(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】運用設計資料作成装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20231226BHJP
【FI】
G06Q10/00
(21)【出願番号】P 2023171338
(22)【出願日】2023-10-02
【審査請求日】2023-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523375917
【氏名又は名称】株式会社K-model
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠司
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-185442(JP,A)
【文献】特開2009-237956(JP,A)
【文献】特開2012-141788(JP,A)
【文献】特開2005-310175(JP,A)
【文献】特開2014-241020(JP,A)
【文献】特開2019-71016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業情報システムの運用設計の利用者に固有の固有運用項目情報と固有運用構成情報と固有運用体制情報とが固有運用情報として、前記利用者の識別番号に対応付けて格納された個別領域データベースと、
前記利用者に共通の共通運用情報が格納された共通領域データベースと、
前記利用者のシステム概要情報、システム構成情報、運用体制情報が運用設計情報として入力される入力処理部と、
前記運用設計情報と、前記個別領域データベースの前記固有運用情報と、前記共通領域データベースの前記共通運用情報とに基づいて、運用設計資料を作成する作成処理部と、
を有する運用設計資料作成装置。
【請求項2】
前記共通領域データベースに格納された前記共通運用情報を、最新の情報に更新する情報更新部と、
前記情報更新部により前記共通運用情報が更新された場合、前記利用者に前記共通運用情報の更新を通知する更新通知部と
を有する請求項1に記載の運用設計資料作成装置。
【請求項3】
前記共通領域データベースに格納される前記共通運用情報は、複数の管理者がそれぞれ所有する複数の管理者運用情報からなり、前記管理者運用情報と前記管理者とが、ブロックチェーン技術を用いてデジタルアセットの一意性を証明するために用いられる非代替性トークンにより紐付けられている請求項1に記載の運用設計資料作成装置。
【請求項4】
前記作成処理部は、
前記個別領域データベースの前記固有運用情報と、前記共通領域データベースの前記共通運用情報とが自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶されており、
前記個別領域データベース及び前記共通領域データベースに基づいて、前記自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、前記運用設計資料の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、前記言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、前記運用設計資料の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成部、を有する請求項1に記載の運用設計資料作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用設計資料作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
企業情報システムの運用に用いられる運用設計資料を作成する技術に関し、特許文献1は、運用作業項目、運用要件、サービスレベルを格納する運用要件DBと、運用要件DBの内容を画面表示して設計項目を入力する手段と、入力した設計項目をもとに、コストの算出、設計ドキュメントの作成を行うデータ処理手段とを備える技術を開示している。
【0003】
これにより、特許文献1の技術によれば、運用設計の上流工程で検討するべき項目の漏れを極力減らし、運用設計の品質を向上させ、運用フェーズにおける再検討や修正の工数を削減することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術は、運用要件DBの内容を画面表示して設計項目を入力するため、入力される情報が運用要件DBの内容に限定される。従って、設計ドキュメントの提供を受ける利用者固有のニーズや要件に応じた高精度の設計ドキュメントを作成することが難しいという点においてさらなる改良の余地がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、利用者のニーズや要件に沿った、より精度の高い運用設計資料を作成することができる運用設計資料作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、利用者固有の固有運用情報が格納された個別領域データベースと、利用者に共通の共通運用情報が格納された共通領域データベースとの情報を統合して運用設計資料が作成されることによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明は、企業情報システムの運用設計の利用者に固有の固有運用項目情報と固有運用構成情報と固有運用体制情報とが固有運用情報として、前記利用者の識別番号に対応付けて格納された個別領域データベースと、
