(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】二次電池劣化判定装置、及び、二次電池劣化判定システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231226BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231226BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H02J7/00 A
(21)【出願番号】P 2020046776
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391020322
【氏名又は名称】東海理研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明広
(72)【発明者】
【氏名】梅村 正美
(72)【発明者】
【氏名】瀬木 信彦
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-286064(JP,A)
【文献】特開2014-241694(JP,A)
【文献】特開平11-052033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/48
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能を備える電池パックと通信して、前記電池パックに内包される二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化判定装置において、
前記電池パックに前記二次電池の放電を行わせ、前記二次電池の電池残量を所定値以下にさせた後、前記二次電池に一定の電流値で満充電させるとともに、前記充電を開始してから満充電させるまでの時間と満充電する際の前記一定の電流値とをかけ合わせて、前記二次電池の現在の蓄電量を示す実蓄電量を算出し、前記二次電池の蓄電量の初期値と前記実蓄電量との差分に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定する判定処理を実行すること、
を特徴とする二次電池劣化判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載する二次電池劣化判定装置において、
前記判定処理では、前記電池パックに、前記二次電池の充放電と、前記実蓄電量の算出と、および、前記初期値と前記実蓄電量の差分に基づく前記二次電池の劣化状態の判定と、を行わせ、前記電池パックから劣化判定を取得すること、
を特徴とする二次電池劣化判定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する二次電池劣化判定装置において、
前記電池パックと通信可能に接続する複数の接続部を有し、
前記複数の接続部にそれぞれ接続する電池パックについて前記判定処理を実行すること、
を特徴とする二次電池劣化判定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1つに記載する二次電池劣化判定装置において、
出力部を有し、
前記判定処理の判定結果を前記出力部に出力させる出力処理を実行すること、
を特徴とする二次電池劣化判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載する二次電池劣化判定装置において、
劣化状態の判定対象となる電池パックから、前記電池パックを識別する電池識別情報を取得する電池識別情報取得処理と、
前記電池識別情報取得処理にて取得した前記電池識別情報と、前記判定処理の判定結果と、を含む二次元バーコードを生成する二次元バーコード生成処理と、
を実行し、
前記出力処理にて前記二次元バーコードを出力すること、
を特徴とする二次電池劣化判定装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載する二次電池劣化判定装置と、
ネットワークと、
通信端末と、
サーバと、を有し、
前記通信端末は、
前記ネットワークを介して前記サーバに接続し、前記二次電池劣化判定装置が前記出力処理にて出力した前記判定結果を、前記サーバに送信する判定結果送信処理を、実行し、
前記サーバは、
前記二次電池劣化判定装置による判定結果を記憶する判定結果データベースを有し、
前記ネットワークを介して前記通信端末から、前記判定結果送信処理にて送信された前記判定結果を受信した場合、前記判定結果を前記判定結果データベースに記憶する判定結果記憶処理、を実行すること、
を特徴とする二次電池劣化判定システム。
【請求項7】
請求項6に記載する二次電池劣化判定システムにおいて、
前記判定処理では、前記初期値と前記実蓄電量との差分が閾値を超える場合に、前記二次電池が劣化していると判定し、前記初期値と前記実蓄電量との差分が閾値以下である場合に、前記二次電池が劣化していないと判定し、
前記通信端末は、
前記閾値の送信を要求する送信要求に、前記閾値を取得したい前記電池パックの種類を特定する種類特定情報を付して、前記送信要求を前記サーバに送信する閾値送信要求処理と、
前記サーバから送信された前記閾値を受信する閾値受信処理と、
を実行し、
前記サーバは、
前記二次電池劣化判定装置が前記判定処理にて使用する前記閾値と、前記電池パックの前記種類と、を関連付けて記憶する閾値管理データベースを有し、
前記判定結果データベースに記憶されている前記判定結果に基づいて、前記電池パックの前記種類毎に前記閾値を算出し、前記閾値管理データベースに記憶する閾値記憶処理と、
前記通信端末から送信された前記送信要求を受信した場合に、前記送信要求に付された前記種類特定情報により特定される前記電池パックの前記種類に関連付けられた前記閾値を、前記閾値管理データベースから取得して、前記送信要求の送信元である前記通信端末に送信する閾値送信処理と、
を実行し、
前記二次電池劣化判定装置は、
前記閾値を受け付ける受付部を有し、
前記通信端末が前記閾値受信処理にて受信した前記閾値を、前記受付部を用いて受け付け、受け付けた前記閾値を前記判定処理にて使用すること、
を特徴とする二次電池劣化判定システム。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載する二次電池劣化判定システムにおいて、
前記二次電池劣化判定装置は、前記電池パックを識別する電池識別情報と、前記判定処理の判定結果と、を含む二次元バーコードを出力し、
前記通信端末は、
画像を読み取る画像読取部を有し、
前記二次電池劣化判定装置が出力した前記二次元バーコードを、前記画像読取部を用いて読み取ることにより、前記電池識別情報と前記判定結果とを取得する取得処理を実行し、
前記判定結果送信処理にて、前記取得処理にて取得した前記判定結果と前記電池識別情報とを関連付けて前記サーバに送信すること、
を特徴とする二次電池劣化判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化判定装置、及び、二次電池劣化判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、二次電池を内包する電池パックは、災害現場で使用される無線機などに使用されている。特許文献1には、二次電池の内部抵抗の初期値と、劣化前に測定された内部抵抗の基準値の関係にもとづいて、二次電池パックの劣化の度合いを評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。すなわち、特許文献1に記載される技術のように、電池パックから内部抵抗値を取得して劣化状態を判定しようとした場合、抵抗値の変化はノイズレベルでしか発生しない。よって、内部抵抗に基づいて劣化状態を精度良く判断することはできなかった。よって、二次電池の劣化状態を判定する技術には、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電池パックと通信し、電池パックに内包される二次電池の劣化状態を判定する電池劣化判定装置において、二次電池の劣化状態を精度良く判定できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様における電池劣化判定装置は、(1)通信機能を備える電池パックと通信して、前記電池パックに内包される二次電池の劣化状態を判定する二次電池劣化判定装置において、前記電池パックに前記二次電池の放電を行わせ、前記二次電池の電池残量を所定値以下にさせた後、前記二次電池に一定の電流値で満充電させるとともに、前記充電を開始してから満充電させるまでの時間と満充電する際の前記一定の電流値とをかけ合わせて、前記二次電池の現在の蓄電量を示す実蓄電量を算出し、前記二次電池の蓄電量の初期値と前記実蓄電量との差分に基づいて前記二次電池の劣化状態を判定する判定処理を実行すること、を特徴とする。
