(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ヘッドライトテスター
(51)【国際特許分類】
G01M 11/06 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
G01M11/06
(21)【出願番号】P 2020141318
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390012885
【氏名又は名称】三栄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 拓也
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-039729(JP,A)
【文献】特開2003-344206(JP,A)
【文献】特開2013-134199(JP,A)
【文献】特開平08-249413(JP,A)
【文献】特開平10-260111(JP,A)
【文献】特開2008-020437(JP,A)
【文献】国際公開第97/39324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/06
G01M 11/00
G01J 1/00- G01J 1/02
G01J 1/42
G01M 17/00- G01M 17/10
G01D 7/00- G01D 7/12
B60Q 1/06
B60S 5/00
B62D 65/00
B62J 6/08
F21S 41/00- F21S 41/698
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定車両の外観情報に含まれるナンバープレートの画像情報を撮像するカメラを、走行台車に立設された支柱を介して設けられた受光部を有するヘッドライトテスター又は前記被測定車両のヘッドライトの光度と光軸を含む測定情報を検査する検査場のいずれかに配設し、前記ヘッドライトテスターで取得した前記被測定車両の測定情報と、前記カメラで取得した前記被測定車両の外観情報と、測定日時情報を関連付してヘッドライトテスターに設けた記憶部又はヘッドライトテスターに接続する演算装置の記憶部のいずれかに保存し、
前記演算装置の表示制御部は、表示部に、
前記測定日時情報と、前記ヘッドライトのハイビームとロービームについての合否を示す判定結果と、被測定車両の外観映像と、該被測定車両のナンバープレートの文字情報とが現れるように制御し、
少なくとも前記測定日時情報と、前記ヘッドライトのハイビームとロービームについての合否を示す判定結果は、時系列状態に一瞥することができるように出力することを特徴とするヘッドライトテスター。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドライトテスターに於いて、前記ヘッドライトテスターで取得した前記被測定車両の測定情報と、前記カメラで取得した前記外観情報と、測定日時情報のいずれか一つが紐付する側の識別情報であり、前記識別情報の一つとして前記測定日時情報が選択された場合には、前記被測定車両の測定情報及びナンバープレートの文字情報が紐付対象の情報であることを特徴とするヘッドライトテスター。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドライトテスターに於いて、前記記憶部に記録されている情報は、無線を介して端末に保存可能であることを特徴とするヘッドライトテスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公的な検査場、私的な検査場の如何を問わず、被測定車両の性能を検査する場所に配備されるヘッドライトテスターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヘッドライトテスターを含む車両検査ラインシステムに関する。この車両検査ラインシステムの発明の課題は、運転者が検査車両に乗ったまま携帯端末装置により手元で映像等を確認しながら正確な検査ができるようにすることであり、この発明の解決手段は、拒絶理由通知に対する補正書を参照にすると、「自動車のヘッドライトの光線を、カメラ部を有する測定受光部により受光してカメラ処理部によりカットオフライン等の処理画像の画像情報を得る受像測定装置2と、該受像測定装置からの画像情報をスナップショットとして連続してウエブサーバに取り込む演算処理装置3と、該演算処理装置の該ウエブサーバからのスナップショットの連続する画像の出力信号を無線で入力して画像を連続して表示する端末表示装置13とからなるもの」、と認められる(符号は特許文献1のもの)。
