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特許7409722マグネット部材及びそれを備えた開閉部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】マグネット部材及びそれを備えた開閉部材
(51)【国際特許分類】
   A47H 23/01 20060101AFI20231226BHJP
   E05D 15/00 20060101ALI20231226BHJP
   E05C 19/06 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A47H23/01 A
E05D15/00 F
E05C19/06 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023001028
(22)【出願日】2023-01-06
(65)【公開番号】P2023105799
(43)【公開日】2023-07-31
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2022006622
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500410846
【氏名又は名称】岡田装飾金物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142594
【弁理士】
【氏名又は名称】阪中 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
(72)【発明者】
【氏名】岡田 鐵男
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-106081(JP,A)
【文献】実開昭55-119894(JP,U)
【文献】特開2015-202184(JP,A)
【文献】特開平05-010076(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199690(JP,U)
【文献】実公昭58-053919(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 23/00-23/14
E05C 19/16
E05D 15/00
E06B 7/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部材の長手方向に形成された溝本体部と、この溝本体部から両側部方向に延び、かつ長手方向に形成された係止溝部とを備えたアリ溝状装着凹部に対して装着可能なマグネット部材であって;
磁性粉体と樹脂又はエラストマーとを含み;
長尺で所定厚みを有し、装着状態で前記溝本体部に位置するマグネット本体部と、前記マグネット本体部の両側部から延び、前記係止溝部に係止して装着可能な係止延出部とを備え;
前記マグネット本体部に、長手方向に延びる少なくとも1つの切欠き部及び/又は少なくとも1つの空洞部が形成され;
前記マグネット本体部の裏面に、少なくとも前記係止延出部を余して形成された少なくとも1つの第1の切欠き部と、下記のいずれかの形
1-1)前記マグネット本体部の表面が平坦又は平滑状である
(1-2)前記形態(1-1)において、複数の前記第1の切欠き部の間の部位が、前記第1の切欠き部よりも深さが小さ切除部を備えている
(2-1)前記マグネット本体部の表面に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部を備えており;前記第1の切欠き部と前記第2の切欠き部とが、前記マグネット本体部の厚み方向からみたとき、下記(a)及び/又は(b)の幅方向の位置関係で形成されている
(a)少なくとも1つの前記第2の切欠き部の幅方向の中央部が、前記第1の切欠き部の幅方向の中央部と幅方向に位置ずれしている
(b)前記第1の切欠き部の切欠き領域と前記第2の切欠き部の切欠き領域とが、重複することなく又は切欠き領域の幅方向の両側部域のうち少なくとも一方の側部域で部分的に重複している
(2-2)前記形態(2-1)において、複数の前記第1の切欠き部の間の部位が、前記第1の切欠き部よりも深さが小さ切除部を備えている
(3)前記係止延出部から立ち上がる前記マグネット本体部の立設側壁面に形成された少なくとも1つの第3の切欠き部を備えている
(4)少なくとも1つの空洞部を備えている
とを備えており;
前記マグネット部材の係止延出部が、前記長尺部材の係止溝部に対して遊びをもってスライド装着可能である、マグネット部材
【請求項2】
前記マグネット本体部と係止延出部とのコーナー部に、リブ部が形成されている、請求項1記載のマグネット部材。
【請求項3】
互いに対向する一対の長尺部材の対向部に、前記溝本体部が開口し、アリ溝状装着凹部が対称の形態で対向して形成され、この一対の装着凹部に、同じ形態の前記マグネット部材が装着可能である請求項1又は2記載のマグネット部材。
【請求項4】
切除部が、複数の第1の切欠き部の間の部位が全体にわたって、前記第1の切欠き部よりも深さが小さい切除部である、請求項1又は2記載のマグネット部材。
【請求項5】
前記切欠き部が、(a)断面コ字状、(b)断面U字状又は湾曲状、(c)断面V字状、及び(d)前記(a)~(c)を組み合わせた形態から選択された少なくとも1つの形態を有しており、前記係止延出部の厚みが、前記マグネット本体部の厚みよりも薄い請求項1又は2記載のマグネット部材。
【請求項6】
可撓性を有するマグネット部材であり、幅方向又は厚み方向に異なる磁極が隣接して形成されている、請求項1又は2記載のマグネット部材。
【請求項7】
溝本体部と、この溝本体部から両側部方向に延びる係止溝部とを備えたアリ溝状装着凹部を有する長尺部材と、前記装着凹部に装着可能なマグネット部材とのセットであって、
請求項1又は2記載のマグネット部材と、このマグネット部材の係止延出部前記係止溝部に対して遊びをもってスライド装着可能な装着凹部を備えた長尺部材とのセット。
【請求項8】
前記装着凹部に対してマグネット部材を装着した状態において、マグネット本体部の裏面の少なくとも一部が所定の幅で前記装着凹部の底部壁から遊離している、請求項記載のセット。
【請求項9】
互いに対向可能な一対の長尺部材と;この一対の長尺部材の対向面にそれぞれ配設され、かつ互いに磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材とを備えた開閉部材であって、
前記一対の長尺部材のうち少なくとも可動な前記長尺部材の対向面に長手方向に形成された装着凹部と、この装着凹部に装着可能な前記磁気的吸着部材とを備えており、
少なくとも前記装着凹部に装着可能な前記磁気的吸着部材が、請求項1又は2記載のマグネット部材で形成されている、開閉部材。
【請求項10】
請求項記載の開閉部材と、前記一対の長尺部材のうち少なくとも可動な前記長尺部材に取り付け可能な間仕切部材とを備えている、開閉ユニット。
【請求項11】
磁性粉体と樹脂又はエラストマーとを含む組成物を押出成形し、請求項1又は2記載のマグネット部材を製造する方法。
【請求項12】
磁性粉体と樹脂又はエラストマーとを含む組成物を押出成形し、請求項1又は2記載のマグネット部材の反り又は変形を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺部材又は開閉部材の装着凹部に対して、装着可能であり、磁力を利用して開閉可能な間仕切りユニット(間仕切りカーテンなどの開閉構造)を形成するのに有用なマグネット部材、このマグネット部材と長尺部材とのセット、並びに開閉部材に関する。
【背景技術】
【0002】
老人ホームの集会所、家庭のリビング、工場、出入口などの種々の空間を仕切るため、間仕切りカーテンが広く利用され、この間仕切りカーテンは、長尺な一対の開閉部材の対向面に磁石を配設し、前記開閉部材にカーテンを取り付けている。
【0003】
特開昭55-143117号公報(特許文献1)には、中間部に向かって下降傾斜したレールと、このレールの左右部に、前記レールを走行可能なランナーに吊り下げられた左右のカーテンとを備え、前記左右のカーテンに、上部から下部に延びて、互いに吸着する磁石を設けた開閉装置が開示されている。この文献には、左右一対のカーテンの対向側縁に取り付けられた可動さん(対向部材)の長手方向に形成された装着凹部に断面四角形状の長尺の磁石が装着された状態が図示されている。
【0004】
実開昭56-158890号公報(特許文献2)には、窓枠の窓ガラスの室内側にカーテン本体を開閉自在に吊設し、カーテン本体の側端部と、このカーテン本体の開閉操作に伴って、前記カーテン本体の側端部に対向する窓枠の側部枠とに、磁着面と磁着受け面とが形成された窓用カーテンが開示されている。この文献には、磁着面と磁着受け面とを、それぞれ、狭まった開口部を有する装着凹部が長手方向に形成された取着材と、この取着材の装着凹部の上下方向に全長に亘り装着され、前記装着凹部に対応する断面形状を有するゴム製磁石とで形成し、ビスを利用して前記ゴム製磁石を前記装着凹部に取り付けた状態が図示されている。
【0005】
特開2009-131589号公報(特許文献3)には、レール部材に吊り下げられ、かつ互いに対向可能な一対の対向部材と、この一対の対向部材の対向面に全長に亘り形成されたアリ溝状の装着凹部と、この装着凹部に対応した断面形状を有し、互いに反対の磁極を向けて前記装着凹部に装着されたマグネット部材と、前記対向部材に形成され、間仕切りシートを取り付けるための取付け部とを備えた一対の開閉部材が開示されている。この文献には、磁性粉体と軟質樹脂とを含む軟質マグネット部材が開示されている。このマグネット部材は、板状のマグネット本体部と、このマグネット本体部の両側部の下部から側部方向に延び、前記アリ溝部に装着可能な係止延出部とを備えており、前記装着凹部の底壁側に位置する裏面が平坦な形態を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭55-143117号公報(請求項1、第3図)
【文献】実開昭56-158890号公報(請求項1、第2図)
【文献】特開2009-131589号公報(特許請求の範囲、段落[0017][0018][0029]、図2及び図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、磁石が、断面四角形状で、しかも長尺であるため、重量が大きく、対向部材の装着凹部に対する装着性が低下する。さらに、断面コ字状の装着凹部に断面四角形状の長尺の磁石が装着されているため、磁石が装着凹部から脱落する可能性がある。一方、磁石の脱落を防止するためには、装着凹部と磁石とを接着剤で接着したり、ビスなどで装着凹部に対して磁石を機械的に取り付ける必要があり、装着凹部に対して磁石を簡便に装着できない。
【0008】
特許文献2でも、前記ゴム製磁石の長さが大きくなると、前記ゴム製磁石の重量が大きくなり、前記装着凹部に対する装着性が低下する。さらに、ビスで前記ゴム製磁石を前記装着凹部に取り付けるため、前記取着材に対する前記ゴム製磁石の取付効率も低下する。
【0009】
さらに、特許文献3のマグネット部材でも、前記ゴム製磁石と同じく、対向部材の長さが大きくなると、マグネット部材の重量が大きくなり、対向部材の装着凹部に対する装着性が低下する。
【0010】
従って、本発明の目的は、軽量であり、長尺部材の装着凹部に対して円滑に装着可能なマグネット部材、このマグネット部材と長尺部材とのセット、並びに前記マグネット部材を備えた開閉部材を提供することにある。
【0011】
本発明者は、上記課題を達成するため、マグネット部材の所定部の厚みを小さくすると、軽量化は可能であるものの、マグネット部材の厚み方向に反り又は変形が生じ、長尺部材の装着凹部に対する装着性が大きく損なわれること;特に、長尺部材及びマグネット部材の長さが大きくなると、マグネット部材の厚み方向への反り又は変形の程度が小さくても、長尺部材の装着凹部に対する装着性が著しく低下すること;マグネット部材の平均厚みを小さくすると、マグネット部材の磁力が低下すること;さらに、マグネット部材の軽量化に伴って厚み方向の機械的強度が低下することを見いだした。
【0012】
従って、本発明の他の目的は、平均厚みが小さくても、厚み方向の反り又は変形を抑制可能なマグネット部材、前記セット、並びに前記開閉部材を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、長さが大きくても長尺部材の装着凹部に対して円滑に挿入して装着可能なマグネット部材、前記セット、並びに前記開閉部材を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、平均厚み(実質的な平均厚み)が小さくても、磁力の低下を抑制できるマグネット部材、前記セット、並びに前記開閉部材を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、平均厚み(実質的な平均厚み)を小さくして軽量化しても、機械的強度の低下を抑制できるマグネット部材、前記セット、並びに前記開閉部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、これらの課題を達成するため鋭意検討した結果、マグネット部材を所定の断面形状に形成すると、軽量化でき、マグネット部材の平均厚みを小さくしても、厚み方向の反りを抑制でき、長尺部材の長さが大きくても、前記装着凹部に円滑に装着できること;マグネット部材の平均厚み又は質量が小さくても、マグネット部材の磁力の低下を抑制でき、一対の開閉部材の対向面では高い閉じ力(磁力)を維持しつつ、小さな力で開閉部材を開放できること;マグネット部材の平均厚みを小さくして軽量化しても、機械的強度の低下を抑制できることを見いだし、本発明を完成した。
【0017】
すなわち、本発明のマグネット部材は、[1]磁性粉体と樹脂又はエラストマーとを含み;長尺で所定厚み(又は厚板状)のマグネット本体部と、この本体部の両側部から延びる係止延出部(例えば、翼状又は薄板状に延びる係止延出部)とを備えている。このようなマグネット部材において、前記マグネット本体部には、長手方向に延びる少なくとも1つの切欠き部及び/又は少なくとも1つの空洞部が形成され、薄肉化されている。
【0018】
前記態様[1]のマグネット部材において、[2]前記マグネット本体部の幅方向の少なくとも一部に、所定の幅で長手方向に形成された少なくとも1つの切欠き部を備えていてもよい。前記態様[1]又は[2]のマグネット部材において、[3]前記マグネット本体部の表面、裏面及び側壁面のうち少なくとも裏面に、所定の幅で長手方向に延びる少なくとも1つの切欠き部を形成してもよい。
【0019】
これらの態様[1]~[3]のいずれかの前記マグネット部材において、具体的には、例えば、[4]前記マグネット本体部の切欠き部は、下記(1)第1の切欠き部、(2)第2の切欠き部、(3)第3の切欠き部及び(4)切除部のうち、少なくとも(1)第1の切欠き部を備えていてもよい。
【0020】
(1)前記マグネット本体部の裏面に、少なくとも前記係止延出部を余して(すなわち、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して)形成された少なくとも1つの第1の切欠き部(1又は複数の第1の切欠き部;裏面切欠き部)
(2)前記マグネット本体部の表面に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部(1又は複数の第2の切欠き部;表面切欠き部)
(3)前記マグネット本体部の側壁面に形成された第3の切欠き部(側壁切欠き部)
(4)前記マグネット本体部の表面及び裏面のうち少なくとも裏面において、複数の前記第1の切欠き部の間の部位が切除された切除部(厚みを薄くするための切除部;裏面切除部)
【0021】
より具体的には、前記態様[1]~[4]のいずれかのマグネット本体部は、[5]下記(1a)~(1d)のいずれかの形態を有していてもよい。
(1a)前記マグネット本体部の裏面に、少なくとも前記係止延出部を余して(すなわち、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して)形成された1つの第1の切欠き部(又は凹溝状の切欠き部)を備えている
