(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】送風ファンユニット用固定具、ラック、及び電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20231226BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231226BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20231226BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20231226BHJP
G11B 33/14 20060101ALI20231226BHJP
G11B 33/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H05K5/02 V
H05K5/02 P
H05K5/02 Q
H05K7/20 H
H05K7/20 U
H05K7/18 K
G06F1/20 B
G06F1/20 C
G11B33/14 501C
G11B33/02 301A
(21)【出願番号】P 2022112340
(22)【出願日】2022-07-13
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】滝田 浩一
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-48398(JP,U)
【文献】特開2004-200344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 7/20
H05K 7/18
G06F 1/20
G11B 33/14
G11B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面及び背面に開口を備えるラックであって、
送風ファンユニットを前記ラックの前記天面又は前記背面に選択的かつ着脱可能に固定する送風ファンユニット用固定具を備え、
前記送風ファンユニット用固定具は、
前記送風ファンユニットに取り付けられる第1固定具部品と、
前記ラックの
前記天面又は
前記背面に取り付けられる第2固定具部品と、
を備え、
前記第2固定具部品は、前記第1固定具部品の長手方向に前記第1固定具部品とスライド可能に係合するように構成され、かつ、前記第1固定具部品を前記第1固定具部品の短手方向の前記ラック側に押し込むことにより前記第1固定具部品と係合するように構成されている、
ラック。
【請求項2】
前記第2固定具部品は、前記第2固定具部品と係合している前記第1固定具部品が前記短手方向の他方に開放されるように前記第1固定具部品との係合を解除可能に構成されている、
請求項1記載の
ラック。
【請求項3】
前記第1固定具部品は、一対で用いられ、前記送風ファンユニット側の面に対する反対側の面に前記長手方向に沿って配されたガイド溝を備え、
前記第2固定具部品は、一対で用いられ、前記長手方向に前記ガイド溝とスライド可能に係合するように構成されたガイド部材を備え、
前記第2固定具部品は、前記第1固定具部品を前記短手方向の前記ラック側に押し込む際に前記ガイド部材が前記第1固定具部品を乗り上げてから前記
ガイド溝に係合するように構成されている、
請求項1記載の
ラック。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記第2固定具部品に対して前記第1固定具部品を前記短手方向の前記ラック側に押し込んだときに前記ガイド部材が前記第1固定具部品を乗り上げるようにガイドするテーパ面を備える、
請求項3記載の
ラック。
【請求項5】
前記第2固定具部品は、
前記ラックの前記天面又は前記背面に取り付けられるフレームと、
前記ガイド部材を固定したスプリング部材と、
前記スプリング部材を前記フレームに固定するネジと、
をさらに備え、
前記スプリング部材は、前記第2固定具部品に対して前記第1固定具部品を前記短手方向の前記ラック側に押し込んで前記ガイド部材が前記第1固定具部品を乗り上げたときに弾性変形するように構成されている、
請求項4記載の
ラック。
【請求項6】
前記フレームは、前記ガイド部材が挿通される窓部を備える、
請求項5記載の
ラック。
【請求項7】
前記フレームは、前記ネジが挿通される長穴をさらに備え、
前記スプリング部材は、前記ネジと螺合するネジ穴を備え、
前記スプリング部材は、前記スプリング部材と分離しないように前記ネジを緩めたときに、前記長穴内で前記ネジが移動できる範囲で移動可能であるように構成され、
前記ガイド部材は、前記スプリング部材を前記長穴内で前記ネジが移動できる範囲で移動して、前記ガイド溝との係合の解除が可能であるように構成されている、
