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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ソフトターゲット移動プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
G01M17/007 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020569124
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 GB2019051753
(87)【国際公開番号】W WO2019243838
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】1810311.9
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1810313.5
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520483899
【氏名又は名称】アンソニー ベスト ダイナミクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ANTHONY BEST DYNAMICS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ソーンス, ジェームズ
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0018528(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107132054(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0058686(KR,A)
【文献】国際公開第2017/179851(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0377508(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0016020(US,A1)
【文献】特表2005-510411(JP,A)
【文献】Pingxia ZHANG et al.,“Study on control schemes of flexible steering system of a multi-axle all-wheel-steering robot”,Advances in MechanicalEngineering,2016年06月,Vol. 8, No. 6,pp.1-13,DOI: 10.1177/1687814016651556
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/08
G01M 17/007-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの駆動ユニットを備える、ソフトターゲット移動プラットフォームであって、
前記駆動ユニットまたは前記駆動ユニットの各々が、
モータキャリアと、
中心の長手方向軸線を有する駆動モータであって、前記モータキャリア内に該駆動モータの中心の長手方向軸線を中心としてジャーナル接続された駆動モータと、
前記駆動モータに駆動可能に連結された駆動輪であって、前記駆動輪の回転軸線が、前記駆動モータの中心の長手方向軸線から使用中に水平方向の大きさを有するレバーアームだけオフセットされ、それにより輪荷重が、前記キャリアに対して前記駆動モータの中心の長手方向軸線を中心として前記駆動モータを回動させるのに寄与する、駆動輪と、
前記輪荷重による回動に対抗するように前記駆動モータと前記キャリアとの間において作用するばねと
を有
前記駆動モータの中心の前記長手方向軸線と前記駆動モータの回転子の軸線とが同軸であり、
前記駆動輪の軸線が前記同軸の軸線からオフセットされ、
駆動伝達手段が前記駆動モータの前記回転子と前記駆動輪との間に設けられ、前記駆動伝達手段が前記レバーアームを提供する、ソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項2】
前記ばねが、前記キャリアと前記駆動モータのモータ本体との間において作用するねじりばねである、請求項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項3】
