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特許7409744風味最適化機能を備えたエアロゾル発生物品およびこれを含むエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】風味最適化機能を備えたエアロゾル発生物品およびこれを含むエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20231226BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231226BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20231226BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/20
A24F40/40
A24D1/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021516428
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 KR2020018747
(87)【国際公開番号】W WO2021172724
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0022751
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ヨン ミ
(72)【発明者】
【氏名】ハ、スン ホーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオウン、ウン ミ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ジュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン テ
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/032715(WO,A1)
【文献】特表2016-538863(JP,A)
【文献】特表2015-510399(JP,A)
【文献】国際公開第2020/002910(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/009454(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24F 40/20
A24F 40/40
A24D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルター部と、
エアロゾル発生基材を含み、下流端部が前記フィルター部の上流端部と連結される媒質部と、
前記フィルター部または前記媒質部の少なくとも一部を包んでいるラッピング(wrapping)構造物と、を含み、
前記ラッピング構造物は、前記媒質部の下流端部付近を包む形態で配置された熱伝導部材を含み、
前記熱伝導部材は、金属ホイル(foil)または紙がラミされた金属ホイルを含み、
前記ラッピング構造物は、前記熱伝導部材の下流方向に配置された熱伝導制限部材をさらに含み、
前記熱伝導制限部材は、紙または不織布を含み、
前記熱伝導部材は、前記媒質部の前記下流端部付近を包み、前記媒質部の前記下流端部付近を除く領域の少なくとも一部を晒し、
前記熱伝導部材は、前記フィルター部を包まない、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記フィルター部は、上流フィルターセグメントと、下流フィルターセグメントと、を含み、
前記上流フィルターセグメントには、香味剤が添加される、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、第1熱伝導部材であり、
前記ラッピング構造物は、前記第1熱伝導部材と異なる位置に配置された第2熱伝導部材をさらに含み、
前記第1熱伝導部材は、前記第2熱伝導部材より厚い、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、第1熱伝導部材であり、
前記ラッピング構造物は、前記第1熱伝導部材と異なる位置に配置された第2熱伝導部材をさらに含み、
前記第1熱伝導部材は、前記第2熱伝導部材より熱伝導率が高い物質を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
フィルター部と、
エアロゾル発生基材を含み、下流端部が前記フィルター部の上流端部と連結される媒質部と、
前記フィルター部または前記媒質部の少なくとも一部を包んでいるラッピング(wrapping)構造物と、を含み、
前記ラッピング構造物は、前記媒質部の下流端部付近に配置された熱伝導部材を含み、
前記熱伝導部材は、金属ホイル(foil)または紙がラミされた金属ホイルを含み、
前記ラッピング構造物は、前記熱伝導部材の下流方向に配置された熱伝導制限部材をさらに含み、
前記熱伝導制限部材は、紙または不織布を含み、
前記熱伝導部材は、前記媒質部の少なくとも一部を晒し、
前記熱伝導部材は、第1熱伝導部材であり、
前記ラッピング構造物は、前記媒質部の第1領域の周辺に配置された第2熱伝導部材と、前記媒質部の第2領域の周辺に配置された熱伝導制限部材と、をさらに含む、エアロゾル発生物品。
【請求項6】
複数の請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品であって第1エアロゾル発生物品および第2エアロゾル発生物品を含む複数のエアロゾル発生物品と、