請求項6記載の
ラック。
【請求項8】
前記第2固定具部品を前記ラックに取り付ける複数のネジをさらに備え、
前記第2固定具部品は、前記ネジを取り付ける複数の取付部を備え、
前記ラックは、前記天面及び前記背面において、前記第2固定具部品の前記取付部と対応する位置に、前記ネジと螺合する複数のネジ穴を備える、
請求項
1乃至7のいずれか一に記載のラック。
【請求項9】
請求項
1記載のラックと、
前記第2固定具部品と係合する前記第1固定具部品が取り付けられた前記送風ファンユニットと、
前記ラックに実装された複数の電子ユニットと、
を備える、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風ファンユニット用固定具、ラック、及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、記憶装置、制御装置、通信装置等の電子ユニットがラックに多段実装されて運用される電子装置は、顧客の設置場所に応じて、電子ユニットを冷却するための送風ファンユニットを、電子ユニットの天面に配置して排気する天面排気方式(例えば、特許文献1~3)と、電子ユニットの背面に配置して排気する背面排気方式(例えば、特許文献4)との2つの方式のどちらかに制限されている。また、上記のような電子装置では、ラック周囲の保守作業エリアとして背面エリアが用意されていない場合が多い。さらに、上記のような電子装置では、送風ファンユニット単体で保守交換が必要な場合が多い。そのため、このような電子装置の設計では、排気方式を顧客の設置場所に合わせて設計したり、背面での保守作業可否に応じて設計したり、それぞれの条件に合わせて送風ファンの固定構造を設計していた。具体的には、天面排気方式又は背面保守作業不可の場合はラック正面から送風ファンユニットを差し込む構造を採用し、背面排気方式の場合は背面から送風ファンユニットを取り付ける構造を採用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-108395号
【文献】特開2003-46283号
【文献】特開2009-44193号
【文献】特開2009-117629号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0005】
上記のような電子装置は、設置場所の変更に伴い、排気方式が変更(例えば、背面排気方式から天面排気方式に変更)になると、送風ファンユニットの固定具をそのまま用いて換装することができず、電子装置を移設する際に移設後に適した送風ファンユニットの固定具を新たに用意しなければならなかった。
【0006】
本発明の主な課題は、電子装置を移設する際に排気方式が変更されても送風ファンユニットの固定具をそのまま用いることに貢献することができる送風ファンユニット用固定具、ラック、及び電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の視点に係る送風ファンユニット用固定具は、送風ファンユニットをラックの天面又は背面に選択的かつ着脱可能に固定する送風ファンユニット用固定具であって、前記送風ファンユニットに取り付けられる第1固定具部品と、前記ラックの前記天面又は前記背面に取り付けられる第2固定具部品と、を備え、前記第2固定具部品は、前記第1固定具部品の長手方向に前記第1固定具部品とスライド可能に係合するように構成され、かつ、前記第1固定具部品を前記第1固定具部品の短手方向の前記ラック側に押し込むことにより前記第1固定具部品と係合するように構成されている。
【0008】
第2の視点に係るラックは、天面及び背面に開口を備えるラックであって、送風ファンユニットを前記ラックの前記天面又は前記背面に選択的かつ着脱可能に固定する送風ファンユニット用固定具を備え、前記送風ファンユニット用固定具は、前記送風ファンユニットに取り付けられる第1固定具部品と、前記ラックの前記天面又は前記背面に取り付けられる第2固定具部品と、を備え、前記第2固定具部品は、前記第1固定具部品の長手方向に前記第1固定具部品とスライド可能に係合するように構成され、かつ、前記第1固定具部品を前記第1固定具部品の短手方向の前記ラック側に押し込むことにより前記第1固定具部品と係合するように構成されている。
【0009】
第3の視点に係る電子装置は、第2の視点に係るラックと、前記第2固定具部品と係合する前記第1固定具部品が取り付けられた前記送風ファンユニットと、前記ラックに実装された複数の電子ユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