前記利用者に共通の共通運用情報が格納された共通領域データベースと、
前記利用者のシステム概要情報、システム構成情報、運用体制情報が運用設計情報として入力される入力処理部と、
前記運用設計情報と、前記個別領域データベースの前記固有運用情報と、前記共通領域データベースの前記共通運用情報とに基づいて、運用設計資料を作成する作成処理部と、
を有する運用設計資料作成装置である。
【0009】
本発明によれば、利用者固有の固有運用情報が利用者のニーズや要件を反映した形で格納された個別領域データベースと、運用設計に必要な共通の共通運用情報が格納された共通領域データベースとの情報を統合して運用設計資料が作成されるため、利用者のニーズや要件に沿った、より精度の高い運用設計資料を作成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者のニーズや要件に沿った、より精度の高い運用設計資料を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態の運用設計資料作成装置の情報の流れを示す説明図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の運用設計資料作成装置の情報の流れを示す説明図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の運用設計資料作成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、共通領域データベースの説明図である。
【
図5】
図5は、運用設計資料作成支援プログラムのフローチャートである。
【
図6】
図6は、学習処理ルーチンのフローチャートである。
【
図7】
図7は、資料作成処理ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
(運用設計資料作成装置1)
図1に示すように、運用設計資料作成装置1は、利用者固有の固有運用項目情報と固有運用構成情報と固有運用体制情報とが利用者のニーズや要件を反映した形で格納された個別領域データベース121と、運用設計に必要な共通の共通運用情報が格納された共通領域データベース122との情報を統合して運用設計資料が作成されるように構成されている。
【0013】
具体的な一例を示すと、運用設計資料作成装置1は、企業情報システムの運用設計の利用者4に固有の固有運用項目情報と固有運用構成情報と固有運用体制情報とが固有運用情報として、利用者4の識別番号に対応付けて格納された個別領域データベース121と、利用者4に共通の共通運用情報が格納された共通領域データベース122と、を有している。共通領域データベース122は、運用項目情報と、法令/規定/べスプラ情報と、各種ひな形情報と、台帳/一覧情報とを格納している。なお、べスプラ情報とは、ベストプラクティスに関する情報を意味し、企業情報システムの運用において、実践的な経験に基づいて得られた成功事例や成功パターンに関する情報である。
【0014】
ここで、「企業情報システムの運用設計」は、企業情報システムを安定して稼働させるために必要な運用ルールやプロセス、体制を定義するプロセスである。具体的な運用設計としては、システム概要の把握やシステム構成の設計、運用体制の構築、運用ルールの策定、監視・保守の計画、障害対応の対応策が例示される。
【0015】
「固有運用項目情報」は、企業情報システムの組織や企業などの利用者4ごとに異なる運用項目に関する情報である。具体的には、運用項目の名称、説明、責任者、運用体制、実施頻度、対応フロー、申請書、参照する台帳一覧が例示される。例えば、ある企業の顧客管理システムの運用設計を行う場合、顧客の登録、顧客情報の変更、顧客の退会、顧客情報の削除、顧客からの問い合わせ対応、顧客からの苦情対応などのように、運用項目が顧客の属性や利用状況により実施頻度や実施手順が異なる情報が固有運用項目情報となる。
【0016】
「固有運用構成情報」は、企業情報システムの運用設計の利用者4に固有の運用に必要な構成に関する情報である。具体的には、運用対象のハードウェア構成、ソフトウェア構成、ネットワーク構成、データ構成であり、運用設計の利用者4が運用を実施する際に必要な情報である。例えば、運用対象のハードウェア構成として、サーバが1台、ストレージが2台、ネットワーク機器が3台である。運用対象のソフトウェア構成として、OSがWindows Server 2022、DBがOracle Database 21cである。運用対象のネットワーク構成として、IPアドレスが192.168.1.1などである。運用対象のデータ構成として、データベースが顧客管理データベース、テーブルが顧客テーブル、商品テーブル、注文テーブルである。
【0017】
「固有運用体制情報」は、企業情報システムの利用者4ごとに異なる運用体制に関する情報である。具体的には、運用責任者、運用担当者、ヘルプデスク、監視オペレータ、ハードウェア保守ベンダー、アプリケーション保守ベンダー等の運用に関わる人物を明確にすることを目的とした情報が例示される。例えば、ある企業の顧客管理システムの運用設計を行う場合、運用責任者として顧客管理部ベンダー用担当者として顧客管理課の担当者、利用者からの問い合わせを担当する社内サポートデスク、システム障害の検知を行うアウトソース先の監視オペレータ、ハードウェアの故障交換対応を行うハードウェア保守ベンダー、顧客管理システムの脆弱性対応などを行うアプリケーション保守ベンダーがそれぞれどのような役割でどのような時間で対応するかをまとめたものが固有運用体制情報となる。
【0018】
