(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】吸排気弁ユニット
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20231226BHJP
F16K 24/00 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
F16K27/00 C
F16K24/00 R
F16K24/00 U
(21)【出願番号】P 2020076592
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】竹田 優一
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-056439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00
F16K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸排気弁を備え、立て管とドレン管との間に設置される吸排気弁ユニットにおいて、
前記立て管に接続される止水栓と、
前記ドレン管に接続される管部材と、
前記止水栓と前記吸排気弁とを着脱可能に接続する第1接続機構と、
前記吸排気弁と前記管部材とを着脱可能に接続する第2接続機構と、
を有
し、
前記止水栓は、前記吸排気弁が接続される止水栓二次側管部分、を備え、
前記吸排気弁は、前記止水栓二次側管部分に接続される吸排気弁一次側管部分、を備え、
前記吸排気弁一次側管部分は、先端側から順番に、前記止水栓二次側管部分に挿入可能な挿入筒部と、外周側に広がる吸排気弁フランジ部と、を備え、
前記止水栓二次側管部分は、先端に、外周側に広がる止水栓フランジ部を備え、
前記第1接続機構は、前記挿入筒部が前記止水栓二次側管部分に挿入されて吸排気弁フランジ部と前記止水栓フランジ部とが当接した状態とされたときに、前記吸排気弁フランジ部および前記止水栓フランジ部に係止されて当該吸排気弁フランジ部および当該止水栓フランジ部を当接した状態に維持する係止部材を備えることを特徴とする吸排気弁ユニット。
【請求項2】
前記挿入筒部には、環状溝が設けられており、
前記吸排気弁は、前記環状溝に取り付けられたOリングを備えることを特徴とする請求項
1に記載の吸排気弁ユニット。
【請求項3】
前記立て管は、樹脂製であり、
前記止水栓は、前記立て管に接続される止水栓一次側管部分を備え、
前記止水栓一次側管部分には、樹脂管用継手が設けられていることを特徴とする請求項
1または2に記載の吸排気弁ユニット。
【請求項4】
前記止水栓一次側管部分は、先端側から順番に、前記樹脂管用継手と、配管用の支持金具を巻き付け可能な巻き付け部と、を備えることを特徴とする請求項
3に記載の吸排気弁ユニット。
【請求項5】
前記止水栓は、ボールバルブであることを特徴とする請求項1から
4のうちのいずれか一項に記載の吸排気弁ユニット。
【請求項6】
前記吸排気弁は、前記管部材が接続される吸排気弁二次側管部分、を備え、
前記吸排気弁二次側管部分は、先端部分に雄ねじを備え、
前記管部材は、管本体部と、前記管本体部の一方側の端に設けられた管部材フランジ部と、
前記管本体部の他方側に設けられて前記ドレン管が接続される接続部と、を備え、
前記第2接続機構は、パッキンと、袋ナットと、を備え、
前記パッキンは、前記管部材と、前記吸排気弁二次側管部分との間に配置され、
前記袋ナットは、前記雄ねじに螺合可能な雌ねじを備えるナット部と、前記管部材フランジ部に係止される袋部と、を備えることを特徴とする請求項1から
5のうちのいずれか一項に記載の吸排気弁ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水用の立て管の最頂部に取り付けられる吸排気弁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルやマンションなどの給水系では給水用の立て管の最頂部に吸排気弁が取り付けられている。吸排気弁は、断水などにより給水圧力が低下した場合に、吸排気口から吸気を行って立て管内の負圧を解消して、各戸の末端の給水用具から立て管へ水が逆流することを防止する。また、吸排気弁は、給水用の立て管内が充水される場合に、吸排気口から排気を行って立て管内の空気を排出する。吸排気弁の吸排気口にはドレン管が接続されており、吸排気口から水が流出する場合に、その水をドレン管に排出する。
【0003】
このような吸排気弁は、特許文献1に記載されている。同文献の吸排気弁は、立て管に接続される筒状本体と、筒状本体の上部に螺合装着される筒状のキャップと、キャップに装着された吸排気管と、を備える。吸排気管の先端は、吸排気口であり、ドレン管に接続される。筒状本体は、内側に、主弁孔を開閉する浮動弁と、浮動弁の下方に収容されたフロートと、フロートの上下運動に連動して浮動弁に設けられた副弁孔を開閉する連結レバーと、を備える。筒状本体は、立て管に接続するための管用テーパ雄ねじを備える。排気管は、ドレン管を接続するための管用テーパ雌ねじを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
立て管から吸排気弁に侵入した異物が、副弁孔と、副弁孔を開閉する開閉部材との間に噛み込まれた状態となると、副弁孔を封鎖できなくなる。この結果、立て管内の水は、副弁孔、主弁孔を介して吸排気口から流れ出して、止まらなくなる。このような場合には、異物を排除するために、吸排気弁の内部を洗浄しなければならない。
【0006】
ここで、立て管と吸排気弁とはテーパねじ機構により接続される。また、テーパねじ機構により接続される部分には、シール剤の塗布やシールテープが巻かれて締結される。従って、一旦接続された立て管と吸排気弁とを分離することは難しい。同様に、吸排気弁とドレン管とは、テーパねじ機構により接続される。また、テーパねじ機構により接続される部分には、シール剤の塗布やシールテープが巻かれて締結される。従って、一旦接続された吸排気弁とドレン管とを分離することは難しい。