前記第1~第3の視点によれば、電子装置を移設する際に排気方式が変更されても送風ファンユニットの固定具をそのまま用いることに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具を用いて送風ファンユニットをラックの天面に取り付けた電子装置の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図3】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品を送風ファンユニットに取り付けた構成を模式的に示した(A)展開斜視図、及び、(B)斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第2固定具部品の構成を模式的に示した(A)斜視図、及び、(B)展開斜視図である。
【
図5】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第2固定具部品を電子装置のラックの天面に取り付けた構成を模式的に示した(A)展開斜視図、及び、(B)斜視図である。
【
図6】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを天面排気方式で組み合わせる際の手順を模式的に示した(A)組み合わせ途中の斜視図、及び、(B)組み合わせ後の斜視図である。
【
図7】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを天面排気方式で組み合わせる際の手順を模式的に示した(A)組み合わせ途中の背面図、及び、(B)組み合わせ後の背面図である。
【
図8】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第2固定具部品を電子装置のラックの背面に取り付けた構成を模式的に示した(A)展開斜視図、及び、(B)斜視図である。
【
図9】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを背面排気方式で組み合わせる際の手順を模式的に示した(A)組み合わせ途中の斜視図、及び、(B)組み合わせ後の斜視図である。
【
図10】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを背面排気方式で組み合わせる際の手順を模式的に示した(A)組み合わせ途中前半の平面図、(B)組み合わせ途中後半の平面図及び、(C)組み合わせ後の平面図である。
【
図11】実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを背面排気方式での組み合わせ解除途中の状態を模式的に示した(A)斜視図、及び、(B)平面図である。
【
図12】実施形態2に係る送風ファンユニット用固定具を用いて送風ファンユニットをラックに取り付けた構成を模式的に示した(A)天面取付時の斜視図、及び、(B)背面取付時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。また、下記の実施形態は、あくまで例示であり、本発明を限定するものではない。
【0013】
[実施形態1]
実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具について図面を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具を用いて送風ファンユニットをラックの天面に取り付けた電子装置の構成を模式的に示した斜視図である。
図2は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品の構成を模式的に示した斜視図である。
図3は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品を送風ファンユニットに取り付けた構成を模式的に示した(A)展開斜視図、及び、(B)斜視図である。
図4は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第2固定具部品の構成を模式的に示した(A)斜視図、及び、(B)展開斜視図である。
図5は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第2固定具部品を電子装置のラックの天面に取り付けた構成を模式的に示した(A)展開斜視図、及び、(B)斜視図である。
図6は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを天面排気方式で組み合わせる際の手順を模式的に示した(A)組み合わせ途中の斜視図、及び、(B)組み合わせ後の斜視図である。
図7は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを天面排気方式で組み合わせる際の手順を模式的に示した(A)組み合わせ途中の背面図、及び、(B)組み合わせ後の背面図である。