【0003】
したがって、当業者は、前記受像測定装置2は、左右上下方向に移動可能な箱型測定受光部(集光レンズ)と、ランプの配光を疑似的に映すスクリーンと、前記疑似的配光を撮像可能なカメラ等を有するヘッドライトテスターであると理解することができる。
【0004】
ところで、特許文献1に記載のヘッドライトテスターは、例えば段落0018に記載されているように、「自動車のヘッドライトを点灯し、ヘッドライトテスターの測定受光部において受光して光度及び上下方向や左右方向の光軸を測定して測定情報(光度と光軸の各情報)を取得し、かつ表示部に当該自動車のヘッドライトの測定値を表示するもの」である。
【0005】
また特許文献1に記載のヘッドライトテスターは、前記ヘッドライトの測定値(光度と光軸)のみならず、段落0019の記載によると、前記受像測定装置2は、カメラ部を有する測定受光部により受光してカメラ処理部によりカットオフライン等の処理画像の画像情報(配光パターン)を、スナップショットの画像情報として入力回路3Bを介して前記演算処理装置3のサーバ3Aの記憶回路3Cに記憶し、該記憶回路3Cに記憶された前記スナップショットの画像情報は出力回路3Dを介して出力される。
【0006】
したがって、当業者は、少なくとも前記サーバ3Aの記憶回路3Cには、受像測定装置2が処理した測定情報(光度・光軸情報)及びカットオフライン等の処理画像の画像情報(配光パターン)をそれぞれ記録するものと理解することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1の記憶回路3Cには、測定情報と画像情報(配光パターン)はそれぞれ記録されているものの、少なくとも検査対象である車両の外観、該外観の一部としてのヘッドライト自体の形態、ナンバープレートのナンバー情報等は記録されていない。
【0008】
また特許文献1には、被測定車両を特定するために、例えば車両の測定日と、ヘッドライト自体の形態・ナンバープレート等の車両の外観情報と、車両の測定情報及び測定日時(撮像日時も含む)等とを、関連付けプログラムを用いて経時的に紐付し、ヘッドライトテスターに設けた記憶部又はヘッドライトテスターに接続する演算装置の記憶部のいずれかに保存することは示唆されていない。さらに、車両の性能や機能の評価(測定結果)を、簡単な記号(例えば○、×など)で示し、好ましくは該評価(測定結果)を「測定日時(又は撮像日時)」と共に表形式(例えば時系列)で一瞥することができるように、ヘッドライトテスターの表示部又はヘッドライトテスターに接続する演算装置の表示部に表示することも示唆されていない。
【0009】
また特許文献2の
図1及び請求項3には、ヘッドライトテスター2と、該ヘッドライトテスターに接続する演算装置5と、該演算装置に無線で接続するデジタルカメラを備える携帯端末6とから成る車両検査ラインシステムが記載され、前記携帯端末6の記憶部には、前記ヘッドライトテスター2からのライトの光度と光軸を含む測定情報と、前記デジタルカメラで撮像された車体情報がそれぞれ記録され、該測定情報と車体情報とを無線を介してプリントアウトすることができる旨が記載されている。
【0010】
しかしながら、この特許文献2にも、本願発明の具体的構成が記載されていない。なお、特許文献3、特許文献4及び特許文献5に記載されているように、被測定車両の左右のベッドライトをそれぞれ点灯し、ベッドライトの光軸と光度を含む測定情報を信号変換手段及び演算処理装置を介して取得して記憶部に保存することは、周知技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2019-117091号公報
【文献】特開2008-20437号公報の