【0007】
このため、吸排気弁の内部を洗浄する際には、まず、ドレン管を、その配管の途中で切断する。次に、キャップを筒状本体から取り外し、筒状本体と、キャップおよび排気管とを分離する。その後、浮動弁や開閉部材などを筒状本体から外部に取り出して、これらを洗浄する。また、筒状本体の内部を洗浄する。筒状本体の内部の洗浄は、筒状本体が立て管に接続された状態で行われる。洗浄作業が終了した後には、取り出した部材を筒状本体に戻し、筒状本体にキャップおよび吸排気管を取り付ける。また、切断により分割されたドレン管を、ソケットを用いて接続して一体とする。
【0008】
ここで、立て管の最頂部分やドレン管は、一般的に、電気メーター、情報系統の配線、給湯器、ガスメーターなどが設置されたパイプシャフト内に配管される。従って、吸排気
弁の洗浄作業は、パイプシャフト内の比較的狭いスペースでの作業となる。よって、立て管に取り付けられた吸排気弁に対して分解や洗浄などのメンテナンスを行うことは容易ではないという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、立て管に取り付けられた後に吸排気弁のメンテナンスを容易に行うことができる吸排気弁ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、吸排気弁を備え、立て管とドレン管との間に設置される吸排気弁ユニットにおいて、前記立て管に接続される止水栓と、前記ドレン管に接続される管部材と、前記止水栓と前記吸排気弁とを着脱可能に接続する第1接続機構と、前記吸排気弁と前記管部材とを着脱可能に接続する第2接続機構と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の吸排気弁ユニットは、吸排気弁と立て管との間に止水栓を備える。従って、吸排気弁のメンテナンスを行う際には、止水栓を操作することにより、立て管の側から吸排気弁の側に水が流入することを防止できる。また、吸排気弁は、第1接続機構によって、止水栓に着脱可能に接続される。さらに、吸排気弁は、第2接続機構によって、ドレン管に接続された管部材に着脱可能に接続される。従って、吸排気弁をメンテナンスする際には、吸排気弁を、止水栓と管部材との間から取り外すことができる。例えば、立て管の最頂部分やドレン管がパイプシャフト内の狭いスペースに配管されている場合であっても、吸排気弁を、パイプシャフトの外に持ち出して、分解し、洗浄することができる。よって、吸排気弁ユニットを立て管に取り付けた後でも、吸排気弁のメンテナンスが容易である。
【0012】
また、本発明は、前記止水栓は、前記吸排気弁が接続される止水栓二次側管部分、を備え、前記吸排気弁は、前記止水栓二次側管部分に接続される吸排気弁一次側管部分、を備え、前記吸排気弁一次側管部分は、先端側から順番に、前記止水栓二次側管部分に挿入可能な挿入筒部と、外周側に広がる吸排気弁フランジ部と、を備え、前記止水栓二次側管部分は、先端に、外周側に広がる止水栓フランジ部を備え、前記第1接続機構は、前記挿入筒部が前記止水栓二次側管部分に挿入されて吸排気弁フランジ部と前記止水栓フランジ部とが当接した状態とされたときに、前記吸排気弁フランジ部および前記止水栓フランジ部に係止されて当該吸排気弁フランジ部および当該止水栓フランジ部を当接した状態に維持する係止部材を備えることを特徴とする。このようにすれば、係止部材による係止の解除によって、止水栓と吸排気弁との接続を解除できる。
【0013】
本発明において、前記挿入筒部には、環状溝が設けられており、前記吸排気弁は、前記環状溝に取り付けられたOリングを備えるものとすることができる。このようにすれば、止水栓と吸排気弁が着脱可能に接続される部分から水漏れが発生することを防止できる。
【0014】
本発明において、前記立て管は、樹脂製であり、前記止水栓は、前記立て管に接続される止水栓一次側管部分を備え、前記止水栓一次側管部分には、樹脂管用継手が設けられているものとすることができる。従って、止水栓の立て管への接続が容易である。ここで、立て管がポリエチレン製などの樹脂製である場合には、立て管を切断したときに発生する切粉が静電気で立て管内に付着する。従って、竣工前に立て管を洗浄しても、立て管内から切粉を排出しきれていない場合がある。よって、立て管が樹脂製の場合には、吸排気弁に侵入した切粉に起因して、吸排気弁からの水の流出が発生しやすいという問題がある。このような問題に対して、本発明では、吸排気弁の取り外しが容易なので、吸排気弁を洗浄して、水の流出を止めることが容易である。また、立て管が樹脂製である場合には、立て管の最頂部に重量の大きい部材を取り付けると、立て管に撓みなどが発生しやすくなる
という問題がある。このような問題に対して、止水栓は、止水栓一次側管部分に樹脂管用継手を備える。すなわち、止水栓には、樹脂管用継手が一体に設けられている。従って、例えば、吸排気弁ユニットが、止水栓と、止水栓とは別体の樹脂管用管継手と、を備え、止水栓が樹脂管用管継手を介して立て管に接続される場合と比較して、立て管の最頂部にかかる荷重を抑制できる。また、止水栓が樹脂管用継手を備えていれば、吸排気弁ユニットが、止水栓と、止水栓とは別体の樹脂管用管継手と、を備える場合と比較して、吸排気弁ユニットの上下方向の寸法を抑制できる。従って、パイプシャフト内などの限られたスペース内に、吸排気弁ユニットを設置することが容易となる。
【0015】
本発明において、前記止水栓一次側管部分は、先端側から順番に、前記樹脂管用継手と、配管用の支持金具を巻き付け可能な巻き付け部と、を備えることが望ましい。このようにすれば、立て管の最頂部に吸排気弁ユニットを設置したときに、止水栓一次側管部分に支持金具を巻き付けて、この支持金具をシャフトパイプの壁面などに固定することができる。これにより、吸排気弁ユニットを支持金具によって支持できるので、吸排気弁ユニットの重量に起因して、立て管に撓みなどが発生することを防止或いは抑制できる。また、このようにすれば、止水栓から吸排気弁を取り外す際などに立て管に負荷がかかった場合でも、立て管が撓むことを防止できる。
