(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】車両及び走行システム
(51)【国際特許分類】
B61B 7/06 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
B61B7/06
(21)【出願番号】P 2023177801
(22)【出願日】2023-10-13
【審査請求日】2023-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523390965
【氏名又は名称】木幡 ▲高▼志
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】木幡 ▲高▼志
(72)【発明者】
【氏名】林 克郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康人
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-39432(JP,A)
【文献】特開2005-29043(JP,A)
【文献】特開平6-153352(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0031811(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0312633(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0147180(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3581456(EP,A2)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0003561(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体により回転可能に支持された車輪と、を有し、前記車輪が案内装置により支持されて走行する車両であって、
前記車輪の外周面は、前記案内装置に含まれるレールの支持面に支持される構成を有し、
前記車輪の外周面は、前記案内装置に含まれるワイヤーロープが配置される溝を有し、
前記車体に保持装置が更に設けられ、
前記保持装置は、
前記車体の幅方向に沿って作動可能な作動部材と、
前記作動部材に設けられた保持部材及び接触輪と、
を有し、
前記保持部材は、前記ワイヤーロープを下から支持し、
前記接触輪は、前記レールの案内面に接触して転動される、車両。
【請求項2】
請求項1記載の車両であって、
前記車体を前記案内装置に対して固定するブレーキ力を発生させる第1停車ブレーキ装置及び第2停車ブレーキ装置が、更に設けられ、
前記第1停車ブレーキ装置は、
前記車体の幅方向に作動可能な第1プランジャと、
前記第1プランジャを前記案内面へ近づける向きに付勢する第1スプリングと、
前記第1プランジャに取り付けられ、かつ、前記案内面へ接触されてブレーキ力を発生する第1ブレーキパッドと、
前記第1プランジャを前記案内面から離れる向きに作動させる第1エアチャンバと、
を有し、
前記第2停車ブレーキ装置は、
前記車体の幅方向に作動可能な第2プランジャと、
前記第2プランジャを前記ワイヤーロープへ近づける向きに付勢する第2スプリングと、
前記第2プランジャに取り付けられ、かつ、前記ワイヤーロープへ押し付けられる第2ブレーキパッドと、
前記第2ブレーキパッドと共に前記ワイヤーロープを挟んでブレーキ力を発生させる受け部と、
前記第2プランジャを前記ワイヤーロープから離れる向きに作動させる第2エアチャンバと、
を有する、車両。
【請求項3】
請求項2記載の車両であって、
前記車体により支持され、かつ、トルクを出力する電動モータを更に備え、
前記車輪は、
前記電動モータからトルクが伝達される駆動輪と、
前記電動モータからトルクが伝達されない従動輪と、
を含み、
前記車体に支持され、かつ、前記従動輪の向きを変更する転蛇装置を更に備え、
前記転蛇装置は、
前記案内面に接触されて前記車体の幅方向に作動可能な案内輪と、
前記案内輪が前記車体の幅方向へ作動する作動力を前記従動輪へ伝達することにより、前記従動輪の向きを変更する作動力伝達部材と、
を有する、車両。
【請求項4】
請求項1または2記載の車両であって、
前記車輪は、前記車体の幅方向で異なる位置に配置された右車輪及び左車輪を含み、
前記右車輪の外周面に設けられた前記溝の幅と、前記左車輪の外周面に設けられた前記溝の幅とが異なる、車両。
【請求項5】
請求項3記載の車両であって、
通常ブレーキ装置及び車両制御装置が更に設けられ、
前記通常ブレーキ装置は、前記車輪の回転を抑制するブレーキ力を発生し、
前記車両制御装置は、
前記電動モータを制御するモータ制御部と、
前記第1停車ブレーキ装置を制御する第1停車ブレーキ制御部と、
前記第2停車ブレーキ装置を制御する第2停車ブレーキ制御部と、
前記通常ブレーキ装置のブレーキ力を制御する通常ブレーキ制御部と、
を有する、車両。
【請求項6】
案内装置と、前記案内装置により支持されて走行する車両と、前記車両に設けられた車両制御装置と、前記車両から独立して設けられた管理装置と、を有する走行システムであって、
前記案内装置は、
平行に配置される2本のワイヤーロープと、
平行に配置される2つのレールと、
を含み、
前記車両は、
車体と、
前記車体により回転可能に支持される車輪と、
を備え、
前記車両は、前記車輪が前記案内装置により支持されて走行し、
前記車輪の外周面は、前記レールの支持面に支持される構成を有し、
前記車輪の外周面は、前記ワイヤーロープが配置される溝を有し、
前記車体に保持装置が更に設けられ、
前記保持装置は、
前記車体の幅方向に沿って作動可能な作動部材と、
前記作動部材に設けられた保持部材及び接触輪と、
を有し、
前記保持部材は、前記ワイヤーロープを下から支持し、
前記接触輪は、前記レールの案内面に接触して転動され、
前記車体を前記案内装置に対して固定するブレーキ力を発生させる第1停車ブレーキ装置及び第2停車ブレーキ装置が、更に設けられ、
前記第1停車ブレーキ装置は、
前記車体の幅方向に作動可能な第1プランジャと、
前記第1プランジャを前記案内面へ近づける向きに付勢する第1スプリングと、
前記第1プランジャに取り付けられ、かつ、前記案内面へ接触されてブレーキ力を発生する第1ブレーキパッドと、
前記第1プランジャを前記案内面から離れる向きに作動させる第1エアチャンバと、
を有し、
前記第2停車ブレーキ装置は、
前記車体の幅方向に作動可能な第2プランジャと、
前記第2プランジャを前記ワイヤーロープへ近づける向きに付勢する第2スプリングと、
前記第2プランジャに取り付けられ、かつ、前記ワイヤーロープへ押し付けられる第2ブレーキパッドと、
前記第2ブレーキパッドと共に前記ワイヤーロープを挟んでブレーキ力を発生させる受け部と、
前記第2プランジャを前記ワイヤーロープから離れる向きに作動させる第2エアチャンバと、
を有し、
前記車輪の回転を抑制するブレーキ力を発生する通常ブレーキ装置が更に設けられ、
前記車体により支持され、かつ、トルクを出力する電動モータを更に備え、
前記車輪は、
前記電動モータからトルクが伝達される駆動輪と、
前記電動モータからトルクが伝達されない従動輪と、
を含み、
前記車両制御装置は、
前記電動モータを制御するモータ制御部と、
前記第1停車ブレーキ装置を制御する第1停車ブレーキ制御部と、
前記第2停車ブレーキ装置を制御する第2停車ブレーキ制御部と、
前記通常ブレーキ装置のブレーキ力を制御する通常ブレーキ制御部と、
前記管理装置と相互に通信する第1通信装置と、
を有し、
前記管理装置は、