前記第1エアロゾル発生物品または前記第2エアロゾル発生物品を収容するための収容空間を具備し、前記収容空間に収容された前記第2エアロゾル発生物品を前記第1エアロゾル発生物品の温度プロファイルに沿って加熱することによってエアロゾルを発生させるエアロゾル発生装置と、を含む、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風味最適化機能を備えたエアロゾル発生物品およびこれを含むエアロゾル発生システムに関する。より詳しくは、エアロゾル発生基材に到達する熱エネルギーが調節されることによって喫煙時に最適化された風味を提供できるエアロゾル発生物品とこれを含むエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝統巻きタバコの短所を克服する代替喫煙物品に関する需要が増加している。例えば、巻きタバコを電気的に加熱することによってエアロゾルを発生させるエアロゾル発生装置(e.g.巻きタバコ型電子タバコ)に関する需要が増加しており、これに伴い、電気加熱式エアロゾル発生装置に対する研究が活発に進行されている。
【0003】
通常、電気加熱式エアロゾル発生装置には、1つの温度プロファイルが搭載されている。搭載された温度プロファイルは、ターゲットエアロゾル発生物品が最大の風味を出せるように事前に設計されたものである。したがって、当該エアロゾル発生装置に他のエアロゾル発生物品が適用されると、温度プロファイルの差異によって物品本来の味と風味がユーザに伝達され得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示のいくつかの実施例を通じて解決しようとする技術的課題は、風味最適化機能を備えたエアロゾル発生物品およびこれを含むエアロゾル発生システムを提供することにある。
【0005】
本開示のいくつかの実施例を通じて解決しようとする他の技術的課題は、エアロゾル発生装置に既搭載の温度プロファイルを変更することなく、最適化された風味を提供できるエアロゾル発生物品およびこれを含むエアロゾル発生システムを提供することにある。
【0006】
本開示のいくつかの実施例を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、初期喫味感が改善されたエアロゾル発生物品およびこれを含むエアロゾル発生システムを提供することにある。
【0007】
本開示のいくつかの実施例を通じて解決しようとするさらに他の技術的課題は、エアロゾルに対するフィルタリング効果が改善されたエアロゾル発生物品およびこれを含むエアロゾル発生システムを提供することにある。
【0008】
本開示の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から本開示の技術分野における通常の技術者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するための、本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品は、フィルター部と、エアロゾル発生基材を含み、下流端部が前記フィルター部の上流端部と連結される媒質部と、前記フィルター部または前記媒質部の少なくとも一部を包んでいるラッピング(wrapping)構造物と、を含むことができる。この際、前記ラッピング構造物は、前記媒質部の下流端部付近に配置された熱伝導部材を含むことができる。
【0010】
いくつかの実施例において、前記熱伝導部材は、金属ホイル(foil)または紙がラミされた金属ホイルを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施例において、前記ラッピング構造物は、前記熱伝導部材の下流方向に配置された熱伝導制限部材をさらに含むことができる。
【0012】
いくつかの実施例において、前記熱伝導部材は、第1熱伝導部材であり、前記ラッピング構造物は、前記第1熱伝導部材と異なる位置に配置された第2熱伝導部材をさらに含み、前記第1熱伝導部材は、前記第2熱伝導部材より厚くてもよい。
【0013】
いくつかの実施例において、前記熱伝導部材は、第1熱伝導部材であり、前記ラッピング構造物は、前記第1熱伝導部材と異なる位置に配置された第2熱伝導部材をさらに含み、前記第1熱伝導部材は、前記第2熱伝導部材より熱伝導率が高い物質を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記熱伝導部材は、第1熱伝導部材であり、前記ラッピング構造物は、前記媒質部の第1領域の周辺に配置された第2熱伝導部材と、前記媒質部の第2領域の周辺に配置された熱伝導制限部材と、をさらに含むことができる。
【0015】
前記技術的課題を解決するための、本開示の他のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品は、フィルター部と、エアロゾル発生基材を含み、下流端部が前記フィルター部の上流端部と連結される媒質部と、前記フィルター部または前記媒質部の少なくとも一部を包んでいるラッピング(wrapping)構造物と、を含むことができる。この際、前記ラッピング構造物は、前記媒質部の下流端部付近を除いた位置に配置された熱伝導部材を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施例において、前記ラッピング構造物は、前記媒質部の下流端部付近に配置された熱伝導制限部材をさらに含むことができる。
【0017】
前記技術的課題を解決するための、本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生システムは、第1エアロゾル発生物品と少なくとも一部が異なるラッピング(wrapping)構造物を有する第2エアロゾル発生物品と、前記第1エアロゾル発生物品または前記第2エアロゾル発生物品を収容するための収容空間を具備し、前記収容空間に収容された前記第2エアロゾル発生物品を前記第1エアロゾル発生物品の温度プロファイルに沿って加熱することによってエアロゾルを発生させるエアロゾル発生装置と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0018】