【0016】
ここで、吸排気弁の一次側には、ゲートバルブが配置されることが一般的である。しかし、本発明では、前記止水栓は、ボールバルブとすることが望ましい。すなわち、ゲートバルブでは、バルブを開状態から閉状態にする間に操作ハンドルを、複数回、回転させる必要がある。これに対して、ボールバルブは、操作ハンドルを90°回転させることによりバルブを開状態から閉状態に移行させることができる。このように、ボールバルブは、バルブ開閉時に操作ハンドルを回転させる操作角度が小さいので、止水操作が容易であり、吸排気弁の取り外し作業が容易となる。また、パイプシャフト内などの比較的狭いスペース内で止水操作を行う場合に、操作性が低下することを抑制できる。さらに、ボールバルブは、構造上、ゲートバルブと比較して、操作ハンドルの回転軸に沿った方向の寸法が短い。従って、ボールバルブを止水栓とすれば、パイプシャフト内などの限られたスペース内に、吸排気弁ユニットを設置することが容易となる。
【0017】
本発明において、前記吸排気弁は、前記管部材が接続される吸排気弁二次側管部分、を備え、前記吸排気弁二次側管部分は、先端部分に雄ねじを備え、前記管部材は、管本体部と、前記管本体部の一方側の端に設けられた管部材フランジ部と、前記管本体部の他方側に設けられて前記ドレン管が接続される接続部と、を備え、前記第2接続機構は、パッキンと、袋ナットと、を備え、前記パッキンは、前記管部材と、前記吸排気弁二次側管部分との間に配置され、前記袋ナットは、前記雄ねじに螺合可能な雌ねじを備えるナット部と、前記管部材フランジ部に係止される袋部と、を備えることが望ましい。このような構成では、吸排気弁の吸排気弁二次側管部分に捩じ込まれる袋ナットにより、ドレン管に接続される管部材と吸排気弁とを接続する。従って、吸排気弁二次側管部分から袋ナットを取り外せば、ドレン管を切断することなく、吸排気弁を取り外すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の吸排気弁ユニットでは、吸排気弁ユニットを立て管に取り付けた後でも、吸排気弁を取り外すことが容易である。従って、吸排気弁のメンテナンスが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を適用した吸排気弁ユニットの設置状態の説明図である。
【
図5】止水栓と吸排気弁とを接続する係止部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態である吸排気弁ユニットを説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、吸排気弁ユニットの設置状態の説明図である。
図2は、吸排気弁ユニットの説明図である。
図1、
図2では、吸排気弁を断面図で示す。また、
図1、
図2では、止水栓および管部材の一部分を断面図で示す。
図3は、止水栓の分解斜視図である。
図3では、止水栓を吸排気弁が接続される側から見ている。
図4は、吸排気弁の分解断面図である。
図5は、止水栓と吸排気弁とを接続する係止部材の斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本例の吸排気弁ユニット1は、ビルやマンションなどの建造物の給水用の立て管2の最頂部に取り付けられる。立て管2は、樹脂製であり、本例ではポリエチレン製である。吸排気弁ユニット1は、立て管2の側から順番に、止水栓5と、吸排気弁6と、管部材7と、を有する。また、吸排気弁ユニット1は、止水栓5と吸排気弁6とを着脱可能に接続する第1接続機構8と、吸排気弁6と管部材7とを着脱可能に接続する第2接続機構9と、を有する。管部材7は、立て管2の側方に設けられたドレン管3に接続される。
【0023】
ここで、建造物には、電気メーター、情報系統の配線、給湯器、ガスメーターなどが設置されたパイプシャフト(不図示)が設けられている。立て管2から吸排気弁ユニット1を経由してドレン管3に至る配管は、パイプシャフト内の比較的狭いスペースに構成されている。立て管2に取り付けられた吸排気弁ユニット1は、止水栓に巻き付けられた支持金具4aを介して、パイプシャフトの壁面などに支持される。また、ドレン管3は、支持金具4bにより、パイプシャフトの壁面などに支持される。以下の説明では、吸排気弁ユニット1の上下方向Xを、立て管2に接続された姿勢で説明する。上下方向Xは、立て管2の管軸Lに沿った方向である。
【0024】
(止水栓)
止水栓5は、ボールバルブである。
図2に示すように、止水栓5は、内部に弁室11を備える止水栓本体部分12と、止水栓本体部分12から下方X1に延びる止水栓一次側管部分13と、止水栓本体部分12から上方X2に延びる止水栓二次側管部分14と、を備える。止水栓一次側管部分13および止水栓二次側管部分14は、弁室11に連通する。また、止水栓5は、弁室11内に固定された一次側弁座16および二次側弁座17と、弁室11内に配置されたボール弁体18と、止水栓本体部分12の側方に配置された操作ハンドル19と、止水栓本体部分12を貫通してボール弁体18と操作ハンドル19とを接続する接続軸20と、を備える。
【0025】
一次側弁座16は、弁室11において、止水栓一次側管部分13と連通する下側部分に固定されている。二次側弁座17は、弁室11において、止水栓二次側管部分14と連通する上側部分に固定されている。ボール弁体18は、一次側弁座16と二次側弁座17との間に配置されて一次側弁座16および二次側弁座17に当接する。接続軸20は上下方向Xと直交する直交方向Yに延びる。接続軸20は、止水栓本体部分12に回転可能に支持されている。操作ハンドル19は、接続軸20に同軸に固定されている。操作ハンドル19は、直交方向Yに延びる回転軸L0回りに回転する。