前記第1通信装置と相互に通信する第2通信装置と、
前記車両の通信装置から送られる車両情報を処理し、かつ、前記車両情報を処理した結果に基づいて、前記車両制御装置へ送る制御信号を生成する制御装置と、
を備えている走行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、索道及び軌道に沿って自走可能な車両及び走行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
索道及び軌道に沿って自走可能な車両を備えた走行システムの一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている自走式ロープウェイシステムは、空中に架設された索道に吊下された形態でロープウェイ装置(車両)が走行するロープウェイシステムである。特許文献1に記載されたロープウェイシステムは、ロープウェイ装置と、ロープウェイ装置の進行方向において離隔されて設置された2つの支柱間の区間であり且つ接合部がない一連の索道によって構成される区間である単位索道区間を複数連接するための中継器と、を備えている。また、ロープウェイ装置は、客室を構成するチャンバの天面に設けられた駆動輪と、駆動輪に対応して設けられる受動輪であって、駆動輪の外周に設けられた溝と受動輪の外周に設けられた溝とによって索道を挟持して走行するように構成された受動輪と、を備えている。
【0003】
さらに、中継器は、支柱に設けられ、索道を固定するための索道固定具を備え、前の単位索道区間を構成する索道の終端部分が所定の索道端部に鋳止めされた状態で、索道端部が索道固定具に固定されている。さらに、次の単位索道区間を構成する索道の始端部分が他の索道端部に鋳止めされた状態で、他の索道端部が索道固定具に固定されている。さらに、索道端部及び他の索道端部が設けられた領域を包含する領域にわたって、索道固定具に索道端部走行用レールが形成されている。また、索道端部走行用レールの上面の曲率半径は、索道の曲率半径と同一に形成されており、駆動輪は、索道端部走行用レールの上面を介して、索道端部を越えて次の単位索道区間を構成する索道へと進行することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている走行システムは、車両が索道を走行する場合、及び走行用レールを走行する場合の両方において、車両の姿勢を安定させるという点について、未だ改善の余地がある、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、車両がワイヤーロープを走行する場合、及びレールを走行する場合の両方において、車両の姿勢を安定させることの可能な車両及び走行システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態は、車体と、前記車体により回転可能に支持された車輪と、を有し、前記車輪が案内装置により支持されて走行する車両であって、前記車輪の外周面は、前記案内装置に含まれるレールの支持面に支持される構成を有し、前記車輪の外周面は、前記案内装置に含まれるワイヤーロープが配置される溝を有し、前記車体に保持装置が更に設けられ、前記保持装置は、前記車体の幅方向に沿って作動可能な作動部材と、前記作動部材に設けられた保持部材及び接触輪と、を有し、前記保持部材は、前記ワイヤーロープを下から支持し、前記接触輪は、前記レールの案内面に接触して転動される、車両である。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、車両の姿勢を安定させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本実施形態の車両を含む走行システムのブロック図である。
【
図2A】車両、及び走行システムに含まれる案内装置の模式的な平面図である。
【
図2B】車両及び案内装置の模式的な側面図である。
【
図3】
図2Aに示す案内装置の一部を示す模式的な平面図である。
【
図11A】車両に設けられた第1保持装置及び第2保持装置を包括して示し、かつ、索道及び軌道が設けられている正面図である。
【
図12】車両に設けられた第1保持装置及び第2保持装置を包括して示す平面図である。
【
図13】第1保持装置及び第2保持装置を包括して示し、かつ、軌道のみが設けられている正面図である。
【
図14】車両に設けられている通常ブレーキ装置の模式図である。
【
図15】車両に設けられている第1停車ブレーキ装置及び第2停車ブレーキ装置の斜視図である。
【
図16】第1停車ブレーキ装置の作動を示す正面断面図である。
【
図17】第2停車ブレーキ装置の作動を示す正面断面図である。
【
図18】車両に設けられている右従動輪、左従動輪、右駆動輪、左駆動輪を包括して示す縦断面図である。
【
図19】車両に設けられている右従動輪、左従動輪、右駆動輪、左駆動輪を包括して示す縦断面図である。
【
図20】第1停車ブレーキ装置の構造を示す正面断面図である。
【
図21】第2停車ブレーキ装置の構造を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(概要)
本実施形態の走行システムは、図面に基づいて説明されている。各図面において、同様の構成については、同じ符号が付されている。
図1Aに示された走行システム10は、管理装置11、
図2Bに示す走行装置12を有する。走行装置12は、案内装置13、輸送用機器14及び車両15により構成される。
図2Aは、案内装置13を鉛直方向、つまり、重力の作用方向で真上から見た平面図である。
図2Bは、案内装置13を側方から見た側面図である。複数の車両15が、案内装置13上を走行及び停止可能である。
【0011】
(案内装置)
案内装置13は、車両15の走行路の一部を構成している。車両15は、案内装置13に沿って走行でき、かつ、停止できる。また、走行路は、駅、車庫等を含む。
図2Bのように、案内装置13を側面視すると、案内装置13は、略水平な基準線A1と平行に設けられる第1領域G1と、基準線A1に対して傾斜またはカーブして設けられる第2領域G2とがある。案内装置13が、基準線A1に対し傾斜されていると、基準線A1に対し所定の勾配θ1がある。勾配θ1は、案内装置13と基準線A1との間の鋭角側の角度で表される。車両15は、第2領域G2において案内装置13に沿って登坂及び降坂することができる。
図3のように、案内装置13は、索道22及び軌道23を含む。索道22は、空中へ平行に設けられる2本のワイヤーロープ22A,22Bにより構成される。軌道23は、空中へ平行に設けられる2本のレール23A,23Bにより構成される。2本のワイヤーロープ22A,22B、及び2本のレール23A,23Bの材質は、共に金属である。索道22及び軌道23は、支柱またはフレームにより支持されて空中に設けられる。
【0012】
案内装置13は、索道22が単独で設けられる第1の形態、索道22及び軌道23の両方が設けられる第2の形態、軌道23が単独で設けられる第3の形態、を含む。第2の形態は、
図3、
図9、
図10、
図11Aのように、2本のレール23A,23Bと、レール23A上に載せられたワイヤーロープ22Aと、レール23B上に載せられたワイヤーロープ22Bとを有する。第3の形態は、
図13のように、2本のレール23A,23Bで構成されており、ワイヤーロープ22A,22Bは設けられない。レール23A,23Bは、プレート形状、または、パイプ形状の何れであってもよい。
【0013】
図2Aのように、案内装置13を真上から見た平面視で、案内装置13が直線状に設けられている範囲D1では、案内装置13は、第1の形態、または、第2の形態を採用される。