【0007】
上記構成の二次電池劣化判定装置は、二次電池に所定値以下まで放電させた後、二次電池に一定の電流値で満充電を行わせ、充電を開始してから満充電させるまでの充電時間と満充電する際の一定の電流値とをかけ合わせて、二次電池の現在の蓄電量を示す実蓄電量を算出する。そして、二次電池の蓄電量の初期値と現在の実実蓄電量との差分に応じて二次電池の劣化状態を判定する。蓄電量の変化は、電池パックの内部抵抗のノイズレベルの変化より変化量が大きい。よって、上記構成の二次電池劣化判定装置によれば、電池パックの内部抵抗値に基づいて二次電池の劣化状態を判定する場合より、二次電池の劣化状態を精度良く判定できる。
【0008】
(2)(1)に記載する二次電池劣化判定装置において、前記判定処理では、前記電池パックに、前記二次電池の充放電と、前記実蓄電量の算出と、および、前記初期値と前記実蓄電量の差分に基づく前記二次電池の劣化状態の判定と、を行わせ、前記電池パックから劣化判定を取得すること、が好ましい。
【0009】
上記構成の二次電池劣化判定装置は、実蓄電量の変化に基づいて二次電池の劣化判定を行う機能を有する電池パックから判定結果を取得し、二次電池の劣化判定を行うことで、装置側の負荷を軽減して、装置コストを安くすることができる。
【0010】
(3)(1)または(2)に記載する二次電池劣化判定装置において、
前記電池パックと通信可能に接続する複数の接続部を有し、
前記複数の接続部にそれぞれ接続する電池パックについて前記判定処理を実行すること、が好ましい。
【0011】
上記構成の二次電池劣化判定装置は、電池パックに通信可能に接続する接続部を複数備えることで、複数の電池パックについて同時に二次電池の劣化状態を判定できる。
【0012】
(4)(1)から(3)の何れか1つに記載する二次電池劣化判定装置において、に記載する二次電池劣化判定装置において、出力部を有し、前記判定処理の判定結果を前記出力部に出力させる出力処理を実行すること、が好ましい。
【0013】
上記構成の二次電池劣化判定装置は、二次電池の判定結果を出力部に出力させることにより、ユーザが判定結果を認識し、電池交換することを期待できる。
【0014】
(5)(4)に記載する二次電池劣化判定装置において、劣化状態の判定対象となる電池パックから、前記電池パックを識別する電池識別情報を取得する電池識別情報取得処理と、前記電池識別情報取得処理にて取得した前記電池識別情報と、前記判定処理の判定結果と、を含む二次元バーコードを生成する二次元バーコード生成処理と、を実行し、前記出力処理にて前記二次元バーコードを出力すること、、が好ましい。
【0015】
上記構成の二次電池劣化判定装置では、電池識別情報と判定結果とを含む二次元バーコードを生成して出力することで、ユーザは、二次元バーコードを通信端末などで読み取れば、判定結果を簡単に取得できる。
【0016】
(6)本発明の別態様は、(4)または(5)に記載する二次電池劣化判定装置と、ネットワークと、通信端末と、サーバと、を有し、前記通信端末は、前記ネットワークを介して前記サーバに接続し、前記二次電池劣化判定装置が前記出力処理にて出力した前記判定結果を、前記サーバに送信する判定結果送信処理を、実行し、前記サーバは、前記二次電池劣化判定装置による判定結果を記憶する判定結果データベースを有し、前記ネットワークを介して前記通信端末から、前記判定結果送信処理にて送信された前記判定結果を受信した場合、前記判定結果を前記判定結果データベースに記憶する判定結果記憶処理、を実行すること、を特徴とする二次電池劣化判定システムである。
【0017】
上記構成の二次電池劣化判定システムでは、二次電池劣化判定装置による判定結果を通信端末を介してサーバに送信し、サーバで一元管理することで、二次電池劣化判定装置が判定結果を管理する負荷を軽減できる。また、サーバに様々の電池パックの判定結果を集約し、電池パックの特性を管理しやすくなる。
【0018】
(7)(6)に記載する二次電池劣化判定システムにおいて、前記判定処理では、前記初期値と前記実蓄電量との差分が閾値を超える場合に、前記二次電池が劣化していると判定し、前記初期値と前記実蓄電量との差分が閾値以下である場合に、前記二次電池が劣化していないと判定し、前記通信端末は、前記閾値の送信を要求する送信要求に、前記閾値を取得したい前記電池パックの種類を特定する種類特定情報を付して、前記送信要求を前記サーバに送信する閾値送信要求処理と、前記サーバから送信された前記閾値を受信する閾値受信処理と、を実行し、前記サーバは、前記二次電池劣化判定装置が前記判定処理にて使用する前記閾値と、前記電池パックの前記種類と、を関連付けて記憶する閾値管理データベースを有し、前記判定結果データベースに記憶されている前記判定結果に基づいて、前記電池パックの前記種類毎に前記閾値を算出し、前記閾値管理データベースに記憶する閾値記憶処理と、前記通信端末から送信された前記送信要求を受信した場合に、前記送信要求に付された前記種類特定情報により特定される前記電池パックの前記種類に関連付けられた前記閾値を、前記閾値管理データベースから取得して、前記送信要求の送信元である前記通信端末に送信する閾値送信処理と、を実行し、前記二次電池劣化判定装置は、前記閾値を受け付ける受付部を有し、前記通信端末が前記閾値受信処理にて受信した前記閾値を、前記受付部を用いて受け付け、受け付けた前記閾値を前記判定処理にて使用すること、が好ましい。
【0019】
上記構成の二次電池劣化判定システムでは、サーバが、判定結果データベースに記憶されている判定結果に基づいて、電池パックの種類毎に算出した閾値を、二次電池劣化判定装置が通信端末を介して取得し、劣化判定処理に使用することで、電池パックの特性を反映した閾値を使用して劣化判定を行うことができるようになり、劣化判定の精度が向上する。
【0020】
(8)(6)または(7)に記載する二次電池劣化判定システムにおいて、前記二次電池劣化判定装置は、前記電池パックを識別する電池識別情報と、前記判定処理の判定結果と、を含む二次元バーコードを出力し、前記通信端末は、画像を読み取る画像読取部を有し、前記二次電池劣化判定装置が出力した前記二次元バーコードを、前記画像読取部を用いて読み取ることにより、前記電池識別情報と前記判定結果とを取得する取得処理を実行し、前記判定結果送信処理にて、前記取得処理にて取得した前記判定結果と前記電池識別情報とを関連付けて前記サーバに送信すること、が好ましい。
【0021】
上記構成の二次電池劣化判定システムでは、通信端末が、二次電池劣化判定装置が出力した二次元バーコードを画像読取部で読み取り、二次元バーコードから電池識別情報と判定結果を取得してサーバに送信することで、ユーザが電池識別情報や判定結果を通信端末などに手入力する手間が軽減される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電池パックと通信し、電池パックに内包される二次電池の劣化状態を判定する電池劣化判定装置において、二次電池の劣化状態を精度良く判定できる技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る二次電池劣化判定装置の外観斜視図である。
【
図6】劣化判定ユニットの電気的構成を示す電気ブロック図である。
【
図7】劣化判定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図8】判定結果が印刷された記録用紙の一例を示す図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る二次電池劣化判定装置を使用する二次電池劣化判定システムの概略構成図である。
【
図10】劣化判定ユニットの電気的構成を示す電気ブロック図である。
【
図11】通信端末の画面遷移の一例を示す図である。
【
図12】劣化判定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図13】代替処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図14】判定結果記憶処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図15】閾値更新処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図16】閾値送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図17】閾値書換処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る二次電池劣化判定装置の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、二次電池劣化判定装置1の外観斜視図である。
