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
光ファイバ海底通信ケーブルは、陸上通信局間の海底に敷設され、空間的に広大な海洋環境において、電話、インターネット、及び私的データなどのデジタルデータを伝送するために使用される。リピータ(たとえば、双方向増幅器)は、光ファイバ海底通信ケーブルに沿って間隔を開けて配置され、そうでなければ海洋環境で伝送中に減衰する光信号を増幅するために、使用される。リピータは、海底通信ケーブル内に配置された導電体によって電力供給されてもよく、通常は陸上電源に接続されている。
【0022】
光ファイバ分散音響センシングの原理は、光ファイバの屈折率の対応する局所的な摂動を生じる、静止又は移動物体からの、音響イベントの発生に依存する。摂動した屈折率のため、光ファイバに沿って伝送され、その後ファイバの長さに沿って(たとえば、レイリー散乱又は他の類似の散乱現象を介して)分散的に後方散乱する光信号は、経時的な変動(たとえば、強度及び/又は位相)を含む。変動の大きさは、音響イベントの激しさ又は近さに関連する。分散後方散乱時間スケールに沿った変動のタイミングは、音響イベントの場所に関連する。
【0023】
本開示は、光ファイバ海底通信ケーブルに沿って配置されたリピータを部分的に使用する、分散音響センシングの方法及びシステムを含む。開示された方法及びシステムを利用して、検出された音響イベントに関する情報が、リピータを介して光ファイバ海底通信ケーブル上に送信される。情報は、たとえば波長分割多重化及び/又は時分割多重化を使用して、光ファイバ海底通信ケーブルによって搬送される他の信号と多重化されてもよい。
【0024】
開示されたシステム及び方法は、分散音響センシング専用の意図的に展開された光ファイバ海底通信ケーブル、又は利用可能であれば、光ファイバのうちの1又は複数が分散音響センシングに確保される、既存の光ファイバ海底通信ケーブルで、使用され得る。
【0025】
光ファイバ海底通信ケーブル104の場所の、リピータ102の周りの海洋環境における分散音響センシングの例示的なシステム100が、
図1に示されている。一般に、開示されたシステム100は少なくとも1つの分散音響センシング(DAS)ユニット106を含み、
図1は、3つのDASユニット106A、106B、及び106Cを示している。各DASユニット106は、少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル205と通信可能に接続されている。少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル205はまた、光ファイバセンシングケーブルを海底に固定するために、その自由端114で、及びケーブルに沿った適切な間隔で、重み付け又は別途固定される。
図1の例では、各DASユニット106は、2本の光ファイバセンシングケーブル205と通信可能に接続され、互いに対して線形構成で配置されている。DASユニット106は、たとえば蛇行又はジグザグ構成などの2D又は3Dであってもよい、線形又は非線形構成など、いずれの構成でも海底に配置され得ることは、理解されるだろう。
【0026】
一実施形態では、少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル205は、リピータの周りの海洋環境における分散磁気センシングのための磁気制限コーティングを備えてもよい。磁気制限コーティングされた光ファイバセンシングケーブル205は、海洋環境内を移動する、船舶などの磁気源によって生成された磁場摂動を検出し得る。静止又は移動物体からの磁気源の存在は、光ファイバセンシングケーブル205の周りの磁場の、ひいては光ファイバセンシングケーブル205の屈折率の、対応する局所的な摂動を引き起こす。摂動した屈折率のため、センシング光ファイバケーブル205に沿って伝送される光信号は、ファイバの長さに沿って(たとえば、レイリー散乱又は他の類似の散乱現象を介して)分散的に後方散乱され、経時的な変動(たとえば、強度及び/又は位相)を含む。変動の大きさは、磁気源の激しさ又は近さに関連する。分散後方散乱時間スケールに沿った変動のタイミングは、磁気源の場所に関連する。
【0027】
図1に示される実施形態では、各DASユニット106から延在する1本の光ファイバセンシングケーブル205には磁気制限コーティングが設けられてもよく、残りの光ファイバセンシングケーブル205には、非磁気制限コーティングが設けられる。光ファイバセンシングケーブル205のこの構成は、同じ海洋環境において分散音響及び分散磁気センシングの両方を提供し得る。
【0028】