図2Aのように、案内装置13を真上から見た平面視で、案内装置13がカーブ状に設けられている範囲D2であると、案内装置13は、第2の形態が採用される。
図2Aのように、案内装置13を真上から見た平面視で、案内装置13がカーブ状に設けられている範囲D3であると、案内装置13は、第3の形態が採用される。
【0014】
第2の形態は、カーブの回転半径が第2所定値R2以上である場合に採用される。第3の形態は、カーブの回転半径が第1所定値R1以上であり、かつ、第2所定値R2未満である場合に採用される。第1所定値R1は、例えば、10mであり、第2所定値R2は、例えば、20mである。
【0015】
図9及び
図11Aのように、ワイヤーロープ22A,22Bの幅方向の断面形状は、略円形である。レール23A,23Bを幅方向に沿って破断すると、レール23A,23Bは、共に支持面24及び案内面25を有する。支持面24は、略水平であり、案内面25は、略垂直である。ワイヤーロープ22A,22Bは、支持面24にそれぞれ載せられる。また、
図13のように、ワイヤーロープ22A,22Bが設けられない場合、レール23A,23Bの支持面24の摩擦係数を、支持面24の勾配に応じて異ならせることもできる。例えば、
図2Bにおいて、水平方向の基準線A1と、軌道23の支持面24とにより形成される鋭角側の角度を勾配θ1とした場合、勾配θ1が相対的に大きい程、摩擦係数を相対的に大きく設定する。例えば、支持面24に表面処理または凹凸等を施すことにより、支持面24の摩擦係数を変更できる。
【0016】
(輸送用機器)
図6のように、輸送用機器14は、懸架装置26を介して車両15から吊り下げられる。輸送用機器14は、重力の作用方向で案内装置13より下で保持される。輸送用機器14の材質は、金属、例えば、アルミニウムである。輸送用機器14は、内部が中空の箱形に構成されている。輸送用機器14は、人または貨物を内部へ収容して運搬することができる。本実施形態における輸送用機器14は、主として人を運搬する。輸送用機器14は、客室と、客室内に設けられた座席と、客室内に設けられた手すりと、を有する。座席は、複数設けられており、客室内には、例えば、最大で人を12人収容できる。
【0017】
(懸架装置)
懸架装置26は、輸送用機器14の天井と車両15とを接続する。懸架装置26は、ブラケット130、支持軸28、ショックアブソーバ29等を有する。ブラケット130は、輸送用機器14の天井の外面に固定され、ブラケット130は、支持軸28を介して車体31に接続されている。ブラケット130は、支持軸28を中心として、車両15に対し所定角度の範囲内で揺動可能である。ショックアブソーバ29は、車体31とブラケット130とを接続している。
【0018】
(車両)
車両15は、案内装置13により支持され、かつ、案内装置13に沿って走行可能できる移動体である。車両15は、
図4及び
図5に示す車体31を有する。車両15は、
図1Aに示す車両制御装置45、通常ブレーキ装置40、第1停車ブレーキ装置41、第2停車ブレーキ装置42、電動モータ36、電源37、記憶装置70、通信装置71、位置検出装置72、故障検出装置73、等を備えている。また、車両15は、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8に示すカバー46、等を更に有する。車両制御装置45は、入力ポート、出力ポート、中央演算処理装置を有するコンピュータである。車両制御装置45は、モータ制御部54、停車ブレーキ制御部68、通常ブレーキ制御部99を有する。車両制御装置45は、記憶装置70に記憶されている非一時的なプログラムを読み込み鵜、かつ、管理装置11から取得した制御信号、記憶装置70に記憶されている情報及びデータ、等に基づいて、通常ブレーキ装置40、第1停車ブレーキ装置41、第2停車ブレーキ装置42、電動モータ36、等を制御する機能を有する。
【0019】
また、車両15は、
図1Bに示す右駆動輪32、左駆動輪33、右従動輪34、左従動輪35、電動モータ36、電源37、減速機38、デファレンシャル39を有する。車両15は、
図1B、
図9、
図10A、
図10Bに示す転蛇装置43を、更に有する。車両15は、
図1Bに示す第1保持装置44及び第2保持装置104を、更に、有する。
【0020】
車体31は、複数の鋼材を相互に溶接により固定、または、ボルトにより固定して構成されたフレームである。車体31は、各種の装置、機構、部品を支持する役割を果たす構造体である。カバー46は、各種の装置、機構、部品を覆う要素であり、カバー46は、例えば、発泡体の表面に樹脂を塗布したポリウレア(登録商標)製、金属製、繊維強化プラスチック製である。
【0021】
本実施形態では、右駆動輪32は、右後輪であり、左駆動輪33は、左後輪であり、右従動輪34は、右前輪であり、左従動輪35は、左前輪であるものとする。右駆動輪32の直径、左駆動輪33の直径、右従動輪34の直径、左従動輪35の直径は、全て同じである。本実施形態では、車両15が
図6で第1方向E1へ走行すること、及び第2方向E2へ走行することができる。本実施形態では、車両15が第1方向E1へ走行することを前進と定義し、車両15が第2方向E2へ走行することを後退と定義する。
【0022】
図13のように、右駆動輪32及び左駆動輪33には、外周面の全周に亘って溝27がそれぞれ設けられている。具体的に説明すると、
図18のように、右駆動輪32の溝27の幅W2は、左駆動輪33の溝27の幅W1より大きく設定されていてもよい。また、左駆動輪33の溝27の幅W2が、右駆動輪32の溝27の幅W1より大きく設定されていてもよい。つまり、幅W1と幅W2とが異なっていればよい。
【0023】
図10のように、右従動輪34は、第1ハブキャリヤ48により回転可能に支持されている。第1ハブキャリヤ48は、金属製であり、第1ハブキャリヤ48は、車体31に対しキングピン49を中心とする所定角度の範囲内で作動可能である。第1ハブキャリヤ48には、第1ナックルアーム50が接続されている。左従動輪35は、第2ハブキャリヤ51により回転可能に支持されている。第2ハブキャリヤ51は、金属製であり、第2ハブキャリヤ51は、車体31に対しキングピン52を中心とする所定角度の範囲内で作動可能である。第2ハブキャリヤ51には、第2ナックルアーム53が接続されている。
【0024】
右従動輪34及び左従動輪35の外周面には、
図18に示すように、右駆動輪32及び左駆動輪33と同様の溝27が、それぞれ設けられている。
図19には、右駆動輪32、左駆動輪33、右従動輪34及び左従動輪35の外周面にぞれぞれ設けられる溝27の他の例が示されている。溝27の底部には、窪み27Aが設けられている。右駆動輪32、左駆動輪33、右従動輪34及び左従動輪35の外周面にぞれぞれ設けられる溝27の幅W2は、同じに設定されている。
【0025】
図1Bに示された電動モータ36は、車体31により支持されている。電動モータ36は、
図1Aに示される電源37から電圧が印加されて回転する。電源37は、車体31により支持されている。電源37は、充電及び放電が可能な二次電池であり、電源37は、例えば、リチウムイオン電池が用いられる。モータ制御部54は、インバータ回路を含み、モータ制御部54は、電動モータ36の回転、停止、回転方向、回転速度及びトルクを制御する。
【0026】
減速機38は、電動モータ36から出力されるトルクをデファレンシャル39へ伝達する。減速機38は、入力されるトルクを増幅してデファレンシャル39へ伝達する。デファレンシャル39は、減速機38から入力される動力を、右駆動輪32及び左駆動輪33へ分配する。デファレンシャル39は、右駆動輪32の回転速度と、左駆動輪33の回転速度とに差が生じることを許容する。
【0027】