(1b)前記マグネット本体部の裏面に、少なくとも前記係止延出部を余して(すなわち、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して)形成された複数の第1の切欠き部と;前記複数の第1の切欠き部の間の前記マグネット本体部の裏面が切除された切除部(厚みが薄く又は厚みが調整された切除部)とを備えている
(1c)前記マグネット本体部の裏面に、少なくとも前記係止延出部を余して(すなわち、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して)形成された少なくとも1つの第1の切欠き部と;前記マグネット本体部の表面に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部とを備えており;前記第1の切欠き部及び/又は第2の切欠き部(前記第1の切欠き部及び第2の切欠き部のうち少なくとも一方の切欠き部)が複数の切欠き部を備えており;前記マグネット本体部の厚み方向からみたとき、前記第1の切欠き部の切欠き領域と前記第2の切欠き部の切欠き領域とが、重複することなく又は幅方向の両側部域のうち少なくとも一方の側部域で重複している
(1d)前記マグネット本体部の裏面に、少なくとも前記係止延出部を余して(すなわち、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して)形成された少なくとも1つの第1の切欠き部と;前記マグネット本体部の表面に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部とを備えており;前記第1の切欠き部及び/又は第2の切欠き部(前記第1の切欠き部及び第2の切欠き部のうち少なくとも一方の切欠き部)が複数の切欠き部を備えており;前記マグネット本体部の厚み方向からみたとき、前記第1の切欠き部の切欠き領域と前記第2の切欠き部の切欠き領域とが、重複することなく又は幅方向の両側部域のうち少なくとも一方の側部域で重複しており;複数の前記第1の切欠き部の間の前記マグネット本体部の裏面が切除された切除部(厚みが薄く又は厚みが調整された切除部)を備えている。
【0022】
なお、複数の第2の切欠き部が形成された態様では、隣接する第2の切欠き部の間が切除されていてもよく;最も側部に位置する第2の切欠き部から側縁に至る領域が切除されていてもよい。
【0023】
前記態様[1]~[5]のいずれかにおいて、[6]前記切欠き部は、凹状の形態、例えば、(a)断面コ字状(断面四角形状)、(b)断面U字状又は湾曲状、(c)断面V字状、及び(d)これらの形態(a)~(c)を組み合わせた形態から選択された少なくとも1つの形態を有していてもよい。
【0024】
さらに、前記態様[1]~[6]のいずれかにおいて、[7]前記マグネット本体部と係止延出部とのコーナー部には、リブ部を形成してもよい。前記態様[1]~[7]のいずれかにおいて、[8]前記マグネット部材は、可撓性を有するマグネット部材であってもよく、幅方向又は厚み方向(特に幅方向)に異なる磁極(S極とN極と)が隣接して形成(又は磁化)されていてもよい。
【0025】
このような態様[1]~[8]のいずれかのマグネット部材は、[9]前記マグネット本体部の少なくとも両側部が前記係止延出部から立ち上がる形態を有していてもよく;幅方向の中央部を基準にして左右対称形状(略左右対称形状)を有していてもよい。
【0026】
マグネット部材は、必ずしも、幅方向の中央部を基準にして左右対称形状を有している必要はなく、例えば、前記態様[1]~[9]のいずれかにおいて、[10]前記マグネット本体部の表面のうち幅方向の一方の側部に切欠き部又は凸条部(例えば、長手方向に延びる筋状切欠き部又は凸条部)を形成してもよい。この側部の切欠き部又は凸条部は、幅方向に異なる磁極(S極とN極と)を隣接して形成(又は磁化)したマグネット部材において、磁極を示すためのマーカーとして利用してもよい。
【0027】
なお、前記マグネット部材は、長尺部材の装着凹部に装着可能であり、前記装着凹部は、前記長尺部材の長手方向に形成された溝本体部と、この溝本体部の両側壁から両側部方向に延び、かつ長手方向に形成された係止溝部とを備えていてもよく、開口部が狭まって形成されたアリ溝状装着凹部であってもよい。このような装着凹部に装着可能なマグネット部材は、前記溝本体部に対応して形成された(又は配設可能な)前記マグネット本体部と、この本体部の両側部から延び、かつ前記係止溝部に装着可能な前記係止延出部とを備えている。
【0028】
本発明は、[11]前記マグネット部材と、このマグネット部材が装着可能な装着凹部(又はアリ溝状装着凹部)を備えた長尺部材とのセットも包含する。前記長尺部材の装着凹部は、長手方向に形成され、かつ前記マグネット部材のマグネット本体部が配設可能な溝本体部と、この溝本体部の両側壁から両側部方向に延び、かつ長手方向に形成され、前記マグネット部材の延出部が装着可能な係止溝部とを備えていてもよい。前記態様[11]のセットは、[12]前記装着凹部に対してマグネット部材を装着した状態において、マグネット本体部の裏面の少なくとも一部が所定の幅で前記装着凹部の底部壁から遊離していてもよい。また、前記マグネット本体部の表面は、前記装着凹部の開口部(溝本体部の両側壁)と同じ高さ位置に位置するか、若しくは前記装着凹部(溝本体部)の開口部から突出(前方方向に突出)していてもよい。
【0029】
本発明は、[13]互いに対向可能な一対の長尺部材と;この一対の長尺部材の対向面にそれぞれ配設され、かつ互いに磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材とを備えた開閉部材も包含する。この開閉部材において、前記一対の長尺部材のうち少なくとも可動な前記長尺部材の対向面に長手方向に形成された前記装着凹部と、この装着凹部に装着可能な前記磁気的吸着部材を備えていてもよく;少なくとも前記装着凹部に装着可能な前記磁気的吸着部材は、前記態様[1]~[10]のいずれかのマグネット部材で形成してもよい。さらに、このマグネット部材が前記装着凹部から脱落するのを防止するための脱落防止手段を備えていてもよく;なお、前記態様[13]の開閉部材は、[14]互いに相対的に離反又は近接する方向へ移動又はスライドして対向可能な一対の長尺部材と;この一対の長尺部材の対向面に互いに反対の磁極を向けて配設され、かつ磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材と;前記一対の長尺部材のうち少なくとも可動な前記長尺部材の対向面に長手方向に形成され、前記磁気的吸着部材が装着可能な装着凹部と;前記磁気的吸着部材が前記装着凹部から脱落するのを防止するための脱落防止手段とを備えていてもよく、前記磁気的吸着部材は前記態様[1]~[10]のいずれかのマグネット部材で形成してもよい。また、前記態様[13]又は[14]の開閉部材において、[15]前記一対の長尺部材の対向面にそれぞれ形成された装着凹部、この装着凹部に、互いに反対の磁極を向けて装着可能な第1の磁気的吸着部材及び第2の磁気的吸着部材とを備えていてもよい。前記第1の磁気的吸着部材及び第2の磁気的吸着部材は、それぞれ、前記マグネット部材で形成してもよい。
【0030】
前記一対の長尺部材は、それぞれ可動であってもよく、前記態様[13]~[15]のいずれかの開閉部材において、[16]一方の長尺部材が、壁部や床部などの固定部に固定され、他方の長尺部材が可動であってもよく、前記一方の長尺部材に対して他方の長尺部材が移動(例えば、左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向に移動)して、一方の長尺部材に対して対向可能であってもよい。前記一対の長尺部材の対向面には、長手方向に装着凹部を形成してもよく;この装着凹部に、互いに反対の磁極を向けて磁気的吸着部材が装着可能であってもよく、この磁気的吸着部材は、互いに接触状態又は非接触状態で対向可能であってもよい。このような磁気的吸着部材のうち少なくとも前記装着凹部に装着可能な磁気的吸着部材も前記態様[1]~[10]のいずれかのマグネット部材で形成してもよい。
【0031】
さらに、前記態様[13]~[16]のいずれかの開閉部材において、[17]前記一対の長尺部材のうち、少なくとも可動な長尺部材は、間仕切部材(面状又は面状に展開可能なシート状、網目状など形態の間仕切部材)が取付け可能な取付け部を備えていてもよい。さらに、前記態様[17]において、前記一対の長尺部材のうち、少なくとも可動な長尺部材の対向面に隣接する側部には、開閉操作のための操作部を備えていてもよい。
【0032】
本発明は、さらに、[18]前記態様[13]~[17]のいずれかの開閉部材と、前記一対の長尺部材(又は対向部材)のうち少なくとも可動な前記長尺部材に取り付け可能な間仕切部材(間仕切シートなど)とを備えた開閉ユニット(又は開閉構造)も包含する。なお、前記態様[18]の開閉ユニット(又は開閉構造)は、[19]一対の長尺部材(又は対向部材)のうち、少なくとも可動な長尺部材(又は対向部材)の頂部の装着部に対して装着可能な吊り下げ部を備えた第1のランナーを備えていてもよい。さらに、前記態様[19]の開閉ユニットにおいて、前記第1のランナーが走行可能なレール部材を備えていてもよく;前記レール部材を走行可能であり、前記間仕切部材(又は間仕切りシート)の上部に取り付け可能な第2のランナーを備えていてもよい。
【0033】
なお、本明細書において、「長尺」とは、幅に対して長さが大きな細長い形状を意味し、「長尺部材」を「対向部材」又は「棒状部材」という場合がある。また、「マグネット部材」は、「軟質マグネット部材」及び「硬質マグネット部材」の双方を含む意味に用いる。「軟質マグネット部材」を「マグネットクッション部材」、「ゴム磁石部材」又は「ラバーマグネット部材(ラバー磁石部材)」という場合がある。
【発明の効果】
【0034】
本発明では、マグネット本体部に切欠き部を形成して所定の断面形状とするため、軽量であり、長尺部材の装着凹部に対して円滑に装着でき;マグネット部材の平均厚みが小さくても、厚み方向の反りが生成するのを抑制できる。しかも、長尺部材の長さが大きくても長尺部材の装着凹部に対して円滑に挿入して装着可能である。さらに、マグネット部材を所定の断面形状とすることにより、マグネット本体部の平均厚み又はマグネット部材の質量が小さくても、磁力の低下を抑制でき;マグネット部材を軽量化しても、厚み方向の機械的強度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は本発明の開閉部材及び開閉構造の一例を示す概略分解斜視図である。
図2図2図1の開閉部材及び開閉構造を説明するための概略斜視図である。
図3図3図1のマグネット部材を示す概略断面図である。
図4図4図1の開閉構造の開閉動を説明するための概略断面図である。
図5図5は単一の第1の切欠き部を有するマグネット部材を示す概略断面図であり、図5(A)~(D)は、それぞれ、第1の切欠き部の形態が異なる例を示す。
図6図6は複数の第1の切欠き部を有するマグネット部材を示す概略断面図であり、図6(A)及び(B)は、それぞれ、第1の切欠き部の形態が異なる例を示す。
図7図7は第1及び第3の切欠き部を有するマグネット部材の例を示す概略断面図である。
図8図8は第1及び第2の切欠き部を有するマグネット部材の例を示す概略断面図である。
図9図9は第1及び第2の切欠き部を有するマグネット部材の他の例を示す概略断面図であり、図9(A)~(C)は、それぞれ、第1及び第2の切欠き部の形態が異なる例を示す。
図10図10は第1及び第2の切欠き部を有するマグネット部材のさらに他の例を示す概略断面図であり、図10(A)~(C)は、それぞれ、第1及び第2の切欠き部の形態が異なる例を示す。
図11図11は第1及び第2の切欠き部を有するマグネット部材の別の例を示す概略断面図である。
図12図12は第1及び第2の切欠き部を有するマグネット部材のさらに別の例を示す概略断面図である。
図13図13はマグネット部材の他の例を示す概略断面図であり、図13(A)及び(B)は、それぞれ、マグネット本体部の形態が異なる例を示し、図13(C)は、図13(A)及び(B)のマグネット部材を組み合わせた形態を示す。
図14図14(A)~(C)は、それぞれ、空洞部を有するマグネット部材の別の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の開閉部材及び開閉構造の一例を示す概略分解斜視図であり、図2図1の開閉部材及び開閉構造を示す概略斜視図であり、図3図1のマグネット部材を示す概略断面図であり、図4図1の開閉構造の開閉動を説明するための概略断面図である。
【0037】
図1図4に示す例において、開閉部材は、会議室などの空間を仕切るためのカーテン式間仕切りユニット(又は開閉構造)の開閉部材を構成している。この開閉部材は、アルミニウムの押出成形により形成され、かつ長尺で概略断面四角形状の一対の中空筒状長尺部材1と、この長尺部材の対向部に長手方向に沿って形成された装着凹部2と、この装着凹部に長手方向に沿って装着された長尺状又は細片状の第1及び第2のマグネット部材21とを備えている。
【0038】
前記長尺部材1の装着凹部2の断面形状は、マグネット部材21の装着性を高めるとともに、対向方向への移動を規制するため、開口部側が狭まったアリ溝状の形態を有している。すなわち、この例では、前記装着凹部2は、一対の長尺部材1の対向部において、対向部側が開口した形態で長手方向に沿って形成された略断面コ字状の凹溝壁(凹溝部)5と、この凹溝壁の開口端から互いに外方向(両側部方向)に概略断面コ字状の形態で延出する装着壁7とを備えており;この装着壁7のうち、前記凹溝壁5の開口端から外方向(両側部方向)に延出する壁部は、溝本体部3(前記装着凹部2)の底部壁6を形成し;この底部壁と、前記装着壁7のうち、開口部が狭まった形態で断面L字状に延びるL字状壁部とで、前記溝本体部3から両側部方向に概略断面コ字状の形態で延びる係止溝部4を形成している。前記溝本体部3は、前記底部壁6が仮想的に連なった形態では、断面コ字状の溝部を形成している。なお、この例では、係止溝部4の両側部の深部の壁面(壁部)は開口部側にいくにつれて狭まる傾斜面(傾斜壁部)として形成され、前記L字状壁部の対向部側の端部(装着凹部又は溝本体部3の開口部壁)には、対向部方向に若干突出した突出壁8が形成されている。
【0039】
一方、前記マグネット部材21は、磁性粉体とエラストマーとを含む軟質マグネット部材として形成され、可撓性を有している。このようなマグネット部材21は、図3に示されるように、前記溝本体部3に対応する断面長方形状のマグネット本体部22と、このマグネット本体部の断面形状の短辺に対応する両側部の下部から両側部方向(又は翼状、幅方向)に延び、前記係止溝部4に装着可能な係止延出部29と、前記マグネット本体部の裏面に、前記マグネット本体部22の両側部を余して形成された第1の切欠き部(1つの切欠き部)23と、前記マグネット本体部22と係止延出部29とのコーナー部に形成されたリブ部30とを備えており、前記マグネット部材21の対向部位は、前記溝本体部3(前記L字状壁部の突出壁8)から対向部方向に突出して平坦状の表面を形成している。
【0040】
前記マグネット部材21の前記第1の切欠き部23において、幅方向において対向する内壁は、開口部側で拡がる傾斜壁26と、この傾斜壁の深部から厚み方向に略平行に延びる立設壁27と、この立設壁からマグネット本体部22の表面と略平行に延びる上部壁28とを備えている。すなわち、前記第1の切欠き部23は、開口部側で拡がる断面台形状の第1の切欠き要素部24と、この第1の切欠き要素部の奥部が断面四角形状(断面コ字状)に切欠かれた第2の切欠き要素部25とを組み合わせた形態を有している。
【0041】
この例では、前記リブ部30は、前記マグネット本体部22と係止延出部29とのコーナー部で前記傾斜壁26と略平行な関係で形成され、前記コーナー部側が窪んだアール状の形態を有している。このようなマグネット部材21は、マグネット本体部22の幅方向の中央部を中心又は基準として左右対称形状に形成され、前記マグネット本体部22の両側部が前記係止延出部29から立ち上った形態を有している。すなわち、前記マグネット本体部22の両側部は、係止延出部29から立ち上がる支持壁で支持されている。
【0042】