上述した本開示の多様な実施例によれば、エアロゾル発生物品のラッピング構造物をカスタマイジング(customizing)することによって、エアロゾル発生物品の風味が最適化され得る。特に、エアロゾル発生装置に搭載された温度プロファイルを変更したり新規温度プロファイルを追加する必要なく、既搭載の温度プロファイル下でもエアロゾル発生物品の風味が最適化され得る。これは、温度プロファイルを搭載できない競争会社デバイスに対するエアロゾル発生物品の開発を可能にするので、物品製造社の市場競争力を向上させることができる。
【0019】
また、エアロゾル発生基材を変更することなく、風味が異なる多様なエアロゾル発生物品が製造され得る。これにより、製品多様化が容易に行われ得、これは、消費者の購買意欲を刺激することによって物品製造社の市場競争力をさらに向上させることができる。
【0020】
また、ラッピング構造物の熱伝導部材により媒質部の下流末端付近に集中加熱領域が形成されることによって、最初のパフ時からエアロゾルが円滑に発生することができる。これは、エアロゾル発生物品の初期喫味感を向上させると同時に、エアロゾル発生物品の全般的な風味を向上させることができる。
【0021】
また、ラッピング構造物の熱伝導制限部材により媒質部の下流末端付近に加熱制限領域が形成されることによって、エアロゾルに対するフィルタリング効果が改善され得る。
【0022】
本開示の技術的思想による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は、下記の記載から通常の技術者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生システムを示す例示的な構成図である。
図2】本開示の第1実施例によるラッピング構造物およびこれを含むエアロゾル発生物品を概略的に示す。
図3】本開示の第1実施例によるラッピング構造物およびこれを含むエアロゾル発生物品を概略的に示す。
図4】本開示の第2実施例によるラッピング構造物およびこれを含むエアロゾル発生物品を概略的に示す。
図5】本開示の第3実施例によるラッピング構造物およびこれを含むエアロゾル発生物品を概略的に示す。
図6】本開示の第4実施例によるラッピング構造物およびこれを含むエアロゾル発生物品を概略的に示す。
図7】本開示の第5実施例によるラッピング構造物およびこれを含むエアロゾル発生物品を概略的に示す。
図8】本開示の第6実施例によるラッピング構造物およびこれを含むエアロゾル発生物品を概略的に示す。
図9】本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品が適用され得る多様な類型のエアロゾル発生装置を示す例示的なブロック図である。
図10】本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品が適用され得る多様な類型のエアロゾル発生装置を示す例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施例を詳細に説明する。本開示の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している実施例を参照すると明確になるだろう。しかしながら、本開示の技術的思想は、以下の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現され得、単に本実施例は、本開示を完全にし、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示の技術的思想は、請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0025】
各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本開示を説明するに際して、関連した公知構成または機能に対する具体的な説明が本開示の要旨を不明にすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0026】
別途の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味として使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。本明細書で使用された用語は、実施例を説明するためのものであって、本開示を制限しようとするものではない。本明細書で、単数形は、文章において特に言及しない限り、複数形も含む。
【0027】
また、本開示の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順または順序等が限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、当該他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続され得るが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」され得ると理解されなければならない。
【0028】
本開示で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0029】
本開示の多様な実施例に関する説明に先立って、本明細書で使用されるいくつかの用語について明確にすることとする。
【0030】
本明細書で、「エアロゾル発生基材」は、エアロゾル(aerosol)を発生させることができる物質を意味し得る。エアロゾルは、揮発性化合物を含むことができる。エアロゾル発生基材は、固体または液状でありうる。
【0031】
例えば、固体のエアロゾル発生基材は、板状葉タバコ、刻みタバコ、再構成タバコ等タバコ原料を基礎とする固体物質を含むことができ、液状のエアロゾル発生基材は、ニコチン、タバコ抽出物および/または多様な香味剤を基礎とする液状組成物を含むことができる。しかしながら、本開示の範囲が前記列挙された例示に限定されるものではない。