図2は、二次電池劣化判定装置1の平面図である。
図3は、第1電池パック11の一例を示す図である。
図4は、第2電池パック13の一例を示す図である。
図5は、劣化判定ユニット3を示す図である
図6は、電気的構成を示す電気ブロック図である。
図7は、劣化判定処理の制御手順を示すフローチャートである。
図8は、判定結果が印刷された記録用紙8の一例を示す図である。
【0026】
まず、二次電池劣化判定装置1の概略構成を説明する。
図1に示すように、二次電池劣化判定装置1は、種類が異なる第1電池パック11と第2電池パック13について劣化状態を判定できる装置である。種類が異なるとは、例えば、電池パックのサイズの違いや、形状の違いや、外部端子形状の違いを意味する。二次電池劣化判定装置1は、装置本体2と、5台の劣化判定ユニット3A,3B,3C,3D,3Eと、印刷装置5と、電力分配ユニット6と、を備える。印刷装置5は「出力部」の一例である。
【0027】
装置本体2は、直方体形状をなし、本体ケース21と蓋体23とを備える。本体ケース21は、直方体形状をなし、劣化判定ユニット3A~3Eが着脱可能に取り付けられる取付凹部211A~211Eが同一の面212に設けられている。蓋体23は、取付凹部211A~211Eを覆うように、本体ケース21に開閉可能に保持されている。蓋体23は、係止部25,25を介して閉状態が維持される。なお、以下の説明において特に区別する必要がない場合、「取付凹部211A~211E」及び「劣化判定ユニット3A~3E」を「取付凹部211」及び「劣化判定ユニット3」と総称する。また、劣化判定ユニット3と取付凹部211の数は、2~4個でも、6個以上でもよい。
【0028】
図2に示すように、劣化判定ユニット3A~3Eは、それぞれ、第1電池パック11が装着される装着凹部311A~311Eと、情報を表示する表示部41A~41Eが同一面に設けられている。表示部41A~41Eは「出力部」の一例である。劣化判定ユニット3A~3Eは、装着凹部311A~311Eと表示部41A~41Eを蓋体23側に向けて取付凹部211A~211Eに取り付けられている。
図1に示すように、蓋体23には、蓋体23を閉じた状態で装置本体2の外部から表示部41A~41Eを視認可能にする窓部27が設けられている。
【0029】
印刷装置5は、排紙口51を本体ケース21の側面に露出させた状態で、本体ケース21に設置されている。印刷装置5は、劣化判定ユニット3A~3Eと通信可能に接続され、例えば、劣化判定ユニット3A~3Eから印刷データが付された印刷指示を受信して印刷を実行する。印刷装置5にセットされる記録用紙は、ラベルシールでも、テープ状のシートでもよい。電力分配ユニット6は、電源に接続されるコンセント61が外部に露出している。電力分配ユニット6は、配線63A,63B,63C,63D,63Eを介して劣化判定ユニット3A,3B,3C,3D,3Eに接続され、コンセント61を介して電源から供給された電力を、劣化判定ユニット3A,3B,3C,3D,3Eに分配する。
【0030】
劣化判定ユニット3の概略構成を説明する。
図5に示すように、装置本体2に取り付けられる劣化判定ユニット3は、収容カセット31と、第1接続端子部35と、コントローラ40と、第2接続端子部37と、アダプタ33と、第3接続端子部39とを有する。第1接続端子部35と、アダプタ33は「複数の接続部」の一例である。
【0031】
図1に示すように、収容カセット31は、一対の広い面と、一対の広い面を接続する4つの側面とを有する直方体形状をなし、本体ケース21の取付凹部211に嵌め込んで装置本体2に取り付けられる。収容カセット31は、一対の広い面の一方に、第1電池パック11が装着される装着凹部311が設けられている。例えば、第2電池パック13は第1電池パック11より外形のサイズが大きい。そのため、装着凹部311には、第1電池パック11を装着できるが、第2電池パック13を装着できない。アダプタ33は、収容カセット31に着脱可能に接続される。アダプタ33は、本体ケース21の側面から取付凹部211に貫通するように形成された挿入穴29に挿入され、収容カセット31の第2接続端子部37に接続される。
【0032】
第1電池パック11と第2電池パック13の構成を簡単に説明すると、
図3に示すように、第1電池パック11は、複数の第1二次電池113と第1制御基板115が第1筐体111の内部に配置されている。第1電池パック11は、第1制御基板115に接続する第1端子ユニット117が筐体111の外部に露出している。また、
図4に示すように、第2電池パック13は、複数の第2二次電池133と第2制御基板135が第2筐体131の内部に配置されている。第2電池パック13は、第2制御基板135に接続する第2端子ユニット137が第2筐体131の外部に露出している。第1電池パック11と第2電池パック13は、第1端子ユニット117と第2端子ユニット137が、例えば、陽極端子、陰極端子、通信用端子を含む。
【0033】
第1制御基板115と第2制御基板135は、第1端子ユニット117と第2端子ユニット137に入力される信号に応じて第1二次電池113と第2二次電池133の動作を制御する。例えば、第1制御基板115と第2制御基板135は、それぞれ、第1端子ユニット117と第2端子ユニット137を用いて第1二次電池113と第2二次電池133の充電と放電を制御する充放電制御部を備える。また例えば、第1制御基板115と第2制御基板135は、それぞれ、第1二次電池113又は第2二次電池133の実際の電池容量を示す実電池容量を演算する演算部を備える。また例えば、第1制御基板115と第2制御基板135は、それぞれ、電池残量を計測する電池残量計測部や、電池残量取得部が計測した電池残量を外部出力する電池残量出力部を備える。また例えば、第1制御基板115と第2制御基板135は、それぞれ、演算部により演算された実電池容量や、電池残量計測部により計測された電池残量や、第1二次電池113又は第2二次電池133の電池容量の初期値や、劣化判定に使用する閾値などのデータを記憶する記憶部を備える。さらに例えば、第1制御基板115と第2制御基板135は、それぞれ、時間を計測するタイマを備える。
【0034】
第2電池パック13は、例えば、第1電池パック11より電池容量が大きく、サイズが大きい。また例えば、第2電池パック13は、第2端子ユニット137の形状や端子配置が、第1電池パック11の第1端子ユニット117と異なる。
【0035】
劣化判定ユニット3の構成をより詳細に説明する。
図5(a)の平面図に示すように、収容カセット31は、装着凹部311の内部に、第1電池パック11の第1端子ユニット117に通信可能に接続する第1接続端子部35が設けられている。そして、収容カセット31は、第1接続端子部35と異なる場所に、アダプタ33が着脱可能に接続される第2接続端子部37が設けられている。すなわち、第2接続端子部37は、収容カセット31の4つの側面の1つ(
図5(a)において右側面)に設けられ、装着凹部311の外部に設けられている。アダプタ33は、第2接続端子部37に接続するカセット側接続端子部331がケーブル335の一端に設けられ、第2電池パック13の第2端子ユニット137に接続する電池側接続端子部333がケーブル335の他端に設けられている。
【0036】
なお、劣化判定ユニット3は、アダプタ33が収容カセット31に着脱可能に接続される。そのため、例えば、
図5(d)の右側面図に示す電池側接続端子部333と形状や端子配置が異なる他のアダプタを、アダプタ33に代えて第2接続端子部37に接続すれば、劣化判定ユニット3には、第1電池パック11とも第2電池パック13とも種類が異なる電池パックが通信可能に接続されるようになる。
【0037】
図5(a)の平面図及び(c)の左側面図に示すように、第3接続端子部39は、収容カセット31の第2接続端子部37が設けられた側面と対向する側面に、設けられている。第3接続端子部39は、
図2に示すように、配線63を介して電力分配ユニット6に接続され、電源から電力分配ユニット6に供給された電力を供給される。
図5(b)の正面図に示すように、収容カセット31には、電力分配ユニット6から電力を供給されて稼動するコントローラ40が内設されている。
【0038】