図1、請求項3、段落0024
【文献】特開2002-14007号公報
【文献】特開2008-46063号公報
【文献】特許第5328408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、トレーサビリティの関係上、ヘッドライトテスターの数値だけでなく、ヘッドライトテスターで測定した画像や当該車両の外観やナンバープレートの情報を一纏めにして保存、管理できるような事が望まれている。現在のヘッドライトテスターは、特許文献1に記載されているように、箱型測定受光部に設けたカメラにより解析を行い、測定値を求めているので、測定値と共に測定中の画像(配光パターン)を保存することは可能になっている。
【0013】
そこで、発明が解決しようとする主たる課題は、前記箱型測定受光部とは別個に被測定車両の外観情報を撮像するカメラを追加し、該カメラで撮像した被測定車両の外観、ヘッドライト自体の形状、外観の一部としてのナンバープレート、被測定車両の判定結果等の車両情報を、例えば被測定車両を特定するための識別情報の一つとして前記測定日時(撮像日時も含む)を選択した場合には、この識別情報に関連付して保存・管理・表示することで、後日、例えば検査結果が改竄されていないか否か等の査察があった場合に、被測定車両の測定日時・外観情報・測定結果・合否判定等が一致しており、正しいことを客観的に立証することができることである。また、被測定車両のヘッドライトの測定結果を表示部により容易に把握することができることである。さらに、実施形態によっては、測定日時、判定結果、被測定車両の外観、ヘッドライトの測定結果がそれぞれ関連付けられているので、直ちに測定済みの被測定車両の外観情報と測定結果を特定することができることである。付言すると、測定結果の信頼性の向上を図ることである。
【0014】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のヘッドライトテスターは、被測定車両の外観情報に含まれるナンバープレートの画像情報を撮像するカメラを、走行台車に立設された支柱を介して設けられた受光部を有するヘッドライトテスター又は前記被測定車両のヘッドライトの光度と光軸を含む測定情報を検査する検査場のいずれかに配設し、前記ヘッドライトテスターで取得した前記被測定車両の測定情報と、前記カメラで取得した前記被測定車両の外観情報と、測定日時情報を関連付してヘッドライトテスターに設けた記憶部又はヘッドライトテスターに接続する演算装置の記憶部のいずれかに保存し、前記演算装置の表示制御部は、表示部に、前記測定日時情報と、前記ヘッドライトのハイビームとロービームについての合否を示す判定結果と、被測定車両の外観映像と、該被測定車両のナンバープレートの文字情報とが現れるように制御し、少なくとも前記測定日時情報と、前記ヘッドライトのハイビームとロービームについての合否を示す判定結果は、時系列状態に一瞥することができるように出力することを特徴とする。
【0016】
上記構成に於いて、前記記憶部に記録されている情報は、無線を介して端末に保存可能であることを特徴とする。もちろん、紐付情報は各種の記憶媒体に保存することができる。
【0017】
なお、演算装置の表示部に現れる完全な紐付画面(40)には、少なくとも測定日時の表示領域(40a)と、ヘッドライト(L)のハイビームとロービームについての「合否」を示す判定結果領域(40b)と、被測定車両の外観映像領域(40c)と、前記ヘッドライトの測定結果領域(40d)が含まれていることを特徴とする。ここで「検査場」とは、公的な検査場のみならず、複数個のテスターを配備している民間の整備場も含まれる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば箱型測定受光部とは別個に被測定車両の外観情報を撮像するカメラを追加し、該カメラで撮像した被測定車両の外観情報と共に、測定結果及び合否判定等の車両情報を、被測定車両を特定するための識別情報(紐付をする側の情報)に紐付して保存をすることができる。
【0019】
したがって、後日、例えば検査結果が改竄されていないか否か等の査察があった場合に、測定日時、車両の外観情報、車両の測定結果、合否判定等が一致しており、正しいことを立証することができれば良い(測定結果に対する信頼性の向上)。