(通常ブレーキ装置)
図14に示された通常ブレーキ装置40は、車両15の走行中に、右駆動輪32、左駆動輪33、右従動輪34、左従動輪35へブレーキ力を付与及び解除する装置である。通常ブレーキ装置40は、アクチュエータ55、油圧シリンダ56、ブレーキペダル57、ブレーキブースタ58、ドラムブレーキ59、ディスクブレーキ60、等を有する。ドラムブレーキ59は、右駆動輪32及び左駆動輪33にそれぞれ設けられている。ドラムブレーキ59へ作用する油圧が制御され、右駆動輪32及び左駆動輪33へ付加されるブレーキ力が、それぞれ制御される。
【0028】
ディスクブレーキ60は、右従動輪34及び左従動輪35にそれぞれ設けられている。ディスクブレーキ60へ作用する油圧が制御されて、右従動輪34及び左従動輪35へ付加されるブレーキ力が制御される。ブレーキブースタ58は、ドラムブレーキ59及びディスクブレーキ60へ作用する油圧を、別々に制御する装置である。ブレーキペダル57は、支持軸61を支点として作動可能であり、ブレーキペダル57の作動力がブレーキブースタ58に伝達されると、ブレーキブースタ58は、ドラムブレーキ59及びディスクブレーキ60に作用する油圧を制御する。油圧シリンダ56は、ブレーキペダル57に作動力を付加及び解除する。アクチュエータ55は、油圧シリンダ56の作動を制御する機構であり、アクチュエータ55は、例えば、ソレノイドまたは電動モータである。アクチュエータ55は、
図1Aに示された通常ブレーキ制御部99により制御される。なお、ブレーキペダル57へ動作力を付加する機構は、油圧シリンダ56に代えて、空気圧シリンダ、電動式アクチュエータであってもよい。
【0029】
(第1停車ブレーキ装置の構成及び第2停車ブレーキ装置の構成)
図1及び
図15に示された第1停車ブレーキ装置41及び第2停車ブレーキ装置42は、車両15を停車させた状態に保持するブレーキ力を発生する。第1停車ブレーキ装置41及び第2停車ブレーキ装置42は、車両15を車庫で長時間に亘って停車させる場合、または、車両15を案内装置13上で停車させる場合に、ブレーキ力を発生する。第1停車ブレーキ装置41及び第2停車ブレーキ装置42は、車体31に設けられている。第1停車ブレーキ装置41及び第2停車ブレーキ装置42は、車両15の前後方向において、右従動輪34及び左従動輪35と、右駆動輪32及び左駆動輪33と、の間に配置されている。第1停車ブレーキ装置41は、車両15の前後方向で、右駆動輪32及び左駆動輪33と、第2停車ブレーキ装置42との間に配置されている。
【0030】
図15に示す第1停車ブレーキ装置41は、軌道23が設けられている領域で、車両15を停車させる役割を果たす。
図16のように、第1停車ブレーキ装置41は、第1クロスメンバー101及び2個のケーシング62を有する。第1クロスメンバー101は、車体31に固定され、かつ、車両15の幅方向に沿って配置されている。2個のケーシング62は、第1クロスメンバー101へ間隔をおいて配置されている。
【0031】
図20には、1個のケーシング62の内部構造が示されている。第1停車ブレーキ装置41は、ケーシング62によりそれぞれ作動可能に支持されたプランジャ63,120と、プランジャ63の先端に固定されたブレーキパッド64と、圧縮スプリング65及びリターンスプリング121,122と、を更に有する。プランジャ63,120は、中心線B2を中心として同軸上に配置され、かつ、中心線B2に沿って別々に作動可能である。中心線B2は、略水平に、かつ、車両15の幅方向に沿って配置されている。また、ケーシング62内には、エアチャンバ66,123がそれぞれ設けられている。ケーシング62は、隔壁124を有し、隔壁124は、エアチャンバ66とエアチャンバ123とを隔てている。エアチャンバ123は、低圧、例えば大気圧である。プランジャ63にフランジ125が設けられている。
【0032】
ケーシング62の内面にダイアフラム126が取り付けられ、ダイアフラム126が、フランジ125とプランジャ120とにより挟まれている。リターンスプリング121は、ケーシング62よフランジ125との間に配置され、かつ、フランジ125に対し中心線B2に沿った方向の付勢力を加える。つまり、プランジャ63は、リターンスプリング121により隔壁124へ向けて付勢される。エアチャンバ123は、隔壁124とダイアフラム126との間に形成された空間である。エアチャンバ123は、通路128を介してケーシング62の外部へつながっている。
【0033】
ケーシング62内に可動プレート129が設けられ、圧縮スプリング65は可動プレート129を隔壁124へ向けて中心線B2に沿って付勢している。ケーシング62の内面にダイアフラム127が取り付けられ、ダイアフラム127は、プランジャ120と可動プレート129との間に挟まれている。エアチャンバ66は、隔壁124とダイアフラム127との間に形成された空間である。
【0034】
第1停車ブレーキ装置41は、エアチャンバ66から空気が排出されて、エアチャンバ66内の圧力が低圧、例えば、大気圧になると、圧縮スプリング65の付勢力は、可動プレート129、ダイアフラム127、プランジャ120、ダイアフラム126を介してプランジャ63へ伝達される。このため、
図16の上段に示すように、ブレーキパッド64が案内面25へ押し付けられ、ブレーキ力が発生する。第1停車ブレーキ装置41は、勾配θ1が最大値である場合に、車両15を確実に停車させる得るブレーキ力が発生するように、圧縮スプリング65のばね定数が設定されている。
【0035】
第1停車ブレーキ装置41は、エアチャンバ66が高圧であると、エアチャンバ66の容積が拡大され、可動プレート129が圧縮スプリング65の付勢力に抗して、隔壁124から離れる向きに作動する。また、プランジャ120は、リターンスプリング122の付勢力で圧縮スプリング65へ向けて作動する。さらに、プランジャ63は、リターンスプリング121の付勢力で、隔壁124へ近づく向きで作動する。このため、
図16の下段に示すように、ブレーキパッド64が案内面25から離れ、ブレーキ力が解除される。
【0036】
図1Aに示される停車ブレーキ制御部68は、第1停車ブレーキ装置41のエアチャンバ66の空気圧を制御する機能を有する。停車ブレーキ制御部68は、空気を通路67からエアチャンバ66へ供給する制御と、エアチャンバ66内の空気を通路67から排出する制御と、を行う機能を有する。停車ブレーキ制御部68は、コンプレッサ、ソレノイドバルブ等を有している。
【0037】
図15に示す第2停車ブレーキ装置42は、索道22が設けられ、かつ、軌道23が設けられていない領域で、車両15を停車させる役割を果たす。
図17のように、第2停車ブレーキ装置42は、第2クロスメンバー102及び2個のケーシング74を有する。第2クロスメンバー102は、車体31に固定され、かつ、車両15の幅方向に配置されている。2個のケーシング74は、第2クロスメンバー102へ間隔をおいて配置されている。また、第2停車ブレーキ装置42は、第2クロスメンバー102に固定された2個のブラケット103と、を有する。
【0038】
図21には、1個のケーシング74の内部構造が示されている。第2停車ブレーキ装置42は、ケーシング74によりそれぞれ作動可能に支持されたプランジャ75,220と、プランジャ75の先端に固定されたブレーキパッド76と、圧縮スプリング77及びリターンスプリング221,222と、を更に有する。プランジャ75,220は、中心線B3を中心として同軸上に配置され、かつ、中心線B3に沿って別々に作動可能である。中心線B3は、略水平に、かつ、車両15の幅方向に沿って配置されている。2本のプランジャ75及び中心線B3は、鉛直方向で2つのレール23A,23Bより上に配置されている。また、ケーシング74内には、エアチャンバ78,223がそれぞれ設けられている。ケーシング74は、隔壁224を有し、隔壁224は、エアチャンバ78とエアチャンバ223とを隔てている。エアチャンバ223は、低圧、例えば大気圧である。プランジャ75にフランジ225が設けられている。