図5(a)に示すように、劣化判定ユニット3は、装着凹部311を備える面に、表示部41と、リードライト部43と、ランプ45と、第1操作ボタン47と、第2操作ボタン49が設けられている。表示部41は、判定結果などの情報を表示するハードウェアであり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイである。リードライト部43は、SDカードなどの記憶媒体にデータを読み書きするハードウェアである。ランプ45は、劣化判定ユニット3の動作を点灯状態により通知するランプである。第1操作ボタン47は、劣化判定の実行を指示する劣化判定実行指示を受け付けるボタンである。第2操作ボタン49は、充電を指示する充電指示を受け付けるボタンである。
【0039】
劣化判定ユニット3の電気的構成を説明する。
図6に示すように、コントローラ40は、周知のマイコンであって、CPU401と、メモリ403と、を備える。コントローラ40は、第1接続端子部35と、第2接続端子部37と、第3接続端子部39と、表示部41と、リードライト部43と、ランプ45と、第1操作ボタン47と、第2操作ボタン49に接続されている。コントローラ40は、第1接続端子部35が第1電池パック11の第1端子ユニット117と接続する。また、コントローラ40は、第2接続端子部37がアダプタ33を介して第2電池パック13の第2端子ユニット137と接続する。
【0040】
コントローラ40は、第1接続端子部35が第1電池パック11の第1端子ユニット117に接続する場合、又は、第2接続端子部37がアダプタ33を介して第2電池パック13の第2端子ユニット137に接続する場合には、第1操作ボタン47と第2操作ボタン49の操作を有効にする。しかし、コントローラ40は、第1接続端子部35と第2接続端子部37の両方が第1電池パック11の第1端子ユニット117と第2電池パック13の第2端子ユニット137に接続する場合には、第1操作ボタン47と第2操作ボタン49の操作を無効にする。
【0041】
メモリ403は、不揮発性メモリと揮発性メモリを含み、制御プログラム407や、各種データを記憶している。劣化判定ユニット3は、制御プログラム407を用いて、第1接続端子部35に接続する第1電池パック11の第1制御基板115、又は、第2接続端子部37にアダプタ33を介して接続する第2電池パック13の第2制御基板135に劣化状態を判定させ、その判定結果を取得することができる。
【0042】
続いて、二次電池劣化判定装置1の動作について説明する。ユーザは、例えば、劣化判定対象となる第1電池パック11A~11Cを、劣化判定ユニット3A~3Cの装着凹部311A~311Cに嵌め込んで装着する。劣化判定ユニット3A~3Cは、第1接続端子部35A~35Cが第1電池パック11A~11Cの第1端子ユニット117にそれぞれ通信可能に接続される。
【0043】
第2電池パック13A,13Bは、第1電池パック11A~11Cよりサイズが大きく、劣化判定ユニット3D,3Eの装着凹部311D,311Eに装着できない。そこで、ユーザは、第2電池パック13A,13Bの各第2端子ユニット137を、劣化判定ユニット3D,3Eの電池側接続端子部333D,333Eに接続する。劣化判定ユニット3D,3Eは、第2接続端子部37D,37Eがアダプタ33D,33Eを介して第2電池パック13A,13Bの第2端子ユニット137にそれぞれ通信可能に接続される。
【0044】
ユーザが二次電池劣化判定装置1のコンセント61を電源に接続すると、劣化判定ユニット3A~3Eは、配線63A~63Eを介して電力分配ユニット6から電力が供給される。劣化判定ユニット3A~3Eの各コントローラ40は、第3接続端子部39を介して電力が供給されると、制御プログラム407を起動させる。コントローラ40は、制御プログラム40の起動後、第1接続端子部35に接続された第1電池パック11、あるいは、アダプタ33に接続された第2電池パック13から、電池パックを識別する情報である電池識別情報を取得し、メモリ403に記憶する。
【0045】
制御プログラム407が起動された劣化判定ユニット3A~3Eは、第1電池パック11A~11Cと第2電池パック13A,13Bの電池残量をそれぞれ取得して表示部41A~41Eに表示させる。また、劣化判定ユニット3A~3Eのコントローラ40は、第1操作ボタン47A~47Eと、第2操作ボタン49A~49Eを有効にする。このとき、コントローラ40は、ランプ45を赤色で点滅点灯させ、待機中であることをユーザに知らせる。
【0046】
尚、二次電池劣化判定装置1は、コンセント61を電源に接続してから、劣化判定ユニット3に電池パックをセットしてもよい。また、劣化判定ユニット3A~3Eに電池パックをセットする順番や劣化判定ユニット3A~3Eにセットする電池パックは上記に限定されないのは言うまでもない。
【0047】
なお、劣化判定ユニット3のコントローラ40は、第1接続端子部35とアダプタ33に第1電池パック11と第2電池パック13が同時に接続された場合には、稼動しない。そのため、第1操作ボタン47Aと第2操作ボタン49Aが無効となり、コントローラ40は、劣化判定実行指示も充電指示も受け付けない。この場合、コントローラ40は、ランプ45を赤色で連続点灯させる。
【0048】
劣化判定ユニット3A~3Eの各コントローラ40は、第2操作ボタン49A~49Eが操作された場合、充電指示を受け付ける。劣化判定ユニット3A~3Cは、電力分配ユニット6から供給された電力を、第1接続端子部35A~35Cと第1電池パック11A~11Cの第1端子ユニット117と第1制御基板115を介して第1二次電池113にそれぞれ供給し、第1二次電池113の充電のみを行う。劣化判定ユニット3D,3Eは、電力分配ユニット6から供給された電力を、第2接続端子部37D,37Eとアダプタ33D,33Eと第2電池パック13A,13Bの第2端子ユニット137と第2制御基板135を介して二次電池133にそれぞれ供給し、第2二次電池133の充電のみを行う。
【0049】
劣化判定ユニット3A~3Eの各コントローラ40は、充電のみを行う間、ランプ45A~45Dを赤色で連続点灯させ、充電が完了すると、ランプ45を緑色で連続点灯させる。また、劣化判定ユニット3A~3Eの各コントローラ40は、充電中、第1電池パック11A~11Cと第2電池パック13A,13Bから取得した電池残量を表示部41A~41Eに表示させてもよい。
【0050】
一方、劣化判定ユニット3A~3Eは、第1操作ボタン47A~47Eが押下された場合、それを契機に、コントローラ40のCPU401が
図7に示す劣化判定処理を開始する。劣化判定ユニット3A~3Eの劣化判定処理は同様なので、以下では劣化判定ユニット3Aを例にして劣化判定処理を説明する。
【0051】
図7に示すように、劣化判定ユニット3Aが備えるコントローラ40のCPU401は、まず、劣化判定を実行することを報知する(S1)。本形態では、例えば、ランプ45を緑色で点滅点灯させることにより、劣化判定中であることを報知する。報知は、例えば、表示部41Aを用いて「劣化判定中」などのメッセージを表示することにより行ってもよい。また、劣化判定ユニット3A又は二次電池劣化判定装置1に音声出力機能があれば、音声等で報知してもよい。
【0052】
劣化判定通知を行ったCPU401は、二次電池を空にする空指示を第1電池パック11Aに第1接続端子部35を用いて出力する(S2)第1電池パック11Aの第1制御基板115は、第1端子ユニット117を用いて空指示を受け付けると、第1二次電池113の放電を開始する。第1制御基板115は、放電中、第1二次電池113の電池残量を計測している。
【0053】
空指示を出力したCPU401は、二次電池が空になったか否かを判断する(S3)。例えば、第1電池パック11Aの第1制御基板115は、第1二次電池113の電池残量に基づいて第1二次電池113が空になったことを検知すると、第1二次電池113の放電を停止する。そして、第1制御基板115は、第1二次電池113が空になったことを示す情報である放電完了信号を第1端子ユニット117を用いてコントローラ40に出力する。なお、「空」は、必ずしも電池残量が0%であることを意味するものでなく、満充電容量の2~3%の電池残量を意味してもよい。コントローラ40は、放電完了信号を受信するまで待機する(S3:NO)。
【0054】
なお、第1制御基板115は、第1二次電池113の電池残量をコントローラ40に出力している。よって、コントローラ40は、第1制御基板115から出力された電池残量を受け付けて、二次電池が空か否かを判断する際の電池残量下限値と比較し、第1二次電池113が空になったか否かを判断してもよい。
【0055】
コントローラ40は、第1接続端子部35を用いて放電完了信号を受信すると、二次電池が空になったと判断する(S3:YES)。この場合、コントローラ40は、劣化判定の実行を指示する情報である劣化判定指示を第1電池パック11Aに第1接続端子部35を用いて出力する(S4)。第1電池パック11Aの第1制御基板115は、第1端子ユニット117を用いて劣化判定指示を受け付けると、第1二次電池113への充電を開始する。第1制御基板115は、充電時の電流値を一定に制御する。第1制御基板115は、充電開始と同時にタイマを起動し、時間を計測し始める。