【0020】
特に、本発明の演算装置の表示制御部は、好ましい実施形態では、表示部に、測定日時情報と、ヘッドライトのハイビームとロービームについての合否を示す判定結果と、被測定車両の外観映像と、該被測定車両のナンバープレートの文字情報とが現れるように制御し、少なくとも前記測定日時情報と、前記ヘッドライトのハイビームとロービームについての合否を示す判定結果は、時系列状態に一瞥することができるように出力するので、作業員は視覚により、測定済みの車両の外観情報と共に測定結果を直ちに特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1乃至
図7は本発明の一実施形態を示す各説明図。
【
図2】ヘッドライトと受光部が正対した時の概念図。
【
図6】車両の測定情報と外観情報を紐付する場合のフロー図。
【
図7】複数の検査対象の車両の測定結果と車両映像とを紐付した状態の表示画面の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1乃至
図7は、本発明の一実施形態の各説明図である。
図1はヘッドライトテスターの構成図である。この
図1に於いて、1は検査対象である被測定車両(以下、「車両」ともいう)の性能を検査する車検場で、この車検場1には、車両用のリフト装置や車両が自動車の保安基準に適合しているか否かを検査する各種のテスター(測定装置)が配設されている。ヘッドライトテスターは測定装置の一つである。
【0023】
Fは車検場1の床面である。2は前記床面Fに配設されたヘッドライトテスターである。ヘッドライトテスター2は、走行台車3を介して前記床面Fに敷設されたレール4を直線方向(
図1の左右方向)に移動可能である。
【0024】
ヘッドライトテスター2は、前記走行台車3と、この走行台車に立設された支柱5と、この支柱に外嵌合する嵌合部6・この嵌合部に一体的に設けられた板状の支持体7等を有する上下昇降機8と、前記支持体7の上方(実施形態)又は下方に設けられた箱型測定受光部(以下、「受光部」という)9と、この受光部9の上方に前後左右に回転可能に設置された液晶型の表示部10等を備えている。
【0025】
さらに、第1実施形態では、好ましくは前記液晶型の表示部10の下部よりも前方に位置するように前記受光部9の上壁9aの前方側に撮像手段(例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ)11を設けられている。この撮像手段(以下、「カメラ」という)11は、前記表示部10で有線又は無線で接続しており、例えば車検場1の入口やその付近、車検場1の天井、ヘッドライトテスター2の近傍床面等の適宜箇所に配設され、車両が車検場1に入室する際から車検場1から退出までの時間帯(換言すれば次の車両を測定するまでの間)に、検査対象の車両Vの外観を順次撮像することができる。第1実施形態では、好ましくはヘッドライトテスター2の受光部9の集光レンズの略中央部の上方に位置するように受光部9の上壁9aの前方中央部に設けている。なお、カメラ11は受光部9に対して固定的又は着脱自在に設けることができる。またカメラ11をスマートフォンの如く、表示部10自体の前面又は背面に設けることもできる。カメラ11を車検場1の入口やその付近、車検場1の天井、ヘッドライトテスター2の近傍床面等に支持部材を介して配設した図面は割愛する。
【0026】
図2は車両Vのヘッドライト(以下、「ライト」という)Lをヘッドライトテスター2の受光部9に正対させた、或いは受光部9をヘッドライトテスター2に正対させた場合の概念図である。周知の如く、車両Vが図示しない停止ラインでヘッドライトテスター2に対して正確に正対した場合には、ヘッドライトテスター2はライトLの光軸と光度を含む測定情報を取得することができる。例えば測定対象のライトLは、大別すると、ヨーロッパ型のエルボー点を求めるタイプ(ECE規格)と、ライトの中心部を求めるアメリカタイプ(SAE規格)が存在するので、作業員はこれらのライトLの光軸と光度を含む測定情報を取得して保安基準に適合するか否かを判定することができる。