【0026】
図1、
図2に示す状態では、止水栓5は開状態である。すなわち、
図1、
図2に示す状
態では、ボール弁体18に設けられた連通孔21が上下方向Xに延びて止水栓一次側管部分13と止水栓二次側管部分14とを連通させている。この状態から操作ハンドル19を、90°回転させると、止水栓5は閉状態となる(
図7参照)。
【0027】
図1に示すように、止水栓一次側管部分13は、先端側から順番に、樹脂管用継手22と、配管用の支持金具4aを巻き付け可能な巻き付け部23と、を備える。より具体的には、
図2に示すように、止水栓一次側管部分13は、止水栓本体部分12から下方X1に延びる一次側管部25と、パッキン26と、座金27と、ロックリング28と、袋ナット29と、を備える。一次側管部25は、上下方向Xの途中に外周側に突出する環状突部30を備える。また、一次側管部25は、一次側管部25の下端部分に雄ねじ25aを備える。一次側管部25の内周面において環状突部30よりも下方X1に位置する内周面部分には、下端縁から上方X2に延びる環状の切欠き凹部31が設けられている。これにより、一次側管部25の先端部分は、肉薄となっている。一次側管部25の内周面において環状突部30よりも上方X1には、内周側に突出する環状壁部32が設けられている。
【0028】
パッキン26は、切欠き凹部31の内周側に保持されている。座金27は、
図3に示すように、環状板部33と、環状板部33の下端から外周側に屈曲する環状屈曲部34と、を備える。環状板部33は、下方X1から切欠き凹部31に挿入される。環状板部33の上端はパッキン26に当接可能である。環状屈曲部34は、下方X1から一次側管部25の下端面に当接可能である。
【0029】
図3に示すように、ロックリング28は、円環状の部材の周方向の一部分を切除した円弧形状の部材である。ロックリング28は、270°以上の角度範囲に渡って延びている。ロックリング28は、外周面に、下方X1に向かって内周側に傾斜するテーパ面部分28aを備える。また、
図2、
図3に示すように、ロックリング28は、内周面に、楔形状の環状突起28bを複数備える。袋ナット29は、雌ねじ37aを有するナット部37とナット部37から下方X1に延びる延設部38と、を備える。ナット部37は、雌ねじ37aが一次側管部25の雄ねじ25aに捩じ込まれる。延設部38は、ロックリング28の外周側に位置する。
【0030】
ここで、
図1、
図2に示すように、樹脂管用継手22は、止水栓一次側管部分13における環状突部30から下側の部分である。巻き付け部23は、止水栓一次側管部分13における環状突部30よりも上方X2の部分である。すなわち、巻き付け部23は、環状突部30と止水栓本体部分12との間である。
【0031】
図2に示すように、立て管2に止水栓5を接続する際には、まず、止水栓一次側管部分13に立て管2の最頂部を挿入する。すなわち、立て管2の最頂部を、袋ナット29、ロックリング28、座金27、パッキン26、および一次側管部25の内周側に挿入する。そして、立て管2の先端を、環状壁部32に当接させる。
【0032】
ここで、ロックリング28の内径は、立て管2の外径よりも小さい。従って、立て管2がロックリング28を貫通すると、ロックリング28は拡径する。また、ロックリング28は、その弾性復帰力により、楔形状の環状突起28bを立て管2の外周面に係止させる。
【0033】
次に、袋ナット29を一次側管部25に捩じ込むと、座金27は、環状板部33の上端がパッキン26に当接し、環状屈曲部34が一次側管部25の下端面に当接する。これにより、パッキン26が弾性変形した状態で立て管2の外周面に密着する。よって、立て管2と止水栓5との間が止水される。
【0034】
ここで、立て管2に止水栓5を接続した状態で、立て管2および吸排気弁ユニット1に水圧がかかると、樹脂管用継手22には、立て管2と吸排気弁ユニット1とを離間させる方向の力がかかる。これにより、ロックリング28の外周面のテーパ面部分28aが袋ナット29の延設部38に強く当たるので、ロックリング28が縮径する。この結果、ロックリング28の楔形状の環状突起28bが立て管2の外周面に深く食い込むので、立て管2と吸排気弁ユニット1との接続が解除されることはない。
【0035】
次に、止水栓二次側管部分14は、止水栓本体部分12から上方X2に延びる二次側管部40と、二次側管部40の上端から外周側に広がる環状の止水栓フランジ部41と、を備える。
【0036】
(吸排気弁)
図2に示すように、吸排気弁6は、内部に弁室51を備える吸排気弁本体部分52と、吸排気弁本体部分52から下方X1に延びる吸排気弁一次側管部分53と、吸排気弁本体部分52から直交方向Yの一方側に延びる吸排気弁二次側管部分54と、を備える。吸排気弁一次側管部分53は弁室51の底部分に連通する。吸排気弁二次側管部分54の先端は、吸排気口54aである。吸排気弁二次側管部分54は、吸排気弁本体部分52の内部に設けられた内部流路55を介して、弁室51の天井部に設けられた空気口56に連通する。また、吸排気弁6は、空気口56を囲む弁座60と、弁室51内に配置されたバケット61、遊動弁体62、およびフロート弁体63と、を備える。
【0037】
図4に示すように、バケット61は、輪郭形状が円形の底部65と、底部65の外周縁から上方X2に延びる筒部66と、を備える。底部65および筒部66には、複数の開口が設けられている。筒部66は、上端に、弁室51の上端部分に固定されるバケットフランジ部67を備える。バケットフランジ部67は、後述するハウジング部材81とボンネット部材82との間に挟まれている。
【0038】
図2に示すように、遊動弁体62は、バケット61の内側に収容されている。