【0039】
ケーシング74の内面にダイアフラム226が取り付けられ、ダイアフラム226が、フランジ225とプランジャ220とにより挟まれている。リターンスプリング221は、ケーシング74とフランジ225との間に配置され、かつ、フランジ225に対し中心線B3に沿った方向の付勢力を加える。つまり、プランジャ75は、リターンスプリング221により隔壁224へ向けて付勢される。エアチャンバ223は、隔壁224とダイアフラム226との間に形成された空間である。エアチャンバ223は、通路228を介してケーシング74の外部へつながっている。
【0040】
ケーシング74内に可動プレート229が設けられ、圧縮スプリング77は可動プレート229を隔壁224へ向けて中心線B3に沿って付勢する。ケーシング74の内面にダイアフラム227が取り付けられ、ダイアフラム227は、プランジャ220と可動プレート229との間に挟まれている。エアチャンバ78は、隔壁224とダイアフラム227との間に形成された空間である。
【0041】
第2停車ブレーキ装置42は、エアチャンバ78から空気が排出されて、エアチャンバ78内の圧力が低圧、例えば、大気になると、圧縮スプリング77の付勢力は、可動プレート229、ダイアフラム227、プランジャ220、ダイアフラム226を介してプランジャ75へ伝達される。このため、
図17の上段に示すように、ブレーキパッド76と受け部80とにより、ワイヤーロープ22A,22Bがそれぞれ挟まれ、ブレーキ力が発生する。第2停車ブレーキ装置42は、勾配θ1が最大値である場合に、車両15を確実に停車させる得るブレーキ力が発生するように、圧縮スプリング77のばね定数が設定されている。
【0042】
第2停車ブレーキ装置42は、エアチャンバ78が高圧であると、エアチャンバ78の容積が拡大され、可動プレート229が圧縮スプリング77の付勢力に抗して、隔壁224から離れる向きに作動する。また、プランジャ220は、リターンスプリング222の付勢力で圧縮スプリング77へ向けて作動する。さらに、プランジャ75は、リターンスプリング221の付勢力で、隔壁224へ近づく向きで作動する。このため、
図17の下段に示すように、ブレーキパッド76がワイヤーロープ22A,22Bから離れ、ブレーキ力が解除される。
【0043】
図1Aに示す停車ブレーキ制御部68は、第2停車ブレーキ装置42のエアチャンバ78の空気圧を制御する機能を、更に有する。停車ブレーキ制御部68は、空気を通路79からエアチャンバ78へ供給する制御と、エアチャンバ78内の空気を通路79へ排出する制御と、を行う機能を有する。
【0044】
位置検出装置72は、位置検出装置72で地上子を検出することができる。地上子は、例えば、非接触型の集積回路タグであり、地上子は、地上、案内装置13、案内装置13を支持する支柱、等に設けられている。位置検出装置72は、例えば、非接触型のバーコードスキャナであり、位置検出装置72により地上子の識別情報を認識できる。
【0045】
故障検出装置73は、車両15に設けられている各種の装置、例えば、通常ブレーキ装置40が正常であるか故障しているかを検出して信号を出力する。通信装置71は、管理装置11に対し、通信ができるように、無線で接続されている。記憶装置70には、車両制御装置45が起動させる非一時的なプログラム、車両制御装置45で実行される処理、判断、制御等に用いられる各種の情報、データ、等が格納される。
【0046】
車両制御装置45は、電動モータ36、電源37、通常ブレーキ装置40、第1停車ブレーキ装置41、第2停車ブレーキ装置42、記憶装置70、通信装置71、位置検出装置72、故障検出装置73、等に電力ケーブル及び信号ケーブルを介して接続されている。車両制御装置45は、記憶装置70に記憶されている非一時的なプログラムを読み込み、かつ、位置検出装置72の信号、故障検出装置73の信号、記憶装置70に記憶されている情報、データ等に基づいて、各種の信号を処理し、処理結果を管理装置11へ送る。
【0047】
また、車両制御装置45は、管理装置11から取得する制御信号に基づいて、電動モータ36、通常ブレーキ装置40、第1停車ブレーキ装置41、第2停車ブレーキ装置42、等を制御する機能を有する。車両制御装置45は、例えば、電動モータ36の回転、停止、回転速度、回転方向、トルク等を制御する。車両制御装置45は、ドラムブレーキ59及びディスクブレーキ60で生じるブレーキ力を制御する機能を、更に有する。車両制御装置45は、第1停車ブレーキ装置41及び第2停車ブレーキ装置42で生じるブレーキ力を制御する機能を、更に有する。
【0048】
(管理装置)
図1に示す管理装置11は、例えば、管理基地等に設けられている。管理装置11は、走行システム10の全体を管理及び制御するコンピュータである。具体的に説明すると、管理装置11は、案内装置13より支持されている全ての車両15を、間接的に制御する機能を有する。管理装置11は、管理者により操作される。管理装置11は、制御装置16、記憶装置17、通信装置18、入力装置19を有する。通信装置18は、通信装置71との間で相互に無線を介して送受信をおこなう。通信装置18は、さらに、制御装置16に接続されている。
【0049】
記憶装置17には、各種の情報、データ、非一時的なプログラム等が格納されている。記憶装置17に記憶されている情報は、案内装置13により構成される走行路の地図、走行路におけるカーブの半径、案内装置13の勾配θ1が登坂であるか降坂であるか、案内装置13における範囲D1,D2,D3、案内装置13における第1領域G1及び第2領域G2、等を含む。入力装置19は、キーボード、マウス、メインスイッチ等を含む。車両15を確実に停車させておく場合、例えば、車両15を車庫に停車させる場合、メインスイッチがオフされる。車両15を走行させる場合、メインスイッチがオンされる。
【0050】
制御装置16は、入力ポート、出力ポート、中央演算処理装置を有する。制御装置16は、非一時的なプログラムを読み込み、かつ、車両制御装置45から取得する信号、記憶装置17に記憶されている各種の情報及びデータに基づいて、各種の処理を行ない、処理結果に基づいた制御信号を車両制御装置45へ送信する機能を有する。制御装置16が行う処理は、判断、比較、処理結果を記憶装置17へ記憶すること、等を含む。
【0051】
また、制御装置16は、記憶装置17に記憶されている情報及びデータ、車両制御装置45から取得する信号に基づいて、各車両15の現在位置、各車両15の走行速度、各車両15の故障の有無、案内装置13上に位置する各車両15同士の間隔、を判断する機能を有する。
【0052】
また、制御装置16は、各車両15が第1領域G1または第2領域G2の何れに位置しているか、各車両15が位置する案内装置13の勾配θ1、を判断する機能を有する。また、制御装置16は、各車両15が案内装置13を登坂するか降坂するか、各車両15が範囲D1,D2,D3の何れに位置しているか、等を判断する機能を有する。つまり、制御装置16は、車両制御装置45から取得した車両情報を処理して、各種の判断を行う。
【0053】
そして、制御装置16は、処理及び判断の結果に基づいて、車両制御装置45へ送る制御信号を生成する。制御信号は、電動モータ36の停止、回転、回転方向、回転速度、トルクをそれぞれ制御する信号を含む。制御信号は、通常ブレーキ装置40を制御する信号、第1停車ブレーキ装置41を制御する信号、第2停車ブレーキ装置42を制御する信号、を含む。