【0027】
図1及び
図2に於いて、符号20は、前記カメラ11で撮像した車両Vの「外観情報a」と、ヘッドライトテスター2で取得した光軸と光度を含む「測定情報b」を有線又は無線を介して取得する演算装置(中央演算処理装置)を示す。この演算装置20の具体的構成を説明する前に、
図3を参照にして受光部の主な構成部材を説明する。
【0028】
図3に於いて、Lは車両Vのライト、9はヘッドライトに正対した受光部、12は光学系の集光レンズ、13は投影手段(投影スクリーンとか、配光スクリーンと称されている)、14は配光スクリーン13の後方に配設された撮像手段(例えばCCDカメラ)、15は信号変換手段(例えばAC/DC変換器)、16は画像処理用制御部、17は該制御部用記憶部、18は作業員の操作信号を入力する入力部、10は画像処理用制御部16が処理した情報を表示する表示部である。
【0029】
前記表示部10には、例えばカットオフライン19が存在するライトLを点灯した後に、前記配光スクリーン13に投影された配光パターンが信号変換手段15、画像処理用制御部16等を介して該表示部10の表示画面10aに現れる。実施形態では、表示部10は受光部9の上壁の上面に横軸を介して所要量回動自在に軸支されている。
【0030】
しかして、好ましい実施形態では、この表示部10は、スマートフォンの表示部と同様にプログラマブル表示器が用いられている。公知の如く、プログラマブル表示器は、グラフィック表示が可能なディスプレイ画面と、このディスプレイ画面に重ね合わされたタッチパネルとを備えている。ディスプレイ画面の表示内容とタッチパネルにおける操作位置とはあらかじめプログラムによって対応付けられており、ディスプレイ画面により表示される画面切り替え用操作ボタン、起動ボタン(スイッチ)等の表示位置で前記タッチパネルに指やペンを触れることによって、プログラムにより設定されている操作内容に応じた指示データ(測定開始、撮像開始、測定終了等)が、カメラ11、演算装置20等の内部又は外部装置に送信することができる。なお、撮像手段14の構成に関して、実施例によっては、配光スクリーン13を用いないで、単数又は複数個の撮像手段14のみを用いても良い。
【0031】
上記構成に於いて、車両の左と右のライトLをそれぞれ点灯すると、ライトLからの光が受光部9の集光レンズ12に集光され、これにより車両VのライトLの前方10mの相似配光を影像スクリーン(配光スクリーン)13に映し出され、作業員は、図示しない操作部を操作して該ライトLの光軸と光度を含む測定情報を取得し、かつ、合否を、例えば「〇」と「×」の簡単な記号で示すことができる。
【0032】
図4は、ヘッドライトテスター2の表示部10の背面部に直接設けられた演算装置20の概略構成図である。なお、この演算装置20は表示部10とは別体に設けることができる。演算装置20を表示部10とは別体にした場合には、ヘッドライトテスター2の適宜箇所(例えば走行台車3、支柱5、板状の支持体7等)に配設するのが望ましい。また演算装置20に前記表示部10とは別個の第2表示部(図示しない)を設けることもできる。
【0033】
この
図4を参照にすると、演算装置20は、主に通信部21と接続する制御部22と、この制御部22に接続する記憶部32とから成り、前記制御部22には、例えば計時部23、抽出部24、画像解析部25、登録部26、表示制御部27等を有し、前記制御部22には測定情報bを判定する判定部28が接続していると共に、前記表示制御部27に制御された判定結果を含む紐付情報は、前記表示制御部27に制御され、前述した表示部10又は第2表示部(図示しない)の表示画面10aで見ることができる。
【0034】
また前記記憶部32には各種のプログラム(ソフトウェア)や通信プロコトルが含まれているが、例えば表示部10の表示画面10aに現れている測定情報を処理するための測定プログラム33、カメラ11で撮像した車両Vの映像を拡大・縮小等をするための映像プログラム34、前述した車両の外観情報aと光軸と光度を含む測定情報bとを、識別情報を介して紐付(関連付)する紐付プログラム35、識別情報を介して検査対象の多数の車両を時系列化するためのプログラム36、色々な機能を有する統括プログラム37等を有する。