図1に示される実施形態では、各DASユニット106は電源データケーブル110を介して分配ハブ108に結合されている。分配ハブ108は、電源データケーブル112によって光ファイバ海底ケーブル104のリピータ102に接続されている。分配ハブ108は、電力及びデータ通信の目的に適した任意の距離で、光ファイバ海底ケーブル104のリピータ102から離間してもよい。一例では、分配ハブ108は、光ファイバ海底ケーブル104のリピータ102から10~50kmであってもよく、電源データケーブル110及び112は同様に海底に固定されている。各リピータに対して2つ以上のハブ108が設けられ、必要に応じてリピータと通信可能に接続されたDASユニット106の数を増加させてもよい。システムの要件に応じて他のアーキテクチャが使用されてもよく、これはDAS106とリピータ102との間の直接接続を含み、その場合、電源データケーブル110は、DASユニット106とリピータ102との間に延在し、またルータ及びスイッチを含むその他のネットワークコンポーネントの使用も含む。別の実施形態では、電力及びデータは、DASユニット106、ハブ108、及びリピータ102の間の別個のケーブルで搬送されてもよい。DASユニット106とリピータとの間のネットワーク又は通信回線は、電気又は光学又は音響ドメインのいずれかにあり得る。
【0029】
一実施形態では、各DASユニット106は、電源データケーブル110のデータ搬送コンポーネントを介して分配ハブ108に、海洋環境における音響擾乱によって影響を受けた少なくとも1つの光学特性に関する情報を搬送するデータ信号を伝送する。分配ハブ108は電源データケーブル112のデータ搬送コンポーネントを介してこれらのデータ信号をリピータ102上に渡す。リピータ102は、データケーブル306を介してリピータから光ファイバ海底ケーブル104にこれらのデータ信号を伝送する(
図3b)。いくつかの実施形態では、通信はDASユニット106からリピータ102への一方向である。別の実施形態では、通信は双方向であり、たとえば制御信号をリピータ102からDASユニット106へ送信できるようにする。制御信号は、光ファイバ海底ケーブル104を介してリピータ102によって受信されてもよい。
【0030】
図1及び
図2bに示される実施形態では、DASユニット106内の受信機208は、少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル205に沿って後方散乱した反射光を受信し、反射光は、海洋環境における音響擾乱によって影響を受けた少なくとも1つの光学特性の音響情報を含む。各センシング光ファイバケーブル205からの反射光は、3.2Gb/sのデータ速度でデジタル化され、電気信号に変換される。DASユニット106内の復調器は、200Mb/sのデータ速度で音響情報を捕捉するために、電気信号を復調する。次に各DASユニット106内に配置されたマルチプレクサは、2つの200Mb/sの電気信号を1つの400Mb/sの電気信号に多重化する。次にDASユニットは、この電気信号を光信号に変換し、これをケーブル110に沿って分配ハブ108に伝送する。分配ハブ108は、DASユニット106の各々から受信した3つの光信号を光学的に多重化し、ケーブル112を介して海底通信ケーブル104のリピータ102にこの多重光信号を伝送する。リピータ102のループバックカプラは、海底通信ケーブル104の光ファイバペアに沿って移動する光信号と多重光信号をデジタル的に時間多重化及び/又は周波数多重化する。
【0031】
光ファイバ海底ケーブル104は、リピータ102に電力を供給する電源ケーブル304(
図3b)も含む。電力は、任意選択的にいずれかの分配ハブ108又はその他の中間ネットワークコンポーネントを介して、リピータ102からDASユニット106に供給される。これらの中間ネットワークコンポーネントもまた、リピータ102を介して光ファイバ海底ケーブル104から電力の供給を受ける。
【0032】
一例では、電源データケーブル110、112は、6本のワイヤコネクタ及びテザーケーブルを備えてもよい。これらのワイヤのうちの2本は、たとえば分配ハブ108又はDASユニット106への電力分配用のツイストペアケーブルであってもよく、残り4本のワイヤは、分配ハブ108又はDASユニット106とリピータ102との間の双方向データ伝送に使用され得る。データ伝送速度は、リピータ102のポートの数に応じて調整可能であってもよい。たとえば、分配ハブ108又はDASユニット106とリピータ102との間では、100Mbsの速度が使用され得る。別の例では、分配ハブ108又はDASユニット106にデータを伝送するリピータ102によって、10Gb/sの速度が使用され得る。
【0033】