図8は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第2固定具部品を電子装置のラックの背面に取り付けた構成を模式的に示した(A)展開斜視図、及び、(B)斜視図である。
図9は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを背面排気方式で組み合わせる際の手順を模式的に示した(A)組み合わせ途中の斜視図、及び、(B)組み合わせ後の斜視図である。
図10は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを背面排気方式で組み合わせる際の手順を模式的に示した(A)組み合わせ途中前半の平面図、(B)組み合わせ途中後半の平面図及び、(C)組み合わせ後の平面図である。
図11は、実施形態1に係る送風ファンユニット用固定具における第1固定具部品と第2固定具部品とを背面排気方式での組み合わせ解除途中の状態を模式的に示した(A)斜視図、及び、(B)平面図である。
【0014】
電子装置1は、複数の電子ユニット20をラック10に実装した装置である(
図1、
図6、
図9参照)。電子装置1は、送風ファンユニット50が固定具3を介してラック10の天面又は背面に選択的かつ着脱可能に固定されるように構成されている。
【0015】
ラック10は、複数の電子ユニット20を着脱可能に実装する構造体である(
図1、
図6、
図8、
図9参照)。ラック10は、棚、架、台、枠などの形態としてもよい。ラック10として、例えば、サーバラック、記憶装置用ラック、制御装置用ラック、通信装置用ラック等を用いることができる。ラック10は、例えば、立体的に組み込まれた骨組の少なくとも左右両側面に板を取り付けたものとすることができる。ラック10の少なくとも天面11及び背面12は、それぞれ、排気用に開口している。ラック10の天面11及び背面12の左右両端部の近傍には、それぞれ、固定具3の第2固定具部品40をネジ45で取り付けるための複数のネジ穴11a、12aを備えている(
図5、
図8参照)。ネジ穴11a、12aは、それぞれ、共通又は同じネジ45で螺合可能に構成されている。ラック10の天面11又は背面12には、送風ファンユニット50が固定具3によって選択的かつ着脱可能に固定される(
図6、
図7、
図9~
図11参照)。
【0016】
電子ユニット20は、発熱する電子部品を備えたユニットである(
図1、
図5、
図6、
図8、
図9参照)。電子ユニット20として、例えば、サーバ、記憶装置、制御装置、通信装置等を用いることができる。電子ユニット20は、例えば、電子部品を搭載した基板型の電子ユニット、電子部品を実装したブレードシャーシ型の電子ユニット等とすることができる。電子ユニット20は、縦配置(横配置でも可)で、ラック10に正面から着脱可能に実装される。
【0017】
固定具3は、送風ファンユニット50をラック10の天面11又は背面12に選択的かつ着脱可能に固定する器具である(
図1、
図6、
図9参照)。固定具3は、送風ファンユニット50をラック10の天面11又は背面12に取り付ける際に天面11及び背面12のどちらを選択したときにも共通に用いることができるように構成されている。固定具3は、送風ファンユニット50を換装可能に構成されている。固定具3は、横配置にした送風ファンユニット50を、ラック10の正面から背面に向けてスライドさせてラック10の天面11に装着できるように構成されている(
図6参照)。また、固定具3は、縦配置にした送風ファンユニット50を、ラック10の背面から正面に向けて押し込んでラック10の背面12に装着できるように構成されている(
図9参照)。固定具3は、第1固定具部品30と、第2固定具部品40と、を備える。
【0018】
第1固定具部品30は、送風ファンユニット50に取り付けられる固定具3の構成部品である(
図1~
図3、
図6、
図7、
図9~
図11参照)。第1固定具部品30は、一対で用いられ、送風ファンユニット50の左右両側の面に取り付けられる。第1固定具部品30は、角材状の部品であり、送風ファンユニット50と対向する面(内面)に対する反対側の面(外面)にガイド溝31を備える。第1固定具部品30は、ネジ33によって送風ファンユニット50に取り付けるための複数の取付穴32を備える。
【0019】
ガイド溝31は、第1固定具部品30の長手方向に沿って直線状に配された溝である(
図2、
図3、
図6、
図7、
図9~
図11参照)。ガイド溝31は、第1固定具部品30の長手方向の全長にわたって配されている。ガイド溝31は、第1固定具部品30の長手方向に沿って第2固定具部品40のガイド部材43がスライド可能に構成されている。ガイド溝31は、第1固定具部品30の短手方向において第2固定具部品40のガイド部材43と嵌り合うように構成されている。ガイド溝31の溝形状は、第2固定具部品40のガイド部材43の形状に対応している。
【0020】