【0035】
したがって、記憶部32には、前記各プログラムに対応して、測定結果データベース33a、車両画像情報ベース34a、紐付情報データベース35a、経時変化データベース36a、文字情報データベース37a等が保存されている。
【0036】
ここでは各制御部22の機能の具体的説明は割愛するが、例えばカメラ11からの車両のシンボルマークとナンバープレートを含むフロントの画像情報(映像)aは、静止画像情報或いはフレーム画像情報として通信部21を介して制御部22に入力される。この場合には、該画像情報(映像)は映像プログラム34を介して車両画像情報ベース34aに格納される。同様に受光部9からのライトLの光軸と光度を含む測定情報bは、数値情報として通信部21を介して制御部22に入力される。この場合には、抽出部24で抽出され、かつ、測定プログラム33を介して測定結果データベース33aに格納される。さらに、画像解析部25で解析された車両のナンバープレートに記載されているナンバー情報は、例えば統括プログラム37を介して文字情報データベース37aに格納される。
【0037】
次に、
図5は、紐付(関連付)プログラムの模式図である。この
図5を参照にして、識別情報として「測定日時」を用い、測定情報bと車両の外観情報aを紐付する場合について説明する。なお、測定情報bと車両の外観情報aを紐付する場合には「好ましい識別コード」を介して「Aデータ」と「Bデータ等」とを紐付する必要があるが、実施形態では、起動開始ボタンと関連付けられている測定日時(又は撮像日時)を識別コードと見做し、該測定日時を介して光軸と光度を含む測定情報bと、車両の外観情報aを時系列に沿って検査対象の車両毎に紐付している。
【0038】
もちろん、例えば被測定車両のナンバープレートに関する文字情報を識別コードと見做し、該文字情報を介して、撮像日時と、車両の測定情報と、車両の外観情報とを紐付しても良い。また車両の外観情報を識別コードと見做し、該外観情報を介して、撮像日時と、車両の測定情報とを紐付しても良い。
【0039】
要するに、好ましい識別情報に基づいて車両の外観情報aと測定結果bとを紐付し、後日、例えば検査結果が改竄されていないか否か等の査察があった場合に、測定日時、車両の外観情報、車両の測定結果、合否判定等が一致しており、正しいことを客観的に立証することができれば良い。それ故に、本発明の実施形態では、少なくとも前記ヘッドライトテスターで取得した前記被測定車両の測定情報と、前記カメラで取得した前記被測定車両の外観情報と、測定日時情報或とが互いに紐付(関連付)されている。
【0040】
次に、
図6は車両の測定情報と外観情報を紐付する場合のフロー図である。この
図6に於いて、ステップS1では、まず、測定者が起動開始ボタンを押すと、測定日時の取込みが可能となる。起動開始ボタンは、例えば受光部6の上方に配置したタッチパネル式の表示部10に現れている。この場合に於いて、起動開始ボタンは、スマートフォンの如く、最初の表示画面に現れている測定開始ボタンである。
【0041】
次に測定が開始されると、作業員はヘッドライトテスター2の表示部10を見ながら、かつ、図示しない操作部を操作して車両VのライトLの光軸と光度を測定することができる。そこで、ステップS2では、測定結果を取り込んだか否かが判断される。測定結果が取り込まれると、該測定結果は測定日時に紐付される。
【0042】
次に、紐付された測定結果が取り込まれたならば、紐付の途中画面であるが、作業員は紐付された測定結果をタッチパネル式の表示部10で自由に見ることができる(ステップS3)。
【0043】
次に、作業員は該表示部10で測定日時と測定結果とが紐付されているとこを確認したならば、該表示部に現れているカメラ用の起動ボタンを押す。該カメラ用起動ボタンのシャッター信号は、無線でカメラ11に送信されるのが好ましい。もちろん、カメラ11自体にも起動ボタンが設けられているのは既知であるから、カメラ11自体の起動ボタンを押しても良い。またカメラ11がヘッドライトテスター2ではなく、例えば検査場1の出入り口に配設されている場合には、被測定車両Vは、検査場1に入った時に、その外観情報を図示しない起動ボタン用センサー等を利用して自動的に撮像することができるので、このような実施形態の場合には、被測定車両Vの撮像日時を識別情報にすることもできる。