図4に示すように、遊動弁体62は、円盤状の弁部71と、弁部71の外周縁から下方X1に延びるスカート部72と、を備える。弁部71は空気口56よりも大径であり、弁座60に当接可能である。弁部71には、空気口56に対向する位置に上下方向Xに貫通する副空気口73が設けられている。副空気口73の内径は、空気口56の内径と比較して、小さい。弁部71の下面における副空気口73の開口縁部分には円環状のフロート弁体用弁座74が取り付けられている。また、弁部71には、弁部71とフロート弁体63の間の隙間を調節するためのスペーサー75が取り付けられている。
【0039】
フロート弁体63は、遊動弁体62の弁部の下方X1であって、スカート部72の内側に収容されている。フロート弁体63は、バケット61の底部65に乗せられている。フロート弁体63は、全体として直方体形状をしており、上方X2に向って外側に広がっている。
【0040】
吸排気弁一次側管部分53は、先端側(下端側)から順番に、止水栓二次側管部分14に挿入可能な挿入筒部76と、外周側に広がる吸排気弁フランジ部77と、を備える。挿入筒部76には、上下方向Xで離間する2か所に、環状溝78が、並列に設けられている。各環状溝78には、それぞれOリング79が取り付けられている。吸排気弁二次側管部分54は、先端部分に雄ねじ54bを備える。
【0041】
ここで、吸排気弁6は、吸排気弁一次側管部分53を備えるハウジング部材81と、ハウジング部材81に上方X2から被せられた環状のボンネット部材82と、空気口56を区画する空気口構成部材83と、空気口構成部材83をボンネット部材82に固定する固
定部材84と、吸排気弁二次側管部分54を備える流路構成部材85と、を有する。
【0042】
ハウジング部材81は、吸排気弁一次側管部分53と、吸排気弁一次側管部分53の上端部分から外周側に向かって上方X2に延びる環状底部分87と、環状底部分87の外周側の端縁から上方X2に延びる筒状胴部分88と、を備える。筒状胴部分88の上端部分の外周面には雄ねじ81aが設けられている。ボンネット部材82は、筒部90と、筒部90の上端縁から内周側に延びる環状板部91と、環状板部91にける径方向の途中から上方X2に突出する環状突部92を備える。筒部90の内周面には、筒状胴部分88の雄ねじ81aに螺合する外周側雌ねじ90aが設けられている。環状突部92の内周面には内周側雌ねじ92aが設けられている。
【0043】
ボンネット部材82とハウジング部材81とは、ボンネット部材82の外周側雌ねじ90aに、ハウジング部材81の雄ねじ81aが捩じ込まれることにより、一体とされる。ボンネット部材82の筒部90とハウジング部材81の筒状胴部分88の間には、大径Oリング93が挿入されている。
【0044】
空気口構成部材83は、筒状の空気口構成部95と、空気口構成部95の上端縁から外周側に広がる環状のフランジ部96と、を備える。空気口構成部95はボンネット部材82(環状板部91)の中心孔に挿入されている。フランジ部96は環状板部91における環状突部92の内周側に乗せられている。ボンネット部材82と空気口構成部材83との間には、パッキン26が挟まれている。
【0045】
固定部材84は、空気口構成部材83のフランジ部96に上方X2から当接する環状の当接板部97、当接板部97の外周縁から上方X2に延びる環状壁部98、および、環状壁部98の上端縁から外周側に突出する環状の側方突部99を備える。環状壁部98の外周面には、ボンネット部材82の環状突部92の内周側雌ねじ92aと螺合可能な雄ねじ98aが設けられている。固定部材84は、環状壁部98が環状突部92の内周側に捩じ込まれ、側方突部99が環状突部92の上端面に当接した状態でボンネット部材82に固定される。これにより、空気口構成部材83は、ボンネット部材82との間にパッキン26を挟んだ状態で、ボンネット部材82に固定される。パッキン26は、空気口構成部材83の空気口構成部95と、ボンネット部材82の環状板部91の内周端との間から弁室51内に突出する突出部分を備える。突出部分は、弁座60である。
【0046】
次に、流路構成部材85は、ボンネット部材82の環状突部92の外周側に位置する筒部101と、筒部101の上方X2で直交方向Yに延びる管部102と、筒部101と管部102との間を接続する流路構成部103と、を備える。管部102は、先端に雄ねじ54bを備える。管部102は、吸排気弁二次側管部分54である。
【0047】
ここで、ハウジング部材81、ボンネット部材82および空気口構成部材83により囲まれた空間は弁室51である。弁室51内には、バケット61、フロート弁体63、および、遊動弁体62が収容されている。
【0048】
(管部材)
図2に示すように、管部材7は、管本体部111と、管本体部111の一方側の端から外周側に広がる管部材フランジ部112と、管本体部111の他方側に設けられた接続部113と、を備える。接続部113は、ドレン管3の先端部分に挿入される。接続部113とドレン管3とは、接着により、固定される。
【0049】
(第1接続機構)
図1、
図2に示すように、止水栓5と吸排気弁6とを接続する第1接続機構8は、係止
部材115を備える。
図5に示すように、係止部材115は、管接続用のジョイントクリップであり、板バネからなる。本例のジョイントクリップは、市販品である。係止部材115は、第1板部116と、第1板部116と対向する第2板部117と、第1板部116の一方端と第2板部117の一方端とを接続する接続板部118と、を備える。上下方向Xから見た場合に、第1板部116と第2板部117とは、対称な形状を備える。
【0050】