なお、前記マグネット部材21には、幅方向に隣接し、かつ長手方向に延びるN極及びS極が形成されている。なお、磁極(N極及びS極)を視覚的に識別することは困難であるが、理解を助けるため、マグネット部材においてN極及びS極を図示している。そして、一対の長尺部材1の軸線が位置ずれすることなく開閉部材を閉じるため、一対の長尺部材1の対向する装着凹部2には、幅方向にS極とN極とが隣接し、対向する方向に反対の磁極を向けて一対のマグネット部材21を装着している。前記マグネット本体部22の表面のうち、幅方向の中央部には、幅方向に異なる磁極の隣接部(S極とN極との隣接部)を示すためのセンター溝部(断面U字状、断面V字状などの溝部)31が形成され、一方の磁極域には磁極を示すためのマーカー溝(断面V字状、断面U字状などの溝部)32が形成されている。センター溝部31及びマーカー溝32は、長尺部材1の装着凹部2に対して、正確な方向にマグネット部材21を装着するためのマーカーとして機能する。
【0043】
このような形態のマグネット部材21は、前記第1の切欠き部23により、軽量化されているとともに、比較的均一な厚みを有しており、係止延出部29などに反りが生じるのを有効に抑制できる。特に、マグネット本体部22と係止延出部29とのコーナー部にリブ部30が形成されているため、係止延出部29がマグネット本体部22の表面側に反ることがない。さらに、第1の切欠き部23が溝本体部3(前記装着凹部2)の底部壁6から遊離している。そのため、長尺部材1及びマグネット部材21が大きな長さを有していても、マグネット部材21を長尺部材1の装着凹部2にスライドさせて円滑に挿入して装着できる。さらに、マグネット本体部22の対向面が、前記装着凹部2の開口部(溝本体部3)から若干突出した平坦な対向面を形成するため、軽量化し、厚みを小さくしても、磁気的吸着力が低下するのを抑制でき、開閉部材の閉鎖による閉じ音を軽減又は緩衝できる。さらには、前記装着凹部2に装着した状態において、前記マグネット部材21は、前記係止延出部29が係止溝部4に係止した状態で、傾斜壁26を介して、マグネット本体部22が前記係止延出部29から立ち上った形態を有しているため、アーチ効果により前記マグネット部材21の強度(例えば、厚み方向の強度)の低下も抑制できる。
【0044】
前記開閉部材において、前記マグネット部材21が装着凹部2から抜け落ちて脱離するのを防止するため、前記装着凹部2の端部(下端部)には、L字状のストッパー41が配置され、ねじ42で固定されている。さらに、一対の長尺部材1の底部は、キャップ43でカバーされており、このキャップは、長尺部材1の底部をカバー可能な板状のキャップ本体44と、このキャップ本体から立設し、一対の長尺部材1の中空内壁に密着させる形態で長尺部材1に差込可能な一対の板状の差し込み部45を備えている。この例では、一対の板状の差し込み部45は、孔部47を有する架橋壁46で連結され、この架橋壁の孔部47にはビス49が下部からねじ込まれて、一対の板状の差し込み部45を外方向に拡げて一対の長尺部材1の内壁に密着させ、一対の板状の差し込み部45をビス50で一対の長尺部材1の側壁に螺着させている。なお、前記架橋壁46の孔部47に対するビス49のねじ込みに伴う歪みを吸収するため、孔部47を形成する孔部壁には縦方向に延びるスリット48aが形成され、キャップ本体44にもスリット48bが形成されている。
【0045】
なお、前記一対の長尺部材1のうち一方の長尺部材1の対向部に隣接する側部(側壁)には、前記開閉部材を開閉操作するための操作部51が装着されている。すなわち、前記一対の長尺部材1の対向部に隣接する両側部(両側壁)には、長手方向に延びる凹溝(又はアリ溝状凹部)11が形成されており、前記一対の長尺部材1のうち一方の長尺部材1の凹溝11には開閉操作のための操作部51が装着可能である。具体的には、前記操作部51は、前記凹溝11に沿ってスライドして位置決め及び装着可能な板状の基部52と、この基部から開閉方向の開方向に延びる連結部53と、この連結部に連結された球状又は筒状の把持部54とを備えており、前記操作部51の基部52は、高さ方向の位置決めをし、ねじ55で長尺部材1の側壁に取り付け可能である。
【0046】
さらに、前記一対の長尺部材1のうち対向面とは反対側の後部壁からは延出壁12(長細中空枠状の延出壁)が延出し、この延出壁の後部壁の中央部側に位置する延出側壁は、間仕切りシート61を取り付けるための取り付け部13を形成している。すなわち、前記一対の長尺部材1の対向面とは反対側の側部(開閉操作の開方向の後側壁)には、端部コーナー部が面取又は切除された断面中空四角形状の形態で、開閉方向に沿って延び、かつ間仕切りシート61を取り付けるための取り付け部13としての取付壁が形成されている。取り付け部13の取付壁と押え部材15で間仕切りシート61を挟持し、ねじ62で取り付け部13の取付壁と押え部材15を螺着することにより、一対の長尺部材1に間仕切りシート61を取り付けることができ、前記開閉部材に間仕切りシート61を取り付けることにより間仕切りユニットを形成している。なお、押え部材15の断面形状は、両側端部がL字状に屈曲した断面コ字状であり、この屈曲部の先端部を間仕切りシート61に向けて間仕切りシート61を挟持するとともに、ねじ止めすることにより、間仕切りシート61を強固に保持している。
【0047】
さらに、一対の長尺部材1の頂部(上部)には、開閉部材を吊り下げてレール(図示せず)に沿って移動させるため、ランナー63が取り付けられている。このランナーは、所定のレールの走行路に沿って走行可能な一対の車輪部64と、この車輪部の車軸部を回転可能に支持する支持部(断面ドーム状又は釣り鐘状の支持部)65と、この支持部の底壁に周方向に回転可能に取り付けられた軸部材66と、この軸部材に対して揺動可能に取り付けられたリング部67と、このリング部材に対して揺動可能に取り付けられたネジ軸部材68と、このネジ軸部材のネジ部が螺合可能であり、かつ前記長尺部材1の頂部(上部)に取り付け可能な吊り下げ部(例えば、長尺部材の中空部に装着可能なコ字状に形成され、ねじ及びナットにより長尺部材の上端部に取り付け可能な吊り下げ部)70とを備えており、この吊り下げ部70に対する前記ネジ軸部材68のネジ部の螺合により、前記吊り下げ部70の高さ位置を調整した状態で位置固定部材(ナット部材)69により高さ位置を固定している。すなわち、前記ネジ軸部材68は前記吊り下げ部70の高さ位置を調整するための高さ調整手段として機能する。また、前記吊り下げ部70は、長尺部材1の頂部(上部)に挿入又は装着した状態で、長尺部材1を貫通する長ネジ部材71とナット部材72とで長尺部材1の上部に装着されている。
【0048】
このような開閉部材及び間仕切りユニットでは、レールに沿って開閉部材(一対の長尺部材1)を移動させ、一対のマグネット部材21の磁気的吸着力を利用して、一対の長尺部材1が位置ずれすることなく、所定の空間を間仕切りシート61で円滑に仕切ることができる。また、操作部51を利用して、一対のマグネット部材21の磁気的吸着力を開放することにより、所定空間を容易に開放できる。すなわち、一対のマグネット部材21の磁気的吸着力は、対向方向に対しては強いものの、斜め方向からの牽引力(又は引離力)若しくは捩り力(又は曲げ力)に対しては弱く、一対のマグネット部材21の吸着面の幅方向の端部が一旦開くと、磁気的吸着力が急激に弱まる。また、前記連結部53が開閉方向の開方向に延びるため、前記把持部54の開操作により、対向面に捩り力が作用する。しかも、前記第1の切欠き部23により、マグネット部材21の磁気的吸着力を調整可能である。そのため、閉じ状態では、高い閉じ力(磁気的吸着力)を維持でき、前記操作部51を利用して開放操作(曲げ操作)すると、一対のマグネット部材21の対向方向に対して斜め方向の力を作用させることができ、小さな開放力で開閉部材を容易に開放できる。
【0049】
[長尺部材又は対向部材]
長尺部材又は対向部材は、互いに対向可能な一対の長尺な部材で構成でき、前記長尺部材又は対向部材(若しくは棒状部材)の長さは特に制限されず、用途に応じて短尺であってもよく長尺であってもよい。本発明では、マグネット部材の長さが大きくても前記長尺部材にスライドさせて装着できるため、好ましい態様では、長さが大きな長尺部材を用いる場合が多い。開閉空間を開閉するため、一対の長尺部材のうち少なくとも一方の長尺部材は、移動可能(又はスライド可能)であり、他方の長尺部材は、移動可能(又はスライド可能)であってもよく、壁、柱などの固定部に固定された部材であってもよく、双方の対向部材が、互いに近接又は離反する方向に移動可能(又はスライド可能)な部材であってもよい。すなわち、互いに対向可能な長尺部材のうち少なくとも一方の長尺部材は移動又はスライド可能であってもよく、双方の長尺部材がスライド可能であってもよい。前記長尺部材の断面形状は、筒状(円筒状、柱状など)、板状など装着凹部などが形成できる限り、特に制限されず、円形状、楕円形状、多角形状[三角形状、四角形状(正方形状、長方形状など)、五角形状など]などであってもよく、軽量化するため、前記長尺部材(特に、移動可能な長尺部材)は、中空状であってもよい。前記一対の長尺部材は、それぞれ、同一又は異なる材料で形成されていてもよく、前記一対の長尺部材は、木材、プラスチックなどで形成してもよく、間仕切りカーテンなどの間仕切部材では、アルミニウムなどの金属で形成してもよい。なお、長尺部材又は対向部材の横断面形状(対向部材の長手方向に対して直交する方向の断面形状)は、対称構造、非対称構造のいずれであってもよい。
【0050】
長尺部材は、通常、マグネット部材が装着可能な装着凹部と、移動機構(レール及びスライド部材(ランナー)など)が装着又は取付可能な装着又は取付部と、間仕切部材(間仕切りシート又は開閉シート)が取り付け可能な取付け部とを備えている。
【0051】
[装着凹部]
前記長尺部材(又は対向部材)は、マグネット部材を装着するため、装着凹部を備えており、この装着凹部は、長尺部材の長手方向(又は軸方向)に沿って全長に亘り形成してもよく、少なくとも一方の端部(例えば、両端部)を残して長手方向に延びて形成してもよく、必要であれば、長手方向に沿って規則的又は不規則的な間隔で離散して形成してもよい。長尺又は細幅状のマグネット部材の装着性を高め、長尺部材の生産性を高めるためには、前記装着凹部は長尺部材の長手方向に全長に亘り延びる装着凹部であるのが有利である。
【0052】
前記装着凹部は、前記長尺部材の長手方向に形成され、かつマグネット部材のマグネット本体部が配設可能な溝本体部と、この溝本体部の両側壁から両側部方向に延び、かつ長手方向に形成され、前記マグネット部材の係止延出部が装着可能な係止溝部とを備えていてもよい。
【0053】
なお、以下の説明において、溝本体部は、長尺部材の装着凹部の開口部に対応する領域を意味し、係止溝部は、この溝本体部の領域から両側部方向に延びる領域を意味する。同様に、マグネット本体部は、マグネット部材のうち前記溝本体部に対応する領域を意味し、係止延出部は、前記係止溝部に対応する領域を意味する。
【0054】
溝本体部は、前記凹溝壁5を備えている必要はなく、前記底部壁6が連なって装着凹部2の底部壁を形成してもよく、溝本体部の断面形状は、マグネット部材を装着又は固定可能である限り特に制限されず、対向部側で開口した断面コ字状、開口部側が広がった断面コ字状又は逆台形状、開口部側が狭まった多角台形状(台形状など)などであってもよく、通常、断面コ字状であり、溝本体部は、長手方向に延びる断面コ字状の凹溝(又は凹部)で形成してもよい。
【0055】
前記係止溝部の断面形状は、係止溝部の開口部が溝本体部に臨んだ(又は溝本体部で開口した)種々の形態、例えば、断面コ字状、断面U字状、開口部側が拡がった又は狭まった多角形状(三角形状など)又は多角台形状(台形状など)などであってもよく、通常、断面コ字状である場合が多い。
【0056】
係止溝部4の両側部の深部は傾斜面(傾斜壁部)を形成する必要はなく、前記係止溝部は、溝本体部の両側壁の適所から両側部方向に直線的に又は傾斜(直線的又は湾曲して傾斜)して延びていてもよい。すなわち、前記係止溝部の底部壁(前記溝本体部3の底部壁6でもある)と、この底部壁と対向する対向壁(前記装着壁7に対応)とは、同じ間隔で形成してもよく、異なる間隔で形成してもよい。例えば、前記係止溝部は、溝本体部の両側壁の高さ方向の中間部から直線的に又は傾斜(底部壁及び/又は対向壁に向かって直線的又は湾曲して傾斜)して延びていてもよく、底部から(又は前記係止溝部の底部壁に沿って)直線的に又は傾斜(対向壁に向かって直線的又は湾曲して傾斜)して延びていてもよい。このような係止溝部は、マグネット部材の両側部の係止に利用でき、装着凹部の開口部からマグネット部材が対向方向に脱離するのを防止できる。好ましい態様では、前記係止溝部は、前記溝本体部の両側壁の底部(下部)から(又は溝本体部の底部壁に沿って)両側部方向に直線的に延びて、開口部が狭まったアリ溝状装着凹部を形成してもよい。
【0057】
なお、前記の例では、装着凹部の開口部壁(溝本体部の開口部壁)から対向方向に突出壁8が延出しているが、この突出壁は必ずしも必要ではない。
【0058】
前記開閉部材において、一対の長尺部材のうち少なくとも可動な一方(双方又は片方)の長尺部材は、間仕切部材を取り付けるための取付け部を備えていてもよい。この取り付け部は、前記中空枠状の延出壁12の形態に限らず、断面形状は、半円状、多角形[三角形、四角形(正方形、長方形、台形など)、五角形など]、多角形の1つまたは複数の端部コーナー部が面取又は切除された枠状の形態であってもよい。前記取付け部は、間仕切部材が取り付け可能であれば枠状の形態を有する必要はなく、前記長尺部材の非対向部位、例えば、長尺部材の対向部に対して隣接する側部(側壁);前記対向部に対する反対側の後部壁などに形成してもよく;前記後部壁から、対向方向に対して反対方向(後部方向)に延出する壁部などで形成してもよく、この壁部は、長尺部材の対向部に対して隣接する前記側壁に沿って後部壁から延びていてもよく、後部壁の途中部(中間部など)から延出していてもよい(中空枠状ではなく、後部壁から前記取付壁としての取り付け部13が延出した形態であってもよい)。前記対向部に対する反対側の後部壁から延びるこのような取付け部に対する間仕切部材の取り付けには、例えば、ネジなどの螺合部材、挟着部材、接着剤、融着などの化学的手段を利用してもよい。また、前記長尺部材の取付け部は、長尺部材の長手方向に形成され、かつ間仕切部材(間仕切シートなど)の端部に長手方向に形成した厚肉部又は筒状部(間仕切部材の端部が中空筒体に取り付けられた中空筒状部など)が、装着可能な装着凹部又は抜け止め凹部(例えば、前記後部壁の長手方向に形成され、スリット状に開口し、開口部が狭まった断面円形状の装着溝部など)を備えていてもよい。
【0059】
前記間仕切りシートは、長尺部材(取り付け部など)に取り付け可能であればよく、前記のように、長尺部材又は取り付け部と、押え部材とで挟持して取り付けてもよく、接着、溶着、ビスなどによる種々の固定手段で取り付けることができる。
【0060】
この態様の取付け部では、間仕切部材(間仕切シートなど)の筒状部(中空筒状部など)の端面にプラグ及び/又はビスをねじ込んで間仕切部材(間仕切シートなど)を取り付けてもよい。
【0061】
前記開閉部材は、長尺部材の取付け部に間仕切部材(間仕切りシート)を挟持するための押え部材を備えていてもよい。長尺部材及び/又は押え部材の幅方向の少なくとも一方の側部(特に、両側部)には、間仕切部材(間仕切りシートを挟圧可能な挟圧部(又は凸部)を備えていてもよい。押え部材は、少なくとも一方の長尺部材に対して位置決め可能な位置決め部、例えば、長尺部材(取り付け部など)に対して係止又は掛止可能な係止部又は掛止部、嵌合可能な嵌合部などの位置決め部を備えていてもよい。
【0062】
前記取付け部に取り付け可能な間仕切部材(又は間仕切りシート若しくは開閉シート)は、面状又は面状に展開可能なシート状、網目状又はネット状などの形態であってもよく、樹脂フィルム又はシート(軟質樹脂シートなど)、紙、布帛(織布(カーテンなど)、不織布など)、樹脂含浸布帛などで構成してもよい。また、間仕切りシートは、屈曲可能に連接された複数のシートやプレート又はパネル(木材板、金属板など)で構成してもよく、折り畳み式に展開(伸長)又は収納(収縮)可能なシートやパネルで構成してもよい。間仕切りシートは、透明、半透明又は不透明な樹脂フィルム又はシート、布帛などで形成する場合が多く、メッシュ状又はネット状(網目状)などの網状体で形成してもよい。