【0044】
このカメラ用起動ボタンは、例えば表示部の枠部に適宜に設けられている。そこで、作業員はカメラ用起動ボタンを押すと、初期画面が撮像用画面に切り替わる。撮像用画面には、例えばカメラに見えるシャッターアイコンが現れる。
【0045】
そこで、今仮に、作業員がカメラ用のシャッターアイコンを押すと、車両の一方のライトLを撮像することができる。ステップS4では、このライトLの画像情報が取り込まれたか否か判断される。ライトの画像情報が取り込まれると、該画像情報と前記紐付済みの測定結果とが紐付される。測定結果が取り込まれたならば、途中であるが、作業員は測定日時、測定結果及びライトの画像情報が紐づけされた第2の中途の紐付画面を該表示部10で自由に見ることができる(ステップS5)。なお、実施形態では、ナンバープレートが撮像されると、演算部20は、制御部22の画像処理解析部25で画像の解析を自動的に実行する。そして、画像解析された文字情報は、車両Vのナンバー情報として、少なくともヘッドライトテスターの記憶部17又は演算装置20の記憶部32のいずれかに保存される。
【0046】
そこで、ステップS6では、ナンバー情報を取り込まれたか否か判断される。ナンバー情報が取り込まれると、該ナンバー情報は前記紐付け済みの画像情報と紐付される。このようにして、実施形態では、
図5で示すように、測定日時を介して、光軸及び光度を含む測定結果bと、車両のナンバーブレートを含む外観情報aと、車両のナンバー情報c、ライトの形状情報、合否情報等がそれぞれ識別情報(例えば測定日時)を介して一連に紐付され、該紐付情報は、記憶部(17、32)に保存されるのみならず、少なくとも、演算装置の表示部10のいずれかに取込み、
図7で示すような完全な紐付画面40を見ることができる(ステップS7)。作業員は完全な紐付画面40を確認したならば、測定終了のボタンを押し、次の被試験車両の測定準備をする。
【0047】
次に、
図7は複数の検査対象の測定結果と車両映像とを紐付した状態の表示画面の一例を示す。この
図7で明らかなように、
より好ましい実施形態では、完全な紐付画面40には、例えば測定日時の表示領域40aと、ライトLのハイビームとロービームについての「合否」を示す判定結果領域40bと、車両の外観映像領域40cと、車両のライトLの測定結果である映像領域40d(例えばすれ違い灯の右灯と左灯、走行灯の右灯と左灯等のライトの測定結果領域)と、加えて「ナンバー情報領域40eが、一つ又は複数の画面で現れ、前記測定日時
情報と、
前記ライトLのハイビームとロービームについての「合否」を示す判定結果と、車両の外観映像又はライトLの映像を検査対象の車両毎に時系列で特定することができる。
【0048】
ところで、特に図示しないが、完全な紐付画面に関して、演算装置20の表示部10に「すれ違い灯」の測定結果を示す記録画像が取り組まれ、該表示部10の画像表示領域に被測定車両のヘッドライトの配光等が適宜に現れる実施形態の場合には、表示画面10aの左側に、取付け高さ、光軸、光度の数値と、保安基準を満たしているか否かの判別印が現れ、一方、表示画面の右側に、同時に右配光と左配光の映像が現れる。
【0049】
なお、記憶部に記録されている紐付情報は、無線を介して端末に保存可能である。もちろん、暗唱番号を付して各種の記憶媒体やクラウドにも保存することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば車検場、整備工場等の検査場で利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…車検場、F…の床面、
2…ヘッドライトテスター、
V…被測定車両(車両)、
L…ヘッドライト(ライト)、
3…走行台車、
4…レール、
8…上下昇降機、
9…受光部、
10…表示部、10a…表示画面、
11…撮像手段(カメラ)、
12…集光レンズ、
13…投影手段、
20…演算装置、
21…通信部、
22…制御部、
27…表示制御部、
28…判定部、
32…記憶部、
33…測定プログラム、
34…映像プログラム、
35…紐付プログラム、
40…完全な紐付画面。