第1板部116は、接続板部118から垂直に延びる第1板部第1板部分116aと、第1板部第1板部分116aの接続板部118とは反対側の端から第2板部117の位置する側とは反対側に向かって接続板部118から離間する方向に延びる第1板部第1傾斜板部分116bと、第1板部第1傾斜板部分116bの第1板部第1板部分116aとは反対側の端から第2板部117の位置する側に向かって接続板部118から離間する方向に延びる第1板部第2傾斜板部分116cと、第1板部第2傾斜板部分116cの第1板部第1傾斜板部分116bとは反対側の端から第2板部117と離間する方向に向かって接続板部118から離間する方向に延びる第1板部第3傾斜板部分116dとを備える。第2板部117は、接続板部118から第1板部第1板部分116aと平行に延びる第2板部第1板部分117aと、第2板部第1板部分117aの接続板部118とは反対側の端から第1板部116の位置する側とは反対側に向かって接続板部118から離間する方向に延びる第2板部第1傾斜板部分117bと、第2板部第1傾斜板部分117bの第2板部第1板部分117aとは反対側の端から第1板部116の位置する側に向かって接続板部118から離間する方向に延びる第2板部第2傾斜板部分117cと、第2板部第2傾斜板部分117cの第2板部第1傾斜板部分117bとは反対側の端から第1板部116と離間する方向に向かって接続板部118から離間する方向に延びる第2板部第3傾斜板部分117dとを備える。
【0051】
また、係止部材115は、第1板部第1板部分116aから第1板部第1傾斜板部分116bに至る第1板部第1開口部121と、第1板部第2傾斜板部分116cから第1板部第3傾斜板部分116dに至る第1板部第2開口部122と、を備える。さらに、係止部材115は、第2板部第1板部分117aから第2板部第1傾斜板部分117bに至る第2板部第1開口部123と、第2板部第2傾斜板部分117cから第2板部第3傾斜板部分117dに至る第2板部第2開口部124と、を備える。上下方向Xにおける第1板部第1開口部121、第1板部第2開口部122、第2板部第1開口部123、および第2板部第2開口部124のそれぞれの寸法は、吸排気弁フランジ部77の厚み寸法と止水栓フランジ部41の厚み寸法とを合計した合計寸法と同一である。
【0052】
止水栓5と吸排気弁6とを接続する際には、
図2に示すように、止水栓二次側管部分14に、吸排気弁一次側管部分53の挿入筒部76を挿入して、吸排気弁フランジ部77と止水栓フランジ部41とを当接させた状態とする。ここで、止水栓二次側管部分14に挿入筒部76を挿入すると、2本のOリング79が、止水栓二次側管部分14と挿入筒部76との間に介在して、止水栓5と吸排気弁6との間を液密に封止する。
【0053】
次に、係止部材115の第1板部116と第2板部117とを互いに離間する方向に撓ませて、止水栓二次側管部分14と吸排気弁一次側管部分53との接続部分を第1板部116と第2板部117との間に挿入する。そして、当接した状態の吸排気弁フランジ部77および止水栓フランジ部41の周方向の4か所を、係止部材115の第1板部第1開口部121、第1板部第2開口部122、第2板部第1開口部123、および第2板部第2開口部124に挿入し、それら4か所の外周縁部分を、各開口部121~124から外周側に突出させる。これにより、止水栓5と吸排気弁6との接続は完了する。
【0054】
ここで、係止部材115は作業者が手で撓ませることができる。従って、作業者は、係止部材115を止水栓二次側管部分14と吸排気弁一次側管部分53との接続部分に装着
する作業を、工具を使用せずに、手で行うことができる。また、作業者は、係止部材115を止水栓二次側管部分14と吸排気弁一次側管部分53との接続部分から取り外す際にも、手で行うことができる。
【0055】
(第2接続機構)
図2に示すように、吸排気弁6と管部材7とを接続する第2接続機構9は、パッキン131と、袋ナット132と、を備える。パッキン131は、管部材7と、吸排気弁二次側管部分54との間に配置される。袋ナット132は、予め、管部材7に支持された状態とされている。すなわち、管部材7とドレン管3とを接続する際に、管部材7は、袋ナット132を貫通した状態で、ドレン管3に接続される。
【0056】
袋ナット132は、吸排気弁二次側管部分54の雄ねじ54bに螺合可能な雌ねじ132aを備えるナット部133と、管部材フランジ部112に係止可能な袋部134と、を備える。従って、袋ナット132のナット部133を吸排気弁二次側管部分54に捩じ込むことにより、吸排気弁6と管部材7とを接続できる。
【0057】
ここで、吸排気弁6と管部材7との接続部分は、水圧がかかる部分ではない。従って、吸排気弁6と管部材7とを接続する際には、作業者は、工具を使用せずに、手で袋ナット132を締め付ければよい。よって、袋ナット132を吸排気弁二次側管部分54から外す作業も、作業者は、手で行うことができる。
【0058】
(吸排気動作)
図6は吸排気弁6による吸排気動作の説明図である。
図6を参照して吸排気弁6による吸排気動作を説明する。まず、通水時において立て管2内の水位が所定以上となるまでは、
図6(a)に示すように、フロート弁体63および遊動弁体62は自重によってバケット61の底部65に重なった状態で載っている。これにより、遊動弁体62は弁座60から下方X1に離間し、空気口56は開状態となる。また、フロート弁体63と遊動弁体62とが重なることにより、フロート弁体63はフロート弁体用弁座74に当接し、副空気口73は閉状態となる。立て管2内の空気は、吸排気弁一次側管部分53から、弁室51、空気口56を介して吸排気口54aから排出される。
【0059】
立て管2内の水位が上昇して吸排気弁6内に達すると、フロート弁体63は水面の上昇とともに浮上する。また、フロート弁体63の浮上により、遊動弁体62が上方X2に移動する。その後、水位の上昇と、弁室51と空気口56との圧力差により、遊動弁体62は弁座60に当接し、これにより空気口56を封鎖する。なお、この間は、フロート弁体63は遊動弁体62と当接した状態で上昇する。従って、副空気口73は閉状態に維持される。
【0060】
その後、水に混入した空気が弁室51内に溜まると、水面は下がる。このような状態となると、
図6(b)に示すように、遊動弁体62は空気口56を閉状態に維持しながら、フロート弁体63は傾いて副空気口73を開く。これにより、副空気口73から空気が排気されるので、立て管2の内部空気が排出される。立て管2の内部空気が排出されると、水面が上昇するので、フロート弁体63は上昇して副空気口73を閉じる。このような副空気口73を開閉する動作が繰り返されることにより、脈動や腐食などの要因となる空気を立て管2の内部から自動的に排出する。