【0063】
なお、間仕切部材は、長尺部材の移動機構(スライド機構)と関連して、前記レールの走行路(又は案内部材の案内路)を移動又は走行可能な第2のランナーの取付ユニットに取り付け可能であってもよい。この取付ユニットは、間仕切部材を挟着可能な挟着部材、フック部材などの間仕切部材に係止可能な係止部材などであってもよい。
【0064】
前記マグネット部材が装着凹部に保持される限り、前記装着凹部2のストッパー41やキャップ43は必ずしも必要ではないが、装着凹部又は長尺部材には、マグネット部材が装着凹部から脱落するのを防止するため、ストッパーや固定手段などの脱落防止手段を取り付けてもよい。ストッパーの構造及び装着形態は特に制限されず、前記装着凹部の下部又は下端部にストッパーを取り付けてもよく;前記マグネット部材が装着された長尺部材の下部又は下端部、例えば、前記マグネット部材と長尺部材との間に楔部材を楔状に装着してもよく;前記マグネット部材に対する支持部又は受け部(凹溝部など)を形成した装着部材(例えば、前記キャップ)を長尺部材の下部又は下端部に装着し、この装着部材を、ビスなどの取り付け手段により長尺部材に取り付け、装着部材の支持部又は受け部で前記マグネット部材を支持又は保持させてもよい。なお、装着凹部に対してマグネット部材は、接着剤や粘着剤、ビスなどの固定手段で取り付けてもよい。
【0065】
開閉操作のための開閉操作部(又は取っ手)は、必ずしも必要ではないが、開閉操作のために操作部を備えているのが好ましい。この操作部の形態は特に制限されず、取っ手状の形態(取っ手状の把持部を有する形態)に限らず、操作壁として形成してもよい。前記操作部は、可動な長尺部材(対向部材)に取り付け可能であり、隣接する一対の長尺部材のうち、少なくとも一方(一方又は双方)の長尺部材に取り付けてもよい。前記操作部は、長尺部材の対向面に隣接する両端壁(又は両側面)に取り付けてもよく、一方の側壁(又は側面)に取り付けてもよい。好ましい操作部は、長尺部材の側壁(側部)から延出する延出部と、この延出部の端部に形成された把持部とを備えており、この把持部が、前記延出部に対して、開閉方向の開方向に位置している。
【0066】
なお、開閉操作のための操作壁又は操作部は、必ずしも必要ではないが、長尺部材に対してネジなどの取り付け手段により取り付けてもよく、長尺部材と一体に成形して形成してもよい。操作壁又は操作部は、長尺部材の適所に形成でき、例えば、長尺部材の一方の側壁(装着孔部壁及び/又は抜け止め凹部壁)に形成してもよく、対向部材の両側壁(又は両側面)にそれぞれ形成してもよい。また、操作壁又は操作部は、指が係止可能又は把持可能な形態であればよく、対向部材の側壁に窪ませて又は前記側壁から側方に延出させて形成できる。例えば、操作壁又は操作部は、凹凸部(突起又は突片状、凸条、凹溝状)などのほか、L字状、U字状又はアーム状、フラップ状などの形態であってもよく、取っ手状の把持部(把持部又は取っ手など)であってもよい。さらに、長尺部材の長手方向に沿って1又は複数の操作壁又は操作部を形成してもよく、長手方向に間隔をおいて形成してもよい。
【0067】
[マグネット部材]
マグネット部材は、磁性粉体と樹脂又はエラストマーとを含んでおり、プラスチック磁石又はゴム磁石を形成してもよい。前記マグネット部材は、硬質マグネット部材であってもよく、軟質マグネット部材であってもよい。好ましいマグネット部材は、樹脂(プラスチック)又はエラストマーを含むプラスチック磁石又はゴム磁石部材であり、装着凹部に対する装着性を高めるため、軟質樹脂(軟質プラスチック)又はエラストマーを含む可撓性又は軟質マグネット部材である。
【0068】
磁性粉体は、遷移金属元素及びこれらの合金、フェライト(鉄-ニッケル合金など)、永久磁石、希土類磁石などで形成できる。前記樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂(ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂など)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂など)などを含んでいてもよい。エラストマーは、ゴム及び熱可塑性エラストマーを含み、合成ゴム(オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴムなど)や熱可塑性エラストマー(ポリオレフィン系エラストマーなど)などを含んでいてもよく、軟質樹脂(軟質プラスチック)は、非結晶性であってもよく、非芳香族性であってもよい。
【0069】
マグネット部材は、切削加工などで所定形状に形成してもよいが、工業的には、磁性粉体と樹脂又はエラストマーとを含む組成物を、押出成形、射出成形などの成形法により成形し、冷却することにより調製するのが有利である。このような方法で長尺なマグネット部材を形成すると、マグネット部材に反りなどの変形部が生じ易く、長さが大きな長尺部材に対する装着性が大きく低下する。特に、長さが大きなマグネット部材を、長さが大きな長尺部材の装着凹部にスライドさせて装着しようとすると、マグネット部材に僅かな反りや変形があっても、長尺部材に対する装着性が大きく損なわれる。例えば、マグネット部材に反りや変形があると、長さが1m程度の長尺部材に対しては、大きな力でマグネット部材をスライドさせて装着させる必要があり、長さが3m程度の長尺部材に対しては、大きな力で少しずつマグネット部材をスライドさせて装着させる必要があり、装着作業性が大きく低下する。
【0070】
そのため、本発明では、装着状態で前記溝本体部に位置し(又は前記溝本体部に対応して形成され)、長尺で所定厚みを有するマグネット本体部と、装着状態で前記係止溝部に位置し(又は前記係止溝部に対応して形成され)、この本体部の両側部から延びる係止延出部と、前記マグネット本体部に、長手方向に延びる少なくとも1つの切欠き部及び/又は少なくとも1つの空洞部が形成され、薄肉化されたマグネット部材を用いる。すなわち、切欠き部及び/又は空洞部により、マグネット本体部は薄肉化可能である。
【0071】
前記マグネット本体部は、前記溝本体部に対応して、一対の開閉部材が磁気的に吸着可能な所定の厚みを有していればよく、前記マグネット本体部のうち、一対の開閉部材が対向する対向部の表面は、対向部方向に向かって窪んで又は膨出して湾曲面(湾曲凹面又は膨出面)、平坦状の面、凹凸面などを形成してもよい。好ましい態様では、前記マグネット本体部は、前記溝本体部の形状に対応して、断面四角形状又は矩形状(特に断面長方形状)の形態(対向部の表面が平坦面を形成する形態)を有している。すなわち、前記マグネット本体部は、前記溝本体部の幅に対応する所定幅(例えば、細幅)の板状の形態を有していてもよい。
【0072】
前記マグネット本体部の両側部から延びる前記係止延出部の形態は、前記係止溝部の断面形状に対応した形状(断面コ字状、断面U字状、マグネット本体部側が拡がった又は狭まった多角形状又は多角台形状など)であってもよい。好ましい係止延出部の形態は、断面コ字状であってもよく、板状(薄板状など)などの形態で前記マグネット本体部の両側部から翼状に延びていてもよい。前記係止延出部は、前記マグネット本体部の両側部の高さ方向の上部、好ましくは高さ方向の中央部から側部方向に延出していてもよく、さらに好ましくは高さ方向の下部から側部方向に延出していてもよい。
【0073】
好ましい態様において、マグネット本体部は断面長方形状(例えば、板状)の形態を有し、係止延出部は、前記マグネット本体部の断面形状の短辺に対応する両側部の高さ方向の下部又は中央部から両側方向(又は翼状、幅方向)に延びていてもよい。
【0074】
前記少なくとも1つの切欠き部(又は薄肉形成部)は、前記マグネット本体部の幅方向の少なくとも一部に長手方向に形成すればよく、前記マグネット本体部に所定の幅で形成してもよい。また、前記マグネット本体部には少なくとも1つの切欠き部を形成すればよい。
【0075】
前記切欠き部は、開口部幅が小さく、厚み方向の長さ(深さ)が大きな細幅の切欠き部(細長い断面コ字状(開口部の幅が小さく、深さ(厚み方向の長さ)などの形態))であってもよいが、マグネット部材の変形を抑制するためには、前記マグネット本体部の幅方向の全体に亘り1つの切欠き部を長手方向に形成してもよく、幅方向に間隔をおいて複数の細幅の切欠き部を長手方向に形成してもよく、複数の切欠き部は幅方向にランダムな間隔で、好ましくは等間隔で形成してもよい。
【0076】
切欠き部は、マグネット本体部を薄肉化可能な形態であればよく、(a)断面コ字状(断面台形状を含む)、(b)断面U字状又は湾曲状(断面半円状を含む;断面湾曲凹状)、(c)断面V字状などであってもよい。切欠き部は、(d)これらの形態(a)~(c)を組み合わせた形態、例えば、前記断面コ字状と前記断面U字状とを組み合わせた形態であってもよい。前記切欠き部は、これらの形態(a)~(d)から選択された少なくとも1つの形態を有していてもよい。さらに、前記切欠き部の形態は、マグネット本体部を実質的に薄肉化可能な空洞部と組合わせてもよく、空洞部との組合わせにおいて、前記切欠き部の形態は、浅溝状であってもよい。
【0077】
前記(a)断面コ字状の切欠き部は、(a1)対向する内壁が平行に延びる形態(マグネット本体部の厚み方向に対して傾斜して、特に厚み方向に平行に延びる形態)、(a2)対向する内壁が開放部(又は開口部)側で直線的に拡がる形態(内壁が傾斜した断面台形状の形態)、及び/又は(a3)対向する内壁が開放部又は開口部側で直線的に狭まる形態(内壁が傾斜した断面逆台形状の形態)を有していてもよい。好ましい(a)断面コ字状の切欠き部は、前記形態(a1)及び/又は(a2)を有していてもよい。
【0078】
前記形態(b)断面U字状(断面湾曲凹状)の切欠き部は、湾曲凹状の形態、例えば、(b1)対向する内壁のうち開放部(又は開口部)側の内壁が厚み方向に平行に延びる形態、(b2)対向する内壁のうち開放部(又は開口部)側の内壁が直線的に又は湾曲して拡がる形態、(b3)対向する内壁のうち開放部(又は開口部)側の内壁が直線的に又は湾曲して狭まる形態であってもよい。好ましい(b)断面U字状の切欠き部は、前記形態(b1)及び/又は(b2)を有していてもよい。
【0079】
前記形態(c)断面V字状の切欠き部は、対向する内壁が厚み方向(深部方向)にいくにつれて直線的に狭まる形態であればよく、対向する内壁のうち少なくとも一方の内壁が厚み方向に対して傾斜していればよい。好ましい(c)断面V字状の切欠き部は、対向する内壁が、それぞれ、厚み方向(深部方向)にいくにつれて傾斜して狭まる形態であってもよい。
【0080】
さらに、(d)前記形態(a)~(c)を組み合わせた形態の切欠き部は、例えば、前記断面コ字状と前記断面U字状又は断面V字状とを組み合わせた切欠き部であってもよく、例えば、(d1)対向する内壁のうち開放部(又は開口部)側の内壁が前記(a)断面コ字状(例えば、対向する内側壁が厚み方向に平行に延びる形態)の切欠き部を形成し、深部側の内壁が前記(b)断面U字状又は(c)断面V字状(例えば、対向する内側壁が開放部又は開口部側で拡がる形態)の切欠き部を形成した形態、(d2)対向する内壁のうち開放部(又は開口部)側の内壁が前記(b)断面U字状又は(c)断面V字状の切欠き部を形成し、深部側の内壁が前記(a)断面コ字状の切欠き部を形成した形態であってもよい。なお、この切欠き部(d)において、異なる形態の切欠き部が隣接する部位には段差が生じていてもよいが、異なる形態の切欠き部の隣接部位は、平滑に連続していてもよい。なお、複数の異なる形態(a)~(c)を組み合わせた形態の切欠き部は、対向する内壁がマグネット本体部の厚み方向に平行に延びる形態、対向する内壁が開放部(又は開口部)側で拡がる形態であるのが好ましい。
【0081】
1又は複数の前記切欠き部は、前記マグネット本体部の表面、裏面及び/又は側壁面の適所にでき、例えば、前記マグネット本体部の表面及び/又は側壁面、前記マグネット本体部の表面及び/又は裏面、前記マグネット本体部の側壁面及び/又は裏面に形成してもよく、マグネット部材の変形又は反りを抑制するとともに、磁気的吸着力を維持するため、前記マグネット本体部の少なくとも裏面に形成するのが好ましい。すなわち、前記切欠き部は、前記マグネット本体部の裏面だけに形成してもよく、前記マグネット本体部の裏面及び表面、前記マグネット本体部の裏面及び側壁面、前記マグネット本体部の裏面、表面及び側壁面に形成してもよい。前記マグネット本体部には、長手方向に延びる少なくとも1つの切欠き部を形成すればよく、切欠き部は、機械的強度を維持するため、前記マグネット本体部の少なくとも両側部を余して長手方向に形成するのが好ましい。すなわち、前記マグネット部材は、長尺部材の装着凹部に装着した状態で、前記長尺部材の装着凹部壁の底部壁と接触又は密着していてもよいが、前記長尺部材の装着凹部壁の底部壁と遊離して又は遊びをもって(例えば、前記マグネット本体部が、両側部の支持壁を介して、係止延出部の底面から立ち上って)装着するのが好ましい。
【0082】
前記マグネット本体部の裏面(底面)は、長尺部材の装着凹部(溝本体部)に装着した状態で、前記装着凹部(溝本体部)の底部壁と接触又は密着していてもよいが、長尺部材の装着凹部にマグネット部材をスライド式に円滑に装着するためには、前記マグネット部材は、前記長尺部材の装着凹部壁の底部壁(溝本体部の底部壁)と遊離して又は遊びをもって(例えば、係止延出部の底面から立ち上って)装着可能であるのが好ましい。すなわち、前記マグネット本体部の表面及び/又は裏面など(特に、マグネット本体部の裏面)において、浅溝状の切欠き部(前記マグネット本体部よりも厚みを薄くするための切欠き部、例えば、浅溝状の第1及び/又は第2の切欠き部)を形成してもよく;浅溝状の切欠き部は、例えば、前記マグネット本体部の幅方向の全体に亘り1つの切欠き部(幅広の切欠き部)として形成してもよく、幅方向に間隔をおいて(等間隔で又はランダムな間隔で)複数の切欠き部として形成してもよい。複数の切欠き部を隣接して形成したマグネット部材では、隣接する切欠き部の間のマグネット本体には、切除された切除部(前記マグネット本体部よりも厚みを薄くするための切除部)を形成してもよい。切欠き部及び/又は切除部により装着凹部壁の底部壁に対する遊離又は遊び底壁(底面)を形成すると、マグネット部材を装着凹部にスライド式に装着するのに有用である。前記切欠き部は、マグネット本体部の裏面、例えば、複数の切欠き部の間のマグネット本体部の裏面を切除(スライスして切除)して形成してもよい。なお、マグネット部材の係止延出部も、前記長尺部材の係止溝部に対して遊びをもって装着可能であってもよい。
【0083】
具体的には、例えば、前記マグネット本体部の切欠き部は、下記(1)第1の切欠き部、(2)第2の切欠き部、(3)第3の切欠き部及び(4)切除部のうち、少なくとも(1)第1の切欠き部を備えていてもよい。なお、前記マグネット本体部の裏面に形成された切欠き部を「第1の切欠き部」、前記マグネット本体部の表面に形成された切欠き部を「第2の切欠き部」、前記マグネット本体部の側壁面に形成された切欠き部を「第3の切欠き部」という場合がある。また、「切除部」は「第4の切欠き部」とみることもできる。
【0084】
(1)前記マグネット本体部の裏面に、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して形成された少なくとも1つの第1の切欠き部(1又は複数の第1の切欠き部;裏面切欠き部)
(2)前記マグネット本体部の表面に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部(1又は複数の第2の切欠き部;表面切欠き部)
(3)前記マグネット本体部の側壁面に形成された第3の切欠き部(側壁切欠き部)
(4)前記マグネット本体部の表面及び裏面のうち少なくとも裏面に形成された切除部であって;前記マグネット本体部の両側部を余して形成された複数の第1の切欠き部の間の部位が切除された切除部(厚みを薄く又は調整するための切除部;裏面切除部;第4の切欠き部)
【0085】
これらの切欠き部のうち、マグネット本体部には少なくとも前記第1の切欠き部(1)を形成するのが好ましく、切欠き部は、前記第1の切欠き部(1)単独で形成してもよく、前記第1の切欠き部(1)と、前記第2の切欠き部(2)、第3の切欠き部(3)、及び切除部又は第4の切欠き部(4)から選択された少なくとも1種とを組み合わせて切欠き部を形成してもよい。なお、1つの切欠き部が、開口部から深部方向にいくにつれて形状の異なる複数の切欠き要素部で形成されている場合、複数の切欠き要素部を、切欠き部の開口部から深部方向に向かって、順次に第1の切欠き要素部、第2の切欠き要素部と称する場合がある。