前記プラットフォームの操舵のために、前記駆動ユニットの前記キャリアに操舵ピボットを設けることによって、前記駆動ユニットまたは少なくともいくつかの駆動ユニットが操舵可能である、請求項1~2のいずれか一項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項4】
前記操舵ピボットが対応の前記キャリアの車輪の端部にあって、対応の前記キャリアを前記車輪の接地面の近くに配置する、請求項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項5】
前記操舵ピボットが、前記キャリアの中間近くに配置されて、全操舵運動における前記駆動モータ、車輪、および前記キャリアの全体的な空間的な条件を制限する、請求項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項6】
前車軸にある少なくとも1つの前輪が操舵可能であり、
後車軸にある少なくとも1つの後輪が操舵可能であり、
操舵可能な前記前輪の軸線と操舵可能な前記後輪の軸線との交点を略中心として前記プラットフォームを操舵するために、前記後輪および前記前輪とは独立に、または前記後輪および前記前輪に従属して、前記前輪および前記後輪をそれぞれの操舵角に選択的に操舵するための機構が設けられ、
前記機構が、前記交点操舵動作の量に対して横方向に、かつ操舵動作のモードに対して前後に選択的に移動可能であるように、操舵可能な前記前輪および前記後輪が選択的に操舵するために設けられ
操舵の量およびモードについて前記機構を制御するための手段が設けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項7】
前記プラットフォームが中心長手方向軸線を有し、
前記プラットフォームが、そのうちの少なくとも一つの前輪と少なくとも一つの後輪とを含む3つまたは4つの車輪を備え
前記プラットフォームの中心長手方向軸線に沿って前車軸位置に少なくとも1つの車輪が配置され、
他の少なくとも1つの車輪が同様に後車軸位置に配置され、
他の1つまたは複数の車輪が前記車軸に配置され、それにより前輪が1つまたは2つあり、後輪が1つまたは2つあるように配置される、請求項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項8】
車軸位置に設けられた単一の車輪が前記プラットフォームの中心長手方向軸線上にある、請求項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項9】
前記プラットフォームを水平に保つために、中心軸線上に前輪および後輪があり、両側にバランス車輪がある構成を有し、前記バランス車輪が、好ましくは、キャスタ車輪として構成される、請求項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項10】
前記ソフトターゲット移動プラットフォームが、その幅よりも前記中心長手方向軸線の方向において長く、前記車軸が前記中心長手方向軸線に対して横向きとなっている、請求項7~8のいずれか一項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項11】
前記プラットフォームが略正方形であり、前記プラットフォームの中心長手方向軸線が前記車軸に対して横向となっており、どちらかの前記車軸上の任意の2つの前記車輪の中間にある、請求項7~8のいずれか一項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項12】
前記選択的に操舵するための機構が、前記前輪および前記後輪を互いに独立して操舵するように構成され、それにより、車輪のうちの前記前輪または前記後輪の前記操舵が、前記車輪のうちの前記後輪または前記前輪の前記操舵と相互に関係しない、請求項6~11のいずれか一項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項13】
前記選択的に操舵するための機構が、前記前輪および前記後輪を互いに従属して、すなわち互いに相互に関係するとして操舵するように構成される、請求項6~11のいずれか一項に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【請求項14】
前記相互に関係することが、
通常は4つであるすべての車輪を均等に操舵し、それにより前記プラットフォームが真っ直ぐな斜交軸線に沿って操舵され、