【0032】
より具体的な例として、液状のエアロゾル発生基材は、プロピレングリコール(PG)およびグリセリン(GLY)のうち少なくとも1つを含むことができ、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよびオレイルアルコールのうち少なくとも1つをさらに含むこともできる。他の例として、エアロゾル発生基材は、ニコチン、水分および加香物質のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。さらに他の例として、エアロゾル発生基材は、ケイヒ、カプサイシン等の多様な添加物質をさらに含むこともできる。エアロゾル発生基材は、流動性が大きい液体物質だけでなく、ゲルまたは固形分形態の物質を含むこともできる。このように、エアロゾル発生基材の組成成分は、実施例によって多様に選択され得、その組成比率も、実施例によって変わることができる。以下の明細書で、液状は、液状のエアロゾル発生基材を指すものでありうる。
【0033】
本明細書で、「エアロゾル発生物品」は、エアロゾル発生基材を含んでエアロゾルを発生させることができる物品を意味し得る。エアロゾル発生物品の代表的な例としては、巻きタバコが挙げられるが、本開示の範囲がこのような例示に限定されるものではない。
【0034】
本明細書で、「エアロゾル発生装置」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接的に吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味し得る。エアロゾル発生装置は、例えば液状カートリッジを利用する液状型エアロゾル発生装置と、液状カートリッジと巻きタバコを共に利用するハイブリッド型エアロゾル発生装置を含むことができる。ただし、その他にも多様な類型のエアロゾル発生装置がさらに含まれ得るので、本開示の範囲が前記列挙された例示に限定されるものではない。エアロゾル発生装置のいくつかの例示については、図1図9および図10を参照することとする。
【0035】
本明細書で、「パフ(puff)」は、ユーザの吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、ユーザの口や鼻を通じてユーザの口腔内、鼻腔内または肺に引き寄せる状況を意味し得る。
【0036】
本明細書で、「上流」(upstream)または「上流方向」は、喫煙者の口部から遠ざかる方向を意味して、「下流」(downstream)または「下流方向」は、喫煙者の口部から近づく方向を意味し得る。上流および下流という用語は、喫煙物品を構成する要素の相対的位置を説明するために利用され得る。例えば、図1に例示された喫煙物品150において、フィルター部151は、媒質部152の下流または下流方向に位置し、媒質部152は、フィルター部151の上流または上流方向に位置する。
【0037】
本明細書で、「フィルターセグメント(filter segment)」は、論理的または物理的に区分されるフィルターの一領域を意味し得る。フィルターセグメントは、単一フィルターの一部分に対応することができ、多重フィルターの一部分に対応することもできる。
【0038】
以下、本開示の多様な実施例を添付の図面を参照して詳細に説明することとする。
【0039】
図1は、本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生システムを示す例示的な構成図である。
【0040】
図1に示されたように、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置100-1および複数のエアロゾル発生物品150、160を含むことができる。図1は、エアロゾル発生物品が2個であることを例として図示しているが、これは、理解の便宜を提供するためのものに過ぎず、エアロゾル発生物品の個数は、3個以上であってもよいことはもちろんである。以下、エアロゾル発生システムの各構成要素について説明することとする。
【0041】
エアロゾル発生装置100-1は、エアロゾル発生物品150または160を収容するための収容空間を具備し、収容されたエアロゾル発生物品150または160を加熱することによってエアロゾルを発生させる装置である。発生したエアロゾルは、ユーザの口部を通じて吸入され得る。エアロゾル発生装置100-1は、既搭載の温度プロファイル121に基づいてエアロゾル発生物品150または160を加熱することができる。
【0042】
実施例によるエアロゾル発生装置100-1は、ヒーター140と、制御部120およびバッテリー130を含むことができる。ただし、図1には、本開示の実施例に係る構成要素のみが示されている。したがって、本開示の属する技術分野における通常の技術者なら図1に示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かる。以下、エアロゾル発生装置100-1の構成要素について説明する。
【0043】
ヒーター140は、収容空間に収容されたエアロゾル発生物品150または160を加熱することによってエアロゾルを発生させることができる。例えば、図1に示されたように、ヒーター140は、外部加熱方式でエアロゾル発生物品150または160を加熱することができる。すなわち、ヒーター140は、収容空間の周辺を包む形態で配置されて、収容空間に収容されたエアロゾル発生物品150または160を加熱することができる。しかしながら、本開示の範囲がこのような例示に限定されるものではない。
【0044】
ヒーター140は、電気抵抗性ヒーターで具現され得るが、本開示の範囲がこれに限定されるものではない。
【0045】