「共通運用情報」は、全ての利用者4が共通に使用する運用に関する情報である。具体的には、運用ルール、運用計画、運用手順書、監視・保守の計画、障害対応の対応策、メーカーから公開されているマニュアル類が例示される。例えば、ある企業の顧客管理システムの運用設計を行う場合、運用ルールとして情報セキュリティに関するルール、運用計画としてシステム停止時における運用計画、運用手順書としてシステム障害時の運用手順書、監視・保守の計画としてシステムの監視・保守に関する計画、障害対応の対応策としてシステム障害時の対応策が共通運用情報、メーカーから公開されているマニュアルをベースとした操作手順となる。
【0019】
より詳細に共通運用情報を説明すると、共通運用情報は、運用項目情報と、法令/規定/べスプラ情報と、各種ひな形情報と、台帳/一覧情報とを有している。「運用項目情報」は、企業情報システムの運用に必要な項目に関する情報である。具体的には、特定の製品を利用した場合に共通的に発生する運用項目をまとめた情報である。「法令/規定/べスプラ情報」は、企業情報システムの運用に関連する法令、規定、ベストプラクティスに関する情報である。具体的には、情報セキュリティに関する法令や個人情報保護に関する法令、システム開発に関する規定、運用に関する規定などが該当する。各種ひな形情報は、運用に必要な各種ひな形に関する情報である。具体的には、運用計画書のひな形、運用手順書のひな形、運用報告書のひな形、運用記録のひな形、運用マニュアルのひな形などが該当する。台帳/一覧情報は、運用に必要な台帳や一覧に関する情報である。具体的には、資産台帳、ソフトウェア台帳、ネットワーク台帳、データ台帳、運用監視の台帳、運用障害の台帳などが該当する。
【0020】
さらに、運用設計資料作成装置1は、利用者4のシステム概要情報、システム構成情報、運用体制情報が運用設計情報として入力される入力処理部114と、入力処理部114から入力された運用設計情報と個別領域データベース121の固有運用情報と共通領域データベース122の共通運用情報とに基づいて、運用設計資料を作成する作成処理部119とを有している。入力処理部114及び作成処理部119は、運用設計資料作成装置1の制御部11に含まれている。入力処理部114への入力は、利用者4が操作する利用者端末2のキーボード等の入力部22で行われる。また、作成処理部119により作成された運用設計資料は、利用者端末2のディスプレイ等の出力部21に表示される。
【0021】
ここで、「システム概要情報」は、企業情報システムの全体像を把握するために必要な情報である。具体的には、システムの名称、目的、機能、利用者情報、導入時期、利用する運用ツール、遵守する法令・規定・べスプラ、運用ルールが例示される。例えば、ある企業の顧客管理システムの運用設計を行う場合、システムの名称として顧客管理システム、システムの目的として顧客情報の管理、システムの機能として顧客の登録、顧客情報の変更、顧客の退会、顧客情報の削除、顧客からの問い合わせ対応、顧客からの苦情対応、利用者情報として自社社員が利用する、システムの導入時期として2023年3月、利用する運用ツールとして既存ツールを流用する、遵守する法令規定べスプラとしてISO27001、運用ルールとして社内運用標準に準ずるがシステム概要情報となる。
【0022】
「システム構成情報」は、企業情報システムの構成要素に関する情報であり、ハードウェア構成とソフトウェア構成とネットワーク構成とに分類される。例えば、ハードウェア構成としてサーバが1台、データベースが1台、クライアントが100台、ソフトウェア構成としてOSがWindows Server 2022、データベースがOracle Database 19c、アプリケーションが顧客管理システム、ネットワーク構成としてLANが100BASE-TX、WANが1Gbpsがシステム構成情報となる。ハードウェア構成の情報は、運用保守に必要な資材の台数やスペック、ソフトウェア構成の情報は、運用保守に必要なソフトウェアのバージョンやライセンス、ネットワーク構成の情報は、運用監視や障害対応に必要なネットワーク機器やパケットの流れを把握するために活用される。なお、入力された情報を固有運用構成情報として登録しておくことが可能である。
【0023】
「運用体制情報」は、企業情報システムの運用を担当する組織や人員、役割、責任、権限、対応時間に関する情報である。具体的には、運用責任者、運用担当者、ヘルプデスク、監視オペレータ、ハードウェア保守ベンダー、アプリケーション保守ベンダー等の運用に関わる人物を明確にすることを目的とした情報が例示される。例えば、ある企業の顧客管理システムの運用設計を行う場合、運用責任者として顧客管理部長、運用担当者として顧客管理課の担当者、利用者からの問い合わせを担当する社内サポートデスク、システム障害の検知を行うアウトソース先の監視オペレータ、ハードウェアの故障交換対応を行うハードウェア保守ベンダー、顧客管理システムの脆弱性対応などを行うアプリケーション保守ベンダーがそれぞれどのような役割でどのような時間で対応するかをまとめたものが運用体制情報となる。なお、入力された情報を固有運用体制情報として登録しておくことが可能である。
【0024】
図1の「運用設計資料作成装置1」から出力される「運用設計資料」は、企業情報システムを導入する際に、運用の役割分担、運用ルール、運用項目などを円滑に事前合意するために必要な資料である。例えば、マスタースケジュール・WBS、合意事項一覧、運用要件定義・運用設計書、運用項目一覧、運用フロー、台帳/一覧の各資料が例示される。
【0025】