前記前輪を均等に、かつ前記後輪に反対に操舵し、それにより操舵の中心が前記車軸間の中間にある横向き軸線上になり、
前記前輪を前記後輪よりも大きく操舵し、それにより操舵の前記中心が前記後車軸の後方にある横向き軸線上になるような相互に関係することであり、
均等な操舵への上記の言及は、アッカーマン操舵の許容を含み、それにより、前記車輪が操舵される実際の角度は、操舵の前記中心に関して内側の車輪と外側の車輪とで異なる、請求項13に記載のソフトターゲット移動プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトターゲット移動プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトターゲット移動プラットフォームは、Dynamic Research Inc(DRI)の名義の一連の特許にて説明されている。特に、米国特許第8,447,509号の要約は次のとおりである。
【0003】
誘導可能ソフトターゲット(GST)システムおよび方法は、様々な衝突回避技術を評価するための多様な試験システムおよび方法を提供する。本システムおよび方法を使用して、物理的なリスクを最小限に抑えながら、様々な衝突シナリオにおけるCPの衝突前の動きを再現すると同時に、シミュレートするアイテムのセンサシグネチャと実質的に同じセンサシグネチャを一貫して供給することができる。様々な例示的な実施形態におけるGSTシステムは、無線コンピュータネットワークと接続されて動作し得るプログラム可能で自律的に誘導可能な自走式ダイナミックモーションエレメント(DME)に取り外し可能に取り付けられたソフトターゲット車両または歩行者形態を備え得る。試験車両とGSTとの衝突時に、DMEが跳ね上がって、一般的な試験車両に衝突したりなんらかの損傷を与えたり、乗り心地を悪くしたりするリスクを最小限に抑えながら、GSTのセンサシグネチャへのDMEの影響を最小限にする具体的なDMEの形状が見出されている。
【0004】
本明細書では、DRI社が「ダイナミックモーションエレメント」という用語を用いるところで「ソフトターゲット移動プラットフォーム」という用語を用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、改良されたソフトターゲット移動プラットフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、
少なくとも1つの駆動ユニットであって、本ユニットまたは各ユニットが、
モータキャリアと、
モータキャリア内に駆動モータの長手方向軸線を中心としてジャーナル接続された駆動モータと、
駆動モータに駆動可能に連結された駆動輪であって、駆動輪の回転軸線が、長手方向から使用中に水平方向の大きさを有するレバーアームだけオフセットされ、それにより輪荷重が、キャリアに対して長手方向軸線を中心としてモータを回動させるのに寄与する、駆動輪と、
輪荷重による回動に対抗するように駆動モータとキャリアとの間において作用するばねと
を有する、少なくとも1つの駆動ユニット
を備える、ソフトターゲット移動プラットフォームが提供される。
【0007】
駆動輪とモータの回転子とは同軸であり、ジャーナルの長手方向軸線から回転子の軸線および車輪の軸線までオフセットが設けられ得るが、好ましくは、ジャーナルの軸線と回転子の軸線とが同軸であり、駆動輪の軸線がオフセットされ、駆動伝達手段がモータの回転子と駆動輪との間に設けられ、駆動伝達手段がレバーアームをもたらす。
【0008】
ばねは、キャリアとモータの本体との間において作用するねじりばねとすることができる。しかしながら、好ましくは、ばねは、ジャーナルの軸線の長手方向に作用し、モータ本体への機構を介してばねにかかる輪荷重に対抗して作用する圧縮またはばねである。この機構は、ベルクランクなどの方向転換器を含むリンク機構を含むことができるが、好ましくは、方向転換プーリーの周りを通り、モータ本体のキャプスタン部分に至るケーブルを備える。
【0009】
本発明の単一の駆動ユニット、または実際には、プラットフォームの車輪の数よりも少ない数が設けられ得、この場合、プラットフォームの他の車輪が、非駆動輪のためのモータを提供せずに異なる方式でばね作用され得る、または同じ方式でばね作用され得る。ただし、好ましくは、プラットフォームの車輪のそれぞれが本発明の駆動ユニットを備え得る。
【0010】