【0086】
前記第1の切欠き部(1)及び第2の切欠き部(2)は、それぞれ、1又は複数の切欠き部で形成でき、1又は複数の切欠き部は、前記マグネット本体部の幅方向の中央部又は中央域を基準として、前記中央部又は中央域を含み若しくは前記中央部又は中央域を含むことなく(中央部又は中央域から位置ずれして)、幅方向に、所定の幅でランダムな間隔で、好ましくは等間隔に形成してもよい。第1の切欠き部(1)と第2の切欠き部(2)との深さは同一又は異なっていてもよく、複数の第1の切欠き部(1)及び/又は第2の切欠き部(2)が、1つの切欠き要素部、又は複数の切欠き要素部で形成されているとき、複数の第1の切欠き部(1)及び/又は第2の切欠き部(2)の深さは同一又は異なっていてもよい。
【0087】
具体的には、第1の切欠き部(1)を単一の切欠き部で形成するとき、単一の切欠き部は、前記マグネット本体部の幅方向の中央部又は中央域から位置ずれして形成してもよいが、前記マグネット本体部の幅方向の中央部又は中央域に所定の幅で単一の切欠き部で形成してもよく;前記第1の切欠き部(1)を複数の切欠き部で形成するとき、複数の切欠き部は、前記マグネット本体部の幅方向の中央部又は中央域を基準として、幅方向にランダムな間隔で、好ましくは等間隔に形成してもよい。例えば、前記マグネット本体部の幅方向の中央部又は中央域の両側部に間隔をおいて、所定の幅で複数(例えば、2つ)の第1の切欠き部(1)で形成してもよく、前記マグネット本体部の幅方向の中央部又は中央域と、この中央部に両側部とに、所定の幅で間隔をおいて(例えば、等間隔で)複数(例えば、3つ)の第1の切欠き部(1)で形成してもよい。好ましい前記第1の切欠き部(1)は、前記中央部又は中央域に所定の幅で形成された中央切欠き部及び/又は前記中央部又は中央域に隣接する両側部又は両側域に形成された両側部切欠き部を備えていてもよい。
【0088】
前記1又は複数の第1の切欠き部(1)は、少なくとも前記係止延出部を余して(又は残して)形成すればよく、切欠き部の形態に応じて、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して形成してもよい。例えば、単一の第1の切欠き部、若しくは複数の第1の切欠き部のうち幅方向の両側部に位置する第1の切欠き部が、幅方向の中心部又は中心域の方向にいくにつれて厚みが小さくなる形態(直線状又は湾曲して傾斜した形態、特に湾曲して傾斜した形態)では、前記第1の切欠き部は、前記係止延出部を余して形成してもよく(前記マグネット本体部の両側部又はその近傍を起点として第1の切欠き部で切欠かれていてもよく)、前記係止延出部及び前記マグネット本体部の両側部を余して形成してもよく;前記第1の切欠き部が、マグネット本体部の両側部において、マグネット本体部の厚み方向に若しくは厚み方向に対して小さな角度で幅方向の内方に傾斜して延びる両側内側壁を有する形態(断面コ字状、断面台形状などの傾斜角度の大きな内側壁を有する形態)では、前記マグネット本体部の両側部を余して形成してもよい。すなわち、第1の切欠き部は、前記マグネット本体部の両側部、若しくは前記係止延出部を余して(又は残して)形成してもよい。
【0089】
なお、前記係止延出部などを余して第1の切欠き部を形成する態様において、前記マグネット本体部と前記係止延出部とのコーナー部及び/又は前記係止延出部から立ち上がる支持壁の厚みが極度に小さくなると、マグネット部材の機械的強度及び耐久性が低下するおそれがある。そのため、前記マグネット本体部を含め、前記コーナー部及び/又は前記支持壁は所定の厚みを確保するのが有用である。
【0090】
前記第2の切欠き部(2)は、第1の切欠き部(1)と関連してマグネット本体部の適所(例えば、幅方向の中央部又は中央域、少なくとも一方の側部域)に形成でき、マグネット本体部の厚み方向(表面又は裏面)からみたとき、第1の切欠き部(1)の切欠き領域及び第2の切欠き部(2)の切欠き領域のうち、一方の切欠き部の切欠き領域に他方の切欠き部の切欠き領域が包含されていてもよく、第1の切欠き部(1)の切欠き領域と第2の切欠き部(2)の切欠き領域とは重複していてもよく;好ましくは前記第1の切欠き部(1)の切欠き領域と前記第2の切欠き部(2)の切欠き領域とは、部分的に(例えば、前記切欠き領域の幅方向の両側部域のうち少なくとも一方の側部域で)重複していてもよい。例えば、少なくとも1つの前記第1の切欠き部(裏面切欠き部)の幅方向の中央部と、少なくとも1つの第2の切欠き部(1又は複数の表面切欠き部)の幅方向の中央部とが位置ずれし、前記第1の切欠き部(1)の切欠き領域と前記第2の切欠き部(2)の切欠き領域とが部分的に重複していてもよく;前記第1及び第2の切欠き部(1)(2)のうち、一方の切欠き部を形成する中央切欠き部の切欠き領域が、他方の切欠き部を形成する両側部切欠き部の切欠き領域と部分的に重複していてもよい。
【0091】
好ましい態様では、マグネット本体部の厚み方向(表面又は裏面)からみたとき、前記第1の切欠き部(1)の切欠き領域と前記第2の切欠き部(2)の切欠き領域とは、重複することなく前記第1の切欠き部(1)及び第2の切欠き部(2)を形成してもよい。例えば、第2の切欠き部(2)は、第1の切欠き部(1)に対応する位置又は部位を避けて形成でき、複数の第1の切欠き部(1)が形成されているとき、複数の第1の切欠き部(1)の間に対応する位置又は部位(隣接する裏面切欠き部(1)の間に対応する領域)に形成できる。好ましい態様では、第2の切欠き部(2)は、第1の切欠き部(1)に対応する位置又は部位を避けて、マグネット本体部の中央部又は中央域に形成された中央切欠き部及び/又は中央部又は中央域に隣接する両側部(側部域)に形成された両側部切欠き部を備えていてもよい。
【0092】
前記第3の切欠き部(3)は、前記マグネット本体部の側壁面から前記マグネット本体部の内方(幅方向のうち内側方向)に形成することができ、係止延出部に沿って内側方向に形成してもよく、側壁の高さ方向の中央部から内側方向に形成してもよく、側壁の上端部から内側方向に形成してもよい。第3の切欠き部は、前記マグネット本体部の一方の側壁面に形成してもよいが、前記マグネット本体部の両側壁面に形成する場合が多い。
【0093】
前記切除部又は第4の切欠き部(4)は、必ずしも必要ではなく、前記マグネット本体部の表面及び裏面のうち少なくとも一方、例えば、裏面に形成してもよく、隣接する前記複数の切欠き部の隣接領域に適用できる。例えば、複数の第1の切欠き部の間(例えば、隣接する第1の切欠き部の隣接領域)に位置する前記マグネット本体部の裏面を切除して厚みを薄く(又は厚みを調整)、例えば、所定厚みにスライス状に切除し、厚みを薄くしてもよく;複数の第2の切欠き部の間に位置する前記マグネット本体部の表面領域を切除してマグネット本体部の厚みを薄くしてもよく、幅方向において最も側部に位置する第2の切欠き部から側縁に至る表面領域を切除してマグネット本体部の側部の厚みを薄くしてもよい。また、複数の切除部又は第4の切欠き部があるとき、切除部の切除厚み(又は切除されたマグネット本体部の厚み)は同一又は異なっていてもよい。このような切除部により、前記切欠き部のみならず、複数の第1の切欠き部の間の前記マグネット本体部の裏面も、溝本体部の底部壁又は係止延出部の底面から遊離させてもよい。
【0094】
マグネット部材(並びにマグネット本体部)は、幅方向の中心部での厚み方向の基準線を中心線として、必ずしも左右対称形状である必要はなく、好ましくは左右対称形状(マーカー溝32又はマーカー凸条部を除き、左右対称形状)を有していてもよい。
【0095】
具体的には、マグネット本体部は、下記(1a)~(1d)のいずれかに記載の形態を有していてもよく、マーカーとして機能するセンター溝部31及びマーカー溝32又はマーカー凸条部(特に、マーカー溝32又はマーカー凸条部)を除き、前記対称形状を有している。
【0096】
(1a)前記マグネット本体部の裏面に、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して形成された1つの第1の切欠き部(又は凹溝状の切欠き部)を備えている
(1b)前記マグネット本体部の裏面に、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して形成された複数(例えば、2又は3つ)の第1の切欠き部と;前記複数の第1の切欠き部の間の前記マグネット本体部の裏面が切除された切除部(厚みが薄く又は厚みが調整された切除部)とを備えている
(1c)前記マグネット本体部の裏面に、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して形成された少なくとも1つの第1の切欠き部と;前記マグネット本体部の表面に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部とを備えており;前記第1の切欠き部及び/又は第2の切欠き部(前記第1の切欠き部及び第2の切欠き部のうち少なくとも一方の切欠き部)が複数の切欠き部を備えており;前記マグネット本体部の厚み方向からみたとき、前記第1の切欠き部の切欠き領域と前記第2の切欠き部の切欠き領域とが、重複することなく又は幅方向の両側部域のうち少なくとも一方の側部域で重複している。すなわち、第1の切欠き部と第2の切欠き部とは、それぞれの切欠き領域が、互いに重複することなく又は幅方向の両側部域のうち少なくとも一方の側部域で重複して形成してもよい。
【0097】
この態様(1c)は、前記マグネット本体部の裏面に、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して形成された複数(例えば、2又は3つ)の第1の切欠き部と;前記マグネット本体部の表面に形成された第2の切欠き部であって、前記複数の第1の切欠き部の間に対応する前記表面の位置又は部位に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部(1又は複数の第2の切欠き部、例えば、1つの中央切欠き部又は2つの両側部切欠き部)とを備えていてもよい。
【0098】
(1d)前記マグネット本体部の裏面に、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して形成された少なくとも1つの第1の切欠き部と;前記マグネット本体部の表面に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部とを備えており;前記第1の切欠き部及び/又は第2の切欠き部(前記第1の切欠き部及び第2の切欠き部のうち少なくとも一方の切欠き部)が複数の切欠き部を備えており;前記マグネット本体部の厚み方向からみたとき、前記第1の切欠き部の切欠き領域と前記第2の切欠き部の切欠き領域とが、重複することなく又は幅方向の両側部域のうち少なくとも一方の側部域で重複しており;複数の前記切欠き部の間の前記マグネット本体部の裏面が切除された切除部(厚みが薄く又は厚みが調整された切除部)を備えている。
【0099】
この態様(1d)は、前記マグネット本体部の裏面に、前記係止延出部、若しくは前記マグネット本体部の両側部を余して形成された前記複数(例えば、2又は3つ)の第1の切欠き部と;前記マグネット本体部の表面に形成された第2の切欠き部であって、前記複数の前記第1の切欠き部の間に対応する前記表面の位置又は部位に形成された少なくとも1つの第2の切欠き部(1又は複数の第2の切欠き部、例えば、1つの中央切欠き部又は2つの両側部切欠き部)と;複数の前記第1の切欠き部の間の前記マグネット本体部の裏面が切除された切除部(厚みが薄く又は厚みが調整された切除部)とを備えていてもよい。さらに、複数の第2の切欠き部が形成された態様では、隣接する第2の切欠き部の間が切除されてマグネット本体部の厚みが小さく形成されていてもよく、最も側部に位置する第2の切欠き部から側縁に至る領域が切除されマグネット本体部の側部の厚みが小さく形成されていてもよい。
【0100】
これらの態様(1a)~(1d)において、前記第2の切欠き部に代えて又は前記第2の切欠き部とともに、第3の切欠き部を形成してもよい。例えば、第1の切欠き部と、第2の切欠き部及び第3の切欠き部から選択された少なくとも一方の切欠き部とを備えていてもよい。また、態様(1c)及び(1d)において、第2の切欠き部は、前記のように、複数の前記第1の切欠き部の間に対応する前記表面の位置又は部位に限らず、両側部域に形成された両側部切欠き部を備えていてもよい。
【0101】
さらに、前記マグネット本体部と係止延出部とのコーナー部には必ずしもリブ部を形成する必要はないが、前記コーナー部にリブ部を形成すると、マグネット部材の変形、特にマグネット部材の両側部の変形(例えば、係止延出部の反り)を有効に抑制できる。このリブ部は、前記コーナー部で前記マグネット本体部と前記係止延出部とを連結する形態であればよく、前記コーナー部に対して、直線状又は湾曲状(前記コーナー部に向かって窪んだアール状、前記コーナー部から外方向に膨らんだアール状)に傾斜する傾斜面が交差した形態の傾斜部(例えば、断面三角形状の傾斜部)を形成してもよい。好ましい態様では、前記リブ部は、直線状又は前記コーナー部に向かってアール状に窪んで傾斜していてもよい。
【0102】
前記態様(1a)の1つの第1の切欠き部は、前記図3に示す形態、すなわち、断面台形状の第1の切欠き要素部24と断面四角形状(断面コ字状)の第2の切欠き要素部25とで形成する必要はなく、例えば、図5に示す形態の切欠き部であってもよい。なお、前記図3に示すマグネット部材と重複又は共通する部位には、前記図3と同じ符号を付して説明する。
【0103】
図5(A)に示すように、マグネット部材81aのマグネット本体部82aの切欠き部は、断面台形状(開口部側が拡がった断面コ字状)の第1の切欠き部83aだけで形成してもよく;このような切欠き部83aは、例えば、前記傾斜壁26が前記第2の切欠き要素部25又は前記第1の切欠き要素部24の深さに至るまで切除又は形成してもよい。また、図5(B)に示すように、マグネット部材81bのマグネット本体部82bの第1の切欠き部は、断面コ字状(開口部から厚み方向に対向壁が延びる断面コ字状)の切欠き部83bだけで形成してもよく;このような切欠き部83bは、前記第1の切欠き要素部24又は第2の切欠き要素部25の開口部幅と同じ幅で、前記立設壁27が、前記第1の切欠き要素部24又は第2の切欠き要素部25の深さに至るまで切除又は形成してもよい。さらに、図5(C)に示すように、マグネット部材81cの第1の切欠き部は、幅広に限らず、マグネット本体部82cの両側部を余して幅狭の切欠き部83cで形成してもよく、この第1の切欠き部は、断面台形状、断面コ字状などであってもよい。前記態様(1a)の1つの第1の切欠き部は、前記形態に限らず、断面湾曲状などの形態で、マグネット本体部の幅方向の全体に亘り形成してもよい。例えば、図5(D)に示すように、マグネット部材81dのマグネット本体部82dの幅方向の中心部又は中心域の方向にいくにつれて厚みが小さくなる湾曲形態では、係止延出部29を余して、幅方向の全体に亘り湾曲した湾曲切欠き部83d(マグネット本体部82dの両側部を起点として切り欠かれた湾曲切欠き部83d)で形成してもよい。
【0104】
なお、図5(C)及び(D)に示す例では、前記マグネット本体部82(82c,82d)と係止延出部29とのコーナー部に形成されたリブ部30は、前記直線状に傾斜したリブ部ではなく、前記コーナー部に向かってアール状に窪んで傾斜した湾曲リブ部を形成している。前記態様(1a)の1つの第1の切欠き部において、湾曲切欠き部は、前記方向とは逆に、マグネット本体部の対向(又は表面)方向から裏面方向に膨らんで、例えば、マグネット本体部82dの幅方向の中心部又は中心域の方向にいくにつれて厚みが大きくなる湾曲形態で湾曲していてもよく;マグネット本体部82dの両側部を余して形成してもよい。
【0105】