【0056】
劣化判定指示を出力したCPU401は、判定結果を取得したか否かを判断する(S5)。第1制御基板115は、電池残量が100%になり、満充電されたことを検知すると、第1二次電池113の充電を停止する。また、タイマを停止し、満充電に要した充電時間、つまり、劣化判定指示を受けた後に充電を開始してから満充電になるまでの時間、を取得する。第1制御基板115は、充電時間と充電時の電流値をかけ合わせることにより、第1二次電池113の実際の電池容量である実電池容量を演算する。そして、第1制御基板115は、演算した実電池容量と、記憶部に記憶している第1二次電池113の電池容量の初期値とを比較し、第1二次電池113の劣化状態を判定する。第1制御基板115が、電池容量の初期値と実電池容量の差分が閾値以下である場合には、第1二次電池113が正常である(劣化していない)と判定する。一方、第1制御基板115は、電池容量の初期値と実電池容量との差分が閾値を超える場合、第1二次電池113が劣化していると判定する。第1制御基板115は、第1端子ユニット117を用いてコントローラ40に判定結果を出力する。コントローラ40は、第1接続端子部35を用いて判定結果を受け付けるまで待機する(S5:NO)。
【0057】
コントローラ40は、第1接続端子部35を用いて判定結果を受け付けると、劣化判定結果を取得したと判断する(S5:YES)。この場合、CPU401は、印刷データを生成して、印刷装置5に送信する(S6)。具体的には、メモリ403には、第1電池パック11Aが劣化判定ユニット3Aにセットされたときに、第1電池パック11Aから取得した電池識別情報が記憶されている。そこで、CPU401は、メモリ403に記憶している電池情報識別情報と、第1電池パック11Aから取得した判定結果とを含む印刷データを生成し、第3接続端子部39を用いて印刷装置5に送信する。印刷データを受信した印刷装置5は、記録用紙に印刷データに基づく画像を印刷する。
【0058】
例えば
図8に示すように、記録用紙8には、印刷データに含まれる電池識別情報が第1印字欄81に印字され、印刷データに含まれる判定結果が第2印字欄83に印字される。さらに、記録用紙8には、判定を行ったユーザの名前またはサインを記入する記入欄85が印刷されている。なお、記入欄85には、判定を行ったユーザの名前を印刷し、判が押印されるようにしてもよい。
【0059】
また、CPU401は、表示部41Aを用いて第1電池パック11Aから取得した判定結果を表示する(S7)。なお、S6とS7の処理は逆順でもよい。
【0060】
判定結果の印刷と表示を行ったCPU401は、劣化判定が完了したことを報知する(S8)。例えば、CPU401は、LED45Aを緑色で連続点灯させることにより、劣化判定が完了したことをユーザに知らせる。その後、CPU401は、
図7に示す処理を終了する。
【0061】
なお、CPU401は、リードライト部43を用いて、電池識別情報と判定結果とを関連付けてSDカード等の記憶媒体に記憶させてもよい。また、二次電池劣化判定装置1が音声出力部があれば、各種報知を音声出力により行ってもよい。
【0062】
なお、
図7のうち、S2~S5の処理は「判定処理」の一例である。S6,S7の処理は「出力処理」の一例である。
【0063】
ユーザは、劣化判定が完了した第1電池パック11Aを劣化判定ユニット3Aから外し、印刷装置5から出力された記録用紙8を第1電池パック11Aに貼付する。正常と判定された第1電池パック11Aは、例えば、
図8(a)に示すように、正常であることを示す判定結果を印字された記録用紙8が貼付される。このとき、第1電池パック11Aの判定結果が劣化判定ユニット3Aに個別に表示されることで、第1電池パック11Aと判定結果を印字した記録用紙8とを結び付けやすくなり、記録用紙8を別の電池パックに貼付する間違いが抑制される。そして、記録用紙8が貼付された第1電池パック11Aを所定の保管場所に保管する。これにより、当該第1電池パック11Aは、劣化していないことが誰にでも分かるようになる。
【0064】
一方、例えば、劣化していると判定された第1電池パック11Aは、
図8(b)に示すように、劣化を示す判定結果が印字された記録用紙8が貼付され、廃棄される。このとき、記録用紙8には、電池識別情報や判定結果が印刷されている。よって、ユーザは、電池識別情報や判定結果を記入する必要がない。また、劣化した第1電池パック11Aが誤って使用されることが抑制される。
【0065】
以上説明したように、本形態の二次電池劣化判定装置1は、例えば、第1電池パック11Aの第1二次電池113に所定値以下まで放電させた後、二次電池113に満充電を一定の電流値で行わせ、充電を開始してから満充電させるまでの時間と満充電する際の一定の電流値とをかけ合わせて、二次電池113の現在の蓄電量を示す実蓄電量を算出する。そして、二次電池の蓄電量の初期値と現在の実実蓄電量との差分に応じて二次電池113の劣化状態を判定する。蓄電量の変化は、第1電池パック11Aの内部抵抗のノイズレベルの変化より変化量が大きい。よって、本形態の二次電池劣化判定装置1によれば、第1電池パック11Aの内部抵抗値に基づいて二次電池113の劣化状態を判定する場合より、二次電池113の劣化状態を精度良く判定できる。
【0066】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る二次電池劣化判定装置1xを使用する二次電池劣化判定システム1000の概略構成図である。
図10は、劣化判定ユニット30の電気的構成を示す電気ブロック図である。
【0067】
図9に示すように、本形態の二次電池劣化判定装置1xは、劣化判定ユニット30の構成のみが第1実施形態と相違している。二次電池劣化判定装置1x及び劣化判定ユニット30は、単独で外部装置と通信できない。そこで、本形態の二次電池劣化判定システム1000では、二次電池劣化判定装置1xによる判定結果を通信端末1030を用いて読み取って、通信端末1030からネットワーク1020を介してサーバ1010に送信し、サーバ1010が判定結果を一元管理している。以下の説明では、第1実施形態を相違する点を説明し、第1実施形態と共通する点については、第1実施形態と同じ符号を説明と図面に使用し、適宜説明を省略する。
【0068】
図10に示すように、劣化判定ユニット30は、コントローラ40のメモリ403に、制御プログラム407xと、閾値書換プログラム1041が記憶されている。また、メモリ403には、閾値記憶部1043が設けられている。また、コントローラ40には、閾値の入力を受け付ける閾値入力ボタン1040が接続されている。閾値入力ボタン1040は、「受付部」の一例である。
【0069】
閾値記憶部1043は、二次電池の劣化状態を判定する判定処理に使用する閾値を、電池パックの種類別に記憶している。閾値書換プログラム1041は、閾値記憶部1043に記憶されている閾値を書き換えるプログラムである。制御プログラム407xは、通信可能に接続する電池パックの二次電池について劣化状態を判定する。制御プログラム407xは、判定結果を含むQを変化コードを生成し、出力することができる。
【0070】
図9に示すように、二次電池劣化判定システム1000は、二次電池劣化判定装置1xと、通信端末1030と、ネットワーク1020と、サーバ1010とを有する。
【0071】
サーバ1010は、電池パックを管理するサーバである。サーバ1010は、通信端末1030を介して二次電池劣化判定装置1xの判定結果を収集できる。なお、サーバ1010と接続可能な通信端末1030は、1台に限らず、複数台でもよい。また、サーバ1010は、複数の二次電池劣化判定装置から直接または間接的に判定結果を受信できる。サーバ1010は、判定結果データベース(以下「判定結果DB」ともいう)1013と、閾値管理データベース(以下「閾値DB」ともいう)1015とを有する。
【0072】
判定結果DB1013は、判定結果を記憶するデータベースである。判定結果DB1013は、判定結果と電池パックの種類とを関連付けて記憶している。閾値管理DB1015は、二次電池劣化判定装置1xの判定処理に用いる閾値を電池パックの種類に関連付けて記憶するデータベースである。
【0073】
サーバ1010は、二次電池劣化判定装置1xによる判定結果を通信端末1030から受信した場合、その判定結果を判定結果DB1013に記憶する。また、サーバ1010は、通信端末1030から閾値の問い合わせがあった場合に、閾値管理DB1015に記憶されている閾値を通信端末1030に送信する。