【0054】
(第1停車ブレーキ装置及び第2停車ブレーキ装置の制御例)
管理装置11が、各車両15の第1停車ブレーキ装置41を間接的に制御する例は、次の通りである。制御装置16は、入力装置19のメインスイッチがオフされていると、2つのエアチャンバ66の空気圧を共に低圧に制御するように、制御信号を生成する。低圧は、例えば、大気圧(1気圧)である。この制御信号が、管理装置11から車両制御装置45へ送られると、停車ブレーキ制御部68は、第1停車ブレーキ装置41の2つのエアチャンバ66の空気圧を共に低圧に制御する。このため、
図16で上段に示すように、ブレーキパッド64は、圧縮スプリング65の付勢力でレール23Aの案内面25、及びレール23Bの案内面25へそれぞれ押し付けられる。したがって、第1停車ブレーキ装置41がブレーキ力を発生し、車両15が停止した状態に保持される。
【0055】
制御装置16は、入力装置19のメインスイッチがオフされていると、2つのエアチャンバ66の空気圧を共に低圧に制御するように、制御信号を生成する。この制御信号が管理装置11から車両制御装置45へ送られると、停車ブレーキ制御部68は、第1停車ブレーキ装置41の2つのエアチャンバ66の空気圧を共に高圧に制御する。このため、ブレーキパッド64は、圧縮スプリング65の付勢力に抗して作動し、
図16で下段に示すように、ブレーキパッド64は、レール23Aの案内面25、及びレール23Bの案内面25からそれぞれ離れる。したがって、第1停車ブレーキ装置41はブレーキ力を解除し、車両15が走行可能になる。
【0056】
第2停車ブレーキ装置42の制御例は、次の通りである。制御装置16は、入力装置19のメインスイッチがオフされていると、2つのエアチャンバ78の空気圧を共に低圧に制御するように、制御信号を生成する。この制御信号が管理装置11から車両制御装置45へ送られると、第2停車ブレーキ装置42のブレーキパッド76は、圧縮スプリング77の付勢力で受け部80へ向けて作動される。そして、ブレーキパッド76及び受け部80は、ワイヤーロープ22A,22Bを、それぞれ単独で挟む。したがって、第2停車ブレーキ装置42がブレーキ力を発生し、車両15が停止した状態に保持される。
【0057】
制御装置16は、入力装置19のメインスイッチがオンされていると、2つのエアチャンバ78の空気圧を共に高圧に制御するように、制御信号を生成する。この制御信号が管理装置11から車両制御装置45へ送られると、第2停車ブレーキ装置42のブレーキパッド76は、圧縮スプリング77の付勢力に抗して、受け部80から離れる向きで作動される。したがって、第2停車ブレーキ装置42はブレーキ力を解除し、車両15が走行可能になる。
【0058】
(第1停車ブレーキ装置及び第2停車ブレーキ装置の他の制御例)
制御装置16は、入力装置19のメインスイッチのオン・オフに関わりなく、第2停車ブレーキ装置42のブレーキ力を制御する制御信号を生成することもできる。例えば、制御装置16は、車両15が、軌道23が設けられている領域に位置していると、入力装置19のメインスイッチのオン・オフに関わりなく、第2停車ブレーキ装置42のブレーキ力を解除するように、制御信号を生成できる。また、制御装置16は、車両15が、索道22が設けられ、かつ、軌道23が設けられていない領域に位置していると、入力装置19のメインスイッチのオン・オフに関わりなく、第1停車ブレーキ装置41のブレーキ力を解除するように、制御信号を生成する。
【0059】
さらに、制御装置16は、車両15が、軌道23を備えた領域に位置していることを検出し、かつ、通常ブレーキ装置40の故障を検出すると、入力装置19のメインスイッチがオンされていても、第1停車ブレーキ装置41でブレーキ力を発生させる制御信号を生成する。制御装置16は、車両15が、索道22を備え、かつ、軌道23が設けられていない領域に位置していることを検出し、かつ、通常ブレーキ装置40の故障を検出すると、入力装置19のメインスイッチがオンされていても、第2停車ブレーキ装置42でブレーキ力を発生させる制御信号を生成する。
【0060】
(転蛇装置)
図9及び
図10A、
図10Bに示す転蛇装置43は、右従動輪34及び左従動輪35の向きを、軌道23の平面形状に沿って変更する装置である。転蛇装置43は、第1案内輪81、第2案内輪82、リンク83、ホルダ84を有する。リンク83の第1端部に保持部材83Aが設けられ、リンク83の第2端部に保持部材83Bが設けられている。第1案内輪81は、第1ナックルアーム50に第1支持軸85を介して回転可能に取り付けられている。第1支持軸85は、保持部材83Aへ取り付けられている。第2案内輪82は、第2ナックルアーム53に第2支持軸86を介して回転可能に取り付けられている。第2支持軸86は、保持部材83Bへ取り付けられている。第1案内輪81の外周面は、レール23Aの案内面25に接触される。第2案内輪82の外周面は、レール23Bの案内面25に接触される。
【0061】
図10Bのように、ホルダ84は、筒形状を有し、ホルダ84は、車体31に取り付けられている。ホルダ84の中心線B1は、車両15の幅方向に沿って略水平に配置されている。ホルダ84は、中心線B1に沿った方向には移動せず、かつ、車両15の前後方向の所定範囲内で移動できるように、車体31で支持されている。ホルダ84の中心線B1に沿った方向における両端にストッパ87,88が設けられている。ストッパ87,88は、中心線B1を中心として環状に設けられている。
【0062】
ホルダ84の内部に圧縮スプリング89及びリテーナ90,91が設けられている。圧縮スプリング89は、中心線B1に沿った方向に伸縮できる。リテーナ90,91は、環状であり、かつ、ストッパ87とストッパ88との間に配置されている。リテーナ90,91のそれぞれの直径は、ストッパ87,88のそれぞれの内径より大きい。圧縮スプリング89は、リテーナ90とリテーナ91との間に配置されている。
【0063】
リンク83の長手方向の一部は、ホルダ84内に配置されている。リンク83は、ホルダ84に対し中心線B1に沿った方向に移動可能である。リンク83の外周面には、2つのフランジ92,93が設けられている。2つのフランジ92,93は、リンク83の長手方向に間隔をおいて設けられている。フランジ92,93のそれぞれの直径は、ストッパ87,88のそれぞれの内径より小さく、かつ、リテーナ90,91のそれぞれの内径より大きい。
【0064】
そして、車両15が走行し、かつ、第1案内輪81がレール23Aの案内面25に接触して転動され、かつ、第2案内輪82がレール23Bの案内面25に接触して転動されると、リンク83が中心線B1に沿った方向に作動する。リンク83の作動力は、第1ナックルアーム50及び第2ナックルアーム53へ伝達される。このため、第1ハブキャリヤ48が、キングピン49を中心として作動され、第2ハブキャリヤ51が、キングピン52を中心として作動される。
【0065】
車両15が、
図2Aに示す範囲D1を走行すると、リテーナ90は、圧縮スプリング89により押されてストッパ87に接触した状態に保持される。また、リテーナ91は、圧縮スプリング89により押されてストッパ88に接触した状態に保持される。つまり、右従動輪34及び左従動輪35の向きは、車両15が直進する向きに保持される。
【0066】
車両15の走行路が、案内装置13の平面視で直線から右カーブへ切り替わると、リンク83がホルダ84に対し右方向へ作動し、リテーナ90がストッパ87へ押し付けられ、かつ、フランジ93がリテーナ91へ押し付けられて、圧縮スプリング89が圧縮される。つまり、右従動輪34及び左従動輪35の向きは、車両15が右旋回する向きへ切り替わる。
【0067】