【0061】
ここで、断水などにより給水圧力が低下すると、水面が下降するとともに、立て管2内に負圧が発生する。この場合、水面の下降に伴ってフロート弁体63が下降するとともに、負圧による吸引力により遊動弁体62が下降する。この結果、
図6(c)に示すように、遊動弁体62およびフロート弁体63はバケット61の底部65に重ねられて載置され
た状態となる。これにより、空気口56が開放されるので、吸排気弁6による吸気が行われ、立て管2内に空気が供給される。従って、負圧によって各戸末端の給水用具から立て管2へ水が逆流することを防止できる。
【0062】
(吸排気弁のメンテナンス)
図7は、吸排気弁を取り外した状態の説明図である。本例では、立て管2が樹脂製である。従って、施工時などに立て管2を切断したときに発生した切粉が静電気で立て管2内に付着していることがある。また、竣工前に立て管2を洗浄しても、立て管2内から切粉を排出しきれていない場合がある。よって、立て管2が樹脂製の場合には、吸排気弁6に侵入した切粉に起因して、吸排気弁6からの水の流出が発生しやすいという問題がある。
【0063】
ここで、立て管2から吸排気弁6に侵入した異物が、遊動弁体62に設けられた副空気口73と副空気口73を開閉するフロート弁体63との間、すなわち、
図6(b)の点線で示す領域Aに挟みこまれて排除できなくなると、副空気口73を封鎖できなくなる。この結果、立て管2内の水は、副空気口73、空気口56を介して吸排気口54aから流れ出して、止まらなくなる。このような場合には、異物を排除するために、吸排気弁の内部を洗浄しなければならない。
【0064】
吸排気弁6に、洗浄などのメンテナンスが必要な場合には、
図7に示すように、まず、止水栓5を操作して、立て管2の側から吸排気弁6の側に水が流入することを防止する。次に、立て管2とドレン管3との間に設置された吸排気弁ユニット1から、吸排気弁6を取り外す。すなわち、袋ナット132を回転させて、吸排気弁二次側管部分54から取り外す。これにより、吸排気弁6と管部材7との接続を解除する。
【0065】
また、係止部材115の第1板部116と第2板部117とを互いに離間する方向に撓ませて、止水栓二次側管部分14と吸排気弁一次側管部分53との接続部分から、係止部材115を取り外す。これにより、止水栓5と吸排気弁6との接続を解除する。
【0066】
しかる後に、吸排気弁一次側管部分53の挿入筒部76を止水栓二次側管部分14から引き抜く。これにより、吸排気弁ユニット1から、吸排気弁6を取り外す。
【0067】
その後は、吸排気弁6をパイプシャフトから外に持ち出して、吸排気弁6を分解し、洗浄する。ここで、吸排気弁6は、
図4に示すように、ハウジング部材81とボンネット部材82との螺合を解除することにより分解できる。分解後は、弁室51から、バケット61、遊動弁体62、およびフロート弁体63を、取り出して、これらを洗浄する。また、ハウジング部材81の内側を洗浄する。さらに、ボンネット部材82および流路構成部材85の内側を洗浄する。
【0068】
(作用効果)
本例の吸排気弁ユニット1は、吸排気弁6と立て管2との間に止水栓5を備える。従って、吸排気弁6のメンテナンスを行う際には、止水栓5を操作することにより、立て管2の側から吸排気弁6の側に水が流入することを防止できる。
【0069】
また、吸排気弁6は、第1接続機構8によって、止水栓5に着脱可能に接続される。さらに、吸排気弁6は、第2接続機構9によって、ドレン管3に接続された管部材7に着脱可能に接続される。従って、吸排気弁6をメンテナンスする際には、吸排気弁6を、止水栓5と管部材7との間から取り外すことができる。従って、立て管2の最頂部分やドレン管3がパイプシャフト内の狭いスペースに配管されていても、吸排気弁6を、パイプシャフトの外に持ち出して、分解し、洗浄することができる。よって、吸排気弁ユニット1を立て管2に取り付けた後でも、吸排気弁6のメンテナンスが容易である。
【0070】
また、止水栓5は、吸排気弁6が接続される止水栓二次側管部分14、を備え、吸排気弁6は、止水栓二次側管部分14に接続される吸排気弁一次側管部分53、を備える。吸排気弁一次側管部分53は、先端側から順番に、止水栓二次側管部分14に挿入可能な挿入筒部76と、外周側に広がる吸排気弁フランジ部77と、を備える。止水栓二次側管部分14は、先端に、外周側に広がる止水栓フランジ部41を備える。第1接続機構8は、挿入筒部76が止水栓二次側管部分14に挿入されて吸排気弁フランジ部77と止水栓フランジ部41とが当接した状態とされたときに、吸排気弁フランジ部77および止水栓フランジ部41に係止されて当該吸排気弁フランジ部77および当該止水栓フランジ部41を当接した状態に維持する係止部材115を備える。従って、係止部材115による係止の解除によって、止水栓5と吸排気弁6との接続を解除できる。
【0071】
ここで、係止部材115は、板バネからなる管用のジョイントクリップであり、手で撓ませることができる。よって、止水栓5と吸排気弁6との接続の解除が容易である。
【0072】
さらに、吸排気弁一次側管部分53は、挿入筒部76に環状溝78を備え、環状溝78にはOリング79が取り付けられている。従って、止水栓5と吸排気弁6が着脱可能に接続される部分から水漏れが発生することを防止できる。
【0073】
また、本例では、止水栓5は、立て管2に接続される止水栓一次側管部分13に、樹脂管用継手22を備える。従って、止水栓5の立て管2への接続が容易である。
【0074】
ここで、立て管2が樹脂製である場合には、立て管2の最頂部に重量の大きい部材を取り付けると、立て管2に撓みなどが発生しやすくなるという問題がある。このような問題に対して、止水栓5には、樹脂管用継手22が一体に設けられている。従って、例えば、吸排気弁ユニット1が、止水栓5と、止水栓5とは別体の樹脂管用管継手と、を備え、止水栓5が樹脂管用管継手を介して立て管2に接続される場合と比較して、立て管2の最頂部にかかる荷重を抑制できる。