前記態様(1a)の1つの第1の切欠き部は、前記形態に限らず、複数の切欠き要素を組み合わせて形成してもよい。1つの第1の切欠き部は、図3及び下記図7に示す形態に限らず、例えば、断面コ字状の第1の切欠き要素部と、断面台形状又は断面湾曲状の第2の切欠き要素部とを組み合わせてもよく、断面台形状又は断面湾曲状の第1の切欠き要素部と、断面コ字状の第2の切欠き要素部とを組み合わせてもよく、断面コ字状又は断面台形状の第1の切欠き要素部と、断面台形状又は断面コ字状の第2の切欠き要素部と、断面湾曲状の第3の切欠き要素部とを組み合わせて形成してもよい。
【0106】
前記態様(1b)の切欠き部は、例えば、図6に示す装着凹部に装着可能な形態を有していてもよい。この例では、長尺部材の装着凹部を形成する装着凹部壁は、前記凹溝壁5が形成されることなく、前記底部壁6が連続して(連なって)形成された底部壁106と、この底部壁の両端部から断面L字状の形態で連なる装着壁107とを備えており、この装着壁の端部からは、前記と同様の突出壁108が突出している。なお、図6には前記装着凹部を形成する装着凹部壁だけが示されている。
【0107】
図6(A)に示すように、マグネット部材101のマグネット本体部102の第1の切欠き部103は、マグネット本体部102の裏面に形成された2つの断面コ字状の切欠き部104を備えており、これらの切欠き部の間に位置する部位(前記マグネット本体部102の裏面の部位)は所定の厚みで切除されて切除部105を形成し、この切除部105により、2つの断面コ字状の切欠き部104の間のマグネット本体部102の厚みが小さく形成されている(すなわち、前記切除部105は、前記切欠き部104よりも深さが小さく形成され、前記切欠き部104よりもマグネット本体部102の厚みが大きく形成されている)。なお、マグネット本体部102の裏面には断面コ字状の第1の切欠き部104に限らず、図6(B)に示すように、第1の切欠き部113は、マグネット本体部112の裏面に、開口部が拡がった断面コ字状(断面台形状)の切欠き部114などで形成してもよく、前記と同様に、これらの切欠き部の間に位置する部位を切除して切除部116を形成してもよい。
【0108】
さらに、切欠き部の形態は、前記断面コ字状などの形態に限らず、断面U字状(又は湾曲状)、断面V字状などであってもよく、マグネット本体部の裏面だけに限らず、マグネット本体部の表面、側壁面などに形成してもよい。例えば、図7に示されるように、マグネット部材121の第1の切欠き部123は、マグネット本体部122の裏面に形成された幅広の断面コ字状の第1の切欠き要素部124と、この第1の切欠き要素部から厚み方向に窪んで形成された断面U字状(又は湾曲状)の第2の切欠き要素部125とを備えていてもよい。さらに、マグネット部材121はマグネット本体部122の側壁に侵入した形態で、係止延出部29の上部壁に沿って形成された第3の切欠き部(側壁切欠き部)127も備えていてもよい。
【0109】
さらに、前記マグネット部材は、磁気的吸着力による開閉部材の閉止力を損なわない範囲で、前記態様(1c)及び(1d)のように、前記マグネット本体部の表面に少なくとも1つの第2の切欠き部を有していてもよい。
【0110】
例えば、図8に示されるように、マグネット部材131は、マグネット本体部132の裏面に形成された断面台形状の1つの第1の切欠き部133と、マグネット本体部132の表面に幅方向に等間隔に形成された断面コ字状の複数(この例では3つ)の第2の切欠き部138とを備えていてもよく、第2の切欠き部138は、幅方向の中央部又は中央域に形成された中央切欠き部138aと、両側部域の側部切欠き部138bとで形成してもよい。
【0111】
なお、第2の切欠き部を有するマグネット部材においても、第1の切欠き部は、前記のように、断面コ字状などの1つに限らず、複数の切欠き要素部を組み合わせて形成してもよい。
【0112】
さらに、マグネット本体部には、前記のように、第1の切欠き部に加えて、第2の切欠き部、第3の切欠き部、切除部から選択された少なくとも1種を形成してもよい。例えば、第1の切欠き部及び第2の切欠き部を有する態様において、図9(A)に示されるように、マグネット部材141は、マグネット本体部142の裏面の幅方向の中央部に隣接する両側部又は両側域に形成された複数(この例では、2つ)の第1の切欠き部143と、これらの第1の切欠き部143の間に対応するマグネット本体部142の裏面がスライス状に切除された切除部146と、前記マグネット本体部の表面に形成された第2の切欠き部148とを備えている。この例では、第1の切欠き部143は断面コ字状の第1の切欠き要素部144と断面台形状の第2の切欠き要素部145とを備えており、第2の切欠き部148は、前記複数の前記第1の切欠き部143の間に対応する位置又は部位に形成された中央切欠き部148aと、両側部に形成された側部切欠き部(両側部切欠き部)148bとを備えている。なお、この例では、マグネット本体部142の厚み方向から見たとき、2つの第1の切欠き部143の切欠き領域の側部域と、第2の切欠き部(両側部切欠き部)148bの切欠き領域の内方側部域とで前記切欠き領域が部分的に重複していてもよい。
【0113】
図9(B)に示す態様では、マグネット部材151のマグネット本体部152の裏面に形成された第1の切欠き部153は、幅広で深さが小さな断面コ字状の第1の切欠き要素部154と、この第1の切欠き要素部から深部方向に、前記第1の切欠き要素部154よりも狭い幅で切り欠かれた断面コ字状の第2の切欠き要素部155とで形成され、マグネット本体部152の表面に形成された第2の切欠き部(両側部切欠き部)158bは、深さが最も大きな前記第2の切欠き要素部155に対応する部位を避けてマグネット本体部152の表面の両側部又は両側域に形成されている。また、マグネット本体部152の厚み方向から見たとき、第1の切欠き要素部154の切欠き領域と、第2の切欠き部(両側部切欠き部)158bの切欠き領域とが部分的に重複している。
【0114】
図9(C)に示す態様では、マグネット部材161は、マグネット本体部162の裏面の幅方向の中央部に隣接する両側部又は両側域に形成された第1の切欠き部(両側部切欠き部)163と、これらの第1の切欠き部163の間に対応する裏面の部位が切除又は切り欠かれて断面三角状の突出部を形成する切除部166と、マグネット本体部162の表面に形成された第2の切欠き部168とを備えている。前記第1の切欠き部163は、断面コ字状の第1の切欠き要素部164と、断面台形状の第2の切欠き要素部165とで形成され、第2の切欠き部168は、断面V字状又はU字状の中央切欠き部168aと、両側部に形成された断面V字状又はU字状の側部切欠き部(両側部切欠き部)168bとを備えている。この例では、前記中央切欠き部168aと一方の側部切欠き部168bとを、磁極マーカーとして利用してもよい。
【0115】
さらに、前記切除部を形成することにより、前記切除部による切除厚みが小さくても、マグネット部材を長尺部材の装着凹部に円滑にスライドさせて装着できる。
【0116】
図10(A)に示す態様では、マグネット部材171は、マグネット本体部172の裏面の幅方向の両側部又は両側域に形成された断面コ字状の第1の切欠き部(幅狭の両側部切欠き部)173と、これらの第1の切欠き部173の間に対応する裏面の部位が薄く切除又は切り欠かれた切除部176と、マグネット本体部172の表面に形成された断面コ字状の幅広の第2の切欠き部178とを備えている。幅広の第2の切欠き部178は、前記裏面の2つの第1の切欠き部(両側部切欠き部)173の間に対応する表面の位置又は部位に形成されており、第1の切欠き部173と第2の切欠き部178とは互いに切欠き領域が重複することなく形成されている。この例では、前記切除部(溝本体部の底部壁又は係止延出部の底面からの遊離間隔)176による切除厚みが小さく、マグネット本体部の厚みを「100」としたとき、3~15、好ましくは5~10程度であってもよい。
【0117】
図10(B)に示す態様では、マグネット部材181は、マグネット本体部182の2つの第1の切欠き部183が、開口部から深部方向(厚み方向)にいくにつれて幅方向の中央部の方向に傾斜した側部壁としての傾斜壁と、開口部から深部方向(厚み方向)に延びる立設壁とで形成されている点、前記図10(A)の切除部176よりも切除厚みの大きい切除部186を形成している点、前記図10(A)の第2の切欠き部178よりも深さが小さな第2の切欠き部188を形成している点を除き、前記図10(A)と同様の形態を有している。この例では、前記切除部186による切除厚み(遊離間隔)は、マグネット本体部の厚みを「100」としたとき、15~35、好ましくは20~30程度であってもよい。
【0118】
図10(C)に示す態様では、マグネット部材191は、マグネット本体部192の両側壁(立設壁面)に断面コ字状の第3の切欠き部197が形成されている点、この第3の切欠き部197の切欠き深さに対応して、前記図10(A)と同様の第1の切欠き部173が幅方向の中央部方向にシフトした形態で断面コ字状の第1の切欠き部193が形成されている点、前記図10(A)の第2の切欠き部178及び切除部176に比べて幅の小さな第2の切欠き部198及び切除部196を形成している点を除き、前記図10(A)と同様の形態を有している。
【0119】
なお、図10には、マグネット本体部172,182,192と係止延出部29とのコーナー部のリブ部が図示されていないが、前記コーナー部には前記と同様のリブ部30を形成してもよい。
【0120】
このような態様のマグネット部材でも、マグネット本体部の両側部が、係止延出部から延びる支持壁(立設支持壁又は傾斜支持壁)で支持されているため、マグネット部材の機械的強度を確保できる。
【0121】
なお、前記マグネット本体部の側壁面に第3の切欠き部を形成したマグネット部材では、この第3の切欠き部には、長尺部材の装着凹部壁を形成する装着壁を装着してもよい。例えば、図7及び図10(C)において、図1図2及び図6に示す長尺部材の装着凹部壁の前記突出壁8,108を前方方向(対向方向)に突出して形成することなく、前記装着壁7,107をさらに内方に延出させて前記第3の切欠き部127,197に装着又は嵌合してもよい。
【0122】
前記のように、マグネット部材(並びにマグネット本体部)は、必ずしも左右対称形状である必要はなく、前記マグネット本体部の表面のうち幅方向の一方の側部に切欠き部又は凸条部を形成してもよい。例えば、前記マーカー溝32に対応する部位に切欠き部(表面切欠き部)又は凸条部を形成し、この切欠き部又は凸条部を、幅方向に異なる磁極(S極とN極と)を隣接して形成(又は磁化)したマグネット部材において、磁極を示すためのマーカーとして形成してもよい。
【0123】
図11に示すマグネット部材201は、マグネット本体部202の裏面の両側部に形成された第1の切欠き部203(この例では、断面台形状の切欠き部)と、これらの第1の切欠き部の間の領域が切除された切除部206と、前記マグネット本体部202の表面の幅方向の中央部に形成された第2の切欠き部208a(この例では、断面逆台形状の切欠き部)と、前記マグネット本体部202の表面の一方の側部に形成された第2の切欠き部208b(この例では、断面V字状又はU字状の切欠き部)とを備えており、前記第2の切欠き部208aと第2の切欠き部208bとで第2の切欠き部208を形成している。そして、前記側部の切欠き部208bは磁極を示すためのマーカーとして利用できる。なお、前記マグネット本体部202の表面の幅方向の中央部には、前記センター溝部31又は第2の切欠き部を長手方向に形成してもよい。
【0124】
係止延出部は、前記マグネット本体部の両側部から側部方向に延出すればよく、前記マグネット本体部の両側部の高さ方向の下部から側部方向に延出する必要はなく、高さ方向の上部、高さ方向の中央部から側部方向に延出していてもよい。このような形態のマグネット本体においても、前記と同様に切欠き部を形成できる。
【0125】
例えば、図12に示すように、マグネット部材211は、マグネット本体部212の両側部の壁面の高さ方向の中央部から側部方向に延出した係止延出部219を備えており、マグネット本体部212の裏面の両側部に形成された第1の切欠き部213(この例では、断面四角形状の切欠き部)と、これらの第1の切欠き部の間の領域が切除された切除部216と、前記マグネット本体部212の表面の幅方向の中央部に形成された第2の切欠き部218(この例では、断面四角形状の切欠き部)とを備えている。この例では、前記マグネット本体部212と係止延出部219とのコーナー部には、それぞれ、リブ部(補強部)30が形成されている。なお、マグネット本体部212の表面の一方の側部には、前記と同様に、マーカー溝を形成してもよい。
【0126】
なお、マグネット本体部の対向部の表面は、平坦面であってもよく;必要であれば、凹凸形状を有していてもよく;対向部が対向する方向に対して膨らんで又は窪んで湾曲(膨出湾曲又は凹状湾曲)していてもよく;一対のマグネット部材のマグネット本体部の対向面に、互いに嵌合又は挿入可能な凹凸部を形成してもよい。さらに、第1及び/又は第2の切欠き部は、断面コ字状、断面台形状に限らず、円弧状、弓状、凹状などに湾曲していてもよい。図13(A)~(C)は、それぞれ、マグネット部材の他の例を示す概略断面図である。
【0127】
図13(A)に示す例では、マグネット部材221は、前記と同様に、マグネット本体部222から両側部方向に延び、前記係止溝部4に装着可能な係止延出部29と、前記マグネット本体部222の裏面に両側部を余して形成された第1の切欠き部(1つの切欠き部)223と、リブ部30とを備えており、一対の前記マグネット部材221の対向部位(又はその表面)は、対向方向に対して、膨出して湾曲している。具体的には、一対の前記マグネット部材221の対向部位(又はその表面)は、リブ部30から立ち上がった形態で、前記マグネット本体部222の両側部を余して若しくは余すことなく膨出して湾曲している。
【0128】
すなわち、前記マグネット本体部222の対向部の表面は、対向方向に対して、膨出して湾曲する湾曲面(湾曲壁)として形成されている(マグネット本体部222の両側部を余して第2の切欠き部により膨出湾曲して切欠かれたとみなすこともできる)。また、前記第1の切欠き部223の内壁は、開口部側で拡がる傾斜壁226と、この傾斜壁から厚み方向に略平行に延びる立設壁227と、この立設壁227からマグネット本体部222の表面と略平行にアール状に湾曲する上部壁(アール状壁)228とを備えている。すなわち、前記第1の切欠き部223は、開口部側で拡がる断面台形状の第1の切欠き要素部224と、この第1の切欠き要素部の奥部(又は上部)に形成され、奥部壁(又は上部壁)がゆるやかに膨出して湾曲した概略断面四角形状に切欠かれた第2の切欠き要素部225とを組み合わせた形態を有している。このように、前記第1の切欠き部223は、湾曲切欠き部を形成し、前記マグネット本体部222は、厚みが低減し、アーチ状に膨出した湾曲部を形成している。なお、前記と同様に、前記マグネット部材221にも、前記センター溝部31及びマーカー溝32が形成されている。
【0129】
なお、互いに対向する一対のマグネット本体部の少なくとも一方の対向部(又はその表面)は、対向方向に対して、突出する突出部又は凸部(若しくは膨出して湾曲する膨出湾曲部)で形成してもよく、前記膨出形態のマグネット本体部とは逆に、窪んだ凹部(又は凹状に湾曲する凹状湾曲部)で形成してもよい。すなわち、一対のマグネット部材において、突出部又は凸部(若しくは膨出湾曲部)を対向させてもよく、凹部(又は凹状湾曲部)を対向させてもよい。
【0130】
例えば、図13(B)に示すマグネット部材231は、前記と同様に、前記係止溝部4に装着可能な係止延出部29と、マグネット本体部232の裏面に両側部を余して形成された第1の切欠き部(1つの切欠き部)233と、リブ部30とを備えており、一対の前記マグネット部材231の対向部位(又はその表面)が、対向方向に対して、窪んだ凹部(又は凹状に湾曲する凹状湾曲部)で形成されている。具体的には、一対の前記マグネット部材231の対向部位(又はその表面)は、リブ部30から立ち上がった形態で、前記マグネット本体部232の両側部を余して若しくは余すことなく窪んで(又は凹状に)湾曲している。
【0131】