車両15の走行路が、案内装置13の平面視で直線から左カーブへ切り替わる範囲D3へ進入すると、リンク83がホルダ84に対し左方向へ作動し、リテーナ91がストッパ88へ押し付けられ、かつ、フランジ92がリテーナ90へ押し付けられて、圧縮スプリング89が圧縮される。つまり、右従動輪34及び左従動輪35の向きは左旋回する向きへ切り替わる。
【0068】
車両15の走行路が、カーブから直線へ切り替わると、リテーナ90がストッパ87へ押し付けられ、かつ、リテーナ91がストッパ88へ押し付けられた状態へ切り替わる。このように、右従動輪34及び左従動輪35の向きが、案内装置13の平面視における軌道23の形状に応じて変更される。
【0069】
(第1保持装置及び第2保持装置)
図1Bに示された第1保持装置44は、右従動輪34及び左従動輪35を下から支持する。第2保持装置104は、右駆動輪32及び左駆動輪33を下から支持する。具体的に説明すると、第1保持装置44は、索道22が単独で設けられる第1の形態である場合に、右従動輪34及び左従動輪35を下から支持する。第2保持装置104は、索道22が単独で設けられる第1の形態である場合に、右駆動輪32及び左駆動輪33を下から支持する。第1保持装置44及び第2保持装置104は、車両15の前後方向に間隔をおいて配置されている。第1保持装置44は、車両15の前後方向で、右従動輪34及び左従動輪35が配置されている範囲内に配置されている。第2保持装置104は、車両15の前後方向で、右駆動輪32及び左駆動輪33が配置されている範囲内に配置されている。
【0070】
第1保持装置44及び第2保持装置104は、構造が同じであるため、主として第1保持装置44を説明する。
図11A、
図11Bのように、第1保持装置44は、ホルダ105、第1軸部材106、第2軸部材107、第1保持部材108、第2保持部材109を有する。
【0071】
ホルダ105は、車体31に取り付けられており、ホルダ105は筒形状である。ホルダ105の中心線B4は、車両15の幅方向に沿い、かつ、水平に配置されている。
図11Bのように、ホルダ105の長手方向の両端にストッパ110,111が設けられている。ストッパ110,111は、ホルダ105の内周面から突出され、かつ、それぞれ環状に設けられている。第1軸部材106及び第2軸部材107は、ホルダ105に対し中心線B4に沿った方向へ、それぞれ別々に移動可能である。第1軸部材106及び第2軸部材107は、中心線B4に沿った方向に並べて配置されている。第1軸部材106及び第2軸部材107の長手方向の一部は、それぞれホルダ105の内部へ配置されている。
【0072】
圧縮スプリング112がホルダ105の内部に設けられている。圧縮スプリング112は、中心線B4に沿った方向に伸縮できる。圧縮スプリング112の中心線B4に沿った方向の両端は、第1軸部材106及び第2軸部材107へそれぞれ接触されている。つまり、圧縮スプリング112は、第1軸部材106及び第2軸部材107をホルダ105内から押し出す向きで付勢する。また、第1軸部材106に外向きの係合部113が設けられている。さらに、第2軸部材107に外向きの係合部114が設けられている。第1軸部材106が圧縮スプリング112により付勢され、かつ、係合部113がストッパ110に押し付けられて、第1軸部材106が停止される。第2軸部材107が圧縮スプリング112により付勢され、かつ、係合部114がストッパ111に押し付けられて、第2軸部材107が停止される。
【0073】
図11Aのように、第1保持部材108は、第1軸部材106のうち、ホルダ105の外に露出されている箇所に固定されている。第1保持部材108は、支持軸115を介して第1接触輪116を支持している。支持軸115は、略垂直に延ばされている。第1接触輪116は、支持軸115を中心として回転可能である。
図12のように、支持軸115を中心とする第1接触輪116の外周形状は円形である。第1接触輪116の外周面は、レール23Aの案内面25へ接触して転動される。第2保持部材109は、第2軸部材107のうち、ホルダ105の外に露出されている箇所に固定されている。第2保持部材109は、支持軸117を介して第2接触輪118を支持している。支持軸117は、略垂直に延ばされている。第2接触輪118は、支持軸117を中心として回転可能であり、支持軸117を中心とする第2接触輪118の外周形状は円形である。第2接触輪118の外周面は、レール23Bの案内面25へ接触して転動される。
【0074】
(実施形態の効果)
本実施形態の走行システム10では、車両15が案内装置13により支持され、かつ、車両15が案内装置13に沿って走行する。車両制御装置45は、管理装置11から制御信号を取得し、かつ、取得した制御信号に基づいて、電動モータ36、通常ブレーキ装置40、第1停車ブレーキ装置41、第2停車ブレーキ装置42、等を制御する。電動モータ36のトルクが右駆動輪32及び左駆動輪33に伝達されると、車両15が走行する。車両制御装置45が、電動モータ36の回転方向を切り替えると、車両15の前進と後進とが切り替えられる。車両制御装置45が、電動モータ36の回転速度を制御すると、車両15の走行速度が制御される。車両制御装置45は、電動モータ36のトルクを制御して、右駆動輪32及び左駆動輪33で発生する駆動力を調整できる。
【0075】
(第1保持装置及び第2保持装置の効果)
図4、
図5、
図8のように、車両15が、第1の形態の案内装置13に沿って走行する場合、第1保持装置44が、右従動輪34及び左従動輪35の下に位置し、かつ、第2保持装置104が右駆動輪32及び左駆動輪33の下に位置する。つまり、ワイヤーロープ22Aは、右従動輪34及び第1保持部材108により挟まれ、右駆動輪32及び第1保持部材108により挟まれる。また、ワイヤーロープ22Bは、左従動輪35及び第2保持部材109により挟まれ、左駆動輪33及び第2保持部材109により挟まれる。このため、ワイヤーロープ22Aが、右従動輪34の溝27、右駆動輪32の溝27に対し、それぞれ、位置ずれすることを防止できる。また、ワイヤーロープ22Bが、左従動輪35の溝27、左駆動輪33の溝27に対し、それぞれ、位置ずれすることを防止できる。したがって、車両15が索道22に対して幅方向に正確に位置決めされ、かつ、車両15の姿勢が安定する。
【0076】
さらに、車両15が、索道22及び軌道23が設けられている箇所を走行する場合、右従動輪34及び右駆動輪32は、ワイヤーロープ22Aに載せられ、かつ、第1接触輪116は、レール23Aの案内面25に接触される。左従動輪35及び左駆動輪33は、ワイヤーロープ22Bに載せられ、かつ、第2接触輪118は、レール23Bの案内面25に接触される。したがって、車両15が索道22及び軌道23に対し、車両15の幅方向に正確に位置決めされ、かつ、車両15の姿勢が安定する。また、軌道23単独である第3の形態において、レール23A及びレール23Bの支持面24は、勾配θ1が相対的に大きくなるほど、摩擦係数が相対的に高く設定される。したがって、右駆動輪32及び左駆動輪33のスリップが抑制される。
図17に示すプランジャ75及び中心線B3は、鉛直方向で2つのレール23A,23Bより上に配置されている。したがって、ワイヤーロープ22A,22B、及びレール23A,23Bの両方が設けられている箇所で、プランジャ75がレール23A,23Bに接触することを回避できる。
【0077】
(転蛇装置の効果)
車両15が、軌道23のカーブしている箇所を走行する場合、
図9のように、転蛇装置43の第1案内輪81がレール23Aの案内面25に接触され、かつ、第2案内輪82がレール23Bの案内面25に接触される。このため、