好ましくは、プラットフォームの操舵のために、駆動ユニットのキャリアに操舵ピボットを設けることによって、本駆動ユニットまたは少なくともいくつかの駆動ユニットが操舵可能である。操舵ピボットはそれぞれのキャリアの車輪端部にあり、それぞれのキャリアを車輪の接地面の近くに配置するが、好ましい実施形態では、操舵ピボットは、キャリアの中間近くに配置されて、全操舵運動におけるモータ、車輪、およびキャリアの全体的な空間的な条件を制限する。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、ソフトターゲット移動プラットフォームであって、
前車軸に少なくとも1つの操舵可能な前輪と、
後車軸に少なくとも1つの操舵可能な後輪と、
操舵可能な前輪の軸線と操舵可能な後輪の軸線との交点を略中心としてプラットフォームを操舵するために、後輪および前輪とは独立に、または後輪および前輪に従属して、前輪および後輪をそれぞれの操舵角に選択的に操舵するための機構であって、
機構が、交点が操舵動作の量に対して横方向に、かつ操舵動作のモードに対して前後に選択的に移動可能であるようにされる、機構と、
操舵の量およびモードについて機構を制御するための手段と
を備える、ソフトターゲット移動プラットフォームが提供される。
【0012】
通常、ソフトターゲット移動プラットフォームは中心長手方向軸線を有し、操舵可能な車輪は、そのうちの3つまたは4つの車輪が、
中心長手方向軸線に沿って前車軸位置に少なくとも1つの車輪が配置され、
他の少なくとも1つの車輪が同様に後車軸位置に配置され、
他の1つまたは複数の車輪が車軸に配置され、それにより前輪が1つまたは2つあり、後輪が1つまたは2つある
ように配置される。
【0013】
単一の車輪が車軸位置に設けられる場合、単一の車輪は通常、実質的に中心長手方向軸線上にある。
【0014】
車軸位置に2つの車輪が設けられる場合、2つの車輪は、
中心長手方向軸線の両側に略等間隔で通常設けられ、
軸に沿って実質的に同じ位置に通常設けられ、
活軸などの単一の物理的車軸にあり得る、または
独立して仮想車軸に設けられ得る。
【0015】
車軸は、通常、中心長手方向軸線に対して略直角になる。それにもかかわらず、中心長手方向軸線に対して反対側にある車輪の位置を完全に対称にする必要はない。
【0016】
プラットフォームを水平に保つために、中心長手方向軸線上に前車軸および後車軸があり、両側にバランス車輪がある構成を想定できる。バランス車輪はキャスタ車輪として構成できる。
【0017】
4つ以上の車輪を備えた構成も想定できる。
【0018】
ソフトターゲット移動プラットフォームは、その幅よりも中心長手方向軸線方向において長くてもよく、車軸が中心長手方向軸線に対して横向きとなる。この場合、中心長手方向軸線の位置および向きは自明である。好ましい実施形態では、ソフトターゲット移動プラットフォームは略正方形である。この場合、中心長手方向軸線の位置および向きは同様である。ただし、誤解を避けるために、軸線は車軸に対して横向きとなり、どちらかの車軸上の任意の2つの車輪の中間にあると言える。
【0019】
「互いに独立していること」により、操舵は、後輪または前輪が操舵されていない間、すなわち、操舵の中心が操舵されていない軸にある状態で真っ直ぐ前方に留まっている間に、車輪のうちの前輪または後輪が操舵されることが意図される。
【0020】
「互いに従属すること」により、操舵は、個々の車輪の操舵が他の車輪の操舵と相互に関係することが意図される。例えば、
通常は4つであるすべての車輪を均等に操舵し、それによりプラットフォームが真っ直ぐな斜交軸線に沿って操舵され、
前輪を均等に、かつ後輪とは反対に操舵し、それにより操舵の中心が車軸間の中間にある横向き軸線上になり、
前輪を後輪よりも大きく操舵し、それにより操舵の中心が後車軸の後方にある横向き軸線上になる。
【0021】
均等な操舵への上記の言及は、アッカーマン操舵の許容を含み、それにより、車輪が操舵される実際の角度は、操舵の中心に関して内側の車輪と外側の車輪とで異なることを理解されたい。
【0022】
以下、本発明の理解を助けるために、例として、かつ添付の図面を参照しながら、本発明の特定の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によるソフトターゲット移動プラットフォームの斜視図である。
図2図1のプラットフォームの側面図である。
図3図1のプラットフォームの底面図(底面カバーなし)である。
図4図3と同様の底面図であるが、プラットフォームの一部のみをより詳細に示した底面図である。
図5図1のプラットフォームの駆動ユニットの底面図である。
図6】リバウンド位置にある図5の駆動ユニットの側面図である。車輪を輪郭で示す。