取付穴32は、ネジ33によって送風ファンユニット50に取り付けるための穴である(
図2、
図3、
図6、
図9、
図11参照)。取付穴32は、第1固定具部品30におけるガイド溝31とは異なる位置に配されている。取付穴32は、第1固定具部品30の外側から内側に貫通している。取付穴32は、第1固定具部品30の外面から中間部までの部位の径が第1固定具部品30の内面から中間部の部位の径よりも大きくなるように構成されている。取付穴32は、中間部でネジ33の頭部を受ける段差部を有し、第1固定具部品30の中間部から内面の部位でネジ33のネジ部が挿通される。ネジ33のネジ部の先端部分は、送風ファンユニット50のネジ穴52と螺合する。
【0021】
第2固定具部品40は、ラック10の天面11又は背面12に取り付けられる固定具3の構成部品である(
図1、
図4~
図11参照)。第2固定具部品40は、フレーム41、スプリング部材42、ガイド部材43及びネジ44の組み合わせによって構成されている。第2固定具部品40は、一対で用いられ、ラック10の天面11又は背面12の左右両端部の近傍に取り付けられる(
図5、
図8参照)。第2固定具部品40は、第1固定具部品30の長手方向に第1固定具部品30とスライド可能に係合するように構成されている(
図6、
図7参照)。第1固定具部品30をスライドさせることによって第1固定具部品30の脱着が可能である。第2固定具部品40は、第1固定具部品30を第1固定具部品30の長手方向にスライドさせる際、スライド方向に対する直角方向(上下左右)への第1固定具部品30の移動を規制する。第2固定具部品40は、第1固定具部品30の短手方向のラック10側に第1固定具部品30を押し込むことにより第1固定具部品30と係合するように構成されている(
図9、
図10参照)。第2固定具部品40は、第1固定具部品30を取り付ける際に、第1固定具部品30の短手方向のラック10側に第1固定具部品30を移動させることで第1固定具部品30と係合し、第1固定具部品30を外す際に、第1固定具部品30との係合を解除して第1固定具部品30をラック10から離れる方向に移動させることで第1固定具部品30を外せるように構成されている(
図11参照)。第2固定具部品40は、第1固定具部品30を第1固定具部品30の短手方向に押し込む際、押し込み方向に対する直角方向(左右)への第1固定具部品30の移動を規制する。第2固定具部品40は、第1固定具部品30を第1固定具部品30の短手方向に完全に押し込んだときに、押し込み方向(前後方向)、及び、当該押し込み方向に対する直角方向(左右方向)への第1固定具部品30の移動を規制する。
【0022】
フレーム41は、所定形状(
図4では長手方向に対して直角方向の断面がコの字形の形状)に構成されたの部品である(
図4、
図5、
図7、
図8、
図10、
図11参照)。フレーム41は、ガイド部材43が挿通される複数(1つでも可)の窓部41aを備える。フレーム41は、ネジ44によってスプリング部材42を取り付けるための複数の長穴41bを備える。長穴41bは、ネジ44をスプリング部材42と分離しないように緩めてスプリング部材42を長穴41bの長手方向に移動させたときに、ガイド部材43と第1固定具部品30のガイド溝31との嵌め合いを解除できるように構成されている(
図11参照)。長穴41bにはネジ44のネジ部が挿通され、長穴41bの周縁部でネジ44の頭部を受ける。ネジ44のネジ部の先端部分は、スプリング部材42のネジ穴42cと螺合する。フレーム41は、ネジ45によってラック10に取り付けるための複数の取付穴41cを備える。取付穴41cにはネジ45のネジ部が挿通され、取付穴41cの周縁部でネジ45の頭部を受ける。ネジ45のネジ部の先端部分は、ラック10のネジ穴11a又はネジ穴12aと螺合する。
【0023】
スプリング部材42は、ガイド部材43を第1固定具部品30のガイド溝31に嵌め込まれるように付勢する部材である(
図4、
図6、
図7、
図9~
図11参照)。スプリング部材42は、ネジ44によってフレーム41に取り付けられる本体部42aを備える。本体部42aは、フレーム41の長穴41bと対応する領域内にネジ穴42cを備える。ネジ穴42cは、ネジ44のネジ部と螺合する。スプリング部材42は、本体部42aからフレーム41の窓部41a近傍に延在したスプリング部42bを備える。スプリング部42bは、弾性変形可能な板バネ状の部分である。スプリング部42bにはフレーム41の窓部41aと対応する位置にガイド部材43が固着(固定)されており、スプリング部42bの弾性変形によってガイド部材43がフレーム41の窓部41aに出入りすることが可能である(
図10参照)。
【0024】
ガイド部材43は、第1固定具部品30をガイド溝31に沿ったスライドをガイドする部材である(
図4、
図6、
図7、
図9~