【0075】
また、止水栓5が樹脂管用継手22を備えていれば、吸排気弁ユニット1が、止水栓5と、止水栓5とは別体の樹脂管用管継手と、を備える場合と比較して、吸排気弁ユニット1の上下方向Xの寸法を抑制できる。従って、パイプシャフト内などの限られたスペース内に、吸排気弁ユニット1を設置することが容易となる。
【0076】
さらに、止水栓一次側管部分13は、先端側から順番に、樹脂管用継手22と、配管用の支持金具4aを巻き付け可能な巻き付け部23と、を備える。従って、立て管2の最頂部に吸排気弁ユニット1を設置したときに、止水栓一次側管部分13に支持金具4aを巻き付けて、支持金具4aをパイプシャフトの壁面などに固定することができる。これにより、吸排気弁ユニット1を支持金具4aで支持できるので、吸排気弁ユニット1の重量に起因して、立て管2に撓みなどが発生することを防止或いは抑制できる。また、止水栓5を支持金具4aにより支持できるので、止水栓5から吸排気弁6を取り外す際などに立て管2に負荷がかかった場合でも、立て管2が撓むことを防止できる。
【0077】
ここで、一般的に、吸排気弁6の一次側にはゲートバルブが配置される。しかし、本例の吸排気弁ユニット1では、吸排気弁6の一次側に配置された止水栓5は、ボールバルブである。従って、止水操作が容易であり、吸排気弁6の取り外し作業が容易となる。すなわち、ゲートバルブでは、バルブを開状態から閉状態にする間に操作ハンドルを、複数回、回転させる必要がある。これに対して、ボールバルブは、操作ハンドル19を90°回転させることによりバルブを開状態から閉状態に移行させることができる。このように、ボールバルブは、バルブ開閉時に操作ハンドル19を回転させる操作角度が小さいので、
止水操作が容易であり、吸排気弁の取り外し作業が容易となる。また、パイプシャフト内などの比較的狭いスペース内で止水操作を行う場合に、操作性が低下することを抑制できる。
【0078】
さらに、ボールバルブは、構造上、ゲートバルブと比較して、操作ハンドル19の回転軸L0に沿った方向の寸法が短い。すなわち、ゲートバルブは、バルブを開く際に、ねじ機構によって操作ハンドル19が回転軸L0に沿った方向に移動するので、ボールバルブと比較して、回転軸L0の沿った方向で大きくなりやすい。従って、止水栓5をボールバルブとすれば、止水栓5をゲートバルブとした場合と比較して、パイプシャフト内などの限られたスペース内に、吸排気弁ユニット1を設置することが容易となる。
【0079】
次に、吸排気弁6は、管部材7が接続される吸排気弁二次側管部分54、を備える。吸排気弁二次側管部分54は、先端部分に雄ねじ54bを備える。管部材7は、管本体部111と、管本体部111の一方側の端に設けられた管部材フランジ部112と、管本体の他方側に設けられてドレン管3が接続される接続部113と、を備える。第2接続機構9は、パッキン131と、袋ナット132と、を備える。パッキン131は、管部材7と、吸排気弁二次側管部分54との間に配置される。袋ナット132は、雄ねじ54bに螺合可能な雌ねじ132aを備えるナット部133と、管部材フランジ部112に係止される袋部134と、を備える。従って、吸排気弁6の吸排気弁二次側管部分54に捩じ込まれる袋ナット132により、ドレン管3に接続される管部材7と吸排気弁6とを接続できる。また、袋ナット132を取り外すことにより、管部材7と吸排気弁6との接続を解除できる。
【0080】
ここで、吸排気弁6の内部構造は、上記の例に限られるものではない。
【符号の説明】
【0081】
1…吸排気弁ユニット、2…立て管、3…ドレン管、4a…支持金具、4b…支持金具、5…止水栓、6…吸排気弁、7…管部材、8…第1接続機構、9…第2接続機構、11…弁室、12…止水栓本体部分、13…止水栓一次側管部分、14…止水栓二次側管部分、16…一次側弁座、17…二次側弁座、18…ボール弁体、19…操作ハンドル、20…接続軸、21…連通孔、22…樹脂管用継手、23…巻き付け部、25…一次側管部、26…パッキン、27…座金、28…ロックリング、28a…テーパ面部分、28b…環状突起、29…袋ナット、30…環状突部、31…切欠き凹部、32…環状壁部、33…環状板部、34…環状屈曲部、37…ナット部、38…延設部、40…二次側管部、41…止水栓フランジ部、51…弁室、52…吸排気弁本体部分、53…吸排気弁一次側管部分、54…吸排気弁二次側管部分、54a…吸排気口、55…内部流路、56…空気口、60…弁座、61…バケット、62…遊動弁体、63…フロート弁体、65…底部、66…筒部、67…バケットフランジ部、71…弁部、72…スカート部、73…副空気口、74…フロート弁体用弁座、75…スペーサー、76…挿入筒部、77…吸排気弁フランジ部、78…環状溝、79…Oリング、81…ハウジング部材、82…ボンネット部材、83…空気口構成部材、84…固定部材、85…流路構成部材、87…環状底部分、88…筒状胴部分、90…筒部、91…環状板部、92…環状突部、93…大径Oリング、95…空気口構成部、96…フランジ部、97…当接板部、98…環状壁部、99…側方突部、101…筒部、102…管部、103…流路構成部、111…管本体部、112…管部材フランジ部、113…接続部、115…係止部材、116…第1板部、116a…第1板部第1板部分、116b…第1板部第1傾斜板部分、116c…第1板部第2傾斜板部分、116d…第1板部第3傾斜板部分、117…第2板部、117a…第2板部第1板部分、117b…第2板部第1傾斜板部分、117c…第2板部第2傾斜板部分、117d…第2板部第3傾斜板部分、118…接続板部、121…第1板部第1開口部、122…第1板部第2開口部、123…第2板部第1開口部、124…第2板部第2開口部、1
31…パッキン、132…袋ナット、133…ナット部、134…袋部、L…立て管の管軸、L0…接続軸の回転軸、X…上下方向、Y…直交方向