すなわち、前記マグネット本体部232の対向部の表面は、対向方向に対して、窪んで湾曲する湾曲面(凹状湾曲壁)として形成されている(マグネット本体部232の両側部を余して第2の切欠き部により窪んで湾曲して切欠かれたとみなすこともできる)。また、前記第1の切欠き部233の内壁は、開口部側で拡がる傾斜壁236と、この傾斜壁から厚み方向に略平行に延びる立設壁237と、この立設壁237からマグネット本体部232の表面と略平行にアール状に湾曲する上部壁(アール状壁)238とを備えている。すなわち、前記第1の切欠き部233は、開口部側で拡がる断面台形状の第1の切欠き要素部234と、この第1の切欠き要素部の奥部(又は上部)に形成され、奥部壁(又は上部壁)がゆるやかに窪んで湾曲した概略断面四角形状に切欠かれた第2の切欠き要素部235とを組み合わせた形態を有している。このように、前記第1の切欠き部233は、湾曲切欠き部を形成し、前記マグネット本体部232は、厚みが低減した凹状湾曲部を形成している。なお、前記と同様に、前記マグネット部材231にも、前記センター溝部31及びマーカー溝32が形成されている。
【0132】
このような図13(A)(B)に示す形態のマグネット部材221,231でも、軽量化できるとともに、変形を抑制でき、前記係止溝部4に対する装着性を向上できる。また、マグネット本体部222,232の両側部が、係止延出部29から延びる支持壁(立設支持壁227,237又は傾斜支持壁226,236)で支持されているため、マグネット部材の機械的強度を確保できる。
【0133】
なお、マグネット本体部の対向部(又はその表面)は、両側部を余して、若しくは余すことなく、第2の切欠き部により、対向方向に膨出して若しくは窪んで突出又は湾曲していてもよく;少なくとも1つの突出部又は凸部(若しくは膨出湾曲部)及び/又は凹部(又は凹状湾曲部)を備えていてもよい。例えば、マグネット本体部の対向部(又はその表面)は、前記突出部又は凸部(又は膨出湾曲部)と、前記凹部(又は凹状湾曲部)とが幅方向に隣接した凹凸状(又は波形状)であってもよい。さらには、突出部又は凸部(又は膨出湾曲部)と、凹部(又は凹状湾曲部)とは、マグネット本体部の対向部が、互いに嵌合又は装着可能な形態を有していてもよい。
【0134】
例えば、図13(C)に示すように、対向する一対のマグネット部材(又はその表面)を、対向方向に対して、膨出して湾曲する図13(A)のマグネット部材221と、窪んで(又は凹状に)湾曲する図13(B)のマグネット部材231とで形成してもよく、マグネット本体部の対向部が、互いに嵌合又は装着可能な形態を有していてもよい。
【0135】
なお、一対のマグネット部材の組み合わせ形態は、同じ形態又は異なる形態(例えば、対向部の表面形態)のマグネット部材を組み合わせた形態であってもよい。例えば、第2の切欠き部(表面切欠き部)が形成されたマグネット部材(例えば、図8図12に示すマグネット部材)は、前記第2の切欠き部に対応する凸部(隣接する第2の切欠き部間に位置する凸部)が形成されたマグネット部材と対向させて一対のマグネット部材を形成してもよい。
【0136】
このような形態のマグネット部材は、マグネット部材の断面形状に対応する形態の装着凹部に装着してもよく、図1図2及び図4に示すような凹溝壁(凹溝部)5を有する形態の装着凹部などに装着してもよい。
【0137】
前記マグネット部材の本体部を薄肉化するためには、少なくとも1つの前記切欠き部に限らず、少なくとも1つの空洞部(実質的に薄肉化する部位)を形成してもよく、切欠き部と空洞部との双方を形成してもよい。前記空洞部の断面形態は特に制限されず、断面四角形状などの多角形状、円形状、楕円形状、括れた楕円形状又は瓢箪形状、液滴状などであってもよく、無定形状などであってもよい。さらに、空洞部は複数の細孔で形成してもよい。さらには、空洞部は、これらの形態の空洞部が単独で又は二種以上組み合わせて混在した形態であってもよい。また、空洞部は、マグネット本体部の適所に形成でき、中央部、両側部などに形成してもよく、散在していてもよい。なお、空洞部を形成したマグネット本体部には、前記切欠き部(第1~第3の切欠き部、切除部又は第4の切欠き部)を形成してもよく;この切欠き部は、マグネット本体部の裏面に形成された前記第1の切欠き部(1)又は切除部(4)であって、浅溝状の形態の切欠き部であってもよい。
【0138】
例えば、図14(A)に示すように、マグネット部材241は、マグネット本体部242の裏面に両側部を余して形成された浅溝状の第1の切欠き部243(高さが小さな断面長方形又は台形状であり、薄く切除された形態の第1の切欠き部)と、前記マグネット本体部242内に形成された断面楕円形状の空洞部248とを備えていてもよい。また、図14(B)に示すように、マグネット部材251は、マグネット本体部252の裏面に両側部を余して形成された断面波括弧状又はコウモリ傘状の第1の切欠き部253と、前記マグネット本体部252内に形成された断面液滴状の空洞部258a,258b及び細孔状の空洞部258cとを備え、断面液滴状の空洞部258a,258b及び断面円形状の細孔状の空洞部258cで空洞部258を形成してもよい。
【0139】
さらに、図14(C)に示すように、マグネット部材261は、マグネット本体部262の両側部の高さ方向の中央部から側部方向に延出した係止延出部269と、前記マグネット本体部262の裏面に両側部を余して形成された浅溝状の第1の切欠き部263と、前記マグネット本体部262内に形成された断面瓢箪状又は括れた楕円形状の空洞部268とを備えていてもよい。
【0140】
マグネット本体部の両側部の高さ方向の中央部から係止延出部が側部方向に延出したマグネット部材でも、マグネット本体部の表面及び/又は裏面のうち少なくとも一方に、切欠き部(第1の切欠き部及び/又は第2の切欠き部)を形成してもよく;側壁に第3の切欠き部を形成してもよく、切除部又は第4の切欠き部を形成してもよい。
【0141】
なお、本発明のマグネット部材は、前記のように、長さが大きくても、長尺部材の装着凹部に円滑に装着できる。そのため、マグネット部材の長さは特に制限されず、長尺部材の長さに応じて選択でき、例えば、0.3m以上(例えば、0.5~25m)、好ましくは1m以上(例えば、1~20m)、さらに好ましくは1.5m以上(例えば、2~15m)、特に2.5m以上(例えば、3~10m)程度であってもよく、0.6~7.5m、好ましくは0.8~5m程度であってもよい。前記マグネット部材の寸法サイズに関し、例えば、前記切欠き部及び切除部のないマグネット本体部の厚み(板状の前記本体部の厚み)を「100」としたとき、切欠き部の深さ(複数の切欠き部があるときは平均深さ)は、22~80(例えば、25~80)、好ましくは27~77(例えば、30~70)、さらに好ましくは30~75(例えば、35~70)、特に40~65程度であってもよく;例えば、1つの切欠き部が形成されたマグネット部材では、25~70(例えば、30~70)、好ましくは35~65、特に40~60程度であってもよく;複数の第1の切欠き部が形成されたマグネット部材では、35~70、特に40~65程度であってもよい。なお、図14に示すように、空洞部を有するマグネット部材において、空洞部の割合は、マグネット本体部と空洞部との面積割合として算出してもよく、空洞部の割合は、前記切欠き部、切除部及び空洞部のないマグネット本体部の厚み(板状の前記本体部の厚み)を「100」としたとき、前記切欠き部の割合と同様であってもよい。また、第1の切欠き部が浅溝状であるとき、第1の切欠き部の厚み又は深さは、下記の切除部の厚み又は深さと同様であってもよい。
【0142】
マグネット本体部の厚みと係止延出部の厚みとの割合は、例えば、前者/後者=30/70~85/15、好ましくは40/60~80/20(例えば、40/60~70/30)、さらに好ましくは50/50~75/25(例えば、50/50~60/40)程度であってもよい。マグネット部材全体の幅と係止延出部の幅との割合は、例えば、前者/後者=60/40~90/10、好ましくは65/35~80/20(例えば、65/35~75/25)程度であってもよい。
【0143】
マグネット部材全体の高さ(前記切欠き部のないマグネット部材の厚み)を「100」としたとき、係止延出部の厚みは、25~45(例えば、30~40)程度であってもよく;マグネット部材全体の幅は、400~600(例えば、450~570)程度であってもよい。
【0144】
さらに、マグネット本体部の幅を「100」としたとき、1又は複数の第1及び第2の切欠き部の開口部(第1の切欠き要素部部の開口部)の合計幅(合計開口幅)は、表裏面を含め、20~100(例えば、25~100)、好ましくは30~100(例えば、35~95)、さらに好ましくは45~95(例えば、50~90)、特に55~85程度であってもよく;例えば、1つの第1の切欠き部が形成されたマグネット部材では、20~100(例えば、30~100)、好ましくは35~95(例えば、40~95)、さらに好ましくは55~90(例えば、60~85)、特に60~80程度であってもよく;複数の第1の切欠き部が形成されたマグネット部材では、例えば、40~95(例えば、50~95)、好ましくは55~85(例えば、60~80)程度であってもよい。
【0145】
マグネット部材の断面において、マグネット本体部と切欠き部及び空洞部全体との面積割合は、例えば、前者/後者=35/65~95/5(例えば、40/60~92/8)、好ましくは40/60~90/10(例えば、40/60~85/15)、さらに好ましくは45/55~80/20、より好ましくは50/50~75/25程度であってもよい。なお、前記面積割合は、写真に基づく画像解析により算出してもよく、寸法サイズを測定して算出してもよい。
【0146】
マグネット本体部の切除部の厚み又は深さ(装着凹部又は溝本体部の底部壁又は係止延出部の底面からの遊離間隔)は、マグネット本体部の厚みを「100」としたとき、1~25、好ましくは2~20、さらに好ましくは3~15(例えば、5~10)程度であってもよい。
【0147】
なお、切欠き部が複数の切欠き要素部で形成されているとき、各切欠き要素部の深さは特に制限されず、切欠き部の形態に応じて選択でき、例えば、第1の切欠き要素部の深さと第2の切欠き要素部の深さの割合は、例えば、前者/後者=20/80~80/20、好ましくは30/70~70/30程度の範囲から選択してもよい。
【0148】
さらに、マグネット部材の機械的強度を維持するため、マグネット本体部の幅と、両側部に位置する支持壁の厚み(マグネット本体部の両側外壁と隣接する切欠き部の内壁との距離)との割合は、例えば、前者/後者=5/95~25/75、好ましくは7/93~20/80、さらに好ましくは10/90~15/85程度であってもよい。
【0149】
このようなマグネット部材は、前記マグネット本体部の少なくとも両側部が前記係止延出部から立ち上がる形態を有していてもよく、幅方向の中央部での厚み方向の基準線を基準にして左右対称形状を有していてもよい。すなわち、長尺部材の前記溝本体部に対応して形成された前記マグネット本体部の両側部からは、屈曲又は湾曲して延びる支持壁(立設支持壁、傾斜支持壁、湾曲支持壁)を介して、前記係止溝部に装着可能な前記係止延出部から立ち上がる形態(装着状態で前記マグネット本体部が前記長尺部材の溝本体部の底面(底部壁)から遊離した形態)を有していてもよい。好ましい態様では、前記マグネット本体部及び支持壁(立設支持壁、傾斜支持壁など)は、それぞれ略等しい厚みを有していてもよい。
【0150】
このようなマグネット部材は、前記マグネット本体部を薄肉化することにより、軽量化でき、前記マグネット本体部を薄肉化(軽量化)しても、磁気的吸着力をさほど低下させることがない。しかも、マグネット本体部と係止延出部(係止部)との間に支持壁(傾斜支持壁など)が介在するため、アーチ効果によりマグネット部材の強度を向上できる。
【0151】
なお、マグネット部材では、幅方向又は厚み方向に異なる磁極を隣接(又はS極とN極とを隣接して磁化)していてもよい。このようなマグネット部材を、互いに反対の磁極を向けて長尺部材に配設すると、一方の対向部材の軸線に対して位置ずれすることなく、他方の対向部材を緊密に密着させることができる。なお、厚み方向(又は対向方向)に異なる磁極を隣接させて磁化した一対のマグネット部材を、互いに反対の磁極を向けて長尺部材に配設すると、一方の対向部材の軸線に対して位置ずれする場合がある。そのため、幅方向に異なる磁極を隣接させて磁化した一対のマグネット部材を、互いに反対の磁極を向けて長尺部材に配設させることにより、一方の長尺対向部材の軸線に対して位置ずれすることなく、他方の長尺対向部材を緊密に密着させることができる。
【0152】
また、前記マグネット部材には必ずしも必要ではないが、装着凹部に対して誤った方向に装着するのを防止するため、マグネット部材及び/又は長尺部材(装着凹部を含む)(特に、少なくともマグネット部材)には、マーカーを付してもよく、このマーカーは磁極(N極及びS極)と装着方向又は装着位置と関連させて付してもよい。このマーカーは、前記溝部(センター溝部、マーカー溝)などの切り込みや凸条部、着色(着色ラインなど)、文字(N、S、右、左など)などであってもよい。
【0153】
一対のマグネット部材は、磁気的吸引力の作用により、一対の長尺部材を閉じ可能であれば、非接触状態であってもよく、好ましくは接触状態で一対の長尺部材を閉じ可能である。一対のマグネット部材の対向部(又は対向面)は、点接触、線接触可能であってもよく、前記対向部(又は対向面)が少なくとも部分的に面接触可能であるのが好ましい。
【0154】
前記マグネット部材の残留磁束密度、最大エネルギー積などの磁気特性は、用途に応じて適宜選択でき、前記残留磁束密度は、例えば、1~20kG(好ましくは2~15kG、さらに好ましくは3~10kG)程度から選択でき;前記最大エネルギー積は、例えば、0.3~40MGOe(好ましくは0.4~30MGOe、さらに好ましくは0.5~20MGOe)程度から選択できる。
【0155】
[セット]
本発明は、前記マグネット部材と、このマグネット部材が装着可能な装着凹部を備えた前記長尺部材とのセットも包含する。このようなセットにおいて、前記装着凹部に対してマグネット部材を装着した状態で、マグネット本体部の裏面は、前記長尺部材の溝本体部の底部壁(装着凹部の底部壁)と接触していてもよく、前記のように、マグネット本体部の裏面の少なくとも一部(第1の切欠き部及び切除部)が所定の幅で前記長尺部材の溝本体部の底部壁(装着凹部の底部壁)から遊離していてもよい。また、前記長尺部材の係止溝部に対して前記マグネット本体部の係止延出部は、緊密に装着してもよいが、遊びをもって装着可能である。
【0156】
さらに、マグネット部材は、前記装着凹部への装着状態で、前記マグネット本体部の表面が、前記長尺部材の前記溝本体部の両側壁よりも低い位置(装着凹部(装着凹部壁)よりも内部位置)に位置していてもよいが、前記前記装着凹部の開口部(溝本体部の両側壁)と同じ高さ位置(装着凹部(装着凹部壁)とほぼ同一面)に位置してもよく、前記装着凹部(溝本体部)の開口部(装着凹部(装着凹部壁))から突出していてもよい(開口部から前方方向に突出可能であってもよい)。
【0157】
[開閉部材]
本発明は、前記長尺部材と前記磁気的吸着部材とを備えた開閉部材も包含する。この開閉部材において、前記一対の長尺部材は、互いに対向可能であってもよく;前記一対の長尺部材の対向面に、互いに磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材がそれぞれ配設可能であってもよい。前記一対の長尺部材のうち、少なくとも一方の長尺部材が可動であればよく、他方の長尺部材は固定されていてもよく、双方の長尺部材が可動であってもよい。すなわち、本発明の開閉部材は、片開き方式(一方の長尺部材又は対向部材が固定され、他方の長尺部材又は対向部材が前記一方の長尺部材の方向に可動な又は開く方式)、及び両開き方式(一対の長尺部材又は対向部材が互いに左右両方向などに可動又は開閉可能な方式)のいずれにも適用でき;片開き方式では、固定部(壁部や柱部などの立設部、床部など)に一方の長尺部材又は対向部材が固定して配設され、他方の長尺部材は、左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向に移動して、一方の長尺部材又は対向部材に対して対向可能であってもよく;両開き方式でも、一対の長尺部材又は対向部材が、左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向、好ましくは左右方向に移動し、互いに対向可能であってもよい。
【0158】