図1に示される実施形態では、3つのDASユニット106A~106Cは、互いにたとえば100km程度離間しており、各DASユニット106A~106Cは各々50kmの長さを有する2本の外向きに延在する光ファイバセンシングケーブルを有する。
図1に示される構成は、直径約300kmの検出フットプリントを有する検出器をシミュレートし、DASユニット106のうちのいずれか1つのみで網羅されるよりも大きい海底地域を網羅する。
【0034】
いくつかの状況では、音響イベントの位置特定の空間的精度を向上させるために使用される検出を用いて、異なるDASユニット106が海洋環境において同じ音響イベントを検出し得る。たとえば、音響イベントはDASユニット106A、106Bによって検出されるがDASユニット106Cでは検出されないかもしれない。このような検出は、たとえば、対応する発生がDASユニット106Aと106Bとの間の海洋環境に位置することを示し得る。たとえば三角測量を使用して、音響イベントの位置の判断をさらに精緻化するために、タイミングデータが使用され得る。
【0035】
光ファイバ海底通信ケーブルに沿ったリピータの周りの海洋環境における分散音響センシングの例示的な方法は、(a)海洋環境に配置された少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル内で少なくとも1つの分散音響センシング(DAS)ユニットの光源から出射光を伝送する工程と、(b)少なくとも1つのDASユニットの受信機で出射光の反射光を受信する工程であって、反射光は、少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブルに沿って後方散乱し、海洋環境の音響擾乱によって影響を受ける少なくとも1つの光学特性を含む出射光である、工程と、(c)光マルチプレクサを介して、リピータを介して光ファイバ海底通信ケーブル上に光信号を多重化する工程であって、光信号は、少なくとも影響を受けた光学特性に関する情報を搬送する、工程と、を含む。
【0036】
分散音響センシング(DAS)ユニット
【0037】
海洋環境内の音響擾乱を検出するために、展開された、又は既存の光ファイバ海底通信ケーブル104に沿ってリピータ102と共に使用され得る分散音響センシング(DAS)ユニット106の一例が、
図2a~
図2bに示されている。
【0038】
DASユニット106は、たとえば0~7kmの、海底環境における様々な深さに関連する高い水圧に耐えるための、加圧ハウジング201を含む。加圧ハウジング201内で、DASユニット106は、コヒーレント光時間領域反射計(OTDR)202を含む。
【0039】
OTDR202は、海洋環境に配置されてDASユニットから外向きに延在する、少なくとも1つの光ファイバセンシングケーブル205内で出射光206を伝送するための、光源204を含む。光ファイバ205内に送られる出射光206は、1又は複数の短い光パルスの形態であってもよい。光源204は、1つ又は複数のコンポーネント、たとえば1つ又は複数のレーザ装置を備えてもよい。
【0040】
OTDR202は、たとえば、光ファイバセンシングケーブル205に沿って後方散乱された光を備える、出射光206の反射光210を受信及び検出するように構成された、光検出器を組み込んだ、受信機208を含む。OTDR202が位相感応性である場合、反射光における位相変動が代わりに又は追加で測定され得る。反射光210は、海洋環境における音響擾乱によって影響を受けた少なくとも1つの光学特性を含む。上述のように、反射光210の大きさは、海洋環境における音響擾乱の激しさ又は近さを表す場合がある。別の例では、反射光210のタイミングは、音響イベントの位置を表す場合がある。
【0041】
反射光210は、音響擾乱による影響を受けた少なくとも1つの光学特性に関する情報を搬送する光信号と見なされる。たとえばOTDR202によるDASユニット106は、この情報に基づく第1の信号を光マルチプレクサ214に送信する。光マルチプレクサ214は、第2の信号を光ファイバ海底ケーブル104上に多重化する。音響擾乱によって影響を受けた少なくとも1つの光学特性に関する情報を搬送する光ファイバ海底通信ケーブル104上に多重化された光信号。
【0042】
上述のように、光源204及び受信機208のペアは、光時間領域反射計(OTDR)202内に設けられてもよい。OTDR202は、OTDR202によって受信された反射光210を表すデータ信号を伝送するための送信機212を含む。
【0043】