「マスタースケジュール」は、プロジェクトの全体的なスケジュールをまとめた資料である。「WBS(Work Breakdown Structure)」は、プロジェクトを細分化して、各作業の開始・終了日、責任者、作業内容などをまとめた資料である。これらの書類は、運用設計を行うためのスケジュールや作業内容を把握するために必要な資料であり、プロジェクト推進のために利用する中間資料となる。「合意事項一覧」は、プロジェクト期間中に、関係者間で運用ルールなどを合意するために利用する中間資料である。合意事項は運用要件定義書、運用設計書、運用項目一覧に反映される。「運用要件定義」は、運用に必要な要件をまとめた資料である。「運用設計書」は、運用要件定義に基づいて、運用の具体的な内容をまとめた資料である。「運用項目一覧」は、運用で行う作業をまとめた資料である。「運用フロー」は、運用の流れをまとめた資料である。「台帳/一覧」は、運用に必要な情報をまとめた資料である。
【0026】
上記の構成を備えた運用設計資料作成装置1によれば、利用者4固有の固有運用項目情報と固有運用構成情報と固有運用体制情報とが利用者4のニーズや要件を反映した形で格納された個別領域データベース121と、利用者4共通の共通運用情報が格納された共通領域データベース122との情報を統合して運用設計資料が作成されるため、利用者4のニーズや要件に沿った、より精度の高い運用設計資料を作成することができる。
【0027】
(生成AIを備えた運用設計資料作成装置1)
次に、作成処理部119が生成AI(Artificial Intelligence)により構成されている場合について説明する。
【0028】
図2及び
図3に示すように、作成処理部119は、個別領域データベース121の固有運用情報と、共通領域データベース122の共通運用情報とが自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶されており、個別領域データベース121及び共通領域データベース122に基づいて、自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、運用設計資料の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、運用設計資料の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成部115を有している。言語モデルは、クラウドコンピュータに格納されていてもよいし、利用者4が有する情報処理装置に格納されていてもよい。言語モデルをクラウドコンピュータに格納した場合は、大規模なデータセットの学習や、高性能な計算リソースを利用した学習が可能になる。一方、言語モデルを利用者4の情報処理装置に格納した場合は、利用者4側に情報処理装置が存在するため、セキュリティやデータの可用性、即ち、利用者4が必要なときに必要な機能を、必要な品質で言語モデルを利用した処理を実行させることができる。
【0029】
ここで、「自然言語処理」は、コンピュータが自然言語で書かれた文章や音声データを理解して目的に応じた処理を実行できるようにするものである。具体的には、自然言語を構成する最小の単位である「形態素」に分解することにより品詞などの情報を付与する形態素解析、自然言語の文法的構造を解析することにより文の構造や意味を明らかにする構文解析、自然言語の意味を解析することにより単語や文の意味を理解し、論理的な判断や推論を行う意味解析、文の前後の文脈を考慮しながら自然言語を理解する文脈解析、自然言語を用いた対話や文章の中から話者や書き手の意図を抽出する意図解析などが例示される。これにより、「自然言語処理」は、形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解析などの処理を組み合わせて自然言語を処理し、本実施形態の運用設計資料の作成を支援する支援情報の生成や機械翻訳、自動要約、質問応答システム、音声認識などを可能にしている。
【0030】
「言語モデル」は、自然言語処理において用いられる確率モデルの一種であり、与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測するためのモデルである。具体的には、言語モデルは、与えられた単語列や文章の出現確率を計算したり、複数の単語列や文章の出現確率を比較することによって、次の単語や文を予測するときに、その文脈に基づいて最もありそうな単語や文を自動的に生成することを可能にしている。
【0031】
「統一的なデータ形式に正規化された状態」は、個別領域データベース121や共通領域データベース122などの膨大なデータを扱う際に、共通の形式に変換し、統一的に整理することを意味する。運用設計資料を機械学習する際に、正規化された固有運用情報や共通運用情報、システム概要などの情報を入力として用いることにより処理の効率性や正確性を向上させることが可能になっている。尚、「正規化」は、データベースのテーブルにあるデータを、一定の規則に従って整理・構造化することで、データの冗長性を排除し、データの整合性や一貫性を保つための処理手法である。
【0032】
「言語モデル」は、自然言語処理の分野において、言語のパターンや文法のルールなどを学習し、自然言語の生成や理解を行うための数学的モデルを意味する。例えば、運用設計資料の作成において使用される言語モデルは、運用設計資料の作成に特化して学習されたものであり、プロンプトの内容に応じて運用設計資料を作成する際の支援情報を生成するために使用される。
【0033】
「プロンプト」は、利用者4に対して入力すべき内容や操作方法などを表示し、利用者4が指示を与えるための情報のことである。「運用設計資料の作成を支援する支援情報」は、運用設計資料の作成を効率化し、より効果的な運用設計資料を作成及び展開することを可能にする情報である。
【0034】