次に、制御部120は、エアロゾル発生装置100-1の動作を全般的に制御することができる。例えば、制御部120は、ヒーター140およびバッテリー130の動作を制御することができ、エアロゾル発生装置100-1に含まれた他の構成要素の動作も制御することができる。制御部120は、バッテリー130が供給する電力、ヒーター140の加熱温度等を制御することができる。さらに具体的な例として、制御部120は、既搭載の温度プロファイル121に基づいてヒーター140の加熱温度を制御することができる。温度プロファイル121は、ターゲットエアロゾル発生物品の風味を最大化するために事前に設計されたものであってもよい。
【0046】
また、制御部120は、エアロゾル発生装置100-1の構成それぞれの状態を確認して、エアロゾル発生装置100-1が動作可能な状態であるか否かを判断することもできる。
【0047】
制御部120は、少なくとも1つのプロセッサ(processor)により具現され得る。前記プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイで具現されることもでき、汎用的なマイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサで実行され得るプログラムが保存されたメモリーの組み合わせで具現されることもできる。また、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、制御部120が他の形態のハードウェアで具現されることもできることを自明に理解することができる。
【0048】
次に、バッテリー130は、エアロゾル発生装置100-1が動作するのに用いられる電力を供給することができる。例えば、バッテリー130は、ヒーター140がエアロゾル発生物品150または160に含まれたエアロゾル発生基材を加熱することができるように電力を供給することができ、制御部120が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0049】
また、バッテリー130は、エアロゾル発生装置100-1に設置されたディスプレイ(不図示)、センサー(不図示)、モーター(不図示)等の電気的構成要素が動作するのに必要な電力を供給することができる。
【0050】
次に、エアロゾル発生物品150、160は、ヒーター140により加熱されることによってエアロゾルを発生させることができる。第1エアロゾル発生物品150は、フィルター部151と、媒質部152と、フィルター部151および/または媒質部152を包んでいるラッピング(wrapping)構造物と、を含むことができ、第2エアロゾル発生物品160も、類似の構成を有することができる。ただし、エアロゾル発生物品150、160の細部構造は、実施例によって変わることができる。以下で説明する第1エアロゾル発生物品150に関する説明は、第2エアロゾル発生物品160にも適用され得る。
【0051】
フィルター部151は、煙および/またはエアロゾルを濾過できるフィルター物質を含むことができる。フィルター物質は、例えばセルロースアセテート繊維でありうる。しかしながら、これに限定されるものではない。いくつかの実施例において、フィルター物質は、炭素を含む吸着剤、活性炭等のように当該技術分野において広く知られた少なくとも1つのフィルター物質をさらに含むことができる。
【0052】
フィルター部151は、単一フィルターまたは二重フィルター等の多重フィルター構造で具現され得る。また、フィルター部151は、キャビティ(cavity)を含むこともでき、キャビティには、香味カプセルが添加されることもできる。
【0053】
次に、媒質部152は、エアロゾル発生基材を含み、下流端部がフィルター部151の上流端部と連結され得る。媒質部152とフィルター部151との連結は、ラッピング構造物により行われ得る。
【0054】
次に、ラッピング構造物は、フィルター部151および/または媒質部152を包んでいる構造物を意味し得る。例えば、ラッピング構造物は、フィルター部151を包んでいるフィルターラッパー(filter wrapper)、媒質部152を包んでいるラッパー、ティッピングラッパー(tipping wrapper)等を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施例において、ラッピング構造物は、熱伝導部材および/または熱伝導制限部材をさらに含むことができる。熱伝導部材は、媒質部152のエアロゾル発生基材に到達する熱エネルギーを増加させることができ、熱伝導制限部材は、エアロゾル発生基材に到達する熱エネルギーを制限することができる。すなわち、ラッピング構造物は、熱伝導部材および/または熱伝導制限部材を通じてエアロゾル発生基材に到達する熱エネルギーを適切に調節できるが、これを通じてエアロゾル発生物品150の風味が多様化/最適化され得る。本実施例において、熱伝導部材および/または熱伝導制限部材の素材、長さ、厚さ、面積、配置位置、配置形態、配置構造等は、多様に設計され、選択され得る。ラッピング構造物に関する多様な実施例に関しては、後で図2図8を参照して詳細に説明することとする。
【0056】
上述した実施例において、熱伝導部材は、例えばアルミニウムホイル、銅ホイル等のような金属ホイルまたは紙がラミされた金属ホイル等からなり得る。しかしながら、これに限定されるものではなく、熱伝導率が基準値以上の多様な物質(素材)で熱伝導部材を構成することができる。
【0057】
また、熱伝導制限部材は、紙、不織布等のような高分子物質からなり得る。しかしながら、これに限定されるものではなく、熱伝導率が基準値以下の多様な物質(素材)で熱伝導制限部材を構成することができる。
【0058】
ラッピング構造物を通した熱伝達制御は、下記のような多様な利点を提供することができる。
【0059】