図7図6と同様の側面図であるが、凹凸(bump)位置にある図5の駆動ユニットの側面図である。
図8図6と同様の側面図であるが、車輪を含み、モータに対するそのレバーアームを示す側面図である。
図9】車輪のシャフトの中心を通る、図8の線B-Bでの断面図である。
図10】モータの回転子のシャフトの中心を通る、図8の線C-Cでの断面図である。
図11】駆動ユニットのサスペンションばねの斜視図である。
図12】駆動ユニットのサスペンション全体の斜視図である。
図13】プラットフォームの操舵角の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照すると、ソフトターゲット移動プラットフォーム1は、以下を有する。
【0025】
クランプ4を介してソフトターゲット(図示せず)を取り付けることができるデッキ3を備えた本体2。ターゲットはプラットフォームよりも長くてもよい。よって、シミュレートされる足踏み式自転車または原動機付自転車は、それよりも短いプラットフォームで支持できる。通常、プラットフォームは、シミュレートされる歩行者のフットプーリーント(足の設置部分)を収容するサイズを有する。
【0026】
シミュレートされる衝突が発生した場合に自動車の車輪がプラットフォーム上に乗り上げることができるようにする、中央デッキ3の周囲にある傾斜部5。
【0027】
傾斜部の縁部6の下方にわずかな量だけ通常延びて傾斜部とプラットフォームが使用される路面Rとの間にわずかな地上高Cを設ける車輪6。
【0028】
図示の実施形態は、左側用または右側用であること以外は同一である駆動ユニット11に設けられる4つの車輪6を有する。駆動ユニット11のそれぞれが、略「h」字型のキャリア12を有し、上方のアームは操舵アーム14であり、2つの下方のアーム15は、それらの端部17にモータジャーナル16を有し、中間部分18は、デッキ3の下側に固定された舌状体(tongue)20内に係合する一対の内向きのキングピンスタッド19を支持する。「h」における位置に関連してアームを説明したが、当然のことながら、プラットフォームの使用中には、これらのアームは略水平に配置される。アーム15の間にジャーナル接続されたモータはDCモータ21であり、車輪への回転速度低下なしにシミュレーション速度でプラットフォームを駆動するために高速な毎分回転数が可能であり、車輪は必然的に小さい。デッキは、通常の使用では13mmのオーダで道路Rの上方にあり、換言すれば、Cは通常13mmである。ジャーナル16は、モータのハウジング24の端部でオス部(spigot)23を取り囲む平軸受22を備える。ジャーナルは、モータ内の回転子ベアリング(図示せず)と同心である。駆動端部のオス部23がハウジング24の部分25と固定され、ギヤ伝達比は1:1である。ここでは、第1のギヤ26がモータ出力シャフト27と固定され、第1のギヤと噛み合う第2のギヤ28は、車輪6が取り付けられる出力シャフト29と固定され、これらのギヤは同数の歯を有する。
【0029】
図8から分かるように、車輪6は、モータに対し、レバーアーム31のところに配置され、それにより、輪荷重が、キャリアに対してモータを回動させるのに寄与する。この回動に対して、各駆動ユニットにおいて、図5では見えないが、キャリア部分18と固定されたプレート33の上方に配置されたばね32が抵抗する。プレートの上方には、プレート33に固定された2つのラグ35、36の間に配置されたロッド34がある。ユニットの車輪端部にあるラグ35はプーリー37を支持し、ケーブル38がモータハウジングのキャプスタン溝39からプーリー37の周りを通る。ケーブルの一方の端部は、プーリーから離れた溝の端部の点40において固定される。他方の端部は、ロッドを通り、プーリーから離れたところで、ロッドに支持されたばねカップ42を押すナックル41に支承される。ばねカップ42は、ばねカップ42からナックルが延びるためのスロット43を有する。車輪が上向きに動くとケーブルに張力がかかり、ばねカップがロッドに沿ってプーリーに向かって引き寄せられることが理解されよう。カップ42は、ケーブルにおいて輪荷重によって誘発された力をばねに伝達する。
【0030】
プラットフォームの通常の空荷状態では、モータハウジング部分25に固定されたブラケット45上のリバウンドストップ44が、それぞれのアーム15に支承されて、ケーブル38の張力およびばね32の圧縮を保持する。プラットフォームが押された場合、傾斜部の縁部7は、押し下げられたプラットフォームに対して車輪が上向きに駆動される状態で接地される。この動作により、ばねの圧縮によってモータが回転する。よって、駆動ユニットへの損傷が回避される。車輪端部のアーム15は、46において、車輪のシャフト29が通るモータハウジング部分25のオス部23を収容するように丸く扇形の口部が設けられている(scalloped)ことに留意されたい。