「運用設計資料」は、上述のように、企業情報システムを導入する際に、運用の役割分担、運用ルール、運用項目などを円滑に事前合意するために必要な資料である。
【0035】
上記の構成によれば、運用設計資料の作成に特化された自然言語処理のための言語モデルを利用し、プロンプトの内容に応じた支援情報が生成され、プロンプトの内容を入力した利用者4の意向に適合した様々な支援情報が提供されるため、利用者4の要望に応じた高品質な運用設計資料を運用設計資料作成装置1との対話を通じて容易に作成することができる。
【0036】
また、運用設計資料作成装置1は、支援情報生成部115に加えて、アクティベート部111、データ収集部112、モデル学習部113、入力処理部114、端末制御部116、情報更新部117、更新通知部118、作成処理部119及び通信部13を有している。支援情報生成部115、アクティベート部111、データ収集部112、モデル学習部113、入力処理部114、端末制御部116、情報更新部117、更新通知部118、及び作成処理部119は、コンピュータである制御部11に含まれている。制御部11に含まれる各部の一部又は全部は、ハードウェア及びソフトウェアの何れで構成されていても良い。
【0037】
通信部13は、利用者4が操作する利用者端末2にインターネット5を介してデータ通信可能に接続されている。尚、通信部13と利用者端末2とのデータ通信は、インターネット5に限定されるものではなく、専用線やLAN(Local Area Network)などの情報通信網が用いられてもよいし、近距離通信用の無線通信規であるBluetooth(登録商標)が用いられてもよい。
【0038】
通信部13と利用者端末2とのデータ通信において、情報漏洩を防止するためには、専用線であることが好ましい。また、通信部13及び利用者端末2は、インターネット5を介してデータ通信する場合、VPN(Virtual Private Network)機能を有していることが好ましい。通信部13及び利用者端末2にVPN機能を組み込んだ場合は、利用者端末2からのデータ通信がVPN接続を経由するため、外部の不正アクセスから保護され、安全な通信が確保される。尚、利用者端末2や管理者端末7は、一般的なパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理装置である。
【0039】
アクティベート部111は、認証された利用者端末2及び管理者端末7とだけデータ通信を可能にする機能を有している。具体的には、アクティベート部111は、特定の利用者端末2などから送信されたアクティベート信号が、事前に設定された認証情報に合致しているかどうかを検証する機能を有している。認証方法としては、パスワード認証や生体認証、ワンタイムパスワード認証、ICチップが埋め込まれたカードを利用したスマートカード認証などの1以上の認証要素を組み合わせた認証態様が例示される。これにより、運用設計資料作成装置1は、認証された利用者端末2や管理者端末7とだけデータ通信が可能になるため、情報の流出を困難にしている。尚、アクティベート部111は、記憶部12の各データベース121・122に接続され、認証された制御部11とデータベース121・122との間だけのデータ通信を可能にされていてもよい。この場合は、外部からデータベース121・122への不正アクセスを防御することができる。
【0040】
データ収集部112は、情報セキュリティに関する法令や個人情報保護に関する法令、システム開発に関する規定、運用に関する規定などの各種のウェブサイトなどから情報を収集する機能を有している。データ収集部112で収集された情報は、情報更新部117において、統一的なデータ形式に正規化されて共通領域データベース122における共通運用情報の更新情報として記憶される。これにより、データ収集部112及び情報更新部117は、言語モデルの学習や調整に必要なデータを集め、整理し、共通領域データベース122に格納及び更新することによって、支援情報生成部115が運用設計資料の作成を最新の情報に対応させて支援することを可能にしている。なお、情報の収集は、運用設計資料作成装置1の管理者が管理者端末7を操作することにより各種ウェブサイトにアクセスすることで行われてもよい。
【0041】
また、制御部11は、情報更新部117により共通運用情報が更新された場合、利用者4に共通運用情報の更新を通知する更新通知部118を有している。これにより、運用設計資料作成装置1は、常に最新の共通運用情報に基づいて作成された運用設計資料を利用者4に提供することができる。この結果、運用設計資料が法令や規制に違反するなどの運用リスクを低減することができるとともに、最新の共通運用情報を基に運用設計資料を作成することで、より精度の高い運用設計資料を作成することができる。
【0042】
モデル学習部113は、個別領域データベース121及び共通領域データベース122を基に、自然言語処理のための言語モデルの学習及び調整を行う機能を有している。これにより、モデル学習部113は、運用設計資料の作成に特化された言語モデルとなるように学習及び調整されることによって、より高度な自然言語処理を行い、運用設計資料の作成を支援するための支援情報生成部115における高品質な運用設計資料を含む支援情報の生成を可能にしている。
【0043】
入力処理部114は、利用者端末2などから送信されたプロンプトの内容を示すプロンプト情報を、自然言語処理の言語モデルにとって扱い易い情報に変換する機能を有している。端末制御部116は、図示しないユーザーインターフェースデータベースのデータに基づいて、利用者端末2や管理者端末7の表示画面を運用設計資料の作成に適した画面に設定する機能を有している。
【0044】