例えば、第1エアロゾル発生物品150と第2エアロゾル発生物品160は、物理的仕様が実質的に同一であるが、少なくとも一部が異なるラッピング構造物を有すると仮定しよう。また、第1エアロゾル発生物品150と第2エアロゾル発生物品160が互いに異なる温度プロファイル有する物品であると仮定しよう。例えば、既搭載の温度プロファイル121が第2エアロゾル発生物品160の温度プロファイルである場合を仮定することができる。このような場合、エアロゾル発生装置100-1は、第2エアロゾル発生物品160の温度プロファイル121に沿って第1エアロゾル発生物品150を加熱するはずであるから、本来なら第1エアロゾル発生物品150本来の味と風味が発現することができない。しかしながら、第1エアロゾル発生物品150のラッピング構造物がエアロゾル発生基材に到達する熱エネルギーを適切に調節する場合、このような状況でも第1エアロゾル発生物品150本来の風味がユーザに伝達され得る。
【0060】
言い換えれば、ラッピング構造物を通じて熱伝達を適切に調節することによって、既存温度プロファイル121を変更したり新規温度プロファイルを追加することなく(すなわち、既存の温度プロファイル121下に動作しても)、第1エアロゾル発生物品150の風味が最適化され得る。これは、温度プロファイルを搭載できない競争会社デバイスに対するエアロゾル発生物品の開発を可能にするので、物品製造社の市場競争力を向上させることができる。
【0061】
他の例として、第1エアロゾル発生物品150と第2エアロゾル発生物品160が同一または類似のエアロゾル発生基材を含み、少なくとも一部が異なるラッピング構造物を有すると仮定しよう。このような場合、第1エアロゾル発生物品150と第2エアロゾル発生物品160の内部に到達する熱エネルギーが変わるので、類似のエアロゾル発生基材を含んでも風味が変わることができる。すなわち、2つのエアロゾル発生物品150、160が消費者に互いに異なる製品と認識され得るので、製品が多様化される効果が達成され得る。これは、消費者の購買意欲を刺激することによって物品製造社の市場競争力をさらに向上させることができる。たとえば、エアロゾル発生装置100-1に対して多様なエアロゾル発生物品150、160が消費者に提供されることができて、消費者の購買意欲を鼓吹させることができる。
【0062】
以上、図1を参照して本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生システムについて説明した。以下では、図2図8を参照してラッピング構造物に関する多様な実施例について詳細に説明することとする。
【0063】
図2および図3は、本開示の第1実施例によるラッピング構造物10-1およびこれを含むエアロゾル発生物品150-1を概略的に示す。
【0064】
図2に示されたように、エアロゾル発生物品150-1は、フィルター部151と、媒質部152と、フィルター部151と媒質部152を包んでいるラッピング構造物10-1と、を含むことができる。重複した説明を排除するために、フィルター部151と媒質部152に関する説明は省略することとする。
【0065】
実施例によるラッピング構造物10-1は、媒質部152を包んでいるラッパー11と、フィルター部151を包んでいるフィルターラッパー12と、媒質部152の下流端部付近に配置された熱伝導部材13と、を含むことができる。ここで、熱伝導部材13が媒質部152の下流端部付近に配置されたというのは、媒質部152の下流端部付近を包んでいるラッパーに熱伝導部材13が配置されたことを意味し得る。
【0066】
より具体的に、熱伝導部材13は、ラッパー11の内側に配置されて媒質部152の下流端部付近に集中加熱領域153を形成することができる。集中加熱領域153は、相対的にヒーター140の熱エネルギーが集中する領域を意味し得る。熱伝導部材13は、媒質部152の下流端部付近の一部または全部を包む形態で配置され得る。
【0067】
本実施例において、ヒーター140が動作するに従って集中加熱領域153の加熱が相対的に促進され得るが、これは、初期のパフ時からエアロゾルが円滑に発生するようにすることによって、エアロゾル発生物品150-1の全般的な風味と喫味感を向上させることができる。特に、エアロゾル発生物品150-1の初期喫味感が大きく向上することができる。たとえば、ヒーター140の加熱温度がエアロゾル発生物品150-1の最適温度に達しない場合でも、エアロゾル発生物品150-1本来の風味が初期のパフ時から発揮され得る。
【0068】
一方、熱伝導部材13を構成する素材の種類、熱伝導部材13の厚さ、長さ、面積および配置形態等は、多様な要因に基づいて変更され得る。例えば、集中加熱領域153に到達する熱エネルギーをさらに増加させたい場合、さらに厚い熱伝導部材13を配置したり、熱伝導率がさらに高い素材で熱伝導部材13を構成することができる。他の例として、媒質部152の特定領域(e.g.エアロゾル発生基材の密度または含量が高い領域)に熱エネルギーを集中させたい場合、前記特定領域のみを包む形態で熱伝導部材13が配置されることもできる。さらに他の例として、複数の熱伝導部材13が媒質部152の下流端部付近に離隔して配置されることもできる。
【0069】
いくつかの実施例では、集中加熱領域153の下流方向に隣接して香味剤が添加され得る。例えば、図3に示されたように、集中加熱領域153に隣接するフィルター部151の上流セグメント151-2に香味剤15が添加され得る。図3は、フィルター部151が下流セグメント151-1と上流セグメント151-2で構成されることを例として図示しているが、フィルター部151の細部構造は、いくらでも変更され得る。香味剤15は、例えば粉末、顆粒、カプセル等の形態で添加され得るが、本開示の範囲がこのような例示に限定されるものではない。本実施例によれば、香味剤15が集中加熱領域153に近接した位置に添加されることによって、香味剤15の熱分解が促進され得る。これにより、エアロゾル発生物品150-1の風味がさらに向上することができる。
【0070】
以下では、図4を参照して本開示の第2実施例によるラッピング構造物10-2について説明することとする。以下、明細書の明瞭さのために以前の実施例と重複する内容は省略し、差異点を中心に説明することとする。
【0071】
図4は、本開示の第2実施例によるラッピング構造物10-2およびこれを含むエアロゾル発生物品150-2を概略的に示す。