このような開閉部材において、一対の長尺部材の対向面には、互いに磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材がそれぞれ配設可能であり;前記一対の長尺部材のうち、少なくとも一方の長尺部材に、前記磁気的吸着部材として前記マグネット部材を装着すればよく、一方の長尺部材に前記マグネット部材を装着し、他方の長尺部材に、前記磁気的吸着部材として、強磁性体(鉄、ニッケル、コバルト、これらの金属を含む合金(SUS304などのステンレススチール鋼など)など)で形成された磁石類を装着又は取り付けてもよい。好ましい態様では、前記一対の長尺部材のうち少なくとも可動な前記長尺部材(特に、可動な一対の前記長尺部材)の対向面には長手方向に前記装着凹部が形成され、この装着凹部には、磁気的吸着部材としての前記マグネット部材を装着してもよい。すなわち、少なくとも前記装着凹部に装着可能な前記磁気的吸着部材は、前記マグネット部材で形成できる。
【0159】
前記一対の長尺部材は、互いに相対的に離反又は近接する方向へ移動又はスライドして対向可能であってもよく;一対の長尺部材の対向面に、互いに反対の磁極を向けて、磁気的に吸着可能な磁気的吸着部材を配設してもよく;前記一対の長尺部材のうち少なくとも可動な前記長尺部材の対向面に長手方向に形成された装着凹部に、前記磁気的吸着部材が装着可能であってもよい。一対の長尺部材の対向面に形成された装着凹部には、互いに反対の磁極を向けて前記磁気的吸着部材(第1の磁気的吸着部材及び第2の磁気的吸着部材)を装着するのが好ましく、このような前記磁気的吸着部材は、第1のマグネット部材及び第2のマグネット部材で形成できる。
【0160】
前記一対の長尺部材のうち、少なくとも可動な前記長尺部材(可動な長尺部材)の対向面に長手方向に形成された前記装着凹部から、マグネット部材が脱落するのを防止するためのストッパーや固定手段などの前記脱落防止手段を備えていてもよい。このような脱落防止手段は、前記長尺部材が縦方向に向いた状態で移動する開閉方式(左右開閉方式)に有用である。
【0161】
さらに、左右方向及び/又は上下方向に移動可能な他方の長尺部材を備えた片開き方式において、前記一対の長尺部材の対向面の装着凹部には、互いに反対の磁極を向けて磁気的吸着部材が装着可能であり、対向する前記磁気的吸着部材は、前記のように、互いに接触状態で対向可能であってもよく、非接触状態で対向可能であってもよい。このような態様でも、前記磁気的吸着部材は、マグネット部材で形成してもよい。
【0162】
例えば、間仕切部材(間仕切シート、パネルなど)を、垂下した状態で、左右方向及び上下方向のうち少なくとも一方の方向に移動させて、開閉空間を開閉するケース(形態)において、前記開閉空間の閉じ状態で、前記磁気的吸着部材は非接触状態で対向させてもよい。より具体的には、このような形態での開閉部材は、床部に形成され、前記間仕切部材で開閉空間を形成するための仕切路と、この仕切路に対して対向又は対峙可能な前記間仕切部材の下端部とに、それぞれ配設された一対の長尺部材と;この一対の長尺部材の対向面に長手方向に形成された装着凹部と;この装着凹部に、互いに反対の磁極を向けて、非接触状態で、装着可能な磁気的吸着部材とを備えていてもよく;間仕切部材(間仕切シート、パネルなど)は、レールに沿って走行可能な1又は複数のランナーから懸垂した状態で、左右方向に移動して開閉空間を開閉可能であってもよい。このような開閉部材でも、少なくとも前記装着凹部に装着可能な前記磁気的吸着部材は、前記マグネット部材で形成でき、前記間仕切空間を開閉部材で閉じた状態で、磁気的吸着部材が非接触状態であっても、前記磁気的吸着部材の磁気的吸着力を、前記床部と前記間仕切部材の下端部とに作用させることができ、前記間仕切部材の揺れを抑制できる。
【0163】
なお、前記のように、前記一対の長尺部材のうち、少なくとも可動な前記長尺部材は、間仕切空間を開閉するための前記間仕切部材(樹脂フィルム又はシート、布帛などで形成され、面状又は面状に展開可能なシート状、網目状などの間仕切シートなど)が取付け可能な前記取付け部を備えていてもよく;前記一対の長尺部材のうち、少なくとも可動な長尺部材の対向面に隣接する側部(側壁)には、開閉操作のための前記操作部を備えていてもよい。
【0164】
[開閉ユニット(又は開閉構造)]
前記開閉部材は、前記取り付け部に取り付けられた間仕切部材(間仕切りシートなど)を備えた間仕切りユニット(又は開閉構造)を形成するのに有用である。そのため、本発明は、前記開閉部材と、前記一対の長尺部材のうち少なくとも可動な前記長尺部材に取り付け可能な前記間仕切部材とを備えた開閉ユニット(又は開閉構造)も包含する。
【0165】
開閉ユニット(又は開閉構造)は、例えば、レール(又は案内部材)と、このレールの走行路を移動又は走行可能な第1のランナーと、この第1のランナーを、前記開閉部材(一対の長尺部材(又は対向部材))のうち、少なくとも可動な長尺部材(又は対向部材)に取り付けるために取付部材と、前記可動な長尺部材(又は対向部材)に取り付け可能な前記間仕切部材(間仕切りシートなど)とを備えており、さらに、前記レールを走行可能であり、前記間仕切部材(又は間仕切りシート)の上部に取り付け可能な第2のランナーを備えていてもよい。
【0166】
[レール部材、第1及び第2のランナー]
レール(又は案内部材)は、第1及び第2のランナーが走行可能である限り、開閉空間又は間仕切り部位に応じて、直線状であってもよく、湾曲していてもよい。さらに、必要であれば、レールは、閉じた枠状(多角枠状、リング状、又はループ状など)の形態で配設してもよい。レールは、傾斜して配設してもよく、傾斜することなく、ほぼ同じ高さ位置で延びて(横方向又は水平方向に直線的に延びて)配設してもよい。なお、レールは、高さ方向に対して前後方向には湾曲していてもよい。
【0167】
レールの構造は特に制限されず、長手方向に延びるスリット状開口部と、このスリット状開口部の両側部にランナーの車輪が走行又は転動可能な走行路とを有する断面中空状(断面コ字状)などであってもよい。
【0168】
このような構造のレールを走行可能な第1及び第2のランナーは、レールに沿って走行可能な一対の車輪(ベアリングを備えていてもよい車輪)と、この一対の車輪を両側部で回転可能に軸支する軸部(車軸部)と、この軸部の軸方向の中央部を回転可能に支持する支持部(下向き開口のU字状又はコ字状の形態の支持フレーム部など)とを備えていてもよい。
【0169】
第1のランナーは、前記支持部の下部に、取付部材(吊り下げ部)が取り付け又は係止可能な取り付け部位(取り付け座、係止座など)を有していてもよい。
【0170】
レールは、縦方向に延びる支持部の上下部から左右方向に延び、ランナーの車輪が走行又は転動可能な走行路を有する断面I字状などであってもよい。
【0171】
このような構造のレールを走行可能な第1及び第2のランナーは、レールに沿って走行可能な一対の車輪(ベアリングを備えていてもよい車輪)と、この一対の車輪をそれぞれ片持ち状態で回転可能に軸支する軸部(車軸部)と、この軸部を側壁で回転可能に支持する支持部(上向き開口の断面U字状又はコ字状の形態の支持フレーム部など)とを備えていてもよい。
【0172】
第1のランナーは、少なくとも可動な長尺部材(又は対向部材)に取り付けるために取付部材を備えており、この取付部材は、前記吊り下げ部(長尺部材(又は対向部材)の頂部の装着部に対して装着可能な吊り下げ部)に限らず、前記第1のランナーと前記長尺部材とを連結可能であればよく、断面U字状又はコ字状に限らず、逆U字状、逆T字状などの形態などを有していてもよく、鈎状(又はフック状)部材、リング状部材などの連結部材であってもよい。なお、長尺部材に対する第1のランナーの取り付けは、前記のようにネジ部材に限らず、長尺部材の装着孔部壁及び第1のランナーの取付部材(吊り下げ部)に形成した孔部を貫通可能なピンなどを用いてもよく、前記のように、鈎状部や、凹部(又は孔部)と凸部とを利用した係合機構を利用してもよい。
【0173】
前記のように、第1のランナーの支持部と取付部材との間には、軸部材などの回動部材及び/又はリングなどの揺動部材が介在していてもよい。
【0174】
第2のランナーは、前記第1のランナーと同様に、車輪部、軸部(車軸部)、支持部(支持フレーム部)を備えていてもよく、支持部と、間仕切部材に対する取り付けユニットとの間には、前記と同様に回動部材(軸部材)及び/又は前記揺動部材(リング部材)が介在していてもよい。取り付けユニットは、間仕切部材に取り付け可能であればよく、間仕切部材(間仕切シートなど)の孔部に係合可能なフック部材(S字状の係合部材、鈎状、U字状フック部材、開閉ピンなどで開閉可能な開閉部を有するリング部材など)で形成してもよく;間仕切部材(間仕切シートなど)を挟圧又は挟着可能な挟着部材で形成してもよい。
【0175】
なお、可動な長尺部材(又は対向部材)の下部は、レールによりスライド可能に支持してもよく、例えば、長尺部材の下部(又は下端面)にレールに沿ってスライド又は転動可能な車輪又はローラ部材を取り付けてもよい。
【0176】
必要であれば、間仕切部材(間仕切りシートなど)は、開閉方向の適所(又は複数個所)にて、補強支持部材で支持してもよく、例えば、間仕切りシートの途中部で間仕切りシートを挟持して支持してもよい。このような補強支持部材は、間仕切部材(間仕切りシートなど)を挟持可能な一対の支持部材(ポール)で構成してもよく、間仕切部材を挟持可能な支持部材と押え部材とで構成してもよい。
【実施例
【0177】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0178】
[試験1]
強磁性体の粉体と軟質樹脂とを溶融混合し、押出成形して冷却し、幅方向の中央部を境界としてS極とN極とに着磁し、下記マグネット部材を調製した。
【0179】
マグネット部材A:図3において、第1の切欠き部23及びリブ部30がなく、裏面が平坦な特許文献3のマグネット部材
マグネット部材B:図5(A)に示すマグネット部材81a
マグネット部材C:図3に示すマグネット部材21
【0180】
長さ4mの一対の長尺部材の対向部の装着凹部にそれぞれ上記マグネット部材を装着し、一方の長尺部材を固定し、マグネット部材を対向させて吸着させ、下記の試験方法で他方の可動な長尺部材の所定部をデジタルフォースゲージ(アイコーエンジニアリング(株)製「デジタルフォースゲージRZ-100」)で引っ張り、マグネット部材の吸着力を測定した。
【0181】
試験方法1:他方の長尺部材の長手方向の中央部(端部から長手方向の長さ2mの位置)を引っ張り、マグネット部材の吸着力を測定した。
【0182】
試験方法2:一対の長尺部材の端部から長手方向の1mの位置に、それぞれ、取っ手を取り付け、他方の可動な長尺部材の取っ手を開方向に引っ張り、マグネット部材の吸着力を測定した(以下、「外方向開閉試験」という)。なお、前記取っ手は、前記マグネット部材の装着凹部に隣接する長尺部材の側壁に形成された凹溝11に沿ってスライドして位置決め及び装着可能な板状の基部52と、この基部からL字状に屈曲して開閉方向の開方向に延びる連結部53と、この連結部の端部に連結された把持棒とを備えている。そのため、前記取っ手に締結したロープに前記デジタルフォースゲージを取り付け、前記デジタルフォースゲージを一対の長尺部材の対向方向に対して反対方向の開方向に引っ張り、マグネット部材の吸着力を測定した。
【0183】
試験方法3:前記試験方法2において、前記デジタルフォースゲージを一対の長尺部材の対向方向に対して直交する方向に引っ張り、マグネット部材の吸着力を測定した(以下、「交差方向開閉試験」という)。
【0184】
なお、マグネット部材の吸着力は5回測定し、平均値を算出した。
【0185】
【表1】
【0186】
マグネット部材Aでは係止延出部29の反りが大きく、マグネット部材B(図5(A))では反りが大きく軽減し、マグネット部材C(図3)では反りが発生しなかった。そのため、マグネット部材B(図5(A))及びマグネット部材C(図3)は長尺部材の装着凹部に円滑にスライド式に装着できた。また、前記軽量化に伴って磁気的吸着力は低下するものの、前記マグネット部材Aでは、取っ手での開放操作を両手で行う必要があるのに対して、前記マグネット部材B(図5(A))及びマグネット部材C(図3)でも実用上支障のない吸着力を示し、取っ手での開放操作を片手で行うことができた。すなわち、実用的な磁気的吸着力を維持しつつ、装着性、軽量化並びに開閉操作性を向上できた。
【0187】
[試験2]
マグネット部材A:図3において、前記第1の切欠き部23及びリブ部30がなく、裏面が平坦な特許文献3のマグネット部材
マグネット部材C:図3に示すマグネット部材21
マグネット部材D:図10(A)に示すマグネット部材171
【0188】
長さ1mの一対の長尺部材の対向部の装着凹部にそれぞれ上記マグネット部材を装着し、一方の長尺部材を固定し、マグネット部材を対向させて吸着させ、下記の試験方法で他方の可動な長尺部材の所定部をデジタルフォースゲージ(アイコーエンジニアリング(株)「デジタルフォースゲージRZ-100」)で引っ張り、マグネット部材の吸着力を測定した。
【0189】
試験方法a:他方の長尺部材の長手方向の中央部(端部から長手方向の長さ50cmの位置)を引っ張り、マグネット部材の吸着力を測定した。
【0190】
試験方法b:一対の長尺部材の端部から長手方向の中央部(端部から長手方向の長さ50cmの位置)に、それぞれ、取っ手を取り付け、他方の可動な長尺部材の取っ手を開方向に引っ張る以外、前記試験方法2(「外方向開閉試験」)と同様にして、マグネット部材の吸着力を測定した。
【0191】
試験方法c:前記試験方法bにおいて、前記デジタルフォースゲージを一対の長尺部材の対向方向に対して直交する方向に引っ張る以外、前記試験方法3(「交差方向開閉試験」)と同様にして、マグネット部材の吸着力を測定した。
【0192】
なお、マグネット部材の吸着力は5回測定し、平均値を算出した。
【0193】
【表2】
【0194】
マグネット部材Aに対して、マグネット部材C(図3)及びマグネット部材D(図10(A))では係止延出部29の反りがなく、長尺部材の装着凹部に円滑にスライド式に装着できた。また、マグネット部材C(図3)及びマグネット部材D(図10(A))は、間仕切シートで開閉空間を閉じるための実用上支障のない吸着力を示し、取っ手での開放操作を片手で行うことができた。すなわち、実用的な磁気的吸着力を維持しつつ、装着性、軽量化並びに開閉操作性を向上できた。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明のマグネット部材は、長尺部材(又は対向部材)の装着凹部に装着して、種々のスペース、例えば、仕切り空間(老人ホームや病院の集会所、家庭のリビング、応接室、工場の作業ブース、クリーンルーム、倉庫;会議室;ホテルの部屋、宴会場;学校の教室、体育館;劇場のステージ;病院の病室、手術室;展示スペース;避難施設での部屋の区画など)、通路(工場、店舗などの建物の出入り口、部屋の出入り口、ビニールハウスの出入り口、建物の通路、部屋と部屋との間など)、窓(工場、ホテル、家屋などの開放部又は窓)などを間仕切りシートやカーテン(又は開閉カーテン)などで開閉又は仕切るための間仕切り又は開閉ユニット(又は開閉構造)を形成するのに利用できる。
【符号の説明】
【0196】
1…長尺部材
2…装着凹部
3…溝本体部
4…係止溝部
6…底部壁
13…取り付け部
21,81a~81d,101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231,241,251,261…マグネット部材
22,82a~82d,102,112,122,132,142,152,162,172,182,192,202,212,222,232,242,252,262…マグネット本体部
23,83a~83d,103,113,123,133,143,153,163,173,183,193,203,213,223,233,243,253,263…第1の切欠き部
105,116,146,166,176,186,196,206,216…切除部
138,148(148a,148b),158b,168(168a,168b),178,188,198,208,218…第2の切欠き部
248,258,268…空洞部
29,219,269…係止延出部
30…リブ部
41…ストッパー
51…操作部
61…間仕切りシート
63…ランナー
図1
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