さらに、運用設計資料作成装置1は、入力受付部1192に接続された入力装置15と、表示制御部1191に接続された表示装置14とを有している。入力装置15は、キーボードやマウス、タッチパネル、音声入力装置などが例示される。表示装置14は、液晶表示装置などが例示される。これにより、運用設計資料作成装置1は、一般的なパーソナルコンピュータやラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理装置により構成することが可能になっている。尚、運用設計資料作成装置1は、入力装置15及び表示装置14の少なくとも一つが欠如されていてもよい。この場合は、入力装置15及び表示装置14が図示しない外部端末に備えられるため、運用設計資料作成装置1を運用設計資料作成サーバとして使用することができる。さらに、運用設計資料作成装置1が利用者端末2として用いられ、利用者4が支援情報の支援を受けながら、運用設計資料作成装置1において運用設計資料の作成が行われてもよい。
【0045】
尚、本実施形態においては、運用設計資料作成装置1の機能が情報処理装置に搭載された場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、クラウドコンピューティングに運用設計資料作成装置1の機能が搭載されてもよい。この場合は、クラウドコンピューティングにより、必要に応じてコンピュータリソースが追加されることによって、大量の固有運用情報や共通運用情報を処理することができ、より高速かつ効率的な処理が可能になると共に、利用者4が大幅に増えた場合でも、処理能力を容易に拡張して対応することができる。
【0046】
(ブロックチェーン技術を用いた運用設計資料作成装置1)
運用設計資料作成装置1において、共通領域データベース122に格納される共通運用情報は、複数の管理者がそれぞれ所有する複数の管理者運用情報からなり、管理者運用情報と管理者とが、ブロックチェーン技術を用いてデジタルアセットの一意性を証明するために用いられる非代替性トークンにより紐付けられていてもよい。
【0047】
具体例を説明すると、運用設計資料作成装置1は、他者への移転が不可能な非代替性トークンにより管理者運用情報(共通運用情報)と、管理者を特定する管理者情報とを紐付けしてブロックチェーン8上に記録、即ち、オンチェーン化するトークン記録部120を有している。ここで、「非代替性トークン」は、ブロックチェーン8上で発行される特定の資産を表すデジタルトークンである。非代替性は、そのトークンが他のトークンと交換可能でないことを意味する。「ブロックチェーン8」は、分散型のデジタル台帳技術である。データがブロックと呼ばれる連続したデータ構造に分割され、それぞれのブロックがリンクされてチェーンを形成している。各ブロックには複数のトランザクションである管理者運用情報と管理者情報とが含まれ、それらのデータがブロックチェーン8上に記録されている。ブロックチェーン8は、分散型ネットワーク上で運営され、マイニングを行う参加者間での合意に基づいて新しいデータ(管理者運用情報及び管理者情報)の追加や変更が行われる。
【0048】
上記の運用設計資料作成装置1によれば、共通運用情報を構成する管理者運用情報と管理者との関係が非代替性トークンにより紐付けられるため、共通運用情報を構成する文書や図表を含む管理者運用情報が多数存在していても、管理者運用情報を所有する真の管理者を正確に特定することができる。これにより、例えば、管理者運用情報の利用率に応じて、管理者運用情報を所有する管理者に報酬を分配する場合において、各管理者への報酬の分配を高い信頼性で行うことができる。
【0049】
(共通領域データベース122)
管理者運用情報の利用率に応じて、管理者運用情報を所有する管理者に報酬を分配する場合について、共通領域データベース122を用いて具体的に説明する。
図4に示すように、共通領域データベース122は、個別領域データベース121ともに記憶部12に保存されている。記憶部12は、制御部11に対してデータ通信可能に接続されている。記憶部12は、ハードディスクで構成されていてもよいし、ハードディスクとメモリとの組み合わせで構成されていてもよい。ハードディスクとメモリとを組み合わせた構成の場合は、データベースが使用するデータや索引などの一部が必要に応じてメモリにキャッシュされることによって、データベースへのアクセスを高速化することが可能になる。また、記憶部12には、利用者4を特定する識別情報や利用者4を認証する認証情報を含む各種の情報が記憶される利用者データベースが保存されていてもよい。この場合は、アクティベート部111が利用者データベースのデータに基づいて認証処理などの処理を実行することが可能になる。
【0050】
尚、記憶部12は、運用設計資料作成装置1とは別に、インターネット5などの情報通信網に接続されたデータサーバであってもよい。また、記憶部12は、データベース毎に設けられた複数のデータサーバで構成されていてもよい。
【0051】
共通領域データベース122には、共通運用情報(管理者運用情報)としての各種の情報が統一的なデータ形式に正規化されて記憶されている。具体的には、共通運用、トークンID、運用名、説明、利用率、報酬分配、トークン所有者などがテーブルデータ項目とされている。
【0052】
ここで、トークンIDは、非代替性トークンを識別するための唯一の識別子であり、非代替性トークンの所有権を証明するために使用されるとともに、共通領域データベース122に保存されている共通運用情報(管理者運用情報)を識別するためのIDである。利用率は、共通運用情報が実際に使用された割合であり、共通運用情報の価値を評価する指標となる。例えば、利用率は、共通運用情報へのアクセス回数やダウンロード数などの指標を用いて算出される。報酬分配は、共通運用情報を提供した管理者に、利用率に応じて分配される報酬額である。報酬分配は、共通運用情報の作成者や管理者を支援するために行われ、共通運用情報の提供を促進する動機付けにもなる。