【0072】
図4に示されたように、ラッピング構造物10-2は、媒質部152の下流端部付近に配置された熱伝導部材13と、熱伝導部材13の下流方向に配置された熱伝導制限部材14と、を含むことができる。例えば、熱伝導制限部材14は、媒質部152に隣接するフィルター部151の上流端部付近に配置され得る。図4は、集中加熱領域153が媒質部152の一部の領域に形成されたことを例として図示しているが、集中加熱領域153は、媒質部152の全体にわたって形成されることもできる(e.g.熱伝導部材13が媒質部152の全体を包む形態で配置された場合)。
【0073】
本実施例において、熱伝導部材13は、媒質部152の下流端部付近に集中加熱領域153を形成し、熱伝導制限部材14は、集中加熱領域153の下流方向に加熱制限領域154を形成することができる。ここで、加熱制限領域154は、相対的にヒーター140の熱エネルギー到達が相対的に制限される領域を意味し得る。
【0074】
本実施例において、集中加熱領域153は、エアロゾルが円滑に発生するようにすることができ、加熱制限領域154は、発生したエアロゾルを適切に冷却することによってエアロゾル発生物品150-2の霧化量を増大させることができる。
【0075】
以下では、図5を参照して本開示の第3実施例によるラッピング構造物10-3について説明することとする。
【0076】
図5は、本開示の第3実施例によるラッピング構造物10-3およびこれを含むエアロゾル発生物品150-3を概略的に示す。
【0077】
図5に示されたように、ラッピング構造物10-3は、媒質部152の下流に配置された第1熱伝導部材13-1と、上流に配置された第2熱伝導部材13-2と、を含むことができる。第1熱伝導部材13-1は、媒質部152の下流領域に第1集中加熱領域153-1を形成し、第2熱伝導部材13-2は、媒質部152の上流領域に第2集中加熱領域153-2を形成することができる。
【0078】
この際、第1熱伝導部材13-1の厚さは、第2熱伝導部材13-2より厚くてもよい。それによって、第1集中加熱領域153-1に相対的にさらに熱エネルギーが集中することができ、これは、初期のパフ時からエアロゾル発生が円滑に行われるようにすることによって、エアロゾル発生物品150-3の初期喫味感を向上させることができる。
【0079】
また、媒質部152の全般にわたって集中加熱領域153-1、153-2が形成されることによって、エアロゾル発生物品150-3の全般的な風味が向上することができる。たとえば、ヒーター140の加熱温度がエアロゾル発生物品150-3の最適温度に達しない場合でも、エアロゾル発生物品150-3本来の風味が発揮され得る。
【0080】
いくつかの実施例において、第1熱伝導部材13-1は、第2熱伝導部材13-2より熱伝導率が高い物質で構成され得る。このような場合、第1熱伝導部材13-1の厚さは、第2熱伝導部材13-2と実質的に同一または類似であってもよい。本実施例によっても、前述したような効果が達成され得る。
【0081】
以下では、図6を参照して本開示の第4実施例によるラッピング構造物10-4について説明することとする。
【0082】
図6は、本開示の第4実施例によるラッピング構造物10-4およびこれを含むエアロゾル発生物品150-4を概略的に示す。
【0083】
図6に示されたように、ラッピング構造物10-4は、媒質部152の第1領域153-1の周辺に配置された第1熱伝導部材13-1と、第2領域153-2の周辺に配置された第2熱伝導部材13-2と、第3領域154の周辺に配置された熱伝導制限部材14と、を含むことができる。このような場合、第1領域153-1および第2領域153-2に集中加熱領域が形成され、第3領域154には、加熱制限領域が形成され得る。
【0084】
本実施例では、媒質部152に到達する熱エネルギーがラッピング構造物10-4により部位別に変わることができる。例えば、ヒーター140が単一ヒーターで構成された場合にも、媒質部152の加熱温度がラッピング構造物10-4により部位別に変わることができる。
【0085】
本実施例は、媒質部152が複数のセグメントで構成されたり、ヒーター140が多重(多段)ヒーターで具現されて、互いに異なる加熱温度で動作する場合に有用に適用され得る。例えば、媒質部152が複数のセグメントで構成され、各セグメント別に温度プロファイルが異なる場合(e.g.各セグメント別にエアロゾル発生基材の密度/含量が異なるか、セグメント別に含まれる物質が異なる場合)、ラッピング構造物10-4によりセグメント別に加熱温度が相異に調節されることによって、エアロゾル発生物品150-4の風味が増進され得る。他の例として、ヒーター140が多重(多段)ヒーターで具現され、互いに異なる加熱温度で動作するが、媒質部152の最適温度が部位別に同じ場合がありえる。このような場合、ラッピング構造物10-4により媒質部152の全体部位に均一な熱エネルギーが伝達されることによって、エアロゾル発生物品150-4の風味が向上することができる。
【0086】
一方、図6の例示は、本開示の一実施例に過ぎないものであって、熱伝導部材13-1、13-2および熱伝導制限部材14の個数、配置位置および面積等は、いくらでも変わることができる。
【0087】
以下では、図7を参照して本開示の第5実施例によるラッピング構造物10-5について説明することとする。
【0088】
図7は、本開示の第5実施例によるラッピング構造物10-5およびこれを含むエアロゾル発生物品150-5を概略的に示す。
【0089】
図7に示されたように、ラッピング構造物10-5は、媒質部152の上流付近に配置された熱伝導部材13を含むことができ、媒質部152の下流端部付近には、熱伝導部材13が配置されなくてもよい。このような場合、ヒーター140の熱エネルギーが相対的に媒質部152の上流領域153に集中するので、媒質部152の下流端部付近に加熱制限領域154が形成され得る。
【0090】