【0074】
ネットワーク1020は、例えば、インターネットである。
【0075】
通信端末1030は、通信機能を有する端末装置であり、例えば、スマートフォンである。通信端末1030は、CPUやメモリなどを備える周知のコントローラ1037を備え、コントローラ1037に代替アプリ1039が記憶されている。代替アプリ1039は、例えば、アプリ提供サービスからダウンロードされる。
【0076】
コントローラ1037には、ネットワークインターフェース(以下「ネットワークIF」ともいう)1033と、タッチパネル1035と、画像読取部1031が接続されている。ネットワークIF1033は、ネットワーク1020との接続を制御するものである。タッチパネル1035は、情報の入力操作を受け付ける機能と、情報を表示する機能とを有する。タッチパネル1035に変えて、情報の入力操作を受け付ける入力操作部と、情報を表示する情報表示部とを別々に設けてもよい。画像読取部1031は、画像を読み取るハードウェアであり、例えば、二次電池劣化判定装置1xの表示部41Aに表示されたQRコード(登録商標)を読み取る。
【0077】
代替アプリ1039は、外部装置と通信する機能を有しない二次電池劣化判定装置1xに代替して、サーバ1010と通信を行う機能を有する。代替アプリ1039は、二次電池劣化判定装置1xによる劣化判定の判定結果をサーバ1010に送信する機能を有する。また、代替アプリ1039は、通信端末1030から判定処理に用いる閾値を問い合わせ、サーバ1010から閾値を受信して表示する機能を有する。
【0078】
続いて、二次電池劣化判定システム1000の動作概要について説明する。ここでは、二次電池劣化判定装置1xの劣化判定ユニット30Aに第1電池パック11Aがセットされ、第1電池パック11Aの第1二次電池113について劣化判定を行う場合を例に上げて説明する。なお、第1実施形態と同様の動作については、説明を適宜省略する。また、以下の説明において、「劣化判定ユニットが~する」とは、実質的に「劣化判定ユニットのCPUが~する」を意味するものとする。
【0079】
図9に示すように、劣化判定ユニット30Aは、第1電池パック11Aから電池識別情報を取得し、第1電池パック11Aの種類を判別する。そして、劣化判定ユニット30Aは、その種類に対応する閾値を、閾値記憶部1043から抽出する。劣化判定ユニット30Aは、第1実施形態と同様にして第1電池パック11Aの第1二次電池113Aについて劣化判定を行う。この際、コントローラ40は、劣化判定指示に抽出した閾値を付す。そして、第1電池パック11Aは、劣化判定ユニット30Aから受信した劣化判定指示に付された閾値を用いて、第1二次電池113Aの劣化状態を判定する。劣化判定ユニット30Aは、第1電池パック11Aから判定結果を受信すると、第1電池パック11Aから取得した電池識別情報と判定結果とを含むQRコードを生成し、表示部41Aに表示する。
【0080】
図11は、通信端末1030の画面遷移の一例を示す図である。ユーザは、例えば、第1電池パック11Aの第1二次電池113Aについての判定結果をサーバ1010に送信する場合、タッチパネル1035を用いて代替アプリ1039を起動させる。これにより、通信端末1030のタッチパネル1035には、
図11に示す初期画面D1が表示される。初期画面D1には、第1入力ボタンA11と、第2入力ボタンA13と、第3入力ボタンA15が表示されている。第1入力ボタンA11は、判定結果をサーバ1010に送信する判定結果送信モードを選択するボタンである。第2入力ボタンA13は、閾値をサーバ1010から取得する閾値取得モードを選択するボタンである。第3入力ボタンA15は、代替アプリを終了させるボタンである。
【0081】
ユーザが第1入力ボタンA11をタップすると、通信端末1030は、タッチパネル1035を用いて読取画面D3を表示する。読取画面D3には、QRコードを読み取ることができる読取可能領域FA31が表示されている。そこで、ユーザは、表示部41Aに表示されているQRコードが読取可能領域FA31に収まるように、通信端末1030の位置を調整する。
【0082】
通信端末1030は、QRコードを読み取ると、判定結果送信確認画面D5を表示する。判定結果送信確認画面D5には、判定情報表示領域DA51と、OKボタンA51と、キャンセルボタンA53が表示されている。判定情報表示領域DA51には、QRコードに含まれている情報、すなわち、第1電池パック11Aの識別情報と判定結果が表示される。また、判定情報表示領域DA51には、判定人の名前が表示されてもよい。判定人の名前は、ユーザが入力した名前でもよいし、通信端末1030に登録されている名前でもよい。さらには、QRコードに判定人の名前が含まれる場合、その名前であってもよい。また、QRコードに含まれる電池識別情報が表示されてもよい。
【0083】
ユーザは、判定結果送信確認画面D5の内容で判定結果をサーバ1010に送信してよい場合には、OKボタンA51をタップする。すると、通信端末1030は、判定情報表示領域DA51に表示された内容の判定情報を、ネットワーク1020を介してサーバ1010に送信する。つまり、通信端末1030は、第1電池パック11Aの第1二次電池113Aについての判定結果をサーバ1010に送信する。このとき、判定結果には、QRコードに含まれていた電池識別情報が付される。判定結果には、判定結果と通信端末1030に表示した情報を付してもよい。通信端末1030は、判定情報の送信に成功すると、初期画面D1に戻る。
【0084】
なお、通信端末1030は、判定情報の送信に失敗した場合、エラー通知してから初期画面D1に戻ってもよい。また、ユーザが、判定結果送信確認画面D5の内容で判定結果をサーバ1010に送信することを希望せず、キャンセルボタンA53をタップした場合、通信端末1030は、初期画面D1に戻ってもよいし、代替アプリ1039を直ちに終了させてもよい。
【0085】
図9に示すサーバ1010は、通信端末1030から送信された判定情報を受信すると、受信した判定情報を1つのレコードとして判定結果DB1013に記憶する。つまり、サーバ1010は、受信した判定情報と、それに付された電池識別情報とを関連付けて判定結果DB1013に記憶する。サーバ1010は、受信した判定結果に、その判定結果に付された電池識別情報以外の情報を関連付けて、判定結果DB1013に記憶してもよい。サーバ1010は、他の二次電池劣化判定装置による判定結果もこれと同様に取得し、判定結果DB1013に記憶する。よって、サーバ1010は、1又は2以上の二次電池劣化判定装置による判定結果を繰り返し収集し、判定結果DB1013に蓄積して記憶できる。
【0086】
サーバ1010は、閾値管理DB1015に記憶されている閾値を、判定結果DB1013に記憶されている情報に基づいて更新し、ブラッシュアップする。すなわち、サーバ1010は、例えば1日に1回、閾値管理DB1015に記憶される閾値を更新する。具体的には、サーバ1010は、判定結果DB1013に記憶されている判定結果を電池パックの種類別に抽出し、閾値を算出する。そして、閾値管理DB1015に記憶されている既存の閾値に、算出した閾値を上書きする。これにより、閾値管理DB1015には、電池パックの実際の使用に応じた閾値が、電池パックの種類毎に記憶される。
【0087】
閾値管理DB1015に記憶される閾値は、通信端末1030を介して劣化判定ユニット30Aに取り込まれる。
【0088】
すなわち、例えばユーザは、通信端末1030に代替アプリ1039を起動させ、
図11に示す初期画面D1をタッチパネル1035に表示させる。ユーザが第2入力ボタンA13をタップすると、通信端末1030は、タッチパネル1035を用いて閾値取得画面D7を表示する。閾値取得画面D7には、チェックボックスC71、C73と、OKボタンA71と、キャンセルボタンA73が表示されている。チェックボックスC71が選択された場合、通信端末1030は、サーバ1010の閾値管理DB1015から閾値を一括して取得する指示が入力される。一方、チェックボックスC73が選択された場合、通信端末1030は、選択した種類に対応する閾値をサーバ1010の閾値管理DB1015から取得する指示が入力される。
【0089】
通信端末1030は、例えばチェックボックスC71にチェックを入れた状態で、OKボタンA71がタップされると、全ての閾値を送信することをサーバ1010に要求する。サーバ1010は、その閾値送信要求を受信すると、閾値管理DB1015に記憶されている閾値を電池パックの種類に関連付けて、通信端末1030に全て送信する。
【0090】