ここに開示される分散音響センシングのシステム及び方法は、フェーズドアレイ処理及びビーム形成技術と共に使用され得る。上述のように、出射光106は、一連の光パルスとして光ファイバセンシングケーブル205内に送られてもよい。光ファイバセンシングケーブル205に沿った出射光106の後方散乱の結果として生成された反射光210は、受信機208で時間に対して記録される。この構成により、光ファイバセンシングケーブル205に沿ったあらゆる距離における音響信号(振幅、周波数、及び位相)の判断が可能になる。一実施形態では、受信機208は、光ファイバセンシングケーブル205に沿って反射光が生成された場所、したがってチャネルを判断するために、反射光210のパルスの到着時間を記録する。このフェーズドアレイ処理により、海洋音響源、並びに音響源の方向、速度、場所、及び分類の長距離検出を改善するために、信号対雑音比を改善することができる。
【0044】
光ファイバセンシングケーブル205からの音響源の角度又は距離を判断するために、ビーム形成技術が適用され得る。ビーム形成技術は、各チャネル(又はケーブルに沿った空間位置)にわたって時間遅延の度合が異なるファイバケーブルに沿った隣接するチャネルからの音響時系列の加算を伴う。加算プロセスにおいて音響チャネルに追加された時間遅延の度合は、アレイ処理によって形成されたビームが最も敏感になる方向又は場所を変更する。一実施形態では、ビーム形成は、一連の光パルスとして光ファイバセンシングケーブル205内に出射光106を送ることによって、時間領域で実行される。各光パルスは、センシングケーブルに沿った各チャネルの音響時系列の測定値を生成する。次に、加算に入れられる各チャネルの時間遅延を変化させることによって、進化する時系列から数学的にビームが形成される。チャネル全体に遅延が追加されなければ、ファイバケーブルの軸に対して90度で最も強いビームが形成される。チャネル全体に増分時間遅延が追加されると、ビームの主ローブは、ケーブルの軸に沿って最も敏感な方に空間的に移動する。これらのビーム形成技術の結果として、アレイ利得範囲が改善されて検出機能が強化された音場内の異なるゾーンを選択的に監視するために、光ファイバセンシングケーブル205に対する海洋音響源の方向及びその場所をもたらす狭い走査ビームが得られるだろう。
【0045】
海底通信ケーブル及びリピータ
【0046】
変更されたリピータ102の実施形態が
図3a~
図3bに示されており、これは上述のように、海底通信ケーブル104に沿って伝送される光信号への光増幅器として機能する。リピータ102は、電源データケーブル112に結合するためのポート302を備える。リピータ102は、音響擾乱に関する受信した信号を、DASユニット106から光ファイバ海底通信ケーブル104上に伝送する。リピータ102はまた、DASユニット106に電力も伝送する。
【0047】
一実施形態では、たとえば
図4に示されるように、海底通信ケーブル104のリピータ102のループバックカプラモジュール414内に光マルチプレクサ214が実装されている。海底通信ケーブル104は複数の光ファイバペアを備え、各光ファイバペアは2つの陸上通信局間に対称データ容量を有する双方向接続を提供する。第1及び第2の光ファイバ404a、404bを備える光ファイバペアの一例が、
図4に示されている。
【0048】
カプラ406a、406bは、光ポンプユニット412を光増幅器408a、408bに結合するために、リピータ102の第1及び第2の光ファイバ404a、404bの各々に沿って配置されている。海底通信ケーブル102の第1及び第2の光ファイバ404a、404bに沿って送られる光信号は、増幅器408a、408bにおいて増幅される。結果として得られた増幅光信号は、海底通信ケーブル102に沿ってさらなる距離にわたって伝送される。
【0049】
図4に示されるように、リピータ102は、第1及び第2の光ファイバ404a、404bにそれぞれ結合されたループバックカプラモジュール414をさらに備える。ループバックカプラモジュール414は、ファイバブラッググレーティング(FBG)416a、416bを備えてもよい。各FBG416a、416bは、海底通信ケーブル104の第1又は第2の光ファイバ404a又は404b内で送られた光の波長を陸上発信局に戻る方向へ反射し、その一方で残りの光ファイバ404a又は404bに沿ったその他全ての波長を陸上宛先局に向けて伝送してもよい。たとえば、海底通信ケーブル102の光ファイバ404bに沿って送られた光のある波長は、
図4にAで示されるように、ループバックカプラモジュール414によって反射され、光ファイバ404aに沿って光ファイバ404bの陸上発信局の方向(光ファイバ404aの陸上宛先局の方向に対応)に戻るように伝送されてもよく、その一方で、光の残りの波長は、
図4のBで示されるように、光ファイバ404bの宛先陸上局に向かって(光ファイバ404aの陸上発信局の方向に対応)光ファイバ404bに沿って伝送される。
【0050】