本実施例において、加熱制限領域154は、媒質部152の下流端部付近の温度を下げて発生したエアロゾルに対するフィルタリング効果を増進させることができる。ここで、フィルタリングの意味は、エアロゾルに含まれた成分が一部濾過されることだけでなく、エアロゾルに他の成分がさらに含まれる場合も含むことができる。すなわち、フィルタリングは、エアロゾル内の成分が変化する場合を全部包括することができる。
【0091】
具体的に、加熱制限領域154を通過するにつれてエアロゾル内の一部の成分が濾過され得、加熱制限領域154に含まれた一部の成分がエアロゾル内にさらに含まれ得る。したがって、エアロゾル生成物品150-5の外部に吐出されるエアロゾルは、最初に生成されたエアロゾルの成分と異なり得、これを通じて媒質部152の全体が加熱する場合とは異なる風味が発揮され得る。
【0092】
以下では、図8を参照して本開示の第6実施例によるラッピング構造物10-6について説明することとする。
【0093】
図8は、本開示の第6実施例によるラッピング構造物10-6およびこれを含むエアロゾル発生物品150-6を概略的に示す。
【0094】
図8に示されたように、ラッピング構造物10-6は、媒質部152の下流端部付近に配置された熱伝導制限部材14を含むことができる。熱伝導制限部材14は、媒質部152の下流端部付近に伝達される熱エネルギーを制限することによって、当該部位にさらに強化された加熱制限領域154を形成することができる。それによって、前述したエアロゾルフィルタリング効果がさらに強化され得、上述した実施例とはさらに異なる風味がユーザに伝達され得る。
【0095】
以上、図2図8を参照して本開示の多様な実施例によるラッピング構造物10-1~10-6とこれを含むエアロゾル発生物品150-1~150-6について説明した。上述したところによれば、ラッピング構造物10-1~10-6を通じてエアロゾル発生基材に到達する熱エネルギーが調節され得、これを通じてエアロゾル発生物品150-1~150-6の風味が最適化/多様化され得る。
【0096】
一方、上述した第1~第6実施例は、多様な形態で組み合わせることができる。例えば、媒質部152の下流に第1熱伝導部材13-1が配置され、上流に第2熱伝導部材13-2が配置され、第1熱伝導部材13-1の下流方向に熱伝導制限部材14が配置されることもできる(第2実施例と第3実施例の組み合わせ)。実施例の組み合わせは、多様な要因を考慮して行われ得る。また、熱伝導部材13および/または熱伝導制限部材14の素材、長さ、厚さ、配置位置、面積等も、多様な要因に基づいて設計され、選択され得る。多様な要因は、例えばエアロゾル発生装置100-1に搭載された温度プロファイル121とエアロゾル発生物品(e.g.150)に適合した温度プロファイルの差異、ヒーター140の加熱構造と性能、エアロゾル発生物品(e.g.150)の物理的規格(e.g.大きさ制限)等を含むことができる。
【0097】
以下では、図9および図10を参照して本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生物品150が適用され得るエアロゾル発生装置100-2、100-3について説明することとする。
【0098】
図9および図10は、エアロゾル発生装置100-2、100-3を示す例示的なブロック図である。具体的に、図9は、蒸気化器1とエアロゾル発生物品150が並列に配置されたエアロゾル発生装置100-2を例示しており、図10は、蒸気化器1とエアロゾル発生物品150が直列に配置されたエアロゾル発生装置100-3を例示している。
【0099】
図9または図10に示されたように、エアロゾル発生装置100-2または100-3は、蒸気化器1、ヒーター140、バッテリー130および制御部120を含むことができる。ただし、これは、本開示の目的を達成するための好適な実施例に過ぎず、必要に応じて一部の構成要素が追加されたり省略され得ることはもちろんである。また、図9または図10に示されたエアロゾル発生装置100-2、100-3のそれぞれの構成要素は、機能的に区分される機能要素を示すものであって、複数の構成要素が実際物理的環境では互いに統合される形態で具現されたり、単一構成要素が複数の細部機能要素に分離される形態で具現されることもできる。
【0100】
蒸気化器1は、液状のエアロゾル発生基材を貯蔵する液状貯蔵槽と、エアロゾル発生基材を吸収するウィク(wick)と、吸収されたエアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを発生させる加熱要素と、を含むことができる。蒸気化器1で発生したエアロゾルは、エアロゾル発生物品150を通過してユーザの口部を通じて吸入され得る。蒸気化器1の加熱要素も、制御部120により制御され得る。
【0101】
制御部120、バッテリー130およびヒーター140に関する説明は、図1の説明部分を参照することとする。
【0102】
以上、図9および図10を参照して本開示のいくつかの実施例によるエアロゾル発生装置100-2、100-3について説明した。
【0103】
以上で、本開示の実施例を構成するすべての構成要素が1つで結合されたり、結合されて動作するものと説明されたといって、本開示の技術的思想が必ずこのような実施例に限定されるわけではない。すなわち、本開示の目的範囲内で、すべての構成要素が1つ以上で選択的に結合して動作することもできる。
【0104】
以上、添付された図面を参照して本開示の実施例を説明したが、本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本開示が他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものでないことを理解しなければならない。本開示の保護範囲は、下記の請求範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本開示により定義される技術的思想の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10