なお、通信端末1030は、例えばチェックボックスC73にチェックを入れると、図示しない種類選択画面を表示する。通信端末1030は、種類選択画面にて、例えば、第1電池パック11Aの種類を選択し、その状態で、OKボタンA71がタップされると、電池パックの種類の特定を受け付ける。通信端末1030は、閾値の送信をサーバ1010に要求する際に、第1電池パック11Aの種類を特定する種類特定情報を、閾値送信要求に付す。サーバ1010は、通信端末1030から送信された閾値送信要求を受信すると、閾値送信要求に付された種類特定情報により特定された電池パックの種類に応じた閾値を閾値管理DB1015から読み出す。そして、サーバ1010は、閾値送信要求を送信した通信端末1030に、読み出した閾値を送信する。
【0091】
通信端末1030は、サーバ1010から送信された閾値を受信すると、タッチパネル1035を用いて閾値表示画面D9を表示する。閾値表示画面D9には、サーバ1010から取得した閾値を表示する閾値表示領域DA91と、OKボタンA91が表示される。
【0092】
ユーザは、閾値表示領域DA91に表示される閾値を、例えば劣化判定ユニット30Aの閾値入力ボタン1040Aを用いて入力する。劣化判定ユニット30Aは、閾値入力ボタン1040Aを用いて入力された閾値を受け付けると、閾値記憶部1043に記憶されている閾値を書き換えて変更する。その後に、劣化判定ユニット30Aは、第1電池パック11Aの第1二次電池113Aについて劣化判定を行う場合、更新後の閾値を劣化判定指示に付して送信する。劣化判定指示を受信した第1電池パック11Aは、劣化判定指示に付された閾値を用いて、第1二次電池113Aの劣化状態を判定し、その判定結果を劣化判定ユニット30Aに送信する。二次電池劣化判値装置1xは、第1電池パック11Aの特性に応じて生成された閾値を用いて得られた判定結果を取得するので、第1二次電池113Aの劣化状態を精度良く判定することが可能である。
【0093】
続いて、二次電池劣化判定システム1000における各処理の制御手順について説明する。まず、劣化判定処理の制御手順について説明する。
図12は、劣化判定処理の制御手順を示すフローチャートである。
図12に示す劣化判定処理は、第1実施形態で説明したS101,S102の処理を除き、
図7に示す劣化判定処理と同様である。よって、ここでは、第1実施形態と同様の処理には、第1実施形態と同じ符号を使用し、説明を適宜省略する。
【0094】
劣化判定ユニット3のCPU401は、判定結果を電池パックから受信すると(S5:YES)、電池識別情報を取得する(S101)。S101の処理は「電池識別情報取得処理」の一例である。電池識別情報は、例えば、CPU401が第1接続端子部35に接続された第1電池パック11又はアダプタ33に接続された第2電池パック13に電池識別情報を問い合わせ、取得してもよい。また、電池識別情報は、例えば、電池パックが劣化判定ユニット3にセットされた場合など、S101より前のタイミングで電池パックから読み出され、メモリ403に記憶されてもよい。この場合、S101の処理では、メモリ403から電池識別情報を読み出すことにより、電池四季別情報を取得してもよい。
【0095】
電池識別情報を取得したCPU401は、QRコードを生成する(S102)。QRコードは「二次元バーコード」の一例である。S102の処理は「二次元バーコード生成処理」の一例である。なお、QRコードは、バーコードなど、別種の二次元バーコードでもよい。
【0096】
QRコードを生成したCPU401は、判定結果を印刷装置5に印刷させたり、表示部41に表示させたりする(S6,S7)。この場合、CPU401は、S102にて生成したQRコードを含む印刷データを印刷装置5に送信し、QRコードを印刷させる。あるいは、CPU401は、表示部41にQRコードを表示させる。なお、QRコードは、判定結果等を文字で示す情報とともに出力(印刷、表示)されてもよいし、単独で出力されてもよい。
【0097】
次に、代替処理の制御手順について説明する。通信端末1030は、代替アプリ1039が起動されると、コントローラ1037が
図13に示す代替処理を行う。
図13は、代替処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0098】
コントローラ1037は、まず、ネットワークIF1033を用いて、ネットワーク1020を介してサーバ1010に接続する(S201)。サーバ1010に接続したコントローラ1037は、タッチパネル1035を用いて、
図11に示す初期画面D1を表示する(S203)。
【0099】
図13に示すように、初期画面D1を表示したコントローラ1037は、モードが選択されたか否かを判断する(S205)。コントローラ1037は、例えば、初期画面D1の第1入力ボタンA11がタップされた場合には、判定結果送信モードが選択されたと判断し(S205:判定結果送信モード)、QRコードを読み取ったか否かを判断する(S207)。具体的には、コントローラ1037は
図11に示す読取画面D3を表示し、ユーザにQRコードを撮影させる。コントローラ1037は、QRコードを読み取るまで待機する(S207:NO)。
【0100】
一方、コントローラ1037は、QRコードを読み取ったと判断すると(S207:YES)、QRコードを解析し、QRコードに含まれる電池識別情報と判定結果を取得する(S209)。S209の処理は「取得処理」の一例である。そして、コントローラ1037は、タッチパネル1035を用いて、取得した電池識別情報と判定結果を表示する(S211)。すなわち、コントローラ1037は、
図11に示す判定結果送信確認画面D5をタッチパネル1035に表示させる。
【0101】
図13に示すように、判定結果を表示したコントローラ1037は、判定結果送信確認画面D5に表示されるボタンが押下されたか否かを判断する(S213)。OKボタンA51がタップされた場合(S213:OKボタン)、コントローラ1037は、判定結果をサーバ1010に送信する(S215)。S215の処理は「判定結果送信処理」の一例である。その後、コントローラ1037は、S203の処理に戻り、タッチパネル1035を用いて初期画面D1を表示する。なお、キャンセルボタンA53がタップされた場合(S213:キャンセルボタン)、コントローラ1037は、判定結果をサーバ1010に送信することなく、S203の処理に戻り、初期画面D1を表示する。
【0102】
上記に対して、コントローラ1037は、
図11に示す初期画面D1の第2入力ボタンA13がタップされた場合、
図13に示すように、閾値取得モードが選択されたと判断し(S205:閾値取得モード)、取得する閾値の指定を受け付ける(S217)。すなわち、コントローラ1037は、
図11に示す閾値取得画面D7を表示し、ユーザに取得する閾値を指定させる。
【0103】
コントローラ1037は、取得する閾値の指定を受け付けると、サーバ1010に指定された閾値を問い合わせる(S219)。コントローラ1037は、サーバ1010から閾値を取得するか否かを判断する(S221)。S219の処理は「閾値送信要求処理」の一例であるS221の処理は「閾値受信処理」の一例である。コントローラ1037は、サーバ1010から閾値を取得するまで待機する(S221:NO)。
【0104】
一方、コントローラ1037は、サーバ1010から閾値を取得したと判断すると(S221:YES)、タッチパネル1035を用いて、
図11に示す閾値表示画面D9を表示し、サーバ1010から取得した閾値を表示する(S223)。その後、コントローラ1037は、OKボタンA91が押下されたか否かを判断する(S225)。コントローラ1037は、OKボタンA91が押下されない場合(S225:NO)、閾値表示画面D9を表示したまま待機する。一方、コントローラ1037は、OKボタンA91が押下された場合(S225:YES)、S203の処理に戻り、初期画面D1を表示する。
【0105】
コントローラ1037は、初期画面D1の第3入力ボタンA15がタップされると、モードが選択されないと判断し(S205:モード選択なし)、サーバ1010との接続を切断し(S227)、処理を終了する。
【0106】
次に、判定結果記憶処理の制御手順について説明する。
図14は、判定結果記憶処理の制御手順を示すフローチャートである。サーバ1010は、起動すると同時に、
図14に示す判定結果記憶処理を実行する。サーバ1010は、まず、判定結果を通信端末1030から受信したか否かを判断する(S301)。サーバ1010は、判定結果を受信したと判断した場合(S301:YES)、受信した判定結果を判定結果DB1013に記憶する(S303)。そして、サーバ1010は、停止するか否かを判断する(S305)。サーバ1010は、停止しないと判断する場合(S305:NO)、S301の処理に戻る。これに対して、サーバ1010は、判定結果を受信したと判断しない場合(S301:NO)、S303の処理を行わずに、S305の処理に進む。また、サーバ1010は、停止すると判断した場合(S305)、