上述のように、一実施形態では、ループバックカプラモジュール414は、1又は複数のDASユニット106に直接結合されている。別の実施形態では、ループバックカプラモジュール414は、1又は複数の分配ハブ108及び/又はその他のネットワークコンポーネントを介してDASユニット106に結合されてもよい。
【0051】
ループバックカプラモジュール414のFBG416a、416bは、各DASユニット106からの反射光を特定の波長の合成光信号に多重化するために使用され得る。結果として得られた多重光信号は、1又は複数のDASユニット106によって検出されるような、海洋環境における音響擾乱によって影響を受けた少なくとも1つの光学特性を含む。次にこの多重光信号は、光ファイバ404a又は404bに沿って伝送される。光信号は、海底通信ケーブルの1又は複数のリピータによって増幅され得る。一例では、多重光信号は、海底通信ケーブル104の光ファイバ404aに沿って、光ファイバ404aの宛先陸上局に向かって伝送される。
【0052】
いくつかの実施形態では、多重光信号は、光ファイバ海底通信ケーブル104に沿って伝送された別の光信号との、時間多重化及び/又は周波数多重化された信号である。
【0053】
いくつかの実施形態では、1又は複数のDASユニット106によって検出された光信号は、海底通信ケーブル104上に直接渡される。別の実施形態では、1又は複数のDASユニット106によって検出された信号は処理されて、処理の出力が海底通信ケーブル104上に送信される。たとえば、光送信機は、光ファイバセンシングケーブル105から各DASユニット106によって受信された反射光の変動が所定の閾値を超えた場合にのみ、海底通信ケーブル104に沿って伝送するための光信号を生成してもよく、これは、比較的激しい音響イベント、又は関連DASユニット106の光ファイバセンシングケーブルの近くで発生している音響イベントを示す。伝送された信号は、イベントの発生を示す単純なフラグであってもよく、あるいは、たとえば、陸上のプロセッサなどの遠隔プロセッサにおいて実行すべき位置判定又はその他の分析を可能にするための、信号又は情報の処理によって判断される場所などのイベントに関する情報を含んでもよい。
【0054】
光信号処理
【0055】
上述のように、DASユニット106からの信号は、たとえば検出された音響イベントを表す警告信号を生成するために、処理されてもよい。
図5は、多重光信号から得られた電気信号512を組み合わせた例示的な密度プロットを示す。横軸(「チャネル」の表示)は、DASユニット106のセンシング光ファイバに沿った位置を表し、縦軸(「時間」の表示)は時間を表し、プロットの色分けされた振幅は音響強度を表す。
図5では、比較的一定な勾配を有する直線などの特徴は、DASユニット106によって検出された関連音響イベントを引き起こす移動物体(勾配は速度を表す)に関連付けられている。判断されている音響イベントは、DASユニット106の周りの海洋環境を移動する、船舶などの特定の静止又は移動の発生を表し得る。
【0056】
陸上局で受信された光信号の変動の音響シグネチャに基づいて警告信号を1又は複数の警告クラス(国境侵入など)に分類することによって、警告が生成されてもよい。警告分類のいくつかの技術は、たとえば「Fiber Sensing:Optical fiber monitors the arterial networks of commerce」Laser Focus World,volume-51,issue-08,2015年6月8日(http://www.laserfocusworld.com/articles/print/volume-51/issue-08/features/fiber-sensing-optical-fiber-monitors-the-arterial-networks-of-commerce.html)に要約され、さらに言及されている。一構成では、検知すべき海洋環境は、光ファイバ海底通信ケーブル104に沿った異なるセクションに対応する複数のゾーンに分割される。この構成では、各ゾーン又は対応するセクションは、1又は複数の選択された警告クラスの生成(又は1又は複数の除外された警告クラスの非生成)に関連付けられている。たとえば、生成のために選択された警告クラスは、海洋環境を航行している船舶に関連付けられてもよい。この例では、警告クラスは、船舶が海洋環境のそれぞれのゾーンを通って海岸線に向かって航行するにつれて、重要性を増す可能性がある。加えて、生成のために除外された警告クラスは、波動、構造運動、又は海底火山活動に関連付けられてもよい。
【0057】
音響較正
【0058】
分散音響センシングが行われる海洋環境は、波の作用、生物製剤などによって望ましくない音響干渉が引き起こされるエリアであり得る。望ましくない音響干渉は、判断されている音響イベントの特性に干渉し、これを覆い隠し、又は別途影響する可能性がある。一構成では、望ましくない音響干渉の影響を低減するために、望ましくない音響干渉に関連付けられた変動を低減又は除去するために陸上局において受信した光の検出された変動にスペクトルフィルタリングが適用される。