図10Aに示すリンク83がレール23A,23Bの形状に応じて作動され、第1ハブキャリヤ48がキングピン49を中心として作動し、かつ、第2ハブキャリヤ51がキングピン52を中心として作動する。このため、右従動輪34及び左従動輪35は、レール23A,23Bの形状に沿って転蛇され、転蛇前における車両15の進行方向を示す第1仮想線と、転蛇後における車両15の幅方向の中心を通る第2仮想線とにより表されるスリップアングルの増加を抑制できる。したがって、支持面24と、右従動輪34及び左従動輪35との接触個所で生じる摩擦抵抗を低減することができ、車両15の旋回性能が安定する。
【0078】
(案内装置の効果)
車両15が、軌道23がカーブしている箇所を走行する場合、右駆動輪32及び右従動輪34は、それぞれ外周面(トレッド面)が、レール23Aの支持面24上を転動する。左駆動輪33及び左従動輪35は、それぞれ外周面(トレッド面)が、レール23Bの支持面24上を転動する。カーブの回転半径が相対的に小さくなる程、右従動輪34と左従動輪35との距離が狭くなる。このため、右従動輪34と左従動輪35との距離と、レール23Aとレール23Bの距離とが乖離する可能性がある。
【0079】
本実施形態では、案内装置13における範囲D3では、案内装置13が第3の形態になっている。このため、右従動輪34と左従動輪35との距離を、ワイヤーロープ22Aとワイヤーロープ22Bとの距離に関係なく変更できる。したがって、車両15は、カーブの回転半径が所定値未満の軌道23を円滑に旋回して走行することができる。
【0080】
(左右溝幅違いの効果)
右駆動輪32の溝27の幅と、左駆動輪33の溝27の幅とが異なる。また、右従動輪34の溝27の幅と、左従動輪35の溝27の幅とが異なる。このため、ワイヤーロープ22Aとワイヤーロープ22Bとの間隔が、車両15の走行路に沿って変化していたり、ワイヤーロープ22Aとワイヤーロープ22Bとの間隔の組付け誤差があった場合でも、ワイヤーロープ22Aとワイヤーロープ22Bとの間隔の変化量、及びワイヤーロープ22Aとワイヤーロープ22Bとの組付け誤差量を、吸収することができる。したがって、右駆動輪32、左駆動輪33、右従動輪34、左従動輪35と、ワイヤーロープ22A及びワイヤーロープ22Bとの接触個所で生じる摩擦抵抗が増加することを抑制できる。また、右駆動輪32及び右従動輪34が、ワイヤーロープ22Aへ乗り上げること、左駆動輪33及び左従動輪35が、ワイヤーロープ22Bへ乗り上げること、を抑制できる。したがって、車両15の姿勢が安定する。
【0081】
(第1停車ブレーキ装置及び第2停車ブレーキ装置の効果)
車両15は、第1停車ブレーキ装置41及び第2停車ブレーキ装置42を備えている。したがって、案内装置13が第1の形態、第2の形態、第3の形態の何れであっても、車両15を確実に停車させておくことができる。
【0082】
(その他の説明)
本実施形態で開示された技術的事項の意味の一例は、次の通りである。走行システム10は、走行システムの一例である。車両15は、車両の一例である。車体31は、車体の一例である。右駆動輪32、左駆動輪33、右従動輪34、左従動輪35は、車輪の一例である。案内装置13は、案内装置の一例である。レール23A,23Bは、レールの一例である。支持面24は、支持面の一例である。案内面25は、案内面の一例である。ワイヤーロープ22A,22Bは、ワイヤーロープの一例である。溝27は、溝の一例である。第1保持装置44及び第2保持装置104は、保持装置の一例である。
【0083】
第1軸部材106及び第2軸部材107は、作動部材の一例である。第1保持部材108及び第2保持部材109は、保持部材の一例である。第1接触輪116及び第2接触輪118は、接触輪の一例である。第1停車ブレーキ装置41は、第1停車ブレーキ装置の一例である。第2停車ブレーキ装置42は、第2停車ブレーキ装置の一例である。プランジャ63は、第1プランジャの一例である。プランジャ75は、第2プランジャの一例である。圧縮スプリング65は、第1スプリングの一例である。圧縮スプリング77は、第2スプリングの一例である。ブレーキパッド64は、第1ブレーキパッドの一例である。ブレーキパッド76は、第2ブレーキパッドの一例である。
【0084】
エアチャンバ66は、第1エアチャンバの一例である。エアチャンバ78は、第2エアチャンバの一例である。受け部80は、受け部の一例である。電動モータ36は、電動モータの一例である。転蛇装置43は、転蛇装置の一例である。第1案内輪81及び第2案内輪82は、案内輪の一例である。第1ナックルアーム50、第2ナックルアーム53、第1支持軸85及び第2支持軸86は、作動力伝達部材の一例である。右駆動輪32及び右従動輪34は、右車輪の一例である。左駆動輪33及び左従動輪35は、左車輪の一例である。溝27の幅W1,W2は、溝の幅の一例である。通常ブレーキ装置40は、通常ブレーキ装置の一例である。車両制御装置45は、車両制御装置の一例である。モータ制御部54は、モータ制御部の一例である。停車ブレーキ制御部68は、第1停車ブレーキ制御部及び第2停車ブレーキ制御部の一例である。通常ブレーキ制御部99は、通常ブレーキ制御部の一例である。通信装置71は、第1通信装置の一例である。通信装置18は、第2通信装置の一例である。
【0085】
本実施形態は、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、電源は、二次電池に代えて燃料電池であってもよい。また、電源は、二次電池及び燃料電池の両方を有していてもよい。管理装置は、スーパーコンピュータ、ワークステーション、メインフレーム等のうち、少なくとも1つのコンピュータにより構成される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本実施形態は、案内装置により支持されて走行する車両及び走行システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10…走行システム、13…案内装置、15…車両、18,71…通信装置、22A,22B…ワイヤーロープ、23A,23B…レール、24…支持面、25…案内面、27…溝、31…車体、32…右駆動輪、33…左駆動輪、34…右従動輪、35…左従動輪、36…電動モータ、40…通常ブレーキ装置、41…第1停車ブレーキ装置、42…第2停車ブレーキ装置、43…転蛇装置、44…第1保持装置、45…車両制御装置、50…第1ナックルアーム、53…第2ナックルアーム、54…モータ制御部、63,75…プランジャ、64,76…ブレーキパッド、65,77…圧縮スプリング、66,78…エアチャンバ、68…停車ブレーキ制御部、80…受け部、81…第1案内輪、82…第2案内輪、85,86…支持軸、99…通常ブレーキ制御部、104…第2保持装置、106…第1軸部材、107…第2軸部材、108,109…保持部材、116…第1接触輪、118…第2接触輪、W1,W2…幅
【要約】
【課題】車両がワイヤーロープを走行する場合、及びレールを走行する場合の両方において、車両の姿勢を安定させることの可能な車両を提供する。
【解決手段】車体31と、車体31により支持された左駆動輪33及び左従動輪35と、を有する車両15であって、左駆動輪33及び左従動輪35の外周面は、案内装置13に含まれるレールの支持面に支持される構成を有し、左駆動輪33及び左従動輪35の外周面は、案内装置13に含まれるワイヤーロープが配置される溝を有し、車体31に第1保持装置44及び第2保持装置104が更に設けられ、第1保持装置44及び第2保持装置104は、車体31の幅方向に沿って作動可能な作動部材と、作動部材に設けられた保持部材及び接触輪と、を有し、保持部材は、ワイヤーロープを下から支持し、接触輪は、案内部材の案内面に接触して転動される構成である。
【選択図】
図6