図14に示す処理を終了する。S301、S303の処理は「判定結果記憶処理」の一例である。
【0107】
次に、閾値更新処理について説明する。
図15は、閾値更新処理の制御手順を示すフローチャートである。サーバ1010は、閾値更新タイミングになると、
図15に示す処理を実行する。閾値更新タイミングは、閾値を記憶するタイミングである。閾値更新タイミングは、例えば、1日の中で決められた時刻に1回あるいは複数回でもよいし、判定結果を受信する都度でもよい。サーバ1010は、判定結果DB1013に記憶されている閾値を電池パックの種類別に読み出し、種類毎に閾値を演算する(S311)。そして、サーバ1010は、S311にて演算した閾値と種類別に閾値管理DB1015に上書きし、閾値管理DB1015の閾値を更新する(S313)。その後、サーバ1010は、
図15に示す閾値更新処理を終了する。
図15のS311、S313の処理は「閾値記憶処理」の一例である。
【0108】
次に、閾値送信処理の制御手順について説明する。
図16は、閾値送信処理の制御手順を示すフローチャートである。サーバ1010は、閾値の問い合わせを受信すると、
図16に示す処理を実行する。サーバ1010は、まず、問い合わせに含まれる電池パックの種類に応じた閾値を閾値管理DB1015から読み出す(S321)。そして、サーバ1010は、読み出した閾値を、問い合わせした通信端末1030に送信する(S323)。その後、サーバ1010は、
図16に示す閾値送信処理を終了する。
図16のS321、S323の処理は「閾値送信処理」の一例である。
【0109】
次に、閾値書換処理の制御手順について説明する。
図17は、閾値書換処理の制御手順を示すフローチャートである。二次電池劣化判定装置1xの劣化判定ユニット30は、閾値入力ボタン1040を介して閾値の入力を受け付けると、CPU401が
図17に示す閾値書換処理を実行する。すなわち、CPU401は、閾値記憶部1043に記憶されている閾値に、閾値入力ボタン1040を用いて入力された閾値を上書きし、閾値記憶部1043に記憶されている閾値を書き換える。その後、CPU401は、
図17に示す閾値書換処理を終了する。
【0110】
以上説明したように、本形態の二次電池劣化判定装置1xは、電池識別情報と判定結果とを含む二次元バーコードを生成して出力することで、ユーザは、二次元バーコードを通信端末1030などで読み取れば、判定結果を簡単に取得できる。
【0111】
また、本形態の二次電池劣化判定システム1000は、二次電池劣化判定装置1xによる判定結果を通信端末1030を介してサーバ1010に送信し、サーバ1010で判定結果を一元管理することで、二次電池劣化判定装置1xが判定結果を管理する負荷を軽減できる。また、サーバ1010に様々の電池パックの判定結果を集約し、電池パックの特性を管理しやすくなる。
【0112】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。例えば、劣化判定ユニット3の収容カセット31に表示部41をそれぞれ設けずに、装置本体2に表示部を1個だけ設け、その表示部に各収容カセット31の充電状態や劣化判定結果を表示させてもよい。
【0113】
図7および
図12のS2~S5の処理を省略し、二次電池劣化判定装置が電池パックから劣化判定結果を受信しないようにしてもよい。すなわち、二次電池劣化判定装置側のコントローラが、電池パックの二次電池に空になるまで放電させた後、一定の電流値で充電を行い、満充電させる。そして、二次電池劣化判定装置が、充電時間を計測し、充電時の電流値と充電時間とに基づいて実蓄電量を算出する。二次電池劣化判定装置は、二次電池の蓄電量の初期値及び劣化判定に用いる閾値をメモリに記憶する。二次電池劣化判定装置は、実蓄電量と初期値の差分を求め、その差分を閾値と比較して劣化判定を行う。但し、上記形態の二次電池劣化判定装置1,1xのように、実蓄電量に変化に基づいて二次電池の劣化判定を行う機能を有する電池パックから判定結果を取得し、二次電池の劣化判定を行うことで、装置1,1x側の負荷を軽減して、装置コストを安くすることができる。
【0114】
二次電池劣化判定装置は、電池パックに接続する接続端子を1つだけ備え、1対1で電池パックに接続して、二次電池の劣化状態を判定してもよい。ただし、上記形態の二次電池劣化判定装置のように、電池パックに通信可能に接続する接続部(第1接続端子部35、アダプタ33)を複数備えることで、複数の電池パック(第1電池パック11,第2電池パック13)について同時に二次電池の劣化状態を判定できる。
【0115】
図7および
図12のS6,Sの処理を省略してもよい。但し、二次電池の判定結果を印刷装置5や表示部41などの出力部に出力させることにより、ユーザが判定結果を認識し、電池交換することを期待できる。
【0116】
図12のS101,S102の処理を省略してもよい。但し、上記形態のように、電池識別情報と判定結果とを含む二次元バーコードを生成して出力することで、ユーザは、二次元バーコードを通信端末1030などで読み取れば、判定結果を簡単に取得できる。
【0117】
二次電池劣化判定装置1,1xがサーバ1010と直接通信するようにしてもよい。但し、上記形態のように、二次電池劣化判定装置1,1xが通信機能を備えず、二次電池劣化判定装置1,1xによる判定結果を通信端末1030を介してサーバ1010に送信し、サーバ1010で一元管理することで、二次電池劣化判定装置1,1xが判定結果を管理する負荷を軽減できる。また、サーバ1010に様々の電池パックの判定結果を集約し、電池パックの特性を管理しやすくなる。
【0118】
図15の閾値記憶処理を省略してもよい。但し、上記形態のように、サーバ1010が、判定結果DB1013に記憶されている判定結果に基づいて、電池パックの種類毎に算出した閾値を、二次電池劣化判定装置が通信端末1030を介して取得し、劣化判定処理に使用することで、電池パックの特性を反映した閾値を使用して劣化判定を行うことができるようになり、劣化判定の精度が向上する。
【0119】
図12のS101,S102の処理、
図13のS207,S209の処理を省略し、ユーザが、判定結果等を通信端末1030に手入力し、サーバ1010に送信するようにしてもよい。但し、上記形態のように、通信端末1030が、二次電池劣化判定処理が出力した二次元バーコードを画像読取部1031で読み取り、二次元バーコードから電池識別情報と判定結果を取得してサーバ1010に送信することで、ユーザが電池識別情報や判定結果を通信端末1030などに手入力する手間が軽減される。
【0120】
劣化判定ユニット3A~3Eの判定対象となる電池パックは、1種類でもよい。例えば、アダプタ33はなくてもよい。この場合、挿入穴29はなくてもよい。アダプタ33は、第2接続端子部37に固定されていてもよい。
【0121】
劣化判定ユニット3A~3Eは、装置本体2に固定されていてもよい。この場合、取付凹部211はなくてもよい。装置本体2は、蓋体23や表示部41や印刷装置5がなくてもよい。
【0122】
劣化判定ユニット3A~3Eにそれぞれ設けたコントローラ40を省略し、装置本体2側に設けたコントローラに劣化判定ユニット3A~3Eを接続し、コントローラを共有させてもよい。
【0123】
例えば、劣化判定ユニット3の収容カセット31に、印刷指示を受け付けるためのボタンである印刷実行ボタンを設け、印刷実行ボタンが押下された場合には、コントローラ40が電池パックの識別番号と劣化判定の判定結果とを含む印刷データを印刷装置5に送信し、印刷実行ボタンが押下されない場合には、コントローラ40が印刷データを印刷装置5に送信しないようにしてもよい。
【0124】
二次電池劣化判定装置1、1xが表示部41に表示させたり、印刷装置5によって記録用紙8に印刷させたりした電池識別情報と判定結果を、ユーザが通信端末1030に手入力し、通信端末1030からネットワーク1020を介してサーバ1010に送信してもよい。
【0125】
通信端末1030は画像読取部1031がなくてもよい。劣化判定ユニット3は、閾値記憶部1043を備えなくてもよい。閾値書換プログラム1041は、電池パックの制御基板に記憶されている閾値を書き換えてもよい。
【0126】
図7、
図12、
図13に示す制御手順は、処理に矛盾がない範囲で、適宜順番を入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1、1x 二次電池劣化判定装置
3、30 劣化判定ユニット
11 第1電池パック
113 第1二次電池
133 第2二次電池