【0059】
さらに、スペクトルフィルタリングは、海洋環境の1又は複数のゾーンに選択的に適用されてもよい。海域の異なるエリアは、異なるスペクトルフィルタリングを必要とするかもしれないし、これを必要としないかもしれない。たとえば、海岸線からさらに離れると、船舶の雑音がさらに少なくなり、フィルタリング技術を適用する必要がなくなるかもしれない。あるいは、又は追加で、開示された方法は、時間、たとえば時刻又は曜日に基づいて、変動に対してスペクトルフィルタリングを選択的に適用してもよい。
【0060】
空間較正
【0061】
一実施形態では、DASユニット106から延在する光ファイバセンシングケーブル205に沿った位置、及び地域内の場所が、空間的に較正される。空間較正は、光ファイバセンシングケーブル205の長さに沿った検出のための変動を引き起こすために、海洋環境内の特定の場所で音響較正信号(たとえば、海洋環境の典型的な雑音源とは異なるように選択された420Hz±5Hzの単一周波数トーン)を生成することを含み得る。音響較正信号周波数を420Hz±5Hzに制限することにより、海洋環境における他の音響雑音源が除去され得る。他の音響雑音源を除去すると、チャネル1990の辺りで
図5cに見られるように、単一周波数トーンに対応する1つの強力な信号が検出され得る。較正音響信号に対応する光学変動は、光ファイバセンシングケーブル205に沿った特定の位置で検出されることが期待される。海洋環境内の場所と変動が検出される光ファイバセンシングケーブル205に沿った位置との対応するペアは、空間較正点を形成する。ファイバに沿った、海洋環境内のさらなる空間較正点が形成されてもよい。
【0062】
2つの較正点の間のファイバに沿った位置で音響イベントが検出された場合、海洋環境において対応する発生の場所を推定するために、補間(たとえば線形又は非線形)が使用され得る。最初と最後の較正点を超えてファイバに沿った位置で音響イベントが検出された場合には、海洋環境において対応する発生の場所を推定するために、外挿(たとえば線形又は非線形)が使用され得る。
【0063】
静止又は移動の発生
【0064】
上述のように、判断されている音響イベントは、特定の静止又は移動の発生を示している可能性がある。たとえば、
図5cに示されるように、比較的一定な勾配を有する直線などの特徴は、DASユニット106によって検出された関連音響イベントを引き起こす移動物体(勾配は速度を表す)に関連付けられている。陸上局における多重光信号の処理は、音響イベントが静止しているか移動しているかの判断を伴う場合がある。たとえば、判断は、音響イベントの推定速度(たとえば直線の勾配に基づく)を速度閾値と比較することを含み得る。音響イベントの推定速度が速度閾値を下回っている場合、音響イベントは静止していると判断され、そうでなければ移動していると判断される。音響イベントが移動している事例では、音響イベントを表す警告信号の生成を抑制するために、さらなる処理が行われる場合がある。この抑制は、無害な海洋事象(たとえば波動)の発生回数が本物の脅威(たとえば船舶が海洋環境に侵入している)よりもはるかに多い可能性があるため、誤警報を回避するのに役立つ。このような抑制がなければ、開示された方法を無効にするほど多くの誤警報が生成される可能性がある。1つの配置では、速度閾値は、誤警報の回数を減らすように調整され得る。
【0065】
今や本開示の配置が説明されたので、説明された配置が以下の利点を有することは、当業者にとって明らかなはずである。
【0066】
・海洋環境内のDASユニットの構成は、従来の方法と比較して、広大な海洋環境及び広い調査開口の検知機能及び監視を提供し得る。
【0067】
・電力供給及び通信目的で光ファイバ海底通信ケーブルのリピータと結合するDASユニット106の能力は、海洋環境の永久的な監視機能を提供し得る。
【0068】
・海面上又はそれより上ではなく海底に配置されているDASユニットは、海洋環境を監視する隠れたメカニズムを提供する。
【0069】
・開示された方法及びシステムによって、より多くの、たとえば10,000~30,000のチャネルが使用され得るので、従来の方法と比較して海洋環境のより正確な監視をもたらす。
【0070】
本明細書で開示及び定義された本発明は、本文又は図面から言及されるか又は明白な個々の特徴の2つ以上の全ての代替の組み合わせに及ぶことが、理解されるだろう。たとえば、較正工程のいずれか1つ以上は、個別に又は組み合わせて使用され得る。これらの異なる組み合わせの全ては、本開示の様々な代替例を構成する。