【0031】
次に、プラットフォームのサスペンションから操舵に移ると、4つの駆動ユニットが、仮想の前車軸Fおよび後車軸Rの前方の対および後方の対として設けられる。すべての車輪がプラットフォームの中心長手方向軸線Aにすべて整列されると、それらの個々の軸f、rが整列される。操舵アーム14は、内側に向けられ、操舵アーム14の端部51においてタイロッド52の外側端部に枢着される。タイロッド52の内側端部は、変位部材53に枢着される。変位部材53は、サーボモータ56によって駆動される送りねじ55で支持される。前車軸のこれらの操舵構成要素と後車軸のこれらの操舵構成要素との間には、機械的な連結はない。実際、機械構成要素、駆動部、サスペンション、および操舵部は両方の車軸で同一であり、フロントおよびリアとしての指定は、遠隔制御部が作動されたときにプラットフォームが移動するように設定される方向に基づいて任意である。プラットフォームには、通常、前方を示すマーキングDがある。
【0032】
両方の車軸における操舵が機械的に独立しているため、サーボモータは、
例えばキャスタ前輪付きトロリーなど、前車軸キャリアおよび車輪のみの操舵のため、または
例えばキャスタ後輪付きトロリーなど、後車軸キャリアおよび車輪のみの操舵のため、または
例えばキャスタ前輪およびキャスタ後輪付きトロリーなど、車軸におけるランダムな操舵による前車軸キャリアおよび後車軸キャリアならびに車輪のみの操舵のため、
のいずれかで動作され得ることに留意されたい。
【0033】
プラットフォームの車軸の間隔は、ショッピングトロリーの車軸の間隔よりも大きいと予想され得るため、キャスタ前輪トロリーの場合、プラットフォームは、トロリーの後車軸、すなわちプラットフォームの後ろに瞬間的な操舵の中心を置いて操舵することにより、操縦をシミュレートする。トロリー後輪操舵の場合、反対のことが必要である。
【0034】
これがどのように達成されるかは、図13を参照して理解でき、図13は以下を示している。
【0035】
前輪は角度αへと操舵され、左右の車輪間のαにおけるアッカーマン差(Ackermann difference)δはわずかである。
後輪は角度βへと操舵される。
前輪の軸線と後輪の軸線との交差の交点、つまり操舵の中心S(単一の点として示されているが、実際には、交差は小さな四辺形である可能性が高く、発生するホイールスクラブは少量である)。
点Sは横方向、つまり中心軸線A側に距離Qだけオフセットされ、操舵の量を指定する。Qが小さいほど、プラットフォームの方向の変化の角速度が大きくなる。
点は長手方向にオフセットされ、つまり、前後の車軸F、Rの間の中心線Lの前または後ろに、距離Mだけオフセットされ、操舵のモードを指定する。例えば、そのサイズおよびそれが前輪の操舵であるか後輪の操舵であるかに応じて固定されたMを生じさせるトロリーの場合、プラットフォームの前輪および後輪は、所望のQに従って異なる角度αおよびβへと操舵されることが理解されよう。とはいえ、角度αおよびβの実際の値、すなわち、前後の操舵部材53の変位およびサーボモータ56の角回転は、QおよびMの所望の値に対して容易に決定される。
【0036】
図1の特定のケースでは、Mはゼロに等しい、つまり、軸線の交点/操舵の中心Sは中心線L上にある。この場合、車輪は均等に反対に操舵され、α=-βである。このモードでは、プラットフォームに最も急な旋回の円が与えられ、これは、歩行者が急旋回するのをシミュレートするのに役立つ。
【0037】
サーボモータはコントローラ57の制御下にある。通常、モードが最初にMの値として設定され、遠隔制御部から操舵振幅信号Qを受信する。次に、コントローラ57は、αおよびβに適したサーボ信号を計算して印加する。実際の制御プログラミングは、当業者たる読み手の能力の範囲内であることが予期されている。
【0038】
本発明は、上記の実施形態の細部に限定されることを意図するものではない。例えば、クランプ4は、磁気ホルダまたはベルクロパッドまたはストラップなど、力の閾値に達したときに解除される装置によって置き換えることができる。モータによる車輪の1:1ギヤ駆動は、モータのパフォーマンスおよびプラットフォームに必要とされる速度に応じて、減速機に置き換えても、さらには増速機に置き換えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13