【0053】
共通領域データベース122において、例えば、共通運用が「運用項目」の場合は、トークンIDが「Token1」、運用名が「システムログ」、説明が「システムのログ情報」、利用率が「90%」、報酬分配が「900000円」、トークン所有者が「管理者A」の各情報が、トークンIDに対応付けられて読み出し可能に記憶されている。また、共通運用が「法令/規定/べスプラ」の場合は、トークンIDが「Token5」、運用名が「セキュリティ規定」、説明が「システムセキュリティに関する規定情報」、利用率が「80%」、報酬分配が「800000円」、トークン所有者が「管理者B」の各情報が、トークンIDに対応付けられて読み出し可能に記憶されている。
【0054】
(運用設計資料作成支援プログラム)
図3に示すように、アクティベート部111、データ収集部112、モデル学習部113、入力処理部114、支援情報生成部115、端末制御部116、情報更新部117、更新通知部118、作成処理部119及びトークン記録部120は、ハードウェア及びソフトウェアの何れで構成されていてもよい。これらの各部111~120は、少なくとも制御部11の一部を構成している。各部111~120がソフトウェアにより構成されている場合は、制御部11であるコンピュータに、運用設計資料の作成に特化された自然言語処理のための言語モデルを利用することにより、運用設計資料の作成を支援するための支援情報を生成する運用設計資料作成支援プログラムを実行させるようになっている。
【0055】
具体的な一例を示すと、運用設計資料作成支援プログラムは、運用設計資料に関連する情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された個別領域データベース121及び共通領域データベース122を有した運用設計資料作成装置1のコンピュータ(制御部11)に、個別領域データベース121及び共通領域データベース122に基づいて、自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、運用設計資料の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、運用設計資料の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成処理ステップを実行させるためのプログラムである。
【0056】
図5~
図7を用いて、より詳細に説明すると、
図5に示すように、運用設計資料作成支援プログラムは、制御部11により実行されており、制御部11は、学習処理(S1)と資料作成処理(S2)と更新通知処理(S3)とをマルチタスク制御により見かけ上並列的に実行している。
図6に示すように、学習処理は、各官庁や公的機関などのウェブサイトに定期的や所定のタイミングでアクセスし、情報セキュリティに関する法令や個人情報保護に関する法令、システム開発に関する規定、運用に関する規定などの各種の情報を収集する(S11)。そして、収集した情報が更新されていたり、新たな情報が追加されているか否かを判定し(S12)、更新や追加されていなければ(S12:NO)、本ルーチンを終了する。一方、情報が更新や追加されている場合は(S12:YES)、情報を統一的なデータ形式に正規化する。そして、共通領域データベース122にアクセスし、情報と同一名のタイトルが存在するか否かを判定し、同一名の情報が存在していれば、収集した情報に書き換えることで情報を更新する。一方、同一名の情報が存在していれば、収集した情報を書き加えることで情報の追加を行う(S13)。なお、利用者4からの情報も受け付けており、利用者4から固有運用情報が入力された場合は、共通領域データベース122において固有運用情報を利用者4の識別番号に対応付けて更新及び追加する。
【0057】
次に、制御部11は、モデル学習を実行する。具体的には、最新の情報に更新された個別領域データベース121及び共通領域データベース122の情報に基づいて、自然言語処理のための言語モデルの学習及び調整を行う(S14)。これにより、制御部11は、運用設計資料の作成に特化された言語モデルとなるように、言語モデルを学習及び調整することによって、より高度な自然言語処理を行い、運用設計資料の作成を支援するための高品質な運用設計資料を含む支援情報の生成が可能になっている。
【0058】
図7に示すように、資料作成処理は、利用者4が操作する利用者端末2を含む任意の端末からのアクセスがあるか否かを判定する(S21)。アクセスがなければ(S21:NO)、本ルーチンを終了する。一方、アクセスがあれば、端末に対してアクティベート信号を要求し、端末から送信されたアクティベート信号が、事前に設定された認証情報に合致しているか否かを検証する。例えば、パスワード認証や生体認証、ワンタイムパスワード認証などの1以上の認証要素を組み合わせた認証を行う。そして、認証の結果に基づいて、アクティベートが成功したか否かを判定し(S23)、成功しなければ(S23:NO)、本ルーチンを終了する。
【0059】
一方、アクティベートが成功した場合は(S23:YES)、利用者端末2との間でデータ通信を確立し、利用者端末2の表示画面を運用設計資料の作成に適した画面に設定する。例えば、運用設計資料の用語一覧を一覧用画面に表示し、この一覧用画面に表示された用語をクリックすると、用語に対応した各種の指示内容や質問内容の雛形の一覧が表示される。そして、この雛形を用いてプロンプトの内容を充実させることを可能にしたプロンプト支援画面が表示される。