図11参照)。ガイド部材43は、第1固定具部品30のガイド溝31に嵌り込むように構成されている。ガイド部材43は、フレーム41の窓部41aに挿通するようにスプリング部材42に固着(固定)されている。ガイド部材43は、第1固定具部品30を第1固定具部品30の長手方向から第2固定具部品40に装着する際に第1固定具部品30のガイド溝31に入って第1固定具部品30のスライドをガイドする。ガイド部材43は、第1固定具部品30を第1固定具部品30の短手方向から第2固定具部品40に装着する際に第1固定具部品30に当接するテーパ面43aを備える。テーパ面43aは、第1固定具部品30が第2固定具部品40に押し込まれる途中でガイド部材43が外側(第1固定具部品30から離れる方向)に移動するようにガイドする(
図10(A)、
図10(B)参照)。ガイド部材43は、第1固定具部品30が第2固定具部品40に完全に押し込まれると、スプリング部材42の弾性によって第1固定具部品30のガイド溝31に入って、外側(ラック10から離れる方向)への第1固定具部品30の移動を係止(規制)する(
図10(C)参照)。
【0025】
送風ファンユニット50は、複数の送風ファン51を備えたユニットである(
図1、
図3、
図6、
図9~
図11参照)。送風ファンユニット50は、ラック10の天面又は背面からラック10内の空気を外部に排出する。送風ファン51は、ラック10内の空気を外部に排出する。送風ファンユニット50は、ラック10に対して脱着可能である。送風ファンユニット50の左右両側面には、ネジ33によって第1固定具部品30を取り付けるための複数のネジ穴52を備える。
【0026】
以上のような電子装置1は、天面排気の場合、固定具3を介して送風ファンユニット50をラック10の天面11に取り付ける(
図6、
図7参照)。この場合、送風ファンユニット50は、横配置にした状態で、固定具3を介して、電子装置1の前面から背面に向けてスライドさせて、ラック10の天面11の開口部を塞ぐようにラック10に装着される。電子ユニット20が上下方向にラック10に多段搭載される場合は、電子ユニット20間の隙間に、固定具3を介して送風ファンユニット50を電子装置1の前面から背面に向けてスライドさせてラック10に装着させる。このとき、固定具3の第1固定具部品30と第2固定具部品40とがそれぞれガイドレールの働きをすることで、送風ファンユニット50をラック10に装着することができる。
【0027】
また、背面排気の場合、固定具3を介して送風ファンユニット50をラック10の背面12に取り付ける(
図9、
図10参照)。この場合、送風ファンユニット50は、縦配置にした状態で、固定具3を介して、電子装置1の背面から前面に向けて押し込んで、ラック10の背面12の開口部を塞ぐようにラック10に装着される。このとき、固定具3の第1固定具部品30と第2固定具部品40とがそれぞれスナップフィット機能によって容易に装着することができる。
【0028】
実施形態1によれば、固定具3が送風ファンユニット50をラック10の天面11又は背面12に選択的かつ着脱可能に固定する構成となっているので、電子装置1を移設する際に排気方式が変更されても送風ファンユニット50の固定具3をそのまま用いることに貢献することができる。これにより、顧客の電子装置1の設置場所の排気方向や保守作業エリアの制約に合わせて送風ファンユニット50の換装が可能になり、顧客での装置移設の要求に応えることができるようになる。
【0029】
[実施形態2]
実施形態2に係る送風ファンユニット用固定具について図面を用いて説明する。
図12は、実施形態2に係る送風ファンユニット用固定具を用いて送風ファンユニットをラックに取り付けた構成を模式的に示した(A)天面取付時の斜視図、及び、(B)背面取付時の斜視図である。
【0030】
固定具3は、送風ファンユニット50に取り付けられる第1固定具部品30と、ラック10の天面11又は背面12に取り付けられる第2固定具部品40と、を備える。第2固定具部品40は、第1固定具部品30の長手方向に第1固定具部品30とスライド可能に係合するように構成され、かつ、第1固定具部品30を第1固定具部品30の短手方向のラック10側に押し込むことにより第1固定具部品30と係合するように構成されている。
【0031】
実施形態2によれば、固定具3が送風ファンユニット50をラック10の天面11又は背面12に選択的に固定可能な構成となっているので、電子装置1を移設する際に排気方式が変更されても送風ファンユニット50の固定具3をそのまま用いることに貢献することができる。
【0032】
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0033】
[付記1]
送風ファンユニットに取り付けられる第1固定具部品と、
ラックの天面又は背面に取り付けられる第2固定具部品と、
を備え、
前記第2固定具部品は、前記第1固定具部品の長手方向に前記第1固定具部品とスライド可能に係合するように構成され、かつ、前記第1固定具部品を前記第1固定具部品の短手方向の前記ラック側に押し込むことにより前記第1固定具部品と係合するように構成されている、送風ファンユニット用固定具。
[付記2]
前記第2固定具部品は、前記第2固定具部品と係合している前記第1固定具部品が前記短手方向の他方に開放されるように前記第1固定具部品との係合を解除可能に構成されている、
付記1記載の送風ファンユニット用固定具。
[付記3]
前記第1固定具部品は、一対で用いられ、前記送風ファンユニット側の面に対する反対側の面に前記長手方向に沿って配されたガイド溝を備え、
前記第2固定具部品は、一対で用いられ、前記長手方向に前記ガイド溝とスライド可能に係合するように構成されたガイド部材を備え、
前記第2固定具部品は、前記第1固定具部品を前記短手方向の前記ラック側に押し込む際に前記ガイド部材が前記第1固定具部品を乗り上げてから前記ガイド溝に係合するように構成されている、
付記1記載の送風ファンユニット用固定具。
[付記4]
前記ガイド部材は、前記第2固定具部品に対して前記第1固定具部品を前記短手方向の前記ラック側に押し込んだときに前記ガイド部材が前記第1固定具部品を乗り上げるようにガイドするテーパ面を備える、
付記3記載の送風ファンユニット用固定具。
[付記5]
前記第2固定具部品は、
前記ラックの前記天面又は前記背面に取り付けられるフレームと、
前記ガイド部材を固定したスプリング部材と、
前記スプリング部材を前記フレームに固定するネジと、
をさらに備え、
前記スプリング部材は、前記第2固定具部品に対して前記第1固定具部品を前記短手方向の前記ラック側に押し込んで前記ガイド部材が前記第1固定具部品を乗り上げたときに弾性変形するように構成されている、
付記4記載の送風ファンユニット用固定具。
[付記6]
前記フレームは、前記ガイド部材が挿通される窓部を備える、
付記5記載の送風ファンユニット用固定具。
[付記7]
前記フレームは、前記ネジが挿通される長穴をさらに備え、
前記スプリング部材は、前記ネジと螺合するネジ穴を備え、
前記スプリング部材は、前記スプリング部材と分離しないように前記ネジを緩めたときに、前記長穴内で前記ネジが移動できる範囲で移動可能であるように構成され、
前記ガイド部材は、前記スプリング部材を前記長穴内で前記ネジが移動できる範囲で移動して、前記ガイド溝との係合の解除が可能であるように構成されている、
付記6記載の送風ファンユニット用固定具。
[付記8]
天面及び背面に開口を備えるラックであって、
付記1乃至7のいずれか一に記載の送風ファンユニット用固定具を備え、
前記第2固定具部品は、前記天面又は前記背面に取り付けられている、
ラック。
[付記9]
前記第2固定具部品を前記ラックに取り付ける複数のネジをさらに備え、
前記第2固定具部品は、前記ネジを取り付ける複数の取付部を備え、
前記ラックは、前記天面及び前記背面において、前記第2固定具部品の前記取付部と対応する位置に、前記ネジと螺合する複数のネジ穴を備える、
付記8記載のラック。
[付記10]
付記8記載のラックと、
前記ラックに実装された複数の電子ユニットと、
を備える、電子装置。
【0034】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(必要により不選択)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本願発明の趣旨に則り、本願発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれる(属する)ものと、みなされる。
【符号の説明】
【0035】
1 電子装置
3 固定具
10 ラック
11 天面
11a ネジ穴
12 背面
12a ネジ穴
20 電子ユニット
30 第1固定具部品
31 ガイド溝
32 取付穴
33 ネジ
40 第2固定具部品
41 フレーム
41a 窓部
41b 長穴
41c 取付穴
42 スプリング部材
42a 本体部
42b スプリング部
42c ネジ穴
43 ガイド部材
43a テーパ面
44 ネジ
45 ネジ
50 送風ファンユニット
51 送風ファン
52 ネジ穴
【要約】
【課題】電子装置を移設する際に排気方式が変更されても送風ファンユニットの固定具をそのまま用いることに貢献することができる送風ファンユニット用固定具等を提供すること。
【解決手段】送風ファンユニット用固定具は、送風ファンユニットに取り付けられる第1固定具部品と、ラックの天面又は背面に取り付けられる第2固定具部品と、を備え、前記第2固定具部品は、前記第1固定具部品の長手方向に前記第1固定具部品とスライド可能に係合するように構成され、かつ、前記第1固定具部品を前記第1固定具部品の短手方向の前記ラック側に押し込むことにより前記第1固定具部品と係合するように構成されている。
【選択図】
図12