【0060】
次に、プロンプト支援画面における支援を受けながら、利用者4がプロンプトとなる指示情報や質問情報を作成し、利用者端末2から送信すると、制御部11は、受信した指示情報や質問情報をプロンプト情報として、自然言語処理の言語モデルにとって扱い易い情報に変換する(S25)。プロンプト情報が運用設計資料の作成を指示する内容であるか否かを判定し(S26)、運用設計資料の作成を指示する内容でなければ(S26:NO)、プロンプト情報と、個別領域データベース121及び共通領域データベース122の情報とに基づいて、運用設計資料の作成に特化された言語モデルを用いて、プロンプト情報の指示内容や質問内容に対応した支援情報を生成し、利用者端末2に送信する(S27)。そして、S25から再実行し、次のプロンプト情報が利用者端末2から送信されるまで待機する。
【0061】
一方、運用設計資料の作成を指示する内容であれば(S26:YES)、プロンプト情報と、個別領域データベース121及び共通領域データベース122の情報とに基づいて、運用設計資料を作成し、利用者端末2に送信する(S28)。そして、本ルーチンを終了する。
【0062】
更新通知処理(S3)は、上述の学習処理(S1)におけるデータ収集処理(S11)と、収集した情報に更新や追加があるか否かを判定する処理(S12)とを実行し、収集した情報が更新されていたり、新たな情報が追加されていた場合に、連絡を希望する利用者4に連絡する。
【0063】
上記の構成によれば、運用設計資料の作成に特化された自然言語処理のための言語モデルを利用し、プロンプトの内容に応じた支援情報が生成され、プロンプトの内容を入力した利用者4の意向に適合した様々な支援情報が提供されるため、高品質な運用設計資料を運用設計資料作成装置1との対話を通じて容易に作成することができる。尚、運用設計資料作成支援プログラムは、制御部11における各部111~120の機能を処理ステップとしてコンピュータに実行させるようになっていてもよい。
【0064】
以上のように構成された運用設計資料作成支援プログラムによれば、利用者4の運用設計資料の作成を様々な形態で高精度に支援することができるため、運用設計資料を迅速且つ高品質に作成することができる。さらに、プログラムをパーソナルコンピュータやタブレット端末などの情報処理装置にインストールするだけの作業で、情報処理装置を運用設計資料作成装置1として機能させることができる。尚、プログラムは、CDROMやUSBメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で配布されてもよいし、インターネットなどの双方向やテレビ放送などの一方向の通信網や通信回線を介して配付されてもよい。
【0065】
(運用設計資料作成支援方法)
運用設計資料作成支援プログラムにおける一部や全部のステップがハードウェアにより構成されていてもよい。ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで動作する運用設計資料作成装置1は、運用設計資料の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成処理ステップを有した運用設計資料作成支援方法を実行している。
【0066】
具体的に説明すると、運用設計資料作成装置1は、運用設計資料に関連する情報が自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶された個別領域データベース121及び共通領域データベース122を有している。そして、運用設計資料作成装置1により実行される運用設計資料作成支援方法は、個別領域データベース121及び共通領域データベース122に基づいて、自然言語処理の1種以上を組み合わせることにより、運用設計資料の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することにより、運用設計資料の作成を支援する支援情報を生成する支援情報生成処理ステップを有している。さらに、この運用設計資料作成支援方法は、運用設計資料作成装置1の各部111~120の機能を実現する処理ステップを有してもよい。
【0067】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 運用設計資料作成装置
11 制御部
111 アクティベート部
112 データ収集部
113 モデル学習部
114 入力処理部
115 支援情報生成部
116 端末制御部
117 情報更新部
118 更新通知部
119 作成処理部
12 記憶部
121 個別領域データベース
122 共通領域データベース
13 通信部
14 表示装置
15 入力装置
2 利用者端末
4 利用者
5 インターネット
7 管理者端末
8 ブロックチェーン(分散型台帳)
【要約】
【課題】利用者のニーズや要件に沿った、より精度の高い運用設計資料を作成する。
【解決手段】本発明の運用設計資料作成装置1は、企業情報システムの運用設計の利用者4に固有の固有運用項目情報と固有運用構成情報と固有運用体制情報とが固有運用情報として、利用者4の識別番号に対応付けて格納された個別領域データベース121と、利用者4に共通の共通運用情報が格納された共通領域データベース122と、利用者4のシステム概要情報、システム構成情報、運用体制情報が運用設計情報として入力される入力処理部114と、運用設計情報と、個別領域データベース121の固有運用情報と、トークン記録部120の共通運用情報とに基づいて、運用設計資料を作成する作成処理部119と、を有する。
【選択図】
図1